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特許7221295機械的ロック装置を具備するパネル及びパネルを具備する組み立てられた製品
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-03
(45)【発行日】2023-02-13
(54)【発明の名称】機械的ロック装置を具備するパネル及びパネルを具備する組み立てられた製品
(51)【国際特許分類】
   F16B 12/12 20060101AFI20230206BHJP
   F16B 12/26 20060101ALI20230206BHJP
   F16B 5/10 20060101ALI20230206BHJP
   A47B 47/00 20060101ALI20230206BHJP
【FI】
F16B12/12 B
F16B12/12 Z
F16B12/26
F16B5/10 J
A47B47/00
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020550066
(86)(22)【出願日】2019-03-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-02
(86)【国際出願番号】 SE2019050259
(87)【国際公開番号】W WO2019182505
(87)【国際公開日】2019-09-26
【審査請求日】2021-11-25
(31)【優先権主張番号】1830096-2
(32)【優先日】2018-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】504033441
【氏名又は名称】ベーリンゲ、イノベイション、アクチボラグ
【氏名又は名称原語表記】VAELINGE INNOVATION AB
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100130719
【弁理士】
【氏名又は名称】村越 卓
(72)【発明者】
【氏名】ペーター、デレレブ
(72)【発明者】
【氏名】ヨーアン、スベンソン
(72)【発明者】
【氏名】ラーシュ、グンナション
【審査官】児玉 由紀
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/059549(WO,A2)
【文献】特表2014-523996(JP,A)
【文献】特表2013-528442(JP,A)
【文献】特表2018-505355(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 43/00-45/00
47/00-47/06
91/00-97/08
F16B 5/00- 5/12
12/00-12/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主平面を有する第1パネル(2)及び第2主平面を有する第2パネル(4)を含むパネルのセットであって、前記第1パネル及び前記第2パネルは機械的ロック装置を具備し、当該機械的ロック装置は、接合面(J)において前記第1パネル(2)の第1エッジを前記第2パネル(4)の第2エッジにロックするように構成され、それによって前記第1エッジ及び前記第2エッジが前記接合面(J)でロックされる場合に前記第1パネル(2)の第1外側コーナー(95)及び前記第2パネル(4)の第2外側コーナー(96)がお互いに接触し、前記第1主平面は、本質的に前記第2主平面に垂直であり、前記接合面は、前記第1主平面と前記第2主平面との間で延びており、前記機械的ロック装置は、
前記第1エッジにおける、前記接合面(J)から延びるエッジ舌部(22)と、
前記第2エッジにおける、前記接合面でのエッジ溝(21)と、を備え、
前記エッジ舌部は、前記第1主平面に垂直である第1方向(D1)に前記第1エッジ及び前記第2エッジを一緒にロックするために前記エッジ溝と協働するように構成され、
前記機械的ロック装置は、前記第1エッジにおけるダボ(91)と、前記第2エッジにおけるダボ溝(92)とを備え、
前記ダボ(91)は、前記ダボ溝(92)と協働するように構成され、
