(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-03
(45)【発行日】2023-02-13
(54)【発明の名称】ビデオ復号及び符号化の方法、装置並びにプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 19/13 20140101AFI20230206BHJP
H04N 19/134 20140101ALI20230206BHJP
H04N 19/18 20140101ALI20230206BHJP
H04N 19/645 20140101ALI20230206BHJP
H04N 19/91 20140101ALI20230206BHJP
【FI】
H04N19/13
H04N19/134
H04N19/18
H04N19/645
H04N19/91
(21)【出願番号】P 2021531762
(86)(22)【出願日】2020-01-02
(86)【国際出願番号】 US2020012038
(87)【国際公開番号】W WO2020142596
(87)【国際公開日】2020-07-09
【審査請求日】2021-06-03
(32)【優先日】2019-01-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520353802
【氏名又は名称】テンセント・アメリカ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】リ,シアン
(72)【発明者】
【氏名】リィウ,シャン
【審査官】久保 光宏
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-507424(JP,A)
【文献】Tzu-Der Chuang, et al.,"CE7-related: Constraints on context-coded bins for coefficient coding",JVET-L0145 (version 5),[online], Joint Video Experts Team (JVET) of ITU-T SG 16 WP 3 and ISO/IEC JTC 1/SC 29/WG 11,2018年10月08日,Pages 1-19,[令和4年6月9日検索], インターネット, <URL: http://phenix.it-sudparis.eu/jvet/doc_end_user/current_document.php?id=4226> and <URL: http://phenix.it-sudparis.eu/jvet/doc_end_user/documents/12_Macao/wg11/JVET-L0145-v5.zip>.
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N19/00-19/98
CSDB(日本国特許庁)
IEEEXplore(IEEE)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デコーダが実行するビデオ復号の方法であって、
シンタックスエレメントを含むビットストリームを受信するステップであって、前記シンタックスエレメントは、符号化ピクチャ内の変換ブロックの残差に対応する、ステップと、
前記変換ブロック内の第1の係数サブブロックの周波数位置に基づいて、前記変換ブロック内の前記第1の係数サブブロックの前記シンタックスエレメントのコンテキスト符号化ビンの第1の最大数を決定するステップと、
コンテキストモデルと、前記第1の係数サブブロックの前記シンタックスエレメントの前記コンテキスト符号化ビンの前記決定された第1の最大数とに従って、前記第1の係数サブブロックの前記シンタックスエレメントの複数のビンのそれぞれを
復号するステップ
と
を含み、前記第1の係数サブブロックの前記シンタックスエレメントのコンテキスト符号化ビンの前記第1の最大数は、前記変換ブロック内の第2の係数サブブロックのシンタックスエレメントのコンテキスト符号化ビンの第2の最大数とは異なる、方法。
【請求項2】
前記第1の係数サブブロックの前記周波数位置は、前記変換ブロックの低周波数領域にあり、
前記第2の係数サブブロックの周波数位置は、前記変換ブロックの高周波数領域にある、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記変換ブロックの前記低周波数領域及び前記変換ブロックの前記高周波数領域は、前記変換ブロック内の係数サブブロックの対角線によって分離される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の係数サブブロックの前記周波数位置は、前記変換ブロックの低周波数領域にあり、
前記第1の係数サブブロックの前記シンタックスエレメントの前記コンテキスト符号化ビンの前記第1の最大数は、前記変換ブロック内の係数サブブロックのシンタックスエレメントのコンテキスト符号化ビンの平均最大数よりも大きい、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の係数サブブロックの前記シンタックスエレメントの前記コンテキスト符号化ビンの前記第1の最大数は、前記第1の係数サブブロックの前記周波数位置が前記変換ブロックの前記係数サブブロックのうち2つ以上の対角線上にある場合に、前記変換ブロック内の前記係数サブブロックの前記シンタックスエレメントの前記コンテキスト符号化ビンの前記平均最大数に等しい、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記決定するステップは、
前記第1の係数サブブロックの前記周波数位置及び前記変換ブロックのサイズに基づいて、前記変換ブロック内の前記第1の係数サブブロックの前記シンタックスエレメントの前記コンテキスト符号化ビンの前記第1の最大数を決定するステップを更に含む、請求項1乃至5のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記第2の係数サブブロックの周波数位置は、前記変換ブロックの高周波数領域にあり、前記第2の係数サブブロックの前記シンタックスエレメントの前記コンテキスト符号化ビンの前記第2の最大数は、前記変換ブロック内の前記係数サブブロックの前記シンタックスエレメントの前記コンテキスト符号化ビンの前記平均最大数よりも小さい、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項8】
処理回路を含むビデオ復号の装置であって、
前記処理回路は、
シンタックスエレメントを含むビットストリームを受信するステップであって、前記シンタックスエレメントは、符号化ピクチャ内の変換ブロックの残差に対応する、ステップと、
前記変換ブロック内の第1の係数サブブロックの周波数位置に基づいて、前記変換ブロック内の前記第1の係数サブブロックの前記シンタックスエレメントのコンテキスト符号化ビンの第1の最大数を決定するステップと、
コンテキストモデルと、前記第1の係数サブブロックの前記シンタックスエレメントの前記コンテキスト符号化ビンの前記決定された第1の最大数とに従って、前記第1の係数サブブロックの前記シンタックスエレメントの複数のビンのそれぞれを
復号するステップ
と
を実行するように構成され、前記第1の係数サブブロックの前記シンタックスエレメントのコンテキスト符号化ビンの前記第1の最大数は、前記変換ブロック内の第2の係数サブブロックのシンタックスエレメントのコンテキスト符号化ビンの第2の最大数とは異なる、装置。
【請求項9】
前記第1の係数サブブロックの前記周波数位置は、前記変換ブロックの低周波数領域にあり、
前記第2の係数サブブロックの周波数位置は、前記変換ブロックの高周波数領域にある、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記変換ブロックの前記低周波数領域及び前記変換ブロックの前記高周波数領域は、前記変換ブロック内の係数サブブロックの対角線によって分離される、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記第1の係数サブブロックの前記周波数位置は、前記変換ブロックの低周波数領域にあり、
前記第1の係数サブブロックの前記シンタックスエレメントの前記コンテキスト符号化ビンの前記第1の最大数は、前記変換ブロック内の係数サブブロックのシンタックスエレメントのコンテキスト符号化ビンの平均最大数よりも大きい、請求項8に記載の装置。
【請求項12】
前記第1の係数サブブロックの前記シンタックスエレメントの前記コンテキスト符号化ビンの前記第1の最大数は、前記第1の係数サブブロックの前記周波数位置が前記変換ブロックの前記係数サブブロックのうち2つ以上の対角線上にある場合に、前記変換ブロック内の前記係数サブブロックの前記シンタックスエレメントの前記コンテキスト符号化ビンの前記平均最大数に等しい、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記決定するステップは、
前記第1の係数サブブロックの前記周波数位置及び前記変換ブロックのサイズに基づいて、前記変換ブロック内の前記第1の係数サブブロックの前記シンタックスエレメントの前記コンテキスト符号化ビンの前記第1の最大数を決定するステップを更に含む、請求項8乃至12のうちいずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
前記第2の係数サブブロックの周波数位置は、前記変換ブロックの高周波数領域にあり、前記第2の係数サブブロックの前記シンタックスエレメントの前記コンテキスト符号化ビンの前記第2の最大数は、前記変換ブロック内の前記係数サブブロックの前記シンタックスエレメントの前記コンテキスト符号化ビンの前記平均最大数よりも小さい、請求項11又は12に記載の装置。
【請求項15】
コンピュータにより実行されると、前記コンピュータに、
シンタックスエレメントを含むビットストリームを受信するステップであって、前記シンタックスエレメントは、符号化ピクチャ内の変換ブロックの残差に対応する、ステップと、
前記変換ブロック内の第1の係数サブブロックの周波数位置に基づいて、前記変換ブロック内の前記第1の係数サブブロックの前記シンタックスエレメントのコンテキスト符号化ビンの第1の最大数を決定するステップと、
コンテキストモデルと、前記第1の係数サブブロックの前記シンタックスエレメントの前記コンテキスト符号化ビンの前記決定された第1の最大数とに従って、前記第1の係数サブブロックの前記シンタックスエレメントの複数のビンのそれぞれを
復号するステップ
と
を実行させ、前記第1の係数サブブロックの前記シンタックスエレメントのコンテキスト符号化ビンの前記第1の最大数は、前記変換ブロック内の第2の係数サブブロックのシンタックスエレメントのコンテキスト符号化ビンの第2の最大数とは異なる、プログラム。
【請求項16】
前記第1の係数サブブロックの前記周波数位置は、前記変換ブロックの低周波数領域にあり、
前記第2の係数サブブロックの周波数位置は、前記変換ブロックの高周波数領域にある、請求項15に記載の
プログラム。
【請求項17】
前記変換ブロックの前記低周波数領域及び前記変換ブロックの前記高周波数領域は、前記変換ブロック内の係数サブブロックの対角線によって分離される、請求項16に記載のプログラム。
【請求項18】
前記第1の係数サブブロックの前記周波数位置は、前記変換ブロックの低周波数領域にあり、
前記第1の係数サブブロックの前記シンタックスエレメントの前記コンテキスト符号化ビンの前記第1の最大数は、前記変換ブロック内の係数サブブロックのシンタックスエレメントのコンテキスト符号化ビンの平均最大数よりも大きい、請求項15に記載のプログラム。
【請求項19】
前記第1の係数サブブロックの前記シンタックスエレメントの前記コンテキスト符号化ビンの前記第1の最大数は、前記第1の係数サブブロックの前記周波数位置が前記変換ブロックの前記係数サブブロックのうち2つ以上の対角線上にある場合に、前記変換ブロック内の前記係数サブブロックの前記シンタックスエレメントの前記コンテキスト符号化ビンの前記平均最大数に等しい、請求項18に記載のプログラム。
【請求項20】
前記決定するステップは、
前記第1の係数サブブロックの前記周波数位置及び前記変換ブロックのサイズに基づいて、前記変換ブロック内の前記第1の係数サブブロックの前記シンタックスエレメントの前記コンテキスト符号化ビンの前記第1の最大数を決定するステップを更に含む、請求項15乃至19のうちいずれか1項にプログラム。
【請求項21】
エンコーダが実行するビデオ符号化の方法であって、
符号化ピクチャ内の変換ブロックの残差に対応するシンタックスエレメントを生成するステップと、
前記変換ブロック内の第1の係数サブブロックの周波数位置に基づいて、前記変換ブロック内の前記第1の係数サブブロックのシンタックスエレメントのコンテキスト符号化ビンの第1の最大数を決定するステップと、
コンテキストモデルと、前記第1の係数サブブロックの前記シンタックスエレメントの前記コンテキスト符号化ビンの前記決定された第1の最大数とに従って、前記第1の係数サブブロックの前記シンタックスエレメントの複数のビンのそれぞれを符号化するステップと、
前記シンタックスエレメントを含むビットストリームを送信するステップと、
を含み、前記第1の係数サブブロックの前記シンタックスエレメントのコンテキスト符号化ビンの前記第1の最大数は、前記変換ブロック内の第2の係数サブブロックのシンタックスエレメントのコンテキスト符号化ビンの第2の最大数とは異なる、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願への相互参照]
本願は、2019年12月31日に出願された米国特許出願第16/731,763号「Method and Apparatus for Video Coding」の優先権の利益を主張する。当該米国特許出願は、2019年1月2日に出願された米国仮出願第62/704,041号「Constraints on Context-coded Bins for Transform Coefficients」の優先権の利益を主張する。これらの前の出願の全開示が全て参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
[技術分野]
本開示は、概してビデオ符号化に関連する実施形態を記載する。
【背景技術】
【0003】
本明細書において提供される背景技術の説明は、本開示の背景を一般的に提示するためのものである。本願の発明者の研究は、当該研究がこの背景技術の段落に記載されている範囲において、また、出願時に従来技術として特に適することのない説明の側面も、本開示に対する従来技術として明示的にも暗示的にも認められるものではない。
【0004】
ビデオ符号化及び復号は、動き補償によるインターピクチャ予測を使用して実行できる。非圧縮ディジタルビデオは、一連のピクチャを含むことができ、各ピクチャは、例えば、1920×1080の輝度サンプル及び関連する色差サンプルの空間次元を有する。一連のピクチャは、例えば、毎秒60ピクチャ又は60Hzの固定又は可変のピクチャレート(フレームレートとしても非公式に知られている)を有することができる。非圧縮ビデオは、かなりのビットレート要件を有する。例えば、サンプル当たり8ビットの1080p60 4:2:0ビデオ(60Hzのフレームレートの1920×1080の輝度サンプル解像度)は、1.5Gbit/sに近い帯域幅を必要とする。1時間のこのようなビデオは、600Gバイトを超える記憶空間を必要とする。
