(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-03
(45)【発行日】2023-02-13
(54)【発明の名称】タイヤにインサートを挿入する方法
(51)【国際特許分類】
B60C 11/14 20060101AFI20230206BHJP
B60C 11/16 20060101ALI20230206BHJP
【FI】
B60C11/14 Z
B60C11/16 E
(21)【出願番号】P 2020567859
(86)(22)【出願日】2019-06-05
(86)【国際出願番号】 FI2019050432
(87)【国際公開番号】W WO2019234301
(87)【国際公開日】2019-12-12
【審査請求日】2021-04-30
(32)【優先日】2018-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】518397881
【氏名又は名称】ノキアン レンカート オーイーユィ
(74)【代理人】
【識別番号】100087745
【氏名又は名称】清水 善廣
(74)【代理人】
【識別番号】100160314
【氏名又は名称】西村 公芳
(74)【代理人】
【識別番号】100134038
【氏名又は名称】野田 薫央
(74)【代理人】
【識別番号】100150968
【氏名又は名称】小松 悠有子
(72)【発明者】
【氏名】エスコ クッコネン
(72)【発明者】
【氏名】ヤリ オヤラ
(72)【発明者】
【氏名】テーム ソイニ
(72)【発明者】
【氏名】アッテ アンティカイネン
(72)【発明者】
【氏名】ヤニ ライサネン
【審査官】増永 淳司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/070378(WO,A1)
【文献】実開昭62-149403(JP,U)
【文献】特開2014-118146(JP,A)
【文献】米国特許第03504414(US,A)
【文献】米国特許第02865054(US,A)
【文献】韓国登録特許第10-1843141(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 11/00-11/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ(100)のトレッド(120)にインサート(200)を挿入する方法であって、
前記インサート(200)と、
前記タイヤ(100)の前記トレッド(120)を形成するトレッドブロック(110)を備える前記タイヤ(100)と、
を利用可能に配置することを含み、
前記インサート(200)は、
前記インサート(200)の底面(202)から前記インサート(200)の上面(204)まで長手方向(z200)に延び、
前記底面(202)からの第1の長手方向位置(r1)における第1の断面(A1)と、前記底面(202)からの第2の長手方向位置(r2)における第2の断面(A2)とを有し、前記第1の長手方向位置(r1)は、前記第2の長手方向位置(r2)よりも前記上面(204)の近くに位置し、前記第2の断面(A2)は、前記第1の断面(A1)より大きく、
前記トレッドブロック(110)にブラインドホール(112)が設けられており、
前記方法はさらに、
前記インサート(200)の少なくとも一部を、
前記第1の断面(A1)を有する前記インサート(200)の少なくともその一部を受容し、
前記長手方向(z200)および/または前記長手方向(z200)に直交する横方向に前記第2の断面(A2)を有する前記インサート(200)の少なくとも一部を支持する
ように構成されるスリーブ(550)内に配置することと、
前記インサート(200)の前記底面(202)が前記インサート(200)の前記上面(204)よりも前記ブラインドホール(112)内に深く挿入されるように、前記インサート(200)を前記ブラインドホール(112)に挿入することと、
を含み、
前記スリーブ(550)の一部は、前記第1の長手方向位置(r1)と前記第2の長手方向位置(r2)との間に残された前記インサート(200)の該一部と幾何学的に整合し、
前記スリーブ(550)は、少なくとも前記インサート(200)を前記ブラインドホール(112)に挿入中に保護し、
前記インサート(200)を前記ブラインドホール(112)に挿入した後、前記インサート(200)が前記ブラインドホール(112)内の前記インサート(200)の取り付け位置に残ったまま、前記スリーブ(550)を前記ブラインドホール(112)から取りはずし可能である、方法。
【請求項2】
前記ブラインドホール(112)は、第1の深さ(del)における第1の断面(C1)と、第2の深さ(de2)における第2の断面(C2)とを有し、前記第2の断面(C2)は、前記第1の断面(C1)よりも大きく、前記第2の深さ(de2)は、前記第1の深さ(del)より大きい、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記インサート(200)の少なくとも一部が前記スリーブ(550)内に配置されているとき、前記スリーブ(550)は、前記インサート(200)の前記長手方向(z200)に、少なくとも前記インサートの前記上面(204)まで延びる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記インサート(200)の少なくとも一部が前記スリーブ(550)内に配置されているとき、前記スリーブ(550)は、前記インサートの前記長手方向(z200)に、前記インサートの前記上面(204)を超えて延びる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記スリーブ(550)は、前記インサート(200)を受容するための第1の開口部(560)を制限し、前記第1の開口部(560)は、第3の断面(A3)を有し、
前記第3の断面(A3)は、少なくとも前記第2の断面(A2)と同じ大きさである、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記スリーブ(550)が前記インサート(200)を横方向に取り囲むように、前記インサート(200)を前記スリーブ(550)の中に配置することを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記スリーブ(550)は、前記インサート(200)の一部を受容するための第1の開口部(560)を制限し、前記第1の開口部(560)は、第3の断面(A3)を有し、
前記第3の断面(A3)は、前記第2の断面(A2)よりも小さく、
前記方法は、
前記インサート(200)の一部を、前記スリーブ(550)が前記第2の断面(A2)を有する前記インサート(200)の該一部を横方向に取り囲まないように、前記スリーブ(550)内に配置することを含む、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記インサート(200)は、フランジ(207)を備え、
前記スリーブ(550)は、前記インサート(200)が前記ブラインドホール(112)に挿入されたときに、少なくとも前記フランジ(207)を支持するように構成される、請求項1から7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記インサート(200)の少なくとも一部は、前記スリーブ(550)の壁(555)が前記インサート(200)の少なくとも一部を横方向に取り囲み、前記スリーブ(550)の前記壁(555)の厚さ(t
