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特許7221230マルチチャネルチャンネル双方向バッテリ管理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-03
(45)【発行日】2023-02-13
(54)【発明の名称】マルチチャネルチャンネル双方向バッテリ管理システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/42 20060101AFI20230206BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20230206BHJP
   H02J 7/34 20060101ALI20230206BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20230206BHJP
【FI】
H01M10/42 P
H02J7/00 Y
H02J7/34 B
H01M10/48 P
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2019571721
(86)(22)【出願日】2018-06-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-31
(86)【国際出願番号】 US2018040140
(87)【国際公開番号】W WO2019006204
(87)【国際公開日】2019-01-03
【審査請求日】2021-06-25
(31)【優先権主張番号】62/527,834
(32)【優先日】2017-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519456239
【氏名又は名称】テスラ,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100067736
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 晃
(74)【代理人】
【識別番号】100192212
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 貴明
(74)【代理人】
【識別番号】100204032
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100200001
【弁理士】
【氏名又は名称】北原 明彦
(72)【発明者】
【氏名】マーティン,ナサニエル
(72)【発明者】
【氏名】ミトロス,アニア
(72)【発明者】
【氏名】メローン,チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】ディメン,イアン
【審査官】赤穂 嘉紀
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0177048(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0085203(KR,A)
【文献】特開2016-149924(JP,A)
【文献】特開2013-258687(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/42-10/48
H02J 7/00-7/12
H02J 7/34-7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冗長バッテリ管理システムであって、
双方向通信ループに接続され、第1の複数のバッテリセルを管理する第1のクライアントであって、データを受信するように構成され、前記通信ループに接続された第1のインタフェースを備え、前記通信ループ内の第1のチャネル及び第2のチャネルでデータを送信するように構成された前記第1のクライアントと、
前記通信ループに接続され、第2の複数のバッテリセルを管理する第2のクライアントであって、データを受信するように構成され、前記通信ループに接続された第2のインタフェースを備え、前記通信ループ内の第1のチャネル及び第2のチャネルでデータを送信するように構成された前記第2のクライアントと、
前記通信ループに接続され、少なくとも前記第1及び第2のクライアントを含む前記通信ループに接続された複数のクライアントを管理するホストと、
を備え、
前記ホストが、
前記通信ループを介して要求を提供し、そして、
前記通信ループを介して1以上の応答を受信し、前記1以上の応答の各応答が、前記応答に関連する応答ウィンドウに基づいて、前記複数のクライアントの各クライアントに関連付けられ、前記応答ウィンドウが前記応答に関連する時間を含む、
ように構成されることを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記第1のクライアントが、前記第1のインタフェースから受信したデータを前記データの少なくとも第1の部分及び前記データの少なくとも第2の部分に分離するように構成され、前記データの前記少なくとも第2の部分は、前記データの前記少なくとも第1の部分の冗長コピーであることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1のクライアントが、前記第1のインタフェースから受信したデータを前記データの少なくとも第1の部分及び前記データの少なくとも第2の部分に分離するように構成され、前記データの前記少なくとも第1の部分は、前記複数のクライアント内の少なくとも1つのクライアントに特定的にアドレス指定され、前記データの前記少なくとも第2の部分は、前記複数のクライアントにブロードキャストされることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1のクライアントが、前記第1のインタフェースから受信したデータを前記データの少なくとも第1の部分及び前記データの少なくとも第2の部分に分離するように構成された第1のスプリッタを備え、前記第1のスプリッタは、前記通信ループから受信したデータから前記データの前記少なくとも第1の部分を分離して送信する第1のフィルタを備え、前記データの前記少なくとも第1の部分は、前記第1のチャネルで通信されることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1のスプリッタは、前記通信ループから受信したデータから前記データの前記少なくとも第2の部分を分離して送信する第2のフィルタを更に備え、前記データの前記少なくとも第2の部分は、前記第2のチャネルで通信されることを特徴とする請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1のクライアントと前記通信ループとの間に接続された分離要素を更に備え、前記分離要素は、前記第1のクライアントを前記通信ループから分離することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記分離要素は、変圧器を含むことを特徴とする請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記ホストは、平衡シリアル信号プロトコルを採用する周波数分割多重化信号アーキテクチャを使用して前記複数のクライアントと通信することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記ホストは、FSK変調を採用する周波数分割多重化信号アーキテクチャを使用して前記複数のクライアントと通信することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記第1のクライアントのデバイスは、前記通信ループから受信した前記ホストからの要求に応答して、前記第1の複数のバッテリセルに関連する少なくとも1つの物理的又は電気的測定値を測定及び送信することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記第1のクライアントのデバイスは、前記通信ループから受信した前記ホストからの要求に応答して、前記第1の複数のバッテリセルに対して少なくとも1つの機能を実行することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
バッテリ管理システム内の障害位置を特定する方法であって、
ホストから複数のクライアント内の第1のクライアントに第1の要求を送信することであって、前記要求は、デイジーチェーンアーキテクチャにおいて複数のクライアントを接続する双方向マルチチャネル通信経路上の第1のチャネル及び第1の方向に送信されること、
前記第1のクライアントにおいて、前記第1のチャネルを含む周波数分割多重化信号を受信すること、
前記第1のクライアントにおいて、前記周波数分割多重化信号からの前記第1のチャネルをフィルタリングすること、
前記第1のクライアントにおいて、前記第1のチャネル内の第1の要求を処理すること、
前記双方向マルチチャネル通信経路上で、前記第1のクライアントから前記ホストに前記第1の要求に関連する応答を送信することであって、前記応答は、前記マルチチャネル通信経路内の第2のチャネルで送信されること、
を含み、
前記ホストが、前記応答に関連する応答ウィンドウに基づいて、前記応答に前記複数のクライアントから前記第1のクライアントを関連付け、前記応答ウィンドウが前記応答に関連する時間を含むことを特徴とする方法。
【請求項13】
前記第1及び第2のチャネルは、同じチャネルであることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ホストにおいて前記第1のクライアントから前記応答を受信しなかったことに応答して、前記双方向マルチチャネル通信経路内の第3のチャネルにおいて前記第1の要求を再送信するステップを更に含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記ホストにおいて前記第1のクライアントから前記応答を受信しなかったことに応答して、前記双方向マルチチャネル通信経路において第2の方向に前記第1の要求を再送信するステップを更に含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記双方向マルチチャネル通信経路の前記第1の方向に送信された前記第1の要求と、前記双方向マルチチャネル通信経路の前記第2の方向に送信された前記第1の要求の分析に基づいて、前記通信経路内の障害位置を識別するステップを更に含むことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第1のクライアントにおける前記第1の要求の処理は、前記第1のクライアントによって管理される複数のバッテリセル内の少なくとも1つのバッテリセルの物理的又は電気的測定の実行を含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記第1のクライアントにおける前記第1の要求の処理は、前記第1のクライアントによって管理される複数のバッテリセル内の少なくとも1つのバッテリセルに対する機能の実行を含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項19】
バッテリ管理システム内でデイジーチェーン接続された複数のクライアントを管理する方法であって、
