(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-03
(45)【発行日】2023-02-13
(54)【発明の名称】消火具
(51)【国際特許分類】
A62C 35/02 20060101AFI20230206BHJP
A62D 1/02 20060101ALI20230206BHJP
A62D 1/06 20060101ALI20230206BHJP
【FI】
A62C35/02 Z
A62D1/02
A62D1/06
(21)【出願番号】P 2020541206
(86)(22)【出願日】2019-09-02
(86)【国際出願番号】 JP2019034401
(87)【国際公開番号】W WO2020050209
(87)【国際公開日】2020-03-12
【審査請求日】2021-03-12
【審判番号】
【審判請求日】2022-02-22
(31)【優先権主張番号】P 2018165072
(32)【優先日】2018-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000114905
【氏名又は名称】ヤマトプロテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001885
【氏名又は名称】弁理士法人IPRコンサルタント
(72)【発明者】
【氏名】富山 昇吾
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 辰基
(72)【発明者】
【氏名】小林 航
【合議体】
【審判長】水野 治彦
【審判官】河端 賢
【審判官】鈴木 充
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/209202(WO,A1)
【文献】特開平01-256640(JP,A)
【文献】特開昭52-012719(JP,A)
【文献】実開昭53-117714(JP,U)
【文献】特開2010-031127(JP,A)
【文献】特開2009-113434(JP,A)
【文献】国際公開第2018/047762(WO,A1)
【文献】特開2007-319350(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62D 2/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼によりエアロゾルを発生させる消火剤組成物とバインダーとの混合物で形成されたシート状の消火剤層と、
前記消火剤層の第1表面を覆うとともに、前記エアロゾルの噴出孔を有するパンチングメタルで構成された第1プレートと、
前記消火剤層の前記第1表面とは反対側の第2表面を覆う第2プレートと、
を備え、
前記噴出孔が、前記第1プレートの全面において規則的に整列された複数の孔で構成され、
前記第1プレートの縁部には、前記第2プレート側に延びる周壁が一体的に設けられていること、
を特徴とする消火具。
【請求項2】
前記バインダーが、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリ(1-)ブテン系樹脂、ポリペンテン系樹脂を含むポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン系樹脂、メチルメタクリレート-ブタジエン-スチレン樹脂、エチレン-酢酸ビニル樹脂、エチレン-プロピレン樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂を含む熱可塑性樹脂類、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、1,2-ポリブタジエンゴム(1,2-BR)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、ニトリルゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン-プロピレンゴム(EPR、EPDM)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、アクリルゴム(ACM、ANM)、エピクロルヒドリンゴム(CO、ECO)、多加硫ゴム(T)、シリコーンゴム(Q)、フッ素ゴム(FKM、FZ)、ウレタンゴム(U)を含むゴム類、ポリウレタン樹脂、ポリイソシアネート樹脂、ポリイソシアヌレート樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂を含む熱硬化性樹脂類、前記熱可塑性樹脂類若しくはゴム類のラテックス類、前記熱可塑性樹脂若しくはゴム類のエマルション類、CMC(カルボキシメチルセルロース)、HEC(ヒドロキシエチルセルロース)、HPMC(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)を含むセルロース誘導体のうちのいずれかであること、