555)が少なくとも0.3mmとなるように、前記スリーブ(550)内に配置されることを含む、請求項1から8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記スリーブ(550)は、
前記スリーブ(550)の第1の端部で前記インサート(200)の少なくとも一部を受容するための第1の開口部(560)と、
前記スリーブ(550)の第2の、反対側の端部で第2の開口部(570)と、を制限し、
前記第1の開口部(560)は、前記第2の開口部(570)まで延びる空洞部(565)を画定する、請求項1から9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記空洞部(565)は、前記第2の開口部(570)に向かってテーパ状である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記スリーブの前記第2の開口部(570)を通して前記インサート(200)に引っ張り力を加えることによって、前記インサート(200)の少なくとも一部を前記スリーブ(550)に配置することを含む、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
吸引を利用して前記インサート(200)に引っ張り力を加えることを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記スリーブ(550)は、前記インサート(200)を前記ブラインドホール(112)に挿入するために使用されるパンチ(512)の一体的な部分であり、
前記方法は、
前記インサート(200)を前記スリーブとともに前記ブラインドホール(112)に挿入した後、前記スリーブ(550)を前記ブラインドホール(112)から取り外すことを含む、請求項10から13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記インサート(200)は、加圧ガスおよび/またはロッド(514)を用いて前記スリーブ(550)から排出される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記トレッドブロックの材料は、23℃の温度で50ShAから80ShAのショア硬度を有し、
前記方法は、
前記インサート(200)を前記ブラインドホール(112)に挿入しながら、前記第1の断面(C1)を有する前記ブラインドホール(112)の少なくとも前記一部を横方向に伸張させることを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項17】
少なくとも3つのジョー(502、504)を使用して、前記第1の断面(C1)を有する前記ブラインドホール(112)の少なくとも前記一部を横方向に伸張させることを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記インサート(200)は、一次容量性コンポーネント(210)および一次誘導性コンポーネント(220)を含む、請求項1から17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記インサート(200)は、前記タイヤ(100)の摩耗の状態を測定するように構成される、請求項1から18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
前記インサート(200)は、湿度や摩擦を含む環境パラメータを測定するように構成される、請求項1から19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
前記インサート(200)は、前記環境パラメータを測定するためのセンサ(240)を備える、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記インサート(200)は、前記タイヤ(100)の摩耗の状態を示すように構成される、請求項1から21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
前記インサート(200)は、前記タイヤ(100)の摩擦を改善するように構成される、請求項1から22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
前記インサート(200)は、硬質金属ピン(230)を備える、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記インサート(200)は、前記インサート(200)の本体に可動的に接続された支持フランジ(235)を備える、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
少なくとも前記インサート(200)の底面(202)と前記ブラインドホール(112)の底面(112a)との間に接着剤(114)を塗布することを含む、請求項1から25のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
前記スリーブ(550)および/または前記ブラインドホール(112)に摩擦低減物質を塗布することを含む、請求項1から26のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
前記タイヤ
(100)のトレッドブロック
(110)に前記ブラインドホール(112)を作ることを含む、請求項1から27のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
前記タイヤ(100)のトレッドブロック(110)に前記ブラインドホール(112)を機械加工し、このタイヤ
(100)は組立式である、請求項28に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示された解決手段は、タイヤ、特にインサートを含む組立タイヤに関する。特に、開示された解決手段は、そのようなタイヤにインサートを挿入するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スタッドのようなインサートは、いわゆる「スタッドガン」に基づくもののようなロボット化または自動化された手段を用いてタイヤに挿入され得ることが知られている。このような公知の方法では、インサートがその挿入中に顕著な衝撃を受容することに加えて、インサートをその設置穴に挿入する前および挿入中に、インサートをしっかりと把持する必要がある。
【0003】
このような手段は、インサートに顕著なグリップおよび/または衝撃力を与え、インサートに表面および/または構造的な損傷を生じさせる危険性を生じさせる。
【0004】
特に「スマート」タイヤ用のインサートの場合、このような損傷の危険性が特に顕著である。これは、「スマート」タイヤで典型的に必要とされるインサートは、通常、電子部品を含むか、あるいは、スタッド付きタイヤで一般的に使用される金属および/またはセラミック系の摩擦増加インサートよりも脆弱であるからである。
【0005】
このような「スマート」タイヤは、摩耗、摩擦、水分、加速度の測定などの可変の機能性を有する様々なインサートを備えてもよいし、タイヤの形状、寸法、タイヤ内の位置などを測定してもよい。
【0006】
