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特許7221353核酸の送達のための新規脂質および脂質ナノ粒子製剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-03
(45)【発行日】2023-02-13
(54)【発明の名称】核酸の送達のための新規脂質および脂質ナノ粒子製剤
(51)【国際特許分類】
   C07C 229/16 20060101AFI20230206BHJP
   C07C 227/08 20060101ALI20230206BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALN20230206BHJP
   A61K 47/18 20170101ALN20230206BHJP
   A61K 47/22 20060101ALN20230206BHJP
   A61K 47/60 20170101ALN20230206BHJP
   A61K 48/00 20060101ALN20230206BHJP
   A61P 43/00 20060101ALN20230206BHJP
【FI】
C07C229/16 CSP
C07C227/08
A61K31/7088
A61K47/18
A61K47/22
A61K47/60
A61K48/00
A61P43/00 105
【請求項の数】 19
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021164898
(22)【出願日】2021-10-06
(62)【分割の表示】P 2019172551の分割
【原出願日】2015-06-05
(65)【公開番号】P2022008909
(43)【公開日】2022-01-14
【審査請求日】2021-10-15
(31)【優先権主張番号】62/016,839
(32)【優先日】2014-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516386834
【氏名又は名称】アクイタス セラピューティクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100150500
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 靖
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン エム. アンセル
(72)【発明者】
【氏名】シンヤオ ドゥ
【審査官】高橋 直子
(56)【参考文献】
【文献】特開平4-73648(JP,A)
【文献】特表2018-526321(JP,A)
【文献】特開昭56-150002(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0310555(US,A1)
【文献】国際公開第2013/086373(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/016058(WO,A1)
【文献】国際公開第2010/062322(WO,A2)
【文献】Journal of the Chemical Society [Section] C: Organic,1968年,(10),1235-43
【文献】Bioconjugate Chem.,2004年,Vol.15,p.754-764
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 229/16
A61K 31/7088
A61K 47/18
A61K 47/22
A61K 47/60
A61K 48/00
A61P 43/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の構造式:
【化1】
[式中、
Xは、OHまたはClであり、
Rは、出現ごとに、独立して、飽和もしくは不飽和のC~C24アルキル、または飽和もしくは不飽和のシクロアルキルであり、
mは、0または1であり、そして、
nは、出現ごとに、独立して、5~24の整数である]
で示される化合物、またはその医薬的に許容し得る塩。
【請求項2】
Xが、OHである、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
Xが、Clである、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
nが、5~24の整数である、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
nが、5である、請求項1記載の化合物。
【請求項6】
Rが、飽和もしくは不飽和のC~C24アルキル、または飽和もしくは不飽和のシクロアルキルである、請求項1記載の化合物。
【請求項7】
Rが、出現ごとに、独立して、飽和もしくは不飽和のC~C24アルキルである、請求項1記載の化合物。
【請求項8】
Rが、飽和もしくは不飽和のC~C24アルキルである、請求項1記載の化合物。
【請求項9】
Rが、出現ごとに、独立して、飽和のC~C24アルキルである、請求項1記載の化合物。
【請求項10】
Rが、飽和のC~C24アルキルである、請求項1記載の化合物。
【請求項11】
Rが、飽和のC16~C24アルキルである、請求項1記載の化合物。
【請求項12】
Rが、飽和のC16アルキル、飽和のC17アルキル、または飽和のC20アルキルである、請求項1記載の化合物。
【請求項13】
Rが、以下の構造式:
【化2】
の1つで示される、請求項1記載の化合物。
【請求項14】
mが、1である、請求項1記載の化合物。
【請求項15】
以下の構造式:
【化3】
の1つで示される、請求項1記載の化合物。
【請求項16】
以下の構造式:
【化4】
の1つで示される、請求項1記載の化合物。
【請求項17】
請求項1記載の化合物の製造方法であって、以下の変換:
【化5】
[式中、
Rは、出現ごとに、独立して、飽和もしくは不飽和のC~C24アルキル、または飽和もしくは不飽和のシクロアルキルであり、
mは、0または1であり、そして、
nは、出現ごとに、独立して、5~24の整数である]
を含む、該製造方法、
【請求項18】
更に、以下の変換:
【化6】
を含む、請求項17記載の製造方法。
【請求項19】
更に、以下の変換:
【化7】
を含む、請求項17記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中性脂質、コレステロールおよびポリマーコンジュゲート脂質などの他の脂質成分と組み合わせて使用することによって、in vitroとin vivoの両方で、オリゴヌクレオチドを有する脂質ナノ粒子を形成し、治療用核酸(例えば、オリゴヌクレオチド、メッセンジャーRNA)の細胞内送達を促進することができる新規のカチオン性脂質に一般的に関する。
【背景技術】
【0002】
生体系内で所望の応答を生じさせる核酸の送達に関連して、多くの難題が存在する。核酸をベースとする治療薬は、莫大な可能性を有するが、この可能性を実現するためには、細胞または生物内の適当な部位への核酸のより有効な送達の必要性が依然としてある。治療用核酸として、例えば、メッセンジャーRNA(mRNA)、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム、DNAザイム、プラスミド、免疫刺激核酸、アンタゴミール、抗mir、模倣体、スーパーmir、およびアプタマーが挙げられる。mRNAまたはプラスミドなどの一部の核酸は、例えば、タンパク質または酵素の欠乏に関係した疾患の処置に有用となるような、特定の細胞産物の発現を生じさせるために使用することができる。その系に常在性であるかどうかに関わらず、構造体を合成することによって、任意の選択されたタンパク質配列を生成することができるので、翻訳可能なヌクレオチド送達の治療的用途は極めて幅広い。核酸の発現産物は、細胞または生物内で、タンパク質の既存レベルを増大させるか、欠損したもしくは非機能的バージョンのタンパク質を置き換えるか、または新規タンパク質および関連する機能性を導入することができる。
【0003】
miRNA阻害剤などの一部の核酸は、例えば、タンパク質または酵素の欠乏に関係した疾患の処置に有用となるような、miRNAにより調節される特定の細胞産物の発現を生じさせるために使用することができる。構造体を合成することによって、1つまたは複数のmiRNAを阻害することができ、これがひいてはmRNA産物の発現を調節することになるので、miRNA阻害の治療的用途は極めて幅広い。内因性miRNAの阻害は、特定のmiRNAまたはmiRNAの群に関連する疾患を処置するための手段として、細胞または生物内で、その下流の標的内因性タンパク質の発現を増大させ、適切な機能を回復することができる。
【0004】
他の核酸は、特定のmRNAの細胞内レベルを下方制御することができ、その結果、RNA干渉(RNAi)またはアンチセンスRNAの相補結合などのプロセスを介して対応するタンパク質の合成を下方制御することができる。オリゴヌクレオチド構造体は、標的mRNAに向けられた任意のヌクレオチド配列を用いて合成することができるので、アンチセンスオリゴヌクレオチドおよびRNAiの治療的用途もまた極めて幅広い。標的として、正常細胞由来のmRNA、がんなどの疾患状態に関連するmRNA、およびウイルスなどの感染物質のmRNAを挙げることができる。今日までに、アンチセンスオリゴヌクレオチド構造体は、in vitroとin vivoの両モデルにおいて、同族mRNAの分解を介して標的タンパク質を特異的に下方制御する能力を示している。加えて、アンチセンスオリゴヌクレオチド構造体は、臨床研究において現在評価されている。
【0005】
しかし、治療的状況におけるオリゴヌクレオチドの使用は、現在2つの問題に直面している。第1に、遊離RNAは、血漿中のヌクレアーゼ消化の影響を受けやすい。第2に、遊離RNAは、関連する翻訳機構が存在する細胞内区画へのアクセス取得能力が限られている。中性脂質、コレステロール、PEG、ペグ化脂質、およびオリゴヌクレオチドなどの他の脂質成分を有するカチオン性脂質から形成された脂質ナノ粒子は、血漿中でのRN
Aの分解を遮断し、オリゴヌクレオチドの細胞取り込みを促進するために使用されてきた。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
オリゴヌクレオチド送達のための改善されたカチオン性脂質および脂質ナノ粒子に対する必要性が依然として存在する。好ましくは、これらの脂質ナノ粒子は、薬物:脂質の最適比を提供し、血清中の分解およびクリアランスから核酸を保護し、全身送達に対して適切であり、核酸の細胞内送達を提供する。加えて、これらの脂質-核酸粒子は、核酸の有効用量での患者の処置が、許容不可能な毒性および/または患者に対する危険性を伴わないよう、かなり容認され、十分な治療指数を提供するべきである。本発明は、これらの、および関係する利点を提供する。
【0007】
手短に言えば、本発明は、単独で、あるいは他の脂質成分、例えば、中性脂質、荷電脂質、ステロイド(例えば、すべてのステロールを含む)および/もしくはこれらのアナログ、ならびに/またはポリマーコンジュゲート脂質などと組み合わせて使用することによって、治療剤の送達のための脂質ナノ粒子を形成することができる、その立体異性体、薬学的に許容される塩または互変異性体を含めた、脂質化合物を提供する。ある場合には、脂質ナノ粒子を使用して、アンチセンスおよび/またはメッセンジャーRNAなどの核酸を送達する。様々な疾患または状態、例えば、感染性の実体および/またはタンパク質の不全により引き起こされるものなどの処置のためにこのような脂質ナノ粒子を使用する方法もまた提供される。
【0008】
一実施形態では、以下の式(I):
【化1】
(式中、R1a、R1b、R2a、R2b、R3a、R3b、R4a、R4b、R、R、R、R、R、L、L、a、b、c、dおよびeは本明細書で定義された通りである)
を有する化合物またはその薬学的に許容される塩、互変異性体もしくは立体異性体が提供される。
【0009】
前述の式(I)の化合物の1つまたは複数と、治療剤とを含む医薬組成物もまた提供される。一部の実施形態では、医薬組成物は、中性脂質、荷電脂質、ステロイドおよびポリマーコンジュゲート脂質から選択される1つまたは複数の構成成分をさらに含む。このような組成物は、治療剤の送達のための脂質ナノ粒子の形成に有用である。
【0010】
他の実施形態では、本発明は、治療剤の投与をそれを必要とする患者に行うための方法であって、式(I)の化合物および治療剤を含む脂質ナノ粒子の組成物を調製することと、患者に組成物を送達することとを含む方法を提供する。
【0011】
またさらなる実施形態では、本発明は、以下の構造(II):
【化2】
(式中、R10、R11およびzは本明細書で定義された通りである)
を有するペグ化脂質またはその薬学的に許容される塩、互変異性体もしくは立体異性体を対象とする。
【0012】
本発明のこれらおよび他の態様は、以下の詳述された説明を参照して明らかとなる。
【0013】
図の中で、同一の参照番号は同様の要素を特定している。図の中の要素の大きさおよび相対的位置は、必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではなく、図の読みやすさを改善するためにこれらの要素のいくつかは、随意に拡大および配置されている。さらに、描かれている要素の特定の形状は、特定の要素の実際の形状に関して任意の情報を伝えることを意図しておらず、図を認識しやすくするために選択されたものにすぎない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、マウスの肝臓におけるルシフェラーゼ発現の時間経過を示している。
【0015】
図2図2は、開示された脂質に関連する代表的な例として、MC3に対するpKaの計算を図示している。
【0016】
図3図3は、異なる脂質に対するルシフェラーゼ活性比較データを提供している。
【0017】
図4図4は、2種の異なるペグ化脂質を含む組成物に対する比較データを示す棒グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下の説明では、本発明の様々な実施形態の十分な理解が得られるよう、ある特定の詳細が記載されている。しかし、当業者であれば、これらの詳細なしに本発明は実施され得ることを理解するであろう。
【0019】
本発明は、哺乳動物の細胞への、核酸などの活性薬剤または治療剤のin vivo送達のために脂質ナノ粒子において使用した場合に利点をもたらす新規のカチオン性(アミノ)脂質の発見に部分的に基づく。特に、本発明の実施形態は、in vivoにおいて、核酸の活性の増加および組成物の耐性の改善を提供し、以前記載された核酸-脂質ナノ粒子組成物と比較した場合、治療指数の顕著な増加をもたらす、本明細書に記載の新規カチオン性脂質の1つまたは複数を含む核酸-脂質ナノ粒子組成物を提供する。
【0020】
特定の実施形態では、本発明は、mRNAおよび/または他のオリゴヌクレオチドのin vitroおよびin vivo送達のための改善された組成物の製剤化を可能にする新規カチオン性脂質を提供する。一部の実施形態では、これらの改善された脂質ナノ粒子組成物は、mRNAによってコードされているタンパク質の発現に有用である。他の実
施形態では、これらの改善された脂質ナノ粒子組成物は、1つの標的mRNAまたはいくつかのmRNAを調節する1つの特定のmiRNAまたはmiRNAの群を標的とするmiRNA阻害剤を送達することによって、内因性タンパク質の発現を上方制御するのに有用である。他の実施形態では、これらの改善された脂質ナノ粒子組成物は、標的遺伝子のタンパク質レベルおよび/またはmRNAレベルを下方制御(例えば、サイレンシング)するのに有用である。いくつかの他の実施形態では、脂質ナノ粒子はまた、導入遺伝子の発現のためのmRNAおよびプラスミドの送達にも有用である。さらなる他の実施形態では、脂質ナノ粒子組成物は、タンパク質の発現に起因する薬理効果、例えば、適切なエリスロポエチンmRNAの送達を介した赤血球産生の増加、または適切な抗体をコードしているmRNAの送達を介した感染からの保護などを誘発するのに有用である。
【0021】
本発明の脂質ナノ粒子および組成物は、in vitroとin vivoの両方で、封入されたまたは付随する(例えば、複合体形成された)治療剤、例えば、核酸を細胞に送達することを含めて、様々な目的に使用することができる。したがって、本発明の実施形態は、対象を適切な治療剤を封入または付随している脂質ナノ粒子と接触させることによって、疾患または障害の処置または予防をそれを必要とする対象において行う方法であって、脂質ナノ粒子が、本明細書に記載の新規カチオン性脂質の1つまたは複数を含む方法を提供する。
【0022】
本明細書に記載されているように、本発明の脂質ナノ粒子の実施形態は、例えば、mRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド、プラスミドDNA、マイクロRNA(miRNA)、miRNA阻害剤(アンタゴミール/抗mir)、メッセンジャー-RNA-干渉性相補性RNA(micRNA)、DNA、多価RNA、ダイサー基質RNA、相補DNA(cDNA)などを含めた、核酸の送達に特に有用である。したがって、本発明の脂質ナノ粒子および組成物は、細胞を、本明細書に記載の1つまたは複数の新規のカチオン性脂質を含む脂質ナノ粒子と接触させることによって、in vitroとin vivoの両方で所望のタンパク質の発現を誘発させるために使用することができ、脂質ナノ粒子は、所望のタンパク質を生成するために発現される核酸(例えば、所望のタンパク質をコードしているメッセンジャーRNAまたはプラスミド)を封入または付随している。代わりに、本発明の脂質ナノ粒子および組成物は、細胞を、本明細書に記載の1つまたは複数の新規カチオン性脂質を含む脂質ナノ粒子と接触させることによって、in vitroとin vivoの両方で標的遺伝子およびタンパク質の発現を低減するために使用することができ、脂質ナノ粒子は、標的遺伝子の発現を減少させる核酸(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドまたは小分子干渉RNA(siRNA))を封入または付随している。本発明の脂質ナノ粒子および組成物はまた、異なる核酸(例えば、適切な遺伝子修飾酵素をコードするmRNAおよび宿主ゲノムへの組込みのためのDNAセグメント(複数可))の共局在化を必要とする作用を提供するために有用であり得るなど、異なる核酸(例えば、mRNAおよびプラスミドDNA)を別々にまたは組み合わせて共同送達するために使用することができる。
【0023】
本発明での使用のための核酸は、任意の利用可能な技術に従い調製することができる。mRNAに関して、調製の主要な方法は、これに限定されないが、長い配列に特異的なmRNAを生成する最も効率的な方法を現在代表する酵素合成(in vitro転写とも呼ばれる)である。in vitro転写は、目的の遺伝子をコードしている下流の配列に連結している上流バクテリオファージプロモーター配列(例えば、T7、T3およびSP6コリファージからのものを含むが、これらに限定されない)で構成される操作されたDNAテンプレートからのRNA分子のテンプレート指示合成のプロセスを記載する。テンプレートDNAは、これらに限定されないが、プラスミドDNAおよびポリメラーゼ連鎖反応増幅を含めた当技術分野で周知である適当な技術を用いて、いくつかの供給源からin vitro転写のために調製することができる(Linpinsel, J. L
およびConn, G. L.、General protocols for preparation of plasmid DNA template、ならびにBowman, J.C.、Azizi, B.、Lenz, T.K.、Ray, P.およびWilliams, L.D.、RNA in vitro transcription and RNA purification by denaturing PAGE in Recombinant and in vitro RNA syntheses Methods、941巻、Conn G.L.(編)、New York、N.Y. Humana Press、2012年を参照されたい)。
【0024】
RNAの転写は、生成したmRNA転写物の起こり得る分解を最小限に抑えながら、ポリメラーゼ活性を支持する条件下で、対応するRNAポリメラーゼならびにアデノシン、グアノシン、ウリジンおよびシチジンのリボヌクレオシド三リン酸(rNTP)の存在下で線状化DNAテンプレートを使用して、in vitroで起こる。in vitro転写は、これらに限定されないが、RiboMax Large Scale RNA Production System(Promega)、MegaScript Transcriptionキット(Life Technologies)を含めた様々な市販のキットを使用して、ならびにRNAポリメラーゼおよびrNTPを含めた市販の試薬を用いて実施することができる。mRNAのin vitro転写のための方法は当技術分野で周知である。(例えば、これらのすべてが参照により本明細書に組み込まれている、Losick, R.、1972年、In vitro transcription, Ann Rev Biochem、41巻、409~46頁;Kamakaka, R. T.およびKraus, W. L.、2001年、In Vitro Transcription. Current Protocols in Cell Biology.2:11.6:11.6.1~11.6.17;Beckert, B.およびMasquida, B.、(2010年)Synthesis of RNA by In Vitro Transcription in RNA in Methods in Molecular Biology、703巻(Neilson, H.編)、New York、N.Y. Humana Press、2010年;Brunelle, J.L.およびGreen, R.、2013年、第5章In vitro transcription from plasmid or PCR-amplified DNA, Methods in Enzymology、530巻、101~114頁を参照されたい)。
【0025】