双方向マルチチャネル通信ループ内の複数のチャネル内の少なくとも1つのチャネルで、デイジーチェーン接続された前記複数のクライアントに第1の複数の要求を送信することであって、前記第1の複数の要求内の各要求は、前記複数のクライアント内の少なくとも1つのクライアントに特定的にアドレス指定されること、
前記双方向マルチチャネル通信ループ内の複数のチャネル内のブロードキャストチャネルで、デイジーチェーン接続された前記複数のクライアントに第2の複数の要求を送信することであって、前記第2の複数の要求は、前記複数のクライアントにブロードキャストされ、前記ブロードキャストチャネルは、前記少なくとも1つのチャネルとは異なること、
ホストにおいて、前記第1の複数の要求に対応する第1の複数の応答と、前記第2の複数の要求に対応する第2の複数の応答とを待機すること、
を含み、
前記第1の複数の応答及び前記第2の複数の応答の受信された複数の応答が、前記第1の複数の要求及び前記第2の複数の要求の受信された複数の要求に関連する各応答ウィンドウに基づいて、デイジーチェーン接続された各クライアントに関連付けられ、応答ウィンドウが応答に関連する時間を含むことを特徴とする方法。
【請求項20】
前記ブロードキャストチャネルにおける前記第2の複数の要求は、前記少なくとも1つのクライアントに特定的にアドレス指定された前記第1の複数の要求に関連する前記第1の複数の応答内の1つ以上の応答を受信しなかったことに応答して生成されることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記通信ループ内の障害位置は、前記ブロードキャストされた第2の複数の要求に対応する前記第2の複数の応答の分析に基づいて特定されることを特徴とする請求項20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、Nathaniel Martin、Ania Mitros、Charles Mellone、及びIan Dimenを発明者として、2017年6月30日に出願された米国特許出願第62/527,834号(e)、発明の名称「MULTI-CHANNEL AND BI-DIRECTIONAL BATTERY MANAGEMENT」(代理人整理番号20150-2147P)に対し、米国特許法第119条(e)に基づく優先権を主張しており、この文献は、参照により全体が本願に援用される。
【0002】
本発明は、システム内のバッテリセルを管理するための閉ループシグナリングアーキテクチャに関し、詳しくは、複数の直列接続されたバッテリモジュールに亘る双方向シグナリング及び冗長経路を提供するバッテリ管理システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
今日の市場において、当業者らは、バッテリベースの電力システムの重要性をよく理解している。製品がより環境に優しく、コスト効率の高い電源ソリューションに移行するにつれて、多くの異なる市場で、従来の電源システムがこれらのバッテリシステムに置き換えられつつある。例えば、バッテリ駆動システムが対応する製品に電力を貯蔵及び供給する能力が向上するにつれて、電気自動車及び家庭用エネルギー市場等の市場が急速に成長している。従来の電源(化石燃料、石炭等)からバッテリベースの電源への移行により、増加し続ける複雑な製品内での適切な動作を保証するために、バッテリセルの管理に対する高い性能要求が生じている。
【0004】
多くのバッテリベースの電源システムは、複数のバッテリ管理集積回路と通信する集中管理コントローラを備えている。これらのバッテリ管理集積回路のそれぞれは、複数のバッテリセルを管理し、様々なタスクを実行する。例えば、バッテリ管理集積回路は、バッテリセルの電圧及び充電レベルを検知でき、充電又は再充電セルを抜き取ることによって充電を管理でき、他の検知動作及び低レベルバッテリ管理機能を実行できる。また、バッテリ管理システムは、バッテリシステム内の干渉問題に効果的に対処し、様々な構成要素間並びに複数の電力領域間に適切な電気的分離を提供し、システム内の障害事象及び当業者に既知の他の特徴を補償できるように十分に堅牢である必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電気自動車の場合、バッテリ管理システムは、機械的振動及び衝撃、環境温度の変化、複数の電力領域、及び集中管理コントローラと複数のバッテリ集積回路との間の信号を劣化させるおそれがある多数の干渉源に晒されることがある。これらの問題のために、電気自動車に搭載される従来のバッテリ管理システムの実行可能性に問題が生じる可能性がある。これらの問題は、バッテリシステムが車両用の唯一の電源として機能することが多く、バッテリシステム内の障害により車両が動作不能になるという事実のために、更に問題となる。
【0006】
したがって、バッテリセルのより堅牢で動的な管理を提供するバッテリ管理システムが必要とされている。
【0007】
以下、本発明の実施形態を参照し、その実施形態の例を添付の図面に示す。これらの図は、例示的なものであり、本発明を限定するものではない。これらの実施形態に関連して本発明を包括的に説明するが、これらの特定の実施形態に本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の実施形態に基づくバッテリ管理システムの概略図である。
図2A】本開示の実施形態に基づく1つの通信チャネルにおける例示的な信号を示す図である。
図2B】本開示の実施形態に基づく別の通信チャネルにおける例示的な信号を示す図である。
図3】本開示の実施形態に基づくクライアントの概略図である。
図4】本開示の実施形態に基づくスプリッタの概略図である。
