(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-03
(45)【発行日】2023-02-13
(54)【発明の名称】自動注入器を提供しアセンブリするためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61M 5/00 20060101AFI20230206BHJP
【FI】
A61M5/00 510
(21)【出願番号】P 2020526290
(86)(22)【出願日】2018-11-08
(86)【国際出願番号】 US2018059755
(87)【国際公開番号】W WO2019094547
(87)【国際公開日】2019-05-16
【審査請求日】2020-10-26
(32)【優先日】2017-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516182041
【氏名又は名称】ウィンドギャップ メディカル, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スタンドリー、アダム
【審査官】二階堂 恭弘
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/166765(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0259948(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0161225(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0183113(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0307956(US,A1)
【文献】特表2014-513597(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構成要素保管及び入れ子システムであって、
たらい(20)の内部表面に設けられたリップ部分(22、36)を有する前記たらいと、
複数の受け部(414)を有する主入れ子(150、410)であって、
前記複数の受け部は、前記主入れ子の上面から延在しており、前記主入れ子の前記上面が、前記リップ部分周りで前記たらいに係合するように構成されたフランジ部分を
前記主入れ子の周囲周りに有する、主入れ子と、
複数の医療構成要素であって、前記主入れ子の前記複数の受け部(414)のそれぞれに医療構成要素が提供される、複数の医療構成要素と、
複数の
ペデスタル(174、458)を有するリテーナ入れ子(170、450)であって、
複数のペデスタルは、前記リテーナ入れ子の上面から延在しており、前記リテーナ入れ子の前記上面が、前記リテーナ入れ子の前記フランジ部分
に重なるように構成さ
れたフランジ部分を
前記リテーナ入れ子の周囲周りに有しており、前記
ペデスタルのそれぞれは、前記
ペデスタルのベース部分の中に形成された開口を有しており、それぞれの医療構成要素の一部分がそれを通過することを可能にしており、
前記ペデスタルの前記ベース部分は、前記リテーナ入れ子の前記上面から延在していない前記ペデスタルの端部に位置付けられており、前記リテーナ入れ子のそれぞれの
ペデスタルは、前記主入れ子のそれぞれの受け部の中に嵌まるように形状決めされ
ており、前記リテーナ入れ子を前記主入れ子の中へ挿入すると、前記複数の医療構成要素が前記リテーナ入れ子と前記主入れ子との間の適切な場所に保持されることを引き起こす、リテーナ入れ子と
を備える、システム。
【請求項2】
前記リテーナ入れ子は、前記たらいの上側縁部と位置合わせする高さにおいて、
前記リテーナ入れ子の前記上面から突出している1つ又は複数の延長部(178)をさらに備える、請求項1に記載の構成要素保管及び入れ子システム。
【請求項3】
前記リテーナ入れ子の前記フランジ部分と前記主入れ子の前記フランジ部分が、箱の中で前記リップ部分(36)上で互いに重なって、前記たらいの上側縁部と同一平面になるようになっている、請求項1に記載の構成要素保管及び入れ子システム。
【請求項4】
前記主入れ子のそれぞれの受け部は、
底部分を有しており、
前記主入れ子のそれぞれの受け部の前記
底部分の一部は、前記主入れ子の前記上面に向けて内側へ隆起(415)されている、請求項1に記載の構成要素保管及び入れ子システム。
【請求項5】
前記リテーナ入れ子の前記
ペデスタルの側壁の一部分は、
前記ペデスタルの前記ベース部分を越えて延在している、請求項1に記載の構成要素保管及び入れ子システム。
【請求項6】
延在させられた前記側壁の一部分、および、前記リテーナ入れ子のそれぞれの
