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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-03
(45)【発行日】2023-02-13
(54)【発明の名称】芝保護用二重マット
(51)【国際特許分類】
   A01G 13/00 20060101AFI20230206BHJP
   E01C 5/00 20060101ALI20230206BHJP
   A01G 20/00 20180101ALI20230206BHJP
【FI】
A01G13/00 D
E01C5/00
A01G20/00
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021184367
(22)【出願日】2021-11-11
(65)【公開番号】P2022079434
(43)【公開日】2022-05-26
【審査請求日】2021-12-06
(31)【優先権主張番号】10-2020-0152489
(32)【優先日】2020-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521496283
【氏名又は名称】キーグリーン カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100149870
【弁理士】
【氏名又は名称】芦北 智晴
(74)【代理人】
【識別番号】100207022
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 弘之
(72)【発明者】
【氏名】ソン ギョル
【審査官】田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-153180(JP,A)
【文献】特開2007-082462(JP,A)
【文献】特開2009-142250(JP,A)
【文献】特開平08-269906(JP,A)
【文献】特開平05-056724(JP,A)
【文献】特開2012-077467(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 13/00
E01C 5/00
A01G 20/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
芝通過孔、上方に突出する角部用ガイダ、及び前記角部用ガイダに隣接する挿入孔を備え、地面から離隔されることなく前記地面を覆うように設けられ、切芝が敷かれる前に互いに隣接して前記地面に設置される複数の下部マットと、
前記下部マットが前記地面に設置された後に、前記下部マットの上方に前記切芝が位置する空間が形成されるように前記下部マットの上面に置かれ、隣接する各下部マットの一部の上にまたがって1枚ずつ位置し、互いに隣接して並べられる複数の上部マットとを含み、
各上部マットは、
複数の角部、及び芝通過孔を備え、前記隣接する下部マットの角部用ガイダに前記複数の角部が接触するように、前記隣接する下部マットの上方に位置するフレームと、
前記フレームから下方に延び、前記隣接する下部マットの上面に置かれる下端を有する支持柱と、
前記支持柱よりも長く前記複数の角部から下方に延び、前記複数の角部に接触する角部用ガイダに隣接する挿入孔に挿入される挿入柱とを含む、芝保護用二重マット。
【請求項2】
各下部マットの上面には、所定の方向に延びて互いに平行に並べられる第1の水滞留溝、及び前記第1の水滞留溝とは異なる方向に延びて互いに平行に並べられる第2の水滞留溝が設けられる、請求項1に記載の芝保護用二重マット。
【請求項3】
前記第1の水滞留溝の両端及び前記第2の水滞留溝の両端は、前記下部マットの縁部により閉塞されている、請求項2に記載の芝保護用二重マット。
【請求項4】
前記第1の水滞留溝と前記第2の水滞留溝の交差地点はX字状に形成され、交差地点の少なくとも一部の周辺には下部マットの上面から上方に突出する複数の突起が設けられる、請求項2に記載の芝保護用二重マット。
【請求項5】
前記支持柱は、前記第1の水滞留溝と前記第2の水滞留溝の交差地点に置かれる下端を有する内側柱を含み、前記内側柱は、X字状の断面を有する、請求項2または4に記載の芝保護用二重マット。
【請求項6】
前記フレームに設けられる芝通過孔の角部には、上下方向の軸を中心とするねじれ外力に対する前記フレームの強度を補強するように構成された強度補強片が形成される、請求項1に記載の芝保護用二重マット。
