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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-03
(45)【発行日】2023-02-13
(54)【発明の名称】空冷復水器用三段熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F28B 1/06 20060101AFI20230206BHJP
   F28F 9/013 20060101ALI20230206BHJP
   F28F 9/02 20060101ALI20230206BHJP
【FI】
F28B1/06
F28F9/013 A
F28F9/02 301H
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2020544114
(86)(22)【出願日】2018-11-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-21
(86)【国際出願番号】 EP2018080009
(87)【国際公開番号】W WO2019091869
(87)【国際公開日】2019-05-16
【審査請求日】2021-10-07
(31)【優先権主張番号】17200358.4
(32)【優先日】2017-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】520154232
【氏名又は名称】エスピージー ドライ クーリング ベルギー
【氏名又は名称原語表記】SPG DRY COOLING BELGIUM
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】ヴォーチェ ミハエル
(72)【発明者】
【氏名】デレプランクィー クリストファー
【審査官】豊島 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第03707185(US,A)
【文献】特開平10-002683(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28B 1/00 - 11/00
F28D 1/00 - 13/00
F28F 9/00 - 9/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービンから排出された蒸気を復水するV型熱交換器(1)であって、
第1の一次チューブセット(91)であって、前記第1のセット(91)の一次チューブは、垂直面(V)に対して角度δ1だけ傾斜して並列配置された単列復水チューブであり、15°<δ1<80°である、前記第1の一次チューブセット(91)と、
第2の一次チューブセット(94)であって、前記第2のセット(94)の一次チューブは、前記垂直面(V)に対して角度δ2だけ傾斜して並列配置された単列復水チューブであり、15°<δ2<80°であり、前記第1の一次チューブセット(91)と前記第2の一次チューブセット(94)との間に開き角度δ=δ1+δ2が形成される、前記第2の一次チューブセット(94)と、
前記第1の一次チューブセット(91)の一次チューブのチューブ下端に連結されていて、且つ、前記第2の一次チューブセット(94)の一次チューブのチューブ下端に連結されている蒸気供給マニホールド(21)であって、
a)前記排出蒸気を、前記第1の一次チューブセット(91)及び前記第2の一次チューブセット(94)の一次チューブのチューブ下端に移送する蒸気供給部(65)と、
b)前記第1の一次チューブセット(91)及び前記第2の一次チューブセット(94)の一次チューブから復水を排出するように構成された復水ドレン部(61)と、
を含む前記蒸気供給マニホールド(21)と、
を含み、
前記V型熱交換器(1)は、
第1の二次チューブセット(92)であって、前記第1のセットの二次チューブは、前記垂直面(V)に対して前記角度δ1だけ傾斜して並列配置された単列復水チューブである、前記第1の二次チューブセット(92)と、
第2の二次チューブセット(95)であって、前記第2のセットの二次チューブは、前記垂直面(V)に対して前記角度δ2だけ傾斜して並列配置された単列復水チューブであり、それによって、前記第1の二次チューブセット(92)と前記第2の二次チューブセット(95)との間に前記開き角度δ=δ1+δ2が形成される、前記第2の二次チューブセット(95)と、
少なくとも第1の三次チューブセット(93)であって、前記第1のセットの三次チューブは、前記垂直面(V)に対して前記角度δ1だけ傾斜して並列配置されている、前記少なくとも第1の三次チューブセット(93)と、
前記第1の一次チューブセット(91)の一次チューブのチューブ上端と前記第1の二次チューブセット(92)の二次チューブのチューブ上端とを連結している第1の上部接続マニホールド(31)と、
前記第2の一次チューブセット(94)の一次チューブのチューブ上端と前記第2の二次チューブセット(95)の二次チューブのチューブ上端とを連結している第2の上部接続マニホールド(32)と、
前記第1の二次チューブセット(92)の二次チューブのチューブ下端と連結されていて、前記第2の二次チューブセット(95)の二次チューブのチューブ下端と連結されていて、前記少なくとも第1の三次チューブセット(93)の三次チューブのチューブ下端と連結されている下部接続マニホールド(22)と、
非凝縮性ガスを排出する少なくとも第1の排出マニホールド(41)であって、前記少なくとも第1の三次チューブセット(93)の三次チューブのチューブ上端と連結されている前記第1の排出マニホールド(41)と、
を含み、
前記下部接続マニホールド(22)は、
前記第1の二次チューブセット(92)及び前記第2の二次チューブセット(95)の二次チューブから復水を排出することと、前記少なくとも第1の三次チューブセット(93)の三次チューブから復水を排出することと、を行うように構成されてたドレン手段(62)
を含む
ことを特徴とする前記V型熱交換器(1)。
【請求項2】
前記角度δ1は、20°<δ1<40°である、請求項1に記載のV型熱交換器(1)。
【請求項3】
前記角度δ2は、20°<δ2<40°である、請求項1又は2に記載のV型熱交換器(1)。
【請求項4】
前記三次チューブは単列復水チューブである、請求項1から3のいずれか一項に記載のV型熱交換器(1)。
【請求項5】
第2の三次チューブセット(96)であって、前記第2のセット(96)の三次チューブは、前記垂直面(V)に対して前記角度δ2だけ傾斜して並列配置されており、それによって、前記第1の三次チューブセット(93)と前記第2の三次チューブセット(96)との間に前記開き角度δ=δ1+δ2が形成されており、前記下部接続マニホールド(22)は、前記第2の三次チューブセット(96)の三次チューブのチューブ下端と連結されている、前記第2の三次チューブセット(96)と、
非凝縮性ガスを排出する第2の排出マニホールド(42)であって、前記第2の排出マニホールド(42)は前記第2の三次チューブセット(96)の三次チューブのチューブ上端と連結されており、前記第2の三次チューブセット(96)の三次チューブから復水を排出するように前記ドレン手段(62)が更に構成されている、前記第2の排出マニホールド(42)と、
を含む、請求項1に記載のV型熱交換器(1)。
【請求項6】
前記第2のセット(96)の前記三次チューブは単列復水チューブである、請求項5に記載のV型熱交換器(1)。
【請求項7】
前記蒸気供給マニホールド(21)は、前記蒸気供給部(65)と前記復水ドレン部(61)とを仕切るバッフル(25)を含む、請求項1に記載のV型熱交換器(1)。
【請求項8】
前記蒸気供給マニホールド(21)は、前記下部接続マニホールド(22)を形成する仕切られた区画を含む、請求項1に記載のV型熱交換器(1)。
【請求項9】
前記仕切られた区画は、前記蒸気供給マニホールド(21)の内側に1つ以上の金属プレートを溶接することによって形成される、請求項8に記載のV型熱交換器(1)。
【請求項10】
前記下部接続マニホールド(22)は、前記ドレン手段(62)を形成する下部区画を含む、請求項1に記載のV型熱交換器(1)。
【請求項11】
前記下部接続マニホールド(22)は、第1の接続部(22a)及び第2の接続部(22b)を含み、前記第1の接続部(22a)は、前記第1の二次チューブセット(92)の二次チューブのチューブ下端を、前記第1の三次チューブセット(93)の三次チューブのチューブ下端に接続しており、前記第2の接続部(22b)は、前記第2の二次チューブセット(95)の二次チューブのチューブ下端を、前記第2の三次チューブセット(96)の三次チューブのチューブ下端に接続している、請求項5に記載のV型熱交換器(1)。
【請求項12】
前記第1の接続部(22a)及び前記第2の接続部(22b)は、第1の復水ドレン収集部(62a)及び第2の復水ドレン収集部(62b)をそれぞれ含み、前記第1の復水ドレン収集部(62a)及び前記第2の復水ドレン収集部(62b)は前記下部接続マニホールド(22)の前記ドレン手段(62)を形成している、請求項11に記載のV型熱交換器(1)。