を特徴とする請求項1に記載の消火具。
【請求項3】
前記消火剤組成物が、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、塩素酸カリウム及びクエン酸三カリウムを含み、
前記バインダーが、CMC(カルボキシメチルセルロース)、HEC(ヒドロキシエチルセルロース)、HPMC(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)を含むセルロース誘導体のうちのいずれかであること、
を特徴とする請求項1又は2に記載の消火具。
【請求項4】
前記第1プレートの縁部と前記第2プレートの縁部とは互いに接続されていること、
を特徴とする請求項1~3のうちのいずれ
かに記載の消火具。
【請求項5】
前記第1プレート及び前記周壁は金属材料又は樹脂材料で作製されていること、
を特徴とする請求項1~4のうちのいずれかに記載の消火具
。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼によりエアロゾルを発生させることで火炎を消火又は抑制する消火具に関する。
【背景技術】
【0002】
燃焼によりエアロゾルを発生して火災を消火又は抑制するための消火剤組成物が知られている(例えば特許文献1)。かかる消火剤組成物は、例えば、分散体等の液体として、又は粉末や所望する形状の成形体等の固体として使用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えばシートのように薄く成形した消火剤組成物は、限られたスペースに設置できることから、高い利便性を有すると考えられる。ただし、このような形態の消火剤では、形状保持などの設置のための工夫を別途行う必要がある。
【0005】
そこで、本発明は、薄く成形した消火剤を簡便に設置することができる消火具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決すべく、本発明は、燃焼によりエアロゾルを発生させる消火剤層と、前記消火剤層の第1表面を覆うとともに、前記エアロゾルの噴出孔を有する第1プレートと、前記消火剤層の前記第1表面とは反対側の第2表面を覆う第2プレートと、を備えることを特徴とする消火具を提供する。
【0007】
上記のような構成を有する本発明の消火具では、前記第1プレートの縁部と前記第2プレートの縁部とが互いに接続されていること、が好ましい。
【0008】
また、上記のような構成を有する本発明の消火具では、前記第1プレートの縁部に、前記第2プレート側に延びる周壁が設けられていること、が好ましい。
【0009】
上記のような構成を有する本発明の消火具では、前記第1プレート及び前記周壁が金属材料又は樹脂材料で作製されていること、が好ましい。
【0010】
また、上記のような構成を有する本発明の消火具は、前記消火具を所望の取付箇所に固定するための固定手段を更に備えること、が好ましい。
【0011】
また、上記のような構成を有する本発明の消火具では、消火剤層が、塩素酸カリウムを含み、DSC評価(100~400℃、10℃毎分昇温)吸熱ピーク総量が100J/g~900J/gである消火剤を含むこと、が好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、薄く成形した消火剤の設置を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る消火具1の概略を示す正面図である。
【
図6】本発明の第2実施形態に係る消火具2の概略を示す正面図である。
【
図10】消火具2の組立て方法の一例を示す分解図である。
【
図11】消火具2の組立て方法の他の例を示す分解図である。
【
図12】本発明の第3実施形態に係る消火具3の概略を示す断面図である。
【