【0005】
ビデオ符号化及び復号の1つの目的は、圧縮を通じて入力ビデオ信号の冗長性を低減できることである。圧縮は、場合によっては2桁以上も上記の帯域幅又は記憶空間の要件を低減するのに役立つことができる。可逆圧縮及び不可逆圧縮の双方並びにこれらの組み合わせを使用することができる。可逆圧縮とは、元の信号の正確なコピーが圧縮された元の信号から復元できる技術を示す。不可逆圧縮を使用する場合、復元された信号は、元の信号と同一ではない可能性があるが、元の信号と復元された信号との間の歪みは、復元された信号を目的のアプリケーションにとって有用にするほど十分に小さい。ビデオの場合、不可逆圧縮が広く使用されている。許容される歪みの量はアプリケーションに依存する。例えば、特定の消費者のストリーミングアプリケーションのユーザは、テレビ配信アプリケーションのユーザよりも高い歪みを許容する可能性がある。達成可能な圧縮比は、より高い許容可能な歪み/許容される歪みがより高い圧縮比をもたらすことができるということを反映できる。
【0006】
ビデオエンコーダ及びデコーダは、例えば、動き補償、変換、量子化及びエントロピー符号化を含むいくつかの広いカテゴリからの技術を利用することができる。
【0007】
ビデオコーデック技術は、イントラ符号化として知られる技術を含むことができる。イントラ符号化では、サンプル値は、前に復元された参照ピクチャからのサンプル又は他のデータを参照せずに表される。いくつかのビデオコーデックでは、ピクチャは空間的にサンプルのブロックに細分される。サンプルの全てのブロックがイントラモードで符号化される場合、そのピクチャはイントラピクチャとすることができる。イントラピクチャと、独立デコーダリフレッシュピクチャのようなそれらの派生物は、デコーダ状態をリセットするために使用でき、したがって、符号化ビデオビットストリーム及びビデオセッションにおける最初のピクチャとして或いは静止画像として使用できる。イントラブロックのサンプルは変換を受けさせることができ、変換係数はエントロピー符号化の前に量子化できる。イントラ予測は、変換前ドメインにおけるサンプル値を最小化する技術とすることができる。場合によっては、変換後のDC値が小さく、AC係数が小さいほど、エントロピー符号化後のブロックを表すために所与の量子化ステップサイズにおいて必要とされるビットが少なくなる。
【0008】
例えば、MPEG-2世代の符号化技術から知られているような従来のイントラ符号化は、イントラ予測を使用しない。しかし、いくつかのより新しいビデオ圧縮技術は、例えば、空間的に隣接しており復号順で前のデータのブロックを符号化/復号する間に取得された周囲のサンプルデータ及び/又はメタデータから試みる技術を含む。このような技術は、以下では「イントラ予測(intra prediction)」技術と呼ばれる。少なくともいくつかの場合、イントラ予測は復元中のカレントピクチャからの参照データのみを使用し、参照ピクチャからの参照データを使用しない点に留意すべきである。
【0009】
多くの形式のイントラ予測が存在し得る。所与のビデオ符号化技術においてこのような技術のうち1つ以上が使用できる場合、使用される技術は、イントラ予測モードで符号化できる。或る場合、モードは、サブモード及び/又はパラメータを有することができ、これらは個別に符号化されてもよく、或いは、モードコードワードに含まれてもよい。所与のモード/サブモード/パラメータの組み合わせに使用するコードワードは、イントラ予測を通じた符号化効率利得に影響を与える可能性があり、同様に、コードワードをビットストリームに変換するために使用されるエントロピー符号化技術にも影響を与える可能性がある。
【0010】
特定のイントラ予測モードがH.264で導入され、H.265で改良されて、JEM(joint exploration model)、VVC(versatile video coding)及びBMS(benchmark set)のようなより新しい符号化技術で更に改良されている。予測ブロックは、既に利用可能なサンプルに属する隣接するサンプル値を使用して形成できる。隣接サンプルのサンプル値は、方向に従って予測ブロックにコピーされる。使用中の方向への参照は、ビットストリームにおいて符号化でき、或いは、それ自体が予測されてもよい。
【0011】
動き補償は不可逆圧縮技術であり、前に復元されたピクチャ又はその一部(参照ピクチャ)からのサンプルデータのブロックが、動きベクトル(以下、MVという)によって示される方向に空間的にシフトされた後に、新たに復元されるピクチャ又はその一部の予測に使用されるという技術に関連付けることができる。場合によっては、参照ピクチャは現在復元中のピクチャと同じものにすることができる。MVは、X及びYの2次元を有してもよく、或いは、3次元を有してもよく、第3の次元は、使用中の参照ピクチャを示す(後者は、間接的に、時間次元とすることができる)。
【0012】
いくつかのビデオ圧縮技術では、サンプルデータの特定の領域に適用可能なMVは、他のMVから予測でき、例えば、復元中の領域に空間的に隣接しており、復号順でそのMVに先行するサンプルデータの他の領域に関連するMVから予測できる。これにより、MVを符号化するために必要なデータ量をかなり低減でき、それによって冗長性を除去し、圧縮を増加させることができる。例えば、カメラから導出された入力ビデオ信号(ナチュラルビデオとして知られている)を符号化する場合、単一のMVが適用可能な領域よりも大きい領域が同様の方向に移動し、したがって、場合によっては隣接領域のMVから導出された同様の動きベクトルを使用して予測できるという統計的な可能性が存在するので、MV予測は効果的に機能し得る。その結果、所与の領域に対して検出されたMVは、周囲のMVから予測されるMVと同様又は同一であることになり、そのMVは、エントロピー符号化の後に、MVを直接符号化する場合に使用されるものよりも少ない数のビットで表現できる。場合によって、MV予測は、元の信号(すなわち、サンプルストリーム)から導出された信号(すなわち、MV)の可逆圧縮の一例になり得る。他の場合には、MV予測自体が、例えば、いくつかの周囲のMVから予測子を計算するときの丸め誤差の理由で、不可逆になり得る。
【0013】
H.265/HEVC(ITU-T Rec. H.265, 「High Efficiency Video Coding」, December 2016)には、様々なMV予測メカニズムが記載されている。
【0014】
図1を参照すると、カレントブロック(101)は、動き探索処理中に、空間的にシフトされた同じサイズの前のブロックから予測可能であることがエンコーダによって検出されたサンプルを含む。MVを直接符号化する代わりに、MVは、1つ以上の参照ピクチャに関連するメタデータから導出でき、例えば、A0、A1及びB0、B1、B2(それぞれ102~106)と示される5個の周囲のサンプルのうちいずれか1つに関連するMVを使用して、(復号順で)最近の参照ピクチャから導出できる。H.265では、MV予測は、隣接ブロックが使用しているものと同じ参照ピクチャからの予測子を使用できる。
【発明の概要】
【0015】
本開示の態様は、デコーダにおけるビデオ符号化の方法及び装置を提供する。
【0016】
本開示の一実施形態では、デコーダにおけるビデオ符号化の方法が提供される。当該方法では、シンタックスエレメントを含むビットストリームが受信される。シンタックスエレメントは、符号化ピクチャ内の変換ブロックの残差に対応する。変換ブロック内の第1の係数サブブロックのシンタックスエレメントのコンテキスト符号化ビンの第1の最大数は、変換ブロック内の第1の係数サブブロックの周波数位置に基づいて決定される。第1の係数サブブロックのシンタックスエレメントの複数のビンのそれぞれは、コンテキストモデルと、第1の係数サブブロックのシンタックスエレメントのコンテキスト符号化ビンの決定された第1の最大数とに従って符号化される。第1の係数サブブロックのシンタックスエレメントの複数のビンの符号化ビットは、コンテキストモデルに基づいて復号される。さらに、第1の係数サブブロックのシンタックスエレメントのコンテキスト符号化ビンの第1の最大数は、変換ブロック内の第2の係数サブブロックのシンタックスエレメントのコンテキスト符号化ビンの第2の最大数とは異なる。
【0017】
本開示の一実施形態では、第1の係数サブブロックの周波数位置は、変換ブロックの低周波数領域にあり、第2の係数サブブロックの周波数位置は、変換ブロックの高周波数領域にある。
【0018】
本開示の一実施形態では、変換ブロックの低周波数領域及び変換ブロックの高周波数領域は、変換ブロック内の係数サブブロックの対角線によって分離される。
【0019】
本開示の一実施形態では、第1の係数サブブロックの周波数位置は、変換ブロックの低周波数領域にあり、第1の係数サブブロックのシンタックスエレメントのコンテキスト符号化ビンの第1の最大数は、変換ブロック内の係数サブブロックのシンタックスエレメントのコンテキスト符号化ビンの平均最大数よりも大きい。
【0020】
本開示の一実施形態では、第1の係数サブブロックのシンタックスエレメントのコンテキスト符号化ビンの第1の最大数は、第1の係数ブロックの周波数位置が変換ブロックの係数サブブロックのうち2つ以上の対角線上にある場合に、変換ブロック内の係数サブブロックのシンタックスエレメントのコンテキスト符号化ビンの平均最大数に等しい。
【0021】
本開示の一実施形態では、変換ブロック内の第1の係数サブブロックのシンタックスエレメントのコンテキスト符号化ビンの第1の最大数は、第1の係数サブブロックの周波数位置及び変換ブロックのサイズに基づいて決定される。
【0022】
本開示の一実施形態では、第2の係数サブブロックの周波数位置は、変換ブロックの高周波数領域にあり、第2の係数サブブロックのシンタックスエレメントのコンテキスト符号化ビンの第2の最大数は、変換ブロック内の係数サブブロックのシンタックスエレメントのコンテキスト符号化ビンの平均最大数よりも小さい。
【0023】
また、本開示の態様は、上記の方法のいずれかを実行するように構成された装置を提供する。本開示の一実施形態では、装置が提供される。装置は処理回路を含む。処理回路は、シンタックスエレメントを含むビットストリームを受信する。シンタックスエレメントは、符号化ピクチャ内の変換ブロックの残差に対応する。処理回路は、変換ブロック内の第1の係数サブブロックの周波数位置に基づいて、変換ブロック内の第1の係数サブブロックのシンタックスエレメントのコンテキスト符号化ビンの第1の最大数を決定する。処理回路は、コンテキストモデルと、第1の係数サブブロックのシンタックスエレメントのコンテキスト符号化ビンの決定された第1の最大数とに従って、第1の係数サブブロックのシンタックスエレメントの複数のビンのそれぞれを符号化する。処理回路は、コンテキストモデルに基づいて、第1の係数サブブロックのシンタックスエレメントの複数のビンの符号化ビットを復号する。さらに、第1の係数サブブロックのシンタックスエレメントのコンテキスト符号化ビンの第1の最大数は、変換ブロック内の第2の係数サブブロックのシンタックスエレメントのコンテキスト符号化ビンの第2の最大数とは異なる。
【0024】
また、本開示の態様は、コンピュータによって実行されると、コンピュータに上記の方法を実行させる命令を記憶した非一時的なコンピュータ読み取り可能記憶媒体を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
開示の対象物の更なる特徴、性質及び様々な利点は、以下の詳細な説明及び添付の図面からより明らかになる。
【
図1】一例におけるカレントブロック及びその周囲の空間マージ候補の概略図である。
【
図2】一実施形態による通信システムの簡略化したブロック図の概略図である。
【
図3】一実施形態による通信システムの簡略化したブロック図の概略図である。
【
図4】一実施形態によるデコーダの簡略化したブロック図の概略図である。
【
図5】一実施形態によるエンコーダの簡略化したブロック図の概略図である。
【
図6】他の実施形態によるエンコーダのブロック図を示す。
【
図7】他の実施形態によるデコーダのブロック図を示す。
【
図8A】一実施形態による例示的なコンテキストベース適応バイナリ算術符号化(CABAC, context-based adaptive binary arithmetic coding)ベースのエントロピーエンコーダを示す。
【
図8B】一実施形態による例示的なCABACベースのエントロピーエンコーダを示す。
【
図9】一実施形態に従って変換係数の異なるタイプのシンタックスエレメントが生成されるサブブロック走査処理の例を示す。
【
図10】一実施形態に従って現在の係数のコンテキスト選択に使用されるローカルテンプレートの例を示す。
【
図11】一実施形態に従って16×16の変換ブロック内の係数サブブロックのコンテキスト符号化ビンの最大数を決定する例を示す。
【
図12】一実施形態に従って8×16の変換ブロック内の係数サブブロックのコンテキスト符号化ビンの最大数を決定する例を示す。
【
図13】一実施形態に従って係数サブブロック内の現在の変換係数の左側変換係数の例を示す。
【
図14】一実施形態によるエントロピー復号処理の概要を示すフローチャートを示す。
【
図15】一実施形態によるコンピュータシステムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
[I.ビデオ符号化エンコーダ及びデコーダ]
図2は、本開示の一実施形態による通信システム(200)の簡略化したブロック図を示す。通信システム(200)は、例えば、ネットワーク(250)を介して互いに通信できる複数の端末デバイスを含む。例えば、通信システム(200)は、ネットワーク(250)を介して相互接続された第1の対の端末デバイス(210)及び(220)を含む。
図2の例では、第1の対の端末デバイス(210)及び(220)は、データの一方向伝送を実行する。例えば、端末デバイス(210)は、ネットワーク(250)を介して他の端末デバイス(220)に送信するために、ビデオデータ(例えば、端末デバイス(210)によってキャプチャされたビデオピクチャのストリーム)を符号化してもよい。符号化されたビデオデータは、1つ以上の符号化ビデオビットストリームの形式で送信されてもよい。端末デバイス(220)は、ネットワーク(250)から符号化ビデオデータを受信し、符号化ビデオデータを復号して、ビデオピクチャを復元して復元されたビデオデータに従ってビデオピクチャを表示してもよい。一方向データ伝送は、メディア提供アプリケーション等において一般的でもよい。
【0027】
