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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-03
(45)【発行日】2023-02-13
(54)【発明の名称】熱交換器動作の自動化された制御
(51)【国際特許分類】
   F28C 1/14 20060101AFI20230206BHJP
   F28D 3/02 20060101ALI20230206BHJP
   F28F 27/00 20060101ALI20230206BHJP
【FI】
F28C1/14
F28D3/02
F28F27/00 501A
F28F27/00 501B
F28F27/00 501C
F28F27/00 501E
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020526545
(86)(22)【出願日】2018-11-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-04
(86)【国際出願番号】 US2018061038
(87)【国際公開番号】W WO2019099510
(87)【国際公開日】2019-05-23
【審査請求日】2020-07-14
(31)【優先権主張番号】15/814,032
(32)【優先日】2017-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515164653
【氏名又は名称】バルチモア、エアコイル、カンパニー、インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】BALTIMORE AIRCOIL COMPANY, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100217940
【弁理士】
【氏名又は名称】三並 大悟
(72)【発明者】
【氏名】プレストン、ブレイ
(72)【発明者】
【氏名】ラビンドラ、シン
(72)【発明者】
【氏名】フランク、ティー.モリソン
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー、ビーバー
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド、アンドリュー、アーロン
【審査官】礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0100593(US,A1)
【文献】特表2015-502513(JP,A)
【文献】特開2007-333361(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0067546(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0267091(US,A1)
【文献】特開2000-249478(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28C 1/00 - 3/18
F28D 1/00 - 13/00
F28F 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
- 熱交換器の空気取入口と排気口との間に配置された第1の流路と、
- 前記熱交換器の空気取入口と排気口との間における第2の流路と、
- 流体導管であって、
- 前記第1の流路内に配置された第1の冷却領域と、
- 前記第2の流路内に配置された第2の冷却領域と、
を備えた流体導管と、
- 前記第1および第2の流路を通して空気を移動させるように構成された気流発生器と、
- 少なくとも1つの分配器であって、前記第1の空気流路内に配置され、前記第1の冷却領域上に蒸発性流体を分配する第1の分配器と、前記第2の空気流路内に配置され、前記第2の冷却領域上に蒸発性流体を分配する第2の分配器と、を備え、前記第1および第2の分配器のそれぞれは、前記分配器が蒸発性流体を分配するウェットモードと、前記分配器が蒸発性流体を分配しないドライモードと、で動作するように構成される、分配器と、
- 前記気流発生器および前記分配器と通信するコントローラと、
を備え、
前記コントローラは、前記第1の流路と、前記第2の流路とを通して気流を調整するように構成され、
前記コントローラは、少なくとも1つの前記分配器の分配モードを設定するように構成され、
前記コントローラは、前記少なくとも1つの分配器の分配モードを設定するように構成され、前記コントローラは、前記第1の分配器の分配モードが前記第2の分配器の分配モードから独立するように構成され、前記第1の分配器および前記第2の分配器を、両方とも前記ウェットモード若しくは前記ドライモード、または前記コントローラが前記第1の分配器若しくは前記第2の分配器のうちの一方の分配器を前記ウェットモードで動作させ、その間、他方の分配器を前記ドライモードで同時に動作させるように構成されたハイブリッドモードで動作させることができ、前記ハイブリッドモードで動作させる場合、前記コントローラは、前記ドライモードで動作させる分配器を有する流路を通して第1の空気流量を生成し、かつ前記ウェットモードで動作させる分配器を有する流路を通して第2の空気流量を生成するように構成され、
前記第の空気流量は、前記第の空気流量よりも大きい、熱交換器。
【請求項2】
前記気流発生器は、前記第1の流路と連通する第1のファンと、第2の流路と連通する第2のファンと、を備え、
前記コントローラは、前記第1および第2のファンのそれぞれのファン速度を調整し、
前記第1のファンのファン速度は、前記第2のファンのファン速度から独立している、請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記コントローラと通信し、前記第1および第2の流路の少なくとも1つ内に配置されている気流調整器をさらに備え、
前記気流調整器は、それぞれの前記流路を通過する空気の流れを調整するように構成されている、請求項1に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記気流調整器は、前記第1の流路内に配置された第1のダンパを含み、
前記第1のダンパは、全開位置と、全閉位置と、前記全開と全閉位置との間の複数の中間位置と、に設定されるように構成され、
前記コントローラは、前記第1のダンパの位置を設定するように構成され、
前記気流調整器は、任意で、前記第2の流路内に配置された第2のダンパを含み、
前記第2のダンパは、全開位置と、全閉位置と、前記全開位置と全閉位置との間の複数の中間位置と、に設定されるように構成され、
前記コントローラは、前記第2のダンパの位置を設定するように構成されている、請求項3に記載の熱交換器。
【請求項5】
空気を前記第1の流路に引き込む、第1の空気取入口と、空気を前記第2の流路に引き込む、第2の空気取入口と、をさらに備え、
前記気流発生器は、前記第1の空気取入口に配置された少なくとも1つの変調ダンパを含む、請求項3に記載の熱交換器。
【請求項6】
前記コントローラは、処理パラメータを監視するように構成され、
前記処理パラメータは、所定の設定点、熱交換器性能要因、水コストおよび使用要因、エネルギーコストおよび使用要因、ならびに前記熱交換器の外部の環境条件の、少なくとも1つを含み、
任意で、前記コントローラは、前記第1および第2の流路を通した、適切な空気流量、および、前記第1および第2の分配器に関する適切な分配モードを、監視された前記処理パラメータの少なくとも一部に基づき、決定するように構成され、
前記コントローラは、各流路に関して前記コントローラによって決定された、対応する適切な空気流量に対応するように、前記第1および第2の流路のそれぞれを通して、前記流量を調整するように構成され、
前記コントローラは、前記第1および第2の分配器に関する前記分配モードを、前記コントローラによって決定された適切な前記分配モードに設定するように構成されている、請求項1から5のいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項7】
前記熱交換器は、間接熱交換器であり、前記第1および第2の冷却領域は、コイル構成またはプレート構成の少なくとも1つを備える、請求項1から6のいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項8】
熱交換器の動作方法であって、
- 導管を介して前記熱交換器に流体を通過させることであって、前記導管は、間接熱交換器の第1の空気流路内に配置された第1の冷却領域と、前記熱交換器の第2の空気流路内に配置された第2の冷却領域と、を備え、前記第1の冷却領域は、第1の分配器の分配ゾーン内に配置され、前記第2の冷却領域は、第2の分配器の分配ゾーン内に配置されることと、
- コントローラにより処理パラメータを監視することであって、前記処理パラメータは、所定の設定点、熱交換器性能要因、水使用要因、エネルギー使用要因、ならびに前記熱交換器の外部の環境条件の、少なくとも1つを含むことと、