【請求項13】
前記第1の一次チューブセットの一次チューブが1つ以上の一次チューブバンドルにまとめられているか、且つ/又は前記第2の一次チューブセットの一次チューブが1つ以上の別の一次チューブバンドルにまとめられているか、且つ/又は前記第1の二次チューブセットの二次チューブが1つ以上の二次チューブバンドルにまとめられているか、且つ/又は前記第2の二次チューブセットの二次チューブが1つ以上の別の二次チューブバンドルにまとめられているか、且つ/又は前記第1の三次チューブセットの三次チューブが1つ以上の三次チューブバンドルにまとめられているか、且つ/又は前記第2の三次チューブセットの三次チューブが1つ以上の別の三次チューブバンドルにまとめられている、請求項5に記載のV型熱交換器(1)。
【請求項14】
前記復水ドレン部(61)は、復水収集タンクに連結される第1の復水出力を含み、前記ドレン手段(62)は、前記復水収集タンクに連結される第2の復水出力を含む、請求項1に記載のV型熱交換器(1)。
【請求項15】
前記第1の一次チューブセット(91)及び前記第2の一次チューブセット(94)の一次チューブ、並びに前記第1の二次チューブセット(92)及び前記第2の二次チューブセット(95)の二次チューブは、チューブ長さが4~7メートルの範囲にある、請求項1に記載のV型熱交換器(1)。
【請求項16】
タービンから排出された蒸気を復水するW型熱交換器(2)であって、
請求項1~15のいずれか一項に記載の第1のV型熱交換器(1a)と、
前記第1のV型熱交換器(1a)に隣接して配置された、請求項1~15のいずれか一項に記載の第2のV型熱交換器(1b)であって、前記第1のV型熱交換器の蒸気供給マニホールドと前記第2のV型熱交換器の蒸気供給マニホールドとが平行に配置されている、前記第2のV型熱交換器(1b)と、
を含むW型熱交換器(2)。
【請求項17】
前記第1のV型熱交換器(1a)の第2の上部接続マニホールドと前記第2のV型熱交換器(1b)の第1の上部接続マニホールドとが、前記第1のV型熱交換器(1a)及び前記第2のV型熱交換器(1b)用の単一の共通上部接続マニホールド(33)を形成している、請求項16に記載のW型熱交換器(2)。
【請求項18】
請求項16に記載のW型熱交換器(2)と、
前記W型熱交換器(2)を地上床(85)から持ち上げるように構成された支持土台(80)と、
前記W型熱交換器(2)に冷却用空気を供給するように構成されたファン(71)と、
を含む空冷復水器(10)。
【請求項19】
請求項1~15のいずれか一項に記載のV型熱交換器(1)と、
前記蒸気供給マニホールド(21)の前記復水ドレン部(61)に連結されていて、且つ、前記下部接続マニホールド(22)の前記ドレン手段(62)に連結されている復水収集タンクと、
を含む空冷復水器(10)。
【請求項20】
空冷復水器を使用して、タービンから排出された蒸気を復水する方法であって、
第1の一次チューブセット(91)を設けるステップであって、前記第1のセット(91)の一次チューブは、垂直面(V)に対して角度δ1だけ傾斜して並列配置された単列復水チューブであり、15°<δ1<80°である、前記第1の一次チューブセット(91)を設ける前記ステップと、
第2の一次チューブセット(94)を設けるステップであって、前記第2のセット(94)の一次チューブは、前記垂直面(V)に対して角度δ2だけ傾斜して並列配置された単列復水チューブであり、15°<δ2<80°であり、前記第1の一次チューブセット(91)と前記第2の一次チューブセット(94)との間に開き角度δ=δ1+δ2が形成される、前記第2の一次チューブセット(94)を設ける前記ステップと、
第1の二次チューブセット(92)を設けるステップであって、前記第1のセットの二次チューブは、前記垂直面(V)に対して前記角度δ1だけ傾斜して並列配置された単列復水チューブである、前記第1の二次チューブセット(92)を設ける前記ステップと、
第2の二次チューブセット(95)を設けるステップであって、前記第2のセットの二次チューブは、前記垂直面(V)に対して前記角度δ2だけ傾斜して並列配置された単列復水チューブであり、それによって、前記第1の二次チューブセット(92)と前記第2の二次チューブセット(95)との間に前記開き角度δ=δ1+δ2が形成される、前記第2の二次チューブセット(95)を設ける前記ステップと、
少なくとも第1の三次チューブセット(93)を設けるステップであって、前記第1のセットの三次チューブは、前記垂直面(V)に対して前記角度δ1だけ傾斜して並列配置されている、前記少なくとも第1の三次チューブセット(93)を設ける前記ステップと、
前記第1の一次チューブセット(91)及び前記第2の一次チューブセット(94)の一次チューブの下端に前記排出蒸気を供給するステップと、
前記第1の一次チューブセット内で復水されなかった第1の残った蒸気を前記第1の一次チューブセットの一次チューブの上端に集めて、前記第1の残った蒸気を、前記第1の二次チューブセット(92)の前記二次チューブの上端に供給するステップと、
前記第2の一次チューブセット内で復水されなかった第2の残った蒸気を前記第2の一次チューブセット(94)の一次チューブの上端に集めて、前記第2の残った蒸気を、前記第2の二次チューブセット(95)の二次チューブの上端に供給するステップと、
前記第1及び第2の二次チューブセットの二次チューブ内で復水されなかった更なる残った蒸気を前記第1及び第2の二次チューブセットの二次チューブの下端に集めて、前記更なる残った蒸気を、前記少なくとも第1の三次チューブセット(93)の前記三次チューブの下端に供給するステップと、
前記少なくとも第1の三次チューブセット(93)の三次チューブのチューブ上端において非凝縮性ガスを排出するステップと、
前記第1及び第2の一次チューブセットの一次チューブから、且つ前記第1及び第2の二次チューブセットの二次チューブから、且つ前記少なくとも第1の三次チューブセットの三次チューブセットから復水を集めて、前記集められた復水を復水収集タンクに向けて排出するステップと、
を含む方法。
【請求項21】
前記角度δ1は、20°<δ1<40°である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記角度δ2は、20°<δ2<40°である、請求項20又は21に記載の方法。
【請求項23】
前記三次チューブは単列復水チューブである、請求項20から22のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(例えば発電所の)蒸気タービンから排出された蒸気を復水する熱交換器に関する。より具体的には、本発明は、V型熱交換器、及び2つのV型熱交換器を含むW型熱交換器に関する。
【0002】
本発明は更に、V型熱交換器又はW型熱交換器を含む空冷復水器(ACC)に関する。
【0003】
本発明の別の態様によれば、空冷復水器を使用して、蒸気タービンから排出された蒸気を復水する方法が提供される。
【背景技術】
【0004】
当該技術分野においては、発電所からの蒸気を復水する様々なタイプの空冷復水器(ACC)が知られている。これらの空冷復水器は、並列配置された多数の復水フィンチューブで形成された熱交換器を利用する。復水フィンチューブは周囲空気と接触しており、蒸気がチューブ内を通ると、蒸気は熱を放出し、最終的には復水される。典型的には、並列配置された多数の復水チューブがひとまとめにされてチューブバンドルが形成される。熱交換器は複数のチューブバンドルを含んでよい。
【0005】
チューブバンドルの下方又は上方に配置された電動ファンが、それぞれ、復水チューブ内に強制通風又は誘引通風を引き起こす。十分な量の空気を循環させる為に、ファン及び熱交換器は、床面高さに対して高い場所に配置される。空冷復水器の詳細設計次第で、例えば、4~20mの高さが必要になる。
【0006】
復水チューブは、水平面に対して垂直姿勢又は傾斜姿勢で配置される。このようにして、復水チューブ内に復水が形成されると、この復水は重力の作用でチューブ下端に流れることが可能であり、そこで復水は、復水収集タンクに連結されたドレンに集められる。
【0007】
熱交換器の、一般的によく知られているジオメトリは、復水チューブがデルタ型ジオメトリで配置されるジオメトリであり、このジオメトリでは、復水チューブは、復水チューブのチューブ上端に接続された上部蒸気供給マニホールドから排出された蒸気を受ける。このジオメトリでは、動作時に、復水チューブ内の蒸気と復水が同じ方向に流れる。これはいわゆる並流モードである(パラレルモードとも呼ばれる)。復水チューブの下端に、復水を集める為のドレンダクトが連結されている。これらの熱交換器の復水チューブは、長さが例えば10~12メートルであってよい。
【0008】
