(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-03
(45)【発行日】2023-02-13
(54)【発明の名称】包装箱
(51)【国際特許分類】
B65D 5/30 20060101AFI20230206BHJP
B65D 5/50 20060101ALI20230206BHJP
【FI】
B65D5/30 C
B65D5/50 A
(21)【出願番号】P 2019125975
(22)【出願日】2019-07-05
【審査請求日】2022-02-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000145862
【氏名又は名称】株式会社コーセー
(73)【特許権者】
【識別番号】000202154
【氏名又は名称】相互印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000590
【氏名又は名称】特許業務法人 小野国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 恵美子
(72)【発明者】
【氏名】今井 恵
(72)【発明者】
【氏名】松村 洋介
【審査官】▲高▼橋 杏子
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3051281(JP,U)
【文献】実公昭50-031287(JP,Y1)
【文献】実開昭51-093726(JP,U)
【文献】特開2007-331832(JP,A)
【文献】米国特許第05425499(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/00-5/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板(21)と、底板(21)の対向する2辺に連接された略三角形に形成された2つの側板(31、32)と、側板(31、32)に連接されていない底板(21)の対向する2辺に連接された正面板(22)および背面板(23)と、底板(21)に連接されていない正面板(22)および背面板(23)の対向する2辺に連接され、正面板(22)および背面板(23)に折り重ねられる4つの重ね合わせ片(4、5、6、7)と、側板(31、32)と重ね合わせ片(4、5、6、7)との間に連接された4つの折り返し片(8)とを備え、該折り返し片(8)は折線(h)により側板(31、32)に連接する第一領域(81)および重ね合わせ片(4、5、6、7)に連接する第二領域(82)に分割され、該重ね合わせ片(4、5)は折線(j)により第一領域(41、51)と折り返し片(8)に連接する第二領域(42、52)に分割されるとともに、該第二領域(42、52)が該第一領域(41、51)に対して折り曲げ自在に形成された包装箱。
【請求項2】
前記重ね合わせ片(4、5、6、7)の一部が前記正面板(22)もしくは前記背面板(23)の裏面に貼付されていることを特徴とする請求項1に記載の包装箱。
【請求項3】
前記重ね合わせ片(4、5)は、前記第一領域(41、51)に設けた接着部(411、611)により前記正面板(22)もしくは前記背面板(23)の裏面に貼付されていることを特徴とする請求項1または2に記載の包装箱。
【請求項4】
前記底板(21)に連接された辺部と対向する前記背面板(23)の辺部には差込片(9)が連接され、該差込片(9)の一部が前記正面板(22)と前記重ね合わせ片(4、6)との隙間に挿入可能に形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の包装箱。
【請求項5】
前記差込片(9)は、折線(e)において背面板(23)に対して連接され、さらに、該折線(e)と並行して形成された折線(f)により第一領域(91)と第二領域(92)に分割されていることを特徴とする請求項4に記載の包装箱。
【請求項6】
前記折り返し片(8)の第二領域(82)と前記重ね合わせ片(4、5)の第二領域(42、52)が、包装時に折線(i)を頂辺として箱内に突出することを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の包装箱。
【請求項7】
前記折り返し片(8)の第一領域(81)と第二領域(82)が、包装時に折線(h)を頂辺として箱内に突出することを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組み立て時に三角柱を横にした形状となる包装箱に関し、更に詳細には、商品を安定的に保持することができるとともに、商品の包装や取り出しも容易な包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
