(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-03
(45)【発行日】2023-02-13
(54)【発明の名称】新たな結晶形態の血管漏出ブロッカー化合物
(51)【国際特許分類】
C07J 17/00 20060101AFI20230206BHJP
A61K 31/575 20060101ALI20230206BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20230206BHJP
A61P 3/06 20060101ALI20230206BHJP
A61P 9/04 20060101ALI20230206BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20230206BHJP
A61P 9/12 20060101ALI20230206BHJP
A61P 11/08 20060101ALI20230206BHJP
A61P 27/06 20060101ALI20230206BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20230206BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20230206BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230206BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20230206BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20230206BHJP
【FI】
C07J17/00 CSP
A61K31/575
A61P1/04
A61P3/06
A61P9/04
A61P9/10 101
A61P9/12
A61P11/08
A61P27/06
A61P27/02
A61P29/00
A61P35/00
A61P37/02
A61P3/10
A61P9/10
(21)【出願番号】P 2021542132
(86)(22)【出願日】2020-10-05
(86)【国際出願番号】 KR2020013505
(87)【国際公開番号】W WO2021225233
(87)【国際公開日】2021-11-11
【審査請求日】2021-07-20
(31)【優先権主張番号】10-2020-0053232
(32)【優先日】2020-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520473960
【氏名又は名称】キュラクル カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CURACLE CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】23-1 Hyoryeong-ro, Seocho-gu, Seoul 06694, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アン・グヒョン
(72)【発明者】
【氏名】キム・ミョンファ
(72)【発明者】
【氏名】ピョ・ジョンイン
(72)【発明者】
【氏名】ベク・チョルス
(72)【発明者】
【氏名】キム・ソンファ
【審査官】小森 潔
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-509401(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1481709(KR,B1)
【文献】STAHLY,P.,医薬品の塩選択,結晶多形のスクリーニングの重要性について,薬剤学,2006年,Vol.66,No.6,p.435-439
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07J
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線粉末回折パターンにおいて以下の2θ回折角:
16.0°±0.2°、19.5°±0.2°、18.3°±0.2°、15.1°±0.2°、21.9°±0.2°のピークを有する、(E)-メチル6-((3S,8S,9S,10R,13S,14S,17R)-3-(((2S,5S,6R)-5-アセトキシ-6-(アセトキシメチル)-5,6-ジヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-オキシ)-10,13-ジメチル-2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17-テトラデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-17-イル)ヘプト-5-エノエートの結晶形態Iの結晶。
【請求項2】
前記結晶形態が、以下の2θ回折角:
10.7°±0.2°、8.9°±0.2°、17.8°±0.2°、21.3°±0.2°、17.2°±0.2°のピークを更に含む、請求項
1に記載の結
晶。
【請求項3】
前記結晶形態が、以下の2θ回折角:
14.1゜±0.2゜、20.5゜±0.2゜、11.7゜±0.2゜のピークを更に含む、請求項
2に記載の結
晶。
【請求項4】
前記結晶形態が、以下の2θ回折角:
24.0゜±0.2゜、24.6゜±0.2゜、26.1゜±0.2゜のピークを更に含む、請求項
3に記載の結
晶。
【請求項5】
X線粉末回折パターンにおいて以下の2θ回折角:
17.3゜±0.2゜、11.4゜±0.2゜、35.2゜±0.2゜、19.0゜±0.2゜、15.3゜±0.2゜、5.7゜±0.2゜のピークを有する、(E)-メチル6-((3S,8S,9S,10R,13S,14S,17R)-3-(((2S,5S,6R)-5-アセトキシ-6-(アセトキシメチル)-5,6-ジヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-オキシ)-10,13-ジメチル-2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17-テトラデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-17-イル)ヘプト-5-エノエートの結晶形態II
の結晶。
【請求項6】
X線粉末回折パターンにおいて以下の2θ回折角:
15.6゜±0.2゜、18.2゜±0.2゜、14.4゜±0.2゜、24.6゜±0.2゜、16.9゜±0.2゜、17.2゜±0.2゜のピークを有する、(E)-メチル6-((3S,8S,9S,10R,13S,14S,17R)-3-(((2S,5S,6R)-5-アセトキシ-6-(アセトキシメチル)-5,6-ジヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-オキシ)-10,13-ジメチル-2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17-テトラデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-17-イル)ヘプト-5-エノエートの結晶形態III
の結晶。
【請求項7】
X線粉末回折パターンにおいて以下の2θ回折角:
15.3゜±0.2゜、22.4゜±0.2゜、17.2゜±0.2゜、36.5゜±0.2゜、24.8゜±0.2゜、22.7゜±0.2゜、11.7゜±0.2゜、18.5゜±0.2゜、21.8゜±0.2゜、23.8゜±0.2゜、16.3゜±0.2゜、17.6゜±0.2゜のピークを有する、(E)-メチル6-((3S,8S,9S,10R,13S,14S,17R)-3-(((2S,5S,6R)-5-アセトキシ-6-(アセトキシメチル)-5,6-ジヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-オキシ)-10,13-ジメチル-2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17-テトラデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-17-イル)ヘプト-5-エノエートの結晶形態IV
の結晶。
【請求項8】
X線粉末回折パターンにおいて以下の2θ回折角:
23.8゜±0.2゜、16.2゜±0.2゜、17.4゜±0.2゜、35.3゜±0.2゜、26.0゜±0.2゜、36.6゜±0.2゜、22.2゜±0.2゜、20.7゜±0.2゜のピークを有する、(E)-メチル6-((3S,8S,9S,10R,13S,14S,17R)-3-(((2S,5S,6R)-5-アセトキシ-6-(アセトキシメチル)-5,6-ジヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-オキシ)-10,13-ジメチル-2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17-テトラデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-17-イル)ヘプト-5-エノエートの結晶形態V
の結晶。
【請求項9】
請求項1~
8のいずれか一項に記載
の結晶を含む、血管漏出疾患の予防又は治療に使用される医薬組成物。
【請求項10】
前記血管漏出疾患は、糖尿病、炎症、網膜症、糖尿病性網膜症、黄斑変性症、緑内障、狭窄症、再狭窄症、動脈硬化症、アテローム性動脈硬化症、脳浮腫、関節炎、関節症、ブドウ膜炎、炎症性腸疾患、黄斑浮腫、癌
、遺伝性血管浮腫(HAE)、高脂血症、虚血性疾患、糖尿病性足潰瘍、肺高血圧症、急性肺損傷、心筋虚血症、心不全、急性下肢虚血症、心筋梗塞、脳卒中、虚血性若しくは再潅流障害、血管漏出症候群(VLS)、浮腫、移植拒絶、火傷、急性若しくは成人性呼吸窮迫症候群(ARDS)、敗血症、又は自己免疫疾患である、請求項
9に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な結晶形態の血管漏出ブロッカー化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
式1で表される化合物は、化合物名(E)-メチル6-((3S,8S,9S,10R,13S,14S,17R)-3-(((5S,6R)-5-アセトキシ-6-(アセトキシメチル)-5,6-ジヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)-10,13-ジメチル-2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17-テトラデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-17-イル)ヘプト-5-エノエート、及び特許文献1にコード名SAC-1004で開示される化合物である。
【化1】
【0003】
