(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-03
(45)【発行日】2023-02-13
(54)【発明の名称】粉末容器を備える飲料ディスペンサ
(51)【国際特許分類】
A47J 31/40 20060101AFI20230206BHJP
【FI】
A47J31/40 101
A47J31/40 104
(21)【出願番号】P 2020573065
(86)(22)【出願日】2018-06-28
(86)【国際出願番号】 JP2018024715
(87)【国際公開番号】W WO2020003467
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2021-06-24
(73)【特許権者】
【識別番号】590002013
【氏名又は名称】ソシエテ・デ・プロデュイ・ネスレ・エス・アー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【氏名又は名称】戸津 洋介
(72)【発明者】
【氏名】益 啓
(72)【発明者】
【氏名】真木野 博規
(72)【発明者】
【氏名】熊木 昌伸
(72)【発明者】
【氏名】竹内 重雄
(72)【発明者】
【氏名】宮島 研二
(72)【発明者】
【氏名】岡島 渉
(72)【発明者】
【氏名】森 治敏
(72)【発明者】
【氏名】田島 賢治
【審査官】永安 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-43134(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/00 - 31/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料調製装置(10)であって、
主フレーム(8)と、
前側ドア(7)と、
水の供給部(9)と、
バルク飲料原材料を貯蔵及び分与するように構成されたいくつかの容器(311、321)であって、各容器は、原材料の放出口(312、322)を備え、前記容器は、第1の群(31)と第2の群(32)とに分かれている、いくつかの容器(311、321)と、
少なくとも1回分の分与量のバルク飲料原材料と水とを混合するように構成された1つの混合チャンバ(1)であって、前記第1の群及び前記第2の群の容器の下に配置されている1つの混合チャンバ(1)と、
分与量のバルク飲料原材料を前記容器の前記放出口から前記混合チャンバに案内するためのいくつかのシュート(41、42)と、
を備え、
各群の容器において、前記容器は、並んで整列されて列を形成しており、
前記混合チャンバ、前記第1の群の容器、及び前記シュートは、前記主フレームの内容積部の内側に配置されており、
前記第2の群(32)の容器は、トレー(11)上に保持されており、前記トレーは、動作位置とメンテナンス位置との間で移動可能であり、
前記動作位置では、前記第2の群の容器の前記放出口(322)が対応するシュート(42)に供給するように、前記トレー(11)が前記第2の群(32)の容器を前記
主フレームの前側に沿って保持し、
前記メンテナンス位置では、前記トレー(11)が前記第2の群(32)の容器を前記
主フレームの前記前側から離れるように保持し、かつ前記主フレームの前記内容積部(71)へのアクセスを解放する、
飲料調製装置。
【請求項2】
前記第2の群(32)の容器は、前記
主フレームの前記前側に配置されたシュート(42)を介して前記混合チャンバ(1)に供給し、前記第1の群(31)の容器は、前記
主フレームの後側に配置されたシュート(41)を介して前記混合チャンバに供給する、請求項1に記載の飲料調製装置。
【請求項3】
全ての前記シュート(41、42)は、水平に対して60°~90°に含まれる角度で方向付けられている、請求項1に記載の飲料調製装置。
【請求項4】
前記トレー(11)が前記動作位置にあるときに、前記第2の群の容器の前記放出口(322)は、前記
主フレームの前記内容積部の内側に延びている、請求項1~3のいずれか一項に記載の飲料調製装置。
【請求項5】
前記移動可能なトレー(11)は、底部プレート(111)を備え、前記底部プレートは、前記第2の群の
容器の前記放出口(322)の下に延び、かつ前記放出口を越えて水平に延びている、請求項1~4のいずれか一項に記載の飲料調製装置。
【請求項6】
前記底部プレート(111)は、前記トレー(11)が前記メンテナンス位置と前記動作位置との間で移動されるときに、上方へ傾斜するように構成されている、請求項5に記載の飲料調製装置。
【請求項7】
デフレクタ(43)は、前記底部プレートの縁部(111a)から離れ、バルク飲料原材料を前記底部プレート(111)に案内するために、前記第2の群の容器の前記シュートの前側に沿って横断方向に取り付けられている、請求項5又は6に記載の飲料調製装置。