次いで、所望の、in vitro転写されたmRNAは、転写または関連する反応の所望しない構成成分(取り込まれなかったrNTP、タンパク質酵素、塩、短いRNAオリゴなどを含む)から精製される。mRNA転写物の単離のための技術は当技術分野で周知である。周知の手順として、一価カチオンまたは塩化リチウムの存在下での、アルコール(エタノール、イソプロパノール)によるフェノール/クロロホルム抽出または沈殿が挙げられる。使用することができる精製手順の追加の、非限定的例として、サイズ排除クロマトグラフィー(Lukavsky, P.J.およびPuglisi, J.D.、2004年、Large-scale preparation and purification of polyacrylamide-free RNA oligonucleotides、RNA、10巻、889~893頁)、シリカベースの親和クロマトグラフィーおよびポリアクリルアミドゲル電気泳動(Bowman, J.C.、Azizi, B.、Lenz, T.K.、Ray, P.およびWilliams, L.D.、in RNA in vitro transcription and RNA purification by denaturing PAGE in Recombinant and in vitro RNA syntheses Methods、941巻、Conn G.L.(編)、New York、N.Y. Humana Press、2012年)が挙げられる。精製は、これらに限定されないが、S
V Total Isolation System(Promega)およびin Vitro Transcription Cleanup and Concentration Kit(Norgen Biotek)を含めた、様々な市販のキットを使用して実施することができる。
【0026】
さらに、逆転写は多量のmRNAを産生することができるが、その産物は、全長mRNAの調製物から除去する必要があり得る所望しないポリメラーゼ活性に伴ういくつかの異常なRNA不純物を含有する可能性がある。これらは、不完全な転写開始ならびにRNA依存性RNAポリメラーゼ活性、RNAテンプレートからの、RNAをプライマーとした転写、および自己相補性3’伸長により生成される二本鎖RNA(dsRNA)から生じる短いRNAを含む。dsRNA構造を有するこれらの混入物は、特定の核酸構造を認識し、強力な免疫応答を誘発するように機能する真核細胞内の様々な生得的免疫センサーとの相互作用を介して所望しない免疫刺激活性をもたらす可能性があることが実証されている。ひいてはこれによって、細胞の生得的免疫応答の間、タンパク質合成は減少するため、mRNA翻訳が劇的に減少する可能性がある。したがって、これに限定されないが、拡張可能なHPLC精製を含めた、これらのdsRNA混入物を除去するための追加的技術が開発され、当技術分野で公知である(例えばKariko, K.、Muramatsu, H.、Ludwig, J.およびWeissman, D.、2011年、Generating the optimal mRNA for therapy: HPLC purification eliminates immune activation and improves translation of nucleoside-modified, protein-encoding mRNA、Nucl Acid Res、39巻、el42;Weissman, D.、Pardi, N.、Muramatsu, H.およびKariko, K.、HPLC Purification of in vitro transcribed long RNA in Synthetic Messenger RNA and Cell Metabolism Modulation in Methods in Molecular Biology、969巻(Rabinovich, P.H.編)、2013年を参照されたい)。HPLC精製されたmRNAは、特に一次細胞およびin vivoでずっとより大きなレベルで翻訳されることが報告されている。
【0027】
in vitroで転写されたmRNAの特定の特性を変化させ、その有用性を改善するために使用されるかなり様々な修飾が当技術分野で記載されている。これらは、mRNAの5’および3’末端に対する修飾を含むが、これらに限定されない。内因性真核生物のmRNAは通常、mRNAキャップ結合タンパク質(CBP)の結合の媒介に重要な役割を果たす(これが、ひいては、細胞内のmRNA安定性およびmRNA翻訳の効率の増強に関与する)成熟分子の5’-末端上にキャップ構造を含有する。したがって、最高レベルのタンパク質発現が、キャッピングされたmRNA転写物を用いて達成される。5’-キャップは、最も5’側のヌクレオチドとグアニンヌクレオチドとの間の5’-5’-トリホスフェート結合を含有する。コンジュゲートグアニンヌクレオチドはN7位でメチル化されている。追加的修飾は、2’-ヒドロキシル基上の最も5’側のヌクレオチドおよび最も5’側から2番目のヌクレオチドのメチル化を含む。
【0028】
in vitroで転写された合成mRNAの5’-キャップを生成するために、複数の異なるキャップ構造を使用することができる。合成mRNAの5’-キャッピングは、ケミカルキャップアナログとの共転写により実施することができる(すなわち、in vitro転写中のキャッピング)。例えば、アンチリバースキャップアナログ(ARCA)キャップは、1つのグアニンがN7メチル基ならびに3’-O-メチル基を含有する5’-5’-トリホスフェートグアニン-グアニン結合を含有する。しかし、転写物の20%までが、この共転写プロセス中にキャッピングされないまま残り、合成キャップアナロ
グは本物の細胞mRNAの5’-キャップ構造と同一ではなくなり、翻訳可能性および細胞安定性を潜在的に減少させる。代わりに、合成mRNA分子はまた、転写後に酵素によりキャッピングされてもよい。これらは、キャップ結合タンパク質の結合が増強し、半減期が増加し、5’エンドヌクレアーゼに対する感受性が減少し、および/または5’デキャッピングが減少した内因性5’-キャップを構造的または機能的にさらに厳密に模倣するより本物の5’-キャップ構造を生成することができる。mRNA安定性および翻訳可能性を増強するために、多くの合成用5’-キャップアナログが開発され、当技術分野で公知である(例えば、Grudzien-Nogalska, E.、Kowalska, J.、Su, W.、Kuhn, A.N.、Slepenkov, S.V.、Darynkiewicz, E.、Sahin, U.、Jemielity, J.およびRhoads, R.E.、Synthetic mRNAs with superior translation and stability properties in Synthetic Messenger RNA and Cell Metabolism Modulation in Methods in Molecular Biology、969巻(Rabinovich, P.H.編)、2013年を参照されたい)。
【0029】
3’-末端において、アデニンヌクレオチドの長鎖(ポリAテール)は通常、RNAプロセシング中にmRNA分子に付加される。転写直後に、転写物の3’末端は切断されて、3’ヒドロキシルを解放し、これに対して、ポリアデニル化と呼ばれるプロセスにおいて、ポリAポリメラーゼはアデニンヌクレオチド鎖をRNAに付加する。ポリAテールは、mRNAの翻訳効率と安定性の両方を増強することが広く示されている(Bernstein, P.およびRoss, J.、1989年、Poly (A)、poly (A) binding protein and the regulation of mRNA stability、Trends Bio Sci、14巻、373~377頁;Guhaniyogi, J.およびBrewer, G.、2001年、Regulation of mRNA stability in mammalian cells、Gene、265巻、11~23頁;Dreyfus, M.およびRegnier, P.、2002年、The poly (A) tail of mRNAs: Bodyguard in eukaryotes, scavenger in bacteria、Cell、111巻、611~613頁を参照されたい)。
【0030】
in vitroで転写されたmRNAのポリ(A)テーリングは、これらに限定されないが、ポリ(T)領域のDNAテンプレートへのクローニングまたはポリ(A)ポリメラーゼを使用した転写後の付加を含めた様々な手法を使用して達成することができる。最初のケースは、ポリ(T)領域の大きさに応じて、定義された長さのポリ(A)テールを有するmRNAのin vitro転写を可能にするが、テンプレートの追加操作を必要とする。後者のケースは、アデニン残基の、RNAの3’末端への組込みを触媒するポリ(A)ポリメラーゼを使用して、ポリ(A)テールをin vitroで転写したmRNAに酵素的に付加することを含み、DNAテンプレートの追加操作は必要ないが、不均一な長さのポリ(A)テールを有するmRNAが結果として生じる。5’-キャッピングおよび3’-ポリ(A)テーリングは、これらに限定されないが、ポリ(A)ポリメラーゼテーリングキット(EpiCenter)、mMESSAGE mMACHINE T7 Ultraキットおよびポリ(A)テーリングキット(Life Technologies)を含めた様々な市販のキットを使用して、ならびに市販の試薬、様々なARCAキャップ、ポリ(A)ポリメラーゼなどを用いて実施することができる。
【0031】
5’キャップおよび3’ポリアデニル化に加えて、in vitro転写物の他の修飾が、翻訳の効率および安定性に関係するような利益を提供することが報告されている。病原体DNAおよびRNAは、真核細胞内の様々なセンサーにより認識され、強力な生得的
免疫応答を引き起こすことができることが当技術分野で周知されている。自然の供給源由来の大部分の核酸は修飾ヌクレオシドを含有するので、病原体DNAおよびRNAと、自己DNAおよびRNAとを判別する能力は、少なくとも部分的に構造およびヌクレオシド修飾に基づくことが示されている。対照的に、in vitroで合成したRNAは、これらの修飾を欠き、したがって免疫刺激性になり、これが、ひいては、上記に概説されているように有効なmRNA翻訳を阻害する可能性がある。in vitroで転写されたmRNAへの修飾ヌクレオシドの導入を使用して、RNAセンサーの認識および活性化を防止し、したがってこの所望しない免疫刺激活性を軽減し、翻訳能力を増強することができる(例えば、Kariko, K.およびWeissman, D.、2007年、Naturally occurring nucleoside modifications suppress the immunostimulatory activity of RNA: implication for therapeutic RNA development、Curr Opin Drug Discov Devel、10巻、523~532頁;Pardi, N.、Muramatsu, H.、Weissman, D.、Kariko, K.、In vitro transcription of long RNA containing modified nucleosides in Synthetic Messenger RNA and Cell Metabolism Modulation in Methods in Molecular Biology、969巻(Rabinovich, P.H.編)、2013年;Kariko, K.、Muramatsu, H.、Welsh, F.A.、Ludwig, J.、Kato, H.、Akira, S.、Weissman, D.、2008年、Incorporation of Pseudouridine Into mRNA Yields Superior Nonimmunogenic Vector With Increased Translational Capacity and Biological Stability、Mol Ther、16巻、1833~1840頁を参照されたい)。修飾RNAの合成に使用される修飾ヌクレオシドおよびヌクレオチドは、当技術分野で公知の一般的方法および手順を使用して、調製、モニターおよび利用することができる。単独でまたは他の修飾ヌクレオシドと組み合わせて、ある程度in vitroで転写されたmRNAに取り込むことができる多種多様のヌクレオシド修飾が利用可能である(例えば、US2012/0251618を参照されたい)。ヌクレオシド修飾されたmRNAのin vitro合成は、同時に翻訳能力を増強しながら、免疫センサーを活性化する能力を減少させることが報告されている。
【0032】
翻訳可能性および安定性に関する利益を提供するために修飾することができるmRNAの他の構成成分として、5’および3’の非翻訳領域(UTR)が挙げられる。両方ともまたは独立して、UTR(好ましい5’および3’UTRは細胞またはウイルスRNAから得ることができる)を最適化することは、in vitroで転写されたmRNAのmRNA安定性および翻訳効率を増加させることが示されている(例えば、Pardi, N.、Muramatsu, H.、Weissman, D.、Kariko, K.、In vitro transcription of long RNA containing modified nucleosides in Synthetic Messenger RNA and Cell Metabolism Modulation in Methods in Molecular Biology、969巻(Rabinovich, P.H.編)、2013年を参照されたい)。
【0033】
mRNAに加えて、他の核酸ペイロードを本発明に使用することができる。オリゴヌクレオチドに対して、調製の方法として、これらに限定されないが、長い前駆体の化学合成および酵素的、化学的切断、上記のようなin vitro転写などが挙げられる。DNAおよびRNAヌクレオチドを合成する方法は、当技術分野で広く使用され、周知である
(例えば、両方とも参照により本明細書に組み込まれている、Gait, M. J.(編)Oligonucleotide synthesis: a practical approach, Oxford [Oxfordshire]、Washington、D.C.: IRL Press、1984年;およびHerdewijn, P.(編)Oligonucleotide synthesis: methods and applications、Methods in Molecular Biology、288巻(Clifton, N.J.)Totowa, N.J.: Humana Press、2005年を参照されたい)。
【0034】
プラスミドDNAに関して、本発明での使用のための調製は、これらに限定されないが、目的のプラスミドを含有する細菌の液体培養物中のin vitroでのプラスミドDNAの増大および単離を一般的に利用する。特定の抗生剤(ペニシリン、カナマイシンなど)に対する耐性をコードする目的のプラスミドに遺伝子が存在することにより、目的のプラスミドを含有する細菌を、抗生剤を含有する培養物中で選択的に増殖させることが可能となる。プラスミドDNAを単離する方法は当技術分野で広く使用され、周知である(例えば、Heilig, J.、Elbing, K. L.およびBrent, R(2001年)Large-Scale Preparation of Plasmid DNA. Current Protocols in Molecular Biology.、41巻:II号:1.7:1.7.1~1.7.16頁;Rozkov, A.、Larsson, B.、Gillstrom, S.、Bjornestedt, R.、およびSchmidt, S. R.(2008年)、Large-scale production of endotoxin-free plasmids for transient expression in mammalian cell culture. Biotechnol. Bioeng.、99巻:557~566頁;およびUS6197553B1を参照されたい)。プラスミド単離は、これらに限定されないが、Plasmid Plus(Qiagen)、GenJET プラスミドMaxiPrep(Thermo)およびPure Yield MaxiPrep(Promega)キットを含めた様々な市販のキットを使用して、ならびに市販の試薬を用いて実施することができる。
【0035】
遺伝子およびタンパク質発現をモジュレートする核酸などの活性薬剤または治療剤を送達するための、本発明のカチオン性脂質、これを含む脂質ナノ粒子および組成物、ならびにこれらの使用の様々な例示的な実施形態が、以下にさらに詳細に記載されている。
【0036】
本明細書で使用される場合、他に特定されていない限り、以下の用語は、これらに属する意味を有する。
【0037】
特に文脈上異なって理解されることを要しない限り、本明細書および特許請求の範囲を通して、単語「含む」およびその変形形態、例えば、「含む(comprises)」および「含むこと」などは、開かれた、包括的な意味、すなわち、「~を含むが、これらに限定されない」と解釈されるものとする。
【0038】
本明細書全体にわたり「一実施形態」または「ある実施形態」への言及は、この実施形態に関連して記載されている特定の特色、構造または特徴が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれていることを意味する。したがって、本明細書全体にわたり様々な箇所における「一実施形態では」または「ある実施形態では」という句の出現は、必ずしもすべてが同じ実施形態について言及しているわけではない。さらに、特定の特色、構造、または特徴は、1つまたは複数の実施形態において任意の適切な方式で組み合わせてもよい。
【0039】
他に定義されていない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は
、本発明が属する分野の当業者により共通して理解されているものと同じ意味を有する。明細書および特許請求の範囲において使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、特に文脈上そうではないことが明確に指示されていない限り、複数の言及を含む。
【0040】
「所望のタンパク質の発現を誘発する」という句は、所望のタンパク質の発現を増加させる核酸の能力を指す。タンパク質発現の程度を調査するため、試験試料(例えば、所望のタンパク質を発現する培養中の細胞試料)または試験哺乳動物(例えば、哺乳動物、例えば、ヒトなどまたは動物モデル、例えば、げっ歯類(例えば、マウス)などまたはヒト以外の霊長類(例えば、サル)モデル)を核酸(例えば、本発明の脂質と組み合わせた核酸)と接触させる。試験試料または試験動物における所望のタンパク質の発現を、核酸と接触させていない、または核酸が投与されていない対照試料(例えば、所望のタンパク質を発現する培養中の細胞試料)または対照哺乳動物(例えば、哺乳動物、例えば、ヒトなどまたは動物モデル、例えば、げっ歯類(例えば、マウス)などまたはヒト以外の霊長類(例えば、サル)モデル)中の所望のタンパク質の発現と比較する。所望のタンパク質が対照試料または対照哺乳動物に存在する場合、対照試料または対照哺乳動物中の所望のタンパク質の発現に1.0の値を割り当てることができる。特定の実施形態では、所望のタンパク質の発現の誘発は、試験試料または試験哺乳動物中の所望のタンパク質発現の、対照試料または対照哺乳動物中の所望のタンパク質発現のレベルに対する比が1を超えた場合、例えば、約1.1、1.5、2.0、5.0または10.0である場合達成される。所望のタンパク質が対照試料または対照哺乳動物中に存在しない場合、所望のタンパク質の発現の誘発は、試験試料または試験哺乳動物中で、任意の測定可能なレベルの所望のタンパク質が検出された場合達成される。当業者であれば、試料中のタンパク質発現レベルを判定するのに適当なアッセイ、例えばドットブロット、ノーザンブロット、インサイチュハイブリダイゼーション、ELISA、免疫沈降、酵素機能、および表現型アッセイ、または適当な条件下で蛍光もしくは発光を生成できるリポータータンパク質に基づくアッセイを理解している。
【0041】
「標的遺伝子の発現を阻害する」という句は、標的遺伝子の発現をサイレンシングさせる、減少させる、または阻害する核酸の能力を指す。遺伝子サイレンシングの程度を調査するために、試験試料(例えば、標的遺伝子を発現する培養中の細胞試料)または試験哺乳動物(例えば、哺乳動物、例えば、ヒトなどまたは動物モデル、例えば、げっ歯類(例えば、マウス)などまたはヒト以外の霊長類(例えば、サル)モデル)を、標的遺伝子の発現をサイレンシングさせる、減少させる、または阻害する核酸と接触させる。試験試料または試験動物中の標的遺伝子の発現を、核酸と接触させていない、または核酸が投与されていない対照試料(例えば、標的遺伝子を発現する培養中の細胞試料)または対照哺乳動物(例えば、哺乳動物、例えば、ヒトなどまたは動物モデル、例えば、げっ歯類(例えば、マウス)などまたはヒト以外の霊長類(例えば、サル)モデル)中の標的遺伝子の発現と比較する。対照試料または対照哺乳動物中の標的遺伝子の発現に、100%の値を割り当てることができる。特定の実施形態では、標的遺伝子の発現のサイレンシング、阻害、または減少は、対照試料または対照哺乳動物中の標的遺伝子発現のレベルに対する、試験試料または試験哺乳動物中の標的遺伝子の発現レベルが約95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、5%、または0%である場合達成される。言い換えると、核酸は、核酸と接触させていない、または核酸が投与されていない対照試料または対照哺乳動物中の標的遺伝子の発現レベルに対して、試験試料または試験哺乳動物中で標的遺伝子の発現を、少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%サイレンシング、減少させる、または阻害することが可能である。標的遺伝子の発現レベルを判定するのに適切なアッセイとして、限定
されないが、当業者に公知の技術、例えば、ドットブロット、ノーザンブロット、インサイチュハイブリダイゼーション、ELISA、免疫沈降、酵素機能、ならびに当業者に公知の表現型アッセイなどを使用したタンパク質またはmRNAレベルの調査が挙げられる。
【0042】
活性薬剤または治療剤、例えば、治療用核酸などの「有効量」または「治療有効量」とは、所望の効果、例えば、核酸の不在下で検出された通常の発現レベルと比較して、標的配列の発現の増加または阻害を生じるのに十分な量である。標的配列の発現の増加は、核酸の不在下では存在しない発現産物のケースでは、任意の測定可能なレベルが検出された場合達成される。核酸との接触以前に発現産物があるレベルで存在するケースでは、発現の増加は、mRNAなどの核酸を用いて得た値の倍増が、対照に対して、約1.05、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.75、2、2.5、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、40、50、75、100、250、500、750、1000、5000、10000倍またはそれ超である場合達成される。標的遺伝子または標的配列の発現の阻害は、アンチセンスオリゴヌクレオチドなどの核酸を用いて得た値が、対照に対して、約95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、5%、または0%である場合達成される。標的遺伝子または標的配列の発現を測定するのに適切なアッセイとして、例えば、当業者に公知の技術、例えば、ドットブロット、ノーザンブロット、インサイチュハイブリダイゼーション、ELISA、免疫沈降、酵素機能、適切なリポータータンパク質の蛍光または発光、ならびに当業者に公知の表現型アッセイなどを使用したタンパク質またはRNAレベルの調査が挙げられる。
