(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-03
(45)【発行日】2023-02-13
(54)【発明の名称】荷物取出装置
(51)【国際特許分類】
B65G 1/04 20060101AFI20230206BHJP
B65G 67/20 20060101ALI20230206BHJP
B65G 61/00 20060101ALI20230206BHJP
B65G 1/137 20060101ALI20230206BHJP
【FI】
B65G1/04 565
B65G67/20
B65G61/00 544
B65G1/137 B
(21)【出願番号】P 2019113150
(22)【出願日】2019-06-18
【審査請求日】2021-03-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000129367
【氏名又は名称】株式会社キトー
(73)【特許権者】
【識別番号】516230250
【氏名又は名称】イノベーション・ラボラトリ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000121
【氏名又は名称】IAT弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】小泉 浩一
(72)【発明者】
【氏名】大柴 岳人
(72)【発明者】
【氏名】横田 幸信
(72)【発明者】
【氏名】寺田 知彦
(72)【発明者】
【氏名】三枝 友仁
【審査官】寺川 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-162162(JP,A)
【文献】特開平08-081016(JP,A)
【文献】特開平06-111197(JP,A)
【文献】特開2005-225589(JP,A)
【文献】特開2018-103918(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/04
B65G 67/20
B65G 61/00
B65G 1/137
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数段の格納部を有するラックであって、底面にキャスターが取り付けられているラックを収納する収容庫を備える荷物取出装置において、
前記
収容庫は、開くことで前記ラックを出し入れできる開閉可能な扉が設けられており、
前記
収容庫の床面は、前記キャスターが転動して前記ラックが移動できるように平面になっており、
前記
収容庫の天井には、前記収容庫内に収容された前記ラックを前記収容庫の床面上を直交する二方向に移動させ、取り出す荷物を格納しているラックを、所定場所に位置させるラック移動部が設けられており、
前記
収容庫の側面には、所定場所に位置する前記ラックの所定の格納部に格納されている荷物を取り出し、前記収容庫の壁面に設けられた取出口に対応する位置に移動させる荷物移動部とを備えており、
前記ラック移動部は、前記ラック毎に係脱自在とされており、前記ラックの上面と係合して前記ラックを保持するラック保持部を有し、
前記ラック保持部を、前記
収容庫内に収納された1つの前記ラックの上面と係合させて移動させることによって、前記ラックのキャスターを前記床面上を転動させながら、前記ラックを前記
収容庫の床面上を直交する二方向に移動させて、複数個の前記ラックを矩形状に行列させて配置すると共に、この行列内にラックが存しない少なくとも一つの空間部を設け、取り出す荷物を格納しているラックを所定場所へ移動させ、
前記荷物移動部は、前記取出口が面する空間部内を昇降自在で、前記空間部に隣接する位置に移動した前記ラックの格納部に格納されている荷物を取り出すフォークであって、前記
収容庫の側面に、取出位置にラックが移動することを阻害しないように、前記
収容庫の側面側に折り畳み自在とされたフォークを備えている、
ことを特徴とする荷物取出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の荷物取出装置であって、
格納部に荷物が格納されたラックを収容庫に収容させる際に、荷物の識別を行い、
ラックが収容された状態で、ラックに格納された荷物の当該時における収容庫内の位置に関する情報を取得し、
取り出す荷物を格納したラックをこの位置に関する情報に基づいて移動させて、所定場所に位置させることを特徴とする荷物取出装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の荷物取出装置であって、
前記収容庫を配送車に積載し、直近の配達先への荷物の配達に先立って、配達に係る荷物が格納されたラックを、所定場所まで移動させて、位置させることを特徴とする荷物取出装置。
【請求項4】
請求項3に記載の荷物取出装置であって、
識別された収容庫内の荷物の効率的な配送順序を算出し、配送車をこの配送順序に従って走行させることを特徴とする荷物取出装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の荷物
取出装置であって、
収容庫に収容された荷物の受取人を認証した場合に、該当する荷物を取出口に移送して荷物を取り出せることを特徴とする荷物
取出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、収容庫に収容された荷物の内の所望の荷物を取り出す荷物取出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、郊外型の大型スーパーマーケットの出店や後継者の不在、店舗建物の老朽化等に起因して、小売店等や商店街が閉鎖してしまう場合がある。このような地域の住民は、遠隔地にあるスーパーマーケット等の利用を余儀なくされる状況となってしまうことにもなる。しかし、公共交通機関の廃止や自家用車等を所有しないこと等により、遠隔地までの移動手段を利用できず、食料品や生活用品の入手が困難となる買い物難民や買い物弱者と称される地域住民が発生してしまうことにもなる。特に、高齢者の割合増加が進んでいる地域では、買い物難民が増加する傾向にある。