他の例では、通信システム(200)は、例えば、テレビ会議中に発生し得る符号化ビデオデータの双方向伝送を実行する第2の対の端末デバイス(230)及び(240)を含む。データの双方向伝送のために、一例では、端末デバイス(230)及び(240)の各端末デバイスは、ネットワーク(250)を介して端末デバイス(230)及び(240)の他方の端末デバイスに送信するために、ビデオデータ(例えば、端末デバイスによってキャプチャされたビデオピクチャのストリーム)を符号化してもよい。また、端末デバイス(230)及び(240)の各端末デバイスは、端末デバイス(230)及び(240)の他方の端末デバイスによって送信された符号化ビデオデータを受信してもよく、符号化ビデオデータを復号してビデオピクチャを復元してもよく、復元されたビデオデータに従って、アクセス可能な表示デバイスにビデオピクチャを表示してもよい。
【0028】
図2の例では、端末デバイス(210)、(220)、(230)及び(240)は、サーバ、パーソナルコンピュータ及びスマートフォンとして示されることがあるが、本開示の原理はこれらに限定されない。本開示の実施形態は、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、メディアプレイヤ及び/又は専用のテレビ会議機器に適用がある。ネットワーク(250)は、例えば、有線(配線接続)及び/又は無線通信ネットワークを含む、端末デバイス(210)、(220)、(230)及び(240)の間で符号化ビデオデータを伝達するいずれかの数のネットワークを表す。通信ネットワーク(250)は、回線交換チャネル及び/又はパケット交換チャネルにおいてデータを交換してもよい。代表的なネットワークは、電気通信ネットワーク、ローカルエリアネットワーク、広域ネットワーク及び/又はインターネットを含む。本説明の目的では、ネットワーク(250)のアーキテクチャ及びトポロジは、本明細書において以下に説明しない限り、本開示の動作には重要ではない。
【0029】
図3は、開示の対象物のアプリケーションの例として、ストリーミング環境におけるビデオエンコーダ及びビデオデコーダの配置を示す。開示の対象物は、例えば、テレビ会議、デジタルTV、デジタルメディア(CD、DVD、メモリスティック等を含む)上の圧縮ビデオの記憶等を含む、他のビデオ可能なアプリケーションにも同様に適用可能である。
【0030】
ストリーミングシステムはキャプチャサブシステム(313)を含んでもよく、当該キャプチャサブシステム(313)は、例えば、非圧縮のビデオピクチャのストリーム(302)を生成するビデオソース(301)(例えば、デジタルカメラ)を含んでもよい。一例では、ビデオピクチャのストリーム(302)は、デジタルカメラによって撮影されたサンプルを含む。符号化ビデオデータ(304)(又は符号化ビデオビットストリーム)と比較したときに高いデータ量であることを強調する太線として描かれるビデオピクチャのストリーム(302)は、ビデオソース(301)に結合されたビデオエンコーダ(303)を含む電子デバイス(320)によって処理されてもよい。ビデオエンコーダ(303)は、以下により詳細に説明するように、開示の対象物の態様を可能にするため或いは実装するために、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組み合わせを含んでもよい。ビデオピクチャのストリーム(302)と比較したときにより低いデータ量であることを強調するために細線として描かれる符号化ビデオデータ(304)(又は符号化ビデオビットストリーム(304))は、将来の使用のためにストリーミングサーバ(305)に記憶されてもよい。
図3におけるクライアントサブシステム(306)及び(308)のような1つ以上のストリーミングクライアントサブシステムは、ストリーミングサーバ(305)にアクセスして符号化ビデオデータ(304)のコピー(307)及び(309)を取得してもよい。クライアントサブシステム(306)は、例えば、電子デバイス(330)内にビデオデコーダ(310)を含んでもよい。ビデオデコーダ(310)は、符号化ビデオデータの入力コピー(307)を復号し、ディスプレイ(312)(例えば、表示画面)又は他のレンダリングデバイス(図示せず)上にレンダリングできるビデオピクチャの出力ストリーム(311)を生成する。いくつかのストリーミングシステムでは、符号化ビデオデータ(304)、(307)及び(309)(例えば、ビデオビットストリーム)は、特定のビデオ符号化/圧縮標準に従って符号化されてもよい。これらの標準の例は、ITU-T勧告H.265を含む。一例では、開発中のビデオ符号化標準は、VVC(Versatile Video Coding)として非公式に知られている。開示の対象物は、VVCの背景において使用されてもよい。
【0031】
電子デバイス(320)及び(330)は、他の構成要素(図示せず)を含んでもよい点に留意すべきである。例えば、電子デバイス(320)は、ビデオデコーダ(図示せず)を含んでもよく、また、電子デバイス(330)は、ビデオエンコーダ(図示せず)を含んでもよい。
【0032】
図4は、本開示の一実施形態によるビデオデコーダ(410)のブロック図を示す。ビデオデコーダ(410)は、電子デバイス(430)に含まれてもよい。電子デバイス(430)は、受信機(431)(例えば、受信回路)を含んでもよい。
図3の例では、ビデオデコーダ(310)の代わりにビデオデコーダ(410)が使用されてもよい。
【0033】
受信機(431)は、ビデオデコーダ(410)によって復号されるべき1つ以上の符号化ビデオシーケンスを受信してもよく、同一又は他の実施形態では、一度に1つの符号化ビデオシーケンスを受信してもよく、各符号化ビデオシーケンスの復号は、他の符号化ビデオシーケンスとは独立している。符号化ビデオシーケンスは、チャネル(401)から受信されてもよく、当該チャネルは、符号化ビデオデータを記憶する記憶デバイスへのハードウェア/ソフトウェアリンクでもよい。受信機(431)は、符号化ビデオデータを、他のデータ(例えば、符号化オーディオデータ及び/又は補助データストリーム)と共に受信してもよく、これらは、それぞれの使用エンティティ(図示せず)に転送されてもよい。受信機(431)は、符号化ビデオシーケンスを他のデータから分離してもよい。ネットワークジッタを防止するために、バッファメモリ(415)は、受信機(431)とエントロピーデコーダ/パーサ(420)(以下、「パーサ(420)」という)との間に結合されてもよい。特定のアプリケーションでは、バッファメモリ(415)はビデオデコーダ(410)の一部である。他の場合には、ビデオデコーダ(410)の外側にあってもよい(図示せず)。更に他の場合には、例えば、ネットワークジッタを防止するために、ビデオデコーダ(410)の外側にバッファメモリ(図示せず)が存在してもよく、加えて、例えば、再生タイミングに対処するために、ビデオデコーダ(410)の内側に他のバッファメモリ(415)が存在してもよい。受信機(431)が、十分な帯域幅及び制御可能性を有する記憶/転送デバイスから、或いは、アイソクロナスネットワークからデータを受信している場合、バッファメモリ(415)は必要なくてもよく或いは小さくすることができる。インターネットのようなベストエフォート型パケットネットワークでの使用については、バッファメモリ(415)が必要とされてもよく、比較的大きくすることができ、有利には適応的なサイズとすることができ、ビデオデコーダ(410)の外側のオペレーティングシステム又は同様の要素(図示せず)に少なくとも部分的に実装されてもよい。
【0034】
ビデオデコーダ(410)は、符号化ビデオシーケンスからシンボル(421)を復元するためのパーサ(420)を含んでもよい。これらのシンボルのカテゴリは、ビデオデコーダ(410)の動作を管理するために使用される情報を含み、レンダリングデバイス(412)(例えば、表示画面)のようなレンダリングデバイスを制御するための情報を潜在的に含む。当該レンダリングデバイス(412)は、
図4に示されているように、電子デバイス(430)の一体的な部分ではないが、電子デバイス(430)に結合されてもよい。レンダリングデバイスの制御情報は、補足エンハンスメント情報(SEI, Supplemental Enhancement Information)(SEIメッセージ)又はビデオユーザビリティ情報(VUI, Video Usability Information)パラメータセットフラグメント(図示せず)の形式でもよい。パーサ(420)は、受信した符号化ビデオシーケンスを解析/エントロピー復号してもよい。符号化ビデオシーケンスの符号化は、ビデオ符号化技術又は標準に従ってもよく、可変長符号化、ハフマン符号化、コンテキスト感度を伴う或いは伴わない算術符号化等を含む様々な原理に従ってもよい。パーサ(420)は、グループに対応する少なくとも1つのパラメータに基づいて、符号化ビデオシーケンスから、ビデオデコーダ内の画素のサブグループのうち少なくとも1つについてのサブグループパラメータのセットを抽出してもよい。サブグループは、グループオブピクチャ(GOP, Group of Picture)、ピクチャ、タイル、スライス、マクロブロック、符号化ユニット(CU, Coding Unit)、ブロック、変換ユニット(TU, Transformation Unit)、予測ユニット(PU, Prediction Unit)等を含んでもよい。また、パーサ(420)は、符号化ビデオシーケンスから、変換係数、量子化パラメータ値、動きベクトル等のような情報を抽出してもよい。
【0035】
パーサ(420)は、シンボル(421)を生成するために、バッファメモリ(415)から受信したビデオシーケンスに対してエントロピー復号/解析動作を実行してもよい。
【0036】
シンボル(421)の復元には、符号化ビデオピクチャ又はその部分のタイプ(例えば、インターピクチャ及びイントラピクチャ、インターブロック及びイントラブロック)及び他の要因に依存して、複数の異なるユニットが関与してもよい。どのユニットがどのように関与するかは、パーサ(420)によって符号化ビデオシーケンスから解析されたサブグループ制御情報によって制御されてもよい。パーサ(420)と以下の複数ユニットとの間のこのようなサブグループ制御情報の流れは、明確にするために図示されていない。
【0037】
上記の機能ブロックの他に、ビデオデコーダ(410)は、概念的に、以下に説明するような複数の機能ユニットに細分されてもよい。商用的な制約の下で動作する実用的な実装では、これらのユニットの多くは互いに密接に相互作用し、少なくとも部分的に互いに統合されてもよい。しかし、開示の対象物を説明する目的で、以下の機能ユニットに概念的に細分することが適切である。
【0038】
第1のユニットは、スケーラ/逆変換ユニット(451)である。スケーラ/逆変換ユニット(451)は、パーサ(420)からシンボル(421)として、制御情報(どの変換を使用するべきか、ブロックサイズ、量子化係数、量子化スケーリング行列等を含む)と共に、量子化された変換係数を受信する。スケーラ/逆変換ユニット(451)は、アグリゲータ(455)に入力できるサンプル値を含むブロックを出力してもよい。
【0039】
場合によっては、スケーラ/逆変換(451)の出力サンプルは、イントラ符号化ブロックに関連してもよく、すなわち、前に復元されたピクチャからの予測情報を使用していないが、カレントピクチャの前に復元された部分からの予測情報を使用できるブロックに関連してもよい。このような予測情報は、イントラピクチャ予測ユニット(452)によって提供されてもよい。場合によっては、イントラピクチャ予測ユニット(452)は、カレントピクチャバッファ(458)から取り出された周囲の既に復元された情報を使用して、復元中のブロックの同じサイズ及び形状のブロックを生成する。カレントピクチャバッファ(458)は、例えば、部分的に復元されたカレントピクチャ及び/又は完全に復元されたカレントピクチャをバッファする。場合によっては、アグリゲータ(455)は、サンプル毎に、イントラ予測ユニット(452)が生成した予測情報を、スケーラ/逆変換ユニット(451)によって提供された出力サンプル情報に追加する。
【0040】
他の場合には、スケーラ/逆変換ユニット(451)の出力サンプルは、インター符号化されて潜在的に動き補償されたブロックに関連してもよい。このような場合、動き補償予測ユニット(453)は、参照ピクチャメモリ(457)にアクセスして、予測に使用されるサンプルを取り出してもよい。ブロックに関連するシンボル(421)に従って、取り出されたサンプルを動き補償した後に、これらのサンプルは、出力サンプル情報を生成するために、アグリゲータ(455)によってスケーラ/逆変換ユニット(451)の出力(この場合には、残差サンプル又は残差信号と呼ばれる)に追加されてもよい。動き補償予測ユニット(453)に利用可能な、動き補償予測ユニット(453)が予測サンプルを取り出す参照ピクチャメモリ(457)内のアドレスは、例えば、X、Y及び参照ピクチャ成分を有することができるシンボル(421)の形式で、動きベクトルによって制御されてもよい。また、動き補償は、サブサンプルの正確な動きベクトルが使用されているときに参照ピクチャメモリ(457)から取り出されるサンプル値の補間、動きベクトル予測メカニズム等を含んでもよい。
【0041】
アグリゲータ(455)の出力サンプルは、ループフィルタユニット(456)内の様々なループフィルタリング技術を受けてもよい。ビデオ圧縮技術はループ内フィルタ技術を含んでもよく、当該ループ内フィルタ技術は、符号化ビデオシーケンス(符号化ビデオビットストリームとも呼ばれる)に含まれるパラメータによって制御され、パーサ(420)からシンボル(421)としてループフィルタユニット(456)に利用可能にされるが、符号化ピクチャ又は符号化ビデオシーケンスの(復号順に)前の部分の復号の間に取得されたメタ情報に応答する共に、前に復元されてループフィルタリングされたサンプル値にも応答してもよい。
【0042】
ループフィルタユニット(456)の出力はサンプルストリームでもよく、当該サンプルストリームは、レンダリングデバイス(412)に出力されると共に、将来のインターピクチャ予測に使用するために参照ピクチャメモリ(457)に記憶されてもよい。
【0043】
特定の符号化ピクチャは、完全に復元されると、将来の予測のための参照ピクチャとして使用されてもよい。例えば、カレントピクチャに対応する符号化ピクチャが完全に復元され、符号化ピクチャが(例えば、パーサ(420)によって)参照ピクチャとして識別されると、カレントピクチャバッファ(458)は参照ピクチャメモリ(457)の一部となってもよく、新たなカレントピクチャバッファが、後続の符号化ピクチャの復元を開始する前に再割り当てされてもよい。
【0044】
ビデオデコーダ(410)は、ITU-T Rec. H.265のような標準における所定のビデオ圧縮技術に従って復号動作を実行してもよい。符号化ビデオシーケンスがビデオ圧縮技術又は標準のシンタックス及びビデオ圧縮技術又は標準に文書化されているプロファイルの双方に従うという意味で、符号化ビデオシーケンスは、使用されているビデオ圧縮技術又は標準によって指定されたシンタックスに適合してもよい。具体的には、プロファイルは、ビデオ圧縮技術又は標準で利用可能な全てのツールから特定のツールを、そのプロファイルで使用するのに利用可能な唯一のツールとして選択してもよい。また、コンプライアンスのために必要なことは、符号化ビデオシーケンスの複雑さが、ビデオ圧縮技術又は標準のレベルによって定義される範囲内にあることである。場合によっては、レベルは、最大ピクチャサイズ、最大フレームレート、最大復元サンプルレート(例えば、毎秒当たりのメガサンプル単位で測定される)、最大参照ピクチャサイズ等を制限する。場合によっては、レベルによって設定される制限は、仮想参照デコーダ(HRD, Hypothetical Reference Decoder)仕様及び符号化ビデオシーケンスで伝達されるHRDバッファ管理についてのメタデータを通じて更に制限されてもよい。