- 前記コントローラにより、第1の動作空気流量、第2の動作空気流量、第1の動作分配モード、および第2の動作分配モードを、監視された前記処理パラメータの少なくとも一部に基づき決定することと、
前記第1の動作分配モードにおいて、前記第1の動作空気流量で、前記第1の空気流路を通した気流を生成することと、
前記第2の動作分配モードにおいて、前記第2の動作空気流量で、前記第2の空気流路を通した気流を生成することと、
- 前記第1の分配器を、前記第1の動作分配モードで動作させることと、
- 前記第2の分配器を、前記第2の動作分配モードで動作させることと、
を含み、
前記第1の動作分配モードは、ウェットモードに対応し、前記第1の分配器は、蒸発性液体の少なくとも一部を、第1の冷却領域上に分配し、前記第2の動作分配モードは、ドライモードに対応し、前記第2の分配器は、蒸発性液体を分配せず、
前記第2の動作空気流量は、前記第1の動作空気流量よりも大きい、方法。
【請求項9】
前記第1の流路を通した気流を生成することは、前記第1の流路と連通する第1のファンを動作させることを含み、
前記第2の空気流路を通した気流を生成することは、前記第2の流路と連通する第2のファンを動作させることを含み、
前記第1の動作空気流量を決定することは、前記第1のファンのファン速度を選択することを含み、
前記第2の動作空気流量を決定することは、前記第2のファンのファン速度を選択することを含み、
前記第1のファンのファン速度は、前記第2のファンのファン速度とは異なる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記コントローラは、前記第1の空気流路に配置された第1の気流調整器、および前記第2の空気流路に配置された第2の気流調整器、と通信し、
前記第1の動作空気流量を決定することは、前記第1の気流調整器に関する第1の設定を選択することを含み、
前記第2の動作空気流量を決定することは、前記第2の気流調整器に関する第2の設定を選択することを含み、
前記第1の流路を通した気流を生成することは、第1の気流調整器を前記第1の設定で動作させることを含み、
前記第2の空気流路を通した気流を生成することは、第2の気流調整器を前記第2の設定で動作させることを含む、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1および第2の流路を通した気流を生成することは、前記第1および第2の空気流路と連通して配置された単一のファンを動作させることを含む、請求項8から10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
- 複数の熱交換器であって、各熱交換器が、
- 熱交換器入口と、熱交換機排気口との間の空気流路と、
- 前記空気流路を通して、空気を移動させるように構成された気流発生器と、
- 前記空気流路内に配置された冷却領域を含む流体導管と、
- 前記空気流路内に配置され、前記冷却領域上に蒸発性液体を分配する分配器であって、前記分配器が前記冷却領域上に蒸発性流体を分配するウェットモードと、前記分配器が蒸発性流体を分配しないドライモードと、で動作するように構成された分配器と、
を備える複数の熱交換器と、
- 前記複数の熱交換器のそれぞれと通信し、前記流路を通して気流を調整し、前記熱交換器の分配器の動作を制御するように構成されたコントローラと、
を備え、
前記コントローラは、処理パラメータを監視するように構成され、前記処理パラメータは、所定の設定点、熱交換器性能要因、水コストおよび使用要因、エネルギーコストおよび使用要因、ならびに前記熱交換器の外部の環境条件、の少なくとも1つを含み、
前記コントローラは、監視された前記処理パラメータの少なくとも一部に基づき、前記複数の熱交換器のそれぞれに関する適切な空気流量と、適切な蒸発性液体分配モードと、を決定するように構成され、
前記コントローラは、前記複数の熱交換器のうちの個別の熱交換器の前記流路を通した前記空気流量を、当該熱交換器に関する対応する決定された適切な空気流量に設定するように構成され、
前記コントローラは、前記複数の熱交換器のうちの個別の間接熱交換器の前記分配器の分配モードを、当該熱交換器に関する対応する決定された適切な蒸発式液体分配モードに設定するように構成され、
前記コントローラは、前記個別の熱交換器の1つまたは複数の前記分配器を、ウェットモードで動作させ、その間、前記個別の分配器の少なくとも1つを、ドライモードで動作させるように構成され、
前記コントローラは、第1の空気流量でウェットモードにて動作する分配器を有する空気流路を通して前記気流を設定し、一方で、第2の空気流量でドライモードにて動作する分配器を有する空気流路を通して、前記気流を同時に設定するように構成され、前記第2の空気流量が、前記第1の空気流量よりも大きい、熱交換器ネットワーク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、熱交換器に関する。特に、本出願は、互いに独立した少なくとも2つの異なる空気流路を有して動作する、ハイブリッド熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
いくつかの熱交換器は、導管を通して流体を伝達し、この導管の全体に冷たい空気を通過させることにより動作する。例えば、熱交換器は、流路に入り、次いで流路から出る前にコイルを形成するパイプを含んでもよい。熱交換器は、プレート型または他の種類の間接熱交換器であってもよい。空気、典型的には間接
に対して冷たい空気が、コイル全体を通過し、コイルは、対流原理を用いて、流体と空気の間の間接的な熱交換を促進する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この処理を効率化するために、いくつかの熱交換器は、水などの蒸発性液体をコイル全体に分配する“ウェット”処理を用いる。この処理は、蒸発の原理を引き起こし、流体からの熱伝達率をさらに増加させる。例えば、蒸発型の間接熱交換処理は、ドライ熱交換処理よりも約5倍よりも高い効率で動作することができる。しかし、いくつかの状況では、蒸発性液体の使用を節約することが望まれ、よって、ウェット処理での熱交換の使用を制限、限定、または規制する場合がある。このような状況では、熱交換器を、ウェットおよびドライモードで動作させることが有意義となり得る。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本出願は、熱交換器の例を説明する。1つの例は、吸気口と排気口との間で空気を移動させる、2つの空気流路を有する間接熱交換器を説明する。流体導管は、熱交換器を通過し、導管は、それぞれの流路内に配置された冷却領域を有する。間接熱交換器は、空気流路を通して空気を移動させる気流発生器を含む。熱交換器は、また、蒸発性液体を冷却領域上に分配するように配置された分配器を含む。分配器は、分配器が蒸発性液体を分配する(すなわち、分配器が“オン”である)ウェットモードと、分配器が蒸発性液体を分配しない(すなわち、分配器が“オフ”である)ドライモードと、で動作する。本明細書全体で用いられる蒸発性液体は、熱交換効率を増加させるために、熱交換器の動作パラメータ内で蒸発するように設計された任意の液体とすることができる。蒸発性液体の例は、水であるが、他の液体を用いてもよい。本明細書において、蒸発性液体としての水の使用についての記載は、例示であり、そのような記載がある場合、他の蒸発性液体を、水の代わりに使用できることを理解すべきである。
【0005】
コントローラは、気流発生器と通信し、第1の空気流路と、第2の空気流路とを通して、気流を制御または調整する。コントローラは、また、分配器と通信し、その動作を制御する。この方法では、コントローラは、水の節約が望まれる場合、ドライモードで動作する流路を通した気流が、ウェットモードで動作する空気流路よりも大きくなり得るように、空気流路を互いに独立して動作させてもよい。
【0006】
本出願は、また、上述したものと同様であるが、一方の流路は、間接熱交換器として動作し、他方は、直接熱交換器として動作する、熱交換器アセンブリの例を説明する。間接熱交換器は、対流の原理を用いて動作するが、上述の例と一致している。すなわち、導管は、空気流路に配置された冷却セクションを含んでもよく、ここで、コイルセクションが、分配器からの蒸発性流体に露出されてもよい。直接熱交換セクションにおいて、冷却セクションは、典型的には、水などの蒸発性液体がその全体に伝達される、充填されたセクションで構成されている。このような熱交換器アセンブリにおいて、コントローラを用いて、直接および間接熱交換セクション全体の空気の流れを制御し、また、各セクション内で蒸発性液体が分配されるかどうかを制御することができる。
【0007】
本出願は、また、例えば、上述した熱交換器を含む熱交換器を動作させる方法の例を説明する。間接熱交換器を動作させることを含む、1つの方法は、少なくとも2つの導管に流体を通過させるステップを含む。各導管は、間接熱交換器の異なる空気流路内に配置された冷却領域を有する。方法は、さらに、コントローラにより、処理パラメータ(例えば、ユーザ設定点、性能要因、水/エネルギー使用/コスト要因、ならびに環境温度および湿度などの外部条件)を監視するステップと、次いでこれらの処理パラメータに基づいて、適切な空気流量と、分配量とを決定するステップと、を含む。ひとたび、適切な空気流量および分配量が決定されると、方法は次に、例えば、気流発生器および分配装置の設定を調整することにより、決定された空気流量および分配量で、熱交換器が動作するように設定する(例えば、コントローラを用いて)ことができる。このようにして、方法は、流路の両方がウェットモードで動作し、流路の両方がドライモードで動作し、または、流路の一方がウェットモードで動作し、その間、他方が同時にドライモードで動作する、ようにして熱交換器を動作させることができる。
