(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-03
(45)【発行日】2023-02-13
(54)【発明の名称】画像処理装置及び画像処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06T 7/254 20170101AFI20230206BHJP
G08B 13/196 20060101ALI20230206BHJP
G08B 25/00 20060101ALI20230206BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20230206BHJP
【FI】
G06T7/254 A
G06T7/254 B
G08B13/196
G08B25/00 510M
H04N7/18 D
(21)【出願番号】P 2019044946
(22)【出願日】2019-03-12
【審査請求日】2021-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000108085
【氏名又は名称】セコム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】澤井 庸平
【審査官】笠田 和宏
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-284086(JP,A)
【文献】特開2002-218452(JP,A)
【文献】特開2000-341676(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/254
G08B 13/196
G08B 25/00
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定領域を順次撮影した撮影画像のうちの対象画像から低速移動体の画像領域を示す低速移動体領域を検出する画像処理装置であって、
前記所定領域の背景を撮影した背景画像と前記対象画像との間の背景差分処理によって抽出された背景差分領域を含む判定領域を求め、前記対象画像の撮影時刻を含む差分期間内に撮影された各前記撮影画像間のフレーム間差分処理によって、複数のフレーム間差分領域を求める差分処理手段と、
前記判定領域内にて、前記対象画像と他の前記撮影画像との間の前記フレーム間差分領域の面積である第1面積から、前記複数のフレーム間差分領域を蓄積した蓄積差分画像における前記フレーム間差分領域の面積である第2面積への面積増加率が増加率閾値以上である場合、該判定領域に前記低速移動体領域が有ると判定する低速移動体判定手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記低速移動体領域が有ると判定された前記蓄積差分画像における前記判定領域内の前記フレーム間差分領域に基づいて、前記背景差分領域を整形するラベル整形手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記フレーム間差分処理によって、安定判定期間、前記フレーム間差分領域として抽出されなかった画像領域を安定領域と判定し、前記低速移動体領域が有ると判定された判定領域外の画像領域であって、前記安定領域と判定された画像領域を用いて前記背景画像を更新する背景画像更新手段
をさらに備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記差分処理手段は、前記判定領域の面積に占める前記第1面積の割合が小さいほど、前記差分期間を大きい値に設定する、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記判定領域内の前記背景差分領域の面積を示す第3面積を求め、前記第1面積と前記第3面積との差が面積差閾値以下である場合、前記判定領域に前記低速移動体領域が無いと判定する、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
所定領域を順次撮影した撮影画像のうちの対象画像から低速移動体の画像領域を示す低速移動体領域を検出するための画像処理プログラムであって、
コンピュータを、
前記所定領域の背景を撮影した背景画像と前記対象画像との間の背景差分処理によって抽出された背景差分領域を含む判定領域を求め、前記対象画像の撮影時刻を含む差分期間内に撮影された各前記撮影画像間のフレーム間差分処理によって、複数のフレーム間差分領域を求める差分処理手段と、
前記判定領域内にて、前記対象画像と他の前記撮影画像との間の前記フレーム間差分領域の面積である第1面積から、前記複数のフレーム間差分領域を蓄積した蓄積差分画像における前記フレーム間差分領域の面積である第2面積への面積増加率が増加率閾値以上である場合、該判定領域に前記低速移動体領域が有ると判定する低速移動体判定手段と、
として機能させることを特徴とする画像処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影画像内から移動体の画像領域を示す移動体領域を検出する画像処理装置及び画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、所定領域(監視領域)をカメラで撮影して取得した撮影画像から、移動体を検出する処理が行われている。例えば、監視領域内に人物などの移動体が侵入してきた場合に、撮影画像から当該人物が抽出される。