前記ダボ(91)の中心線(97)は、前記第1パネル(2)の前記第1外側コーナー(95)から第1方向に第1の距離(93)がおかれて位置付けられ、
前記ダボ溝(92)の中心線(98)は、前記第2パネル(4)の前記第2外側コーナー(96)から前記第1方向に第2の距離(94)がおかれて位置付けられ、
前記第2の距離(94)は前記第1の距離(93)よりも大きい、ことを特徴とするパネルのセット。
【請求項2】
前記第2の距離(94)と前記第1の距離(93)との間の差は、約0.1mm~約0.5mmの範囲内であるか、又は約0.3mmである、請求項1に記載のセット。
【請求項3】
前記ダボ(91)は、前記第1エッジで別のダボ溝(99)に取り付けられている、請求項1又は2に記載のセット。
【請求項4】
前記ダボ(91)は円筒形状である、請求項1~3のいずれか一項に記載のセット。
【請求項5】
前記ダボ(91)は、木材ベースの材料及びポリマー材料のうちの1以上から作られ、好ましくはガラス繊維又は金属などの補強材を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のセット。
【請求項6】
エッジ舌部(22)は前記第1パネルのコア材料で形成され、及び/又は、前記エッジ溝(21)は前記第2パネルのコア材料で形成される、請求項1~5のいずれか一項に記載のセット。
【請求項7】
前記エッジ舌部(22)は舌部溝(10)を含み、前記エッジ溝(21)は可撓性舌部(30)を含み、好ましくは当該可撓性舌部(30)は溝(20)に配置され、前記可撓性舌部は、前記第2主平面に垂直である第2方向(D2)に前記第1エッジ及び前記第2エッジを一緒にロックするために前記舌部溝(10)と協働するように構成される、請求項1~6のいずれか一項に記載のセット。
【請求項8】
前記接合面と前記第1主平面との間の角度は約45°である、請求項1~7のいずれか一項に記載のセット。
【請求項9】
エッジ舌部(22)は、前記接合面から、本質的に前記第2方向に延びる、請求項1~8のいずれか一項に記載のセット。
【請求項10】
前記エッジ舌部(22)は、本質的に前記第1エッジの全長に沿って前記第1エッジの長手方向に延び、前記第1パネル(2)の前エッジ(81)から距離をおいて終わる、請求項1~9のいずれか一項に記載のセット。
【請求項11】
前記ダボ(91)は、前記第1パネル(2)の前記前エッジ(81)と前記エッジ舌部(22)との間に位置付けられる、請求項1~10のいずれか一項に記載のセット。
【請求項12】
第1主平面を有する第1パネル(2)及び第2主平面を有する第2パネル(4)を含むパネルのセットであって、前記第1パネル及び前記第2パネルは機械的ロック装置を具備し、当該機械的ロック装置は、接合面(J)において前記第1パネル(2)の第1エッジを前記第2パネル(4)の第2エッジにロックするように構成され、前記第1主平面は、本質的に前記第2主平面に垂直であり、前記接合面は、前記第1主平面と前記第2主平面との間で延びており、前記機械的ロック装置は、
前記第1エッジにおける、前記接合面(J)から延びるエッジ舌部(22)と、
前記第2エッジにおける、前記接合面でのエッジ溝(21)と、を備え、
前記エッジ舌部は、前記第1主平面に垂直である第1方向(D1)に前記第1エッジ及び前記第2エッジを一緒にロックするために前記エッジ溝と協働するように構成され、
前記機械的ロック装置は、前記第1エッジにおけるダボ(91)と、前記第2エッジにおけるダボ溝(92)とを備え、
前記ダボ(91)は、前記ダボ溝(92)と協働するように構成され、
前記ダボ(91)の中心線(97)は、前記第1パネル(2)の外側コーナー(95)から第1方向に第1の距離(93)がおかれて位置付けられ、
前記ダボ溝(92)は、前記第2パネル(4)の外側コーナー(96)から前記第1方向に第2の距離(94)がおかれて位置付けられ、
前記第2の距離(94)は前記第1の距離(93)よりも大きく、
前記エッジ溝(21)は、本質的に前記第2エッジの全長に沿って前記第2エッジの長手方向に延び、前記第2パネル(4)の前エッジ(82)から距離をおいて終わる、パネルのセット。
【請求項13】