図13】消火具3の組立て方法の一例を示す分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の幾つかの実施形態を、図面を参照しつつ詳細に説明する。ただし、本発明はこれら図面に限定されるものではない。また、図面は、本発明を概念的に説明するためのものであるから、理解容易のために、必要に応じて寸法、比又は数を誇張又は簡略化して表している場合もある。
【0015】
以下に開示する消火具は、筐体内に収納された消火剤層(略シート状の消火剤)が所定の温度で発火してエアロゾルを発生させ、発生したエアロゾルが孔から噴出することで、火災を消火又は抑制する。本消火具は、例えば、可燃物を収容する閉じた空間内、又は、発火のおそれがある機器の近傍に、好適に取り付けられる。前者としては、例えば、電気化学デバイス(蓄電池、キャパシタなど)、電子機器及び発電設備(風力発電システムのナセルなど)、容器(ダストボックスなど)などが挙げられる。また、後者としては、例えば、充電器や接触端子などが挙げられる。つまり、本消火具は、限られたスペースに設置することができるように設計されている。
【0016】
1.第1実施形態
図1-
図5を参照して、第1実施形態に係る消火具を説明する。
本実施形態に係る消火具1は、消火剤層11、プレート13,15及び周壁17を備えている。これらの構成要素のうちプレート13,15及び周壁17は、消火剤容器を構成している。
【0017】
消火具1及び消火剤容器は、限られたスペースに設置できるように、
図2に示すように全体として薄い形状を呈している。消火具1の寸法は、設置スペースや求められる消火性能に応じて設計されてよく、例えば、消火剤層11の厚みが2mmほどである場合、消火具11の厚みは3mmほどでよい。
【0018】
消火具1の構成要素を説明する。消火剤層11は、燃焼によりエアロゾルを発生させる薬剤であり、シート状に成形されている。ここで、シート状とは、例えば、消火剤が、水平に把持された状態では自重により形状を保持できないほどの厚み(薄さ)であること、又は、周面を接地させた状態で自立し得ないほどの厚みであること、を指すものとする。したがって、消火剤層11は、第1表面に相当する表面111と、第1表面とは反対側の第2表面に相当する表面113と、を有する。なお、消火剤層11は、全体にわたって連続する形状であっても、部分的に不連続な部分のある形状であってもよい。
【0019】
消火剤層11は、本実施形態では、収納空間S(
図5参照)の形状に対応して矩形を呈しているが、円形その他の形状でもよい。消火剤層11の寸法は、例えば縦横約40mm、厚み約2mmである。消火剤層11を構成する消火剤の組成については追って述べる。
【0020】
プレート13は、
図4に示すように、消火剤層11の表面111を覆う板部材であり、第1プレートに相当する。本実施形態では、プレート13が、例えばステンレス鋼、鉄、アルミニウム及びその合金のような金属材料で作製されることを想定しているが、プレート13は、樹脂などの他の材料で作製されてもよい。また、プレート13は、消火剤層11の燃焼開始温度よりも高い温度まで形態を保持できることが好ましい。なかでも、プレート13は、加工、取扱い、価格及び耐熱性の観点から、SUS304、SUS302B、SUS316L、SUSXM15J1などの材料で製作されることが好ましく、また、0.1~1.0mmの厚みを有することが好ましい。
【0021】
プレート13は、
図1に示すように、消火剤層11から発生したエアロゾルの噴出孔131を有する。本実施形態では、噴出孔131は、規則的に整列された複数の孔で構成されているが、噴出孔131は1つの孔でもよいし、不規則に配置された複数の孔で構成されていてもよい。また、噴出孔13を構成する個々の孔は、円形に限られず、例えば四角形状、十字状などでもよい。したがって、プレート13は、パンチングメタルとして構成することができる。
【0022】
次いで、プレート15は、
図4に示すように、消火剤層11の表面113(表面111とは反対側の面)を覆う板部材であり、第2プレートに相当する。ここでは、プレート15が、プレート13と同様に、金属材料で作製されることを想定しているが、樹脂等の他の材料で作製されてもよい。また、プレート15にエアロゾルの噴出孔が設けられてもよい。
【0023】
プレート15は、図示しない保持手段を介して周壁17に取り付けられている。保持手段としては、例えば、接着テープ、及び、周壁17の内周面に設けられてプレート15の外縁と係合する溝又は突起が可能である。
【0024】
周壁17は、