【0043】
本明細書で使用される「核酸」という用語は、一本鎖または二本鎖のいずれかの形態で少なくとも2つのデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドを含有するポリマーを指し、DNA、RNA、およびそのハイブリッドを含む。DNAは、アンチセンス分子、プラスミドDNA、cDNA、PCR産物、またはベクターの形態であってよい。RNAは、小さなヘアピンRNA(shRNA)、メッセンジャーRNA(mRNA)、アンチセンスRNA、miRNA、micRNA、多価RNA、ダイサー基質RNAまたはウイルスRNA(vRNA)、およびこれらの組合せの形態であってよい。核酸は、合成、天然、および非天然のものであり、基準核酸と同様の結合特性を有する、公知のヌクレオチドアナログまたは修飾された骨格残基または結合を含有する核酸を含む。このようなアナログの例として、限定されないが、ホスホロチオエート、ホスホルアミデート、メチルホスホネート、キラルメチルホスホネート、2’-O-メチルリボヌクレオチド、およびペプチド-核酸(PNA)が挙げられる。具体的に限定されない限り、この用語は、基準核酸と同様の結合特性を有する自然のヌクレオチドの公知のアナログを含有する核酸を包含する。他に指示されていない限り、特定の核酸配列はまた、伝統的方式で修飾されたその変形(例えば、縮退コドン置換)、対立遺伝子、オルソログ、単一ヌクレオチド多型、および相補性配列ならびに明示的に示された配列も暗示的に包含する。具体的には、縮退コドン置換は、1つまたは複数の選択された(またはすべての)コドンの3位が混合塩基および/またはデオキシイノシン残基で置換されている配列を生成することによって達成され得る(Batzerら、Nucleic Acid Res.、19巻:5081頁(1991年);Ohtsukaら、J. Biol. Chem.、260巻:2605~2608頁(1985年);Rossoliniら、Mol. Cell. Probes、8巻:91~98頁(1994年))。「ヌクレオチド」は、糖デオキシリボース(DNA)またはリボース(RNA)、塩基、およびリン酸基を含有する。ヌクレオチドは、リン酸基を介して一緒に連結している。「塩基」は、プリンおよびピリミジンを含み、このプリンおよびピリミジンは、自然化合物のアデニン、チミン、グアニン、シトシン、ウラシル、イノシン、および自然のアナログ、ならびにプリンおよびピリミジンの合成誘導体をさらに含み、このプリンおよびピリミジンの合成誘導体は、例えば、これらに
限定されないが、アミン、アルコール、チオール、カルボキシレート、およびアルキルハロゲン化物などの新規反応性基を配置する修飾を含むが、これに限定されない。
【0044】
「遺伝子」という用語は、ポリペプチドまたは前駆体ポリペプチドの産生に必要な部分的長さまたは全長のコード配列を含む核酸(例えば、DNAまたはRNA)配列を指す。
【0045】
「遺伝子産物」とは、本明細書で使用される場合、RNA転写物またはポリペプチドなどの遺伝子の産物を指す。
【0046】
「脂質」という用語は、これらに限定されないが、脂肪酸のエステルを含み、水中では難溶解性であるが、多くの有機溶媒中では溶解性であることを一般的に特徴とする有機化合物の群を指す。脂質は、少なくとも3つのクラスに通常分割される:(1)「単純な脂質」、これは脂肪および油ならびに蝋を含む、(2)「複合脂質」、これは、リン脂質および糖脂質を含む、ならびに(3)「誘導脂質」、例えば、ステロイドなど。
【0047】
「ステロイド」は、以下の炭素骨格:
【化3】
を含む化合物である。ステロイドの非限定的例として、コレステロールなどが挙げられる。
【0048】
「カチオン性脂質」とは、正に帯電することが可能な脂質を指す。例示的なカチオン性脂質は、正電荷を保持する1つまたは複数のアミン基を含む。好ましいカチオン性脂質は、これらが、pHに応じて、正に帯電しているか、または中性の形態で存在できるようにイオン化できる。カチオン性脂質のイオン化は、異なるpH条件下での脂質ナノ粒子の表面電荷に影響を及ぼす。この電荷状態は、血漿タンパク質吸収、血液クリアランスおよび組織分布(Semple, S.C.ら、Adv. Drug Deliv Rev、32巻:3~17頁(1998年))ならびに核酸の細胞内送達に重要な意味を持つエンドソーム溶解性の非二重層構造を形成する能力(Hafez, I.M.ら、Gene Ther 8巻:1188~1196頁(2001年))に影響を及ぼし得る。
【0049】
「脂質ナノ粒子」という用語は、式(I)の化合物または他の特定されたカチオン性脂質の1つまたは複数を含む、少なくとも1つのナノメートル程度の(例えば、1~1,000nm)寸法を有する粒子を指す。一部の実施形態では、脂質ナノ粒子は、目的の標的部位(例えば、細胞、組織、器官、腫瘍など)に活性薬剤または治療剤、例えば、核酸(例えば、mRNA)などを送達するために使用することができる製剤に含まれている。一部の実施形態では、本発明の脂質ナノ粒子は核酸を含む。このような脂質ナノ粒子は通常、式(I)の化合物と、中性脂質、荷電脂質、ステロイドおよびポリマーコンジュゲート脂質から選択される1つまたは複数の賦形剤とを含む。一部の実施形態では、活性薬剤または治療剤、例えば、核酸などは、脂質ナノ粒子の脂質部分または脂質ナノ粒子の脂質部分の一部もしくはすべてにより包まれた水性空間に封入され、これによって、宿主生物または細胞の機構、例えば、有害な免疫応答により誘発される酵素的分解または他の有害作用からこれを保護することができる。
【0050】
様々な実施形態では、脂質ナノ粒子は、約30nm~約150nm、約40nm~約1
50nm、約50nm~約150nm、約60nm~約130nm、約70nm~約110nm、約70nm~約100nm、約80nm~約100nm、約90nm~約100nm、約70~約90nm、約80nm~約90nm、約70nm~約80nm、または約30nm、35nm、40nm、45nm、50nm、55nm、60nm、65nm、70nm、75nm、80nm、85nm、90nm、95nm、100nm、105nm、110nm、115nm、120nm、125nm、130nm、135nm、140nm、145nm、または150nmの平均径を有し、実質的に無毒性である。ある特定の実施形態では、核酸は、脂質ナノ粒子中に存在する場合、水溶液中で、ヌクレアーゼによる分解に対して耐性がある。核酸を含む脂質ナノ粒子およびこれらの調製方法は、例えば、すべての目的のために、これら全体においてその完全な開示が参照により本明細書に組み込まれている、米国特許公開第2004/0142025号、第2007/0042031号およびPCT公開WO2013/016058およびWO2013/086373に開示されている。
【0051】
本明細書で使用される場合、「~が封入された脂質」とは、完全な封入、部分的な封入、または両方を用いて、活性薬剤または治療剤、例えば、核酸(例えば、mRNA)などを提供する脂質ナノ粒子を指す。ある実施形態では、核酸(例えば、mRNA)は脂質ナノ粒子内に完全に封入されている。
【0052】
「ポリマーコンジュゲート脂質」という用語は、脂質部分とポリマー部分の両方を含む分子を指す。ポリマーコンジュゲート脂質の例はペグ化脂質である。「ペグ化脂質」という用語は、脂質部分とポリエチレングリコール部分の両方を含む分子を指す。ペグ化脂質は当技術分野で公知であり、1-(モノメトキシ-ポリエチレングリコール)-2,3-ジミリストイルグリセロール(PEG-DMG)などを含む。
【0053】
「中性脂質」という用語は、選択されたpHにおいて、帯電していないか、または中性の双性イオン形態のいずれかで存在するいくつかの脂質種のいずれかを指す。生理学的pHでのこのような脂質として、これらに限定されないが、ホスホチジルコリン、例えば、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DPPC)、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DMPC)、1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(POPC)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC)、ホスファチジルエタノールアミン(phophatidylethanolamines)例えば、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)、スフィンゴミエリン(SM)、セラミドなど、ステロイド、例えば、ステロールなどおよびこれらの誘導体が挙げられる。中性脂質は、合成でも、または自然由来でもよい。
【0054】
「荷電脂質」という用語は、有用な生理学的な範囲内のpH、例えばpH約3~pH約9であるかに関係なく、正に帯電または負に帯電した形態で存在するいくつかの脂質種のいずれかを指す。荷電脂質は合成でもまたは自然由来でもよい。荷電脂質の例として、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、ステロールヘミスクシネート、ジアルキルトリメチルアンモニウム-プロパン、(例えばDOTAP、DOTMA)、ジアルキルジメチルアミノプロパン、エチルホスホコリン、ジメチルアミノエタンカルバモイルステロール(例えばDC-Chol)が挙げられる。
【0055】
本明細書で使用される場合、「水溶液」という用語は、水を含む組成物を指す。
【0056】
核酸脂質ナノ粒子に関連して「血清安定している」とは、遊離DNAまたはRNAを有
意に分解する、血清またはヌクレアーゼアッセイへの曝露後、ヌクレオチドが有意に分解しないことを意味する。適切なアッセイとして、例えば、標準血清アッセイ、DNAseアッセイ、またはRNAseアッセイが挙げられる。
【0057】
「全身送達」は、本明細書で使用される場合、生物内で活性薬剤の広範囲な曝露をもたらすことができる治療用製品の送達を指す。一部の投与技術は、ある特定の薬剤の全身送達をもたらすことができるが、他の薬剤はできない。全身送達とは、薬剤の有用な、好ましくは治療用の量が身体の大部分に曝露されることを意味する。脂質ナノ粒子の全身送達は、例えば、静脈内、動脈内、皮下、および腹腔内送達を含めた当技術分野で公知の任意の手段によることができる。一部の実施形態では、脂質ナノ粒子の全身送達は静脈内送達による。
【0058】
「局所送達」とは、本明細書で使用される場合、生物内の標的部位に直接活性薬剤を送達することを指す。例えば、薬剤は、疾患部位、例えば、腫瘍など、他の標的部位、例えば、炎症部位など、または標的器官、例えば、肝臓、心臓、膵臓、腎臓などに直接注射することにより局所的に送達できる。局所送達はまた、局所的適用または局所的注射の技術、例えば、筋肉内、皮下または皮内注射などを含むことができる。局所送達は、全身性薬理効果を妨げない。
【0059】
「アルキル」とは、飽和または不飽和(すなわち、1つまたは複数の二重および/または三重結合を含有する)であり、1~24個の炭素原子(C~C24アルキル)、1~12個の炭素原子(C~C12アルキル)、1~8個の炭素原子(C~Cアルキル)または1~6個の炭素原子(C~Cアルキル)を有し、単結合により残りの分子に結合している炭素および水素原子のみからなる直鎖状または分岐状の炭化水素鎖基、例えば、メチル、エチル、nプロピル、1メチルエチル(イソプロピル)、nブチル、nペンチル、1,1ジメチルエチル(tブチル)、3メチルヘキシル、2メチルヘキシル、エテニル、プロパ1エニル、ブタ1エニル、ペンタ1エニル、ペンタ1,4ジエニル、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニルなどを指す。明細書中でそうではないことが具体的に述べられていない限り、アルキル基は任意選択で置換されている。
【0060】
「シクロアルキル」または「炭素環」は、縮合または架橋した環系を含んでもよく、3~15個の炭素原子を有し、好ましくは3~10個の炭素原子を有し、飽和または不飽和であり、単結合により残りの分子に結合している、炭素および水素原子のみからなる安定した非芳香族の単環式または多環式炭化水素基を指す。単環式基として、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、およびシクロオクチルが挙げられる。多環式基として、例えば、アダマンチル、ノルボルニル、デカリニル、7,7ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタニルなどが挙げられる。明細書中でそうではないことが具体的に述べられていない限り、シクロアルキル基は任意選択で置換されている。
【0061】
「ヘテロシクリル」または「複素環」は、2~12個の炭素原子、ならびに窒素、酸素および硫黄からなる群から選択される1~6個のヘテロ原子からなる安定した3~18員の非芳香族環の基を指す。本明細書中でそうではないことが具体的に述べられていない限り、ヘテロシクリル基は、縮合または架橋した環系を含んでもよい、単環式、二環式、三環式または四環式環系であってよく、ヘテロシクリル基の窒素、炭素または硫黄原子は、任意選択で酸化されていてもよく、窒素原子は任意選択で四級化されていてもよく、ヘテロシクリル基は部分的または完全に飽和していてもよい。このようなヘテロシクリル基の例として、これらに限定されないが、ジオキソラニル、チエニル[1,3]ジチアニル、デカヒドロイソキノリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、イソチアゾリジニル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、オクタヒドロインドリル、オクタヒドロイソインド
リル、2-オキソピペラジニル、2-オキソピペリジニル、2-オキソピロリジニル、オキサゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、4-ピペリドニル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、キヌクリジニル、チアゾリジニル、テトラヒドロフリル、トリチアニル、テトラヒドロピラニル、チオモルホリニル、チアモルホリニル、1-オキソ-チオモルホリニル、および1,1-ジオキソ-チオモルホリニルが挙げられる。本明細書中でそうではないことが具体的に述べられていない限り、ヘテロシクリル基は任意選択で置換されていてもよい。
【0062】
本明細書で使用される「置換されている」という用語は、少なくとも1個の水素原子が、非水素原子、例えば、これに限定されないが、ハロゲン原子、例えば、F、Cl、Br、およびIなど;オキソ基(=O);ヒドロキシル基(-OH);アルコキシ基(-OR、式中、RはC~C12アルキルまたはシクロアルキルである);カルボキシル基(-OC(=O)Rまたは-C(=O)OR、式中、Rは、H、C~C12アルキルまたはシクロアルキルである);アミン基(-NR、式中、RおよびRは、それぞれ独立して、H、C~C12アルキルまたはシクロアルキルである);C~C12アルキル基;ならびにシクロアルキル基との結合により置き換えられている、上記の基のいずれか(例えば、アルキル、シクロアルキルまたはヘテロシクリル)を意味する。一部の実施形態では、置換基はC~C12アルキル基である。他の実施形態では、置換基はシクロアルキル基である。他の実施形態では、置換基は、ハロ基、例えば、フルオロなどである。他の実施形態では、置換基はオキソ基である。他の実施形態では、置換基はヒドロキシル基である。他の実施形態では、置換基はアルコキシ基である。他の実施形態では、置換基はカルボキシル基である。他の実施形態では、置換基はアミン基である。
【0063】
「任意選択の」または「任意選択で」(例えば、任意選択で置換されている)は、続いて記載されている状況の事象が起こっても、または起こらなくてもよいことを意味し、記載は、前記事象または状況が起こった場合と、それが起こらない場合とを意味する。例えば、「任意選択で置換されているアルキル」とは、アルキル基は、置換されていても、または置換されていなくてもよいことを意味し、記載は置換アルキル基と置換を有さないアルキル基の両方を含むことを意味する。
【0064】
「プロドラッグ」とは、生理的条件下で、または本発明の生物活性のある化合物への加溶媒分解により、変換することができる化合物を示すことを意図する。したがって、「プロドラッグ」という用語は、薬学的に許容される本発明の化合物の代謝性前駆体を指す。プロドラッグは、それを必要とする対象に投与された時点で不活性であってよいが、in vivoで本発明の活性化合物に変換される。プロドラッグは通常、例えば、血中の加水分解により、in vivoで急速に変換されて、本発明の親化合物を産生する。プロドラッグ化合物は、哺乳動物の生物において、溶解性、組織適合性または遅延放出という利点をしばしばもたらす(Bundgard, H.、Design of Prodrugs(1985年)、7~9頁、21~24頁(Elsevier、Amsterdam)を参照されたい)。プロドラッグの議論は、Higuchi, Tら、A.C.S. Symposium Series、14巻およびBioreversible Carriers in Drug Design、Edward B. Roche編、American Pharmaceutical Association and Pergamon Press、1987年において提供されている。
【0065】
「プロドラッグ」という用語はまた、このようなプロドラッグが哺乳動物の対象に投与された場合に本発明の活性化合物をin vivoで放出する任意の共有結合した担体を含むことを意図する。本発明の化合物のプロドラッグは、修飾が、規定通りの操作またはin vivoのいずれかで切断されて本発明の親化合物になるように、本発明の化合物中に存在する官能基を修飾することによって調製することができる。プロドラッグは、ヒ
ドロキシ、アミノまたはメルカプト基が任意の基に結合し、本発明の化合物のプロドラッグが、哺乳動物の対象に投与された場合、この任意の基が切断されて、遊離ヒドロキシ、遊離アミノまたは遊離メルカプト基をそれぞれ形成する本発明の化合物を含む。プロドラッグの例として、これらに限定されないが、本発明の化合物中のアルコールのアセテート、ホルメートおよびベンゾエート誘導体またはアミン官能基のアミド誘導体などが挙げられる。
【0066】
本明細書で開示されている本発明はまた、1個または複数の原子が、異なる原子量または質量数を有する原子で置き換えられることにより同位体標識されている、式(I)または(II)の化合物のすべての薬学的に許容される化合物を包含することを意図する。開示化合物に取り込むことができる同位体の例として、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素、塩素、およびヨウ素の同位体、例えば、それぞれH、H、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、31P、32P、35S、18F、36Cl、123I、および125Iなどが挙げられる。これらの放射標識した化合物は、例えば、作用部位もしくは作用機序、または薬理学的に重要な作用部位への結合親和性を特徴付けることにより、化合物の有効性を判定または測定するのを助けるのに有用であり得る。構造(I)または(II)のある特定の同位体で標識された化合物、例えば、放射性同位体を取り込んでいるものなどは、薬物および/または基質組織分布研究において有用である。放射性同位元素トリチウム、すなわち、H、および炭素14、すなわち、14Cは、これらの組込みの容易さおよび素早い検出手段を考慮すると、この目的に特に有用である。
【0067】
より重い同位体、例えば、重水素、すなわち、Hなどによる置換は、より大きな代謝安定性、例えば、in vivo半減期の増加または必要用量の減少に起因するある特定の治療上の利点をもたらすことができるので、一部の状況では好ましいこともある。
【0068】
ポジトロン発光同位体、例えば、11C、18F、15Oおよび13Nなどによる置換は、基質受容体占有率を調査するためのポジトロン放出トポグラフィー(PET)研究において有用であり得る。構造(I)または(II)の同位体標識された化合物は、当業者に公知の従来の技術によって、または以前に利用した非標識試薬の代わりに、適当な同位体標識した試薬を使用して、以下に提示されているように、調製および実施例に記載されているものと類似のプロセスにより一般的に調製することができる。
【0069】
本明細書で開示されている本発明はまた、開示化合物のin vivo代謝産物を包含することを意図する。このような産物は、主に酵素的プロセスによる、例えば、投与された化合物の酸化、還元、加水分解、アミド化、エステル化などから生じ得る。したがって、本発明は、その代謝産物を産生するのに十分な期間、本発明の化合物を哺乳動物に投与することを含むプロセスにより生成される化合物を含む。このような産物は、本発明の放射標識した化合物を検出可能な用量で、ラット、マウス、モルモット、サル、またはヒトなどの動物に投与し、代謝が起きるだけの十分な時間を割り当て、尿、血液または他の生物試料からその変換産物を単離することによって通常同定される。
【0070】
「安定した化合物」および「安定した構造」とは、反応混合物から有用な程度の純度への単離および効果的治療剤への製剤化に耐え抜くのに十分に強固な化合物を示すことを意図する。
【0071】
「哺乳動物」は、ヒトならびに家畜、例えば、実験動物および家庭のペット(例えば、ネコ、イヌ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ウサギ)と、非家畜動物、例えば、野生生物などの両方を含む。
【0072】
「薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤」として、限定されないが、任意のアジュバント、担体、賦形剤、流動促進剤、甘味剤、希釈剤、防腐剤、色素/着色剤、香味向上剤、界面活性剤、湿潤剤、分散剤、懸濁化剤、安定剤、等張剤、溶媒、または乳化剤が挙げられ、これらは、ヒトまたは家畜における使用が許容されるとして米国食品医薬品局により認可されたものである。
【0073】
「薬学的に許容される塩」は、酸付加塩と塩基付加塩の両方を含む。
【0074】