熱交換器の別のジオメトリとして、いわゆるV型ジオメトリがあり、そこでは復水チューブがV型ジオメトリで配置される。そのようなV型熱交換器は、垂直面に対して傾斜した復水チューブの第1のセット及び第2のセットを含む。第1のチューブセットと第2のチューブセットとの間に開き角度δが形成され、開き角度δの典型的な値は40~80°である。
【0009】
V型ベースのACCの一例が、米国特許第3707185号に記載されている。この例では、多列復水チューブがV型ジオメトリで配置されており、熱交換器は、蒸気と復水が反対方向に流れる向流モード(カウンタフローモードとも呼ばれる)で動作する。蒸気供給マニホールドは、V型熱交換器の各復水チューブから来る復水を排出するドレン部を含む。復水チューブのチューブ上端は、非凝縮性ガスを抜き取る為のベント弁に接続されている。この熱交換器は、蒸気が1つの復水チューブを1回通り抜ける間に復水されるので単段熱交換器と呼ばれる。このV型熱交換器では、蒸気供給マニホールドが排出蒸気を復水チューブのチューブ下端に供給している為、蒸気と復水は反対方向に、即ち、向流モードで流れる。
【0010】
米国特許第3707185号に記載された単段V型熱交換器の問題の1つは、多列チューブ内の復水率が不定である為に、チューブ内のデッドゾーンが非凝縮性ガスでいっぱいになる可能性があることである。これが起こると熱交換器の効率が低下する。更に、このように非凝縮性ガスの排出が非効率的である為に、冬期にチューブバンドル内の復水が凍結して復水チューブに深刻なダメージを与える可能性がある。
【0011】
米国特許出願公開第7096666号には、V型熱交換器を有するACCが記載されており、そこでは、V型熱交換器は、チューブ長が10メートルの単列復水チューブを含む。この熱交換器は、動作時には、二段復水方式を用いる。第1段復水器の復水チューブは、V型ジオメトリで配置され、蒸気が第1の復水チューブを通過した後に全ての蒸気が復水されているわけではないように設計される。米国特許出願公開第7096666号では、第1の復水チューブの通過時に復水されなかった蒸気はチューブ上端に集められ、移送パイプを介して、向流モードで動作している第2段復水器に移送される。この第2段復水器は、上述の垂直面に垂直な面に位置しており、第2段復水器は専用ファンを使用して、第2段復水器を通る気流を発生させる。第2段復水器は、非凝縮性ガスを抜き取るように構成されている。
【0012】
米国特許出願公開第7096666号に記載されたACCの問題の1つは、第1段復水器(これはV型復水器である)が複雑であり、排出蒸気を復水チューブのチューブ下端及びチューブ上端の両方に注入する手段を必要とすることである。上部接続マニホールドは、蒸気の抜き取り及び注入の両方を行うように構成されており、残った蒸気を第2段復水器に向けて移送する為に移送パイプが必要とされる。第2段復水器のチューブは、垂直に配置され、ACCの端壁に組み込まれる。このACCは更に、第2段復水器を支持する専用支持構造と、第2段復水器の専用ファンとを必要とする。米国特許出願公開第7096666号では、第1段復水器及び第2段復水器の復水チューブは更に、異なっている。第1段復水器の復水チューブは、特定の側の蒸気抜き取り開口部を必要とする。米国特許出願公開第7096666号のACCは、上述のデッドゾーンを減らす為のソリューションを提供し、又、非凝縮性ガスを抜き取るシステムを提供するが、このACCには、複雑である為にコストがかさむという弱点がある。更に、複雑さ、並びに必要とされる様々な機器構成要素及び支持構造の観点では、このタイプのACCを現場で組み立てて立ち上げる作業は時間がかかる。
【0013】
米国特許出願公開第2017/0234168A1号では、並流モードで動作するV型熱交換器を含む空冷復水器が開示されている。チューブバンドルがVジオメトリで配置されて、それらの上端が蒸気供給管路に接続され、チューブバンドルの下端に復水収集器が接続される。この文書で開示されているV型熱交換器の一弱点は、例えば米国特許出願公開第2017/0234168A1号の図5及び図6に示されるようにチューブバンドル、蒸気供給管路、及び復水収集器を支持する為に専用支持構造を必要とすることである。実際、このV型熱交換器は、蒸気供給管路に平行な長手方向に延びる支持ブラケットにマウントされ、チューブバンドルは更に、横方向ストラットによって、且つ/又は、三角形状格子の二次支持構造によって支持される。支持ブラケットは、ファンを支持する中央支持ピラーに取り付けられる。このV型熱交換器の別の弱点は、排出蒸気が上からチューブバンドルに供給される為に、排出蒸気を高い場所で供給しなければならないことであり、その為、システムは、排出蒸気を必要な高さまで持ち上げる為の蒸気供給配管を追加で必要とする。V型熱交換器を支持する支持構造がそのように複雑であることの結果として、空冷復水器のコストが上昇し、更に空冷復水器の組立時間が長くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、復水が復水チューブ内で凍結する潜在的リスクを低減し、同時に、製造時間及び設置時間が短縮された高コスト効率の空冷復水器の構築を可能にする、新たに改良されたロバストな熱交換器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、添付の独立請求項において定義されている。好ましい実施形態が従属請求項において定義されている。
【0016】
本発明の第1の態様によれば、タービンから排出された蒸気を復水するV型熱交換器が提供される。そのようなV型熱交換器は、第1の一次チューブセット及び第2の一次チューブセットを含む。第1のセットの一次チューブは、垂直面Vに対して角度δ1だけ傾斜して並列配置された単列復水チューブであり、15°<δ1<80°、好ましくは20°<δ1<40°である。第2のセットの一次チューブは、垂直面に対して角度δ2だけ傾斜して並列配置された単列復水チューブであり、15°<δ2<80°であり、それによって、上記第1の一次チューブセットと上記第2の一次チューブセットとの間に開き角度δ=δ1+δ2が形成される。
【0017】
V型熱交換器は蒸気供給マニホールドを含み、蒸気供給マニホールドは、第1の一次チューブセットの一次チューブのチューブ下端に連結されており、且つ、第2の一次チューブセットの一次チューブのチューブ下端に連結されている。蒸気供給マニホールドは、排出蒸気を、第1及び第2の一次チューブセットの一次チューブのチューブ下端に移送する蒸気供給部と、第1及び第2の一次チューブセットの一次チューブから復水を排出するように構成された復水ドレン部と、を含む。
【0018】
本発明によるV型熱交換器は、第1の二次チューブセット及び第2の二次チューブセットを含むことを特徴とする。第1のセットの二次チューブは、垂直面Vに対して上記角度δ1だけ傾斜して並列配置された単列復水チューブである。第2のセットの二次チューブは、垂直面に対して上記角度δ2だけ傾斜して並列配置された単列復水チューブであり、それによって、第1の二次チューブセットと第2の二次チューブセットとの間に開き角度δ=δ1+δ2が形成される。
【0019】
V型熱交換器は少なくとも第1の三次チューブセットを含み、第1のセットの三次チューブは、上記垂直面Vに対して角度δ1だけ傾斜して並列配置されており、好ましくは三次チューブは単列復水チューブである。
【0020】
本発明によるV型熱交換器は更に、第1の上部接続マニホールドと、第2の上部接続マニホールドと、下部接続マニホールドと、非凝縮性ガスを排出する少なくとも第1の排出マニホールドと、を含む。
【0021】
第1の上部接続マニホールドは、第1の一次チューブセットの一次チューブのチューブ上端と、第1の二次チューブセットの二次チューブのチューブ上端とを連結している。
【0022】
第2の上部接続マニホールドは、第2の一次チューブセットの一次チューブのチューブ上端と、第2の二次チューブセットの二次チューブのチューブ上端とを連結している。
【0023】
下部接続マニホールドは、第1の二次チューブセットの二次チューブのチューブ下端と連結されていて、第2の二次チューブセットの二次チューブのチューブ下端と連結されていて、少なくとも第1の三次チューブセットの三次チューブのチューブ下端と連結されている。
【0024】
非凝縮性ガスを排出する少なくとも第1の排出マニホールドは、少なくとも第1の三次チューブセットの三次チューブのチューブ上端と連結されている。
【0025】
下部接続マニホールドは、第1の二次チューブセット及び第2の二次チューブセットの二次チューブから復水を排出することと、少なくとも第1の三次チューブセットの三次チューブから復水を排出することと、を行うように構成されてたドレン手段を含む。
【0026】