【0003】
撮影画像から移動体を検出する処理としては、撮影画像と、背景画像(監視領域に移動体が存在しない画像)との間の背景差分領域を抽出する背景差分処理が行われるのが一般的である。しかし、背景差分処理では、扉の開閉や荷物の移動などが生じた場合、背景差分領域として抽出され続けるため、本来検出したい移動体の検出精度が落ちてしまう。したがって、背景差分処理の処理結果に加え、さらに、撮影画像と、過去に撮影された撮影画像である過去画像(例えば1~数フレーム前の画像)との間のフレーム間差分領域を抽出するフレーム間差分処理の処理結果も考慮して移動体を検出する場合がある。例えば、背景差分領域として抽出され、かつ、フレーム間差分領域として抽出された画素領域に基づいて、移動体を検出する。
【0004】
例えば、特許文献1には、撮影画像と背景画像との間の背景差分処理、及び、撮影画像と、当該撮影画像と時間的に隣り合う過去画像との間のフレーム間差分処理によって、撮影画像から検出対象を検出する画像センサが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
監視領域に、移動速度が極端に遅い移動体(低速移動体)が存在する場合、撮影画像と過去画像とで、移動体の位置がほぼ変わらない場合がある。この場合、フレーム間差分処理は、撮影画像と過去画像との間のフレーム間差分領域を抽出するものであるから、フレーム間差分処理において、低速移動体がフレーム間差分領域として抽出されない場合がある。このように、従来、フレーム間差分処理によって、撮影画像から低速移動体を適切に検出できない場合があった。
【0007】
本発明の目的は、フレーム間差分処理の結果を用いて撮影画像から低速移動体を検出することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、所定領域を順次撮影した撮影画像のうちの対象画像から低速移動体の画像領域を示す低速移動体領域を検出する画像処理装置であって、前記所定領域の背景を撮影した背景画像と前記対象画像との間の背景差分処理によって抽出された背景差分領域を含む判定領域を求め、前記対象画像の撮影時刻を含む差分期間内に撮影された各前記撮影画像間のフレーム間差分処理によって、複数のフレーム間差分領域を求める差分処理手段と、前記判定領域内にて、前記対象画像と他の前記撮影画像との間の前記フレーム間差分領域の面積である第1面積から、前記複数のフレーム間差分領域を蓄積した蓄積差分画像における前記フレーム間差分領域の面積である第2面積への面積増加率が増加率閾値以上である場合、該判定領域に前記低速移動体領域が有ると判定する低速移動体判定手段と、を備えることを特徴とする画像処理装置である。
【0009】
望ましくは、前記低速移動体領域が有ると判定された前記蓄積差分画像における前記判定領域内の前記フレーム間差分領域に基づいて、前記背景差分領域を整形するラベル整形手段と、をさらに備えることを特徴とする。
【0010】
望ましくは、前記フレーム間差分処理によって、安定判定期間、前記フレーム間差分領域として抽出されなかった画像領域を安定領域と判定し、前記低速移動体領域が有ると判定された判定領域外の画像領域であって、前記安定領域と判定された画像領域を用いて前記背景画像を更新する背景画像更新手段をさらに備えることを特徴とする。
【0011】
望ましくは、前記差分処理手段は、前記判定領域の面積に占める前記第1面積の割合が小さいほど、前記差分期間を大きい値に設定する、ことを特徴とする。
【0012】
望ましくは、前記判定領域内の前記背景差分領域の面積を示す第3面積を求め、前記第1面積と前記第3面積との差が面積差閾値以下である場合、前記判定領域に前記低速移動体領域が無いと判定する、ことを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、所定領域を順次撮影した撮影画像のうちの対象画像から低速移動体の画像領域を示す低速移動体領域を検出するための画像処理プログラムであって、コンピュータを、前記所定領域の背景を撮影した背景画像と前記対象画像との間の背景差分処理によって抽出された背景差分領域を含む判定領域を求め、前記対象画像の撮影時刻を含む差分期間内に撮影された各前記撮影画像間のフレーム間差分処理によって、複数のフレーム間差分領域を求める差分処理手段と、前記判定領域内にて、前記対象画像と他の前記撮影画像との間の前記フレーム間差分領域の面積である第1面積から、前記複数のフレーム間差分領域を蓄積した蓄積差分画像における前記フレーム間差分領域の面積である第2面積への面積増加率が増加率閾値以上である場合、該判定領域に前記低速移動体領域が有ると判定する低速移動体判定手段と、として機能させることを特徴とする画像処理プログラムである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、フレーム間差分処理の結果を用いて撮影画像から低速移動体を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本実施形態に係る警備システムの構成概略図である。
【