「薬学的に許容される酸付加塩」とは、遊離塩基の生物学的有効性および特性を保持し、生物学的にまたは他の点で有害ではなく、無機酸、例えば、これらに限定されないが、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸など、および有機酸、例えば、これらに限定されないが、酢酸、2,2-ジクロロ酢酸、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、4-アセトアミド安息香酸、樟脳酸、樟脳-10-スルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、炭酸、ケイヒ酸、クエン酸、シクラミン酸、ドデシル硫酸、エタン-1,2-ジスルホン酸、エタンスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチシン酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルタミン酸、グルタル酸、2-オキソ-グルタル酸、グリセロリン酸、グリコール酸、馬尿酸、イソ酪酸、乳酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、ニコチン酸、オレイン酸、オロチン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、プロピオン酸、ピログルタミン酸、ピルビン酸、サリチル酸、4-アミノサリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、酒石酸、チオシアン酸、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、ウンデシレン酸などと一緒に形成される塩を指す。
【0075】
「薬学的に許容される塩基付加塩」とは、遊離酸の生物学的有効性および特性を保持し、生物学的にまたはその他の点で有害ではない塩を指す。これらの塩は、無機塩基または有機塩基の遊離酸への付加から調製される。無機塩基に由来する塩として、これらに限定されないが、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウム塩などが挙げられる。好ましい無機塩は、アンモニウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、およびマグネシウム塩である。有機塩基に由来する塩として、これらに限定されないが、第一級、第二級、および第三級アミン、天然置換アミンを含めた置換アミン、環状アミンおよび塩基性イオン交換樹脂の塩、例えば、アンモニア、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、ジエタノールアミン、エタノールアミン、デアノール、2-ジメチルアミノエタノール、2-ジエチルアミノエタノール、ジシクロヘキシルアミン、リシン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒドラバミン、コリン、ベタイン、ベネタミン、ベンザチン、エチレンジアミン、グルコサミン、メチルグルカミン、テオブロミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、プリン、ピペラジン、ピペリジン、N-エチルピペリジン、ポリアミン樹脂などが挙げられる。特に好ましい有機塩基は、イソプロピルアミン、ジエチルアミン、エタノールアミン、トリメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、コリンおよびカフェインである。
【0076】
結晶化は多くの場合、本発明の化合物の溶媒和物を生成する。本明細書で使用される場合、「溶媒和物」という用語は、本発明の化合物の1個または複数の分子と、溶媒の1個または複数の分子とを含む凝集体を指す。溶媒は水であってよく、このケースでは、溶媒和物は水和物であってよい。代わりに、溶媒は有機溶媒であってよい。したがって、本発明の化合物は、一水和物、二水和物、半水化物、セスキ水和物、三水和物、四水和物などを含めた水和物、ならびに対応する溶媒和形態として存在し得る。本発明の化合物は真の溶媒和物であってよいが、その一方で、他のケースでは、本発明の化合物は、単に外来性
の水を保持してもよいし、または水とある外来性溶媒の混合物であってもよい。
【0077】
「医薬組成物」とは、本発明の化合物と、哺乳動物、例えば、ヒトに生物活性化合物を送達するために当技術分野で一般的に認められた媒体との製剤を指す。このような媒体として、このためのすべての薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤が挙げられる。
【0078】
「有効量」または「治療有効量」とは、哺乳動物、好ましくはヒトに投与された場合、哺乳動物、好ましくはヒトにおける処置を実行するのに十分である、本発明の化合物の量を指す。「治療有効量」を構成する本発明の脂質ナノ粒子の量は、化合物、状態およびその重症度、投与方式、ならびに処置すべき哺乳動物の年齢に応じて変動することになるが、当業者であれば、自身の知識および本開示を考慮して規定通りに決定することができる。
【0079】
本明細書で使用される「処置する」または「処置」は、目的の疾患または状態を有する哺乳動物、好ましくはヒトにおける目的の疾患または状態の処置を網羅し、
(i)哺乳動物において、特に、このような哺乳動物がその状態に罹りやすくなっているが、それを有するとまだ診断されていない場合、その疾患もしくは状態が生じるのを防止すること、
(ii)疾患もしくは状態を阻害する、すなわち、その発症を抑止すること、
(iii)疾患もしくは状態を緩和する、すなわち、その疾患もしくは状態の退行を引き起こすこと、または
(iv)疾患もしくは状態に起因する症状を緩和する、すなわち、根底にある疾患もしくは状態に対処することなく疼痛を緩和すること
を含む。本明細書で使用される場合、「疾患」および「状態」という用語は、交換可能に使用してもよいし、または特定の疾病もしくは状態が公知の原因物質を有さないこともあり(そのため、原因がまだ解決されておらず)、したがって疾患としてまだ認識されていないが、望ましくない状態もしくは症候群としてのみ認識され、程度の差はあるが特定の一連の症状が臨床医により確認されているという点で異なる場合もある。
【0080】
本発明の化合物またはこれらの薬学的に許容される塩は、1つまたは複数の不斉中心を含有することができ、したがって、アミノ酸に対して、絶対立体化学の点から(R)-もしくは(S)-、または(D)-もしくは(L)-と定義することができるエナンチオマー、ジアステレオマー、および他の立体異性形態を生じることができる。本発明は、すべてのこのような可能な異性体、ならびにこれらのラセミおよび光学的に純粋な形態を含むことを意図する。光学活性(+)および(-)、(R)-および(S)-、または(D)-および(L)-異性体は、キラルシントンもしくはキラル試薬を使用して調製してもよいし、または従来技術、例えば、クロマトグラフィーおよび分別再結晶を使用して分割してもよい。個々のエナンチオマーの調製/単離の従来技術は、適切な光学的に純粋な前駆体からのキラル合成、または、例えば、キラル高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用したラセミ体(または塩もしくは誘導体のラセミ体)の分割を含む。本明細書に記載の化合物がオレフィン二重結合または他の幾何的不斉中心を含有する場合、他に特定されていない限り、化合物は、EとZの両方の幾何異性体を含むことが意図される。同様に、すべての互変異性形態もまた含まれることが意図される。
【0081】
「立体異性体」とは、同じ結合により結合した同じ原子で構成されるが、交換可能ではない異なる三次元構造を有する化合物を指す。本発明は、様々な立体異性体およびその混合物を想定し、「エナンチオマー」を含み、「エナンチオマー」とは、その分子が互いに重ね合わせ不可能なミラーイメージである2つの立体異性体を指す。
【0082】
「互変異性体」とは、分子の1個の原子から、同じ分子の別の原子へのプロトン移動を
指す。本発明は任意の前記化合物の互変異性体を含む。
【0083】
化合物
ある態様では、本発明は、オリゴヌクレオチドと共に脂質ナノ粒子を形成するために、他の脂質成分、例えば、中性脂質、荷電脂質、ステロイドおよび/またはポリマーコンジュゲート脂質などと組み合わせることが可能である新規脂質化合物を提供する。理論に制約されることを望むことなく、これらの脂質ナノ粒子は、血清中でオリゴヌクレオチドを分解から遮蔽し、in vitroおよびin vivoでのオリゴヌクレオチドの細胞への有効な送達を提供すると考えられている。
【0084】
一実施形態では、脂質化合物は、式(I):
【化4】
(式中、
およびLは、それぞれ独立して、-O(C=O)-、-(C=O)O-または炭素-炭素二重結合であり、
1aおよびR1bは、出現ごとに、独立して、(a)HもしくはC~C12アルキルであるか、または(b)R1aはHもしくはC~C12アルキルであり、R1bとそれが結合している炭素原子は、隣接するR1bとそれが結合している炭素原子と一緒になって、炭素-炭素二重結合を形成し、
2aおよびR2bは、出現ごとに、独立して、(a)HもしくはC~C12アルキルであるか、または(b)R2aは、HもしくはC~C12アルキルであり、R2bとそれが結合している炭素原子は、隣接するR2bとそれが結合している炭素原子と一緒になって、炭素-炭素二重結合を形成し、
3aおよびR3bは、出現ごとに、独立して(a)HもしくはC~C12アルキルであるか、または(b)R3aはHもしくはC~C12アルキルであり、R3bとそれが結合している炭素原子は、隣接するR3bとそれが結合している炭素原子と一緒になって、炭素-炭素二重結合を形成し、
4aおよびR4bは、出現ごとに、独立して、(a)HもしくはC~C12アルキルであるか、または(b)R4aは、HもしくはC~C12アルキルであり、R4bとそれが結合している炭素原子は、隣接するR4bとそれが結合している炭素原子と一緒になって、炭素-炭素二重結合を形成し、
およびRは、それぞれ独立して、メチルまたはシクロアルキルであり、
は、出現ごとに、独立して、HまたはC~C12アルキルであり、
およびRは、それぞれ独立して、非置換のC~C12アルキルであるか、またはRおよびRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、1個の窒素原子を含む5、6または7員の複素環を形成し、
aおよびdは、それぞれ独立して、0~24の整数であり、
bおよびcは、それぞれ独立して、1~24の整数であり、
eは1または2である)
の構造またはその薬学的に許容される塩、互変異性体、プロドラッグもしくは立体異性体を有する。
【0085】
式(I)化合物のある特定の実施形態では、R1a、R2a、R3aもしくはR4aの少なくとも1つはC~C12アルキルであり、またはLもしくはLの少なくとも1つは-O(C=O)-もしくは-(C=O)O-である。他の実施形態では、R1aおよびR1bは、aが6である場合、イソプロピルではなく、aが8である場合、n-ブチルではない。
【0086】
またさらなる実施形態では、R1a、R2a、R3aまたはR4aの少なくとも1つはC~C12アルキルであるか、またはLもしくはLの少なくとも1つは、-O(C=O)-もしくは-(C=O)O-であり、
1aおよびR1bは、aが6である場合、イソプロピルではなく、aが8である場合、n-ブチルではない。
【0087】
式Iの化合物では、LまたはLのいずれか1つは、-O(C=O)-または炭素-炭素二重結合であってよい。LおよびLは、それぞれ-O(C=O)-であっても、またはそれぞれ炭素-炭素二重結合であってもよい。
【0088】
一部の実施形態では、LまたはLの1つは-O(C=O)-である。他の実施形態では、LとLの両方は-O(C=O)-である。
【0089】
一部の実施形態では、LまたはLの1つは-(C=O)O-である。他の実施形態では、LとLの両方は-(C=O)O-である。
【0090】
一部の実施形態では、LまたはLの1つは炭素-炭素二重結合である。他の実施形態では、LとLの両方は炭素-炭素二重結合である。
【0091】
また他の実施形態では、LまたはLの一方は-O(C=O)-であり、LまたはLのもう一方は-(C=O)O-である。さらなる実施形態では、LまたはLの一方は-O(C=O)-であり、LまたはLのもう一方は炭素-炭素二重結合である。またさらなる実施形態では、LまたはLの一方は-(C=O)O-であり、LまたはLのもう一方は炭素-炭素二重結合である。
【0092】
「炭素-炭素」二重結合とは、以下の構造:
【化5】
の1つを指すと理解されている(式中、RおよびRは、出現ごとに、独立して、Hまたは置換基である)。例えば、一部の実施形態では、RおよびRは、出現ごとに、独立して、H、C~C12アルキルまたはシクロアルキル、例えばHまたはC~C12アルキルである。
【0093】
他の実施形態では、脂質化合物は、以下の構造(Ia):
【化6】
を有する。
【0094】
他の実施形態では、脂質化合物は、以下の構造(Ib):
【化7】
を有する。
【0095】
さらに他の実施形態では、脂質化合物は、以下の構造(Ic):
【化8】
を有する。
【0096】
前述のある特定の実施形態では、a、b、cおよびdは、それぞれ独立して、2~12の整数または4~12の整数である。他の実施形態では、a、b、cおよびdは、それぞれ独立して、8~12または5~9の整数である。一部のある特定の実施形態では、aは0である。一部の実施形態では、aは1である。他の実施形態では、aは2である。さらなる実施形態では、aは3である。さらに他の実施形態では、aは4である。一部の実施形態では、aは5である。他の実施形態では、aは6である。さらなる実施形態では、aは7である。さらに他の実施形態では、aは8である。一部の実施形態では、aは9である。他の実施形態では、aは10である。さらなる実施形態では、aは11である。さらに他の実施形態では、aは12である。一部の実施形態では、aは13である。他の実施形態では、aは14である。さらなる実施形態では、aは15である。さらに他の実施形態では、aは16である。
【0097】
一部の実施形態では、bは1である。他の実施形態では、bは2である。さらなる実施形態では、bは3である。さらに他の実施形態では、bは4である。一部の実施形態では、bは5である。他の実施形態では、bは6である。さらなる実施形態では、bは7である。さらに他の実施形態では、bは8である。一部の実施形態では、bは9である。他の実施形態では、bは10である。さらなる実施形態では、bは11である。さらに他の実施形態では、bは12である。一部の実施形態では、bは13である。他の実施形態では、bは14である。さらなる実施形態では、bは15である。さらに他の実施形態では、bは16である。
【0098】
一部の実施形態では、cは1である。他の実施形態では、cは2である。さらなる実施形態では、cは3である。さらに他の実施形態では、cは4である。一部の実施形態では、cは5である。他の実施形態では、cは6である。さらなる実施形態では、cは7である。さらに他の実施形態では、cは8である。一部の実施形態では、cは9である。他の実施形態では、cは10である。さらなる実施形態では、cは11である。さらに他の実施形態では、cは12である。一部の実施形態では、cは13である。他の実施形態では、cは14である。さらなる実施形態では、cは15である。さらに他の実施形態では、cは16である。
【0099】
一部のある特定の実施形態では、dは0である。一部の実施形態では、dは1である。他の実施形態では、dは2である。さらなる実施形態では、dは3である。さらに他の実施形態では、dは4である。一部の実施形態では、dは5である。他の実施形態では、dは6である。さらなる実施形態では、dは7である。さらに他の実施形態では、dは8である。一部の実施形態では、dは9である。他の実施形態では、dは10である。さらなる実施形態では、dは11である。さらに他の実施形態では、dは12である。一部の実施形態では、dは13である。他の実施形態では、dは14である。さらなる実施形態では、dは15である。さらに他の実施形態では、dは16である。
【0100】
一部の他の様々な実施形態では、aおよびdは同じである。一部の他の実施形態では、bおよびcは同じである。一部の他の特定の実施形態では、aおよびdは同じであり、bおよびcは同じである。
【0101】
aとbの合計およびcとdの合計は、所望の特性を有する脂質を得るために変化させることができる因子である。一実施形態では、aおよびbは、これらの合計が、14~24の範囲の整数となるように選択される。他の実施形態では、cおよびdは、これらの合計が14~24の範囲の整数となるように選択される。さらなる実施形態では、aとbの合計およびcとdの合計は同じである。例えば、一部の実施形態では、aとbの合計およびcとdの合計は両方とも、14~24の範囲であってよい同じ整数である。またさらなる実施形態では、a、b、cおよびdは、aとbの合計およびcとdの合計が12またはそれ超となるように選択される。
【0102】
一部の実施形態では、eは1である。他の実施形態では、eは2である。
【0103】
1a、R2a、R3aおよびR4aにおける置換基は特に限定されていない。ある特定の実施形態ではR1a、R2a、R3aおよびR4aは出現ごとにHである。ある特定の他の実施形態では、R1a、R2a、R3aおよびR4aの少なくとも1つはC~C12アルキルである。ある特定の他の実施形態では、R1a、R2a、R3aおよびR4aの少なくとも1つはC~Cアルキルである。ある特定の他の実施形態では、R1a、R2a、R3aおよびR4aの少なくとも1つはC~Cアルキルである。前述の実施形態の一部では、C~Cアルキルは、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、tert-ブチル、n-ヘキシルまたはn-オクチル
である。
【0104】
前述のもののある特定の実施形態では、R1a、R1b、R4aおよびR4bは、出現ごとにC~C12アルキルである。
【0105】
前述のもののさらなる実施形態では、R1b、R2b、R3bおよびR4bの少なくとも1つはHであるか、またはR1b、R2b、R3bおよびR4bは出現ごとにHである。
【0106】
前述のもののある特定の実施形態では、R1bとそれが結合している炭素原子は、隣接するR1bとそれが結合している炭素原子と一緒になって、炭素-炭素二重結合を形成する。前述のものの他の実施形態では、R4bとそれが結合している炭素原子は、隣接するR4bとそれが結合している炭素原子と一緒になって、炭素-炭素二重結合を形成する。
【0107】
およびRにおける置換基は、前述の実施形態では特に限定されない。ある特定の実施形態では、RまたはRの1つまたは両方はメチルである。ある特定の他の実施形態では、RまたはRの1つのまたは両方は、シクロアルキル、例えば、シクロヘキシルである。これらの実施形態では、シクロアルキルは、置換されていても、または置換されていなくてもよい。ある特定の他の実施形態では、シクロアルキルは、C~C12アルキル、例えばtert-ブチルで置換されている。
【0108】
における置換基は、前述の実施形態では特に限定されていない。ある特定の実施形態では少なくとも1つのRはHである。一部の他の実施形態では、Rは出現ごとにHである。ある特定の他の実施形態では、RはC~C12アルキルである。
【0109】
前述の実施形態のある特定の他の実施形態では、RまたはRの1つはメチルである。他の実施形態では、RとRの両方はメチルである。
【0110】
一部の異なる実施形態では、RおよびRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、5、6または7員の複素環を形成する。前述のものの一部の実施形態では、RおよびRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、5員の複素環、例えば、ピロリジニル環を形成する。
【0111】
様々な異なる実施形態では、化合物は、以下の表1に記載の構造の1つを有する。
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【0112】
上に記載されているような式(I)の化合物の任意の実施形態、および上に記載されているような式(I)の化合物における任意の特定の置換基および/または変数は、式(I)の化合物の他の実施形態ならびに/または置換基および/もしくは変数と独立して組み合わせることによって、上に具体的に記載されていない本発明の実施形態を形成することができることが理解されている。加えて、特定の実施形態および/または請求項において、置換基および/または変数の一覧が任意の特定のR基、L基または変数a~eに対して列挙されている場合、それぞれ個々の置換基および/または変数は、特定の実施形態および/または請求項から削除されてもよく、置換基および/または変数の残りの一覧は、本発明の範囲内にあると考えられることが理解されている。
【0113】
本記載では、示されている式の置換基および/または変数の組合せは、このような寄与が安定した化合物をもたらす場合のみ許容できることが理解されている。
様々な実施形態では、以下の化合物:
【化9】
【0114】
は、本発明の範囲内に含まれないことが理解されている(式中、各RおよびRはHであるか、またはRおよびRは結合してオキソを形成し、xおよびyは、それぞれ独立して、0~6の整数である)。
【0115】
様々な実施形態では、ペグ化脂質もまた提供される。例えば、ある実施形態では、ペグ化脂質は、以下の構造(II):
【化10】
(式中、
10およびR11は、それぞれ独立して、10~30個の炭素原子を含有する、直鎖状または分岐状の、飽和または不飽和のアルキル鎖であり、アルキル鎖は、1つまたは複数のエステル結合により、任意選択で分断されており、
zは、30~60の範囲の平均値を有する)
またはその薬学的に許容される塩、互変異性体もしくは立体異性体を有する。
【0116】
ペグ化脂質(II)の前述の実施形態の一部では、R10およびR11は、zが42である場合、両方がn-オクタデシルではない。一部の実施形態では、R10およびR11は、それぞれ独立して、10~18個の炭素原子を含有する直鎖状または分岐状の、飽和または不飽和のアルキル鎖である。一部の実施形態では、R10およびR11は、それぞれ独立して、12~16個の炭素原子を含有する直鎖状または分岐状の、飽和または不飽和のアルキル鎖である。一部の実施形態では、R10およびR11は、それぞれ独立して、12個の炭素原子を含有する直鎖状または分岐状の、飽和または不飽和のアルキル鎖である。一部の実施形態では、R10およびR11は、それぞれ独立して、14個の炭素原子を含有する直鎖状または分岐状の、飽和または不飽和のアルキル鎖である。他の実施形態では、R10およびR11は、それぞれ独立して、16個の炭素原子を含有する直鎖状または分岐状の、飽和または不飽和のアルキル鎖である。またさらなる実施形態では、R10およびR11は、それぞれ独立して、18個の炭素原子を含有する直鎖状または分岐状の、飽和または不飽和のアルキル鎖である。また他の実施形態では、R10は、12個
の炭素原子を含有する直鎖状または分岐状の、飽和または不飽和のアルキル鎖であり、R11は、14個の炭素原子を含有する直鎖状または分岐状の、飽和または不飽和のアルキル鎖である。
【0117】
様々な実施形態では、zは、(II)のPEG部分が約400~約6000g/モルの平均分子量を有するように選択された範囲に及ぶ。一部の実施形態では、zの平均は約45である。
【0118】
他の実施形態では、ペグ化脂質は、以下の構造:
【化11】
(式中、nは、ペグ化脂質の平均分子量が約2500g/molであるような範囲に及ぶ)
の1つを有する。
【0119】
(II)およびカチオン性脂質を含む組成物もまた提供される。カチオン性脂質は、任意のカチオン性脂質から選択することができる。様々な実施形態では、カチオン性脂質とは、表1の下位構造および特定の化合物のいずれかを含む、上記のような構造(I)を有する化合物である。
【0120】
一部の実施形態では、式(I)の化合物のいずれか1つまたは複数を含む組成物が提供される。例えば、一部の実施形態では、組成物は、式(I)の化合物のいずれかと、治療剤と、中性脂質、ステロイドおよびペグ化脂質から選択される1つまたは複数の賦形剤とを含む。他の薬学的に許容される賦形剤および/または担体もまた、組成物の様々な実施形態に含まれている。
【0121】
ある特定の実施形態では、治療剤は、核酸、例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはメッセンジャーRNAを含む。一部の実施形態では、中性脂質は、DSPC、DPPC、DMPC、DOPC、POPC、DOPEおよびSMから選択される。様々な実施形態では、化合物と中性脂質とのモル比は、約2:1~約8:1の範囲である。
【0122】
様々な実施形態では、組成物は、ステロイドまたはステロイドアナログをさらに含む。ある特定の実施形態では、ステロイドまたはステロイドアナログはコレステロールである。これらの実施形態の一部では、化合物とコレステロールとのモル比は、約2:1~1:1の範囲である。
【0123】
様々な実施形態では、組成物はペグ化脂質を含む。例えば、一部の実施形態はPEG-DMGを含む。様々な実施形態では、化合物とペグ化脂質とのモル比は、約100:1~約25:1の範囲である。
【0124】
一部の実施形態では、組成物は、以下の構造(II):
【化12】
(式中、
10およびR11は、それぞれ独立して、10~30個の炭素原子を含有する直鎖状または分岐状の、飽和または不飽和のアルキル鎖であり、アルキル鎖は、1つまたは複数のエステル結合により、任意選択で分断されており、
zは、30~60の範囲の平均値を有する)
を有するペグ化脂質またはその薬学的に許容される塩、互変異性体もしくは立体異性体を含む。
【0125】
一部の実施形態では、R10およびR11は、それぞれ独立して、12~16個の炭素原子を含有する、直鎖状の飽和アルキル鎖である。他の実施形態では、zの平均は約45である。
【0126】
前述の組成物の一部の実施形態では、治療剤は核酸を含む。例えば、一部の実施形態では、核酸は、アンチセンス、プラスミドDNAおよびメッセンジャーRNAから選択される。
【0127】
投与の目的のために、本発明の化合物(通常、治療剤と組み合わせた脂質ナノ粒子の形態で)は、原末(raw chemical)として投与してもよいし、または医薬組成物として製剤化してもよい。本発明の医薬組成物は、式(I)の化合物と、1種または複数の薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤とを含む。式(I)の化合物は、例えば、目的の特定疾患または状態を処置するために、脂質ナノ粒子を形成し、治療剤を送達するのに有効である量で、組成物中に存在する。適当な濃度および投薬量は、当業者により容易に決定することができる。
【0128】
本発明の組成物の投与は、同様の有用性を果たすための薬剤の容認された投与モードのいずれかを介して行うことができる。本発明の医薬組成物は、固体、半固体、液体または気体の形態の調製物、例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、軟膏剤、液剤、懸濁剤、坐剤、注射剤、吸入剤、ゲル剤、マイクロスフェア、およびエアゾール剤に製剤化することができる。このような医薬組成物を投与する典型的な経路として、限定されないが、経口、局所、経皮、吸入、非経口、舌下、口腔内頬側、直腸、経膣、および鼻腔内が挙げられる。本明細書で使用される非経口という用語は、皮下注射、静脈内、筋肉内、皮内、胸骨内注射または注入技術を含む。本発明の医薬組成物は、組成物を患者に投与すると、その中に含有されている活性成分が生物学的に利用可能となるように製剤化される。対象または患者に投与される組成物は、1つまたは複数の用量単位の形態をとり、この場合、例えば、錠剤は、単一用量単位であってよく、エアゾール剤形態の本発明の化合物の容器は、複数の用量単位を保持することができる。このような剤形を調製する実際の方法は公知であるか、または当業者には明らかであろう。例えば、Remington: The
Science and Practice of Pharmacy、20版(Philadelphia College of Pharmacy and Science、2000年)を参照されたい。投与される組成物は、いずれにしても、本発明の教示に従って、目的の疾患または状態の処置のための本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩の治療有効量を含有する。
【0129】
本発明の医薬組成物は、固体または液体の形態であってよい。一態様では、担体(複数可)は微粒子であり、これによって、組成物は、例えば、錠剤または散剤の形態である。担体(複数可)は液体であってよく、組成物は、例えば、経口シロップ剤、注射液または、例えば、吸入投与に有用であるエアゾール剤である。
【0130】
経口投与が意図される場合、医薬組成物は、好ましくは、固体または液体のいずれかの形態であり、半固体、半液体、懸濁剤およびゲル剤の形態は、本明細書で固体または液体のいずれかと考えられる形態に含まれる。
【0131】
経口投与のための固体組成物として、医薬組成物は、散剤、顆粒剤、圧縮錠剤、丸剤、カプセル剤、チューインガム、カシェ剤などの形態に製剤化することができる。このような固体組成物は、通常1種または複数の不活性希釈剤または食用担体を含有する。加えて、以下の1つまたは複数が存在し得る:結合剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、微結晶性セルロース、トラガカントガムまたはゼラチンなど;賦形剤、例えば、デンプン、ラクトースまたはデキストリンなど;崩壊剤、例えば、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、Primogel、コーンスターチなど;滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウムまたはステロテックスなど;流動促進剤、例えば、コロイド状二酸化ケイ素など;甘味剤、例えば、スクロースまたはサッカリンなど;香味剤、例えば、ペパーミント、サルチル酸メチルまたはオレンジ香味料など;および着色剤。
【0132】
医薬組成物がカプセル剤、例えば、ゼラチンカプセル剤の形態である場合、医薬組成物は、上記タイプの材料に加えて、液体担体、例えば、ポリエチレングリコールまたは油などを含有してもよい。
【0133】
医薬組成物は、液体の形態、例えば、エリキシル剤、シロップ剤、液剤、乳剤または懸濁剤などであってよい。液体は、2つの例として、経口投与用または注射による送達のためのものであってよい。経口投与が意図される場合、好ましい組成物は、本化合物に加えて、甘味剤、防腐剤、染料/着色剤および香味向上剤の1種または複数を含有する。注射による投与が意図される組成物では、界面活性薬剤、防腐剤、湿潤剤、分散剤、懸濁化剤、緩衝液、安定剤および等張剤の1種または複数が含まれてもよい。
【0134】
本発明の液体医薬組成物は、これらが、液剤、懸濁剤または他の同様の形態であろうと、以下のアジュバントの1種または複数を含み得る:無菌希釈剤、例えば、注射用の水、食塩水、好ましくは生理的食塩水、リンゲル溶液、等張性塩化ナトリウムなど、不揮発性油、例えば、溶媒または懸濁媒としての役目を果たすことができる合成モノまたはジグリセリド、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の溶媒など;抗菌剤、例えば、ベンジルアルコールまたはメチルパラベンなど;抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウムなど;キレート剤、例えば、エチレンジアミン四酢酸など;緩衝剤、例えば、酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩など、および張性調整剤、例えば、塩化ナトリウムまたはデキストロースなど;抗凍結剤として作用する薬剤、例えば、スクロースまたはトレハロースなど。非経口調製物は、ガラスまたはプラスチック製のアンプル、使い捨てシリンジまたは複数回投与バイアルに封入することができる。生理的食塩水は好ましいアジュバントである。注射用医薬組成物は好ましくは無菌である。
【0135】
非経口または経口投与のいずれかを意図する本発明の液体医薬組成物は、適切な投薬量が得られるように、ある量の本発明の化合物を含有すべきである。
【0136】
本発明の医薬組成物は局所投与を意図してもよく、この場合、担体は、液剤、乳剤、軟膏剤またはゲル基剤を適切に含むことができる。基剤は例えば、以下の1種または複数を含むことができる:ワセリン、ラノリン、ポリエチレングリコール、蜜蝋、鉱油、希釈剤、例えば、水およびアルコールなど、ならびに乳化剤および安定剤。増粘剤は、局所投与用医薬組成物中に存在し得る。経皮投与が意図される場合、組成物は、経皮パッチまたはイオントホレーシスデバイスを含むことができる。
【0137】
本発明の医薬組成物は、例えば、直腸内で融解して、薬物を放出する坐剤の形態で、直腸投与を意図することができる。直腸投与用組成物は、適切な非刺激性賦形剤として油性基剤を含有してもよい。このような基剤として、限定されないが、ラノリン、ココアバターおよびポリエチレングリコールが挙げられる。
【0138】
本発明の医薬組成物は、固体または液体用量単位の物理的形態を改変する様々な材料を含むことができる。例えば、組成物は、活性成分の周囲にコーティングシェルを形成する材料を含むことができる。コーティングシェルを形成する材料は通常不活性であり、例えば、糖、セラック、および他の腸溶コーティング剤から選択することができる。代わりに、活性成分をゼラチンカプセル剤に入れることができる。
【0139】
固体または液体形態の本発明の医薬組成物は、本発明の化合物に結合し、これによって、化合物の送達を補助する薬剤を含むことができる。この能力で作用することができる適切な薬剤として、モノクローナルもしくはポリクローナル抗体、またはタンパク質が挙げられる。
【0140】
本発明の医薬組成物は、エアゾール剤として投与することができる用量単位からなってもよい。エアゾール剤という用語は、コロイド状の性質のものから加圧パッケージからなる系までにわたって様々な系を表すのに使用される。送達は、液化性もしくは圧縮された気体によるものであっても、または活性成分を分配する適切なポンプシステムによるものであってもよい。本発明の化合物のエアゾール剤は、活性成分(複数可)を送達するために単相、二相、または三相系で送達することができる。エアゾール剤の送達は、一緒になってキットを形成することができる、必要な容器、活性因子、弁、副容器などを含む。当業者は、過度の実験を行わずに、好ましいエアゾール剤を決定することができる。
【0141】
本発明の医薬組成物は、薬学分野において周知の方法により調製することができる。例えば、注射による投与を意図する医薬組成物は、溶液を形成するために、本発明の脂質ナノ粒子を、無菌の、蒸留水または他の担体と組み合わせることによって調製することができる。界面活性剤は、均一溶液または懸濁液の形成を促進するために加えることができる。界面活性剤は、水系送達系において化合物の溶解または均一な懸濁を促進するために、本発明の化合物と非共有結合的に相互作用する化合物である。
【0142】
本発明の組成物またはこれらの薬学的に許容される塩は、治療有効量で投与されるが、この治療有効量は、利用する特定の治療剤の活性、治療剤の代謝安定性および作用期間、患者の年齢、体重、全般的な健康状態、性別、および食事、投与のモードおよび時間、排出速度、薬物の組合せ、特定の障害または状態の重症度、ならびに治療を受ける対象を含めた、様々な因子に応じて変動することになる。
【0143】
本発明の組成物はまた、1種または複数の他の治療剤の投与と同時に、投与前に、また
は投与後に投与することもできる。このような併用療法は、本発明の組成物と、1種または複数の追加の活性薬剤の単一の医薬投与製剤の投与、ならびに本発明の組成物と、それ自体別個の医薬投与製剤である各活性薬剤の投与を含む。例えば、本発明の組成物および他の活性薬剤は、錠剤もしくはカプセル剤などの単一の経口投与組成物として一緒に患者に投与することができ、または各薬剤を別個の経口投与製剤として投与することができる。別個の投与製剤を使用する場合、本発明の化合物および1種または複数の追加的活性薬剤は、本質的に同じ時間、すなわち、同時に、または時間をずらして別々に、すなわち、逐次的に投与することができ、併用療法は、これらのすべてのレジメンを含むと理解されている。
【0144】
上記化合物および組成物のための調製方法は、本明細書で以下に記載されており、および/または当技術分野で公知である。
【0145】
本明細書に記載のプロセスにおいて、中間体化合物の官能基を適切な保護基で保護することが必要であり得ることは、当業者であれば理解している。このような官能基として、ヒドロキシ、アミノ、メルカプトおよびカルボン酸が挙げられる。ヒドロキシの適切な保護基として、トリアルキルシリルまたはジアリールアルキルシリル(例えば、t-ブチルジメチルシリル、t-ブチルジフェニルシリルまたはトリメチルシリル)、テトラヒドロピラニル、ベンジルなどが挙げられる。アミノ、アミジノおよびグアニジノの適切な保護基として、t-ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニルなどが挙げられる。メルカプトの適切な保護基として、-C(O)-R”(式中、R”は、アルキル、アリールまたはアリールアルキルである)、p-メトキシベンジル、トリチルなどが挙げられる。カルボン酸の適切な保護基として、アルキル、アリールまたはアリールアルキルエステルが挙げられる。保護基は、当業者に公知であり、本明細書に記載されているような標準技術に従って付加または除去することができる。保護基の使用は、Green, T.W.およびP.G.M. Wutz、Protective Groups in Organic Synthesis(1999年)、3版、Wileyにおいて詳細に記載されている。当業者であれば理解しているように、保護基はまた、ポリマー樹脂、例えば、Wang樹脂、Rink樹脂または2-クロロトリチル-クロリド樹脂などであってもよい。
【0146】
本発明の化合物のこのような保護された誘導体は、そのままでは薬理学的活性を保有し得ないが、これらが哺乳動物に投与され、その後体内で代謝されて、薬理学的活性のある本発明の化合物を形成することができることもまた当業者により理解されている。したがって、このような誘導体は「プロドラッグ」として記載することができる。本発明の化合物のすべてのプロドラッグは、本発明の範囲内に含まれる。
【0147】
さらに、遊離塩基または酸形態で存在するすべての本発明の化合物は、当業者に公知の方法により適当な無機塩基もしくは有機塩基または無機酸もしくは有機酸で処理することによって、これらの薬学的に許容される塩に変換することができる。本発明の化合物の塩は、標準技術によりこれらの遊離塩基または遊離酸の形態に変換することができる。
【0148】
以下の反応スキームは、本発明の化合物、すなわち、式(I):
【化13】
の化合物を作製する方法を図示している(式中、R1a、R1b、R2a、R2b、R3a、R3b、R4a、R4b、R、R、R、R、R、a、b、c、dおよびeは、本明細書で定義された通りである)。当業者は、同様の方法で、または当業者に公知の他の方法を組み合わせることによりこれらの化合物を作製することができることが理解されている。当業者であれば、適当な開始構成成分を使用し、必要に応じて合成パラメーターを改変することによって、以下に具体的に図示されていない他の式(I)の化合物を、以下に記載されているものと同様の方式で作製することができることもまた理解されている。一般的に、開始構成成分は、Sigma Aldrich、Lancaster Synthesis,Inc.、Maybridge、Matrix Scientific、TCIおよびFluorochem USAなどの供給元から得てもよいし、または当業者に公知の情報元に従い合成してもよいし(例えば、Advanced Organic Chemistry: Reactions, Mechanisms, and Structure、5版(Wiley、2000年12月)を参照されたい)、または本発明に記載の通り調製してもよい。
【0149】
【化14】
構造(I)の化合物の実施形態(例えば、化合物A-5)は、一般反応スキーム1(「方法A」)(式中、Rは、飽和もしくは不飽和のC~C24アルキルまたは飽和もしくは不飽和のシクロアルキルであり、mは、0または1であり、nは、1~24の整数である)に従い調製することができる。一般的な反応スキーム1を参照すると、構造A-1の化合物は、商業源から購入するか、または当業者に精通している方法に従い調製することができる。A-1、A-2およびDMAPの混合物をDCCで処理して、臭化物A-3を得る。臭化物A-3、塩基(例えば、Ν,Ν-ジイソプロピルエチルアミン)およびΝ,Ν-ジメチルジアミンA-4の混合物は、任意の必要なワークアップおよび/または精製ステップ後、A-5を生成するのに十分な温度で、および十分な時間加熱する。
【0150】
【化15】
構造(I)の化合物の実施形態(例えば、化合物B-5)は、一般反応スキーム2(「方法B」)(式中、Rは、飽和もしくは不飽和のC~C24アルキルまたは飽和もしくは不飽和のシクロアルキルであり、mは、0または1であり、nは、1~24の整数である)に従い調製することができる。一般反応スキーム2に示されているように、構造B-1の化合物は、商業源から購入するか、または当業者に精通している方法に従い調製することができる。B-1(1当量)の溶液は、酸塩化物B-2(1当量)および塩基(例えば、トリエチルアミン)で処理する。粗生成物を酸化剤(例えば、クロロクロム酸ピリジニウム(pyridinum))で処理し、中間体生成物B-3を回収する。次いで、粗製のB-3の溶液、酸(例えば、酢酸)、およびΝ,Ν-ジメチルアミノアミンB-4は、任意の必要なワークアップおよび/または精製後、還元剤(例えば、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム)で処理して、B-5を得る。
【0151】
出発物質A-1およびB-1は、飽和メチレン炭素のみを含むように上記に示されているが、炭素-炭素二重結合を含む出発物質も、炭素-炭素二重結合を含む化合物の調製のために利用することができることに注目すべきである。
【0152】
【化16】
構造(I)の化合物の実施形態(例えば、化合物C-7またはC9)は、一般反応スキーム3(「方法C」)(式中、Rは、飽和もしくは不飽和のC~C24アルキルまたは飽和もしくは不飽和のシクロアルキルであり、mは、0または1であり、nは、1~24の整数である)に従い調製することができる。一般反応スキーム3を参照すると、構造C-1の化合物は、商業源から購入するか、または当業者に精通している方法に従い調製することができる。
【0153】
以下の実施例は、例示の目的のために提供されるもので、限定ではない。
【実施例
【0154】
(実施例1)
化合物1の合成
化合物1を方法Bに従い以下の通り調製した:
オクタン-1,8-ジオール(9.8g)の塩化メチレン(100mL)およびテトラヒドロフラン(60mL)中溶液を2-エチルヘキサノイルクロリド(10g)で処理した。トリエチルアミン(15mL)をゆっくりと加え、溶液を3日間撹拌した。反応混合物を濾過し、濾液をブラインで洗浄した(2×)。有機画分を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、溶媒を除去した。塩化メチレンを使用して、粗生成物を、シリカゲル(20g)を介して濾過し、15.8gの粗生成物を生成した。生成した油状物質を塩化メチレン(100mL)に溶解し、クロロクロム酸ピリジニウム(13g)で2時間処理した。ジエチルエーテル(400mL)を加え、上清を、シリカゲル床を介して濾過した。溶媒を濾液から除去し、生成した油状物質を、酢酸エチル/ヘキサン(0~6%)勾配を使用するシリカゲル(77g)カラムに通した。8-O-(2’-エチルヘキサノイルオキシ)オクタナール(6.7g)を油状物質として回収した。
【0155】
8-O-(2’-エチルヘキサノイルオキシ)オクタナール(6.7g)、酢酸(25滴)および2-N,N-ジメチルアミノエチルアミン(0.54g)の塩化メチレン(40mL)中溶液を、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(1.5g)で一晩処理した。溶液を、水性炭酸水素ナトリウム、続いてブラインで洗浄した。有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、溶媒を除去した。残渣を、メタノール/塩化メチレン(0~10%)勾配を使用するシリカゲル(75g)カラム、続いて第2のカラム(20g)
に通すことによって、化合物1(1g)を無色の油状物質として生成した。
【0156】
(実施例2)
化合物2の合成
化合物2を方法Aに従い以下の通り調製した:
アルゴン雰囲気下で、ジクロロメタン(20mL)中フィトール(593mg、2mmol)、6-ブロモヘキサン酸(780mg、4mmol)および4-(ジメチルアミノ)ピリジン(60mg)を充填した丸底フラスコに、ジシクロヘキシルカルボジイミド(908mg、4.4mmol)を加えた。沈殿物を濾過により廃棄した。濾液を濃縮し、生成した残渣を、ヘキサン中酢酸エチルの勾配混合物(0%~3%)で溶出したシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーにより精製した。これにより、(E)-3,7,11,15-テトラメチルヘキサデカ-2-エニル6-ブロモヘキサノエートの無色の油状物質を得た(0.79g 1.67mmol、83%)。
【0157】
(E)-3,7,11,15-テトラメチルヘキサデカ-2-エニル6-ブロモヘキサノエート(0.42g、0.887mmol)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(1.5モル当量、1.33mmol、MW129.25、171mg)およびN,N-ジメチルエチレンジアミン(39mg、0.44mmol)のDMF(4mL)中溶液を77℃で18時間加熱した。次いで、反応混合物を冷却し、ヘキサン(3×20mL)で抽出した。ヘキサン抽出物を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。これを、第2の反応物と合わせた(総量約0.7g)。粗生成物を、DCM中のメタノールの勾配混合物(0%~5%)で溶出したシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーにより数回精製した。これにより、所望の生成物のわずかに黄色の油状物質を得た(39mg)。