【請求項8】
分与量のバルク飲料原材料を前記第2の群の容器から前記混合チャンバに案内するための前記シュート(42)において、前記シュートの底端部(422)は、前記
主フレームの前記内容積部の内側において、前記シュートの上端部(423)と比較して後方位置に配置されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の飲料調製装置。
【請求項9】
各群の容器について、前記容器の全ての前記シュートは、互いに取り付けられてシュートアセンブリを形成している、請求項1~8のいずれか一項に記載の飲料調製装置。
【請求項10】
前記第2の群の容器の前記シュートアセンブリは、前記第1の群の容器の前記シュートアセンブリに沿って、かつ前記第1の群の容器の前記シュートアセンブリの前において、前記
主フレームの内側に固定されている、請求項
9に記載の飲料調製装置。
【請求項11】
前記トレー(11)は、ヒータを備える、請求項1~10のいずれか一項に記載の飲料調製装置。
【請求項12】
前記動作位置において、前記ヒータは、前記第2の群の容器の前記シュート(42)に直接的に又は間接的に接触している、請求項11に記載の飲料調製装置。
【請求項13】
前記トレー(11)は、ヒンジ(112)によって前記
主フレームに取り付けられている、請求項1~12のいずれか一項に記載の飲料調製装置。
【請求項14】
前記装置は、砕かれた氷の供給部(2)を備え、前記
主フレーム(8)は、分与量の砕かれた氷を前記混合チャンバ(1)に案内するためのシュート(24)を備える、請求項1~13のいずれか一項に記載の飲料調製装置。
【請求項15】
前記砕かれた氷の供給部は、
氷の片を供給するためのホッパ(21)と、
前記氷の片のサイズを減少させるためのクラッシャ(22)と、
砕かれた氷を分与し、分与された砕かれた氷を前記混合チャンバ(1)に放出するためのユニット(23)と、
を備える、請求項14に記載の飲料調製装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、飲料原材料のいくつかのキャニスタを備え、混合チャンバ内に水とキャニスタからの分与量の飲料原材料とを送出することによって飲料を調製する、飲料ディスペンサに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]エスプレッソ及び他のコーヒー飲料、乳飲料、チョコレート飲料のような多くの飲料は、分与量の可溶性飲料粉末容器と希釈液とを混合チャンバ内で混合することによって調製される。飲料可溶性粉末を水などの希釈液と混合することによりそのような飲料をより迅速に調製するための混合チャンバが知られている。
【0003】
家庭外のマシンは、通常、同じマシンで異なる種類の飲料を大量に消費者に提供する。これらのマシンは、異なる種類の可溶性粉末(インスタントコーヒー、乳粉末、チョコレート粉末、インスタント茶、フルーツ粉末、...)を貯蔵するいくつかの容器と、いくつかの混合装置とを備える。通常、容器は、マシンの全幅に沿って並んで配置され、混合チャンバは、分与量の粉末を粉末シュートを介して重力によって落下させることによって受け入れるために、下に配置される。通常、相互汚染を回避するために、同様の製品専用の1つの混合チャンバを有することが好ましい。例えば、同じチャンバを使用してコーヒー及びカフェイン抜きのコーヒーを調製することができる。このチャンバは、インスタントコーヒー及びカフェイン抜きのインスタントコーヒーの容器の下かつその間に配置されて、容器からチャンバへ粉末を案内する2つのシュートから粉末を受け入れる。同じチャンバが、異なる飲料を調製するために、上に配置された異なる2つの容器及びシュートから粉末を受け入れることができる。結果として、混合チャンバの数は、容器の数より少ない。国際公開第2013/014142号は、そのようなタイプのマシンを例示している。
【0004】
[0003]いくつかのマシンでは、1つの単一混合チャンバのみを設けることができる。例えば、凍結飲料を調製する複雑なマシンの場合である。混合装置は、氷の片、水、及び異なる飲料原材料などの原材料を同時にブレンドするように構成されている。チャンバ自体は、通常の飲料混合チャンバよりも大きく、特定のブレードを備える。これらのマシンでは、いくつかのチャンバを保持するための場所が限定される。1つのチャンバのみが設けられ、マシンの構造は、任意の飲料原材料を任意の貯蔵容器からチャンバに放出することができるように構成されなければならない。相互汚染の問題は、飲料調製ごとに混合チャンバの効率的なすすぎを行うことによって解決される。しかしながら、1つの単一チャンバが設けられる場合、同じ混合チャンバの上のいくつかの容器から正確に粉末原材料を放出するという問題により、多種多様な飲料を提案することは困難になる。実際に、マシンがチャンバの上にいくつかの飲料原材料粉末を貯蔵することができる場合であっても、最も遠くの側部の容器から原材料粉末を送出することは、これらの容器のシュートが十分に傾斜していないため、問題を引き起こすことがある。飲料原材料粉末の流動性に依存して、粉末は、小さい傾斜角を呈するシュート内に捕捉されることがある。
