(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-03
(45)【発行日】2023-02-13
(54)【発明の名称】検査装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/85 20060101AFI20230206BHJP
A61J 3/06 20060101ALI20230206BHJP
【FI】
G01N21/85 A
A61J3/06 R
(21)【出願番号】P 2019116139
(22)【出願日】2019-06-24
【審査請求日】2021-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100135013
【氏名又は名称】西田 隆美
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 尚充
(72)【発明者】
【氏名】中野 信行
(72)【発明者】
【氏名】西川 貴之
(72)【発明者】
【氏名】片岡 雅人
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼畑 侑弥
【審査官】井上 徹
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-079241(JP,A)
【文献】中国実用新案第206051017(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84-G01N 21/958
A61J 1/00-A61J 19/06
B07C 1/00-B07C 99/00
B65G 15/30-B65G 15/58
B65G 47/00-B65G 47/96
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象物を搬送装置で搬送しながら検査する検査装置であって、
前記検査対象物のうち検査の結果不良と判定された不良品を貯留する不良品貯留部と、
前記不良品を前記搬送装置から前記不良品貯留部へと案内する案内通路を有する案内部と、
前記案内通路の下流側の端を開放した開放姿勢と、前記案内通路の下流側の端を閉鎖した閉鎖姿勢との間で、姿勢を変更可能な開閉部材と、
前記検査装置の側面に配置され、前記搬送装置が駆動停止している場合に開くことが可能となるインターロック機構を有する扉と、
を備え、
前記扉は、前記検査装置の前記側面全体よりも小さく、かつ、前記不良品貯留部を引き出し可能な小窓部を有し、
前記搬送装置を稼働中に、前記開閉部材を前記閉鎖姿勢とした状態で、前記不良品貯留部の少なくとも一部を
前記小窓部を介して当該検査装置の外部に露出可能である、検査装置。
【請求項2】
請求項
1に記載の検査装置であって、
前記不良品貯留部が載置される載置台をさらに備える、検査装置。
【請求項3】
請求項
1または請求項
2に記載の検査装置であって、
前記不良品貯留部よりも当該不良品貯留部の引き出し方向の上流側に配置され、前記不良品貯留部と共に移動する閉塞部材をさらに備える、検査装置。
【請求項4】
請求項
3に記載の検査装置であって、
前記不良品貯留部の引き出し方向に視たときに、前記閉塞部材は、前記小窓部の窓の全域と重なる、検査装置。
【請求項5】
請求項
1または請求項
2に記載の検査装置であって、
前記開閉部材は、前記不良品貯留部の引き出し方向に垂直かつ水平な方向に延びる回動軸を中心として回動可能である、検査装置。
【請求項6】
請求項
5に記載の検査装置であって、
前記不良品貯留部よりも当該不良品貯留部の引き出し方向の上流側に配置され、前記不良品貯留部と共に移動する閉塞部材と、
前記引き出し方向に垂直かつ水平な方向に延びる回転軸を中心として回転可能に、前記閉塞部材に支持されるローラと、
を備え、
前記ローラは、前記開閉部材と接触する、検査装置。
【請求項7】
請求項1から請求項
6までのいずれか一項に記載の検査装置であって、
検査対象物である錠剤を搬送する搬送装置と、
前記錠剤の表面に印刷する印刷部と、
印刷後の前記錠剤を撮像する印刷検査カメラと、
撮像した画像に基づいて印刷結果が不良であるか否かを判定する不良品判定部と、
を備える検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、検査対象物を搬送装置で搬送しながら検査する検査装置が知られている。このような検査装置は、例えば特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1に記載の錠剤印刷装置(検査装置)は、検査対象物としての錠剤の表面に印刷を行うとともに、印刷後の錠剤を撮像して検査を行う。特許文献1に記載の錠剤印刷装置は、複数の吸着部に負圧を作用させて錠剤を吸着保持しつつ搬送する搬送機構と、錠剤の表面にインク滴を吐出する印刷部と、印刷部の下流側に配置される印刷検査カメラと、撮像した画像に基づいて回収すべき対象錠剤を決定する不良品判定部と、対象錠剤が保持される吸着部に陽圧を作用させて錠剤の吸着を解除する印刷不良品回収用ブロー機構と、印刷不良品回収用ブロー機構の下方に配置される印刷不良品回収箱とを備える。印刷不良品用ブロー機構は、対象錠剤を保持する一部の吸着部のみに対して、大気圧よりも高い陽圧を作用させて、当該吸着部に保持された対象錠剤の吸着を解除する。これにより、対象錠剤が、印刷不良品回収箱へと回収される。
【0004】