【0003】
また、高齢者や妊産婦、幼い子供の居る家庭では、近隣にスーパーマーケット等が存在する場合でも、外出することを面倒に思ったり、気後れしたりして買い物に行けない場合がある。また、高齢者等では、自身で商品を確かめて購入することを望むことから買い物には行くが、購入した商品の重さによっては持ち帰ることが困難な場合があり、購入をためらってしまう場合がある。
【0004】
このような買い物難民や商品等の荷物を持ち帰れない者を対象として、地域の状況等に応じて、移動販売や宅配、買い物代行等により支援する方法が採用されている。
例えば、個別の配達先に荷物を宅配する場合、荷物は配送所等で配達先に応じて仕分けされ、配送車の荷室や配送車に積載されたコンテナ等に積み込まれて収容される。配送車が配達先に到着したならば、配送車の運転手や運転助手等がコンテナ等から該当する荷物を下ろして、配達先まで届けている。
【0005】
この運転手等による配達の作業が極力円滑に行えるように、配送所等で荷物をコンテナ等に積み込む際に、配送車の走行経路に対応させて仕分けし、荷物を取り出しやすい順序に積み込む。また、一の配達先への配達が終了したならば、運転手等は次の配達先に配達する荷物を取り出しやすい位置まで移動する。
配送車の運転手等が配達の終了毎に行うことになる、積み荷の仕分けや取出順序の入れ替えの作業は負担が大きく、また、仕分けや入れ替え作業に時間を要して、配達時間が長くなって、配達に遅れを生じるおそれがある。
【0006】
運転手等の身体的負担に鑑みて、これを軽減するものとして、特許文献1には、多数個の荷物を縦横に移動させて自動的に出納口に移送する手段を内装した配達車両であって、この出納口が運転席の背部に位置する配送車両が提案されている。
また、この配送車両に設備される荷物を移動させる手段として、特許文献2に記載された自在出納システムや、特許文献3に記載されたシステムが提案されている。
また、特許文献4には、輸送すべき品物の積み込み前の仕分けが不用で、配送の迅速化および効率化を達成しようとする立体自動倉庫付輸送機器が提案されている。
【0007】
また、特許文献5には、複数箇所を巡回する経路(ルート)を設定するシステムにおいて、配送/顧客リストの住所から訪問する巡回経路を決定し、巡回員の持つ端末で地図上にその巡回経路を表示する巡回経路設定システムが提案されている。
【0008】
また、特許文献6には、品物を配達するための自律的輸送機であって、品物の受取人の身元を検証するように、かつ受取人の身元が検証されたかどうかを示す検証信号を生成して、正規の受取人に品物が配達されるようにして、信頼される様態で配達場所における受取人に品物を配達するための自律的輸送機が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2018-103918号公報
【文献】特開2016-169082号公報
【文献】特開2013-52979号公報
【文献】特開平8-324709号公報
【文献】特開2000-293572号公報
【文献】特開2018-514478号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献2に開示された自在出納システムは、荷物を格納した出納ケージを縦、横の二次元の任意格子状区画に格納し、目的の区画に格納、出荷する装置を宅配車に搭載し、宅配箇所に到着した際に出荷口に配達すべき荷物が移送されているようにするものであり、この縦、横の移動により所望の荷物を出納口に位置させることで、出納可能としてある。また、この出納ケージを縦、横に移動させる装置を複数個並列に配置するとされている。
しかし、複数個並列に配置されたそれぞれの装置に対して出納口を設ける必要があるから、出納口は複数箇所に設けられることを要する。また、出納ケージに荷物を格納させる際には、正面荷物出納口または上面荷物出納口の荷室の出納口に出納ケージを対向させる必要がある。このためには、出納ケージを荷室の出納口に順次移動させることを要し、荷物をランダムに格納するとしても、格納に相当の時間を要してしまう。
また、引用文献3に記載されたシステムの場合にも、格納ケージに荷物を格納させる場合には、所定の位置に格納ケージを位置させて行う必要があり、格納作業に相当の時間を要する。
【0011】
また、特許文献4に開示された立体自動倉庫付輸送機器は、複数の保管棚を立体的に配置したラックの該保管棚との間で品物の受け渡しをスタッカクレーンにて行うようにしてある。このため、立体自動倉庫内に配置されたラックに沿ってスタッカクレーンが走行する領域を確保する必要があり、当該領域に品物を収容させることができず、倉庫内の保管棚の設置スペースが制限されてしまう。
【0012】
そこで、この発明は、コンテナや保管庫等の収容庫に荷物を迅速に収容させることができて、また、収容庫内の荷物を配達員等の人手によらずに、受取人が自ら容易に取り出せる荷物取出装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的を達成するための課題解決手段として、この発明に係る荷物取出装置は、収容庫内に収容されるラックであって、複数段の格納部を有するラックの、所定の格納部に格納されている荷物を取り出す荷物取出装置において、前記収容庫内に収容された前記ラックを前記収容庫の床面上を直交する二方向に移動させ、取り出す荷物を格納しているラックを、所定場所に位置させるラック移動部と、所定場所に位置する前記ラックの所定の格納部に格納されている荷物を取り出し、前記収容庫の壁面に設けられた取出口に対応する位置に移動させる荷物移動部とを備えることを特徴としている。
【0014】
また、本発明の他の側面は、上述の発明において、前記ラック移動部は、収容庫の天井面に沿って少なくとも直交する二方向に移動自在なラック保持部を備え、前記ラックの移動は、ラック保持部に保持させて行うこと、とするものである。