【請求項7】
各下部マットの下面には、前記地面の中に位置する複数のリブが格子をなすように設けられ、前記リブの下面中央には、上方に凹んだ形態のアーチが前記リブの長さ方向に沿って延びるように設けられ、前記リブの幅方向に離隔したアーチの両側下端は、平らに設けられる、請求項1に記載の芝保護用二重マット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大きな荷重が頻繁に加わる芝養生区域(例えば、野外駐車場など)に設置されるのに適した芝保護用二重マットに関する。
【背景技術】
【0002】
芝は、野山に育ち、草丈が低く、根が付いた状態で群生する多年草である。今日では、景観、運動選手の負傷防止、土の崩壊防止などの目的で、様々な地域において芝が人為的に生育されている。
【0003】
芝養生区域は、地面に切芝(土が付いた状態で根元から切り取った芝の一切れ)を敷き、切芝の芝を育てて造成するのが一般的である。しかしながら、その場合、芝養生区域を往来する人や車などによる荷重が芝に繰り返し加わると、芝が育たないという問題が生じる。よって、芝養生区域を造成する際に、芝に荷重が加わることを防止すべく、芝保護マットの設置が併行されている。
【0004】
前記芝保護マットの一例が特許文献1(芝保護マット)及び特許文献2(芝保護マット)に開示されている。これらの登録特許に開示されている芝保護マットは、互いに結合された形態で芝養生区域の地面に設置される。また、各芝保護マットは、多角形状の芝通過空間を有するフレームを含み、芝通過空間の各角部から下方に延びる脚も有する。芝保護マットが地面に設置されると脚の下端が地面に接触するが、こうすることにより、フレームが地面から上方に離れたまま脚により支持され、切芝が位置する空間を提供することができる。
【0005】
芝保護マットの他の例が特許文献3(芝保護マット)及び特許文献4(軟弱地盤用芝保護マット及び下部支持マットの施工方法)に開示されている。
【0006】
特許文献3に開示されている芝保護マットは、特許文献1及び2の脚を隔板に代替した技術である。また、特許文献4に開示されている芝保護マットは、特許文献1及び2のフレームの上面に別途の上部マットを分離可能に重ねた技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】韓国登録特許第10-0898546号公報
【文献】韓国登録特許第10-1063271号公報
【文献】韓国登録実用新案第20-0416783号公報
【文献】韓国登録特許第10-1772846号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
現在、芝養生区域は増加を続けており、それに伴い、公園などに設けられる野外駐車場を芝養生区域にする需要が発生している。
【0009】
しかしながら、野外駐車場は、重量が数十トンに達する車両(乗用車、バス、トラックなど)が往来し、駐車する場所であるので、野外駐車場のように大きな荷重が繰り返し加わる芝養生区域には、それに応じた芝保護マットを設置しなければならない。
【0010】
しかしながら、前述した従来の芝保護マットにおいては、大きな荷重が作用すると、脚が地面に食い込み、フレームが沈下することになるが、そうすると脚が芝の生長点に損傷を与えるという問題や、フレームが芝に圧力を加える問題などが生じ、芝の養生が正常に行われなくなる。また、従来の芝保護マットにおいては、大きな荷重を受ける部位がそうでない部位に比べて沈下する程度(不同沈下の程度)が大きく、フレームが破損するという問題も生じる。
【0011】
よって、本発明は、野外駐車場のように大きな荷重が繰り返し作用する芝養生区域に設置されても優れた芝保護機能及び構造的安定性を発揮することのできる芝保護用二重マットを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明による芝保護用二重マットは、芝通過孔、上方に突出する角部用ガイダ、及び前記角部用ガイダに隣接する挿入孔を備え、地面から離隔されることなく前記地面を覆うように設けられ、切芝が敷かれる前に互いに隣接して前記地面に設置される複数の下部マットと、前記下部マットが前記地面に設置された後に、前記下部マットの上方に前記切芝が位置する空間が形成されるように前記下部マットの上面に置かれ、隣接する各下部マットの一部の上にまたがって1枚ずつ位置し、互いに隣接して並べられる複数の上部マットとを含む。また、各上部マットは、複数の角部、及び芝通過孔を備え、前記隣接する下部マットの角部用ガイダに前記複数の角部が接触するように、前記隣接する下部マットの上方に位置するフレームと、前記フレームから下方に延び、前記隣接する下部マットの上面に置かれる下端を有する支持柱と、前記支持柱よりも長く前記複数の角部から下方に延び、前記複数の角部に接触する角部用ガイダに隣接する挿入孔に挿入される挿入柱とを含む。