【0008】
本出願は、また、熱交換器ネットワークの例を説明する。1つのこのような例において、熱交換器ネットワークは、複数の間接熱交換器を含む。熱交換器は、上述したタイプまたは別のタイプの熱交換器とすることができる。少なくとも、ネットワーク内の熱交換器は、熱交換器入口と、熱交換器排気口との間の少なくとも1つの空気流路と、空気流路を通して、空気を移動させるように構成された気流発生器と、をそれぞれが有する。熱交換器は、また、空気流路内に配置された冷却領域を含む流体導管と、冷却領域上に蒸発性流体を分配するように配置された分配器とを有する。ネットワークは、熱交換器のそれぞれと通信し、空気流路を通した気流と、分配器のそれぞれの動作とを調整するコントローラを含む。コントローラは、また、処理パラメータを監視し、これらの監視された処理パラメータ(の少なくとも一部)に基づき、熱交換器のそれぞれに関する適切な空気流量と、適切な蒸発性液体分配モードと、を決定する。コントローラは、よって、個別の熱交換器を通した空気流量を、この間接熱交換器に関する、対応する決定された適切な空気流量に設定することができる。コントローラは、また、分配器の分配モードを、この間接熱交換器に関する、決定された適切な蒸発性液体分配モードに設定することができる。このようにして、コントローラは、分配器の1つまたは複数を、ウェットモードで動作させ、その間、個別の分配器の少なくとも1つを、同時にドライモードで動作させることができる。
【0009】
提供される例において、各熱交換器は、それぞれの空気入口を共有してもよく、かつ異なる空気出口を有してもよく、各熱交換器は、異なる空気入口を有してもよいが、それぞれの空気出口を共有してもよく、各熱交換器は、それぞれの空気入口およびそれぞれの空気出口の両方を共有してもよく、または、各熱交換器は、個別の空気入口と個別の空気出口を有してもよいが、ロジックコントローラは、各熱交換器を通した気流の量を個別に制御し、各熱交換器がウェットまたはドライ動作モードで動作するかどうかを、独立して制御する能力を有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本出願に記載される例に従って、ハイブリッドモードで動作する多空気流発生器を有する、多空気流路型の間接熱交換器を示す図。
図2】本出願に記載される例に従い、各熱交換器排気口において個別の気流調整器を用いて気流を調整する、多空気流路型の間接熱交換器を示す図。
図3】本出願に記載される例に従い、各熱交換器入口において個別の気流調整器を用いて気流を調整する、多空気流路型の間接熱交換器を示す図。
図4】本出願に記載される例に従い、いくつかの熱交換器がウェットモードで動作し、他の熱交換器がドライモードで動作する、多ユニット型の熱交換器ネットワークを示す図。
図5】本出願に記載される例に従い、共通の蒸発性液体サンプを利用する多ユニット型の熱交換器ネットワークを示す図。
図6】本出願に記載される例に従い、ウェット断熱飽和を利用し、気流を調整するための3つのファンを有する熱交換器アセンブリを示す図。
図7】本出願に記載される例に従い、間接および直接熱交換通路の組み合わせを用いた熱交換器を示す図。
図8】本出願に記載される例に従い、熱交換器を動作させるための処理ステップを示すフロー図。
図9】代表的な流体冷却器に関する性能データを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本出願は、複数の空気流路を有し、空気流路が独立して動作可能である熱交換器について説明する。すなわち、1つの熱交換器の空気流路は、第1の気流レベルでの空気流量によるウェットモードで動作することができ、一方で他の空気流路は、第1の気流レベルとは異なる第2の気流レベルでのドライモードで動作する。空気流量および動作モードは、熱交換器が動作する方法に対して、強い影響を有する処理パラメータを監視するコントローラによって決定される。これらの処理パラメータに基づいて、コントローラは、空気流路のそれぞれに適切な動作条件(ウェット/ドライ動作モードおよび空気流量を含む)を決定し、これらの条件に従って動作するように熱交換器を設定する。
【0012】
デュアルモードで熱交換器を動作させることは、熱交換器内の水の使用を抑制または制限するために効率的なやり方となり得る。例えば、米国特許第8,676,385号は、2つの間接コイルセクションを有する熱交換器ユニットに関する。熱交換器は、一方側ではウェットモードで、他方側ではドライモードで動作することが可能である。しかし、この熱交換器は、ファンを1つしか持たず、ウェットおよびドライコイルセクションを通して、気流を個別に制御する方法は提供しない。よって、この熱交換器が、ハイブリッドモード(一方側ではウェットモード、他方側ではドライモード)で動作する場合、ウェット側は、ウェット/蒸発処理のより効率的な熱伝達特性により、熱伝達またはユニット容量で優勢となる。ウェット側が、熱伝達において優勢であるため、ドライ側は、事実上無価値となり、結果として、蒸発性液体(例えば水)を無駄にする処理をもたらす。ドライ側の間接熱交換器に、当該技術で知られるような延長された熱伝達面を有するフィンが付いている場合でも、動作する水側は、なお、熱伝達で優勢となり、これにより、ドライ側は、事実上無価値となり、結果として蒸発性液体(例えば水)を無駄にする処理をもたらす。
【0013】
本出願は、監視されたパラメータに基づいて熱交換器の効率を最適化するために、“ウェット”側または空気流路と、“ドライ”側または空気流路とが、互いに独立して動作可能な、熱交換器の例を説明する。例えば、本出願は、ウェット通路を第1の空気流量で動作させ、ドライ通路を第2の流量で動作させることができ、これにより、蒸発性流体の使用を減少、制限、および/または最適化させることができ、一方で、ウェットおよびドライ通路によって同じ空気流量が見られる場合に対して、ドライ通路が、比較的有効な影響を熱交換処理にもたらすことをさらに可能にした、多空気流路型の熱交換器を説明する。
【0014】
図1は、第1の空気流路115と、第2の空気流路116とを含む多空気流路を有する単一ユニットである、実施形態100を示している。空気流路115および116は、仕切り壁149によって分離され、仕切り壁は、蒸発性液体の噴霧および各通路を通した気流を分離する役割を果たす。
【0015】
第1の空気流路115は、気流発生器またはファン106を含み、ファンは、ファン106を駆動するモータ104を有し、第2の流路116は、対応する気流発生器107とモータ105とを有する。気流発生器106/107は、図1ではファンとして示されているが、他の例では、ブロワ、空気圧装置、および/またはこれらの組み合わせまたは複数にしたものなどの、空気を動かすことが可能な任意の装置を利用してもよい。ファン106および107は、それぞれ間接熱交換器の空気流路115および116からの出口空気110および111を、それぞれ排出する。図1は、空気流路115用の単一のファンと、空気流路116用の単一のファンとを有して示しているが、空気流路115専用の複数のファンと、空気流路116専用の複数のファンとが存在することができる。外気が、入口ルーバ136aおよび136bに入り、各空気流路115/116を通して、次いでミスト除去器114aおよび114bを通して概ね上方向に移動し、これにより、ファン106および107を通して、間接熱交換器100から押し出される。気流方向は、この例では、概ね上方向で示されているが、気流は、蒸発性液体と平行またはクロスフローであってもよく、限定ではない。
【0016】
各空気流路は、冷却すべき通路に流体を導入するそれぞれの導管を含む。例えば、空気流路115は、冷却または凝縮すべき高温流体120aを受ける導管入口124と、冷却または凝縮された流体122aを返す導管出口126と、を有する導管111を有する。同様に、第2の空気流路116は、高温流体120bの流れを受ける流体入口123と、冷却または凝縮された流体122bの流れを返す出口125と、を有する導管113を有する。それぞれの導管は、また、冷却領域144/146を含み、この領域は、間接コイル構成、プレート構成、または任意の他の構成とすることができる。入口および出口接続は、望まれる場合、逆にしてもよい。いくつかの例において、冷却領域144/146自体は、単純間接熱交換器と呼ばれ、これは、高温流体の流れ120a/120bから熱交換される場所だからである。
【0017】
