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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-03
(45)【発行日】2023-02-13
(54)【発明の名称】高輝度明白色LED光源
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/50 20100101AFI20230206BHJP
   H01L 33/48 20100101ALI20230206BHJP
   H01S 5/02 20060101ALI20230206BHJP
   F21V 9/32 20180101ALI20230206BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20230206BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20230206BHJP
   F21Y 113/13 20160101ALN20230206BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20230206BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20230206BHJP
【FI】
H01L33/50
H01L33/48
H01S5/02
F21V9/32
F21S2/00 311
G02B5/20
F21Y113:13
F21Y115:10
F21Y115:30
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018556280
(86)(22)【出願日】2017-04-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-07-11
(86)【国際出願番号】 EP2017059499
(87)【国際公開番号】W WO2017186589
(87)【国際公開日】2017-11-02
【審査請求日】2020-04-14
(31)【優先権主張番号】16167647.3
(32)【優先日】2016-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】517152128
【氏名又は名称】ルミレッズ ホールディング ベーフェー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ベヒテル,ハンス-ヘルムート
(72)【発明者】
【氏名】レーリング,エリック
【審査官】淺見 一喜
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-071667(JP,A)
【文献】特開平01-231380(JP,A)
【文献】特表2003-514401(JP,A)
【文献】特開2004-128502(JP,A)
【文献】特開2004-214592(JP,A)
【文献】特開2005-347263(JP,A)
【文献】特表2008-521239(JP,A)
【文献】特開2012-243624(JP,A)
【文献】特表2013-535797(JP,A)
【文献】特開2014-049678(JP,A)
【文献】特表2015-515133(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0001389(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0044046(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0313119(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0377430(US,A1)
【文献】特開2010-129993(JP,A)
【文献】特開2013-098427(JP,A)
【文献】特開2013-016567(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0014715(US,A1)
【文献】特開2012-114116(JP,A)
【文献】特表2017-523600(JP,A)
【文献】特開2009-266974(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00-33/64
H01S 5/00-5/50
F21V 9/32
F21S 2/00
G02B 5/20
F21Y 113/13
F21Y 115/10
F21Y 115/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光ダイオード又は発光デバイス(LED)パッケージであって、
基板;
該基板の上にあり、第1LEDと該第1LED上の波長変換器とを含む白色LEDであり、前記第1LEDが前記基板の上に取り付けられている青色LEDダイである、白色LED;及び
