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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-03
(45)【発行日】2023-02-13
(54)【発明の名称】光モジュール
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/42 20060101AFI20230206BHJP
   H01S 5/022 20210101ALI20230206BHJP
   H01L 31/02 20060101ALI20230206BHJP
【FI】
G02B6/42
H01S5/022
H01L31/02 B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019044907
(22)【出願日】2019-03-12
(65)【公開番号】P2020148853
(43)【公開日】2020-09-17
【審査請求日】2022-02-17
(73)【特許権者】
【識別番号】301005371
【氏名又は名称】日本ルメンタム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】水関 作智子
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 秀樹
【審査官】本田 博幸
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2005/0152701(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0237464(US,A1)
【文献】特開2008-249856(JP,A)
【文献】国際公開第2016/051800(WO,A2)
【文献】米国特許第07013088(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/26-6/27, 6/30-6/34, 6/42-6/43
H01S 5/00-5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光信号の伝送に用いる光モジュールであって、
電子部品が配置される回路基板と、
前記回路基板の一方の主面に実装され、前記光信号の周波数に応じた所定の基準値以上の周波数で動作する高周波部品と、
前記回路基板の他方の主面に、平面視にて前記高周波部品と少なくとも一部が重畳して実装され、前記基準値未満の周波数で動作する低周波部品と、
前記低周波部品の、前記回路基板を向く第2面とは反対の第1面のみに配置された電磁波吸収体と、
を有することを特徴とする光モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載の光モジュールにおいて、
前記電磁波吸収体は、前記低周波部品の前記第1面のうち前記高周波部品と重畳する領域を覆って配置されていること、を特徴とする光モジュール。
【請求項3】
請求項1に記載の光モジュールにおいて、
前記電磁波吸収体は、前記低周波部品の前記第1面の全体に配置されていること、を特徴とする光モジュール。
【請求項4】
請求項1に記載の光モジュールにおいて、
前記電磁波吸収体は、前記低周波部品の前記第1面のうち、前記回路基板に接続される前記高周波部品の端子と重畳する領域に配置されていること、を特徴とする光モジュール。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の光モジュールにおいて、
前記低周波部品は、マイクロプロセッサ及び電源回路の少なくともいずれかを含む集積回路であること、を特徴とする光モジュール。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1つに記載の光モジュールにおいて、
前記高周波部品は、前記光信号から電気信号に変換する光サブアセンブリ、前記電気信号を増幅する増幅回路、前記光信号を生成する半導体光素子を駆動する駆動回路、及びクロック・データ・リカバリ回路の少なくともいずれかを含む集積回路であること、を特徴とする光モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
光通信システムにおいて、光信号及び電気信号の一方から他方に、又は双方向に変換する光モジュールが用いられている。近年のブロードバンドネットワークの普及とともに光モジュールの高速化が図られ、光モジュール内の電気回路には高周波で動作する部分がある。ここで、高周波回路は不要電磁波を発して、いわゆるEMI(electromagnetic interference)を生じ得る。
【0003】
