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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-03
(45)【発行日】2023-02-13
(54)【発明の名称】分離装置および吸引装置
(51)【国際特許分類】
   A47L 7/00 20060101AFI20230206BHJP
【FI】
A47L7/00 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019061043
(22)【出願日】2019-03-27
(65)【公開番号】P2020156871
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2021-02-01
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】501019963
【氏名又は名称】株式会社JR西日本メンテック
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100183232
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 敏行
(72)【発明者】
【氏名】大塘 悟史
(72)【発明者】
【氏名】溝邉 弘
【審査官】高橋 祐介
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-272648(JP,A)
【文献】特開2006-340894(JP,A)
【文献】特開2017-074359(JP,A)
【文献】特表2002-524155(JP,A)
【文献】登録実用新案第3076401(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気と吐瀉物とを分離する分離装置であって、
第1密閉容器と、
空気と共に吸引した吐瀉物を上記第1密閉容器に案内する第1配管と、
上記第1密閉容器内に流入した空気を上記第1密閉容器外に排気する第2配管と、
上記第1密閉容器内に配置されて、上記第1配管の外周面と上記第2配管の内周面との間の空間の入口に対向する閉鎖部材と
を備え、
上記第1配管の外周面が上記第2配管の内周面に対向するように、上記第1配管が上記第2配管内に配置されて、上記第1密閉容器内に流入した上記空気が上記第1配管の外周面と上記第2配管の内周面との間の空間に吸引され、
上記閉鎖部材は、内周面および外周面が上記入口とは反対側にいくにしたがって径が大きくなるように形成された拡径部を上記入口とは反対側に有すると共に、上記第1密閉容器内の上記吐瀉物の貯留量の増加に応じて、上記第2配管側に移動して、上記入口を閉鎖し、
上記拡径部の上記入口とは反対側の端部は、上記第2配管の上記閉鎖部材側の端部に比べて、外径が大きいことを特徴とする分離装置。
【請求項2】
請求項1に記載の分離装置において、
上記第2配管の下流側に配置された第2密閉容器を備え、
上記第1配管の外周面と上記第2配管の内周面との間の空間に吸引された空気は、上記第2密閉容器を介して排気されることを特徴とする分離装置。
【請求項3】
請求項2に記載の分離装置において、
上記第2密閉容器は、細菌およびウィルスを殺菌するための薬剤を収容することを特徴とする分離装置。
【請求項4】
吸引装置本体と、
請求項1から3までのいずれか一項に記載の分離装置と
を備え、
上記吸引装置本体は、上記分離装置よりも下流側に配置されていることを特徴とする吸引装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば吐瀉物等の吸引に使用される分離装置と、この分離装置を備えた吸引装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、分離装置としては、容器と、容器に接続された吸引側配管と、容器に接続された排気側配管とを備えたものがある(例えば特許文献1を参照)。
【0003】
