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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-03
(45)【発行日】2023-02-13
(54)【発明の名称】四点リンク
(51)【国際特許分類】
   B60G 7/00 20060101AFI20230206BHJP
【FI】
B60G7/00
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018561041
(86)(22)【出願日】2017-05-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-06-20
(86)【国際出願番号】 EP2017061257
(87)【国際公開番号】W WO2017202614
(87)【国際公開日】2017-11-30
【審査請求日】2020-01-29
(31)【優先権主張番号】102016209041.0
(32)【優先日】2016-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】500045121
【氏名又は名称】ツェットエフ、フリードリッヒスハーフェン、アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】ZF FRIEDRICHSHAFEN AG
(73)【特許権者】
【識別番号】518406688
【氏名又は名称】シェーファー エムヴェーエヌ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】SCHAFER MWN GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186716
【弁理士】
【氏名又は名称】真能 清志
(72)【発明者】
【氏名】インゴルフ ミュラー
(72)【発明者】
【氏名】イェンツ ハイマン
(72)【発明者】
【氏名】マンフレッド バーグマン
(72)【発明者】
【氏名】イグナシオ ロボ カサノヴァ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレ スティーグリッツ
(72)【発明者】
【氏名】カルステン ソール
(72)【発明者】
【氏名】ヴァレンティン ホードーファー
【審査官】森本 康正
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04650620(US,A)
【文献】特表2014-524867(JP,A)
【文献】特表2001-515995(JP,A)
【文献】米国特許第04841801(US,A)
【文献】特開2014-133446(JP,A)
【文献】特開平02-249710(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のホイールサスペンション用の四点リンク(1)であって、コア要素(2)と、1本のスレッド又は複数の平行するスレッド(3)と、4つのブッシュ(6)と、を備え、各前記スレッド(3)が樹脂で浸漬され又は予備含浸され、さらに前記コア要素(2)が、トーション要素(4)と、前記トーション要素(4)と一体的に接合された4つのキャリアアーム(5)と、を備え、各前記キャリアアーム(5)の各遠位端には、各支承要素を受容する各ブッシュ(6)が配置され、前記コア要素(2)及び各前記ブッシュ(6)の周りには、各前記ブッシュ(6)と前記スレッド(3)とを少なくとも摩擦的に相互接合するために、少なくとも部分的に前記スレッド(3)が巻かれており、
各前記ブッシュ(6)が、各前記キャリアアーム(5)の少なくとも一部を覆う各負荷導入要素(11)と少なくとも部分的に形状的に接合され、
各前記負荷導入要素(11)が、前記スレッド(3)と少なくとも摩擦的に接合されており、各前記キャリアアーム(5)及び各前記ブッシュ(6)の外面に沿って設けられたシート状部材である、四点リンク(1)。
【請求項2】
請求項1に記載の四点リンク(1)であって、厳密に1本のスレッド又は複数の平行するスレッド(3)が、前記コア要素(2)及び各前記ブッシュ(6)の周りに巻かれていることを特徴とする四点リンク(1)。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の四点リンク(1)であって、前記コア要素(2)が、発泡材料で構成されていることを特徴とする四点リンク(1)。
