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特許7221236磁石を含む往復流体ポンプ、ならびにこれに関連するアセンブリ、システム、および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-03
(45)【発行日】2023-02-13
(54)【発明の名称】磁石を含む往復流体ポンプ、ならびにこれに関連するアセンブリ、システム、および方法
(51)【国際特許分類】
   F04B 43/10 20060101AFI20230206BHJP
   F16K 31/08 20060101ALI20230206BHJP
   F16K 11/07 20060101ALI20230206BHJP
【FI】
F04B43/10
F16K31/08
F16K11/07 G
【請求項の数】 19
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020073397
(22)【出願日】2020-04-16
(65)【公開番号】P2020204320
(43)【公開日】2020-12-24
【審査請求日】2020-08-17
(31)【優先権主張番号】62/836,551
(32)【優先日】2019-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516005359
【氏名又は名称】ホワイト ナイト フルイド ハンドリング インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】White Knight Fluid Handling Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】デイビット エム. シモンズ
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー ホワイト
(72)【発明者】
【氏名】トム エム. シモンズ
【審査官】田谷 宗隆
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第09989164(US,B1)
【文献】特開平08-135839(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0228309(US,A1)
【文献】実開昭56-14260(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 43/10
F16K 31/08
F16K 11/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
往復流体ポンプであって、
ポンプ本体と、
前記ポンプ本体内の少なくとも1つの対象流体チャンバと、
前記ポンプ本体内の少なくとも1つの駆動流体チャンバと、
少なくとも2つの導管の間で加圧駆動流体の流れをシフトさせるためのシャトル弁と、を備え、
前記少なくとも2つの導管のうちの少なくとも1つの導管は、前記少なくとも1つの駆動流体チャンバに通じており、
前記シャトル弁が、
弁本体と、
前記弁本体内に配置され、前記弁本体内の第1の位置と第2の位置との間を移動するように構成されたスプールと、
前記スプールによって運ばれる少なくとも1つの磁石及び前記弁本体上の少なくとも1つの追加の磁石を含み、前記スプールが前記第1の位置と前記第2の位置との間の中間点又はこの中間点の近接にあるときに磁力が加えられ、且つ、前記スプールの長手方向軸線に沿った位置で、前記少なくとも1つの磁石が前記少なくとも1つの追加の磁石と整列するときに、前記スプールが前記中間点よりも下方に位置決めされるように、磁場に応答して前記スプールに力を付与するように配置されかつ構成された前記少なくとも1つの磁石と、を備えており、
前記少なくとも1つの磁石は、前記スプールの長手方向軸線に沿った位置で、前記少なくとも1つの磁石が前記少なくとも1つの追加の磁石と整列し、前記少なくとも1つの磁石と前記少なくとも1つの追加の磁石との間に正味の力が存在しないときに、零ではない空気圧が前記スプールに印加されるように配置されて構成され、
前記少なくとも1つの磁石は、前記スプールに正味の空気圧が印加されていないときに、前記磁場に応答して前記スプールに零以外の力を印加するように配置され構成されている、往復流体ポンプ。
【請求項2】
前記シャトル弁は前記スプールによって運ばれる制御ロッドを備え、前記少なくとも1つの磁石は前記制御ロッドの上面上の突出部をセンターとして位置決めされた少なくとも1つの環状磁石を備える、請求項1に記載の往復流体ポンプ。
【請求項3】
前記シャトル弁は前記制御ロッドと係合する内側キャップと、前記シャトル弁の前記弁本体に取り付けられる外側キャップとを備え、前記少なくとも1つの磁石は前記制御ロッドと前記内側キャップとの間に配置されている、請求項2に記載の往復流体ポンプ。
【請求項4】
前記少なくとも1つの磁石は前記磁場に応答して前記スプールに力を付与するように配置されかつ構成され、前記第1位置および前記第2位置から等しい距離にある前記中間点に前記スプールがあるときに、前記スプールが前記中間点で停止することが防止されるようになっている、請求項1に記載の往復流体ポンプ。
【請求項5】
前記シャトル弁は前記少なくとも1つの追加の磁石は前記少なくとも1つの磁石に作用する前記磁場を提供するように配置されかつ構成されている、請求項1に記載の往復流体ポンプ。
【請求項6】
前記少なくとも1つの追加の磁石は、前記弁本体の支持構造上に位置する単一の環状磁石を備えている、請求項1に記載の往復流体ポンプ。
【請求項7】
前記スプールは、前記少なくとも1つの磁石の位置が前記少なくとも1つの追加の磁石の位置よりも相対的に高いときに、前記中間点に位置決めされる、請求項1に記載の往復流体ポンプ。
【請求項8】
前記少なくとも1つの追加の磁石は、前記少なくとも1つの磁石の上下に間隔を空けて配置された2つの環状磁石を含み、前記少なくとも1つの磁石は前記2つの環状磁石のいずれかを越えて延在しない、請求項1に記載の往復流体ポンプ。
【請求項9】
前記少なくとも1つの磁石および前記少なくとも1つの追加の磁石のそれぞれは、永久磁石である、請求項1に記載の往復流体ポンプ。
【請求項10】
前記少なくとも1つの追加の磁石は電磁デバイスである、請求項1に記載の往復流体ポンプ。
【請求項11】
往復流体ポンプであって、シャトル弁を含み、
前記シャトル弁は、
弁本体と、
前記弁本体内に配置され、前記弁本体内の第1の位置と第2の位置との間を移動するように構成されたスプールであって、前記スプールの中間点において空気圧の正味の力が零になるスプール、と、
前記弁本体の長手方向の端部の近傍にある位置決め磁石アセンブリと、を備え、