【0013】
各下部マットの上面には、所定の方向に延びて互いに平行に並べられる第1の水滞留溝、及び前記第1の水滞留溝とは異なる方向に延びて互いに平行に並べられる第2の水滞留溝が設けられる。
【0014】
前記第1の水滞留溝の両端及び前記第2の水滞留溝の両端は、前記下部マットの縁部により閉塞されている。
【0015】
前記第1の水滞留溝と前記第2の水滞留溝の交差地点はX字状に形成され、交差地点の少なくとも一部の周辺には下部マットの上面から上方に突出する複数の突起が設けられる。
【0016】
前記支持柱は、前記第1の水滞留溝と前記第2の水滞留溝の交差地点に置かれる下端を有する内側柱を含み、前記内側柱は、X字状の断面を有する。
【0017】
前記フレームに設けられる芝通過孔の角部には、上下方向の軸を中心とするねじれ外力に対する前記フレームの強度を補強するように構成された強度補強片が形成される。
【0018】
各下部マットの下面には、前記地面の中に位置する複数のリブが格子をなすように設けられ、前記リブの下面中央には、上方に凹んだ形態のアーチが前記リブの長さ方向に沿って延びるように設けられ、前記リブの幅方向に離隔したアーチの両側下端は、平らに設けられる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、広い面積にわたって地面に接触している下部マットが上部マットを支持しているので、上部マットに大きな荷重が作用しても上部マットが地面に陥没しない。また、上部マットと下部マットが互い違いに配置されるので、上部マットに作用する荷重が隣接する下部マットに分散され、上部マット及び下部マットの不同沈下が防止される。さらに、上部マットの挿入柱が支持柱よりも長く設けられるので、下部マットに切芝が敷かれた状態でも上部マットの設置位置を容易かつ正確に選定することができ、前記支持柱を挿入するための挿入孔が下部マットに設けられるので、上部マットを設置する際に上部マット及び下部マットを地面に臨時に固定することができる。
【0020】
本発明によれば、下部マットの水滞留溝により切芝の芝が水分を吸収する時間が十分に確保され、前記水滞留溝に滞留している水が下部マットの縁部により水滞留溝の両端から流出しない。
【0021】
本発明によれば、上部マットの内側柱の下端が前記水滞留溝に挿入される形態で前記水滞留溝の交差地点に置かれるので、上部マットが水平方向に押されなくなり、その水平方向に押されることは、前記交差地点の周面に形成される突起によりさらに確実に防止される。
【0022】
本発明によれば、上部マットの芝通過孔の角部に強度補強片が設けられるので、ねじれ外力に対する上部マットの強度が十分に確保される。
【0023】
本発明によれば、下部マットの下面のリブにより下部マットが地面上で水平方向に押されなくなり、さらにリブのアーチの両側下端が下部マットの保管、運送及び設置過程で破損するという問題が防止される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明による芝保護用二重マットの設置状態を示す平面図である。
図2図1の下部マットを示す上方斜視図である。
図3図2の下部マットを示す平面図である。
図4図1の下部マットを部分拡大して示す上方斜視図である。
図5図1の下部マットを部分拡大して示す下方斜視図である。
図6図1の上部マットを示す上方斜視図である。
図7図6の上部マットを部分拡大して示す上方斜視図である。
図8図6の上部マットを部分拡大して示す下方斜視図である。
図9図1の設置状態の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して、本発明による芝保護用二重マットの好ましい実施形態について詳細に説明する。以下で用いられる用語や単語は、通常のまたは辞書的な意味に限定して解されてはならず、発明者は自らの発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適宜定義できるという原則に立脚して、本発明の技術的思想に符合する意味と概念に解されるべきである。
【0026】
本発明による芝保護用二重マットにおいては、下部マット100、上部マット200、及びそれら下部マット100及び上部マット200に備えられる芝通過孔102及び202が四角形状以外の多角形状に設けられてもよいが、以下では便宜上、四角形状を例に挙げて説明する。