図5に示すように、プレート13からプレート15側に延びて、プレート13,15の間に消火剤層11の収納空間Sを形成する。本実施形態では、周壁17は、
図3及び
図4に示すように、消火剤層11、プレート13,15の周面を覆うように形成されている。
【0025】
収納空間Sは、噴出孔131を除き、閉じていることが好ましい。これにより、噴出孔131から噴射されるエアロゾルの指向性が高まり、火炎を効果的に消火又は抑制することが可能となる。
【0026】
本実施形態では、例えば
図5に示すように、周壁17はプレート13と一体的に成形されている。したがって、周壁17は、プレート13と同じ材料(つまり金属材料又は樹脂材料)で作製される。
【0027】
消火具1はまた、消火具1を所望の取付箇所に固定するための固定手段19を有していてもよい。本実施形態では、固定手段19としてネジ孔を想定しているが、固定手段19は例えば両面テープ、フックなどでもよい。また、消火具1は、取付箇所に溶接されてもよい。
【0028】
上述した構成を有する消火具1は、次の手順で組み立てられる。
図5に示すように、一体化されたプレート13及び周壁17を用意する。次いで、収納空間Sに消火剤層11を収納する。そして、プレート15で消火剤層11の表面113を覆い、プレート15を周壁17上に保持する。
そして、このようにして組み立てられた消火具1は、固定手段19を介して所望の取付箇所に取り付けられる。その際、噴出孔131を有するプレート13が想定される火炎の火元に向くように、消火具1を設置することが好ましい。
【0029】
第1実施形態によれば、例えばシートのように薄く成形された消火剤層11の形状を容易に保持することができる。また、消火具1全体として厚みが小さいため、限られたスペースに容易に設置することができる。
【0030】
また、収納空間Sは噴射孔19を除いて閉じているため、噴射孔19から噴射されるエアロゾルは一定の指向性を有する。したがって、火元に効率よくエアロゾルを供給することができ、消火性能の向上につながる。
【0031】
また、プレート15を外すことで消火剤層11を取り替えることができるので、消火剤層11の交換や、消火具1のメンテナンスが容易である。
【0032】
2.消火剤組成物
ここで、本実施形態の消火剤層11に用いられる消火剤(消火剤組成物)について説明する。消火剤組成物としては、火薬の分類に属するものも属しないものも、種々のものを用いることができる。
【0033】
本実施形態における消火剤は、例えば、燃料(A成分)20~50質量%及び塩素酸塩(B成分)80~50質量%を含有し、更に前記燃料及び前記塩素酸塩の合計量100質量部に対して、6~1000質量部のカリウム塩(C成分)を含有し、熱分解開始温度が90℃超~260℃の範囲である。
【0034】
A成分である燃料は、B成分である塩素酸塩と共に燃焼により熱エネルギーを発生させて、C成分のカリウム塩に由来するエアロゾル(カリウムラジカル)を発生させるための成分である。
【0035】
かかるA成分の燃料としては、例えば、ジシアンジアミド、ニトログアニジン、硝酸グアニジン、尿素、メラミン、メラミンシアヌレート、アビセル、グアガム、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、カルボキシルメチルセルロースカリウム、カルボキシルメチルセルロースアンモニウム、ニトロセルロース、アルミニウム、ホウ素、マグネシウム、マグナリウム、ジルコニウム、チタン、水素化チタン、タングステン及びケイ素のうちの少なくとも1種から選ばれるものが好ましい。
【0036】
B成分の塩素酸塩は強力な酸化剤であり、A成分の燃料と共に燃焼により熱エネルギーを発生させ、C成分のカリウム塩に由来するエアロゾル(カリウムラジカル)を発生させるための成分である。
【0037】
かかるB成分の塩素酸塩としては、例えば塩素酸カリウム、塩素酸ナトリウム、塩素酸ストロンチウム、塩素酸アンモニウム及び塩素酸マグネシウムのうちの少なくとも1種から選ばれるものが好ましい。
【0038】
ここで、A成分の燃料とB成分の塩素酸塩の合計100質量%中の含有割合は、以下のとおりである。
A成分:20~50質量%
好ましくは25~40質量%
より好ましくは25~35質量%
B成分:80~50質量%
好ましくは75~60質量%
より好ましくは75~65質量%
【0039】
次に、C成分のカリウム塩は、A成分とB成分の燃焼により生じた熱エネルギーによりエアロゾル(カリウムラジカル)を発生させるための成分である。
【0040】