【数1】
【0158】
(実施例3)
化合物3の合成
6-ブロモヘキサン酸ではなくブロモ酢酸から出発して、化合物2と類似の方式で化合物3を調製して、22mgの濃厚無色油状物質、0.029mmol、6%を生成した。
【数2】
【0159】
(実施例4)
化合物4の合成
化合物4を方法Bに従い以下の通り調製した:
ドデカン-1,12-ジオール(10g)の塩化メチレン(100mL)およびテトラヒドロフラン(50mL)中溶液を、2-エチルヘキサン酸(7.2g)、DCC(10.5g)、DMAP(3.5g)およびトリエチルアミン(10mL)で処理した。溶液を4日間撹拌した。反応混合物を濾過し、濾液を希釈塩酸で洗浄した。有機画分を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、溶媒を除去した。残渣を塩化メチレン(50mL)に溶解し、一晩静置し、濾過した。溶媒を除去して、12.1gの粗生成物を生成した。
【0160】
粗生成物を塩化メチレン(100mL)に溶解し、クロロクロム酸ピリジニウム(8g)で、一晩処理した。ジエチルエーテル(400mL)を加え、上清を、シリカゲル床を介して濾過した。溶媒を濾液から除去し、生成した油状物質を、酢酸エチル/ヘキサン(0~6%)勾配を使用するシリカゲル(75g)カラムに通した。粗製の12-O-(2’-エチルヘキサノイルオキシ)ドデカナール(3.5g)を油状物質として回収した。
【0161】
粗生成物(3.5g)、酢酸(60滴)および2-N,N-ジメチルアミノエチルアミン(0.30g)の塩化メチレン(20mL)中溶液をトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(0.86g)で一晩処理した。溶液を水性炭酸水素ナトリウム、続いてブラインで洗浄した。有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、溶媒を除去した。残渣を、メタノール/塩化メチレン(0~8%)勾配を使用するシリカゲル(20g)カラム、続いて第2のカラム(20g)に通して、所望の生成物(0.6g)を無色の油状物質として生成した。
【0162】
(実施例5)
化合物5の合成
化合物5を、方法Bに従い以下の通り調製した:
ヘキサン-1,6-ジオール(10g)の塩化メチレン(40mL)およびテトラヒドロフラン(20mL)中溶液を、2-ヘキシルデカノイルクロリド(10g)およびトリエチルアミン(10mL)で処理した。溶液を1時間撹拌し、溶媒を除去した。反応混合物をヘキサン中に懸濁させ、濾過し、濾液を水で洗浄した。溶媒を除去し、残渣を、溶出液としてヘキサン、続いて塩化メチレンを使用するシリカゲル(50g)カラムに通し、6-(2’-ヘキシルデカノイルオキシ)ヘキサン-1-オールを油状物質として生成した(7.4g)。
【0163】
精製した生成物(7.4g)を塩化メチレン(50mL)に溶解し、クロロクロム酸ピリジニウム(5.2g)で2時間処理した。ジエチルエーテル(200mL)を加え、上清を、シリカゲル床を介して濾過した。溶媒を濾液から除去し、生成した油状物質を、酢酸エチル/ヘキサン(0~5%)勾配を使用するシリカゲル(50g)カラムに通した。6-(2’-ヘキシルデカノイルオキシ)ドデカナール(5.4g)を油状物質として回収した。
【0164】
生成物(4.9g)、酢酸(0.33g)および2-N,N-ジメチルアミノエチルアミン(0.40g)の塩化メチレン(20mL)中溶液を、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(2.1g)で2時間処理した。溶液を水性の水酸化ナトリウムで洗浄した。有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、溶媒を除去した。残渣を、メタノール/塩化メチレン(0~8%)勾配を使用するシリカゲル(50g)カラムに通し、所望の生成物(1.4g)を無色の油状物質として生成した。
【0165】
(実施例6)
化合物6の合成
化合物6を方法Bに従い以下の通り調製した:
ノナン-1,9-ジオール(12.6g)の塩化メチレン(80mL)中溶液を、2-ヘキシルデカン酸(10.0g)、DCC(8.7g)およびDMAP(5.7g)で処理した。溶液を2時間撹拌した。反応混合物を濾過し、溶媒を除去した。残渣を、温めたヘキサン(250mL)に溶解し、結晶化させた。溶液を濾過し、溶媒を除去した。残渣を塩化メチレンに溶解し、希釈塩酸で洗浄した。有機画分を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、溶媒を除去した。残渣を、溶出液として0~12%酢酸エチル/ヘキサンを使用するシリカゲルカラム(75g)に通し、9-(2’-ヘキシルデカノイルオキシ)ノナン-1-オール(9.5g)を油状物質として生成した。
【0166】
生成物を塩化メチレン(60mL)に溶解し、クロロクロム酸ピリジニウム(6.4g)で2時間処理した。ジエチルエーテル(200mL)を加え、上清を、シリカゲル床を介して濾過した。溶媒を濾液から除去し、生成した油状物質を、酢酸エチル/ヘキサン(0~12%)勾配を使用するシリカゲル(75g)カラムに通し、9-(2’-エチルヘキサノイルオキシ)ノナナール(6.1g)を油状物質として生成した。
【0167】
粗生成物(6.1g)、酢酸(0.34g)および2-N,N-ジメチルアミノエチルアミン(0.46g)の塩化メチレン(20mL)中溶液を、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(2.9g)で2時間処理した。溶液を塩化メチレンで希釈し、水性の水酸化ナトリウム、続いて水で洗浄した。有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、溶媒を除去した。残渣を、メタノール/塩化メチレン(0~8%)勾配を使用するシリカゲル(75g)カラム、続いて、塩化メチレン/酢酸/メタノール勾配を使用する第2のカラム(20g)に通した。精製画分を塩化メチレンに溶解し、水酸化ナトリウム希釈水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、溶媒を除去して、所望の生成物(1.6g)を無色の油状物質として生成した。
【0168】
(実施例7)
化合物7の合成
方法Aに従い、化合物7を3,5,5-トリメチルヘキシル10-ブロモデカノエートおよびN,N-ジメチルエタン-1,2-ジアミンから調製して、144mgのわずかに黄色の油状物質、0.21mmol、11%を生成した。
【数3】
【0169】
(実施例8)
化合物8の合成
化合物8を方法Aにより15%収率で調製した。
【数4】
【0170】
(実施例9)
化合物9の合成
化合物9を方法Bに従い以下の通り調製した:
ノナン-1,9-ジオール(10.0g)の塩化メチレン(100mL)中溶液を、シトロネリル(citroneloyl)クロリド(10.1g、シトロネル酸および塩化オキサリルから調製)およびトリエチルアミン(10mL)で処理し、3日間撹拌した。反応混合物を塩化メチレンで希釈し、希釈塩酸で洗浄した。有機画分を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、溶媒を除去した。残渣をヘキサン中に溶解させ、濾過し、溶媒を除去した。残渣を、溶出液としてヘキサン、続いて塩化メチレンを使用する一連のシリ
カゲルカラム(60~70g)に通し、9-(シトロネロイルオキシ)ノナン-1-オール(7.6g)を油状物質として生成した。
【0171】
生成物を塩化メチレン(50mL)に溶解し、クロロクロム酸ピリジニウム(6.4g)で90分間処理した。ジエチルエーテル(200mL)を加え、上清を、シリカゲル床を介して濾過した。残渣をヘキサン中に溶解し、溶出液としてヘキサンを使用するシリカゲル(20g)カラムに通し、9-(シトロネロイルオキシ)ノナナール(5g)を油状物質として生成した。
【0172】
粗生成物(5g)、酢酸(0.33g)および2-N,N-ジメチルアミノエチルアミン(0.48g)の塩化メチレン(40mL)中溶液をトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(1.2g)で一晩処理した。溶液を塩化メチレンで希釈し、水性の水酸化ナトリウムで洗浄した。有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、溶媒を除去した。残渣を、0~12%メタノール/塩化メチレン勾配を使用するシリカゲル(50g)カラム、続いて同じ勾配を使用する第2のシリカゲルカラム(20g)に通して、所望の生成物(0.6g)を無色の油状物質として生成した。
【0173】
(実施例10)
化合物10の合成
方法Aに従い化合物10を調製して、147mgの無色の油状物質、0.23mmol、17%を生成した。
【数5】
【0174】
(実施例11)
化合物11の合成
方法Aに従い化合物11を調製して、154mgのわずかに黄色の油状物質、0.22mmol、14%を生成した。
【数6】
【0175】
(実施例12)
化合物12の合成
方法Aに従い化合物12を調製して、169mgのわずかに黄色の油状物質、0.26mmol、17%を生成した。
【0176】
【数7】
(実施例13)
化合物13の合成
方法Aに従い化合物13を調製して、152mgの白色のペースト状物質、0.23mmol、16%を生成した。
【数8】
【0177】
(実施例14)
化合物14の合成
方法Aに従い化合物14を調製して、111mgの無色の油状物質、0.16mmol、11%を生成した。
【数9】
【0178】
(実施例15)
化合物15の合成
方法Aに従い化合物15を調製して、116mgの白色のペースト状物質、0.16mmol、10%を生成した。
【数10】
【0179】
(実施例16)
化合物16の合成
方法Aに従い化合物16を調製して、118mgの無色の油状物質、0.17mmol、12%を生成した。
【数11】
【0180】
(実施例17)
化合物17の合成
方法Aに従い化合物17を調製して、145mgのわずかに黄色の油状物質、0.21mmol、13%を生成した。
【数12】
【0181】
(実施例18)
化合物18の合成
方法Aに従い化合物18を調製して、111mgの無色の油状物質、0.17mmol、14%を生成した。
【数13】
【0182】
(実施例19)
化合物19の合成
方法Aに従い化合物19を調製して、76mgの無色の油状物質、0.11mmol、6%を生成した。
【数14】
【0183】
(実施例20)
化合物20の合成
一般的手順Aに従い化合物20を調製して、157mgの無色の油状物質、0.22mmol、14%を生成した。
【数15】
【0184】
(実施例21)
化合物21の合成
一般的手順Aに従い化合物21を調製して、164mgの無色の油状物質、0.21mmol、14%を生成した。
【数16】
【0185】
(実施例22)
化合物22の合成
化合物22を方法Aに従い以下の通り調製した:
ステップ1.
6-ブロモヘキサン酸(20mmol、3.901g)、2-ヘキシル-1-デカノール(1.8当量、36mmol、8.72g)および4-ジメチルアミノピリジン(DMAP0.5当量、10mmol、1.22g)のDCM(80mL)中溶液に、DCC(1.1当量、22mmol、4.54g)を加えた。生成した混合物を室温で16時間撹拌した。沈殿物を濾過により廃棄した。濾液を濃縮した。残渣を、ヘキサン中酢酸エチルの勾配混合物(0~2%)で溶出したシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーにより精製した。これにより、所望の生成物を無色の油状物質として得た(7.88g、18.8mmol、94%)。
ステップ2.
【0186】
ステップ1で得た臭化物(1.34当量、7.88g、18.8mmol)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(1.96当量、27.48mmol、4.78mL)およびN,N-ジメチルエチレンジアミン(1当量、14.02mmol、1.236g、1.531mL)のアセトニトリル(70mL)中混合物を、冷却器を備えた250mLフラスコ内で、79℃(油浴)で16時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、濃縮させた。残渣を、酢酸エチルとヘキサンの混合物(1:9)および水の中に入れた。相を分離し、水(100mL)およびブラインで洗浄した。硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した(8.7gの油状物質)。粗生成物(8.7gの油状物質)をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(クロロホルム中0~3%MeOH)により精製した。所望の生成物を含有する画分を合わせ、濃縮した。残渣を1mLのヘキサンに溶解し、シリカゲルの層(3~4mm、8mLのヘキサンで洗浄)を介して濾過した。濾液を、Ar流でブロー乾燥し、真空中で一晩よく乾燥させた(1.30g、mmol、%、無色の油状物質、所望の生成物)。
【数17】
【0187】
(実施例23)
化合物23の合成
一般的手順Aに従い化合物23を調製して、200mgの無色の油状物質、0.24mmol、16%を生成した。
【数18】
【0188】
(実施例24)
化合物24の合成
一般的手順Aに従い化合物24を調製して、138mgの無色の油状物質、0.18mmol、12%を生成した。
【数19】
【0189】
(実施例25)
化合物25の合成
一般的手順Aに従い化合物25を調製して、214mgの無色の油状物質、0.24mmol、17%を生成した。
【数20】
【0190】
(実施例26)
化合物26の合成
一般的手順Aに従い化合物26を調製して、170mgの無色の油状物質、0.21mmol、13%を生成した。
【数21】
【0191】
(実施例27)
化合物27の合成
一般的手順Aに従い化合物27を調製して、255mgの無色の油状物質、0.29mmol、18%を生成した。
【数22】
【0192】
(実施例28)
化合物28の合成
一般的手順Aに従い化合物28を調製して、248mgの無色の油状物質、0.27mmol、19%を生成した。
【数23】
【0193】
(実施例29)
化合物29の合成
一般的手順Aに従い化合物29を調製して、181mgの無色の油状物質、0.23mmol、17%を生成した。
【数24】
【0194】
(実施例30)
化合物30の合成
一般的手順Aに従い化合物30を調製して、88mgの無色の油状物質、0.11mmol、3%を生成した。
【数25】
【0195】
(実施例31)
化合物31の合成
一般的手順Cに従い化合物31を調製して、275mgのわずかに黄色の油状物質、0.30mmol、3ステップに対して全収率35%を生成した。
【数26】
【0196】
(実施例32)
化合物32の合成
化合物32を方法Cに従い以下の通り調製した:
ステップ1.
2-アミノエタノール(116mg、1.9mmol、115uL、MW61.08、d1.012)の無水THF 15ml中溶液に、2-ヘキシルデシル6-ブロモヘキサノエート(1.9当量、1.52g、3.62mmol)、炭酸カリウム(1.9当量、3.62mmol、500mg)、炭酸セシウム(0.3当量、0.57mmol、186mg)およびヨウ化ナトリウム(10mg)を加え、Ar下で6日間加熱還流させた。溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣をヘキサン中に溶解させ、水およびブラインで洗浄した。有機層を分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させることによって、無色の油状物質を得た。粗生成物をシリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィー(230~400メッシュシリカゲル、クロロホルム中MeOH、0~4%)により精製して、936mgの無色の油状物質を生成した(1.27mmol、70%)。
ステップ2.
【0197】
CHCl 2mL中の、ステップ1で得た生成物936mg(1.27mmol)の磁気撹拌した、氷冷溶液に、Ar雰囲気下で、クロロホルム15mL中の塩化チオニル(2.9当量、3.70mmol、440mg、270uL)を滴下添加した。SOClの添加完了後、氷浴を除去し、反応混合物をAr雰囲気下、室温で16時間撹拌した。減圧下でCHClおよびSOClを除去することで、濃厚な黄色の油状物質を得た。
ステップ3.
【0198】
ステップ2で得た粗生成物をTHF(20mL)に溶解した。THF溶液に、ピロリジン(1.6mL、1.36g、19mmol)を加えた。密閉した混合物を64℃で一晩加熱した。反応混合物を濃縮した(暗褐色の油状物質)。残渣をシリカゲル(クロロホルム中MeOH、0~4%)上でのフラッシュドライカラムクロマトグラフィーにより精製した。これによって、所望の生成物をわずかに黄色の油状物質として得た(419mg、0.53mmol、83%)。
【数27】
【0199】
(実施例33)
化合物33の合成
一般的手順Cに従い化合物33を調製して、419mgのわずかに黄色の油状物質、0.54mmol、3ステップに対する全収率60%を生成した。
【数28】
【0200】
(実施例34)
化合物34の合成
化合物34を方法Bに従い以下の通り調製した:
ノナン-1,9-ジオール(10g)の塩化メチレン(250mL)中溶液を、2-エチルヘキサン酸(4.5g)、DCC(7.7g)およびDMAP(4.2g)で処理した。溶液を3日間撹拌した。反応混合物を濾過し、濾液にヘキサン(200mL)を加えた。混合物を撹拌し、沈殿物を沈降させた。上清をデカントし、溶媒を除去した。残渣をヘキサン(70mL)中に懸濁させ、沈降させた。上清をデカントし、溶媒を除去した。残渣をヘキサンに溶解し、室温で静置し、次いで濾過した。溶媒を除去し、残渣を、0~10%酢酸エチル/ヘキサン勾配、続いて0~8%メタノール/塩化メチレン勾配を使用するシリカゲルカラム(50g)に通して、5.6gの9-(2’エチルヘキサノイルオキシ)ノナン-1-オールを無色の油状物質として生成した。
【0201】
生成物を塩化メチレン(70mL)に溶解し、クロロクロム酸ピリジニウム(5g)で2時間処理した。ジエチルエーテル(250mL)を加え、上清を、シリカゲル床を介して濾過した。溶媒を濾液から除去し、生成した油状物質をヘキサンに溶解した。懸濁液を、シリカゲルプラグを介して濾過し、溶媒を除去して、粗製の9-(2’エチルヘキサノイルオキシ)ノナナール(3.4g)を油状物質として生成した。
【0202】
粗生成物(3.4g)、酢酸(0.52g)および2-N,N-ジメチルアミノエチルアミン(0.33g)の塩化メチレン(50mL)中溶液を、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(1.86g)で一晩処理した。溶液を水酸化ナトリウム水溶液で洗浄した。有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、溶媒を除去した。残渣を、酢酸/メタノール/塩化メチレン(2~0%/0~12%/98~88%)勾配を使用するシリカゲル(50g)カラムに通した。精製画分を水性炭酸水素ナトリウムで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、溶媒を除去し、油状物質として化合物34を生成した(0.86g)。
【0203】
(実施例35)
化合物35の合成
化合物35を方法Bに従い以下の通り調製した:
ドデカン-1,12-ジオール(18.1g)の塩化メチレン(90mL)中溶液を、シトロネル酸(7.5g)、DCC(10.0g)およびDMAP(9.5g)で処理した。溶液を一晩撹拌した。反応混合物を濾過し、濾液を希釈塩酸で洗浄した。有機画分を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、溶媒を除去して、12.2gの粗製の12-シトロネロイルオキシドデカン-1-オールを生成した。
【0204】
粗生成物を塩化メチレン(60mL)に溶解し、クロロクロム酸ピリジニウム(6.8g)で3時間処理した。ジエチルエーテル(200mL)を加え、上清を、シリカゲル床を介して濾過した。溶媒を濾液から除去し、生成した油状物質を、酢酸エチル/ヘキサン(0~12%)勾配を使用するシリカゲル(75g)カラムに通した。粗製の12-シトロネロイルオキシドデカナール(6.2g)を油状物質として回収した。
【0205】
粗生成物(6.2g)、酢酸(0.44g)および2-N,N-ジメチルアミノエチルアミン(0.50g)の塩化メチレン(40mL)中溶液をトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(2.9g)で一晩処理した。溶液を水性炭酸水素ナトリウム、続いてブラインで洗浄した。有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、溶媒を除去した。残渣を、酢酸/メタノール/塩化メチレン(2~0%/0~12%/98~88%)勾配を使用するシリカゲル(75g)カラムに通した。精製画分を水性炭酸水素ナトリウムで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、溶媒を除去して、化合物35(1.68g)を油状物質として生成した。
【0206】
(実施例36)
化合物36の合成
一般的手順Cに従い化合物36を調製して、108mgの無色の油状物質を生成した(0.14mmol)。
【数29】
【0207】
(実施例37)
化合物37の合成
一般的手順Cに従い化合物37を調製して、330mgの無色の油状物質を生成した(0.40mmol、3ステップに対して全収率80%)。
【数30】
【0208】
(実施例38)
化合物38の合成
化合物38を方法Bに従い以下の通り調製した:
ノナン-1,9-ジオール(16g)の塩化メチレン(100mL)中溶液を、2-ブチルオクタン酸(10g)、DCC(10.3g)およびDMAP(6.7g)で処理した。溶液を3日間撹拌した。反応混合物を濾過し、濾液にヘキサン(250mL)を加えた。混合物を撹拌し、沈殿物を沈降させた。上清をデカントし、溶媒を除去した。残渣をヘキサン中に懸濁させて、沈降させた。上清をデカントし、溶媒を除去した(2回繰り返した)。残渣をヘキサンに溶解し、室温で静置し、次いで濾過した。溶媒を除去し、残渣を、塩化メチレンを使用するシリカゲルカラム(18g)に通して、粗製の9-(2’-ブチルオクタノイルオキシ)ノナン-1-オール(17.7g)を油状物質として生成した。
【0209】