光モジュールは1つのネットワーク機器に複数個を密に実装して使用されるため、小型化、低消費電力化、低コスト化は勿論のこと、光モジュールから放射される電磁波を低減して他の機器の動作に影響を与えないようにすることが求められる。そこで、電磁波を遮蔽するために、従来、光モジュール内に電磁波吸収体を配置することが行われている。例えば下記特許文献1には、ケースの内側に電磁波吸収体を広く取り付けた光モジュールが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-249856号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、大きな電磁波吸収体を使用することは、コスト増加の一因となる。
【0006】
本発明はこの問題点を解決するためになされたものであり、用いる電磁波吸収体のサイズを小さくしつつ、光モジュールから放射される電磁波を低減し、効率的なEMI対策を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明に係る光モジュールは、光信号の伝送に用いる光モジュールであって、電子部品が配置される回路基板と、前記回路基板の一方の主面に配置され、前記光信号の周波数に応じた所定の基準値以上の周波数で動作する高周波部品と、前記回路基板の他方の主面に、平面視にて前記高周波部品と少なくとも一部が重畳して配置され、前記基準値未満の周波数で動作する低周波部品と、前記低周波部品の上面に配置された電磁波吸収体と、を有する。
【0008】
(2)上記(1)に記載の光モジュールにおいて、前記電磁波吸収体は、前記低周波部品の前記上面のうち前記高周波部品と重畳する領域を覆って配置されている構成とすることができる。
【0009】
(3)上記(1)に記載の光モジュールにおいて、前記電磁波吸収体は、前記低周波部品の前記上面の全体に配置されている構成とすることができる。
【0010】
(4)上記(1)に記載の光モジュールにおいて、前記電磁波吸収体は、前記低周波部品の前記上面のうち、前記回路基板に接続される前記高周波部品の端子と重畳する領域に配置されている構成とすることができる。
【0011】
(5)上記(1)~(4)に記載の光モジュールにおいて、前記低周波部品は、マイクロプロセッサ及び電源回路の少なくともいずれかを含む集積回路とすることができる。
【0012】
(6)上記(1)~(5)に記載の光モジュールにおいて、前記高周波部品は、前記光信号から電気信号に変換する光サブアセンブリ、前記電気信号を増幅する増幅回路、前記光信号を生成する半導体光素子を駆動する駆動回路、及びクロック・データ・リカバリ回路の少なくともいずれかを含む集積回路とすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、用いる電磁波吸収体のサイズを小さくしつつ、放射される電磁波が低減される光モジュールが得られ、効率的なEMI対策が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】電磁波吸収体を設けない比較例に係る光モジュールの模式的な垂直断面図である。
図2】ケースの内側に電磁波吸収体を広く配置した比較例に係る光モジュールの模式的な垂直断面図である。
図3】本発明の実施形態に係る光モジュールの模式的な垂直断面図である。
図4】本発明の実施形態に係る光モジュールの模式的な平面図である。
図5】本発明の他の実施形態に係る光モジュールの模式的な平面図である。
図6】本発明の他の実施形態に係る光モジュールの模式的な平面図である。
図7】本発明の他の実施形態に係る光モジュールの模式的な平面図である。
図8】本発明の他の実施形態に係る光モジュールの模式的な平面図である。
図9】本発明の他の実施形態に係る光モジュールの模式的な平面図である。
図10図4図9の実施形態に係る光モジュールにおける電磁波低減の効果を表したグラフである。
図11図8の光モジュールにおける高周波部品及び低周波部品の部分を拡大した模式的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態(以下実施形態という)である光モジュール1(1A~1F)について、図面に基づいて説明する。なお、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の説明では、3次元空間についてXYZ座標系を用いる。当該座標系は右手系の直交座標系である。光モジュール1は例えば、細長い直方体の概略形状を有し、その長手方向をX軸に設定する。また、以下の説明では便宜上、X軸及びY軸を水平な2軸、Z軸を上下方向の軸とし、Z軸の正の向きを上向きとする。
【0016】
図1図3は光モジュールの模式的な垂直断面図であり、このうち図3が実施形態に係る光モジュール1Aである。一方、図1及び図2は比較例として示す光モジュールであり、図1の光モジュール100は電磁波吸収体を備えていない構成であり、図2の光モジュール200は光モジュールのケース2の内側に電磁波吸収体201を広く配置した構成である。