【0045】
一実施形態では、受信機(431)は、符号化ビデオと共に更なる(冗長な)データを受信してもよい。更なるデータは、符号化ビデオシーケンスの一部として含まれてもよい。更なるデータは、データを適切に復号するために、及び/又は元のビデオデータをより正確に復元するために、ビデオデコーダ(410)によって使用されてもよい。更なるデータは、例えば、時間、空間又は信号雑音比(SNR, signal noise ratio)エンハンスメント層、冗長スライス、冗長ピクチャ、前方誤り訂正コード等の形式でもよい。
【0046】
図5は、本開示の一実施形態によるビデオエンコーダ(503)のブロック図を示す。ビデオエンコーダ(503)は、電子デバイス(520)に含まれる。電子デバイス(520)は、送信機(540)(例えば、送信回路)を含む。
図3の例では、ビデオエンコーダ(303)の代わりにビデオエンコーダ(503)が使用されてもよい。
【0047】
ビデオエンコーダ(503)は、ビデオソース(501)(
図5の例では電子デバイス(520)の一部ではない)からビデオサンプルを受信してもよく、当該ビデオソース(501)は、ビデオエンコーダ(503)によって符号化されるべきビデオ画像をキャプチャしてもよい。他の例では、ビデオソース(501)は電子デバイス(520)の一部である。
【0048】
ビデオソース(501)は、デジタルビデオサンプルストリームの形式でビデオエンコーダ(503)によって符号化されるべきソースビデオシーケンスを提供してもよく、当該デジタルビデオサンプルストリームは、いずれかの適切なビット深度(例えば、8ビット、10ビット、12ビット等)、いずれかの色空間(例えば、BT.601 Y CrCB、RGB等)及びいずれかの適切なサンプリング構造(例えば、Y CrCb 4:2:0、Y CrCb 4:4:4)でもよい。メディア提供システムにおいて、ビデオソース(501)は、事前に準備されたビデオを記憶する記憶デバイスでもよい。テレビ会議システムでは、ビデオソース(501)は、ローカル画像情報をビデオシーケンスとしてキャプチャするカメラでもよい。ビデオデータは、順に見たときに動きを伝える複数の個々のピクチャとして提供されてもよい。ピクチャ自体は、画素の空間配列として構成されてもよく、各画素は、使用中のサンプリング構造、色空間等に依存して、1つ以上のサンプルを含んでもよい。当業者は、画素とサンプルとの関係を容易に理解することができる。以下の説明は、サンプルに焦点を当てる。
【0049】
一実施形態によれば、ビデオエンコーダ(503)は、リアルタイムで或いはアプリケーションによって要求されるいずれかの他の時間制約下で、ソースビデオシーケンスのピクチャを、符号化ビデオシーケンス(543)に符号化及び圧縮してもよい。適切な符号化速度を実現することは、コントローラ(550)の1つの機能である。いくつかの実施形態では、コントローラ(550)は、以下に説明するように、他の機能ユニットを制御し、他の機能ユニットに機能的に結合される。結合は、明確にするために図示されていない。コントローラ(550)によって設定されるパラメータは、レート制御関連パラメータ(ピクチャスキップ、量子化、レート歪み最適化技術のラムダ値等)、ピクチャサイズ、グループオブピクチャ(GOP)のレイアウト、最大動きベクトル探索範囲等を含んでもよい。コントローラ(550)は、特定のシステム設計のために最適化されたビデオエンコーダ(503)に関連する他の適切な機能を有するように構成されてもよい。
【0050】
いくつかの実施形態では、ビデオエンコーダ(503)は、符号化ループで動作するように構成される。非常に簡略化した説明として、一例では、符号化ループは、ソースコーダ(530)(例えば、符号化されるべき入力ピクチャ及び参照ピクチャに基づいて、シンボルストリームのようなシンボルを生成することを担う)と、ビデオエンコーダ(503)に埋め込まれた(ローカル)デコーダ(533)とを含んでもよい。デコーダ(533)は、(リモート)デコーダが生成するのと同様に(シンボルと符号化ビデオビットストリームとの間のいずれかの圧縮が、開示の対象物において検討されるビデオ圧縮技術において可逆であるように)、サンプルデータを生成するようにシンボルを復元する。復元されたサンプルストリーム(サンプルデータ)は、参照ピクチャメモリ(534)に入力される。シンボルストリームの復号は、デコーダの位置(ローカル又はリモート)と独立したビット単位の正確な結果をもたらすので、参照ピクチャメモリ(534)内の内容も、ローカルエンコーダとリモートエンコーダとの間でビット単位で正確である。言い換えると、エンコーダの予測部分は、デコーダが復号中に予測を使用するときに「見る」のと全く同じサンプル値を参照ピクチャサンプルとして「見る」。参照ピクチャの同期(例えば、チャネルエラーの理由で同期が維持できない場合の結果として生じるドリフトを含む)のこの基本原理は、いくつかの関連技術においても同様に使用される。
【0051】
「ローカル」デコーダ(533)の動作は、ビデオデコーダ(410)のような「リモート」デコーダと同じでもよく、これは、
図4に関連して上記において既に詳細に説明した。しかし、
図4を簡単に参照すると、シンボルが利用可能であり、エントロピーコーダ(545)及びパーサ(420)による符号化ビデオシーケンスへのシンボルの符号化/復号が可逆になり得るので、バッファメモリ(415)及びパーサ(420)を含むビデオデコーダ(410)のエントロピー復号部分は、ローカルデコーダ(533)に完全には実装されなくてもよい。
【0052】
この時点で行うことができる考察は、デコーダ内に存在する解析/エントロピー復号を除く如何なるデコーダ技術も、必然的に対応するエンコーダ内に実質的に同一の機能形式で存在する必要があることである。このため、開示の対象物はデコーダ動作に焦点を当てる。エンコーダ技術の説明は、包括的に記載されるデコーダ技術の逆であるので、省略できる。特定の領域においてのみ、より詳細な説明が必要であり、以下に提供される。
【0053】
いくつかの例では、動作中に、ソースコーダ(530)は、動き補償予測符号化を実行してもよく、当該動き補償予測符号化は、「参照ピクチャ」として指定されたビデオシーケンスからの1つ以上の前に符号化されたピクチャを参照して入力ピクチャを予測的に符号化する。このように、符号化エンジン(532)は、入力ピクチャの画素ブロックと、入力ピクチャに対する予測参照として選択され得る参照ピクチャの画素ブロックとの間の差を符号化する。
【0054】
ローカルビデオデコーダ(533)は、ソースコーダ(530)によって生成されたシンボルに基づいて、参照ピクチャとして指定され得るピクチャの符号化ビデオデータを復号してもよい。符号化エンジン(532)の動作は、有利には、不可逆処理でもよい。符号化ビデオデータがビデオデコーダ(
図5に図示せず)で復号され得る場合、復元されたビデオシーケンスは、典型的には、いくつかのエラーを伴うソースビデオシーケンスのレプリカになり得る。ローカルビデオデコーダ(533)は、参照ピクチャに対してビデオデコーダによって実行され得る復号処理を複製し、復元された参照ピクチャを参照ピクチャキャッシュ(534)に記憶させてもよい。このように、ビデオエンコーダ(503)は、遠端のビデオデコーダによって取得される(送信エラーのない)復元された参照ピクチャとして、共通の内容を有する復元された参照ピクチャのコピーをローカルに記憶してもよい。
【0055】
予測器(535)は、符号化エンジン(532)のための予測探索を実行してもよい。すなわち、符号化されるべき新たなピクチャについて、予測器(535)は、(候補参照画素ブロックとしての)サンプルデータ又は特定のメタデータ(参照ピクチャ動きベクトル、ブロック形状等)を求めて参照ピクチャメモリ(534)を検索してもよい。これらは、新たなピクチャについての適切な予測参照として機能してもよい。予測器(535)は、適切な予測参照を検出するために、サンプルブロック毎画素ブロック毎(sample block-by-pixel block)に動作してもよい。場合によっては、予測器(535)によって取得された検索結果によって決定された入力ピクチャは、参照ピクチャメモリ(534)に記憶された複数の参照ピクチャから引き出された予測参照を有してもよい。
【0056】
コントローラ(550)は、例えば、ビデオデータを符号化するために使用されるパラメータ及びサブグループパラメータの設定を含む、ソースコーダ(530)の符号化動作を管理してもよい。
【0057】
全ての上記の機能ユニットの出力は、エントロピーコーダ(545)におけるエントロピー符号化を受けてもよい。エントロピーコーダ(545)は、ハフマン符号化、可変長符号化、算術符号化等のような技術に従って、シンボルを可逆圧縮することによって、様々な機能ユニットによって生成されたシンボルを符号化ビデオシーケンスに変換する。
【0058】
送信機(540)は、エントロピーコーダ(545)によって生成された符号化ビデオシーケンスをバッファして、通信チャネル(560)を介した送信の準備をしてもよく、当該通信チャネル(560)は、符号化ビデオデータを記憶する記憶デバイスへのハードウェア/ソフトウェアリンクでもよい。送信機(540)は、ビデオコーダ(503)からの符号化ビデオデータを、送信されるべき他のデータ(例えば、符号化オーディオデータ及び/又は補助データストリーム(図示せず))とマージしてもよい。
【0059】
コントローラ(550)は、ビデオエンコーダ(503)の動作を管理してもよい。符号化中に、コントローラ(550)は、各符号化ピクチャに、特定の符号化ピクチャタイプを割り当ててもよい。当該符号化ピクチャタイプは、各ピクチャに適用され得る符号化技術に影響を与えてもよい。例えば、ピクチャは、しばしば、以下のピクチャタイプのうち1つとして割り当てられてもよい。
【0060】
イントラピクチャ(Iピクチャ)は、予測のソースとしてシーケンス内の他のピクチャを使用せずに、符号化及び復号され得るものでもよい。いくつかのビデオコーデックは、例えば、独立デコーダリフレッシュ(IDR, Independent Decoder Refresh)ピクチャを含む、異なるタイプのイントラピクチャを許容する。当業者は、Iピクチャのこれらの変形例と、それぞれの用途及び特徴を認識する。
【0061】
予測ピクチャ(Pピクチャ)は、各ブロックのサンプル値を予測するために、最大で1つの動きベクトル及び参照インデックスを使用して、イントラ予測又はインター予測を使用して符号化及び復号され得るものでもよい。
【0062】
双方向予測ピクチャ(Bピクチャ)は、各ブロックのサンプル値を予測するために、最大で2つの動きベクトル及び参照インデックスを使用して、イントラ予測又はインター予測を使用して符号化及び復号され得るものでもよい。同様に、複数の予測ピクチャは、単一のブロックの復元のために、2つより多くの参照ピクチャ及び関連するメタデータを使用してもよい。
【0063】
一般的に、ソースピクチャは、空間的に複数のサンプルブロック(例えば、それぞれ4×4、8×8、4×8又は16×16のサンプルのブロック)に細分され、ブロック毎に符号化されてもよい。ブロックは、ブロックのそれぞれのピクチャに適用される符号化割り当てによって決定される通り、他の(既に符号化された)ブロックを参照して予測的に符号化されてもよい。例えば、Iピクチャのブロックは、非予測的に符号化されてもよく、或いは、同じピクチャの既に符号化されたブロックを参照して予測的に符号化されてもよい(空間予測又はイントラ予測)。Pピクチャの画素ブロックは、1つ前に符号化された参照ピクチャを参照して、空間予測又は時間予測を介して予測的に符号化されてもよい。Bピクチャのブロックは、1つ又は2つ前に符号化された参照ピクチャを参照して、空間予測又は時間予測を介して予測的に符号化されてもよい。
【0064】
ビデオエンコーダ(503)は、ITU-T Rec. H.265のような所定のビデオ符号化技術又は標準に従って符号化動作を実行してもよい。その動作において、ビデオエンコーダ(503)は、入力ビデオシーケンスにおける時間的及び空間的冗長性を利用する予測符号化動作を含む様々な圧縮動作を実行してもよい。したがって、符号化ビデオデータは、使用されているビデオ符号化技術又は標準によって指定されたシンタックスに適合してもよい。
【0065】
一実施形態では、送信機(540)は、符号化ビデオと共に更なるデータを送信してもよい。ソースコーダ(530)は、符号化ビデオシーケンスの一部としてこのようなデータを含んでもよい。更なるデータは、時間/空間/SNRエンハンスメント層、冗長ピクチャ及びスライス、SEIメッセージ、VUIパラメータセットフラグメント等のような他の形式の冗長データを含んでもよい。
【0066】
ビデオは、時系列において複数のソースピクチャ(ビデオピクチャ)としてキャプチャされてもよい。イントラピクチャ予測(しばしばイントラ予測と略される)は、所与のピクチャ内の空間的相関を利用し、インターピクチャ予測は、ピクチャ間の(時間的又は他の)相関を利用する。一例では、カレントピクチャと呼ばれる符号化/復号中の特定のピクチャは、ブロックに分割される。カレントピクチャ内のブロックがビデオにおける前に符号化されて依然としてバッファされている参照ピクチャ内の参照ブロックに類似する場合、カレントピクチャ内のブロックは、動きベクトルと呼ばれるベクトルによって符号化されてもよい。動きベクトルは、参照ピクチャ内の参照ブロックを指し、複数の参照ピクチャが使用されている場合には、参照ピクチャを識別する第3の次元を有してもよい。
【0067】
いくつかの実施形態では、双方向予測技術は、インターピクチャ予測において使用されてもよい。双方向予測技術によれば、ビデオにおけるカレントピクチャへの復号順で双方とも先行する(しかし、表示順ではそれぞれ過去及び将来のものでもよい)第1の参照ピクチャ及び第2の参照ピクチャのような2つの参照ピクチャが使用される。カレントピクチャ内のブロックは、第1の参照ピクチャ内の第1の参照ブロックを指す第1の動きベクトルと、第2の参照ピクチャ内の第2の参照ブロックを指す第2の動きベクトルとによって符号化されてもよい。ブロックは、第1の参照ブロックと第2の参照ブロックとの組み合わせによって予測されてもよい。
【0068】
さらに、符号化効率を改善するために、インターピクチャ予測においてマージモード技術が使用できる。
【0069】