図5】本開示の実施形態に基づく、ホストによって受信されるデータシーケンスの概略図である。
図6】本開示の実施形態に基づくデイジーチェーンループにおけるコマンド信号のフローを示す図である。
図7】本開示の実施形態に基づくデイジーチェーンループにおける応答信号のフローを示す図である。
図8】本開示の実施形態に基づくデイジーチェーンループにおけるコマンド信号のフローを示す図である。
図9】本開示の実施形態に基づくデイジーチェーンループにおける応答信号のフローを示す図である。
図10】本開示の実施形態に基づく、ホストによって受信されるデータシーケンスの概略図である。
図11】本開示の実施形態に基づくクライアントの概略図である。
図12】本発明の実施形態に基づくバッテリ管理システムにおいてデータを通信する例示的なプロセスのフローチャートである。
図13】本発明の実施形態に基づくバッテリ管理システムにおいてデータを通信する例示的なプロセスのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の記載では、説明の目的のために、本発明の理解を提供するための特定の詳細を記載する。しかしながら、これらの詳細なしで本発明を実施できることは、当業者にとって明らかである。更に、以下に説明する本発明の実施形態は、プロセス、装置、システム、デバイス、又は有形のコンピュータ可読媒体上の方法等、様々な態様で実施できることは、当業者にとって明らかである。
【0010】
図に示す構成要素は、本発明の例示的な実施形態を例示するものであり、本発明を不明瞭にしないように意図されている。また、本説明では、サブユニットを含むことができる別個の機能ユニットとして構成要素を記述するが、種々の構成要素又はその部分は、別個の構成要素に分割でき、又は単一のシステム又は構成要素内に統合することを含め、共に統合できることは、当業者にとって明らかである。なお、本明細書で説明する機能又は動作は、構成要素又はノードとして実現してもよい。構成要素は、ソフトウェア、ハードウェア、又はこれらの組み合わせによって実現してもよい。
【0011】
更に、図面における構成要素間の接続は、直接接続に限定されるものではない。これらの構成要素間のデータは、中間構成要素又はデバイスによって修正、再フォーマット化、又は他の手法で変更してもよい。また、接続の数は、これより多くても少なくてもよい。また、「接続」、「連結」又は「通信可能に接続」等の用語は、直接接続、1つ以上の仲介装置を介した間接接続、及び無線接続を含むものと解釈される。
【0012】
更に、(1)特定のステップを任意に実施してもよく、(2)ステップは、本明細書に記載された特定の順序に限定されず、(3)特定のステップを異なる順序で実行してもよく、これには、同時の実行も含まれることは、当業者にとって明らかである。
【0013】
本明細書において、「ある実施形態」、「好適な実施形態」、「一実施形態」、又は「幾つかの実施形態」とは、当該実施形態に関連して記載された特定の特徴、構造、特性、又は機能が、本発明の少なくとも一実施形態に含まれ、1つ以上の実施形態に含まれ得ることを意味する。明細書の様々な箇所における語句「一実施形態において」、「実施形態において」、又は「幾つかの実施形態において」は、必ずしも全て同じ一又は複数の実施形態を指しているとは限らない。
【0014】
本明細書の様々な箇所における特定の用語の使用は、例示のためであり、限定として解釈されるべきではない。サービス、機能、又はリソースは、単一のサービス、機能、又はリソースに限定されず、これらの用語は、関連するサービス、機能、又はリソースのグループを指す場合があり、これらは、分散型であっても集中型であってもよい。
【0015】
本発明の様々な実施形態では、マルチチャネル及び双方向シグナリング手順を有するバッテリ管理システムが開示され、これを用いることによってシステムの性能及び冗長性が向上する。マスター/スレーブアーキテクチャでは、バッテリセルを直接管理する複数の低レベルバッテリ管理集積回路と通信することによってシステムレベルでバッテリを管理するホスト(例えば、マイクロコントローラ)が使用される。これらのシグナリング手順により、低レベルバッテリ管理集積回路を直列に接続する閉ループ伝送経路を介して、時計回り又は反時計回りのいずれかの方向にコマンド及び応答を伝送できる。
【0016】
様々な実施形態では、伝送経路は、ホストが様々な通信プロトコルで複数のクライアントの複数の別々の冗長システムをアドレス指定できる複数のチャネル上でコマンド及び応答を通信できる。例えば、第1のチャネルは、第1の周波数帯域内のコマンド/応答をクライアントの第1のシステムに通信し、第2のチャネルは、第2の周波数帯域内のコマンド/応答をクライアントの第2のシステムに通信し、2つのチャネル間の干渉を低減し、クライアントの2つのシステムの効果的な分離を達成し、これにより、クライアントシステムが通信媒体上で同じチャネルを共有する場合より高いレベルの機能的冗長性を達成する。更に、幾つかの実施形態では、第1のチャネルにおいてマイクロコントローラが特定のコマンドでバッテリ管理集積回路を一意にアドレス指定できると共に、第2のチャネルにおいてマイクロコントローラがコマンドを全てのバッテリ管理集積回路にブロードキャストし、各チャネルから応答を受信できるように、チャネル間で通信プロトコルを変更してもよい。このシグナリング方法及びアーキテクチャは、マイクロコントローラと、バッテリ管理集積回路の複数の別個の完全に機能的に冗長なシステムとの間のマルチチャネル通信経路を可能にすることによって、バッテリ管理システム内に冗長性を提供する。これら及びこの他の利点は、以下の説明によって当業者にとって明らかとなる。
【0017】