図2】本実施形態に係る画像センサの構成概略図である。
【
図3】対象画像(a)、背景画像(b)、及び、背景差分画像(c)を示す図である。
【
図4】複数の撮影画像と、複数のフレーム間差分画像を示す図である。
【
図5】対象フレーム間差分画像(a)、及び、蓄積差分画像(b)を示す図である。
【
図6】移動体の速度が速い場合における、複数の撮影画像と、複数のフレーム間差分画像を示す図である。
【
図7】移動体の速度が速い場合における、対象フレーム間差分画像(a)、及び、蓄積差分画像(b)を示す図である。
【
図8】移動体の速度が速い場合における、対象フレーム間差分画像(a)、及び、背景差分画像(b)を示す図である。
【
図9】背景差分画像(a)、蓄積差分画像(b)、及び、更新された判定領域を示す図である。
【
図10】本実施形態に係る低速移動体検出処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0017】
図1は、本実施形態に係る警備システム10の構成概略図である。警備システム10は、店舗、オフィス、マンション、倉庫、家屋などの各監視対象物件12に設置される警備装置14、公衆電話回線などの通信網16を介して各警備装置14と接続される警備センタ装置18、及び利用者装置20とを含んで構成される。さらに、警備システム10は、監視対象物件12の監視領域を撮影した監視画像に基づいて監視対象物件12の異常を検出するための1以上の画像処理装置としての画像センサ22、及び、画像センサ22により撮影された監視画像を記録する録画装置24を含んで構成される。画像センサ22及び録画装置24は警備装置14と通信可能に接続される。
【0018】
警備装置14は、構内LANなどを介してそれ自体に接続された画像センサ22からアラーム信号を受信すると、そのアラーム信号及び警備装置14自体の識別信号、又は、監視対象物件12あるいは異常を検出した画像センサ22の識別信号を警備センタ装置18へ送信する。そのために、警備装置14は、画像センサ22と通信するための通信インターフェースと、警備センタ装置18及び利用者装置20と通信するための通信インターフェースと、それらを制御するための制御ユニットを有する。
【0019】
警備センタ装置18は、いわゆるコンピュータで構成され、通信網16を介して警備装置14と通信するための通信インターフェースと、液晶ディスプレイなどの表示装置と、ブザーやLEDなどで構成される報知部を備える。警備センタ装置18は、警備装置14から通信網16を介してアラーム信号を受信すると、そのアラーム信号を送信した警備装置14が設置された監視対象物件12及び検出された異常の内容を報知部及び表示装置を通じて監視員に報知する。
【0020】
利用者装置20も、いわゆるコンピュータで構成され、通信網16を介して警備装置14と通信するための通信インターフェース、液晶ディスプレイなどの表示装置、及び、キーボードやマウスなど、警備装置14を遠隔操作するための操作コマンドを入力するためのユーザインターフェースを備える。利用者装置20は、ユーザインターフェースを介して予め登録されている監視対象物件12を観察する操作がなされると、登録されている監視対象物件12に設置された警備装置14に対して、現在撮影中の監視画像又は録画装置24に記録されている監視画像を利用者装置20に送信することを要求する各種の画像要求信号を送信する。そして、警備装置14から監視画像を受信すると、利用者装置20は要求された監視画像を表示装置に表示する。
【0021】
録画装置24は、HDDなどの磁気ディスク装置、DATなどの磁気テープ、DVD-RAMなどの光記録媒体のように、録画装置24に着脱自在となる記録媒体と、それら記録媒体にアクセスしてデータの読み書きを行う装置で構成される。録画装置24は、画像センサ22が撮影した監視画像を警備装置14から受け取り、撮影時刻と関連付けて記録する。
【0022】
図2は、画像センサ22の構成概略図である。画像センサ22は、所定領域(監視領域)を撮影して撮影画像を取得した上で、撮影画像から移動体を示す移動体領域を検出する。本実施形態では、画像センサ22は、撮影画像の中から、移動体のうち、特に人物(侵入者)を示す移動体領域を検出する。特に、本実施形態に係る画像センサ22は、移動速度が極端に遅い低速移動体を示す低速移動体領域を検出可能となっている。以下、画像センサ22の詳細について説明する。
【0023】
通信部30は、画像センサ22と警備装置14との間で構内LANなどの通信ネットワークを介して各種の設定信号及び制御信号などを送受信する入出力インターフェースであり、イーサネット(登録商標)などの各種の通信インターフェース回路及びそれらを駆動するドライバソフトウェアなどで構成される。具体的には、通信部30は、後述の信号処理部42によって人物が検出された場合に、人物を検出したことを示すアラーム信号を警備装置14に出力する。
【0024】
撮影部32は、CCDなどの、可視光などに感度を有する光電変換器で構成された2次元検出器と、その2次元検出器上に監視領域の像を結像する結像光学系などで構成される。撮影部32としては、例えば、単方位カメラあるいは全方位カメラを利用することができる。撮影部32は、監視領域を順次撮影することによって撮影画像を順次取得する。本実施形態では、撮影部32は、一定の時間間隔(例えば1/5秒)毎に撮影を行うが、撮影部32の撮影方法はこれには限られない。取得された撮影画像は記憶部34に記憶される。