前記位置決め磁石アセンブリは、前記スプールによって運ばれる永久磁石と、前記弁本体上の少なくとも1つの固定磁気デバイスを含み、前記スプールが前記第1の位置と前記第2の位置との間の中間点又はこの中間点の近接にあるときに磁力が加えられ、且つ前記スプールの長手方向軸線に沿った位置で、前記永久磁石が前記少なくとも1つの固定磁気デバイスと整列するときに、前記スプールが前記中間点よりも下方に位置決めされるように、前記永久磁石は前記少なくとも1つの固定磁気デバイスと相互作用して、前記スプールに弁本体の長手方向軸線に沿った方向に力を付与するように構成されており、
前記永久磁石は、前記スプールの長手方向軸線に沿った位置で、前記永久磁石が前記少なくとも1つの固定磁気デバイスと整列し、前記永久磁石と前記少なくとも1つの固定磁気デバイスとの間に正味の力が存在しないときに、前記スプールが前記第1の位置と前記第2の位置との間の前記中間点から離れて配置されるように配置されて構成され、
前記永久磁石は、前記スプールが前記中間点で停止することを防止するように、前記スプールが前記中間点またはその近傍にあるときに、前記スプールに零以外の力を印加するように配置され構成されている、往復流体ポンプ。
【請求項12】
前記シャトル弁は前記永久磁石と前記スプールとの間に位置する制御ロッドを備え、前記スプールの突出部は、前記制御ロッドの下面の凹部内にしっかりと係合され、更に、前記永久磁石は前記制御ロッドの上面の突出部に係合する中央開口部を備える、請求項11に記載の往復流体ポンプ。
【請求項13】
前記シャトル弁は前記弁本体の前記長手方向の端部に固定された外側キャップを備え、記外側キャップは前記位置決め磁石アセンブリの前記永久磁石を囲むように構成される、請求項11に記載の往復流体ポンプ。
【請求項14】
前記少なくとも1つの固定磁気デバイスは、前記外側キャップによって前記弁本体の前記長手方向の端部に近接した位置に保持される2つの永久環状磁石を備える、請求項13に記載の往復流体ポンプ。
【請求項15】
前記永久磁石および前記2つの永久環状磁石のそれぞれの極性は、同じ方向に合わされる、請求項14に記載の往復流体ポンプ。
【請求項16】
前記永久磁石は前記スプールが前記第1の位置と前記第2の位置との間の前記中間点にあるときに、前記2つの永久環状磁石の間のセンターから外れて位置決めされる、請求項14に記載の往復流体ポンプ。
【請求項17】
前記少なくとも1つの固定磁気デバイスは前記弁本体内の前記スプールの移動中に前記永久磁石が前記2つの電磁デバイスを超えて延在しないように、前記永久磁石の高さよりも大きい距離で互いに離間して配置された前記2つの電磁デバイスを備える、請求項11に記載の往復流体ポンプ。
【請求項18】
往復流体ポンプのシャトル弁を作動する方法であって、
前記シャトル弁の弁本体と前記弁本体内に配置されたスプールとの間に磁場を供給し、前記スプールが前記弁本体内の第1の位置と第2の位置との間を移動するように構成されたステップと、
前記弁体に取り付けられた少なくとも1つの追加の磁石を用いて、前記スプールによって運ばれる第1の磁石を含んでおり、前記スプールが前記第1の位置と前記第2の位置との間の中間点又はこの中間点の近接にあるときに磁力が加えられ、且つ前記スプールが前記中間点よりも下にあるときに前記第1の磁石と前記少なくとも1つの追加の磁石が前記スプールの長手方向軸線に沿った位置で互いに整列するように、前記第1の磁石に磁力を付与するステップと、を含み、
前記第1の磁石は、前記スプールの長手方向軸線に沿った位置で、前記第1の磁石が前記少なくとも1つの追加の磁石と整列し、前記第1の磁石と前記少なくとも1つの追加の磁石との間に正味の力が存在しないときに、零ではない空気圧が前記スプールに印加されるように配置されて構成され、
前記第1の磁石は、前記スプールに正味の空気圧が印加されていないときに、前記磁場に応答して前記スプールに零以外の力を印加するように配置され構成されている、方法。
【請求項19】
前記少なくとも1つの追加の磁石を用いて前記第1の磁石に前記磁力を付与することは前
記第1の磁石と前記少なくとも1つの追加の磁石との間に反発力を付与することを含み、前
記反発力の大きさは前記第1の磁石と前記少なくとも1つの追加の磁石とが互いに近接する
ことにつれて増加する、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権主張)
本出願は2019年4月19日に出願された米国仮特許出願第62/836,551号の35 U.S.C. §119(e)に基づく利益を主張し、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
本開示は、概して、往復プランジャを含む往復流体ポンプに関する。より詳細には、本開示の実施形態が磁石を含む往復動デバイス(例えば、ポンプ、弁など)に関し、これに関連するアセンブリ、システム、および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
往復流体ポンプは多くの産業で使用されている。往復流体ポンプは一般に、ポンプ本体内に2つの流体チャンバを含む。往復動ピストンまたはシャフトは、ポンプ本体内で前後に駆動される。1つまたは複数のプランジャ(例えば、ダイヤフラムまたはベローズ)は前記往復動ピストンまたはシャフトに接続することができる。往復動ピストンが一方向に移動すると、プランジャの移動によって、流体が2つの流体チャンバの第1の流体チャンバに引き込まれ、第2のチャンバから排出される。往復動ピストンが反対方向に移動すると、プランジャの移動によって、流体が第1チャンバから排出され、第2チャンバ内に引き込まれる。チャンバ入口およびチャンバ出口は第1の流体チャンバと流体連通して提供されてもよく、別のチャンバ入口および別のチャンバ出口は第2の流体チャンバと流体連通して提供されてもよい。第1および第2の流体チャンバへのチャンバ入口は共通の単一のポンプ入口と流体連通していてもよく、第1および第2の流体チャンバからのチャンバ出口は共通の単一のポンプ出口と流体連通していてもよく、その結果、流体は単一の流体源からポンプ入口を通してポンプに吸い込まれ、流体は単一のポンプ出口を通してポンプから排出されてもよい。流体がチャンバ入口を通って流体チャンバにのみ流れることができ、流体がチャンバ出口を通って流体チャンバからのみ流れ出ることができることを保証するために、流体チャンバの各々のチャンバ入口および出口に逆止弁を設けることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
改良された往復流体ポンプを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の種々の実施例はポンプ本体と、ポンプ本体内の1つまたは複数の対象流体チャンバと、ポンプ本体内の1つまたは複数の駆動流体チャンバと、2つまたは複数の導管の間で加圧駆動流体の流れをシフトするためシャトル弁とを含み、前記2つまたは複数の導管のうちの少なくとも1つの導管が前記少なくとも1つの駆動流体チャンバに通じている、往復流体ポンプを含むことができる。前記シャトル弁は、弁本体と、弁本体内に配置され、弁本体内の第1位置と第2位置との間を移動するように構成されたスプールとを含む。シャトル弁はまた、スプールによって運ばれる1つ以上の磁石を含むことができる。磁石は、スプールが第1の位置と第2の位置との間の中間位置から磁気的に偏る(離れる)ように、磁場に応答してスプールに力を付与するように配置されかつ構成される。