図1は、本発明の実施形態に基づくバッテリ管理システム100の概略図である。バッテリ管理システム100は、ホスト102(システムレベルで管理するマイクロコントローラ等)及びクライアント120a~120n(システム内のバッテリセルを管理するバッテリ管理集積回路等)を含むことができる。なお、本開示では、ホスト102及びクライアント120の他の可能な構成及び実装を使用してもよい。幾つかの実施形態において、ホスト102は、前述のマイクロコントローラを含む様々な構造で実装でき、コマンドを送信し、クライアント120のうちの1つ以上から応答を受信することによってシステムを管理する。各クライアント120は、対応するバッテリセルを監視及び制御して、各セルの電圧、電荷残留量、及び温度等、セルの電気的及び物理的状態を測定できる。例えば、クライアント120aは、セル130aを監視できる。なお、各クライアント120は、異なる数のバッテリセルを監視してもよい。クライアント120aは、測定(例えば、電圧、電荷、温度等)に加えて、特定の機能(例えば、バッテリセルからの電荷の抜き取り)も実行できる。バッテリ管理システムの様々な実施形態及びアーキテクチャが本開示の範囲に含まれることは、当業者にとって明らかである。
【0018】
ホスト102及び各クライアント120は、デイジーチェーン伝送経路ループ107を介してコマンド及び応答を通信でき、デイジーチェーンループ107は、電気信号を伝送する一対のワイヤを含むことができる。幾つかの例では、この通信は、差動信号を使用できる。幾つかの実施形態では、デイジーチェーンループ107は、ホスト102のインタフェース108をクライアント120a~120nのインタフェース126a~126nに直列に接続して、ループ107内の1つ又は複数のチャネル上で通信が直列に行われるようにしてもよい。
【0019】
デイジーチェーンループ107は、2つ以上の通信チャネルを使用でき、各チャネルは、異なる周波数範囲の信号をバッテリ管理クライアントの並列の別々のシステムに通信する。説明を簡潔にするために、以下の説明では、第1のチャネル(一次信号に対応する)と第2のチャネル(二次信号に対応する)の2つのチャネルのみを有するシステムについて説明するが、本発明の実施形態では、他の適切な数の通信チャネルを使用してもよい。後述するように、ホスト102は、それぞれ第1及び第2のチャネルを介して通信される信号を処理する一次回路104及び二次回路106を含むことができる。同様に、各クライアント120は、それぞれ第1及び第2のチャネルを介して通信される信号を処理する一次回路122及び二次回路124を含むことができ、各クライアントシステムは、単独で、安全で継続的なシステム動作に必要なバッテリ管理機能を完全に補完できる。一次回路104は、システム内の第1のチャネル上の1つ以上のクライアント120から受信した応答を処理する。幾つかの実施例では、この一次回路104は、第1のチャネルのための受信機回路として機能し、他の実施例では、一次回路104は、第1のチャネル上で信号を送受信する送受信機として機能する。幾つかの実施例では、二次回路106は、第2のチャネルの受信機回路として機能し、他の実施例では、二次回路106は、第2のチャネルで信号を送受信する送受信機として機能する。
【0020】
バッテリ管理システム100は、デイジーチェーンループ107に沿った双方向通信の能力を有し、デイジーチェーンループ上で使用される2つのチャネルのそれぞれが、完全に分離された冗長バッテリ管理システムにアクセスできるため、冗長通信経路を提供できる。具体的には、ホスト102は、直列接続されたクライアント120を巡って時計回り方向140に通信できると共に、ループ107に沿って反時計回り方向142に通信できる。この双方向性により、ホスト102は、デイジーチェーンループ107内に単一障害があっても、各クライアント120と通信できる。この冗長性は、両方のチャネルに適用され、これについては、後に更に詳細に説明する。
【0021】
図2A及び図2Bは、バッテリ管理システム100内の異なるチャネルに亘って使用できる信号特性の例を示している。図2Aは、本開示の実施形態に基づく、1つの通信チャネルにおける例示的な信号を示している。図2Bは、本開示の実施形態に基づく別の通信チャネルにおける例示的な信号を示している。幾つかの実施形態において、図2A及び図2Bの信号は、デイジーチェーンループ107を介してホスト102によって同時に送信してもよく、各クライアント120は、2つの信号を分離してもよい。他の実施形態では、図2A及び図2Bの信号は、本発明の様々な実施形態に基づく時間多重化法で送信してもよい。これらの例では、図2Aの信号周波数P1の範囲は、図2Bの信号周波数S1(及びS2)の範囲と重複しないようにすることができ、これにより、信号を分離して処理でき、すなわち、バッテリ管理システム100は、伝送ループ107に沿って周波数分割多重チャネルを有することができる。なお、2つのチャネルには、種々の信号形状を用いることができる。
【0022】
図2Aを参照すると、図示された平衡シリアル信号は、P1Hz値に対応する1つ又は複数の第1の周波数、例えば5MHz信号を有する。幾つかの実施形態では、この平衡シリアル信号は、システムの第1のチャネルで通信され、複数のクライアント120内の1つ以上のクライアントを一意的にアドレス指定できる。本発明の実施形態の実施において様々な通信プロトコルを使用できることは、当業者にとって明らかである。これに対し、図2Bは、S1Hz及びS2Hzに対応する複数の周波数又は周波数帯域を使用して第2のチャネルでデータが通信されるFSK信号を示している。FSK変調技術において多数の周波数又は周波数帯域を使用できることは、当業者にとって明らかである。幾つかの例では、第2のチャネルで使用される最低周波数は、15MHzであり、これは、2つのチャネル間の干渉を最小にするのに十分な周波数分離を提供する。チャネルのいずれか又は両方で様々な符号化技術(例えば、マンチェスター符号化)を使用してよいことも当業者にとって明らかである。幾つかの実施形態では、FSK信号は、各クライアント120が特定の機能を実行し、ホスト102に応答することを意図したブロードキャスト信号である。ホスト102は、応答が受信されるシーケンス又は時間窓に基づいて、特定のクライアント120に応答を関連付けることができ、これについては、後により詳細に説明する。