開示された解決手段の目的は、インサートを挿入すること、特に、電子部品を構成する、あるいは、特に脆弱なインサートに関連する上述の問題に対処し、これを緩和することである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
開示された解決手段の目的は、インサート(特に電子部品を含むもののような、脆弱なインサート)が、その挿入中にグリップおよび衝撃力に抗して保護され得るような、タイヤへのインサートの挿入方法を提示することである。
【0008】
開示された解決手段は、インサートが、タイヤへの設置時および設置中に、少なくとも部分的にスリーブ内に収容されることを前提としている。このように、スリーブは、タイヤへのインサートの挿入中に、グリップおよび/または衝撃力に対するインサートの保護を提供するために採用されてもよい。
【0009】
具体的には、開示された解決手段は、タイヤのトレッドにインサートを挿入する方法を含む。本方法によれば、最初にインサートと、タイヤのトレッドを形成するトレッドブロックを含むタイヤが利用可能に配置されている。そこでは、インサートは、インサートの底面からインサートの上面に向かって長手方向に延び、底面から第1の長手方向位置での第1の断面と、底面から第2の長手方向位置での第2の断面とを有し、第1の長手方向位置は、第2の長手方向位置よりも上面により近くに位置し、第2の断面は、第1の断面より大きい。また、そこには、トレッドブロックにブラインドホールが設けられている。一実施例では、ブラインドホールは、第1の深さにおける第1の断面と、第2の深さにおける第2の断面とを有し、第2の断面は第1の断面よりも大きく、第2の深さは第1の深さより大きい。本方法によれば、その後、インサートの少なくとも一部が、第1の断面を有するインサートの少なくともその部分を受容し、長手方向および/または長手方向に直交する横方向に第2の断面を有するインサートの少なくともその部分を支持するように構成されたスリーブ内に配置される。そして、インサートは、インサートの底面がインサートの上面よりもブラインドホール内に深く挿入されるように、ブラインドホールに配置される。
【0010】
開示された解決手段によれば、スリーブに対するインサートの保護フィットを提供するために、好ましくは、スリーブの一部がインサートの一部と幾何学的に整合しており、より好ましくは、スリーブの一部が、第1の長手方向位置と第2の長手方向位置との間に残されたインサートのそのような部分と幾何学的に整合している。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1b】ブラインドホールにインサートを構成したタイヤを示す半断面図である。
【
図1c】ブラインドホール内のインサートを含むタイヤと送信機を示す半断面図である。
【
図3a】タイヤのトレッドブロックに設けられたブラインドホールを断面的に側面から見た図である。
【
図3b】タイヤのトレッドブロックに、その壁にマーキングを含むブラインドホールを断面的に側面から見た図である。
【
図4a】実施例によるブラインドホール内のインサートを断面的に側面から見た図である。
【
図4b】実施例によるブラインドホール内のインサートを断面的に側面から見た図である。
【
図4c】実施例によるブラインドホール内のインサートを断面的に側面から見た図である。
【
図5a】一実施例によるインサートを断面的に側面から見た図である。
【
図5b】実施例によるブラインドホール内のインサートを断面的に側面から見た図である。
【
図6a】突起を含むドリルビットでブラインドホールをタイヤのトレッドブロックに機械加工する段階が順次進行していく様子を、断面的に側面から見た図である。
【
図6b】突起を含むドリルビットでブラインドホールをタイヤのトレッドブロックに機械加工する段階が順次進行していく様子を、断面的に側面から見た図である。
【
図6c】突起を含むドリルビットでブラインドホールをタイヤのトレッドブロックに機械加工する段階が順次進行していく様子を、断面的に側面から見た図である。
【
図7a】半径方向拡張部を含むドリルビットでブラインドホールをタイヤのトレッドブロックに機械加工する段階が順次進行していく様子を断面的に側面から見た図である。
【
図7b】半径方向拡張部を含むドリルビットでブラインドホールをタイヤのトレッドブロックに機械加工する段階が順次進行していく様子を断面的に側面から見た図である。
【
図7c】半径方向拡張部を含むドリルビットでブラインドホールをタイヤのトレッドブロックに機械加工する段階が順次進行していく様子を断面的に側面から見た図である。
【
図8a】様々な角度で使用されるドリルビットでブラインドホールをタイヤのトレッドブロックに機械加工する段階が順次進行していく様子を断面的に側面から見た図である。
【
図8b】様々な角度で使用されるドリルビットでブラインドホールをタイヤのトレッドブロックに機械加工する段階が順次進行していく様子を断面的に側面から見た図である。
【
図8c】様々な角度で使用されるドリルビットでブラインドホールをタイヤのトレッドブロックに機械加工する段階が順次進行していく様子を断面的に側面から見た図である。
【
図9】一実施例によるドリルビットを示す図である。
【
図10a】スリーブ付きインサートを断面的に側面から見た図である。
【
図10b】スリーブ付きインサートを上から見た図である。
【
図10c1】フランジを含むインサートを上から見た図である。
【
図10d1】フランジを含むインサートを上から見た図である。
【
図10e1】フランジを含むインサートを上から見た図である。
【
図11a】実施例によるスリーブを断面的に側面から見た図である。
【
図11b】実施例によるスリーブを断面的に側面から見た図である。
【
図12a】一実施例による、スリーブを構成するインサートとパンチを断面的に側面から見た図である。
【
図12b】一実施例による、スリーブ内にインサートを有するスリーブを含むパンチを、断面的に側面から見た図である。
【
図12c】一実施例による、ロッドを有するスリーブからのインサートを排出する様子を示す。
【
図13a】一実施例による、スリーブを構成するインサートとパンチを断面的に側面から見た図である。
【
図13b】一実施例による、スリーブ内にインサートを有するスリーブを含むパンチを、断面的に側面から見た図である。
【
図13c】一実施例による、ロッドを有するスリーブからインサートを排出する様子を示す。
【
図14】ブラインドホールにおいて、スリーブ内のインサートを断面的に側面から見た図である。
【
図15a】スリーブが取り付けられたインサートがブラインドホール内に残るように、スリーブをブラインドホールから取り外す段階が順次進行していく様子を断面的に側面から見た図である。
【
図15b】スリーブが取り付けられたインサートがブラインドホール内に残るように、スリーブをブラインドホールから取り外す段階が順次進行していく様子を断面的に側面から見た図である。
【
図16a】インサートを工具でブラインドホールに挿入する段階が順次進行していく様子を、断面的に側面から見た図である。
【
図16b】インサートを工具でブラインドホールに挿入する段階が順次進行していく様子を、断面的に側面から見た図である。
【
図16c】工具を用いてブラインドホールにインサートを挿入する様子を断面的に側面から見た図である。
【
図16d】
図16cのインサート付き工具の一端をクローズアップして断面的に側面から見た図である。
【
図16e】代替例による、インサートを有する
図16dの工具を、断面的に側面から見た図である。
【