ところで、特許文献1に記載のような錠剤印刷装置においては、オペレータの安全性を向上させるために、インターロック機構を備える場合が知られている。具体的には、インターロック機構は、錠剤印刷装置の稼働中には、オペレータが装置の内部にアクセスできないように、装置側面のメンテナンス用の扉を閉鎖位置にロックする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、錠剤印刷装置を上述のようなインターロック機構を備える構成とした場合、錠剤印刷装置の稼働を停止させないと、オペレータが印刷不良品回収箱内に回収された錠剤の現物を確認できない点で、不利であった。すなわち、錠剤印刷装置の稼働中にも、オペレータが印刷不良品回収箱内を確認できるようにしたいというニーズがあった。
【0007】
本発明は、以上の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、装置の稼働中に、オペレータが不良品の状態を、現物を見て確認できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0009】
本願の第1の観点では、検査対象物を搬送装置で搬送しながら検査する検査装置が提供される。この検査装置は、不良品貯留部と、案内部と、開閉部材と、前記検査装置の側面に配置され、前記搬送装置が駆動停止している場合に開くことが可能となるインターロック機構を有する扉と、を備える。前記不良品貯留部は、前記検査対象物のうち検査の結果不良と判定された不良品を貯留する。前記案内部は、前記不良品を前記搬送装置から前記不良品貯留部へと案内する案内通路を有する。前記開閉部材は、前記案内通路の下流側の端を開放した開放姿勢と、前記案内通路の下流側の端を閉鎖した閉鎖姿勢との間で、姿勢を変更可能である。この検査装置においては、前記扉は、前記検査装置の前記側面全体よりも小さく、かつ、前記不良品貯留部を引き出し可能な小窓部を有し、前記搬送装置を稼働中に、前記開閉部材を前記閉鎖姿勢とした状態で、前記不良品貯留部の少なくとも一部を前記小窓部を介して当該検査装置の外部に露出可能である。
【0012】
本願の第2の観点では、第1の観点に係る検査装置において、前記不良品貯留部が載置される載置台をさらに備える。
【0013】
本願の第3の観点では、第1の観点または第2の観点に係る検査装置において、前記不良品貯留部よりも当該不良品貯留部の引き出し方向の上流側に配置され、前記不良品貯留部と共に移動する閉塞部材をさらに備える。
【0014】
本願の第4の観点では、第3の観点に係る検査装置において、前記不良品貯留部の引き出し方向に視たときに、前記閉塞部材は、前記小窓部の窓の全域と重なる。
【0015】
本願の第5の観点では、第1の観点または第2の観点に係る検査装置において、前記開閉部材は、前記不良品貯留部の引き出し方向に垂直かつ水平な方向に延びる回動軸を中心として回動可能である。
【0016】
本願の第6の観点では、第5の観点に係る検査装置において、閉塞部材と、ローラとを備える。前記閉塞部材は、前記不良品貯留部よりも当該不良品貯留部の引き出し方向の上流側に配置され、前記不良品貯留部と共に移動する。前記ローラは、前記引き出し方向に垂直かつ水平な方向に延びる回転軸を中心として回転可能に、前記閉塞部材に支持される。前記ローラは、前記開閉部材と接触する。
【0017】
本願の第7の観点では、第1の観点から第6の観点のいずれか1つに係る検査装置において、搬送装置と、印刷部と、印刷検査カメラと、不良品判定部とを備える。前記搬送装置は、検査対象物である錠剤を搬送する。前記印刷部は、前記錠剤の表面に印刷する。前記印刷検査カメラは、印刷後の前記錠剤を撮像する。前記不良品判定部は、撮像した画像に基づいて印刷結果が不良であるか否かを判定する。
【発明の効果】
【0018】
本願の第1の観点~第7の観点によれば、装置の稼働中に、オペレータが不良品の状態を、現物を見て確認できる。
【0019】
特に、本願の第1の観点によれば、搬送装置を稼働中に、開閉部材により不良品を案内部内で受け止めながら、不良品貯留部の少なくとも一部を装置外部に露出させることができる。よって、装置の稼働中に、オペレータが不良品の状態を、現物を見て確認可能である。
【0020】
特に、本願の第1の観点によれば、オペレータが不良品を装置外部に取り出すことが容易となる。
【0021】
特に、本願の第1の観点によれば、オペレータが、検査装置の側面の小窓部を開けることにより、不良品貯留部に容易にかつ安全にアクセスすることができる。
【0022】
特に、本願の第2の観点によれば、例えば不良品貯留部が複数ある場合に、複数の不良品貯留部を載置台と共に一挙に引き出すことができ、操作性が向上する。
【0023】
特に、本願の第3の観点によれば、不良品貯留部の引き出し方向の上流側に閉塞部材が配置されることにより、不良品貯留部の引き出し時にオペレータが搬送装置にアクセスしてしまうのを防止できる。
【0024】
特に、本願の第4の観点によれば、不良品貯留部の引き出し時にオペレータが搬送装置にアクセスしてしまうのをより効果的に防止できる。
【0025】
特に、本願の第5の観点によれば、不良品貯留部の引き出し動作と、開閉部材の姿勢変更とを連動させることが容易となる。
【0026】
特に、本願の第6の観点によれば、不良品貯留部および閉塞部材を一体的に引き出すことにより、ローラを開閉部材に作用させて、開閉部材を開放姿勢から閉鎖姿勢へと切り替えることができる。
【0027】
特に、本願の第7の観点によれば、錠剤に印刷処理を行いながら、オペレータが、不良と判定されて不良品貯留部に回収された錠剤の状態を、現物を見て確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図2】錠剤印刷装置の搬送ドラム付近の斜視図である。
【
図3】錠剤印刷装置の第2搬送コンベア付近の構成を示した図である。
【
図5】錠剤印刷装置内の各部と制御部との接続を示したブロック図である。
【
図6】錠剤印刷装置の幅方向の一方側の側面の構成を示した図である。
【
図8】不良品回収部を、