上記化合物は血管内皮細胞の死を阻害し、VEGFによって誘導されるアクチンストレス線維の形成を抑制し、皮質アクチンリングの構造を増加させ、血管細胞間のTJ(密着結合)の安定性を向上させ、それによって血管漏出を阻害する。該化合物は血管の透過性を阻害するだけでなく、損傷した血管の完全性を回復させる優れた活性を有する。そのため、該化合物は、血管漏出によって引き起こされる様々な疾患の予防又は治療に効果的に使用され得ることが知られている。
【0004】
特許文献2は、式1の化合物の立体異性体を分離及び量産し、高収率で該化合物を作製することができる新たな化学作製方法を開示する。
【0005】
一方、多形は、同じ分子構造を持つが、結晶の充填及び分子の立体構造の変化によってその結晶構造が変化している結晶性固体を指す。
【0006】
良好な結晶形態を選択するための基準は、薬物に必要とされる最も重要な物理化学的特性によるものである。最適化された結晶形態の選択は、熱力学的に最も安定したものを選択すること、医薬品原料及び完成品の製造に最適化されたものを選択すること、薬物の溶解度及び溶解速度を改善すること、又は薬物動態特性を変化させること等、目的に応じて変化し得る。
【0007】
したがって、本発明者らは、(E)-メチル6-((3S,8S,9S,10R,13S,14S,17R)-3-(((5S,6R)-5-アセトキシ-6-(アセトキシメチル)-5,6-ジヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-オキシ)-10,13-ジメチル-2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17-テトラデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-17-イル)ヘプト-5-エノエートの第1の結晶形態、その作製方法、及び新規な結晶形態の物理化学的特性を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】韓国公開特許第10-2011-0047170号
【文献】韓国特許出願第10-2019-0166864号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、化合物(E)-メチル6-((3S,8S,9S,10R,13S,14S,17R)-3-(((5S,6R)-5-アセトキシ-6-(アセトキシメチル)-5,6-ジヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-オキシ)-10,13-ジメチル-2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17-テトラデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-17-イル)ヘプト-5-エノエートの新規な結晶形態を提供することである。
【0010】
本発明の別の目的は、上記化合物の新規な結晶形態を含む血管漏出ブロッカーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
これらの目的を達成するため、本発明の1つの態様では、本発明は、(E)-メチル6-((3S,8S,9S,10R,13S,14S,17R)-3-(((5S,6R)-5-アセトキシ-6-(アセトキシメチル)-5,6-ジヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-オキシ)-10,13-ジメチル-2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17-テトラデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-17-イル)ヘプト-5-エノエートで表される化合物のα-異性体の割合が85%以上であり、固体状態であることを特徴とする化合物を提供する。
【0012】
本発明の別の態様では、本発明は、(E)-メチル6-((3S,8S,9S,10R,13S,14S,17R)-3-(((2S,5S,6R)-5-アセトキシ-6-(アセトキシメチル)-5,6-ジヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)-10,13-ジメチル-2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17-テトラデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-17-イル)ヘプト-5-エノエートで表される化合物を提供する。
【0013】
本発明の一態様では、本発明は、X線粉末回折パターンにおいて以下の2θ回折角:
16.0゜±0.2゜、19.5゜±0.2゜、18.3゜±0.2゜、15.1゜±0.2゜、21.9゜±0.2゜のピークを有する、(E)-メチル6-((3S,8S,9S,10R,13S,14S,17R)-3-(((5S,6R)-5-アセトキシ-6-(アセトキシメチル)-5,6-ジヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-オキシ)-10,13-ジメチル-2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17-テトラデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-17-イル)ヘプト-5-エノエートの結晶形態Iを提供する。
【0014】
本発明の別の態様では、本発明は、X線粉末回折パターンにおいて以下の2θ回折角:
17.3゜±0.2゜、11.4゜±0.2゜、35.2゜±0.2゜、19.0゜±0.2゜、15.3゜±0.2゜、5.7゜±0.2゜のピークを有する、(E)-メチル6-((3S,8S,9S,10R,13S,14S,17R)-3-(((5S,6R)-5-アセトキシ-6-(アセトキシメチル)-5,6-ジヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-オキシ)-10,13-ジメチル-2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17-テトラデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-17-イル)ヘプト-5-エノエートの結晶形態IIを提供する。
【0015】
本発明の別の態様では、本発明は、X線粉末回折パターンにおいて以下の2θ回折角:
15.6゜±0.2゜、18.2゜±0.2゜、14.4゜±0.2゜、24.6゜±0.2゜、16.9゜±0.2゜、17.2゜±0.2゜のピークを有する、(E)-メチル6-((3S,8S,9S,10R,13S,14S,17R)-3-(((5S,6R)-5-アセトキシ-6-(アセトキシメチル)-5,6-ジヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-オキシ)-10,13-ジメチル-2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17-テトラデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-17-イル)ヘプト-5-エノエートの結晶形態IIIを提供する。
【0016】
本発明の別の態様では、本発明は、X線粉末回折パターンにおいて以下の2θ回折角:
15.3゜±0.2゜、22.4゜±0.2゜、17.2゜±0.2゜、36.5゜±0.2゜、24.8゜±0.2゜、22.7゜±0.2゜、11.7゜±0.2゜、18.5゜±0.2゜、21.8゜±0.2゜、23.8゜±0.2゜、16.3゜±0.2゜、17.6゜±0.2゜のピークを有する、(E)-メチル6-((3S,8S,9S,10R,13S,14S,17R)-3-(((5S,6R)-5-アセトキシ-6-(アセトキシメチル)-5,6-ジヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-オキシ)-10,13-ジメチル-2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17-テトラデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-17-イル)ヘプト-5-エノエートの結晶形態IVを提供する。
【0017】
本発明の別の態様では、本発明は、X線粉末回折パターンにおいて以下の2θ回折角:
23.8゜±0.2゜、16.2゜±0.2゜、17.4゜±0.2゜、35.3゜±0.2゜、26.0゜±0.2゜、36.6゜±0.2゜、22.2゜±0.2゜、20.7゜±0.2°のピークを有する、(E)-メチル6-((3S,8S,9S,10R,13S,14S,17R)-3-(((5S,6R)-5-アセトキシ-6-(アセトキシメチル)-5,6-ジヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-オキシ)-10,13-ジメチル-2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17-テトラデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-17-イル)ヘプト-5-エノエートの結晶形態Vを提供する。
【0018】
本発明の別の態様では、本発明は、上記化合物及び(E)-メチル6-((3S,8S,9S,10R,13S,14S,17R)-3-(((5S,6R)-5-アセトキシ-6-(アセトキシメチル)-5,6-ジヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)-10,13-ジメチル-2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17-テトラデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-17-イル)ヘプト-5-エノエートの新規な結晶形態I~結晶形態Vのいずれか1つを含む血管漏出疾患を予防又は治療するための医薬組成物を提供する。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、(E)-メチル6-((3S,8S,9S,10R,13S,14S,17R)-3-(((5S,6R)-5-アセトキシ-6-(アセトキシメチル)-5,6-ジヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-オキシ)-10,13-ジメチル-2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17-テトラデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-17-イル)ヘプト-5-エノエートの新規な結晶形態(この化合物は式1で表される)、及びその作製方法を提供する。新規な結晶形態は、高純度で、安定性に優れ、長期保存性及び薬学的安定性に優れ、血管漏出ブロッカーとして使用することができるため、高品質の薬剤物質を製造する上で非常に有利である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】調製例1において調製された化合物1のα-異性体及びβ-異性体の構造を確認するNMR分析の結果、並びにα-異性体及びβ異性体の立体化学構造を示す図である。