第1主平面を有する第1パネル及び第2主平面を有する第2パネルを含むパネルのセットであって、前記第1パネル及び前記第2パネルは機械的ロック装置を具備し、当該機械的ロック装置は、接合面において前記第1パネルの第1エッジを前記第2パネルの第2エッジにロックするように構成され、前記第1主平面は、本質的に前記第2主平面に垂直であり、前記接合面は、前記第1主平面と前記第2主平面との間で延びており、前記機械的ロック装置は、
前記第1エッジにおける、前記接合面から延びるエッジ舌部と、
前記第2エッジにおける、前記接合面でのエッジ溝と、を備え、
前記エッジ舌部は、前記第1主平面に垂直である第1方向に前記第1エッジ及び前記第2エッジを一緒にロックするために前記エッジ溝と協働するように構成され、
前記機械的ロック装置は、前記第1エッジにおけるダボと、前記第2エッジにおけるダボ溝とを備え、
前記第1エッジ及び前記第2エッジが前記接合面においてロックされる場合、前記ダボは、前記ダボ溝に挿入されるように構成され、
前記第1エッジ及び前記第2エッジが前記接合面においてロックされる場合、前記ダボの第1中心線は、前記ダボ溝の第2中心線と同一線上にはない、パネルのセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、互いに垂直に配置され、機械的ロック装置で一緒にロックされうる複数のパネルに関する。パネルは、本棚、食器棚、ワードローブ、箱、引き出し、又は家具部品などの家具製品を得るように組み立てられて、一緒にロックされうる。ロック装置は、可撓性舌部を含みうる。
【背景技術】
【0002】
WO2017/131574によって証明されるように、機械的ロック装置が装備される家具製品は当技術分野で知られている。その家具は、機械的ロック装置を含むマイタージョイント(mitre joint)によって第2パネルに垂直に接続された第1パネルを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】WO2017/131574
【発明の概要】
【0004】
本発明のある実施形態の1つの目的は、上記の技術及び既知の技術に対する改善を提供することである。具体的な目的は、機械的ロック装置によって一緒にロックされる家具パネルなどのパネルの組み立てを改善すること及び機械的ロック装置の強度を高めるか又は接合部における目に見えるギャップを減らすことである。パネルは、家具部品、引き出し、食器棚、本棚、ワードローブ、台所備品、又は箱などの家具製品の一部でありうる。
【0005】
説明から明らかとなるこれらの及び他の目的及び利点の少なくともいくつかは、第1主平面を有する第1パネル及び第2主平面を有する第2パネルを具備するパネルのセットを含む発明の第1の態様によって達成された。第1パネル及び第2パネルは機械的ロック装置を備え、当該機械的ロック装置は、接合面で第1パネルの第1エッジを第2パネルの第2エッジにロックするために構成される。第1主平面は本質的に第2主平面に垂直であり、接合面は第1主平面と第2主平面との間に延びている。機械的ロック装置は:第1エッジにおいて、接合面から延びるエッジ舌部と;第2エッジにおいて、接合面でのエッジ溝と、を備え、エッジ舌部は、第1主平面に垂直な第1方向に第1エッジ及び第2エッジを一緒にロックするためにエッジ溝と協働するように構成される。機械的ロック装置は、第1エッジでのダボ(dowel)と、第2エッジでのダボ溝と、をさらに備える。ダボは、ダボ溝と協働するように構成されている。ダボの中心線は、第1パネルの外側のコーナーから第1方向に第1の距離に位置付けられる。ダボ溝は、第2パネルの外側のコーナーから第1方向に第2の距離に位置付けられる。第2の距離は第1の距離よりも大きい。
【0006】
ダボ及びダボ溝とそれらの位置とは、第1エッジが第2エッジに押し付けられるように構成される。これは、第1エッジ及び/又は第2エッジが湾曲形状を有する場合に接合面でのギャップが回避され又は減少される、という効果を有しうる。そのようなギャップは、パネルの前エッジでは特に望ましくない。
【0007】
第2の距離と第1の距離との間の差は、約0.1mm~約0.5mmの範囲内でありうるか、約0.3mmである。
【0008】
ダボは、第1エッジで別のダボ溝に取り付けられうる。
【0009】