粗生成物を塩化メチレン(250mL)に溶解し、クロロクロム酸ピリジニウム(11.2g)で一晩処理した。ジエチルエーテル(750mL)を加え、上清を、シリカゲル床を介して濾過した。溶媒を濾液から除去し、生成した油状物質をヘキサン(150mL
)に溶解した。懸濁液を、シリカゲルプラグを介して濾過し、溶媒を除去した。粗生成物を、0~6%酢酸エチル/ヘキサン勾配を使用するシリカゲル(80g)カラムに通して、9-(2’-ブチルオクタノイルオキシ)ノナナール(5.3g)を油状物質として生成した。
【0210】
生成物(5.3g)、酢酸(0.37g)および2-N,N-ジメチルアミノエチルアミン(0.47g)の塩化メチレン(50mL)中溶液を、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(3.35g)で一晩処理した。溶液を水酸化ナトリウム水溶液で洗浄した。有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、溶媒除去した。残渣を、酢酸/メタノール/塩化メチレン(2~0%/0~12%/98~88%)勾配を使用するシリカゲル(60g)カラムに通した。精製画分を水性炭酸水素ナトリウムで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、溶媒を除去し、化合物38を油状物質として生成した(2.3g)。
【0211】
(実施例39)
化合物39の合成
化合物39を方法Bに従い以下の通り調製した:
ヘキサン-1,6-ジオール(12g)の塩化メチレン(250mL)中溶液を、2-デシルテトラデカン酸(17.5g)、DCC(11.3g)およびDMAP(6.8g)で処理した。溶液を一晩撹拌した。反応混合物を濾過し、ヘキサンを濾液に加えた。混合物を撹拌し、沈殿物を沈降させた。上清をデカントし、溶媒を除去した。残渣を、ヘキサン、続いて0~1%メタノール/塩化メチレンを使用するシリカゲルカラム(80g)に通して、粗製の6-(2’-デシルテトラデカノイルオキシ)ヘキサン-1-オール(5.8g)を油状物質として生成した。
【0212】
粗生成物を塩化メチレン(70mL)に溶解し、クロロクロム酸ピリジニウム(2.9g)で2時間処理した。ジエチルエーテル(250mL)を加え、上清を、シリカゲル床を介して濾過した。溶媒を濾液から除去し、生成した油状物質をヘキサンに溶解した。懸濁液を、シリカゲルプラグを介して濾過し、溶媒を除去した。粗生成物を、0~5%酢酸エチル/ヘキサン勾配を使用するシリカゲル(10g)カラムに通して、6-(2’-デシルテトラデカノイルオキシ)ヘキサナール(3.2g)を油状物質として生成した。
【0213】
生成物(3.2g)、酢酸(0.28g)および2-N,N-ジメチルアミノエチルアミン(0.15g)の塩化メチレン(20mL)中溶液を、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(0.98g)で一晩処理した。溶液を水酸化ナトリウム水溶液で洗浄した。有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、溶媒を除去した。残渣を、酢酸/メタノール/塩化メチレン(2~0%/0~12%/98~88%)勾配を使用するシリカゲル(50g)カラムに通した。精製画分を水性炭酸水素ナトリウムで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、溶媒を除去して、化合物39を油状物質として生成した(1.2g)。
【0214】
(実施例40)
化合物40の合成
化合物40を方法Bに従い以下の通り調製した:
ノナン-1,9-ジオール(10.1g)の塩化メチレン(200mL)中溶液を、2-オクチルドデカン酸(10.0g)、DCC(8.3g)およびDMAP(5.0g)で処理した。溶液を一晩撹拌した。反応混合物を濾過し、ヘキサン(200mL)を濾液に加えた。混合物を撹拌し、沈殿物を沈降させた。上清をデカントし、溶媒を除去した。このプロセスを2回繰り返した。残渣を、ヘキサン、続いて4~10%メタノール/塩化メチレンを使用するシリカゲルカラム(75g)に通して、粗製の9-(2’-オクチル
ドデカノイルオキシ)ノナン-1-オール(約11g)を油状物質として生成した。
【0215】
粗生成物を塩化メチレン(70mL)に溶解し、クロロクロム酸ピリジニウム(8g)で2時間処理した。ジエチルエーテル(400mL)を加え、上清を、シリカゲル床を介して濾過した。溶媒を濾液から除去し、生成した油状物質をヘキサンに溶解した。懸濁液を、シリカゲルプラグを介して濾過し、溶媒を除去して、粗製の9-(2’-オクチルドデカノイルオキシ)ノナナール(8.4g)を油状物質として生成した。
【0216】
生成物(8.4g)、酢酸(0.84g)および2-N,N-ジメチルアミノエチルアミン(0.55g)の塩化メチレン(60mL)中溶液を、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(2.9g)で2時間処理した。溶液を水酸化ナトリウム水溶液で洗浄した。有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、溶媒を除去した。残渣を、酢酸/メタノール/塩化メチレン(2~0%/0~12%/98~88%)勾配を使用するシリカゲル(75g)カラムに通した。精製画分を水性炭酸水素ナトリウムで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、溶媒を除去して、化合物40を油状物質として生成した(3.2g)。
【0217】
(実施例41)
化合物41の合成
化合物41を方法Bに従い以下の通り調製した:
ノナン-1,9-ジオール(9.6g)の塩化メチレン(200mL)中溶液を、2-デシルテトラデカン酸(8.4g)、DCC(8.6g)およびDMAP(5.0g)で処理した。溶液を一晩撹拌した。反応混合物を濾過し、ヘキサン(200mL)を濾液に加えた。混合物を撹拌し、沈殿物を沈降させた。上清をデカントし、溶媒を除去した。このプロセスを2回繰り返した。残渣を、ヘキサン、続いて4~10%メタノール/塩化メチレンを使用するシリカゲルカラム(75g)に通して、粗製の9-(2’-デシルテトラデカノイルオキシ)ノナン-1-オール(6.4g)を油状物質として生成した。
【0218】
粗生成物を塩化メチレン(50mL)に溶解し、クロロクロム酸ピリジニウム(5.7g)で2時間処理した。ジエチルエーテル(200mL)を加え、上清を、シリカゲル床を介して濾過した。溶媒を濾液から除去し、生成した油状物質をヘキサンに溶解した。懸濁液を、シリカゲルプラグを介して濾過し、溶媒を除去して、粗製の9-(2’-デシルテトラデカノイルオキシ)ノナナール(5g)を油状物質として生成した。
【0219】
生成物(5g)、酢酸(0.45g)および2-N,N-ジメチルアミノエチルアミン(0.32g)の塩化メチレン(20mL)中溶液を、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(1.6g)で2時間処理した。溶液を水酸化ナトリウム水溶液で洗浄した。有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、溶媒を除去した。残渣を、酢酸/メタノール/塩化メチレン(2~0%/0~12%/98~88%)勾配を使用するシリカゲル(50g)カラムに通した。精製画分を水性炭酸水素ナトリウムで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、溶媒を除去して、化合物41を油状物質として生成した(2.2g)。
【0220】
(実施例42)
PEG脂質の合成
【化17】
ペグ化脂質42-6(「PEG-DMA」)を上記反応スキームに従い調製した(式中、nは、ペグ化脂質中の一連のエチレンオキシドの繰返し単位の中心を近似している)。42-1および42-2の合成
【0221】
ミリスチン酸(6g、26mmol)のトルエン(50mL)中溶液に、塩化オキサリル(39mmol、1.5当量、5g)を室温で加えた。生成した混合物を70℃で2時間加熱した後、混合物を濃縮した。残渣をトルエン中に溶解させ、再び濃縮した。シリンジを介して残存する油状物質を濃縮アンモニア溶液(20mL)に10℃で加えた。反応混合物を濾過し、水で洗浄した。白色の固体を真空中で乾燥させた。所望の生成物を白色の固体として得た(3.47g、15mmol、58.7%)。
42-3の合成
【0222】
20-2(3.47g、15mmol)のTHF(70mL)中懸濁液に、水素化アルミニウムリチウム(1.14g、30mmol)を室温で30分の期間の間少しずつ加えた。次いで、混合物を穏やかに(65℃の油浴)一晩加熱還流させた。混合物を5℃に冷却し、硫酸ナトリウム9水和物を加えた。混合物を2時間撹拌し、セライトの層を介して濾過し、DCM(200mL)中の15%のMeOHで洗浄した。濾液および洗液を合わせ、濃縮した。残存する固体を真空中で乾燥させた。所望の生成物を白色の固体として得た(2.86 13.4mmol、89.5%)。
42-4の合成
【0223】
ミリスチン酸(3.86g、16.9mmol)のベンゼン(40mL)およびDMF(1滴)中溶液に、塩化オキサリル(25.35mmol、1.5当量、3.22g)を
室温で加えた。混合物を室温で1.5時間撹拌した。60℃で30分加熱した。混合物を濃縮した。残渣をトルエン中に溶解させ、再び濃縮した。残存する油状物質(淡黄色)を20mLのベンゼン中に入れ、シリンジを介して、20-3(2.86 13.4mmol)およびトリエチルアミン(3.53mL、1.5当量)のベンゼン(40mL)中溶液に10℃で加えた。添加後、生成した混合物を室温で一晩撹拌した。反応混合物を水で希釈し、20%のHSOでpH6~7に調整した。混合物を濾過し、水で洗浄した。薄色の固体を得た。粗生成物をメタノールから再結晶化した。これによって、所望の生成物をオフホワイト色の固体として得た(5.65g、13mmol、100%)。
42-5の合成
【0224】
20-4(5.65g、13mmol)のTHF(60mL)中懸濁液に、水素化アルミニウムリチウム(0.99g、26mmol)を室温で30分の期間の間少しずつ加えた。次いで、混合物を穏やかに一晩加熱還流させた。混合物を0℃に冷却し、硫酸ナトリウム9水和物。混合物を2時間撹拌し、次いでセライトのパッドおよびシリカゲルを介して濾過し、エーテルで最初に洗浄した。濾液が濁り、沈殿が形成された。濾過により白色の固体を得た。固体をMeOHから再結晶化し、無色の結晶性固体(2.43g)。
【0225】
次いで、セライトおよびシリカゲルのパッドをDCM(400mL)中の5%のMeOH、次いで1%のトリエチルアミン(300mL)を含むDCM中の10%のMeOHで洗浄した。所望の生成物を含有する画分を合わせ、濃縮した。白色の固体を得た。固体をMeOHから再結晶化し、無色の結晶性固体(0.79g)。上記2つの固体(2.43gおよび0.79g)を合わせて、真空中で乾燥させた(3.20g、60%)。
【数31】
42-6の合成
【0226】
20-5(7mmol、2.87g)およびトリエチルアミン(30mmol、4.18mL)のDCM(100mL)中溶液に、mPEG-NHS(NOF製、5.0mmol、9.97g、PEG MWおよそ2,000、n=約45)のDCM(120mL)中溶液を加えた。24時間後、反応液を水(300mL)で洗浄した。水相をDCM(100mL×2)で2回抽出した。DCM抽出物を合わせ、ブライン(100mL)で洗浄した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、部分的に濃縮した。濃縮した溶液(約300mL)を約-15℃に冷却した。濾過により、白色の固体を得た(1.030g、未反応の開始アミン)。濾過に、Et3N(1.6mmol、0.222mL、4当量)および無水酢酸(1.6mmol、164mg)を加えた。混合物を室温で3時間撹拌し、次いで固体に濃縮した。残存する固体を、シリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(DCM中0~8%メタノール)により精製した。これによって、所望の生成物を白色の固体として得た(9.211g)。
【数32】
【0227】
(実施例43)
PEG脂質の合成
【化18】
パルミチン酸(10g)のベンゼン(50mL)中懸濁液を、塩化オキサリル(5mL)で3時間処理した。溶媒を除去し、残渣をジクロロメタン(40mL)に溶解した。溶液を濃縮アンモニア(100mL)に撹拌しながらゆっくりと加えた。生成した懸濁液を濾過し、水で洗浄した。沈殿物をメタノール中に懸濁させ、50℃に温めて、固体を溶解し、次いで、室温に冷却した。再結晶化した粗生成物を濾過し、乾燥させて、ヘキサデカノイルアミドを白色の固体として生成した(8.7g)。
【0228】
粗生成物をTHF(50mL)中に懸濁させ、水素化リチウムアルミニウム(1.1g、ゆっくりと加えた)で処理した。反応混合物を1時間撹拌した。過剰のメタノール、続いて水(2mL)をゆっくりと加えた。ジクロロメタン(200mL)を加え、混合物を濾過した。溶媒を濾液から除去して、粗製のヘキサデシルアミンを生成した(7g)。
【0229】
上記の通り調製したヘキサデカノイル(hexadecyanoyl)クロリド(10.5g)のジクロロメタン(dichlormethane)(40mL)中溶液を、粗製のヘキサデシルアミン(hexdecylamine)のジクロロメタン(40mL)中溶液に、撹拌しながらゆっくりと加えた。トリエチルアミン(15mL)を加え、溶液を室温で一晩撹拌した。溶液を濾過し、収集した沈殿物(N-(ヘキサデカノイル)ヘキサデシルアミド、約10.7g)を真空下で乾燥させた。
【0230】
粗生成物をTHF(60mL)中に懸濁させ、水素化リチウムアルミニウム(1.1g、ゆっくりと加えた)で処理した。反応混合物を室温で一晩撹拌した。過剰のメタノール、続いて水(3mL)をゆっくりと加えた。ジクロロメタン(250mL)を加え、溶液を濾過した。溶媒を除去し、粗製のジヘキサデシルアミン(7.6g)を白色の粉末として生成した。
【0231】
ジヘキサデシルアミン(3g)およびモノメトキシ-PEG-2000-アセトイルN-ヒドロキシスクシンイミドエステル(10g)のジクロロメタン(60mL)中溶液をトリエチルアミン(3mL)で処理し、一晩撹拌した。無水酢酸(1mL)を加え、溶液を30分間撹拌した。反応混合物をジクロロメタンで希釈し、ブラインで洗浄した。有機画分を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、溶媒を除去した。残渣を、0~8%メタノール/ジクロロメタン勾配を使用するシリカゲル(75g)カラムに通して、43-1を白色の粉末として生成した(5.2g)。
【0232】
(実施例44)
PEG脂質の合成
【化19】
ステアリン酸(6.5g)のベンゼン(20mL)中懸濁液を、塩化オキサリル(7mL)で3日間処理した。溶媒を除去し、残渣をベンゼン(40mL)に溶解した。濃縮アンモニア(50mL)を撹拌しながらゆっくりと加えた。生成した懸濁液を濾過し、水で
洗浄した。沈殿物をメタノール中に懸濁させ、濾過した。収集した沈殿物をメタノールで洗浄し、乾燥させて、オクタデカノイルアミドを白色の粉末として生成した(6.5g)。
【0233】
粗生成物をTHF(80mL)中に懸濁させ、過剰の水素化リチウムアルミニウム(1.6g、ゆっくりと加えた)で処理した。反応混合物を1時間撹拌した。過剰のメタノール、続いて、沈殿物が溶解するまで濃塩酸をゆっくりと加えた。反応混合物を水で希釈し、再結晶させた。溶液を濾過し、収集した沈殿物を乾燥させて、粗製のオクタデシルアミンを生成した(5.9g)。
【0234】
上記の通り調製したオクタデカノイル(octadecyanoyl)クロリド(8g)のジクロロメタン(40mL)中溶液を、撹拌しながら粗製のオクタデシルアミンで処理した。トリエチルアミン(15mL)およびヘキサン(100mL)を加え、溶液を45℃で1時間撹拌した。溶液を冷却し、濾過し、収集した沈殿物をメタノールで洗浄した。沈殿物をジクロロメタンから再結晶化して、N-(オクタデカノイル)オクタデシルアミド(6.8g)を白色の粉末として生成した。
【0235】
生成物をTHF(150mL)中に懸濁させ、水素化リチウムアルミニウム(1.5g、ゆっくりと加えた)で処理した。反応混合物を一晩還流させた。過剰のメタノール、続いて、沈殿物が溶解するまで濃塩酸をゆっくりと加えた。溶液を水で希釈し、結晶化させた。溶液を濾過し、収集した沈殿物を水で洗浄した(4×)。沈殿物を真空下で乾燥させ、ジオクタデシルアミン(6.2g)を白色の粉末として生成した。
【0236】
ジオクタデシルアミン(4.5g)およびモノメトキシ-PEG-2000-アセトイルN-ヒドロキシスクシンイミドエステル(9g)のクロロホルム(90mL)中溶液を、トリエチルアミン(40mL)で処理し、50℃で30分間撹拌した。溶液を濾過した。無水酢酸(1mL)を濾液に加え、溶液を15分間撹拌した。アンモニア(150mL)、続いてブライン(150mL)を加えた。反応混合物をジクロロメタンで抽出し、有機相を希釈塩酸で洗浄した。有機画分を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、溶媒を除去した。残渣を、0~8%メタノール/ジクロロメタン勾配を使用するシリカゲル(75g)カラムに通して、44-1を白色の粉末として生成した(7.4g)。
【0237】
(実施例45)
PEG脂質の合成
【化20】
ラウリン酸(10g)のベンゼン(20mL)中懸濁液を、塩化オキサリル(10mL)で1時間処理した。溶媒を除去し、残渣をジクロロメタン(50mL)に溶解した。溶液を濃縮アンモニア(150mL)に撹拌しながらゆっくりと加えた。反応混合物をジクロロメタンで洗浄した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、溶媒を除去して、粗製のドデカノイルアミドを白色の粉末として生成した(10g)。
【0238】
生成物をTHF(150mL)中に懸濁させ、水素化リチウムアルミニウム(3g、ゆっくりと加えた)で処理した。反応混合物を1時間撹拌した。過剰のメタノール、続いて水酸化ナトリウム水溶液(5mL)をゆっくりと加えた。ジクロロメタン(100mL)を加え、生成した懸濁液を濾過した。溶媒を濾液から除去し、残渣を、メタノール/ジク
ロロメタン勾配を使用するシリカゲル(80g)カラムに通して、ドデカニルアミンを生成した(4.5g)。
【0239】
ラウリン酸(7.3g)、粗製のテトラデシルアミン(4.5g)およびN-ヒドロキシスクシンイミド(4.2g)のジクロロメタン(200mL)中溶液をEDC(7.0g)、続いてトリエチルアミン(15mL)で処理し、溶液を室温で一晩撹拌した。溶液を濾過して、粗製のN-ドデカノイルドデカニルアミド(1g)を粉末として生成した。溶媒を濾液から除去し、残渣をメタノール中に懸濁させ、濾過して、さらに2gの粗製のN-ドデカノイルドデカニルアミドを生成した。
【0240】
粗生成物(3g)をTHF(60mL)中に懸濁させ、水素化リチウムアルミニウム(過剰の量をゆっくりと加えた)で2時間処理した。過剰のメタノール、続いて水(1mL)をゆっくりと加えた。ジクロロメタン(100mL)を加え、懸濁液を濾過した。溶媒を濾液から除去し、残渣を、0~12%メタノール/ジクロロメタン勾配を使用するシリカゲルカラム(20g)に通して、N-ドデカノイルドデカニルアミン(1.4g)を蝋状の固体として生成した。
【0241】
N-ドデカニルアミン(dodecanyldodecanylamine)(0.52g)およびモノメトキシ-PEG-2000-アセトイルN-ヒドロキシスクシンイミドエステル(1.5g)のジクロロメタン(10mL)中溶液を、トリエチルアミン(0.2mL)で処理し、一晩撹拌した。溶媒を除去し、生成物を、0~6%メタノール/ジクロロメタン勾配を使用するシリカゲルカラム(20g)に通した。無水酢酸(5滴)およびトリメチルアミン(10滴)を、回収した生成物のジクロロメタン中溶液に加え、1時間撹拌させた。溶媒を除去し、残渣を、0~4%メタノール/ジクロロメタン勾配を使用するシリカゲル(20g)カラムに通して、MePEGA-2000-DLAを白色の粉末として生成した(0.44g)。
(実施例46)
PEG脂質の合成
【化21】
【0242】
ミリスチン酸(30g)のベンゼン(100mL)中懸濁液を塩化オキサリル(15mL)で一晩処理した。溶媒を除去し、残渣をジクロロメタン(100mL)に溶解した。溶液を濃縮アンモニア(70mL)に撹拌しながらゆっくりと加えた。生成した懸濁液を濾過し、水で洗浄した。沈殿物を乾燥させ、粗製のテトラデカノイルアミドを白色の固体として生成した(27g)。
【0243】
生成物をTHF(200mL)中に懸濁させ、水素化リチウムアルミニウム(4.5g、ゆっくりと加えた)で処理した。反応混合物を1時間撹拌した。過剰のメタノール、続いて水(10mL)をゆっくりと加えた。ジクロロメタン(250mL)を加え、生成した懸濁液を濾過した。溶媒を濾液から除去し、粗製のテトラデシルアミンを生成した(17.6g)。
【0244】
ラウリン酸(3.5g)、粗製のテトラデシルアミン(3g)およびN-ヒドロキシスクシンイミド(1.9g)のジクロロメタン(40mL)中溶液を、EDC(3.3g)、続いてトリエチルアミン(4mL)で処理し、溶液を室温で3日間撹拌した。溶液を濾
過し、収集した沈殿物を乾燥させ、粗製のN-ラウロイルテトラデカニルアミン(2.6g)を粉末として生成した。
【0245】
粗生成物をTHF(60mL)中に懸濁させ、水素化リチウムアルミニウム(0.8g、ゆっくりと加えた)で1時間処理した。過剰のメタノール、続いて水(2mL)をゆっくりと加えた。ジクロロメタンを加え、懸濁液を濾過した。溶媒を除去し、残渣を高温のメタノール(100mL)に溶解した。溶液を冷却し、濾過して、0.5gのN-ドデカニルテトラデカニルアミンを生成した。溶媒を濾液から除去し、20mLのメタノールを用いてこのプロセスを繰り返して、第2の収穫物であるN-ドデカニルテトラデカニルアミンを生成した(0.9g)。
【0246】
N-ドデカニルテトラデカニルアミン(0.5g)およびモノメトキシ-PEG-2000-アセトイルN-ヒドロキシスクシンイミドエステル(1.5g)のジクロロメタン(10mL)中溶液を、トリエチルアミン(0.2mL)で処理し、一晩撹拌した。溶媒を除去し、生成物を、0~6%メタノール/ジクロロメタン勾配を使用するシリカゲルカラム(20g)に通した。無水酢酸(5滴)およびトリメチルアミン(10滴)を、回収した生成物のジクロロメタン中溶液に加え、1時間撹拌させた。溶媒を除去し、残渣を、0~4%メタノール/ジクロロメタン勾配を使用するシリカゲル(20g)カラムに通して、MePEGA-2000-LMAを白色の粉末として生成した(0.76g)。
【0247】
(実施例47)
脂質ナノ粒子組成物を使用したルシフェラーゼmRNAのin vivo評価