【0005】
[0004]本発明の目的は、1つのみの混合チャンバがいくつかの粉末容器により供給を受ける場合の飲料調製マシンの通常の構造の問題に対処することである。
【発明の概要】
【0006】
[0005]本発明の第1の態様では、飲料調製装置であって、
主フレームと、
前側ドアと、
水の供給部と、
バルク飲料原材料を貯蔵及び分与するように構成されたいくつかの容器であって、各容器が、原材料放出口を備え、容器が、第1の群と第2の群とに分かれている、いくつかの容器と、
少なくとも1回分の分与量のバルク飲料原材料と水とを混合するように構成された1つの混合チャンバであって、第1の群及び第2の群の容器の下に配置されている1つの混合チャンバと、
分与量のバルク飲料原材料を容器の放出口から混合チャンバに案内するためのいくつかのシュートと、
を備え、
各群の容器において、容器が、並んで整列されて列を形成しており、
混合チャンバ、第1の群の容器、及びシュートが、主フレームの内容積部の内側に配置されており、
第2の群の容器が、トレー上に保持されており、トレーが、
第2の群の容器の放出口が対応するシュートに供給するように、トレーが第2の群の容器をフレームの前側に沿って保持する、動作位置と、
トレーが第2の群の容器をフレームの前側から離れるように保持し、かつ主フレームの内容積部へのアクセスを解放する、メンテナンス位置と、
の間で移動可能である、飲料調製装置が提供される。
【0007】
[0006]本装置は、飲料を調製するための異なる機能要素が以下に記載されるように配置されたフレームを備える。
【0008】
[0007]本装置は、バルク飲料原材料を貯蔵及び分与するためのいくつかの容器を備える。これらの容器は、通常、使い捨てではなく、再充填可能である。内部に貯蔵されたバルク飲料原材料は、一般的に、粉末、ペレット、又は顆粒である。飲料原材料は、好ましくは、インスタントコーヒー粉末、チョコレート粉末、ミルクフレーバー粉末、インスタント茶粉末、フルーツ粉末、又は可溶性フラッペベース粉末のような可溶性原材料である。
【0009】
容器は、貯蔵されたバルク飲料原材料をそこから分与するための手段を備える。この分与手段は、好ましくは、スクリューオーガ又はばねオーガのような、タンクの底部に配置された回転可能な定量分与手段である。このスクリューオーガ又はばねオーガは、通常、タンクの底部に沿って長手方向に延び、バルク飲料原材料をタンクの放出口に案内する。タンクの出口では、分与量のバルク飲料原材料は、重力によって落下する。
【0010】
このタイプの貯蔵及び分与キャニスタは、一般に、キャニスタと呼ばれる。
【0011】
[0008]装置は、容器の放出口から下に配置された混合チャンバの上部開口部に落下する分与量のバルク飲料原材料を案内するためのいくつかのシュートを備える。
【0012】
[0009]装置は、容器のうちの任意の1つから分与された少なくとも1回分の分与量のバルク飲料原材料と水とを混合するように構成された1つの混合チャンバを備える。このチャンバは、バルク原材料が重力によって落下するように容器の下に配置される。
【0013】
好ましくは、チャンバは、モータによって作動されるブレード又はホイッパなどの混合装置を備える。氷の片を用いて調製される凍結飲料の調製には、電動ブレードが特に必要である。
【0014】
混合チャンバは、装置の主フレームの内容積部の内側に保持される。
【0015】
[0010]装置は、分与量のバルク飲料原材料を容器の各放出口から混合チャンバに案内するためのいくつかのシュートを備える。通常、装置は、容器当たり1つのシュートを備え、シュートは、容器放出口から混合チャンバの上部まで延びる。
【0016】
シュートは、装置の主フレームの内容積部の内側に保持される。
【0017】
[0011]装置は、水、好ましくは温水を混合チャンバに供給する、水の供給部を備える。この水の供給部は、水ボイラと、ボイラを混合チャンバに接続するチューブとを備えることができる。ポンプ及びバルブは、水供給の特定の制御のために使用することができる。
【0018】
水の供給部は、装置のフレーム内に保持することができる、又は代わりに水の外部供給部を設けることができる。後者の場合、チューブは、この外部供給部を混合チャンバと接続する。
【0019】
[0012]バルク飲料原材料を貯蔵及び分与するように構成された容器は、第1の群と第2の群とに分かれている。容器のこれらの群のそれぞれにおいて、容器は、並んで整列され、したがって直線状の列又はラインを形成する。装置の動作状態では、容器の各列は、装置の側面間に延びる。