物品を収納するための包装箱は様々な形状のものがあるが、包装箱自体の外観で注意を引くように、包装時に三角柱を横に寝かした形状となる包装箱が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1に開示された包装箱は商品のカップを包装するものであるが、かかるカップを包装箱内で安定的に固定するために、補助紙片31でさらに保持し(第2図、第3図)、あるいは、商品のマグカップの高さを三角柱の内側高さと等しくするなどの必要性があった(明細書第6頁第6行~第9行目)。
【0004】
しかしながら、特許文献1で開示されているような補助的な部材を用いることは、製造コストが嵩むだけでなく、商品の包装の際や、開封時の商品取り出しの際に手間が増えるため、好ましくはなかった。
【0005】
また、商品の形状や大きさに合わせて包装箱を形成した場合、包装箱自体の複雑な形状のゆえに商品の出し入れが困難となってしまうおそれがあった。その点、特許文献1では、包装前の包装箱はどの部分も貼付していない完全な展開状態にあり、商品の包装時にかかる展開状態から三角柱状に組み立て、また、開封時にも完全な展開状態に戻して取り出すことができるため、そのような問題は生じないと考えられる。
【0006】
ところが、このように完全な展開状態から立体形状へと組み立てることは、特に完成形が三角柱のような特殊な立体形状の場合、誰でも容易に行えることではない。さらに、どの部分も貼付しない場合、包装箱自体の強度が弱くなるおそれがあり、また、取り出し口の開放が制限されないため、輸送中に商品が飛び出すことや、開封時に転がりだすおそれもあった。
【0007】
従って、特殊な三角柱状の包装箱は、途中まで組み立てた状態でその一部を貼付しておくことが好ましいが、そうすると、商品包装時や商品の取り出し時に完全な展開状態に広げることができないため、商品の形状や大きさに合わせて包装箱を形成した場合には商品の包装や取り出しが困難となっていた。
【0008】
そこで、かかる形状的特徴を有する包装箱法として、収納される商品に対しては多少の寸法的な余裕を持たせるとともに、かかる寸法的な余裕が商品のガタツキなどの原因となることなく、安定的に商品を保持することができる包装箱が望まれていた。
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで本発明は、従来の三角柱を横にした形状となる包装箱のかかる欠点を克服し、商品を安定的に保持することができるとともに、商品の包装や取り出しも容易な包装箱の提供をその課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記課題を解決するものであり、底板(21)と、底板(21)の対向する2辺に連接された略三角形に形成された2つの側板(31、32)と、側板(31、32)に連接されていない底板(21)の対向する2辺に連接された正面板(22)および背面板(23)と、底板(21)に連接されていない正面板(22)および背面板(23)の対向する2辺に連接され、正面板(22)および背面板(23)に折り重ねられる4つの重ね合わせ片(4、5、6、7)と、側板(31、32)と重ね合わせ片(4、5、6、7)との間に連接された4つの折り返し片(8)とを備え、該折り返し片(8)は折線(h)により側板(31、32)に連接する第一領域(81)および重ね合わせ片(4、5、6、7)に連接する第二領域(82)に分割され、該重ね合わせ片(4、5)は折線(j)により第一領域(41、51)と折り返し片(8)に連接する第二領域(42、52)に分割されるとともに、該第二領域(42、52)が該第一領域(41、51)に対して折り曲げ自在に形成された包装箱である。
【0012】
また本発明は、前記重ね合わせ片(4、5、6、7)の一部が前記正面板(22)もしくは前記背面板(23)の裏面に貼付されていることを特徴とする包装箱である。
【0013】
また本発明は、前記重ね合わせ片(4、5)が、前記第一領域(41、51)に設けた接着部(411、611)により前記正面板(22)もしくは前記背面板(23)の裏面に貼付されていることを特徴とする包装箱である。
【0014】
また本発明は、前記底板(21)に連接された辺部と対向する前記背面板(23)の辺部に差込片(9)が連接され、該差込片(9)の一部が前記正面板(22)と前記重ね合わせ片(4、6)との隙間に挿入可能に形成されていることを特徴とする包装箱である。