熱交換器100は、また、分配器112を含み、分配器112は、各空気流路115および116内で、それぞれ蒸発性流体を分配するように構成された個別の分配ユニット118および119を含む。共通サンプ142は、蒸発性液体のリザーバを含み、熱交換器空気流路115および116のそれぞれと関連付けられた分配ユニット118および119のそれぞれと連通している。蒸発性液体は、熱交換器の冷却領域上に噴霧されて、熱伝達処理を促進することができる液体である。多くの例において、蒸発性液体は水であるが、他の液体を用いることもできる。ポンプ139および140は、共通サンプ142からの蒸発性液体を、それぞれ吐出管148aおよび148bに吸い上げる。分配ユニット118および119は、次いで、蒸発性液体を、ノズル128a/128bまたはオリフィスに向けて引き上げ、ノズルまたはオリフィスは、蒸発性液体を、噴霧液滴129として放出する。分配ユニット118および119は、それぞれの熱交換器の空気流路115および116の冷却領域144および146全体に、蒸発性液体を分配するように配置されている。分配ユニット118/119は、全放出モード(オン)、無放出モード(オフ)、またはその間の様々な段階で動作可能なように調整することができ、ここで、蒸発性液体は、制御または減少された流量で吐出される。
【0018】
熱交換器100は、ファン106および107をそれぞれ駆動するファンモータ104および105の速度を独立して制御し、また、ポンプ139および140の動作を独立して制御する能力を有するロジックコントローラ102を含む。コントローラ102は、1つまたは複数の処理装置を含んでもよく、熱交換器に対して、例えば有線で直接、あるいは無線で間接的に接続してもよい。コントローラ102は、処理パラメータを監視することが可能である。例えば、コントローラ102は、周囲温度、湿度レベル、および空気圧レベルを監視するセンサ132を採用してもよい。コントローラ102は、ユーザ入力130を受信するように構成することもでき、これは例えば、所望の動作条件、所望の最終温度(例えば所定のユーザ設定点)、所望の水および/またはエネルギー使用レベル、エネルギーおよび水コスト、または他の所定の条件に関する。コントローラ102は、上述したように、センサ130および132を通した処理パラメータを得てもよく、あるいは、通信モジュールまたは他の入力機構を介して、遠隔でパラメータを受信してもよい。
【0019】
これらの処理パラメータおよび監視された環境条件に基づいて、コントローラ102は、熱交換器の適切な動作条件を決定することができる。例えば、環境的な条件(例えば、周囲温度、気圧、および湿度)、所望のユーザ設定点、ならびに水およびエネルギー使用を最小化するためのユーザ要求制限に基づいて、コントローラ102は、熱交換器の空気流路115/116のそれぞれに関して、適切な分配条件、分配量、および流量を決定することができる。一例として、コントローラ102は、各空気流路と適切な分配条件(例えば、ウェット、ドライ、および/または分配量)とに関して、適切な流量を決定し、熱交換装置を、これに応じて動作するように調整してもよい。例えば、コントローラ102は、分配器112が動作しているかを(例えば、ポンプ139および140がオンまたはオフであるかを制御することによって)制御し、ファン106および107の速度を調整して、各空気流路115/116を通した所望の流量を得てもよい。
【0020】
間接熱交換器の空気流路115および116は、スプレーポンプ139および140が、オンにされているか、またはオフにされているかに応じて、蒸発性としてウェットモードで、または顕熱交換器としてドライモードで動作することができる。図1において、間接熱交換器の空気流路115は、スプレーポンプ139がオンにされ、ファンモータ104もオンにされて、速度RPMで動作することで、ウェットモードで動作していることが示され、一方で間接熱交換器の空気流路116は、スプレーポンプ140がまだオフにされ、ファンモータ105が異なる速度RPMで回転しているため、ドライ顕熱モードで動作している。
【0021】
熱交換器100は、様々な異なる動作条件を有する。第1の条件では、両方の空気流路115/116をウェットモードで動作させ、このモードでは、両方の分配器118/119が、蒸発性液体129を分配する。第2の条件では、熱交換器100は、ハイブリッドモードで動作することができ、このモードでは、1つの通路では、ウェットモードで動作し(例えば、分配器が蒸発性液体を分配するように、対応するポンプがオンである)、他の通路では、ドライモードで動作して、分配器に、蒸発性液体を分配させない(例えば、ポンプを“オフ”に設定する)。第3の動作条件では、両方の空気流路115/116は、ドライモードで動作することができ、これにより、分配ユニット118/119のいずれも、蒸発性液体を分配しない。もう1つの例では、機器が、ほぼ等しい時間、ウェットおよびドライで動作するようにして、ポンプ139および140がほぼ等しい時間動作するように制御するよう、コントローラ102を設定することができる。
【0022】
エンドユーザ顧客が、蒸発性液体を節約することを望むが、少なくとも1つの間接熱交換器空気流路はウェットで動作すべきであると、コントローラ102が決定した場合、コントローラ102は、速度(RPM)を、非常にゆっくりと増加させるか、さらにはオフにすることができ、一方でモータ105の速度(RPM)を増加させ、これにより、ウェットの熱交換通路115に対して、間接熱交換空気流路116から、ずっと多くの顕熱ドライ熱交換を達成する。コントローラ102は、用いられる水の量とエネルギーとを平衡させる能力を有し、最終的には、動作コストを節約するように設定することができる。
【0023】
図2は、実施形態200を示しており、この実施形態は、第1の空気流路215と、第2の空気流路216と、を含む複数の空気流路を有する単一ユニットである。実施形態200は、個別の空気流路215および216のそれぞれによって共有された単一のファン202を採用している。図2の熱交換器200は、図1の熱交換器と同様であるが、いくつかの違いを有する。特に、熱交換器200は、単一のファンモータを有する、単一のファン202を含む。しかし、図2は、単一のファンを有して示されているが、流路215/216によって共有された複数のファンが存在することができる。熱交換器200内のそれぞれの流路を通して気流を独立制御するために、熱交換器200は、変調空気排出ダンパ205および206を内蔵しており、これらダンパは、変調モータ207および208によって制御される。
【0024】
図2において、ロジックコントローラ202は、比例位置を、排出ダンパ205および206の0%~100%オープン状態に独立制御する能力を有し、また、ポンプ239および240が、オンかオフかを制御する能力を有し、これは、顧客設定点、顧客により選択された動作モード、熱交換性能、蒸発性液体(または水)およびエネルギーコスト、ならびに温度または気圧入力および周囲センサのフィードバックなどの熱交換器の外部の環境条件などのパラメータに応じる。
【0025】
空気流路215および216は、スプレーポンプ239および240が、オンにされているか、またはオフにされているかに応じて、蒸発性としてウェットモードで、または顕熱交換器としてドライモードで動作することができる。図2において、第1の空気流路215は、スプレーポンプ239がオンにされているため、ウェットモードで動作していることが示され、第2の流路216は、スプレーポンプ240がオフにされているため、ドライモードで動作していることが示されている。このようにして、分配器212は、(1)両方のポンプがオンである完全な蒸発モード、(2)両方のポンプがオフである完全なドライモード(または顕熱モード)、または(3)一方のポンプがオンであり、他方のポンプがオフである、ハイブリッドモード、で動作することができる。
【0026】
コントローラ202は、機器がほぼ等しい時間、ウェットおよびドライで動作するように、ポンプ239および240を、ほぼ等しい時間動作させ、排出ダンパ205および206を、ほぼ等しい時間動作させるように制御する。運転者が、蒸発性液体を節約することを意図するが、コントローラ202が、少なくとも1つの間接熱交換器はウェットで動作すべきであると決定した場合、コントローラ202は、ロジックを用いて、ポンプ239をオンにし、ポンプ240をオフにし、図2に示した例では、排出ダンパ205を制御してほぼ閉にし、一方で、排出ダンパ206を制御してほぼ開にし、これにより、ドライ動作する間接熱交換器246を通してずっと多くの気流を可能にし、これにより、冷却領域246から、各熱交換空気流路を通したほぼ等しい空気流量を有することに対して、ずっと多くの顕熱ドライ熱交換を達成する。
【0027】
各間接熱交換器の空気流路を通した気流の個別の制御は、ウェット間接熱交換器が、熱伝達処理で優勢となる(これにより、ドライ動作する熱交換器を無価値にする)ことを抑制し、また、蒸発性液体を節約する。外気は、入口ルーバ236aおよび236bから入り、間接熱交換244および246を通して概ね上方向に移動し、次いで、ミスト除去器214aおよび214bを通して移動し、ファン202を通して間接熱交換器200から押し出される。気流方向は、この例では、概ね上方向で示されているが、気流は、蒸発性液体と平行またはクロスフローであってもよく、限定ではない。コントローラ202は、また、モータ204の速度を制御し、このモータは、顧客設定点を満たすように、必要に応じてファン202を駆動する。導管211および213は、それぞれの冷却領域244および246と、高温流体を受けるそれぞれの入口接続224および223と、冷却または凝縮流体を返すそれぞれの出口接続226および225と、をそれぞれが有する。入口および出口接続は、所望により、逆にしてもよい。ポンプ239および240は、蒸発性液体を、共通サンプ242から吐出管248aおよび248b内、ならびに配送システム218および219内に吸い上げ、最終的には、蒸発性液体を放出するノズルまたはオリフィスから出させる。