【請求項4】
請求項1~3の何れか一項に記載の四点リンク(1)であって、各前記ブッシュ(6)が、金属材料又は繊維強化プラスチックで構成されていることを特徴とする四点リンク(1)。
【請求項5】
請求項1~4の何れか一項に記載の四点リンク(1)であって、前記スレッド(3)が、各前記キャリアアーム(5)において、各前記キャリアアーム(5)の各長手方向軸線(7)に対して、実質的に平行に導かれていることを特徴とする四点リンク(1)。
【請求項6】
請求項1~5の何れか一項に記載の四点リンク(1)であって、前記スレッド(3)が、各前記キャリアアーム(5)の各正面(8)において、各前記キャリアアーム(5)の各長手方向軸線(7)に対して、15度乃至45度の角度範囲で導かれていることを特徴とする四点リンク(1)。
【請求項7】
請求項1~6の何れか一項に記載の四点リンク(1)であって、前記スレッド(3)が、前記トーション要素(4)において、前記四点リンク(1)の長手方向軸線(9)に対して、40度乃至60度の角度範囲で導かれていることを特徴とする四点リンク(1)。
【請求項8】
請求項1~7の何れか一項に記載の四点リンク(1)であって、前記コア要素(2)が、多数のスレッド巻を受容する凹部(10)を備えることを特徴とする四点リンク(1)。
【請求項9】
請求項1~8の何れか一項に記載の四点リンク(1)を製造する方法であって、
コア要素(2)を製造するステップであって、前記コア要素(2)が、トーション要素(4)と、前記トーション要素(4)と一体的に接合された4つのキャリアアーム(5)と、を備えるステップと、
各ブッシュ(6)を、各前記キャリアアーム(5)の各遠位端と接続するステップと、
前記コア要素(2)及び各前記ブッシュ(6)の周りに、少なくとも部分的に、予備含浸されたスレッド(3)を巻き、各前記ブッシュ(6)と前記スレッド(3)の間を、少なくとも摩擦的に接合するステップと、を含む方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、ロボットアーム(12)は前記コア要素(2)を受け、前記スレッド(3)が周りに巻かれる間、前記ロボットアーム(12)が前記コア要素(2)を導くことを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項9に記載の方法であって、シャフト(16)は前記コア要素(2)を受け、ロボットアーム(12)が、前記コア要素(2)の周りに前記スレッド(3)を巻くために、前記スレッド(3)を導くことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のホイールサスペンション、特に乗用自動車又は商用自動車のホイールサスペンションのための、四点リンクに関する。さらに、本発明は、四点リンクを製造する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
四点リンクは、特に商用車で、車両フレームにおいてリジッドアクスルを弾性的に導くために使用される。四点リンクは、この場合、軸を横方向及び縦方向に導く役割を果たす。さらに、四点リンクはスタビライザの機能を果たす。
【0003】
欧州特許出願第1 787 833号からは、1つのトーション要素及び2つのキャリア要素を有する四点リンクが既知である。キャリア要素は、車両長手方向に延びる。また各キャリア要素が、2つの固定ブッシュを備える。キャリア要素の各一方の固定ブッシュが、車両フレームに支承されている。リジッドアクスルは、各他方のブッシュに固定されている。車両横方向に配置されたトーション要素は、両キャリア要素を相互に接続する。このために、トーション要素は2つの連続する中抜き部を備える。中抜き部が、各キャリア要素を包含する。従って、キャリア要素が相互に旋回すると、トーション要素のねじれが生じる。キャリア要素及びトーション要素は、板金又は鋳鉄製であり、溶接されている。
【0004】
さらに、ドイツ公開特許第10 2011 079 654号は、繊維プラスチック複合材料で構成された四点リンクを開示する。この四点リンクは、一体構造又はシェル構造で構成されている。これにより、四点リンクが極めて軽くなる。しかしながら、こうした構造には、大量生産に対する適性の観点において、欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】欧州特許出願公開第1 787 833号