前記波長変換器上に配置され、前記第1LEDの上にあり、かつ可視スペクトル内にピーク波長を有する光を発光するように構成されたバイオレットLED;
を含み、
前記バイオレットLEDが前記波長変換器に直接取り付けられ、前記波長変換器が前記第1LEDに直接取り付けられ、前記波長変換器は前記バイオレットLEDと前記第1LEDとの間にある、
パッケージ。
【請求項2】
請求項1に記載のパッケージであり、
前記波長変換器が、セラミック蛍光体を含む、
パッケージ。
【請求項3】
請求項2に記載のパッケージであり、さらに
前記青色LEDダイ及び前記波長変換器の横方向表面の上に反射性側部コーティングを含む、パッケージ。
【請求項4】
発光ダイオード又は発光デバイス(LED)パッケージのための光生成方法であって、
基板の上に取り付けられている青色LEDダイと、前記青色LEDダイの上に取り付けられている波長変換器とを含む白色LEDを用いて白色光を生成するステップ;及び
バイオレットLEDを用いてバイオレット光を生成するステップであり、前記バイオレットLEDが、前記波長変換器の上に位置され、かつ可視スペクトル内にピーク波長を有する光を発光するように構成されている、ステップ;
を含む光生成方法であり、
前記青色LEDダイが前記波長変換器に直接取り付けられ、前記波長変換器が前記青色LEDダイに直接取り付けられ、前記波長変換器は前記バイオレットLEDと前記青色LEDダイとの間にある、
光生成方法
【請求項5】
請求項4に記載の光生成方法であり、
前記バイオレットLEDが前記白色LEDにより放射された光に対して透明である、
光生成方法。
【請求項6】
請求項5に記載の光生成方法であり、
前記波長変換器が、セラミック蛍光体を含む、
光生成方法。
【請求項7】
請求項6に記載の光生成方法であり、さらに
反射性側部コーティングを用いて、光を前記青色LEDダイ及び前記波長変換器の横方向の上に反射するステップを含む光生成方法。
【請求項8】
請求項1に記載のパッケージであり、
前記ピーク波長は、400nmと430nmとの間にある、パッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体発光ダイオード又は発光デバイス(LED)に関し、より詳細には、LEDランプに関する。
【背景技術】
【0002】
昼光によって照らされたとき、天然繊維から作られた布地のような未処理の白色物品は、肉眼では黄色又は象牙色に見える傾向がある。これらの繊維は、入射した白色光の青色成分を吸収し、結果として黄色がかった反射光を生じる。
【0003】
デザイナーは、蛍光増白剤(FWA)を染料、インク、さらには洗濯用洗剤などに組み込んで、布地を明るくする。これらの薬剤は、人間の目では見ることが困難な近紫外、紫色、深青色のスペクトルの波長の光子を吸収する。吸収された光子のエネルギーは、より長い波長(典型的には青色スペクトル)を有する光子の形態で布地によって再放出される。布地にFWAを組み込むことで、デザイナーは、白い布地からの反射光における青色スペクトル成分の自然な欠損を補償することができる。
【0004】
従来の白色発光ダイオード又はデバイス(LED)は、黄色発光蛍光体で覆われた青色発光LEDから白色光を生成する。そのような白色LEDは、白色物体内のFWAを活性化するための近紫外、紫色及び深青色のスペクトルにおいて十分なスペクトル内容を有していない。
【0005】
米国特許出願公開第2015/0049459号公報は、400~440nmの波長範囲に発光ピークを有する第1の発光素子と、440~460nmの波長範囲に発光ピークを有する第2の発光素子とを有する発光モジュールを開示している。第1及び第2の発光素子は、波長変換素子の下方に位置づけられる。波長変換素子は、第1の発光素子からの光を受光するように配置され、緑色から赤色の波長範囲に発光ピークを有する光を放射することができる。この発光モジュールは、「鮮明な白色」又は「明白色」(crispy white)を有する白色光をもたらす。
【発明の概要】
【0006】
本開示の1つ以上の例である発光ダイオード又はデバイス(LED)パッケージは、基板と、基板の上の白色LEDと、白色LEDの波長変換器の上方の或いは波長変換器の上方で横方向にオフセットされたバイオレットLEDとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】白色発光ダイオード又はデバイス(LED)パッケージの発光スペクトルを示す。
図2】イットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)蛍光体の吸収スペクトルと人間の目の感度曲線を示す。
図3】本開示の実例におけるバイオレットLEDを有するそのようなLEDパッケージの発光スペクトルを示す。
図4】本開示の実例のLEDパッケージを示す。
図5】本開示の実例のLEDパッケージを示す。
図6】本開示の実例のLEDパッケージを示す。