【0015】
また、本発明の他の側面は、上述の発明において、複数個の前記ラックを矩形状に行列させて配置すると共に、この行列内にラックが存しない少なくとも一つの空間部を設け、取り出す荷物を格納しているラックを所定場所へ移動させること、とするものである。
【0016】
また、本発明の他の側面は、上述の発明において、格納部に荷物が格納されたラックを収容庫に収容させる際に、荷物の識別を行い、ラックが収容された状態で、ラックに格納された荷物の当該時における収容庫内の位置に関する情報を取得し、取り出す荷物を格納したラックをこの位置に関する情報に基づいて移動させて、所定場所に位置させること、とするものである。
【0017】
また、本発明の他の側面は、上述の発明において、前記収容庫を配送車に積載し、直近の配達先への荷物の配達に先立って、配達に係る荷物が格納されたラックを、所定場所まで移動させて、位置させること、とするものである。
【0018】
また、本発明の他の側面は、上述の発明において、識別された収容庫内の荷物の効率的な配送順序を算出し、配送車をこの配送順序に従って走行させること、とするものである。
【0019】
また、本発明の他の側面は、上述の発明において、収容庫に収容された荷物の受取人を認証した場合に、該当する荷物を取出口に移送して荷物を取り出せること、とするものである。
【発明の効果】
【0020】
この発明に係る荷物取出装置によれば、例えば、所望の荷物が専用のカゴに収容され、このカゴがラックの格納部に格納されている場合、この所望の荷物が収容されたラックを収容庫内で移動させて、所望の荷物が収容されたカゴを取出口へ移送するから、人手によらずに荷物の仕分けや取出順序に対応した順序付け等の作業を効率よく行えて、荷物の取り出しを円滑に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】この発明に係る荷物取出装置の一実施形態を説明する図であり、荷物を収容したカゴを保持したラックを、配送車の後部から積み込む状況を示す斜視図である。
【
図2】配送車に積載された収容庫にラックを積み込む状況を示す斜視図である。
【
図3】収容庫内に設置された荷物移動部とラック移動部とを説明する図であり、収容庫内を透過して示す斜視図である。
【
図4】収容庫を積載した配送車の走行について説明する図である。
【
図5】収容庫内の荷物を取り出せる状態を示す斜視図である。
【
図6】収容庫内の荷物を取出口まで移動させる荷物移動部の動作を説明する図であり、収容庫を後方から見た図である。
【
図7】この発明に係る荷物取出装置の制御系の概略構成を説明するブロック図である。
【
図8】収容庫内の荷物を取り出せるようにするための手順を説明するフローチャートである。
【
図9】収容庫内の荷物を取り出せるようにするための手順を説明するフローチャートであり、
図8に示すフローチャートに続く手順を説明するものである。
【
図10】無人店舗用の荷物保管庫を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図示した好ましい一実施形態に基づいて、この発明に係る荷物取出装置を具体的に説明する。なお、この実施形態は、配送車2に積載されるコンテナ1を収容庫として例示し、コンテナ1に格納された所定の荷物を所定の配達先に配送する場合について説明する。なお、配送車2で荷物を配送する場合には、配送車2に積み込み積み卸しを行えるコンテナ1に限らず、配送車2の一部となっている荷室のような収容庫であっても構わない。
また、この荷物取出装置は、配送車2に積載されるコンテナ1に限らず、後述するように無人店舗用の商品保管庫や商品販売庫、当該時には不要な品物を保管する荷物保管庫、配達された荷物を受け取るための宅配荷物用保管庫等の収容庫にも用いることができる。なお、この種の保管庫等の場合には、一定の場所に常設されるものとなる。
【0023】
注文主等の依頼人によって依頼されて配達される荷物は、配達先毎にカゴ3に収容される。また、このカゴ3には、荷物やこの荷物の受取人等の顧客情報や荷物情報等に関する配送情報が記録されたICタグ等の情報タグが付される。また、カゴ3はラック4に着脱自在に保持される。ラック4には垂直方向に複数段の格納部を形成する棚板が備えられており、それぞれの棚板には、カゴ3が容易に脱落せず、しかも、容易に取り出すことができる構造による保持手段等が備えられて、この保持手段によってカゴ3が確実に保持される。なお、棚板に限らず、
図1に示すように、複数段にカゴ3を保持できるものであれば好ましい。ラック4には、円滑に移動できるように、キャスター4a等が備えられている。また、ラック4には識別情報が記録されたICタグ等の識別タグが取り付けられている。
【0024】
配送所等において、ラック4は、
図1と
図2に示すように、コンテナ1の後部扉1aを開放してコンテナ1に積み込まれる。なお。積み込み時にはキャスター4aが転動して、ラック4を容易に移動させることができて、コンテナ1の奥部に迅速に積み込むことができる。なお、コンテナ1の床面は、ラック4を円滑に移動できる平面としてあり、円滑に移動できるような加工を施すこともできる。ラック4の積み込みを円滑に行えるように、コンテナ1の床面と等しい高さの上面を有する積込台2aに配送車2を接近させ、この積込台2aからコンテナ1に移載するようにすれば好ましい。また、ラック4を積み込む際には、コンテナ1の内壁面等に取り付けられた読取センサー31、32(
図7参照)によって、カゴ3に取り付けられた情報タグに記録された配送情報と、ラック4に取り付けられた識別タグの識別情報が読み取られる。これにより、配送情報が読み取られたカゴ3が、いずれのラック4のいずれの段に保持されているのかが記録される。また、識別情報は常に読み取られて、全てのラック4のコンテナ1内の位置情報が取得される。コンテナ1には、
図3に示すように、複数個のラック4が行列して積み込まれる。この実施形態では、3行3列のうちの1箇所については、ラック4が存しない空間部5が設けられている。この空間部5は、少なくとも一箇所に設けられることを要する。また、この空間部5に隣接するラック4が空間部5に移動した場合には、それまで当該ラック4が位置していた部分に空間部5が移ることになる。
