(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-03
(45)【発行日】2023-02-13
(54)【発明の名称】パレット積み重ね用の治具
(51)【国際特許分類】
B65D 19/38 20060101AFI20230206BHJP
【FI】
B65D19/38 Z
(21)【出願番号】P 2019113474
(22)【出願日】2019-06-19
【審査請求日】2022-03-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000005463
【氏名又は名称】日野自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100211052
【氏名又は名称】奥村 大輔
(72)【発明者】
【氏名】池澤 誠行
(72)【発明者】
【氏名】湯本 文也
(72)【発明者】
【氏名】中池 卓哉
(72)【発明者】
【氏名】高木 憲市
(72)【発明者】
【氏名】佐野 一之
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 孝一
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-184719(JP,A)
【文献】特開平9-20341(JP,A)
【文献】実開昭53-18762(JP,U)
【文献】実開昭57-183233(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 19/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形枠状の下側フレーム部と、
前記下側フレーム部上に設けられた矩形枠状の上側フレーム部と、
を備え、
前記下側フレーム部及び前記上側フレーム部の各々は、第1の縦部材と、前記第1の縦部材に対向する第2の縦部材と、前記第1の縦部材の一端と前記第2の縦部材の一端とを接続する第1の横部材と、前記第1の縦部材の他端と前記第2の縦部材の他端とを接続する第2の横部材とを有し、
前記下側フレーム部及び前記上側フレーム部のサイズが個別に変化するように、前記第1の縦部材及び前記第2の縦部材が縦方向に伸縮可能に構成され、前記第1の横部材及び前記第2の横部材が横方向に伸縮可能に構成されている、パレット積み重ね用の治具。
【請求項2】
前記下側フレーム部の四隅からそれぞれ下方に突出する複数の脚部を更に備える、請求項1に記載の治具。
【請求項3】
前記上側フレームの四隅からそれぞれ上方に突出する複数の支持部を更に備える、請求項1又は2に記載の治具。
【請求項4】
前記第1の縦部材、前記第2の縦部材、前記第1の横部材及び第2の横部材の各々は、固定部材と前記固定部材に沿って摺動可能な可動部材とを含み、
前記下側フレーム部の前記第1の縦部材の固定部材は、前記上側フレーム部の前記第1の縦部材の固定部材に対して固定され、且つ、前記下側フレーム部の前記第1の横部材の固定部材は、前記上側フレーム部の前記第1の横部材の固定部材に対して固定されている、請求項1~3の何れか一項に記載の治具。
【請求項5】
前記固定部材及び前記可動部材のうち一方の部材が、前記固定部材及び前記可動部材のうち他方の部材に挿入された状態で、前記可動部材が前記固定部材に沿って摺動可能に構成されている、請求項4に記載の治具。
【請求項6】
前記固定部材には第1の係止孔が形成され、前記可動部材には第2の係止孔が形成され、
前記第1の係止孔及び前記第2の係止孔に挿入され、前記固定部材と前記可動部材との相対位置を固定するピンを更に備える、請求項4又は5に記載の治具。
【請求項7】
前記下側フレーム部は、前記下側フレーム部の前記第2の縦部材の前記可動部材、及び、前記下側フレーム部の前記第2の横部材の前記可動部材の下部に設けられた車輪を更に有する、請求項4~6の何れか一項に記載の治具。
【請求項8】
前記下側フレーム部が、前記第2の縦部材の前記可動部材、及び、前記第2の横部材の前記可動部材に連結された補強部材を更に備え、
上方からの平面視において、前記上側フレーム部の前記第2の縦部材及び前記第2の横部材が縦方向及び横方向に最も縮んだ状態のときに、前記補強部材が、前記上側フレーム部の前記第2の縦部材及び前記第2の横部材に対して少なくとも部分的に重なるように配置されている、請求項4~7の何れか一項に記載の治具。