本開示のいくつかの実施形態によれば、インターピクチャ予測及びイントラピクチャ予測のような予測は、ブロックの単位で実行される。例えば、HEVC標準によれば、ビデオピクチャのシーケンス内のピクチャは、圧縮のために符号化ツリーユニット(CTU, coding tree unit)に分割され、ピクチャ内のCTUは、64×64の画素、32×32の画素又は16×16の画素のように、同じサイズを有する。一般的に、CTUは、1つの輝度CTBと2つの色差CTBである3つの符号化ツリーブロック(CTB, coding tree block)を含む。各CTUは、1つ又は複数の符号化ユニット(CU, coding unit)に再帰的に四分木分割されてもよい。例えば、64×64の画素のCTUは、64×64の画素の1つのCU、32×32の画素の4つのCU又は16×16の画素の16個のCUに分割できる。一例では、各CUは、インター予測タイプ又はイントラ予測タイプのようなCUの予測タイプを決定するために分析される。CUは、時間的及び/又は空間的予測可能性に依存して1つ以上の予測ユニット(PU, prediction unit)に分割される。一般的に、各PUは、輝度予測ブロック(PB, prediction block)と2つの色差PBとを含む。一実施形態では、符号化(符号化/復号)における予測動作は、予測ブロックの単位で実行される。予測ブロックの一例として輝度予測ブロックを使用すると、予測ブロックは、8×8の画素、16×16の画素、8×16の画素、16×8の画素等のように、画素の値(例えば、輝度値)の行列を含む。
【0070】
図6は、本開示の他の実施形態によるビデオエンコーダ(603)の図を示す。ビデオエンコーダ(603)は、ビデオピクチャのシーケンス内のカレントビデオピクチャ内のサンプル値の処理ブロック(例えば、予測ブロック)を受信し、処理ブロックを符号化ビデオシーケンスの一部である符号化ピクチャに符号化するように構成される。一例では、ビデオエンコーダ(603)は、
図3の例のビデオエンコーダ(303)の代わりに使用される。
【0071】
HEVCの例では、ビデオエンコーダ(603)は、8×8のサンプルの予測ブロック等のような処理ブロックのサンプル値の行列を受信する。ビデオエンコーダ(603)は、処理ブロックが、例えば、レート歪み最適化を使用して、イントラモードを使用して最も良く符号化されるか、インターモードを使用して最も良く符号化されるか、双方向予測モードを使用して最も良く符号化されるかを決定する。処理ブロックがイントラモードで符号化される場合、ビデオエンコーダ(603)は、処理ブロックを符号化ピクチャに符号化するためにイントラ予測技術を使用してもよい。処理ブロックがインターモード又は双方向予測モードで符号化される場合、ビデオエンコーダ(603)は、処理ブロックを符号化ピクチャに符号化するために、それぞれインター予測技術又は双方向予測技術を使用してもよい。特定のビデオ符号化技術では、マージモード(merge mode)は、動きベクトル予測子以外の符号化された動きベクトル成分の恩恵を受けずに、動きベクトルが1つ以上の動きベクトル予測子から導出されるインターピクチャ予測サブモードでもよい。特定の他のビデオ符号化技術では、対象のブロックに適用可能な動きベクトル成分が存在してもよい。一例では、ビデオエンコーダ(603)は、処理ブロックのモードを決定するためのモード決定モジュール(図示せず)のような他の構成要素を含む。
【0072】
図6の例では、ビデオエンコーダ(603)は、
図6に示されるように共に結合されたインターエンコーダ(630)と、イントラエンコーダ(622)と、残差計算器(623)と、スイッチ(626)と、残差エンコーダ(624)と、全体コントローラ(621)と、エントロピーエンコーダ(625)とを含む。
【0073】
インターエンコーダ(630)は、カレントブロック(例えば、処理ブロック)のサンプルを受信し、当該ブロックを参照ピクチャ内の1つ以上の参照ブロック(例えば、前のピクチャ及び後のピクチャ内のブロック)と比較し、インター予測情報(例えば、インター符号化技術による冗長情報の記述、動きベクトル、マージモード情報)を生成し、いずれかの適切な技術を使用して、インター予測情報に基づいてインター予測結果(例えば、予測ブロック)を計算するように構成される。いくつかの例では、参照ピクチャは、符号化ビデオ情報に基づいて復号された復号参照ピクチャである。
【0074】
イントラエンコーダ(622)は、カレントブロック(例えば、処理ブロック)のサンプルを受信し、場合によっては、当該ブロックを、同じピクチャ内で既に符号化されたブロックと比較し、変換後に量子化係数を生成し、場合によっては、イントラ予測情報(例えば、1つ以上のイントラ符号化技術によるイントラ予測方向情報)も生成するように構成される。また、一例では、イントラエンコーダ(622)は、同じピクチャ内のイントラ予測情報及び参照ブロックに基づいて、イントラ予測結果(例えば、予測ブロック)を計算する。
【0075】
全体コントローラ(621)は、全体制御データを決定し、全体制御データに基づいてビデオエンコーダ(603)の他の構成要素を制御するように構成される。一例では、全体コントローラ(621)は、ブロックのモードを決定し、当該モードに基づいて制御信号をスイッチ(626)に提供する。例えば、モードがイントラモードである場合、全体コントローラ(621)は、残差計算器(623)によって使用されるイントラモード結果を選択するようにスイッチ(626)を制御し、イントラ予測情報を選択してイントラ予測情報をビットストリームに含めるようにエントロピーエンコーダ(625)を制御する。モードがインターモードである場合、全体コントローラ(621)は、残差計算器(623)によって使用されるインター予測結果を選択するようにスイッチ(626)を制御し、インター予測情報を選択してインター予測情報をビットストリームに含めるようにエントロピーエンコーダ(625)を制御する。
【0076】
残差計算器(623)は、受信したブロックと、イントラエンコーダ(622)又はインターエンコーダ(630)から選択された予測結果との差(残差データ)を計算するように構成される。残差エンコーダ(624)は、残差データに基づいて動作し、残差データを符号化して変換係数を生成するように構成される。一例では、残差エンコーダ(624)は、残差データを空間ドメインから周波数ドメインに変換し、変換係数を生成するように構成される。次いで、変換係数は、量子化された変換係数を取得するための量子化処理を受ける。また、様々な実施形態では、ビデオエンコーダ(603)は、残差デコーダ(628)も含む。残差デコーダ(628)は、逆変換を実行し、復号された残差データを生成するように構成される。復号された残差データは、イントラエンコーダ(622)及びインターエンコーダ(630)によって適切に使用されてもよい。例えば、インターエンコーダ(630)は、復号された残差データ及びインター予測情報に基づいて復号ブロックを生成してもよく、イントラエンコーダ(622)は、復号された残差データ及びイントラ予測情報に基づいて復号ブロックを生成してもよい。復号ブロックは、復号ピクチャを生成するように適切に処理され、復号ピクチャは、メモリ回路(図示せず)にバッファされ、いくつかの例では参照ピクチャとして使用されてもよい。
【0077】
エントロピーエンコーダ(625)は、符号化ブロックを含めるようにビットストリームをフォーマットするように構成される。エントロピーエンコーダ(625)は、HEVC標準のような適切な標準に従った様々な情報を含めるように構成される。一例では、エントロピーエンコーダ(625)は、全体制御データと、選択された予測情報(例えば、イントラ予測情報又はインター予測情報)と、残差情報と、他の適切な情報とをビットストリームに含めるように構成される。開示の対象物によれば、インターモード又は双方向予測モードのいずれかのマージサブモードでブロックを符号化する場合、残差情報は存在しない点に留意すべきである。
【0078】
図7は、本開示の他の実施形態によるビデオデコーダ(710)の図を示す。ビデオデコーダ(710)は、符号化ビデオシーケンスの一部である符号化ピクチャを受信し、符号化ピクチャを復号して復元ピクチャを生成するように構成される。一例では、ビデオデコーダ(710)は、
図3の例のビデオデコーダ(310)の代わりに使用される。
【0079】
図7の例では、ビデオデコーダ(710)は、
図7に示されるように共に結合されたエントロピーデコーダ(771)と、インターデコーダ(780)と、残差デコーダ(773)と、復元モジュール(774)と、イントラデコーダ(772)とを含む。
【0080】
エントロピーデコーダ(771)は、符号化ピクチャから、当該符号化ピクチャが構成されるシンタックスエレメントを表す特定のシンボルを復元するように構成されてもよい。このようなシンボルは、例えば、ブロックが符号化されるモード(例えば、イントラモード、インターモード、双方向予測モード、マージサブモード又は他のサブモードにおける後者の2つ等)、それぞれイントラデコーダ(772)又はインターデコーダ(780)によって予測のために使用される特定のサンプル又はメタデータを識別できる予測情報(例えば、イントラ予測情報又はインター予測情報等)、例えば、量子化された変換係数の形式の残差情報等を含んでもよい。一例では、予測モードがインターモード又は双方向予測モードである場合、インター予測情報はインターデコーダ(780)に提供され、予測タイプがイントラ予測タイプである場合には、イントラ予測情報がイントラデコーダ(772)に提供される。残差情報は、逆量子化を受けてもよく、残差デコーダ(773)に提供される。
【0081】
インターデコーダ(780)は、インター予測情報を受信し、インター予測情報に基づいてインター予測結果を生成するように構成される。
【0082】
イントラデコーダ(772)は、イントラ予測情報を受信し、イントラ予測情報に基づいて予測結果を生成するように構成される
残差デコーダ(773)は、逆量子化された変換係数を抽出するための逆量子化を実行し、逆量子化された変換係数を処理して残差を周波数ドメインから空間ドメインに変換するように構成される。また、残差デコーダ(773)は、特定の制御情報(量子化パラメータ(QP, Quantizer Parameter)を含む)を必要としてもよく、その情報は、エントロピーデコーダ(771)によって提供されてもよい(これは低ボリュームの制御情報のみである可能性があるので、データ経路は図示されていない)。
【0083】
復元モジュール(774)は、空間ドメインにおいて、残差デコーダ(773)によって出力された残差と、予測結果(場合によっては、インター予測モジュール又はイントラ予測モジュールによって出力されたもの)とを結合して復元ブロックを形成するように構成され、当該復元ブロックは、復元ピクチャの一部でもよく、また、復元ビデオの一部でもよい。視覚品質を改善するために、デブッキング動作のような他の適切な動作が実行されてもよい点に留意すべきである。
【0084】
ビデオエンコーダ(303)、(503)及び(603)並びにビデオデコーダ(310)、(410)及び(710)は、いずれかの適切な技術を使用して実装されてもよい点に留意すべきである。一実施形態では、ビデオエンコーダ(303)、(503)及び(603)並びにビデオデコーダ(310)、(410)及び(710)は、1つ以上の集積回路を使用して実装されてもよい。他の実施形態では、ビデオエンコーダ(303)、(503)及び(503)並びにビデオデコーダ(310)、(410)及び(710)は、ソフトウェア命令を実行する1つ以上のプロセッサを使用して実装されてもよい。
【0085】
[II.変換係数の符号化]
エントロピー符号化は、ビデオ信号が一連のシンタックスエレメントに低減された後に、ビデオ符号化の最終段階(又はビデオ復号の最初の段階)で実行されてもよい。エントロピー符号化は、データを表すために使用されるビットの数がデータの確率に対数的に比例するように、データを圧縮するために統計的特性を使用する可逆圧縮方式でもよい。例えば、一式のシンタックスエレメント上でエントロピー符号化を実行することによって、シンタックスエレメントを表すビット(ビンと呼ばれる)が、ビットストリームにおいてより少ないビット(符号化ビットと呼ばれる)に変換できる。CABACはエントロピー符号化の1つの形式である。CABACでは、各ビンに関連するコンテキストに基づいて、ビンのシーケンス内の各ビンに対して確率推定値を提供するコンテキストモデルが決定されてもよい。続いて、ビンのシーケンスをビットストリーム内の符号化ビットに符号化するために、確率推定値を使用してバイナリ算術符号化処理が実行されてもよい。さらに、コンテキストモデルは、符号化ビンに基づく新たな確率推定値で更新されてもよい。
【0086】
図8Aは、一実施形態による例示的なCABACベースのエントロピーエンコーダ(800A)を示す。例えば、エントロピーエンコーダ(800A)は、
図5のエントロピーエンコーダ(545)又は
図6のエントロピーエンコーダ(625)に実装されてもよい。エントロピーエンコーダ(800A)は、コンテキストモデラ(810)と、バイナリ算術エンコーダ(820)とを含んでもよい。一例では、エントロピーエンコーダ(800A)への入力として、様々なタイプのシンタックスエレメントが提供される。例えば、バイナリ値のシンタックスエレメントのビンは、コンテキストモデラ(810)に直接入力できるが、非バイナリ値のシンタックスエレメントは、ビン列のビンがコンテキストモデラ(810)に入力される前に、ビン列に二値化されてもよい。
【0087】
一例では、コンテキストモデラ(810)は、シンタックスエレメントのビンを受信し、受信したビン毎にコンテキストモデルを選択するためのコンテキストモデル化処理を実行する。例えば、変換ブロック内の変換係数のバイナリシンタックスエレメントのビンが受信される。変換が実行されない場合、変換ブロックは変換スキップブロックでもよい。したがって、このビンについて、コンテキストモデルは、例えば、シンタックスエレメントのタイプ、変換成分の色成分タイプ、変換係数の位置及び前に処理された隣接変換係数に基づいて決定できる。コンテキストモデルは、このビンの確率推定値を提供することができる。
【0088】
一例では、コンテキストモデルのセットは、1つ以上のタイプのシンタックスエレメントについて構成されてもよい。これらのコンテキストモデルは、
図8Aに示すように、メモリ(801)に記憶されるコンテキストモデルリスト(802)に配置されてもよい。コンテキストモデルリスト(802)の各エントリは、コンテキストモデルを表してもよい。リスト内の各コンテキストモデルには、コンテキストモデルインデックス又はコンテキストインデックスと呼ばれるインデックスが割り当てられてもよい。さらに、各コンテキストモデルは、確率推定値又は確率推定値を示すパラメータを含んでもよい。確率推定値は、ビンが0又は1である可能性を示してもよい。例えば、コンテキストモデル化の間に、コンテキストモデラ(810)は、ビンのコンテキストインデックスを計算してもよく、したがって、コンテキストモデルは、コンテキストモデルリスト(802)からコンテキストインデックスに従って選択され、ビンに割り当てられてもよい。
【0089】
さらに、コンテキストモデルリスト内の確率推定値は、エントロピーエンコーダ(800A)の動作の開始時に初期化されてもよい。コンテキストモデルリスト(802)内のコンテキストモデルがビンに割り当てられてビンを符号化するために使用された後に、コンテキストモデルは、その後、更新された確率推定値を有するビンの値に従って更新されてもよい。
【0090】
一例では、バイナリ算術エンコーダ(820)は、ビン及び当該ビンに割り当てられたコンテキストモデル(例えば、確率推定値)を受信し、それにしたがって、バイナリ算術符号化処理を実行する。その結果、符号化ビットが生成され、ビットストリームにおいて送信される。