図17】トレッドと補強ベルトとの間の距離を決定する様子を断面的に側面から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図は、開示された解決手段の一般的な原理を説明することを意図したものである。したがって、図中の描写は、必ずしも同じ縮尺ではなく、また、システム構成要素の正確なレイアウトを示唆するものではない。
【0013】
図1aを参照する。開示された解決手段は、タイヤ100に関する。該タイヤ100は、空気圧式および/または組立(プレハブ)式であってもよい。
【0014】
用語の明確化として、また、当業者によって容易に理解されるように、組立(プレハブ)タイヤ100は、製造された、すなわち作製されたタイヤ100を意味し、以下に説明するような追加の装飾品を必要とせずに、既にそのように使用することができるものである。該組立タイヤ100は、例えば、加硫タイヤ100であってもよいが、別の方法での組立式であってもよい。
【0015】
該100タイヤは、例えば、乗用車や二輪車などの乗用車用のタイヤ100であってもよい。該タイヤ100は、例えば、トラック、キャタピラ、収穫機、フロントローダなどの重機用の、いわゆるヘビータイヤであってもよい。該タイヤ100は、冬用タイヤのような滑りやすい路面で使用するためのタイヤであってもよい。
【0016】
該タイヤ100は、典型的には、タイヤ100の通常の使用中に路面などの表面900と接触するトレッド120を備える。該トレッド120は、典型的には、複数のトレッドブロック110を備えるトレッドパターンを備える。そのようなトレッドブロック110は、典型的には、溝122によって囲まれている。
【0017】
トレッドブロック110の材料、または少なくとも以下に説明する内容に従ってインサート200が取り付けられるトレッドブロック110は、50ShAから80ShAのショア硬度を有してもよい。このような硬さは、例えば、ASTM規格D2240、バージョン15e1に従って測定することができる。一実施例によれば、トレッドブロック(複数のトレッドブロック)110は、23℃の温度でこのようなショア硬度を有する。
【0018】
周知のように、タイヤ100は、回転軸AXRを中心に回転してもよく、この場合、タイヤ100の構成部分には、半径方向SRに沿って外向きの遠心力が作用する。特定のタイプのタイヤ100に典型的であり、
図1b~1cに示すように、タイヤ100は、トレッド120とタイヤ100の内面130との間に配置された補強ベルト150を備えてもよい。
【0019】
開示された解決手段によれば、該タイヤ100は、インサート200を備えてもよい。そのようなインサート200は、例えば、冬タイヤで典型的なように、摩擦増加スタッドであってもよい。別の例として、該インサート200は、タイヤ100のトレッド120の摩耗などの関心のある尺度を感知するように構成されてもよい。さらに別の例として、該インサート200は、スタッドの上述した能力と、関心のある尺度を感知することとを組み合わせてもよい。
【0020】
これに対応して、開示された解決手段は、インサート200をタイヤ100のトレッド120、好ましくは組立タイヤ100のトレッド120に挿入するための方法を備える。
【0021】
タイヤ100は、1つ以上のインサート200を備えてもよい。このようなインサート200は、1つ以上の異なるタイプのものであってもよい。
【0022】
図2a~2iは、開示された解決手段に従ったインサート200の例を示す。
【0023】
図2aに示すように、インサート200は、例えば、送信機300との通信を可能にするために、一次容量性コンポーネント210および一次誘導性コンポーネント220を備えてもよい。
図2fに示すように、該インサート200は、フランジ207を備えてもよい。インサート200が、例えばトレッド120の摩耗を感知するように配置されている場合、インサート200がトレッド120に挿入された結果、一次容量性コンポーネント210がトレッド120とともに摩耗する可能性があるため、トレッド120の摩耗の感知は、容量性コンポーネント210の容量の摩耗に誘発される変化を前提としている可能性がある。よって、前述の観点から、インサート200は、タイヤ100の摩耗などの状態を測定するように構成されてもよい。
【0024】
図1cを参照して、タイヤ100が、関心のある尺度を感知するように構成されたインサート200を備える場合、タイヤ100は、インサート200と通信するように構成された送信機300を備えてもよい。該送信機300は、タイヤ100の内面130に取り付けられてもよい。該送信機300は、送信機300の機能性に電力を供給するための動力源330、好ましくは、電源330と、測定および外部装置(複数の外部装置)(図示せず)との通信を実行するための通信回路310を備えてもよい。典型的には、電源330は、化学エネルギーを電力に変換して電力を供給するように構成された電池である。代替的または追加的に、電源330は、圧電環境発電装置または摩擦電気環境発電装置のような環境発電装置を備えてもよく、これらの装置は、電池および/またはコンデンサをその要素の1つとして備えてもよい。
【0025】
インサート200と送信機300との間の通信の目的のために、インサート200は、例えば
図2aおよび2fに示すように、一次誘導性コンポーネント220および一次容量性コンポーネント210を備えてもよく、送信機300は、二次誘導性コンポーネント320を備えてもよい。このような場合、インサート200と送信機300との間の通信は、磁気エネルギーを電気に変換することが可能な一次誘導性コンポーネント220から発生する可能性があり、これが一次容量性コンポーネント210に一時的に蓄えられるようになる。そのような磁気エネルギーは、送信機300の二次誘導性コンポーネント320に由来してもよい。送信機300は、それによって、誘導性コンポーネント320を含む送信機300の構成要素および機能性にエネルギーを提供するために、電源330、例えば電池などのエネルギー源を備えてもよい。したがって、受動回路200と送信機300との間の相互作用は、一次誘導性コンポーネント220と二次誘導性コンポーネント320との相互インダクタンスを前提としていてもよい。すなわち、一次誘導性コンポーネント220と二次誘導性コンポーネント320とは、互いに電磁的に接続されていてもよい。
【0026】
図2bに示すように、インサート200は、表面900と接触するように構成されたインサート200のその端部に硬質金属ピン230を備えてもよい。このようにして硬質金属ピン230を備えたインサート200は、インサート200の他方の端部またはその端部に向かってフランジを備えてもよい。このように、インサート200は、タイヤ100の摩擦を改善するように構成されてもよい。
【0027】
図2cに示すように、硬質金属ピン230を備えるインサート200は、インサート200の本体に可動的に接続された支持フランジ235を備えてもよい。したがって、該支持フランジ235は、インサート200が支持フランジ235に対して相対的に移動することを可能にするように構成されてもよく、すなわち、ある程度移動できるが、支持フランジ235から離間することないように構成されてもよい。このような構成では、表面900に対する硬質金属ピン230の押圧力が制御可能に低減されてもよく、その結果、表面900の摩耗が低減されてもよい。
【0028】
インサート200は、タイヤ100の摩耗などの状態を示すように構成されてもよい。そのために、
図2dおよび2gに示すように、インサート200は、例えば、インサート200の垂直方向の寸法に沿って可変的に着色されてもよい。このような可変着色により、インサート200の色に基づいてインサート200の摩耗の程度を目視で観察することができる。