【0028】
図3は、もう1つの熱交換器300を示しており、この熱交換器は、第1の空気流路315と、第2の空気流路316とを含む単一ユニットである。熱交換器300は、空気流路315および316のそれぞれによって共有されたファン202を有する単一のユニットを採用している。図3は、単一のファンを有して示されているが、流路315/316で共有された複数のファンが存在することができる。熱交換器300が、変調モータ302および303によって制御される空気入口ダンパ304および305を利用することにより、流路315および316を通して気流を制御することを除き、熱交換器300は、図2の熱交換器200と同様である。
【0029】
図2のロジックコントローラのように、ロジックコントローラ302は、比例位置を、排出ダンパ304および305の0%~100%オープン状態に独立して制御する能力を有し、また、分配器312が動作しているかどうか、および分配器のどちら側(すなわち、どの流路)が、蒸発性液体を分配するかを制御する能力を有する。
【0030】
図3において、空気流路315は、ポンプ329が“オン”であるため、関連する分配器319が、“オン”として示され、蒸発性液体の液滴を分配することにより、ウェットモードで動作する様子が示され、空気流路316は、ポンプ340がオフであるため、関連する分配ユニット318がオフであり、蒸発性液体の液滴を分配しないことにより、ドライモードで動作する様子が示されている。
【0031】
運転者が、蒸発性液体を節約することを意図するが、少なくとも1つの間接熱交換器が、必要とされる冷却制約を満たすためにウェットモードで動作しなければならないと、コントローラ302が決定した場合、コントローラ302は、ロジックを用いて、ポンプ329をオンにし、ポンプ340をオフにし、図3で示される例において、空気入口ダンパ304を制御して、ほぼ閉にし、一方で、空気入口ダンパ305を制御して、ほぼ開にし、これにより、ドライ動作する空気流路316を通してずっと多くの気流を可能にする。これは、ウェット冷却領域344に対して、ドライ冷却領域346からのより多くの顕熱ドライ熱交換を達成することに役立つ。各空気流路315/316を通した気流の個別の制御により、ウェット間接熱交換器が熱伝達処理において優勢になることを抑制し、これにより、熱交換器300が蒸発性液体を節約することを可能にする。
【0032】
図4は、共に一体とされた5つのモジュール式ユニットを有する、熱交換器ネットワーク400を示している。この実施形態は、5つのモジュール式ユニットを示している一方、本開示と一致する熱交換器ネットワークは、2つ以上設けられる条件では、任意の数のユニットを有することができることを理解すべきである。例えば、2つのユニットのネットワークは、本実施形態と一致して動作し、そのような例では、ユニットは、それぞれが共通ロジックコントローラ411と通信している限り、互いに直接隣接して配置される必要がない場合もある。
【0033】
図4に示すように、ネットワーク400の各個別ユニットは、それ自体の動作する機器を有する独立した熱交換器として動作する。例えば、各ユニットは、自機の間接熱交換器または冷却領域を有し、左から右にそれぞれ420、422、424、426および428と標示されている。各ユニットは、自機のポンプ460、462、464、466および468を有する。各ユニットは、自機のモータ402、404、406、408および410によってそれぞれ駆動される、左から右に401、403、405、407および409と標示されたファンを有する。各ユニットは、それぞれ左から開始し右に向かって450、452、454、456および458である、自機の空気入口ルーバを有する。各ユニットは、左から右に440、442、444、446および448と標示された分配器を有する。各ユニットは、左から右に412、413、414、415および416と標示された排気を有する。各ユニットは、左から右に470、472、474、476、および478と標示されたサンプを有する。最後に、各ユニットは、それぞれ左から開始し右に向かって430、432、434、436および438である、ドリフト除去器を有する。
【0034】
図4において、ロジックコントローラ411は、ファン(401、403、405、407および409)を回転させるファンモータ(402、404、406、408および410)の速度を独立して制御する能力を有し、また、コントローラ411によって監視および/または決定される処理パラメータに応じて、ポンプ(460、462、464、466、および468)がオンまたはオフであるかどうかを制御する能力を有する。
【0035】
ファン(401、403、405、407および409)は、出口空気(412、413、414、415および416)を排出する。個々の間接熱交換器(420、422、424、426および428)は、ポンプ(460、462、464、466および468)が、コントローラ411によってオンまたはオフにされているかどうかに応じて、蒸発性としてウェットモードで、または顕熱交換器としてドライモードで動作することができる。
【0036】
図4では、ポンプ460および462のみがオンにされていることにより、間接熱交換器420および422がウェットモードで動作していることが示されている。また、ファンモータ402および404もオンにされ、速度RPMで動作している一方で、間接熱交換器424、426および428は、ドライ顕熱モードで動作しており、これは、ファンモータ406、408および410がRPMで回転する一方で、スプレーポンプ464、466および468はオフにされているためである。
【0037】
この構成によれば、ネットワーク400は、様々な異なる装置で動作することができる。例えば、1つの装置では、全てのポンプをオンにすることができ、これにより、完全に蒸発モードで動作する。別の装置では、全てのポンプをオフにすることができ、これにより、完全に乾燥(または蒸発性液体を節約する)モードで動作する。別の装置では、少なくとも1つのポンプがオンであり、少なくとも1つのポンプがオフであり、これにより、ネットワーク400をハイブリッドモードで動作させる。
【0038】
一例において、コントローラ411は、ポンプ460、462、464、466および468を制御して、ほぼ等しい時間、動作させるように構成することができ、これにより、各モジュール式ユニットは、ほぼ等しい時間、ウェットおよびドライで動作するが、これにより、全ての間接熱交換器で、蒸発量を基本的に同じに維持することができる。図4に示す例において、ネットワークは、蒸発性液体を節約するハイブリッドモードで動作するように構成され、これは、全てのユニットをドライモードで動作させることは、熱交換需要を満たすには十分ではないと、ロジックコントローラ411が判断したためである。よって、ウェットで動作しつつも蒸発性液体を節約するために、コントローラ411は、モータ406、408および410(RPM)の速度を増加させることにより、ドライ動作するユニット424、426および428を通る気流を増加させつつ、モータ402および404の速度(RPM)を低下させることによって、それぞれの熱交換器420および422を通る空気流量を減少させることにより、2つのウェット動作するユニットからの熱伝達量を減少させるように構成されている。この制御は、ほぼ等しい空気流量で、ウェット動作する間接熱交換器420および422に対して、間接熱交換器424、426および428から、より多くの顕熱ドライ熱交換を達成することができる。蒸発動作モードでは、コントローラ411は、ネットワーク内の全てのモジュールを一度にオンにするのとは反対に、単一モジュールの動作からネットワークを開始し、必要に応じて追加のモジュールを追加することができる。一度、全てのモジュールが動作すると、コントローラ411は、ファン速度を同期させて、エネルギー節約を最大化することができる。この制御ロジックを用いて、動作条件の段階ごと(例えば、部分的な熱負荷またはより低い周囲温度にある間)で、エネルギー節約を最大化でき、また、より少ないモジュールを動作させることで、ポンプエネルギーを節約する。製品が顧客に大きすぎる場合、または部分的な熱負荷期間中に、このロジックは、大きなエネルギーを提供するであろう。ピーク負荷の間に、コントローラ411は、同期されたファン速度で全てのモジュールを動作させることにより、エネルギーを節約することができる。熱交換器400において、コントローラ411は、ウェットモードで動作する分配器を有する、全ての空気流路を通した空気流量を、同じ(すなわち、RPM)に設定するように構成され、かつ、ドライモードで動作する分配器を有する、全ての空気流路を通した空気流量を、同じ(すなわち、RPM)に設定するように構成されてもよい。
【0039】