【0023】
図3は、本開示の実施形態に基づくクライアント300の概略図である。図示のように、クライアント300は、信号を受信及び送信するためのインタフェース302と、入力信号を第1及び第2のチャネル信号に分離するためのスプリッタ304と、第1のチャネル信号を処理するための一次回路306と、第2のチャネル信号を処理するための二次回路308とを有する。このスプリッタアーキテクチャは、一次回路及び二次回路のための別々の配線セットを提供することに加えて、一次信号経路と二次信号経路とを分離することにより、高レベルの機能的冗長性を実現する。信号が一次バッテリ監視回路と二次バッテリ監視回路に至る前に、受動回路によって通信チャネルを効果的に物理的に分離することは、誤動作の場合であっても、一次回路が二次回路の通常の動作を妨害せず、二次回路も一次回路の通常の動作を妨害しないことを意味する。
【0024】
幾つかの実施形態では、一次回路306と二次回路308の両方がセル320を監視し、コマンド信号に応答して監視された情報をホスト102に送信できる。以下、「応答」及び「応答信号」という用語は、一次回路306又は二次回路308によって監視及び送信される情報を意味する。幾つかの実施形態では、ホスト、より具体的には、ホストの一次回路104が第1のチャネルを介して一次コマンド信号を送信する場合、一次回路306がホスト102に応答信号を送信できる。同様に、ホスト、より具体的には、ホストの二次回路106が第2のチャネルを介して二次コマンド信号を送信する場合、二次回路308がホストに応答信号を送信できる。一例では、ホスト102は、各クライアント120にコマンドを送信して、クライアント120のメモリ内に格納されている電圧センサの読取値を送信させる。別の例では、ホストは、各セル130で電圧測定を行い、これらの測定値をホスト102に返送するように、各クライアント120にコマンドを送信できる。システム100内で様々なコマンド及び応答を通信できることは、当業者にとって明らかである。
【0025】
各クライアント120がチャネル間の信号を区別し、チャネルを適切な処理回路306、308に送ることは、当業者にとって明らかである。例えば、スプリッタ304は、複数のチャネルを含む信号を受信し、受信した信号を各チャネルに分割できる。幾つかの実施形態では、スプリッタ304は、特定のチャネルに対応する特定の周波数帯域を出力するフィルタを使用できる。フィルタは、スプリッタ内に集積してもよく、システム100内の別個の回路であってもよいことは、当業者にとって明らかである。
【0026】
一次回路306及び二次回路308は、図1に示す一次回路104及び二次回路106のように、ホスト102上で使用される対応する回路を有する。これらの回路104、106の機能は、この回路が特定のチャネルで発生する通信を処理することを意図しているという点では、クライアントに関して説明したものと同様である。更に、システム100は、干渉及び電流漏れを回避するために、様々な構成要素を電気的に分離する分離要素を使用することもできる。これらの分離要素は、クライアント120間又は異なる電力領域が使用されるクライアント120とホスト102との間に配置できる。
【0027】
図4は、本発明の実施形態に基づくスプリッタの概略図である。上述のように、スプリッタ304は、第1のチャネルの低周波信号を通過させる低周波フィルタ404と、第2のチャネルの高周波信号を通過させる高周波フィルタ402とを含むことができる。低周波信号及び高周波信号は、それぞれ一次回路306及び二次回路308に入力され、処理できる。変圧器441は、ワイヤ330の他端に接続されたデバイスからクライアント300を分離できる。なお、変圧器441の代わりにフォトカプラやコンデンサ等の他の適切な電子回路を用いてもよい。
【0028】
この図に示すように、クライアント300は、デイジーチェーンループ107から信号を受信する。信号は、信号の高周波成分をブロックし、第1のチャネルに対応する低周波成分を通過させる並列の2つのインダクタ及びコンデンサを有する低周波フィルタ404を用いて、第1のチャネルに分離される。一方、第2のチャネルは、信号の低周波数成分をブロックし、第2のチャネルに対応する高周波数成分を通過させる並列の2つのコンダクタ及びインダクタを有する高周波フィルタ402を使用する。高域通過フィルタ及び低域通過フィルタの特定の設計は、アプリケーション毎に異なる可能性があり、その全てが本発明の実施形態の範囲内に含まれることは、当業者にとって明らかである。
【0029】
バッテリ管理システム100内でマルチチャネルシグナリングシステム及び双方向シグナリングアーキテクチャを使用することにより、システム自体に亘って動的冗長性が得られることは、当業者にとって明らかである。例えば、クライアント120上で一次回路又は二次回路に障害が生じた場合、ホスト102は、異なる完全に動作可能なチャネルを使用してクライアント120に冗長コマンドを通信できる。多重チャネルアーキテクチャにより、スプリアスデータの送信等、サブシステムに深刻な誤動作が発生しても、異なるチャネル上で動作する相補的なサブシステムの通常の動作が妨害されないことを確実にできる。更に、システムの双方向性により、ループ107内の何れかの箇所で完全なパス障害が発生した場合も補償を行うことができる。
【0030】