有利なことに、復水チューブを特許請求項に記載のように連結することによって三段熱交換器が形成され、この三段熱交換器では、連続する3つの復水チューブを蒸気が流れることが可能であり、非凝縮性ガスが効率的に排出される。動作時には、第1段階では、第1及び第2の一次チューブセットの一次チューブが、蒸気と復水が反対方向に流れる向流モードで動作する。第2段階では、第1段階で復水されずに残った蒸気が、第1及び第2の二次チューブセットの二次チューブ内で並流モードで更に復水される。最後に第3段階では、三次チューブが向流モードで動作して、第1及び第2段階で復水されずに更に残った蒸気を復水する。この三段復水方式により、三次チューブのチューブ上端に連結された排出マニホールドから非凝縮性ガスが効果的に排出されることが可能になる。実際、非凝縮性ガスは、蒸気とともに一次チューブ、二次チューブ、及び三次チューブの系列を通るように駆動される。非凝縮性ガスは、最後には三次チューブの上部部分において抜き取られる。このようにして、復水チューブ内にはデッドゾーンが形成されず、従って、冬期に復水が凍結するリスクが大幅に低減される。
【0027】
有利なことに、全てのチューブをV型ジオメトリで配置することにより、現場での組立作業及び立ち上げ作業が容易になる。例えば、復水チューブ、上部マニホールド、及び下部蒸気供給マニホールドを有するV型熱交換器は、最初にあらかじめ組み立てられてから、1つのエンティティとして持ち上げられて、支持土台上に設置されてよい。
【0028】
有利なことに、蒸気を供給する蒸気供給マニホールドを一次チューブのチューブ下端で使用することにより、この蒸気供給マニホールドは、V型熱交換器の頂上領域に位置する。このようにして、蒸気供給マニホールドも、熱交換器の補強要素及び支持要素として働く。例えば、復水チューブ及び上部マニホールドを支持する為の支持構造の追加は不要である。
【0029】
更に、上部マニホールドの上にファンデッキが設置されてよく、それによって、ファンの重量も蒸気供給マニホールドで支持されることが可能である。一次チューブ、二次チューブ、及び三次チューブをV型ジオメトリで配置することの更なる利点として、複数の様々なチューブの冷却に同じファンを使用することが可能である。
【0030】
有利なことに、同じタイプの単列復水チューブを一次復水チューブ、二次復水チューブ、及び三次復水チューブとして使用することが可能である。
【0031】
本発明は更に、タービンから排出された蒸気を復水するW型熱交換器に関し、このW型熱交換器は、第1のV型熱交換器と、第1のV型熱交換器に隣接して配置された第2のV型熱交換器と、を含み、第1のV型熱交換器の蒸気供給マニホールドと第2のV型熱交換器の蒸気供給マニホールドとが平行に配置される。
【0032】
W型熱交換器を使用することの利点は、例えば、熱交換器の上に、蒸気供給マニホールドの方向に一列に延びるファンを設置できることである。これらのファンは、2つのV型熱交換器のそれぞれにおいて空気を吹き付けるように構成されてよい。このようにして、必要なファンの数を減らすことが可能である。
【0033】
本発明は更に、W型熱交換器を含む空冷復水器に関する。そのような空冷復水器は、W型熱交換器に冷却用空気を供給するように構成されたファンを含む。本発明による空冷復水器は更に、W型熱交換器を地上床から持ち上げるように構成された支持土台を含む。有利なことに、蒸気供給マニホールドを持ち上げることによって、W型熱交換器全体が持ち上がるため、支持土台は、蒸気供給マニホールドの方向の支持ブラケットを必要としない。これは、蒸気供給マニホールド自体が長手方向の支持構造として働く為である。
【0034】
本発明の第2の態様によれば、空冷復水器を使用して、タービンから排出された蒸気を復水する方法が提供され、これは添付の特許請求項において定義されている。
【0035】
本発明のこれらの態様及び更なる態様について、例示として、以下の添付図面を参照しながら、より詳しく説明する。
【0036】
図面は正しい縮尺では描かれていない。一般に、図面において同一構成要素は同一参照符号で示されている。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本発明によるV型熱交換器の一部分の側面を概略的に示す図である。
図2図1のV型熱交換器の、面Aにおける断面を示す図である。
図3図1のV型熱交換器の、面Bにおける断面を示す図である。
図4図1のV型熱交換器の、面Cにおける断面の一部を示す図である。
図5】本発明によるV型熱交換器の一代替実施形態の一部分の断面を示す図である。
図6a】本発明によるV型熱交換器の別の例の一部分の第1の側面を概略的に示す図である。
図6b図6aのV型熱交換器の第2の側面を概略的に示す図である。
図7】W型熱交換器の一部分の断面を示す図である。
図8】W型熱交換器の一例示的実施形態の一部分の断面を示す図である。
図9】本発明による空冷復水器の一例の前面を示す図である。
図10】本発明による空冷復水器の一土台の側面を示す図である。
図11】本発明による空冷復水器の別の例の前面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明の第1の態様によれば、タービンから排出された蒸気を復水するV型熱交換器が提供される。
【0039】
そのような、タービンから排出された蒸気を復水するV型熱交換器は、第1の一次チューブセット91及び第2の一次チューブセット94を含む。第1のセットの一次チューブは、垂直面Vに対して角度δ1だけ傾斜して並列配置された単列復水チューブであり、15°<δ1<80°である。第2のセットの一次チューブは、垂直面に対して角度δ2だけ傾斜して並列配置された単列復水チューブであり、15°<δ2<80°であり、それによって、図2に示されるように、上記第1の一次チューブセット91と上記第2の一次チューブセット94との間に開き角度δ=δ1+δ2が形成される。好ましい実施形態では、20°<δ1<40°且つ20°<δ2<40°である。
【0040】
単列復水チューブは、最先端の市販復水チューブである。各単列復水チューブはコアチューブを含み、コアチューブの断面形状は円形、楕円形、矩形、又は端部が半円の矩形である。単列復水チューブは更に、コアチューブの側面にフィンが取り付けられている。典型的には、単列チューブの断面積は約10~60cmである。例えば、矩形チューブの典型的な断面は2cm×20cmである。
【0041】
図1及び図2に示されるように、V型熱交換器は、タービンから排出された蒸気を受けるように構成された蒸気供給マニホールド21を含む。蒸気供給マニホールド21は、第1の一次チューブセット91の一次チューブのチューブ下端に連結されており、且つ、第2の一次チューブセット94の一次チューブのチューブ下端に連結されている。
【0042】
図2は、図1に示されたV型熱交換器の、面Aにおける断面図を示す。この図は、一次単列復水チューブのV型配置を示しており、垂直面Vに対する角度δ1及びδ2を示している。
【0043】
本発明によるV型熱交換器は更に、第1の二次チューブセット92及び第2の二次チューブセット95を含む。第1のセット92の二次チューブは、垂直面Vに対して角度δ1だけ傾斜して並列配置されており、第2のセット94の二次チューブは、垂直面に対して角度δ2だけ傾斜して並列配置されており、それによって、第1の二次チューブセット92と第2の二次チューブセット95との間に開き角度δ=δ1+δ2が形成される。第1及び第2のセットの二次チューブは両方とも、単列復水チューブである。
【0044】
図3は、図1に示されたV型熱交換器の、面Bにおける断面図を示しており、二次復水チューブのV型配置を示している。
【0045】
本発明によるV型熱交換器は更に、少なくとも第1の三次チューブセット93を含み、第1のセットの三次チューブは、垂直面Vに対して角度δ1だけ傾斜して並列配置されている。三次チューブも単列復水チューブであることが好ましい。
【0046】
本発明によるV型熱交換器1は、図2に示されるように、第1の上部接続マニホールド31及び第2の上部接続マニホールド32を含むことを特徴とする。
【0047】
第1の上部接続マニホールド31は、第1の一次チューブセット91の一次チューブのチューブ上端と、第1の二次チューブセット92の二次チューブのチューブ上端とを連結している。第2の上部接続マニホールド32は、第2の一次チューブセット94の一次チューブのチューブ上端と、第2の二次チューブセット95の二次チューブのチューブ上端とを連結している。この、第1及び第2の接続マニホールドによる連結によって、一次復水チューブと二次復水チューブとが直列に配置される。このようにして、第1の一次チューブセットの一次チューブ内で復水されなかった蒸気が、非凝縮性ガスとともに、第1の二次チューブセットの二次チューブに流れることが可能であり、第2の一次チューブセットの一次チューブ内で復水されなかった蒸気が、非凝縮性ガスとともに、第2の二次チューブセットの二次チューブに流れることが可能である。
【0048】
本発明によるV型熱交換器1は、下部接続マニホールド22を含み、下部接続マニホールド22が第1の二次チューブセット92の二次チューブのチューブ下端と連結され、第2の二次チューブセット95の二次チューブのチューブ下端と連結され、少なくとも第1の三次チューブセット93の三次チューブのチューブ下端と連結されることを特徴とする。このようにして、動作時には、一次チューブ内又は二次チューブ内で復水されずに残った蒸気が、下部接続マニホールド22を通って、少なくとも第1の三次チューブセットの三次チューブに移送されることが可能である。この残った蒸気は、その後、三次チューブ内で復水されることが可能である。
