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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-03
(45)【発行日】2023-02-13
(54)【発明の名称】車両用ドアパネル
(51)【国際特許分類】
   B60J 5/04 20060101AFI20230206BHJP
   B60R 13/08 20060101ALI20230206BHJP
   B60J 5/10 20060101ALI20230206BHJP
【FI】
B60J5/04 R
B60R13/08
B60J5/10 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018241480
(22)【出願日】2018-12-25
(65)【公開番号】P2020100361
(43)【公開日】2020-07-02
【審査請求日】2021-10-14
(73)【特許権者】
【識別番号】390026538
【氏名又は名称】ダイキョーニシカワ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中下 孝行
(72)【発明者】
【氏名】近兼 裕也
(72)【発明者】
【氏名】吉田 武
【審査官】上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-160525(JP,A)
【文献】特開2012-061957(JP,A)
【文献】特開平03-014777(JP,A)
【文献】特開2007-245759(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 5/04
B60R 13/08
B60J 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂製アウターパネル(12)と、
上記樹脂製アウターパネル(12)の少なくとも周縁部(12a)に接着されて該樹脂製アウターパネル(12)との間に第1空間部(14)を形成する樹脂製インナーパネル(13,113)と、
少なくとも車両側のドア開口縁部(6)に取り付けられたシール材(5)と、
上記第1空間部(14)の上記樹脂製インナーパネル(13,113)に取り付けられ、少なくとも上記樹脂製インナーパネル(13,113)の周縁部と上記シール材(5)とが当接する位置よりも車内側へ延長されて設けられた第1防音材(16)とを備えており、
上記第1防音材(16)は、上記樹脂製インナーパネル(13,113)の下辺部から両側辺部に至る範囲に設けられている
ことを特徴とする車両用ドアパネル(10,110)。
【請求項2】
上記樹脂製アウターパネル(12)に取り付けられる第2防音材(15,115)をさらに備え、
上記第2防音材(15,115)及び上記第1防音材(16)は、上記周縁部(12a)で互いに当接又は圧接しており、
上記第1防音材(16)が、上記シール材(5)が上記樹脂製インナーパネル(13,113)に当接する位置よりも車内側へ延長して設けられている
ことを特徴とする請求項1の車両用ドアパネル(10,110)。
【請求項3】
上記第1空間部(14)における上記樹脂製アウターパネル(12)と上記樹脂製インナーパネル(13,113)とが当接又は圧接する部分は、他の領域よりも狭い空間よりなる狭間部(17)が形成されている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用ドアパネル(10,110)。
【請求項4】
樹脂製アウターパネル(12)と、
上記樹脂製アウターパネル(12)の少なくとも周縁部(12a)に接着されて該樹脂製アウターパネル(12)との間に第1空間部(14)を形成する樹脂製インナーパネル(13,113)と、
上記樹脂製アウターパネル(12)の周縁部内側で
上記樹脂製インナーパネル(13,113)及び上記樹脂製アウターパネル(12)の少なくとも一方と車室内側との間に第2空間部(18)を形成するインナートリム(19)と、
上記第1空間部(14)に設けられ、上記樹脂製アウターパネル(12)に取り付けられる第2防音材(15,115)と、
上記第2空間部(18)に設けられ、上記樹脂製インナーパネル(13,113)に、又は、該樹脂製インナーパネル(13,113)及び上記樹脂製アウターパネル(12)の両方に取り付けられる第3防音材(120)とを備え、
上記樹脂製インナーパネル(13,113)は、車室内側から車室外方向に延びて先端が上記樹脂製アウターパネルと接着された上記第1空間部(14)と第2空間部(18)との仕切壁(13a,113a)を有し、