【0025】
コンテナ1には、
図7のブロック図に示すように、制御装置30が備えられており、この制御装置30に配送情報読取センサー31によって読み取られた配送情報と、識別情報読取センサー32によって読み取られた識別情報とが提供される。提供されたこれら配送情報と識別情報は、制御装置30のメモリーに書き込まれる。制御装置30は、これら配送情報と識別情報に基づいて、荷物の効率的な配送順序を演算して導き出す。また、配送順序に関する情報は配送車2に搭載されたナビゲーションシステム33の表示部33aに表示されて、運転手による円滑な配送に供せられる。なお、ラック4のコンテナ1内の位置情報は常に取得されており、このため、識別情報読取センサー32はコンテナ1内のラック4に付されている識別タグの情報を読み取れる場所に設けられている。
【0026】
コンテナ1内には、
図2と
図3に示すように、ラック移動部10が備えられている。このラック移動部10は、主として走行桁11と横行レール12、ラック保持部13とで構成されている。走行桁11はコンテナ1の天井であって、配送車2の走行方向(前後方向)に対して左右の端部に、配送車2の前後方向を長手方向にして左右一対として設けられている。横行レール12は一対の走行桁11に掛け渡されて、配送車2の前後方向に移動自在に配されている。また、ラック保持部13は横行レール12に移動自在に取り付けられており、この横行レール12に沿った方向、すなわち配送車2の左右方向への移動が案内される。これにより、ラック保持部13は配送車2の前後方向と左右方向に移動する。また、ラック保持部13はラック4に係脱自在とされており、ラック4の上面と係合して、該ラック4を保持する保持位置と、ラック4の上面から離脱して係合を解除する解放位置との間を昇降自在とされている。そして、保持位置に位置した状態では、ラック4をコンテナ1の床面に適宜に押圧し、このラック保持部13の移動によって、ラック4をコンテナ1の床面上を前後方向と左右方向とに移動させることができる。したがって、ラック4をコンテナ1の床面上を任意の位置に移動させることができる。そして、このラック移動部10に対して制御装置30から動作指令が送出されると共に、ラック移動部10からはラック保持部13の動作とラック4の位置に関する情報が制御装置30に提供される。
【0027】
コンテナ1の後部扉1aの下部の側方には、
図5に示すように、取出口6が設けられている。この取出口6に面するコンテナ1内の部分が取出位置1bとされており、この取出位置1bにラック4が位置して、所定の操作が行われて、このラック4に保持されたカゴ3を取出口6から取り出すことができる。なお、
図3には空間部5と取出位置1bとが一致した状態を示しているが、前述したとおり、空間部5はラック4の移動に伴われてその位置が変更される。また、取出口6は、後部扉1aの一部が開口されて設けられており、後部扉1aの一部であってこの開口を閉鎖する蓋部分6aが、下辺の部分を軸として揺動して外側に突出することにより、この蓋部分6aがカゴ3を載置させるための載置台となる。この蓋部分6aの揺動は、制御装置30によって制御される取出扉開閉装置34(
図7参照)に送出される動作指令に基づいて行われる。
【0028】
取出位置1bに面するコンテナ1の内側壁面には、荷物移動部20が配設されている。この荷物移動部20は、主として、内側壁面に上下方向を長手方向として配設されたガイドフレーム21と、このガイドフレーム21に昇降自在に支持されたフォーク22とで構成されている。フォーク22は折り畳み式とされており、折り畳まれた状態とすると、
図6(A)に示すように、取出位置1bから退避した位置に位置して、取出位置1bにラック4が移動することを阻害しない。また、折り畳まれた状態から開いた状態とすると、
図6(B)に示すように、フォーク22が取出位置1bに突出して位置し、フォーク22でカゴ3をラック4から取り出せる状態となる。フォーク22でカゴ3を取り出す際の動作としては、取出位置1bに突出して待機しているフォーク22に向かってラック4が移動して、このフォーク22にカゴ3を移載する。または、フォーク22に伸縮機構を備えさせ、取出位置1bと隣接する位置にあるラック4へ向かってフォーク22を伸長させて、該フォーク22にカゴ3を移載させるようにすることもできる。さらに、フォーク22には、載置されたカゴ3を取出口6へ移動させ、また取出口6へ移動させたカゴ3をフォーク22に載置される、カゴ3の移載機構(図示せず)が備えられている。そして、この荷物移動部20には制御装置30から動作指令が送出され、荷物移動部20からはフォーク22の位置に関する情報が制御装置30に提供される。
【0029】
また、例えば、コンテナ1の後部扉1aの適宜位置には、テンキーのキーボードや指紋認証、顔認証等による認証入力部35aを備えた受取人認証装置35が設けられている。この受取人認証装置35は、認証入力部35aにより取得された受取人に関する認証情報を制御装置30に提供する。
【0030】
以上により構成されたこの発明に係る荷物取出装置の実施形態について、その動作を、
図8と
図9に示すフローチャートを参照して、以下に説明する。なお、この動作は、例えば、スーパーマーケットから、注文主等の受取人に食料品や日用品等の注文品を届けるための配達を例示して説明する。
【0031】