【0091】
図8Bは、一実施形態による例示的なCABACベースのエントロピーデコーダ(800B)を示す。例えば、エントロピーデコーダ(1000B)は、
図4のパーサ(420)又は
図7のエントロピーデコーダ(771)に実装されてもよい。エントロピーデコーダ(800B)は、バイナリ算術デコーダ(830)と、コンテキストモデラ(840)とを含んでもよい。バイナリ算術デコーダ830は、ビットストリームから符号化ビットを受け取り、符号化ビットからビンを復元するためのバイナリ算術復号処理を実行する。コンテキストモデラ(840)は、コンテキストモデラ(810)と同様に動作してもよい。例えば、コンテキストモデラ(840)は、メモリ(803)に記憶されたコンテキストモデルリスト(804)内のコンテキストモデルを選択し、選択されたコンテキストモデルをバイナリ算術デコーダ(830)に提供してもよい。コンテキストモデラ(840)は、バイナリ算術デコーダ(830)から復元されたビンに基づいてコンテキストモデルを決定してもよい。例えば、復元したビンに基づいて、コンテキストモデラ(840)は、次の復号対象のビンのシンタックスエレメントのタイプと、前に復号されたシンタックスエレメントの値とを認識することができる。この情報は、次の復号対象のビンのコンテキストモデルを決定するために使用されてもよい。
【0092】
一実施形態では、変換ブロックの残差信号は、まず、空間ドメインから周波数ドメイン領域に変換され、変換係数のブロックを生じる。次いで、変換係数のブロックを変換係数レベルのブロックに量子化するために、量子化が実行されてもよい。様々な実施形態では、残差信号を変換係数レベルに変換するために、異なる技術が使用されてもよい。変換係数レベルのブロックは、エントロピーエンコーダに提供されてビットストリームのビットに符号化できるシンタックスエレメントを生成するように更に処理されてもよい。一実施形態では、変換係数レベルからシンタックスエレメントを生成する処理は、以下の方法で実行されてもよい。
【0093】
変換係数レベルのブロックは、まず、例えば4×4の位置のサイズのサブブロックに分割されてもよい。これらのサブブロックは、予め定義された走査順序に従って処理されてもよい。各サブブロックは、係数グループ(CG, coefficient group)でもよい。サブブロック内の位置が処理又は走査される前に、CGが少なくとも1つのゼロでない変換係数レベルを含むか否かを示すためにフラグが伝達されてもよい。CGが少なくとも1つのゼロでない変換係数レベルを含むことをフラグが示す場合、右下角のサブブロックが最初に処理されてもよく、左上角のサブブロックが最後に処理されてもよい。変換係数レベルが全てゼロであるサブブロックについては、当該サブブロックは処理せずにスキップされてもよい。
【0094】
少なくとも1つのゼロでない変換係数レベルをそれぞれ有するサブブロックについて、4つのパスの走査が各サブブロックにおいて実行されてもよい。各パスの中で、各サブブロック内の16個の位置は、逆対角線の走査順序に走査されてもよい。
図9は、変換係数の異なるタイプのシンタックスエレメントが生成できるサブブロック走査処理(900)の例を示す。
【0095】
サブブロック内の16個の係数位置(910)が、
図9の下部に一次元で示されている。位置(910)は、それぞれの走査順序を反映するために、0~15の番号が付けられている。第1のパスの中で、走査位置(910)が走査され、3つのタイプのシンタックスエレメント(901~903)が各走査位置(910)において以下のように生成されてもよい。
(i)それぞれの変換係数の絶対変換係数レベル(absLevelで示される)がゼロであるかゼロよりも大きいかを示す第1のタイプのバイナリシンタックスエレメント(901)(有意フラグと呼ばれ、sig_coeff_flagで示される)
(ii)それぞれの変換係数の絶対変換係数レベルのパリティを示す第2のタイプバイナリシンタックスエレメント(902)(パリティフラグと呼ばれ、par_level_flagで示される)。パリティフラグは、それぞれの変換係数の絶対変換係数レベルがゼロでない場合にのみ生成される。
(iii)(absLevel-1)>>1がそれぞれの変換係数について0よりも大きいか否かを示す第3のタイプのバイナリシンタックスエレメント(903)(1よりも大きいフラグと呼ばれ、rem_abs_gt1_flagで示される)。1よりも大きいフラグは、それぞれの変換係数の絶対変換係数レベルがゼロでない場合にのみ生成されてもよい。
【0096】
第2のパスの中で、第4のタイプのバイナリシンタックスエレメント(904)が生成されてもよい。第4のタイプのシンタックスエレメント(904)は、2よりも大きいフラグと呼ばれ、rem_abs_gt2_flagで示される。第4のタイプのシンタックスエレメント(904)は、それぞれの変換係数の絶対変換係数レベルが4よりも大きいか否かを示す。(absLevel-1)>>1がそれぞれの変換係数について0よりも大きい場合のみ、2よりも大きいフラグが生成される。
【0097】
第3のパスの中で、第5のタイプの非バイナリシンタックスエレメント(905)が生成されてもよい。第5のタイプのシンタックスエレメント(905)は、abs_remainderで示されてもよく、それぞれの変換係数の絶対変換係数レベルの残りの値が4よりも大きいことを示す。第5のタイプのシンタックスエレメント(905)は、それぞれの変換係数の絶対変換係数レベルが4よりも大きい場合にのみ生成されてもよい。
【0098】
第4のパスの中で、第6のタイプのシンタックスエレメント(906)が、各走査位置(910)において、それぞれの変換係数レベルの符号を示すゼロでない係数レベルで生成されてもよい。
【0099】
上記の様々なタイプのシンタックスエレメントは、パスの順序及び各パスにおける走査順序に従ってエントロピーエンコーダに提供されてもよい。異なるタイプのシンタックスエレメントを符号化するために、異なるエントロピー符号化方式が使用されてもよい。例えば、一実施形態では、
図8Aに記載のように、有意フラグ、パリティフラグ、1よりも大きいフラグ及び2よりも大きいフラグが、CABACベースのエントロピーエンコーダで符号化されてもよい。対照的に、第3及び第4のパスの中で生成されたシンタックスエレメントは、CABACバイパス型エントロピーエンコーダ(例えば、入力ビンについて固定の確率推定値を有するバイナリ算術エンコーダ)で符号化されてもよい。
【0100】
コンテキストモデル化は、いくつかのタイプの変換係数シンタックスエレメントのビンのコンテキストモデルを決定するために実行されてもよい。一実施形態では、変換係数の間の相関を利用するために、コンテキストモデルは、ローカルテンプレート及びそれぞれの現在の係数(例えば、現在処理中の係数)の対角位置に従って、場合によっては他の要因と組み合わせて決定されてもよい。
【0101】
図10は、現在の係数のコンテキスト選択に使用されるローカルテンプレート(1030)の例を示す。ローカルテンプレート(1030)は、係数/変換ブロック(1010)内の現在の係数(1020)の隣接する位置又は係数のセットをカバーしてもよい。係数ブロック(1010)は、8×8の位置のサイズを有し、64個の位置のそれぞれにおける係数レベルを含んでもよい。係数ブロック(1010)は、4×4の位置のサイズをそれぞれ有する4つのサブブロックに分割される。各サブブロックは、4×4の係数位置を含むことができるCGでもよい。CG(1040)は現在の係数(1020)を含む。フラグは、CG(1040)がゼロ係数レベルのみを含むか否かを示すために伝達されてもよい。
図10において、ローカルテンプレート(1030)は、現在の係数(1020)の右下側の5つの係数レベルをカバーする5位置テンプレートであると定義される。係数ブロック(1010)内の走査位置上の複数のパスに逆対角線の走査順序が使用される場合、ローカルテンプレート(1030)内の隣接位置は、現在の係数(1020)の前に処理される。TSモードでは、走査順序は、逆対角線の走査順序の逆でもよく、ローカルテンプレートは、現在の係数の左上側の5つの係数レベルをカバーする5位置テンプレートでもよい。
【0102】
コンテキストモデル化の間に、ローカルテンプレート(1030)内の係数レベルの情報は、コンテキストモデルを決定するために使用されてもよい。この目的のため、テンプレートの大きさと呼ばれる尺度が、ローカルテンプレート(1030)内の変換係数又は変換係数レベルの大きさを測定するため或いは示すために使用されてもよい。次いで、テンプレートの大きさは、コンテキストモデルを選択するための基礎として使用されてもよい。
【0103】
一例では、テンプレートの大きさは、ローカルテンプレート(1030)内の部分的に復元された絶対変換係数レベルの、sumAbs1で示される和であると定義される。部分的に復元された絶対変換係数レベルは、それぞれの変換係数のシンタックスエレメント(sig_coeff_flag、par_level_flag及びrem_abs_gt1_flag)のビンに従って決定されてもよい。これらの3つのタイプのシンタックスエレメントは、エントロピーエンコーダ又はエントロピーデコーダ内で実行されるサブブロックの走査位置上で第1のパスの後に取得されてもよい。さらに、走査位置(x, y)の対角位置dは、d=x+yに従って定義される。ここで、x及びyはそれぞれの位置の座標である。コンテキストモデルインデックスは、sumAbs1及び対角位置dに基づいて選択されてもよい。
【0104】
[変換係数のコンテキスト符号化ビンの最大数に対する制約]
本開示のいくつかの実施形態では、符号化効率を増加させるために、シンタックスエレメントsig_coeff_flag、par_level_flag、rem_abs_gt1_flag及びrem_abs_gt2_flagはコンテキスト符号化されてもよい。したがって、多くても4つのコンテキスト符号化ビンが、変換係数毎にsig_coeff_flag、par_level_flag、rem_abs_gt1_flag及びrem_abs_gt2_flagに使用されてもよい。したがって、変換ブロック内の4×4の係数サブブロックのコンテキスト符号化ビンの最大数は、係数サブブロック又は変換ブロックのコンテキスト符号化ビンの数に制約が課されない場合には64である。しかし、多数のコンテキスト符号化ビンは、実装の複雑さをかなり増加させる可能性がある。
【0105】
したがって、いくつかの方法が、コンテキスト符号化ビンの数を低減するために提案されている。例えば、4×4の係数サブブロックのコンテキスト符号化ビンの最大数は、VVCに記載されている32に制限されてもよい。さらに、色成分及び係数サブブロックサイズに従って、コンテキスト符号化ビンに異なる制約が課されてもよい。例えば、4×4の輝度サブブロック、4×4の色差サブブロック及び2×2の色差サブブロックのコンテキスト符号化ビンの最大数は、それぞれ30、16及び4に制約されてもよい。
【0106】
本開示の一実施形態では、符号化効率を改善するために、変換ブロック内の全ての係数サブブロックが符号化される必要がない場合、制約は緩和されてもよい。例えば、解析された最後の有効係数位置に従って、コンテキスト符号化ビンの最大数は、コンテキスト符号化ビンの許容最大数を増加させることによって変更されてもよい。これは以下のように示される。
if (NumToBeCodedSb×4<=NumTotalSb)
ConstraintValue=ConstraintValue×4;
else if (NumToBeCodedSb×2<=NumTotalSb)
ConstraintValue=ConstraintValue×2;
else if (NumToBeCodedSb×3<=NumTotalSb×2)
ConstraintValue=(ConstraintValue×3)>>1;
else if (NumToBeCodedSb×5<=NumTotalSb×4)
ConstraintValue=(ConstraintValue×5)>>2,
ここで、NumToBeCodedSbは変換ブロック内の符号化対象の係数サブブロックの数であり、NumTotalSbは変換ブロック内の総係数サブブロックの数であり、制約値ConstraintValueは、色成分及び係数サブブロックサイズに従って決定される係数サブブロックのコンテキスト符号化ビンの最大数である。例えば、NumToBeCodeSb×4<=NumTotalSbである場合、ConstraintValueは、式ConstraintValue=ConstraintValue×4を使用して更新されてもよい。
【0107】
しかし、コンテキスト符号化ビンの最大数は、上記の提案方法における4×4の係数サブブロックの位置に関係なく、変換ブロック内の全ての4×4の係数サブブロックについて同じである。符号化効率は、係数サブブロックの周波数位置に基づいて変換ブロック内の各係数サブブロックのコンテキスト符号化ビンの最大数を割り当てることによって更に改善できる。
【0108】
したがって、本開示の態様は、変換ブロック内の係数サブブロックの周波数位置に基づいて、及び/又は変換ブロックのサイズに基づいて、変換係数エントロピー符号化に使用される係数サブブロックのコンテキスト符号化ビンの数を制限する方法を含む。また、本開示の態様は、前に符号化された係数サブブロックに基づいて変換係数エントロピー符号化に使用される係数サブブロックのコンテキスト符号化ビンの数を制限する方法を含む。さらに、本開示の態様は、等確率モードで現在の係数サブブロックの左側変換係数を符号化するか否かを決定するために、現在の変換係数のローカルテンプレートによってカバーされる係数からの情報を使用することを含む。
【0109】
[IV.変換係数のコンテキスト符号化ビンの最大数に対する制約の修正]
本開示のいくつかの態様では、ブロックという用語は、予測ブロック、符号化ブロック、変換ブロック又はCUとして解釈されてもよい。係数サブブロックという用語は、CGでもよい。
【0110】
W×Hの変換ブロックは、1つ以上のM×N(M<=W、N<=H)の係数サブブロックに分割できる。ここで、Wは変換ブロックの幅であり、Hは変換ブロックの高さである。M×Nの係数サブブロックにおいて変換係数を符号化するために使用されるコンテキスト符号化ビンの最大数は、係数サブブロックの周波数位置(csbX,csbY)及び/又は変換ブロックサイズW×Hに基づいて制約/決定されてもよい。係数サブブロックの周波数位置(csbX,csbY)は、係数サブブロックの幅/高さの単位における、変換ブロック内の左上の係数サブブロックに対する係数サブブロックの座標でもよい。例えば、
図11における係数サブブロック(1101)の周波数位置(csbX,csbY)は(0,0)でもよく、
図11における係数サブブロック(1116)の周波数位置(csbX,csbY)は(3,3)でもよい。
【0111】
本開示の一実施形態では、係数サブブロックサイズM×Nは予め定義されてもよく、或いは、シーケンスパラメータセット(SPS, sequence parameter set)、ピクチャパラメータセット(PPS, picture parameter set)及びスライスヘッダのようなビットストリームで伝達されてもよい。
【0112】