【
図2】実施例1による結晶形態IのX線粉末回折(XRPD)の結果を示すグラフである。
【
図3】実施例1による結晶形態Iの示差走査熱量測定(DSC)の結果を示すグラフである。
【
図4】実施例1による結晶形態Iの熱重量分析(TGA)の結果を示すグラフである。
【
図5】実施例1による結晶形態Iの動的蒸気吸着(DVS)の結果を示すグラフである。
【
図6】偏光顕微鏡(PLM)で撮影した実施例1による結晶形態Iの写真である。
【
図7】実施例2による結晶形態IIのX線粉末回折(XRPD)の結果を示すグラフである。
【
図8】MEK(30mg、50mg)又はクロロホルム(50mg)の溶媒で調製された実施例3による結晶形態IIIのX線粉末回折(XRPD)の結果を示すグラフである。
【
図9】実施例4による結晶形態IVと結晶形態Iとを比較したX線粉末回折(XRPD)の結果を示すグラフである。
【
図10】実施例5による結晶形態Vと結晶形態Iとを比較したX線粉末回折(XRPD)の結果を示すグラフである。
【
図11】実施例6及び実施例7による結晶形態VI及び結晶形態VIIと結晶形態I及び結晶形態IVとを比較したX線粉末回折(XRPD)の結果を示すグラフである。
【
図12】実施例8及び実施例9による結晶形態VIII及び結晶形態IXと結晶形態I及び結晶形態Vとを比較したX線粉末回折(XRPD)の結果を示すグラフである。
【
図13】実施例10による結晶形態Xと結晶形態I及び結晶形態VIとを比較したX線粉末回折(XRPD)の結果を示すグラフである。
【
図14】実施例11による結晶形態XIと結晶形態I及び結晶形態Vとを比較したX線粉末回折(XRPD)の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明を詳細に説明する。
【0022】
本発明の実施形態を種々の他の形態に改変することができ、本発明の範囲は、後述する実施形態に限定されない。本発明をより正確に説明するために本発明の実施形態が与えられることは、この分野に関する平均的な知識を有する当業者によって十分に理解される。さらに、本明細書全体を通して要素の「包含、含むこと」は、具体的に明記されていない限り、他の要素を除外せず、他の要素を含む場合がある。
【0023】
【化2】
(E)-メチル6-((3S,8S,9S,10R,13S,14S,17R)-3-(((5S,6R)-5-アセトキシ-6-(アセトキシメチル)-5,6-ジヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)-10,13-ジメチル-2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17-テトラデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-17-イル)ヘプト-5-エノエート
【0024】
このとき、式1の化合物の2つの立体化学構造のうち、結晶形態を示す構造は、(E)-メチル6-((3S,8S,9S,10R,13S,14S,17R)-3-(((2S,5S,6R)-5-アセトキシ-6-(アセトキシメチル)-5,6-ジヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-オキシ)-10,13-ジメチル-2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17-テトラデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-17-イル)ヘプト-5-エノエートである。
【0025】
本発明の1つの態様では、本発明は、(E)-メチル6-((3S,8S,9S,10R,13S,14S,17R)-3-(((5S,6R)-5-アセトキシ-6-(アセトキシメチル)-5,6-ジヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-オキシ)-10,13-ジメチル-2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17-テトラデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-17-イル)ヘプト-5-エノエートで表される化合物のα-異性体の比率が85%以上であり、固体状態であることを特徴とする化合物を提供する。
【0026】
このとき、α-異性体の比率は87%以上、89%以上、90%以上、92%以上、95%以上、98%以上、又は99%以上とすることができる。
【0027】
本発明の別の態様では、本発明は、(E)-メチル6-((3S,8S,9S,10R,13S,14S,17R)-3-(((2S,5S,6R)-5-アセトキシ-6-(アセトキシメチル)-5,6-ジヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)-10,13-ジメチル-2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17-テトラデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-17-イル)ヘプト-5-エノエートで表される化合物を提供する。
【0028】
本発明の別の態様では、本発明は、X線粉末回折パターン(XRPD)において、16.0゜±0.2゜、19.5゜±0.2゜、18.3゜±0.2゜、15.1゜±0.2゜、及び21.9゜±0.2゜の2θ回折角のピークを有する、(E)-メチル6-((3S,8S,9S,10R,13S,14S,17R)-3-(((2S,5S,6R)-5-アセトキシ-6-(アセトキシメチル)-5,6-ジヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-オキシ)-10,13-ジメチル-2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17-テトラデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-17-イル)ヘプト-5-エノエートで表される化合物の新規な結晶形態Iを提供する。
【0029】
このとき、結晶形態Iは、10.7°±0.2°、8.9°±0.2°、17.8°±0.2°、21.3°±0.2°、及び17.2°±0.2°の2θ回折角のピークを更に含み得る。
【0030】
さらに、結晶形態Iは、14.1°±0.2°、20.5°±0.2°、及び11.7°±0.2°の2θ回折角のピークを更に含み得る。
【0031】
さらに、結晶形態Iは、24.0°±0.2°、24.6°±0.2°、及び26.1°±0.2°の2θ回折角のピークを含み得る。あるいは、結晶形態Iは、24.0°±0.2°、24.6°±0.2°、及び26.1°±0.2°の2θ回折角のピークを更に含み得る。
【0032】
例えば、結晶形態Iは、相対強度(I/I0)10%以上を有する、8.9°±0.2°、10.7°±0.2°、11.7°±0.2°、14.1°±0.2°、15.1°±0.2°、16.0°±0.2°、17.2°±0.2°、17.8°±0.2°、18.3°±0.2°、19.5°±0.2°、20.5°±0.2°、21.3°±0.2°、21.9°±0.2°、24.0°±0.2°、24.6°±0.2°、及び26.1°±0.2°の2θ回折角の特徴的なピークを有する結晶形態であり得る。
【0033】
さらに、本発明は、示差走査熱量測定(DSC)において100.96℃±3℃の吸熱ピークを示す新規な結晶形態を提供する。
【0034】
本発明の一態様では、本発明は、X線粉末回折パターン(XRPD)において17.3°±0.2°、11.4°±0.2°、35.2°±0.2°、19.0°±0.2°、15.3°±0.2°、及び5.7°±0.2°の2θ回折角のピークを有する(E)-メチル6-((3S,8S,9S,10R,13S,14S,17R)-3-(((2S,5S,6R)-5-アセトキシ-6-(アセトキシメチル)-5,6-ジヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)-10,13-ジメチル-2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17-テトラデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-17-イル)ヘプト-5-エノエートで表される化合物の新規な結晶形態IIを提供する。
【0035】
本発明の一態様では、本発明は、X線粉末回折パターン(XRPD)において15.6゜±0.2゜、18.2゜±0.2゜、14.4゜±0.2゜、24.6゜±0.2゜、16.9゜±0.2゜、及び17.2゜±0.2゜の2θ回折角のピークを有する(E)-メチル6-((3S,8S,9S,10R,13S,14S,17R)-3-(((2S,5S,6R)-5-アセトキシ-6-(アセトキシメチル)-5,6-ジヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)-10,13-ジメチル-2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17-テトラデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-17-イル)ヘプト-5-エノエートで表される化合物の新規な結晶形態IIIを提供する。
【0036】
このとき、結晶形態IIIは、8.5゜±0.2゜、24.3゜±0.2゜、15.0゜±0.2゜、3.5゜±0.2゜、9.3゜±0.2゜、20.6゜±0.2゜、9.0゜±0.2゜、24.0゜±0.2゜、20.9゜±0.2゜、及び20.7゜±0.2゜の2θ回折角のピークを更に含み得る。
【0037】
例えば、結晶形態IIIは、相対強度(I/I0)10%以上を有する、3.5゜±0.2゜、8.5゜±0.2゜、9.0゜±0.2゜、9.3゜±0.2゜、14.4゜±0.2゜、15.0゜±0.2゜、15.6゜±0.2゜、16.9゜±0.2゜、17.2゜±0.2゜、18.2゜±0.2゜、20.6゜±0.2゜、20.7゜±0.2゜、20.9゜±0.2゜、24.0゜±0.2゜、24.3゜±0.2゜、及び24.6゜±0.2゜の2θ回折角の特徴的なピークを有する結晶形態であり得る。
【0038】