【0020】
第1の群の容器は、装置の主フレームの内容積部の内側に配置される。
【0021】
第2の群の容器は、移動可能なトレー上に保持される。トレーは、以下の2つの位置の間で移動することができる:
一方の動作位置において、装置は、飲料を注出することができる。トレーは、第2の群の容器の放出口がそれらの対応するシュートに供給し、原材料を混合チャンバに供給するように、第2の群の容器をフレームの前側に沿って保持する。第2の群の容器によって形成された列は、フレームの前側に沿って、かつ装置の側面間に延びる。
【0022】
他方のメンテナンス位置において、装置は、内部装置の洗浄及び容器の少なくとも第1の群の再充填などのメンテナンスのために開放される。ここで、操作者は、主フレームの内容積部内に配置された装置にアクセスする必要があり、トレーは、フレームのこの内容積部へのアクセスを解放するために、第2の群の容器をフレームの前側から離れるように保持する。
【0023】
[0013]結果として、トレー上に保持された第2の群の容器は、フレームの前側に配置されたシュートを介して混合チャンバに供給し、一方、フレーム内に保持された第1の群の容器は、フレームの後ろ側に配置されたシュートを介して混合チャンバに供給する(この第1の群は、現在の手法を再現している)。
【0024】
第2の群の容器は、通常実施されるものと比較して、容器及び原材料の供給源の数を増加させる。しかしながら、フレーム内の同じ列上に全ての容器を配置する通常の手法とは対照的に、容器の一部が装置の前方部分にあるため、容器の数は多いが、装置の幅は増大しない。
【0025】
加えて、第2の群の全ての追加の容器は、混合チャンバの上近くに配置されたままであり、これは、これらのシュートの角度が垂直に近いままであることを意味し、結果としてこれらのシュートは、効率的に粉末を放出することができる。
【0026】
[0014]上記の装置では、全てのシュートは、水平に対して60°~90°に含まれる角度で方向付けることができる。そのような角度は、バルク飲料原材料の性質にかかわらず、バルク飲料原材料を放出することができることを保証する。
【0027】
[0015]好ましい実施形態によれば、トレーが動作位置にあるときに、第2の群の容器の放出口は、主フレームの容積部の内側に延びる。
【0028】
したがって、第2の群の容器は、本質的に主フレームの内部空間の外側であるが、混合チャンバがこの内部空間の内側に配置されているため、通常、シュートの放出端部は、主フレーム内の混合チャンバの上部開口部の上に配置される。
【0029】
[0016]好ましくは、移動可能なトレーは、第2の群のキャニスタの放出口の下にかつ放出口を越えて延びる底部プレートを備える。このプレートは、第2の群の容器の放出口から落下する一部のバルク飲料原材料を受け入れるように構成されている。例えば、バルク原材料の別個の部分は、トレーの移動中、又は容器のうちの1つの再充填中にトレーが揺さぶられる場合、又はトレーがフレームに対して押されて、前側ドアが閉じられるときに、落下することがある。底部プレートが第2の群のキャニスタの放出口を越えて延びるため、トレーが動作位置にあるときに、プレートは、通常、フレームの空間内に配置される。
【0030】
通常、分与量のバルク飲料原材料を第2の群の容器から混合チャンバに案内するためのシュートにおいて、シュートの底端部は、フレームの内側において、シュートの上端部と比較して後方位置に配置される。これは、第2の群のキャニスタのシュートについて、上端部はハウジングの前側に近く、底端部はハウジングの内側により近いことを意味する。したがって、装置の前と後ろとの間に延びる垂直平面を考えたときに、これらのシュートは、その平面内で垂直に対して相対的に傾斜することができる。更に、シュートは、依然として水平に対して60°~90°に含まれている角度(α)だけ傾斜している。
【0031】
[0017]一実施形態では、この底部プレートは、水平であり、移動可能なトレーに固定されて取り付けられている。好ましくは、このプレートは、水平に延びている。
【0032】
[0018]別の実施形態では、トレーがメンテナンス位置と動作位置との間で移動されるときに、底部プレートは、上方へ傾斜するように構成されている。その結果、底部プレートは、飲料原材料がその上に落下する傾斜を作り出し、これにより、原材料がプレートの縁部から離れる方向に付勢され、装置の前側における汚れを制限する。
【0033】
この実施形態では、トレーがメンテナンス位置と動作位置との間で移動するときに、本質的に水平位置から傾斜位置へと移動し、自動的に戻るために、底部プレートにばね荷重をかけることができる。
【0034】
[0019]好ましくは、デフレクタを、底部プレートの縁部から離れ、一部のバルク飲料原材料を底部プレートに案内するために、第2の群の容器のシュートの前側に沿って横断方向に取り付けることができる。