本開示の一実施形態では、係数サブブロックサイズM×Nが4x4である場合、係数サブブロックサイズは伝達される必要はなくてもよい。
【0113】
本開示の実施形態では、W×Hの変換ブロックのコンテキスト符号化ビンの最大数は、係数サブブロックの周波数位置に従って各係数サブブロックに割り当てられてもよい。すなわち、係数サブブロックの周波数位置(csbX,csbY)が決定されるとき、係数サブブロックのコンテキスト符号化ビンの最大数が固定されてもよい。異なる周波数位置を有する異なる係数サブブロックは、コンテキスト符号化ビンの異なる最大数を有してもよい。
【0114】
一実施形態では、変換ブロック内の低周波数領域における係数サブブロックのコンテキスト符号化ビンの最大数は、変換ブロック内の高周波数領域における係数サブブロックのコンテキスト符号化ビンの最大数よりも大きい。例えば、csbX+csbY<csbDiagを有する係数サブブロックのコンテキスト符号化ビンの最大数は、csbX+csbY>csbDiagを有する係数サブブロックのコンテキスト符号化ビンの最大数よりも大きい。本開示のいくつかの実施形態では、csbDiagは、変換ブロックのサイズに基づく所定の数でもよい。
【0115】
一例では、M=4且つN=4である場合、csbX+csbY<csbDiagを有する係数サブブロックのコンテキスト符号化ビンの最大数はavgMaxCtxBins+Δでもよく、csbX+csbY>csbDiagを有する係数サブブロックのコンテキスト符号化ビンの最大数はavgMaxCtxBins-Δでもよく、csbX+csbY==csbDiagを有する係数サブブロックのコンテキスト符号化ビンの最大数はavgMaxCtxBinsである。いくつかの例では、csbDiagは、変換ブロックのサイズに基づいて決定されてもよい。具体的には、csbDiagは、(((W>>2)-1)+((H>>)-1))>>1以下になるように設定されてもよい。ここで、Wは変換ブロックの幅であり、Hは変換ブロックの高さである。
図11は、16×16の変換ブロックにおけるcsbX+csbY==csbDiagを有する係数サブブロック(1104、1107、1110、1113)を示す。この場合、csbDiagは、
図11のハッチングされた領域によって示すように、16×16の変換ブロックにおける係数サブブロック(1104、1107、1110、1113)の対角線でもよい。
【0116】
いくつかの例では、avgMaxCtxBinsは32又は30でもよく、Δは2又は4でもよい。
【0117】
本開示のいくつかの実施形態では、変換係数エントロピー符号化に使用される係数サブブロックのコンテキスト符号化ビンの最大数は、(i)変換ブロック内の係数サブブロックの周波数位置と、(ii)変換ブロックのサイズ及び係数サブブロックのサイズとに基づく。
【0118】
一実施形態では、M=4、N=4、W=4且つH=4である場合、4×4の変換ブロック内に1つの4×4の係数サブブロックしか存在しないので、変換ブロック内の係数サブブロックのコンテキスト符号化ビンの最大数は、4×4の変換ブロックのコンテキスト符号化ビンの最大数(例えば、30)に設定されてもよい。
【0119】
一実施形態では、M=4、N=4、W=8且つH=8である場合、変換ブロック内の周波数位置(csbX,csbY)を有する各係数サブブロックのコンテキスト符号化ビンの最大数(MaxCtxBinsと呼ばれる)は以下のように決定されてもよい。
If csbX+csbY==0, then MaxCtxBins=32;
If csbX+csbY==1, then MaxCtxBins=30;
Else MaxCtxBins=28
言い換えると、係数サブブロックが変換ブロックの低周波数領域にある場合(例えば、csbX+csbY== 0)、係数サブブロックのMaxCtxBinsは32でもよい。係数サブブロックが変換ブロックの高周波数領域にある場合(例えば、csbX+csbY==2)、係数サブブロックのMaxCtxBinsは28でもよい。係数サブブロックが変換ブロックの低周波数領域にも高周波数領域にもない場合(例えば、csbX+csbY==1)、係数サブブロックのMaxCtxBinsは30でもよい。
【0120】
一実施形態では、M=4、N=4、W=16且つH=16である場合、周波数位置(csbX,csbY)を有する各係数サブブロックのMaxCtxBinsは以下のように決定されてもよい。
If csbX+csbY<3, then MaxCtxBins=32;
If csbX+csbY==3, then MaxCtxBins=30;
Else MaxCtxBins=28;
図11に示すように、変換ブロックサイズは16×16であり、係数サブブロックサイズは4×4である。係数サブブロックが変換ブロックの低周波数領域(1101、1102、1103、1105、1106、1109)にある場合(例えば、csbX+csbY<3)、係数サブブロックのMaxCtxBinsは32でもよい。係数サブブロックが変換ブロックの高周波数領域(1108、1111、1112、1114、1115、1116)にある場合(例えば、csbX+csbY>3)、係数サブブロックのMaxCtxBinsは32でもよい。係数サブブロックが変換ブロックの低周波数領域にも変換ブロックの高周波数領域にもない場合(例えば、csbX+csbY==3)、係数サブブロックのMaxCtxBinsは30でもよい。この場合、係数サブブロックは、
図11のハッチングされた領域(1104、1007、1110、1113)のうち1つに配置されてもよい。本開示の一実施形態では、変換ブロック内の係数サブブロックのコンテキスト符号化ビンの平均最大数は30でもよい。
【0121】
一実施形態では、M=4、N=4、W=32且つH=32である場合、変換ブロック内の周波数位置(csbX,csbY)を有する各係数サブブロックのMaxCtxBinsは以下のように決定されてもよい。
If csbX+csbY<thr, then MaxCtxBins=32;
If csbX+csbY==thr, then MaxCtxBins=30;
Else MaxCtxBins=28
ここで、thrは4、5、6又は7でもよい。
【0122】
言い換えると、係数サブブロックが変換ブロックの低周波数領域にある場合(例えば、csbX+csbY<thr)、係数サブブロックのMaxCtxBinsは32でもよい。係数サブブロックが変換ブロックの高周波数領域にある場合(例えば、csbX+csbY>thr)、係数サブブロックのMaxCtxBinsは28でもよい。係数サブブロックが変換ブロックの低周波数領域にも高周波数領域にもない場合(例えば、csbX+csbY==thr)、係数サブブロックのMaxCtxBinsは30でもよい。本開示の一実施形態では、thrはcsbDiagと等しくてもよく、例えば、4、5、6又は7でもよい。
【0123】
一実施形態では、M=4、N=4且つW!=Hである場合、変換ブロック内の周波数位置(csbX,csbY)を有する各係数サブブロックのMaxCtxBinsは以下のように決定されてもよい。
If csbX+csbY<csbDiag, then MaxCtxBins=32;
If csbX+csbY>csbDiag, then MaxCtxBins=28;
Else MaxCtxBins=30
ここで、csbDiagは((W>>2)-1)+((H>>)-1))>>1以下でもよい。
【0124】
これに関して、係数サブブロックが変換ブロックの低周波数領域にある場合(例えば、csbX+csbY<csbDiag)、係数サブブロックのMaxCtxBinsは32でもよい。係数サブブロックが変換ブロックの高周波数領域にある場合(例えば、csbX+csbY>csbDiag)、係数サブブロックのMaxCtxBinsは28でもよい。係数サブブロックが変換ブロックの低周波数領域にも高周波数領域にもない場合(例えば、csbX+csbY==csbDig)、係数サブブロックのMaxCtxBinsは30でもよい。本開示の一実施形態では、csbDiagは(((W>>2)-1)+((H>>)-1)>1)以下でもよい。
【0125】
例えば、
図12に示すように、変換ブロック(1200)のサイズは8×16であり、変換ブロック(1200)内の各係数サブブロックのサイズは4×4である。一実施形態では、csbDiagは、式csbDiag==(((W>>2)-1)+((H>>)-1))>>1に基づいて2であると決定されてもよい。係数サブブロックが変換ブロックの低周波数領域(1201、1202、1203)にある場合(例えば、csbX+csbY<2)、係数サブブロックのMaxCtxBinsは32でもよい。係数サブブロックが変換ブロックの高周波数領域(1206、1207、1208)にある場合(例えば、csbX+csbY >2)、係数サブブロックのMaxCtxBinsは32でもよい。係数サブブロックが変換ブロックの高周波数領域にも低周波数領域にもない場合(例えば、csbX+csbY==2)、係数サブブロックのMaxCtxBinsは30でもよい。この場合、係数サブブロックは、
図12のハッチングされた領域(1204、1205)のうち1つに配置されてもよい。本開示の一実施形態では、係数サブブロックのコンテキスト符号化ビンの平均最大数は30でもよい。
【0126】
一実施形態では、W×Hの変換ブロックのコンテキスト符号化ビンの最大数は、1つ以上の前に符号化された係数サブブロックに従って、各係数サブブロックに適応的に割り当てられてもよい。一例では、全体のW×Hの変換ブロックのコンテキスト符号化ビンの最大数が決定される。係数サブブロックを符号化した後に、左側/符号化されていない係数サブブロックのコンテキスト符号化ビンの最大数が更新され、後続の係数サブブロックのコンテキスト符号化ビンの最大数を計算するために使用されてもよい。例えば、
図11において、全体のW×Hの変換ブロック(1100)のコンテキスト符号化ビンの最大数が決定できる。W×Hの変換ブロック(1110)は、16個の係数サブブロックを含む。現在の係数サブブロック(例えば、1111)を符号化した後に、符号化されていない係数サブブロック(例えば、1101、1102、1103、1105、1106、1109、1113)のコンテキスト符号化ビンの最大数は、コンテキスト符号化ビンの残りのバジェットに基づいて更新され、後続の係数サブブロック(例えば、1113)のコンテキスト符号化ビンの最大数を計算するために使用されてもよい。
【0127】
一実施形態では、現在の係数サブブロック内の現在の変換係数のローカルテンプレートによってカバーされる係数の情報は、等確率モードで現在の係数サブブロック内の現在の変換係数の左側変換係数を符号化するか否かを決定するために使用されてもよい。ローカルテンプレートは、
図10に記載のテンプレートに限定されない。例えば、
図13において、現在の係数サブブロック(1310)内の現在の変換係数(1312)のローカルテンプレート(1320)によってカバーされる係数の情報は、等確率モードで現在の係数サブブロック(1310)内の現在の変換係数(1312)の左側変換係数(1301、1302、1303、1304、1305、1306、1307、1308、1309、1310、1311、1313、1314、1315)を符号化するか否かを決定するために使用されてもよい。
【0128】
一実施形態では、sig_coeff_flagのコンテキスト導出によって計算されたテンプレートの大きさ(例えば、sumAbs1)は、等確率モードで現在の係数サブブロック内の現在の変換係数の左側変換係数を符号化するか否かを決定するために使用されてもよい。
【0129】
一例では、sumAbs1が閾値ThrAbsSumよりも大きい場合、現在の係数サブブロック内の現在の変換係数の左側変換係数は、等確率モードで符号化されてもよい。閾値ThrAbsSumは、例えば、9、10又は11でもよい。
【0130】
他の例では、sumAbs1が閾値ThrAbsSumよりも大きく、csbX+csbYが閾値csbDiagよりも大きい場合、現在の係数サブブロック内の現在の変換係数の左側変換係数は、等確率モードで符号化されてもよい。閾値ThrAbsSumは、例えば、9、10又は11でもよく、閾値csbDiagは、例えば、2、3又は4でもよい。
【0131】
[V.例示的な復号処理]
図14は、本開示のいくつかの実施形態によるエントロピー復号処理(1400)の概要を示すフローチャートを示す。処理(1400)は、変換係数シンタックスエレメントのエントロピー復号に使用できる。様々な実施形態では、処理(1400)は、端末デバイス(210)、(220)、(230)及び(240)における処理回路、ビデオデコーダ(310)の機能を実行する処理回路、ビデオデコーダ(410)の機能を実行する処理回路等のような処理回路によって実行できる。いくつかの実施形態では、処理(1400)は、ソフトウェア命令で実装され、したがって、処理回路がソフトウェア命令を実行すると、処理回路は、処理(1400)を実行する。処理は(S1401)から始まり、(S1410)に進む。
【0132】
(S1410)において、シンタックスエレメントを含むビットストリームが受信される。シンタックスエレメントは、符号化ピクチャ内の変換ブロックの残差に対応する。例えば、シンタックスエレメントは、有意シンタックスエレメント、パリティシンタックスエレメント、1よりも大きいシンタックスエレメント及び/又は2よりも大きいシンタックスエレメントを含んでもよい。有意シンタックスエレメント(例えばsig_coeff_flag)は、現在の変換係数の絶対値(absLevel)が0よりも大きいことを示してもよい。パリティシンタックスエレメント(例えば、par_level_flag)は、absLevelのパリティを示してもよい。1よりも大きいシンタックスエレメント(例えば、rem_abs_gt1_flag)は、absLevel-1が0よりも大きいことを示してもよい。2つよりも大きいシンタックスエレメント(例えば、rem_abs_gt2_flag)はabsLevel-4が0よりも大きいことを示してもよい。
【0133】
(S1420)において、変換ブロック内の第1の係数サブブロックのシンタックスエレメントのコンテキスト符号化ビンの第1の最大数は、変換ブロック内の第1の係数サブブロックの周波数位置に基づいて決定される。一実施形態では、第1の係数サブブロックが変換ブロックの低周波数領域にある場合、第1の係数サブブロックのシンタックスエレメントのコンテキスト符号化ビンの第1の最大数は、変換ブロックの係数サブブロックのシンタックスエレメントのコンテキスト符号化ビンの平均最大数よりも大きい。例えば、第1の係数サブブロックのシンタックスエレメントのコンテキスト符号化ビンの第1の最大数は32でもよく、変換ブロックの係数サブブロックのシンタックスエレメントのコンテキスト符号化ビンの平均最大数は30でもよい。変換ブロックは、いくつかの(例えば、3つの)周波数領域に分割されてもよく、各周波数領域における係数サブブロックは、シンタックスエレメントのコンテキスト符号化ビンの異なる最大数を有してもよい。
【0134】
