(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-03
(45)【発行日】2023-02-13
(54)【発明の名称】照明器具
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20230206BHJP
F21V 17/00 20060101ALI20230206BHJP
F21Y 101/00 20160101ALN20230206BHJP
【FI】
F21S2/00 390
F21S2/00 340
F21V17/00 100
F21S2/00 381
F21Y101:00
(21)【出願番号】P 2019074293
(22)【出願日】2019-04-09
【審査請求日】2022-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】591112027
【氏名又は名称】大光電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109911
【氏名又は名称】清水 義仁
(74)【代理人】
【識別番号】100071168
【氏名又は名称】清水 久義
(74)【代理人】
【識別番号】100099885
【氏名又は名称】高田 健市
(72)【発明者】
【氏名】坂本 和典
【審査官】竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-44827(JP,A)
【文献】特開2019-023985(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 17/00
F21Y 101/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前端面に透光部を有する照明器具本体と、前記照明器具本体の前端部に外嵌される筒状の外装部材とを備え、前記照明器具本体内の光源から出射した照明光が前記透光部を透過して前記外装部材内を通って前方に照射されるようにした照明器具であって、
前記照明器具本体の前端部に、筒状の弾性パッキン部材が外嵌された状態に取り付けられ、
前記外装部材に、前記パッキン部材に対応して複数のねじ切り孔が周方向に間隔を形成されるとともに
前記複数のねじ切り孔に、ねじ部材がその軸部が径方向に沿って配置された状態でそれぞれ螺着され、
前記ねじ部材が内径方向にそれぞれねじ込まれて、各ねじ部材の軸部先端が前記パッキン部材にそれぞれ圧接することによって、前記外装部材が前記照明器具本体に取り付けられていることを特徴とする照明器具。
【請求項2】
前記パッキン部材の外周面に、前記
外装部材の軸心方向に延びる突条部が周方向に間隔をおいて複数形成され、その複数の突条部の各間に軸心方向に沿って連続する通水路が形成され、
前記パッキン部材における前記通水路の後端に水抜き孔が形成され、その水抜き孔を介して前記通水路の後端側が前記照明器具本体の外側における前記
外装部材の後方に開放されている請求項1に記載の照明器具。
【請求項3】
前記パッキン部材の前端に、前記照明器具本体の前端面外周に当接係止する内向きフランジ部が形成されている請求項1または2に記載の照明器具。
【請求項4】
前記パッキン部材の後端に、前記外装部材の後端面に当接係止する外向きフランジ部が形成されている請求項1~3のいずれか1項に記載の照明器具。
【請求項5】
前記パッキン部材の外周面に前記ねじ部材に対応して前記照明器具本体の外周面に周方向に連続する圧接用外周溝が形成され、
その圧接用外周溝の内周面に前記ねじ部材の軸部先端が圧接するように構成されている請求項1~4のいずれか1項に記載の照明器具。
【請求項6】
前記照明器具本体の前端部外周面に周方向に沿って位置決め用外周溝が形成されるとともに、
前記パッキン部材の内周面に前記位置決め用外周溝に対応して周方向に沿って位置決め用内周凸部が形成され、
前記位置決め用内周凸部が前記位置決め用外周溝に嵌め込まれることによって、前記パッキン部材の前記照明器具本体に対する位置決めが図られるように構成されている請求項1~5のいずれか1項に記載の照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、前端部にフード等の筒状外装部材が設けられたスポットライト等の照明器具に関する。
【0002】
なお、本発明に係る照明器具の前後方向は限定されるものではないが、本明細書および特許請求の範囲においては、発明の理解を容易にするため、照明器具から光が照射される方向を照明器具の前方向、その反対方向を照明器具の後方向として説明する。