【0025】
記憶部34は、半導体メモリ、磁気ディスク(HDD)、又はCD-ROM、DVD-RAMなどの光ディスクドライブ及びその記録媒体で構成される。記憶部34には、画像センサ22の各部を動作させるための画像処理プログラムが記憶される。また、
図2に示される通り、記憶部34には、撮影部32が順次取得した複数の撮影画像36、背景画像38、及び参照情報40が記憶される。
【0026】
背景画像38は、監視領域の背景を撮影した画像であり、監視領域内に人物が存在していないときの撮影画像36に基づいて、後述の背景画像更新手段54により作成あるいは更新される。背景画像38の更新処理の詳細については後述する。
【0027】
参照情報40は、検出対象(本実施形態では人物)の特徴を表す情報であり、本実施形態では、人物の標準的な身長を示す参照身長(例えば180cm)、人物の標準的な幅を示す参照身幅(例えば60cm)、及び、人物の標準的な移動速度を示す参照移動速度を示す情報を含んでいる。
【0028】
信号処理部42は、組み込み型のマイクロプロセッサユニットと、ROM、RAMなどのメモリと、その周辺回路とを有し、画像センサ22の各種信号処理を実行する。
図2に示されるように、信号処理部42は、差分処理手段44、低速移動体判定手段46、ラベル整形手段48、追跡手段50、侵入者判定手段52、及び、背景画像更新手段54としての機能を発揮する。信号処理部42がこれらの手段を発揮することで、撮影画像36において、人物(侵入者)を示す画像領域である移動体領域が検出される。特に、本実施形態では、極端に移動速度が低い低速移動体としての人物を示す低速移動体領域が検出される。以下、信号処理部42が有する各手段について説明する。
【0029】
差分処理手段44は、撮影画像36と、記憶部34に予め記憶された背景画像38とを比較して、両画像間で相違する画素を抽出し、抽出された画素を第1の値(例えば1)とし、抽出されない画素を第2の値(例えば0)とする二値画像である背景差分画像を求める背景差分処理を行う。ここで「両画像間で相違する画素」とは、撮影画像36と背景画像38との間で輝度値又は色成分の差が所定値以上である撮影画像36の画素を意味する。差分処理手段44は、順次取得される複数の撮影画像36それぞれと、背景画像38との間で背景差分処理を行う。
【0030】
図3には、低速移動体領域を検出する対象となる撮影画像36である対象画像36a(a)、背景画像38(b)、及び背景差分画像60(c)の例が示されている。ちなみに、対象画像36aは、記憶部34に記憶された複数の撮影画像36のうち、必ずしも最新の撮影画像36でなくてもよい。
図3(a)の例のように、対象画像36aに人物が含まれている場合には、背景差分処理により、
図3(c)に示されるように、当該人物に対応する画素群からなる背景差分領域62が抽出される。なお、背景差分領域62に含まれる画素を背景差分抽出画素と呼ぶ。
【0031】
差分処理手段44は、背景差分画像60において、抽出した背景差分領域62を含む判定領域66を求める。後述するように判定領域66は、低速移動体領域の有無を判定するための領域である。本実施形態では、差分処理手段44は、背景差分領域62の外接矩形を判定領域66とする。なお、本実施形態では、判定領域66として背景差分領域62の外接矩形としているが、これに限らず、検出したい低速移動体が差分期間内に移動し得る範囲を加味した上限範囲として余裕を持たせてもよい。当該余裕は、検出したい低速移動体の特性に応じて予め定めておくのが好適である。このような判定領域の設定は高速移動体の影響を排除する意図がある。判定領域66を示す情報としては、例えば判定領域66の対頂点の座標が保持される。
【0032】
また、差分処理手段44は、各背景差分抽出画素に対して識別子(ラベル)を付与するラベリング処理を行う。ラベルとしては、例えば、背景差分画像60内でユニークな数値を用いることができる。ラベリング処理では、ある背景差分抽出画素に注目したとき、当該画素に隣接している他の背景差分抽出画素からなる一塊の画素群を1つの背景差分領域62とみなす。なお、背景差分抽出画素に隣接する画素とは、背景差分抽出画素の上下左右方向に隣接する画素であってもよいし、斜め方向に隣接する画素まで含めてもよい。その上で、各背景差分領域62に対して異なるラベルを付与し、背景差分画像60の画素値として記憶する処理を行う。以下、ラベルが付与された背景差分領域62のことをラベル領域64と呼ぶ場合がある。
【0033】
さらに、差分処理手段44は、異なる時点に撮影された2つの撮影画像36を比較して、両画像間で相違する画素を抽出し、抽出された画素を第1の値(例えば1)とし、抽出されなかった画素を第2の値(例えば0)とする二値画像であるフレーム間差分画像を求めるフレーム間差分処理を行う。ここで、差分処理手段44は、対象画像36aの撮影時刻を含む差分期間内に撮影された各撮影画像36間でフレーム間差分処理を行い、複数のフレーム間差分画像を求める。なお、差分期間については後に詳細に説明する。本実施形態では、差分処理手段44は、対象画像36aの撮影時刻から過去の差分期間に撮影された各撮影画像36間でフレーム間差分処理を行うが、フレーム間差分処理の対象となる撮影画像36としては、対象画像36aよりも未来に撮影された撮影画像36が含まれていてもよい。