図7のA-A線で切った断面を示す図であり、不良品貯留部を引き出す前の様子を示している。
【
図9】不良品回収部を、
図7のA-A線で切った断面を示す図であり、不良品貯留部を引き出したときの様子を示している。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明においては、複数の錠剤が搬送される方向を「搬送方向」と称し、搬送方向に対して垂直かつ水平な方向を「幅方向」と称する。
【0030】
<1.錠剤印刷装置の全体構成>
図1は、本発明に係る検査装置の一実施形態である錠剤印刷装置1の構成を示した図である。この錠剤印刷装置1は、本発明に係る検査対象物の一実施形態である複数の錠剤9を搬送しながら、各錠剤9の表面に、製品名、製品コード、会社名、ロゴマーク等の画像を印刷する装置である。
【0031】
図1に示すように、本実施形態の錠剤印刷装置1は、供給機構20、搬送機構30、印刷部40、検査機構50、回収部60および制御部10を有する。
【0032】
供給機構20は、ホッパー21、直進フィーダ22、回転フィーダ23および傾斜フィーダ24を有する。供給機構20は、装置内に投入された錠剤9を、搬送機構30へ受け渡すための機構である。
【0033】
ホッパー21は、多数の錠剤9を一括して装置内に受け入れるための投入部である。ホッパー21は、錠剤印刷装置1の筐体100の最上部に配置されている。ホッパー21は、筐体100の上面に位置する開口部211と、下方へ向かうにつれて徐々に収束する漏斗状の傾斜面212とを有する。開口部211へ投入された複数の錠剤9は、傾斜面212に沿って直進フィーダ22へ流れ込む。
【0034】
直進フィーダ22、回転フィーダ23および傾斜フィーダ24は、ホッパー21へ投入された複数の錠剤9を、搬送機構30まで搬送する機構である。直進フィーダ22は、平板状の振動トラフ221を有する。ホッパー21から振動トラフ221に供給された複数の錠剤9は、振動トラフ221の振動によって、回転フィーダ23側へ搬送される。
【0035】
回転フィーダ23は、円板状の回転台231を有する。振動トラフ221から回転台231の上面に落下した複数の錠剤9は、回転台231の回転による遠心力で、回転台231の外周部付近へ集まる。
【0036】
傾斜フィーダ24は、回転台231の外周部から搬送機構30の後述する搬送ドラム31まで、斜め下向きに延びる板状のスロープ241を有する。
図2は、傾斜フィーダ24の一部、搬送ドラム31および第1搬送コンベア32の一部を含む斜視図である。
図2に示すように、スロープ241の上面には、複数(
図2の例では8本)の搬送溝242が設けられている。回転台231の外周部へ搬送された複数の錠剤9は、それぞれ、複数の搬送溝242のいずれか1つに供給され、搬送溝242に沿って斜め下向きに流れ落ちる。このように、複数の錠剤9は、複数の搬送溝242に分散供給されることによって、複数の搬送列に整列される。そして、各搬送列の複数の錠剤9が、先頭のものから順に搬送ドラム31へ供給される。
【0037】
搬送機構30は、搬送ドラム31、第1搬送コンベア(搬送装置)32、第2搬送コンベア(搬送装置)33および搬出コンベア34を有する。
【0038】
搬送ドラム31は、傾斜フィーダ24から第1搬送コンベア32へ、複数の錠剤9を受け渡す機構である。搬送ドラム31は、略円筒形状の外周面を有する。搬送ドラム31は、図示を省略したモータから得られる動力により、幅方向に延びる回転軸を中心として、
図1および
図2中の矢印の方向へ回転する。
図2に示すように、搬送ドラム31の外周面には、搬送方向および幅方向に略等間隔に配置された複数の吸着部310が設けられている。複数の吸着部310は、傾斜フィーダ24の搬送溝242の各々に対応する幅方向位置において、搬送ドラム31の外周面に配列されている。
【0039】
吸着部310はそれぞれ、搬送ドラム31の表面に設けられた貫通孔である。
図3は、搬送ドラム31、第1搬送コンベア32の一部および第2搬送コンベア33の構成を示す部分概略図である。
図3に示すように、搬送ドラム31の内部には、吸引機構311が設けられている。吸引機構311を動作させると、複数の吸着部310のそれぞれに、大気圧よりも低い負圧が生じる。吸着部310は、当該負圧によって、傾斜フィーダ24から供給される錠剤9を、1つずつ吸着保持する。
【0040】
また、搬送ドラム31の内部には、解除用ブロー機構312が設けられている。解除用ブロー機構312は、搬送ドラム31の内側から第1搬送コンベア32側へ向けて、局所的に加圧された気体を吹き付ける。解除用ブロー機構312は、第1搬送コンベア32に対向する位置に配置された吸着部310に、大気圧よりも高い陽圧を作用させて、当該吸着部310における錠剤9の吸着を解除する。
【0041】
これにより、第1搬送コンベア32に対向しない位置に配置された吸着部310においては、錠剤9の吸着状態を維持しつつ、第1搬送コンベア32に対向する吸着部310のみにおいて、錠剤9の吸着が解除される。搬送ドラム31は、このように、傾斜フィーダ24から供給される複数の錠剤9を吸着保持しつつ回転し、それらの錠剤9を、第1搬送コンベア32へ受け渡す。
【0042】
ここで、錠剤9が搬送ドラム31に吸着保持されている間に吸着部310により吸着される面を、第1面と称する。一方、第1面と反対側の面を第2面と称する。すなわち、錠剤9が搬送ドラム31に吸着保持されている間に外部に露出する面を、第2面と称する。搬送ドラム31から第1搬送コンベア32に錠剤9が引き渡される際、錠剤9の第2面が第1搬送コンベア32に対向する。このため、錠剤9の第2面が第1搬送コンベア32に吸着される。したがって、第1搬送コンベア32に吸着保持されている間、錠剤9の第1面が外部に露出する。このように、搬送ドラム31に吸着保持されている間と、第1搬送コンベア32に吸着保持されている間とで、錠剤9の表裏が反転されている。