【0005】
本発明の他の実施形態は、弁本体と、弁本体内に配置され、弁本体内の第1位置と第2位置との間を移動するように構成されたスプールとを含むシャトル弁を含む往復流体ポンプであってもよい。シャトル弁はまた、弁本体の長手方向の端部の近傍の位置決め磁石アセンブリを含む。位置決め磁石アセンブリは、スプールによって運ばれる永久磁石と、弁本体上の1つまたは複数の固定磁気デバイスとを含むことができる。永久磁石は固定磁気デバイスと相互作用して、第1の位置と第2の位置との間の中間点に位置するときにスプールが不安定になるように、弁本体の長手方向軸線に沿った方向にスプールに力を発生させるように構成される。
【0006】
本発明の別の実施形態はシャトル弁の弁本体と弁本体内に配置されたスプールとの間に磁場を提供し、弁本体内の第1の位置と第2の位置との間を移動するように構成され、スプールが第1の位置と第2の位置との間の中間位置から偏るように磁場を用いてスプールに力を付与するステップを含む、往復流体ポンプのシャトル弁を作動させる方法であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本明細書は本発明の実施形態とみなされるものを請求し、明確に主張する特許請求の範囲を伴っており、本発明の実施形態の様々な特徴および利点は添付の図面と併せて読まれる場合、本発明の例示的な実施形態の以下の説明からより容易に確かめられ得る。
図1】本発明の一実施形態に係る往復流体ポンプの斜視図である。
図2A図1に示された往復流体ポンプと共に使用され得るシャトルスプールを含むシャトル弁の概略的に示された断面図である。
図2B】シャトル弁の本体内の様々な位置に示されるシャトルスプールを示す、図2Aのシャトル弁の部分断面図である。
図2C】シャトル弁の本体内の様々な位置に示されるシャトルスプールを示す、図2Aのシャトル弁の部分断面図である。
図2D】シャトル弁の本体内の様々な位置に示されるシャトルスプールを示す、図2Aのシャトル弁の部分断面図である。
図3A】シャトルスプールを含むシャトル弁の他の実施形態の概略的に示された断面図である。
図3B】シャトル弁の本体内の様々な位置に示されるシャトルスプールを示す、図3Aのシャトル弁の一部の断面図である。
図3C】シャトル弁の本体内の様々な位置に示されるシャトルスプールを示す、図3Aのシャトル弁の一部の断面図である。
図3D】シャトル弁の本体内の様々な位置に示されるシャトルスプールを示す、図3Aのシャトル弁の一部の断面図である。
図4】シャトルスプールが対向する位置の間をサイクルするときの磁力を示す簡略化されたグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書に提示される例示は、特定の往復流体ポンプまたはその構成要素の実際の図であることを意味するものではなく、本開示の例示的な実施形態を説明するために使用される理想化された表現にすぎない。図面は、必ずしも縮尺通りではない。また、各図の間で共通する要素は、同じ数字表示を用いる場合がある。
【0009】
本明細書で使用されるように、「第1」、「第2」、「上」、「上」、「下」、「最下」、「上にある」、「下にある」などの任意の関係用語は開示および添付の図面を理解する際の明確さおよび便宜のために使用され、文脈で明確に示さない限り、任意の特定の好み、向き、または順序を暗示することも依存することもない。
【0010】
本明細書で使用されるように、所与のパラメータ手段に関して「実質的に」または「約」という語は、所与のパラメータ、特性、または条件が許容可能な製造公差内など、小さな分散度で満たされることを当業者が理解する程度を含んでいる。例えば、実質的に満たされるパラメータは、少なくとも約90%で満たされ、少なくとも約95%で満たされ、少なくとも約99%で満たされ、またはさらに100%で満たされてもよい。
【0011】
本明細書で、「磁石」という語は磁場を生成する任意の物体またはデバイスを含むことができる。磁石には、永久磁石および電磁デバイスが含まれる。
【0012】
本明細書で、「永久磁石」という語は磁化され、それ自体の永久磁場を生成する材料を含む任意の物体またはデバイスを含むことができる。
【0013】
本明細書で、「電磁デバイス」という語は導電性ワイヤまたは他の構成を通って電流を流すことによって磁場を生成するために使用される任意のデバイスを含むことができる。
【0014】
本明細書で、「磁性材料」という語は、この磁性材料に近接する磁場を変化させ、および/または、それに応答する任意の材料を含んで、例えば、「磁性材料」は、強磁性材料、フェリ磁性材料、反強磁性材料、および常磁性材料を含むことができる。
【0015】
本明細書で、「非磁性材料」という語はこの非磁性材料に近接する磁場を変化させず、および/または、それに応答しない任意の材料を含んでいる。
【0016】
本明細書で使用される、「近接」および「近傍」という語は、可動要素によって運ばれる磁石に対する磁場の位置を参照する場合、その可動要素に関連する磁石がその要素に知覚可能な力を付与する距離を含んでいる。
【0017】
往復流体ポンプはそのようなポンプのポンプ作用の駆動を容易にするために、シャトル弁を含んでもよい。動作において、シャトルスプールは周囲(大気)圧力がシャトルスプールの反対の長手方向の端面に提供されている間に、シャトルスプールの1つの長手方向の端面に陽圧を印加することによって、シャトル弁本体内で前後に移動することができる。シャトルスプールが2つの動作位置のうちの1つに移動すると、シャトルスプールの端部に隣接し、シフトシャトル導管内の任意の流体(例えば、空気などのガス)が、シャトル弁通気導管を通って周囲に通気され得る。シャトル弁はシャトルスプールがその2つの動作位置(シャトル弁本体内のボアの長手方向の端部)の間の中間位置で意図せずに停止するときに失速し易く、その結果、駆動流体は駆動流体導管からシャトル弁本体を通って2つの駆動チャンバ導管のいずれかに通過することが妨げられるか、または駆動流体が駆動流体導管からシャトル弁本体を通って2つの駆動チャンバ導管のそれぞれに少なくとも実質的に等しい状態で流れる。1つまたは複数の磁石を使用して、センター位置(または他の失速位置)に位置するときにシャトルスプールを不安定にすることによって、そのような失速の発生を低減するか、または少なくとも実質的に排除することができる。例えば、磁石が1つ以上の追加の磁石によって提供される近接磁場に応答して、シャトルスプールをシャトル弁本体内のセンター位置(例えば、中点)から偏る(離れる)ように配置され、配向され、かつ構成されてもよい。特に、2つ以上の磁石がセンターに配置されて正味の力がゼロになる場合、シャトルスプールは、センター位置の下方に配置されてもよく、シャトルスプールがセンターにあるとき、磁石はシャトルスプールの長手方向軸線に沿って長手方向にオフセットされ、その間に反発力を提供して、シャトルスプールがセンター位置で失速するのを阻止する(例えば、防止する)ようにしてもよい。
