(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-03
(45)【発行日】2023-02-13
(54)【発明の名称】コンクリート製品据付装置
(51)【国際特許分類】
E01C 19/52 20060101AFI20230206BHJP
【FI】
E01C19/52
(21)【出願番号】P 2021105228
(22)【出願日】2021-06-24
【審査請求日】2021-11-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000208204
【氏名又は名称】大林道路株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000161817
【氏名又は名称】ケイコン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100197848
【氏名又は名称】石塚 良一
(72)【発明者】
【氏名】細見 耕平
(72)【発明者】
【氏名】小林 直史
(72)【発明者】
【氏名】荒川 崇
(72)【発明者】
【氏名】▲吉▼田 健史
(72)【発明者】
【氏名】山内 博一
【審査官】荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-074209(JP,A)
【文献】特開平09-067806(JP,A)
【文献】特開2004-244997(JP,A)
【文献】特開平03-281801(JP,A)
【文献】特開平06-235271(JP,A)
【文献】特開平05-112909(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 19/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の走行手段が接地するとともに路面を走行可能な走行部と、
複数の前記走行
手段に
よって前後左右が支持される本体部と、を有し、
前記本体部は、
前記路面に仮置きされたコンクリート製品を吊り上げて
該本体部の下方において保持することが可能であるとともに、該コンクリート製品
を据付位置に据え付けることが可能な荷役手段を備え、
前記荷役手段は、
前記本体部の下部に設けられるとともに、前記コンクリート製品を平面視で縦方向にのみ搬送することが可能な縦搬送機構と、
前記縦搬送機構に設けられるとともに前記コンクリート製品を平面視で横方向にのみ搬送することが可能な横搬送機構と、
前記横搬送機構に設けられるとともに前記コンクリート製品を保持して該コンクリート製品を昇降することが可能な昇降機構と、
前記横搬送機構に設けられるとともに、前記昇降機構に保持された前記コンクリート製品の中心を回転軸として旋回させることが可能な旋回機構と、を備える
ことを特徴とするコンクリート製品据付装置。
【請求項2】
前記走行部は、
前記走行手段として前記路面を走行可能な複数のクローラと、
前記クローラの進行方向を変更可能なステアリング機構と、を備える
請求項1に記載のコンクリート製品据付装置。
【請求項3】
前記走行部と前記本体部を制御可能な制御手段を有し、
前記制御手段は、
前記コンクリート製品が連続して据え付けられる据付計画線から、平行に所定量シフトする走行計画線を設定し、該走行計画線上を前記本体部が移動するように前記走行部を自動制御可能である
請求項1又は2に記載のコンクリート製品据付装置。
【請求項4】
前記走行部は、
前記路面からの前記本体部の高さ位置を変更可能な本体部昇降機構を備え、
前記走行部と前記本体部を制御可能な制御手段を有し、
前記制御手段は、
前記本体部昇降機構を自動制御して、前記コンクリート製品の据付計画高さから所定量上方にシフトした高さ位置に前記本体部の高さ位置を維持することが可能である
請求項1乃至3のいずれかに記載のコンクリート製品据付装置。
【請求項5】
前記走行部と前記本体部を制御可能な制御手段を有し、
前記制御手段は、
前記荷役手段によって据え付け途中にある前記コンクリート製品の位置情報を検出し、該コンクリート製品が据付位置に据え付けられるように前記荷役手段を自動制御する
請求項1乃至4のいずれかに記載のコンクリート製品据付装置。
【請求項6】