【請求項9】
前記下側フレーム部が、該下側フレーム部の前記第1の縦部材の前記固定部材の下部、及び、前記第1の横部材の前記固定部材の下部にそれぞれ設けられた補助脚部を更に備える、請求項4~8の何れか一項に記載の治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、パレット積み重ね用の治具に関する。
【背景技術】
【0002】
荷物の輸送効率を向上させるために、積み重ね可能な輸送用パレットが用いられている。例えば、下記特許文献1には、主積載板と、当該主積載板の四隅において上下方向に延在する4本の支柱と、各支柱の下端部に設けられる受皿とを有する輸送用パレットが記載されている。この輸送用パレットでは、4本の支柱の先端部上に他の輸送用パレットの4本の支柱の受皿を載置することで、複数の輸送用パレットを積み重ねることができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の輸送用パレットでは、上下に積み重ねられたパレット間で支柱の位置合わせが必要になるので、異なるサイズのパレットを積み重ねることは困難である。したがって、例えば異なるサイズのパレットをトラック等に積載する場合には、積載スペースを有効活用することができず、積載効率が低下することがある。
【0005】
したがって、異なるサイズのパレットの積み重ねを可能にすることが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様に係るパレット積み重ね用の治具は、矩形枠状の下側フレーム部と、下側フレーム部上に設けられた矩形枠状の上側フレーム部と、を備えている。下側フレーム部及び上側フレーム部の各々は、第1の縦部材と、第1の縦部材に対向する第2の縦部材と、第1の縦部材の一端と第2の縦部材の一端とを接続する第1の横部材と、第1の縦部材の他端と第2の縦部材の他端とを接続する第2の横部材とを有している。下側フレーム部及び上側フレーム部のサイズが個別に変化するように、第1の縦部材及び第2の縦部材が縦方向に伸縮可能に構成され、第1の横部材及び第2の横部材が横方向に伸縮可能に構成されている。
【0007】
上記態様のパレット積み重ね用の治具では、下側フレーム部及び上側フレーム部のサイズを個別に変化させることが可能である。したがって、下側フレーム部及び上側フレーム部のサイズを下側パレット及び上側パレットのサイズに合致するようにそれぞれ調整して、上下のパレットの間に配置することによって、異なるサイズのパレットを積み重ねることが可能となる。
【0008】
一実施形態では、下側フレーム部の四隅からそれぞれ下方に突出する複数の脚部を更に備えていてもよい。これら複数の脚部を下側パレットの支柱上に配置することによって、下側パレット上に治具を配置することができる。
【0009】
一実施形態では、上側フレームの四隅からそれぞれ上方に突出する複数の支持部を更に備えていてもよい。これら複数の支持部により上側パレットの支柱を支持することによって、治具上に上側パレットを載置することができる。
【0010】
一実施形態では、第1の縦部材、第2の縦部材、第1の横部材及び第2の横部材の各々は、固定部材と固定部材に沿って摺動可能な可動部材とを含み、下側フレーム部の第1の縦部材の固定部材は、上側フレーム部の第1の縦部材の固定部材に対して固定され、且つ、下側フレーム部の第1の横部材の固定部材は、上側フレーム部の第1の横部材の固定部材に対して固定されていてもよい。この実施形態によれば、下側フレーム部と上側フレーム部の位置ずれを防止することができる。
【0011】
一実施形態では、固定部材及び可動部材のうち一方の部材が、固定部材及び可動部材のうち他方の部材に挿入された状態で、可動部材が固定部材に沿って摺動可能に構成されていてもよい。
【0012】
一実施形態では、固定部材には第1の係止孔が形成され、可動部材には第2の係止孔が形成され、第1の係止孔及び第2の係止孔に挿入され、固定部材と可動部材との相対位置を固定するピンを更に備えていてもよい。この実施形態によれば、ピンによって固定部材と可動部材とを係止することができるので、固定部材と可動部材との相対位置を固定することができる。
【0013】