【0018】
図1は、本発明に係る一実施形態の往復流体ポンプ100について示している。いくつかの実施形態では、往復流体ポンプ100が例えば、圧縮ガス(例えば、空気)などの加圧駆動流体を使用して、例えば、液体(例えば、水、油、酸など)、気体、または粉末状物質などの対象流体をポンピングするように構成される。したがって、いくつかの実施形態では、往復流体ポンプ100が空気圧作動式液体ポンプを含むことができる。
【0019】
往復流体ポンプ100はポンプ本体102を含み、ポンプ本体102を形成するために一緒に組み立てることができる2つ以上の構成要素を含んでもよい。例えば、ポンプ本体102は、中央本体104と、中央本体104の第1の側に取り付けることができる第1の端部片106と、中央本体104の反対側の第2の側に取り付けることができる第2の端部片108とを含むことができる。往復流体ポンプ100は、対象流体入口114および対象流体出口116を含む。往復流体ポンプ100の作動中、対象流体は、対象流体入口114を通って往復流体ポンプ100内に引き込まれ、対象流体出口116を通って往復流体ポンプ100から排出され得る。往復流体ポンプ100の動作に関連するこのようなシャトル値の動作は例えば、2014年1月7日に発行された米国特許第8,622,720号、および2014年1月28日に発行された米国特許第8,636,484号に詳細に記載されており、これらの各々の開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0020】
図2Aは、図1の往復動流体ポンプ100と関連して使用され得るシャトル弁120を示している。米国特許第8,622,720号により詳細に記載されているように、ポンプ本体102は、その中に第1のキャビティ(空洞)および第2のキャビティを含むことができる。第1のプランジャは第1のキャビティ内に配置されてもよく、第2のプランジャは第2のキャビティ内に配置されてもよい。プランジャの各々は例えば、ダイヤフラム又はベローズを含むことができ、その結果、プランジャは、往復流体ポンプ100がその作動中に循環するときに長手方向に伸長され、圧縮されることができる。例えば、第1のプランジャは、前記第1のキャビティを、第1のプランジャの第1の側面上の第1の対象流体チャンバと、第1のプランジャの反対側、第2の側面上の第1の駆動流体チャンバとに分割してもよい。同様に、第2のプランジャは、第2のキャビティを、第2のプランジャの第1の側面上の第2の対象流体チャンバと、第2のプランジャの反対側、第2の側面上の第2の駆動流体チャンバとに分割してもよい。往復動流体ポンプ100は、加圧された駆動流体の流れを第1の駆動流体チャンバと第2の駆動流体チャンバとの間で前後にシフトさせるシフト機構を備えることができる。このシフト機構は例えば、1つまたは複数のシフトピストンおよびシャトル弁120を含むことができる。
【0021】
図2Aに示すように、シャトル弁120は、シャトル弁本体122と、このシャトル弁本体122を少なくとも部分的に貫通して延在するボア内に配置されたシャトルスプール124とを含む。シャトルスプール124が第1の位置とシャトル弁本体122内の第2の位置との間を移動(例えば、長手方向に)するときに、制御ロッド134がシャトルスプール124と共に移動する(例えば、運ばれる)ように、制御ロッド134をシャトルスプール124の上面に取り付けることができる。この制御ロッド134は、その上端に近接しているねじ山136と、ねじ山136に近接している制御ロッド134の上面上の突出部138とを含むことができる。制御ロッド134は、その下側端に凹部140を含み、反対の上側端には前記突出部138を含んでいる。シャトルスプール124は図2Aに示すように、その上面に、制御ロッド134の凹部140内に延在し、その中に固定されるように構成された突出部142を含む。シャトルスプール124が突出部142に隣接する(例えば、取り囲む)肩領域156を含むように、突出部142の寸法(例えば、直径)は、シャトルスプール124の寸法よりも小さくてもよい。肩領域156の少なくとも一部は、制御ロッド134の下端を支持する。さらに、肩領域156の外側部分は、制御ロッド134の横方向範囲を越えて延びることができる。
【0022】
支持構造144は制御ロッド134の上端に近接し、かつ少なくとも部分的に囲むシャトル弁本体122の長手方向端部上に任意に配置されてもよい。内側キャップ158は、制御ロッド134の上端に取り付けられてもよい。例えば、内側キャップ158のねじ山162は、制御ロッド134のねじ山136と係合するように構成されている。内側キャップ158の少なくとも一部は、支持構造144と制御ロッド134との間に配置されてもよい。更に、外側キャップ160は内側キャップ158及び制御ロッド134の上端と同様に、支持構造144の上方に配置されてもよい。具体的には、図2Aに示すように、支持構造体144および内側キャップ158の少なくとも一部を、外側キャップ160の凹部164に配置することができる。外側キャップ160はシャトル弁本体122に、またはその任意の構成要素(例えば、ねじ込みインサートなど)とともに取り付け可能(例えば、ねじ込み可能に係合可能)であってもよく、シール部材(例えば、Oリング)などを用いてシャトル弁本体122にシールされてもよい。構成要素(例えば、シャトル弁120および制御ロッド134)の一部は、シャトル弁本体122の中央キャビティ126内に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、中央キャビティ126の上部がその下部よりも大きな寸法(例えば、直径)を有するものでもよい。
このような実施形態では、シャトル弁本体122の肩領域166が中央キャビティ126の上部の下部境界を画定してもよい。
【0023】
磁気デバイス(例えば、磁石)はシャトル弁120のシャトル弁本体122の内部または近傍(例えば、構成要素に取り付けられる)に設けられてもよい。このような磁気デバイスは磁気デバイス(例えば、位置決め磁石アセンブリ)のアセンブリ内に含まれてもよく、図2に示すように、例えば、第1の磁気デバイス150(例えば、磁石)および第2の磁気デバイス152(例えば、別の磁石)を含んでもよい。図3A~3Dを参照して以下でより詳細に説明するように、追加の磁気デバイスを含めることもできる。
【0024】
