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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-03
(45)【発行日】2023-02-13
(54)【発明の名称】透明液状クレンジング化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/31 20060101AFI20230206BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20230206BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20230206BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20230206BHJP
   A61K 8/39 20060101ALI20230206BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20230206BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20230206BHJP
   A61K 8/891 20060101ALI20230206BHJP
   A61Q 1/14 20060101ALI20230206BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20230206BHJP
   C11D 1/74 20060101ALI20230206BHJP
   C11D 3/18 20060101ALI20230206BHJP
   C11D 3/20 20060101ALI20230206BHJP
   C11D 3/37 20060101ALI20230206BHJP
   C11D 17/08 20060101ALI20230206BHJP
【FI】
A61K8/31
A61K8/02
A61K8/34
A61K8/37
A61K8/39
A61K8/81
A61K8/86
A61K8/891
A61Q1/14
A61Q19/10
C11D1/74
C11D3/18
C11D3/20
C11D3/37
C11D17/08
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019127840
(22)【出願日】2019-07-09
(65)【公開番号】P2021011465
(43)【公開日】2021-02-04
【審査請求日】2022-03-10
(73)【特許権者】
【識別番号】390011442
【氏名又は名称】株式会社マンダム
(72)【発明者】
【氏名】澤田 彰子
【審査官】池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-058499(JP,A)
【文献】特開2014-224061(JP,A)
【文献】特開2016-216412(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
C11D 1/00-19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の成分A、成分B、成分C、成分D、成分E、成分F、および成分Gを含有し、
成分Cの含有量が0.5~3.8質量%であり、
成分Dの含有量が0.5~5.0質量%であり、
成分Eの含有量が10~40質量%であり、
成分Fの含有量が15~50質量%である透明液状クレンジング化粧料。
成分A:水
成分B:ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル及びポリオキシエチレン脂肪酸から選ばれる1種以上の非イオン性界面活性剤
成分C:軽質イソパラフィン
成分D:25℃における動粘度が20cSt以下のジメチコン
成分E:成分C以外の炭化水素油および脂肪酸エステル油からなる群から選ばれる1種以上の油剤
成分F:多価アルコール
成分G:必須のモノマー成分として、(メタ)アクリル酸、及び(メタ)アクリル酸アルキルエステルからなる群から選ばれる1種以上のモノマー、並びに(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンアルキルエーテル、イタコン酸ポリオキシエチレンアルキルエーテル、及びネオデカン酸ビニルからなる群から選ばれる1種以上のモノマーとを用いて得られるポリマー
【請求項2】
さらに、下記成分Hを含有する請求項1記載の透明液状クレンジング化粧料。
成分H:必須のモノマー成分として、(メタ)アクリル酸および(メタ)アクリル酸アルキルエステルからなる群から選ばれる2種以上のモノマーを用いて得られるポリマー
【請求項3】
成分Eが、流動イソパラフィンおよび/または流動パラフィンを含む請求項1または2記載の透明液状クレンジング化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は透明液状クレンジング化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
クレンジング化粧料は、油性クレンジング化粧料と水性クレンジング化粧料に大別することができる。油性クレンジンング化粧料は、多量の油性成分を含有することから、メイク汚れと馴染みが良く、優れたクレンジング力を発揮する。その反面、一旦浮き出たメイク汚れが皮膚に再付着したり、クレンジング後の肌に油性成分特有のべたつき感が残り、使用感が悪いという欠点がある。