一実施形態では、下側フレーム部は、下側フレーム部の第2の縦部材の可動部材、及び、下側フレーム部の第2の横部材の可動部材の下部に設けられた車輪を更に有していてもよい。このような車輪を有することによって、第2の縦部材の可動部材及び第2の横部材の可動部材を、第2の縦部材の固定部材及び第2の横部材の固定部材に対して容易に移動させることが可能となる。したがって、第2の縦部材及び第2の横部材を容易に伸縮させることが可能となる。
【0014】
一実施形態では、下側フレーム部が、第2の縦部材の可動部材、及び、第2の横部材の可動部材に連結された補強部材を更に備え、上方からの平面視において、上側フレーム部の第2の縦部材及び第2の横部材が縦方向及び横方向に最も縮んだ状態のときに、補強部材が、上側フレーム部の第2の縦部材及び第2の横部材に対して少なくとも部分的に重なるように配置されていてもよい。この実施形態では、補強部材によって上側フレーム部の第2の縦部材及び第2の横部材を支持することができるので、治具の強度を高めることが可能となる。
【0015】
一実施形態では、下側フレーム部が、該下側フレーム部の第1の縦部材の固定部材の下部、及び、第1の横部材の固定部材の下部にそれぞれ設けられた補助脚部を更に備えていてもよい。治具と当該治具の支持面との間の摩擦力が小さいと下側フレーム部又は上側フレーム部を伸縮させる際に、治具が支持面に対して滑って適切に下側フレーム部又は上側フレーム部を伸縮できないことがある。これに対し、下側フレーム部に補助脚部を設けることで、治具と支持面との摩擦力を大きくすることができるので、下側フレーム部又は上側フレーム部を確実に伸縮することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一態様及び種々の実施形態によれば、異なるサイズのパレットを積み重ねることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図3】(a)は第1の縦部材及び第1の横部材の断面図であり、(b)は第2の縦部材及び第2の横部材の断面図である。
【
図4】(a)は第1の縦部材及び第1の横部材の側面図であり、(b)は第2の縦部材及び第2の横部材の側面図である。
【
図5】下側パレットと上側パレットとの間に配置された治具を示す斜視図である。
【
図6】パレットが搭載されたトラックを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して種々の実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととし、同一又は相当の部分に対する重複した説明は省略する。また、各図面の寸法比率は、必ずしも実際の寸法比率とは一致していない。
【0019】
図1は、一実施形態に係る治具を示す斜視図であり、
図2は、治具の平面図である。
図1及び
図2に示す治具1は、パレット積み重ね用の治具である。この治具1は、上下のパレットの間に配置して、主に異なるサイズのパレットを積み重ねるために用いられる。
【0020】
図1に示すように、治具1は、下側フレーム部10及び上側フレーム部20を備えている。下側フレーム部10は、第1の縦部材11、第2の縦部材12、第1の横部材13及び第2の横部材14を備えている。第1の縦部材11及び第2の縦部材12は、互いに対向するように離間して配置されており、互いに平行に縦方向に沿って延在している。第1の横部材13は、第1の縦部材11の一端と第2の縦部材12の一端とを接続するように横方向に延在している。第2の横部材14は、第1の縦部材11の他端と第2の縦部材12の他端とを接続するように横方向に延在している。すなわち、下側フレーム部10は矩形枠状を呈している。
【0021】
第1の縦部材11及び第2の縦部材12は、縦方向に伸縮可能に構成されており、第1の横部材13及び第2の横部材14は、横方向に伸縮可能に構成されている。第1の縦部材11、第2の縦部材12、第1の横部材13及び第2の横部材14が伸縮することによって、下側フレーム部10のサイズ(寸法)が変更される。
【0022】
第1の縦部材11は、固定部材11a及び可動部材11bを有しており、第1の横部材13は、固定部材13a及び可動部材13bを有している。
図1に示すように、固定部材11aの端部と固定部材13aの端部は、略L字状をなすように互いに連結されている。