【0043】
第1搬送コンベア32は、一対のプーリ321と、搬送ベルト322と、吸引機構323とを有する。搬送ベルト322は、一対のプーリ321の間に、環状に掛け渡されている。搬送ベルト322の一部分が、搬送ドラム31の外周面に近接して対向するように配置される。一対のプーリ321の一方は、図示を省略したモータから得られる動力で回転する。これにより、搬送ベルト322が、
図1および
図2の矢印の方向へ回動する。このとき、一対のプーリ321の他方は、搬送ベルト322の回動に伴い従動回転する。
【0044】
また、
図2に示すように、搬送ベルト322には、複数の吸着部320が設けられている。複数の吸着部320は、搬送ドラム31の吸着部310と同様、搬送ベルト322の表面に設けられた貫通孔である。複数の吸着部320は、複数の搬送列の各々に対応する幅方向位置において、搬送方向に配列されている。搬送ベルト322における複数の吸着部320の搬送方向および幅方向の間隔は、搬送ドラム31における複数の吸着部310の搬送方向および幅方向の間隔と等しい。
【0045】
図3に示すように、第1搬送コンベア32は、吸引機構323を有する。吸引機構323は、プーリ321および搬送ベルト322の内側の空間に負圧を生じさせる。吸引機構323を動作させると、複数の吸着部320のそれぞれに、大気圧よりも低い負圧が生じる。吸着部320は、当該負圧によって、搬送ドラム31から引き渡された錠剤9を、1つずつ吸着保持する。これにより、第1搬送コンベア32は、複数の錠剤9を、搬送方向および幅方向に整列された状態で搬送する。
【0046】
また、第1搬送コンベア32には、
図3中に示す解除用ブロー機構324が設けられている。解除用ブロー機構324は、搬送ベルト322の内側から第2搬送コンベア33側へ向けて、局所的に加圧された気体を吹き付ける。解除用ブロー機構324は、第2搬送コンベア33に対向する位置に配置された吸着部320に、大気圧よりも高い陽圧を作用させて、当該吸着部320における錠剤9の吸着を解除する。これにより、当該吸着部320における錠剤9の吸着が解除され、第1搬送コンベア32から第2搬送コンベア33へ、錠剤9が受け渡される。
【0047】
ここで、錠剤9が第1搬送コンベア32に吸着保持されている間、錠剤9の第2面が吸着部320に吸着され、錠剤9の第1面が外部に露出している。第1搬送コンベア32から第2搬送コンベア33に錠剤9が引き渡される際、錠剤9の第1面が第2搬送コンベア33に対向する。このため、錠剤9の第1面が第2搬送コンベア33に吸着される。したがって、第2搬送コンベア33に吸着保持されている間、錠剤9の第2面が外部に露出する。このように、第1搬送コンベア32に吸着保持されている間と、第2搬送コンベア33に吸着保持されている間とで、錠剤9の表裏が反転されている。
【0048】
第2搬送コンベア33は、一対のプーリ331と、複数の吸着部330を有する搬送ベルト332と、吸引機構333とを有する。第2搬送コンベア33の一対のプーリ331、搬送ベルト332および吸引機構333は、第1搬送コンベア32の一対のプーリ321、搬送ベルト322および吸引機構323と同等の構成であるため、説明を省略する。
【0049】
図3に示すように、第2搬送コンベア33には、排出用ブロー機構334が設けられている。排出用ブロー機構334の下方には、第2搬送コンベア33と搬出コンベア34とを接続するシュート341が配置されている。排出用ブロー機構334は、搬送ベルト332の内側からシュート341側へ向けて、局所的に加圧された気体を吹き付ける。排出用ブロー機構334は、シュート341に対向する所定の位置に配置された吸着部330の全てに、大気圧よりも高い陽圧を作用させて、当該吸着部330における錠剤9の吸着を解除する。これにより、当該吸着部330における錠剤9の吸着が解除され、第2搬送コンベア33から搬出コンベア34へ、錠剤9が受け渡される。
【0050】
搬出コンベア34は、印刷後の複数の錠剤9を、錠剤印刷装置1の筐体100の外部へ搬出する機構である。搬出コンベア34の上流側の端部は、シュート341の下方に位置する。搬出コンベア34の下流側の端部は、筐体100の外部に位置する。搬出コンベア34の下流側の端部は、例えば、印刷処理後の錠剤9を包装する包装装置と接続される。搬出コンベア34には、例えば、ベルト搬送機構が用いられる。第2搬送コンベア33から搬出コンベア34へ受け渡された複数の錠剤9は、搬出コンベア34によって、筐体100の外部へ搬出される。
【0051】
印刷部40は、第1印刷部41と、第2印刷部42とを有する。
【0052】
第1印刷部41は、錠剤9の第1面に画像を印刷するための処理部である。第1印刷部41は、第1搬送コンベア32の搬送ベルト322の外表面に対向する位置に配置されている。
図1に示すように、第1印刷部41は、4つのヘッド411を有する、インクジェット方式のヘッドユニットである。4つのヘッド411はそれぞれ、第1搬送コンベア32により搬送される錠剤9の第1面に向けてインク滴を吐出する。なお、4つのヘッド411は、互いに異なる色(例えば、シアン、マゼンタ、イエローおよびブラックの各色)のインク滴を吐出する。これらの各色により形成される単色画像の重ね合わせによって、錠剤9の表面に、多色画像が記録される。なお、各ヘッド411から吐出されるインクには、日本薬局方、食品衛生法等で認可された原料により製造された可食性インクが使用される。
【0053】
図4は、1つのヘッド411の下面図である。
図4には、搬送ベルト322と、搬送ベルト322に保持された複数の錠剤9とが、二点鎖線で示されている。