【0027】
前記芝保護用二重マットは、芝養生区域、特に駐車場などの大きな荷重が繰り返し作用する芝養生区域に設置されるのに適したものであり、複数の下部マット100と、複数の上部マット200とを含む。以下、理解を容易にするために、前記芝保護用二重マットを下部マット100、上部マット200、及び二重マットの設置に分けて説明する。
【0028】
<下部マット100>
複数の下部マット100は、切芝が敷かれる前に互いに隣接して地面に並べられるものであり、図2ないし図5に示すように、規則的な芝通過孔102を備える四角形状に設けられる。下部マット100の下面は平らに設けられて地面に接するが、こうすることにより、下部マット100は地面から離隔されることなく地面を覆うことになる。
【0029】
下部マット100の上面には、上方に突出する角部用ガイダ132,134が設けられる。角部用ガイダ132,134は、T字状の断面を有して下部マット100の中央に設けられる角部用中央ガイダ132を含み、一文字状の断面を有して角部用中央ガイダ132の幅方向両側に設けられる角部用サイドガイダ134をさらに含む。
【0030】
前記角部用ガイダ132,134の側面には、下部マット100の上面に隣接して置かれる上部マット200の角部が接触する。例えば、図1に示すように、1枚の下部マット100に3枚の上部マット200が隣接して置かれるように二重マットが設置される場合、1枚の下部マット100に全面積の1/2だけ重なるようにまたがる1枚の上部マット200の2つの角部は、2つの角部用サイドガイダ134の側面に接触し、前記1枚の下部マット100に全面積の1/4だけ重なるようにまたがる他の2枚の上部マット200の角部は、角部用中央ガイダ132の側面に接触する。
【0031】
このような角部用ガイダ132,134は、地面に先に設置される下部マット100に切芝が敷かれた状態でも、作業者が視覚的に確認することができる。よって、作業者は、下部マット100に切芝を敷いた後でも、上部マット200の設置位置を角部用ガイダ132,134により容易に把握することができる。
【0032】
下部マット100の上面には、上方に突出する縁部用ガイダ136がさらに設けられる。この場合、縁部用ガイダ136の側面には、隣接する上部マット200の縁部が接触する。図2及び図3には、3つの縁部用ガイダ136が例示されており、2つの縁部用ガイダ136は、角部用中央ガイダ132と角部用サイドガイダ134の間に位置し、1つの縁部用ガイダ136は、角部用中央ガイダ132の長さ方向の一側に位置する。
【0033】
下部マット100には、下部マット100を厚さ方向に貫通する挿入孔132a,134aが設けられている。また、挿入孔132a,134aは、角部用ガイダ132,134に隣接している。例えば、図2及び図3に示すように、角部用ガイダ132,134が、T字状の断面を有する1つの角部用中央ガイダ132と、一文字状の断面を有する2つの角部用サイドガイダ134とを含む場合、角部用中央ガイダ132の2つのコーナーに挿入孔132aが1つずつ設けられ、2つの角部用サイドガイダ134の一側にも挿入孔134aが1つずつ設けられる。
【0034】
前記挿入孔132a,134aには、上部マット200の角部に設けられる挿入柱226が挿入される。図1の例では、1枚の下部マット100に全面積の1/2だけ重なるようにまたがる1枚の上部マット200の2つの角部に設けられる挿入柱226は、2つの角部用サイドガイダ134の一側に位置する挿入孔134aに挿入され、前記1枚の下部マット100に全面積の1/4だけ重なるようにまたがる他の2枚の上部マット200の1つの角部に設けられる挿入柱226は、角部用中央ガイダ132の2つのコーナーに位置する挿入孔132aに挿入される。
【0035】
下部マット100の上面には、複数の第1の水滞留溝122及び複数の第2の水滞留溝124が設けられている。複数の第1の水滞留溝122は、所定の方向(図1における対角線方向)に延び、互いに平行に並べられている。複数の第2の水滞留溝124は、第1の水滞留溝122とは異なる方向に延び、互いに平行に並べられている。このような第1の水滞留溝122と第2の水滞留溝124の交差地点は、X字状に形成される。
【0036】
このような水滞留溝122,124が設けられると、雨水の一部が下部マット100の芝通過孔102から地面に染み込まず、水滞留溝122,124に滞留することになり、滞留した雨水は雨が止んだ後も徐々に切芝の土に染み込むので、切芝の芝が水分を吸収する時間を十分に確保することができる。
