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特許7220924ゴルフ練習場向けゴルフ練習支援システム
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  • 特許-ゴルフ練習場向けゴルフ練習支援システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-03
(45)【発行日】2023-02-13
(54)【発明の名称】ゴルフ練習場向けゴルフ練習支援システム
(51)【国際特許分類】
   A63B 69/36 20060101AFI20230206BHJP
【FI】
A63B69/36 522Z
A63B69/36 522A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020201384
(22)【出願日】2020-12-03
(65)【公開番号】P2022089109
(43)【公開日】2022-06-15
【審査請求日】2021-10-01
(73)【特許権者】
【識別番号】306014493
【氏名又は名称】日本シー・エー・ディー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100193046
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 正彦
(72)【発明者】
【氏名】横山 佳雄
【審査官】宮本 昭彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-530852(JP,A)
【文献】実開昭50-149175(JP,U)
【文献】特開平06-178840(JP,A)
【文献】特開2012-095904(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 69/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフ練習場向けゴルフ練習支援システムであって、ティー上に置かれたゴルフボールを練習者がゴルフクラブをスイングすることにより打ち出された前記ゴルフボールの移動情報を計測するゴルフボール移動情報計測手段と、前記練習者から打ち出された前記ゴルフボールが防球ネットを越えたことを判定するネット越え判定手段と、前記ゴルフボール移動情報計測手段で計測した前記ゴルフボール移動情報及び前期ネット越え判定手段で判定した結果を記憶保存する情報記憶手段と、前記判定結果を表示装置に出力表示するまたは音声で通知する情報表示手段とを備え、前記ネット越え判定手段により前記ゴルフボールが前記防球ネットを越えたと判定されたときは、前記防球ネットを越えたことを前記表示装置に表示するまたは前記表示装置から音声で通知することにより、前記練習者に警告することを特徴とするゴルフ練習場向けゴルフ練習支援システム。
【請求項2】
前記ネット越え判定手段により前記ゴルフボールが前記防球ネットを越えたと判定されたときは、前記ゴルフボールが前記防球ネットを越えたこと及び次の打席のために前記ティーの位置を下げることを前記表示装置に表示するまたは前記表示装置から音声で通知することにより、前記練習者に警告すると共に、次の打席のために前記ティーの位置を下げることを特徴とする請求項1に記載のゴルフ練習場向けゴルフ練習支援システム。
【請求項3】
前記ティーの位置を下げた後においても前記ネット越え判定手段により前記ゴルフボールが再度前記防球ネットを越えたと判定されたときは、前記ゴルフボールが前記防球ネットを越えたこと及び次の打席のために前記ティーの位置をさらに下げることを前記表示装置に表示するまたは前記表示装置から音声で通知することにより、前記練習者に警告すると共に、次の打席のために前記ティーの位置をさらに下げることを特徴とする請求項2に記載のゴルフ練習場向けゴルフ練習支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、練習者のゴルフボールショットが防球ネットを越えたときに、これを判定して再発を防止することができるゴルフ練習支援システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ゴルフ練習場において、練習者が打ったゴルフボールが練習場の外に出ることがないように防球ネットが設置されている。通常の打球は防球ネットで捕獲することができるが、練習者の打ち方が正しくない場合などにゴルフボールがネットを越えてしまうことがある。ネットを越えて練習場の外に出たゴルフボールは回収が困難である。またゴルフボールが練習場の外にいる人に当たり怪我をさせてしまったり、器物を損壊したりした場合にはゴルフ練習場の責任を問われることになる。従って、ゴルフボールが防球ネットを越えてゴルフ練習場の外に出てしまうことはできるだけ回避したい。特許文献1にはゴルフボール表面に形成されるディンプルの直径、深さ、個数を限定することにより、ゴルフボールの弾道を低くし、ゴルフボールがゴルフ練習場等の防護ネットを越えにくいようにする発明が記載されている。また特許文献2にはゴルフボールの反発性(初速度)及びディンプルを適正化することにより、練習場で使用すると、練習場のネットを飛び越えてしまう危険性がなく、飛距離が練習場に応じてコントロールすることができるとする発明が記載されている。これらはいずれもゴルフボールの特性を制限して、ゴルフボールが防球ネットを越えないようにする発明であるが、練習者の好みもあることであり、特定のゴルフボールの使用を強制することはどのゴルフ練習場でもできるわけではない。特性を制限しないゴルフボールを使用して、防球ネットを越えてしまうことが発生した場合でも、その再発を防止するための有効な方策が期待されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平5-103846号公報
【文献】特開2012-228457号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