図2dおよび2gに示すように、そのような可変色インサート200は、その垂直断面で見て、円錐形状または二重円錐形状、または別の幾何学的形状を含み得る。
【0029】
インサート200は、湿度または摩擦などの環境パラメータを測定するように構成されてもよい。そのために、
図2eに示すように、インサート200は、その目的のためのセンサ240を備えてもよい。この場合、インサート200は、送信機300と通信するための一次誘導性コンポーネント220のような手段を備えてもよい。
【0030】
図2hおよび2iに示すように、インサート200は、より複雑な幾何学的形状を備えてもよく、その形状は、タイヤのトレッドブロック110内のブラインドホール112のようなタイヤのトレッドブロック110内のその取り付け位置にインサート200が滞留しやすくするように構成されてもよい。このようなより複雑な幾何学的形状の具体例として、
図2hに、2つのフランジの場合を図示するように、インサート200は、その垂直断面で見て、互いに垂直に離隔する2つ以上のフランジを備えてもよい。このようなより複雑な幾何学的形状の別の具体例として、インサート200は、
図2iに示すように、その垂直断面で見て、起伏のある側壁を備えてもよい。
【0031】
ここで、
図3aを参照して、開示された解決手段によれば、インサート200は、タイヤ100の、好ましくは組立タイヤ100のトレッドブロック110に挿入される。そのために、タイヤ100のトレッド120を形成するトレッドブロック110を備える利用可能なタイヤ100を配置(準備)し、利用可能なインサート200を配置(準備)した後、タイヤ100が該ブラインドホール112を既に備えていない場合には、タイヤのトレッドブロック110にブラインドホール112を機械加工してもよい。開示された解決手段によれば、インサート200は、ブラインドホール112に挿入されてもよい。
【0032】
なお、タイヤ100が空気入りタイヤ100である場合には、タイヤ100に該ブラインドホール112が既に設けられていない場合には、機械加工時にブラインドホール112に空気を入れてもよい。
【0033】
タイヤ100が既にこのようなブラインドホール112を備えていない場合には、例えば、穿孔によってトレッドブロック110に製造してもよい。ここで、穿孔とは、回転切削具で穴を開けることを指す。以下、該回転切削具をドリルビット400ともいう。
【0034】
引き続き
図3aを参照すると、該ブラインドホール112は、その底面112aからトレッドブロック110の開口部112bまで、長手方向z200で延びており、長手方向z200は、ブラインドホール112の位置でタイヤの半径方向SRと平行であるか、または最大で75度の角度αを形成している。
【0035】
一実施例によれば、ブラインドホール112は、回転中空、すなわち、回転中実の形状の中空空間である。この場合、長手方向z200を中心に回転する。
【0036】
引き続き
図3aを参照すると、底面112aと開口部112bとの間で、ブラインドホール112は壁(複数の壁)112cによって区切られている。一実施例によれば、壁(複数の壁)112cは、円筒状または本質的に円筒状のブラインドホール112を画定してもよい。別の実施例によれば、
図3aに見られるように、壁(複数の壁)112cは、その/それらの垂直方向の延在に関して非線形であってもよい。すなわち、本実施例によれば、ブラインドホール112は、第1の深さdelにおける第1の断面C1と、第2の深さde2における第2の断面C2とを有しており、それらの断面C1、C2は互いに異なっていてもよい。ブラインドホール112内でのインサート200の設置位置での滞留性を向上させる目的のために、特に、表面900に面していない端部に、またはその端部に向かってフランジ207を備えるインサート200の場合には、ブラインドホール112は、他方の深さよりも一方の深さの方が広くてもよい。例えば、ブラインドホール112は、第1の深さdelにおける第1の断面C1と、第2の深さde2における第2の断面C2とを有し、第2の断面C2は、第1の断面C1よりも大きく、第2の深さde2は、第1の深さdelより大きい場合がある。
【0037】
ここで、
図3bを参照すると、一実施例によれば、ブラインドホール112の壁(複数の壁)112cは、トレッドブロック110が作製された後、例えば加硫された後、ブラインドホール112がトレッドブロック110に機械加工されたことを示すマーキング113または複数のマーキング113を備えてもよい。このようなマーキング113またはマーキング(複数のマーキング)113は、ブラインドホール112の機械加工時に設けてもよく、すなわち、壁(複数の壁)112cがマーキング(複数のマーキング)113を備えるような方法でブラインドホール112を機械加工してもよい。事実上、マーキング(複数のマーキング)113は、タイヤ100の製作中に、ブラインドホール112が、例えば、金属棒ではなく、機械加工によって製造されたものであることを識別することが可能であることを意味する。そのようなマーキング(複数のマーキング)113は、例えば、ブラインドホール112が製造される道具に固有のまたは制御された結果としてもたらされる粗度によって構成されてもよい。
【0038】
そのようなマーキング(複数のマーキング)113は、ブラインドホール112とブラインドホール112に取り付けられたインサート200との間の摩擦をさらに増大させてもよく、および/または、
図5bに図示された例のように、接着剤114を使用すれば、ブラインドホール112とインサート200との間の接着力を増大することが可能なようにしてもよい。このように、接着剤114は、インサート200とトレッドブロック110との間に、ブラインドホール112内のその取り付け位置におけるインサート200の滞留性を向上させるために塗布されてもよい。例えば、接着剤114は、少なくともインサートの底面202とブラインドホール112の底面112aとの間に塗布してもよい。
【0039】
ここで、
図4aを参照すると、開示された解決手段によれば、インサート200は、インサート200の底面202からインサート200の上面204まで長手方向z200に延びている。さらに、インサート200は、その上面204と底面202との間に側壁205または側壁(複数の側壁)205を備える。またさらに、インサート200は、底面202からの第1の長手方向位置r1における第1の断面A1と、底面202からの第2の長手方向位置r2における第2の断面A2とを有し、第1の長手方向位置r1は、第2の長手方向位置r2よりも上面204の近くに位置し、第2の断面A2は、第1の断面A1より大きい。
【0040】
該インサートは、円筒形または本質的に円筒形のブラインドホール112に取り付けられてもよい。なお、ブラインドホール112の壁112cが典型的には弾性である。または、
図4aに示すように、ブラインドホール112の壁(複数の壁)112cがその/それらの垂直方向の進行に関して非線形であるブラインドホール112に取り付けられてもよい。
【0041】
一実施例によれば、好ましくは、ブラインドホール112が回転中空である場合、インサート200は回転中実である。
【0042】