第1パネル及び第2パネルが組み立てられて機械的ロック装置と一緒にロックされる前に、ダボは、第2エッジでダボ溝に取り付けられうる。したがって、この実施形態では、ダボは、組み立て中に、第1エッジで、前記別のダボ溝に挿入される。
【0010】
ダボは円筒形であってよい。
【0011】
ダボは、フランジ、返し(barbs)、又はリブなどのロック要素を含みうる。
【0012】
ダボは、好ましくはガラス繊維又は金属などの補強材を有する、木材ベース材料、ポリマー材料のうちの1つ又は複数から作製されうる。
【0013】
エッジ舌部は、第1パネルのコア材料で形成されてもよいし、及び/又は、エッジ溝は、第2パネルのコア材料で形成されてもよい。
【0014】
エッジ舌部は、舌部溝を含んでいてもよいし、エッジ溝は、可撓性舌部を含んでいてもよく、可撓性舌部は好ましくは挿入溝に配置され、前記可撓性舌部は、第1エッジ及び第2エッジを、第2主平面に垂直な方向である第2方向へ、一緒にロックするために舌部溝と協働するように構成される。
【0015】
接合面と第1主平面との間の角度は約45°であってもよい。
【0016】
エッジ舌部は、接合面から、本質的に第2方向に延びていてもよい。
【0017】
エッジ舌部は、本質的に第1エッジの全長に沿って第1エッジの長手方向に延在してもよく、第1パネルの前エッジから距離をおいて終了する。
【0018】
ダボは、第1パネルの前エッジとエッジ舌部との間に位置付けられてもよい。
【0019】
エッジ溝は、本質的に第2エッジの全長に沿って第2エッジの長手方向に延在してもよく、第2パネルの前エッジから距離をおいて終了する。
【0020】
可撓性舌部は、挿入溝において動かすことが可能であってもよい。
【0021】
第1パネル及び第2パネルのコア材料は、HDF、MDF、合板、無垢材又はパーティクルボードなどの木材繊維ベースのボード、又は強化プラスチックボード、又は木質繊維複合ボードを含みうる。コアには装飾層が設けられていてもよい。
【0022】
ロック装置は、舌部溝の開口部にベベル又は丸みを備えていてもよい。可撓性舌部が分解の間に動かなくなるのをベベル又は丸みが防ぐことができるので、これは分解を容易にしうる。
【0023】
ロック装置は、好ましくは、ツールが舌部溝内に挿入され、挿入溝内に押し戻される場合に、可撓性舌部が舌部溝から出るように構成される。
【0024】
第1パネル及び第2パネルは、好ましくは、第1パネルを第2方向に第2パネルに対して変位させることによって組み立てられるように構成され、第1パネルは第2パネルに垂直である。エッジ舌部はエッジ溝内に挿入され、可撓性舌部は挿入溝内に押し戻され、舌部溝内に押し返されてロックされた位置を得る。
【0025】
可撓性舌部は、WO2015/105449の図2A図2F又は図3A図3Bに記載され及び示されている可撓性舌部に従っていてもよい。WO2015/105449における図2A図2F又は図3A図3B及び明細書における付随する開示は、参照によりここに明示的に組み込まれる。
【0026】
パネルのセットは家具パネルであってもよい。
【0027】
発明の第2の態様は、上記のようなパネルのセットを具備するフレームのコーナーを備える組み立てられた家具製品を含む。
【図面の簡単な説明】
【0028】
発明の実施形態が可能であるこれらの及び他の態様、特徴及び利点は、本発明の実施形態の以下の説明から明らかであり且つ解明され、以下の添付の図面が参照される。
図1図1は、組み立てられた家具製品の実施形態を示す。
図2図2は、機械的ロック装置の実施形態とともにロックされた第1パネル及び第2パネルの実施形態を示す。
図3図3は、可撓性舌部がない図2において円で囲まれた領域の拡大を示す。
図4A図4A図4Fは、可撓性舌部の実施形態を備える発明の実施形態の一部を示す。
図4B図4A図4Fは、可撓性舌部の実施形態を備える発明の実施形態の一部を示す。
図4C図4A図4Fは、可撓性舌部の実施形態を備える発明の実施形態の一部を示す。
図4D図4A図4Fは、可撓性舌部の実施形態を備える発明の実施形態の一部を示す。
図4E図4A図4Fは、可撓性舌部の実施形態を備える発明の実施形態の一部を示す。
図4F図4A図4Fは、可撓性舌部の実施形態を備える発明の実施形態の一部を示す。
