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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-03
(45)【発行日】2023-02-13
(54)【発明の名称】油圧ショベル
(51)【国際特許分類】
   F15B 11/08 20060101AFI20230206BHJP
   F15B 11/00 20060101ALI20230206BHJP
   F15B 11/042 20060101ALI20230206BHJP
   E02F 9/22 20060101ALI20230206BHJP
【FI】
F15B11/08 A
F15B11/00 H
F15B11/042
E02F9/22 K
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019053782
(22)【出願日】2019-03-20
(65)【公開番号】P2020153461
(43)【公開日】2020-09-24
【審査請求日】2021-08-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】小倉 康平
(72)【発明者】
【氏名】小高 克明
(72)【発明者】
【氏名】茅根 征勲
(72)【発明者】
【氏名】白川 賀裕
【審査官】高吉 統久
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-169250(JP,A)
【文献】特開2017-172638(JP,A)
【文献】特開2010-047983(JP,A)
【文献】特開2003-156006(JP,A)
【文献】特開2012-036665(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 11/00-11/22
F15B 21/14
E02F 9/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部旋回体と下部走行体から成る本体と、
前記本体に回動可能に連結されたブームと、
前記ブームの先端部に回動可能に連結されたアームと、
前記アームの先端部に回動可能に連結されたバケットと、
第1油圧ポンプと、
第2油圧ポンプと、
前記第1油圧ポンプおよび前記第2油圧ポンプから圧油が供給され、前記ブームまたは前記バケットを駆動するブームシリンダまたはバケットシリンダと、
前記第1油圧ポンプから圧油が供給され、前記アームを駆動するアームシリンダと、
前記ブームシリンダまたは前記バケットシリンダの動作を指示する第1操作装置と、
前記アームシリンダの動作を指示する第2操作装置と、
前記第1操作装置の操作量に応じて前記第1油圧ポンプから前記ブームシリンダまたは前記バケットシリンダに供給される圧油の方向および流量を制御する第1方向切換弁と、
前記第2操作装置の操作量に応じて前記第1油圧ポンプから前記アームシリンダに供給される圧油の方向および流量を制御する第2方向切換弁と、
前記第2操作装置の操作量に応じて前記第2油圧ポンプから前記アームシリンダに供給される圧油の方向および流量を制御する第3方向切換弁とを備え、
前記第1方向切換弁および前記第2方向切換弁は、前記第1油圧ポンプのセンタバイパスラインにタンデム接続され、かつ前記センタバイパスラインから分岐したパラレルラインにパラレル接続された油圧ショベルにおいて、
前記センタバイパスラインの最下流に配置されており、前記第2操作装置が操作された場合に、前記第2操作装置の操作量に応じて、前記センタバイパスラインを通過する圧油の流量を制限するセンタバイパス流量制御弁と、
前記第1操作装置および前記第2操作装置が同時に操作された場合に、前記第3方向切換弁のスプールストローク量が前記第2操作装置の操作量に応じて制御されている状態で、前記第2方向切換弁のスプールストローク量を前記第1操作装置の操作量に応じて制限するスプールストローク制限装置と、
パイロットポンプとを備え、
前記第1操作装置は、前記第1操作装置の操作量に応じて前記パイロットポンプの吐出圧を減圧し、前記第1方向切換弁の操作圧として出力するブームパイロット弁およびバケットパイロット弁を有し、
前記第2操作装置は、前記第2操作装置の操作量に応じて前記パイロットポンプの吐出圧を減圧し、前記第2方向切換弁および前記第3方向切換弁の操作圧として出力するアームパイロット弁を有し、
前記油圧ショベルは、前記アームパイロット弁から出力されるアーム引き操作圧、前記ブームパイロット弁から出力されるブーム上げ操作圧、前記バケットパイロット弁から出力されるバケット引き操作圧、および前記バケットパイロット弁から出力されるバケット押し操作圧を検出する圧力センサを更に備え、
前記スプールストローク制限装置は、
前記アームパイロット弁のアーム引き側の2次圧ポートに1次圧ポートが接続され、前記第2方向切換弁のアーム引き側の操作圧ポートに2次圧ポートが接続された第1電磁比例減圧弁と、
前記アーム引き操作圧、前記ブーム上げ操作圧、前記バケット引き操作圧、および前記バケット押し操作圧のそれぞれに基づいて決定した前記第2方向切換弁の目標メータイン開口面積のうち最も値の小さい目標メータイン開口面積に基づいて前記第1電磁比例減圧弁の2次圧を制御するコントローラとを有する
ことを特徴とする油圧ショベル。
【請求項2】
請求項に記載の油圧ショベルにおいて、
前記パイロットポンプの吐出ラインに1次圧ポートが接続され、前記センタバイパス流量制御弁の操作圧ポートに2次圧ポートが接続された第2電磁比例減圧弁を更に備え、