【0023】
図3(a)に示すように、固定部材11a,13a及び可動部材11b,13bは矩形筒状を有している。固定部材11aの内寸(内部空間の幅)は、可動部材11bの外寸よりも大きく形成されており、可動部材11bの少なくとも一部は、固定部材11a内に挿入されている。同様に、固定部材13aの内寸(内部空間の幅)は、可動部材13bの外寸よりも大きく形成されており、可動部材13bの少なくとも一部は、固定部材13a内に挿入されている。
【0024】
なお、
図3(a)に示すように、固定部材11a,13aの各々は、断面コの字状を有する一対の部材と、当該一対の部材の端部から側方に張り出す一対のフランジ部とを有し、一対のフランジ部同士を対面させた状態でボルト止めすることで矩形筒状に形成されていてもよい。
【0025】
可動部材11b,13bは、固定部材11a,13aに挿入された状態で固定部材11a,13aに対してそれぞれ摺動可能に構成されている。このように、可動部材11b,13bが固定部材11a,13aに対して摺動することによって、可動部材11b,13bの固定部材11a,13aに対する挿入量が変化する。
図4(a)に示すように、例えば、可動部材11b,13bの挿入量が小さくなるように可動部材11b,13bを固定部材11a,13aに沿って摺動させることにより、第1の縦部材11及び第1の横部材13が伸長する。反対に、可動部材11b,13bの挿入量が大きくなるように可動部材11b,13bを固定部材11a,13aに沿って摺動させることにより、第1の縦部材11及び第1の横部材13が短くなる。このように、固定部材11a,13aに対する可動部材11b,13bの挿入量を調整することによって、第1の縦部材11及び第1の横部材13が縦方向及び横方向にそれぞれ伸縮する。
【0026】
また、
図4(a)に示すように、固定部材11a,13aの側壁には、係止孔16(第1の係止孔)が形成されている。可動部材11b,13bの側壁には、複数の係止孔17(第2の係止孔)が形成されている。複数の係止孔17は、可動部材11b,13bが固定部材11a,13aに対して摺動したときに係止孔16に重なるように、可動部材11b,13bの長手方向に沿って配列されている。治具1は、係止用のピンを有しており、係止孔16と複数の係止孔17の1つとが重なった状態でこれらの係止孔に当該ピンが挿入されることによって、固定部材11a,13aと可動部材11b,13bとの相対位置がそれぞれ固定される。
【0027】
第2の縦部材12は、固定部材12a及び可動部材12bを有しており、第2の横部材14は、固定部材14a及び可動部材14bを有している。固定部材12aの端部と可動部材13bの端部は、L字状をなすように互いに連結されており、固定部材14aの端部と可動部材11bの端部は、L字状をなすように互いに連結されている。さらに、可動部材12bの端部と可動部材14bの端部は、L字状をなすように互いに連結されている。
【0028】
図3(b)に示すように、固定部材12a,14a及び可動部材12b,14bは矩形筒状を有している。固定部材12aの外寸は、可動部材12bの内寸よりも小さく形成されており、固定部材12aの少なくとも一部は可動部材12b内に挿入されている。同様に、固定部材14aの外寸は、可動部材14bの内寸よりも小さく形成されており、固定部材14aの少なくとも一部は、可動部材14b内に挿入されている。
【0029】
なお、
図3(b)に示すように、可動部材12b,14bの各々は、断面コの字状を有する一対の部材と、当該一対の部材の端部から側方に張り出す一対のフランジ部とを有し、一対のフランジ部同士を対面させた状態でボルト止めすることで矩形筒状に形成されていてもよい。
【0030】
可動部材12b,14bは、固定部材12a,14aが挿入された状態で固定部材12a,14aに対してそれぞれ摺動可能に構成されている。このように、可動部材12b,14bが固定部材12a,14aに対して摺動することによって、固定部材12a,14aの可動部材12b,14bに対する挿入量が変化する。