図5A図5Aは、マイタージョイントで組み立てられた2つのパネルの実施形態を示す。
図5B図5Bは、図5Aにおいて円で囲まれた領域の拡大を示す。
図6A図6Aは、底面図における第1パネルの実施形態を示す。
図6B図6Bは、側面図における第1パネルの実施形態を示す。
図6C図6Cは、3Dビューにおける第1パネルの実施形態を示す。
図7A図7Aは、底面図における第2パネルの実施形態を示す。
図7B図7Bは、側面図における第2パネルの実施形態を示す。
図7C図7Cは、3Dビューにおける第2パネルの実施形態を示す。
図8図8は、機械的ロック装置の実施形態とともにロックされた第1パネル及び第2パネルの実施形態を示す。
図9図9は、組み立てる前の、可撓性舌部のない、第1パネル及び第2パネルの実施形態のコーナー部分の拡大を示す。
図10図10は、組み立てる前の、可撓性舌部のない、第1パネル及び第2パネルの実施形態のコーナー部分の拡大を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
次に、発明の具体的な実施形態が、添付の図面を参照して説明される。ただし、この発明は、多くの異なる形態で具体化されることができ、ここに記載されている実施形態に限定されるものと解釈されるべきではない;むしろ、これらの実施形態は、この開示が詳細かつ全面的であり、発明の範囲を当業者に十分に伝えるように提供される。添付の図面に示されている実施形態の詳細な説明で使用されている用語は、発明を限定することを意図されてはいない。図面では、同様の番号は同様の要素を指す。
【0030】
マイタージョイントと一緒に結合されたパネルを含む、家具製品などの、組み立てられた製品の実施形態が図1に示されている。
【0031】
発明の実施形態は、3Dビューで図1に示されるような、組み立てられた製品のための、機械的ロック装置を含むパネルのセットに関する。
【0032】
図2は、第1主平面を有する第1パネル2と、第2主平面を有する第2パネル4とを具備するパネルのセットを含む実施形態を示す。図3は、可撓性舌部がない図2において円で囲まれた領域の拡大を示す。第1パネル及び第2パネルには、接合面Jにおいて、第1パネル2の第1エッジを第2パネル4の第2エッジにロックするための機械的ロック装置が与えられている。第1主平面は本質的に第2主平面に垂直であり、接合面は第1主平面と第2主平面との間に延在している。パネルは、クロスカットビュー(crosscut view)でロックされた位置で示される。第1エッジ及び第2エッジの長手方向は、示されている図に対して垂直に延びる。第1エッジは、接合面Jから延びるエッジ舌部22を含む。第2エッジは、接合面でエッジ溝21を含み、エッジ舌部は、第1主平面に垂直な第1方向D1に第1エッジ及び第2エッジを一緒にロックするためにエッジ溝と協働するように構成される。
【0033】
エッジ舌部22は、舌部溝10を備える。エッジ溝21は、挿入溝20に配置された可撓性舌部30を含み、前記可撓性舌部は、第2主平面に垂直である第2方向D2に第1エッジ及び第2エッジを一緒にロックするために舌部溝10と協働するように構成される。
【0034】
機械的ロック装置は、エッジ溝21の開口部において及び第1エッジと第2エッジとのロック位置での接合面において、エッジ舌部22とエッジ溝21との間に第1スペース46を備えうる。第1スペース46は、エッジ溝の開口部での第2エッジの一部の荷重が回避されるという利点を有しうる。荷重を吸収するために利用できる材料がほとんどないため、第2エッジのこの部分は弱い部分であるかもしれない。接合面と第1主平面との間の角度74は、約45°であってもよい。エッジ舌部22は、好ましくは、接合面から、本質的に第2方向に延びる。
【0035】
第1パネル2は第1の厚さ65を有し、第2パネル4は第2の厚さ64を有する。第1の厚さ及び第2の厚さは、本質的に同じであってもよい。第1パネル2は、第1パネルの厚さの方向に、第1パネルの中央面68の第1の側での内側半分部分66と、第1パネルの中央面68の第2の側での外側半分部分67と、を備える。エッジ舌部22全体は、好ましくは、第1パネルの内側半分部分にある。これは、第1パネル及び第2パネルのロック位置において、エッジ溝21と外側コーナーとの間により多くの材料が得られるという効果を有しうるものであり、これは、機械的ロック装置の強度を増加させうる。第1パネルは、内面60及び外面61を備える。第2パネルは、内面62及び外面63を備える。