【背景技術】
【0003】
照明器具として、下記特許文献1,2に示すようなスポットライトが周知である。従来のスポットライトにおいて、グレアの抑制等を図るために、オプション部材等として前端部に筒状のフードを備えるものが周知である。フードは、中心軸がスポットライトの中心光軸と同軸に配置されており、フードの前端には、スポットライトに搭載された光源の光を照光対象物に向けて出射するための照射口が形成されている。
【0004】
従来、フードをスポットライト本体に取り付ける方法としては例えば、フード側に設けた係合部をスポットライト本体に設けた被係合部に係合することによってフードをスポットライト本体に着脱自在に取り付けるような方法や、フードをスポットライト本体にねじ留めすることによって取り付ける方法等が周知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-130232号
【文献】特開2017-27899号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような技術背景の下、従来からスポットライトにおいては、スポットライト本体に対しフードを安定状態に取り付けることができる構造や、スポットライト本体に対しフードを簡単に取り付けることができる構造が可及的に求められているのが現状である。
【0007】
この発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、フード等の筒状外装部材を、スポットライト本体等の照明器具本体の前端部に安定した状態で簡単に取り付けることができるスポットライト等の照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は、以下の手段を備えるものである。
【0009】
[1]前端面に透光部を有する照明器具本体と、前記照明器具本体の前端部に外嵌される筒状の外装部材とを備え、前記照明器具本体内の光源から出射した照明光が前記透光部を透過して前記外装部材内を通って前方に照射されるようにした照明器具であって、
前記照明器具本体の前端部に、筒状の弾性パッキン部材が外嵌された状態に取り付けられ、
前記外装部材に、前記パッキン部材に対応して複数のねじ切り孔が周方向に間隔を形成されるとともに
前記複数のねじ切り孔に、ねじ部材がその軸部が径方向に沿って配置された状態でそれぞれ螺着され、
前記ねじ部材が内径方向にそれぞれねじ込まれて、各ねじ部材の軸部先端が前記パッキン部材にそれぞれ圧接することによって、前記外装部材が前記照明器具本体に取り付けられていることを特徴とする照明器具。
【0010】
[2]前記パッキン部材の外周面に、前記フードの軸心方向に延びる突条部が周方向に間隔をおいて複数形成され、その複数の突条部の各間に軸心方向に沿って連続する通水路が形成され、
前記パッキン部材における前記通水路の後端に水抜き孔が形成され、その水抜き孔を介して前記通水路の後端側が前記照明器具本体の外側における前記フードの後方に開放されている前項1に記載の照明器具。
【0011】
[3]前記パッキン部材の前端に、前記照明器具本体の前端面外周に当接係止する内向きフランジ部が形成されている前項1または2に記載の照明器具。
【0012】
[4]前記パッキン部材の後端に、前記外装部材の後端面に当接係止する外向きフランジ部が形成されている前項1~3のいずれか1項に記載の照明器具。
【0013】
[5]前記パッキン部材の外周面に前記ねじ部材に対応して前記照明器具本体の外周面に周方向に連続する圧接用外周溝が形成され、
その圧接用外周溝の内周面に前記ねじ部材の軸部先端が圧接するように構成されている前項1~4のいずれか1項に記載の照明器具。
【0014】
[6]前記照明器具本体の前端部外周面に周方向に沿って位置決め用外周溝が形成されるとともに、
前記パッキン部材の内周面に前記位置決め用外周溝に対応して周方向に沿って位置決め用内周凸部が形成され、
前記位置決め用内周凸部が前記位置決め用外周溝に嵌め込まれることによって、前記パッキン部材の前記照明器具本体に対する位置決めが図られるように構成されている前項1~5のいずれか1項に記載の照明器具。
【発明の効果】
【0015】
発明[1]の照明器具によれば、スポットライト本体に外嵌した弾性パッキン部材に、フードにねじ込んだねじ部材を圧接させて弾性密着させることにより、フードをスポットライト本体に組み付けるようにしているため、フードのねじ部材をパッキン部材を介してスポットライト本体の外周面に弾性密着させることができ、フードがスポットライト本体に対し安定した状態に確実に取り付けることができる。さらに本発明の照明器具においては、ねじ部材をねじ込んでパッキン部材を介してスポットライト本体の外周面に圧接するだけで簡単に、フードをスポットライト本体に組み付けることができる。