前記コンクリート製品を昇降することが可能な前記昇降機構は、前記コンクリート製品に設けられた吊金具に係合するフックを備え、
前記フックは回動することで該フックに形成された係合溝に前記吊金具を係合させることが可能である
請求項1乃至5のいずれかに記載のコンクリート製品据付装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート製品を据付位置に据え付けることが可能な、コンクリート製品据付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、比較的に重量のあるコンクリート製品を据付位置に据え付ける際、クレーン等の揚重機械を使用し、コンクリート製品を吊り上げて、据付位置に当該コンクリート製品を据え付けていた。特に、高速道路上にプレキャストガードフェンスを据え付ける際には、当該プレキャストガードフェンスの重量が約4tもあることから、道路上を交通規制して大型のクレーンを使用する必要があり、1日あたりの施工延長が非常に短かった。
【0003】
また従来技術を見ると、特許文献1には、移動ベースマシン1に積み込んだ縁石ブロックBを、アクチュエータ2によって据え付ける技術が開示されている。特許文献2には、運転操作者が、重量物搬送台車1を使用してボックスカルバート101を持ち上げて搬送し、当該ボックスカルバート101を設置する技術が開示されている。さらに、特許文献3には、トラック1の荷台2にコンクリートブロックWを積み込み、ブーム4に複数のアーム及び回転軸を設けて、コンクリートブロックWを据え付け可能にした技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平3-281801号公報
【文献】特開2021-008362号公報
【文献】特開平7-061797号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した従来技術はいずれも、重量のあるコンクリート製品の据え付けに係る施工速度や施工手間、施工精度等において、まだまだ改善の余地があった。
【0006】
そこで本願発明は、コンクリート製品を効率的に据付位置に据え付けることが可能な、コンクリート製品据付装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)に係る発明は、路面を走行可能な走行部と、前記走行部に支持される本体部と、を有し、前記本体部は、前記路面に仮置きされたコンクリート製品を吊り上げて該コンクリート製品の据付位置に据え付けることが可能な荷役手段を備え、前記荷役手段は、前記コンクリート製品を平面視で縦方向にのみ搬送することが可能な縦搬送機構と、前記縦搬送機構に設けられるとともに前記コンクリート製品を平面視で横方向にのみ搬送することが可能な横搬送機構と、前記横搬送機構に設けられるとともに前記コンクリート製品を保持して該コンクリート製品を昇降することが可能な昇降機構と、前記横搬送機構に設けられるとともに、前記昇降機構に保持された前記コンクリート製品の中心を回転軸として旋回させることが可能な旋回機構と、を備えることを特徴とするコンクリート製品据付装置である。
【0008】
上記(1)の構成によれば、コンクリート製品据付装置を走行させつつ、予め路面に仮置きされたコンクリート製品を、順次、荷役手段によって搬送から据え付けまで行えるため、極めて効率的な据付け作業が可能となり、従来のクレーンによる据付け作業と比較して、施工速度を大幅に向上させることが可能となる。
【0009】
さらに、コンクリート製品の中心を回転軸として旋回させることが可能な旋回機構を備えたことにより、コンクリート製品の向きを調整することも可能である。これにより、道路線形が曲線やクロソイド曲線等の場合であっても、旋回機構を動作させて曲線の微妙な通りを調整して極めて正確にコンクリート製品を据え付けることが可能となる。また、コンクリート製品をコンクリート製品据付装置に複数積載する必要がないため、従来必要であった荷捌きの作業が無くなり、施工速度を大幅に向上させることが可能となる。
【0010】
(2)に係る発明は、前記走行部は、前記路面を走行可能な複数のクローラと、前記クローラの進行方向を変更可能なステアリング機構と、を備える上記(1)に記載のコンクリート製品据付装置である。
【0011】