上記第2防音材(15,115)は、上記第2空間部(18)側の端部に設けられ、上記仕切壁(13a,113a)と接触する当接部(15a,115a)を有し、
上記第3防音材(120)は、上記仕切壁(13a,113a)の上記当接部(15a,115a)における車室内側を覆っている
ことを特徴とする車両用ドアパネル(10,110)。
【請求項5】
上記当接部において、
上記樹脂製インナーパネル(13,113)の仕切壁(13a,113a)が棚状に設けられ、
上記第2防音材(15,115)が上記樹脂製アウターパネル(12)と上記樹脂製インナーパネル(13,113)との間に挟まれている
ことを特徴とする請求項4に記載の車両用ドアパネル(10,110)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂製の車両用ドアパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両軽量化の目的もあり、樹脂製の車両用ドアパネルが用いられている。この種の車両用ドアパネルは、樹脂製であるために軽量化を図ることはできるが、板金よりも質量の小さい樹脂は音を通しやすいので、騒音対策が必要になる。
【0003】
そこで、樹脂製アウターパネルと樹脂製インナーパネルとの間の空間に防音マットを配置することは知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-245759号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、更なる軽量化のニーズにより、樹脂製ドアパネルを更に薄肉化すると、騒音の問題は顕著になる。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、防音材を適切に配置し、車内への騒音の侵入を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、この発明では、防音材の配置に工夫を加えた。
【0008】
具体的には、第1の発明の車両用ドアパネルは、
樹脂製アウターパネルと、
上記樹脂製アウターパネルの少なくとも周縁部に接着されて該樹脂製アウターパネルとの間に第1空間部を形成する樹脂製インナーパネルと、
少なくとも車両側のドア開口縁部に取り付けられたシール材と、
上記第1空間部の上記樹脂製インナーパネルに取り付けられ、少なくとも上記樹脂製インナーパネルの周縁部と上記シール材とが当接する位置よりも車内側へ延長されて設けられた第1防音材とを備えている。
【0009】
上記の構成によると、防音材がシール材の奥まで延長されているので、車両用ドアパネルの車体とのラップ部分から車内に侵入する騒音が効果的に抑えられる。
【0010】
第2の発明では、第1の発明において、
上記樹脂製アウターパネルに取り付けられる第2防音材を更に備え、
上記第2防音材及び上記第1防音材は、上記周縁部で互いに当接又は圧接しており、
上記第1防音材が、上記シール材が上記樹脂製インナーパネルに当接する位置よりも車内側へ延長して設けられている。
【0011】
上記の構成によると、第1防音材と第2防音材とが周縁部で互いに当接又は圧接して隙間なく配置されると共に、第1防音材がシール材の奥まで延長されているので、車両用ドアパネルの車体とのラップ部分から車内に侵入する騒音がさらに効果的に抑えられる。
【0012】
第3の発明では、第1又は第2の発明において、
上記第1空間部における上記樹脂製アウターパネルと上記樹脂製インナーパネルとが当接又は圧接する部分は、他の領域よりも狭い空間よりなる狭間部が形成されている。
【0013】
上記の構成によると、狭間部において第1防音材と第2防音材とのラップ代を大きく確保できるので、隙間がなくなって防音性が高められる。また、狭間部と接着部とを重ならないように配置しやすくなるので、樹脂製アウターパネルと樹脂製インナーパネルとの接着作業の邪魔になりにくい。
【0014】
第4の発明の車両用ドアパネルは、
樹脂製アウターパネルと、
上記樹脂製アウターパネルの少なくとも周縁部に接着されて該樹脂製アウターパネルとの間に第1空間部を形成する樹脂製インナーパネルと、
上記樹脂製アウターパネルの周縁部内側で
上記樹脂製インナーパネル及び上記樹脂製アウターパネルの少なくとも一方と車室内側との間に第2空間部を形成するインナートリムと、
上記第1空間部に設けられ、上記樹脂製アウターパネルに取り付けられる第2防音材と、