第1の磁気デバイス150は、シャトルスプール124によって運ばれてもよく、制御ロッド134の上端に配置されてもよい。特に、第1の磁気デバイス150は近接磁場に応答してシャトルスプール124に力を付与するように、位置決めされ、配向され、構成されてもよい。いくつかの実施形態では、第1の磁気デバイス150が中央開口を有する環状磁石(例えばリング磁石)であってもよい。第1の磁気デバイス150は、その中央開口部が制御ロッド134の突出部138をセンター(中心)にして位置決めされるようにして制御ロッド134上に配置されてもよい。第2の磁気デバイス152は、第1の磁気デバイスが配置されるシャトルスプール124の端部に対応するシャトル弁本体122の長手方向の端部に近接して、シャトル弁本体122またはその構成要素内に配置されている。例えば、第2の磁気デバイス152は、外側キャップ160の凹部164内に位置していてもよい。いくつかの実施形態において、第2の磁気デバイス152は、環状磁石であってもよく、外側キャップ160の下面と支持構造144の上面との間に配置されてもよい。さらに、第2の磁気デバイス152は、図2Aに示すように、第1の磁気デバイス150のそれよりも直径が大きくてもよく、第1の磁気デバイス150ならびに第1の磁気デバイス150を包囲する内側キャップ158の一部を包囲してもよい。これにより、第2磁気デバイス152は、距離をおいて第1磁気デバイス150から離間してもよい。いくつかの実施形態では、ポリマーなどの非磁性材料を、第1の磁気デバイス150と第2の磁気デバイス152との間に配置することができる。他の実施形態では、第2の磁気デバイス152が電磁デバイスを含んでもよい。
【0025】
引き続き図2Aを参照すると、5つの凹部176A~176Eは、シャトルスプール124が配置されているボア内のシャトル弁本体122の壁に、設けられている。この5つの凹部176A~176Eの各々は、シャトルスプール124が配置されているシャトル弁本体122内のボアの周囲に延在する実質的に連続した環状の凹部とすることができる。したがって、5つの凹部176A~176Eのそれぞれは、シャトルスプール124の左側および右側の図2Aの断面図で見ることができる(図2Aの斜視図から)。流体導管は、シャトル弁本体122を通って、5つの凹部176A~176Eのそれぞれに通じることができる。
【0026】
駆動流体導管178は、図2Aに示されるように、中央、第3の凹部176Cに接続することができる。従って、加圧された駆動流体を、加圧された駆動流体源(例えば、圧縮空気のような圧縮ガス源)から第3の凹部176Cに供給することができる。第1の駆動チャンバ導管180Aは第2の凹部176Bと往復流体ポンプ100の第1の駆動流体チャンバ(図1)との間に延在してもよく、第2の駆動チャンバ導管180Bは第4の凹部176Dと往復流体ポンプ100の第2の駆動流体チャンバとの間に延在してもよい。
【0027】
第1のシャトル弁通気導管182Aは第1の凹部176Aからシャトル弁本体122の外部に延在してもよく、第2のシャトル弁通気導管182Bは第5の凹部176Eからシャトル弁本体122の外部に延在してもよい。これらのシャトル弁通気導管182A、182Bは、図2Aにおいて、ねじを切ったレセプタクルとして図示されている。マフラーまたは他の流体導管は任意に、そのようなねじを切ったレセプタクルを介して、シャトル弁通気導管182A、182Bに結合されてもよい。
【0028】
図2Aに示すように、シャトルスプール124が配置されているボア内で、シャトル弁本体122の壁内のシャトルスプール124と5つの凹部176A~176Eとの間に、円筒形インサート190が配置されてもよい。円筒状インサート190は、5つの凹部176A~176Eのうちの1つと整合するシャトルスプール124の長手方向軸線に対して横断する各平面内の円筒状インサート190を通って延在する1つまたは複数の孔部192を備えることができる。
従って、円筒状インサート190の内部と、円筒状インサート190の孔部192を通る凹部176A~176Eの各々との間に流体連通が形成される。さらに、複数の環状密封部材(例えば、Oリング)(図示せず)を、任意に、円筒形インサート190の外側円筒面と、シフトピストンが配置されたボア内のシャトル弁本体122の隣接壁との間に設けて、円筒形インサート190とシャトル弁本体122との間の任意の空間を通る凹部176A~176Eの間の流体連通を排除してもよい。
【0029】
シャトルスプール124は、シャトルスプール124の外面にある第1の環状凹部196Aと、シャトルスプール124の外面にある第2の環状凹部196Bとを備えている。
第1の環状凹部196Aおよび第2の環状凹部196Bは、シャトルスプール124の外面上の中央環状隆起部197によって分離されている。さらに、環状の第1の端部突条198Aが中央環状突条197に対向する第1の環状凹部196Aの長手方向側のシャトルスプール124の外面に設けられ、環状の第2の端部突条198Bが中央環状突条197に対向する第2の環状凹部196Bの長手方向側のシャトルスプール124の外面に設けられている。さらに、シャトルスプール124の突出部142は環状の第1の端部リッジ198Aから、環状の第1の端部リッジ198Aの方向とは反対の方向に延びている。
【0030】
第1の環状凹部196Aおよび第2の環状凹部196Bのそれぞれは、5つの凹部176A~176Eの2つの隣接する凹部に少なくとも部分的に長手方向に重なるのに十分な長さ(例えば、シャトルスプール124の長手方向軸線に略平行な寸法)を有する。例えば、シャトルスプール124が図2Aに示される位置にあるとき、第1の環状凹部196Aは第2の凹部176Bおよび第3の凹部176Cのそれぞれに延在し、少なくとも部分的に重なり、第2の環状凹部196Bは第4の凹部176Dおよび第5の凹部176Eのそれぞれに延在し、少なくとも部分的に重なる。いくつかの実施形態では、流体連通が第3の凹部176Cを通して、駆動流体導管178と第1の駆動チャンバ導管180Aとの間に、第3の凹部176Cと整列した円筒形インサート190内の孔部192と、シャトルスプール124内の第1の環状凹部196Aと、第2の凹部176Bと整列した円筒形インサート190内の孔部192と、第2の凹部176Bとの間に設けられてもよい。また、この構成では、流体連通が第4の凹部176Dを介して、第2の駆動チャンバ導管180Bと第2のシャトル弁通気導管182Bとの間に設けられ、第4の凹部176Dと整列した円筒形インサート190内の孔部192と、シャトルスプール124内の第2の環状凹部196Bと、第5の凹部176Eと整列した円筒形インサート190内の孔部192と、第5の凹部176Eとの間に設けられる。
【0031】
再び図2Aに戻ると、第1および第2の磁気デバイス150、152の各々は例えば、少なくとも実質的に磁性材料からなる永久磁石を備えることができる。磁性材料は例えば希土類元素を含んでもよい(例えば、第1および第2の磁気デバイス150、152のそれぞれは、永久希土類磁石を含んでもよい)。非限定的な実施例として、磁性材料は、サマリウムコバルト合金およびネオジム鉄合金のうちの少なくとも1つを含んでもよい。いくつかの実施形態では第1および第2の磁気デバイス150、152のうちの少なくとも1つ(例えば、それぞれ)は電磁デバイスを含むことができる。いくつかの実施形態では、シャトル弁本体122およびシャトルスプール124が第1および第2の磁気デバイス150、152を除いて、ポリマーおよび/または非磁性金属などの非磁性材料から少なくとも実質的に構成されてもよい。限定ではない一例として、そのようなポリマーは、フルオロポリマー、ネオプレン、ブナ-N、エチレンジエンMクラス(EPDM)、VITON(登録商標)、ポリウレタン、HYTREL(登録商標)、SANTOPRENE(登録商標)、フッ素化エチレン-プロピレングリコール(FEP)、ペルフルオロアルコキシフルオロカーボン樹脂(PFA)、エチレン-クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ナイロン、ポリエチレン、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、NORDEL(登録商標)そして、ニトリルを例示できる。また、限定ではない一例として、そのような非磁性金属は、ステンレス鋼、INCONEL(登録商標)、MONEL(登録商標)、HASTELLOY(登録商標)、高ニッケル合金、真鍮、銅、青銅、アルミニウム、および亜鉛のうちの1つまたは複数を含むものを例示できる。