【0034】
図4には、複数の撮影画像36と、複数のフレーム間差分画像68-1~68-4(以下、包括してフレーム間差分画像68と記載する場合がある)が示されている。
図4の例では、対象画像36aから5フレーム分が差分期間内に撮影された撮影画像36となっている。
図4の例では、複数の撮影画像36に極端に移動速度が遅い人物が含まれており、各撮影画像36に含まれる人物に対応する画素と、その1フレーム前の撮影画像36の人物に対応する画素とが一部重複している。
【0035】
差分処理手段44は、対象画像36aとその1フレーム前の撮影画像36-1との間のフレーム間差分画像68-1、撮影画像36-1とその1フレーム前の撮影画像36-2との間のフレーム間差分画像68-2、撮影画像36-2とその1フレーム前の撮影画像36-3との間のフレーム間差分画像68-3、及び、撮影画像36-3とその1フレーム前の撮影画像36-4との間のフレーム間差分画像68-4を求める。
【0036】
上述のように、各撮影画像36に含まれる人物に対応する画素と、その1フレーム前の撮影画像36の人物に対応する画素とが一部重複しているから、各フレーム間差分画像68においては、一方の撮影画像36で人物に対応する画素であったが他方の撮影画像36で人物に対応する画素でなくなった画素、一方の撮影画像36で人物に対応する画素ではなかったが他方の撮影画像36で人物に対応する画素となった画素が抽出される。このように抽出された画素をフレーム間差分抽出画素と呼び、フレーム間差分抽出画素の集合をフレーム間差分領域70と呼ぶ。
【0037】
また、本実施形態では、複数のフレーム間差分画像68のうち、対象画像36aと他の撮影画像36との間のフレーム間差分画像68を対象フレーム間差分画像68aと呼ぶ。
【0038】
低速移動体判定手段46は、複数のフレーム間差分画像68を用いて、対象画像36aから低速移動体を検出する低速移動体検出処理を行う。
【0039】
低速移動体判定手段46は、背景差分画像60において求めた判定領域66を対象フレーム間差分画像68a内に適用する。
図5(a)には、対象フレーム間差分画像68aに適用された判定領域66が示されている。その上で、低速移動体判定手段46は、対象フレーム間差分画像68aにおける、判定領域66内のフレーム間差分領域70の面積である第1面積S
1を求める。第1面積S
1は、換言すれば、対象フレーム間差分画像68aにおける、判定領域66内にあるフレーム間差分抽出画素の数である。
【0040】
また、低速移動体判定手段46は、差分処理手段44によるフレーム間差分処理によって求められた複数のフレーム間差分画像68内のフレーム間差分領域70を蓄積した(足し合わせた)蓄積差分画像を求める。
図4の例では、対象フレーム間差分画像68a、フレーム間差分画像68-2~68-4のそれぞれのフレーム間差分領域70を足し合わせて蓄積差分画像を求める。
図5(b)には、そのようにして求められた蓄積差分画像80が示されている。蓄積差分画像80に含まれる、複数のフレーム間差分画像68のフレーム間差分領域70を足し合わせた領域を蓄積フレーム間差分領域72と呼ぶ。
【0041】
その上で、低速移動体判定手段46は、蓄積差分画像80に判定領域66を適用し、蓄積差分画像80における、判定領域66内の蓄積フレーム間差分領域72の面積である第2面積S2を求める。
【0042】
監視領域に侵入した人物が低速で移動している場合、各撮影画像36における人物に対応する画素の位置が少しずつ異なるから、各フレーム間差分画像68におけるフレーム間差分領域70の位置も少しずつ異なる。したがって、各フレーム間差分画像68におけるフレーム間差分領域70を足し合わせていくと、蓄積フレーム間差分領域72の面積が徐々に増えていくことになる。よって、判定領域66内についてみると、対象フレーム間差分画像68aにおけるフレーム間差分領域70の面積である第1面積S1に比して、蓄積差分画像80における蓄積フレーム間差分領域72の面積である第2面積S2の方が大きくなる。
【0043】
ここで、監視領域に侵入した人物の移動速度が速い場合、換言すれば、当該人物が低速移動体でない場合を考える。
図6には、
図4同様、複数の撮影画像36と、複数のフレーム間差分画像68が示されている。
図6の例では、複数の撮影画像36に極端に移動速度が速い人物が含まれており、各撮影画像36に含まれる人物に対応する画素と、その1フレーム前の撮影画像36の人物に対応する画素が重複していない。
【0044】
この場合、各フレーム間差分画像68においては、一方の撮影画像36で人物に対応する画素の全てと、他方の撮影画像36で人物に対応する画素の全ての両方がフレーム間差分領域70として抽出される。
【0045】
図6の例において、判定領域66が適用された対象フレーム間差分画像68aが
図7(a)に示され、判定領域66が適用された蓄積差分画像80が
図7(b)に示されている。監視領域に侵入した人物の移動速度が速い場合、各撮影画像36における人物に対応する画素の位置は重複しない。したがって、
図7(b)に示される通り、各フレーム間差分画像68におけるフレーム間差分領域70を足し合わせると、蓄積フレーム間差分領域72としては、各撮影画像36における人物に対応する画素領域が重複せずに並ぶだけである。この場合、判定領域66内についてみると、対象フレーム間差分画像68aにおけるフレーム間差分領域70の面積である第1面積S
