(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-03
(45)【発行日】2023-02-13
(54)【発明の名称】栽培用シート及び栽培方法
(51)【国際特許分類】
A01G 24/44 20180101AFI20230206BHJP
【FI】
A01G24/44
(21)【出願番号】P 2022069299
(22)【出願日】2022-04-20
【審査請求日】2022-11-24
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514108263
【氏名又は名称】株式会社ファームシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【氏名又は名称】三橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100168985
【氏名又は名称】蜂谷 浩久
(74)【代理人】
【識別番号】100149401
【氏名又は名称】上西 浩史
(72)【発明者】
【氏名】宇佐美 由久
(72)【発明者】
【氏名】北島 正裕
【審査官】星野 浩一
(56)【参考文献】
【文献】特許第7145554(JP,B1)
【文献】特開2017-108724(JP,A)
【文献】実開平3-16855(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 24/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体と、前記支持体上に配置された培地層とを有する、栽培用シートであって、
前記栽培用シートを
個片化し、複数のシート片に分離するための分離溝を有し、
前記分離溝によって区画された栽培用シートの所定の領域内の前記支持体は、
それぞれ前記培地層で栽培される植物の根が通る通過部と、
前記栽培用シートを
個片化し、複数の
前記シート片に分離する際に前記
支持体を把持する把持部材が差し込まれる差込み孔とを有し、
前記差込み孔は、前記分離溝によって区画された前記栽培用シートの所定の前記領域内又は所定の前記領域を区画する前記分離溝に、少なくとも2つ設けられている、栽培用シート。
【請求項2】
支持体と、前記支持体上に配置された培地層とを有する、栽培用シートであって、
前記栽培用シートを
個片化し、複数のシート片に分離するための差込み孔を複数有し、
前記差込み孔によって
四角形に区画された栽培用シートの所定の領域内の前記支持体は、それぞれ前記培地層で栽培される植物の根が通る通過部を有し、
前記栽培用シートを
個片化し、複数の
前記シート片に分離する際に前記
支持体を把持する把持部材が
前記差込み孔に差し込まれる、栽培用シート。
【請求項3】
前記培地層は、前記支持体が有する前記差込み孔と連通し、前記把持部材が差し込まれる差込み孔を有する、請求項1に記載の栽培用シート。
【請求項4】
前記差込み孔は、四角形の1つの辺に2つ、四角形の各角に1つ又は四角形の各辺の長さ方向の中心の位置に1つ、設けられている、請求項2に記載の栽培用シート。
【請求項5】
前記支持体は、前記培地層よりも剛性が高い、請求項1~
4のいずれか1項に記載の栽培用シート。
【請求項6】
前記分離溝によって区画された栽培用シートの所定の前記領域内の前記培地層に、それぞれ種が配置されている、請求項1
又は3に記載の栽培用シート。
【請求項7】
前記差し込み孔によって区画された栽培用シートの所定の前記領域内の前記培地層に、それぞれ種が配置されている、請求項2又は
4に記載の栽培用シート。
【請求項8】
前記分離溝は、前記支持体及び前記培地層のうち、少なくとも一方に設けられている、請求項1
又は3に記載の栽培用シート。
【請求項9】
前記分離溝は、前記支持体を貫通し、前記培地層に達する、請求項
8に記載の栽培用シート。
【請求項10】
前記植物の前記根が通る前記通過部は、前記根が通る孔又は凹部を有する、請求項1~
4のいずれか1項に記載の栽培用シート。
【請求項11】
請求項1~
4のいずれか1項に記載の栽培用シートを用いて植物を栽培する、栽培方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物(作物)の栽培に利用される栽培用シート及び栽培シートを用いた植物(作物)の栽培方法に関し、特に個片化して使用される栽培用シート及び栽培方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、植物生育用培地として、シート状のウレタンスポンジ等が用いられている。ウレタンスポンジ等には種を播種ための切込み又は穴等が、複数等間隔で形成されている。植物生育用培地として、ウレタンスポンジ以外にも、様々なものが提案されている。