前記コントローラは、前記アーム引き操作圧に基づいて前記第2電磁比例減圧弁の2次圧を制御する
ことを特徴とする油圧ショベル。
【請求項3】
請求項に記載の油圧ショベルにおいて、
前記コントローラは、前記ブーム上げ操作圧、前記バケット引き操作圧、および前記バケット押し操作圧の全てが所定の圧力以下の場合に、前記第1電磁比例減圧弁の目標開口面積を最大開口面積とする
ことを特徴とする油圧ショベル。
【請求項4】
請求項に記載の油圧ショベルにおいて、
前記コントローラは、前記アーム引き操作圧、前記ブーム上げ操作圧、前記バケット引き操作圧、および前記バケット押し操作圧のそれぞれに対応する前記第2方向切換弁の目標メータイン開口面積の最小値を個別に設定できる
ことを特徴とする油圧ショベル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ショベルに関する。
【背景技術】
【0002】
油圧ショベルにはブーム、アーム、バケットとこれらを駆動するブームシリンダ、アームシリンダ、バケットシリンダなどの複数の油圧アクチュエータが搭載されている。一般に、油圧アクチュエータを駆動する圧油を吐出する油圧ポンプは油圧アクチュエータの数よりも少ないため、複数の油圧アクチュエータを同時に動作させる際には1つの油圧ポンプから吐出された圧油を複数の油圧アクチュエータに適切に分配する必要がある。このような油圧ショベルの従来技術を開示するものとして、例えば特許文献1,2がある。
【0003】
特許文献1記載の油圧回路は、バイパスライン(パラレルライン)の第1のアーム用方向切換弁(アーム第2方向切換弁)の手前に絞りが設けられており、水平引き(ブーム上げとアーム引きの複合動作)のようなブームシリンダの負荷圧に対してアームシリンダの負荷圧が低い動作を行った場合であっても、第1のアーム用方向切換弁(アーム第2方向切換弁)に流入する圧油の流れを制限し、第1のブーム用方向切換弁(ブーム第1方向切換弁)に優先的に圧油が流れるように構成されている。
【0004】
このように構成された特許文献1記載の油圧回路において、水平引き動作においてブーム上げ操作を徐々に小さくしてブームシリンダに流入する圧油を減少させた場合であっても、バイパスライン(パラレルライン)を通ってアームシリンダに流入する圧油の流量は絞りによって制限されたままであるため、絞りにおいて発生する油圧損失によって作業効率の悪化や燃料消費量の増加を招くおそれがあった。
【0005】
一方、特許文献2記載の油圧回路は、特許文献1記載の油圧回路の問題点を解決すべく考案されたものであり、特許文献1記載の油圧回路におけるバイパスライン(パラレルライン)の絞りを取り除き、代わりに、アーム2速切換弁(アーム第2方向切換弁)とアーム操作レバー(アームパイロット弁)の手前に電磁比例減圧弁を設け、アーム2速切換弁(アーム第2方向切換弁)を可変開口絞りのように用いることにより、水平引き動作時に発生する油圧損失を低減している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開昭58-146632号
【0007】
【文献】特許5219691号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1記載の油圧回路においては、水平引き動作においてブーム上げ操作を徐々に小さくしてブームシリンダに流入する圧油を減少させた場合であっても、バイパスライン(パラレルライン)を通ってアームシリンダに流入する圧油の流量は絞りによって制限されたままであるため、絞りにおいて発生する油圧損失によって作業効率の悪化や燃料消費量の増加を招くおそれがあった。
【0009】
一方、特許文献2記載の油圧回路においては、アーム2速切換弁(アーム第2方向切換弁)のスプールストローク量が一定量に制限されるため、水平引き動作中にアーム引き操作を大きくしていった場合であってもアーム2速切換弁(アーム第2方向切換弁)のセンタバイパス開口は閉じきらない。したがって、アーム2速切換弁(アーム第2方向切換弁)からアームシリンダに流入する圧油の量は増加しない。すなわち、特許文献2記載の油圧回路においては、油圧ポンプから吐出された圧油を有効に使い切ることができず、水平引き最大操作時のアーム引き速度が特許文献1記載の油圧回路に対して劣ってしまうという問題がある。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、負荷の異なる複数の油圧アクチュエータを同時に動作させる場合の油圧損失を低減することにより燃料消費量を抑制し、かつ作業効率を向上することができる油圧ショベルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明は、上部旋回体と下部走行体から成る本体と、前記本体に回動可能に連結されたブームと、前記ブームの先端部に回動可能に連結されたアームと、前記アームの先端部に回動可能に連結されたバケットと、第1油圧ポンプと、第2油圧ポンプと、前記第1油圧ポンプおよび前記第2油圧ポンプから圧油が供給され、前記ブームまたは前記バケットを駆動するブームシリンダまたはバケットシリンダと、前記第1油圧ポンプから圧油が供給され、前記アームを駆動するアームシリンダと、前記ブームシリンダまたは前記バケットシリンダの動作を指示する第1操作装置と、前記アームシリンダの動作を指示する第2操作装置と、前記第1操作装置の操作量に応じて前記第1油圧ポンプから前記ブームシリンダまたは前記バケットシリンダに供給される圧油