ペデスタルの前記ベース部分の前記開口の周りの周囲部は、広がった端部(460)を形成しており、前記広がった端部(460)は、前記主入れ子のそれぞれの受け部の下側部分の中に形成された相補的な受入れ端部(416)とともに封止するように構成されている、請求項5に記載の構成要素保管及び入れ子システム。
【請求項7】
前記リテーナ入れ子のそれぞれの
ペデスタルの前記ベース部分の深さは、リテーナ入れ子の前記上面に向けて前記開口を通って延在する前記医療構成要素の前記一部分よりも大きくなっている、請求項1に記載の構成要素保管及び入れ子システム。
【請求項8】
前記主入れ子及び前記リテーナ入れ子は、逆さまにされるように構成されており、前記主入れ子が、前記リテーナ入れ子の上に載った状態になるように、逆さまにされた状態になっているそれぞれの医療構成要素にアクセスするために取り除かれ得るようになっている、請求項7に記載の構成要素保管及び入れ子システム。
【請求項9】
前記たらいの前記リップ部分が、前記たらいの上側縁部から所定の距離に設けられている、請求項1に記載の構成要素保管及び入れ子システム。
【請求項10】
複数の反対側の受け部を有する蓋であって、前記反対側の受け部が、その内部表面に設けられた1つ又は複数の位置合わせ特徴部を有する、蓋をさらに備える、請求項9に記載の構成要素保管及び入れ子システム。
【請求項11】
複数の医療構成要素をアセンブリ・ステーションに提供する方法であって、
リップ部分を有するたらいを提供するステップと、
複数の受け部を有する主入れ子を提供するステップであって、
前記複数の受け部は、前記主入れ子の上面から延在しており、前記主入れ子の前記上面が、前記リップ部分周りで前記たらいに係合するように構成されたフランジ部分を
前記主入れ子の周囲周りに有する、ステップと、
複数の医療構成要素を配置するステップであって、前記主入れ子の前記複数の受け部のそれぞれに医療構成要素が提供される、ステップと、
リテーナ入れ子を配置するステップであって、前記リテーナ入れ子は、
前記リテーナ入れ子の上面から延在している複数の
ペデスタルを有しており、それぞれの
ペデスタルは、ベース部分を有しており、前記ベース部分は、前記ベース部分の中に配設された開口を有しており、前記開口は、それぞれの医療構成要素の一部分が前記開口を通過することを可能にするように構成されており、
前記ペデスタルの前記ベース部分は、前記リテーナ入れ子の前記上面から延在していない前記ペデスタルの端部に位置付けられており、前記リテーナ入れ子のそれぞれのペデスタルは、前記主入れ子のそれぞれの受け部の中に嵌まるように形状決めされており、前記リテーナ入れ子を前記主入れ子の上に配置すると、それぞれの医療構成要素を適切な場所に一時的に固定する
ようになっている、ステップと、
前記たらいをアセンブリ・ステーションの受入れ口に配置するステップであって、各医療構成要素が、前記主入れ子又は前記リテーナ入れ子のいずれかを取り除いた後に、アセンブリのために順番に取り出され得る、ステップと
を含む、方法。
【請求項12】
前記たらいを前記受入れ口に配置する前に、前記たらいの上側縁部周りに設けられた封止を取り除くステップをさらに含み、前記たらいの前記リップ部分が、前記たらいの上側縁部から所定の距離に設けられる、請求項11に記載の複数の医療構成要素をアセンブリ・ステーションに提供する方法。
【請求項13】
前記医療構成要素のいずれかを取り出す前に、前記主入れ子及び前記リテーナ入れ子を逆さまにするステップをさらに含む、請求項11に記載の複数の医療構成要素をアセンブリ・ステーションに提供する方法。
【請求項14】
前記ベース部分
は、広がった端部(460)を形成しており、前記広がった端部(460)は、前記主入れ子の前記受け部のそれぞれ
の相補的な受入れ端部(416)とともに封止を形成するように構成されており、前記方法は、
それぞれのペデスタルのそれぞれの広がった端部(460)とそれぞれの受け部のそれぞれの受入れ端部(416)との間に封止を形成するステップをさらに含む、請求項11に記載の複数の医療構成要素をアセンブリ・ステーションに提供する方法。
【請求項15】
各受け部の内部表面に設けられた1つ又は複数の構成保証特徴部であって、それぞれの前記医療構成要素の適切な構成を保証するように構成された1つ又は複数の構成保証特徴部を提供するステップをさらに含む、請求項14に記載の複数の医療構成要素をアセンブリ・ステーションに提供する方法。
【請求項16】
複数の反対側の受け部を有する蓋であって、前記反対側の受け部が、その内部表面に設けられた1つ又は複数の位置合わせ特徴部を有する、蓋を提供するステップをさらに含む、請求項14に記載の複数の医療構成要素をアセンブリ・ステーションに提供する方法。