【0003】
一方で水性クレンジング化粧料は、油性成分の含有量が少量であることから、さっぱりとした使用感が得られる反面、メイク汚れとの馴染みに優れず、クレンジング力に劣るという欠点を有している。
【0004】
そのため近年では、油性感が低い使用感であるにもかかわらず、高いクレンジング作用を有するとされる、油相と水相とが連続相を形成したバイコンティニュアスマイクロエマルション構造を形成したクレンジング化粧料が多数提案されている(例えば、特許文献1~4を参照)。
【0005】
しかしながら、バイコンティニュアスマイクロエマルション構造を有するクレンジング化粧料は、使用感において更なる改善を要求されている。油性成分を含有するバイコンティニュアスマイクロエマルション構造を有するクレンジング化粧料は、使用後の肌に多少の油性感が生じ、さっぱりとした使用感は得られ難く、さらには使用後の肌にツッパリ感が生じる。また、油性成分および界面活性剤による肌への刺激が生じる恐れがあることから、低刺激性に優れたクレンジング化粧料とすることも強く要求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2007-320884号公報
【文献】特開2010-280643号公報
【文献】特開2012-001597号公報
【文献】特開2013-032348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであって、高いクレンジング力を維持しながら、さっぱりとした使用感が得られ、ツッパリ感を生じず、低刺激性に優れた透明液状クレンジング化粧料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
即ち、本発明は、
〔1〕下記の成分A、成分B、成分C、成分D、成分E、成分F、および成分Gを含有し、
成分Cの含有量が0.5~3.8質量%であり、
成分Dの含有量が0.5~5.0質量%であり、
成分Eの含有量が10~40質量%であり、
成分Fの含有量が15~50質量%である透明液状クレンジング化粧料。
成分A:水
成分B:ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルおよびポリオキシエチレン脂肪酸からなる群から選ばれた1種以上の非イオン性界面活性剤
成分C:軽質イソパラフィン
成分D:25℃における動粘度が20cSt以下のジメチコン
成分E:成分C以外の炭化水素油および脂肪酸エステル油からなる群から選ばれる1種以上の油剤
成分F:多価アルコール
成分G:必須のモノマー成分として、(メタ)アクリル酸、および(メタ)アクリル酸アルキルエステルからなる群から選ばれる1種以上のモノマー、並びに(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンアルキルエーテル、イタコン酸ポリオキシエチレンアルキルエーテル、およびネオデカン酸ビニルからなる群から選ばれる1種以上のモノマーとを用いて得られるポリマー
〔2〕さらに、下記成分Hを含有する前記〔1〕記載の透明液状クレンジング化粧料、
成分H:必須のモノマー成分として、(メタ)アクリル酸およびメタアクリル酸アルキルエステルからなる群から選ばれる2種以上のモノマーを用いて得られるポリマー
〔3〕成分Eが、流動イソパラフィンおよび/または流動パラフィンを含む前記〔1〕または〔2〕記載の透明液状クレンジング化粧料
に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の透明液状クレンジング化粧料は、高いクレンジング力を維持しながら、さっぱりとした使用感が得られ、ツッパリ感を生じず、低刺激性に優れるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の透明液状クレンジング化粧料は、下記成分A、成分B、成分C、成分D、成分E、成分F、および成分Gを含有する。
【0011】
成分A:水
成分B:ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルおよびポリオキシエチレン脂肪酸からなる群から選ばれる1種以上の非イオン性界面活性剤
成分C:軽質イソパラフィン
成分D:25℃における動粘度が20cSt以下のジメチコン
成分E:成分C以外の炭化水素油および脂肪酸エステル油からなる群から選ばれる1種以上の油剤
成分F:多価アルコール
成分G:必須のモノマー成分として、(メタ)アクリル酸、および(メタ)アクリル酸アルキルエステルからなる群から選ばれる1種以上のモノマー、並びに(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンアルキルエーテル、イタコン酸ポリオキシエチレンアルキルエーテル、およびネオデカン酸ビニルからなる群から選ばれる1種以上のモノマーとを用いて得られるポリマー
【0012】
成分Aの水は、化粧料原料として使用できるものであれば特に限定されないが、通常、精製水である。本発明における成分Aの含有量は、透明液状とする観点から、化粧料中、10~50質量%が好ましく、15~40質量%がより好ましい。成分Aの含有量が10質量%未満の場合、洗い流し性が悪化する場合がある。また、50質量%を超える場合はクレンジング力が低下する恐れがある。
【0013】
成分Bは、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルおよびポリオキシエチレン脂肪酸からなる群から選ばれる1種以上の非イオン性界面活性剤である。本明細書においては、前記「ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル」を「成分B1」、前記「ポリオキシエチレン脂肪酸」を「成分B2」と称する場合がある。