再び図1を参照すると、実施形態では、ホスト102は、2つの異なる方向140、142にコマンド信号を送信でき、すなわち、ホスト102は、双方向モードで動作できる。各方向において、ホスト102は、2つの通信チャネルのうちの少なくとも1つを介してコマンド信号を送信できる。例えば、方向140において、ホスト102の一次回路104は、インタフェース108を介して第1のコマンド信号を送信でき、二次回路106は、インタフェース108を介して第2のコマンド信号を送信できる。同様に、方向142において、ホスト102の一次回路104は、インタフェース108を介して第1のコマンド信号を送信でき、二次回路106は、インタフェース108を介して第2のコマンド信号を送信できる。
【0031】
幾つかの実施形態では、第1のコマンド信号は、クライアントの1つに応答信号をホスト102に送信するように要求できる。例えば、ホスト102は、第1のコマンド信号を第1の方向140に送信でき、第1のコマンド信号は、クライアント120bにホストへの応答の送信を要求する。ワイヤ(又はトレース)180、182のいずれかが断線した場合、クライアント120bは、コマンド信号を受信できず、その結果、ホスト102は、クライアント120bからの応答を受信できない。この状況において、ホスト102は、第1のコマンド信号を第2の方向142に送信し、クライアント120bからの応答を受信できる。しかしながら、ホストは、2つのワイヤ(又はトレース)180、182のうちのどちらに障害が生じているか又はどの特定のデバイスに障害が生じているかを判定できないため、ホスト102は、依然として障害の正確な位置を特定できない。
【0032】
全てのクライアント120へのブロードキャストコマンド信号は、どこで障害が発生したかについてより多くの可視性を提供できる。デイジーチェーンループ107の障害を識別するために、実施形態では、ホスト102は、第2のコマンド信号を送ることができ、全てのクライアントに応答信号をホストに送ることを要求できる。特定のチャネルが全てのクライアント120にコマンドをブロードキャストするので、ホスト102は、他の全ての応答に対する特定の応答の時間又は位置(例えば、応答時間窓)に基づいて、各応答を特定のクライアントに関連付けることができる。図5は、本開示の実施形態に基づく、ホストによって受信されるデータシーケンス500の概略図である。この図に示すように、ホスト102からブロードキャストコマンドAが送信される。各クライアントは、コマンドに対する応答を送信し、これは、ホスト102に対する一連の応答として現れる。各応答の連続した位置は、デイジーチェーン伝送ループ内のその位置に基づいて各クライアント120に関連付けることができる。障害が発生した場合、ホスト102は、応答のサブセットのみを受信し、これにより、ホストは、少なくとも障害が発生した場所を推定できる。ホスト102は、ループ107内のどこに障害が発生しているかを確認するのみでなく、他のクライアント120が確実にコマンドを受信するように、反対方向にコマンドを再送信できる。図6は、本開示の実施形態に基づく、デイジーチェーンループ107における時計回り方向のコマンド信号、コマンドAのフローを示している。図7は、本開示の実施形態に基づく、デイジーチェーンループ107における反時計回り方向の応答信号のフローを示している。
【0033】
図5図7について更に詳細に説明すると、ホスト102は、第2のコマンド信号、コマンドAを第1の方向140に送信でき、第2のコマンド信号は、ホストに応答を送信するように全てのクライアント120に要求できる。各クライアント(例えば、120i)は、コマンド信号に応答して、第2の方向142に隣接するクライアント(例120i-1)に応答信号(例えば、応答i)を送信し、第1の方向140に隣接するクライアント(例120j)にコマンド信号を送信できる。また、各クライアント(例えば、120i)は、第1の方向140に隣接するクライアント(例120j)から応答信号(例えば、応答j)を受信し、第2の方向142に隣接するクライアント(例120i-1)に応答信号(例えば、応答i)を送信できる。幾つかの実施形態では、クライアント120からの応答は、図5に示すように、ホスト102に順次到着できる。
【0034】
デイジーチェーンループ107に障害がない場合、ホスト102は、全てのクライアント120からの応答を受け取ることができる。一方、図6に示すように、クライアント120iと120jとの間のワイヤが断線した場合、クライアント120a~120iのみがホストに応答信号を送信できる。ホスト102は、クライアント120j~120nからの応答を受信できないので、ホスト102は、方向142に沿って別のコマンド信号を送信し、全てのクライアント120a~120nにホストへの応答の送信を要求できる。
【0035】
図8は、本開示の実施形態に基づく、デイジーチェーンループ107におけるコマンド信号、コマンドBのフローを示している。図9は、本開示の実施形態に基づく、デイジーチェーンループ107における応答信号のフローを示している。図10は、本開示の実施形態に基づく、ホスト102によって受信されるデータシーケンス1000の概略図である。図8図10に示すように、クライアント120a~120iは、デイジーチェーンループ107の障害のためにコマンドを受信することも、応答を送信することもできないので、クライアント120n~120jのみからの応答がホストに到着できる。ホスト102は、データシーケンス500及びデータシーケンス1000を比較することによって、クライアント120i及びクライアント120jの間のワイヤ(又は配線接続)に障害があると判定できる。
【0036】