外気は、入口ルーバ450、452、454、456および458に入り、間接熱交換器420、422、424、426および428を通して概ね上方向に、次いでドリフト除去器430、432、434、436および438のそれぞれを通して移動し、ファン410、402、403、404および405のそれぞれを通して、各モジュール式ユニットから押し出される。ポンプ460、462、464、466、および468は、オンにされると、サンプ470、472、474、476および478から、分配システム440、442、444、446および448内に蒸発液体を吸い上げ、最終的に、蒸発液体を噴霧液滴にして放出するノズルまたはオリフィスから外に出される。極端な気象条件にある間など、必要に応じて、コントローラ411は、制御ロジックによって決定されるように、モジュール式ユニット全体で、ファンモータおよびスプレーポンプをオフにすることを選択してもよい。
【0040】
図5は、共に一体とされた5つのモジュール式ユニットを有する、共通の蒸発性液体リザーバサンプ571を利用する熱交換器ネットワーク500を示している。
【0041】
図5に示すように、ネットワーク500の各個別ユニットは、それ自体の動作する機器を有する独立した熱交換器として動作する。例えば、各ユニットは、左から右にそれぞれ535、536、537、538および539と標示された、自機の間接熱交換器または冷却領域を有する。各ユニットは、自機の蒸発性液体ゾーン弁530、531、532、533および534を有し、これらの弁は、開閉することが可能であり、または変調タイプとすることができる。各ユニットは、自機のモータ510、511、512、513および514によってそれぞれ駆動される、左から右に501、502、503、504および505と標示されたファンを有する。各ユニットは、左から開始し右に向かって、それぞれ540、541、542、543および544である、自機の空気入口ルーバを有する。各ユニットは、左から右に525、526、527、528および529と表示された分配器を有する。各ユニットは、左から右に501、502、503、504および505と標示された排気を有する。各ユニットは、それぞれ左から開始し右に向かって520、521、522、523および524である、そのドリフト除去器を有する。各ユニットは、サンプ545、546、547、548および549内の等化パイプ550、551、552、および553を有して示され、蒸発性液体が、出口556および導管557を通して、共通の蒸発性液体リザーバサンプ571に自由に排出されることを可能にする。ポンプ572は、ストレーナ573を通して、共通の蒸発性液体を引き上げ、蒸発性液体を、共通の蒸発性液体配送導管570内に吸い上げ、蒸発性流体を、ゾーン弁530、531、532、533および534のそれぞれに送る。
【0042】
図5において、ロジックコントローラ511(明確化のために配線は図示せず)は、ファン(501、502、503および504)を回転させるファンモータ(510、511、512、513および514)の速度を独立して制御する能力を有し、また、コントローラ511によって監視および/または決定された処理パラメータに応じて、ゾーン弁(530、531、532、533、および534)が開または閉であるかを制御する能力も有する。
【0043】
ファン(501、502、503、504および505)は、出口空気(501、502、503、504、および505)を排出する。個別の間接熱交換器(535、536、537、538および539)は、コントローラ511によってゾーン弁(530、531、532、533および534)が開かれているか、閉じられているかに応じて、蒸発性としてウェットモードで動作するか、または顕熱交換器としてドライモードで動作することができる。
【0044】
図5において、ゾーン弁530および531のみが開であることにより、間接熱交換器535および536がウェットモードで動作していることが示されている。また、ファンモータ510および511もオンにされ、速度RPMで動作している一方で、間接熱交換器537、538および539が、ドライ顕熱モードで動作しており、これは、ファンモータ512、513および514がRPMで回転する一方で、スプレーゾーン弁532、533および534は閉であるためである。
【0045】
この構成によれば、ネットワーク500は、様々な異なる装置で動作することができる。例えば、1つの装置では、すべてのゾーン弁を開にすることができ、これにより、完全に蒸発モードで動作する。別の装置では、すべてのゾーン弁を閉じることができ、これにより、完全に乾燥(または蒸発液体を節約する)モードで動作する。さらに別の構成では、少なくとも1つのゾーン弁が開であり、少なくとも1つのゾーン弁が閉であり、これにより、ネットワーク500は、ハイブリッドモードで動作している。
【0046】
一例において、コントローラ511は、制御ゾーン弁530、531、532、533および534を制御して、ほぼ等しい時間、開または閉とするように構成することができ、これにより、各モジュール式ユニットは、ほぼ等しい時間、ウェットおよびドライで動作する。図5に示される例において、ネットワークは、蒸発性液体を節約するハイブリッドモードで動作するように構成され、これは、全てのユニットをドライモードで動作させることは、熱交換需要設定点を満たすには十分ではないと、ロジックコントローラ511が判断したためである。よって、ウェットで動作しつつも蒸発性液体を節約するために、コントローラ511は、モータ512、513および514の速度(RPM)を増加させることにより、ドライ動作するユニット537、538および539を通る気流を増加させつつ、モータ510および511の速度(RPM)を低下させることによって、それぞれの熱交換器535および536を通る空気流量を減少させることにより、2つのウェット動作するユニットからの熱伝達量を減少させるように構成されている。この制御ロジックは、ほぼ等しい空気流量で、ウェット動作する間接熱交換器535および536に対して、間接熱交換器537、538および539から、より多くの顕熱ドライ熱交換を達成することができる。
【0047】
外気は、入口ルーバ540、541、542、543および544に入り、間接熱交換器535、536、537、538および539を通して概ね上方向に、次いでドリフト除去器520、521、522、523および524のそれぞれを通して移動し、ファン501、502、503、504および505のそれぞれを通して、各モジュール式ユニットから押し出される。ゾーン弁530、531、532、533および534は、開位置にあると、共通サンプ571から、分配システム525、526、527、528および529内に蒸発液体を吸い上げることを可能にし、最終的に、蒸発液体を噴霧液滴にして放出するノズルまたはオリフィスから外に出される。極端な気象条件にある間など、必要に応じて、コントローラ511は、制御ロジックによって決定されるように、モジュール式ユニット全体で、ファンモータをオフにし、ゾーン弁を閉じることを選択してもよい。
【0048】
図6は、ウェットの断熱飽和を利用して、ドライ動作する間接熱交換器に入る空気の温度を減少させる、熱交換器ユニット600を示している。熱交換器600は、3つのファン601、602および603を有して示され、これらのファンは、右側の断熱飽和パッド620、621および622を通し、また、左側の断熱飽和パッド630、631および632を通した空気の流れを誘発する。空気は、飽和パッドを通過した後、右側の間接熱交換器612と、左側の間接熱交換器616とを通って移動し、次いで、ファン601、602および603から出る。水などの蒸発性液体は、サンプ690から導管660、661および662を通して、右側の液体配送システム680、681および682内に吸い上げられ、これら右側の液体配送システムは、左側の液体配送システム670、671および672にもそれぞれ配管され、ここで、蒸発性液体652および654は、ポンプ640、641および642がオンである場合、各断熱飽和パッドの上部に配送される。当該技術において良く知られている、他の実施形態は、液体652および654を飽和パッドの上部に配送するポンプの代わりに、ソレノイド弁(図示せず)を用いる。提示された他の実施形態および例のように、ロジックコントローラ650は、ポンプ640、641および642を独立して制御し、かつ、ウェットおよびドライ動作ゾーン内の気流を独立して制御する能力を有する。
【0049】
図6に示される例において、熱交換器600は、蒸発性液体を節約するハイブリッドモードで動作するように構成され、これは、全ての断熱飽和パッドをドライモードで動作させることは、熱交換需要を満たすには十分ではないと、ロジックコントローラ650が判断したためである。第1のコントローラ650は、ポンプ642をオンにし、これは、右側の飽和パッド622および左側の飽和パッド632をウェットの状態にし、オフのポンプ640および641を、そのままにして、飽和パッド620、621、630および631を、ドライの状態に保つ。
【0050】