【0049】
図1に示されるように、本発明によるV型熱交換器1は、非凝縮性ガスを排出する少なくとも第1の排出マニホールド41を含む。第1の排出マニホールド41は、少なくとも第1の三次チューブセット93の三次チューブのチューブ上端と連結されている。
【0050】
図1及び図2に更に示されるように、蒸気供給マニホールド21は、蒸気供給部65及び復水ドレン部61を含む。蒸気供給部65は、排出蒸気を、第1の一次チューブセット91及び第2の一次チューブセット94の一次チューブのチューブ下端に移送することを可能にする。復水ドレン部61は、第1の一次チューブセット91及び第2の一次チューブセット94の一次チューブから復水を排出することを可能にする。一般に、蒸気供給マニホールド21はわずかに傾斜しており、それによって、復水ドレン部61内の復水が重力下で蒸気流入方向と反対の方向に流れる。
【0051】
一般に、復水ドレン部61は、復水収集タンクに連結される第1の復水出力を含む。典型的には、第1の復水出力と復水収集タンクとの連結にパイプラインが使用される。
【0052】
実施形態では、復水ドレン部61は、蒸気供給部65と復水ドレン部61とを仕切るバッフル25を含む。このようにして、排出蒸気の流れと復水の流れは互いの邪魔にならない。バッフル25は、図1及び図2に点線で示されており、主蒸気供給マニホールド21の下部に位置する。典型的には、バッフル25は、復水が蒸気供給部65から復水ドレン部61に落下することが可能なように開口部を有するプレートを含む。
【0053】
図1図3、及び図4に更に示されるように、下部接続マニホールド22はドレン手段62を含み、これは、第1の二次チューブセット92及び第2の二次チューブセット95の二次チューブから復水を排出することと、少なくとも第1の三次チューブセット93の三次チューブから復水を排出することと、を行うように構成されている。
【0054】
一般に、ドレン手段62は、復水収集タンクに連結される第2の復水出力を含む。典型的には、この、第2の復水出力と復水収集タンクとの連結には別のパイプラインが使用される。このようにして、復水は全て、共通の復水収集タンクに集められる。
【0055】
好ましい実施形態では、図4に示されるように、本発明によるV型熱交換器は、
第2の三次チューブセット96を含み、第2のセットの三次チューブは、垂直面Vに対して角度δ2だけ傾斜して並列配置されている。このジオメトリでは、第1の三次チューブセット93と第2の三次チューブセット96との間にも開き角度δ=δ1+δ2が形成される。
【0056】
これらの好ましい実施形態では、下部接続マニホールド22は、第2の三次チューブセット96の三次チューブのチューブ下端とも連結されている。第2の三次チューブセット96の三次チューブも単列復水チューブであることが好ましい。図4に概略的に示されるように、非凝縮性ガスを排出する第2の排出マニホールド42が、第2の三次チューブセット96の三次チューブのチューブ上端と連結されている。これらの好ましい実施形態では、ドレン手段62は更に、第2の三次チューブセット96の三次チューブから復水を排出するように構成されている。
【0057】
本発明による熱交換器の動作について更に説明する。タービンから排出された蒸気を復水する熱交換器は、典型的には、39~69℃の範囲の蒸気温度に相当する70~300mbarの範囲の圧力下で動作する。図1の黒矢印は、V型熱交換器内の蒸気及び/又は非凝縮性ガスの流れを表している。動作時には、タービンから排出された蒸気が主蒸気供給マニホールド21に入り、主蒸気供給マニホールド21は、その蒸気を第1の一次チューブセット及び第2の一次チューブセットの一次チューブに再分配する。一次チューブ内の蒸気と復水は反対方向に流れる。実際、一次チューブ内で形成された復水は、重力によって主蒸気供給マニホールド21に逆流し、そこで復水ドレン部61に集められ、排出される。この動作モードはカウンタフローモードと呼ばれる。一次チューブは、復水プロセスの第1段階を実施する。
【0058】
第1の一次チューブセットの一次復水チューブを1回通り抜けた後に復水されずに残った蒸気は、第1の上部接続マニホールド31に集められる。同様に、第2の一次チューブセットの一次復水チューブを1回通り抜けた後に復水されずに残った蒸気は、第2の上部接続マニホールド32に集められる。第1の上部接続マニホールド31及び第2の上部接続マニホールド32は、その残った蒸気を、それぞれ、第1及び第2の二次チューブセットの二次チューブに供給する。二次復水チューブは、蒸気と形成された復水とが同じ方向に流れる、いわゆる並流モードで動作する。二次チューブは、復水プロセスの第2段階を実施する。
【0059】
下部接続マニホールド22は、一次チューブでも二次チューブでも復水されずに残った蒸気を集めて、三次チューブに移送する。
【0060】
三次チューブも向流モードで動作する。三次チューブは、復水プロセスの最後の第3段階を実施する。これら3つの復水段階の間は、非凝縮性ガスも復水チューブの系列を通って流れており、非凝縮性ガス用排出マニホールドに集められて排出される。
【0061】
動作時には、非凝縮性ガスは、三次チューブの上部領域に集められ、そこで除去されることが可能である。排出マニホールドは、非凝縮性ガスを抜き取るエゼクタを含む。典型的には、非凝縮性ガスをポンピングして大気中に吹き出す真空ポンプが、第1の排出マニホールド41及び/又は第2の排出マニホールド42と連結されているこれらのタイプの、非凝縮性ガスを抜き取る排出マニホールドは、当該技術分野において知られており、例えば、古典的なデルタ型熱交換器の、やはり向流モードで動作するデフレグメータ段階(還流とも呼ばれる)に使用される。
【0062】
本発明による実施形態では、排出蒸気の大部分(典型的には60~80%)が一次チューブで復水され、更なる小部分(典型的には10~30%)が二次チューブで復水されるように、復水チューブが構成されている。三次チューブでは、排出蒸気全体のうちのごくわずかな部分(典型的には10%以下)が復水される。これら3つの復水段階で復水される蒸気の量は、一次チューブ、二次チューブ、及び三次チューブの数で決まる。
【0063】
典型的には、本発明による熱交換器の一次チューブ及び二次チューブのチューブ長さTLは、4メートル<TL<7メートルの範囲にある。好ましい実施形態では、チューブ長は4.5~5.5mである。幾つかの実施形態では、図1に概略的に示されるように、三次チューブの復水チューブの長さは、一次チューブ及び二次チューブの長さより短い。この実施形態では、長さがより短いことにより、例えば、図1に示されるように排出マニホールドを設置することが可能になる。別の実施形態では、図6a及び図6bに示されるように、三次チューブのチューブ長さは、一次チューブ及び二次チューブのチューブ長さと同じである。
【0064】
熱交換器を向流モードで使用する際の知られている現象として、チューブを通る蒸気の流れをブロック又は部分的にブロックしうる、いわゆるフラッディング現象がある。これにより、圧力が大きく低下する。フラッディングは、復水チューブに入る蒸気の速度が高い場合に発生し、結果として復水の向きを強制的に上向きに変える。このフラッディングの問題に対処するには、フラッディングが発生する臨界速度に達しないように熱交換器を設計しなければならない。
【0065】
上述のように、先行技術の熱交換器、例えば、並流モードで動作するデルタ型熱交換器等で典型的に使用される復水チューブのチューブ長さは10~12メートルである。これらのデルタ型熱交換器の復水チューブに入る蒸気の典型的な速度は約100m毎秒である。本発明による熱交換器の場合、一次チューブのチューブ長さをそのような10メートルもの長さにすることは、フラッディング問題への懸念に対してぎりぎりである可能性がある。
【0066】
復水チューブの長さを例えば半分に減らす場合、熱交換面積を同じに保って熱交換容量を同じに保つのであれば、復水チューブの数を倍にする必要がある。そうすることの利点は、復水チューブに入る蒸気の速度も約半分になることである。
【0067】
そこで、本発明による好ましい実施形態では、一次チューブのチューブ長さTLは、4メートル<TL<7メートルの範囲にある。このようにして、チューブに入る蒸気の速度は、古典的なデルタ型熱交換器の10~12メートルもの長いチューブに比べて遅くなり、フラッディングに関連する問題を回避することが可能である。
【0068】
蒸気の速度が遅くなることの更なる利点として、熱交換器内の圧力低下が小さくなる為、熱交換器の性能が向上する。実際には、復水チューブ内の圧力低下は、蒸気の流入速度の二乗に比例する。従って、復水チューブに入る蒸気の速度を半分にすると、復水チューブ内の圧力低下が4分の1になる。
【0069】
従って、本発明による熱交換器は一次チューブ、二次チューブ、及び三次チューブによる3つの復水段階を使用しているが、それでも、全体圧力低下は、例えば、古典的なデルタ型熱交換器(2つの復水段階、即ち、第1段階の並流モードの熱交換器、及び第2段階の向流モードのデフレグメータが使用される)における全体圧力低下に比べて小さい。