の方向および流量を制御する第1方向切換弁と、前記第2操作装置の操作量に応じて前記第1油圧ポンプから前記アームシリンダに供給される圧油の方向および流量を制御する第2方向切換弁と、前記第2操作装置の操作量に応じて前記第2油圧ポンプから前記アームシリンダに供給される圧油の方向および流量を制御する第3方向切換弁とを備え、前記第1方向切換弁および前記第2方向切換弁は、前記第1油圧ポンプのセンタバイパスラインにタンデム接続され、かつ前記センタバイパスラインから分岐したパラレルラインにパラレル接続された油圧ショベルにおいて、前記センタバイパスラインの最下流に配置されており、前記第2操作装置が操作された場合に、前記第2操作装置の操作量に応じて、前記センタバイパスラインを通過する圧油の流量を制限するセンタバイパス流量制御弁と、前記第1操作装置および前記第2操作装置が同時に操作された場合に、前記第3方向切換弁のスプールストローク量が前記第2操作装置の操作量に応じて制御されている状態で、前記第2方向切換弁のスプールストローク量を前記第1操作装置の操作量に応じて制限するスプールストローク制限装置と、パイロットポンプとを備え、前記第1操作装置は、前記第1操作装置の操作量に応じて前記パイロットポンプの吐出圧を減圧し、前記第1方向切換弁の操作圧として出力するブームパイロット弁およびバケットパイロット弁を有し、前記第2操作装置は、前記第2操作装置の操作量に応じて前記パイロットポンプの吐出圧を減圧し、前記第2方向切換弁および前記第3方向切換弁の操作圧として出力するアームパイロット弁を有し、前記油圧ショベルは、前記アームパイロット弁から出力されるアーム引き操作圧、前記ブームパイロット弁から出力されるブーム上げ操作圧、前記バケットパイロット弁から出力されるバケット引き操作圧、および前記バケットパイロット弁から出力されるバケット押し操作圧を検出する圧力センサを更に備え、前記スプールストローク制限装置は、前記アームパイロット弁のアーム引き側の2次圧ポートに1次圧ポートが接続され、前記第2方向切換弁のアーム引き側の操作圧ポートに2次圧ポートが接続された第1電磁比例減圧弁と、前記アーム引き操作圧、前記ブーム上げ操作圧、前記バケット引き操作圧、および前記バケット押し操作圧のそれぞれに基づいて決定した前記第2方向切換弁の目標メータイン開口面積のうち最も値の小さい目標メータイン開口面積に基づいて前記第1電磁比例減圧弁の2次圧を制御するコントローラとを有するものとする。

【0012】
以上のように構成した本発明によれば、第2操作装置が操作された場合に、第2操作装置の操作量に応じて、第1油圧ポンプからセンタバイパスラインを通過する流量が制限され、第1操作装置および第2操作装置が同時に操作された場合に、第3方向切換弁のスプールストローク量が第2操作装置の操作量に応じて制御されている状態で、第2方向切換弁のスプールストローク量が第1操作装置の操作量に応じて制限されるため、負荷の異なる複数の油圧アクチュエータを同時に動作させる場合の油圧損失を低減することにより燃料消費量を抑制し、かつ作業効率を向上することが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、負荷の異なる複数の油圧アクチュエータを同時に動作させる場合の油圧損失を低減することにより燃料消費量を抑制し、かつ作業効率を向上することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1の実施例に係る油圧ショベルを示す側面図である。
図2】本発明の第1の実施例に係る油圧ショベルの油圧回路図である。
図3】本発明の第2の実施例に係る油圧ショベルの油圧回路図である。
図4】方向切換弁の開口特性を示す図である。
図5】センタバイパス流量制御弁の開口特性を示す図である。
図6】コントローラによる電磁比例減圧弁の指令値演算を示すブロック図である。
図7】アーム第2方向切換弁の目標メータイン開口面積の演算に使用する変換テーブルを示す図である。
図8】コントローラによる電磁比例減圧弁の指令値の演算フローを示す図である。
図9】特許文献1記載の油圧回路を示す図である。
図10】特許文献2記載の油圧回路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態に係る油圧ショベルについて、図面を参照して説明する。なお、各図中、同等の部材には同一の符号を付し、重複した説明は適宜省略する。
【実施例1】
【0016】
以下、本発明の第1の実施例を図1図8に従って説明する。
【0017】
図1は、本実施例に係る油圧ショベルを示す側面図である。図1において、油圧ショベル200は、下部走行体2と、旋回自由に接続された上部旋回体1から成り、上部旋回体1には、ブーム3、アーム4、バケット5と、これらを駆動するブームシリンダ6、アームシリンダ7、バケットシリンダ8等の油圧シリンダが搭載されている。
【0018】