【請求項17】
複数の医療構成要素をアセンブリ・ステーションに提供する方法であって、
上側縁部および
リップ部分
(22、36)を有する前記たらいを提供するステップであって、
前記リップ部分は、たらいの内部表面に設けられており、前記上側縁部から延在しており、前記リップ部分が、
前記たらいの前記上側縁部から所定の距離に提供されている、ステップと、
複数の受け部を有する主入れ子を提供するステップであって、
前記複数の受け部は、前記主入れ子の上面から延在しており、前記主入れ子の前記上面が、前記リップ部分周りで前記たらいに係合するように構成されたフランジ部分を
前記主入れ子の周囲周りに有する、ステップと、
複数の医療構成要素を提供するステップであって、前記複数の受け部のそれぞれに医療構成要素が提供される、ステップと、
複数の
ペデスタルを有するリテーナ入れ子
を提供するステップ
であって、前記複数のペデスタルは、前記主入れ子の前記受け部の中におよび前記医療構成要素の上に嵌まるように形状決めされている、ステップと、
前記たらいの前記上側縁部周りに設けられた封止を取り除くステップと、
前記主入れ子及び前記リテーナ入れ子を取り出すステップと、
前記主入れ子及び前記リテーナ入れ子を逆さまにするステップと、
前記主入れ子及び前記リテーナ入れ子をアセンブリ・ステーションの受入れ口に配置するステップであって、今では前記リテーナ入れ子の上にある前記主入れ子を取り除いた後に、各医療構成要素が、アセンブリのために順番に取り出される、ステップと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その全体がすべて参照により本出願に組み込まれる、2017年11月8日出願の係属中の米国特許仮出願第62/582,969号の利益を主張する。
【0002】
本発明は一般に、自動注入器及び充填済みシリンジのアセンブリ及びハンドリングに関し、より詳細には、その構成要素を清浄な制御されたやり方で移送することに関する。
【背景技術】
【0003】
医療装置アセンブリの分野では、様々な構成要素がアセンブリされるときに、それらの無菌性を維持することが特に重要である。自動注入器という特定の分野では、様々な部品が極端に小さく、多くの場合、無菌環境でロボット手段を使用してアセンブリされる。この場合、無菌環境で正確な配置を実現できる方法を使用して様々な構成要素を提供し、それによりロボット構成要素が、必要に応じて構成要素を容易に把持及び操作できるようにすることが特に重要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一態様によれば、所定の寸法を有し、後にロボット・アーム又は他のアセンブリ・ステップによって利用できるように、受入れ口に嵌まるISOトレイ、たとえばISO規格11040、11040-7、又はたらいが提供される。いくつかの実施例では、次いでロボットが、たらいの内側の入れ子内に正確に位置付けられた個々の構成要素を取り出し、他の受入れ口に位置付けられた他の構成要素と組み合わせることができ、又はそれぞれの特定の部品に対して、若しくはそれを用いて、必要な機能を実行することができる。
【0005】
いくつかの実施例では、1つ又は複数の入れ子が第1のアセンブリ・ステーションに提供されてもよく、ここで入れ子に、複数の構成要素が充填され、これには前もって実行されるアセンブリ・ステップが必要な場合がある。ISOトレイ又はたらいは封止され、液体の充填、凍結乾燥などのさらなるステップのために、異なるロケーション又はステーションに移送されてもよい。一実施例では、以下でより詳細に検討するように、入れ子を受けるように設計された内部リップを、ISOたらいに設けることができる。入れ子は、特定の構成要素を受けるように構成された複数の開口又は受け部を含むことができる。各受け部は、1つ又は複数の保持クリップ、若しくは他の保持特徴部を含み、アセンブリの特定の構成要素、すなわち自動注入器、カートリッジ、及び/又はシリンジの構成要素の適切な配置及び配向を保証することができる。次いで、各受け部内の構成要素を把持するとともに、同時に適切なやり方で保持クリップを係合解除するように構成された持ち上げツールを、ロボット又は手動で操作される機器に設けることができる。
【0006】
さらなる実施例では、補助入れ子が、第1の入れ子の中に配置されるように構成されてもよく、それによりISOたらいをロボット構成要素の受入れ口に挿入するのではなく、入れ子を逆さまにし、又は取り出して、入れ子だけをロボット構成要素の受入れ口に提供することができる。いくつかの例では、保管に最適な配向は、ロボットによる把持に最適な配向とは異なる場合があることが理解され、したがって、適切な配置を可能にするように、1つ又は複数の入れ子を操作して様々な構成にすることができる。