上記第2空間部に設けられ、上記樹脂製インナーパネルに、又は、該樹脂製インナーパネル及び上記樹脂製アウターパネルの両方に取り付けられる第3防音材とを備え、
上記樹脂製インナーパネルは、車室内側から車室外方向に延びて先端が上記樹脂製アウターパネルと接着された上記第1空間部と第2空間部との仕切壁を有し、
上記第2防音材は、上記第2空間部側の端部に設けられ、上記仕切壁と接触する当接部を有し、
上記第3防音材は、上記仕切壁の上記当接部における車室内側を覆っている。
【0015】
上記の構成によると、仕切壁の樹脂製アウターパネルとの接着部と反対側の車室側を第3防音材で覆うようにしているので、樹脂製アウターパネルと樹脂製インナーパネルとの接着作業を邪魔することなく第3防音材と第2防音材とのラップ代を確保しやすい。このため、樹脂製アウターパネルと樹脂製インナーパネルとの接着部周辺から車内に騒音が侵入することが効果的に抑えられる。
【0016】
第5の発明では、第4の発明において、
上記当接部において、
上記樹脂製インナーパネルの仕切壁が棚状に設けられ、
上記第2防音材が上記樹脂製アウターパネルと上記樹脂製インナーパネルとの間に挟まれている。
【0017】
上記の構成によると、棚状の部分において第2防音材及び第3防音材のラップ代を大きくできるので、防音性が高まる。また、接着部と棚部における当接部とを容易に離すことができ、樹脂製アウターパネルと樹脂製インナーパネルとの接着作業の邪魔になりにくい。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明によれば、防音材を適切に配置し、車内への騒音の侵入を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図2のI-I線拡大断面図である。
図2】本発明の実施形態1に係る車両用ドアパネルを示す斜視図である。
図3図2のIII-III線拡大断面図である。
図4】左半分に各防音材の取付範囲を示す内装トリムを取り外した状態の車両用ドアパネルの正面図である。
図5】本発明の実施形態2に係る図1相当断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
(実施形態1)
図2は本発明の実施形態1の車両用ドアパネル10を有する自動車1の後部を示し、この自動車1は、金属製のフレームよりなる車体2(実際には図2にその外観は現れない)を備え、その後端下部に樹脂製バンパー3が設けられている。図1にも示すように、車体2の内側は、内装トリム4等で覆われている。
【0022】
車両用ドアパネル10は、例えば、自動車1のバックドアよりなる。車両用ドアパネル10は、自動車1の後端上側に設けた水平に延びるヒンジ軸(図示せず)を中心に上下に回動可能に構成されている。車両用ドアパネル10の上側背面全体が、例えば外周周辺部が黒色に着色された強化ガラス11で覆われている。
【0023】
図1及び図3に断面を拡大して示すように、車両用ドアパネル10は、例えば、GFRP(ガラス繊維強化樹脂)、タルク入りポリプロピレン樹脂、PC-ABS(ポリカーボネイト・エービーエスアロイ樹脂)等の樹脂成形品よりなる樹脂製アウターパネル12を備えている。この樹脂製アウターパネル12の少なくとも周縁部12aにおいて、例えばCFRP(炭素繊維強化樹脂)、GFRP、射出成形が可能なガラス繊維強化ポリプロピレン樹脂、射出成形が可能な炭素繊維強化ポリプロピレン樹脂等の樹脂成形品よりなる樹脂製インナーパネル13がウレタン樹脂系接着剤等よりなる接着剤21によって接着されている。このことで、樹脂製インナーパネル13と樹脂製アウターパネル12との間に所定厚さの第1空間部14が形成されている。この構成により、車両用ドアパネル10の軽量化が図られるが、防音性については十分ではない。
【0024】
そこで、図1図3及び図4に示すように、この第1空間部14には、樹脂製アウターパネル12の周縁部12aに沿う内面(図4に示す外側のハッチング領域)に取り付けられる形で、シート状の第2防音材15が貼り付けられている。例えば、この第2防音材15は、ポリエチレン、ポリエステルやポリプロピレン等の微細繊維不織シート、発泡ウレタンシート、フェルト又はこれらにアルミフィルムをラミネートしたものよりなり、両面テープ、接着剤等によって貼り付けられている。
【0025】