【0035】
このデフレクタは、トレーの移動中に、一部の飲料原材料が、第2の群のキャニスタのシュートの外側に、次いで、シュートの前部に沿って底部プレートまで下方に、かつ底部プレートの縁部から近くに摺動することを回避する。リスクは、トレーがメンテナンス作業工程で移動されると、縁部から近くに積もる一部の飲料原材料が、底部プレートから容易に落下することである。デフレクタは、メンテナンス作業において汚れを生じさせるリスクが低い状態で、飲料原材料がプレートの縁部から離れて落下して積もることを保証する。加えて、操作者が底部プレートをスポンジで洗浄し、そこから飲料原材料を除去することが容易になる。
【0036】
[0020]一実施形態によれば、各群の容器について、容器の全てのシュートは、互いに取り付けられており、シュートアセンブリを形成している。好ましくは、シュートは、互いに横方向で並んで取り付けられる。
【0037】
結果として、いくつかのシュートは、混合チャンバの上部開口部の上に近接して配置することができる。
【0038】
[0021]一実施形態では、第2の群の容器のシュートアセンブリは、第1の群のシュートアセンブリに沿って、かつ第1の群のシュートアセンブリの前において、フレームの内側に固定される。ここでも、この実施形態は、混合チャンバの上部開口部の上のいくつかのシュートの位置の最適化を可能にする。
【0039】
[0022]トレーは、ヒータを備えることができる。このヒータは、原材料の分与領域内の水分の存在を回避し、かつ原材料がそこでケーキングするのを防止することを目的とする。ヒータは、放出領域の周囲の空気を加熱し、蒸気がこの領域に到達してそこで凝縮するのを防止する温度を維持する。最大60℃の温度での加熱は、求められている効果を得るのに十分である。
【0040】
好ましくは、ヒータは、第2の群の容器のシュートと直接又は間接的に接触している。
【0041】
ヒータは、熱伝導性材料で作製されたフレーム内に内蔵することができ、フレームの一部は、シュートと直接又は間接的に接触することができる。
【0042】
好ましくは、ヒータのフレームは、トレーが動作位置にあるときに、ヒータのフレームの一方の側面が第2の群の容器のシュートの表面と接触するように設計される。これらのシュートが第1の群の容器のシュートに取り付けられる場合、これらのシュートは、同時に間接的に加熱される。
【0043】
一実施形態では、ヒータのフレームにばね荷重を加えることができ、これによりトレーが動作位置にあるときに、フレームがシュートに対して付勢され、ばねがシュートの表面との接触を増強させる。好ましくは、操作者のなんらかの損傷を回避するために、ヒータは、扉が閉鎖されているときにのみオンに切り替えられる。
【0044】
[0023]通常、トレーは、少なくとも1つの垂直ヒンジによってフレームに取り付けられる。したがって、トレーの移動は、ヒンジの周りの回転である。
【0045】
垂直並進又は斜め上方並進を可能にするヒンジなどの、移動可能なトレーをフレームに取り付けるための任意の既知の代替方法を使用することができる。
【0046】
[0024]一実施形態では、装置は、砕かれた氷の供給部を備えることができ、フレームは、分与量の砕かれた氷を混合チャンバに案内するためのシュートを備える。
【0047】
この実施形態では、凍結飲料を調製することができる。凍結飲料は、温水、濃い食感(thick texture)を提供する少なくとも1つの可溶性飲料原材料、及び砕かれた氷の混合物をブレンドすることによって調製される。
【0048】
砕かれた氷の供給部は、
氷の片を供給するためのホッパと、
氷の片のサイズを減少させるためのクラッシャと、
砕かれた氷を分与し、分与された砕かれた氷を混合チャンバに放出するためのユニットと、
を備えることができる。
【0049】
アイスキューブ又はチップアイスなどの氷の片は、他の飲料調製用にレストラン及びコーヒーショップに通常既に存在する別個の供給源から製造することができる。通常、ホッパは、第1の分与量の氷の片を氷クラッシャに送出する手段を備える。この送出手段は、オーガのような定量分与装置であってもよい。
【0050】
クラッシャは、2つの目的で氷の片のサイズを減少させる。砕かれた氷は、正確に分与するのがより容易であり、これは飲料のより一貫した調製を意味する。加えて、混合チャンバ内での混合時間が短縮される。砕かれた氷から開始することにより、混合装置が効率的な方法で原材料を迅速にブレンドすることを可能にする。混合装置を回転させるための高出力モータの使用は、必須ではない。
【0051】
分与ユニットは、容器と、スケールと、放出ユニットとを備えることができる。容器は、クラッシャによって直接供給を受ける。容器は、容器内に導入された砕かれた氷を計量するスケール上に配置される。
【0052】