【0015】
また本発明は、前記係止片(9)が折線(e)において背面板(23)に対して連接され、さらに、該折線(e)と並行して形成された折線(f)により第一領域(91)と第二領域(92)に分割されていることを特徴とする包装箱である。
【0016】
また本発明は、前記折り返し片(8)の第二領域(82)と前記重ね合わせ片(4、5)の第二領域(42、52)が、包装時に折線(i)を頂辺として箱内に突出することを特徴とする包装箱である。
【0017】
さらに本発明は、前記折り返し片(8)の第一領域(81)と第二領域(82)が、包装時に折線(h)を頂辺として箱内に突出することを特徴とする包装箱である、
【発明の効果】
【0018】
本発明にかかる包装箱は、三角柱を横にした特徴のある形状でありながら、内容物の商品を安定的に保持することが可能である。
【0019】
特に、本発明の包装箱で、折り返し片と重ね合わせ片の一部の領域が包装時に折線を頂辺として箱内に突出するものは、かかる突出した部分が商品に当接することにより、包装箱内における商品のガタつきを防ぐことができる。
【0020】
また、本発明にかかる包装箱で、正面板および背面板に4つの重ね合わせ片の一部が貼付された状態まで組み立てたものは、その後の商品包装作業を容易に行うことができる。また、開けた状態においても箱のような立体的な空間が形成されており、商品を保持しやすい。さらに、包装箱自体の強度が増すとともに、包装時に隙間がなくなり、防塵の効果を得ることができる。
【0021】
また、本発明にかかる包装箱で、係止片が折線において背面板に対して折り曲げ可能に形成され、さらに、該折線と並行して形成された折線により第一領域と第二領域に分割されているものは、スムーズに封止作業を行うことができる。
【0022】
さらに、本発明にかかる包装箱は、閉状態では差込片が完全に隠れた状態となって外部から視認できなくなるため、美観に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図2】本発明の包装箱を途中まで組み立てて、商品を包装する前の状態の平面図。
【
図3】本発明の包装箱の商品包装時における斜視図。
【
図4】(a)本発明の包装箱の組み立ての手順を示す図、(b)本発明の包装箱の組み立ての手順を示す図。
【
図5】(a)本発明の包装箱の係止作業の手順を示す図、(b)本発明の包装箱の係止作業の手順を示す図。
【
図6】(a)本発明の包装箱に商品を収納したときの重ね合わせ片と折り返し片の態様を示す部分拡大図。(b)本発明の包装箱に商品を収納したときの重ね合わせ片と折り返し片の異なる態様を示す部分拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の包装箱の実施態様を、図面に基づいて具体的に説明する。なお、本発明はこれら実施態様に何ら制約されるものではない。
【0025】
図1は、本発明に係る包装箱1の展開図である。台紙は1枚のブランクシートを打ち抜いて形成されている。その基本的な構成としては、4つの辺部を有する底板21と、底板21の各辺に連接された正面板22、背面板23、一対の側板31、32と、正面板22の対向する2辺に連接された重ね合わせ片4、6、背面板23の対向する2辺に連接された重ね合わせ片5、7、側板31、32と重ね合わせ片4、5、6、7との間に連接された折り返し片8、および背面板23の一辺部に連接された差込片9とを備える。なお、本明細書において、「正面」、「背面」、「左右」、「上下」などの表現は、包装箱1や包装される商品の正面や背面、左右、上下と厳密に対応するものではなく、説明の便宜上使用するものである。以下、各部について詳述する。
【0026】
図に示すように、底板21は矩形に形成されており、その対向する2辺には、一対の側板31、32が連接されている。側板31、32はともに略二等辺三角形に形成されており、底板21に対して、折線bで折り曲げ可能に連接されている。なお、本実施態様の底板21は矩形に形成されているが、形状はこれに限定されず、正方形としてもよい。
【0027】
側板31、32に連接されていない底板21の対向する2辺には、正面板22と背面板23が連接されている。正面板22と背面板23は、ともに底板21に対して折線aで折り曲げ可能に連接されている。本実施態様の正面板22、背面板23は、ともに同じ矩形に形成されているが、形状はこれに限定されず、正方形としてもよい。
【0028】