図4(b)に示すように、固定部材12a,14aの挿入量が小さくなるように可動部材12b,14bを摺動させることにより、第2の縦部材12及び第2の横部材14が伸長する。反対に、固定部材12a,14aの挿入量が大きくなるように可動部材12b,14bが摺動することによって、第2の縦部材12及び第2の横部材14が短くなる。このように、可動部材12b,14bに対する固定部材12a,14aの挿入量を調整することによって、第2の縦部材12及び第2の横部材14が縦方向及び横方向にそれぞれ伸縮する。
【0031】
図4(b)に示すように、可動部材12b,14bの側壁には係止孔18が形成され、固定部材12a,14aの側壁には複数の係止孔19が形成されている。複数の係止孔19は、可動部材12b,14bが固定部材12a,14aに対して摺動したときに係止孔18に重なるように、固定部材12a,14aの長手方向に沿って配列されている。固定部材12a,14aの複数の係止孔19の1つと可動部材12b,14bの係止孔18とが重なった状態でこれらの係止孔にピンが挿入されることによって、固定部材12a,14aと可動部材12b,14bとの相対位置がそれぞれ固定される。
【0032】
さらに、下側フレーム部10には、複数の脚部15a,15b,15c,15d(以下、特に区別する必要がない場合には、「脚部15」と称する。)が設けられている。脚部15は下側フレーム部10の四隅に設けられ、下側フレーム部10を支持面上で支持する。より具体的には、脚部15a,15b,15c,15dは、固定部材11aと固定部材13aとの接続位置、可動部材11bと固定部材14aとの接続位置、固定部材12aと可動部材13bとの接続位置、及び、可動部材12bと可動部材14bとの接続位置にそれぞれ設けられており、これらの接続位置から下方に突出している。また、各脚部15の下端には、パレットの位置ずれを防止するための受皿15pが設けられている。
【0033】
また、下側フレーム部10は、補強部材37を更に備えている。補強部材37の一端は可動部材12bに連結され、補強部材37の他端は可動部材14bに連結されている。補強部材37は、平面視において略L字状を呈しており、後述する上側フレーム部20の第2の縦部材22及び第2の横部材24が縦方向及び横方向に最も縮んだ状態のときに、上側フレーム部20の第2の縦部材22及び第2の横部材24に対して少なくとも部分的に重なる位置に設けられている。すなわち、補強部材37は、上側フレーム部20の第2の縦部材22及び第2の横部材24の下方に配置され、上側フレーム部20を下方から支持する。
【0034】
図1に示すように、可動部材12b,14bには、ハンドル33,34がそれぞれ設けられている。ハンドル33,34は、作業者が下側フレーム部10を伸縮させるときに、手で掴んで操作するための部分である。さらに、可動部材12b,14bの下部には、2つの車輪38がそれぞれ設けられている。2つの車輪38が支持面に対して転動することによって、小さな力で第2の縦部材12及び第2の横部材14を伸縮させることが可能となる。
【0035】
一実施形態では、下側フレーム部10には、爪当て部40が更に設けられていてもよい。
図1及び
図2に示すように、爪当て部40は、略L字状をなし、固定部材11a及び固定部材13aに接続されている。より詳細には、爪当て部40は、第1の部材40a、第2の部材40b及び第3の部材40cを有している。第1の部材40aは、縦方向に延びており、その一端が固定部材13aに連結されている。第2の部材40bは、横方向に延びており、その一端が第1の部材40aの他端に連結され、その他端が固定部材11aに連結されている。第3の部材40cは、第2の部材40bと平行に横方向に延びており、その一端は第1の部材40aの途中位置に連結され、その他端が固定部材11aに連結されている。爪当て部40は、フォークリフトを用いて治具1を持ち上げる際に、フォークリフトの爪に当接する部分である。
【0036】
一実施形態では、固定部材11a及び固定部材13aの下部には補助脚部36が更に設けられていてもよい。補助脚部36は、脚部15と共に下側フレーム部10を支持面上で支持する。下側フレーム部10又は上側フレーム部20を支持面上で伸縮させる際に治具1の脚部15と支持面との間の摩擦力が小さいと、治具1が支持面に対して滑って適切に下側フレーム部10又は上側フレーム部20を伸縮できないことがある。これに対し、固定部材11a及び固定部材13aの下部に補助脚部36を設けることによって、治具1と支持面と間の摩擦力を大きくすることができるので、下側フレーム部10又は上側フレーム部20を確実に伸縮することができる。