【0070】
実際には、多数の平行な単列復水チューブをひとまとめにしてチューブバンドルが形成される。第1のチューブプレート及び第2のチューブプレートが、バンドルのチューブの下端及び上端にそれぞれ溶接されている。これらのチューブプレートは、穴が開いた厚肉金属シートである。そして、第1のチューブプレートは蒸気供給マニホールドに溶接されており、第2のチューブプレートは上部マニホールドに溶接されている。このようにして、マニホールドと復水チューブとの連結が確立されている。この、チューブとマニホールドとの連結は、熱交換器内の漏れが最小限に抑えられるように流体密封連結であると考えられたい。
【0071】
チューブバンドルの幅Wは、バンドル中の復水チューブの数で決まる。幾つかの実施形態では、各チューブバンドルが同じ標準幅W(例えば2.5m)を有し、これにより、様々なチューブバンドルの製造プロセスが容易になる。
【0072】
一次チューブ、二次チューブ、及び三次チューブの各セットは、様々な数のチューブバンドルを含んでよい。例えば、図6aに示された実施形態では、第1の一次チューブセット91は、参照符号91a、91b、91c、91d、91e、及び91fで示された幅Wの6つのチューブバンドルを含む。第1の二次チューブセット92は、参照符号92a及び92bで示された、やはり幅Wの2つのチューブバンドルを含む。第1の三次チューブセット93は、この例ではやはり同じ幅Wの1つのチューブバンドル93aを含む。この実施形態では、図6bに更に示されるように、第2の一次チューブセット94は、参照符号94a、94b、94c、94d、94e、及び94fで示された6つのチューブバンドルを含み、第2の二次チューブセット95は、2つのチューブバンドル95a及び95bを含み、第2の三次チューブセット96は、1つのチューブバンドル96aを含む。
【0073】
図2及び図6aに概略的に示されるように、チューブバンドルの長さは、単列復水チューブの長さTLで決まる。
【0074】
図6a及び図6bに示されるように、第1の上部接続マニホールド31及び第2の上部接続マニホールドは、様々な副マニホールドを含んでよい。図6aに示された例では、第1の上部接続マニホールド31は2つの副マニホールド31a及び31bを含み、図6bに示されるように、第2の上部接続マニホールド32は2つの副マニホールド32a及び32bを含む。
【0075】
実施形態では、図3及び図4に示されるように、蒸気供給マニホールド21は、下部接続マニホールド22を形成する仕切られた区画を含む。言い換えると、下部接続マニホールド22は、蒸気供給マニホールド21の内側と一体化されている。例えば、仕切られた区画は、蒸気供給マニホールド21の内側に1つ以上の金属プレートを溶接することによって形成可能である。蒸気供給マニホールドは典型的には直径が1~3メートルなので、蒸気供給マニホールドの内側にプレートを溶接して下部接続マニホールド22を形成することは、この作業を設置現場で実施する上でコスト効率の高い方法である。
【0076】
上述のように、下部接続マニホールド22は、二次チューブ及び三次チューブから復水を排出するように構成されたドレン手段62を含む。ドレン手段62は、復水を排出する為のチャネル又はトレンチであると考えられたい。典型的には、下部接続マニホールド22は上部部分及び下部部分を含む。下部部分はドレン手段62を形成している。幾つかの実施形態では、この下部部分と上部部分とを仕切る為に更なるバッフルが使用されてよい。このようにして、上部部分における二次チューブから三次チューブへの蒸気の流れと、下部部分における復水の流れとが分離される。ドレン手段62によって排出された復水は更に、別のダクトを通って復水収集タンク(図示せず)に移送される。
【0077】
図3及び図4に示された実施形態では、下部接続マニホールド22は、第1及び第2の二次チューブセットの両方の二次チューブから残った蒸気を受ける単一キャビティによって形成されている。図4に示されるように、この実施形態では、第1及び第2の三次チューブセットの三次チューブのチューブ下端はこの単一キャビティにも接続されており、これは、第1及び第2の二次チューブセットから来る残った蒸気及び非凝縮性ガスを受ける為である。
【0078】
図5に示された代替実施形態では、下部接続マニホールド22は、2つの別々のキャビティで形成される。この実施形態では、下部接続マニホールド22は、それら2つのキャビティに相当する第1の接続部22a及び第2の接続部22bを含む。第1の接続部22aは、第1の二次チューブセット92の二次チューブのチューブ下端を、第1の三次チューブセット93の三次チューブのチューブ下端に接続している。第2の接続部22bは、第2の二次チューブセット95の二次チューブのチューブ下端を、第2の三次チューブセット96の三次チューブのチューブ下端に接続している。第1及び第2の接続部は、例えば、第1及び第2のチューブ要素を主蒸気供給マニホールドの内側に溶接することによって形成可能である。このようにして、主蒸気供給マニホールド内に2つの別々のキャビティが形成される。
【0079】
図5に示されたこれらの代替実施形態では、第1の接続部22a及び第2の接続部22bは、第1のドレン区画62a及び第2のドレン区画62bをそれぞれ含む。この第1のドレン区画62a及び第2のドレン区画62bは、下部分配マニホールド22のドレン手段62を形成している。
【0080】
通常、熱交換器内の圧力低下により、下部接続マニホールド22内の圧力は、蒸気供給マニホールド内の圧力より低い。結果として、下部接続マニホールド内の復水の温度も、蒸気供給マニホールド内の復水の温度より低い。そこで、下部接続マニホールドを蒸気供給マニホールドの内側と一体化することにより、下部接続マニホールド内の復水が、下部接続マニホールドの壁を介して、蒸気供給マニホールド内の排出蒸気と接触するという利点が得られる。このことの有利な効果として、下部接続マニホールド内の復水の温度が上昇する。このようにして、復水のサブクーリングが最小限に抑えられる。
【0081】
但し、下部接続マニホールド22は、必ずしも蒸気供給マニホールド21の内側と一体化されない。例えば、別の実施形態では、蒸気供給マニホールド21は、二次チューブ及び三次チューブの場所の直径が小さくなっており、これは、下部接続マニホールド22を、二次チューブ及び三次チューブとは連結されて、主蒸気供給マニホールド21とは切り離されるように設置することを可能にする為である。
【0082】
本発明は更に、タービンから排出された蒸気を復水する、いわゆるW型熱交換器2に関する。そのようなW型熱交換器2は、図7及び図8に示されるように、第1のV型熱交換器1aと、
第1のV型熱交換器1aに隣接して配置された第2のV型熱交換器1bとを含む。第1のV型熱交換器1aの蒸気供給マニホールドは、第2のV型熱交換器1bの蒸気供給マニホールドと平行である。
【0083】
W型熱交換器2の好ましい一実施形態では、図8に示されるように、第1のV型熱交換器1aの第2の上部接続マニホールドと第2のV型熱交換器1bの第1の上部接続マニホールドとが、第1のV型熱交換器1a及び第2のV型熱交換器1b用の単一の共通上部接続マニホールド33を形成している。共通上部接続マニホールド33を使用すると、熱交換器の強度が高まる。
【0084】
本発明は更に空冷復水器10に関し、空冷復水器10は上述のV型熱交換器を含み、復水収集タンクが蒸気供給マニホールド21の復水ドレン部61に連結されており、且つ、下部接続マニホールド22のドレン手段62に連結されている。このようにして、熱交換器内で形成される全ての復水が共通収集タンクに集められる。
【0085】
図9及び図11に示されるように、本発明は更に空冷復水器10に関し、空冷復水器10は、W型熱交換器2と、W型熱交換器2を地上床85から持ち上げるように構成された支持土台80と、を含む。W型空冷復水器10は更に、ファン71を支持するファン支持アセンブリを含む。ファン71は、W型熱交換器を通る気流を引き起こすように構成されている。ファン支持アセンブリは、W型熱交換器2の上部接続マニホールドに連結されたファンデッキ70を含む。
【0086】
典型的には、空冷復水器10の支持土台80は、各蒸気供給マニホールド21を地上床85から4m超の高さHまで持ち上げるように構成されている。
【0087】
有利なことに、この、熱交換器のV型ジオメトリにより、且つ、V型熱交換器の頂上領域に配置された蒸気供給マニホールドを使用することにより、支持土台及びファン支持構造の両方が、米国特許出願公開第2017/0234168A1号に記載されているような先行技術の空冷復水器に比べて簡略化されることが可能である。本発明によるV型又はW型の熱交換器を使用すると、米国特許出願公開第2017/0234168A1号にあるような、蒸気供給管路に平行な長手方向に延びる支持ブラケットが不要である。実際、本発明による熱交換器を使用すると、蒸気供給マニホールドを支持する土台の側面図の一部を示す図10に更に示されるように、蒸気供給マニホールドは長手方向の支持構造として働き、支持土台は蒸気供給マニホールドに垂直な方向にのみ延びる。このように土台を簡略化することにより、必要な鋼材の数が大幅に低減される。更に、上述のように、ファン71は、上部接続マニホールドの上に配置されたファンデッキによって支持されることが可能である為、ファンを支持する為に、米国特許出願公開第2017/0234168A1号にあるような特定の中央ピラーは不要である。