【0014】
具体的な成分B1としては、例えば、ポリオキシエチレン(カプリル/カプリン酸)グリセリル、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸グリセリル、モノオレイン酸ポリオキシエチレングリセリル、モノミリスチン酸ポリオキシエチレングリセリル、モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、モノイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、ジイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリルなどが挙げられる。成分B1の酸化エチレンの平均付加モル数は特に限定されないが、クレンジング力の観点から、2~50であることが好ましく、4~20であることがより好ましい。これら成分B1は、1種を単独で用いても良く、2種以上を適宜組み合わせて用いても良い。
【0015】
具体的な成分B2としては、例えば、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、ジラウリン酸ポリエチレングリコール、モノミリスチン酸ポリエチレングリコール、モノパルミチン酸ポリエチレングリコール、ジパルミチン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、ジステアリン酸ポリエチレングリコール、モノイソステアリン酸ポリエチレングリコール、ジイソステアリン酸ポリエチレングリコール、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、ジオレイン酸ポリエチレングリコールなどが挙げられる。成分B2の酸化エチレンの平均付加モル数は特に限定されないが、クレンジング力の観点から、4~50であることが好ましく、6~20であることがより好ましい。これら成分B2は、1種を単独で用いても良く、2種以上を適宜組み合わせて用いても良い。
【0016】
成分Bの含有量は、特に限定されないが、通常、より優れたクレンジング力を発揮する観点、洗い流しを良好にする観点、並びにバイコンティニュアスマイクロエマルション構造とする観点から、化粧料中、10質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましい。また、過度の脱脂を抑えてクレンジング後のツッパリ感を抑制する観点から、40質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。前記成分Bの含有量は、本発明の透明液状クレンジング化粧料中の全ての成分Bの含有量の合計量である。
【0017】
成分Cは、軽質イソパラフィンである。本明細書において軽質イソパラフィンとは、主にイソパラフィンからなる炭化水素の混合物であり、医薬部外品原料規格比重測定法、第1法Aにより測定される比重(20/20℃)が、0.715~0.790のものをいう。
【0018】
成分Cの含有量は、優れたクレンジング力を発揮する観点、さっぱりとした使用感の観点から、化粧料中、0.5質量%以上であり、0.8質量%以上が好ましく、1.2質量%以上がより好ましい。また、過度の脱脂を抑えてクレンジング後のツッパリ感を抑制する観点、低刺激性の観点から、3.8質量%以下であり、3.5質量%以下が好ましく、3.2質量%以下がより好ましい。
【0019】
成分Dは、25℃における動粘度が20cSt以下のジメチコンである。ジメチコンとは、INCI名(International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook,第16版,第1巻,CTFA,2016年,p.1090):DIMETHICONEで表記される化合物であり、ジメチルポリシロキサンや、ポリジメチルシロキサンとも称される。
【0020】
成分Dの25℃における動粘度は、さっぱりとした使用感の観点、洗い流し性の観点から20cSt以下であり、15cSt以下が好ましく、10cSt以下がより好ましい。また、25℃における動粘度の下限は特に限定されないが、2cSt以上が好ましく、3cSt以上がより好ましい。
【0021】
成分Dの含有量は、より優れたクレンジング力を発揮する観点、さっぱりとした使用感の観点、洗い流し性の観点から、化粧料中、0.5質量%以上であり、0.8質量%以上が好ましく、1.2質量%以上がより好ましい。また、洗い流し性の悪化を抑制し、さっぱりとした使用感が得られることから、5.0質量%以下であり、4.0質量%以下が好ましい。
【0022】
成分Dの市販品としては、東レ・ダウコーニング(株)製のDOWSIL(登録商標)シリーズ、信越化学工業(株)製のKF-96シリーズ等が挙げられる。
【0023】
成分Eは、成分C以外の炭化水素油および脂肪酸エステル油からなる群から選ばれる1種以上の油剤である。本明細書においては、前記「成分C以外の炭化水素油」を「成分E1」、前記「脂肪酸エステル油」を「成分E2」と称する場合がある。
【0024】
具体的な成分E1としては、例えば、α-オレフィンオリゴマー、軽質流動イソパラフィン、合成スクワラン、植物性スクワラン、スクワラン、セレシン、固形パラフィン、ポリエチレン末、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャー・トロプシュワックス、流動イソパラフィン、流動パラフィン、ポリエチレンワックス、ワセリンなどが挙げられる。これら成分E1は、1種を単独で用いても良く、2種以上を適宜組み合わせて用いても良い。なかでも、流動イソパラフィンおよび/または流動パラフィンを含有することが、より優れたクレンジング力の観点から好ましい。