【0017】
図4は実施形態に係る光モジュール1Aの模式的な平面図であり、ケース2の図示を省略し、ケース2内に収納される部品を下側から見た様子を示している。
【0018】
光モジュール1は、ケース2内に、光サブアセンブリ(Optical SubAssembly:OSA)3、回路基板4、及びOSA3と回路基板4とを接続するフレキシブルプリント基板(Flexible Printed Circuits:FPC)5を有する。
【0019】
回路基板4はケース2内に水平に位置する。つまり、回路基板4の主面はXY面に沿い、当該主面に垂直な方向がZ軸方向となる。図4では回路基板4の主面である上側表面及び下側表面のうち下側表面が手前に現れている。
【0020】
光モジュール1の長手方向の一方端(図3にて右側)は伝送装置等のホスト機器(不図示)に接続され、他方端(図3にて左側)は光ファイバ(不図示)に接続される。これに対応して、基本的にOSA3は光ファイバとの接続端に近づけて配置され、回路基板4はホスト機器との接続端に近づけて配置される。また、光モジュール1はOSA3を光ファイバに接続するためのコネクタとして例えば、光レセプタクル6を備え、また、ホスト機器との接続のためのコネクタとして例えば、回路基板4のホスト機器側の端部にカードエッジコネクタ7が設けられる。
【0021】
本実施形態の光モジュール1は、送信機能及び受信機能を有するトランシーバであり、OSA3として、送信用であるTOSA(Transmitter Optical Subassembly)と、受信用であるROSA(Receiver Optical Subassembly)とを有する。TOSAは例えば、レーザダイオードを備え、回路基板4から入力された電気信号を光信号に変換し、光ファイバへ出力する。一方、ROSAは例えば、フォトダイオードを備え、光ファイバから入力された光信号を電気信号に変換し回路基板4へ出力する。
【0022】
回路基板4はプリント基板である。本実施形態において回路基板4は例えば多層基板であり、また、両方の主面に電子部品を実装可能な両面基板である。また、本実施形態において回路基板4はリジッド基板である。しかし両面に電子部品を搭載可能であれば、リジット基板に限定はされない。
【0023】
回路基板4にはOSA3と電気的に接続される回路が設けられる。具体的には、回路基板4には配線などの導体パターンが形成され、回路基板4の一方の主面である上側表面には例えば、高周波部品10が配置され、他方の主面である下側表面には例えば、低周波部品11が配置される。なお、ここでは、これら部品は回路基板4に搭載されたものを指し、回路基板4に形成された配線を含まない。
【0024】
高周波部品10は、光モジュール1が送受信する光信号の周波数に応じた所定の基準値以上の周波数の高周波信号で動作する電子部品であり、EMIを起こす電磁波の発生源となり得る部品である。例えば、高周波信号は、少なくとも1Gbps以上の周波数を有する電気信号である。
【0025】
具体的には、光モジュール1内にて電磁波の発生源となり得る回路は、TOSAのレーザダイオード(LD)を駆動する駆動回路(レーザドライバ)、クロック・データ・リカバリ回路(Clock and Data Recovery:CDR)、ROSAが出力する電気信号を増幅する増幅回路、もしくは電気信号を処理するDSP(Digital Signal Processor)などである。例えば、高周波部品10はこれら回路のうちの少なくとも一部が形成された集積回路(IC)である。なお、CDRは例えば、ROSAから出力された電気信号をクロックとデータに分離する機能を有する。また送信用のCDRでは、レーザドライバに供給する高周波信号の波形整形を行う。また、ROSAもEMIの発生源となる高周波部品に含めることができる。
【0026】
低周波部品11は、高周波部品10における高周波信号に比べて低い周波数にて動作する電子部品である。ここで、低周波とは、高周波を定める基準値より低い周波数であり、基本的には、上述の高周波信号に対して、低周波信号は100MHz以下といった十分に低速な電気信号である。なお、DC信号も低周波信号に含まれる。
【0027】
例えば、低周波部品11は、マイクロプロセッサ及び電源回路の少なくともいずれかを含むICである。例えば、当該ICは樹脂などからなるパッケージ内に半導体チップを格納し、パッケージは回路基板4上にてX,Y方向の寸法に比べてZ方向の寸法が小さい薄型・板状の形をなす。なお、マイクロプロセッサは例えば、ホスト機器からLDのON/OFFの命令を受信してTOSAを制御したり、光モジュール1内の各部から得られる情報をホスト機器に伝えたりする処理を行う。
【0028】
