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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-03
(45)【発行日】2023-02-13
(54)【発明の名称】高さ測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/02 20060101AFI20230206BHJP
   G06T 7/593 20170101ALI20230206BHJP
   B25J 19/04 20060101ALI20230206BHJP
【FI】
G01B11/02 H
G06T7/593
B25J19/04
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021548084
(86)(22)【出願日】2019-09-26
(86)【国際出願番号】 JP2019037892
(87)【国際公開番号】W WO2021059438
(87)【国際公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】東 拓実
(72)【発明者】
【氏名】大石 信夫
【審査官】山▲崎▼ 和子
(56)【参考文献】
【文献】特開平9-91441(JP,A)
【文献】特開平11-333770(JP,A)
【文献】特開2002-286430(JP,A)
【文献】特開2016-130663(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00-11/30
G06T 7/50
B25J 19/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物の高さを測定する高さ測定装置であって、
矩形状の視野を有するカメラと、
前記カメラと前記対象物とを相対移動させる移動装置と、
載置面の所定位置に載置された対象物が撮像されるよう前記移動装置と前記カメラとを制御し、撮像された対象物の二次元画像から前記対象物の輪郭を抽出し、各辺が前記カメラの視野の対応する辺と平行な矩形状の領域であって各辺が抽出した対象物の輪郭と外接する外接矩形領域を設定し、設定した外接矩形領域の4辺を所定量ずつ外側に拡張した拡張領域を設定し、設定した拡張領域が前記カメラの視野からはみ出ない範囲内で最大の視差が得られるように複数の撮像位置を決定し、決定した複数の撮像位置でそれぞれ前記対象物が撮像されるよう前記移動装置と前記カメラとを制御し、前記複数の撮像位置でそれぞれ撮像された対象物の二次元画像の視差から前記対象物の高さを推定する制御装置と、
を備える高さ測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の高さ測定装置であって、
前記所定量は、前記所定量をexwとし、対象物の測定可能な最大高さをWHとし、前記視野の横幅の長さをWとし、前記視野の縦幅の長さをHとし、前記カメラと前記載置面との距離をWDとしたときに、次式(1)により演算される、
高さ測定装置。
【数1】
【請求項3】
請求項1または2に記載の高さ測定装置であって、
前記複数の撮像位置は、少なくとも前記カメラの視野の四隅で前記対象物が撮像される撮像位置を含む、
高さ測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、高さ測定装置について開示する。
【背景技術】
【0002】
従来、高さ測定装置として、ロボットアームの位置姿勢を複数箇所に変更しながらロボットアームに取り付けられたカメラで被作業物を撮像し、各位置姿勢ごとの画像とそのときのカメラの位置姿勢とから三角測量法によって被作業物の三次元位置を計算するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平5-245791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した高さ測定装置では、カメラの視野の大きさや対象物の大きさによっては、十分な視差が得られず、対象物の高さを精度良く測定することができない場合が生じる。
【0005】
本開示は、対象物の高さを精度良く測定することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本開示の高さ測定装置は、
対象物の高さを測定する高さ測定装置であって、
矩形状の視野を有するカメラと、
前記カメラと前記対象物とを相対移動させる移動装置と、
載置面の所定位置に載置された対象物が撮像されるよう前記移動装置と前記カメラとを制御し、撮像された対象物の二次元画像から前記対象物の輪郭を抽出し、各辺が前記カメラの視野の対応する辺と平行な矩形状の領域であって各辺が抽出した対象物の輪郭と外接する外接矩形領域を設定し、設定した外接矩形領域の4辺を所定量ずつ外側に拡張した拡張領域を設定し、設定した拡張領域が前記カメラの視野からはみ出ない範囲内で最大の視差が得られるように複数の撮像位置を決定し、決定した複数の撮像位置でそれぞれ前記対象物が撮像されるよう前記移動装置と前記カメラとを制御し、前記複数の撮像位置でそれぞれ撮像された対象物の二次元画像の視差から前記対象物の高さを推定する制御装置と、
を備えることを要旨とする。
【0008】