図4中に拡大して示したように、ヘッド411の下面には、インク滴を吐出可能な複数のノズル410が設けられている。本実施形態では、ヘッド411の下面に、複数のノズル410が、搬送方向および幅方向に二次元的に配列されている。各ノズル410は、幅方向に位置をずらして配列されている。このように、複数のノズル410を二次元的に配置すれば、各ノズル410の幅方向の位置を、互いに接近させることができる。ただし、複数のノズル410は、幅方向に沿って一列に配列されていてもよい。
【0054】
ノズル410からのインク滴の吐出方式には、例えば、圧電素子であるピエゾ素子に電圧を加えて変形させることにより、ノズル410内のインクを加圧して吐出させる、いわゆるピエゾ方式が用いられる。本実施形態のヘッド411は、ピエゾ素子に加える電圧の大きさによって、ノズル410から吐出されるインク滴のサイズを切り替えることができる。具体的には、最も微細なインク滴である「サイズ1」から最も大きいインク滴である「サイズ4」までの4種類のインク滴のうち、任意のインク滴を吐出することができる。ただし、吐出可能なインク滴のサイズは、2~3種類であってもよく、5種類以上であってもよい。また、インク滴の吐出方式は、ヒータに通電してノズル410内のインクを加熱膨張させることにより吐出する、いわゆるサーマル方式であってもよい。
【0055】
第2印刷部42は、錠剤9の第2面に画像を印刷するための処理部である。第2印刷部42は、第2搬送コンベア33の搬送ベルト332の外表面に対向する位置に配置されている。第2印刷部42は、4つのヘッド421を有する、インクジェット方式のヘッドユニットである。第2印刷部42の構成は、第1印刷部41と同等であるため、説明を省略する。
【0056】
検査機構50は、
図1に示すように、第1外観検査カメラ51と、第2外観検査カメラ52と、第1印刷検査カメラ53と、第3外観検査カメラ54と、第2印刷検査カメラ55とを有する。
【0057】
第1外観検査カメラ51は、搬送ドラム31により搬送される錠剤9の第2面を撮影するカメラである。
【0058】
第2外観検査カメラ52は、第1印刷部41の上流側において、第1搬送コンベア32により搬送される錠剤9の第1面を撮影するカメラである。第1印刷検査カメラ53は、第1印刷部41の下流側において、第1搬送コンベア32により搬送される錠剤9の第1面を撮影するカメラである。
【0059】
第3外観検査カメラ54は、第2印刷部42の上流側において、第2搬送コンベア33により搬送される錠剤9の第2面を撮影するカメラである。第2印刷検査カメラ55は、第2印刷部42の下流側において、第2搬送コンベア33により搬送される錠剤9の第2面を撮影するカメラである。
【0060】
回収部60は、印刷不良品回収部61と、外観不良品回収部62と、排出センサ63と、後回収部64とを有する。
【0061】
印刷不良品回収部61は、印刷不良品回収用ブロー機構611と、印刷不良品回収箱612とを有する。印刷不良品回収箱612は、本発明に係る不良品貯留部の一実施形態である。印刷不良品回収用ブロー機構611は、第2印刷検査カメラ55の下流側に配置される。印刷不良品回収用ブロー機構611の下方には、印刷不良品回収箱612が配置されている。印刷不良品回収用ブロー機構611は、搬送ベルト332の内側から印刷不良品回収箱612側へ向けて、局所的に加圧された気体を吹き付ける。印刷不良品回収用ブロー機構611は、印刷検査カメラ53,55の撮影画像に基づいて制御部10が印刷不良品と判定した対象錠剤を保持する一部の吸着部330のみに対して、大気圧よりも高い陽圧を作用させて、当該吸着部330に保持された不良品としての対象錠剤の吸着を解除する。これにより、対象錠剤が、印刷不良品回収箱612へと回収される。
【0062】
外観不良品回収部62は、外観不良品回収用ブロー機構621と、外観不良品回収箱622とを有する。外観不良品回収箱622は、本発明に係る不良品貯留部の一実施形態である。外観不良品回収用ブロー機構621は、印刷不良品回収部61の下流側に配置される。外観不良品回収用ブロー機構621の下方には、外観不良品回収箱622が配置されている。外観不良品回収用ブロー機構621は、搬送ベルト332の内側から外観不良品回収箱622へ向けて、局所的に加圧された気体を吹き付ける。外観不良品回収用ブロー機構621は、外観検査カメラ51,52,54の撮影画像に基づいて制御部10が外観不良品と判定した対象錠剤を保持する一部の吸着部330のみに対して、大気圧よりも高い陽圧を作用させて、当該吸着部330に保持された不良品としての対象錠剤の吸着を解除する。これにより、対象錠剤が、外観不良品回収箱622へと回収される。
【0063】
なお、本実施形態では、印刷不良品回収部61が外観不良品回収部62の上流側に配置されたが、本発明はこれに限られない。外観不良品回収部62が印刷不良品回収部61よりも上流側に配置されてもよい。
【0064】
また、本実施形態では、錠剤印刷装置1が印刷不良品回収用ブロー機構611と外観不良品回収用ブロー機構621という2つの不良品回収用ブロー機構を有していたが、本発明はこれに限られない。本発明の錠剤印刷装置は、一括して不良品を回収するための単一の不良品回収用ブロー機構および不良品貯留部を有してもよいし、その他の種類の不良品を回収する他のブロー機構を含む3つ以上の不良品回収用ブロー機構および不良品貯留部を有してもよい。
【0065】
排出センサ63は、印刷不良品回収部61および外観不良品回収部62の下流側に配置される。排出センサ63は、レーザを吸着部330に照射し、その反射光を検出して物体との距離を検出するセンサである。排出センサ63は、反射距離を検出することにより、各吸着部330に錠剤9が保持されているか否かを検出できる。
【0066】