本発明の一態様では、本発明は、X線粉末回折パターン(XRPD)において15.3゜±0.2゜、22.4゜±0.2゜、17.2゜±0.2゜、36.5゜±0.2゜、24.8゜±0.2゜、22.7゜±0.2゜、11.7゜±0.2゜、18.5゜±0.2゜、21.8゜±0.2゜、23.8゜±0.2゜、16.3゜±0.2゜、及び17.6゜±0.2゜の2θ回折角のピークを有する(E)-メチル6-((3S,8S,9S,10R,13S,14S,17R)-3-(((2S,5S,6R)-5-アセトキシ-6-(アセトキシメチル)-5,6-ジヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)-10,13-ジメチル-2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17-テトラデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-17-イル)ヘプト-5-エノエートで表される化合物の新規な結晶形態IVを提供する。
【0039】
このとき、結晶形態IVは、26.5゜±0.2゜、19.6゜±0.2゜、19.1゜±0.2゜、16.6゜±0.2゜、23.4゜±0.2゜、11.5゜±0.2゜、18.8゜±0.2゜、35.2゜±0.2゜、15.6゜±0.2゜、18.0゜±0.2゜、20.1゜±0.2゜、34.7゜±0.2゜、47.1゜±0.2゜、10.8゜±0.2゜、5.9゜±0.2゜、及び14.3゜±0.2゜の2θ回折角のピークを更に含み得る。
【0040】
例えば、結晶形態IVは、相対強度(I/I0)10%以上を有する、5.9゜±0.2゜、10.8゜±0.2゜、11.5゜±0.2゜、11.7゜±0.2゜、14.3゜±0.2゜、15.3゜±0.2゜、15.6゜±0.2゜、16.3゜±0.2゜、16.6゜±0.2゜、17.2゜±0.2゜、17.6゜±0.2゜、18.0゜±0.2゜、18.5゜±0.2゜、18.8゜±0.2゜、19.1゜±0.2゜、19.6゜±0.2゜、20.1゜±0.2゜、21.8゜±0.2゜、22.4゜±0.2゜、22.7゜±0.2゜、23.4゜±0.2゜、23.8゜±0.2゜、24.8゜±0.2゜、26.5゜±0.2゜、34.7゜±0.2゜、35.2゜±0.2゜、36.5゜±0.2゜、及び47.1゜±0.2゜の2θ回折角の特徴的なピークを有する結晶形態であり得る。
【0041】
本発明の一態様では、本発明は、X線粉末回折パターン(XRPD)において23.8゜±0.2゜、16.2゜±0.2゜、17.4゜±0.2゜、35.3゜±0.2゜、26.0゜±0.2゜、36.6゜±0.2゜、22.2゜±0.2゜、及び20.7゜±0.2゜の2θ回折角のピークを有する(E)-メチル6-((3S,8S,9S,10R,13S,14S,17R)-3-(((2S,5S,6R)-5-アセトキシ-6-(アセトキシメチル)-5,6-ジヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)-10,13-ジメチル-2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17-テトラデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-17-イル)ヘプト-5-エノエートで表される化合物の新規な結晶形態Vを提供する。
【0042】
このとき、結晶形態Vは、17.7゜±0.2゜、18.6゜±0.2゜、11.5゜±0.2゜、15.1゜±0.2゜、15.4゜±0.2゜、19.0゜±0.2゜、19.4゜±0.2゜、21.8゜±0.2゜、21.6゜±0.2゜、22.9゜±0.2゜、36.0゜±0.2゜、30.1゜±0.2゜、18.4゜±0.2゜、23.3゜±0.2゜、37.5゜±0.2゜、及び11.8゜±0.2゜の2θ回折角のピークを更に含み得る。
【0043】
例えば、結晶形態Vは、相対強度(I/I0)10%以上を有する、11.5゜±0.2゜、11.8゜±0.2゜、15.1゜±0.2゜、15.4゜±0.2゜、16.2゜±0.2゜、17.4゜±0.2゜、17.7゜±0.2゜、18.4゜±0.2゜、18.6゜±0.2゜、19.0゜±0.2゜、19.4゜±0.2゜、20.7゜±0.2゜、21.6゜±0.2゜、21.8゜±0.2゜、22.2゜±0.2゜、22.9゜±0.2゜、23.3゜±0.2゜、23.8゜±0.2゜、26.0゜±0.2゜、30.1゜±0.2゜、35.3゜±0.2゜、36.0゜±0.2゜、36.6゜±0.2゜、及び37.5゜±0.2゜の2θ回折角の特徴的なピークを有する結晶形態であり得る。
【0044】
本発明の一態様では、本発明は、X線粉末回折パターン(XRPD)において17.3゜±0.2゜、15.2゜±0.2゜、及び11.5゜±0.2゜の2θ回折角のピークを有する(E)-メチル6-((3S,8S,9S,10R,13S,14S,17R)-3-(((2S,5S,6R)-5-アセトキシ-6-(アセトキシメチル)-5,6-ジヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)-10,13-ジメチル-2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17-テトラデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-17-イル)ヘプト-5-エノエートで表される化合物の新規な結晶形態VIを提供する。
【0045】
このとき、結晶形態VIは、16.2゜±0.2゜、21.6゜±0.2゜、36.1゜±0.2゜、23.2゜±0.2゜、19.6゜±0.2゜、22.0゜±0.2゜、17.6゜±0.2゜、及び18.5゜±0.2゜の2θ回折角のピークを更に含み得る。
【0046】
例えば、結晶形態VIは、相対強度(I/I0)10%以上を有する、11.5゜±0.2゜、15.2゜±0.2゜、16.2゜±0.2゜、17.3゜±0.2゜、17.6゜±0.2゜、18.5゜±0.2゜、19.6゜±0.2゜、21.6゜±0.2゜、22.0゜±0.2゜、23.2゜±0.2゜、及び36.1゜±0.2゜の2θ回折角の特徴的なピークを有する結晶形態であり得る。
【0047】
本発明の一態様では、本発明は、X線粉末回折パターン(XRPD)において15.2゜±0.2゜、19.6゜±0.2゜、18.5゜±0.2゜、18.3゜±0.2゜、17.2゜±0.2゜、10.8゜±0.2゜、21.8゜±0.2゜、11.7゜±0.2゜、18.1゜±0.2゜、19.0゜±0.2゜、及び16.0゜±0.2゜の2θ回折角のピークを有する(E)-メチル6-((3S,8S,9S,10R,13S,14S,17R)-3-(((2S,5S,6R)-5-アセトキシ-6-(アセトキシメチル)-5,6-ジヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)-10,13-ジメチル-2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17-テトラデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-17-イル)ヘプト-5-エノエートで表される化合物の新規な結晶形態VIIを提供する。
【0048】
このとき、結晶形態VIIは、26.0゜±0.2゜、28.5゜±0.2゜、21.3゜±0.2゜、24.6゜±0.2゜、30.3゜±0.2゜、23.0゜±0.2゜、31.4゜±0.2゜、20.4゜±0.2゜、14.3゜±0.2゜、33.4゜±0.2゜、23.3゜±0.2゜、9.0゜±0.2゜、25.8゜±0.2゜、32.3゜±0.2゜、11.4゜±0.2゜、8.7゜±0.2゜、40.7゜±0.2゜、36.4゜±0.2゜、12.6゜±0.2゜、49.1゜±0.2゜、34.6゜±0.2゜、37.6゜±0.2゜、及び24.2゜±0.2゜の2θ回折角のピークを更に含み得る。
【0049】
例えば、結晶形態VIIは、相対強度(I/I0)10%以上を有する、8.7゜±0.2゜、9.0゜±0.2゜、10.8゜±0.2゜、11.4゜±0.2゜、11.7゜±0.2゜、12.6゜±0.2゜、14.3゜±0.2゜、15.2゜±0.2゜、16.0゜±0.2゜、17.2゜±0.2゜、18.1゜±0.2゜、18.3゜±0.2゜、18.5゜±0.2゜、19.0゜±0.2゜、19.6゜±0.2゜、20.4゜±0.2゜、21.3゜±0.2゜、21.8゜±0.2゜、23.0゜±0.2゜、23.3゜±0.2゜、24.2゜±0.2゜、24.6゜±0.2゜、25.8゜±0.2゜、26.0゜±0.2゜、28.5゜±0.2゜、30.3゜±0.2゜、31.4゜±0.2゜、32.3゜±0.2゜、33.4゜±0.2゜、34.6゜±0.2゜、36.4゜±0.2゜、37.6゜±0.2゜、40.7゜±0.2゜、及び49.1゜±0.2゜の2θ回折角の特徴的なピークを有する結晶形態であり得る。
【0050】
本発明の一態様では、本発明は、X線粉末回折パターン(XRPD)において22.4゜±0.2゜及び20.5゜±0.2゜の2θ回折角のピークを有する(E)-メチル6-((3S,8S,9S,10R,13S,14S,17R)-3-(((2S,5S,6R)-5-アセトキシ-6-(アセトキシメチル)-5,6-ジヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)-10,13-ジメチル-2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17-テトラデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-17-イル)ヘプト-5-エノエートで表される化合物の新規な結晶形態VIIIを提供する。
【0051】
このとき、結晶形態VIIIは、16.3゜±0.2゜、18.0゜±0.2゜、18.9゜±0.2゜、19.6゜±0.2゜、21.6゜±0.2、及び36.1゜±0.2の2θ回折角のピークを更に含み得る。
【0052】
例えば、結晶形態VIIIは、相対強度(I/I0)10%以上を有する、16.3゜±0.2゜、18.0゜±0.2゜、18.9゜±0.2゜、19.6゜±0.2゜、20.5゜±0.2゜、21.6゜±0.2゜、22.4゜±0.2゜、及び36.1゜±0.2゜の2θ回折角の特徴的なピークを有する結晶形態であり得る。
【0053】
本発明の一態様では、本発明は、X線粉末回折パターン(XRPD)において18.2゜±0.2゜、17.3゜±0.2゜、11.5゜±0.2゜、18.8゜±0.2゜、26.0゜±0.2゜、19.5゜±0.2゜、及び16.0゜±0.2゜の2θ回折角のピークを有する(E)-メチル6-((3S,8S,9S,10R,13S,14S,17R)-3-(((2S,5S,6R)-5-アセトキシ-6-(アセトキシメチル)-5,6-ジヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)-10,13-ジメチル-2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17-テトラデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-17-イル)ヘプト-5-エノエートで表される化合物の新規な結晶形態IXを提供する。