【0025】
具体的な成分E2としては、例えば、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、パルミチン酸セチル、ステアリン酸ステアリル、オレイン酸デシル、オレイン酸オレイル、ミリスチン酸オクチルドデシル、オレイン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸エチル、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸プロピレングリコール、2-エチルヘキサン酸セチル、2-エチルヘキサン酸セトステアリル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、トリオクタン酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリ2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、オクタン酸セチル、オクタン酸イソセチル、オクタン酸イソステアリル、セバシン酸イソステアリル、イソステアリン酸オクチルドデシル、ジメチルオクタン酸オクチルドデシルなどが挙げられる。これら成分E2は、1種を単独で用いても良く、2種以上を適宜組み合わせて用いても良い。
【0026】
成分Eは化粧料中に溶解させることができればその形状は、特に限定されないが、安定性の観点、およびより優れたクレンジング力の観点から、融点が30℃以下の油剤であることが好ましい。
【0027】
成分Eの含有量は、特に限定されないが、通常、より優れたクレンジング力の観点から、化粧料中、10質量%以上が好ましく、12質量%以上がより好ましい。また、洗い流し性の悪化に伴うクレンジング後のべたつき感の観点から、40質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。成分Eの含有量は、本発明の透明液状クレンジング化粧料中の全ての成分Eの含有量の合計量である。
【0028】
また、成分Eが、流動イソパラフィンおよび/または流動パラフィンを含む場合、流動イソパラフィンおよび/または流動パラフィンの含有量は、より優れたクレンジング力の観点から、化粧料中、1.0質量%以上が好ましく、3.0質量%以上がより好ましい。また、バイコンティニュアスマイクロエマルション構造を安定化させる観点から、12.0質量%以下が好ましく、8.0質量%以上がより好ましい。
【0029】
成分Fの多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、ポリエチレングリコール、高重合ポリエチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリン、濃グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、グルコース、マルトース、マルチトール、スクロース、マンニトール、ソルビトール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール、1,2-デカンジオールなどが挙げられる。これら成分Fは、1種を単独で用いても良く、2種以上を適宜組み合わせて用いても良い。
【0030】
成分Fの含有量は、特に限定されないが、通常、使用感の観点から、化粧料中、10質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましい。また、バイコンティニュアスマイクロエマルション構造とする観点から、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましい。成分Fの含有量は、本発明の透明液状クレンジング化粧料中の全ての成分Fの含有量の合計量である。
【0031】
成分Gは、必須のモノマー成分として、(メタ)アクリル酸および(メタ)アクリル酸アルキルエステルから選ばれたモノマーと、(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンアルキルエーテル、イタコン酸ポリオキシエチレンアルキルエーテルおよびネオデカン酸ビニルから選ばれたモノマーとを用いて得られるポリマーである。
【0032】
具体的な成分Gとしては、例えば、INCI名(International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook,第14版,第1巻,CTFA,2012年,p.66~67)で「ACRYLATES/STEARETH-20 METHACRYLATE COPOLYMER((アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス-20)コポリマー)」と表記される化合物;INCI名(International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook,第14版,第1巻,CTFA,2012年,p.67)で「ACRYLATES/STEARETH-20 METHACRYLATE