注文主は、スーパーマーケットの店舗に行き、選んだ商品の配達を依頼する。または、インターネットの利用や電話等によって店舗に行かずに注文して、所望の商品の配達を依頼する。配達の依頼を受けたスーパーマーケットは、注文主の配送情報を情報タグに書き込んでカゴ3に付することで、この注文主に対応したカゴ3を定める。スーパーマーケットの配送担当者は、注文主に対して定められたカゴ3に、この注文主から依頼を受けた商品を収容して、このカゴ3内の商品である荷物と注文主とを関連づける。なお、注文主等の依頼人と配達された荷物の受取人が異なる場合もあり、そのため、以下には、これらの者を「受取人」と称する場合がある。そして、荷物が収容されたカゴ3をラック4に保持させ、このラック4をコンテナ1に積み込む(ステップ801)。このとき、ラック4をコンテナ1の床面に載せて押動すれば、キャスター4aにより円滑にコンテナ1の奥部まで移動させることができる。また、コンテナ1に積み込む際には、コンテナ1に取り付けられた配送情報読取センサー31によってカゴ3に取り付けられた情報タグに書き込まれた配送情報が読み取られると共に、識別情報読取センサー32によってラック4に取り付けられた識別タグに登録されている識別情報が読み取られる(ステップ802)。これら読み取られた配送情報と識別情報とは、制御装置30に送出される。なお、制御装置30では送出されたこれらの情報が記録される。これにより、ラック4とこのラック4に保持されたカゴ3に収容された荷物とが関連づけされる。なお、ラック4にカゴ3を保持させる際には、配達先同士が近いカゴ3を同じラック4に保持させるように仕分けすることが、配達の際の利便性が向上して好ましいが、そのような仕分けを行わなくても構わない。また、ラック4の積み込み順序についても不同である。
【0032】
配達を要する荷物が保持されたラック4やその他のラック4の全てをコンテナ1に積み込んだならば、コンテナ1の後部扉1aを閉じる。これにより、制御装置30にラック4の積み込みの完了情報が提供される(ステップ803/YES)。なお、ラック4の積み込みが完了した状態では、
図3に示すように、ラック4が配送車2の前後方向と左右方向に行列し、この行列内の1個のラック4が配される部分に空間部5が設けられるようにする。すなわち、この実施形態では、前後方向に3個、左右方向に3個の合計9個のラック4が積み込まれることができるコンテナ1の広さに対して、一個の空間部5を設けるために8個のラック4を積み込む。また、配達すべき荷物の数によってはラック4の全ての段にカゴ3を保持させず、あるいは空のカゴ3を保持させたラック4を積み込んで、ラック4の個数が8個となるように調整する。
【0033】
ラック4の積み込みが完了したならば、制御装置30によって読み込まれた配送情報に基づいて、積み込まれた荷物の効率的な配送順序を導き出す(ステップ804)。すなわち、配送情報に含まれた顧客情報の配達先に基づいて、配送車2が走行すべき配達順路を生成する。この配達順路をナビゲーションシステム33が備えた地図情報に書き込み、
図4に示すように、配達順路が書き込まれた地図を表示部33aに表示させる(ステップ805)。配送車2の運転手はこの表示に基づいて配送所を出発して、配達順路に基づいて配送車2を走行させる。
【0034】
制御装置30は、生成した配達順路に基づいて、直近で配達すべき荷物を収容したカゴ3が保持されたラック4(以下、直近で配達すべき荷物を収容したカゴ3が保持されたラック4を「対象ラック4」と称する。)のコンテナ1内の位置を取得して(ステップ806)、この対象ラック4を取出位置1bへ移動させるためのラック入替順序を設定する(ステップ807)。このラック入替順序は、積み込まれたラック4の識別情報から得られた行列内の位置に基づいて、算出されて設定される。そして、このラック入替順序にしたがって、対象ラック4を取出位置1bへ移動させるよう制御信号を送出する。これにより、対象ラック4を取出位置1bへ移動させるための、ラック移動部10によるラック4の入替移動が開始される(ステップ808)。すなわち、ラック4が存していない空間部5を利用して、ラック4を順次入れ替え移動させながら、対象ラック4を取出位置1bへ移動させる。すなわち、ラック移動部10が、送られた動作指令によるラック入替順序に基づく動作手順に基づいてラック4の入れ替え動作を行う。
【0035】
ラック移動部10は横行レール12とラック保持部13とを移動させて、ラック保持部13を最初に空間部5へ移動させるべきラック4の上方に位置させる。なお、このラック4は、空間部5に隣接して位置しているものである。次いで、ラック保持部13を下降させて保持位置へ位置させ、ラック4を保持させながら空間部5へ移動させる。これにより、このラック4が位置していた部分に空間部5が移動することになる。ラック保持部13を上昇させて解放位置に位置させてラック4を解放し、次にこの空間部5に移動させることになるラック4の上方へ移動させる。このラック保持部13を保持位置まで下降させて、移動すべきラック4を保持させながら空間部5へ移動させる。なお、このラック4を移動させる際には、空間部5が取出位置1bに一致した状態でも、ラック4の移動に支障が生じないよう、
図6(A)に示すように、フォーク22が折り畳まれた状態にあり、取出位置1bから退避した位置に位置している。これにより、ラック4がこの取出位置1bにも自在に位置することができる。このラック4の移動動作を順次繰り返して、直近の配達先へ配達すべき荷物が収容されたカゴ3を保持している対象ラック4を、取出位置1bへ移動させる。
【0036】
一方、
図6(B)に示すように、取出位置1bに空間部5が配されて、対象ラック4が取出位置1bに隣接する位置に位置したならば、制御装置30は荷物移動部20へ動作指令を送出する。この動作指令に基づいて、折り畳まれていたフォーク22を突出させると共に昇降させて、対象ラック4の内の配達すべき荷物が収容された所定のカゴ3を移載できる位置に位置させる。なお、このときの対象ラック4が位置することになる取出位置1bの隣接位置は、この隣接位置から取出位置1bに向かって対象ラック4が移動する方向とフォーク22の長手方向とが一致することになる位置としてある。
次いで、
図6(C)に示すように、対象ラック4を空間部5となっている取出位置1bへ移動させて、所定のカゴ3をフォーク22の上方に位置させる。すなわち、フォーク22が対象ラック4の下方に差し込まれた状態となる。この状態で、
図6(D)に示すように、フォーク22を僅かに上昇させて、所定のカゴ3を対象ラック4の保持手段等による保持から離脱させる。また、このときには、対象ラック4の移動前の、取出位置1bに隣接した位置に空間部5が設けられる。所定のカゴ3が対象ラック4の保持から離脱したならば、