1と、蓄積差分画像80における蓄積フレーム間差分領域72の面積である第2面積S
2は同等となる。
【0046】
以上の通りであるので、低速移動体判定手段46は、第1面積S1から第2面積S2への面積増加率ΔS[%]を求め、求めた面積増加率ΔSが所定の増加率閾値以上である場合に、判定領域66内に低速移動体領域が有ると判定する。換言すれば、低速移動体判定手段46は、第1面積S1から第2面積S2への面積増加率ΔS[%]が所定の増加率閾値未満である場合は、判定領域66内に低速移動体領域が無いと判定する。ここで、面積増加率ΔSは、以下の式で求められる。
ΔS=((S2-S1)/S1)×100
なお、上記の式の分母をS1の代わりに後述するS3を用いて増加率ΔSを算出してもよい。
【0047】
監視領域に侵入した人物の速度がかなり小さい場合、各フレーム間差分画像68におけるフレーム間差分領域70の面積がかなり小さくなる。差分期間が一定であれば、各フレーム間差分画像68におけるフレーム間差分領域70の面積が小さいほど、蓄積差分画像80における蓄積フレーム間差分領域72の面積(つまり第2面積S2)が小さくなる。これは、低速移動体が判定領域66内にあると判定されにくくなる方向に作用する。ここで、差分期間が長い程、蓄積処理の対象となるフレーム間差分画像68の数が増えるから、第2面積S2をより大きくすることができる。
【0048】
したがって、本実施形態では、低速移動体判定手段46によって対象フレーム間差分画像68aにおける判定領域66内のフレーム間差分領域70の面積(つまり第1面積S1)が算出された場合に、差分処理手段44は、対象フレーム間差分画像68aの判定領域66の面積に占める第1面積S1の割合が小さいほど、差分期間を大きい値に設定するようにしてもよい。単に第1面積S1の大きさに応じて差分期間を変更しないのは、撮影画像36における人物に対応する画素領域の大きさを考慮したからである。その上で、差分処理手段44は、設定した差分期間内に撮影された各撮影画像36間のフレーム間差分画像68を求め、低速移動体判定手段46は、新たに求められた複数のフレーム間差分画像68を用いて、上述の低速移動体判定処理を行う。
【0049】
また、上述のように、監視領域に侵入した人物の移動速度が速い場合、各撮影画像36に含まれる人物に対応する画素と、その1フレーム前の撮影画像36の人物に対応する画素とが重複しないから、
図8(a)に再度示す通り(
図6も参照)、対象フレーム間差分画像68aにおけるフレーム間差分領域70としては、対象画像36aにおける人物に対応する画素領域と、撮影画像36-1における人物に対応する画素領域とが重複せずに並ぶだけである。このとき、対象フレーム間差分画像68aにおける判定領域66内のフレーム間差分領域70の面積(つまり第1面積S
1)と、
図8(b)に示す背景差分画像60における判定領域66内の背景差分領域62の面積である第3面積S
3は同等となる。
【0050】
したがって、低速移動体判定手段46は、背景差分画像60における判定領域66内の背景差分領域62の面積である第3面積S3を求め、第1面積S1と第3面積S3との差が所定の面積差閾値以下である場合には、監視領域に侵入した人物の移動速度が速い、つまり、判定領域66内に低速移動体領域が無い、と判定するようにしてもよい。
【0051】
図2に戻り、ラベル整形手段48は、差分処理手段44の背景差分処理により抽出された各ラベル領域64を整形するラベル整形処理を実行する。例えば、所定範囲内にある複数のラベル領域64を、統合した場合に人物らしい大きさあるいは形状の領域となるかどうかなどの所定の条件に基づいて、複数のラベル領域64を統合するラベル統合処理を実行する。ラベル統合処理によれば、例えば、同一人物の上半身と下半身とがそれぞれ異なるラベル領域64として抽出された場合に、当該2つのラベル領域64を統合して1人の人物の像に対応する1つのラベル領域64とすることができる。
【0052】
また、例えば、ラベル整形手段48は、ラベル領域64から人領域を切り出して別のラベル領域64とするラベル分離処理を行ってもよい。ラベル分離処理は、人領域及び影領域を含む1つのラベル領域64から人領域を切り出す処理などを含む。
【0053】
また、例えば、ラベル整形手段48は、ラベル領域64を削除するラベル削除処理を行ってもよい。ラベル削除処理は、明らかに人物でないと判断できるラベル領域64を削除する処理である。例えば、人物のサイズに対して大きすぎる、あるいは小さすぎるラベル領域64を削除する。
【0054】
また、差分期間に含まれる複数の撮影画像36において、例えばレンズフレアなどによって、一様なノイズが重畳される場合がある。この場合、
図9(a)に示す通り、背景差分画像60に含まれる背景差分領域62には、当該ノイズに対応する画素が含まれてしまい、背景差分領域62の面積が大きくなり、また、その外形も人らしくなくなってしまう場合がある。
【0055】
このような場合、ラベル整形手段48は、上述のラベル統合処理、ラベル分離処理、及びラベル削除処理に先立って、蓄積差分画像80における、低速移動体領域があると判定された判定領域66内の蓄積フレーム間差分領域72(