底板21に連接されていない正面板22の対向する2辺には、重ね合わせ片4、6が連接されている。重ね合わせ片4、6は、ともに正面板22に対して折線cで折り曲げ可能に連接され、それぞれ略台形に形成されている。
【0029】
重ね合わせ片4には、折線iと折線cが交わる角部から対角方向へと斜めに延伸し、重ね合わせ片4の上辺部に達する折線jが形成されている。重ね合わせ片4は、かかる折線jによって、第一領域41と、折り返し片8に連接する第二領域42に分割される。
【0030】
また、重ね合わせ片4、6はその一部に接着部411、611を有し、かかる接着部411、611において正面板22に対して貼付されるが、接着部411は第一領域41のみ設けられ、第二領域42には設けていない。すなわち、第二領域42は正面板22に対して貼付されないため、正面板22に貼付された第一領域41に対して折線jで折り曲げ自在となっている。なお、接着部411は折線j側に、また、接着部611は折線i側にそれぞれ寄せて形成されている。これにより、重ね合わせ片4、6の辺部412、612側から接着部411、611までの間は正面板22に対して貼付されず、正面板22との間に差込片9を挿入可能な隙間が形成される。
【0031】
底板21に連接されていない背面板23の対向する2辺には、重ね合わせ片5、7が連接されている。重ね合わせ片5、7は、ともに背面板23に対して折線dで折り曲げ可能に連接され、それぞれ略台形に形成されている。
【0032】
重ね合わせ片5には、折線iと折線dが交わる角部から重ね合わせ片5の上辺部の中程へと斜めに延伸する折線jが形成されている。重ね合わせ片5は、かかる折線jによって、第一領域51と、折り返し片8に連接する第二領域52に分割される。
【0033】
また、重ね合わせ片5、7はその一部に接着部511、711を有し、かかる接着部511、711において背面板23に対して貼付されるが、接着部511は第一領域51のみ設けられ、第二領域52には設けていない。すなわち、第二領域52は背面板23に対して貼付されないため、背面板23に貼付された第一領域51に対して折線jで折り曲げ自在となっている。なお、本実施態様では、重ね合わせ片4、6、5、7にそれぞれ接着部が設けられているが、かかる接着部を設けなくても包装箱としては機能するため、必ずしも設ける必要はなく、あるいは、重ね合わせ片4、6、5、7のうちのいずれか一箇所ないし三箇所を任意に選択して、それら選択した重ね合わせ片のみに接着部を設けてもよい。
【0034】
側板31と重ね合わせ片4、5の間には、それぞれ折り返し片8が連接されている。折り返し片8は全体が三角形に形成されており、折線gにおいて側板31と折り曲げ可能に、また、折線iにおいて重ね合わせ片4、5と折り曲げ可能に連接されている。なお、折線iは包装時の折り曲げ角度が深いこと、また、谷折りとなって目立たないことから、本実施態様のように、折り曲げを容易とするためのミシン目を設けてもよい。さらに、折り返し片8は、底板21の折線aよりそのまままっすぐに連続して延伸するように形成された折線hにより、側板31に連接する第一領域81と、重ね合わせ片4、5に連接する第二領域82に分割される。
【0035】
同じく、側板32と重ね合わせ片6、7の間にも、それぞれ折り返し片8が連接されている。折り返し片8は全体が三角形に形成されており、折線gにおいて側板32と折り曲げ可能に、折線iにおいて重ね合わせ片6、7と折り曲げ可能に連接されている。なお、折線iは包装時の折り曲げ角度が深いこと、また、谷折りとなって目立たないことから、本実施態様のように、折り曲げを容易とするためのミシン目を設けてもよい。かかる折り返し片8も、底板21の折線aよりそのまままっすぐに連続して延伸するように形成された折り曲げ線hにより、側板32に連接する第一領域81と、重ね合わせ片6、7に連接する第二領域82に分割される。
【0036】
さらに、底板21に連接された辺と対向する背面板23の辺には、差込片9が連接されている。差込片9は、折線eにおいて背面板23に対して折り曲げ可能に形成されている。本実施態様の差込片9は、その任意の部分に折線eと並行して形成された折線fにより、背面板23に連接した第一領域91と、第二領域92に分割される。
【0037】
正面板22と背面板23には、孔部221、231を設けてもよい。また、重ね合わせ片5、7には、かかる孔部231に合わせた切り欠き部512、712を形成してもよい。さらに、差込片9にも孔部221、231に合わせて孔部911を設けてもよい。かかる孔部221、231に、包装時にリボン等を通して結ぶなどの飾りつけを付すことにより、包装箱としての美観を高めることができる。