代替的な実施形態では、分与ユニットは、分与量の氷の片が導入され、次いで下方に混合チャンバへと送出される、既定の容積のチャンバを備える定量分与手段であってもよい。この手段は、バレル、摺動チャンバ、回転穿孔ディスク、又は任意の同様の分与ユニットであってもよい。
【0053】
分与ユニットは、砕かれた氷が所望の量に達すると、砕かれた氷を混合チャンバに送出するように構成されている。
【0054】
通常、分与ユニットは、シャッタと、混合チャンバの上部に方向付けられたシュートとを備える。
【0055】
好ましくは、砕かれた氷の供給部は、保持される間、砕かれる間、次いで分与される間の氷の融解を制限するために断熱される。
【0056】
[0025]本明細書では、「内側」、「内部」、「外側」、「後ろ」、「前」、「底」、「上」、及び「横」、「深さ」、「幅」という用語は、本発明の特徴の位置関係を説明するために用いられる。これらの用語は、
図1~
図5に示すような、その通常の向きにあるディスペンサを指すと理解されるべきである。
【0057】
[0026]本発明の上記の諸態様は、任意の好適な組み合わせで組み合わせることができる。
【0058】
更には、本明細書における様々な特徴を、上記の諸態様のうちの1つ以上と組み合わせることにより、具体的に図示及び説明されたもの以外の組み合わせを提供することができる。本発明の更なる目的及び有利な特徴は、「特許請求の範囲」、「発明を実施するための形態」、及び添付図面から明らかとなるであろう。
【0059】
[0027]本発明の特徴及び利点は、以下の図との関連で、より良好に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【
図2】前側ドアが開放されている
図1の装置を示す図である。
【
図3】第2の群のキャニスタのトレーが、主ハウジングから部分的に引き離されている、
図2の装置を示す図である。
【
図4】第2の群のキャニスタのシュートが取り外されている、
図3に対応する図である。
【
図5】第1の群及び第2の群の容器並びにそれらのシュートの分離斜視図である。
【
図6】
図5の第1の群及び第2の群の容器並びにそれらのシュートの側面図である。
【
図7】1つの放出口、シュート、及び底部プレートの分離側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0061】
[0028]
図1は、本発明による飲料を生成するための装置10を示す。装置は、主フレーム8及び前側ドア7を備える。前側ドアは、飲料の選択を可能にするために、ユーザインターフェースを備える。この扉は、メンテナンスのために装置の内部部品にアクセスできるように開放可能である。メンテナンスは、容器の再充填、洗浄、修理、制御などの作業を含む。
【0062】
装置は、ユーザが空の飲用容器5を配置することができる引き出し6を備える。引き出しは、飲料の調製及び飲用容器の充填を開始するために、装置内に押し込まれるように構成されている。
【0063】
充填の終了時に、ユーザは、引き出し6を引き戻して選択された飲料で充填された容器を得ることを許可される。
【0064】
[0029]
図2は、
図1の装置を示し、前側ドア7は、開放されている。
【0065】
前側ドア7の背後かつ主フレーム8の前側に、装置は、第2の群32の容器を形成し、かつトレー11内に配置された、3つの粉末キャニスタ321を備える。
【0066】
トレー11は、第2の群32の容器をフレームの前側に沿って配置する。これらの容器は、各容器の放出口が主フレームの内側(
図2では見えない)に面するように、トレーの内側に方向付けられる。これらの容器321のそれぞれは、タンクと、タンク内側の分与ユニットとを備える(回転オーガは見えない)。分与ユニットの作動装置323は、前側に現れる。
【0067】
前側ドア7は、平坦ではなく、フレームの前側から立ち上がる第2の群32の容器の一部を覆うための内側容積部(inside volume)71を備える。
【0068】
主フレームの内側には、1つの単一混合チャンバ1が、フレーム8の内側かつ第2の群32のキャニスタの下に配置される。結果として、容器321から送出されるバルク飲料原材料は、混合チャンバの上部を通って流れ、混合チャンバ内に受け入れられることができる。特定の図示した実施形態では、チャンバは、容器の上部を開閉するためにチャンバの側壁の上縁部と協働するように構成された移動可能な上部シャッタ14を備える。
【0069】
飲料原材料分与中、このシャッタは、混合チャンバの上部から離れるように移動し、分与後、シャッタは、戻って移動してチャンバを覆う。チャンバは、チャンバの外側に投射するリスクなしに、混合チャンバ内に導入された原材料を混合することができる。チャンバは、飲料原材料と混合される水を導入するための水入口16を備える。この水入口は、可撓性チューブによって水の供給部に接続される。
【0070】