蒸発性液体を節約するハイブリッドモードで動作するために、ロジックコントローラ650は、モータ602および603の速度(RPM)を増加させることにより、ドライ動作する飽和パッド620、621および630を通る気流を増加させつつ、モータ601の速度(RPM)を減少させることによって、熱交換器612および616のそれぞれの部分を通る空気流量を減少させることにより、1つのウェット動作ゾーンからの熱伝達量を減少させるように構成されている。これは、ウェット動作するファン601全体の気流を減少させることによって、間接熱交換器612および616の部分に入る湿った飽和空気に対して、間接熱交換器612および616のドライ部分から、より多くの顕熱ドライ熱交換を可能にする。従来技術の断熱ユニットは、1つの側全体または両側をウェットの状態にするが、この例でのウェット飽和パッド622および632により示すように、独立して制御された1つの空気流路に専用の、左側および右側のみをウェットの状態にする能力は持たないことに留意すべきである。ロジックコントローラ650は、また、ポンプ640、641および642を制御して、全ての断熱パッドが、同じ時間継続するように、ほぼ等しい時間動作させる。冷却または凝縮すべき流体は、入口接続614を通して右側の間接熱交換器616に入り、出口接続615を通して外に出る一方で、左側の間接熱交換器612内の、冷却または凝縮すべき流体は、接続610を通して入り、出口接続611を通して外に出る。
【0051】
図7は、間接熱交換器730と、直接熱交換器736との組み合わせを用いた熱交換器アセンブリ700を示している。他の実施形態でのように、コントローラ711は、ウェットまたはドライで動作する際に、各熱伝達セクション内での空気流量を独立して制御することができる。ファン703は、モータ702によって回転され、これにより、気流が、上部空気入口750から間接熱交換セクションに入り、次いで間接熱交換器730を通り、ドリフト除去器717を通り、排気754としてファン703から出ることを誘発する。ファン705は、モータ704によって回転され、これにより、気流が、側部空気入口752からルーバ735を通して直接熱交換セクション736に入り、直接熱交換セクション736を通り、次いでドリフト除去器740を通り、排気756としてファン705から出ることを誘発する。分離壁740は、排気756が間接熱交換器730内に逆流することを防止し、減少ダクトセクションを形成して、空気速度を増加させ、排気756を高速で離れさせる。この方向づけの別の利点は、ファン703プラスファン705の直径の合計が、ユニットの上部に配置された場合の共通のファンの直径よりも大きく、これにより、従来技術ユニットよりも、同じKW(HP)入力で、より多くの合計気流を可能にすることであることに留意すべきである。
【0052】
ウェットモードで動作するとき、コントローラ711は、ポンプ708をオンにし、これにより、サンプ722から、配送システム742およびノズルまたはオリフィス744を通して、間接熱交換セクション730の上部まで、蒸発性液体を吸い上げる。最終的に冷却または凝縮される流体は、入口732を通して間接セクション730に入り、出口733を介して離れる。間接熱交換器730を通した流体の流れは、望まれる場合、逆にすることができる。蒸発性液体は、次いで重力によって、直接セクション736上に流れ、次いで、サンプ722に戻る。
【0053】
ドライモードにおいては、ロジックコントローラ711は、ファンモータ704をオフに維持して、直接熱伝達セクション736を通して空気を移動する、いずれのKWの使用も除去し、かつ、ファン703を回転させるファンモータ702の速度を、ウェットで動作する場合よりもずっと高速に増加させることができ、これは、ドライモードで動作する際には、ドリフト除去器717を通してドリフトを引き出す機会がないからである。よって、他の実施形態のように、ドライモードの動作の間に、蒸発性液体の節約と顕熱伝達の増加とが望まれる場合、ドライのファン速度は、ウェットのファン速度よりもずっと高く設定することができる。
【0054】
間接および直接セクションを通して、独立して制御された気流を有する、独立した気流ストリームを有する他の利点は、ピーク期間を除いた動作時間のほとんどにわたって、ファンモータ702を、オフのままにすることができ、これにより、蒸発のほとんど全てが、直接セクションにおいて行われ、間接セクションをクリーンに保つことである。これは、熱交換器が、非ハイブリッドモード、すなわち全ウェットまたは全ドライモードで動作する場合でも該当する。
【0055】
上述の開示は、複数の空気流路を有し、ハイブリッドモード(例えば、少なくとも1つの通路がウェットで動作し、少なくとも1つがドライで動作する)で、様々な流路を動作させることが可能であり、一方でまた、異なる空気流量でも動作する、特定の熱交換器および熱交換器ネットワークの一般的な例を説明している。これらの熱交換器および/またはネットワークは、特定数の交換セルまたは流路あるいはユニット(例えば、2つの空気流路または5つのユニット)を有して示してもよいが、互いに独立して動作可能な少なくとも2つの流路を、システムが含む限り、他の構成も可能であることに留意すべきである。例えば、少なくとも1つの流路は、他の流路がドライモードで動作する間、ウェットモードで動作することが可能であり、これにより、ハイブリッドモードで動作する間の、これらの流路のそれぞれを通した気流は、互いに異なるものとなる。
【0056】
このような熱交換器の1つの特定の例は、空気取入口と排気口との間で空気を移動させる、少なくとも2つの流路を有する。流体導管が、熱交換器を通過し、導管は、それぞれの流路内に配置される冷却領域を有する。冷却領域は、例えば、導管のコイル部分を含んでもよい。
【0057】
間接熱交換器は、流路を通して空気を移動させる気流発生器を含む。気流発生器は、例えば、ファン、ブロワ、気圧装置、および/またはこれらの組み合わせまたは複数を含んでもよい。気流発生器は、両方の流路と連通する単一装置とすることができ、または複数の装置、例えば流路ごとに1つの装置を含むことができる。いくつかの例において、いくつかの流路は、他よりも多くの装置を有し、特定の通路においてより多くの気流を生成するようにしてもよい。
【0058】
いくつかの熱交換器において、個別の流路は、通路内の気流を制御または制限するのに役立つ、流路内の様々な装置またはシステムを含んでもよい。例えば、各流路は、各流路内に1つまたは複数の気流調整器を含んでもよい。気流調整器は、例えば、ダンパ、弁、ゲート、ルーバ、または絞り器を含むことができる。気流調整器は、様々な異なる位置で動作することができるように、調整可能にすることができる。例えば、いくつかの気流調整器は、完全な気流を可能にする“開”または全気流を制限する“閉”のいずれかなどの、二元性であってもよい。他の気流調整器は、全開と全閉との間での追加の調整位置、例えば、50%開、25%開、95%開などを有することができる。気流調整器の構成を調整することにより、熱交換器は、個別の流路を通した気流を、流路が個別の気流発生器と関連してもしなくても、制御することができる。これにより、気流調整器の使用は、単一の気流発生器を採用した熱交換器において有用となり得るが、これらの熱交換器は、複数の気流発生器も利用する、他の装置内でも、有効に採用されてもよい。
【0059】
コントローラは、気流発生器と通信し、第1の流路と、第2の流路とを通した気流を制御または調整する。例えば、コントローラは、気流発生器を、オンおよびオフにしてもよく、場合によっては、気流発生器の速度または電力を調整してもよい。
【0060】
熱交換器は、また、冷却領域の1つの上に蒸発性液体を分配するために配置された分配器を含む。分配器は、分配器が蒸発性液体を分配する(すなわち、分配器が“オン”である)ウェットモードと、分配器が蒸発性液体を分配しない(すなわち、分配器が“オフ”である)ドライモードと、で動作する。分配器は、完全にオンまたは完全にオフのいずれかで動作してもよいが、いくつかの分配器は、ウェットモードで分配される液体の流量を調整することができる、中間範囲で動作することが可能であってもよい。
【0061】
コントローラは、また、分配器と通信して、その動作を制御する。例えば、コントローラは、分配器を、ウェットモードおよびドライモードの間で切り替えてもよく、さらに、分配器からの蒸発性流体の分配量を、調整してもよい。
【0062】
分配器は、熱交換器の各空気流路に1つずつ配置された、複数の分配ユニットを有して、冷却領域のそれぞれの全体に蒸発性液体を分配するように構成することができる。例えば、分配器は、各流路内に冷却領域のそれぞれに対して配置された、複数の噴霧器または分配器ノズルを含み、分配ユニットがウェットモードで動作する際に、少なくともいくつかの蒸発性液体を、それぞれの冷却領域に分配してもよい。いくつかの例において、熱交換器は、各流路内の個別の分配器を採用してもよい。いずれにしても、各流路内の分配器は、互いに独立して動作することが可能であり、これにより、他の分配器がドライモードで動作する間、1つの分配器はウェットモードで動作してもよい。さらに、1つの分配器は、分配速度が他の分配器よりも高い、第1のウェットモードで動作してもよく、他の分配器も、より制限された分配を行うウェットモードではあるが、ウェットモードで動作している。
【0063】