【0016】
発明[2]の照明器具によれば、パッキン部材の外周面に軸心方向に沿って通水路を形成し、その通水路の後端を水抜き孔を介して外部に開放しているため、例えば本照明器具を屋外で上向きに設置したような場合であっても、フード内に浸入した雨水を通水路および水抜き孔を介して外部にスムーズに排出でき、屋外でも支障なく使用することができる。
【0017】
発明[3]の照明器具によれば、パッキン部材の前端に照明器具本体の前端面に対応する内向きフランジ部を形成しているため、その内向きフランジ部を照明器具本体の前端面に当接係止するだけで簡単に、パッキン部材の位置合わせを行うことができ、パッキン部材の装着作業を容易に行うことができる。
【0018】
発明[4]の照明器具によれば、パッキン部材の後端に外装部材の後端面に対応する外向ききフランジ部を形成しているため、その外向きフランジ部をフード6の後端面に当接係止するだけで簡単に、フードの位置合わせを行うことができ、フードの装着作業をより一層簡単に行うことができる。
【0019】
発明[5]の照明器具によれば、パッキン部材の外周面に圧接用外周溝を形成して、圧接用外周溝内にフードのねじ部材をねじ込んで圧接するようにしているため、ねじ部材を所定の位置に確実にねじ込むことができ、フードをより安定した状態で照明器具本体に取り付けることができる。
【0020】
発明[6]の照明器具によれば、パッキン部材の内周面に設けた位置決め用内周凸部を、照明器具本体の外周に設けた位置決め用外周溝に嵌合するようにしているため、その嵌合によって、パッキン部材の照明器具本体に対する位置ずれを防止でき、より安定した状態でパッキン部材をスポットライト本体に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1はこの発明の実施形態である照明器具としてのスポットライトを示す側面図である。
【
図2】
図2は実施形態のスポットライトにおけるフード取付部周辺を示す側面断面図である。
【
図4】
図4は実施形態のスポットライトにおけるフード取付部周辺を示す平面断面図である。
【
図5】
図2のスポットライトにおけるパッキン部材のねじ留め部周辺を拡大して示す断面図である。
【
図6】
図6は実施形態のスポットライトに適用されたパッキン部材を示す図であって、図(a)は正面図、図(b)は側面図、図(c)は背面図である。
【
図7】
図7は実施形態のパッキン部材を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1はこの発明の実施形態である照明器具としてのスポットライトを示す側面図、
図2~
図4は実施形態のスポットライトにおけるフード取付部周辺を示す断面図である。
【0023】
これらの図に示すように本実施形態の照明器具は、防水性を有する屋外用のスポットライトを構成するものである。なお本実施形態においては、既述した通り照明光を照射する方向(
図1の左側方向)を「前方」とし、その反対方向(
図1の右側方向)を「後方」として説明する。
【0024】
図1~
図4に示すように本実施形態のスポットライトは、照明器具本体としての円筒状ないし円柱状のスポットライト本体1と、スポットライト本体1の外周面に固定された支持アーム11と、スポットライト本体1の前端に円筒状のパッキン部材5を介して前端に外嵌される円筒状のフード6とを備え、例えば屋外の外壁面等の取付場所に支持アーム11を介して取り付けられて使用されるものである。
【0025】
スポットライト本体1は、外周壁を構成するアウターケーシング2と、アウターケーシング2内に収容される内筒体3と、アウターケーシング2の前面開口部を閉塞する前面カバー4と、アウターケーシング内に収容された光源ユニット(図示省略)とを基本的な構成要素として備えている。
【0026】
アウターケーシング2は、セードやシリンダ等とも称されており、円筒形状に形成されている。
【0027】
アウターケーシング2は、その前端部内周面に周方向に等間隔おきに4つのねじ留め部21が形成されている。各ねじ留め部21は、内径方向に突出するように肉厚が厚く形成されており、後述するように前面側からねじ12をねじ込むことができるように構成されている。
【0028】
またアウターケーシング2は、その前端部外周面が内側(内径方向)に凹むように形成されることにより、カバー取付用凹段部22が形成されている。
【0029】