【0037】
上側フレーム部20は、下側フレーム部10の上方に設けられている。上側フレーム部20は、第1の縦部材21、第2の縦部材22、第1の横部材23及び第2の横部材24を備えている。第1の縦部材21及び第2の縦部材22は、互いに対向するように離間して配置されており、互いに平行に縦方向に沿って延在している。第1の横部材23は、第1の縦部材21の一端と第2の縦部材22の一端とを接続するように横方向に延在している。第2の横部材24は、第1の縦部材21の他端と第2の縦部材22の他端とを接続するように横方向に延在している。すなわち、上側フレーム部20は矩形枠状を呈している。
【0038】
第1の縦部材21及び第2の縦部材22は、縦方向に伸縮可能に構成されており、第1の横部材23及び第2の横部材24は、横方向に伸縮可能に構成されている。第1の縦部材21、第2の縦部材22、第1の横部材23及び第2の横部材24が伸縮することによって上側フレーム部20のサイズが変更される。すなわち、下側フレーム部10及び上側フレーム部20のサイズは、個別に変更可能なように構成されている。
【0039】
第1の縦部材21は、固定部材21a及び可動部材21bを有しており、第1の横部材23は、固定部材23a及び可動部材23bを有している。
図1に示すように、固定部材21aの端部と固定部材23aの端部は、略L字状をなすように互いに連結されている。固定部材11aは固定部材21aに対して溶接され、固定部材13aは固定部材23aに対して溶接されている。したがって、下側フレーム部10の第1の縦部材11の固定部材11aは、上側フレーム部20の第1の縦部材21の固定部材21aに対して固定され、下側フレーム部10の第1の横部材13の固定部材13aは、上側フレーム部20の第1の横部材23の固定部材23aに対して固定されている。
【0040】
固定部材11a,13a及び可動部材11b,13bと同様に、固定部材21a,23a及び可動部材21b,23bは矩形筒状を有している。固定部材21aの内寸(内部空間の幅)は、可動部材21bの外寸よりも大きく形成されており、可動部材21bの少なくとも一部は、固定部材21a内に挿入されている。同様に、固定部材23aの内寸(内部空間の幅)は、可動部材23bの外寸よりも大きく形成されており、可動部材23bの少なくとも一部は、固定部材23a内に挿入されている。
【0041】
可動部材21b,23bは、固定部材21a,23aに挿入された状態で固定部材21a,23aに対してそれぞれ摺動可能に構成されている。このように、可動部材21b,23bが固定部材21a,23aに対して摺動することによって、可動部材21b,23bの固定部材21a,23aに対する挿入量が変化する。
図4(a)に示すように、可動部材21b,23bの挿入量が小さくなるように可動部材21b,23bを固定部材21a,23aに沿って摺動させることにより、第1の縦部材21及び第1の横部材23が伸長する。反対に、可動部材21b,23bの挿入量が大きくなるように可動部材21b,23bを固定部材21a,23aに沿って摺動させることにより、第1の縦部材21及び第1の横部材23が短くなる。このように、固定部材21a,23aに対する可動部材21b,23bの挿入量を調整することによって、第1の縦部材21及び第1の横部材23が縦方向及び横方向に伸縮する。
【0042】
また、
図4(a)に示すように、固定部材21a,23aの側壁には、係止孔26(第1の係止孔)が形成されている。また、可動部材21b,23bの側壁には、複数の係止孔27(第2の係止孔)が形成されている。複数の係止孔27は、可動部材21b,23bが固定部材21a,23aに対して摺動したときに係止孔26に重なるように、可動部材21b,23bの長手方向に沿って配列されている。係止孔26と複数の係止孔27の1つとが重なった状態でこれらの係止孔にピンが挿入されることによって、固定部材21a,23aと可動部材21b,23bとの相対位置がそれぞれ固定される。
【0043】
また、第2の縦部材22は、固定部材22a及び可動部材22bを有しており、第2の横部材24は、固定部材24a及び可動部材24bを有している。固定部材22aの端部と可動部材23bの端部は、L字状をなすように互いに連結されており、固定部材24aの端部と可動部材21bの端部は、L字状をなすように互いに連結されている。さらに、可動部材22bの端部と可動部材24bの端部は、L字状をなすように互いに連結されている。