カチオン性脂質(MC3)、DSPC、コレステロールおよびPEG-脂質を、50:10:38.5:1.5のモル比で、エタノール中で可溶化した。脂質ナノ粒子(LNP)を、全脂質のmRNAに対する重量比約10:1~30:1で調製した。簡単に説明すると、10~50mMのクエン酸塩緩衝剤中で、pH4で、mRNAを0.2mg/mLに希釈した。シリンジポンプを使用して、15ml/分より上の全流速で、エタノール性脂質溶液とmRNA水溶液を約1:5~1:3(vol/vol)の比で混合した。次いで、エタノールを除去し、外部の緩衝剤を透析によりPBSに置き換えた。最後に、脂質ナノ粒を、0.2μm細孔の無菌フィルターを介して濾過した。脂質ナノ粒子の粒径は、Nicomp 370サブミクロン粒度計(Santa Barbara、CA)を使用した準弾性光散乱により判定した場合、直径70~90nmであった。
【0248】
動物実験委員会(institutional animal care committee(ACC))およびカナダ動物管理協会(Canadian Council on Animal Care(CCAC))により確立されたガイドラインに従い、6~8週齢の雌のC57BL/6マウス(Charles River)において研究を実施した。異なる用量のmRNA-脂質ナノ粒子を尾静脈注射により全身投与し、投与後特定の時点で(1、2、4、8および24時間)動物を安楽死させた。肝臓および脾臓を、予め計量した管内に採取し、重量を判定し、液体窒素中で直ちに瞬間凍結し、分析用の処理が行われるまで-80℃で保存した。
【0249】
肝臓に関して、約50mgを分析用に切開し、2mLのFastPrep管(MP Biomedicals、Solon OH)内に入れた。1/4インチのセラミック球(MP Biomedicals)を各管に加え、室温に平衡化させた500μLのGlo溶解緩衝剤-GLB(Promega、Madison WI)を肝臓組織に加えた。FastPrep24装置(MP Biomedicals)を、2×6.0m/秒で15秒間用いて、肝臓組織をホモジナイズした。ホモジネートを室温で5分間インキュベートしてから、GLB中で1:4希釈し、SteadyGlo Luciferaseアッセイ系(Promega)を使用して評価した。具体的に、50μLの希釈された組織ホモ
ジネートを50μLのSteadyGlo基質と反応させ、10秒間振盪させ、これに続いて5分間のインキュベーションを行い、次いで、CentroXS LB 960照度計(Berthold Technologies、Germany)を使用して定量化した。アッセイしたタンパク質の量をBCAタンパク質アッセイキット(Pierce、Rockford IL)を使用して決定した。次いで、相対発光単位(RLU)をアッセイした全タンパク質(ug)に正規化した。RLUをルシフェラーゼ(ng)に変換するため、QuantiLum Recombinant Luciferase(Promega)を用いて検量線を作成した。図1に提供されているデータに基づき、4時間の時点が脂質製剤の効力評価用に選択された(実施例48を参照されたい)。
【0250】
Trilink Biotechnologies製FLuc mRNA(L-6107)は、もともとホタル、Photinus pyralisから単離したルシフェラーゼタンパク質を発現する。FLucは、遺伝子発現と細胞生存度の両方を測定するために、哺乳動物細胞培養物に一般的に使用される。これは、基質、ルシフェリンの存在下で生物発光を発光する。このキャッピングおよびポリアデニル化されたmRNAは、5-メチルシチジンおよびプソイドウリジンで完全に置換されている。
【0251】
(実施例48)
in vivoで、ルシフェラーゼmRNA発現げっ歯類モデルを使用する、様々なカチオン性脂質を含有する脂質ナノ粒子製剤の効力の判定
表2に示されているカチオン性脂質は、以前核酸を用いて試験を行った。比較目的のため、これらの脂質を使用して、実施例47およびその全体が参照により本明細書に組み込まれているPCT/US10/22614に記載されているような株混合法を使用して、FLuc mRNA(L-6107)を含有する脂質ナノ粒子もまた製剤化した。脂質ナノ粒子は、以下のモル比:50%カチオン性脂質/10%ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)/38.5%コレステロール/1.5%PEG脂質(「PEG-DMG」、すなわち、(1-(モノメトキシ-ポリエチレングリコール)-2,3-ジミリストイルグリセロール、平均PEG分子量2000)を使用して製剤化した。実施例47に記載の通り尾静脈注射を介した投与の4時間後、肝臓内のルシフェラーゼ発現を測定することによって、相対活性を決定した。0.3および1.0mgのmRNA/kgの用量での活性を比較し、実施例47に記載の通り、投与の4時間後に測定したルシフェラーゼ(ng)/肝臓(g)として表現した。
【表8】
【0252】
表3に示されている本発明の新規の脂質を、以下のモル比:50%カチオン性脂質/10%ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)/38.5%コレステロール/1.5%PEG脂質(「PEG-DMA」化合物42-6)を使用して製剤化した。実施例47に記載の通り尾静脈注射を介した投与の4時間後、肝臓内のルシフェラーゼ発現を測定することによって、相対活性を決定した。0.3および1.0mgのmRNA/kgの用量での活性を比較し、実施例47に記載の通り、投与の4時間後に測定したルシフェラーゼ(ng)/肝臓(g)として表現した。
【表9】
【表10】
【表11】
【表12】
【0253】
(実施例49)
製剤化した脂質のpKaの判定
他の箇所で記載されているように、製剤化したカチオン性脂質のpKaは、核酸の送達のためのLNPの有効性と相関する(Jayaramanら、Angewandte Chemie、International Edition(2012年)、51巻(34号)、8529~8533頁;Sempleら、Nature Biotechnology、28巻、172~176頁(2010年)を参照されたい)。pKaの好ましい範囲は約5~約7である。2-(p-トルイジノ)-6-ナフタレンスルホン酸(TNS)の蛍光に基づくアッセイを使用して、各カチオン性脂質のpKを脂質ナノ粒子において決定した。PBS中に、カチオン性脂質/DSPC/コレステロール/PEG-脂質(50/10/38.5/1.5mol%)を総脂質濃度0.4mMで含む脂質ナノ粒子を
、実施例47に記載されているようなインラインプロセスを使用して調製した。TNSは、蒸留水中100μΜストック溶液として調製した。10mM HEPES、10mM MES、10mM 酢酸アンモニウム、130mM NaCl(このpHは2.5~11の範囲である)を含有する2mLの緩衝液中で、ベシクルを24μΜの脂質に希釈した。アリコートのTNS溶液を加えて、最終濃度を1μΜにし、ボルテックス混合した後、321nmおよび445nmの励起および発光波長を使用する、SLM Aminco Series 2 Luminescence Spectrophotometerで、室温で蛍光強度を測定した。シグモイドのベストフィット分析を蛍光データに適用し、最大半量の蛍光強度を引き起こすpHとしてpKを測定した(図2を参照されたい)。
【0254】
(実施例50)
アミノ脂質の活性比較および炭化水素鎖構造の効果
表5に示されているカチオン性脂質を、以下のモル比:50%カチオン性脂質/10%ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)/38.5%コレステロール/1.5%PEG-脂質(42-6)を使用して製剤化した。実施例48に記載の通り尾静脈注射を介した投与の4時間後、肝臓内のルシフェラーゼ発現を測定することによって、相対活性を決定した。0.1、0.3および1.0mgのmRNA/kgの用量での活性を比較し、実施例48に記載の通り、投与の4時間後に測定したルシフェラーゼ(ng)/肝臓(g)として表現した。データは図3にプロットされている(最高値から最低値:ダイヤモンド形=化合物6;正方形=化合物5;三角形=MC3;および丸=化合物A)。化合物A、5および6は、共通の先端基ではあるが、異なる炭化水素鎖構造を有する。
【表13】
【0255】
(実施例51)
カチオン性脂質の活性比較および先端基鎖長の効果
表6に示されているカチオン性脂質を、以下のモル比:50%カチオン性脂質/10%ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)/38.5%コレステロール/1.5%PEG-脂質(42-6)を使用して製剤化した。実施例48に記載の通り尾静脈注射を介した投与の4時間後、肝臓内のルシフェラーゼ発現を測定することによって、相対活性を決定した。0.1、0.3および1.0mgのmRNA/kgの用量での活性を比較し、実施例48に記載の通り、投与の4時間後に測定したルシフェラーゼ(ng)/肝臓(g)として表現した。化合物A、BおよびCは、共通の炭化水素鎖構造ではあるが、異なる先端基鎖長を有する。化合物6は、化合物Aと好ましい先端基を共有し、先端基と炭化水素鎖構造の組合せの予期せぬ利点を明示している。
【表14】
【0256】
(実施例52)
PEG-DMGおよびPEG-DMA脂質の活性比較
PEG-DMGとPEG-DMA脂質の活性比較が図4に示されている。LNPを、以下のモル比:50%MC3脂質/10%ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)/38.5%コレステロール/1.5%PEG-脂質(PEG-DMGまたはPEG-DMA)を使用して製剤化した。実施例48に記載の通り尾静脈注射を介した投与の4時間後、肝臓内のルシフェラーゼ発現を測定することによって、相対活性を決定した。0.1、0.3および1.0mgのmRNA/kgの用量での活性を比較し、実施例48に記載の通り、投与の4時間後に測定したルシフェラーゼ(ng)/肝臓(g)として表現した。
【0257】
データは、図4において棒グラフ形態で提示されている。
【0258】
(実施例53)
チェリーレッド(CR)mRNAと呼ばれる赤色の蛍光性タンパク質を使用したLNP活性
化合物6を使用したLNPを、チェリーレッド(CR、例えばTriLink Biotechnologies製品L-6113)と呼ばれる赤色の蛍光性タンパク質をコードしているmRNAを用いて、実施例47に記載の通り製剤化する。実施例47に記載の通りin vivo研究を行い、肝臓組織の切片を処理し、投与後、4、6および24時間の時点で、共焦点蛍光顕微鏡法により観察する。発現レベルは、約6時間でピークに達し、少なくとも24時間維持された。観察された組織切片は、肝臓全体にわたる均質の発現を明示している。
【0259】
(実施例54)
ヒトFIX mRNAのin vivoの肝細胞へのLNP送達が、マウス血漿中に、治療レベルのhFIXタンパク質を生じる
表7に示されているカチオン性脂質を有するLNPを、実施例47に記載の通り、以下の脂質モル比:50%脂質/10%ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)/38.5%コレステロール/1.5%PEG-脂質を使用して、ヒトFIX(例えばTriLink Biotechnologies製品L-6110)をコードしているmRNAを用いて製剤化する。製造元の指示通り市販のキット(例えば、Abcam ab108831)を使用して、ELISAにより血漿タンパク質を分析する。化合物5および化合物6のLNPに対して表7に与えられたhFIX発現の測定レベルは、臨床的に関連し、これらのhFIX mRNA LNPを1mg/kgの用量で投与すると、重症の疾患を有する患者を穏やかな疾患状態に変えるのに十分であるhFIXタンパク質濃度が生じる。これらのレベルのhFIXの期間は、約15時間またはこれより長い。
【表15】
【0260】
例示的実施形態は、以下を含む:
実施形態1.式I:
【化22】
(式中、
およびLは、それぞれ独立して、-O(C=O)-、-(C=O)O-または炭素-炭素二重結合であり、
1aおよびR1bは、出現ごとに、独立して、(a)HもしくはC~C12アルキルであるか、または(b)R1aはHもしくはC~C12アルキルであり、R1bとそれが結合している炭素原子は、隣接するR1bとそれが結合している炭素原子と一緒になって、炭素-炭素二重結合を形成し、
2aおよびR2bは、出現ごとに、独立して、(a)HもしくはC~C12アルキルであるか、または(b)R2aは、HもしくはC~C12アルキルであり、R2bとそれが結合している炭素原子は、隣接するR2bとそれが結合している炭素原子と一緒になって、炭素-炭素二重結合を形成し、
3aおよびR3bは、出現ごとに、独立して(a)HもしくはC~C12アルキルであるか、または(b)R3aはHもしくはC~C12アルキルであり、R3bとそれが結合している炭素原子は、隣接するR3bとそれが結合している炭素原子と一緒になって、炭素-炭素二重結合を形成し、
4aおよびR4bは、出現ごとに、独立して、(a)HもしくはC~C12アルキルであるか、または(b)R4aは、HもしくはC~C12アルキルであり、R4bとそれが結合している炭素原子は、隣接するR4bとそれが結合している炭素原子と一緒になって、炭素-炭素二重結合を形成し、
およびRは、それぞれ独立して、メチルまたはシクロアルキルであり、
は、出現ごとに、独立して、HまたはC~C12アルキルであり、
およびRは、それぞれ独立して、非置換のC~C12アルキルであるか、またはRおよびRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、1個の窒素原子を含む5、6または7員の複素環を形成し、
aおよびdは、それぞれ独立して、0~24の整数であり、
bおよびcは、それぞれ独立して、1~24の整数であり、
eは1または2であり、
ただし、
1a、R2a、R3aもしくはR4aの少なくとも1つは、C~C12アルキルであるか、またはLもしくはLの少なくとも1つは、-O(C=O)-もしくは-(C=O)O-であり、
1aおよびR1bは、aが6である場合、イソプロピルではなく、aが8である場合、n-ブチルではない)
の構造を有する化合物またはその薬学的に許容される塩、互変異性体、プロドラッグもしくは立体異性体。
【0261】
実施形態2.LまたはLの1つが-O(C=O)-である、実施形態1の化合物。
【0262】
実施形態3.LまたはLの1つが-(C=O)O-である、実施形態1または2のいずれか1つの化合物。
【0263】
実施形態4.LまたはLの1つが炭素-炭素二重結合である、実施形態1から3のいずれか1つの化合物。
【0264】
実施形態5.以下の構造(Ia)、(Ib)または(Ic):
【化23】
の1つを有する、実施形態1の化合物。
【0265】
実施形態6.a、b、cおよびdが、それぞれ独立して、2~12の整数である、実施形態1から5のいずれか1つの化合物。
【0266】
実施形態7.a、b、cおよびdが、それぞれ独立して、5~9の整数である、実施形態1から5のいずれか1つの化合物。
【0267】
実施形態8.R1a、R2a、R3aおよびR4aの少なくとも1つがHである、実施形態1から7のいずれか1つの化合物。
【0268】
実施形態9.R1a、R2a、R3aおよびR4aが出現ごとにHである、実施形態1から7のいずれか1つの化合物。
【0269】
実施形態10.R1a、R2a、R3aおよびR4aの少なくとも1つがC~Cアルキルである、実施形態1から7のいずれか1つの化合物。
【0270】
実施形態11.C~Cアルキルが、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、tert-ブチル、n-ヘキシルまたはn-オクチルである、実施形態10の化合物。
【0271】
実施形態12.R1b、R2b、R3bおよびR4bの少なくとも1つがHである、実施形態1から11のいずれか1つの化合物。
【0272】
実施形態13.R1b、R2b、R3bおよびR4bが出現ごとにHである、実施形態
1から11のいずれか1つの化合物。
【0273】
実施形態14.R1bとそれが結合している炭素原子が、隣接するR1bとそれが結合している炭素原子と一緒になって、炭素-炭素二重結合を形成する、実施形態1から11のいずれか1つの化合物。
【0274】
実施形態15.R4bとそれが結合している炭素原子が、隣接するR4bとそれが結合している炭素原子と一緒になって、炭素-炭素二重結合を形成する、実施形態1から11または14のいずれか1つの化合物。
【0275】
実施形態16.RまたはRの1つがメチルである、実施形態1から15のいずれか1つの化合物。
【0276】
実施形態17.RおよびRのそれぞれがメチルである、実施形態1から15のいずれか1つの化合物。
【0277】
実施形態18.RまたはRの1つがシクロアルキルである、実施形態1から15のいずれか1つの化合物。
【0278】
実施形態19.RおよびRのそれぞれがシクロアルキルである、実施形態1から15のいずれか1つの化合物。
【0279】
実施形態20.シクロアルキルが非置換である、実施形態18または19のいずれか1つの化合物。
【0280】
実施形態21.シクロアルキルが置換されている、実施形態18または19のいずれか1つの化合物。
【0281】
実施形態22.シクロアルキルが、C~Cアルキルで置換されている、実施形態18または19のいずれか1つの化合物。
【0282】
実施形態23.C~Cアルキルがtert-ブチルである、実施形態22の化合物。
【0283】
実施形態24.シクロアルキルがシクロヘキシルである、実施形態18から23のいずれか1つの化合物。
【0284】
実施形態25.少なくとも1つのRがHである、実施形態1から24のいずれか1つの化合物。
【0285】
実施形態26.各RがHである、実施形態25の化合物。
【0286】
実施形態27.少なくとも1つのRがC~Cアルキルである、実施形態1から25のいずれか1つの化合物。
【0287】
実施形態28.eが2である、実施形態1から27のいずれか1つの化合物。
【0288】
実施形態29.RまたはRの少なくとも1つがメチルである、実施形態1から28のいずれか1つの化合物。
【0289】
実施形態30.RおよびRのそれぞれがメチルである、実施形態1から29の化合物。
【0290】
実施形態31.表1の化合物から選択される、実施形態1の化合物。
【0291】
実施形態32.実施形態1から31のいずれか1つの化合物と、治療剤とを含む組成物。
【0292】
実施形態33.中性脂質、ステロイドおよびポリマーコンジュゲート脂質から選択される1種または複数の賦形剤をさらに含む、実施形態32の組成物。
【0293】
実施形態34.DSPC、DPPC、DMPC、DOPC、POPC、DOPEおよびSMから選択される1種または複数の中性脂質を含む、実施形態33の組成物。
【0294】
実施形態35.中性脂質がDSPCである、実施形態34の組成物。
【0295】
実施形態36.化合物と中性脂質とのモル比が、約2:1~約8:1の範囲である、実施形態33から35のいずれか1つの組成物。
【0296】
実施形態37.ステロイドがコレステロールである、実施形態32から36のいずれか1つの組成物。
【0297】
実施形態38.化合物とコレステロールとのモル比が、約2:1~1:1の範囲である、実施形態37の組成物。
【0298】
実施形態39.ポリマーコンジュゲート脂質がペグ化脂質である、実施形態32から38のいずれか1つの組成物。
【0299】
実施形態40.化合物とペグ化脂質とのモル比が、約100:1~約25:1の範囲である、実施形態39の組成物。
【0300】
実施形態41.ペグ化脂質がPEG-DMGである、実施形態39または40のいずれか1つの組成物。
【0301】
実施形態42.ペグ化脂質が、以下の構造(II):
【化24】
(式中、
10およびR11は、それぞれ独立して、10~30個の炭素原子を含有する、直鎖状または分岐状の、飽和または不飽和のアルキル鎖であり、アルキル鎖は、1つまたは複数のエステル結合により任意選択で分断されており、
zは、30~60の範囲の平均値を有する)
またはその薬学的に許容される塩、互変異性体もしくは立体異性体を有する、実施形態39または40のいずれか1つの組成物。
【0302】
実施形態43.R10およびR11が、それぞれ独立して、12~16個の炭素原子を含有する直鎖状の飽和アルキル鎖である、実施形態42の組成物。
【0303】
実施形態44.zの平均が約45である、実施形態42または43のいずれか1つの組成物。
【0304】
実施形態45.治療剤が核酸を含む、実施形態32から44のいずれか1つの組成物。
【0305】
実施形態46.核酸が、アンチセンスおよびメッセンジャーRNAから選択される、実施形態45の組成物。
【0306】
実施形態47.治療剤の投与をそれを必要とする患者に行うための方法であって、実施形態32から46のいずれか1つの組成物を調製または提供するステップと、組成物を患者に投与するステップとを含む方法。
【0307】
実施形態48.以下の構造(II):
【化25】
(式中、
10およびR11は、それぞれ独立して、10~30個の炭素原子を含有する、直鎖状または分岐状の、飽和または不飽和のアルキル鎖であり、アルキル鎖は、1つまたは複数のエステル結合により任意選択で分断されており、
zは、30~60の範囲の平均値を有し、
ただし、R10およびR11は、zが42である場合、両方がn-オクタデシルではない)
を有するペグ化脂質またはその薬学的に許容される塩、互変異性体もしくは立体異性体。
【0308】
実施形態49.R10およびR11が、それぞれ独立して、12~16個の炭素原子を含有する直鎖状の飽和アルキル鎖である、実施形態48のペグ化脂質。
【0309】
実施形態50.zが約45である、実施形態48または49のいずれか1つのペグ化脂質。
【0310】
実施形態51.以下の構造:
【化26】
の1つを有する実施形態48のペグ化脂質(式中、nは、40~50の範囲の平均値を有
する)。
【0311】
実施形態52.実施形態48から51のいずれか1つのペグ化脂質と、カチオン性脂質とを含む組成物。
【0312】
実施形態53.カチオン性脂質が、実施形態1から31のいずれか1つの化合物である、実施形態52の組成物。
【0313】
上に記載の様々な実施形態は、組み合わせて、さらなる実施形態を提供することができる。これに限定されないが、2014年6月25日に出願された米国仮出願第62/016,839号を含めて、本明細書に参照された、および/または出願データシートに列挙された米国特許、米国特許出願公報、米国特許出願、外国特許、外国特許出願および非特許公報のすべては、これらの全体が参照により本明細書に組み込まれている。実施形態の態様は、必要に応じて修正して、様々な特許、出願および公報の概念を利用し、またさらなる実施形態を提供することができる。これらおよび他の変更は、上記に詳述された記載を考慮して実施形態に行うことができる。一般的に、以下の特許請求の範囲において、使用された用語は、特許請求の範囲を、本明細書および特許請求の範囲で開示された特定の実施形態に限定するものと解釈されるべきではなく、このような特許請求の範囲の権利が与えられている同等物の全範囲と共に、すべての可能な実施形態を含むものと解釈されるべきである。したがって、特許請求の範囲は、本開示により限定されない。
図1
図2
図3
図4