CROSSPOLYMER((アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス-20)クロスポリマー)」と表記される化合物;INCI名(International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook,第14版,第1巻,CTFA,2012年,p.57)で「ACRYLATES/BEHENETH-25 METHACRYLATE COPOLYMER((アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス-25)コポリマー)」と表記される化合物;INCI名(International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook,第14版,第1巻,CTFA,2012年,p.68~69)で「ACRYLATES/VINYL NEODECANOATE CROSSPOLYMER((アクリレーツ/ネオデカン酸ビニル)クロスポリマー)」と表記される化合物;INCI名(International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook,第14版,第1巻,CTFA,2012年,p.66)で「ACRYLATES/STEARETH-20 ITACONATE COPOLYMER((アクリレーツ/イタコン酸ステアレス-20)コポリマー)」と表記される化合物;INCI名(International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook,第14版,第1巻,CTFA,2012年,p.60)で「ACRYLATES/CETETH-20 ITACONATE COPOLYMER((アクリレーツ/イタコン酸セテス-20)コポリマー)」と表記される化合物が挙げられる。これら成分Gは、1種を単独で用いても良く、2種以上を適宜組み合わせて用いても良い。
【0033】
成分Gの市販品としては、例えば、ダウケミカル社製、商品名「アキュリン22」、商品名「アキュリン88」、商品名「アキュリン28」および商品名「アキュリン38」;アクゾノーベル社製、商品名「STRUCTURE 2001」および商品名「STRUCTURE 3001」などが挙げられる。
【0034】
成分Gは、通常、塩基性物質で中和して用いられる。塩基性物質としては、例えば、トリエタノールアミン、モノエタノールアミンなどのアルカノールアミン類、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの無機塩基、アルギニンなどの塩基性アミノ酸などが挙げられる。また、塩基性物質の添加量は、上記成分Gを中和するのに充分な量であり、上記成分Gの使用量に応じて適宜配合すれば良い。
【0035】
成分Gの含有量は、特に限定されないが、通常、保管時の製剤安定性を高める観点、塗布時の垂れ落ち抑制を高める観点、クレンジング力の観点、並びに肌との摩擦を低減する観点から、化粧料中、0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましい。また、使用感の観点から、2.0質量%以下が好ましく、1.5質量%以下がより好ましい。
【0036】
また、本発明の透明液状クレンジング化粧料は、製剤安定性を高める観点、より優れたクレンジング力の観点から、所定のポリマーである成分Hを含有することが好ましい。成分Hは、必須のモノマー成分として、メタアクリル酸およびメタアクリル酸アルキルエステルからなる群から選ばれる2種以上のモノマーを用いて得られるポリマーである。
【0037】
具体的な成分Hとしては、例えば、INCI名(International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook,第14版,第1巻,CTFA,2012年,p.60~61)で「ACRYLATES COPOLYMER(アクリレーツコポリマー)」と表記される化合物が挙げられる。
【0038】
上記成分Hの市販品としては、例えば、ダウケミカル社製、商品名「アキュリン33」、商品名「アキュリン33A」などが挙げられる
【0039】
上記成分Hは、通常、塩基性物質で中和して用いられる。塩基性物質としては、例えば、トリエタノールアミン、モノエタノールアミンなどのアルカノールアミン類、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの無機塩基、アルギニンなどの塩基性アミノ酸などが挙げられる。また、塩基性物質の添加量は、上記成分Hを中和するのに充分な量であり、上記成分Hの使用量に応じて適宜配合すれば良い。
【0040】
成分Hを含有する場合の含有量は、特に限定されないが、製剤安定性を高める観点、並びに塗布時の垂れ落ち抑制を更に高めるとともに、クレンジング力の観点から、化粧料中、0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましい。また、使用感の観点から、2.0質量%以下が好ましく、1.5質量%以下がより好ましい。前記成分Hの含有量は、本発明の透明液状クレンジング化粧料中の全ての成分Hの含有量の合計量である。
【0041】
