(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-03
(45)【発行日】2023-02-13
(54)【発明の名称】十字方向の引き出し構造体及び同引き出し構造体を用いた物品収納具
(51)【国際特許分類】
A47B 67/04 20060101AFI20230206BHJP
A47B 88/403 20170101ALI20230206BHJP
【FI】
A47B67/04 501D
A47B88/403
(21)【出願番号】P 2019048806
(22)【出願日】2019-03-15
【審査請求日】2022-03-11
(73)【特許権者】
【識別番号】398075851
【氏名又は名称】株式会社ホシプラ
(74)【代理人】
【識別番号】100104581
【氏名又は名称】宮崎 伊章
(72)【発明者】
【氏名】星川 翔太
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-178656(JP,A)
【文献】特開平9-238764(JP,A)
【文献】特開平4-2303(JP,A)
【文献】実開昭63-120939(JP,U)
【文献】実開平1-180941(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2014/0265779(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第10230545(DE,A1)
【文献】韓国登録実用新案第20-0475396(KR,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 67/04
A47B 88/403
A47B 88/417
A47B 88/57
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボックス、第1基板及び第2基板を有する引き出し構造体であって、
前記第1基板の前側に断面コ字状の前端縁が形成され、これと対向するように前記第1基板の後側に断面コ字状の後端縁が形成され、その断面コ字状の前端縁と断面コ字状の後端縁に、それぞれ前記ボックスの下部前端縁にある凸状縁部と下部後端縁にある凸状縁部が左右方向にスライド可能に形成されており、
前記第2基板の左側端部と前記第2基板の右側端部に前後方向に断面逆L字状にレール構造部が取り付けられ、前記レール構造部はそれぞれ第1基板の左側端部と前記第1基板の右側端部を断面L字状にして、前後方向にスライド可能に形成されていることを特徴とする十字方向の引き出し構造体。
【請求項2】
前記第1基板の左端と右端に突起状のストッパーを有しており、左端のストッパーが右端のストッパーと同一線上に形成されていない請求項1記載の十字方向の引き出し構造体。
【請求項3】
前記第2基板の前端と後端に突起状のストッパーを有しており、前端のストッパーが後端のストッパーと同一線上に形成されていない請求項1又は2記載の十字方向の引き出し構造体。
【請求項4】
前記ボックスは、上側部が開口していて、側面を構成する壁面部と、底面を構成する底面部を備えている請求項1乃至3のいずれかに記載の十字方向の引き出し構造体。
【請求項5】
前記第2基板の左側端部の前後端と右側端部の前後端にそれぞれ円筒体を有している請求項1乃至4のいずれかに記載の十字方向の引き出し構造体。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の十字方向の引き出し構造体を備える収納具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直角4方向すなわち前後左右の十字方向において引き出し可能な十字方向の引き出し構造体、及び工場や家庭や事務所等における、同引き出し構造体を用いた物品収納具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、直角2方向に引き出し可能な収納具としては、特許文献1が開示されている。
すなわち、特許文献1には、平面形状が四角形状をなし、直交する2つの側面部材が一体として夫々、引き出し容易な引き手部を有して前板1a,1bに形成され、該前板1a,1bの直交交叉部内部にシャフト3が立設されると共に、該前板内部にシャフトの摺動空隙部を存して仕切壁が形成されている。一方、他の2つの側面部材1c,1dが直交する平板状部材により形成され、かつ上記両側面部材で囲まれた空間内部に底部材4を有する抽斗部材11を、前記平板状側面部材1c,1dに対応して直交する2つの側枠部材10で形成された収納空間内に配設された底板11を介して積層し、前記底板11上に直交する2方向に形成した溝12に抽斗部材11の底部材4下面に設けた突出部5を嵌係合させ、シャフトを軸として直交2方向に引き出し可能とした。
【0003】
しかし直角2方向への引き出しは、前記底板11上に直交する2方向に形成した溝12に抽斗部材11の底部材4下面に設けた突出部5を嵌係合させ、シャフト3を軸として行うため、どうしても直角2方向に夫々同じ側面部材、底部材を備えたまま引き出さざるを得ないことから、複雑な構造をとらざるを得ず、家庭内あるいは事務所等において必ずしも充分とは云えなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、より構造の簡略化を図り、かつ直角4方向すなわち前後左右の十字方向の引き出し構造体を提供する点にあり、またさらなる目的は、同構造体を用いた物品収納具を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は、ボックス、第1基板及び第2基板を有する引き出し構造体であって、