【文献】ドイツ公開特許第10 2011 079 654号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、車両のホイールサスペンション用の繊維プラスチック複合材料製の四点リンクを発展させることである。特に、大量生産に対する適性を改善し、製造コストを低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、請求項1の主題により解決される。好適な実施形態は、従属請求項の主題である。
【0008】
本発明による、車両のホイールサスペンション用の四点リンクは、コア要素と、スレッドと、4つのブッシュと、を備える。スレッドは樹脂で予備含浸されている。さらにコア要素は、トーション要素と、トーション要素と一体的に接合された4つのキャリアアームと、を備える。各キャリアアームの各遠位端には、各支承要素を受容する各ブッシュが配置されている。コア要素及び各ブッシュの周りには、各ブッシュとスレッドとを少なくとも摩擦的に相互接合するために、少なくとも部分的にスレッドが巻かれている。「スレッド」とは、強化繊維(フィラメント)、繊維束(マルチフィラメント、ロービング)又は、織物加工されたマルチフィラメント、と理解される。
【0009】
「ホイールサスペンション」とは、車両の車輪を、車両のボディ及び/又はフレームと、操縦可能に及び/又は弾性的に連結する装置、と理解される。車両は、自動車、特に商用自動車とすることができるが、乗用自動車とすることもできる。
【0010】
コア要素は、実質的に、四点リンクの形状を構成するために備えられている。従ってコア要素は、負荷を受けるためでなく、専ら、スレッドの収容のため、又は周りにスレッドを巻かれるために備えられている。換言すると、車軸又はホイールキャリアを通って導かれる負荷及び力は、スレッドで構成される四点リンクの外殻のみによって受けられる。従ってスレッドは、少なくとも摩擦的に4つのブッシュと接合されている。特に、スレッドは、形状的にも4つのブッシュと接合されている。
【0011】
4つのキャリアアームは、車軸又はホイールキャリアを、車両のフレーム及び/又はボディと連結するために備えられている。そのために、2つのキャリアアームは、車軸又はホイールキャリアと関節状に接続されている。一方、他の2つのキャリアアームは、車両のボディ又はフレームと関節状に接続されている。キャリアアームが、トーション要素を介して相互接続されている。「関節状」とは、本明細書中では、少なくとも1つの軸の周りで回転可能であることを意味する。トーション要素は、4つのキャリアアームを、旋回に対して安定させる役割を果たす。キャリアアーム及びトーション要素は、各キャリアアームの旋回、すなわち、ねじれ軸の周りの各キャリアアームの回転が、トーション要素のねじれを伴うように配置されている。各キャリアアームが旋回する際にトーション要素に及ぼすねじりモーメントの結果として、ねじれが生じる。
【0012】
本発明による四点リンクは、ロール安定性に関して規定されたねじれ剛性、軸を導く高い横剛性、より良好な快適性挙動に関して定められた前後コンプライアンス、及び規定の運動性又はばね経路を経由する規定の弾性運動性の実現を、製造によって、特に巻く際の繊維配向によって、調整可能とする。特に、四点リンク自体によって、可能な限りほぼ全体の運動性を描くことが可能である。従って、ブッシュに受容される支承要素、特にゴム支承部への負担が緩和される。
【0013】
スレッド又はスレッドのグループは、好適には、多数の連続繊維からなる。連続繊維は、樹脂で浸漬されている。「スレッドのグループ」とは、複数のスレッドを1つの束にしたもの、と理解される。この束が、再度スレッドを表す。特に、スレッドは、コア要素に巻く直前に含浸させることが可能である。または、樹脂で予備含浸されたスレッド、特にいわゆるトウプレグ半製品、又はプリプレグスレッドを使用することが可能である。湿式巻き方式では、スレッドを、巻きの直前に樹脂に浸漬させ、コア要素の周りに巻く。コア要素上へのスレッドの最高載置速度は、巻く間の、例えば遠心力による樹脂損失に起因して、約0.5m/sとすることができる。これに対して、載置速度を、予備含浸されたスレッドを使用することによって、著しく高めることが可能である。なぜなら、樹脂が乾燥しており、従って遠心力の影響が無いためである。従って、スレッドは繊維プラスチック複合材料で形成されている。好適には、スレッドが、炭素繊維強化プラスチック、ガラス繊維強化プラスチック、アラミド繊維強化プラスチック、又は他の好適な繊維プラスチック複合材料で形成されている。
【0014】