なお、アウターケーシング2の後部には、LED等を光源として含む上記光源ユニットが収容されており、その光源ユニットの光源から前方に向けて照明光が出射されるように構成されている。
【0030】
アウターケーシング2の前部に収容される内筒体3は、両端が開放された円筒形状に形成されている。この内筒体3の前端部外周には外側に突出するように外向きフランジ部31が形成されている。内筒体3の内周面には、グレア低減用のバッフル32が形成されている。本実施形態においてバッフル32は、周方向に連続する突条部および凹条部が軸心方向に沿って交互に配置されたものによって構成されている。
【0031】
この内筒体3がアウターケーシング2内にその前端開口からアウターケーシング2の前側部に収容されて、外向きフランジ部31がアウターケーシング2の前端面に係止された状態に配置される。
【0032】
また、アウターケーシング2における前端開口に取り付けられる前面カバー4は、円環状の枠体41を備えている。枠体41の枠内には、透明ガラス板等によって構成される透明保護板43が水密状態に取り付けられている。本実施形態においては、透明保護板43が透光部として構成されている。
【0033】
また前面カバー4の枠体41における外周縁にはその全周において外周壁42が後方に突出するように形成されている。外周壁42はその内径がアウターケーシング2のカバー取付用凹段部22の外径寸法よりも少しだけ大きく形成されており、カバー取付用凹段部22に適合状態に外嵌できるように構成されている。
【0034】
この前面カバー4が、内筒体3が設置された上記アウターケーシング2に取り付けられる。すなわち前面カバー4がその外周壁42がアウターケーシング2のカバー取付用凹段部22に嵌め込まれるとともに、枠体41が内筒体3の外向きフランジ部31に沿うように配置される。この状態でねじ12が前面カバー4の枠体41および内筒体3の外向きフランジ部31を貫通してアウターケーシング2の上記ねじ留め部21にねじ込まれて固定される。これにより前面カバー4が内筒体3を介してアウターケーシング2に固定されて、スポットライト本体1が組み付けられる。このスポットライト本体1においては、前面カバー4の外周壁42における後端面が、アウターケーシング2のカバー取付用凹段部22における後端面から少し前方に離間して配置されており、前面カバー4の外周壁後端面と、アウターケーシング2のカバー取付凹段部後端面との間に隙間が形成され、その隙間によって周方向に沿って連続する位置決め用外周溝15が形成されている。
【0035】
図5は
図2のスポットライトにおけるパッキン部材5のねじ留め部周辺を拡大して示す図、
図6および
図7は本実施形態のスポットライトに適用されたパッキン部材5を示す図である。
【0036】
図2~
図7に示すようにスポットライト本体1の前端部にはパッキン部材5が外嵌されている。本実施形態においてパッキン部材5は、弾力性を有するシリコーンゴムの成形品によって構成されている。このパッキン部材5は、円筒状の周壁部51を備え、その周壁部51の前端には、内径方向に突出するように内向きフランジ部52が一体に形成されるとともに、後端には、外径方向に突出するように外向きフランジ部53が一体に形成されている。
【0037】
さらにパッキン部材5における周壁部51の内周面には、スポットライト本体1の位置決め用外周溝15に対応して、位置決め用内周凸部55が周方向に連続して一体に形成されている。
【0038】
またパッキン部材5における周壁部51の外周面には、周方向に等間隔おきに配置され、かつ軸心方向に連続して配置される突条部56が一体に形成されている。この複数の突条部56の各間は、軸心方向に沿って連続する通水路57として形成されている。各通水路57は、前端が前方に向けて開放されている。さらにパッキン部材5の外向きフランジ部53には、各通水路57に対応して、前後方向に貫通する水抜き孔54がそれぞれ形成されており、各水抜き孔54を介して各通水路57は後方に向けて開放されている。
【0039】
またパッキン部材5における周壁部51の外周面には、その後方寄りの位置に圧接用外周溝58が周方向に連続して形成されている。
【0040】
以上の構成のパッキン部材5がスポットライト本体1の前端部に弾性密着状態に取り付けられる。すなわちパッキン部材5をその周壁部51を引っ張って拡開変形させつつスポットライト本体1の前端部外周に被せて、引張力を解除することによって、周壁部51を弾性復元力によってスポットライト本体1の前端部外周面に密着させた状態に取り付ける。この際、パッキン部材5の前端の内向きフランジ部52をスポットライト本体1の前端面外周縁部に係止することによってパッキン部材5の前後方向の位置合わせを図るとともに、パッキン部材5の内周面の位置決め用内周凸部55をスポットライト本体1の前端部外周面の位置決め用外周溝15内に弾性密着状態に充填することにより、パッキン部材5の前後方向の位置ずれを防止するようにしている。