図6(E)に示すように、対象ラック4を空間部5へ移動させる。これにより、所定のカゴ3がフォーク22に移載された状態となり、この状態で、受取人による荷物の受け取りに待機する(ステップ901)。なお、フォーク22は
図6(F)に示すように、取出口6に対応する位置に位置させる。この実施形態では、取出口6は後部扉1aの下部に設けられているものとしてあり、フォーク22は下降して取出口6に対応する位置に位置する。
【0037】
配送車2が配達先に到着したならば、注文主や荷物を受け取れる受取人が受取人認証装置35の認証入力部35aによる認証を受けて(ステップ901/YES)、所定のカゴ3に収容された荷物の受取人であることを証明する。例えば、キーボードから暗証番号を入力したり、指紋認証や顔認証等が行われたりして、その情報が制御装置30に供される。制御装置30では、記録されている配送情報に含まれている顧客情報と比較して、受取人の正否が判定される(ステップ902)。受取人であることが認証されれば(ステップ903/YES)、制御装置30は取出扉開閉装置34へ開扉指令を送出し、取出扉開閉装置34が作動して、取出口6の蓋部分6aが後部扉1aから突出して取出口6が開放される(ステップ904)。この蓋部分6aに、荷物移動部20のフォーク22の移載機構の動作によってカゴ3を移載させると、受取人がカゴ3に収容された荷物を受け取ることができる状態となり、荷物の受け取りに待機する(ステップ905)。そして、荷物を受け取った受取人は、受取人認証装置35を操作して荷物を受け取った受取情報を入力する(ステップ905/YES)。
【0038】
この受取情報を受けて、制御装置30は取出扉開閉装置34に閉扉指令を送出する。また、荷物移動部20にはカゴ3を蓋部分6aからフォーク22へ移載するよう指令する。取出扉開閉装置34はこの閉扉指令を受けて、カゴ3が蓋部分6aからフォーク22に移載された後、蓋部分6aを揺動させて取出口6を閉じる(ステップ906)。次いで、制御装置30は、フォーク22に載置されているカゴ3を、対象ラック4へ戻す動作指令を送出する。この動作指令を受けて、荷物移動部20はフォーク22を昇降させて、
図6(E)に示すように、カゴ3を対象ラック4に保持させることができる高さに位置させ、ラック移動部10はラック保持部13を移動させて、対象ラック4を、
図6(E)に示す位置から取出位置1bへ移動させる。このため、
図6(D)に示すように、フォーク22に載置されたカゴ3が、対象ラック4の元の位置に保持される位置に位置する。そして、フォーク22を僅かに下降させると、
図6(C)に示すように、カゴ3が対象ラック4に移載されて元の位置に戻されて保持される。その後、
図6(B)に示すように、対象ラック4を空間部5へ移動させると、取出位置1bに空間部5が位置した状態となる。この状態で、
図6(A)に示すように、フォーク22を折り畳んで取出位置1bから退避させると、この取出位置1bの部分がラック4を入れ替え移動させる際の空間部5となる。
【0039】
ところで、認証処理(ステップ902)において取得された情報に基づいて、受取人であることが否定された場合(ステップ903/NO)には、この認証処理の試行回数を計数し(ステップ910)、試行回数が設定値を超えたか否かが判断される(ステップ911)。例えば、試行回数の設定値を「3」とする場合には、試行回数が「3」以下の場合には、受取人は再度、認証要求を行うことができる(ステップ911/YES)。これにより、受取人の認証要求がなされ(ステップ901/YES)、認証処理が実行される(ステップ902)。
他方、試行回数が「3」以上となった場合には(ステップ911/NO)、この受取人は不適であると判断して取出処理を停止する(ステップ912)。
【0040】
取出口6の閉処理(ステップ906)に続いて、コンテナ1に収容された全ての荷物の配達が完了したか否かが判断される(ステップ907)。完了していない場合(ステップ907/NO)には、次に配達すべき荷物を収容したカゴ3を保持している対象ラック4の位置を取得する(ステップ806)。次いで、この対象ラック4を取出位置1bへ入れ替え移動させることになる。
【0041】
受取人によって荷物の受け取り済みのカゴ3がラック4に戻されたならば、運転手はナビゲーションシステム33の表示部33aに従って、配送車2を次の配達先へ向けて出発させる。また、制御装置30は次に配達すべき荷物を収容したカゴ3を保持している対象ラック4を、取出位置1bに隣接する位置まで入れ替え移動させて(ステップ808)、待機する(ステップ901)。なお、この入れ替え移動は配送車2の走行中に行えるが、例えば、配送車2が急勾配の坂道を走行している場合等のように、ラック4の移動を円滑に行えないおそれがある走行時には、入れ替え移動を一時中断する等の安全を図ることが好ましい。また、走行中にこの入れ替え移動を行うには、ラック4が傾いたりして、不都合な場合には、配送車2が信号待ち等で停止している間で入れ替え移動を行うようにしても構わない。
【0042】
そして、次の配達先に配送車2が到着したならば、受取人は受取人認証装置35により、受取人であることの認証操作を行う(ステップ901)。受取人であることが認証されれば(ステップ903/YES)、荷物を収容している所定のカゴ3が後部扉1aから突出した蓋部分6aに載置された状態となって、このカゴ3から荷物を取り出して受取が完了する。その後、受取人認証装置35の操作によって受取情報が入力されると、カゴ3がフォーク22に移載された後、蓋部分6aが閉じられる。
【0043】
以上の動作を配達先毎に行うことで、コンテナ1に積み込まれた荷物の配送が完了する(ステップ907/YES)。配送が完了した配送車2は配送所に戻って、次の荷物の配送に待機し、準備することになる。
【0044】
また、例えば、体調不良等によって自宅から外に出にくい注文主や受取人の場合には、運転手が受取人に替わって荷物を受け取り、この荷物を受取人に届けることもできる。