図9(b)参照)に基づいて、背景差分領域62を整形するようにしてもよい。本実施形態では、ラベル整形手段48は、背景差分画像60の元の判定領域66(
図9(a)参照)内において背景差分領域62として抽出され、かつ、蓄積差分画像80に適用された元の判定領域66(
図9(b)参照)内において蓄積フレーム間差分領域72として抽出された画素領域を更新後背景差分領域62’とする。また、更新後背景差分領域62’に合わせて、判定領域66も更新するようにしてもよい。具体的には、更新後背景差分領域62’の外接矩形を更新後判定領域66’としてもよい。更新後判定領域66’は、判定領域66よりも小さい面積とすることが可能であり、これにより、後述の背景画像更新手段54による背景画像更新処理において、背景画像38として用いることのできる画像領域をより大きく取ることができる。
【0056】
追跡手段50は、撮影部32が順次取得した複数の撮影画像36のそれぞれから抽出され、ラベル整形手段48にて整形されたラベル領域64を時間的に追跡する処理を行う。具体的には、追跡手段50は、今回取得された撮影画像36から抽出されてラベル整形手段48により整形された、各ラベル領域64と、過去に取得された撮影画像36から抽出されて、記憶部34に追跡用情報として記憶されているラベル領域64(以下「追跡ラベル領域」と記載する)とを同定する処理(同一人物に対応するラベル領域64であると判定する処理)を行う。ここで、追跡用情報は、追跡ラベル領域に関する、追跡ID、撮影画像36上の位置、及び追跡用特徴量が関連付けられた情報である。追跡用特徴量は、追跡ラベル領域の実空間におけるサイズや形状、輝度ヒストグラム、テクスチャ情報などである。
【0057】
追跡手段50は、今回取得された撮影画像36のラベル領域64の追跡用特徴量及び位置と、追跡ラベル領域の追跡用特徴量及び位置とを比較することで、今回取得された撮影画像36のラベル領域64と追跡ラベル領域とを同定する。例えば、追跡用特徴量が類似し、且つ、位置が近いもので同定する。そして、今回取得された撮影画像36のラベル領域64に対して、同定された追跡ラベル領域と同一の追跡IDを付与し、時系列に従って、今回取得された撮影画像36の当該ラベル領域64の追跡IDと、撮影画像36上の位置などを関連付けた上で記憶部34に追跡用情報として保存する。
【0058】
なお、今回取得された撮影画像36のラベル領域64において、追跡ラベル領域と同定が得られなかったものについては、新規の人物が出現したものとして、当該ラベル領域64の追跡用特徴量に新規の追跡IDを付与する。また、これまで追跡していた追跡ラベル領域のうち、今回取得された撮影画像36のラベル領域64と同定が得られなかったものがある場合、当該追跡ラベル領域に対応する人物が消失したものとして、当該追跡用情報を削除する。
【0059】
侵入者判定手段52は、上述の各手段の処理結果に基づいて、対象画像36aに含まれるラベル領域64のそれぞれについて、移動体である人物(侵入者)に対応するものであるか否かを判定する。
【0060】
侵入者判定手段52は、移動体と判定されたラベル領域64が人らしいか否かを判定する。例えば、ラベル領域64の推定サイズ(推定高さあるいは推定幅)を求め、参照情報40に含まれる人物の標準的なサイズと比較することにより当該ラベル領域64が人らしいか否かを判定する。
【0061】
また、侵入者判定手段52は、追跡手段50の追跡処理の結果から、ラベル領域64の移動量に基づいてラベル領域64の推定速度を求め、参照情報40に含まれる人物の標準的な移動速度との比較結果をも考慮して、当該ラベル領域64が人らしいか否かを判定するようにしてもよい。この際、低速移動体判定手段46にてラベル領域64が低速移動体領域であると判定されている場合、当該判定結果を考慮して、当該ラベル領域64が人らしいか否かを判定するようにしてもよい。例えば、ラベル領域64の移動量が標準的な移動速度よりも遅かったとしても、低速移動体領域と判定されているならば、(低速で移動する)人らしいと判定するようにしてもよい。あるいは、標準的な移動速度として設定した値を低速移動体領域と判定されたラベル領域64については小さい値に変更してもよい。
【0062】
上述の処理により、ラベル領域64が人らしいと判定された場合に、侵入者判定手段52は、対象画像36aに人物(侵入者)が含まれると判定し、通信部30からアラーム信号を出力させる。ここで、さらに、侵入者判定手段52は、予め定めたフレーム数(例えば、5フレーム)以上、同一の追跡IDが付与されたラベル領域64が連続して人らしいと判定された場合に、通信部30からアラーム信号を出力するようにしてもよい。
【0063】
背景画像更新手段54は、撮影画像36を用いて背景画像38を作成あるいは更新する。背景画像更新手段54は、監視領域に移動体が全く存在しないときの撮影画像36をそのまま背景画像38としてもよいが、撮影画像36のうち、移動体領域以外の部分を用いて背景画像38を部分的に更新することもできる。
【0064】