【0037】
水滞留溝122,124の両端は、図4の(b)に示すように、下部マット100の縁部110により閉塞されているが、これは、水滞留溝122,124に滞留している水が水滞留溝122,124の両端から流出することを防止するためである。
【0038】
図4の(a)に示すように、第1の水滞留溝122と第2の水滞留溝124の交差地点の少なくとも一部には、下部マット100の上面から上方に突出する複数の突起126が設けられる。ここで、複数の突起126は、1つの交差地点の角部に設けられることが好ましい。図4の(a)には、1つの交差地点の4つの角部に4つの突起126がそれぞれ設けられる例を示している。前記交差地点には上部マット200の内側柱222の下端が挿入されるが、前記突起126により、その内側柱222が下部マット100に対して水平方向に離脱するという問題が確実に防止される。
【0039】
下部マット100の下面には、図2及び図5に示すように、格子をなす複数のリブ142,144が設けられている。前記リブ142,144は、下部マット100の下面から下方に突出する形態であり、下部マット100が地面を覆うと地面の中に位置する。このようなリブ142,144により、下部マット100は、地面上で水平方向に押されず、位置を維持することができる。
【0040】
前記リブ142,144は、縦リブ142と、横リブ144とを含んでもよい。
【0041】
縦リブ142は、下部マット100の長さ方向に沿って延びるが、ここで、縦リブ142の対向する両端のうち一端は、下部マット100の一縁部110の外側に位置し、反対側の他端は、前記一縁部110の反対側に位置する他の縁部110に達しない所に位置する。また、縦リブ142の一端には、下板締結具146aが上方に突出するように設けられ、縦リブ142の反対側の他端と前述した他の縁部110との間に位置する下部マット100の部位には、下板締結具146aと同じ形態の下板締結孔146bが設けられる。
【0042】
よって、いずれかの下部マット100の下板締結具146aを他の下部マット100の下板締結孔146bに挿入するだけで、これら2枚の下部マット100は互いに隣接して結合される。また、このように下部マット100が締結されれば、下部マット100全体において縦リブ142が自動的に一直線をなすので、縦リブ142の一直線配列のために特に注意が必要でないという利点も生じる。
【0043】
前記横リブ144は、下部マット100の幅方向に沿って延びる。図2には1つの横リブ144が2つの角部用サイドガイダ134間で延びるように設けられる例を示しており、前記横リブ144に下板締結具146aが設けられていないが、横リブ144も縦リブ142と同様に、下板締結具146aを備えてもよく、それを複数設けてもよい。
【0044】
前記リブ142,144の下面中央には、図5に示すように、上方に凹んだアーチがリブ142,144の長さ方向に沿って延びるように設けられることが好ましいが、そうするとリブ142,144が地面に食い込みやすくなり、その後は地面の中で水平方向に動きにくくなるという利点が期待される。
【0045】
また、リブ142,144の幅方向に離隔したアーチの両側下端142aは、平らに設けられることが好ましい。リブ142,144が地面に食い込みやすくなるという観点では、アーチの両側下端142aが尖っているほうが有利であるが、そうすると尖ったアーチの両側下端142aが下部マット100の保管、運送及び設置過程で破損するという問題が生じるので、アーチの両側下端142aを平らに設けることにより、それらの問題を防止する。
【0046】
このような下部マット100においては、芝通過孔102の一部を閉塞することにより、下部マット100と地面間の接触面積をさらに広くすることができる。ここで、閉塞する芝通過孔102の数は、芝養生を妨げない程度に、地面の状態に応じて適宜選択されてもよい。下部マット100と地面間の接触面積が大きくなると、下部マット100に大きな荷重が加わっても下部マット100が地中に沈下しにくくなるという利点が期待される。図2には、下部マット100の長さ方向に並んだ3列の芝通過孔102、及び下部マット100の幅方向に並んだ1列の芝通過孔102を閉塞した例を示している。
【0047】
<上部マット200>
上部マット200は、地面に設置される下部マット100の上方に切芝が位置する空間が形成されるように下部マット100の上面に置かれる部材であり、図6ないし図8に示すように、フレーム210と、柱222,224,226とを含む。