同様に、この第1空間部14には、樹脂製インナーパネル13の上記周縁部よりも内側(図4に示すハッチングの領域)の第2防音材15側の面に取り付けられる形で、シート状の第1防音材16が設けられている。例えば、この第1防音材16も、第2防音材15と同様の材料よりなる。これら第2防音材15及び第1防音材16は、周縁部12aで互いに変形するように圧接している。具体的には、図1に示すように、第1空間部14における第2防音材15と第1防音材16とが圧接する部分は、樹脂製アウターパネル12と樹脂製インナーパネル13とで形成する第1空間部14が他の領域よりも狭い空間よりなる狭間部17が形成されている。この狭くなった狭間部17内において、第2防音材15と第1防音材16とが変形した圧接状態となっており、この部分は、接着剤21が塗布される部分から離れている。
【0026】
そして、図1に示すように、特に第1防音材16は、周縁部12a近傍だけでなく、車両側のドア開口縁部6に取り付けられたシール材としてのウェザーストリップ5が樹脂製インナーパネル13に当接する位置(図1にAで示す)よりも車内側(図1の下側)へ延長して設けられている。これにより、車両用ドアパネル10の車体2とのラップ部分から車内に侵入する騒音が効果的に抑えられるようになっている。
【0027】
図4にも示すように、樹脂製インナーパネル13及び樹脂製アウターパネル12とインナートリム19との間に第2空間部18を形成する状態で、インナートリム19が設けられている。なお、このインナートリム19は、例えば、矩形板状で、タルク入りポリプロピレン樹脂よりなる。樹脂製インナーパネル13は、第1空間部14と第2空間部18とを樹脂製インナーパネル13と樹脂製アウターパネル12との接着部(接着剤21で示す)において仕切壁13aとなって仕切っている。また、第2防音材15の第2空間部18側の端部には、樹脂製インナーパネル13の仕切壁13aと接触する当接部15aが形成されている。
【0028】
また、第2空間部18における、樹脂製アウターパネル12の裏面に当接する樹脂製インナーパネル13の内面(図4に示すインナートリム19が取り付けられるハッチング領域)には、シート状の第3防音材20が貼り付けられている。この第3防音材20も第2防音材15と同様の材料よりなる。
【0029】
次いで、このような車両用ドアパネル10の組付手順を簡単に説明すると、まず、図1及び図4等に示すように、樹脂製アウターパネル12の内面に第2防音材15を貼り付け、樹脂製インナーパネル13に第1防音材16を貼り付けておく。また、樹脂製インナーパネル13の所定位置に第3防音材20を貼り付けておく。
【0030】
そして、樹脂製インナーパネル13と樹脂製アウターパネル12とを接着剤21で接着する。これにより、狭間部17において第2防音材15と第1防音材16とが圧接状態となる。なお、第3防音材20は、予め樹脂製インナーパネル13に貼り付けておくのではなく、この後に貼り付けてもよい。このとき、接着剤21の塗布部分と第2防音材15及び第1防音材16の圧接部分とがずれているので、防音材が接着作業の邪魔になりにくい。また、狭間部17において第2防音材15と第1防音材16とが圧接されてラップ代を大きくできるので、防音性が高められる。
【0031】
最後にインナートリム19を嵌め込む。
【0032】
このように本実施形態では、第2防音材15、第1防音材16及び第3防音材20が隙間なく配置することができるので、車外の騒音が車内に届きにくくなる。
【0033】
したがって、本実施形態に係る車両用ドアパネル10によると、軽量な樹脂製インナーパネル13及び樹脂製アウターパネル12で構成した場合であっても、第2防音材15、第1防音材16及び第3防音材20をできるだけ隙間のないように配置し、車内への騒音の侵入を抑制することができる。
【0034】
(実施形態2)
図5は本発明の実施形態2に係る車両用ドアパネル110を示し、樹脂製インナーパネル113等の構造が異なる点で上記実施形態1と異なる。なお、本実施形態では、図1図4と同じ部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0035】
本実施形態の車両用ドアパネル110も、樹脂製アウターパネル12と、この樹脂製アウターパネル12の少なくとも周縁部12aに接着剤21によって接着され、この樹脂製アウターパネル12との間に第1空間部14を形成する樹脂製インナーパネル113とを備えている。樹脂製インナーパネル113は、実施形態1と異なって樹脂製アウターパネル12を覆う部分が狭く、樹脂製アウターパネル12の一部内面が露出している。
【0036】
本実施形態においても、樹脂製インナーパネル113と樹脂製アウターパネル12の露出した内面と、車室内側との間に第2空間部18を形成する状態で樹脂製インナーパネル113及び樹脂製アウターパネル12がインナートリム19で覆われている。本実施形態でも、樹脂製インナーパネル113は、第1空間部14と第2空間部18とを樹脂製インナーパネル113と樹脂製アウターパネル12との接着部(接着剤21で示す)において仕切壁113aとなって仕切っている。