【0007】
入れ子の実施例の一部は、ISOたらいの上部分と同一平面になるように構成されることが可能であり、逆さまにされたときに入れ子を支持しやすくするために、上面にスタンドを設けることができ、又はそれぞれの構成要素を途中まで突き出し、それによりロボットのアセンブリ手段のために適切な把持表面を提供するように、入れ子と併せて入れ子解除トレイを設けることができる。
【0008】
本発明の上記その他の目標、特徴、及び利点は、添付図面に示す本発明の特定の実施例の以下の説明から明らかになろう。図面では、同様の参照符号は、様々な図面全体を通して同じ部分を指す。図面は必ずしも原寸に比例しておらず、むしろ本発明の原理を図解することを重視している。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の様々な態様による、自動注入器をアセンブリする様々なステップで利用されるように構成された、構成要素保管及び入れ子システムの第1の実施例を示す図である。
【
図2A】保管及び入れ子システムから1つ又は複数の構成要素を取り出すように構成された構成要素取出しツールをさらに有する、構成要素保管及び入れ子システムの斜視図である。
【
図2B】保管及び入れ子システムから1つ又は複数の構成要素を取り出すように構成された構成要素取出しツールをさらに有する、構成要素保管及び入れ子システムの斜視図である。
【
図3】構成要素保管及び入れ子システム、並びに構成要素取出しツールの分解斜視図である。
【
図4】関連する構成要素が中に提供された状態の、構成要素保管及び入れ子システムの入れ子部分の拡大斜視図である。
【
図5】
図3に示す実施例による、構成要素保管及び入れ子システムの側方部分透過図又は断面図である。
【
図6】構成要素保管及び入れ子システムの入れ子部分の拡大斜視図である。
【
図7】代替的な入れ子部分を利用する、構成要素保管及び入れ子システム並びに方法の側方部分透過図又は断面図である。
【
図8】
図7の構成要素保管及び入れ子システムの入れ子部分の斜視図である。
【
図9】
図7に示す実施例による、構成要素保管及び入れ子システム、並びに構成要素取出しツールの分解斜視図である。
【
図10】
図1~
図6に示す入れ子、
図7に示す実施例による構成要素取出しツールの様々な詳細図である。
【
図11】本明細書に示す様々な実施例のうちの1つ又は複数において使用するための外部たらい部分の様々な詳細図である。
【
図12】同一平面複数入れ子の構成要素保管及び入れ子システムで使用するための、さらに別の例示的な主入れ子の様々な詳細図である。
【
図13】中に自動注入器の構成要素を収容した
図12の主入れ子を利用する同一平面複数入れ子の構成要素保管及び入れ子システムの側方断面図である。
【
図14】補助又はリテーナ入れ子を挿入する前の、
図13の同一平面複数入れ子の構成要素保管及び入れ子システムの斜視分解図である。
【
図15】中に補助又はリテーナ入れ子が挿入された、
図12の主入れ子を利用する同一平面複数入れ子の構成要素保管及び入れ子システムの側方断面図である。
【
図16】
図15の完全な同一平面複数入れ子の構成要素保管及び入れ子システムの斜視分解図である。
【
図17】封止された構成の、
図15の同一平面複数入れ子の構成要素保管及び入れ子システムのアセンブリ済み斜視図である。
【
図18A】
図14を利用した構成要素準備方法の、ある1つの段階を示す側方斜視図である、
図14は、補助又はリテーナ入れ子を挿入する前の、
図13の同一平面複数入れ子の構成要素保管及び入れ子システムの斜視分解図を示す。
【
図18B】
図14を利用した構成要素準備方法の、ある1つの段階を示す側方斜視図である、
図14は、補助又はリテーナ入れ子を挿入する前の、
図13の同一平面複数入れ子の構成要素保管及び入れ子システムの斜視分解図を示す。
【
図18C】
図14を利用した構成要素準備方法の、ある1つの段階を示す側方斜視図である、
図14は、補助又はリテーナ入れ子を挿入する前の、
図13の同一平面複数入れ子の構成要素保管及び入れ子システムの斜視分解図を示す。
【
図19A】
図14を利用した代替的な構成要素準備方法の、ある1つの段階を示す側方斜視図である、
図14は、補助又はリテーナ入れ子を挿入する前の、
図13の同一平面複数入れ子の構成要素保管及び入れ子システムの斜視分解図を示す。
【
図19B】
図14を利用した代替的な構成要素準備方法の、ある1つの段階を示す側方斜視図である、
図14は、補助又はリテーナ入れ子を挿入する前の、
図13の同一平面複数入れ子の構成要素保管及び入れ子システムの斜視分解図を示す。
【
図19C】
図14を利用した代替的な構成要素準備方法の、ある1つの段階を示す側方斜視図である、