【0032】
前記第1および第2の磁気デバイス150、152は、シャトルスプール124がシャトル弁本体122内を前後にスライドするときに、近接磁場に応答してシャトルスプール124に力を付与するように、位置決めされ、配向され、構成されている。特に、第1の磁気デバイス150は、シャトルスプール124を、第2の磁気デバイス152によって提供される近接磁場に応答して、シャトル弁本体122内の2つの対向する位置のセンター位置(例えば、中間点)から偏るように、位置決め、配向、および構成されている。
【0033】
例えば、シャトルスプール124により運ばれた第1の磁気デバイス150およびシャトル弁本体122内に配置された第2の磁気デバイス152は、その動作中にシャトルスプール124がスライドする共通軸に沿ってかつそのセンターに位置決めされてもよく、第1の磁気デバイス150の極性が第2の磁気デバイス152の極性と反対になるように配向されてもよい。換言すれば、第1の磁気デバイス150の磁気モーメントベクトルは、第2の磁気デバイス152の磁気モーメントベクトルと反対の方向に延びていてもよい。さらに、第1の磁気デバイス150の磁気モーメントベクトルは第2の磁気デバイス152の磁気モーメントベクトルと平行であり、共通の軸(例えば、シャトルスプール124がそれに沿ってスライドする軸)に沿って整列されていてもよい。この構成では反発力が第1の磁気デバイス150と第2の磁気デバイス152との間に加えられ、その大きさはシャトル弁120の動作中に第1の磁気デバイス150と第2の磁気デバイス152とが互いに近接されるにつれて増大する。第2の磁気デバイス152はシャトル弁120の動作中に第2の磁気デバイス152が動かないように、シャトル弁本体122またはその構成要素内の固定位置に配置することができる。したがって、第1の磁気デバイス150がシャトルスプール124によって運ばれるとき、第2の磁気デバイス152の近接磁場によって第1の磁気デバイス150に加えられる力は、平行移動され、シャトルスプール124に加えられることになる。その結果、第2の磁気デバイス152の近接磁界によってシャトルスプール124に力が加えられ、シャトルスプール124をセンター位置から離れて第1の位置または第2の位置の一方に向かってスライドさせるように付勢する。
【0034】
あるいはシャトルスプール124によって運ばれる第1の磁気デバイス150、およびシャトル弁本体122内に配置される第2の磁気デバイス152、またはその構成要素は第1の磁気デバイス150の極性が第2の磁気デバイス152の極性と同じになるように配向されてもよい。言い換えると、第1の磁気デバイス150の磁気モーメントベクトルは、第2の磁気デバイス152の磁気モーメントベクトルが延びるのと同じ方向に延びることができる。また、第1の磁気デバイス150の磁気モーメントベクトルは、第2の磁気デバイス152の磁気モーメントベクトルと共通軸に平行に且つ整列されていてもよい。この構成では吸引力が第1の磁気デバイス150と第2の磁気デバイス152との間に加えられ、その大きさはシャトル弁120の動作中に第1の磁気デバイス150と第2の磁気デバイス152とが互いに近接されるにつれて増大する。したがって、第1の磁気デバイス150がシャトルスプール124によって運ばれるとき、第2の磁気デバイス152の近接磁場によって第1の磁気デバイス150に加えられる力は、転移され、シャトルスプール124に加えられることになる。その結果、第2の磁気デバイス152の近接磁界によってシャトルスプール124に力が加えられ、シャトルスプール124は、センター位置から離れて第1の位置または第2の位置の一方に向かってスライドするように付勢される。
【0035】
再び図2Aに戻ると、第1の磁気デバイス150および第2の磁気デバイス152はシャトル弁本体122内のシャトルスプール124の移動サイクルの間に、互いに中心に位置合わせされる(例えば、完全に横方向に整列される)。特に、第1の磁気デバイス150と第2の磁気デバイス152とが互いにセンターに位置合わせされるとき、その間に作用する正味の力はゼロであり、したがって、シャトルスプール124に加えられる磁力はない。サイクルのこの段階では、シャトルスプール124が例えば、そのセンター位置よりも下方に位置することができる。このような実施形態では、シャトルスプール124の肩領域156がシャトル弁本体122の肩領域166から長手方向に(例えば、下方に)オフセットされてもよく、図2Aに示すように、内側キャップ158の上面と支持構造144の下面との間の外側キャップ160の凹部164内に間隙(ギャップ)が存在する。
【0036】
図2B図2Dは、シャトルスプール124がシャトル弁本体122内を前後にスライドするときの、移動サイクルの様々な段階におけるシャトル弁本体122内の様々な位置におけるシャトルスプール124を図示する、図2Aのシャトル弁120の一部の断面図である。
【0037】
図2Bに示すように、第1の磁気デバイス150および第2の磁気デバイス152はシャトルスプール124が下がっているときに(例えば、その移動の下端で)、互いにセンター合わせされなくてもよい。特に、第1の磁気デバイス150の位置が第2の磁気デバイス152の位置よりも低い場合には、その間に磁力(例えば、反発力)が作用し、その力がシャトルスプール124に加えられる。この段階では、シャトルスプール124の肩領域156が図2Aに示されるステージに関連するものよりも大きい距離だけ、シャトル弁本体122の肩領域166から長手方向に(例えば、下方に)オフセットされてもよく、図2Bに示されるように、内側キャップ158の上面と支持構造144の下面との間の、外側キャップ160の凹部164内の間隙は増加される。
【0038】
図2Cに示すように、シャトルスプール124がセンター位置にある場合、第1の磁気デバイス150の位置は、第2の磁気デバイス152の位置よりも相対的に高い。この段階では、磁力がその間に作用して、シャトルスプール124がセンター位置で失速するのを阻止する(例えば、防止する)。言い換えると、第1の磁気デバイス150および第2の磁気デバイス152はシャトルスプール124の失速の発生を低減(例えば、実質的に排除)するために、センター位置またはその近傍に位置するときに、シャトルスプール124を不安定化させるために、その間に磁力を発生させるために用いることができる。この段階では、シャトルスプール124の肩領域156とシャトル弁本体122の肩領域166との間の距離を減少させてもよく、図2Cに示すように、内側キャップ158の上面と支持構造144の下面との間の外側キャップ160の凹部164内の間隙も減少させてもよい。