構成要素の好適な発展実施形態において、スレッドは引き伸ばされる。つまり、スレッドが、スレッドに張力を引き起こす力で付勢される。その結果、スレッドは、摩擦的に各キャリアアーム及びトーション要素と接合されている。スレッドは、好適には、各キャリアアームが旋回すると、スレッドとキャリアアームとの摩擦接合によって、スレッドに作用する力が誘発されるように走る。この力は、次いで、スレッドとトーション要素との摩擦結合を介して、トーション要素に伝達される。この場合、誘発された力が、スレッドの張力を増加させるよう作用する。
【0015】
本発明は、厳密に1本のスレッドが、コア要素及び各ブッシュの周りに複数回巻かれている、という技術的教示を含む。特に、スレッドを自動的に巻きシャフトから巻き戻し、ロボットアームを用いて整然と巻き付け、四点リンクを構成する。さらに、2つ以上のロボットアームが同時に、コア要素の周りに各スレッドを巻き、四点リンクを構成することも考えられる。1本の単独スレッドの代わりに、複数の平行するスレッドを使用すると、製造時間が短縮される。
【0016】
好適には、コア要素は、発泡材料で構成されている。特に、コア要素が、固形で、軽量で、永久的な発泡材料で構成されている。好適には、発砲材料は、例えばポリウレタン又はポリスチロールであるポリマーで構成されている。さらに、コア要素は、インライナコア、ロストコア、又はブローコアとしても構成することができる。特に、コア要素にスレッドが巻かれ、従って形状を与えるシェーパとしての役割を果たす、という特性が、コア要素に不可欠である。
【0017】
好適には、各ブッシュは、金属材料で構成されている。特に、ブッシュが、鋼合金又は軽金属合金、特にアルミニウム合金又はマグネシウム合金で構成されている。さらにブッシュは、少なくともコア要素と接着されている。コアは、巻きプロセスの間、ブッシュの位置が確保されるようにブッシュを受容する。
【0018】
好適な実施形態により、スレッドは、各キャリアアームにおいて、各キャリアアームの各長手方向軸線に対して、実質的に平行に導かれている。好適には、スレッドは、各キャリアアーム及びキャリアアームと一体的に接合されたトーション要素の周りに、放射状に巻かれている。特に、両方のフレーム側キャリアアームは、スレッドが連続的な巻きプロセスにおいてコア要素上に収容されるように、トーション要素から角度を付けられている。キャリアアームは、実質的に、撓みを吸収するために備えられている。
【0019】
好適には、スレッドは、各キャリアアームの各正面において、各キャリアアーム5の各長手方向軸線7に対して、15度乃至45度の角度範囲で導かれている。これにより、特に、横方向の力から発生する、せん断応力を受けることが可能になる。好適には、キャリアアームは、各正面において、スレッドで格子状に巻かれる。これにより、各キャリアアームは、軽量構造でありつつ硬化される。代替的に、スレッドを全面に巻き付けることも可能である。
【0020】
更に好適には、スレッドは、トーション要素において、四点リンクの長手方向軸線に対して、40度乃至60度の角度範囲で導かれている。トーション要素が、特に、ねじれから発生するせん断応力によって負荷を受ける。特に、トーション要素の全表面がスレッドで覆われており、周りに特に複数回巻かれている。好適には、コア要素の全表面がスレッドで覆われており、周りに特に複数回巻かれている。
【0021】
好適な実施形態によれば、コア要素は、多数のスレッド巻を受容する凹部を備える。換言すると、リセス状の凹部がコア要素に構成されている。凹部は、材料が不所望に蓄積することなく、特に四点リンクの外側に材料の隆起を構成することなく、複数のスレッド層を受容するために備えられている。さらに、コア要素が、スレッドのために、特にコアにおける転向点に収容面ができるよう構成されている。収容面は、スレッドを有利にも引き伸ばした状態で張力をかけてコア要素に収容するために、備えられている。
【0022】
好適な実施形態により、各ブッシュは、各負荷導入要素と、少なくとも部分的に、形状的に接合されている。各負荷導入要素は、スレッドと、少なくとも摩擦的に接合されている。各負荷導入要素は、実質的に、圧縮力を受けるために備えられている。スレッドは、実質的に、引張力を受けるために備えられている。特に、負荷導入要素とブッシュの間、及び/又は負荷導入要素とスレッドの間には、接着層が構成されている。接着層は、負荷導入要素とブッシュの間、又は負荷導入要素とスレッドの間の接着性を高めるために備えられている。さらに、負荷導入要素とスレッドの間の接着を、負荷導入要素の表面を接着に適するよう処理することによって、又は接着剤によって、高めることも考えられる。好適には、各負荷導入要素は、金属材料で構成されている。特に、各負荷導入要素が、鋼合金又は軽金属合金、特にアルミニウム合金又はマグネシウム合金で構成されている。さらに、各負荷導入要素は、鋳造、成形、又は機械加工によって製造されている。例えば、各負荷導入要素は、板金材料で製造されている。代替的に、負荷導入要素は、繊維強化プラスチック(例えばSMC)で構成される。