図2は、油圧ショベル200の油圧回路図である。本実施例では、ポジコン方式の油圧回路を例に説明する。図2において、可変容量型の油圧ポンプ9,10は、発動機11によって駆動される。第1油圧ポンプ9は、ブーム第1方向切換弁18、バケット方向切換弁22及びアーム第2方向切換弁21に圧油を供給する。方向切換弁18,22,21は、第1油圧ポンプ9のセンタバイパスライン12によってタンデム接続されており、かつ、センタバイパスライン12から分岐したパラレルライン13によってパラレルに接続されている。第2油圧ポンプ10は、ブーム第2方向切換弁19及びアーム第1方向切換弁20に圧油を供給する。方向切換弁19,20は、第2油圧ポンプ10のセンタバイパスライン14によってタンデム接続されており、かつ、センタバイパスライン14から分岐したパラレルライン15によってパラレルに接続されている。センタバイパスライン12,14は、最下流で作動油タンク50に接続されており、油圧アクチュエータ6~8が操作されていない時に油圧ポンプ9,10から吐出された作動油を作動油タンク50に排出することにより、ポンプ負荷を低く抑えることができる。方向切換弁18~22とパラレルライン13,15との間には逆止弁23が設けられており、油圧シリンダからパラレルラインに圧油が逆流するのを防いでいる。パラレルライン13,15にはリリーフ弁16,17が接続されており、油圧回路内の圧力が高くなり過ぎて油圧機器が破損するのを防いでいる。
【0019】
方向切換弁18~22はタンデムセンタ型スプール弁であり、パイロット弁25~27から出力された2次圧によって作動する。パイロット弁25~27は手動式の減圧弁であり、発動機11によって駆動される固定容量型のパイロットポンプ28から吐出された圧油をレバー操作量に応じて減圧し、2次圧として出力する。また、パイロットポンプ28の吐出ライン40にはパイロットリリーフ弁29が設けられており、吐出ライン40の圧力は一定に保たれる。パイロット弁25~27の2次圧ポートと方向切換弁18~22の操作圧ポートとを接続する油路上には、圧力センサ25a,25b,26a,26b,27a,27bが設けられており、各パイロット弁の2次圧を検知することができる。
【0020】
センタバイパスライン12の最下流には、センタバイパス流量制御弁31が設けられている。センタバイパス流量制御弁31の操作圧ポート31aは、パイロットライン41を介してアームパイロット弁26のアーム引き(アームクラウド)側の2次圧ポートに接続されている。これにより、センタバイパス流量制御弁31の操作圧ポート31aには、アームパイロット弁26のアーム引き側の2次圧が作用する。アーム第2方向切換弁21のアーム引き側の操作圧ポート21aは、パイロットライン42を介して電磁比例減圧弁30の2次圧ポートに接続されている。電磁比例減圧弁30の1次圧ポートは、パイロットライン41を介してアームパイロット弁26のアーム引き側の2次圧ポートに接続されている。電磁比例減圧弁30により、操作圧ポート21aに作用する操作圧を制限することができる。
【0021】
圧力センサ25a,25b,26a,26b,27a,27b及び電磁比例減圧弁30は、コントローラ100に接続されており、コントローラ100は圧力センサ25a,25b,26a,26b,27a,27bによって検知された操作圧に基づいて電磁比例減圧弁30の2次圧を制御する。
【0022】
図4に方向切換弁18~22の開口特性を示す。図4(a)に示すように、方向切換弁18~22は6ポート3位置のスプール弁であり、メータイン開口(PC)、メータアウト開口(CT)及びセンタバイパス開口(PT)の3つの開口を有している。各開口PC,CT,PTは図4(b)に示したような特性となっており、レバー操作量に応じてパイロット弁25~27から出力される操作圧に応じて、最適な流量の圧油が油圧シリンダ6~8に流入するように制御することができる。
【0023】
図5にセンタバイパス流量制御弁31の開口特性を示す。センタバイパス流量制御弁31の開口特性CBは、従来技術(図9に示す)におけるアーム第2方向切換弁21のアーム引き動作時のPT開口と同様の特性を有し、操作圧が増加するにしたがってセンタバイパス流量制御弁31の開口面積が減少する特定となっている。より詳しくは、操作圧が低い領域において開口面積を最大開口面積から半分程度に絞るようにし、操作圧がそれに比べて高い領域では操作圧が高くなるにつれ徐々に開口面積が減少するものとしている。
【0024】
コントローラ100の作動について、図6図8に従って説明する。
【0025】
図6は、コントローラ100による電磁比例減圧弁30の指令値演算を示すブロック図である。図6において、コントローラ100は、アーム第2方向切換弁21の目標メータイン開口(PC)面積を演算する開口面積演算部C01と、開口面積演算部C01で演算された開口面積のうち最小のものを選択する最小値選択部D01と、ブーム上げ、バケット引き、バケット押しのいずれかの操作が実施されたかどうかを判定する動作判定部SW01とを有する。
【0026】
開口面積演算部C01では、アーム引き操作圧PIai、ブーム上げ操作圧PIbu、バケット引き(バケットクラウド)操作圧PIbi及びバケット押し(バケットダンプ)操作圧PIboのそれぞれに対応する変換テーブルT01~T04によって、各操作圧に応じたアーム第2方向切換弁21の目標メータイン開口(PC)面積を演算する。
【0027】
図7は、アーム第2方向切換弁21の目標メータイン開口面積の演算に使用する変換テーブルを示す図である。
【0028】
図7(a)に変換テーブルT01の特性を示す。変換テーブルT01では、アーム引き(アームクラウド)操作圧PIaiが一定の値(PI0)までは一定の開口面積Aoとなっており、アーム引き操作圧PIaiが一定の値PI0を超えると開口面積は増大してゆき、アーム引き操作圧PIaiが最大操作圧PImaxに達したときに最大開口面積Amaxとなるような特性となっている。なお、開口面積Aoは、例えば、従来技術(図9に示す)における絞り24と同じ開口面積とすることによって、従来技術と同様のブーム上げ特性を得ることが出来る。
【0029】