かかるC成分のカリウム塩としては、例えば酢酸カリウム、プロピオン酸カリウム、クエン酸一カリウム、クエン酸二カリウム、クエン酸三カリウム、エチレンジアミン四酢酸三水素一カリウム、エチレンジアミン四酢酸二水素二カリウム、エチレンジアミン四酢酸一水素三カリウム、エチレンジアミン四酢酸四カリウム、フタル酸水素カリウム、フタル酸二カリウム、シュウ酸水素カリウム、シュウ酸二カリウム及び重炭酸カリウムのうちの少なくとも1種から選ばれるものが好ましい。
【0041】
C成分の含有割合は、A成分とB成分の合計量100質量部に対して、6~1000質量部であるのが好ましく、より好ましくは10~900質量部である。
【0042】
更に、本実施形態の消火剤組成物は、熱分解開始温度が90℃超~260℃の範囲のものであり、好ましくは150℃超~260℃のものである。このような熱分解開始温度の範囲は、上記のA成分、B成分及びC成分を上記の割合で組み合わせることで調製することができる。
【0043】
本実施形態の消火剤組成物は、上記の熱分解開始温度の範囲を満たすことで、例えば点火装置等を使用することなく、火災発生時の熱を受けてA成分とB成分が自動的に着火燃焼して、C成分に由来するエアロゾル(カリウムラジカル)を発生させて消火することができる。
【0044】
なお、室内にある可燃物として一般的な木材の引火温度は260℃であり、火気を取扱う場所に設置する自動火災報知設備の熱感知器の一般的な作動温度である90℃以下では起動しない条件に熱分解開始温度を設定することで、速やかな消火ができると共に、前記熱感知器の誤作動も防止できる。特に、熱感知器の最大設定温度は150℃であるため、熱分解開始温度の下限値を150℃超に設定することで高い汎用性が得られる。
【0045】
消火剤の成形方法の例として、上記の組成物をバインダーと混合し、例えばローラで所望の厚さに延ばし、所望の寸法に裁断することが考えられる。あるいは、消火剤組成物とバインダーとの混合物を紙などの支持物に塗布してもよい。
【0046】
ここで、バインダーの材料としては、例えば、具体的にはポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリ(1-)ブテン系樹脂、ポリペンテン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン系樹脂、メチルメタクリレート-ブタジエン-スチレン樹脂、エチレン-酢酸ビニル樹脂、エチレン-プロピレン樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂等の熱可塑性樹脂類、 天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、1,2-ポリブタジエンゴム(1,2-BR)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、ニトリルゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン-プロピレンゴム(EPR、EPDM)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、アクリルゴム(ACM、ANM)、エピクロルヒドリンゴム(CO、ECO)、多加硫ゴム(T)、シリコーンゴム(Q)、フッ素ゴム(FKM、FZ)、ウレタンゴム(U)等のゴム類、 ポリウレタン樹脂、ポリイソシアネート樹脂、ポリイソシアヌレート樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂類、 上記熱可塑性樹脂類、ゴム類等のラテックス類、 上記熱可塑性樹脂類、ゴム類等のエマルション類、CMC(カルボキシメチルセルロース)、HEC(ヒドロキシエチルセルロース)、HPMC(ヒドロキシプロピルメチルセルロース) 等のセルロース誘導体等が考えられる。
【0047】
3.第2実施形態
図6-
図11を参照して、第2実施形態に係る消火具を説明する。
本実施形態に係る消火具2は、例えば
図9に示すように、消火剤層21、プレート23,25及び周壁27を備えている。プレート23,25及び周壁27は消火剤容器を構成する。消火具2及び消火剤容器は、
図7に示すように、全体として厚みの小さい形状を呈している。
【0048】
消火剤層21としては、第1実施形態の消火剤層11と同じものを使用することができる。プレート25もまた、例えば