【0088】
別の実施形態では、図11に示されるように、空冷復水器10は、2つ以上のW型熱交換器2a及び2bを含む。この2つ以上のW型熱交換器2a、2bは、この2つ以上のW型熱交換器のそれぞれの蒸気供給マニホールド21同士が平行になるように、互いに隣接して配置される。これらの実施形態の場合も、この2つ以上のW型熱交換器2a、2bを地上床85から持ち上げるように支持土台80が構成されている。この2つ以上のW型熱交換器を通る気流を引き起こすように構成された1つ以上のファン71が用意され、支持アセンブリ70がその1つ以上のファンを支持する。
【0089】
本発明の別の態様によれば、空冷復水器を使用して、タービンから排出された蒸気を復水する方法が提供される。この方法は、
・第1の一次チューブセット91を設けるステップであって、上記第1のセットの一次チューブは、垂直面Vに対して角度δ1だけ傾斜して並列配置された単列復水チューブであり、15°<δ1<80°、好ましくは20°<δ1<40°である、上記第1の一次チューブセット91を設ける上記ステップと、
・第2の一次チューブセット94を設けるステップであって、上記第2のセットの一次チューブは、上記垂直面Vに対して角度δ2だけ傾斜して並列配置された単列復水チューブであり、15°<δ2<80°、好ましくは20°<δ2<40°であり、上記第1の一次チューブセット91と上記第2の一次チューブセット94との間に開き角度δ=δ1+δ2が形成される、上記第2の一次チューブセット94を設ける上記ステップと、
・第1の二次チューブセット92を設けるステップであって、上記第1のセットの二次チューブは、上記垂直面Vに対して上記角度δ1だけ傾斜して並列配置された単列復水チューブである、上記第1の二次チューブセット(92)を設ける上記ステップと、
・第2の二次チューブセット95を設けるステップであって、上記第2のセットの二次チューブは、上記垂直面Vに対して上記角度δ2だけ傾斜して並列配置された単列復水チューブであり、それによって、上記第1の二次チューブセット92と上記第2の二次チューブセット95との間に上記開き角度δ=δ1+δ2が形成される、上記第2の二次チューブセット95を設ける上記ステップと、
・少なくとも第1の三次チューブセット93を設けるステップであって、上記第1のセットの三次チューブは、上記垂直面Vに対して上記角度δ1だけ傾斜して並列配置されており、好ましくは上記三次チューブは単列復水チューブである、上記少なくとも第1の三次チューブセット93を設ける上記ステップと、
・上記第1の一次チューブセット91及び上記第2の一次チューブセット94の一次チューブの下端に上記排出蒸気を供給するステップと、
・上記第1の一次チューブセット内で復水されなかった第1の残った蒸気を上記第1の一次チューブセットの一次チューブの上端に集めて、上記第1の残った蒸気を、上記第1の二次チューブセット92の上記二次チューブの上端に供給するステップと、
・上記第2の一次チューブセット内で復水されなかった第2の残った蒸気を上記第2の一次チューブセット94の一次チューブの上端に集めて、上記第2の残った蒸気を、上記第2の二次チューブセット95の二次チューブの上端に供給するステップと、
・上記第1及び第2の二次チューブセットの二次チューブ内で復水されなかった更なる残った蒸気を上記第1及び第2の二次チューブセットの二次チューブの下端に集めて、上記更なる残った蒸気を、上記少なくとも第1の三次チューブセット93の上記三次チューブの下端に供給するステップと、
・上記少なくとも第1の三次チューブセット93の三次チューブのチューブ上端において非凝縮性ガスを排出するステップと、
・上記第1及び第2の一次チューブセットの一次チューブから、且つ上記第1及び第2の二次チューブセットの二次チューブから、且つ上記少なくとも第1の三次チューブセットの三次チューブセットから復水を集めて、上記集められた復水を復水収集タンクに向けて排出するステップと、
を含む。
【0090】
特定の実施形態に関して本発明を説明してきたが、それらの実施形態は本発明を例示するものであり、限定するものと解釈されるべきではない。より一般的には、当業者であれば理解されるように、本発明は、ここまで具体的に図示及び/又は説明されてきたものによって限定されない。本発明は、ありとあらゆる新規な特性的特徴、及び特性的特徴のありとあらゆる組み合わせにある。特許請求項中の参照符号は、特許請求項の保護範囲を限定するものではない。
【0091】
「含む(to comprise)」という動詞の使用は、述べられた要素以外の要素の存在を排除しない。
【0092】
ある要素の前に付く冠詞「a」、「an」、又は「the」の使用は、そのような要素が複数存在することを排除しない。
〔付記1〕
タービンから排出された蒸気を復水するV型熱交換器(1)であって、
第1の一次チューブセット(91)であって、前記第1のセット(91)の一次チューブは、垂直面(V)に対して角度δ1だけ傾斜して並列配置された単列復水チューブであり、15°<δ1<80°、好ましくは20°<δ1<40°である、前記第1の一次チューブセット(91)と、
第2の一次チューブセット(94)であって、前記第2のセット(94)の一次チューブは、前記垂直面(V)に対して角度δ2だけ傾斜して並列配置された単列復水チューブであり、15°<δ2<80°、好ましくは20°<δ2<40°であり、前記第1の一次チューブセット(91)と前記第2の一次チューブセット(94)との間に開き角度δ=δ1+δ2が形成される、前記第2の一次チューブセット(94)と、
前記第1の一次チューブセット(91)の一次チューブのチューブ下端に連結されていて、且つ、前記第2の一次チューブセット(94)の一次チューブのチューブ下端に連結されている蒸気供給マニホールド(21)であって、
a)前記排出蒸気を、前記第1の一次チューブセット(91)及び前記第2の一次チューブセット(94)の一次チューブのチューブ下端に移送する蒸気供給部(65)と、
b)前記第1の一次チューブセット(91)及び前記第2の一次チューブセット(94)の一次チューブから復水を排出するように構成された復水ドレン部(61)と、
を含む前記蒸気供給マニホールド(21)と、
を含み、
前記V型熱交換器(1)は、
第1の二次チューブセット(92)であって、前記第1のセットの二次チューブは、前記垂直面(V)に対して前記角度δ1だけ傾斜して並列配置された単列復水チューブである、前記第1の二次チューブセット(92)と、
第2の二次チューブセット(95)であって、前記前記第2のセットの二次チューブは、前記垂直面(V)に対して前記角度δ2だけ傾斜して並列配置された単列復水チューブであり、それによって、前記第1の二次チューブセット(92)と前記第2の二次チューブセット(95)との間に前記開き角度δ=δ1+δ2が形成される、前記第2の二次チューブセット(95)と、
少なくとも第1の三次チューブセット(93)であって、前記第1のセットの三次チューブは、前記垂直面(V)に対して前記角度δ1だけ傾斜して並列配置されており、好ましくは前記三次チューブは単列復水チューブである、前記少なくとも第1の三次チューブセット(93)と、
前記第1の一次チューブセット(91)の一次チューブのチューブ上端と前記第1の二次チューブセット(92)の二次チューブのチューブ上端とを連結している第1の上部接続マニホールド(31)と、
前記第2の一次チューブセット(94)の一次チューブのチューブ上端と前記第2の二次チューブセット(95)の二次チューブのチューブ上端とを連結している第2の上部接続マニホールド(32)と、
前記第1の二次チューブセット(92)の二次チューブのチューブ下端と連結されていて、前記第2の二次チューブセット(95)の二次チューブのチューブ下端と連結されていて、前記少なくとも第1の三次チューブセット(93)の三次チューブのチューブ下端と連結されている下部接続マニホールド(22)と、
非凝縮性ガスを排出する少なくとも第1の排出マニホールド(41)であって、前記少なくとも第1の三次チューブセット(93)の三次チューブのチューブ上端と連結されている前記第1の排出マニホールド(41)と、
を含み、
前記下部接続マニホールド(22)は、
前記第1の二次チューブセット(92)及び前記第2の二次チューブセット(95)の二次チューブから復水を排出することと、前記少なくとも第1の三次チューブセット(93)の三次チューブから復水を排出することと、を行うように構成されてたドレン手段(62)
を含む
ことを特徴とする前記V型熱交換器(1)。
〔付記2〕