図14は、補助又はリテーナ入れ子を挿入する前の、
図13の同一平面複数入れ子の構成要素保管及び入れ子システムの斜視分解図を示す。
【
図20】アセンブリ手順中に代替的な構成要素を保管及び準備するための、自動注入器の代替的な構成要素とともに使用するためのさらに別の代替的な入れ子を示す図である。
【
図21】
図20の代替的な入れ子及び代替的な構成要素の側方断面図である。
【
図22】ISOたらいで利用される代替的な構成要素及び入れ子の分解斜視図である。
【
図24A】本発明のある1つの概念を示す、入れ子解除トレイを有する
図20の代替的な入れ子を、アセンブリ機械に送達するための例示的な準備手順を示す側方斜視図である。
【
図24B】本発明のある1つの概念を示す、入れ子解除トレイを有する
図20の代替的な入れ子を、アセンブリ機械に送達するための例示的な準備手順を示す側方斜視図である。
【
図24C】本発明のある1つの概念を示す、入れ子解除トレイを有する
図20の代替的な入れ子を、アセンブリ機械に送達するための例示的な準備手順を示す側方斜視図である。
【
図25】本発明の様々な追加的概念を示す、さらに別の例示的な入れ子、トレイ、及び蓋のアセンブリの側方分解斜視図である。
【
図26A】本発明の様々な追加的概念を示す、
図25の例示的な蓋の下方斜視図である。
【
図26B】本発明の様々な追加的概念を示す、
図25の例示的な蓋の下面図である。
【
図27】本発明の様々な追加的概念を示す、さらに別の例示的な入れ子、トレイ、及び蓋のアセンブリの側方分解斜視図である。
【
図28】上述した様々なトレイに提供された物品をアセンブリするように構成された例示的な機械であって、本発明の様々な概念を示す機械の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
医療装置の分野では、最終的な医療装置の完全性を維持するために、アセンブリ工程中に無菌性を維持することが必要不可欠であることが、よく理解される。自動注入器、並びに他の医療装置の分野では、装置の特定の部品が極端に小さく、又は壊れやすいことがあり、したがって多くの場合、特定の機能を有するロボットによりアセンブリが実施され、ISOたらい内の所定位置に、複数の部品が正確に位置付けられ、これはロボット4、及び受入れ口610、又はアセンブリ済みの製品を配置することができるアセンブリ口620を有する
図28に示す通りである。特定のステーションは、所与の製品の多数の部品を操作及び/又はアセンブリするように構成された多数のロボット及び受入れ口を有することができることが理解される。
【0011】
図1~
図6は、ISOトレイ又はたらい20を含む第1の実施例による構成要素保管及び入れ子システム10を示し、このトレイ又はたらい20は、後に特定のロボットが利用できるように、例示的な受入れ口に受け入れられるように構成される。たらい20は、その中に収容される医療装置300の1つ又は複数の構成要素の適切な配置を保証しやすくすることができる様々な寸法で提供されてもよい。
【0012】
図示してあるように、本明細書に示す特定の構成要素は、自動注入器のカニューレと下側バイアルのアセンブリであり、このアセンブリは、乾燥粉末、又は後に凍結乾燥することができる液体薬剤を受けるように構成されて、送達前の作動及び混合の工程で自動注入器によって後に再構成するための乾燥薬剤の塊を提供する。この特定の構成要素は、単に例示を目的としたものであるが、以下で詳細に検討することになる本発明の様々な態様を示すものである。また、入れ子100は、たらい20内に着座することができ、Tyvek(商標)フィルムなどの膜24を用いてたらいの上側縁部の周りで封止されて、保管及び移送する間に構成要素300を保護して、汚染を最小に抑えることが可能であることも理解される。
【0013】
特に、カニューレと下側バイアルのアセンブリは、カニューレとは反対側の一方の端部で開口しているバイアル部分を含む。バイアルが開口しているので、一実施例では、汚染物質がバイアル内にたまるのを防ぎ且つ/又は抑えるために、前記バイアルを入れ子100内に保管及び配置することは、逆さまにして行われることが好ましい。しかし、中に提供される粉末又は液体を適切に受け入れるために、アセンブリは、開口端部が上に面する状態で元に戻され又は配置される必要がある。構成要素300は、入れ子100内に設けられた1つ又は複数の受け部104に受けられる。いくつかの例では、入れ子は中心線周りに対称になるように構成することができ、それにより、入れ子をたらい20に配置するとき、又はたらいをロボット・ステーションの受入れ口に配置するときのいずれかの場合に、受け部104は、180度又は90度回転されたとしても、たらい20に対して正確に位置合わせされる。
【0014】