本実施形態における背景画像更新手段54は、差分処理手段44によるフレーム間差分処理、及び、低速移動体判定手段46による低速移動体判定処理の結果に基づいて、背景画像38を更新する。具体的には、まず、背景画像更新手段54は、差分処理手段44によるフレーム間差分処理によって、所定の安定判定期間、フレーム間差分領域70として抽出されない画像領域を安定領域として判定する。その上で、低速移動体判定手段46による低速移動体判定処理により低速移動体領域が有ると判定された判定領域66外の画像領域であり、かつ、上記安定領域であると判定された画像領域を用いて、背景画像38を更新する。換言すれば、背景画像更新手段54は、低速移動体領域が有ると判定された判定領域66は、背景画像38の更新には用いないようにする。
【0065】
なお、背景画像38は、照明状態の変動、太陽の日周変動などの監視領域の変動に対応するために、一定周期(例えば、10分間隔)毎に更新されるのが好適である。
【0066】
本実施形態に係る警備システム10の構成は以上の通りである。以下、
図10に示すフローチャートに従って、低速移動体判定処理(一部差分処理手段44による処理を含む)の流れについて説明する。
【0067】
ステップS10において、差分処理手段44は、撮影画像36と背景画像38とを比較して、背景差分画像60を求める背景差分処理を行う。
【0068】
ステップS12において、差分処理手段44は、ステップS10で求めた背景差分画像60において、背景差分領域62の外接矩形を判定領域66に設定する。
【0069】
ステップS14において、差分処理手段44は、対象画像36aと、他の撮影画像36との間でフレーム間差分処理を行って、対象フレーム間差分画像68aを求める。
【0070】
ステップS16において、低速移動体判定手段46は、ステップS12で求めた判定領域66内の背景差分領域62の面積である第3面積S3を算出する。
【0071】
ステップS18において、低速移動体判定手段46は、ステップS14で求めた対象フレーム間差分画像68aに、ステップS12で求めた判定領域66を適用する。さらに、低速移動体判定手段46は、対象フレーム間差分画像68aにおける、判定領域66内のフレーム間差分領域70の面積である第1面積S1を求める。
【0072】
ステップS20において、低速移動体判定手段46は、ステップS18で求めた第1面積S1とステップS16で求めた第3面積S3とが同等であるか、つまり、第1面積S1と第3面積S3との差が所定の面積差閾値以下であるか否かを判定する。第1面積S1と第3面積S3との差が所定の面積差閾値以下である場合、ステップS22に進み、ステップS22において、低速移動体判定手段46は、当該判定領域66内に低速移動体領域は無い、と判定する。第1面積S1と第3面積S3との差が所定の面積差閾値以下ではない場合、ステップS24に進む。
【0073】
ステップS24において、差分処理手段44は、対象画像36aの撮影時刻を含む差分期間を設定する。具体的には、差分処理手段44は、ステップS18で求めた、対象フレーム間差分画像68aの判定領域66の面積に占める第1面積S1の割合が小さいほど、差分期間を大きい値に設定する。
【0074】
ステップS26において、差分処理手段44は、ステップS24で設定された差分期間内に撮影された各撮影画像36間でフレーム間差分処理を行い、複数のフレーム間差分画像68を求める。
【0075】
ステップS28において、低速移動体判定手段46は、ステップS26で求めた複数のフレーム間差分画像68内のフレーム間差分領域70を蓄積した蓄積差分画像80を生成する。
【0076】
ステップS30において、低速移動体判定手段46は、ステップS28で生成した蓄積差分画像80に、ステップS12で求めた判定領域66を適用し、蓄積差分画像80における、判定領域66内の蓄積フレーム間差分領域72の面積である第2面積S2を求める。
【0077】
ステップS32において、低速移動体判定手段46は、第1面積S1から第2面積S2への面積増加率ΔS[%]を求める。上述のように、面積増加率ΔSは、
ΔS=((S2-S1)/S1)×100
で求められる。
【0078】
ステップS34において、低速移動体判定手段46は、ステップS32で求めた面積増加率ΔSが所定の増加率閾値以上であるか否かを判定する。面積増加率ΔSが増加率閾値以上である場合、ステップS36に進み、ステップS36において、低速移動体判定手段46は、当該判定領域66内に低速移動体領域が有る、と判定する。一方、面積増加率ΔSが増加率閾値未満である場合、ステップS22に進み、ステップS22において、低速移動体判定手段46は、当該判定領域66内に低速移動体領域は無い、と判定する。
【0079】
以上、本発明に係る実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0080】
10 警備システム、12 監視対象物件、14 警備装置、16 通信網、18 警備センタ装置、20 利用者装置、22 画像センサ、24 録画装置、30 通信部、32 撮影部、34 記憶部、36 撮影画像、36a 対象画像、38 背景画像、40 参照情報、42 信号処理部、44 差分処理手段、46 低速移動体判定手段、48 ラベル整形手段、50 追跡手段、52 侵入者判定手段、54 背景画像更新手段、60 背景差分画像、62 背景差分領域、62’ 更新後背景差分領域、64 ラベル領域、66 判定領域、66’ 更新後判定領域、68 フレーム間差分画像、68a 対象フレーム間差分画像、70 フレーム間差分領域、72 蓄積フレーム間差分領域、80 蓄積差分画像。