上記構成の分離装置では、患者から吸引された体液などが、吸引側配管を介して、空気と一緒に容器内に吸引される。このとき、上記体液は、容器内に貯留される一方、体液と共に容器内に吸引された空気は、排気側配管を介して排気される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-147436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の分離装置には、吸引側配管で吸引する空気の流速が遅いため、体液を吸引する力が弱いという問題あります。
【0006】
そこで、本発明の課題は、被吸引物を吸引する力を上げることができる分離装置と、この分離装置を備えた吸引装置とを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様の分離装置は、
空気と吐瀉物とを分離する分離装置であって、
第1密閉容器と、
空気と共に吸引した吐瀉物を上記第1密閉容器に案内する第1配管と、
上記第1密閉容器内に流入した空気を上記第1密閉容器外に排気する第2配管と、
上記第1密閉容器内に配置されて、上記第1配管の外周面と上記第2配管の内周面との間の空間の入口に対向する閉鎖部材と
を備え、
上記第1配管の外周面が上記第2配管の内周面に対向するように、上記第1配管が上記第2配管内に配置されて、上記第1密閉容器内に流入した上記空気が上記第1配管の外周面と上記第2配管の内周面との間の空間に吸引され、
上記閉鎖部材は、内周面および外周面が上記入口とは反対側にいくにしたがって径が大きくなるように形成された拡径部を上記入口とは反対側に有すると共に、上記第1密閉容器内の上記吐瀉物の貯留量の増加に応じて、上記第2配管側に移動して、上記入口を閉鎖し、
上記拡径部の上記入口とは反対側の端部は、上記第2配管の上記閉鎖部材側の端部に比べて、外径が大きい
【0009】
上記構成によれば、上記第1配管が吐瀉物を第1密閉容器に案内するので、吐瀉物が第1密閉容器内に貯留される。このとき、上記第1配管から第1密閉容器に流入した空気は、第1配管の外周面と第2配管の内周面との間の空間に吸引される。
【0010】
このように、上記第1配管の外周面と第2配管の内周面との間の空間が、空気流路となるので、この流路の断面積を小さくすることができる。したがって、上記空気の流速を上げることができる。その結果、上記第1配管から第1密閉容器内へ向かう空気の速度も上がって、吐瀉物を吸引する力を上げることができる。
【0012】
また、上記閉鎖部材は、第1密閉容器内の吐瀉物の貯留量の増加に応じて、第1配管の外周面と上記第2配管の内周面との間の空間の入口を閉鎖するので、その空間に吐瀉物が吸引されるのを防ぐことができる。
【0013】
一態様の分離装置は、
上記第2配管の下流側に配置された第2密閉容器を備え、
上記第1配管の外周面と上記第2配管の内周面との間の空間に吸引された空気は、上記第2密閉容器を介して排気される。
【0014】
上記実施形態によれば、仮に、上記空気と共に吐瀉物が第1配管の外周面と第2配管の内周面との間の空間に吸引されたとしても、その空気は第2密閉容器を介して排気されるので、吐瀉物を第2密閉容器で捕獲することができる。
【0015】
一態様の分離装置は、
上記第2密閉容器は、細菌およびウィルスを殺菌するための薬剤を収容する。
【0016】
上記実施形態によれば、上記薬剤が第2密閉容器内にあることより、細菌またはウィルスが第1密閉容器内から空気と共に流出したとしても、細菌またはウィルスを第2密閉容器内で殺菌することができる。したがって、上記第2密閉容器の排気の衛生状態を良好に保つことができる。
【0017】
本発明の一態様の吸引装置は、
吸引装置本体と、
上述した複数の分離装置のうちのいずれか一つの分離装置と
を備え、
上記吸引装置本体は、上記分離装置よりも下流側に配置されている。
【0018】
上記構成によれば、上記分離装置の下流側に吸引装置本体を配置するので、吐瀉物が吸引装置本体に向かうのを防ぐことができる。したがって、上記吸引装置本体が吐瀉物の吸引で故障する可能性を下げることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の分離装置は、第1配管の外周面が上記第2配管の内周面に対向するように、上記第1配管が上記第2配管内に配置されて、上記第1密閉容器内に流入した空気が上記第1配管の外周面と上記第2配管の内周面との間の空間に吸引されるので、吐瀉物を吸引する力を上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1実施形態の吸引装置の構成の模式図である。