受け部は、特定の構成要素300を配置する下側の限界を画成する底部分120と、受け部104内で構成要素の位置を維持する1つ又は複数の保持クリップ110とを含むことができる。
【0015】
次いで、ピックアップ・ツール200を、ユーザ又はロボットに提供することができ、このピックアップ・ツール200は、受け部に押し込まれると、保持クリップ110を係合解除し構成要素300を把持する解放機構を有するように構成され、こうして、ピックアップ・ツールが、特定の受け部から特定の構成要素を抜き出し、次いでその特定の構成要素に対して、さらなる充填又はアセンブリのステップを実行できるようになる。
【0016】
一実施例では、この特定のカニューレ・アセンブリ及びバイアル構成要素に関して、充填機能のために、バイアルの開口端部が上に面するように、その開口端部をひっくり返すことができる。
【0017】
また、ロボットの運動を低減させることにより、結果的にアセンブリ時間が早くなり、ロボットのコストを削減できることも理解される。こうして、たらい20をワークステーションの受入れ口に挿入するのではなく、その代わりに入れ子100をたらいから取り出し、入れ子を逆さまにし、受入れ口の中に配置して、充填のためにひっくり返すステップをロボットが実行しなくてもよくすることができる。
【0018】
図7~
図9は、たらい20内のリップ22に同じく支持されている代替的な入れ子150を示す。しかし、代替的な入れ子150は、保持特徴部のない受け部を有する入れ子を含むことができるが、その代わりに、受け部に押し込まれ、構成要素300を保持することができる複数の脚部又は支柱174を含む補助リテーナ入れ子を利用する。補助リテーナ入れ子170は、複数の足178を含むことができ、この足178は上面から延在して、ひっくり返されたときに、それぞれの支柱又は脚部174の上部をロボットに対して適切に位置合わせするための足として作用する。このアセンブリ12は、入れ子150と補助リテーナ入れ子170をたらい20から一緒に取り出すことによって利用することができる。入れ子150及びリテーナ入れ子170は、ひっくり返すことができ、次いで、入れ子150が取り除かれて、それにより、
図8に示すように、それぞれの構成要素300が個々の脚部174によって支持され、リテーナ入れ子が延長部又は足178によって支持される。次いで、それぞれの構成要素300は、充填のステップ又は機能に必要であったロボットのひっくり返す動きを必要とせずに、そうしたステップ又は機能のために適切に配向される。
【0019】
また、これにより、入れ子外部の薬物容器を用いて充填が実施されなくてはならない場合に、ロボット又はオペレータは、標準的なやり方で「入れ子解消」できるようになる(従来の充填済みシリンジ(PFS)は、PFSの薬物充填部分の上方を行き来することがないように、側面から入れ子解消されることが好ましい)。
【0020】
別の実施例では、リテーナ入れ子170は、入れ子150を構成要素300とともにたらい20内に残して、アセンブリ12から取り出されることが可能である。ピック・アンド・プレース・ツールが来て、入れ子100で説明したいかなる保持クリップ110の係合解除も最初に必要とせずに、それぞれの構成要素を把持することができる。
【0021】
図10及び
図11は、本明細書に開示する様々な実施例での使用に適合可能な入れ子とたらいの両方の詳細図を示し、すなわち
図10は、各受け部の配向、及びたらい内での配置にどれほど関係ないかを示し、受け部の特定の構成は、180度ひっくり返されたときでも同じである。
【0022】
図12~
図19は、深さの浅いたらいを有し、それにより主入れ子410とリテーナ入れ子450が、たらい30内に配置されたときに上面で同一平面になる、代替的な保管アセンブリ及び構成14を示す。フランジ部分36は、主入れ子410とリテーナ入れ子450のフランジ部分の重なりの深さと一致するように、適切な深さを有することが理解される。
【0023】
また、主入れ子又はリテーナ入れ子には、ユーザ又はロボットがハンドリングできるようにし、それぞれのたらいから分離しやすくする切欠き部422が設けられてもよいことが理解される。切欠き部422は、人間の手又は所望のロボット構成要素による操作を可能にするような大きさ、又は形にできることが理解される。
【0024】
特に
図15を見ると、450の脚部又は支柱458は広がった端部460を有し、この端部460は、構成要素300の下側バイアル部分305の周りに形状一致するように構成され、一貫した相対位置を維持しやすくする。この広がった端部460は、下側入れ子410の脚部又は支柱414の受入れ端部416に位置合わせされる。460と416は両方とも、同心円状に形状一致し、位置合わせされる。いくつかの例では、460と416の間に封止が形成される。さらに、構成要素300の下側バイアル305の開口端部に位置合わせしやすくし、それに部分的に挿入されるように、隆起部分415が設けられる。いくつかのバージョンでは、414の底部分に開口又は穴が形成される。他の実施例では、傾斜した側部を有する隆起部分415は、何らかの破片を、各脚部又は支柱414の内部の底に導く役割を果たす。