それでもなお、好ましくは、インサート200およびインサート200を受容するブラインドホール112は、実質的に同じ幾何学的形状を有している。すなわち、好ましくは、トレッドブロック110のブラインドホール112は、ブラインドホール112の形状がインサート200と幾何学的に整合するようになっている。その結果、インサート200とブラインドホール112との間に均一でほとんど隙間がないため、ブラインドホール112内のその取り付け位置におけるインサート200の滞留性が改善され得る。インサート200およびブラインドホール112が実質的に同じ幾何学的形状である場合、ブラインドホール112は、その壁(複数の壁)112cおよびその底面202の材料構成によりブラインドホール112が伸張し、それにより体積が増加することを可能にするため、場合によっては、ブラインドホール112の体積の点でインサート200よりも小さくなることがあることが理解されよう。
【0043】
前述の内容と整合するように、インサート200は、インサート200の底面202がインサート200の上面204よりもブラインドホール112内に深く挿入されるように、ブラインドホール112内に挿入されてもよい。
【0044】
上述したように、インサート200は、フランジ207がインサート200の表面900に面していない端部に、またはそれに向かって存在するように、インサート200の他の部分よりも幅の広いフランジ207を備えてもよい。フランジ207は、インサート200の断面が最大となる平面上に存在するように、すなわち、最大断面Pmaxの平面上にインサート200の最大断面積Amaxが存在するように配置されてもよい。しかしながら、最大断面積Amaxは、
図4b~4cの実施例に図示するように特定のフランジ207に対応する必要はない。
【0045】
ここで、
図6a~6cを参照して、タイヤ100が上記に従ってブラインドホール112を備えていない場合、該ブラインドホール112は、ドリルビット400の長手方向に延びるシャフト410を備えるドリルビット400を使用して穿孔することによって、タイヤ100のトレッドブロック110に機械加工してもよい。さらに、該ドリルビット400は、シャフト410から半径方向に延びる、具体的には
図9に示すように、フランジ430のような突起420を備えてもよい。この場合、ドリルビット400の突起420を用いて、ブラインドホール112の第2の断面C2を形成してもよい。このように、
図6a~6cに順次示すように、突起420を備えるドリルビット400は、長手方向z200に沿ってトレッドブロック110内に貫通し、それによって第1の断面C1を形成し、その後、長手方向z200に直交して移動し、それによって突起420とともに第2の断面C2を形成してもよい。
【0046】
代替的または追加的に、
図7a~7cを参照すると、ブラインドホール112は、ドリルビット400の長手方向に延びるシャフト410を備えるドリルビット400を使用して穿孔することによって、タイヤ100のトレッドブロック110に機械加工してもよい。さらに、ドリルビット400のシャフト410の一部450は、使用中に半径方向に拡張するように構成されてもよい。この場合、シャフト410の半径方向拡張部450を用いて、ブラインドホール112の第2の断面C2を形成してもよい。すなわち、ブラインドホール112の断面C2は、ドリルビット400の拡径部で形成してもよい。このように、
図7a~7cに順次示されているように、半径方向拡張部450を含むドリルビット400は、半径方向拡張部450が非拡大状態にある状態で、長手方向z200に沿ってトレッドブロック110に貫通して、それによって第1の断面C1を形成し得る。その後、半径方向拡張部450は拡張され、これにより、拡張状態の拡張部450は、第2の断面C2を形成し得る。そして最後に、ドリルビット400は、半径方向拡張部450を非拡張状態にした状態で、形成されたブラインドホール112から引き抜かれ得る。
【0047】
代替的に、または追加的に、
図8a~8cを参照すると、シャフト410の長手方向をトレッド120の法線N1に対して様々な角度で配置することによって、ブラインドホール112の第2の断面C2が第1の断面C1よりも大きくなるように、シャフト410を備えるドリルビット400を使用して、タイヤ100のトレッドブロック110にブラインドホール112を穿孔することによって機械加工してもよい。このように、
図8a~8cに順次示されているように、ドリルビット400は、まず、長手方向z200に沿ってトレッドブロック110に貫通してもよく、その後、ドリルビット400は、ブラインドホール112の底面112aがその開口部112bよりも断面的に大きくなるような方法で、様々な角度に傾斜させてもよい。結果として得られるブラインドホール112は、形状的には回転中空であってもよい。
【0048】
ここで、
図10aおよび10bを参照するが、インサート200をブラインドホール112に挿入する前に、上述したことに従って、インサート200またはインサート200の少なくとも一部がスリーブ550内に配置される。
【0049】
インサート200またはインサート200の少なくとも一部をスリーブ550内に配置することにより、インサート200は、ブラインドホール112への挿入中に保護されてもよい。例えば、スリーブ550の使用は、ブラインドホール112への挿入中にインサート200の寸法および形状の完全性を保証することができる。したがって、インサート200は、スリーブ550とともにブラインドホールに挿入されてもよい。このような挿入の後、そして
図14および
図15a~15bに順次示されているように、スリーブ550は、インサート200がブラインドホール112内のその取り付け位置に残ったまま、ブラインドホール112から取り外してもよい。
【0050】
図11aおよび11bに示すように、該スリーブ550は、インサート200またはその少なくとも一部を受容するための第1の開口部560を制限する。該第1の開口部560は、
図11aおよび11bに示すように、スリーブ550の第1の端部に存在し、第3の断面A3を有する。さらに、該スリーブ550は、インサート200またはその少なくとも一部を収容するための空洞部565を備える。
【0051】
さらに、スリーブ550は、スリーブ550の第2の対向する端部に第2の開口部570を備えてもよい。この場合、第1の開口部560は、第2の開口部570まで延びる空洞部565を画定してもよい。このような場合、
図11a~11bの実施例によって示すように、空洞部565は、第2の開口部570に向かってテーパ状になってもよい。
【0052】
ここで、
図12a~12bおよび
図13a~13bを参照すると、開示された解決手段によれば、第1の断面A1を有するインサート200の少なくとも一部を受容するように構成され、長手方向z200および/または長手方向z200に直交する横方向に第2の断面A2を有するインサートの少なくとも一部を支持するように構成された該スリーブ550内に配置されてもよい。そうすることにより、スリーブ550は、インサート200がタイヤ100のブラインドホール112内に挿入される間、インサート200に対し支持および保護を提供することができる。
【0053】
より具体的には、
図13a~13bに示すように、スリーブ550およびインサート200は、スリーブ550がインサート200を受容するための第1の開口部560を制限し、第1の開口部560は、第3の断面A3を有するように構成されてもよい。そこでは、第3の断面A3は、少なくともインサート200の第2の断面A2と同じ大きさであってもよく、それにより、好ましくは、インサート200は、
図13a~13bに示すように、スリーブ550がインサート200を横方向に取り囲むようにスリーブ550内に配置されてもよい。このような場合、好ましくは、スリーブ550の外径は、スリーブ550内のインサート200をブラインドホール112に取り付ける際にスリーブ550を把持することが可能な把持工具のような横方向の力からインサート200を保護するために、インサート200の外径より大きい。