前記第1基板の前側に断面コ字状の前端縁が形成され、前記第1基板の後側に断面コ字状の後端縁がそれぞれ形成され、その断面コ字状の前端縁と断面コ字状の後端縁に、それぞれ前記ボックスの下部前端縁にある凸状縁部と下部後端縁にある凸状縁部が左右方向にスライド可能に形成されており、
前記第2基板の左側端部と前記第2基板の右側端部にそれぞれ前後方向に断面逆L字状にレール構造部が取り付けられ、前記レール構造部はそれぞれ前記第1基板の左側端部と前記第1基板の右側端部を断面L字状にして前後方向にスライド可能に形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
従って、本発明はボックスを左右方向に動かしたい場合は、そのボックスの下部前端縁にある凸状縁部と下部後端縁にある凸状縁部を第1基板の断面コ字状の前端縁と第1基板の断面コ字状の後端縁に沿って動かしスライドさせればよく、さらにボックスを前後方向に動かしたい場合は、第2基板の断面逆L字状レール構造部に対して第1基板の左側端部と右側端部の断面L字状部を前後方向にスライドさせればよい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明に係る引出し構造体の一実施形態を示す斜視図である。
【
図3】同構造体を左方向にスライドさせた状態を示す斜視図である。
【
図4】同構造体を後方向にスライドさせた状態を示す斜視図である。
【
図5】同構造体を左方向にスライドさせ及び前方向にスライドさせた状態を示す斜視図である。
【
図6】同構造体を取り付けた状態を示す収納具の斜視図である。
【
図7】同構造体を動かした状態を示す収納具の斜視図である。
【
図16】同構造体の第1基板の要部拡大斜視図である。
【
図18】同構造体の第2基板の要部拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係る引き出し構造体は、
図1及び
図5に示すように、ボックス10、第1基板20及び第2基板21からなる。
図1、
図2、
図3、
図6及び
図9において、10は上側部11が開口するボックスであり、ボックス10は側面を構成する壁面部12と、底面を構成する底面部13を備えている。20は第1基板であり、21は裏面が縦横リブ構造の第2基板である。
【0010】
同ボックスを左右方向に動かしたい場合には、ボックス10と第1基板20のスライド構造を利用する。
図3に示す様に、第1基板20の前側には断面コ字状の前端縁22が水平方向に形成されており、これと対向するように第1基板20の後側には断面コ字状の後端縁23が水平方向に形成されている。
図19及び
図20において、24、25はそれぞれボックス10の下部前端縁にある凸状縁部と下部後端縁にある凸状縁部であり、この下部前端縁にある凸状縁部24と下部後端縁にある凸状縁部25が第1基板20の断面コ字状の前端縁22と断面コ字状の後端縁23に左右方向にスライド可能に形成されている。なお、
図12は、前記第1基板の平面図を表す。
【0011】
次に、同ボックスを前後方向に動かしたい場合には、第1基板20と第2基板21のスライド構造を利用する。
図4において、第2基板21の左側端部26と前記第2基板21の右側端部27に前後方向に断面逆L字状にレール構造部28が取り付けられており、前記レール構造部28はそれぞれ第1基板20の左側端部29と前記第1基板の右側端部30を断面L字状にして、前後方向にスライド可能に形成されている。
なお、
図10は、同構造体の平面図を表し、
図14は、前記第2基板の平面図を表す。
【0012】
図6、
図7および
図14において、31a、31b、31c、31dは第2基板21の左側端部の前後端と右側端部の前後端にそれぞれ設置した円筒体である。
【0013】
従って、上記の引き出し構造体を設置する場合は、例えば
図6に示す様に、円筒体31a、31b、31c、31dにポール36を挿通させて上段部10A、中間段部10B及び下段部10Cを備える収納具とすればよい。
【0014】
因って、
図7に示す様に、ボックス10を後側にしたい場合(10A)、ボックス10を第2基板21に対して、両側のレール構造部28に沿って奥行き方向にスライドさせればよく、またボックス10を左側に寄せたい場合は(10B)、ボックス10を第1基板20に対して、すなわちボックス10の下部前端縁にある凸状縁部24と下部後端縁にある凸状縁部25を第1基板20の断面コ字状の前端縁22と断面コ字状の後端縁23に沿って、左右方向にスライドさせればよい。またボックス10を前側にしたい場合は(10C)、ボックス10を第2基板21に対して両側のレール構造部28に沿って手前方向にスライドさせればよい。
【0015】
上述のような収納具に限定した場合は、ポールがあるために、ボックス10のスライド方向は前後又は左右に限定される。しかし
図5のように、ボックス10が1段であれば、前後及び左右に同時にスライドさせることができる。
【0016】
図11及び
図13に示す様に、この構造体において、ボックス10及び第1基板20は、裏面が縦横にリブ構造で裏打ちされているが、ここでリブ構造をしているのは
図8の構造体の裏面、すなわち第2基板21の裏面と同じく、強度を保つためである。
【0017】
また