【0038】
図2は、本発明の包装箱1を途中まで組み立てた状態であって、商品を包装する前の状態の平面図である。本発明の包装箱1の組み立ては、以下の手順で行われる。まず、
図1の展開状態から、折線b、c、dを谷折りし、側板32、重ね合わせ片6、7、折り返し片8を底板21、正面板22、背面板23の上に折り重ねる。そして、接着部611、711により、重ね合わせ片6を正面板22の裏面に、重ね合わせ片7を背面板23の裏面に対してそれぞれ貼付して固定する。なお、本明細書で「裏面」とは、商品の包装時に内側になる面という。
【0039】
次に、折線b、c、dを谷折りし、側板31、重ね合わせ片4、5、折り返し片8を、底板21、正面板22、背面板23の上に折り重ねる。なお、側板31、折り返し片8は、先に折り返された側板32と折り返し片8の一部に重複するように折り重ねられる。そして、接着部411、511により、重ね合わせ片4を正面板22の裏面に、重ね合わせ片5を背面板23の裏面に対して貼付して固定する。以上の手順で、
図2の状態までの組み立てが完了する。かかる状態まで組み立てておくことにより、その後の商品の包装作業が容易となる。また、このように一部を貼付しておくことにより、包装箱自体の強度が増し、包装時に綺麗な三角柱を形成することができる。さらに、取り出し口の開放を制限することで、輸送中に商品が飛び出すことや、開封時に転がりだすことを避けることができる。
【0040】
図3は、本発明の包装箱1の商品包装時における斜視図である。図に示すように、包装箱1は、商品包装時には横に寝かした三角柱形状、言い換えると、側板31あるいは32のいずれかを天面もしくは底面とする三角柱状となる。
【0041】
以下、
図4により、本発明の包装箱1を
図2の平面状態から立体形状に組み立てて商品を包装する手順について説明する。まず、側板31の先端側を上方へと引き起こす。そして、それに伴い側板31に覆われていた側板32が露出するので、同じ様に側板32の先端側を上方へと引き起こす。このとき、重ね合わせ片4、5、6、7は正面板22、背面板23に対してそれぞれ固定されているため、側板31、32の先端側が底板21から離間するに従い、正面板22、背面板23も側板31、32方向へと引っ張られて起立していく(
図4a)。
【0042】
側板31、32をさらに引き起こし、それらの起立する角度が垂直に近くなるにつれ、側板31と側板32は互いに離間し、その間に商品を収納する空間が形成される。このとき、正面板22と背面板23の起立する角度も急になっていく。
【0043】
このようにして形成された側板31と側板32の間の空間に商品100を収納し(
図4b)、さらに、正面板22と背面板23をそれらの先端部が互いに接するまで内側に傾斜させれば、
図3のような横に寝かした三角柱形状の包装箱1が形成される。
【0044】
本発明の包装箱1は、重ね合わせ片4、5の一部である第一領域41、51が正面板22、背面板23にそれぞれ貼付されているにも関わらず、第二領域42、52が折線jから折り曲げ可能に形成されており、さらに、折り返し片8の第一領域81と第二領域82も互いに折線hで折り曲げ可能に連接されているため、上記の一連の組み立て作業において、これらの部材同士の接合角度を適宜変化させることができ、包装や商品の出し入れの作業が容易となる。
【0045】
なお、本実施態様の包装箱1は、差込片9により閉状態で封止される。詳しくは、正面板22と背面板23の先端が一定の距離まで近づいたときに、差込片9を折線eで折り曲げ、その先端側を正面板22と重ね合わせ片4の辺部412、および、正面板22と重ね合わせ片6の辺部612の隙間に挿し込めばよい。
【0046】
本実施態様の差込片9は、第一領域91と第二領域92が折線fで折り曲げ可能に形成されているため、係止する作業が容易となっている。すなわち、まず、折線fで折り曲げられた先端側の第二領域92を正面板22と重ね合わせ片4、6との隙間に挿入し、仮止めする(
図5a)。そして、そのまま残りの第一領域91を正面板22と重ね合わせ片4、6との隙間に挿入することにより(
図5b)、スムーズに封止作業を行うことができる。なお、本発明の包装箱1は、閉状態では差込片9が正面板22により完全に隠れた状態となって外部から視認できなくなるため(
図3)、従来の包装箱よりも見た目もすっきりし、美観に優れる。
【0047】
次に、本発明の包装箱1に商品を収納した一実施態様を