【0039】
図2Dに示されるように、第1の磁気デバイス150の位置はシャトルスプール124がセンター位置より上方(例えば、その移動の上端)にあるときに、第2の磁気デバイス152の位置より、より大きな距離で高い。この段階で、第1の磁気デバイス150と第2の磁気デバイス152との間に磁力が作用し、その結果、シャトルスプール124に力が加えられる。この段階では、シャトルスプール124の肩領域156がシャトル弁本体122の肩領域166と実質的に整列されてもよく、内側キャップ158の上面と支持構造144の下面との間の外側キャップ160の凹部164内の間隙は図2Dに示されるように、さらに減少される(例えば、存在しない)。
【0040】
図3Aは、図1に示される往復流体ポンプ100などの往復流体ポンプと併せて使用され得るシャトル弁120′の別の実施形態の断面図を図示する。導管、凹部、隆起部などの多くの部分は図2Aのシャトル弁120の実施形態に含まれるものと同様(例えば、同じ)であり、その説明はここでは繰り返さない。前の実施形態と同様に、シャトル弁120′はシャトル弁本体122と、シャトル弁本体122を少なくとも部分的に貫通して延在するボア(例えば、中央キャビティ126)内に配置されたシャトルスプール124とを含む。さらに、シャトル弁120′の第1の磁気デバイス150は、シャトルスプール124によって運ばれてもよく、制御ロッド134の上端に位置してもよい。図2Aの実施形態のように、第1の磁気デバイス150は、中央開口部を有する環状磁石(例えばリング磁石)であってもよく、第1の磁気デバイス150はその中央開口部が制御ロッド134の突出部138を中心に位置合わせするように、制御ロッド134上に配置されてもよい。同様に、第2の磁気デバイス152は例えば、環状磁石であってもよく、外側キャップ160の下面と、外側キャップ160の凹部164内の支持構造144の上面との間に配置されてもよい。図3Aの実施形態の違いは、シャトル弁本体122またはその構成要素に取り付けられる第3の磁気デバイス154(例えば、追加の磁石)にある。特に、第3の磁気デバイス154は第2の磁気デバイス152のものと同様の(例えば、同じ)形状や大きさであってもよく、例えば、シャトルスプール124の長手方向軸線に沿って、第2の磁気デバイス152の上方(例えば、直列的)に配置されてもよい。このような実施形態では、第3の磁気デバイス154が外側キャップ160の凹部164内に配置することもできる。しかしながら、第3の磁気デバイス154は、第1の磁気デバイス150を取り囲むのではなく、内側キャップ158の部分および/または支持構造144の部分を取り囲むことができる。特に、第3の磁気デバイス154の位置は図3Aの実施形態に示すように、第1の磁気デバイス150の位置よりも上にあるのが好ましく、第2の磁気デバイス152の位置は、第1の磁気デバイス150の位置よりも下にあるのが好ましい。
【0041】
さらに、第3の磁気デバイス154は非磁性材料(例えば、ポリマー)を間に有するシャトル弁120'の構成要素との距離によって、第1の磁気デバイス150および第2の磁気デバイス152のそれぞれから分離されてもよい。シャトルスプール124がシャトル弁120′の作動中にシャトル弁本体122内を前後にスライドすると、第1の磁気デバイス150は第2の磁気デバイス152および第3の磁気デバイス154のいずれか(例えば、それぞれ)を越えて延在しないのがよい。
【0042】
第3の磁気デバイス154はまた、上述した第1の磁気デバイス150および第2の磁気デバイス152と同様に、永久磁石または電磁デバイスであってもよい。第1、第2、および第3の磁気デバイス150、152、および154は図2Aから図2Dの実施形態と同様に、シャトルスプール124がシャトル弁本体122内を前後に移動するときに、シャトルスプール124に力を付与するように、位置決め、方向付け、構成されてもよい。例えば、第1の磁気デバイス150は第2および第3の磁気デバイス152、154によって提供される近接磁界に応答して、シャトル弁本体122内の2つの対向する位置のセンター位置(例えば、中間点)からシャトルスプール124を離すように、配置、配向、かつ構成されてもよい。いくつかの実施形態では、第2の磁気デバイス152および第3の磁気デバイス154のそれぞれは第1の磁気デバイス150と第2および第3の磁気デバイス152、154のそれぞれとの間に反発力が加えられるように、第1の磁気デバイス150の極性が第2および第3の磁気デバイス152、154の極性と逆になるように配向されてもよい。他の実施形態では、第2の磁気デバイス152および第3の磁気デバイス154のそれぞれは例えば、第1の磁気デバイス150と第2および第3の磁気デバイス152、154のそれぞれとの間に吸引力が加えられるように、第1の磁気デバイス150の極性が第2および第3の磁気デバイス152、154の極性と同じになるように配向されてもよい。さらに他の実施形態では第2および第3の磁気デバイス152、154のうちの少なくとも一方(例えば、両方)は電磁デバイスであってもよい。当然のことながら、当業者はシャトルスプール124がセンター位置で失速するのを防止する(例えば、防止する)ように、磁気デバイスの互いに対する任意の構成(例えば、位置、極性の向き、サイズ、形状など)が、それらの間に作用するそのような磁力の方向および大きさの両方を提供するために選択され得ることを認識するであろう。
【0043】
図3B~3Dは図3Aのシャトル弁120'の部分断面図であり、シャトルスプール124がシャトル弁本体122内で前後にスライドするときの、図2B~2Dの実施形態に示されるものと同様、移動サイクルの様々な段階におけるシャトル弁本体122内の様々な位置にあるシャトルスプール124を示している。
【0044】
図3Bに示すように、第1の磁気デバイス150の位置はシャトルスプール124が下降しているとき(例えば、その移動の下端)には、第3の磁気デバイス154の位置よりも第2の磁気デバイス152の位置に比較的近い。特に、第1の磁気デバイス150の位置が第2の磁気デバイス152の位置に比較的近い場合、第1の磁気デバイス150と第2の磁気デバイス152との間に磁力(例えば、反発力)が作用し、これは、代わりに、力がシャトルスプール124に加えられる。この段階ではシャトルスプール124の肩領域156が図3Aに示されるステージに関連するものよりも大きい距離だけ、シャトル弁本体122の肩領域166から長手方向にオフセットされてもよく、内側キャップ158の上面と支持構造144の下面との間の外側キャップ160の凹部164内の間隙は図3Bに示されるように増加される。
【0045】