チャンバ1は、放出口を開閉するためにチャンバの底部の放出口と協働するように構成された移動可能な下部シャッタ15を備える。飲用容器5内の飲料の注出は、この下部シャッタの移動によって制御される。
【0071】
[0030]
図3は、
図2の装置を示し、第2の群32のキャニスタを支持するトレー11は、主フレームの前側から離れたメンテナンス作業のために移動されている。トレーは、ヒンジ112によって主フレーム8に取り付けられており、トレーは、矢印Aによって示されるようにこのヒンジの周りで回転可能である。トレー11の回転により、第2の群32の容器を主フレーム8から離れるように引き出す。操作者は、第2の群の3つの容器321をひとつの動きで移動させることができ、その結果、以下に記載されるように、メンテナンス及び第1の群31の容器の再充填のためにフレームの内部部品にアクセスすることができる。
【0072】
この図では、第2の群の容器の放出口322、並びにフレーム8内に配置されたそれらの対応するシュート42も明らかである。これらのシュート42のそれぞれは、第2の群の容器のトレー11が動作位置に押されると放出口322が嵌合するそれらの上部に、それぞれの孔421を備える。容器の放出口322は、シュート42の上部の孔321に摺動する。シュート42は、飲料原材料を混合チャンバ1に案内する。
【0073】
トレー11は、トレーがシュート42から離れるように移動されたときに放出口322から落下することがある原材料を受け入れるための水平底部プレート111を備える。放出口322から落下する飲料原材料は、プレートによって停止される。装置10の正面の床に飲料原材料が落ちることが制限される。
【0074】
トレーは、フレーム44内に囲まれ、かつ第2の群の容器の放出口322の下に配置された、ヒータを支持する。このヒータは、以下に記載されるように、この領域内、特にシュート42内の蒸気の存在及び粉末のケーキングを防止する。
【0075】
図示した実施形態では、装置のフレーム8は、砕かれた氷の供給部2、温水の供給部9、及び第1の群31の容器も保持する。これらの3種類の原材料は、第2の群の容器の飲料原材料とともに飲料を調製するために、単一の混合チャンバ1に供給される。
【0076】
装置の左部分に、砕かれた氷の供給部2は、氷の片を受け入れるためのホッパ21を備える。ホッパの底部にあるオーガ(図示せず)は、氷の片の一部分を氷クラッシャ22に送出する。砕かれた氷は、スケールによって支持された容器と、シュート24を介して混合チャンバ1に所望の分与量の砕かれた氷を送出するためのシャッタと、を備える、分与ユニット23内に受け入れられる。
【0077】
装置の上部には、水のボイラに温水の供給部9が存在する。ボイラの出口は、混合チャンバ1の水入口16に水を案内する可撓性チューブ91に接続されている。図示した装置は、重力を使用して水を送出する。
【0078】
あるいは、ポンプを使用して水を圧送し、混合チャンバに供給することができる。フレームの右側に、装置は、バルク飲料原材料を貯蔵する2つの第1の群31の容器を備え、これらの容器は、
図4に示すように、粉末シュートを介して混合チャンバ1に原材料を分与して送出する。
【0079】
[0031]
図4は、第2の群のシュート42が取り外された、フレームの内側の部分図である。第1の群31の容器が明らかになっている。この群は、2つのシュート41に供給する放出口312を有する2つの容器311を備える。
【0080】
シュート41は、混合チャンバ1内に原材料を送出する(図では、チャンバの上部は、上部シャッタによって閉鎖されている)。
【0081】
[0032]好ましくは、図示した装置は、分与量の砕かれた氷、水、分与量の可溶性フラッペベース粉末、及び少なくとも分与量の可溶性飲料フレーバーを混合することによって凍結飲料を調製するように構成されている。可溶性フラッペベース粉末は、第1の群31の容器に貯蔵することができ、可溶性飲料フレーバーは、第2の群32の容器に貯蔵することができる。
【0082】
[0033]
図5及び
図6は、そのトレー11内の第1の群31及び第2の群32の容器、並びにそれらのシュート41、42を装置の残りの部分から分離した図である。トレー11は、動作位置にある。
【0083】
図5は、混合チャンバ(図示せず)の上で互いに向き合う容器の2つの列を明確に示す。バルク飲料原材料の5つのシュート41、42は、(容器の同じ群のシュートに対して)並べられて、かつ(容器の異なる群のシュートに対して)互いの前に、近接して配置されていることに気付くことができる。この構成では、全てのシュートは、以下に詳述するように、下の混合チャンバ1内の全ての分与された飲料原材料の効率的な落下を保証する、水平に対して60°~90°に含まれる角度を呈する。最終的に、砕かれた氷の送出を含めて、単一混合チャンバ1内に分与して送出することができるのは、異なる6つの原材料である。