図6(a)により説明する。包装箱1に収納される商品は特に限定されないが、ここでは瓶状の容器100に入った化粧品を例に挙げる。包装箱1内には、容器100の蓋部101が側板31側に、また、本体102の底面が側板32側となる状態で収納される。このとき、折線i、jはいずれも谷折りとなっており、折線hは山折りとなっている。そして、折り返し片8の第二領域82と重ね合わせ片4の第二領域42は、谷折りの折線iを頂辺として箱内に突出するような形となっている。なお、ここで「山折り」、「谷折り」とは、
図2の状態を基準とする。以下も同様とする。
【0048】
収納される商品が容器100のように、蓋部101と本体102との間に括れた頸部103がある場合、箱内に突出した折り返し片8の第二領域82と重ね合わせ片4の第二領域42が、かかる括れ部103や本体102の肩部などに当接し、これにより、容器100のガタつきを防ぎ、安定して包装箱1内で保持することができる。なお、突出した折り返し片8の第二領域82と重ね合わせ片4の第二領域42は常に容器100の一部に当接している必要はなく、容器100との間には多少の遊びを有するように設け、容器100が包装箱1内で移動しようとするときに当接するように設けてもよい。
【0049】
さらに、本発明の包装箱1に容器100を収納した異なる実施態様を
図6(b)により説明する。図に示すように、本実施態様では、折線h、iはいずれも谷折りとなっており、一方、折線jではほぼ折られていない状態となっている。そして、折り返し片8の第一領域81と第二領域82は、谷折りの折線hを頂辺として箱内に突出するような形となっている。
【0050】
このように箱内に突出した折り返し片8の第一領域81と第二領域82が、本実施態様では蓋部101に当接し、これにより、容器100のガタつきを防ぎ、安定して包装箱1内で保持することができる。なお、突出した折り返し片8の第一領域81と第二領域82は常に蓋部101の一部に当接している必要はなく、蓋部101との間には多少の遊びを有するように設け、容器100が包装箱1内で移動しようとするときに当接するように設けてもよい。
【0051】
以上の通り、本発明の包装箱1は、折り返し片8と重ね合わせ片4、5の各領域の連接部分の折り方や角度を適宜変更させることで、収納する容器の形状や大きさに応じて箱内に突出する部位を変えることができるため、適切な位置で商品を保持することが可能である。
【0052】
さらに、今まで説明した各実施態様では、重ね合わせ片4、5に折線jを設けることにより第一領域41、51と第二領域42、52に分けているが、かかる折線jをさらに重ね合わせ片6、7にも設け、それらを第一領域と第二領域とに分けてもよい。これにより、重ね合わせ片4、5側のみならず、重ね合わせ片6、7側でもそれらの部位を箱内に突出させて商品を保持することができる。さらに、重ね合わせ片6、7側に折線jを設けることにより、商品の出し入れの際(
図4b)に開口をより広く開放できるというメリットもある。
【0053】
本発明の包装箱の材質については、一般的な包装箱に使用される素材であって、三角柱形状を形成できるものであれば特に限定はされないが、台紙についてはある程度の剛性を備えた紙、合成樹脂などが好ましい。具体的には、和紙、上質紙、中質紙、コート紙、ボール紙、カード紙、コートボール紙、コートカード紙、アルミや合成樹脂に蒸着させたアルミ等を表面被覆した蒸着紙等の紙類や、ポリプロピレン、ポリエチレンテフレタート(PET)などの透明合成樹脂や不透明合成樹脂等の合成樹脂類を適宜用いることができる。
【符号の説明】
【0054】
1 … … 包装箱
4 … … 重ね合わせ片
5 … … 重ね合わせ片
6 … … 重ね合わせ片
7 … … 重ね合わせ片
8 … … 折り返し片
9 … … 差込片
21 … … 底板
22 … … 正面板
23 … … 背面板
31 … … 側板
32 … … 側板
41 … … 第一領域
42 … … 第二領域
51 … … 第一領域
52 … … 第二領域
81 … … 第一領域
82 … … 第二領域
91 … … 第一領域
92 … … 第二領域
100 … … 容器
101 … … 蓋部
102 … … 本体
103 … … 頸部
221 … … 孔部
231 … … 孔部
411 … … 接着部
412 … … 辺部
511 … … 接着部
512 … … 切り欠き
611 … … 接着部
612 … … 辺部
711 … … 接着部
712 … … 切り欠き
911 … … 孔部
a … … 折線
b … … 折線
c … … 折線
d … … 折線
e … … 折線
f … … 折線
g … … 折線
h … … 折線
i … … 折線
j … … 折線