後回収部64は、印刷不良品回収部61および外観不良品回収部62の下流側に位置する。後回収部64は、後回収用ブロー機構641と、後回収箱642とを有する。後回収用ブロー機構641は、排出センサ63の下流側に配置される。後回収用ブロー機構641の下方には、後回収箱642が配置されている。後回収用ブロー機構641は、搬送ベルト332の内側から後回収箱642へ向けて、局所的に加圧された気体を吹き付ける。後回収用ブロー機構は、排出センサ63の検出結果に基づいて制御部10から指定された残留錠剤を保持する所定の吸着部330のみに対して、大気圧よりも高い陽圧を作用させて、当該吸着部330に保持された当該錠剤9の吸着を解除する。これにより、当該錠剤9が、後回収箱642へと回収される。
【0067】
制御部10は、錠剤印刷装置1内の各部を動作制御するための手段である。
図5は、制御部10と、錠剤印刷装置1内の各部との接続を示したブロック図である。
図1中に概念的に示したように、制御部10は、CPU等の演算処理部101、RAM等のメモリ102、および、ハードディスクドライブ等の記憶部103を有するコンピュータにより構成される。記憶部103内には、印刷処理を実行するためのコンピュータプログラムPが、インストールされている。
【0068】
図5に示すように、制御部10は、直進フィーダ22、回転フィーダ23、搬送ドラム31(モータ、吸引機構311、解除用ブロー機構312を含む)、第1搬送コンベア32(モータ、吸引機構323、解除用ブロー機構324を含む)、第2搬送コンベア33(モータ、吸引機構333、排出用ブロー機構334を含む)、搬出コンベア34、第1印刷部41の4つのヘッド411、第2印刷部42の4つのヘッド421、第1外観検査カメラ51、第2外観検査カメラ52、第1印刷検査カメラ53、第3外観検査カメラ54、第2印刷検査カメラ55、印刷不良品回収用ブロー機構611、外観不良品回収用ブロー機構621、排出センサ63、および、後回収用ブロー機構641と、それぞれ通信可能に接続されている。
【0069】
制御部10は、記憶部103に記憶されたコンピュータプログラムPやデータをメモリ102に一時的に読み出し、当該コンピュータプログラムPに基づいて、演算処理部101が演算処理を行うことにより、上記の各部を動作制御する。これにより、複数の錠剤9に対する印刷処理および検査処理が進行する。
【0070】
すなわち、制御部10は、概念的には、外観判定部および印刷品質判定部を有する。外観判定部および印刷品質判定部は、本発明に係る不良品判定部の一実施形態である。外観判定部および印刷品質判定部は、カメラ51~55の撮像した画像に基づいて、不良品としての対象錠剤を決定する。
【0071】
図6は、錠剤印刷装置1の側面図である。
図6に示すように、本実施形態の錠剤印刷装置1は、筐体100の幅方向の一方側の側面に、開閉可能な扉105を有する。扉105は、インターロック機構を備える。具体的には、直進フィーダ22、回転フィーダ23、搬送ドラム31(モータ、吸引機構311、解除用ブロー機構312を含む)、第1搬送コンベア32(モータ、吸引機構323、解除用ブロー機構324を含む)、第2搬送コンベア33(モータ、吸引機構333、排出用ブロー機構334を含む)、および搬出コンベア34が駆動停止している場合に限り、オペレータが扉105を開くことが可能となっている。これにより、安全性が高められている。
【0072】
錠剤印刷装置1が上述のようなインターロック機構を備えているため、一般的には、錠剤印刷装置の稼働を停止させないと、オペレータが不良品回収箱内に回収された錠剤の現物を確認できない。しかしながら、錠剤印刷装置の稼働中にも、オペレータが不良品回収箱内を確認できるようにしたいというニーズがあった。この点、本実施形態の錠剤印刷装置1は、安全性を犠牲にすることなく、錠剤印刷装置の稼働中にも、オペレータが不良品回収箱内を確認可能とするための、特有の構成を有している。
【0073】
<2.印刷不良品回収部および外観不良品回収部の詳細な構成>
以下では、本願に特有の、印刷不良品回収部61および外観不良品回収部62のより詳細な構成について、
図7から
図9までを参照して説明する。
図7は、印刷不良品回収部61および外観不良品回収部62の側面図である。
図8は、回収部を
図7のA-A線に沿って切った断面を示す図であり、印刷不良品回収部61および外観不良品回収部62を引き出す前の様子を示している。
図9は、回収部を
図7のA-A線で切った断面を示す図であり、印刷不良品回収部61および外観不良品回収部62を引き出したときの様子を示している。
【0074】
図7~
図9に示すように、印刷不良品回収部61は、上述の印刷不良品回収用ブロー機構611と、印刷不良品回収箱612の他に、案内部613と、開閉部材614とを有する。
【0075】
案内部613は、不良品としての対象錠剤を第2搬送コンベア33から印刷不良品回収箱612へと案内する案内通路を有する。案内部613は、いわゆるシュートである。案内部613に供給された対象錠剤は、自重により案内通路内を鉛直方向へと落下する。
【0076】
開閉部材614は、案内部613のすぐ下方に位置する。開閉部材614は、幅方向に対して垂直かつ水平な方向に延びる回動軸を中心として回動可能に、案内部613の下端に支持される。開閉部材614は、回動することにより、案内部613の案内通路の下流側の端を開放した開放姿勢と、当該案内通路の下流側の端を閉鎖した閉鎖姿勢との間で、姿勢を変更可能である。
図7および
図8に示すように、開閉部材614に外力が加わっていない状態においては、開閉部材614は、自重により、開放姿勢に保たれる。
【0077】
また、
図7~
図9に示すように、外観不良品回収部62は、上述の外観不良品回収用ブロー機構621と、外観不良品回収箱622との他に、案内部623と、開閉部材624とを有する。