光モジュール1にて、低周波部品11は回路基板4の高周波部品10とは反対側の主面に、平面視にて高周波部品10と少なくとも一部が重畳するように配置される。そして、低周波部品11の上面、つまり図3において、Z軸の負の向きに向いた表面に接して電磁波吸収体12が配置される。この電磁波吸収体12の配置において、本実施形態の光モジュール1は、図1図2の比較例と相違する。すなわち、上述したように、図1の光モジュール100は電磁波吸収体を備えていない。また、図2の光モジュール200は光モジュールのケース2の内側の面に配置された電磁波吸収体201を有する。図2の電磁波吸収体201はケース2の上下の内面に配置され、また、各電磁波吸収体201は、回路基板4上の複数の部品が配置される領域に対向する広がりを有する。これに対して、本実施形態の光モジュール1の電磁波吸収体12は図3図4に示すように、回路基板4の片側のみで、かつ高周波部品10と重なりを有する低周波部品11の上面に限定して配置される。
【0029】
図4の実施形態の光モジュール1Aは、低周波部品11の上面の全体に電磁波吸収体12を配置した例を示しており、低周波部品11にて斜線を付した領域が電磁波吸収体12で覆われる。なお、回路基板4の低周波部品11や高周波部品10が搭載される面には、他の小さな電子部品(例えば抵抗やコンデンサなど)も搭載されているが、図4では図示を省略している。一方、光モジュール1において、電磁波吸収体12は低周波部品11の上面の一部のみに配置し得る。図5図9はその例を示しており、本発明の他の実施形態に係る光モジュール1B~1Fの模式的な平面図である。なお、図5図9は、図4と同様、ケース2の図示を省略し、ケース2内に収納される部品を下側から見た様子を示しており、電磁波吸収体12は低周波部品11における斜線領域に配置される。
【0030】
ここでは、XY面でのレイアウトに関し、高周波部品10、低周波部品11はそれぞれX軸とY軸に沿った辺を有したほぼ同じ大きさの正方形であり、図4図9において、低周波部品11の左下の4分の1の面積が高周波部品10の右上領域と重なる場合を例示している。しかしながら、これらの条件は一例であり、本発明はこの場合に限られず適用可能である。
【0031】
図5に示す実施形態の光モジュール1Bでは、電磁波吸収体12は低周波部品11の左半分を覆うように配置されている。一方、図6に示す実施形態の光モジュール1Cでは、電磁波吸収体12は低周波部品11の右半分を覆うように配置されている。
【0032】
また、図7に示す実施形態の光モジュール1Dでは、電磁波吸収体12は低周波部品11の上半分を覆うように配置されている。一方、図8に示す実施形態の光モジュール1Eでは、電磁波吸収体12は低周波部品11の下半分を覆うように配置されている。図9に示す実施形態の光モジュール1Fでは、電磁波吸収体12は低周波部品11の下側の4分の1を覆うように配置されている。
【0033】
図10は、図4図9の実施形態に係る光モジュール1A~1Fにおける電磁波低減の効果を表したグラフであり、棒グラフA~Fがそれぞれ光モジュール1A~1Fに関するグラフである。なお、図10には対比のため、図1図2に示す比較例の光モジュール100,200の効果も示しており、棒グラフE1が光モジュール100、棒グラフE2が光モジュール200に関するグラフである。図10の縦軸は光モジュール100(棒グラフE1)と比較したEMI放射の低減量をデシベル単位で示している。
【0034】
低周波部品11の上面の全体に電磁波吸収体12を配置した光モジュール1Aは、図2に示す大きな電磁波吸収体201を配置した光モジュール200と同程度の電磁波低減効果を得られた。
【0035】
また、低周波部品11の上面の半分の面積に電磁波吸収体12を配置した光モジュール1B~1Eにおいても光モジュール200と同程度の電磁波低減効果が得られた。このように広く電波吸収体を配置しなくとも十分な電磁波低減効果が得られ、コスト面で有利となる。電磁波吸収体の面積が大きい方が電磁波低減効果は大きく、図3図4の低周波部品11の全面を覆う場合が最も大きな低減効果が得られた。しかし、より小さい面積であっても光モジュール200と遜色ない低減効果が得られている。その中でも、電磁波吸収体12を低周波部品11の下半分を覆うように配置した光モジュール1Eにおいて最も電磁波低減効果が大きい。そこで、この状態からさらに電磁波吸収体12の面積を小さくした光モジュール1Fを調べたところ、低周波部品11上部の面積の4分の1を覆った光モジュール1Fも、大きな電磁波吸収体201を配置した光モジュール200と同程度の十分な効果が得られた。ちなみに、光モジュール1Fにおける電磁波吸収体12の面積は、光モジュール200と比較して26分の1になる。
【0036】