【0023】
本発明による四点リンクを製造する、本発明による方法は、特に以下の方法のステップを含む。まず、コア要素を製造するステップであって、コア要素が、トーション要素と、トーション要素と一体的に接合された4つのキャリアアームと、を備えるステップ。その後、各ブッシュを、各キャリアアームの各遠位端と接続するステップであって、特に、各ブッシュを、各キャリアアームの各遠位端に接着するステップ。最後に、コア要素及び各ブッシュの周りに、少なくとも部分的に、予備含浸されたスレッドを巻き、各ブッシュとスレッドの間を、少なくとも摩擦的に接合するステップであって、特に、四点リンクの実質的に全表面がスレッドで構成されるように、コア要素及び4つのブッシュの周りに、スレッドを巻くステップ。個々の方法のステップを、好適には、上述の順番で実行する。しかしながら、技術的条件が許す限りにおいては、順番を逸脱して実行することも可能である。
【0024】
好適な実施形態によれば、ロボットアームはコア要素を受ける。スレッドが周りに巻かれる間、ロボットアームがコア要素を導く。好適には、ロボットアームは、三次元で移動可能である。特に、スレッドを巻きシャフトから巻き戻し、コア要素の周りに巻き付ける。好適には、スレッドはトウプレグとして構成されている。代替的な実施形態により、シャフトはコア要素を受ける。ロボットアームは、コア要素の周りにスレッドを巻くために、スレッドを導く。特に、シャフトは回転可能に支承されている。代替的に、巻きプロセスの間に、固定された巻きシャフトを1回以上変化させる(再クランプ)。
【0025】
以下に、本発明の好適な実施形態を、図面を参照して詳説する。図面において、同一又は類似の要素には、同一の符号を付記している。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明による四点リンクの概略的な平面図である。
図2図1に示す本発明による四点リンクの、概略的な正面図である。
図3図1に示す本発明による四点リンクのコア要素の、概略的な平面図である。コア要素には、4つのブッシュが配置されている。
図4図3に示すコア要素の、概略的な側面図である。
図5】更なる実施形態による、部分的に示された本発明による四点リンクの、概略的な断面図である。
図6図1に示す本発明による四点リンクを製造する方法を、図解する概略図である。
図7図1に示す本発明による四点リンクを製造する更なる方法を、図解する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1によれば、本発明による四点リンク1は、図示されていない車両のホイールサスペンション用であり、コア要素2、スレッド3、及び4つのブッシュ6を備える。スレッド3は、例示的に、極めて簡略化されて示されている。特に、スレッド3は、四点リンク1の実質的に全表面を構成する。コア要素2は、トーション要素4及びトーション要素4と一体的に接合された4本のキャリアアーム5からなる。各キャリアアーム5の各遠位端には、各ブッシュ6が配置されている。ブッシュ6が、図示されていない支承要素、特にゴム‐金属製ジョイントを受容する。四点リンク1は、例えば、トラクタユニットにおいて、シャーシ連結部として使用される。その場合、四点リンク1が三角形アーム及びスタビライザの機能を引き受ける。従って、四点リンク1は、軸を横方向及び主として長手方向に導く役割を果たす。さらに、ロール安定性も、四点リンクを介して実現される。
【0028】
コア要素2及び各ブッシュ6の周りに、少なくとも部分的に、スレッド3が巻かれていることによって、各ブッシュ6及びスレッド3が、少なくとも摩擦的に相互接合されている。コア要素2は、負荷を導くのでなく、スレッド3に対して形状を与えるのみの役割を果たす。スレッド3は、多数の連続繊維からなり、樹脂で予備含浸されている。それに対して、コア要素2は発泡材料で構成されている。さらに、各ブッシュ6は金属材料で構成されている。コア要素2、スレッド3、及びブッシュ6は、本質的な接合を伴う準一体構造を備える。