第2の三次チューブセット(96)であって、前記第2のセット(96)の三次チューブは、前記垂直面(V)に対して前記角度δ2だけ傾斜して並列配置されており、それによって、前記第1の三次チューブセット(93)と前記第2の三次チューブセット(96)との間に前記開き角度δ=δ1+δ2が形成されており、前記下部接続マニホールド(22)は、前記第2の三次チューブセット(96)の三次チューブのチューブ下端と連結されており、好ましくは前記第2のセット(96)の前記三次チューブは単列復水チューブである、前記第2の三次チューブセット(96)と、
非凝縮性ガスを排出する第2の排出マニホールド(42)であって、前記第2の排出マニホールド(42)は前記第2の三次チューブセット(96)の三次チューブのチューブ上端と連結されており、前記第2の三次チューブセット(96)の三次チューブから復水を排出するように前記ドレン手段(62)が更に構成されている、前記第2の排出マニホールド(42)と、
を含む、付記1に記載のV型熱交換器(1)。
〔付記3〕
前記蒸気供給マニホールド(21)は、前記蒸気供給部(65)と前記復水ドレン部(61)とを仕切るバッフル(25)を含む、付記1~2のいずれか一項に記載のV型熱交換器(1)。
〔付記4〕
前記蒸気供給マニホールド(21)は、前記下部接続マニホールド(22)を形成する仕切られた区画を含む、付記1~3のいずれか一項に記載のV型熱交換器(1)。
〔付記5〕
前記仕切られた区画は、前記蒸気供給マニホールド(21)の内側に1つ以上の金属プレートを溶接することによって形成される、付記4に記載のV型熱交換器(1)。
〔付記6〕
前記下部接続マニホールド(22)は、前記ドレン手段(62)を形成する下部区画を含む、付記1~5のいずれか一項に記載のV型熱交換器(1)。
〔付記7〕
前記下部接続マニホールド(22)は、第1の接続部(22a)及び第2の接続部(22b)を含み、前記第1の接続部(22a)は、前記第1の二次チューブセット(92)の二次チューブのチューブ下端を、前記第1の三次チューブセット(93)の三次チューブのチューブ下端に接続しており、前記第2の接続部(22b)は、前記第2の二次チューブセット(95)の二次チューブのチューブ下端を、前記第2の三次チューブセット(96)の三次チューブのチューブ下端に接続している、付記2~5のいずれか一項に記載のV型熱交換器(1)。
〔付記8〕
前記第1の接続部(22a)及び前記第2の接続部(22b)は、第1の復水ドレン収集部(62a)及び第2の復水ドレン収集部(62b)をそれぞれ含み、前記第1の復水ドレン収集部(62a)及び前記第2の復水ドレン収集部(62b)は前記下部接続マニホールド(22)の前記ドレン手段(62)を形成している、付記7に記載のV型熱交換器(1)。
〔付記9〕
前記第1の一次チューブセットの一次チューブが1つ以上の一次チューブバンドルにまとめられているか、且つ/又は前記第2の一次チューブセットの一次チューブが1つ以上の別の一次チューブバンドルにまとめられているか、且つ/又は前記第1の二次チューブセットの二次チューブが1つ以上の二次チューブバンドルにまとめられているか、且つ/又は前記第2の二次チューブセットの二次チューブが1つ以上の別の二次チューブバンドルにまとめられているか、且つ/又は前記第1の三次チューブセットの三次チューブが1つ以上の三次チューブバンドルにまとめられているか、且つ/又は前記第2の三次チューブセットの三次チューブが1つ以上の別の三次チューブバンドルにまとめられている、付記1~8のいずれか一項に記載のV型熱交換器(1)。
〔付記10〕
前記復水ドレン部(61)は、復水収集タンクに連結される第1の復水出力を含み、前記ドレン手段(62)は、前記復水収集タンクに連結される第2の復水出力を含む、付記1~9のいずれか一項に記載のV型熱交換器(1)。
〔付記11〕
前記第1の一次チューブセット(91)及び前記第2の一次チューブセット(94)の一次チューブ、並びに前記第1の二次チューブセット(92)及び前記第2の二次チューブセット(95)の二次チューブは、チューブ長さが4~7メートルの範囲にある、付記1~10のいずれか一項に記載のV型熱交換器(1)。
〔付記12〕
タービンから排出された蒸気を復水するW型熱交換器(2)であって、
付記1~11のいずれか一項に記載の第1のV型熱交換器(1a)と、
前記第1のV型熱交換器(1a)に隣接して配置された、付記1~11のいずれか一項に記載の第2のV型熱交換器(1b)であって、前記第1のV型熱交換器の蒸気供給マニホールドと前記第2のV型熱交換器の蒸気供給マニホールドとが平行に配置されている、前記第2のV型熱交換器(1b)と、
を含むW型熱交換器(2)。
〔付記13〕
前記第1のV型熱交換器(1a)の第2の上部接続マニホールドと前記第2のV型熱交換器(1b)の第1の上部接続マニホールドとが、前記第1のV型熱交換器(1a)及び前記第2のV型熱交換器(1b)用の単一の共通上部接続マニホールド(33)を形成している、付記12に記載のW型熱交換器(2)。
〔付記14〕
付記12又は付記13に記載のW型熱交換器(2)と、
前記W型熱交換器(2)を地上床(85)から持ち上げるように構成された支持土台(80)と、
前記W型熱交換器(2)に冷却用空気を供給するように構成されたファン(71)と、
を含む空冷復水器(10)。
〔付記15〕
付記1~11のいずれか一項に記載のV型熱交換器(1)と、
前記蒸気供給マニホールド(21)の前記復水ドレン部(61)に連結されていて、且つ、前記下部接続マニホールド(22)の前記ドレン手段(62)に連結されている復水収集タンクと、
を含む空冷復水器(10)。
〔付記16〕
空冷復水器を使用して、タービンから排出された蒸気を復水する方法であって、
第1の一次チューブセット(91)を設けるステップであって、前記第1のセット(91)の一次チューブは、垂直面(V)に対して角度δ1だけ傾斜して並列配置された単列復水チューブであり、15°<δ1<80°、好ましくは20°<δ1<40°である、前記第1の一次チューブセット(91)を設ける前記ステップと、
第2の一次チューブセット(94)を設けるステップであって、前記第2のセット(94)の一次チューブは、前記垂直面(V)に対して角度δ2だけ傾斜して並列配置された単列復水チューブであり、15°<δ2<80°、好ましくは20°<δ2<40°であり、前記第1の一次チューブセット(91)と前記第2の一次チューブセット(94)との間に開き角度δ=δ1+δ2が形成される、前記第2の一次チューブセット(94)を設ける前記ステップと、
第1の二次チューブセット(92)を設けるステップであって、前記第1のセットの二次チューブは、前記垂直面(V)に対して前記角度δ1だけ傾斜して並列配置された単列復水チューブである、前記第1の二次チューブセット(92)を設ける前記ステップと、
第2の二次チューブセット(95)を設けるステップであって、前記前記第2のセットの二次チューブは、前記垂直面(V)に対して前記角度δ2だけ傾斜して並列配置された単列復水チューブであり、それによって、前記第1の二次チューブセット(92)と前記第2の二次チューブセット(95)との間に前記開き角度δ=δ1+δ2が形成される、前記第2の二次チューブセット(95)を設ける前記ステップと、
少なくとも第1の三次チューブセット(93)を設けるステップであって、前記第1のセットの三次チューブは、前記垂直面(V)に対して前記角度δ1だけ傾斜して並列配置されており、好ましくは前記三次チューブは単列復水チューブである、前記少なくとも第1の三次チューブセット(93)を設ける前記ステップと、
前記第1の一次チューブセット(91)及び前記第2の一次チューブセット(94)の一次チューブの下端に前記排出蒸気を供給するステップと、
前記第1の一次チューブセット内で復水されなかった第1の残った蒸気を前記第1の一次チューブセットの一次チューブの上端に集めて、前記第1の残った蒸気を、前記第1の二次チューブセット(92)の前記二次チューブの上端に供給するステップと、
前記第2の一次チューブセット内で復水されなかった第2の残った蒸気を前記第2の一次チューブセット(94)の一次チューブの上端に集めて、前記第2の残った蒸気を、前記第2の二次チューブセット(95)の二次チューブの上端に供給するステップと、
前記第1及び第2の二次チューブセットの二次チューブ内で復水されなかった更なる残った蒸気を前記第1及び第2の二次チューブセットの二次チューブの下端に集めて、前記更なる残った蒸気を、前記少なくとも第1の三次チューブセット(93)の前記三次チューブの下端に供給するステップと、
前記少なくとも第1の三次チューブセット(93)の三次チューブのチューブ上端において非凝縮性ガスを排出するステップと、
前記第1及び第2の一次チューブセットの一次チューブから、且つ前記第1及び第2の二次チューブセットの二次チューブから、且つ前記少なくとも第1の三次チューブセットの三次チューブセットから復水を集めて、前記集められた復水を復水収集タンクに向けて排出するステップと、
を含む方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図7
図8
図9
図10
図11