(S1430)において、第1の係数サブブロックのシンタックスエレメントの複数のビンのそれぞれは、コンテキストモデルと、第1の係数サブブロックのシンタックスエレメントのコンテキスト符号化ビンの決定された第1の最大数とに従って符号化される。一実施形態では、コンテキストモデル化は、第1の係数サブブロックのシンタックスエレメントの複数のビンのそれぞれについてコンテキストモデルを決定するために実行されてもよい。第1の係数サブブロックのシンタックスエレメントのビンの数は、第1の係数サブブロックのシンタックスエレメントのコンテキスト符号化ビンの決定された第1の最大数を超えなくてもよい。カウンタは、第1の係数サブブロックのシンタックスエレメントのビンの数が、第1の係数サブブロックのシンタックスエレメントのコンテキスト符号化ビンの決定された第1の最大数を超えるか否かを決定するために使用されてもよい。
【0135】
(S1440)において、第1の係数サブブロックのシンタックスエレメントの複数のビンの符号化ビットは、コンテキストモデルに基づいて復号され、第1の係数サブブロックのシンタックスエレメントのコンテキスト符号化ビンの第1の最大数は、変換ブロック内の第2の係数サブブロックのシンタックスエレメントのコンテキスト符号化ビンの第2の最大数とは異なる。一実施形態では、第1の係数サブブロックのシンタックスエレメントのビンの残りの総数は、等確率モードに基づいて復号されてもよい。第1の係数サブブロックの周波数位置は、変換ブロックの低周波数領域にあってもよく、第2の係数サブブロックの周波数位置は、変換ブロックの高周波数領域にあってもよい。変換ブロックの低周波数領域及び変換ブロックの高周波数領域は、変換ブロック内の係数サブブロックの対角線によって分離されてもよい。その場合、第1の係数サブブロックのシンタックスエレメントのコンテキスト符号化ビンの第1の最大数は、変換ブロックの第2の係数サブブロックのシンタックスエレメントのコンテキスト符号化ビンの第2の最大数よりも大きくてもよい。
【0136】
処理(1400)は(S1499)に進み、終了する。
【0137】
[VIII.コンピュータシステム]
上記の技術は、コンピュータ読み取り可能命令を使用してコンピュータソフトウェアとして実装され、1つ以上のコンピュータ読み取り可能媒体に物理的に記憶されてもよい。例えば、
図15は、開示の対象物の特定の実施形態を実装するのに適したコンピュータシステム(1500)を示す。
【0138】
コンピュータソフトウェアは、いずれかの適切な機械コード又はコンピュータ言語を使用して符号化されてもよく、当該機械コード又はコンピュータ言語は、命令を含むコードを生成するために、アセンブリ、コンパイル、リンク又は類似のメカニズムを受けてもよく、当該命令は、1つ以上のコンピュータ中央処理装置(CPU, central processing unit)、グラフィックス処理ユニット(GPU, Graphics Processing Unit)等によって、直接的に或いはインタープリタ、マイクロコード実行等を通じて実行されてもよい。
【0139】
命令は、例えば、パーソナルコンピュータ、タブレットコンピュータ、サーバ、スマートフォン、ゲームデバイス、モノのインターネットのデバイス等を含む様々なタイプのコンピュータ又はその構成要素上で実行されてもよい。
【0140】
コンピュータシステム(1500)について
図15に示される構成要素は、本質的に例示的なものであり、本開示の実施形態を実装するコンピュータソフトウェアの使用範囲又は機能に関する如何なる限定も示唆することを意図するものではない。また、構成要素の構成も、コンピュータシステム(1500)の例示的な実施形態に示される構成要素のいずれか1つ又は組み合わせに関する如何なる依存性又は要件も有するものとして解釈されるべきではない。
【0141】
コンピュータシステム(1500)は、特定のヒューマンインタフェース入力デバイスを含んでもよい。このようなヒューマンインタフェース入力デバイスは、例えば、触覚入力(キーストローク、スワイプ、データグローブの動き等)、オーディオ入力(音声、拍手等)、視覚入力(ジェスチャ等)、嗅覚入力(図示せず)を通じて、1人以上の人間のユーザによる入力に応答してもよい。また、ヒューマンインタフェースデバイスは、オーディオ(例えば、会話、音楽、周辺音)、画像(スキャンされた画像、静止画カメラから取得された写真画像等)、ビデオ(2次元ビデオ、立体ピクチャを含む3次元ビデオ等)のような、人間による意識的入力に必ずしも直接関連しない特定のメディアをキャプチャするために使用されてもよい。
【0142】
入力ヒューマンインタフェースデバイスは、キーボード(1501)、マウス(1502)、トラックパッド(1503)、タッチ画面(1510)、データグローブ(図示せず)、ジョイスティック(1505)、マイクロフォン(1506)、スキャナ(1507)、カメラ(1508)のうち1つ以上を含んでもよい。
【0143】
また、コンピュータシステム(1500)は、特定のヒューマンインタフェース出力デバイスを含んでもよい。このようなヒューマンインタフェース出力デバイスは、例えば、触覚出力、音、光及び嗅覚/味覚を通じて、1人以上の人間のユーザの感覚を刺激してもよい。このようなヒューマンインタフェース出力デバイスは、触覚出力デバイス(例えば、タッチ画面(1510)、データグローブ(図示せず)又はジョイスティック(1505)による触覚フィードバック、ただし、入力デバイスとして機能しない触覚フィードバックデバイスが存在してもよい)と、オーディオ出力デバイス(スピーカ(1509)、ヘッドフォン(図示せず)等)と、視覚出力デバイス(それぞれがタッチ画面入力機能を有しても有さなくてもよく、それぞれが触覚フィードバック機能を有しても有さなくてもよく、いくつかが2次元視覚出力又は立体出力のような手段を通じた3次元以上の出力を出力可能でもよいCRT画面、LCD画面、プラズマ画面、OLED画面を含む画面(1510)、仮想現実メガネ(図示せず)、ホログラフィックディスプレイ及びスモークタンク(図示せず))と、プリンタ(図示せず)とを含んでもよい。
【0144】
また、コンピュータシステム(1500)は、CD/DVD又は同様の媒体(1521)を有するCD/DVD ROM/RW(1520)を含む光媒体のような人間がアクセス可能な記憶デバイス及び関連する媒体、サムドライブ(1522)、取り外し可能ハードドライブ又はソリッドステートドライブ(1523)、テープ及びフロッピーディスク(図示せず)のようなレガシー磁気媒体、セキュリティドングル(図示せず)のような特殊なROM/ASIC/PLDに基づくデバイス等を含んでもよい。
【0145】
また、当業者は、ここに開示の対象物に関連して使用される用語「コンピュータ読み取り可能媒体」が伝送媒体、搬送波又は他の非一時的な信号を含まないことを理解すべきである。
【0146】
また、コンピュータシステム(1500)は、1つ以上の通信ネットワークへのインタフェースを含んでもよい。ネットワークは、例えば、無線、有線、光でもよい。ネットワークは、ローカル、広域、メトロポリタン、車両及び産業、リアルタイム、遅延耐性等でもよい。ネットワークの例は、イーサネット、無線LAN、セルラネットワーク(GSM、3G、4G、5G、LTE等を含む)、TV有線又は無線広域デジタルネットワーク(ケーブルTV、衛星TV、及び地上放送TVを含む)、車両及び産業(CANBusを含む)等を含む。特定のネットワークは、一般的に、特定の汎用データポート又は周辺バス(1549)に取り付けられる外部ネットワークインタフェースアダプタ(例えば、コンピュータシステム(1500)のUSBポート等)を必要とし、他のネットワークインタフェースアダプタは、一般的に、以下に説明するシステムバス(例えば、PCコンピュータシステムへのイーサネットインタフェース又はスマートフォンコンピュータシステムへのセルラネットワーク)に取り付けられることによって、コンピュータシステム(1500)のコアに統合される。これらのネットワークのいずれかを使用して、コンピュータシステム(1500)は、他のエンティティと通信することができる。このような通信は、一方向の受信のみ(例えば、放送TV)、一方向の送信のみ(例えば、特定のCANbusデバイスへのCANbus)でもよく、或いは、例えば、ローカル又は広域デジタルネットワークを使用する他のコンピュータシステムへの双方向でもよい。特定のプロトコル及びプロトコルスタックは、上記のようなネットワーク及びネットワークインタフェースのそれぞれにおいて使用されてもよい。
【0147】
上記のヒューマンインタフェースデバイス、人間がアクセス可能な記憶デバイス及びネットワークインタフェースは、コンピュータシステム(1500)のコア(1540)に取り付けられてもよい。
【0148】
コア(1540)は、1つ以上の中央処理装置(CPU)(1541)、グラフィックス処理ユニット(GPU)(1542)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA, Field Programmable Gate Area)(1543)の形式の特殊なプログラム可能処理ユニット、特定のタスク用のハードウェアアクセラレータ(1544)等を含んでもよい。これらのデバイスは、読み取り専用メモリ(ROM)(1545)、ランダムアクセスメモリ(1546)、内部大容量記憶装置(内部のユーザアクセス不可能なハードドライブ、SSD等)(1547)と共に、システムバス(1548)を通じて接続されてもよい。いくつかのコンピュータシステムでは、システムバス(1548)は、更なるCPU、GPU等による拡張を可能にするために、1つ以上の物理プラグの形式でアクセス可能でもよい。周辺デバイスは、コアのシステムバス(1548)に直接取り付けられてもよく、或いは、周辺バス(1549)を通じて取り付けられてもよい。周辺バスのアーキテクチャは、PCI、USB等を含む。
【0149】
CPU(1541)、GPU(1542)、FPGA(1543)及びアクセラレータ(1544)は特定の命令を実行してもよく、当該特定の命令は、組み合わせによって上記のコンピュータコードを構成してもよい。当該コンピュータコードは、ROM(1545)又はRAM(1546)に記憶されてもよい。また、一時的なデータは、RAM(1546)に記憶されてもよいが、永続的なデータは、例えば、内部大容量記憶装置(1547)に記憶されてもよい。1つ以上のCPU(1541)、GPU(1542)、大容量記憶装置(1547)、ROM(1545)、RAM(1546)等と密接に関連してもよいキャッシュメモリを使用することによって、メモリデバイスのいずれかへの高速記憶及び検索が可能になってもよい。
【0150】
コンピュータ読み取り可能媒体は、様々なコンピュータに実装された動作を実行するためのコンピュータコードを有してもよい。媒体及びコンピュータコードは、本開示の目的のために特に設計及び構築されたものでよく、或いは、コンピュータソフトウェア分野における当業者に周知で入手可能なようなものでもよい。
【0151】
限定ではなく一例として、アーキテクチャ(1500)、具体的には、コア(1540)を有するコンピュータシステムは、1つ以上の有形のコンピュータ読み取り可能媒体に具現されたソフトウェアを実行するプロセッサ(CPU、GPU、FPGA、アクセラレータ等を含む)の結果として機能を提供できる。このようなコンピュータ読み取り可能媒体は、コア内部の大容量記憶装置(1547)又はROM(1545)のような非一時的な性質のコア(1540)の特定の記憶装置と同様に、上記のようなユーザがアクセス可能な大容量記憶装置に関連する媒体でもよい。本開示の様々な実施形態を実装するソフトウェアは、このようなデバイスに記憶されてコア(1540)によって実行されてもよい。コンピュータ読み取り可能媒体は、特定のニーズに従って、1つ以上のメモリデバイス又はチップを含んでもよい。ソフトウェアは、コア(1540)、具体的には、その中のプロセッサ(CPU、GPU、FPGA等を含む)に、RAM(1546)に記憶されたデータ構造を定義し、ソフトウェアによって定義された処理に従ってこのようなデータ構造を修正することを含む、本明細書に記載の特定の処理又は特定の処理の特定の部分を実行させてもよい。さらに或いは代替として、コンピュータシステムは、回路(例えば、アクセラレータ(1544))内に配線されたロジック又は他の方法で具現されたロジックの結果として、機能を提供してもよく、当該回路は、本明細書に記載の特定の処理又は特定の処理の特定の部分を実行するために、ソフトウェアの代わりに或いはソフトウェアと共に動作してもよい。ソフトウェアへの言及は、ロジックを含み、必要に応じて、その逆も可能である。コンピュータ読み取り可能媒体への言及は、必要に応じて、実行するためのソフトウェアを記憶する回路(集積回路(IC)等)、実行するためのロジックを具現する回路又はこれらの双方を含んでもよい。本開示は、ハードウェア及びソフトウェアのいずれかの適切な組み合わせを含む。
【0152】
付録A:略語
JEM: joint exploration model
VVC: versatile video coding
BMS: benchmark set
MV: Motion Vector
HEVC: High Efficiency Video Coding
SEI: Supplementary Enhancement Information
VUI: Video Usability Information
GOP: Group of Picture
TU: Transform Unit
PU: Prediction Unit
CTU: Coding Tree Unit
CTB: Coding Tree Block
PB: Prediction Block
HRD: Hypothetical Reference Decoder
SNR: Signal Noise Ratio
CPU: Central Processing Unit
GPU: Graphics Processing Unit
CRT: Cathode Ray Tube
LCD: Liquid-Crystal Display
OLED: Organic Light-Emitting Diode
CD: Compact Disc
DVD: Digital Video Disc
ROM: Read-Only Memory
RAM: Random Access Memory
ASIC: Application-Specific Integrated Circuit
PLD: Programmable Logic Device
LAN: Local Area Network
GSM: Global System for Mobile communications
LTE: Long-Term Evolution
CANBus: Controller Area Network Bus
USB: Universal Serial Bus
PCI: Peripheral Component Interconnect
FPGA: Field Programmable Gate Area
SSD: solid-state drive
IC: Integrated Circuit
CU: Coding Unit
CG: Coefficient Group
本開示は、いくつかの例示的な実施形態を記載しているが、本開示の範囲内に入る変更、置換及び様々な代替の等価物が存在する。したがって、当業者は、本明細書に明示的に図示又は記載されていないが、本開示の原理を具現し、したがって、本開示の真意及び範囲内にある多数のシステム及び方法を考案することができることが認識される。