上記(2)の構成によれば、コンクリート製品据付装置に複数のクローラと、当該クローラの進行方向を変更可能なステアリング機構を備えているので、コンクリート製品が据え付けられる様々な線形に対応して、コンクリート製品据付装置を自走させることが可能である。
【0012】
(3)に係る発明は、前記走行部と前記本体部を制御可能な制御手段を有し、前記制御手段は、前記コンクリート製品が連続して据え付けられる据付計画線から、平行に所定量シフトする走行計画線を設定し、該走行計画線上を前記本体部が移動するように前記走行部を自動制御可能である上記(1)又は(2)に記載のコンクリート製品据付装置である。
【0013】
上記(3)の構成によれば、コンクリート製品据付装置は、コンクリート製品の据付計画線から平行に所定量シフトする走行計画線上を、自動制御によって走行可能となっているため、吊り上げて保持したコンクリート製品の、据付位置までの移動量をほぼ一定に保つことが可能となり、効率的な据付作業が可能となる。
【0014】
(4)に係る発明は、前記走行部は、前記路面からの前記本体部の高さ位置を変更可能な本体部昇降機構を備え、前記走行部と前記本体部を制御可能な制御手段を有し、前記制御手段は、前記本体部昇降機構を自動制御して、前記コンクリート製品の据付計画高さから所定量上方にシフトした高さ位置に前記本体部の高さ位置を維持することが可能である上記(1)乃至(3)のいずれかに記載のコンクリート製品据付装置である。
【0015】
上記(4)の構成によれば、制御手段による自動制御により、コンクリート製品据付装置の本体部の高さ位置を、コンクリート製品の据付計画高さから所定量上方にシフトした高さ位置に保つことができるため、コンクリート製品をスムーズに移動して据付計画高さで据え付けることが可能となる。
【0016】
(5)に係る発明は、前記走行部と前記本体部を制御可能な制御手段を有し、前記制御手段は、前記荷役手段によって据え付け途中にある前記コンクリート製品の位置情報を検出し、該コンクリート製品が据付位置に据え付けられるように前記荷役手段を自動制御する上記(1)乃至(4)のいずれかに記載のコンクリート製品据付装置である。
【0017】
上記(5)の構成によれば、据え付け途中にあるコンクリート製品の位置情報を検出し、これに基づいて荷役手段が自動制御されるので、コンクリート製品を精度よく据付位置に据え付けることが可能となる。
【0018】
(6)に係る発明は、前記コンクリート製品を昇降することが可能な前記昇降機構は、前記コンクリート製品に設けられた吊金具に係合するフックを備え、前記フックは回動することで該フックに形成された係合溝に前記吊金具を係合させることが可能である上記(1)乃至(5)のいずれかに記載のコンクリート製品据付装置である。
【0019】
上記(6)の構成によれば、コンクリート製品に設けられた吊金具に、フックを回転させることで係合するように構成したので、確実・安全にコンクリート製品を吊り上げることが可能となり、吊り上げ時においても極めてスムーズにコンクリート製品を吊り上げることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施形態における、コンクリート製品据付装置の全体斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態において、コンクリート製品の据え付け態様を示す斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態における、荷役手段によるコンクリート製品の据え付け態様を示す斜視図であって、(a)はコンクリート製品の吊り上げ時の態様を、(b)はコンクリート製品の据え付け時の態様を図示している。
【
図4】本発明の実施形態における、コンクリート製品据付装置の制御構成を説明する正面図である。
【
図5】本発明の実施形態における、コンクリート製品据付装置の制御構成を説明する正面図である。
【
図6】本発明の実施形態における、昇降機構14のフックと、コンクリート製品の吊金具との係合態様を説明する斜視図であり、(a)及び(b)はフックが下降する態様が図示されている。
【
図7】本発明の実施形態における、昇降機構14のフックと、コンクリート製品の吊金具との係合態様を説明する斜視図であり、(c)及び(d)はフックが吊金具と係合して上昇する態様が図示されている。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しつつ、本発明のコンクリート製品据付装置について、一実施形態に基づいて説明する。