【0037】
上記実施形態と同様に、第1空間部14における樹脂製アウターパネル12に第2防音材115が貼り付けられ、樹脂製インナーパネル113に第1防音材16が貼り付けられている。
【0038】
本実施形態では、第2空間部18において、樹脂製インナーパネル113及び樹脂製アウターパネル12の内面の両方にまたがるように第3防音材120が取り付けられている。
【0039】
第2防音材115の第2空間部18側の端部には、樹脂製インナーパネル113の仕切壁113aと接触する当接部115aが形成されている。この当接部115aにおいて、樹脂製インナーパネル113の仕切壁113aが棚状に設けられて棚部113bが形成されている。この棚部113bにおいて、そして、第2防音材115の当接部115aが樹脂製アウターパネル12と樹脂製インナーパネル113との間に挟まれている。
【0040】
更に第3防音材120は、仕切壁113aの当接部115aにおける車室内側を覆うように延長されている。なお、上記実施形態1のように樹脂製インナーパネル113が図5の左側にも延びている場合には、第3防音材120は、樹脂製インナーパネル113にのみ貼り付けられる。
【0041】
次いで、このような車両用ドアパネル110の組付手順を簡単に説明すると、まず、図5に示すように、樹脂製アウターパネル12の内面に第2防音材115を貼り付け、樹脂製インナーパネル113に第1防音材16を貼り付けておく。
【0042】
そして、樹脂製インナーパネル113と樹脂製アウターパネル12とを接着剤21で接着する。棚部113bが、接着剤21の塗布される位置とずれているので、防音材が樹脂製アウターパネル12と樹脂製インナーパネル113との接着作業の邪魔になりにくい。
【0043】
また、第3防音材120は、この後に樹脂製アウターパネル12と、当接部115aの周辺の樹脂製インナーパネル113とに貼り付ける。本実施形態では、樹脂製インナーパネル113の仕切壁113aの周辺において、第2防音材115と第3防音材120とのラップ代を大きくできるので、防音性が向上する。
【0044】
最後にインナートリム19を嵌め込む。
【0045】
このように本実施形態では、防音材が樹脂製アウターパネル12と樹脂製インナーパネル113との接着作業を邪魔することなく、樹脂製アウターパネル12と樹脂製インナーパネル113との接着部(接着剤21)周辺から車内に騒音が侵入することを抑制可能である。
【0046】
本実施形態においても、狭間部17において第2防音材15と第1防音材16とのラップ代を大きくできるので、防音性を向上させることができる。
【0047】
したがって、本実施形態に係る車両用ドアパネル110においても、第2防音材115、第1防音材16及び第3防音材120をできるだけ隙間のないように配置し、車内への騒音の侵入を抑制することができる。
【0048】
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0049】
すなわち、上記実施形態では、狭間部17において第2防音材15と第1防音材16とが圧接状態となっているが、各防音材同士は単に当接する状態で重なり合っていてもよい。
【0050】
また上記実施形態では、構成部品の各材料を例示したが、必ずしもこれに限定されない。
【0051】
更に上記実施形態では、車両用ドアパネル10は、自動車1のバックドアとしたが、自動車以外の車両のドアパネルでもよいし、バックドアでなくてサイドドアやスライドドアであってもよい。
【0052】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物や用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【符号の説明】
【0053】
1 自動車
2 車体
3 樹脂製バンパー
4 内装トリム
5 ウェザーストリップ(シール材)
5 シール材
6 ドア開口縁部
10 車両用ドアパネル
11 強化ガラス
12 樹脂製アウターパネル
12a 周縁部
13 樹脂製インナーパネル
13a 仕切壁
14 第1空間部
15 第2防音材
15a 当接部
16 第1防音材
17 狭間部
18 第2空間部
19 インナートリム
20 第3防音材
21 接着剤
110 車両用ドアパネル
113 樹脂製インナーパネル
113a 仕切壁
113b 棚部
115 第2防音材
115a 当接部
120 第3防音材
図1
図2
図3
図4
図5