図7】本開示の実例のLEDパッケージを示す。
図8】本開示の実例のLEDパッケージを示す。
【0008】
同様の参照符号は同様の又は等しい素子等を指す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、白色発光ダイオード又はデバイス(LED)パッケージの発光スペクトルを示す。図から分かるように、430ナノメートル(nm)未満のスペクトル含有量は非常に低い。白色度Wと呼ばれる、この波長範囲における分光スペクトル含有量の測定値を以下の式により算出する。
【0010】
【数1】
【0011】
表1は、図1に示す発光スペクトルのための性能データを与える。
【0012】
【表1】
【0013】
カリフォルニア州サンノゼのLumileds社から出ている明白色(CrispWhite)テクノロジーを搭載したLUXEON チップオンボード(CoB)は、ほぼ全ての衣服、織物、塗料に含まれる蛍光増白剤を活性化するために、深い青色スペクトル内でより多くの光を提供するように設計されている。従来の白色LEDと同様に、明白色(CrispWhite)テクノロジーを採用したLUXEON CoBは、455nmの典型的なピーク波長を持つ青色LEDに依存し、黄緑色波長及び赤色波長を放射する蛍光体でコーティングしている。青色、黄緑色及び赤色光の組み合わせは、所望の白色光を生成する。
【0014】
蛍光増白剤を励起するために、明白色テクノロジーを使用したLUXEON CoBには、ピーク波長が430nm未満のバイオレット光を放射するいくつかのダイが含まれており、青色LEDとバイオレットLEDの両方を蛍光体で覆っている。第2のピークは、400nm~415nmの間の深青色である。この波長は、蛍光増白剤を刺激するのに十分短いだけでなく、蛍光増白剤で処理されていない物品で知覚される光に対してほとんど影響を与えないほど十分に眼の波長感度曲線の端に向かっている。
【0015】
蛍光体の下に青色LED及びバイオレット色LEDの両方を配置するLEDパッケージは、通常、発光領域全体を占めるはずの青色LEDのサイズ(減少)によって光束及び輝度が制限されるため、白色光束が減少するという欠点がある。その蛍光体は430nm未満の波長の光をほとんど吸収せず、人間の眼は430nm未満の波長の光に対して感度が低いので、バイオレットLEDは寄与しない。図2は、イットリウムアルミニウムガーネット(YAG)蛍光体の吸収スペクトル及び人間の眼の感度曲線を示している。
【0016】
本開示の実施例では、LEDパッケージは、青色LED、青色LEDの上方の波長変換器、及び波長変換器の上方に又は側方に配置されたバイオレットLEDを含む。図3は、本開示の実施例において、例えば405nmでピーク放射を有するバイオレットLEDを含むそのようなLEDパッケージの発光スペクトルを示す。
【0017】
表2は、図3に示す発光スペクトルについての性能データを与える。
【0018】
【表2】
【0019】
表1及び表2の両方の発光スペクトルのデータを比較すると、色点がわずかにずれることが示され、白色度Wは0.13から2.49に増加し、発光フラックスは実質的に一定のままである。
【0020】
図4は、本開示の実施例におけるLEDパッケージ400を示す。パッケージ400は、基板402と、基板402の上方の白色発光LED404と、白色LED404の上方のバイオレット発光LED406とを含む。本明細書で使用する「上」及び「上方」は、要素が他の要素に直接取り付けられることも離れていることも含む。
【0021】
基板402は、サブマウント又は回路基板であってよい。
【0022】
白色発光LED404は、430~480nm(例えば、455nm)の間などの430nmを超えるピーク波長を有する。白色発光LED404は、青色発光LEDダイ408と、青色LEDダイ408の上にある波長変換器410とを含む。青色発光LEDダイ408は、パターンサファイア基板(PSS)上に形成された垂直又は薄膜フリップチップ(TFFC)ダイであってよい。
【0023】
バイオレット発光LED406は、波長変換器410の上に配置されている。バイオレット発光LED406は波長変換器410にバイオレット(紫色)光を放射し、波長変換器410はバイオレット光を散乱し、白色光とともにバイオレット光を放射する。ある場合には、波長変換器410は、バイオレット光の一部を吸収して赤色光を放射する蛍光体(例えば、赤色蛍光体)を含んでよい。バイオレット発光LED406は、400nm~415nm(例えば、405nm)の間などの430nm未満のピーク波長を有する。バイオレット発光LED406は、白色発光LED404によって放射される光に対して透明である。バイオレットLED406は、ダイの頂面に電気的接点を有する横型ダイであってもよく、電気的接点は基板402内の接点に(例えばボンディングワイヤで)電気的に接続されてもよい。
【0024】
波長変換器410は、黄緑色蛍光体、赤色蛍光体、又は黄緑色蛍光体と赤色蛍光体との組み合わせを含む。波長変換器410は、カリフォルニア州サンノゼのLumileds社から出ているLumiramicなどのYAGセラミック蛍光体プレートであってもよい。