図7(b)に変換テーブルT02の特性を示す。図7(b)において、実線で示した曲線は変換テーブルT02の特性、一点鎖線で示した曲線(PTbu)はブーム第1方向切換弁18のブーム上げ側のセンタバイパス開口(PT)特性を示している。変換テーブルT02では、ブーム上げ操作圧PIbuが一定の値(PImin)以下の領域では最大開口Amaxとなっており、ブーム上げ操作圧PIbuが増加して行き一定の値PIminを超えると開口面積は減少してゆき、傾斜部Xを経て曲線PTbu上の開口面積よりも目標メータイン開口面積の最小値Abuだけ大きな開口面積となっている。なお、傾斜部Xの形状はブーム第1方向切換弁18のブーム上げ側のメータイン開口(PC)特性に応じて決定するものであり、曲線であっても良い。さらにブーム上げ操作圧PIbuが増加し最大操作圧PImaxに達すると、開口面積Abuで一定となる。
【0030】
図7(c)に変換テーブルT03の特性を示す。図7(c)において、実線で示した曲線は変換テーブルT03の特性、一点鎖線で示した曲線(PTbi)はバケット方向切換弁22のバケット引き側のセンタバイパス開口(PT)特性を示している。変換テーブルT03では、バケット引き操作圧PIbiが一定の値(PImin)以下の領域では最大開口面積Amaxとなっており、バケット引き操作圧PIbiが増加して行き一定の値PIminを超えると開口面積は減少してゆき、曲線PTbi上の開口面積よりも目標メータイン開口面積の最小値Abiだけ大きな開口面積となっている。さらにバケット引き操作圧PIbiが増加し最大操作圧PImaxに達すると、開口面積Abiで一定となる。
【0031】
図7(d)に変換テーブルT04の特性を示す。図7(d)において、実線で示した曲線は変換テーブルT04の特性、一点鎖線で示した曲線(PTbo)はバケット方向切換弁22のバケット押し側のセンタバイパス開口(PT)特性を示している。変換テーブルT04では、バケット押し操作圧PIboが一定の値(PImin)以下の領域では最大開口Amaxとなっており、バケット押し操作圧PIboが増加して行き一定の値PIminを超えると開口面積は減少してゆき、曲線PTbo上の開口面積よりも目標メータイン開口面積の最小値Aboだけ大きな開口面積となっている。さらにバケット押し操作圧PIboが増加し最大操作圧PImaxに達すると、開口面積Aboで一定となる。なお、変換テーブルT02~T04における目標メータイン開口面積の最小値Abu,Abi,Aboは、変換テーブルT01のおける目標メータイン開口面積の最小値Aoと同じ値に設定しても良いし、別の値を設定しても良い。
【0032】
図6に戻り、動作判定部SW01では、ブーム上げ操作圧PIbu、バケット引き操作圧PIbi及びバケット押し操作圧PIboのいずれかが判定値PIth以上である場合、最小値選択部D01の出力値を出力し、ブーム上げ操作圧PIbu、バケット引き操作圧PIbi及びバケット押し操作圧PIboのいずれも判定値PIth未満の場合、最大開口面積Amaxを出力する。最大開口面積Amaxは、アーム第2方向切換弁21のアーム引き操作時のPC開口特性の最大開口面積以上の値に設定される。
【0033】
変換テーブルT05は、動作判定部D01から出力された開口面積に対応する電磁比例減圧弁30の2次圧の目標値を演算する。変換テーブルT05の特性は、アーム第2方向切換弁21のアーム引き操作時のメータイン開口(PC)特性の縦軸と横軸を入れ替えた特性になっている。変換テーブルT06は、変換テーブルT05から出力された目標圧力に対応する電磁比例減圧弁30の駆動電流Irdを演算し、電磁比例減圧弁30へ駆動電流Irdを出力する。変換テーブルT06の特性は、電磁比例減圧弁30の電流-圧力特性の縦軸と横軸を入れ替えた特性となる。
【0034】
図8は、コントローラ100による電磁比例減圧弁30の指令値の演算フローを示す図であり、図6の演算ブロック図をフローチャートで示したものである。個々の演算については図6にて説明しているので、説明は省略する。
【0035】
このように構成された本実施例の実際の作動について、場面を分けて説明する。
【0036】
<アーム引き単独動作を行う場合>
オペレータがアームパイロット弁26をアーム引き方向に操作すると、アームパイロット弁26のアーム引き側2次圧ポートから操作量に応じたアーム引き操作圧PIaiが出力される。アーム引き操作圧PIaiはアーム第1方向切換弁20のアーム引き側の操作圧ポート20a、センタバイパス流量制御弁31の操作圧ポート31a及び電磁比例減圧弁30の1次圧ポートに作用し、その圧力は圧力センサ26bによって検知され、コントローラ100に入力される。このとき、ブーム上げ操作圧PIbu、バケット引き操作圧PIbi及びバケット押し操作圧PIboはいずれもゼロであり、PIth未満であるので、コントローラ100は、SW01において最大開口面積Amaxを出力する。従って、変換テーブルT05によって演算される電磁比例減圧弁30の2次圧の目標値は、アーム第2方向切換弁21の最大ストローク時の操作圧と同等となるため、アーム第2方向切換弁21のストローク量は制限されない。
【0037】
この結果、アーム第1方向切換弁20、アーム第2方向切換弁21及びセンタバイパス流量制御弁31はいずれもアーム引き操作圧PIaiに応じてストロークするので、油圧ポンプ9,10から吐出された圧油はアーム第1方向切換弁20及びアーム第2方向切換弁21を通過してアームシリンダ7に流入する。これにより、アーム引き単独動作の場合はアーム第2方向切換弁21のストローク量は制限されず、レバー操作通りにアーム4が動作する。
【0038】
<水平引き動作を行う場合(最大速度)>