【0022】
図1には、本実施形態におけるコンクリート製品据付装置1の全体斜視図が図示され、据付対象となるコンクリート製品50として、プレキャストガードフェンスを保持した状態が示されている。
【0023】
本実施形態におけるコンクリート製品据付装置1は、主に路面を走行可能な走行部と、当該走行部に支持される本体部とから構成されており、走行部は、施工箇所周辺の路面を走行可能な複数のクローラ11(本実施形態では4基)と、当該クローラ11の進行方向を変更可能な不図示のステアリング機構と、路面からの本体部の高さ位置を変更可能な油圧シリンダを備えた本体部昇降機構12とから少なくとも構成されている。
【0024】
本体部は、
図1に示されているようにフレーム構造から成り、四隅にピボットアーム18を備え、当該ピボットアーム18に接続される脚延長フレーム19を介して上記した走行部が接続されている。さらに本体部には、図示されるようにエンジンユニット21、燃料タンク22、作動油タンク23等を備え、さらに、走行部及び本体部を含むコンクリート製品据付装置1の動作を制御する制御手段60を備えている。
【0025】
また、本体部は、
図2に示されているようにして、路面に仮置きされたコンクリート製品50を吊り上げて、据付位置に当該コンクリート製品50を据え付けることが可能な荷役手段を少なくとも備えている。
【0026】
上記した荷役手段は、
図1に示されるように支持アーム10によって保持されている。
図3には当該荷役手段のみが詳細に図示されているが、荷役手段は、コンクリート製品50を平面視で縦方向(
図3(b)の矢印Y1)に搬送することが可能な縦搬送機構17と、当該縦搬送機構17に設けられるとともに、コンクリート製品50を平面視で横方向(
図3(b)の矢印X1)に搬送することが可能な横搬送機構13と、当該横搬送機構13に設けられるとともに、コンクリート製品50を保持してコンクリート製品50を昇降(
図3(b)の矢印Z1)することが可能な昇降機構14とから少なくとも構成されている。
【0027】
さらに、上記した横搬送機構13は、保持されたコンクリート製品50を、
図3(b)の一点鎖線(コンクリート製品50の中心)を軸に旋回させることが可能な旋回機構15を備えている。本実施形態の旋回機構15は、±18.5°の範囲で旋回することが可能となっており、コンクリート製品50を据え付ける際に据付け方向の微調整が可能となっている。
【0028】
上記のようなコンクリート製品50の中心を回転軸として旋回させることが可能な旋回機構15を備えたことにより、道路線形が曲線やクロソイド曲線の場合であっても、旋回機構15を動作させて曲線の微妙な通りを調整して極めて正確にコンクリート製品50を据え付けることが可能となる。
【0029】
前述した縦搬送機構17は、
図3等に示されるように、本体部に固定された2本の縦走行レール16上を、縦移動用油圧シリンダによって移動可能に構成され、本実施形態では、
図3(a)に示される位置から(b)に示される位置まで、コンクリート製品50を縦方向(
図3(b)の矢印Y1)に最大2m搬送することが可能となっている。
【0030】
前述した横搬送機構13は、
図3等に示されるように、縦搬送機構17に固定された2本の横走行レール20上を、横移動用油圧モータによって移動可能に構成され、本実施形態では、
図3(a)に示される位置から(b)に示される位置まで、コンクリート製品50を横方向(
図3(b)の矢印X1)に最大2.65m搬送することが可能となっている。
【0031】
前述した昇降機構14は、
図3、より詳細には
図5に示されるように、横搬送機構13の両端に設けられ、主に昇降用油圧シリンダ141と、コンクリート製品50に設けられた吊金具51に係合するフック142から構成されている。そして本実施形態では、昇降用油圧シリンダ141の動作によって、フック142を最大300mm昇降させることが可能となっている。
【0032】
また、上記した縦搬送機構17及び横搬送機構13には測長ワイヤが設置されており、昇降機構14にあっては昇降用油圧シリンダ141が測長機能を備えている。これにより、各機構の移動量情報や位置情報は、後述する制御手段によって検出され、さらに記憶させることで、