【0029】
特に、厳密に1本のスレッド3が、コア要素2及び各ブッシュ6の周りに複数回巻かれている。スレッド3は、この場合、各キャリアアーム5において、各キャリアアーム5の各長手方向軸線7に対して実質的に平行に導かれ、曲げ応力を受ける。さらに、スレッド3は、トーション要素4において、四点リンク1の長手方向軸線9に対して約40度乃至約60度、好適には45度の角度で導かれ、ねじれからのせん断応力を受ける。
【0030】
図2は、図1に示す四点リンク1を正面図で示す。スレッド3は、各キャリアアーム5の各正面8において、各キャリアアーム5の各長手方向軸線7に対して約20度の角度で導かれ、横方向の力からのせん断応力を受ける。
【0031】
図3において、コア要素2は、コア要素2に固定された図1のブッシュ6と共に示される。従って、スレッド3が周りに巻かれる前の、コア要素2が示される。コア要素2は、複数の、好適には2つの凹部10を備える。凹部10が、多数のスレッド巻を受容する。両凹部10は、トーション要素4の厚さを、局所的に限定して低減する。これによって、スレッド3の多数の交点を備えることになるトーション要素4の外側のこの領域に、材料が蓄積することを回避する。さらに、スレッド3の転向点の負荷を適切に受ける4つの収容面13が、トーション要素4に備えられている。
【0032】
図4によれば、図3のコア要素2が、側方から示される。図4からは、コア要素2の、特に平坦な構造が見て取れる。コア要素2の平坦な構造に伴い、完成品の四点リンク1は平坦な構造となる。これによって、構造スペースが節約される。さらに図3からは 、各キャリアアーム5の各遠位端が、図3に示される各ブッシュ6に対して、少なくとも部分的に相補的に構成されていることが分かる。
【0033】
図5により、本発明による四点リンク1の更なる実施形態が、断面図で示される。4つのキャリアアーム5のうちの1つの、特に遠位端が示される。以下に、4つのキャリアアーム5のうちの1つのキャリアアームについて記載する。しかしながら、この記載は、記載するキャリアアームと実質的に同一に構成されている他の3つのキャリアアーム5についても当てはまる。キャリアアーム5に配置されたブッシュ6は、負荷導入要素11と、少なくとも部分的に、形状的に接合されている。特に負荷導入要素11は、少なくとも部分的に半円形に構成され、ブッシュ6を部分的に受容する。負荷導入要素11は、実質的に、圧縮力をブッシュ6から、ブッシュ6と放射状に接続されたスレッド3へと導くために備えられている。スレッド3及び負荷導入要素11は、摩擦的に相互接合されている。ベアリングブッシュ11は、板金要素で構成されている。
【0034】
図6は、本発明による四点リンク1を製造する、好適な方法を示す。コア要素2には、4つのブッシュ6が配置されている。三次元で移動可能なロボットアーム12は、コア要素2を受ける。さらに、予備含浸されたスレッド3は、回転可能なシャフト14に巻き付けられている。スレッドを、移動不能に固定されたガイド要素15を介してシャフト14から巻き戻し、コア要素2の周りに巻き付ける。コア要素2の周りにスレッド3を巻く間、ロボットアーム12でコア要素2を導く。
【0035】
図7は、本発明による四点リンク1を製造する、更なる好適な方法を示す。コア要素2には、4つのブッシュ6が配置されている。好適には、回転可能なシャフト16がコア要素2を受ける。さらに、予備含浸されたスレッド3も、回転可能なシャフト14に巻き付けられている。スレッドを、ロボットアーム12に配置されたガイド要素15を介してシャフト14から巻き戻し、コア要素2の周りに巻き付ける。従って、ロボットアーム12が、コア要素2の周りにスレッド3を巻くために、ガイド要素15を介してスレッド3を導く。コア要素2に構成されたトーション要素4の周りの、実質的に全面に巻くために、コア要素2を、少なくとも1度はシャフト16から外し、再クランプさせる。
【0036】
本発明は、前出の実施形態に限定されない。更なる発展実施形態の可能性を、特に記載から得ることができる。
【符号の説明】
【0037】
1 四点リンク
2 コア要素
3 スレッド
4 トーション要素
5 キャリアアーム
6 ブッシュ
7 キャリアアームの長手方向軸線
8 キャリアアームの正面
9 四点リンクの長手方向軸線
10 凹部
11 負荷導入要素
12 ロボットアーム
13 収容面
14 シャフト
15 ガイド要素
16 シャフト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7