図12において、32、33は第1基板20の左端と右端に設けた突起状のストッパーである。なお、左端のストッパー32は右端のストッパー33と同一線上に形成されていない。
図15は第1基板20の斜視図である。
図15において突起状の左端のストッパー32、及び右端のストッパー33は中心方向に高く傾斜されており、対向する辺に4~7個備わっている。これは第1基板20上のボックスを左右方向にスライドさせたとき、ボックス10が滑り落ちるのを有効に防止するためにある。
図16は、第1基板20の突起状の左端のストッパー32の拡大図である。
【0018】
一方、ボックス10の方には、第1基板20のストッパーがすり抜けるための穴部を有する。具体的には、
図19において、ボックス10の左端底には、スライドした時に、第1基板20の突起状の左端のストッパー32がすり抜けるための穴部37を有し、
図1および
図20において、ボックス10の右端底には、スライドした時に、第1基板20の突起状の右端のストッパー33がすり抜けるための穴部38を有する。
【0019】
図17は同構造体の第2基板21の斜視図であり、
図14は第2基板21の平面図であり、
図18は、同構造体の第2基板21の要部拡大斜視図である。34、35は第2基板21の前端と後端に設けた突起状のストッパーである。なお、前端のストッパー34は後端のストッパー35と同一線上に形成されていない。突起状の前端のストッパー34、及び後端のストッパー35は中心方向に高く傾斜されており、対向する辺に5~7個備わっている。前記前端のストッパー34、及び後端のストッパー35は、前記第1基板20の左端のストッパー32、及び右端のストッパー33と同じく、第2基板21上の第1基板20を前後方向にスライドさせたとき、第1基板20が滑り落ちるのを有効に防止するためにある。
【0020】
一方、第1基板20の方には、第2基板21のストッパーがすり抜けるための穴部を有する。具体的には、
図1及び
図2において、第1基板20の前端底には、スライドした時に、第2基板21の突起状の前端のストッパー34がすり抜けるための穴部39を有し、
図9において、第1基板20の後端底には、スライドした時に、第2基板21の突起状の後端のストッパー35がすり抜けるための穴部40を有する。
【0021】
以上の通り、同構造体は、第1基板の前側に断面コ字状の前端縁が形成され、前記第1基板の後側に断面コ字状の後端縁がそれぞれ形成され、その断面コ字状の前端縁と断面コ字状の後端縁に、それぞれボックスの下部前端縁にある凸状縁部と下部後端縁にある凸状縁部が左右方向にスライド可能に形成されており、
第2基板の左側端部と前記第2基板の右側端部にそれぞれ前後方向に断面逆L字状にレール構造部が取り付けられ、前記レール構造部はそれぞれ前記第1基板の左側端部と前記第1基板の右側端部を断面L字状にして前後方向にスライド可能に形成されていることを特徴とするので、左右方向に動かす場合には、第1基板の断面コ字状の前端縁と第1基板の断面コ字状の後端縁に沿ってボックスの下部前端縁にある凸状縁部と下部後端縁にある凸状縁部がスライドし、前後方向に動かす場合には、第2基板のレール構造部に対して第1基板の左側端部と右側端部の断面L字状部がスライドしている。
因って、簡易な構造により、十字方向に引き出し可能な構成となっているのである。
【0022】
ところで本発明は上記構造に限定されるものではない。要するに、第1基板の前側に断面コ字状の前端縁が形成され、前記第1基板の後側に断面コ字状の後端縁がそれぞれ形成され、その断面コ字状の前端縁と断面コ字状の後端縁に、それぞれボックスの下部前端縁にある凸状縁部と下部後端縁にある凸状縁部が左右方向にスライド可能に形成されており、
第2基板の左側端部と前記第2基板の右側端部にそれぞれ前後方向に断面逆L字状にレール構造部が取り付けられ、前記レール構造部はそれぞれ第1基板の左側端部と前記第1基板の右側端部を断面L字状にして前後方向にスライド可能に形成されておれば差し支えない。
【0023】
図6は、上記の十字方向の引き出し構造体を、上段部、中間段部及び下段部に備える収納具の使用例である。使用例では、収納具に備える引き出し構造体の数は上段部、中間段部及び下段部の3段になっているが、引き出し構造体の数は1段でも複数段でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明は、同構造体を有する収納具に広く利用することができる。従って、トレーをはじめとする各種の同構造体に広く使用することができる。
【符号の説明】
【0025】
10 ボックス
10A 引き出し構造体の上段部
10B 引き出し構造体の中間段部
10C 引き出し構造体の下段部
11 上側部
12 壁面部
13 底面部
20 第1基板
21 第2基板
22 第1基板の断面コ字状の前端縁
23 第1基板の断面コ字状の後端縁
24 ボックスの下部前端縁にある凸状縁部
25 ボックスの下部後端縁にある凸状縁部
26 第2基板の左側端部
27 第2基板の右側端部
28 レール構造部
29 第1基板の左側端部
30 第1基板の右側端部
31a 第2基板の左側端部の前端円筒体
31b 第2基板の左側端部の後端円筒体
31c 第2基板の右側端部の前端円筒体
31d 第2基板の右側端部の後端円筒体
32 第1基板の左端のストッパー
33 第1基板の右端のストッパー
34 第2基板の前端のストッパー
35 第2基板の後端のストッパー
36 ポール
37 ボックスの左端底の穴部
38 ボックスの右端底の穴部
39 第1基板の前端底の穴部
40 第1基板の後端底の穴部