図2】上記吸引装置の分離装置の概略正面図である。
図3】上記分離装置の概略縦断面図である。
図4】本発明の第2実施形態の吸引装置の要部の模式断面図である。
図5】上記吸引装置の要部の他の状態の模式断面図である。
図6】上記吸引装置の変形例の要部の模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の分離装置を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0022】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態の吸引装置の構成を示す模式図である。なお、図1では、分離装置2を四角のブロックで示している。
【0023】
上記吸引装置は、吸引装置本体1、分離装置2および吸引ノズル3を備え、吐瀉物100を吸引する。この吐瀉物100の吸引時、吸引ノズル3で吸引された空気が、分離装置2を通過した後、吸引装置本体1に流入する。なお、吐瀉物100は、被吸引物の一例である。
【0024】
吸引装置本体1は、分離装置2の下流側に配置され、吸込口11を有する。この吸引装置本体1は、バッテリ12を搭載していることにより、電源コードを気にすることなく、把手13を掴んで持ち運び可能となっている。また、吸引装置本体1は、バッテリ12から電力供給を受けるモータ14と、このモータ14によって回転駆動されるファン15とを収容している。このファン15の回転駆動により、吸引力が発生する。また、吸引装置本体1としては、例えば、2.0kg~3.0kgの小型集塵機が使用可能である。
【0025】
分離装置2は、空気と吐瀉物100とを分離する。より詳しく説明すると、分離装置2は、吸引ノズル3側から空気と共に流れてくる吐瀉物100を回収して、吐瀉物100が吸引装置本体1側に流れるのを防ぐ働きをする。また、分離装置2は、吸引装置本体1の吸込口11に接続されて、吸引装置本体1と一体となる。これにより、吸引装置本体1と共に分離装置2を持ち運びすることが可能である。また、分離装置2の重量は、例えば1.0kg~2.0kgの範囲内に収まっている。
【0026】
吸引ノズル3は、自由自在に曲げることが可能な樹脂製の延長ホース4を介して、分離装置2に接続されている。
【0027】
図2は、分離装置2を正面側から見たときの概略図である。図3は、分離装置2を鉛直面で切ったときの断面を示す概略図である。
【0028】
分離装置2は、図2図3に示すように、第1容器21と、例えば直管形状の第1配管22と、例えばT字管形状の第2配管23と、第1容器21よりも小容量の第2容器24とを備えている。
【0029】
第1容器21は、第1配管22からの吐瀉物100を貯留する容器本体部21aと、容器本体部21aの上部に設けられた口部21bとを有する。容器本体部21aの側部は円筒形状に形成されている。また、口部21bの外周面には、第1蓋部25の内周面のネジに螺合可能なネジが設けられている。なお、第1容器21および第1蓋部25が、第1密閉容器の一例である。
【0030】
第1蓋部25は、第1容器21の口部21bの開口を塞ぐ。この第1蓋部25は第2配管23の外周面に固定されている。これにより、第1蓋部25の内周面のネジに口部21bの外周面のネジを螺合させると、第1容器21が第2配管23と一体化する。また、上記第1蓋部25の内周面のネジと口部21bの外周面のネジとの螺合を解除すると、第1容器21は、第2配管23から取り外せる。すなわち、第2蓋部28および口部21bによって、第2配管23に対して第1容器21が着脱可能となっている。
【0031】
第1配管22は、空気と共に吸引した吐瀉物100を第1容器21に案内する。また、第1配管22の外周面が第2配管23の内周面に対向するように、第1配管22第2配管23内に配置されている。すなわち、第1配管22は、第2配管23に挿通されている。これにより、第1配管22の一端部22aが第1容器21内に位置する一方、第1配管22の他端部22bが第1容器21外に位置する。
【0032】
また、延長ホース4の一端部4aは、第1配管22の他端部22bに接続される。一方、延長ホース4の他端部4bには、吸引ノズル3が接続される。
【0033】