【0048】
前記フレーム210は、上部マット200の基本的な枠組を構成する部材であり、四角形の縁部212の内部に複数の規則的な芝通過孔202を備えた形態で設けられている。
【0049】
柱222,224,226は、芝通過孔202が形成されていないフレーム210の下面部位から下方に延びるように設けられる。また、柱222,224,226の一部(222,224)は、上部マット200を設置する際に下部マット100の上面に置かれるが、それら一部の柱222,224により前記フレーム210と下部マット100との間には離隔空間が形成され、その離隔空間が切芝の位置する空間となる。
【0050】
複数の上部マット200は、図1に示すように、隣接する複数の下部マット100にまたがって位置し、互いに隣接して並べられる。例えば、図1に示すように、3枚の下部マット100が地面を覆っている状態で、1枚の上部マット200が3枚の下部マット100の全てにまたがって置かれ、この1枚の上部マット200に隣接するように、他の上部マット200も同様に置かれる。
【0051】
また、上部マット200がこのように置かれたとき、隣接する下部マット100の角部用ガイダ132,134には、フレーム210の角部が接触し、フレーム210は、下部マット100の上方に位置する。図1の例では、1つのフレーム210の4つの角部のうち2つの角部は、1枚の下部マット100の2つの角部用サイドガイダ134の側面に接触し、その4つの角部のうち他の1つの角部は、他の1枚の下部マット100の角部用中央ガイダ132の側面に接触し、その4つの角部のうちさらに他の1つの角部は、さらに他の1枚の下部マット100の角部用中央ガイダ132の側面に接触する。
【0052】
図1には3枚の下部マット100及び1枚の上部マット200のみ示しているが、マット100,200の数がそれより多いことは言うまでもなく、下部マット100に対する上部マット200のこのような相対的な並べ方は、設置される全てのマット100,200に適用される。
【0053】
上部マット200がこのように下部マット100に対して互い違いに配置されると、上部マット200に作用する荷重が隣接する下部マット100に均一に分散するので、隣接する下部マット100の一部が他のものより沈下する現象、すなわち不同沈下現象が下部マット100に発生しなくなる。
【0054】
柱222,224,226は、支持柱222,224と、挿入柱226とを含む。
【0055】
支持柱222,224は、フレーム210から下方に延びるように設けられ、隣接する下部マット100の上面に置かれる下端を有する。これら支持柱222,224は、内側柱222と、縁部柱224とを含む。
【0056】
内側柱222は、芝通過孔202のそれぞれの角部に位置するものであり、図8に示すように、X字状の断面を有する。上部マット200が設置される際に、ほとんどの内側柱222の下端は、下部マット100の第1の水滞留溝122と第2の水滞留溝124の交差地点に置かれる。よって、内側柱222が水滞留溝122,124に挿入された状態となるので、水平方向に押されなくなり、その水平方向に押されることは、前記交差地点の周面に形成される突起126によりさらに確実に防止される。
【0057】
内側柱222のうち他の一部の下端は、下部マット100の隣接境界にまたがって下部マット100の上面に置かれる。よって、内側柱222は、1枚の上部マット200に作用する荷重を、隣接境界を介して下部マット100に分散させる機能も有する。
【0058】
縁部柱224は、フレーム210の縁部212に沿って並べられたものであり、図8に示すように、円形の断面を有し、強度補強のための羽根224aを備える。上部マット200が設置される際に、一部の縁部柱224の下端は、下部マット100の上面に形成される前記交差地点に置かれ、他の縁部柱224の下端は、下部マット100の縁部110に置かれる。
【0059】
挿入柱226は、フレーム210の角部から下方に延びるものであり、図8に示すように、円形の断面を有し、支持柱222,224の長さの約1.5倍の長さに設けられる。また、挿入柱226は、フレーム210の角部に接触する角部用ガイダ132,134に隣接する挿入孔132a,134aに挿入され、地面に打ち込まれる。
【0060】