【0054】
このとき、結晶形態IXは、35.2゜±0.2゜、34.1゜±0.2゜、20.1゜±0.2゜、24.6゜±0.2゜、21.8゜±0.2゜、23.2゜±0.2゜、14.9゜±0.2゜、11.7゜±0.2゜、34.5゜±0.2゜、31.3゜±0.2゜、37.0゜±0.2゜、27.8゜±0.2゜、28.6゜±0.2゜、14.2゜±0.2゜、33.1゜±0.2゜、5.5゜±0.2゜、37.5゜±0.2゜、8.9゜±0.2゜、及び12.4゜±0.2°の2θ回折角のピークを更に含み得る。
【0055】
例えば、結晶形態IXは、相対強度(I/I0)10%以上を有する、5.5゜±0.2゜、8.9゜±0.2゜、11.5゜±0.2゜、11.7゜±0.2゜、12.4゜±0.2゜、14.2゜±0.2゜、14.9゜±0.2゜、16.0゜±0.2゜、17.3゜±0.2゜、18.2゜±0.2゜、18.8゜±0.2゜、19.5゜±0.2゜、20.1゜±0.2゜、21.8゜±0.2゜、23.2゜±0.2゜、24.6゜±0.2゜、26.0゜±0.2゜、27.8゜±0.2゜、28.6゜±0.2゜、31.3゜±0.2゜、33.1゜±0.2゜、34.1゜±0.2゜、34.5゜±0.2゜、35.2゜±0.2゜、37.0゜±0.2゜、及び37.5゜±0.2゜の2θ回折角の特徴的なピークを有する結晶形態であり得る。
【0056】
本発明の一態様では、本発明は、X線粉末回折パターン(XRPD)において18.6゜±0.2゜、21.9゜±0.2゜、19.8゜±0.2゜、17.2゜±0.2゜、17.4゜±0.2゜、19.1゜±0.2゜、15.4゜±0.2゜、及び28.9゜±0.2゜の2θ回折角のピークを有する(E)-メチル6-((3S,8S,9S,10R,13S,14S,17R)-3-(((2S,5S,6R)-5-アセトキシ-6-(アセトキシメチル)-5,6-ジヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)-10,13-ジメチル-2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17-テトラデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-17-イル)ヘプト-5-エノエートで表される化合物の新規な結晶形態Xを提供する。
【0057】
このとき、結晶形態Xは、11.5゜±0.2゜、36.1゜±0.2゜、17.8゜±0.2゜、24.8゜±0.2゜、及び31.6゜±0.2゜の2θ回折角のピークを更に含み得る。
【0058】
例えば、結晶形態Xは、相対強度(I/I0)10%以上を有する、11.5゜±0.2゜、15.4゜±0.2゜、17.2゜±0.2゜、17.4゜±0.2゜、17.8゜±0.2゜、18.6゜±0.2゜、19.1゜±0.2゜、19.8゜±0.2゜、21.9゜±0.2゜、24.8゜±0.2゜、28.9゜±0.2゜、31.6゜±0.2゜、及び36.1゜±0.2゜の2θ回折角の特徴的なピークを有する結晶形態であり得る。
【0059】
本発明の一態様では、本発明は、X線粉末回折パターン(XRPD)において15.0゜±0.2゜、19.3゜±0.2゜、21.8゜±0.2゜、18.2゜±0.2゜、17.3゜±0.2゜、及び35.0゜±0.2゜の2θ回折角のピークを有する(E)-メチル6-((3S,8S,9S,10R,13S,14S,17R)-3-(((2S,5S,6R)-5-アセトキシ-6-(アセトキシメチル)-5,6-ジヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)-10,13-ジメチル-2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17-テトラデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-17-イル)ヘプト-5-エノエートで表される化合物の新規な結晶形態XIを提供する。
【0060】
本発明の別の態様では、本発明は、上記化合物及び該化合物の新規な結晶形態I~結晶形態Vのいずれか1つを含む血管漏出疾患を予防又は治療するための医薬組成物を提供する。あるいは、本発明は、上記化合物の結晶形態I~結晶形態XIのいずれか1つを含む血管漏出疾患を予防又は治療するための医薬組成物を提供する。
【0061】
このとき、血管漏出疾患は、糖尿病、炎症、網膜症、糖尿病性網膜症、黄斑変性症、緑内障、狭窄症、再狭窄症、動脈硬化症、アテローム性動脈硬化症、脳浮腫、関節炎、関節症、ブドウ膜炎、炎症性腸疾患、黄斑浮腫、癌、免疫抗癌補助剤(immune anticancer adjuvant)、遺伝性血管浮腫(HAE)、高脂血症、虚血性疾患、糖尿病性足潰瘍、肺高血圧症、急性肺損傷、心筋虚血症、心不全、急性下肢虚血症、心筋梗塞、脳卒中、虚血性若しくは再潅流障害、血管漏出症候群(VLS)、浮腫、移植拒絶、火傷、急性若しくは成人性呼吸窮迫症候群(ARDS)、敗血症、又は自己免疫疾患とすることができる。
【0062】
[発明の形態]
これより、本発明を以下の実施例及び実験例によって詳細に説明する。
【0063】
しかしながら、以下の実施例及び実験例は、本発明の例示のためであるにすぎず、本発明の内容は実施例及び実験例に限定されるものではない。
【0064】
<実験方法>
1.X線粉末回折装置(XRPD)
X線粉末回折(XRPD)パターンを、Shimadzu XRD-6000装置で得た。
設定
管:Cu:K-α(λ=1.54056Å)
発生器:電圧:40kV;電流:30mA
スキャン範囲:3度~50度、スキャン速度:5度/分
【0065】
2.示差走査熱量計(DSC)
化合物の試料(~1mg)を、窒素パージ下で、アルミニウムパンピンホールにおいて試験した。
設定
昇温速度:30℃~300℃の範囲にわたって20℃/分
窒素パージ:50mL/分
試料:約1mg
【0066】
3.熱重量分析(TGA)
化合物の試料(4mg~6mg)をパンへと秤量し、窒素パージ下で加熱した。
設定
昇温速度:30℃~300℃の範囲にわたって20℃/分
窒素パージ:50mL/分
試料:約5mg
【0067】
4.動的蒸気吸着(DVS)
約10mgの試料を使用して、その水蒸気吸着/脱着プロファイルを試験した。
設定
温度:25℃
平衡:dm/dt:0.01%/分
相対湿度(RH)測定ステップ範囲:0%~95%~0%RH
相対湿度(RH)測定ステップ:5%RH
試料:10mg~20mg
吸湿性分類
吸湿性:水分吸着基準*
潮解性:十分な水分を吸収して液体を形成している。
非常に吸湿性:W%≧15%
吸湿性:W%≧2%
やや吸湿性:W%≧0.2%
非吸湿性:W%<0.2%
*25±1℃、80±2%RH
【0068】
5.偏光顕微鏡(PLM)
シリコーンオイルに分散した試料を、接眼レンズ:10倍及び対物レンズ:10倍又は5倍を用いて、交差偏光子下で観察し、拡大スケールと共にカメラ/コンピュータシステムによって記録した。
【0069】
6.高速液体クロマトグラフィー(HPLC)
カラム:Agilent Zorbax Rx C8、4.6mm×250mm、5.0μm
移動相:85%アセトニトリル
流量:1.0mL/分
波長:205nm
注入体積:10μL
カラム温度:30℃
希釈剤:100%アセトニトリル
【0070】
<調製例1>化合物1の調製
下記式1で表される化合物1を、特許文献2(未公開)に記載の調製方法により調製することができる。詳しくは、下記の反応式1又は反応式2に従う方法により該化合物を調製することができる。
【化3】
【0071】
【0072】
反応式1に示すように、式1で表される化合物1を、以下の工程:
プレグネノロンを式8で表される化合物と反応させることによって、式6で表される化合物を調製する工程(工程1)と、
上記工程1で得られた式6で表される化合物を式7で表される化合物と反応させ、次いで酸条件下でそれを処理して式4で表される化合物を調製する工程(工程2)と、
上記工程2で得られた式4で表される化合物を式5で表される化合物と反応させることにより、式2で表される化合物を調製する工程(工程3)と、
上記の工程3で得られた式2で表される化合物を触媒の存在下、式3で表される化合物と反応させて式1で表される化合物を調製する工程(工程4)と、
を含む方法により調製することができる。
【0073】
このとき、反応式1におけるR1は、直鎖又は分岐鎖のC1~10アルキルである。
【0074】
【0075】
反応式2に示すように、式1で表される化合物1を、以下の工程:
プレグネノロンを式8で表される化合物と反応させることによって、式6で表される化合物を調製する工程(工程1)と、
式6で表される化合物と式7で表される化合物と式9で表される化合物とを反応させることにより、式10で表される化合物を調製する工程(工程2)と、
上記工程2で得られた式10で表される化合物を酸物質と反応させることにより、式2で表される化合物を調製する工程(工程3)と、
上記の工程3で得られた式2で表される化合物を触媒の存在下、式3で表される化合物と反応させて式1で表される化合物を調製する工程(工程4)と、
を含む方法により調製することができる。
【0076】
このとき、R1は、直鎖又は分岐鎖のC1~10アルキルであり、X1はハロゲンである。
【0077】
他方、本発明の下記実施例及び実験例で使用される式1で表される化合物1を、下記の反応式3に示す方法により調製した。
【化6】
【実施例】
【0078】
具体的な調製プロセスは以下の通りである。
【0079】
【0080】
プレグネノロン(200g、0.632mol)を2000mLのジクロロメタンに添加し、温度計を備えた5Lフラスコに入れ、173mL(1.896mol)の3,4-ジヒドロ-2H-ピランを加えた。温度を0℃~5℃に下げた後、3.0g(15.8mmol)のp-トルエンスルホン酸一水和物を50mLのテトラヒドロフラン(THF)に溶解して、これを反応混合物に滴加し、続いて0℃で1.5時間撹拌した。800mLの飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及び10mLのトリエチルアミン(TEA)を0℃で反応混合物に加え、続いて撹拌した。層を分離した後、有機層を800mLのブラインで洗浄し、200mLのジクロロメタンで水層を再び抽出し、有機層と合わせ、200gの無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で蒸留した。得られた残渣に1000mLのMeOH及び5mLのTEAを加え、加熱して完全に溶解し、そして温度を下げ、続いて-5℃で1時間撹拌した。得られた固体を濾過し、200mLのMeOHで洗浄し、純粋な白色固体として232.0g(0.579mol)の化合物6-1(THP-プレグネノロン)(収率:91.6%)を得た。
【0081】
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ 5.33-5.36 (m, 1H), 4.71-4.72 (m, 1H), 3.85-3.94 (m, 1H), 3.46-3.56 (m, 2H), 1.00-2.55 (m, 32H), 0.62 (s, 3H).