第2配管23は、第1容器21内に流入した空気を第1容器21外に排気する。この第2配管23は、第1端部23aと、第2端部23bと、第1端部23a側からの空気を排気する部分となる第3端部23cとを有する。この第2配管23の各部の内径は、例えば、吸引装置本体1の吸込口11(図1に示す)の径と略同じにしている。また、第1端部23aから第2端部23bまでの部分の内径は、第1配管22の外径よりも大きくしている。また、上記部分の中心軸は、第1配管22と略一致する。すなわち、第1配管は、上記部分に対して同心状に配置されている。
【0034】
第1端部23aは、第1容器21の口部21bに挿通されている。第1端部23aの外径は、第1容器21の口部21bの内径よりも若干小さくしている。また、第1端部23aからは第1配管22の一端部22aが容器本体部21aの底部側に向かって突出している。第1容器21内に流入した空気は、第1配管22の外周面と第2配管23の内周面との間の空間に吸引されて、第2容器24側に向かって流れる。このとき、上記空気は、メッシュフィルタ26を通過してから、第2配管23内に入る。
【0035】
メッシュフィルタ26は、円環形状に形成されて、第1配管22の外周面と第2配管23の内周面との間の空間の入口(第1容器21の内部空間に面する円環形状の開口)を覆うように、第2配管23の第1端部23aに取り付けられている。これにより、所定の大きさ以上の固形物は、第1配管22の外周面と第2配管23の内周面との間の空間に進入できないようにしている。
【0036】
第2端部23bは、第1容器21外に位置する。この第2端部23bからは第1配管22の他端部22bが容器本体部21a側とは反対側に向かって突出している。また、第2端部23bの開口は、閉鎖部材27で閉鎖されている。これにより、第1端部23a側から第2配管23内に流入した空気が、第2端部23bの開口を通って流出しないようにしている。
【0037】
第3端部23cは、第1端部23aから第2端部23bまでの部分が延びる方向と略直交する方向に延びている。
【0038】
第2容器24は、第2配管23の下流側に配置されている。この第2容器24は、第1容器21と同様に、容器本体部24aおよび口部24bを有する。また、第1容器21と同様に、第2蓋部28および口部24bによって、第3配管40に対する第2容器24の着脱が可能となっている。また、第2容器24は、細菌およびウィルスを殺菌するための薬剤(例えば次亜塩素酸ナトリウム)を収容している。なお、第2容器24および第2蓋部28は、第2密閉容器の一例である。
【0039】
また、上記吸引装置では、第1配管22の外周面と第2配管23の内周面との間の空間に流入した空気は、第2容器24を介して排気される。より詳しく説明すると、上記空気は、第1連結管30と、第3配管40の一部とを順次流れた後、第2容器24内に入って、第3配管40の残りの部分と、第2連結管50とを順次流れる。
【0040】
第1連結管30の一端部30aは、第2配管23の第3端部23cに接続されている。一方、第1連結管30の他端部30bは、後述する第1部分41の他端部41bに接続されている。この第1連結管30により、第2配管23の第3端部23c内の空間が、第1部分41の他端部41b内の空間に連通している。
【0041】
第3配管40は、第1部分41と、この第1部分41よりも下流側に配置された第2部分42と、隔壁部43とを有する。
【0042】
第1部分41は、一端部41aと、この一端部41aよりも上流側に配置された他端部41bとを有する。第1部分41の一端部41aは、第2容器24内に位置する。一方、第1部分41の他端部41bは、第2容器24外に位置する。また、第1部分41と隔壁部43とが、第3配管40の上流側の空気流路を画定する。この空気流路では、第1容器21側からの空気が第2容器24内に向かって流れる。
【0043】
第2部分42は、一端部42aと、この一端部42aよりも下流側に配置された他端部42bとを有する。第2部分42bの一端部42aは、第2容器24内に位置する。一方、第2部分42bの他端部42bは、第2容器24外に位置する。また、第2部分42と隔壁部43とが、第3配管40の下流側の空気流路を画定する。この空気流路では、第2容器24側からの空気が吸引装置本体1(図1に示す)に向かって流れる。
【0044】
また、第2部分42の一端部42aと容器本体部24aの底部との間の距離は、第1部分41の一端部41aと容器本体部24aの底部との間の距離より長い。すなわち、第2部分42の一端部42aは、第1部分41の一端部41aよりも、容器本体部24aの底部から離されている。