【0025】
上記で検討した実施例と同様に、この実施例を使用する工程は、単にたらい30を受入れ口に配置すること、及び封止膜24を取り除くことを含むことができ、ここで補助リテーナ入れ子450が取り除かれ、構成要素300が個々に主入れ子410から取り出され、ひっくり返される。或いは、この保管アセンブリ14はまた、封止膜24を取り除き、主入れ子410をリテーナ入れ子450とともにたらいから取り出し、主入れ子及び補助入れ子をひっくり返し、主入れ子410を取り除いて、構成要素300が適切に上に配向された状態で補助リテーナ入れ子450を残し、これを作業区域の受入れ口の中に配置することによっても、使用することができる。さらに、
図19A~
図19Cに示すように、この保管アセンブリ14はまた、封止膜24を取り除き、たらいを、その中の入れ子及びリテーナ入れ子と一緒にひっくり返し、たらい30及び主入れ子410を取り除いて、構成要素300が適切に上に配向された状態で補助リテーナ入れ子450を残し、これを作業区域の受入れ口の中に配置することによっても、使用することができる。
【0026】
図20~
図24は、代替的な構成要素350とともに使用するように設計された代替的な入れ子システム500を示す。この図解例では、代替的な構成要素350は、本発明の様々な態様を示す端部自動注入器とともに使用するための主プランジャ及び補助プランジャを有する弁本体を含む。弁本体なので、弁は閉構成と開構成を含むことが理解され、ここで特定の実施例では、弁本体は、開構成を示すチャネルを周囲部分に含む。構成要素300のバイアルに提供される構成要素の状態に応じて、様々な弁構成が所望されることが理解される。この図では、薬物を含有する液体が下側バイアルに提供され、その後弁アセンブリが導入され、その後凍結乾燥が行われる。したがって、液体構成要素が蒸発し弁を通って出られるように、弁は開いていることが望ましく、ここで、弁は凍結乾燥が完了した後に閉じられる。したがって、補助構成要素の入れ子トレイ510には、弁アセンブリ又は補助構成要素350を受けるための複数の受け部514を設けることができる。受け部514は、本明細書ではリブ又はチャネル530として示す複数の構成保証特徴部を含むことができ、この特徴部は、各弁構成要素、又は特定の配向が重要な任意の補助構成要素350の適切な位置合わせを保証する。次いで、第2の構成要素350の周囲に突出部を設けることができ、この突出部がスライドしてチャネル530に入り、又は他のやり方でリブに係合し、挿入後の位置合わせ不良を防止する。さらに、チャネルは、医療構成要素に設けられた対応する突出部を受け入れ、ここでこのチャネルは、医療構成要素の様々な突出部が適切に位置合わせされないとき、挿入を妨げ、こうして誤った弁位置を示すように構成されることが可能である。
【0027】
次いで、受け部514の内部表面に、状態突出部又はボス520を設けることができ、ここで構成要素は、上側部分538、及び下側部分354、たとえば中央支持部の反対側のバイアル・スリーブを含み、これらは互いに回転し、特定の配向すなわち開構成内に、対応するスロットを有し、所望の構成において、弁が開いている又は閉じているときにだけ、本明細書にチャネルとして示す位置合わせ保証特徴部の中に、ボスがスライドして入れるようになり、位置合わせ突出部が、リブ又はチャネル530内に適切に配置される。そうではなく、適切に位置合わせされなければ、構成要素はスライドして受け部514の中に完全に入ることができず、補助構成要素の入れ子トレイ510の上面から突出して、位置合わせ不良を示す。
【0028】
さらに、本明細書に示すように、構成要素は多くの場合、ロボットの把持構成要素によって傷つく又は破損する恐れのある部分を含む。本発明では、上側部分538はゴム・プランジャを含み、これは後に、代替的な構成要素の上側バイアル(本明細書には図示せず)と相互作用するが、特定の構成要素の破損がしばしば問題になることは容易に理解され、したがって、特定の把持区域を適切に位置合わせ又は提供することが望まれる場合が多くある。
【0029】
より耐性の高い、又はそれほど壊れやすくない構成要素を適切に把持できるようにするため、入れ子解消ツール550は、複数のロッド又は脚部を含むことができ、これらは、補助構成要素の入れ子トレイ510がその上に配置されると、底部分から補助構成要素350に係合し、又は他のやり方でそれを押し出すことができ、こうして補助構成要素350を部分的に入れ子から途中まで突き出し、それほど壊れやすくない、ロボットがよりうまくハンドリングできる補助構成要素の一部分を露出させる。