【0078】
案内部623の構成・機能は、案内部613と同様であるため、詳細な説明を省略する。また、開閉部材624の構成・機能は、開閉部材614と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0079】
図7および
図8に示すように、案内部613の下方には、印刷不良品回収箱612が位置する。また、案内部623の下方には、外観不良品回収箱622が位置する。
【0080】
印刷不良品回収箱612および外観不良品回収箱622は、載置台650に載置される。載置台650は、平面状であり、水平に広がる。載置台650は、オペレータによって、印刷不良品回収箱612および外観不良品回収箱622と共に、筐体100に対して引き出し方向に引き出し可能である。この引き出し方向は、幅方向に一致する。載置台650の手前には、オペレータが把持するためのハンドル650aが設けられる。
【0081】
載置台650の、印刷不良品回収箱612および外観不良品回収箱622が配置されるスペースよりも奥側には、
図8および
図9に示す閉塞部材660が位置する。別の言い方をすれば、閉塞部材660は、印刷不良品回収箱612および外観不良品回収箱622よりも引き出し方向の上流側に位置する。閉塞部材660は、幅方向に対して垂直に広がる平面状である。閉塞部材660の下端は、載置台650に対して固定されている。そのため、載置台650が引き出されたとき、閉塞部材660は、印刷不良品回収箱612および外観不良品回収箱622と共に引き出される。
【0082】
図6、
図8および
図9に示すように、錠剤印刷装置1の筐体100の扉105は、小窓部107を有する。小窓部107は、鉛直方向に延びる軸を中心にして、回動可能である。小窓部107は、筐体100の側面の、印刷不良品回収箱612、外観不良品回収箱622および載置台650に対向する位置に設けられる。小窓部107の開口は、若干の隙間を有しつつ印刷不良品回収箱612、外観不良品回収箱622および載置台650を通過させることが可能な程度の大きさとされる。
【0083】
小窓部107を引き出し方向に視たとき、閉塞部材660は、小窓部107の開口の全域と重なっている。より詳細には、閉塞部材660は、幅方向に視たとき、小窓部107の開口から外方にはみ出て配置されている。したがって、載置台650と共に印刷不良品回収箱612および外観不良品回収箱622を引き出し方向に引き出したとき、閉塞部材660が小窓部107の窓に接近し、当該窓が閉塞部材660により略塞がれる。これにより、オペレータが閉塞部材660よりも引き出し方向の上流側に配置される搬送コンベア32,33等にアクセスしてしまうことが阻止される。
【0084】
図8および
図9に示すように、閉塞部材660は、引き出し方向の上流側に延びるステー660aを有する。ステー660aは、印刷不良品回収箱612に対応する位置と、外観不良品回収箱622に対応する位置とに、搬送方向に間隔をあけて一対に設けられる。一対のステー660aには、ローラ661,662が回転可能に支持される。ローラ661,662は、引き出し方向に垂直かつ水平な方向に延びる回転軸を中心として回転可能である。ローラ661,662は、引き出し方向の上流側と下流側とに幅方向に並んで設けられる。別の言い方をすれば、ローラ661,662の回転軸は、開閉部材614,624の回動軸と、互いに平行である。閉塞部材660が引き出し方向に移動したとき、ローラ661,662は開閉部材614,624と接触可能である。
【0085】
以上のような構成の錠剤印刷装置1において、小窓部107には、インターロック機構は備えられていない。そのため、オペレータは、錠剤印刷装置1を稼働させながら、小窓部107の扉を開く操作をすることができる。小窓部107の扉を開くと、オペレータは、載置台650のハンドル650aを把持して、手動により、載置台650と印刷不良品回収箱612と外観不良品回収箱622と閉塞部材660とを一体として、引き出し方向に引き出すことができる。
【0086】
オペレータが、載置台650と印刷不良品回収箱612と外観不良品回収箱622と閉塞部材660とを、引き出し方向に引き出す過程で、ローラ661,662が、開放姿勢の開閉部材614,624に接触する。これにより、開閉部材614,624が回動軸を中心として回動して、閉鎖姿勢となる(
図9を参照)。そのため、印刷不良品回収箱612および外観不良品回収箱622を引き出しているときに、仮に案内部613,623に対象錠剤が供給されても、当該対象錠剤は開閉部材614,624により下方から受け止められる。よって、錠剤印刷装置1の稼働中に、オペレータが印刷不良品回収箱612および外観不良品回収箱622の中の錠剤9を確認しても、他の錠剤9が不良品回収箱612,622の外部へと溢れてしまう虞が少ない。
【0087】
なお、印刷不良品回収箱612および外観不良品回収箱622の中を確認した後に、オペレータが、引き出した載置台650と印刷不良品回収箱612と外観不良品回収箱622と閉塞部材660とを、元の位置(引き出し前の位置)にまで戻すと、ローラ661,662が開閉部材614,624に接触しなくなる。これにより、開閉部材614,624は、自重に従って開放姿勢に戻る(
図8を参照)。こうして、再び、案内部613,623の案内通路を通る錠剤9が、回収箱612,622に回収される状態となる。
【0088】
<3.まとめ>
以上に示したように、本実施形態に係る錠剤印刷装置(検査装置)1は、印刷不良品回収部(不良品貯留部)61および外観不良品回収部(不良品貯留部)62と、案内部613,623と、開閉部材614,624とを備える。この錠剤印刷装置1においては、第1搬送コンベア(搬送装置)32および第2搬送コンベア(搬送装置)33を稼働中に、開閉部材614,624を閉鎖姿勢とした状態で、印刷不良品回収部61および外観不良品回収部62の少なくとも一部を錠剤印刷装置1の外部に露出可能である(