【0054】
したがって、引き続き
図13a~13bを参照すると、スリーブ550の第3の断面A3は、インサート200の第2の断面A2と少なくとも等しいように構成されてもよく、この場合、インサート200全体または実質的にインサート200の全体は、
図13bに示すように、スリーブ550の空洞部565内に収容されてもよい。このような場合、好ましくは、空洞部565の幾何学的形状は、空洞部565内に収容されるインサート200の幾何学的形状と実質的に一致する。
【0055】
代替的に、
図12a~12bに示すように、スリーブ550およびインサート200は、スリーブ550がインサートの一部を受容するための第1の開口部560を制限するように構成されてもよく、第1の開口部560は第3の断面A3を有する。そこでは、第3の断面A3は、インサート200の第2の断面A2よりも小さくてもよく、それにより、
図12a~12bに示すように、スリーブ550が第2の断面A2を有するインサート200の一部を横方向に取り囲まないように、インサート200の該一部をスリーブ550内に配置してもよい。このような場合、好ましくは、スリーブ550の外径は、スリーブ550内のブラインドホール112へのインサート200の取り付け中にスリーブ550を把持することが可能な把持工具のように、横方向の力からインサート200を保護するために、インサート200の外径よりも大きい。
【0056】
したがって、引き続き
図12a~12bを参照すると、スリーブ550の第3の断面A3は、
図12bに示すように、インサート200の第2の断面A2よりも小さいように構成されてもよく、この場合、インサート200の一部、例えばそのフランジ207は、スリーブ550の空洞部565の外側に残る。このような場合、好ましくは、空洞部565の幾何学的形状は、空洞部565内に収容されるインサート200の部分の幾何学的形状と実質的に一致する。
【0057】
図12a~12cおよび
図13a~13cの実施例に従って示すように、スリーブ550の一部がインサート200の一部と幾何学的に一致していることは、スリーブ550の上述の支持機能および保護機能にとって有利である。このように、スリーブ550の前記一部は、インサート200の前記一部をより均一に包んでもよく、したがって、インサート200をより良く支持し、保護することができる。具体的には、そしてここでまた
図4a~4cを参照するが、スリーブ550の一部は、第1の長手方向位置r1と第2の長手方向位置r2との間に残されたインサート200の該一部と幾何学的に整合している。
【0058】
さらに、インサート200の少なくとも一部がスリーブ550内に配置されたときに、インサート200の上端、すなわち上面204を保護するために、有利には、スリーブ550は、インサート200の長手方向z200内で少なくともインサート200の上面204まで、好ましくはインサート200の上面204を越えて延びている。
【0059】
図10a~10e2に示すように、インサート200はフランジ207を備えてもよく、この場合、スリーブ550は、インサート200がブラインドホール112に挿入されているときに、少なくともフランジ207を支持するように構成されてもよい。該支持部を有することにより、例えば、インサート200をブラインドホール112に挿入する際に、フランジ207が上方に傾くなどの変形を防止することができる。
【0060】
該端部に向かって、そして一実施例によれば、スリーブ550は、壁555を備えてもよく、この壁は、インサート200の少なくとも一部を横方向に取り囲むように構成してもよい。有利には、壁555は、金属、セラミック、ポリマー、または複合材料で形成されている。好ましくは、壁555の厚さt555は、少なくとも0.3mmである。このように、インサート200をタイヤ100のトレッド120に挿入する際に、インサート200の少なくとも一部は、スリーブ550の壁555がインサート200の少なくとも一部を横方向に取り囲み、スリーブ550の壁555の厚さt555が少なくとも0.3mmとなるように、スリーブ550内に配置されてもよい。
【0061】
換言すれば、
図10aおよび10bに示すように、インサート200がフランジ207を備える場合、スリーブ550の壁555は、インサート200のフランジ207を構成しないその部分を取り囲んでいてもよい。すなわち、フランジ207を差し引いたインサート200は、インサート200のブラインドホール112への取り付けの間、スリーブ550内に存在してもよい。このような場合、有利には、スリーブ550の壁555の厚さt
555は、インサート200のブラインドホール112への取り付けの間にフランジ207がスリーブ550から支持され得るように、フランジ207の外側への突起と一致する、もしくは、好ましくは超える。さらに、スリーブ550の断面形状は、
図10c1~2、10d1~2および10e1~2の実施例に従って示すように、可能なフランジ207も含めて、インサート200の断面形状に対応する。
【0062】
一実施例によれば、インサート200またはインサート200の少なくとも一部は、引っ張り力を加えることによってスリーブ550内に配置されてもよい。このような引っ張り力は、例えば吸引を利用することによって加えてもよい。この目的のために、スリーブ550は、導管(複数の導管)および/または、例えば
図11a~11bに示す第2の開口部570のような開口部(複数の開口部)を備えてもよい。一実施例によれば、該第2の開口部570を介して、吸引圧力が吸引圧力源(図示せず)からスリーブの空洞部565に搬送されてもよく、この空洞部565は、インサート200またはインサート200の少なくとも一部を収容するためのものである。
【0063】
ここで、
図16aおよび16bを参照するが、インサート200をブラインドホール112内に挿入している間に、第1の断面C1を有するブラインドホール112の少なくとも一部が横方向に伸張するように、スリーブ550内に配置されながらインサート200がブラインドホール112内に挿入されてもよい。すなわち、ブラインドホール112は、インサート200をブラインドホール112に挿入する前および挿入中に、より広く伸張されてもよく、それにより、スリーブ550内のインサート200のブラインドホール112への挿入がより容易になる。このような伸張を容易にするために、ブラインドホール112を備えるトレッドブロック110の材料は、23℃の温度で50ShAから80ShAのショア硬度を有してもよい。
【0064】
一実施例によれば、
図16bに示すように、少なくとも3つのジョー502、504を使用することによって、そのような後からの伸張が起きるようにしてもよい。このようなジョー502,504は、工具500の一部であってもよく、この工具500は、以下に説明するように、付加的な機能性を備えてもよい。
【0065】
開示された解決手段の別の利点として、そのような横方向の伸張は、スリーブ550を介して達成され、すなわち、インサート200が行う代わりに、スリーブ550がジョー502、504に抗して押すことにより、インサート200をジョーによる損傷から保護することができる。
【0066】
インサート200がブラインドホール112内に挿入された後、ジョー502、504(およびスリーブ550)がブラインドホール112から取り外されてもよく、それにより、トレッドブロック110が上述した内容に従ってインサート200を包み込むことが可能になる。