【0030】
突き出しの程度は、所望の位置合わせ又は配向に応じて、様々な実装形態で異なってもよいことが理解される。突き出し高さにおいても配向特徴部がまだ係合された状態であるように、様々な位置合わせ又は配向の特徴部には、所与の受け部に対して軸方向に特定の深さが設けられてもよいことが理解される。こうして、アセンブリ又はハンドリングの工程中に、弁が所望の構成から回転する危険性が大幅に軽減される。さらに本明細書に示すように、配向特徴部は、こうして入れ子からこの部分を取り出す最中にも、突き出し高さにおいてなお係合することが可能であり、取り出し工程中に弁が回転する危険性がない。
【0031】
図25~
図27は、示してある代替的な主入れ子610を受けるための凹所リップ608を有する別のたらい604を備えるさらに別の実施例の入れ子アセンブリ600を示す。また主入れ子610は、複数の受け部614の内部表面に、様々な位置合わせ特徴部618及び構成保証特徴部622も含むことができる。これらの位置合わせ及び構成保証の特徴部は、上記と同様に、受け部614の内部表面の周りに異なる角度位置周りに提供されて、医療構成要素が、それを収容する受け部に対して適切な配向又は位置にあり、医療構成要素が適切な構成である、すなわち弁が適切な状態であることなどを保証できることが理解される。
【0032】
図25及び
図27に示すように、この実施例は、入れ子610に複数のツール位置合わせ特徴部650及び654を設けることが可能であることも示しており、次いで、ここで各受け部は、関連する各受け部614の中心軸から特定の径方向距離に設けられた関連するツール位置合わせ特徴部650を有することができる。次いで、この突出部又は特徴部は、特定の受け部にいつ適切に位置合わせされるかを判定する際に、ツール自体によって利用されることが可能である。ツール位置合わせ特徴部は、縁部又は列の位置合わせ特徴部654も含むことができ、この特徴部は、入れ子610に設けられた受け部614の特定の列に位置合わせされるように構成されることが可能である。したがって、特定の機械は、アセンブリのアーム又はツールとの適切な位置合わせを実現するように入れ子又はツールを動かして、構成要素を取り出す、又はさらなる構成要素を、受け部に収容された医療構成要素に配置することができる。
【0033】
また本実施例では、本明細書で検討した箱及び主入れ子のうちのいずれか1つと併用することができる代替的な蓋又はカバー700も示す。蓋700は、箱の凹んだリップ部分内に嵌まる平坦面を含むことができ、ここで蓋700は、複数の対向する受け部710を含むことができる。次いで、対向する受け部710は、主入れ子の受け部に収容された医療構成要素の上に嵌まることができる。対向する受け部710は、複数の位置合わせ又は構成保証の特徴部714も含むことができ、この特徴部は、主入れ子内に収容された任意の医療構成要素の特定の位置合わせ又は構成を、それらの間に構成要素を挟むことによって維持することができる。こうして、この蓋及び対向する受け部は、移送中などに任意の医療構成要素の適切な構成から、損傷したり、ずれたり、動いたりすることを抑制又は軽減することができる。
【0034】
いくつかの実施例では、示してあるように、平坦な底面は、上側の凹んだリップ部分608から箱の中に下向きに延在して、主入れ子に圧縮力を加えることができる。いくつかの実施例では、蓋及び箱の対向する縁部部分の周りに、ロック特徴部、チャネル、リブなどが設けられて、蓋と箱の間に締まり嵌め又はロック嵌めを提供することができる。
【0035】
また蓋700には、ツール位置合わせ特徴部に対応した対向する凹所も設けることができ、ツール位置合わせ特徴部と干渉することなく、所望の同一平面の嵌め又は圧入を用いて、主入れ子と蓋との間で、同一平面の嵌めを可能にすることができる。
【0036】
本発明の原理を本明細書で説明してきたが、この説明は単なる例としてであって、本発明の範囲を限定するものとしてなされたのではいことが、当業者には理解されるべきである。他の実施例は、本明細書に図示し説明した例示的な実施例に加えて、本発明の範囲内にあることが企図される。当業者による修正及び置換は、本発明の範囲内にあるとみなされる。さらに、上述した実施例のいずれか1つに関連して検討した任意の特徴、構造、構成要素、方法ステップは、本明細書で説明した他の代替的な実施例の任意の特徴の中で、それとともに使用できるように容易に適合させることができ、当業者は、こうした適合を実施する能力を評価することが可能で、こうした適合を実施することが可能であることが理解される。