最大速度で水平引き動作を行う場合、オペレータはまずブームパイロット弁25及びアームパイロット弁26を最大に操作し、その後アームパイロット弁26は最大操作のまま、バケット5の爪先が地面に沿うようにブームパイロット弁25の操作量を徐々に減少させてゆく。このとき、ブーム用の方向切換弁18,19にはブームパイロット弁25から出力されたブーム上げ操作圧PIbuが作用し、アーム第1方向切換弁20の操作圧ポート20a、電磁比例減圧弁30の1次圧ポート及びセンタバイパス流量制御弁31の操作圧ポート31aには、アームパイロット弁26から出力されたアーム引き操作圧PIaiが作用する。
【0039】
コントローラ100は、動作判定部SW01においてブーム上げ操作が行われたと判定し、開口面積演算部C01の処理を実行する。開口面積演算部C01の変換テーブルT01においては、アーム引き操作圧PIaiは最大操作圧PImaxであるので、変換テーブルT01は最大開口面積Amaxを出力する。変換テーブルT02においては、ブーム上げ操作圧PIbuは最大操作量PImaxからゼロまで変化するので、ブーム上げ操作圧PIbuに応じた開口面積Aを出力する。変換テーブルT03,T04においては、バケット引き操作圧PIbi及びバケット押し操作圧PIboはいずれもゼロ(PImin未満)であるので、変換テーブルT03,T04はいずれも最大開口面積Amaxを出力する。最小値選択部D01において、変換テーブルT01,T03,T04の出力はいずれも最大開口面積Amaxであるので、最小値選択部D01では変換テーブルT02の出力が常に出力される。従って、電磁比例減圧弁30の2次圧は、アーム第2方向切換弁21のアーム引き側メータイン開口(PC)が、変換テーブルT02から出力された開口面積となるように制御される。
【0040】
最大速度で水平引き動作を行う場合、アーム引き操作圧PIaiは最大操作量PImaxで一定に操作され、ブーム上げ操作圧PIbuは、水平引き開始時は最大操作量PImaxに操作された後、徐々に減少して行き、アーム4が地面に対して鉛直になる時点で操作レバー(アームパイロット弁26)が中立に操作されてゼロとなる。このとき、ブーム用の方向切換弁18,19はブーム上げ操作量PIbuに従って作動し、アーム第1方向切換弁20及びセンタバイパス流量制御弁31は、最大ストローク状態となる。また、アーム第2方向切換弁21のアーム引き側メータイン開口(PC)は、水平引き開始時は開口面積Abuであり、そこからブーム上げ操作圧PIbuが減少するに従って徐々に増加し、アーム4が地面に対して鉛直となった時点で、操作レバー(アームパイロット弁26)が中立に操作されてブーム上げ操作圧PIbuがゼロとなると、最大開口面積(スプールストローク量制限なし)となる。
【0041】
この結果、第1油圧ポンプ9から吐出された圧油は、水平引き開始時はほぼ全量がブームシリンダ6に流入するが、水平引き中盤以降ブーム上げ操作量PIbuが減少すると、徐々にアームシリンダ7に流入する流量が増加して行き、水平引き終盤になりブーム上げ操作量PIbuがゼロとなると、全量がアームシリンダ7に流入するようになる。一方、第2油圧ポンプ10から吐出された圧油は、ブームシリンダ6の負荷圧に対してアームシリンダ7の負荷圧が小さいため、ほぼ全量がアームシリンダ7に流入する。
【0042】
このように作動することによって、水平引き開始時はブームシリンダ6に優先的に圧油を供給してブーム上げ速度を確保し、水平引き中盤ではブーム上げ操作量の減少に応じてアームシリンダ7に流入する圧油の流量を滑らかに増加させ、水平引き終盤では変換テーブルT02の傾斜部Xによって、ブーム上げ操作を終了するときに急激にアーム速度が増加するのを抑え、滑らかにアーム速度を増加させることが出来る。これにより、水平引き時の作業効率を向上するとともに絞りによる油圧損失を低減することが出来る。
【0043】
<水平引き動作を行う場合(中間速度)>
中間速度で水平引きを行う場合、最大速度で水平引きを行う場合に対してアーム引き操作圧PIaiのみ異なる。ここで、中間速度で水平引きを行う場合のアーム引き操作圧PIaiが図7(a)のPI0以下とした場合、変換テーブルT01から出力される開口面積AはAoとなるので、アーム第2方向切換弁21のアーム引き側メータイン開口(PC)面積は高々Aoに制限される。
【0044】
その結果、中間速度で水平引き動作を行う場合は、第1油圧ポンプ9から吐出された圧油はほとんどブームシリンダ6に流入し、第2油圧ポンプ10から吐出された圧油はほとんどアームシリンダ7に流入する。これにより、中間速度で水平引きを行う場合はブームシリンダに優先的に圧油を供給し、良好な作業性を実現することが出来る。
【0045】
<アーム引きとバケット引き又はバケット押しを同時に行う場合>
アーム引きとバケット引き又はバケット押しを同時に行う場合については、上記水平引き時の作動におけるブーム上げ動作をバケット引き又はバケット押し動作に置き換えるだけであるので、説明は省略する。
【0046】
以下、本実施例に係る油圧ショベル200により得られる効果を従来技術と比較して説明する。
【0047】
図9は特許文献1記載の油圧回路(比較例1)を示す図であり、図10は特許文献2記載の油圧回路(比較例2)を示す図である。
【0048】
図9に示す油圧回路では、パラレルライン13のアーム第2方向切換弁21の手前に絞り24が設けられており、水平引き(ブーム上げとアーム引きの複合動作)のようなブームシリンダ6の負荷圧に対してアームシリンダ7の負荷圧が低い動作を行った場合であっても、アーム第2方向切換弁21に流入する圧油の流れを制限し、ブーム第1方向切換弁18に優先的に圧油が流れるように構成されている。