【0045】
隔壁部43は、第3配管40の上流側の空気流路と、第3配管40の下流側の空気流路とを仕切る。この隔壁部43は、第2容器24の中心軸に沿うように配置される。
【0046】
第2連結管50の一端部50aは、第3配管40の第2部分42の他端部42bに接続されている。一方、第2連結管50の他端部50bは、吸引装置本体1の吸込口11に接続されている。
【0047】
上記構成の吸引装置では、吐瀉物100は吸引ノズル3から分離装置2に空気と共に送られる。このとき、第1配管22が吐瀉物100を第1容器21に案内するので、吐瀉物100が第1容器21内に貯留される。
【0048】
また、第1配管22は吐瀉物100と共に空気も第1容器21に案内するので、この空気が第1容器21に流入する。その後、第1容器21に流入した空気は、第1配管22の外周面と第2配管23の内周面との間の空間に吸引される。
【0049】
このように、第1配管22の外周面と第2配管23の内周面とが、空気流路を形成するので、この流路の断面積が小さくなる。したがって、上記空気の流速を上げることができる。その結果、第1配管22から第1容器21内へ向かう空気の速度も上がって、吐瀉物100を吸引する力を上げることができる。
【0050】
また、仮に、上記空気と共に吐瀉物100が第1配管22の外周面と第2配管23の内周面との間の空間に吸引されたとしても、その空気は第2容器24を介して排気されるので、吐瀉物100を第2容器24で捕獲することができる。
【0051】
また、第2容器24内には、細菌およびウィルスを殺菌するための薬剤が入っている。したがって、上記細菌またはウィルスが第1容器21内から空気と共に流出したとしても、細菌またはウィルスを第2容器24内で殺菌することができる。その結果、第2容器24の排気の衛生状態を良好に保つことができる。
【0052】
また、分離装置2の下流側に吸引装置本体1を配置するので、吐瀉物100が吸引装置本体1に向かうのを防ぐことができる。しがって、吸引装置本体1が吐瀉物100の吸引で故障する可能性を下げることができる。
【0053】
上記第1実施形態では、吸引装置本体1は、コードレスタイプであったが、非コードレスタイプにしてもよい。
【0054】
上記第1実施形態において、吸引ノズル3は、吐瀉物100に向けて例えば水を噴射する機能を有してもよい。このようにした場合、吐瀉物100の乾燥が進んでいるとき、吐瀉物100を水で軟化させて、吐瀉物100を容易に吸引することができる。
【0055】
上記第1実施形態では、第2容器24の容量は、第1容器21の容量よりも小さかったが、第1容器21の容量と同じにしてもよいし、第1容器21の容量よりも大きくしてもよい。
【0056】
上記第1実施形態では、第3配管40において、第1部分41の一端部41aの開口が、第2容器24における容器本体部24aの底部の内面に対向していたが、第2容器24における容器本体部24aの側部の内周面に対向するようにしてもよい。このようにした場合、第1部分41の一端部41aから容器本体部24a内に流入した空気を容器本体部24aの側部の内周面に沿って流すことができる。その結果、上記空気の螺旋流が容器本体部24a内で起きるので、上記空気が容器本体部24a内の薬剤を撹拌する。したがって、上記空気と共に細菌またはウィルスが容器本体部24a内に流入しても、その細菌またはウィルスを十分に殺菌することができる。
【0057】
上記第1実施形態では、第1容器21、第1配管22、第2配管23、第1容器21、第2容器24、第1蓋部25、メッシュフィルタ26、閉鎖部材27、第2蓋部28、第1連結管30および第3配管40は、樹脂で形成されていたが、少なくとも一つが他の材料(例えば金属)で形成されてもよい。このようにする場合、第1,第2容器21,22を紙で形成すれば、第1,第2容器21,22が焼却し易くなる。すなわち、第1,第2容器21,22を簡単に処分することができる。
【0058】
上記第1実施形態では、吸引装置本体1と分離装置2との間に、フィルタを設けていなかったが、例えば、通気性および吸水性を有するフィルタを設けてもよい。このようにすると、仮に、分離装置2から吸引装置本体1に液体が流れたとしても、その液体をフィルタで吸収することができる。
【0059】