【0041】
図1~
図5に示すように、スポットライト本体1の前端部に外嵌されるフード6は、略円筒状に形成されており、前端部が軸心に対し傾斜する平坦面でカットされたカットタイプのものである。このフード6は、その後端部の内径が、アウターケーシング2に装着されたパッキン部材5の外径寸法に対応して形成されており、フード6の後端部がパッキン部材5に適合状態に外嵌できるように構成されている。
【0042】
またフード6には、パッキン部材5の圧接用外周溝58に対応して、周方向に等間隔おきに4つのねじ切り孔61が形成されている。言うまでもなく各ねじ切り孔61の内周面にはねじ溝が刻設されている。各ねじ切り孔61には、ねじ部材62の軸部がそれぞれ螺着された状態に配置されている。さらに各ねじ部材62の軸部は、フード6ないしスポットライト本体1の径方向に沿うようにそれぞれ配置されている。そして各ねじ部材62をねじ込み(締結)方向に回転操作すると、ねじ部材62がフード6(スポットライト本体1)の軸心に向けて内径方向に進出するとともに、逆方向(緩め方向)に回転操作すると、ねじ部材62がフード6(スポットライト本体1)の軸心から遠ざかるように外径方向に後退するように構成されている。
【0043】
このフード6の後端部が、スポットライト本体1の前端部に嵌着された上記パッキン部材5に密着状態に嵌め込まれる。この際、フード6の後端面がパッキン部材5の後端の外向きフランジ部53に当接係止することによって、フード6のパッキン部材5(スポットライト本体1)に対する軸心方向の位置決めが図られて、フード6のねじ62(ねじ切り孔61)が、パッキン部材5の圧接用外周溝58に対応する位置に配置される。そしてこの状態において、フード6のねじ切り孔61に螺着された各ねじ部材62がねじ込み方向に回転操作されて、各ねじ部材62の軸部先端がパッキン部材5の圧接用外周溝58の内周面に圧接されるとともに、その圧接部に対応するパッキン部材5の内周部がスポットライト本体1の外周面に押圧して密着固定される。
【0044】
このようにフード6がパッキン部材5を介してスポットライト本体1に組み付けられる。この組付状態においては、パッキン部材5の外周面側における周方向に隣り合う突条部56間に設けられた通水路57が軸心方向に連続するように配置され、その通水路57の前端側がフード6内において前方に開放されるとともに、後端側がスポットライト本体1の外側においてフード6の後方に開放されている。
【0045】
なおフード6をスポットライト本体1から取り外す場合には、各ねじ部材62を緩めて各ねじ部材62の軸部をパッキン部材5から離間させれば、フード6をスポットライト本体1(パッキン部材5)から取り外すことができる。
【0046】
この構成のポットライト(照明器具)においては、アウターケーシング1に設けられた支持アーム11が、設置面例えば、天井面等の下向き水平面、壁面等の垂直面、路面、床面、台面等の上向き水平面、さらに傾斜面、支柱等に適宜取り付けられて使用されるものである。
【0047】
以上のように構成された本実施形態のスポットライトによれば、スポットライト本体1の前端部に円筒状の弾性パッキン部材5を介してフード6を外嵌するとともに、フード6に螺着されたねじ部材62をねじ込んでそのねじ部材62をパッキン部材5に圧接させて弾性密着させることにより、フード6をスポットライト本体1に組み付けるようにしているため、フード6のねじ部材62をパッキン部材5を介してスポットライト本体1の外周面に弾性密着させることができ、フード6がスポットライト本体1に対しガタツキ等の不具合が生じるのを防止でき、安定した状態に確実に取り付けることができる。
【0048】
さらに本実施形態のスポットライトにおいては、ねじ部材62の軸部先端をスポットライト本体1の外周面に圧接するものであるため、ねじ部材62がスポットライト本体1に対し周方向のどの位置にあろうとも、支障なくフード6を取り付けることができ、ねじ部材62の位置決め作業等の面倒な作業も必要なく、フード6の取付作業を簡単かつ効率良く行うことができる。
【0049】
また本実施形態においては、パッキン部材5とフード6との間に軸心方向に連続して延びる通水路57を形成し、その通水路57の後端を水抜き孔54を介して外部に開放しているため、スポットライトを屋外で上向きに設置したような場合に、フード6内に前方から雨水が浸入したとしても、その雨水は通水路57および水抜き孔54を介して外部にスムーズに排出される。このためフード6内に雨水が貯留するような不具合がなく、屋外でも支障なく使用することができる。