【0044】
固定部材12a,14a及び可動部材12b,14bと同様に、固定部材22a,24a及び可動部材22b,24bは矩形筒状を有している。固定部材22aの外寸は、可動部材22bの内寸よりも小さく形成されており、固定部材22aの少なくとも一部は可動部材22b内に挿入されている。同様に、固定部材24aの外寸は、可動部材24bの内寸よりも小さく形成されており、固定部材24aの少なくとも一部は、可動部材24b内に挿入されている。
【0045】
可動部材22b,24bは、固定部材22a,24aが挿入された状態で固定部材22a,24aに対してそれぞれ摺動可能に構成されている。このように、可動部材22b,24bが固定部材22a,24aに対して摺動することによって、固定部材22a,24aの可動部材22b,24bに対する挿入量が変化する。例えば、
図4(b)に示すように、固定部材22a,24aの挿入量が小さくなるように可動部材22b,24bを摺動させることにより、第2の縦部材22及び第2の横部材24が伸長する。反対に、固定部材22a,24aの挿入量が大きくなるように可動部材22b,24bが摺動することによって、第2の縦部材22及び第2の横部材24が短くなる。このように、可動部材22b,24bに対する固定部材22a,24aの挿入量を調整することによって、第2の縦部材22及び第2の横部材24が伸縮する。
【0046】
図4(b)に示すように、可動部材22b,24bの側壁には係止孔28(第1の係止孔)が形成され、固定部材22a,24aの側壁には複数の係止孔29(第2の係止孔)が形成されている。複数の係止孔29は、可動部材22b,24bが固定部材22a,24aに対して摺動したときに係止孔28に重なるように、固定部材22a,24aの長手方向に沿って配列されている。固定部材22a,24aの複数の係止孔29の1つと可動部材22b,24bの係止孔28とが重なった状態でこれらの係止孔にピンが挿入されることによって、固定部材22a,24aと可動部材22b,24bとの相対位置がそれぞれ固定される。
【0047】
さらに、上側フレーム部20には、複数の支持部25a,25b,25c,25d(以下、特に区別する必要がない場合には、「支持部25」と称する。)が設けられている。支持部25は上側フレーム部20の四隅に設けられ、上側フレーム部20上に配置されたパレットを支持する。より具体的には、支持部25a,25b,25c,25dは、固定部材21aと固定部材23aとの接続位置、可動部材21bと固定部材24aとの接続位置、固定部材22aと可動部材23bとの接続位置、及び、可動部材22bと可動部材24bとの接続位置にそれぞれ設けられ、これらの接続位置から上方に突出している。
【0048】
また、上側フレーム部20は、一対の補強部42,43を更に備えている。一対の補強部42,43の各々は、略三角形の平面形状を有する板状をなしており、上側フレーム部20の内側に設けられている。補強部42は、固定部材21a及び固定部材23aに接続されおり、補強部43は、可動部材22b及び可動部材24bに接続されている。
【0049】
図1に示すように、可動部材22b,24bには、ハンドル45,46がそれぞれ設けられている。ハンドル45,46は、作業者が上側フレーム部20のサイズを変更するときに、手で掴んで操作するための部分である。
【0050】
次に、一実施形態の治具1の使用方法について説明する。以下では、
図5に示すように、サイズの異なる下側パレット50と上側パレット60との間に治具1を挿入し、下側パレット50と上側パレット60とを積み重ねる例について説明する。
【0051】
まず、下側パレット50のサイズと一致するように下側フレーム部10のサイズが変更される。具体的には、ハンドル34を操作して、下側パレット50の縦幅に一致するように第1の縦部材11及び第2の縦部材12を縦方向に伸長させると共に、ハンドル33を操作して、下側パレット50の横幅に一致するように第1の横部材13及び第2の横部材14を横方向に伸長させる。これにより、4つの脚部15が、下側パレット50の4つの支柱52の位置に対応する位置に配置される。そして、係止孔16及び係止孔17にピンを挿入すると共に、係止孔18及び係止孔19にピンを挿入することによって、第1の縦部材11、第2の縦部材12、第1の横部材13及び第2の横部材14の長さを固定する。