【0082】
【0083】
5L反応器にコンデンサー、加熱マントル、及びメカニカルスターラーを取り付けた後、119℃(外部温度)に加熱し、5分間窒素を流しながら室温まで冷却し、これに、332.5g(0.75mol)の4-(カルボキシブチル)トリフェニルホスホニウム臭化物、168.1g(1.50mol)のカリウムt-ブトキシド、2000mLの無水トルエン、及び750mLの無水テトラヒドロフランを加え、続いて、119℃(外部温度、穏やかな内部還流(internal mild reflux))で加熱しながら約2時間撹拌した。
【0084】
化合物6-1(100.0g、0.250mol)を500mLの無水トルエンに溶解して、これを反応液に添加し、続いて約20時間反応させた。
【0085】
反応が完了したら、反応混合物を室温まで冷却し、これに320mL(5.14mol)のヨウ化メチル及び1000mLのアセトンを加え、続いて室温で15時間撹拌した。反応混合物を減圧下で蒸留して有機溶媒の大部分を除去し、これに1500mLの酢酸エチルを添加して溶解し、続いて1000mLの飽和塩化アンモニウム水溶液で洗浄した。有機層を1000mLの水で2回洗浄し、そして1000mLのブラインで洗浄し、100gの硫酸ナトリウム上で乾燥させ、80gのセライトで濾過し、濃縮した。
【0086】
得られた残渣を2000mLのメタノールに溶解し、続いて10℃で13時間、4℃~5℃で1時間撹拌した。得られた固体を濾過し、200mLのメタノールで洗浄し、真空で乾燥して、白色固体として66.2gの化合物4-2(収率:53.2%)を得た。
【0087】
1H NMR(400MHz, CDCl3 ): δ 5.36(t, J=5.80 Hz, 1H), 5.16(t, J=7.00 Hz, 1H), 4.71(m, 1H), 3.93(m, 1H), 3.66(s, 3H), 3.56(m, 2H), 2.37-0.88(m, 38H), 0.54(s, 3H).
【0088】
【0089】
化合物4-2(100g、0.200mol)、1000mLのメタノール、及び3.82g(0.020mol)のp-トルエンスルホン酸一水和物を、温度計を備えた2Lフラスコに加え、続いて60℃で3時間撹拌した。
【0090】
反応が完了したら、反応液を室温で撹拌した。固体が形成された後、該混合物を室温で30分間撹拌し、10℃で1時間撹拌した。反応液を濾過し、100mLの冷メタノールで洗浄し、真空で乾燥して、白色固体として61.2g(0.150mol)の化合物2-1(収量:75.0%)を得た。
【0091】
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ 5.33-5.35(m, 1H), 5.12-5.16 (m, 1H), 3.66 (s, 3H), 3.50-3.52 (m, 1H), 0.98-2.32 (m, 33H), 0.53 (s, 3H).
【0092】
【0093】
化合物2-1(42.0g、0.101mol)及びトリi-O-アセチルD-グルカール(34.5g、0.126mol)を126mLの無水トルエン及び252mLのアセトニトリルに溶解し、これを、温度計及び水浴を備えた1Lフラスコに加えた。30℃~35℃の温度を維持しながら、ノナフルオロ-1-ブチルスルホン酸リチウム(3.87g、0.0130mol)及び(s)カンファースルホン酸(0.117g、0.0005mol)をそこに加え、続いて2時間撹拌した。反応が完了したら、反応液を504mLの飽和炭酸水素ナトリウム水溶液でクエンチし、630mLのヘプタンで抽出した。有機層を504mLの飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で2回洗浄し、そして504mLのブラインで洗浄した。42gの無水硫酸ナトリウム及び34gの炭を加えた後に有機層を撹拌し、34gのセライトで濾過し、210mLの塩化メチレンで洗浄し、濾液と合わせ、濃縮し、真空で乾燥した。
【0094】
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ 5.79-5.88 (m, 2H), 5.35-5.36 (m, 1H), 5.27-5.29 (m, 1H), 5.12-5.16 (m, 2H), 4.15-4.24 (m, 3H), 3.66 (s, 3H), 3.54-3.57 (m, 1H), 0.91-2.32 (m, 38H), 0.54 (s, 3H).
【0095】
化合物1の立体化学的分析
反応式3により得られた化合物1は、α-異性体とβ-異性体との混合物として存在する。このとき、油性残渣を50℃~55℃で336mLのエタノールに加熱溶解し、続いて30℃で撹拌した。固体が形成されると、温度を0℃に下げ、続いて30分間撹拌した。固体を減圧下で濾過し、真空で乾燥してα-異性体を結晶として分離し、濾液をカラムクロマトグラフィーに供してβ-異性体を分離した。このとき、α-異性体を固体状態として得て、α-異性体の純度は93.0%であった。
【0096】
α-異性体及びβ-異性体の構造を確認するために行ったNMRの結果を
図1に示す。
図1に示すように、調製された粗化合物1は、異なる立体構造を有するα-異性体又はβ-異性体を有することが確認された。
【0097】
一方、特許文献1に開示される調製方法で得られた粗化合物は、α-異性体とβ-異性体とが混ざった油相であったが、本出願で開示される調製方法に従って調製された化合物はα-異性体の固相であった。
【0098】
<実施例1>化合物1の結晶形態Iの調製
調製例1で調製された約50mgの化合物1を、比較的溶解度の低い溶媒(水、メタノール又はエタノール)に分散させ、続いて室温(25℃)で3日間撹拌した。得られた湿潤固体を遠心分離により分離した。固体を減圧下、24時間室温で乾燥させた。乾燥した固体の結晶形態の特性を分析するために、以下の実験を行った。
【0099】
<特性分析>
実施例1で調製された結晶形態の特性を分析するために、白色粉末の状態の結晶形態を、<実験方法>に記載される方法に従って、溶解性アッセイ、X線粉末回折(XRPD)、示差走査熱量測定(DSC)、熱重量分析(TGA)、動的蒸気吸着(DVS)、及び偏光顕微鏡(PLM)で分析した。結果を
図2~
図6にそれぞれ示す。
【0100】
溶解性アッセイ
溶解性アッセイを、室温での目視観察及び手動の希釈により行った。詳しくは、約4.0mgの調製例1で調製された化合物1を4.0mLガラスバイアルに秤量し、これに、肉眼で粒子が観察されなくなる(すなわち、全て溶解する)まで順次、溶媒を添加するか、又は4mLの溶媒(例えば、総容量200μL、500μL、1000μL、2000μL、又は4000μL)を添加した後も粒子が残った(すなわち、溶解しなかった)。溶媒の総量を記録し、溶媒毎の溶解度を算出した。結果を下記表1に示す。
【0101】
【0102】
X線粉末回折(XRPD)
図2の結晶形態のXRPDスペクトルにおいて相対強度(I/I
0)が10%以上であるピークを下記表2に示す。
【0103】
【0104】
2θ:回折角、d:結晶面間の距離、I/I0(%):相対強度(I:各ピークの強度;I0:最も高いピークの強度)
【0105】
一般に、X線粉末回折における回折角(2θ)の誤差範囲は±0.2°以内である。そのため、回折角の値は、約±0.2°の範囲内の値も含むことが理解されるべきである。したがって、本発明は、X線粉末回折において同じ回折角及びピークを有する結晶だけでなく、±0.2°の誤差範囲で示される値と一致する回折角を有する結晶も含む。
【0106】
ピークの相対強度(I/I0)が10%以上であった場合、ピークは、8.9°、10.7°、11.7°、14.1°、15.1°、16.0°、17.2°、17.8°、18.3°、19.5°、20.5°、21.3°、21.9°、24.0°、24.6°、及び26.1°(2θ±0.2°)の回折角を有した。かかる結晶形態を有する化合物1の結晶形態を結晶形態Iと呼ぶ。
【0107】
動的蒸気吸着(DVS)
結晶形態IのDVSグラフの分析結果を下記表3に示す。
【0108】
【0109】