なお、ホスト102は、双方向モードで第2のコマンド信号を送信することによって障害を識別でき、ここで、各第2のコマンド信号は、ホスト102に応答を送信することを全てのクライアント120に要求する。また、双方向モードにより、ホスト102は、デイジーチェーンループ107に障害があっても、全てのクライアント120からの応答を受信できる。デイジーチェーンループ107に障害がない場合、ホスト102は、2組の応答を受信でき、ここで各応答の組は、全てのクライアント120からの応答を含む。
【0037】
図11は、本開示の実施形態に基づくクライアント1100の概略図である。図に示すように、クライアント1100は、クライアント1100が2つの一次回路1106、1110と2つの二次回路1108、1112とを有する点を除き、クライアント300と同様であってもよい。幾つかの実施形態において、一次回路1106は、変圧器1140によって一次回路1110から分離してもよく、二次回路1108は、変圧器1142によって二次回路1112から分離してもよい。なお、変圧器1140、1142に代えて、他の好適な電子回路を用いてもよい。
【0038】
幾つかの実施形態において、一次回路1106及び二次回路1108は、セル1130を監視でき、一次回路1110及び二次回路1112は、セル1132を監視できる。なお、クライアント1100は、更なる数のセルを監視するために、2つ以上の一次(及び/又は二次)回路を含むことができ、ここで一次(二次)回路は、直列に配置してもよく、隣接する一次(二次)回路を分離するために、変圧器によって分離してもよい。このように、クライアント1100は、クライアント1100内の回路を統合することによって、様々な数のバッテリセルをサポートするように調整できる。
【0039】
図12は、本発明の実施形態に基づく、バッテリ管理システム100内でデータを通信する例示的なプロセスのフローチャート1200を示している。ホスト102は、複数のコマンド信号を含むコマンドを生成でき、各コマンド信号は、ある周波数の通信チャネルを使用する(ステップ1202)。幾つかの実施形態において、コマンドは、図2A及び図2Bの信号にそれぞれ関連する第1及び第2の通信チャネルを使用する2つのコマンド信号を含んでもよい。ホスト102は、第1の方向140に沿って、デイジーチェーンループ107を介してクライアント120にコマンドを送信できる(ステップ1204)。各クライアント120において、コマンドは、スプリッタ304によって複数のコマンド信号に分割でき、複数のコマンド信号に対応する複数の応答信号は、第2の方向142に沿って、デイジーチェーンループ107を介してホストに送信できる(ステップ1206)。また、各クライアント120において、コマンドは、第1の方向140に沿ってデイジーチェーンループ107を介して第1の隣接するクライアントに送信してもよい。更に、各クライアント120は、デイジーチェーンループ107内の第1の隣接するクライアントから応答信号を受信し、受信した応答信号を第2の隣接するクライアントに送信できる(ステップ1208)。
【0040】
図13は、本発明の実施形態に基づく、バッテリ管理システム100内でデータを通信する例示的なプロセスのフローチャート1300を示している。ホスト102は、第1の方向140に沿ってデイジーチェーンループ107を介してクライアント120に第1のコマンドを送信でき、ここで、第1のコマンドは、全てのクライアント120に対し、ホストに応答を送信することを要求する(ステップ1302)。各クライアントは、第1の方向140に沿ってデイジーチェーンループ107を介して隣接するクライアントに第1のコマンドを送信し、第2の方向142に沿ってデイジーチェーンループ107を介してホスト102に応答を送信できる(ステップ1304)。そして、ホスト102が全てのクライアント120から応答信号を受信したか否かを判定する(ステップ1306)。ステップ1306の判定結果が肯定的であれば、処理を終了する(ステップ1308)。この他の場合、ホスト102は、第2の方向142に沿ってデイジーチェーンループ107を介してクライアント120に第2のコマンドを送信できる(ステップ1308)。各クライアントは、第2の方向142に沿ってデイジーチェーンループ107を介して隣接するクライアントに第2のコマンドを送信し、第1の方向140に沿ってデイジーチェーンループ107を介してホスト102に応答信号を送信できる(ステップ1310)。
【0041】
上述の実施例及び実施形態は、例示的であり、本発明の範囲に限定されないことは、当業者にとって明らかである。本明細書及び図面を検討することによって当業者にとって明らかな全ての置換、改善、等価物、組合せ、及びこれらの改良は、本発明の思想及び範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0042】
102 ホスト
104 102の一次回路
106 102の二次回路
107 デイジーチェーンループ
108 インタフェース
120 クライアント
122 120の一次回路
124 120の二次回路
126 インタフェース
130 セル
140 第1の方向
142 第2の方向
180 ワイヤ
182 ワイヤ
300 クライアント
302 インタフェース
304 スプリッタ
306 300の一次回路
308 300の二次回路
320 セル
330 ワイヤ
402 高周波フィルタ
404 低周波フィルタ
441 変圧器
500 データシーケンス
1000 データシーケンス
1100 クライアント
1106 1100の一次回路
1108 1100の二次回路
1110 1100の一次回路
1112 1100の二次回路
1130 セル
1132 セル
1140 変圧器
1142 変圧器
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13