下部マット100上に切芝を敷いた状態で上部マット200を設置する際に、まず作業者は、相対的に長い挿入柱226の下端を隣接する下部マット100の角部用ガイダ132,134に接触させることにより、上部マット200の設置位置を選定する作業を行うが、その作業を行っている間も、相対的に短い支持柱222,224は、切芝の上方に位置するだけで、切芝に打ち込まれないので、支持柱222,224が切芝に打ち込まれて上部マット200を水平方向に自由に移動させられないという制約がなく、作業者は、上部マット200を水平方向に少しずつ移動させながら非常に便利かつ容易に上部マット200の設置位置を選定することができる。
【0061】
上部マット200の設置位置がこのように選択され、その後、上部マット200を下方に押すと、挿入柱226が挿入孔132a,134aを通過し、次いで地面に打ち込まれる。よって、挿入柱226の長さが相対的に長いと、上部マット200及び下部マット100が地面に臨時に固定されるという利点も生じる。
【0062】
このように上部マット200を全て設置したら、上部マット200及び下部マット100を地面に強固に固定するために、コ字状のペグ(peg,図示せず)を用いる。ここで、上部マット200のフレーム210を下方に加圧するように、コ字状のペグを複数の地点で地面に打ち込むと、上部マット200及び下部マット100が同時に地面に強固に固定される。
【0063】
一方、フレーム210に設けられる芝通過孔202の角部には、図7に示すように、強度補強片204が水平な状態で設けられる。本発明による二重マットが設置された状態で車両が方向転換すると、回転するタイヤによりフレーム210に上下方向の軸を中心とするねじれ外力が作用し、フレーム210の破壊が生じることがあるので、強度補強片204を設けてねじれ外力に対するフレーム210の強度を補強する。
【0064】
<二重マットの設置>
本発明による芝保護用二重マットを設置する場合、まずいずれかの下部マット100の下板締結具146aを他の下部マット100の下板締結孔146bに挿入しながら下部マット100を地面に設置し、その後、下部マット100上に切芝を敷く。
【0065】
その後、上部マット200を下部マット100と互い違いに設置するが、その過程で作業者は、上部マット200を水平方向に少しずつ移動させながら挿入柱226の下端を下部マット100の角部用ガイダ132,134に接触させ、次いで上部マット200を下方に加圧する。上部マット200の下方加圧が完了すると、支持柱222,224が上部マット200の上面に置かれ、挿入柱226が挿入孔132a,134aを通過して地面に打ち込まれる。
【0066】
上部マット200の設置後に、複数のペグで上部マット200及び下部マット100を同時に強固に地面に固定すると、二重マットの設置が完了する。
【0067】
<変形例>
図1においては、隣接する3枚の下部マット100に1枚の上部マット200がまたがる形態で二重マットが設置される。しかしながら、これとは異なり、隣接する4枚の下部マット100に1枚の上部マット200がまたがるように二重マットが設置されてもよい。この場合、図9に示すように、1枚の上部マット200は、全面積の1/4ずつ重なるように4枚の下部マット100にまたがることになる。
【0068】
また、本発明による二重マットが図9に示すように設置される場合、角部用中央ガイダ132は、十字状(図示せず)に設けられて角部用ガイダとして用いられ、角部用サイドガイダ134は、縁部用ガイダとして用いられる。さらに、挿入柱226の挿入のための挿入孔132a,134aは、十字状の角部用中央ガイダ132の4つのコーナーにのみ設けられ、縁部用ガイダとして用いられる角部用サイドガイダ134の一側には設けられなくてもよい。
【0069】
以上のように、本発明を限定的な実施形態及び図面により説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等な範囲内で様々な変更及び変形が可能であり、前述した実施形態を様々に組み合わせることができることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0070】
100 下部マット
102 芝通過孔
110 下部マットの縁部
122 第1の水滞留溝
124 第2の水滞留溝
132 角部用中央ガイダ
134 角部用サイドガイダ
132a,134a 挿入孔
136 縁部用ガイダ
142 縦リブ
142a アーチの両側下端
144 横リブ
146a 下板締結具
146b 下板締結孔
200 上部マット
202 芝通過孔
204 強度補強片
210 フレーム
212 フレームの縁部
222 内側柱(支持柱)
224 縁部柱(支持柱)
226 挿入柱
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9