熱交換器が2つの分配器を含むいくつかの場合では、コントローラは、一方の分配器がウェットモードで動作し、その間他方の分配器がドライモードで動作するようにして、分配器を独立して動作させてもよい。このような状況において、コントローラは、また、各流路を通る気流が異なるようにして、様々な気流発生器を動作させてもよい。例えば、コントローラは、ドライモードで動作する流路内の気流が、ウェットモードで動作する流路の気流よりも大きくなるように、気流を調整してもよい。コントローラは、また、センサまたは入力から、情報を読み取りまたは受信し、受信した情報を用いて、熱交換器用の適切な動作条件を決定することが可能であってもよい。例えば、受信した情報に基づいて、コントローラは、第1の流路は、ウェットモードにおいて第1の空気流量で動作すること、第2の流路は、ドライモードにおいて第1の空気流量よりも高い第2の空気流量で動作すること、を含む、適切な動作モードを決定してもよい。流量は、独立ファンの速度を調整すること、あるいは減衰または制限設定を、各流路と関連する気流調整装置に設定すること、を含む様々な異なる技術で調整することができる。
【0064】
本出願は、熱交換器および/または熱交換器ネットワークを動作させる方法説明する。図8は、熱交換器を動作させるための一例としての方法800を示すフロー図である。方法800を用いて、本出願にて説明された熱交換器または熱交換器ネットワークのいずれかを、動作させることができる。図8の方法800に関して説明したように、熱交換器という用語が用いられるときはいつでも、熱交換器ネットワークという用語で置き換え可能であることを理解すべきである。
【0065】
方法800は、導管を介して、流体を熱交換器に通過させること810を含む。導管は、間に冷却領域がある入口および出口を含む。冷却領域は、コイル構成、プレート構成、あるいは別の間接または直接熱交換構成を有することができる。冷却領域は、熱交換器の個別のそれぞれの空気流路内(または熱交換器ネットワークの個別の熱交換器内)に配置されている。冷却領域は、また、熱交換器の分配器が、ウェットモードで動作している場合に、蒸発性液体を、冷却領域上に分配または噴霧することができるように、分配ゾーン内に配置されている。
【0066】
方法800は、また、処理パラメータを監視するステップ820を含む。例えば、監視するステップ820は、所定の設定点(例えば、ユーザ設定点)、図9に示されるような熱交換器性能要因、水使用およびコスト要因、エネルギー使用およびコスト要因、ならびに熱交換器の外部の環境条件、の1つまたは複数を監視することを含むことができる。監視820は、コントローラを介して行うことができ、コントローラは、センサまたは入力を介して、パラメータを受信してもよい。いくつかの例において、監視820は、遠隔で行うことができ、処理パラメータは、通信信号を介して(例えば、無線ネットワークを介して)、コントローラに供給することができる。
【0067】
方法800は、次いで、熱交換器用の適切な動作条件を決定830する。適切な動作条件は、コントローラを介して決定830することができ、例えば、熱交換器の様々な流路のそれぞれに関する、動作空気流量を含むことができる。適切な動作条件は、また、流路の適切な分配モードを含むこともできる。例えば、監視された処理パラメータに基づいて、方法800は、第1の流路が、ウェットモードで動作して、第1の空気流量を有するべきであり、第2の流路は、ドライモードで動作して、第1とは異なる第2の空気流量を有するべきであることを決定830してもよい。このような動作のハイブリッドモード(すなわち、一方の流路は、ウェットで動作し、他方は、ドライで動作する)において、ドライの流路を通した空気流量は、第1の空気流路を通した空気流量よりも大きくてもよい。
【0068】
方法は、次いで、第1の動作空気流量で、第1の流路840を通した気流を生成し、第2の決定された空気流量で、第2の流路850を通した気流を生成する。いくつかの例においては、気流を生成840/850するステップは、個別の流路のそれぞれと関連する個別のファンのモータを、異なるレベルに設定することを含むことができる。他の例において、気流を生成840/850するステップは、一定のファン速度を維持するが、流路内の様々な気流調整器を、異なるレベルに調整することを伴ってもよい。例えば、第1の流路内の気流を生成840するステップは、第1の空気流路内に配置されたダンパを、所望の気流と関連する第1の設定に設定することを伴ってもよく、第2の流路内に配置されたダンパを、所望の気流と関連する第2の設定に設定することを伴ってもよい。
【0069】
方法800は、第1の動作分配モード860で、第1の分配器を動作させること、および第2の動作分配モード870で、第2の分配器を動作させること、をさらに含む。例えば、第1の分配器は、蒸発性液体を冷却領域上に分配する、ウェットモードで動作してもよく、第2の分配器は、蒸発性液体を分配しない、ドライモードで動作してもよい。
【0070】
このようにして、方法800を用いて、様々な異なる動作モードで熱交換器を動作させることができ、動作モードは、全ての流路を、分配器をオンにして動作させている全ウェットモードと、全ての流路を、分配器をオフにして動作させている全ドライモードと、少なくとも1つの分配器をオン、少なくとも1つをオフにして動作させているハイブリッドモードと、を含む。方法800を用いて、また、ハイブリッドモードを効率的かつ有効に利用することができ、これにより、ドライモードで異なる流量により動作する流路によって、水(または任意の蒸発性液体)および/またはエネルギーの節約を得ることができる。
【0071】
ロジックコントローラによって用いられる熱交換器性能要因の例が、図9に示されている。選択された場合、ロジックコントローラの内部の制御ロジックは、水およびエネルギーの入力されたコストを監視すること、および埋め込まれたファンの速度と、図9に示されるようなファンモータKW対ユニット容量と、を監視することにより、全体の動作コストを最小化しようと努めることができ、かつ、全体の水およびエネルギーコストを減少させようと努める。
【0072】
図9は、代表的な流体冷却器に関する性能データを示している。例として、ウェット蒸発モードにおいて、ファン速度が最高速度の80%で動作している場合、ファンモータは、最高速度KWの約50%を消費するが、ユニット容量は、全容量の約85%である。ファン速度が、最高速度の40%で動作している場合、ファンモータは、最高速度KW電力の約10%しか消費せず、ユニット容量は、全容量の約50%である。各速度での特定ユニット容量に相対する、ファン速度対ファンモータKWを備えて、制御ロジックは、ウェットおよびドライセクションのオンおよびオフを、どのようにサイクルするかを決定すること、ならびに、ウェットおよびドライセクションを通してファン速度を独立して制御し、動作コストの総計を最小化することができる。例えば、エネルギーコストがオフピーク時間よりも遥かに高いピーク時間の間、制御ロジックは、動作コストを計算し、オフピーク時間の間よりも多くのウェット蒸発動作の使用に移行する。このようにして、典型的には、より多くの蒸発性液体を、ピーク時間の間に使用して、費用のかかるエネルギー需要率を減少させ、一方で、エネルギーのコストがずっと安くなった際に、より少ない水を利用することができる。
【0073】
コントロールロジックは、ファンKWの増加に対する、ユニット容量の増加を計算し、より速いファン速度/KWが有益でない場合、より多くのウェットセルでサイクルする。もう1つの例では、水が非常に高価であるか、または単に豊富に利用可能ではないかのいずれかにより、可能な限りの水の節約を顧客が望む場合、制御ロジックは、ウェット動作する熱交換器を、可能な限り多く残し、ドライ動作する熱交換器上で、ファン速度を増加させることができる。動作するウェット熱交換器の数を抑えつつ、ドライ動作するファン速度を増加させ、ウェットファン速度を低下させる能力は、従来技術に対する主な改善の1つである。制御ロジックは、エネルギーを節約するように調整可能な最大ファン速度を超えないことも、有意義であることを理解するようにプログラムされている。例えば、最大の水量を節約するために、ロジックは、ドライのファン速度を、100%まで増加させることができる。しかし、制御ロジックは、ドライファン速度を増加させることには、リターンが減少する法則があること、および例えば70%の最大許容ファン速度で、かなりの水の節約がなお可能であること、を理解するようにプログラムされている。このロジックは、潜在的な水の節約の最後の数パーセントのために、ドライ速度ファンを100%駆動するよりも、かなりの量のエネルギーを節約するであろう。
【0074】
本出願は、動作する熱交換器の好適な実施形態および例を説明しており、よって、例示であって限定ではないと解釈されるべきである。当業者は、記載された例が、本明細書に記載された範囲から逸脱することなく、修正および/または互いに組み合わされ得ることを認識するであろう。さらに、一実施形態または例の特徴を、所望により、他の実施形態または例の特徴と組み合わせて、さらに別の実施形態または例を提供してもよい。本出願が引用、議論、識別、または参照するすべての参考文献は、参考のためにその全体が本明細書に組み込まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9