この本開示の高さ測定装置は、載置面の所定位置に載置された対象物を撮像し、撮像した対象物の二次元画像から対象物の輪郭を抽出する。続いて、高さ測定装置は、各辺がカメラの視野の対応する辺と平行な矩形状の領域であって各辺が抽出した対象物の輪郭と外接する外接矩形領域を設定し、設定した外接矩形領域の4辺を所定量ずつ外側に拡張した拡張領域を設定する。次に、高さ測定装置は、設定した拡張領域がカメラの視野からはみ出ない範囲内で最大の視差が得られるように複数の撮像位置を決定する。そして、高さ測定装置は、決定した複数の撮像位置でそれぞれ対象物を撮像し、複数の撮像位置でそれぞれ撮像された対象物の二次元画像の視差から対象物の高さを推定する。これにより、対象物のサイズが比較的大きい場合であっても、十分な視差を確保できるように複数の撮像位置を決定することができる。この結果、対象物の高さを精度良く測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態の高さ測定装置を含むロボットシステム10の構成の概略を示す構成図。
図2】ワーク高さ測定処理の一例を示すフローチャート。
図3】外接矩形領域Aの一例を示す説明図である。
図4】ワーク検出領域Bの一例を示す説明図である。
図5】拡張幅exwを説明するための説明図である。
図6】ワークWを撮像する際の視点の設定の様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本開示を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。
【0011】
図1は本実施形態の高さ測定装置を含むロボットシステム10の構成の概略を示す構成図である。なお、図1の左右方向がX軸方向であり、前後方向がY軸方向であり、上下方向がZ軸方向である。ロボットシステム10は、図示するように、供給装置12と、搬送装置14と、作業ロボット20と、制御装置18とを備える。供給装置12は、前後方向(Y軸方向)に間隔をおいて配置された駆動ローラおよび従動ローラに架け渡されたコンベアベルト12aを備え、駆動ローラの回転駆動により、コンベアベルト12a上の機械部品や電子部品などの複数のワークwを後方から前方へ供給する。搬送装置14は、コンベアベルトにより構成され、ワークwの供給方向と直交する方向(X軸方向)にトレイTを搬送し、中央位置にて位置決め保持する。制御装置18は、CPUやROM,RAM,HDD,入出力ポートなどを備え、供給装置12と搬送装置14と作業ロボット20の各動作を制御する。
【0012】
作業ロボット20は、先端に作業ツールとしてのチャックを備える垂直多関節のロボットアーム22と、ロボットアーム22の先端に取り付けられるカメラ24と、カメラ24により撮像された画像を処理する画像処理装置30とを備える。作業ロボット20は、ロボットアーム22の作動により、コンベアベルト12a上のワークwをチャックでピックアップして、トレイT上にプレースする作業や所定箇所に組み付ける作業などを行なう。カメラ24は、ワークwの位置,姿勢および高さを認識するために二次元画像を撮像し、画像処理装置30に出力する。画像処理装置30は、画像処理に必要なプログラムや三次元形状モデルMなどを記憶する記憶部32を備え、キーボードやマウス等の入力装置38と、ディスプレイ等の出力装置39とが接続されている。以下、ワークwの高さを認識するための処理について説明する。なお、ワークwの位置および姿勢を認識するための処理については本開示の要旨をなさないから、説明を省略する。ここで、カメラ24と、制御装置18と、画像処理装置30とが本開示の高さ測定装置に相当する。
【0013】
図2は、ワーク高さ測定処理の一例を示すフローチャートである。この処理は、主として画像処理装置30の機能により実行される。ワーク高さ測定処理では、画像処理装置30は、まず、撮像領域の中心にワークwを配置するように出力装置39に指示を出力する(S100)。作業者は、出力装置39に出力された指示に従ってワークwを配置する。続いて、画像処理装置30は、制御装置18に指示信号を送信して作業ロボット20にカメラ24をその視野Sの中心である視点E0上に移動させ(S110)、視点E0上の所定高さ位置でカメラ24により二次元画像G0を撮像させる(S120)。これにより、二次元画像G0は、ワークwを真上から撮像した画像となる。
【0014】
画像処理装置30は、二次元画像G0を撮像すると、二次元画像G0からワークwの輪郭を抽出する(S130)。続いて、画像処理装置30は、抽出したワークwの輪郭に外接する外接矩形領域Aを設定する(S140)。図3は、外接矩形領域Aの一例を示す説明図である。外接矩形領域Aは、図示するように、その各辺が、カメラ24の矩形状の視野Sの対応する辺と平行となり、且つ、ワークwの輪郭と外接する矩形状の領域として設定される。そして、画像処理装置30は、図4に示すように、外接矩形領域Aの各辺を外側に所定幅(拡張幅exw)ずつ拡張させた矩形状の拡張領域をワーク検出領域Bとして設定する(S150)。拡張幅exwは、次式(1)により演算される。式(1)中、「WH」は、本開示の高さ測定装置が測定可能なワークの最大高さを示す。「W」,「H」は、カメラ24の視野Sの横幅,縦幅を示す。「WD」は、カメラ24とワークwの載置面との距離を示す。拡張幅exwは、図5に示すように、カメラ24の視野Sの中心から離れた位置でワークwを撮像した場合に、撮像画像の中心とワークWの位置とを結ぶ方向におけるワークWの像の長さを示す。図6に示すように、撮像対象のワークwの高さが最大高さWHの範囲内であれば、カメラ24の視野Sの外縁よりも拡張幅exwだけ内側にワークwが来るようにしてワークwを撮像することにより、カメラ24の視野Sからワークwがはみ出さないようにすることができる。
【0015】