【0036】
図3は、エッジ舌部22の第1の側が、接合面Jにおいて、第1ロック面41を含みうること、エッジ溝21が、接合面Jにおいて、第2ロック面40を含みうることを示す。第1ロック面及び第2ロック面は本質的に平行であり、第1方向にロックするために協働するように構成される。第1ロック面及び第2ロック面は、好ましくは、本質的に第2方向に延びる。エッジ舌部22は、第1の側の反対である第2の側で、第3ロック面43を含んでいてもよく、エッジ溝21は第4ロック面42を含んでいてもよく、第3ロック面及び第4ロック面は、本質的に平行であり、第1方向にロックするために接合面から距離をおいて協働するように構成される。第3ロック面及び第4ロック面は、好ましくは、本質的に第2方向に延びる。前記平行な第1ロック面、第2ロック面、第3ロック面及び第4ロック面は、パネルを組み立てることが容易であること、及び、例えば前記パネルのセットを含む家具が、より安定しうることという利点を有しうる。第4ロック面42は、好ましくは、第2ロック面40よりも中央面68に近い。
【0037】
第3ロック面43及び第4ロック面42は、第2方向に第1の距離47にわたって延びる領域で、荷重を吸収するために協働することができる。第3ロック面及び第4ロック面は、好ましくは、接合面から第2の距離48だけずらされている。これは、第1方向D1において、第4ロック面42と接合面との間により多くの材料が得られるという効果を有しうるものであり、これは、機械的ロック装置の強度を増加させうる。第1の距離47は、第2の距離48の約20%~約200%の範囲内であってもよく、又は第2の距離48の約50%~約150%の範囲内であってもよい。第1の距離47は、図3に示される実施形態における第2の距離48と本質的に同じである。
【0038】
接合面から距離がおかれているエッジ舌部22の第1の側は、第5ロック面45を含んでいてもよく、エッジ溝21は、接合面Jから距離がおかれている第6ロック面44を含んでいてもよい。第5ロック面及び第6ロック面は本質的に平行であり、好ましくは、第1方向にロックするために協働するように構成される。第5ロック面及び第6ロック面は、好ましくは、本質的に第2方向に延びる。挿入溝20は、図3に示される実施形態において、第6ロック面44と第2ロック面40との間に位置付けられる。舌部溝10は、第5ロック面45と第1ロック面41との間に位置付けられてもよい。
【0039】
第1パネル2及び第2パネル4は、好ましくは、第1パネル2を第2パネル4に対して第2方向D2に変位させることによって組み立てられるように構成され、第1パネルは第2パネルに垂直である。エッジ舌部22は、エッジ溝21内に挿入され、可撓性舌部30は、挿入溝内に押し戻され、舌部溝10内にスプリングバック(springs back)してロック位置を得る。パネルのセットは家具パネルであってもよい。
【0040】
挿入溝20は、本質的にエッジ溝の全長に沿って延びていてもよい。
【0041】
図5Aは、マイタージョイントで結合されたパネル102、104を示し、図5Bは、図5Aにおいて円で囲まれた領域の拡大を示す。パネルのうちの1つがマイタージョイントでエッジに沿って湾曲した形状86を有する場合、パネル102、104は、パネルの前エッジ81、82でマイタージョイントにギャップ85を示しうる。それらのパネルは、荷重によって湾曲した形状を得ていてもよく、例えば、木質ベースのパネルは、湿度の変化により湾曲した形状を得ていてもよい。
【0042】
図6A図6Cは、それぞれ、底面図、側面図、及び3D図における第1パネルの実施形態を示す。第1パネルの実施形態は、エッジ舌部22の実施形態を備え、当該エッジ舌部22の実施形態は、第1エッジの長手方向に本質的に第1エッジの全長に沿って延在し、第1パネル2の第1エッジ81から距離をおいて前端部87で終了する。ダボ91は、第1パネル2の前エッジ81から距離をおいて位置付けられうる。ダボ91は、エッジ舌部22の前端部87と第1パネル2の前エッジ81との間に位置付けられうる。
【0043】