【0025】
輝度を高めるために、パッケージ400は、白色発光LED404の横表面に(すなわち、青色発光LEDダイ408及び波長変換器410の横方向表面に)反射性側部コーティング412を含むことができる。
【0026】
図5は、本開示の実施例におけるLEDパッケージ500を示す。パッケージ500は、基板402と、基板402の上の白色発光LED404と、バイオレット発光LED502と、光学素子504とを含む。
【0027】
バイオレット発光LED502は、白色発光LED404の波長変換器410から横方向にオフセットされている。バイオレットLED502は、白色発光LED404によって放射される光に対して透明である。バイオレットLED502は、ダイの頂面に電気的接点を有する横型ダイであってもよい。
【0028】
光学素子504は、図5に示すように、バイオレットLED502の放射表面の上方に取り付けられており、バイオレットLED502からのバイオレット光を波長変換器410上にイメージングする(写す)。光学素子504は、イメージングミラーであってよい。
【0029】
波長変換器410は、黄緑色蛍光体、赤色蛍光体、又は黄緑色蛍光体と赤色蛍光体との組み合わせを含む。波長変換器410は、シリコーンマトリックス材料中に混合されたYAG蛍光体であってもよい。
【0030】
パッケージ500は、白色発光LED404の横方向表面に(すなわち、青色発光LEDダイ408及び波長変換器410の横方向表面に)反射性側部コーティング412を含むことができる。
【0031】
図6は、本開示の実施例におけるLEDパッケージ600を示す。パッケージ600は、基板402と、基板402の上の白色発光LED404と、バイオレット発光LED602と、ダイクロイックコンバイナ(dichroic combiner)604とを含む。
【0032】
バイオレット発光LED602は、白色発光LED404の波長変換器410から横方向にオフセットされている。バイオレット発光LED602は、白色発光LED404の隣で、基板402の上に取り付けられている。ある実施例では、ダイクロイックコンバイナ604は、白色発光LED404の水平放射表面及びバイオレット発光LED602の垂直放射面に対して、ある角度(例えば、45度)で取り付けられてそれらの光を混合するダイクロイックプレート又はミラーであってよい。他の実施例では、ダイクロイックコンバイナ604は、白色発光LED404の青色発光表面及びバイオレット発光LED602の発光表面にそれぞれ対向する底部表面及び横方向表面を有するダイクロイックキューブであってもよい。
【0033】
パッケージ600は、白色発光LED404の横方向表面に(すなわち、青色発光LEDダイ408及び波長変換器410の横方向表面に)反射性側部コーティング412を含むことができる。
【0034】
図7は、本開示の実施例におけるLEDパッケージ700を示す。パッケージ700は、基板402と、基板402の上の白色発光LED404と、バイオレット発光レーザー702と、光ガイド704と、フォーカスレンズ706とを含む。
【0035】
バイオレット放射レーザー702は光ガイド704の一端に結合され、フォーカスレンズ706は光ガイド704の他端に結合される。バイオレット放射レーザー702は、光ガイド704内へとバイオレット光を放出し、その光はフォーカスレンズ706により白色LED404の波長変換器410へと方向付けられる。
【0036】
パッケージ700は、白色発光LED404の横方向表面に(すなわち、青色発光LEDダイ408及び波長変換器410の横方向表面に)反射性側部コーティング412を含むことができる。
【0037】
図8は、本開示の実施例におけるLEDパッケージ800を示す。パッケージ800は、基板402と、基板402上の白色発光LED404と、バイオレット発光LED802と、フォーカスレンズ804とを含む。
【0038】
バイオレット発光LED802は、白色発光LED404の隣で、基板402の上に取り付けられている。バイオレット発光LED802は、その放射表面が白色LED404の発光表面に向けられるような角度で取り付けることができる。フォーカスレンズ804がバイオレット発光LED802の発光表面に取り付けられている。バイオレット発光LED802はバイオレット光を発し、そのバイオレット光はフォーカスレンズ804によって白色LED404の波長変換器410上に指向される。波長変換器410はバイオレット光を散乱し、白色光とともに放射する。
【0039】
パッケージ800は、白色発光LED404の横方向表面に(すなわち、青色発光LEDダイ408及び波長変換器410の横方向表面に)反射性側部コーティング412を含むことができる。
【0040】
開示してきた実施形態の特徴の様々な変形及び組合せは、本発明の範囲内である。多くの実施形態が、添付の特許請求の範囲により包含される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8