【数1】
【0016】
画像処理装置30は、ワーク検出領域Bがカメラ24の視野Sの四隅に来るように4つの視点E1~E4を設定する(S160)。続いて、画像処理装置30は、各視点E1~E4上にカメラ24を順次水平移動させてカメラ24により二次元画像Gi(i=1,2,3,4)を撮像する(S170)。そして、画像処理装置30は、各二次元画像Giからワークwの高さを算出して(S180)、本処理を終了する。この処理は、各二次元画像Giからワークwを認識し、認識したワークwの視差から三角測量法によってワークwの高さを算出することにより行なう。撮像対象のワークwの高さが最大高さWHの範囲内にあれば、4つの視点E1~E4でそれぞれワークWを撮像することによりワークWがカメラ24の視野Sからはみ出すことがなく、複数の二次元画像Giでそれぞれ認識されるワークw同士の視差を最大化することができる。これにより、良好な精度でワークwの高さを測定することができる。
【0017】
ここで、本実施形態の構成要素と本開示の構成要素との対応関係を明らかにする。実施形態のワークwが対象物に相当し、カメラ24がカメラに相当し、図2のワーク高さ測定処理を実行する画像処理装置30と制御装置18とが制御装置に相当する。
【0018】
なお、本開示は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0019】
例えば、上述した実施形態では、ワークWの高さを測定するために二次元画像Giを撮像するカメラ24の複数の視点として、視野Sの四隅のそれぞれにワーク検出領域Bが来る4視点を例示した。しかし、複数の二次元画像Giでそれぞれ認識されるワークwの視差によってワークwの高さを測定できればよいから、視点の数は2以上であればよい。
【0020】
上述した実施形態では、ワークWに対してカメラ24が移動することで複数の視点で二次元画像Giを撮像するものとした。しかし、ワークwとカメラ24とが相対的に移動して複数の視点で二次元画像Giが撮像されればよいから、カメラ24ではなくワークwが移動してもよい。
【0021】
上述した本実施形態では、作業ロボット20として垂直多関節ロボットを例示したが、これに限られず、水平多関節ロボットやパラレルリンクロボット、直交ロボットなどであってもよい。また、ワークの高さを用いて作業を行なう装置であれば、如何なる装置に適用されてもよい。また、カメラを備える専用の高さ測定装置を用いて対象物の高さを測定してもよい。
【0022】
以上説明したように、本開示の高さ測定装置は、対象物の高さを測定する高さ測定装置であって、矩形状の視野を有するカメラと、前記カメラと前記対象物とを相対移動させる移動装置と、載置面の所定位置に載置された対象物が撮像されるよう前記移動装置と前記カメラとを制御し、撮像された対象物の二次元画像から前記対象物の輪郭を抽出し、各辺が前記カメラの視野の対応する辺と平行な矩形状の領域であって各辺が抽出した対象物の輪郭と外接する外接矩形領域を設定し、設定した外接矩形領域の4辺を所定量ずつ外側に拡張した拡張領域を設定し、設定した拡張領域が前記カメラの視野からはみ出ない範囲内で最大の視差が得られるように複数の撮像位置を決定し、決定した複数の撮像位置でそれぞれ前記対象物が撮像されるよう前記移動装置と前記カメラとを制御し、前記複数の撮像位置でそれぞれ撮像された対象物の二次元画像の視差から前記対象物の高さを推定する制御装置と、を備えることを要旨とする。
【0023】
この本開示の高さ測定装置は、載置面の所定位置に載置された対象物を撮像し、撮像した対象物の二次元画像から対象物の輪郭を抽出する。続いて、高さ測定装置は、各辺がカメラの視野の対応する辺と平行な矩形状の領域であって各辺が抽出した対象物の輪郭と外接する外接矩形領域を設定し、設定した外接矩形領域の4辺を所定量ずつ外側に拡張した拡張領域を設定する。次に、高さ測定装置は、設定した拡張領域がカメラの視野からはみ出ない範囲内で最大の視差が得られるように複数の撮像位置を決定する。そして、高さ測定装置は、決定した複数の撮像位置でそれぞれ対象物を撮像し、複数の撮像位置でそれぞれ撮像された対象物の二次元画像の視差から対象物の高さを推定する。これにより、対象物のサイズが比較的大きい場合であっても、十分な視差を確保できるように複数の撮像位置を決定することができる。この結果、対象物の高さを精度良く測定することができる。
【0024】
こうした本開示の高さ測定装置において、前記所定量は、前記所定量をexwとし、対象物の測定可能な最大高さをWHとし、前記視野の横幅の長さをWとし、前記視野の縦幅の長さをHとし、前記カメラと前記載置面との距離をWDとしたときに、次式(1)により演算されるものとしてもよい。こうすれば、対象物の最大高さの範囲内で、対象物の高さを精度良く測定することができる。
【数2】
【0025】
また、本開示の高さ測定装置において、前記複数の撮像位置は、少なくとも前記カメラの視野の四隅で前記対象物が撮像される撮像位置を含むものとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本開示は、高さ測定装置の製造産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0027】
10 ロボットシステム、12 供給装置、12a コンベアベルト、14 搬送装置、18 制御装置、20 作業ロボット、22 ロボットアーム、24 カメラ、30 画像処理装置、32 記憶部、38 入力装置、39 出力装置、M 三次元形状モデル、T トレイ、W ワーク。
図1
図2
図3
図4
図5
図6