図7A図7Cは、それぞれ、底面図、側面図、及び3D図における第2パネルの実施形態を示す。エッジ溝21は、本質的に第2エッジの全長に沿って第2エッジの長手方向に延在してもよく、第2パネル4の前エッジ82から距離をおいて前端部88で終了してもよい。ダボ溝92は、第2パネル4の前エッジ82から距離をおいて位置付けられてもよい。ダボ溝92は、エッジ溝21の前端部88と第2パネル4の前エッジ82との間に位置付けられてもよい。
【0044】
図8は、機械的ロック装置の実施形態と一緒にロックされた第1パネル及び第2パネルの実施形態を示し、図9及び10は、可撓性舌部30のない、組み立て前の第1パネル及び第2パネルの実施形態のコーナー部分の拡大を示す。
【0045】
図6図8に示される実施形態は、第1主平面を有する第1パネルと、第2主平面を有する第2パネルとを含み、第1パネル及び第2パネルは、第1パネル2の第1エッジを接合面Jで第2パネル4の第2エッジにロックするように構成される機械的ロック装置を含む。第1主平面は本質的に第2主平面に垂直であり、接合面は第1主平面と第2主平面との間に延在する。機械的ロック装置は、第1エッジで接合面Jから延びるエッジ舌部22を含み、第2エッジで接合面においてエッジ溝21を含む。エッジ舌部は、第1主平面に垂直である第1方向D1に第1エッジ及び第2エッジを一緒にロックするためにエッジ溝と協働するように構成される。
【0046】
図9は機械的ロック装置の実施形態を示し、当該機械的ロック装置の実施形態は、第1エッジにおけるダボ91と、第2エッジにおけるダボ溝92とを備え、ダボ91はダボ溝92と協働するように構成される。ダボ91の中心線97は、第1パネル2の外側コーナー95から第1方向に第1の距離93に位置付けられる。ダボ溝92は、第2パネル4の外側コーナー96から第1方向に第2の距離94に位置付けられ、第2の距離94は第1の距離93よりも大きい。
【0047】
第2の距離94と第1の距離93との間の差は、約0.1mm~約0.5mmの範囲内であってもよいし、又は約0.3mmである。
【0048】
図10は機械的ロック装置の実施形態を示し、当該機械的ロック装置の実施形態は第1エッジにおけるダボ91と、第2エッジにおけるダボ溝92とを備える。ダボ91の外面105は、ダボ溝92の外面106と協働するように構成される。ダボ91の外面105は、第1パネル2の外側コーナー95から第1方向に第3の距離107に位置付けられる。ダボ溝92の外面106は、第2パネル4の外側コーナー96から第1方向に第4の距離108に位置付けられ、第4の距離108は第3の距離107よりも大きい。
【0049】
ダボ91の外面105は、第1パネル2の外面61と平行であってもよい。
【0050】
ダボ91の外面105は、第1方向において、第1パネル2の外側コーナー95に最も近いダボの表面であってもよい。
【0051】
ダボ溝92の外面106は、第2パネル4の外面63に垂直であってもよい。
【0052】
ダボ溝92の外面106は、第1方向において、第2パネル4の外側コーナー96に最も近いダボ溝の表面であってもよい。
【0053】
第4の距離108と第3の距離107との間の差は、約0.1mm~約0.5mmの範囲内であってもよいし、又は約0.3mmである。
【0054】
ダボ91は、第1エッジで別のダボ溝99に取り付けられてもよい。
【0055】
第1パネル2及び第2パネル4が組み立てられて機械的ロック装置と一緒にロックされる前に、ダボは第2エッジでダボ溝92に取り付けられてもよい。したがって、この実施形態において、ダボは、組み立て中に、第1エッジで、前記別のダボ溝99に挿入される。
【0056】
ダボ91は円筒形形状であってもよい。直径は、約5mm~約8mmの範囲であってもよい。
【0057】
ダボ溝92及び/又は前記別のダボ溝99は、ドリル穴又は閉止されたドリル穴などの本質的に円筒形形状であってもよい。直径は、約5mm~約8mmの範囲であってもよい。
【0058】
ダボ91は、木材ベース材料、ポリマー材料のうちの1つ又は複数から作られてもよく、好ましくはガラス繊維又は金属などの補強材を有する。
【0059】