図3Cに示すように、第1の磁気デバイス150の位置は、シャトルスプール124がセンター位置にあるときの第2の磁気デバイス152の位置よりも第3の磁気デバイス154の位置に比較的近い。この段階では、磁力が第1の磁気デバイス150と第3の磁気デバイス154との間に作用して、シャトルスプール124がセンター位置で失速するのを阻止(例えば、防止)する。言い換えると、第1の磁気デバイス150は第2の磁気デバイス152および第3の磁気デバイス154と組み合わせて、シャトルスプール124の失速の発生を低減(例えば、実質的に排除)するために、センター位置またはその近傍に位置するときに、シャトルスプール124を不安定化するために、その間に磁力を生成するために使用されてもよい。この段階では、シャトルスプール124の肩領域156とシャトル弁本体122の肩領域166との間の距離を減少させてもよく、図3Cに示すように、内側キャップ158の上面と支持構造144の下面との間の外側キャップ160の凹部164内の間隙を減少させてもよい。
【0046】
図3Dに示すように、第1の磁気デバイス150の位置はシャトルスプール124がセンター位置より上(例えば、その移動の上端)にあるときに、第2の磁気デバイス152の位置よりも第3の磁気デバイス154の位置に相対的に近い。この段階で、第1の磁気デバイス150と第3の磁気デバイス154との間に磁力が作用し、その結果、シャトルスプール124に力が加えられる。この段階では、シャトルスプール124の肩領域156がシャトル弁本体122の肩領域166と実質的に整列されてもよく、内側キャップ158の上面と支持構造144の下面との間の外側キャップ160の凹部164内の間隙は図3Dに示されるように、さらに減少される(例えば、存在しない)。
【0047】
図4はシャトルスプール124が第1位置と第2位置との間をサイクルするときの、2つ以上の磁気デバイス(例えば、第1の磁気デバイス150および第2の磁気デバイス152)間の磁力(例えば、反発力)を示いている簡略化されたグラフである。図4に示されるように、磁力は例えば、シャトルスプール124が第1の位置(位置1として示される)にあるとき、正の方向に非ゼロ量であり得、磁力はシャトルスプール124が第2の位置(位置2として示される)にあるとき、負の方向に非ゼロ量であり得る。シャトルスプール124が第1の位置から第2の位置に移動することにつれて、磁気力は図2Aに描かれた段階で示されるように、磁気デバイスが中立位置(例えば、完全に横方向に整列)になるまで増加する(例えば、実質的に直線的に)。中立位置では、第1の磁気デバイス150および第2の磁気デバイス152がその間に作用する正味の力がゼロになるように、互いにセンター合わせされる。この段階では、図2Aを参照してより詳細に説明するように、シャトルスプール124に加えられる磁力がない。したがって、磁力の正味のゼロの力は図4の破線の位置によって描かれているように、シャトルスプール124がセンターからずれているときに生じる。
第1の磁気デバイス150および第2の磁気デバイス152が互いに対して中立位置を通過した後、図4に示すように、シャトルスプール124が第2の位置に近づくにつれて、その間の磁力は増加し、シャトルスプールが第2の位置にあるとき、磁力は負の方向へゼロ以外の量となっている。
【0048】
したがって、図2Cを参照して図示および説明されるように、シャトルスプール124がセンター位置にあるとき、磁力はその間に作用して、シャトルスプール124がセンター位置で失速するのを阻止(例えば、防止)する。言い換えると、第1の磁気デバイス150および第2の磁気デバイス152は、シャトルスプール124の失速の発生を低減(例えば、実質的に排除)するために、センター位置またはその近傍に位置するときに、シャトルスプール124を不安定化させるために、その間に磁力を発生させるために用いることができる。このような実施形態では磁気デバイスが中立位置(例えば、正味のゼロの力)にあるとき、空気流体の流体圧力はゼロ以外の量であり、その結果、磁気デバイスが中立位置にあるとき、進行中の圧力(例えば、空気圧)はシャトルスプール124を押し続ける。換言すれば、シャトルスプール124がセンター位置(例えば、第1の位置と第2の位置との間の中間位置)にあるように、空気圧が一方向から別の方向に(例えば、ゼロ点で)切り替わるとき、シャトルスプール124がセンター位置で失速しないようにするために、磁気デバイス間に作用する磁力はゼロではない。図4のグラフは2つの磁気デバイスを含む図2Aから2Dの実施形態を参照して説明されるが、図4に示されるような磁気力は3つの磁気デバイスを含む図3Aから3Dの実施形態を参照して同様に説明されてもよい。
【0049】
本明細書に開示されるような磁気デバイス(例えば、磁石)を含むそのようなシャトル弁は、従来のシャトル弁および関連するシャトルスプールを超える一定の利点を有し得る。例えば、シャトル弁の本体内のセンター位置から偏るようにシャトルスプールを付勢するように構成された1つまたは複数の磁石を使用して磁界を提供することにより、シャトルスプールの失速発生を防止することができる。特に、2つ以上の磁石がセンターに置かれたとき(例えば、正味の力がゼロ)、シャトルスプールがセンター位置にあるとき、シャトルスプールをそのセンター位置の下に位置決めし、磁石を長手方向にオフセットさせると、磁石間に反発力もたらされ、その結果、シャトルスプールはシャトルスプールがセンター位置で停止するのを阻止され(例えば、防止され)、第1の位置または第2の位置の一方に向かって押されるように不安定化される。さらに、シャトルスプールがセンター位置で停止するのを阻止するのに必要な力(例えば、磁気反発力)は、シャトルスプールを第1の位置および/または第2の位置に向かって押すのに必要な力よりも小さくてもよい。磁石を含むそのようなシャトル弁を設けることは、作動中のシャトル弁の効率を増加させ、それによって、関連する往復流体ポンプの効率を増加させ得る。
【0050】
本明細書では本発明を、特定の例示された実施形態に関して説明してきたが、当業者は本発明がそのように限定されないことを認識し、理解するのであろう。むしろ、例示された実施形態に対する多くの追加、削除、および修正は、以下に特許請求される開示の範囲から逸脱することなく、その法的均等物を含めることができる。さらに、1つの実施形態からの特徴は本発明者によって企図される開示の範囲内に依然として包含されながら、別の実施形態の特徴と組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0051】
100 往復流体ポンプ
102 ポンプ本体
114 対象流体入口
116 対象流体出口
120 シャトル弁
120´ シャトル弁
122 シャトル弁本体
124 シャトルスプール(スプール)
134 制御ロッド
150 第1の磁気デバイス
152 第2の磁気デバイス
154 第3の磁気デバイス
158 内側キャップ
160 外側キャップ
164 凹部
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図3C
図3D
図4