【0045】
また、以上説明した実施形態では、効率的に配達できるような配送順序を決定したが、例えば、荷物に生ものや冷凍物、冷蔵物等のように、迅速な配達を要する荷物が存する場合には、配達の迅速性に応じて配送順序を入れ替えたり、決定したりすることもできることが好ましい。また、受取人が時間を指定した場合には、指定された時間に応じた配送順序とすることも好ましい。
【0046】
また、以上説明した実施形態では、コンテナ1を配送車2に積載するものとして説明したが、配送車2に積載する場合に限られない。例えば、注文に係る荷物を受け取れる無人店舗用に荷物を保管する収容庫である商品保管庫8に、
図10に示すように、この荷物取出装置を採用することもできる。なお、この商品保管庫8にはコンテナ1が備えている構造や装置と同様な装置や構造を備えている。また、無人店舗の場合にはこの商品保管庫8は一定の場所に常設されるため、前述したコンテナ1の場合のような、配送車2に積載させるための構造は不要である。
【0047】
そして、注文を受けた商品等の荷物をこの商品保管庫8に格納させることになる。注文を受けた荷物は配送所等でカゴ3に収容され、前述と同様な配送情報が書き込まれた情報タグがこのカゴ3に付され、このカゴ3がラック4に保持される。商品保管庫8に収容させる荷物がラック4に保持されたならば、このラック4をトラック等の運搬車に積み込んで配送準備を行う。注文に応じた荷物の配送準備が完了したならば、運搬車でこれらの荷物をラック4ごと無人店舗用の商品保管庫8まで搬送する。
【0048】
搬送されたラック4は、運搬車から下ろされ、無人店舗用の商品保管庫8へ収容される。このとき、先に商品保管庫8に収容されていた空のラック4を回収しながら行う。商品保管庫8にラック4を収容させる際には、配送車2に積載された前述のコンテナ1の場合と同様に、それぞれのカゴ3に付された情報タグから配送情報が読み込まれて取得され、それぞれのラック4に取り付けられた識別タグから識別情報が取得される。このため、無人店舗用の商品保管庫8にラック4が収容される際に、ラック4と、このラック4内のカゴ3に収容された荷物との関連づけがなされる。また、ラック4の商品保管庫8内での位置情報が取得されて、荷物の位置が把握される。
【0049】
受取人が注文した荷物を受け取る場合には、商品保管庫8に設けられた受取人認証装置35により受取人であることの認証を行う。受取人であることが認証された場合には、前述のように、商品保管庫8内でラック4の入れ替え移動を行って、注文に係る荷物が収容されている対象ラック4を取出位置1bに位置させ、フォーク22にカゴ3を移載し、このカゴ3を突出させた蓋部分6aに載置させる。これにより、受取人は注文した荷物を受け取り、受取が完了した旨の受取情報を受取人認証装置35で入力すると蓋部分6aが閉じて、次の受取人に待機することになる。
【0050】
無人店舗用の商品保管庫8にて荷物を受け取る場合における取出手順は、コンテナ1を積載した配送車2により荷物の配達が行われる場合の、
図8と
図9に示す手順における配送順路生成(ステップ804)と配送順路表示(ステップ805)の処理が不要となる。また、荷物を配達する場合には、配達の順序が予め決められるので、配達先への配達途中で対象ラック4の入れ替え移動を行うことができる。しかし、無人店舗用の商品保管庫8では、荷物の取出順序は不明である。このため、受取人による認証要求があって(ステップ901/YES)、受取人であることが認証された後に(ステップ903/YES)、対象ラック4の位置を取得し(ステップ806)、ラック入替順序を設定(ステップ807)して、ラック入替移動(ステップ808)が実行されて、取出口の開処理(ステップ904)が実行される手順となる。
【0051】
また、この荷物取出装置を備えた商品保管庫8を、無人店舗の商品販売庫として、いわゆる自動販売機のようにして利用することもできる。この場合には、それぞれのカゴ3に一つずつ商品を収容させて、このカゴ3を保持させたラック4を収容庫である商品販売庫に格納する。商品を購入しようとする利用者は、希望の商品を選択して、受取人認証装置35に代わる選択装置を操作する。これにより、希望の商品が収容されたカゴ3が、取出口6に現れて、利用者が商品を受け取ることができる。
なお、カゴ3に収容する商品の個数を、例えば単数から複数個のものをそろえることにより、利用者が商品の個数を選択できるようにすることもできる。
【0052】
また、この発明に係る荷物取出装置は、例えば、当面使用することのない生活用品等を保管する荷物用倉庫に利用することもできる。この場合、利用者が個人でこの荷物用倉庫を所有し、カゴ3やラック4に収容させて荷物を保管する場合には、所望の荷物を収容したカゴ3を選択する。これにより、選択されたカゴ3が取出口6に現れて、この荷物を取り出すことができる。また、荷物を保管する場合には、個人で所有する荷物用倉庫の場合には、前述したコンテナ1の場合と同様に、後部扉を開放して荷物を収容したカゴ3を保持しているラック4を荷物用倉庫に格納させる。
【0053】
他方、この荷物用倉庫を複数の利用者が共同で使用することもできる。この場合には、それぞれのカゴ3を利用することを希望する者に割り当てる。利用者は割り当てられたカゴ3に所望の荷物を収容させて、荷物用倉庫に格納させることになる。この場合、利用者は割り当てられたカゴ3を取出口6に位置させる。初めて使用する際には、このカゴ3は空であるから、保管を希望する荷物を収容させて、受取人認証装置35を操作して荷物の収容が完了した情報を入力する。これにより、荷物が収容されたカゴ3が荷物用倉庫に格納されることになる。
【0054】
荷物を取り出す際には、割り当てられたカゴ3に関する情報を、受取人認証装置35を操作して、そのカゴ3の正当な利用者であることの情報を入力すれば、所定のカゴ3が取出口6にカゴ3が現れて、所望の荷物を受け取ることができる。また、別の荷物をカゴ3に収容させて荷物の受け取りまたは収容が完了した情報を入力すれば、このカゴ3が荷物用倉庫に格納されることになる。