【0049】
このように構成された油圧回路においては、水平引き動作においてブーム上げ操作を徐々に小さくしてブームシリンダ6に流入する圧油を減少させた場合であっても、パラレルライン13を通ってアームシリンダ7に流入する圧油の流量は絞り24によって制限されたままであるため、絞り24において発生する油圧損失によって作業効率の悪化や燃料消費量の増加を招くおそれがあった。
【0050】
一方、図10に示す油圧回路は、特許文献1記載の油圧回路の問題点を解決すべく考案されたものである。図9に示す油圧回路との相違点は、パラレルライン13の絞り24を取り除き、代わりに、アーム第2方向切換弁21とアームパイロット弁26の手前に電磁比例減圧弁30を設けることにより、アーム第2方向切換弁21を可変開口絞りのように用い、水平引き動作時に発生する油圧損失を低減している点である。
【0051】
図9に示す油圧回路においては、水平引きを最大速度(アーム引き操作最大)で行った場合、アーム第2方向切換弁21のセンタバイパス開口は閉じているので、ブーム第1方向切換弁18のセンタバイパス開口を通過した圧油はアーム第2方向切換弁21からアームシリンダ7に流入しアーム引き速度を増加させる。
【0052】
一方、図10に示す油圧回路においては、アーム第2方向切換弁21のスプールストローク量が一定量に制限されるため、水平引き動作中にアーム引き操作を大きくしていった場合であってもアーム第2方向切換弁21のセンタバイパス開口は閉じきらない。したがって、アーム第2方向切換弁21からアームシリンダ7に流入する圧油の量は増加しない。すなわち、図10に示す油圧回路においては、油圧ポンプ9から吐出された圧油を有効に使い切ることができず、水平引き最大操作時のアーム引き速度が図9に示す油圧回路に対して劣ってしまうという問題がある。
【0053】
これに対し、本実施例では、上部旋回体1と下部走行体2から成る本体と、前記本体に回動可能に連結されたブーム3と、ブーム3の先端部に回動可能に連結されたアーム4と、アーム4の先端部に回動可能に連結されたバケット5と、第1油圧ポンプ9と、第2油圧ポンプ10と、第1油圧ポンプ9および第2油圧ポンプ10から圧油が供給され、ブーム3またはバケット5を駆動するブームシリンダ6またはバケットシリンダ8と、第1油圧ポンプ9から圧油が供給され、アーム4を駆動するアームシリンダ7と、ブームシリンダ6またはバケットシリンダ8の動作を指示する第1操作装置25,27と、アームシリンダ7の動作を指示する第2操作装置26と、第1操作装置25,27の操作量に応じて第1油圧ポンプ9からブームシリンダ6またはバケットシリンダ8に供給される圧油の方向および流量を制御する第1方向切換弁18,22と、第2操作装置26の操作量に応じて第1油圧ポンプ9からアームシリンダ7に供給される圧油の方向および流量を制御する第2方向切換弁21と、第2操作装置26の操作量に応じて第2油圧ポンプ10からアームシリンダ7に供給される圧油の方向および流量を制御する第3方向切換弁20とを備え、第1方向切換弁18,22および第2方向切換弁21は、第1油圧ポンプ9のセンタバイパスライン12にタンデム接続され、かつセンタバイパスライン12から分岐したパラレルライン13にパラレル接続された油圧ショベル200において、センタバイパスライン12の最下流に配置されており、第2操作装置26が操作された場合に、第2操作装置26の操作量に応じて、センタバイパスライン12を通過する圧油の流量を制限するセンタバイパス流量制御弁31と、第1操作装置25,27および第2操作装置26が同時に操作された場合に、第3方向切換弁20のスプールストローク量が第2操作装置26の操作量に応じて制御されている状態で、第2方向切換弁21のスプールストローク量を第1操作装置25,27の操作量に応じて制限するスプールストローク制限装置30,100とを備える。
【0054】
また、本実施例に係る油圧ショベル200は、第1操作装置25,27は、第1操作装置25,27の操作量に応じてパイロットポンプ28の吐出圧を減圧し、第1方向切換弁18,22の操作圧として出力するブームパイロット弁25およびバケットパイロット弁27を有し、第2操作装置26は、第2操作装置26の操作量に応じてパイロットポンプ28の吐出圧を減圧し、第2方向切換弁21および第3方向切換弁20の操作圧として出力するアームパイロット弁26を有する。
【0055】
また、本実施例に係る油圧ショベル200は、アームパイロット弁26から出力されるアーム引き操作圧PIai、ブームパイロット弁25から出力されるブーム上げ操作圧PIbu、バケットパイロット弁27から出力されるバケット引き操作圧PIbi、およびバケットパイロット弁27から出力されるバケット押し操作圧PIboを検出する圧力センサ26b,25a,27a,27bを更に備え、スプールストローク制限装置30,100は、アームパイロット弁26のアーム引き側の2次圧ポートに1次圧ポートが接続され、第2方向切換弁21のアーム引き側の操作圧ポート21aに2次圧ポートが接続された第1電磁比例減圧弁30と、アーム引き操作圧PIai、ブーム上げ操作圧PIbu、バケット引き操作圧PIbi、およびバケット押し操作圧PIboのそれぞれに基づいて決定した第2方向切換弁21の目標メータイン開口面積のうち最も値の小さい目標メータイン開口面積に基づいて第1電磁比例減圧弁30の2次圧を制御するコントローラと100を有する。
【0056】