【0052】
次いで、上側パレット60のサイズと一致するように上側フレーム部20のサイズが変更される。具体的には、ハンドル46を操作して、上側パレット60の縦幅に一致するように第1の縦部材21及び第2の縦部材22を縦方向に伸長させると共に、ハンドル45を操作して、上側パレット60の横幅に一致するように第1の横部材23及び第2の横部材24を横方向に伸長させる。これにより、4つの支持部25が、上側パレット60の4つの支柱62の位置に対応する位置に配置される。そして、係止孔26及び係止孔27にピンを挿入すると共に、係止孔28及び係止孔29にピンを挿入することによって、第1の縦部材21、第2の縦部材22、第1の横部材23及び第2の横部材24の長さが固定される。
【0053】
次いで、治具1がフォークリフトで持ち上げられ、下側パレット50上に配置される。より具体的には、下側フレーム部10の4つの脚部15が下側パレット50の4つの支柱52上に載置される。このとき、各脚部15の受皿15pが支柱52の上端部に嵌合することによって、下側パレット50と治具1との位置ずれが防止される。
【0054】
次いで、上側パレット60がフォークリフトを用いて持ち上げられ、治具1上に重ねられる。より具体的には、上側パレット60の4つの支柱62が、上側フレーム部20の4つの支持部25上に載置される。このとき、各支柱62の受皿64が支持部25に嵌合することによって、上側パレット60と治具1との位置ずれが防止される。これにより、
図5に示すように、治具1を介してサイズの異なる下側パレット50と上側パレット60が積み重ねられる。
【0055】
次に、一実施形態に係る治具1の作用効果について説明する。トラック等を用いた輸送時には、異なるサイズのパレットが混載されることがある。一般的に、パレットを積み重ねる場合には、上下のパレット間で支柱の位置合わせをしなければいけないので、異なるサイズのパレットを積み重ねることは困難である。したがって、積載するパレットの種類によっては、
図6に示すように、トラックTの荷台上部にスペースSPが存在していても、サイズ違いのパレットを更に積むことができず、トラックTの積載率が低下することがある。
【0056】
これに対し、以上説明した実施形態に係る治具1では、下側フレーム部10及び上側フレーム部20を個別に変化させることが可能であるので、下側フレーム部10及び上側フレーム部20のサイズを下側パレット50及び上側パレット60のサイズに合致するようにそれぞれ調整することができる。そして、このように調整された治具1を下側パレット50及び上側パレット60の間に配置することによって、異なるサイズのパレットを積み重ねることができる。したがって、トラック等の積載率を向上させることができる。
【0057】
以上、種々の実施形態に係る治具について説明してきたが、上述した実施形態に限定されることなく発明の要旨を変更しない範囲で種々の変形態様を構成可能である。例えば、
図1に示す実施形態では、第1の縦部材11,21、第2の縦部材12,22、第1の横部材13,23、及び、第2の横部材14,24が矩形の断面形状を有しているが、各部材は、円形又は多角形といった任意の断面形状を有していてもよい。
【0058】
また、上記実施形態では、補強部材37が平面視において略L字状をなしているが、上側フレーム部20が縦方向及び横方向に最も縮んだ状態のときに、上側フレーム部20の第2の縦部材22及び第2の横部材24に対して少なくとも部分的に重なるように構成されている限り、任意の形状を有していてもよい。例えば、補強部材37は、矩形板状の平面形状をなしていてもよい。
【符号の説明】
【0059】
1…治具、10…下側フレーム部、11,21…第1の縦部材、12,22…第2の縦部材、11a,12a,13a,14a,21a,22a,23a,24a…固定部材、11b,12b,13b,14b,21b,22b,23b,24b…可動部材、13,23…第1の横部材、14,24…第2の横部材、15a,15b,15c,15d…脚部、16,17,18,19,26,27,28,29…係止孔、20…上側フレーム部、25a,25b,25c,25d…支持部、36…補助脚部、37…補強部材、38…車輪。