【0055】
なお、上述の共同利用の場合の荷物用倉庫では、カゴ3単位で利用者に割り当てることとして説明したが、ラック4単位で利用者に割り当てることもできる。しかし、この荷物用倉庫には、第三者の荷物も格納されているので、前述したコンテナ1の場合のように、後部扉1aを開放してラック4を格納させることは不都合である。このため、ラック4単位で利用する場合であっても、荷物を格納する際には、利用に係るラック4に保持されるカゴ3毎に荷物の出し入れを行う必要がある。
【0056】
さらに、前述した荷物用倉庫を、集合住宅等に設置される、いわゆる宅配ボックスのように、宅配荷物用保管庫として利用することもできる。
この場合に、荷物の配達員は、荷物を空のカゴ3に収容させて収容庫である宅配荷物用保管庫に格納させる。なお、空のカゴ3に関する情報は、例えば予め配達員に提供されていたり、制御装置30に接続された表示部を設けて表示させたりすることができる。また、この空のカゴ3は、受取人認証装置35の認証入力部35aを操作することにより取出口6に移動させることができるようにしてある。
そして、配達員は、この荷物を収容させたカゴ3の受取に関する情報を、荷物の受取人に電子メール等で通知する。受取に関する情報としては、受取人認証装置35の認証入力部35aに入力すべき暗証番号でよい。
受取人は電子メール等で通知された暗証番号を受取人認証装置35の認証入力部35aに入力する。これにより、該当するカゴ3が取出口6に現れて、受取人が配送された荷物を受け取ることができる。そして、受取人認証装置35から受取情報を入力すると、空となったカゴ3が宅配荷物用保管庫に格納される。
また、受取人が受取人認証装置35で受取情報を入力すると、この受取に関する情報が、宅配業者に通知されるようにすることが好ましい。一般的には、宅配された荷物の受け取りには、受け取りを証明する押印を要するが、この宅配荷物用保管庫の場合には、宅配業者へ通知される受取情報により受取を証明できる。
【0057】
以上説明した実施形態では、コンテナ1や商品保管庫8等の収容庫内でのラック4の移動を、キャスターが付けられたラック4を走行桁11と横行レール12、ラック保持部13等を備えたラック移動部10により行う場合について説明した。しかし、このラック移動部10は、例えば、ラック4を自走できる構造とすることや、自走するパレットのような台車をコンテナ1に配し、これにラック4を載置させる構造とすることでも構わない。
【0058】
以上のように、ラック4をコンテナ1や商品保管庫8等の収容庫内で床面上をラック移動部10で直交二方向に移動させて、取り出すべき荷物(カゴ3)が格納されているラック4を収容庫の壁面に設けた取出口6まで荷物移動部20で移動させて、荷物を取り出すようにしたので、例えば、収容庫へ荷物を収容させる際の仕分け作業や収容庫からの荷物の取り出しを人手によらず行える。したがって、係員や配達員等の人手による作業を軽減でき、迅速に荷物の取り出しを行える。またラック4を奥行き方向の一方向だけではなく、直交二方向に移動させることができるので、より多くのラック4を積載して一つの取出口6から必要な荷物を取り出すことができる。
【0059】
また以上のように、収容庫の天井面に沿って少なくとも直交する二方向に移動自在なラック保持部13によってラック4を移動させるようにしたので、収容庫内の空いている上方の空間を利用でき、ラック移動部10が収容庫内の収容量を制限せず、ラック4を二方向に移動させることができる。
【0060】
複数個の前記ラック4を矩形状に行列させて配置すると共に、この行列内にラック4が存しない少なくとも一つの空間部5を設けたので、この空間部5を利用していずれのラック4も行列内の所望の位置へ移動させられる。このため、複数個のラック4を収容庫に収容させた状態で、ラックを移動させることができる。すなわち、収容庫に収容されるラック4の個数を極力減ぜず、収容庫の収容率の低下を最小にできる。
【0061】
また、格納部に荷物が格納されたラック4を収容庫に収容させる際に、荷物の識別を行い、全てのラック4が積み込まれた状態で、ラック4に格納された荷物の当該時における収容庫内の位置に関する情報を取得し、取り出す荷物を格納したラック4をこの位置に関する情報に基づいて移動させて、所定場所に位置させるようにしたので、取り出す荷物が格納されたラック4を、確実に取出口6まで移動させることができる。
【0062】
また以上のように、コンテナ1を配送車2に積載し、直近の配達先への荷物の配達に先立って、配達に係る荷物が格納されたラック4を、所定場所まで移動させて、取出口6に対応させて位置させるようにしたので、迅速な配達を行え、配送時の仕分け作業を要せずに、配達員の作業労力を軽減することができる。
【0063】
また、コンテナ内の荷物の効率的な配送順序を算出し、配送車をこの配送順序に従って走行させるようにしたので、円滑な配達を行って、荷物を迅速に配達先に届けることができる。
【0064】
また以上のように、収容庫に収容された荷物の受取人を認証した場合に、該当する荷物を取出口6に移送するようにしたので、荷物の受取人に誤りが生じることを防止できる。
【0065】
そして、この実施形態に係る荷物取出装置によれば、収容庫から取り出される荷物を受取人毎に取出口に準備して、受取人が受け取れるようにしたため、迅速な配達に寄与する。また、自動運転システムの普及により、配送所におけるラックの積み込み作業に人手を要するのみとなり、配送の自動化導入の促進に寄与する。
【符号の説明】
【0066】
1 コンテナ(収容庫)
1a 後部扉
1b 取出位置
2 配送車
2a 積込台
3 カゴ
4 ラック
4a キャスター
5 空間部
6 取出口
6a 蓋部分
8 商品保管庫(収容庫)
10 ラック移動部
11 走行桁
12 横行レール
13 ラック保持部
20 荷物移動部
21 ガイドフレーム
22 フォーク
30 制御装置
31 配送情報読取センサー
32 識別情報読取センサー
33 ナビゲーションシステム
33a 表示部
34 取出扉開閉装置
35 受取人認証装置
35a 認証入力部