さらに、本発明に係る透明液状クレンジング化粧料には、クレンジング力を更に高める観点、および洗い流し性を更に高める観点から、陰イオン性界面活性剤を含有させることもできる。具体的な陰イオン性界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ミリスチル硫酸ナトリウム、ステアリル硫酸ナトリウム、オレイル硫酸ナトリウム、セチル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル硫酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩;テトラデセンスルホン酸ナトリウムなどのα-オレフィンスルホン酸塩;ミリストイルメチルタウリンナトリウム、パルミトイルメチルタウリンナトリウム、ステアロイルメチルタウリンナトリウム、オレオイルメチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウムなどのN-アシルメチルタウリン塩;スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、スルホコハク酸ラウリルニナトリウムなどのスルホコハク酸アルキル塩;スルホコハク酸ポリオキシエチレンラウリル二ナトリウムなどのスルホコハク酸ポリオキシエチレンアルキル塩;ラウリルリン酸ナトリウム、セチルリン酸ナトリウム、セチルリン酸ジエタノールアミンなどのモノアルキルリン酸エステル塩;ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンセチルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸トリエタノールアミンなどのポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩;ラウロイルサルコシンカリウム、ラウロイルサルコシントリエタノールアミン、ミリストイルサルコシンナトリウム、ヤシ油脂肪酸サルコシンナトリウムなどのN-アシルサルコシン塩;ラウロイルメチルアラニンナトリウム、ラウロイルメチルアラニントリエタノールアミン、ミリストイルメチルアラニンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルアラニンナトリウムなどのN-アシル-N-メチル-β-アラニン塩;ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルグルタミン酸トリエタノールアミン、ミリストイルグルタミン酸ナトリウム、ステアロイルグルタミン酸カリウム、ステアロイルグルタミン酸ニナトリウム、ヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸トリエタノールアミンなどのN-アシルグルタミン酸塩;ヤシ油脂肪酸アシルグリシンカリウム、ヤシ油脂肪酸アシルグリシンナトリウムなどのN-アシルグリシン塩;ラウリルグリコール酢酸ナトリウム(ドデカン-1,2-ジオール酢酸ナトリウム)、ラウリルグリコール酢酸カリウム、ミリスチルグリコール酢酸ナトリウム、ミリスチルグリコール酢酸カリウム、パルミチルグリコール酢酸ナトリウム、パルミチルグリコール酢酸カリウム、ステアリルグリコール酢酸ナトリウム、ステアリルグリコール酢酸カリウム、ベヘニルグリコール酢酸ナトリウム、ベヘニルグリコール酢酸カリウムなどのアルキルエーテルグリコール酢酸塩などを例示することができる。これら成分は、1種を単独で用いても良く、2種以上を適宜組み合わせて用いても良い。
【0042】
陰イオン性界面活性剤を含有する場合の含有量は、特に限定されないが、通常、クレンジング力を更に高める観点から、化粧料中、0.1質量%以上が好ましく、0.3質量%以上がより好ましい。また、安全性および刺激性の観点から、5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましい。前記陰イオン性界面活性剤の含有量は、本発明の透明液状クレンジング化粧料中の全ての陰イオン性界面活性剤の含有量の合計量である。
【0043】
本発明に係る透明液状クレンジング化粧料には、本発明の効果を損なわない範囲であれば、上記に記した成分の他、例えば、ヒマワリ油、綿実油、大豆油、オリーブ油、ヤシ油、ヒマシ油、ホホバ油、椿油、ミンク油など油脂;カルナウバロウ、キャンデリラロウ、ミツロウ、コメヌカロウ、セラックロウ、鯨ロウ、ラノリンなどのロウ類;ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸、ウンデシレン酸、ラノリン酸、イソステアリン酸など高級脂肪酸;ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ラノリンアルコール、ベヘニルアルコール、セトステアリルアルコール、オクチルデカノール、デシルテトラデカノールなどの高級アルコール;オクタメチルトリシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン、メチルポリシロキサン、高重合メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサンなどのストレートシリコーン;アルコール変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、エポキシ変性シリコーンなどの変性シリコーン;メチルシクロポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサンなどの環状シリコーン;合成ケイ酸塩、その誘導体などの粘土鉱物;グルコース、マンノース、ラムノース、アガロース、ラクトース、ラムノース、ガラクトース、アラビノース、キシロースなどの酸性多糖増粘剤;メントール、メンチルグリセリルエーテル、カンファなどの清涼剤;フェノキシエタノール、グリセリンモノ-2-エチルヘキシルエーテルなどの防腐剤;抗酸化剤、金属封鎖剤、ビタミン類、動植物抽出エキス、パール化剤、着色剤、各種香料などを目的に応じて適宜配合しても良い。
【0044】