上記第1実施形態では、吸引装置本体1は、脱臭フィルタを搭載していなかったが、脱臭フィルタを搭載して、吸引装置本体1の排気の臭気を脱臭フィルタで低減してもよい。
【0060】
〔第2実施形態〕
図4は、本発明の第2実施形態の吸引装置の要部の断面を示す模式図である。なお、図4において、および、以下の説明において、上記第1実施形態の構成部と同一の構成部は、図2図3の構成部の参照番号と同一の参照番号を付している。
【0061】
上記第2実施形態の吸引装置は、閉鎖部材260を備えている点だけが、上記第1実施形態他の吸引装置とは異なる。また、上記第2実施形態の吸引装置では、閉鎖部材260の搭載に伴い、図2図3の第1配管22に替えて、第1配管222を搭載している。なお、第2配管23の第1端部23aには、メッシュフィルタ26が取り付けていない。
【0062】
閉鎖部材260は、円筒形状の基部261、円環形状のフランジ部262と、拡径部263とを有し、例えばゴム材料で形成されている。この閉鎖部材260は、第1容器21内に配置されて、第1配管222の外周面と第2配管23の内周面との間の空間の入口に対向する。また、閉鎖部材260は、第1容器21内の吐瀉物100の貯留量の増加に応じて、上記入口を閉鎖する。
【0063】
基部261は、遊びを持った状態で第1配管222の一端部222aに外嵌されて、第1配管222の軸方向に移動可能になっている。また、基部261は、第1配管222の一端部222aに設けられたフランジ部222cで支持されている。
【0064】
フランジ部262は、基部261の第2配管23側の端部に設けられ、第1配管222の径方向に張り出している。このフランジ部262の外径は、第2配管23の内径よりも大きくなっている。
【0065】
拡径部263は、基部261の第2配管23側とは反対側の端部に設けられている。この拡径部263は、第2配管23から離れるにしたがって大きくなるように形成されている。これにより、拡径部263の内周面および外周面は、それぞれ、円錐台面を呈する。
【0066】
上記構成の第2実施形態の吸引装置では、吐瀉物100の吸引が開始すると、吐瀉物100が空気と共に矢印A1の方向に流れて、第1容器21内に貯留される。このとき、上記空気は、容器本体部21aの底部に向かって流れた後、Uターンして、矢印A2,A3に沿うように流れて、第1配管222の外周面と第2配管23の内周面との間の空間に吸引される。
【0067】
このように、吐瀉物100が第1容器21内に貯留されるとき、第1容器21内で跳ね上がった吐瀉物100が、第1配管222の外周面と第2配管23の内周面との間の空間の入口に近づくのを拡径部263で防ぐことができる。
【0068】
また、吐瀉物100の貯留量が増えると、吐瀉物100が閉鎖部材260の拡径部263に当たる。そして、吐瀉物100の貯留量がさら増えると、吐瀉物100が閉鎖部材260を第2配管23側に押す。その結果、閉鎖部材260が第2配管23側に移動して、図5に示すように、第1配管222の外周面と第2配管23の内周面との間の空間の入口を閉鎖する。したがって、吐瀉物100が上記空間に吸引されるのを防ぐことができる。
【0069】
上記第2実施形態では、閉鎖部材260は、例えばゴム材料で形成されていたが、ゴム材料よりも軽量な材料(例えば発泡材料)で形成されるようにしてもよい。
【0070】
また、閉鎖部材260に替えて、図6に示す円筒形状の閉鎖部材270を用いてもよい。この閉鎖部材270も、例えばゴム材料で形成されていたが、他の材料で形成されてもよい。また、閉鎖部材270は、フロートのような形状(中空形状)にしてもよい。
【0071】
本発明の具体的な実施形態について説明したが、この発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々変更して実施することができる。例えば、上記第1実施形態の変形と上記第2実施形態とを組み合わせたものを、本発明の一実施形態としてもよい。
【符号の説明】
【0072】
1 吸引装置本体
2 分離装置
3 吸引ノズル
21 第1容器
22 第1配管
23 第2配管
24 第2容器
25 第1蓋部
28 第2蓋部
30 第1連結管
40 第3配管
50 第2連結管
100 吐瀉物
260,270 閉鎖部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6