エッジ舌部22は、第1パネルのコア材料で及び/又は少なくとも部分的に第1パネルの表面層において、形成されてもよい。エッジ溝21は、第2パネルのコア材料で及び/又は少なくとも部分的に第2パネルの表面層において、形成されてもよい。エッジ舌部22は、第1パネルのコア材料とは別の材料で形成されてもよい。エッジ溝21は、第2パネルのコア材料とは別の材料で形成されてもよい。
【0060】
エッジ舌部22は舌部溝10を含んでいてもよく、エッジ溝21は可撓性舌部30を含んでいてもよく、当該可撓性舌部30は好ましくは挿入溝20に配置され、前記可撓性舌部は、第2主平面に垂直である第2方向D2へ第1エッジ及び第2エッジを一緒にロックするために舌部溝10と協働するように構成される。
【0061】
接合面と第1主平面との間の角度は約45°であってもよい。
【0062】
エッジ舌部22は、接合面から、本質的に第2方向に延びてもよい。
【0063】
エッジ舌部22は、本質的に第1エッジの全長に沿って第1エッジの長手方向に延在してもよく、第1パネル2の前エッジ81から距離をおいて終了する。
【0064】
ダボ91は、第1パネル2の前エッジ81とエッジ舌部22との間に位置付けられてもよい。
【0065】
エッジ溝21は、本質的に第2エッジの全長に沿って第2エッジの長手方向に延在してもよく、第2パネル4の前エッジ82から距離をおいて終了する。
【0066】
可撓性舌部30は、挿入溝において変位可能であってもよい。
【0067】
ロック装置は、好ましくは、ツールが舌部溝内に挿入されて挿入溝内に押し戻される場合に、可撓性舌部30が舌部溝10から出るように、構成される。
【0068】
挿入溝20は、第2主平面に平行であるか又は第2主平面に対して鋭角75を成してもよく、その結果、挿入溝20の底部は、エッジ溝への挿入溝の開口部よりも、第2パネルの内面62からより大きな距離をおいてある。
【0069】
ロック装置は、舌部溝の開口部においてベベル又は丸みを有していてもよい。これは、可撓性舌部が動かなくなるのを分解中にベベル又は丸みが防ぎうるため、分解を容易にしうる。
【0070】
上記のパネルのセットは、フレームのコーナーなどの組み立てられた家具製品の一部であってもよい。舌部溝10は、家具の裏側で開いていてもよく、それによってツールを舌部溝内に挿入して、可撓性舌部30を挿入溝20内に押し戻してロック装置のロックを解除することができる。
【0071】
第1パネル及び第2パネルのコア材料は、HDF、MDF、合板、無垢材又はパーティクルボードなどの木材繊維ベースのボード、又は強化プラスチックボード、又は木質繊維複合ボードを含みうる。コアには装飾層が設けられてもよい。ロック装置の部品は、第1パネル及び第2パネルの材料で形成されてもよく、好ましくはフライス加工などの機械的切断によって形成されてもよい。
【0072】
挿入溝20において変位可能である可撓性舌部30の実施形態が、図4A図4Dに示されている。図4A図4Bは、ロックされた位置での可撓性舌部30を示し、図4C図4Dは、第1パネル2及び第2パネル4の組み立て中の可撓性舌部30を示す。図4Bは、図4Aにおける可撓性舌部30の断面を示す。図4Dは、図4Cにおける可撓性舌部30の断面を示す。可撓性舌部30は、曲げ可能な突出部分24を備える。可撓性舌部30と挿入溝20の底壁との間に空間23が設けられている。図4Cは、第1パネル2の第2パネル4と一緒の組み立て中に、可撓性舌部30が挿入溝20内に、挿入溝20の底壁に向かって押し込まれることを示す。第1パネル2及び第2パネル4がロック位置に達すると、可撓性舌部30はその初期位置に向かって跳ね返る。窪み25は、好ましくは、曲げ可能な突出部分の各々に配置される。
【0073】
可撓性舌部30は、挿入溝20の第3変位面28及び第4変位ロック面29のそれぞれに沿って変位するように構成された第1変位面26及び反対側の第2変位面27を有しうる。
【0074】
突出する曲げ可能部分24を有さない、可撓性舌部30の代替の実施形態が、図4E図4Fに示されている。図4Fは、図4Eに示される可撓性舌部30の断面を示す。その代替の実施形態は、図4A図4Dに示される実施形態と同じ機能を達成するために、その長さ方向に曲げることができる。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図8
図9
図10