【0067】
任意のジョー502、503が、スリーブ550内のインサート200をブラインドホール112に挿入することに関連して採用されるかどうかにかかわらず、スリーブ550および/またはブラインドホール112に摩擦低減物質を適用することによって容易に挿入ができるようにしてもよい。そのような摩擦低減物質はまた、
図14および15a~15bに示すように、ブラインドホール112からのスリーブ550の取り外しを容易にしてもよい。
【0068】
可能性として、スリーブ550は、
図12a~12cおよび
図13a~13cに示すように、パンチ512と一体的な部分となるように配置してもよい。該パンチ512は、インサート200をブラインドホール112に挿入するために使用してもよい。
図16a~16eに示すように、該パンチ512は、インサート200をブラインドホール112内に挿入するために採用されるように構成された工具500の一部であってもよく、この工具500はまた、上述したジョー502、504を備えてもよい。
【0069】
スリーブ550がパンチ512の一体的な部分となるように配置されている場合、スリーブ550は、上述した内容と整合的に、
図13aおよび13bと整合的に
図16eに示すように、インサート200の実質的に全体を受容するように構成された、または
図12aおよび12bと整合するように
図16dに示すように、インサート200の一部を受容するように構成された、空洞部565を備えていてもよい。
【0070】
スリーブ550が、インサート200をブラインドホール112に挿入するために使用される、該パンチ512の一体的な部分である場合、スリーブ550は、インサート200をスリーブととともにブラインドホール112に挿入した後に、
図14および15a~15bに示されている内容に従って、ブラインドホール112から取り外されてもよい。その際、実施例に従って、そして
図12cおよび
図13cに示されている内容に従って、インサート200は、ロッド514を使用することによって、スリーブ550から排出されてもよく、またはそのように排出されやすくしてもよく、そのロッド514は、インサート200をスリーブ550から押し出してもよい。代替的または追加的に、加圧ガスを同様の排出目的で使用することができる。このように、ロッド514および/または加圧ガスのそのような使用の目的のために、スリーブ550は、
図11aおよび11bに示すように、第2の開口部570を備えていてもよい。
【0071】
別の言い方をすれば、インサート200をスリーブ550とともにブラインドホールに挿入後に、インサート200をスリーブ550から排出するために、例えば加圧ガスを用いてインサート200に押圧力を加えることによって、および/またはロッド514によってインサート200に押圧力を加えることによって、スリーブの第2の開口部570を介してインサート200に押圧力を加えることにより、スリーブ550はブラインドホール112から取り外され得る。
【0072】
図16a~16dに示すように、インサート200をタイヤ100に挿入するために使用するように構成された工具500は、ジョー502、504および/またはパンチ512、場合によってはスリーブ550を含む、および/または排出ロッド514および/または加圧ガスをベースとする排出機能を備えてもよい。
【0073】
上述したように、そしてここでは、
図17を参照するが、タイヤ100、例えば組立タイヤ100は、トレッド120とタイヤ100の内面130との間に補強ベルト150を備えてもよい。このような場合、また、タイヤ100がインサート200のためのブラインドホール112を既に構成していない場合には、タイヤのトレッドブロック110に機械加工されたブラインドホール112が貫通して補強ベルト150を損傷しないようにすることが好ましい。したがって、好ましくは、該ブラインドホール112を機械加工することは、トレッド120と補強ベルト150との間の距離d
150を決定することと、ブラインドホール112の深さd
112がトレッド120と補強ベルト150との間の距離d
150よりも小さくなるように、トレッドブロック110にそのようなブラインドホール112を機械加工することとを含む。すなわち、好ましくは、ブラインドホール112は、トレッド120から補強ベルト150まで延びるのではなく、トレッドブロック110の中により少ない深さまで延びるように機械加工される。
【0074】
さらなる可能性として、タイヤ100が補強ベルト150の上面にさらなる要素を備える場合、その要素は、好ましくは、それらにブラインドホール112を機械加工して損傷しないように、直前に説明した内容に従ってブラインドホール112を機械加工する際に、そのような要素の厚さを、考慮してもよい。すなわち、そのような場合、好ましくは、ブラインドホール112を機械加工することは、トレッド120と補強ベルト150との間の距離d150を決定することを含み、ブラインドホール112の深さd112が、トレッド120と補強ベルト150との間の距離d150に、ブラインドホール112で貫通しない他の要素の厚さを加えた値よりも小さくなるように、該ブラインドホール112をトレッドブロック110に機械加工することを含む。
【0075】
トレッド120と補強ベルト150との間の距離d150を決定することは、例えば、補強ベルト150が鋼などの強磁性体または常磁性体のような強磁性体または常磁性体材料を含むことを前提としてもよい。この場合、トレッド120と補強ベルト150との間の距離d150を決定することは、誘導位置センサ600を用いて達成されてもよい。該誘導位置センサ600は、強磁性体または常磁性体ターゲットまでの距離を感知するように構成されてもよい。
【符号の説明】
【0076】
100 タイヤ
110 タイヤのトレッドブロック
112 ブラインドホール
112a ブラインドホールの底面
112b ブラインドホールの開口部
112c ブラインドホールの壁
113 マーキング
114 接着剤
120 タイヤのトレッド
122 溝
130 タイヤの内面
150 補強ベルト
155 プライ
200 インサート
202 インサートの底面
204 インサートの上面
205 インサートの側面
207 インサートのフランジ
210 一次容量性コンポーネント
220 一次誘導性コンポーネント
230 硬質金属ピン
235 支持フランジ
240 センサ
300 送信機
310 通信回路
320 二次誘導性コンポーネント
330 電源
340 センサ
400 ドリルビット
410 ドリルビットのシャフト
420 ドリルビットの突起
430 ドリルビットのフランジ
450 ドリルビットシャフトの一部
500 工具
502 工具のジョー
504 工具のジョー
510 シリンダ
512 パンチ
514 ロッド
550 スリーブ
555 スリーブの壁
560 スリーブの第1開口部
565 スリーブの空洞部
570 スリーブの第2開口部
600 位置センサ
900 表面
α 角度
A1 インサートの第1の断面
A2 インサートの第2の断面
A3 スリーブの第1の断面
Amax インサートの最大断面積
AXR 軸方向
C1 ブラインドホールの第1の断面
C2 ブラインドホールの第2の断面、
d112 ブラインドホールの深さ
d150 トレッドと補強ベルトの間の距離
de1 ブラインドホールの第1の深さ
de2 ブラインドホールの第2の深さ
N1 トレッド法線
Pmax 最大断面
r1 インサート内の第1の長手方向位置、
r2 インサート内の第2の長手方向位置、
SR 半径方向
t555 スリーブ壁の厚さ
z200 長手方向