例えば、特許文献1には、連続気孔を有する材料により直角四辺形状に形成される育苗・保持層が、直角四辺形状に形成される支持フィルム上に接合され、種苗を収納可能な複数の収納部が育苗・保持層に設けられる育苗シートが提案されている。特許文献1の育苗シートは、育苗・保持層及び支持フィルムに、収納部を個別に有する複数のシート片に分離するためのミシン目が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の育苗シートでは、ミシン目を設けてシートの一部を切り離して個片(シート片)にしているが、把持するところがなく、シート片にすることが難しい。また、シート片にした後、シート片にも把持するところがなく、シート片を運ぶ等の扱いが難しく、移植しにくい。
本発明の目的は、個片化しやすく、かつ移植しやすい栽培用シート及び栽培シートを用いた植物(作物)の栽培方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の目的を達成するために、本発明の一態様(発明[1])は、支持体と、支持体上に配置された培地層とを有する、栽培用シートであって、栽培用シートを複数のシート片に分離するための分離溝を有し、分離溝によって区画された栽培用シートの所定の領域内の支持体は、それぞれ培地層で栽培される植物の根が通る通過部と、栽培用シートを複数のシート片に分離する際に支持部を把持する把持部材が差し込まれる差込み孔とを有する、栽培用シートを提供するものである。
本発明の一態様(発明[2])は、支持体と、支持体上に配置された培地層とを有する、栽培用シートであって、栽培用シートを複数のシート片に分離するための差込み孔を複数有し、差込み孔によって区画された栽培用シートの所定の領域内の支持体は、それぞれ培地層で栽培される植物の根が通る通過部を有し、栽培用シートを複数のシート片に分離する際に支持部を把持する把持部材が差込み孔に差し込まれる、栽培用シートを提供するものである。
【0006】
発明[3]においては、培地層は、支持体が有する差込み孔と連通し、把持部材が差し込まれる差込み孔を有する、発明[1]又は[2]に記載の栽培用シート。
発明[4]においては、支持体は、少なくとも2つの差込み孔を有する、発明[1]又は[2]に記載の栽培用シート。
発明[5]においては、支持体は、培地層よりも剛性が高い、発明[1]~[4]のいずれか1項に記載の栽培用シート。
発明[6]においては、分離溝によって区画された栽培用シートの所定の領域内の培地層に、それぞれ種が配置されている、発明[1]、[3]~[5]のいずれか1に記載の栽培用シート。
発明[7]においては、差し込み孔によって区画された栽培用シートの所定の前記領域内の前記培地層に、それぞれ種が配置されている、発明[2]~[5]のいずれか1に記載の栽培用シート。
発明[8]においては、分離溝は、支持体及び培地層のうち、少なくとも一方に設けられている、発明[1]、[3]~[6]のいずれか1に記載の栽培用シート。
発明[9]においては、分離溝は、支持体を貫通し、培地層に達する、発明[1]、[3]~[3]及び[8]のいずれか1に記載の栽培用シート。
発明[10]においては、植物の根が通る通過部は、根が通る孔又は凹部を有する、請求項[1]~[9]のいずれか1に記載の栽培用シート。
本発明の一態様(発明[11])は、発明[1]~[10]のいずれか1に記載の栽培用シートを用いて植物を栽培する、栽培方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、個片化しやすく、かつ移植しやすい栽培用シート及び栽培シートを用いた植物(作物)の栽培方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態の栽培用シートの第1の例を示す模式的斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態の栽培用シートの第1の例を示す模式的平面図である。
【
図3】本発明の実施形態の栽培用シートの第1の例を示す模式的断面図である。
【
図4】本発明の実施形態の栽培用シートの第1の例から得られたシート片を模式的断面図である。
【
図5】(a)~(c)は本発明の実施形態の個片化された栽培用シートの取り出しを工程順に示す模式的斜視図である。
【
図6】本発明の実施形態の栽培用シートの第2の例を示す模式的断面図である。
【
図7】(a)は本発明の実施形態の栽培用シートの分離溝の第1の例を示す模式的斜視図であり、(b)は本発明の実施形態の栽培用シートの分離溝の第2の例を示す模式的斜視図であり、(c)は本発明の実施形態の栽培用シートの分離溝の第3の例を示す模式的斜視図である。
【
図8】(a)は本発明の実施形態の栽培用シートの第3の例を示す模式的平面図であり、(b)は本発明の実施形態の栽培用シートの第3の例の第1の変形例を示す模式的平面図であり、(c)は本発明の実施形態の栽培用シートの第3の例の第2の変形例を示す模式的平面図である。
【
図9】(a)は本発明の実施形態の栽培用シートの支持体の第1の例を示す模式的斜視図であり、(b)は本発明の実施形態の栽培用シートの支持体の第2の例を示す模式的斜視図であり、(c)は本発明の実施形態の栽培用シートの支持体の第3の例を示す模式的斜視図であり、(d)は本発明の実施形態の栽培用シートの支持体の第4の例を示す模式的平面図であり、(e)は本発明の実施形態の栽培用シートの支持体の第5の例を示す模式的平面図であり、(f)は本発明の実施形態の栽培用シートの支持体の第6の例を示す模式的平面図であり、(g)は本発明の実施形態の栽培用シートの支持体の第7の例を示す模式的平面図であり、(h)は本発明の実施形態の栽培用シートの支持体の第8の例を示す模式的平面図であり、(i)は本発明の実施形態の栽培用シートの支持体の第9の例を示す模式的平面図である。