図8に示すように、第1実施形態のプレート15と同じものでよい。ただし、プレート25は、後述する周壁27の形成方法の違いに応じて、周壁27に着脱自在に取り付けられたり、周壁27に固定されたりする(
図10及び
図11参照)。
【0049】
本実施形態では、プレート23と周壁27とが別部材として構成されている。したがって、プレート23は、例えば
図6及び
図9に示すように、板材に噴射孔231を穿つことで容易に作製される。また、例えば
図10に示すように、周壁27はシンプルな枠体であり、周壁27の内周面の内側に消火剤層21の収納空間SSが形成されることになる。
【0050】
周壁27には、プレート23,25が取り付けられる(
図10参照)。周壁27は、プレート23,25を保持するための保持手段(図示せず)をそれぞれ有している。ここでいう保持手段は、第1実施形態においてプレート15を周壁17上に保持するための保持手段と同様のものでよい。プレート23,25は、この保持手段及び後述する周壁27の形成方法の違いに応じて、周壁27に着脱自在に取り付けられたり、周壁27に固定されたりする(
図10及び
図11参照)。
【0051】
このような構成を有する消火具2の組立方法の一例を、
図10を参照して説明する。この組立方法は、周壁27が枠体として提供される場合に好適である。具体的には、まず周壁27の内側の収納空間SSに消火剤層21を挿入する。次いで、プレート23,25で消火剤層21の表面211,213をそれぞれ覆い、両プレート23,25を周壁27上に保持する。なお、消火剤層21の挿入及びプレート23,25の取付けの順序は適宜変更可能である。
【0052】
また、消火具2の他の組立方法を、
図11を参照して説明する。
まず、プレート23、消火剤層21、プレート25の順に重ねる。次いで、重ねられた部材の外周面に樹脂を塗布し又は巻き付けることで周壁27を形成する。ここで用いられる樹脂としては、例えば、変性ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、フッ素樹脂、ポリアセタール(POM)樹脂、ポリエーテルイミド(PEI)樹脂、ポリエーテルサルフォン(PES)樹脂、ポリフェニレンサルフォン(PPS)樹脂、液晶ポリマー(LCP)樹脂等が挙げられる。
【0053】
第2実施形態によれば、第1実施形態と同様に、薄く成形された消火剤層21を容易に保持することができるとともに、限られたスペースに容易に設置することができる。更に、各構成部材がシンプルな形状であるため、製造コストの低減を期待することができる。
【0054】
4.第3実施形態
図12及び
図13を参照して、第3実施形態に係る消火具を説明する。
本実施形態に係る消火具3は、
図12に示すように、全体として厚みの小さい形状を呈し、消火剤層31と、容器を構成するプレート33,35と、を備えている。消火剤層31としては、第1実施形態の消火剤層11と同じものを使用することができる。
【0055】
プレート33は、噴射孔331を有するとともに、縁部33Aにおいてプレート35側に屈曲している。また、プレート35は、縁部35Aにおいてプレート33側に屈曲している。なお、プレート33,35の材料は、第1実施形態のプレート13,15の材料と同じでよい。
【0056】
かかる消火具3は、
図13に示すように、プレート33,35の間に消火剤層31を挟み込むことで作製される。プレート33,35は、縁部33A,35Aにおいて互いに接続され、互いに固定される。プレート33,35の固定手段としては、例えば、接着剤による接着、溶接、かしめ等が可能である。
【0057】
本実施形態では、プレート33,35が周壁の役割を兼ねている。したがって、板材に噴射孔331を穿ち、縁部を折り曲げることで、プレート33、35を容易にかつ安価に作製することができる。
【0058】
以上、本発明の代表的な実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、種々の設計変更が可能であり、それらも本発明に含まれる。
【0059】
例えば、プレート13(23,33)と消火剤層11(21、31)との間に、消火剤層11(21、31)を構成する消火剤の外部への剥落の防止のためにスクリーンを挿入してもよい。スクリーンとしては、金網、薄紙、樹脂シートなどが考えられる。
【符号の説明】
【0060】
1, 2, 3・・・消火具、
11、 21、31・・・消火剤層、
13,15,23,25,33,35・・・プレート、
17, 27・・・周壁。
131,231,331・・・孔。