【0084】
図示のように、トレー11が動作位置にあるときに、ヒータフレーム44は、第2の群のキャニスタのシュート42と直接接触していることに気付くことができる。結果として、ヒータは、シュート42を加熱する。
【0085】
同様に、ヒータは、第1の群31の容器の下に配置されたヒータフレーム45内に設けられる。このフレーム45は、第1の群のキャニスタのシュート41と直接接触している。結果として、ヒータは、シュート41を加熱する。
【0086】
[0034]
図7は、シュート41、42、トレーの底部プレート111、及び1つの容器の放出口322の分離側面図である。シュート42の上部は、シュートの上部における放出口及び孔421の協働を示すために、透明にされている。
【0087】
通常動作では、容器内で、一部の飲料原材料は、分与オーガ又はスクリューによって放出口の端部に押され、シュート42の内部を下方に流れ、底端部422で混合チャンバ内に送出される。シュート42は、原材料の良好な送出を保証する、水平に対して60°~90°に含まれる角度αに沿って方向付けられる。
【0088】
トレーがシュート42から離れるように移動されると、放出口がシュートの孔421から外れて移動された矢先に、放出口322の端部付近に依然として存在する一部の飲料原材料が流出することが起こり得る。この飲料原材料は、点線によって示されるように、シュート42の前側に沿って垂直に落下する。底部プレート111の縁部111aではなく中央に落下するように、飲料原材料はシュート42の前側に取り付けられたデフレクタ43によって案内される。したがって、底部プレートによって保持された飲料原材料は、動作位置からメンテナンス作業へのトレーの移動中にプレートから落下するリスクが少ない。
【0089】
[0035]
図8は、3つのシュート42の正面図である。この図は、装置の側面間に延びる垂直平面を考えたときに、シュートがその平面内で垂直に対して相対的に傾斜することができることを示す。中央シュートは、ほぼ傾斜しておらず、飲料原材料の垂直落下を可能にする(すなわち、水平に対して90°の角度βを有するシュート)が、2つの側部シュートは、垂直に対して相対的に傾斜している。それでもなお、それらの傾斜は、良好な送出を保証するのに十分である。正確には、それらの最も傾斜した側部壁と水平との間の図示した角度βは、約60°であり、これは、飲料原材料が、良好な送出を保証する、水平に対して60°よりも大きい角度に従う左右のシュート内に落下することを意味する。
【0090】
[0036]本装置は、全ての原材料が良好に送出される保証を有して、全てが同じ単一混合チャンバに供給する、多数の飲料原材料容器の存在を可能にする利点を提示する。
【0091】
[0037]本装置は、3つの容器を備える第2の群の容器を有して例示されているが、この第2の群内の容器の数は、列内のこれらの容器の幅を減少させることによって増加させることができる。これらの容器は、好ましくは可溶性飲料フレーバーを貯蔵するため、1つの飲料を調製するために必要とされる分与量(3又は4g)は、飲料を調製するために第1の群の容器から放出される可溶性フラッペベースの分与量よりも少ない。したがって、より多数のより小さい容器を第2の群に使用することができる。加えて、これらの容器の深さも、減少することができ、結果として前側ドアがより薄くなる。
【0092】
[0038]本発明は、上記例示した実施形態を参照して説明してきたが、特許請求される本発明は、これらの例示した実施形態によって何ら制限されないことが理解されるであろう。
【0093】
「特許請求の範囲」で定義されるような本発明の範囲を逸脱することなく、変形及び修正が実施可能である。更に、既知の均等物が特定の特徴に対して存在する場合、かかる均等物は、本明細書で具体的に言及されているかのように組み込まれる。
【0094】
本明細書で使用するとき、用語「備える」、「備えている」、及び同様の語は、排他的又は包括的な意味で解釈されるべきではない。換言すれば、これらは、「~を含むが、それらに限定されない」ことを意味するものとする。
【符号の説明】
【0095】
[0039]
1 混合チャンバ
14 上部シャッタ
15 下部シャッタ
16 水入口
2 砕かれた氷の供給部
21 氷ホッパ
22 氷クラッシャ
23 砕かれた氷の分与ユニット
24 砕かれた氷のシュート
31 容器の第1の群
311 容器
312 放出口
313 作動装置
32 容器の第2の群
321 容器
322 放出口
323 作動装置
41 第1のシュートの群
42 第2のシュートの群
421 孔
422 底端部
423 上端部
43 デフレクタ
44、45 ヒータフレーム
5 飲用容器
6 引き出し
7 前側ドア
71 内側容積部
8 フレーム
9 水の供給部
91 水チューブ
10 装置
11 トレー
111 底部プレート
111a 縁部
112 ヒンジ