図3(a)に示される位置から(b)に示される位置への往復動作を自動制御することが可能となっている。
【0033】
図6及び
図7には、コンクリート製品50に設けられた吊金具51に、フック142を係合する際の係合過程が順に示されている。より詳細に説明すると、
図6(a)に示されるように、昇降用油圧シリンダ141を稼働させてフック142を降下させ、
図6(b)に示されるように、当該フック142に形成された切り欠き部に吊金具51の突部を挿入する。
【0034】
次に、
図7(c)に示されるように、不図示の油圧シリンダによる回転機構によってフック142を図示矢印方向に回転させ、吊金具51の突部をフック142に形成された係合溝に係合させる。そして、
図7(d)に示されるように、再び昇降用油圧シリンダ141を稼働させてフック142を上昇させ、コンクリート製品50を吊り上げることが可能となっている。
【0035】
続いて、本実施形態におけるコンクリート製品据付装置1の制御態様について説明する。
【0036】
図2には、コンクリート製品50としてプレキャストガードフェンスをコンクリート製品据付装置1によって据え付けている状況が斜視図によって図示されている。図示されるように、コンクリート製品50は、据付計画線に沿って据付位置に順次連続して据え付けられる。また、コンクリート製品据付装置1は、据付計画線から平行に所定量シフトする走行計画線上を走行し、本体部が仮置きされたコンクリート製品50の上方を移動するように構成されている。
【0037】
このように構成されることで、予め走行計画線上に仮置きされたコンクリート製品50の上部に本体部を配置することが可能となり、前述した本体部の荷役手段によって、コンクリート製品50を吊り上げて保持し、据付計画線上の据付位置に、コンクリート製品50が据え付けられる。
【0038】
また、コンクリート製品据付装置1には、
図1及び
図4に示されるように、コンクリート製品据付装置1の走行部や本体部を制御可能な制御手段60を備えており、コンクリート製品据付装置1の走行制御や荷役手段による据付制御などを含め、種々の制御が実行可能となっている。また、本実施形態の制御手段60は、不図示のタッチパネルを備えており、縦搬送機構17、横搬送機構13、昇降機構14、本体部昇降機構12及び旋回機構15の現在位置情報(各機構の移動量)が表示可能となっている。
【0039】
さらに、タッチパネルの操作により、縦搬送機構17、横搬送機構13、昇降機構14、本体部昇降機構12及び旋回機構15の、待機位置やコンクリート製品50の据付時の位置、コンクリート製品50の吊り上げ時の位置を、それぞれ任意にプリセットして、制御手段の記憶部に記憶させることが可能となっている。このような構成により、例えば、
図3(a)に示される位置から(b)に示される位置への往復動作を自動制御することが可能となる。
【0040】
また、本実施形態のコンクリート製品据付装置1は、縦搬送機構17、横搬送機構13、昇降機構14、本体部昇降機構12及び旋回機構15、走行部をそれぞれ制御可能な、無線式のコントローラを備えている。このようなコントローラを備えることで、制御手段による自動制御と、コントローラによる手動制御とが自由に選択できる。コントローラによる手動制御が可能となることで、コンクリート製品50の吊り上げから搬送、さらに据え付け時の微調整を操作者が手動で行うことが可能となる。
【0041】
さらに、本実施形態のコンクリート製品据付装置1は、
図4等に示されるように、コンクリート製品据付装置1の本体部の上方に、左右それぞれプリズム31が設けられている。そして、図示されるように2台のトータルステーション30をコンクリート製品据付装置1の周囲に配置し、上記プリズム31をそれぞれ追尾して、コンクリート製品据付装置1の位置情報及び高さ情報を制御手段60と共有するように構成されている。
【0042】
このように構成されることで、
図4に示されるように、コンクリート製品50の据付計画高さ(例えば、据え付けられるコンクリート製品50の天端の計画高さ。)から所定量上方にシフトした高さ位置で、本体部が常に一定に保たれるように本体部昇降機構12が自動制御され、これにより、コンクリート製品50の据え付け時における昇降機構14の降下量(図示Z2)も一定に保ってスムーズにコンクリート製品50を据え付けることができる。