本発明のクレンジング化粧料の外観は透明である。本発明における透明とは、白濁などの濁りが生じていないものを言う。
【0045】
上記した本発明の透明液状クレンジング化粧料は、バイコンティニュアスマイクロエマルション構造を有する。本発明においては、バイコンティニュアスマイクロエマルション構造とすることにより、本発明の効果を最大に発揮させることができるようになる。より具体的には、濡れ手での使用であっても手から垂れ落ちにくいため使用性が良く、優れたクレンジング力を発揮するとともに、クレンジング後は洗い流しが良く、さっぱりとした使用感が得られ、ツッパリ感を生じないという優れた使用感を発揮させることができる。
【0046】
本発明の透明液状クレンジング化粧料の製造方法は、特に限定されないが、例えば、公知の方法により製造することができる。具体的には、例えば、上記した成分を加えて、ディスパーミキサー、パドルミキサーなどの公知の混合装置を用いて混合する方法などが挙げられるが、本発明はこれら製造方法にのみ限定されるものではない。
【実施例
【0047】
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。尚、配合量は特記しない限り「質量%」を表す。また、配合成分は、純分に換算した。
【0048】
試料の調製
表1~2記した組成に従い、実施例1~6および比較例1~4のクレンジング化粧料を調製した。各クレンジング化粧料に使用した主な成分を以下に示す。
【0049】
モノイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル:商品名「ブラウノン RGL-8MISE」、オキシエチレン基の平均付加モル数8、青木油脂工業社製
軽質イソパラフィン:商品名「マルカゾールR」、丸善石油化学社製
メチルポリシロキサン:商品名「DOWSIL SH200 C FLUID 5CS」、25℃における動粘度5cSt、東レ・ダウコーニング社製
流動イソパラフィン:商品名「パールリームEX」、日油社製
イソステアリン酸プロピレングリコール:商品名「イソステアリンサンPG」、青木油脂工業社製
パルミチン酸イソプロピル:商品名「SR クロダモル IPP」、クローダジャパン社製
ポリマー1:商品名「アキュリン22」、(アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス-20)コポリマー(30質量%水溶液)、ダウケミカル社製
ポリマー2:商品名「アキュリン33A」、アクリレーツコポリマー(28質量%水溶液)、ダウケミカル社製
【0050】
各クレンジング化粧料を下記評価試験に供した。結果をそれぞれ表1~2に併記する。
【0051】
評価試験
メイクを施している女性官能評価パネル3名により、実施例および比較例で得られた各試料を実際にメイクアップ除去剤の形態で使用してもらった。具体的には、試料2gを塗布後、メイク汚れに十分馴染ませ、指先で小さな円を描くように1分間クレンジングを施してもらい、その後温水で十分に洗い流し、タオルドライにより水分を拭き取ってもらった。
【0052】
使用感およびクレンジング機能の評価は、塗布時の「クレンジング力」および「刺激性」、洗浄時の「洗い流し性」、並びに洗浄後の「さっぱり感」および「ツッパリ感」について行い、以下の評価基準に従って官能評価した。
【0053】
<クレンジング力の評価基準>
◎(非常に良好):メイク馴染みに優れ、クレンジング力が高い。
○(良好):◎には劣るがメイク馴染みに優れ、充分なクレンジング力を有する。
×(不良):メイク馴染みに劣り、クレンジング力が不十分である。
【0054】
<刺激性の評価基準>
◎(非常に良好):刺激を全く感じない。
○(良好):かすかな刺激を感じる。
×(不良):はっきりとした刺激を感じる。
【0055】
<洗い流し性の評価基準>
◎(非常に良好):1~4回のすすぎで洗い流しが完了する。
○(良好):5~9回のすすぎで洗い流しが完了する。
×(不良):10回のすすぎでは、洗い流しが完了しない。
【0056】
<洗浄後のさっぱり感の評価基準>
◎(非常に良好):油性感およびべたつきが全く感じられず、さっぱり感が得られる。
○(良好):かすかに油性感またはべたつきを感じるが、充分なさっぱり感が得られる。
×(不良):明らかに油性感またはべたつきが感じられ、使用感が悪い。
【0057】
<洗浄後のツッパリ感の評価基準>
◎(非常に良好):ツッパリ感が全く感じられない。
○(良好):かすかにツッパリ感を感じるが、充分に使用可能である。
×(不良):明らかにツッパリ感が感じられ、仕様感が悪い。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】
以下に、本発明の皮膚洗浄剤組成物の透明液状クレンジング化粧料を示す。
処方例1
イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル 23.5質量%
軽質イソパラフィン 3.2質量%
ジメチルポリシロキサン(25℃の動粘度:5cSt) 3.0質量%
流動イソパラフィン 5.0質量%
イソステアリン酸プロピレングリコール 2.2質量%
ミリスチン酸イソプロピル 10.0質量%
グリセリン 4.0質量%
1,3-ブチレングリコール 10.0質量%
ジプロピレングリコール 20.0質量%
PEG-8 1.0質量%
(アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス-20)コポリマー) 0.5質量%
アクリル酸アルキルコポリマー 0.4質量%
フェノキシエタノール 0.1質量%
香料 0.2質量%
水酸化カリウム 適 量
水 残 部
合計 100.0質量%