練習者のゴルフボールショットが防球ネットを越えたときに、これを判定して再発を防止することができるゴルフ練習支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明に係るゴルフ練習場向けゴルフ練習支援システムは、ティー上に置かれたゴルフボールを練習者がゴルフクラブをスイングすることにより打ち出された前記ゴルフボールの移動情報を計測するゴルフボール移動情報計測手段と、前記練習者から打ち出された前記ゴルフボールが防球ネットを越えたことを判定するネット越え判定手段と、前記ゴルフボール移動情報計測手段で計測した前記ゴルフボール移動情報及び前期ネット越え判定手段で判定した結果を記憶保存する情報記憶手段と、前記判定結果を表示装置に出力表示するまたは音声で通知する情報表示手段とを備え、前記ネット越え判定手段により前記ゴルフボールが前記防球ネットを越えたと判定されたときは、前記防球ネットを越えたことを前記表示装置に表示するまたは前記表示装置から音声で通知することにより、前記練習者に警告することを特徴とする。
【0006】
また、本発明に係るゴルフ練習場向けゴルフ練習支援システムは、前記ネット越え判定手段により前記ゴルフボールが前記防球ネットを越えたと判定されたときは、前記ゴルフボールが前記防球ネットを越えたこと及び次の打席のために前記ティーの位置を下げることを前記表示装置に表示するまたは前記表示装置から音声で通知することにより、前記練習者に警告すると共に、次の打席のために前記ティーの位置を下げることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、練習者のゴルフボールショットが防球ネットを越えたときに、その再発を防止することができるので、ゴルフボールが練習場の外に出た場合に想定される様々な問題の発生を大幅に減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明のゴルフ練習支援システムの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は本発明のゴルフ練習支援システムを示す図である。練習者がドライバーで打つときはティー1の上にゴルフボール2があることを確認してスイングを行う。通常のスイングにおいては打たれたゴルフボール2は防球ネット3に捕獲されるが、スイングが正常でないときはゴルフボール飛跡4に示されるように防球ネット3を超えてしまうことがある。
【0010】
ゴルフボール追跡装置5は常時稼働しており、ゴルフボール移動情報計測手段とゴルフボール移動情報を記憶保存する情報記憶手段を有している。ゴルフボールの移動を監視して移動情報を記憶する。ゴルフボール2が防球ネット3を超えたときはこれを検出する機能も有している。ゴルフボール追跡装置5としてはドップラーレーダー式弾道追尾システム(商品名 トラックマンレンジ、TRACKMANは登録商標)を用いることができる。トラックマンレンジは 練習者のゴルフボールショットが防球ネット3を越えたことを判定するネット越え判定手段を有しており、ボールがネットを越えたら 打席番号等をホストコンピュータ7へメールにて知らせて来るように設定しておくことができる。ゴルフボール追跡装置5はトラックマンレンジに限らず、ゴルフボール移動情報計測手段とネット越え判定手段を有していれば他の装置であっても良い。
【0011】
ボールがネットを越えたことをネット越え判定手段からの通知によりホストコンピュータが認識したら、ホストコンピュータ7は表示装置6にボールがネットを越えたことを表示するまたは表示装置6から音声により通知することにより練習者に警告する。表示装置6に表示することと音声により通知することの両方を行っても良い。ホストコンピュータ7は情報記憶手段である記憶領域を有しており、ネット越え判定手段で判定した結果を記憶保存する。
【0012】
警告を受けた練習者は次の打席ではスイングを変えることにより、防球ネットを越えることの再発を防止することができる。
【0013】
より強く再発を防止するためには、ゴルフボール2が防球ネット3を越えたことをホストコンピュータが認識したときに、表示装置6にゴルフボールが防球ネット3を超えたことを表示するまたは表示装置6から音声により通知することにより練習者に警告するとともに、次の打席のためのティー1の位置を下げると良い。下げ幅は適宜定めればよい。その際、ティー1の位置を下げることも練習者にわかるように表示装置6に表示するまたは音声により通知することにより警告する。これによりゴルフボールは高く上がらなくなるからより確実にゴルフボール2が防球ネット3を超えることの再発を防止することができる。
【0014】
ティー1の位置を下げた後の打席においてもなおゴルフボールが防球ネットを越えることがあるようなら、その旨の警告とさらにティー1の位置を下げることを表示装置6に表示または音声による通知をして警告し、ティー1の位置をさらに低下させる。
【0015】
それでも再三に渡ってゴルフボールが防球ネットを越えるようなら、その旨の警告とさらにティー1の位置を下げアイアンでしか打てない位置にすることを表示装置6に表示または音声による通知をして警告し、ティー1の位置をさらにアイアンでしか打てない位置に低下させる。こうすればアイアンで打ったゴルフボールが防球ネット3を超えることはありえなくなり、防球ネット越えの再発を完全に防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0016】
本発明により、練習者のゴルフボールショットが防球ネットを越えることの再発を防止することができるので、ゴルフボールがゴルフ練習場の外に出て回収が困難となることを減少させることができる。またゴルフボールが練習場の外にいる人に当たり怪我をさせてしまったり、器物を損壊したりする危険を大幅に減らすことができる。このようなゴルフ練習場向けゴルフ練習支援システムを提供できることの産業上の利用可能性は大きい。
【符号の説明】
【0017】
1 ティー
2 ゴルフボール
3 防球ネット
4 ゴルフボール飛跡
5 ゴルフボール追跡装置
6 表示装置
7 ホストコンピュータ
図1