以上のように構成した本実施例に係る油圧ショベル200によれば、第2操作装置26が操作された場合に、第2操作装置26の操作量に応じて、センタバイパスライン12を通過する流量が制限され、第1操作装置25,27および第2操作装置26が同時に操作された場合に、第3方向切換弁20のスプールストローク量が第2操作装置26の操作量に応じて制御されている状態で、第2方向切換弁21のスプールストローク量が第1操作装置25,27の操作量に応じて制限されるため、負荷の異なる複数の油圧アクチュエータ6~8を同時に動作させる場合の油圧損失を低減することにより燃料消費量を抑制し、かつ作業効率を向上することが可能となる。
【0057】
また、コントローラ100は、ブーム上げ操作圧PIbu、バケット引き操作圧PIbi、およびバケット押し操作圧PIboの全てが所定の圧力PIth以下の場合に、第1電磁比例減圧弁30の目標開口面積を最大開口面積Amaxとする。これにより、水平引き動作以外でアームシリンダ7を駆動する際に、アーム第2方向切換弁21のスプールストローク量が制限されないため、アームパイロット弁26の操作量に応じて第1油圧ポンプ9からアームシリンダ7に圧油を供給することが可能となる。
【0058】
また、コントローラ100は、アーム引き操作圧PIai、ブーム上げ操作圧PIbu、バケット引き操作圧PIbi、およびバケット押し操作圧PIboのそれぞれに対応する第2方向切換弁21の目標メータイン開口面積の最小値Ao,Abu,Abi,Aboを個別に設定できる。これにより、実施する作業やオペレータの好みに応じてアーム第2方向切換弁21のメータイン開口特性を微調整できるため、作業効率を向上することが可能となる。
【実施例2】
【0059】
図3は、本発明の第2の実施例に係る油圧ショベル200の油圧回路を示したものである。以下、第1の実施例と異なる部分について説明する。
【0060】
センタバイパス流量制御弁31の操作圧ポート31aは、パイロットライン43を介して電磁比例減圧弁32の2次圧ポートに接続されている。センタバイパス流量制御弁31の操作圧ポート31aには、電磁比例減圧弁32から出力される2次圧が作用する。電磁比例減圧弁32の1次圧ポートには、パイロットポンプ28の吐出ライン40が接続されており、パイロットポンプ28から吐出された圧油が供給される。電磁比例減圧弁32から出力される2次圧は、コントローラ100によって制御される。コントローラ100は、圧力センサ26bが検知したアーム引き操作圧PIaiに基づいて、センタバイパス流量制御弁31の開口特性が図5の開口特性CBと一致するように電磁比例減圧弁32の2次圧を制御する。
【0061】
本実施例に係る油圧ショベル200は、パイロットポンプ28の吐出ライン40に1次圧ポートが接続され、バイパス流量制御弁31の操作圧ポート31aに2次圧ポートが接続された第2電磁比例減圧弁32を更に備え、コントローラ100は、図5に示された操作圧をアーム引き操作圧PIaiとした特性に基づいて第2電磁比例減圧弁32の2次圧を制御する。
【0062】
以上のように構成された本実施例に係る油圧ショベル200によれば、第1の実施例と同様の効果を得られるだけでなく、センタバイパス流量制御弁31を電磁比例減圧弁32で駆動するようにしたことによって、実施する作業やオペレータの好みに応じてアーム引き操作時のセンタバイパス流量制御弁31の開口特性を微調整することが可能となり、作業効率を向上することが可能となる。
【0063】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は、上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は、本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成に他の実施例の構成の一部を加えることも可能であり、ある実施例の構成の一部を削除し、あるいは、他の実施例の一部と置き換えることも可能である。
【符号の説明】
【0064】
1…上部旋回体(本体)、2…下部走行体(本体)、3…ブーム、4…アーム、5…バケット、6…ブームシリンダ、7…アームシリンダ、8…バケットシリンダ、9…第1油圧ポンプ、10…第2油圧ポンプ、11…発動機、12…センタバイパスライン、13…パラレルライン、14…センタバイパスライン、15…パラレルライン、16,17…リリーフ弁、18…ブーム第1方向切換弁(第1方向切換弁)、19…ブーム第2方向切換弁、20…アーム第1方向切換弁(第3方向切換弁)、20a…操作圧ポート、21…アーム第2方向切換弁(第2方向切換弁)、21a…操作圧ポート、22…バケット方向切換弁(第1方向切換弁)、23…逆止弁、24…パラレル絞り、25…ブームパイロット弁(第1操作装置)、25a…圧力センサ、25b…圧力センサ、26…アームパイロット弁(第2操作装置)、26a…圧力センサ、26b…圧力センサ、27…バケットパイロット弁(第1操作装置)、27a…圧力センサ、27b…圧力センサ、28…パイロットポンプ、29…パイロットリリーフ弁、30 第1電磁比例減圧弁(スプールストローク制限装置)、31…センタバイパス流量制御弁、31a…操作圧ポート、32…第2電磁比例減圧弁、40…吐出ライン、41~43…パイロットライン、50…作動油タンク、100…コントローラ(スプールストローク制限装置)、200…油圧ショベル。
図1
図2
図3
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図7
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図9
図10