上記のXRPDの結果より、本発明による実施例1で調製された化合物1の結晶形態Iは優れた結晶性を有することが確認された。TGAの結果から、化合物1の結晶形態Iは、室温から120℃に加熱する間、0.078%の質量損失を有することが確認された。1つの吸熱ピーク(100.96℃)がDSCの結果のグラフにより確認され、これは、化合物1の結晶形態Iの融点に相当する。DVSの結果を通じて、0.11%の水分の吸着が80%RHで確認され、化合物1の結晶形態Iは非吸湿性であることが示された。
【0110】
<実施例2>化合物1の結晶形態IIの調製
約50mgの調製例1で調製された化合物1を、4mLガラス瓶に入ったイソプロパノール(1mL)に分散し、続いて高温(50℃)で3日間撹拌した。次いで、ガラス瓶を4℃の冷蔵庫で1日冷却したところ、固体沈殿物は認められなかった。ガラス瓶を-20℃の冷蔵庫で7日間連続的に保存し、固体沈殿物を遠心分離(12000rpm、5分間)で分離した。次いで、沈殿を減圧下の真空オーブンで室温にて24時間乾燥した。その結果、薄板状のラメラ固体又はフレーク状の固体が得られた。調製された固体の結晶形態の特性を分析するため、<実験方法>1.X線粉末回折計(XRPD)に記載される方法に従ってXRPDを行った。結果を表4及び
図7に示す。
【0111】
図7の結晶形態のXRPDスペクトルにおいて相対強度(I/I
0)が10%以上であるピークを下記表4に示す。
【0112】
【0113】
2θ:回折角、d:結晶面間の距離、I/I0(%):相対強度(I:各ピークの強度;I0:最も高いピークの強度)
【0114】
ピークの相対強度(I/I0)が10%以上であった場合、ピークは、5.7゜、11.4゜、15.3゜、17.3゜、19.0゜、及び35.2゜(2θ±0.2゜)の回折角を有した。かかる結晶形態を有する化合物1の結晶形態を結晶形態IIと呼ぶ。
【0115】
<実施例3>化合物1の結晶形態IIIの調製
約50mgの調製例1で調製された化合物1を、室温で比較的良好な溶媒であるMEK又はクロロホルムに完全に溶解し、次いで反応容器を小さな穴を有するアルミニウム箔で覆った。その後、室温で1週間自然に蒸発させた結果、少量の固体が沈殿した。それを、さらに40℃で24時間減圧乾燥した。調製された固体の結晶形態の特性を分析するため、<実験方法>1.X線粉末回折計(XRPD)に記載される方法に従ってXRPDを行った。結果を
図8に示す。さらに、約30mgのMEK溶媒を用いる以外は、同じ条件下で調製された結晶形態を、XRPDで分析し、結果を
図8に示す。
【0116】
図8の結晶形態のXRPDスペクトル(溶媒:50mgのMEK)において相対強度(I/I
0)が10%以上であるピークを下記表5に示す。
【0117】
【0118】
2θ:回折角、d:結晶面間の距離、I/I0(%):相対強度(I:各ピークの強度;I0:最も高いピークの強度)
【0119】
ピークの相対強度(I/I0)が10%以上であった場合、ピークは、3.5゜、8.5゜、9.0゜、9.3゜、14.4゜、15.0゜、15.6゜、16.9゜、17.2゜、18.2゜、20.6゜、20.7゜、20.9゜、24.0゜、24.3゜、及び24.6゜(2θ±0.2゜)の回折角を有した。かかる結晶形態を有する化合物1の結晶形態を結晶形態IIIと呼ぶ。
【0120】
<実施例4>化合物1の結晶形態IVの調製
約50mgの調製例1で調製された化合物1を、55℃でEtOH(0.8mL)に完全に溶解して飽和溶液を調製し、続いて30分間連続的に混合した。次いで、溶液を-20℃の冷蔵庫で低温まで急速に冷却し、3日間保存した。調製された固体を遠心分離により分離した後、40℃にて一晩真空で乾燥した。調製された固体の結晶形態の特性を分析するため、<実験方法>1.X線粉末回折計(XRPD)に記載される方法に従ってXRPDを行った。結果を表6及び
図9に示す。
【0121】
図9の結晶形態のXRPDスペクトルにおいて相対強度(I/I
0)が10%以上であるピークを下記表6に示す。
【0122】
【0123】
2θ:回折角、d:結晶面間の距離、I/I0(%):相対強度(I:各ピークの強度;I0:最も高いピークの強度)
【0124】
ピークの相対強度(I/I0)が10%以上であった場合、ピークは、5.9゜、10.8゜、11.5゜、11.7゜、14.3゜、15.3゜、15.6゜、16.3゜、16.6゜、17.2゜、17.6゜、18.0゜、18.5゜、18.8゜、19.1゜、19.6゜、20.1゜、21.8゜、22.4゜、22.7゜、23.4゜、23.8゜、24.8゜、26.5゜、34.7゜、35.2゜、36.5゜、及び47.1゜(2θ±0.2゜)の回折角を有した。かかる結晶形態を有する化合物1の結晶形態を結晶形態IVと呼ぶ。
【0125】
<実施例5>化合物1の結晶形態Vの調製
約50mgの調製例1で調製された化合物1を、55℃でn-プロパノール(0.8mL)に完全に溶解して飽和溶液を調製し、続いて30分間連続的に混合した。次いで、溶液を-20℃の冷蔵庫で低温まで急速に冷却し、3日間保存した。調製された固体を遠心分離により分離した後、40℃にて一晩真空で乾燥した。調製された固体の結晶形態の特性を分析するため、<実験方法>1.X線粉末回折計(XRPD)に記載される方法に従ってXRPDを行った。結果を表7及び
図10に示す。
【0126】
図10の結晶形態のXRPDスペクトルにおいて相対強度(I/I
0)が10%以上であるピークを下記表7に示す。
【0127】
【0128】
2θ:回折角、d:結晶面間の距離、I/I0(%):相対強度(I:各ピークの強度;I0:最も高いピークの強度)
【0129】
ピークの相対強度(I/I0)が10%以上であった場合、ピークは、11.5゜、11.8゜、15.1゜、15.4゜、16.2゜、17.4゜、17.7゜、18.4゜、18.6゜、19.0゜、19.4゜、20.7゜、21.6゜、21.8゜、22.2゜、22.9゜、23.3゜、23.8゜、26.0゜、30.1゜、35.3゜、36.0゜、36.6゜、及び37.5゜(2θ±0.2゜)の回折角を有した。かかる結晶形態を有する化合物1の結晶形態を結晶形態Vと呼ぶ。
【0130】
<実施例6>化合物1の結晶形態VIの調製
実施例4で調製された化合物1の結晶形態IVが室温で2ヶ月後に変化したかどうかを観察するために、室温で2ヶ月間保存された結晶形態IVの特性を分析した。詳しくは、<実験方法>1.X線粉末回折計(XRPD)に記載される方法に従ってXRPDを行った。その結果、結晶形態IVとは異なるXRPDパターンを有する新規な結晶形態が確認された。結果を表8及び
図11に示す。
【0131】
図11の結晶形態のXRPDスペクトルにおいて、2ヶ月後に10%以上の結晶の相対強度(I/I
0)を有する結晶形態IVのピークを下記表8に示す。
【0132】
【0133】
2θ:回折角、d:結晶面間の距離、I/I0(%):相対強度(I:各ピークの強度;I0:最も高いピークの強度)
【0134】
ピークの相対強度(I/I0)が10%以上であった場合、ピークは、11.5゜、15.2゜、16.2゜、17.3゜、17.6゜、18.5゜、19.6゜、21.6゜、22.0゜、23.2゜、及び36.1゜(2θ±0.2゜)の回折角を有した。かかる結晶形態を有する化合物1の結晶形態を結晶形態VIと呼ぶ。
【0135】
<実施例7>化合物1の結晶形態VIIの調製
実施例4で調製された化合物1の結晶形態IVを、3ヶ月間室温で保存したことを除いて、実施例6に記載されるのと同じ方法で実験を行った。その結果、結晶形態IVとは異なるXRPDパターンを有する新規な結晶形態が確認された。結果を表9及び
図11に示す。
【0136】
図11の結晶形態のXRPDスペクトルにおいて、3ヶ月後に10%以上の結晶の相対強度(I/I
0)を有する結晶形態IVのピークを下記表9に示す。
【0137】
【0138】
2θ:回折角、d:結晶面間の距離、I/I0(%):相対強度(I:各ピークの強度;I0:最も高いピークの強度)
【0139】