一般的に、EMI対策として電磁波吸収体は電磁波の発生源の近くに配置することが望ましいと考えられている。しかし、電磁波の発生源となり得る高周波部品10の上には、放熱性を向上させるために放熱部品が配置され、電磁波吸収体を配置できないことがある。一方、回路基板4の高周波部品10が配置された側をおもて面とすると、高周波部品10が配置されない側である回路基板4の裏面側へは電磁波は放射されないと考えられていたが、おもて面側で発生した電磁波が光モジュールのケース2内にて反射されることで、回路基板4の裏面側まで回ることも起こり得る。また、近年の光モジュールの小型化により、回路基板4の実装密度の上昇につれてその内層での配線密度が上がっているため、回路基板4にグランド(GND)だけの層を設けにくくなっている。その結果、おもて面側で発生した電磁波が回路基板4の内層を通り抜け、裏面側まで到達することも起こり易くなっている。そのため、回路基板4の裏面側にだけ電磁波吸収体12を配置し、EMIの低減を図ることができると推察される。
【0037】
ここで、裏面側においても、平面視にてより高周波部品10に近い位置に電磁波吸収体12を配置することが効果的である。しかし、回路基板4の裏面にもプリント配線が形成され、また、抵抗、コイル、コンデンサなどの小さな部品が多数搭載され、高周波部品10の近くであっても、電磁波吸収体の材料の特性によっては、回路基板4の裏面に直接、電磁波吸収体を配置したり、小部品の上に配置したりすることが容易でない場合がある。
【0038】
一方、近年の光モジュールの小型化により、多くの機能は一つのIC部品に集約されてきている。そのため、例えばマイクロコンピュータのような比較的大きなIC部品が高周波部品10の裏面側に配置されていることが多い。IC部品の上部は平坦で或る程度の面積があり、また、パッケージによって保護されているため、材料を問わず電磁波吸収体12を当該部品上に配置しやすい。さらに、低周波部品11においては、放熱もさほど要求されず、放熱部品をつけなくてもよい場合が多い。そこで、本実施形態では、平面視にて高周波部品10と少なくとも一部が重畳して配置された低周波部品11の上面に電磁波吸収体12を配置することで、電磁波吸収体12が高周波部品10の近くに配置される。
【0039】
また、高周波部品10内が発生する電磁波は、高周波部品10内にて一様とは限らず、他より強く発する箇所が存在し得る。その場合、電磁波吸収体12は高周波部品10内の強く電磁波を発生する箇所の近くに配置することが好適である。
【0040】
例えば、高周波部品10と回路基板4との電気的接続点が比較的に強い発生源となり得る。図11はこの点に関連した実施形態を説明する模式的な平面図であり、図8に示した光モジュール1Eの高周波部品10と低周波部品11の部分を拡大して示している。図4図9には示されていないが、それらの実施形態では、高周波部品10の端子は高周波部品10のY軸に沿った辺に並んでおり、図11ではその端子15の配置が示されている。低周波部品11は高周波部品10の一部の端子15と重なって配置され、光モジュール1Eでは電磁波吸収体12は低周波部品11の上面のうち端子15と回路基板4との接続点に重なる部分を含む下半分に配置されている。例えば、接続点で発生した電磁波は回路基板4の内層を通って回路基板4の裏面側に到達し得るが、その部分を電磁波吸収体12で覆うことで、より好適に電磁波低減を図ることが期待できる。光モジュール1Eが同じ面積の電磁波吸収体12を配置した光モジュール1B~1Eのうちで一番高い電磁波低減効果が得られたのはこのためであると推察される。
【0041】
なお、電磁波吸収体12の種類は、抵抗性吸収材料でも、誘電性吸収材料でも、磁性吸収材料でも構わない。また、電磁波吸収体12は、その上面が光モジュールのケース2の内側に接触する厚みであってもよいし、上面とケース2の内側との間に隙間を有する厚みであってもよい。
【0042】
上述の実施形態では高周波部品10が1個、また電磁波吸収体12を配置する低周波部品11も1個である例を示したが、本発明はそれに限定されない。具体的には、電磁波源となる高周波部品10が複数存在する場合には、回路基板4のそれぞれの裏面に位置する低周波部品11に電磁波吸収体12を配置することができる。また、1つの高周波部品10に重なる複数の低周波部品11に電磁波吸収体12を配置してもよい。
【0043】
また、OSA3が電磁波源となる場合には、図3に示したようなOSA3と回路基板4とがX軸方向に一列に並ぶ配置ではなく、OSA3を回路基板4のおもて面に重なる配置として、OSA3と平面視で重なる位置に配置した低周波部品11の上面に電磁波吸収体12を設けることができる。
【0044】
以上、実施形態により説明した本発明によると、大きな電磁波吸収体を用いることなく、低コストで効率的にEMI対策を行うことができる。
【符号の説明】
【0045】
1,1A~1F 光モジュール、2 ケース、3 OSA、4 回路基板、5 FPC、6 光レセプタクル、7 カードエッジコネクタ、10 高周波部品、11 低周波部品、12 電磁波吸収体、15 端子。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11