【0050】
また本実施形態においては、パッキン部材5の前端に、スポットライト本体1の前端面に対応して内向きフランジ部52を形成しているため、パッキン部材5をスポットライト本体1に外嵌する際に、内向きフランジ部52をスポットライト本体1の前端面に当接係止するだけで簡単に位置合わせを行うことができ、パッキン部材5の装着作業を容易に行うことができる。
【0051】
さらに本実施形態においては、パッキン部材5の内周面に設けた位置決め用内周凸部55をスポットライト本体1の位置決め用外周溝15に嵌合するようにしているため、その嵌合によって、パッキン部材5のスポットライト本体1に対する位置ずれを防止でき、より安定した状態でパッキン部材5をスポットライト本体1に取り付けることができる。
【0052】
さらに本実施形態においては、パッキン部材5の後端に、フード6の後端面に対応して外向きフランジ部53を形成しているため、フード6をパッキン部材5に外嵌する際に、フード6の後端面をパッキン部材5の外向きフランジ部53に当接係止するだけで簡単に位置合わせを行うことができ、フード6の装着作業をより一層簡単に行うことができる。
【0053】
また本実施形態においては、パッキン部材5の外周面に圧接用外周溝58を形成して、圧接用外周溝58内にフード6のねじ部材6をねじ込んで密着させるようにしているため、ねじ部材6を所定の位置(圧接用外周溝58内)に確実にねじ込むことができ、フード6をより安定した状態でスポットライト本体1に取り付けることができる。
【0054】
その上さらに本実施形態においては、パッキン部材5の内周面に設けられた位置決め用内周凸部55を、ねじ部材6がねじ込まれる圧接用外周溝58に対応して形成しているため、ねじ部材6のねじ込みよってパッキン部材5における位置決め用内周凸部55の周辺部位が内側に押圧されて、位置決め用内周凸部55がスポットライト本体1の位置決め用外周溝15内に圧入された状態に確実に維持される。このためパッキン部材5およびフード6の位置ずれ等をより一層確実に防止でき、フード6をより一層安定した状態でスポットライト本体1に取り付けることができる。
【0055】
なお上記実施形態においては、アウターケーシング2として円筒状のものを採用しているが、本発明においてアウターケーシング2の形状は特に限定されるものではない。例えばアウターケーシング2として、角筒状や楕円筒状のものを採用しても良い。
【0056】
さらに上記実施形態においては、前端から後端にかけて外径が一定のアウターケーシング2を用いる場合を例に挙げて説明しているが、本発明においてはアウターケーシングの外径を部分的変更するようにしても良い。例えばアウターケーシングにおける前部外径が後部の外径よりも次第に大きくなるようにラッパ状や円錐台状に形成するようにしても良い。
【0057】
また上記実施形態においては、本発明を、屋外設置型の照明器具(スポットライト)に適用する場合を例に挙げて説明したが、それだけに限られず、本発明は、屋内設置型の照明器具(スポットライト)にも適用することができる。
【0058】
また上記実施形態においては、外装部材であるフードとして、カットタイプのフードを使用する場合を例に挙げて説明したが、それだけに限られず、本発明においては、フードとして、前端開口部が軸心に対し直交する平面でカットされたストレートタイプのフードや、スプレッドレンズ取付用のフード等も使用することができる。
【0059】
また上記実施形態においては、外装部材としてフードを用いる場合を例に挙げて説明したが、本発明の外装部材はフードに限られず、スヌート、ハニカム等の外装部材を用いるようにしても良い。
【0060】
また上記実施形態においては、フード6のねじ切り孔61やねじ部材62を4つ設ける場合を例に挙げて説明したが、ねじ切り孔やねじ部材の数は特に限定されるものではなく、本発明においてねじ切り孔やねじ部材は複数設けられていれば良い。
【産業上の利用可能性】
【0061】
この発明の照明器具は、前端部にフードが設置されるスポットライト等として好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0062】
1:スポットライト本体(照明器具本体)
15:位置決め用外周溝
43:透明保護板(透光部)
5:パッキン部材
52:内向きフランジ部
53:外向きフランジ部
54:水抜き孔
55:位置決め用内周凸部
56:突条部
57:通水路
58:圧接用外周溝
6:フード(外装部材)
61:ねじ切り孔
62:ねじ部材