図9を参照)。これにより第1搬送コンベア32および第2搬送コンベア33を稼働中に、開閉部材614,624により対象錠剤(不良品)を案内部613,623内で受け止めながら、印刷不良品回収部61および外観不良品回収部62の少なくとも一部を装置外部に露出させることができる。よって、錠剤印刷装置1の稼働中に、オペレータが不良品の状態を、現物を見て確認可能である。
【0089】
また、本実施形態に係る錠剤印刷装置1においては、印刷不良品回収部61および外観不良品回収部62は、錠剤印刷装置1の外部に引き出し可能である。これにより、オペレータが不良品を装置外部に取り出すことが容易となる。
【0090】
また、本実施形態に係る錠剤印刷装置1の幅方向の一方側の側面は、側面全体よりも小さく、かつ、印刷不良品回収部61および外観不良品回収部62を引き出し可能な小窓部107を備える(
図6を参照)。これにより、オペレータが、錠剤印刷装置1の側面の小窓部107を開けることにより、印刷不良品回収部61および外観不良品回収部62に容易にかつ安全にアクセスすることができる。
【0091】
また、本実施形態に係る錠剤印刷装置1は、印刷不良品回収部61および外観不良品回収部62が載置される載置台650をさらに備える。これにより、複数の不良品貯留部である印刷不良品回収部61および外観不良品回収部62を、載置台650と共に一挙に引き出すことができ、操作性が向上する。
【0092】
また、本実施形態に係る錠剤印刷装置1は、印刷不良品回収部61および外観不良品回収部62よりも引き出し方向の上流側に配置され、印刷不良品回収部61および外観不良品回収部62と共に移動する閉塞部材660をさらに備える。このように、印刷不良品回収部61および外観不良品回収部62の引き出し方向の上流側に閉塞部材660が配置されることにより、印刷不良品回収部61および外観不良品回収部62の引き出し時にオペレータが第1搬送コンベア32および第2搬送コンベア33にアクセスしてしまうのを防止できる。
【0093】
また、本実施形態に係る錠剤印刷装置1においては、印刷不良品回収部61および外観不良品回収部62の引き出し方向に視たときに、閉塞部材660は、小窓部107の窓の全域と重なる。これにより、印刷不良品回収部61および外観不良品回収部62の引き出し時にオペレータが第1搬送コンベア32および第2搬送コンベア33にアクセスしてしまうのをより効果的に防止できる。
【0094】
また、本実施形態に係る錠剤印刷装置1においては、開閉部材614,624は、搬送方向に延びる回動軸を中心として回動可能である。これにより、印刷不良品回収部61および外観不良品回収部62の引き出し動作と、開閉部材614,624の姿勢変更とを連動させることが容易となる。
【0095】
さらに、本実施形態に係る錠剤印刷装置1は、ローラ661,662を備える。ローラ661,662は、搬送方向に延びる回転軸を中心として回転可能に、閉塞部材660に支持される。ローラ661,662は、開閉部材614,624と接触可能である。これにより、印刷不良品回収部61および外観不良品回収部62並びに閉塞部材660を一体的に引き出すことにより、ローラ661,662を開閉部材614,624に作用させて、開閉部材614,624を開放姿勢から閉鎖姿勢へと切り替えることができる。
【0096】
<4.変形例について>
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、上述したものに対し種々の変更を行うことが可能である。
【0097】
上記の錠剤印刷装置1は、第1印刷部41および第2印刷部42によって、錠剤9の両面に印刷を行うものであった。しかしながら、検査装置は、検査対象物の片面のみに印刷を行う装置であってもよい。
【0098】
また、上記の錠剤印刷装置1では、印刷不良品と外観不良品とをそれぞれ異なる回収部61,62で回収している。このようにすれば、錠剤印刷装置1に供給された錠剤9に不良が生じたのか、あるいは、錠剤印刷装置1において錠剤9に不良が生じたのかを判別し易い。しかしながら、これに限定されるものではなく、印刷不良品と外観不良品とを単一の回収部で回収してもよい。
【0099】
本発明における「検査対象物」は、上記実施形態で示したような表面と裏面とを有する薄い円板状の錠剤であってもよく、あるいはオーバル錠等であってもよい。また、「検査対象物」は、医薬品としての錠剤に限らず、サプリメント等の健康食品としての錠剤や、ラムネ等の錠菓であってもよい。さらに言えば、本発明における「検査対象物」は、錠剤に限らず、公知の様々な製造物に適用可能である。
【0100】
また、上記の実施形態や変形例に登場した各要素を、矛盾が生じない範囲で、適宜に組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0101】
1 錠剤印刷装置(検査装置)
9 錠剤
10 制御部
20 供給機構
30 搬送機構
31 搬送ドラム
32 第1搬送コンベア(搬送装置)
33 第2搬送コンベア(搬送装置)
34 搬出コンベア
40 印刷部
41 第1印刷部
42 第2印刷部
50 検査機構
51 第1外観検査カメラ
52 第2外観検査カメラ
53 第1印刷検査カメラ
54 第3外観検査カメラ
55 第2印刷検査カメラ
60 回収部
61 印刷不良品回収部
62 外観不良品回収部
100 筐体
105 扉
107 小窓部
310 吸着部
330 吸着部
611 印刷不良品回収用ブロー機構
612 印刷不良品回収箱(不良品貯留部)
613 案内部
614 開閉部材
621 外観不良品回収用ブロー機構
622 外観不良品回収箱(不良品貯留部)