ピークの相対強度(I/I0)が10%以上であった場合、ピークは、8.7゜、9.0゜、10.8゜、11.4゜、11.7゜、12.6゜、14.3゜、15.2゜、16.0゜、17.2゜、18.1゜、18.3゜、18.5゜、19.0゜、19.6゜、20.4゜、21.3゜、21.8゜、23.0゜、23.3゜、24.2゜、24.6゜、25.8゜、26.0゜、28.5゜、30.3゜、31.4゜、32.3゜、33.4゜、34.6゜、36.4゜、37.6゜、40.7゜、及び49.1゜(2θ±0.2゜)の回折角を有した。かかる結晶形態を有する化合物1の結晶形態を結晶形態VIIと呼ぶ。
【0140】
<実施例8>化合物1の結晶形態VIIIの調製
実施例5で調製された化合物1の結晶形態Vが室温で2ヶ月後に変化したかどうかを観察するために、室温で2ヶ月間保存された結晶形態Vの特性を分析した。詳しくは、<実験方法>1.X線粉末回折計(XRPD)に記載される方法に従ってXRPDを行った。その結果、結晶形態Vとは異なるXRPDパターンを有する新規な結晶形態が確認された。結果を表10及び
図12に示す。
【0141】
図12の結晶形態のXRPDスペクトルにおいて、2ヶ月後に10%以上の結晶の相対強度(I/I
0)を有する結晶形態Vのピークを下記表10に示す。
【0142】
【0143】
2θ:回折角、d:結晶面間の距離、I/I0(%):相対強度(I:各ピークの強度;I0:最も高いピークの強度)
【0144】
ピークの相対強度(I/I0)が10%以上であった場合、ピークは、16.3゜、18.0゜、18.9゜、19.6゜、20.5゜、21.6゜、22.4゜、及び36.1゜(2θ±0.2゜)の回折角を有した。かかる結晶形態を有する化合物1の結晶形態を結晶形態VIIIと呼ぶ。
【0145】
<実施例9>化合物1の結晶形態IXの調製
実施例5で調製された化合物1の結晶形態Vを、3ヶ月間室温で保存したことを除いて、実施例8に記載されるのと同じ方法で実験を行った。その結果、結晶形態Vとは異なるXRPDパターンを有する新規な結晶形態が確認された。結果を表11及び
図12に示す。
【0146】
図12の結晶形態のXRPDスペクトルにおいて、3ヶ月後に10%以上の結晶の相対強度(I/I
0)を有する結晶形態Vのピークを下記表11に示す。
【0147】
【0148】
2θ:回折角、d:結晶面間の距離、I/I0(%):相対強度(I:各ピークの強度;I0:最も高いピークの強度)
【0149】
ピークの相対強度(I/I0)が10%以上であった場合、ピークは、5.5゜、8.9゜、11.5゜、11.7゜、12.4゜、14.2゜、14.9゜、16.0゜、17.3゜、18.2゜、18.8゜、19.5゜、20.1゜、21.8゜、23.2゜、24.6゜、26.0゜、27.8゜、28.6゜、31.3゜、33.1゜、34.1゜、34.5゜、35.2゜、37.0゜、及び37.5゜(2θ±0.2゜)の回折角を有した。かかる結晶形態を有する化合物1の結晶形態を結晶形態IXと呼ぶ。
【0150】
<実施例10>結晶形態IVのスケールアップ及び結晶形態Xの調製
実施例4で調製された結晶形態IVのスケールアップを次のように行った。約100mgの調製例1で調製された化合物を、55℃のEtOH(1.6mL)に完全に溶解して飽和溶液を調製し、続いて30分間連続的に混合した。次いで、溶液を-20℃の冷蔵庫で低温まで急速に冷却し、3日間保存した。調製された固体を遠心分離により分離した後、40℃にて一晩真空で乾燥した。調製された固体の結晶形態の特性を分析するため、<実験方法>1.X線粉末回折計(XRPD)に記載される方法に従ってXRPDを行った。結果を表12及び
図13に示す。
【0151】
図13の結晶形態のXRPDスペクトルにおいて相対強度(I/I
0)が10%以上であるピークを下記表12に示す。
【0152】
【0153】
2θ:回折角、d:結晶面間の距離、I/I0(%):相対強度(I:各ピークの強度;I0:最も高いピークの強度)
【0154】
ピークの相対強度(I/I0)が10%以上であった場合、ピークは、11.5゜、15.4゜、17.2゜、17.4゜、17.8゜、18.6゜、19.1゜、19.8゜、21.9゜、24.8゜、28.9゜、31.6゜、及び36.1゜(2θ±0.2゜)の回折角を有した。かかる結晶形態を有する化合物1の結晶形態を結晶形態Xと呼ぶ。
【0155】
<実施例11>結晶形態Vのスケールアップ及び結晶形態XIの調製
実施例5で調製された結晶形態Vのスケールアップを次のように行った。約100mgの調製例1で調製された化合物1を、55℃のn-ブタノール(1.6mL)に完全に溶解して飽和溶液を調製し、続いて30分間連続的に混合した。次いで、溶液を-20℃の冷蔵庫で低温まで急速に冷却し、3日間保存した。調製された固体を遠心分離により分離した後、40℃にて一晩真空で乾燥した。調製された固体の結晶形態の特性を分析するため、<実験方法>1.X線粉末回折計(XRPD)に記載される方法に従ってXRPDを行った。結果を表13及び
図14に示す。
【0156】
図14の結晶形態のXRPDスペクトルにおいて相対強度(I/I
0)が10%以上であるピークを下記表13に示す。
【0157】
【0158】
2θ:回折角、d:結晶面間の距離、I/I0(%):相対強度(I:各ピークの強度;I0:最も高いピークの強度)
【0159】
ピークの相対強度(I/I0)が10%以上であった場合、ピークは、15.0゜、17.3゜、18.2゜、19.3゜、21.8゜、及び35.0゜(2θ±0.2゜)の回折角を有した。かかる結晶形態を有する化合物1の結晶形態を結晶形態XIと呼ぶ。
【0160】
<実験例1>結晶形態に応じた純度の測定
調製例1及び実施例1~実施例5で調製された結晶形態各5mgを10mLのメスフラスコに秤量し、次の純度分析方法に従って分析した。5mgの各結晶形態を安定な状態で10mLアセトニトリルに溶解し、10μLの混合物をHPLCに注入した。HPLC条件は<実験方法>6.高速液体クロマトグラフィー(HPLC)と同じであった。結果を表14に示す。
【0161】
【0162】
<実験例2>加速安定性試験
薬物等の保存方法及び使用期間を決定するために記載される安定性試験法に基づいて顕著な変化が判断され、有効期限が設定されることから、安定性試験は薬物等の適正な安定性及び商品化を確保する上で重要な要因の1つである。
【0163】
本発明による新規な結晶形態の安定性を確認するため、実施例1で調製された結晶形態Iの安定性を、<実験方法>6.高速液体クロマトグラフィー(HPLC)の分析条件下で液体クロマトグラフィー法を用いて評価した。40±2℃及び75±5%RHの条件での1ヶ月から6ヶ月までの加速安定性試験の結果を下記表15に示す。
【0164】
【0165】
その結果、本発明による実施例1の結晶形態Iは、純度に影響を与えることなく最大6ヶ月間安定的に維持されることを確認した。
【0166】
前述したように、好ましい調製例、実施例及び実験例により本発明を詳細に説明したが、本発明の範囲は、具体例に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲により解釈されるべきである。さらに、当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく多くの変更及び変形が可能であることを理解するはずである。
【産業上の利用可能性】
【0167】
本発明は、(E)-メチル6-((3S,8S,9S,10R,13S,14S,17R)-3-(((5S,6R)-5-アセトキシ-6-(アセトキシメチル)-5,6-ジヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-オキシ)-10,13-ジメチル-2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17-テトラデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-17-イル)ヘプト-5-エノエートの結晶形態、及びこれを含む血管漏出ブロッカーに関する。新規な結晶形態は、高純度で、安定性に優れ、長期保存性及び薬学的安定性に優れ、血管漏出ブロッカーとして使用することができるため、高品質の薬剤物質を製造する上で非常に有利である。