【0043】
また、トータルステーション30から得られる位置情報に基づいて、クローラ11のステアリング機構(不図示)が自動制御されるように構成されており、コンクリート製品据付装置1を走行計画線に沿って走行させることが可能となっている。これにより、
図4に示される横搬送機構13の横移動量(X1)を一定に保ちながら、コンクリート製品50の据え付けを行うことが可能となる。さらに、コンクリート製品据付装置1は、自動制御によって、コンクリート製品50の長さに応じた距離(換言すれば、据付延長方向の据付距離)間隔で自動走行することが可能となっている。このような構成により、コンクリート製品50の据え付けが完了すると、自動制御によって次のコンクリート製品50の据付位置まで自動走行するので、極めて効率的な据付作業が可能となる。
【0044】
さらに、本実施形態では、
図4に示されるように出来形検測用トータルステーション40を配置しており、コンクリート製品50の製品側プリズム52を視準させることによってコンクリート製品50の位置情報を検出している。このような構成を追加することにより、例えば、無線式のコントローラ等を操作しながら荷役手段を動作させ、微調整をしながらコンクリート製品50を正確な据付位置に据え付けることが可能となる。
【0045】
(その他の実施態様)
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は必ずしも上記したような構成に限定されるものではなく、以下のような種々の変更が可能となっている。
【0046】
例えば、前述した各機構に使用される駆動源は、油圧シリンダや油圧モータに限定されるものではなく、必要となる能力や精度に応じて適宜変更することが可能である。同様に、各機構の可動範囲も必要に応じ変更が可能である。
【0047】
また、前述した実施形態では、コンクリート製品50としてプレキャストガードフェンスをコンクリート製品据付装置1によって据え付けた。このようにして、プレキャストガードフェンスのようなかなりの重量や長さを有するコンクリート製品50を据え付け可能にしたことで、従来に比べて大幅に施工速度を向上させることが可能となり、交通規制の規制時間や規制範囲を縮小することが可能となる。しかし、必ずしもこのようなコンクリート製品50に限定されるものではなく、縁石を含めた種々のコンクリート製品50の据え付けに、本発明のコンクリート製品据付装置1は利用可能である。
【0048】
例えば、前述した実施形態では、2つの昇降機構14を設けて、プレキャストガードフェンスを2つのフック142で吊り上げたが、コンクリート製品50の大きさや重量に応じて、1つの昇降機構14でコンクリート製品50を吊り上げるようにしてもよい。また、必ずしもフック142で吊金具51を係合するものに限定されるものではなく、コンクリート製品50を挟んで吊り上げるようにしてもよく、公知の種々の吊金具を適用することも可能である。
【0049】
また、前述した出来形検測用トータルステーション40が検出したコンクリート製品50の位置情報を、制御手段60と共有するようにしてもよく、このような構成とすることで、コンクリート製品50の据え付けを、高精度に自動制御によって行うことが可能となる。
【0050】
以上、本発明の実施形態について図面にもとづいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものではない。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。また、上記実施例に記載された具体的な材質、寸法形状等は本発明の課題を解決する範囲において、変更が可能である。
【符号の説明】
【0051】
1 コンクリート製品据付装置
10 支持アーム
11 クローラ
12 本体部昇降機構
13 横搬送機構
14 昇降機構
15 旋回機構
16 縦走行レール
17 縦搬送機構
18 ピボットアーム
19 脚延長フレーム
20 横走行レール
21 エンジンユニット
22 燃料タンク
23 作動油タンク
30 トータルステーション
31 プリズム
40 出来形検測用トータルステーション
50 コンクリート製品
51 吊金具
52 製品側プリズム
141 昇降用油圧シリンダ
142 フック