【
図10】(a)~(c)は本発明の実施形態の栽培用シートの製造方法の第1の例を工程順に示す模式図である。
【
図11】(a)~(c)は本発明の実施形態の栽培用シートの製造方法の第2の例を工程順に示す模式図である。
【0009】
以下に、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明の栽培用シート及び栽培方法を詳細に説明する。
なお、以下に説明する実施形態及び図示した内容は、本発明を説明するための例示的なものであり、以下に示す図に本発明が限定されるものではない。
【0010】
[栽培用シートの第1の例]
図1は本発明の実施形態の栽培用シートの第1の例を示す模式的斜視図であり、
図2は本発明の実施形態の栽培用シートの第1の例を示す模式的平面図である。
図3は本発明の実施形態の栽培用シートの第1の例を示す模式的断面図である。
図1に示す栽培用シート10は、植物の栽培、例えば、植物の水耕栽培又は露地栽培に利用されるものである。
栽培用シート10は、支持体12と、支持体12上に配置された培地層14とを有する。培地層14の表面14a全面に保護層16が設けられている。
また、栽培用シート10は、栽培用シート10を複数のシート片20に分離するための分離溝15(
図2及び
図3参照)を有する。例えば、
図2に示すように、外形が四角形状の栽培用シート10に対して、互いに同じ大きさの四角形状の領域18となるように分離溝15が設けられている。分離溝15は、直交する2方向に、各方向において間隔をあけて直線状に形成されている。
分離溝15は、連続して直線状に形成してもよく、ミシン目のように不連続に直線状に形成してもよい。
また、例えば、分離溝15は、
図3に示すように支持体12を貫通して設けられているが、培地層14に達していない。
【0011】
分離溝15によって区画された栽培用シート10の所定の領域18内の支持体12は、それぞれ培地層14で栽培される植物(図示せず)の根(図示せず)が通る通過部13と、栽培用シート10を複数のシート片20に分離する際に支持体12を把持する把持部材(図示せず)が差し込まれる差込み孔19aとを有する。
通過部13は、上述のように栽培される植物(図示せず)の根(図示せず)が通れば、特に限定されるものではなく、例えば、
図3に示すように、支持体12において、種17の下方に通過部13として複数の孔13aが設けられている。孔13aは根が通るものであり、例えば、支持体12を貫通している。なお、孔13aは、種17から発生した根が通過できれば、支持体12を貫通する必要はない。また、通過部13は、孔13aに限定されるものではなく、後述するように根が通る凹部でもよい。
【0012】
差込み孔19aは、例えば、
図1及び
図2に示すように、四角形状の領域18の4隅に設けられている。例えば、
図3に示すように、差込み孔19aは、支持体12を貫通して設けられている。また、
図3に示すように、培地層14は、支持体12が有する差込み孔19aと連通し、把持部材(図示せず)が差し込まれる差込み孔19bを有する。支持体12の差込み孔19aと、培地層14の差込み孔19bとは位置合わせして設けられている。保護層16にも差込み孔19bと連通する孔19cが設けられている。なお、栽培用シート10を貫通するように、支持体12の差込み孔19aと培地層14の差込み孔19bとを設けているが、栽培用シート10を貫通しない構成でもよい。さらには、支持体12の差込み孔19aと、培地層14の差込み孔19bとは、いずれか一方だけ設けられている構成でもよい。また、保護層16は孔19cが形成されてない構成でもよい。
支持体12の差込み孔19aと、培地層14の差込み孔19bとにより貫通孔19が構成される。差込み孔19aと差込み孔19bとは、内形状の円形の場合、直径は3~4mm程度である。差込み孔19aと差込み孔19bの内径は、ノギス等の測定機器により測定できる。なお、保護層16に孔19cがある場合、孔19cは貫通孔19に含まれる。
【0013】
差込み孔19aと差込み孔19bとは、領域18の分離、並びにシート片20の移動及び移植のために利用される。また、差込み孔19aと差込み孔19bとは、内形状が多角形又は楕円であると、把持部材(図示せず)を差し込む向きが特定の向きになるが、円形であれば把持部材(図示せず)を差し込む向きが特定されず、ハンドリングが容易になる。このため、差込み孔19aと差込み孔19bとは内形状が円形であることが好ましい。
【0014】
貫通孔19に把持部材(図示せず)が差し込まれる。分離溝15があるため、把持部材により、領域18を栽培用シート10から容易に切り離すことができる。これにより、個片され、シート片20が容易に得られる。さらには、得られたシート片20は、貫通孔19で把持できることから、移動しやすく、移植もしやすい。これにより、種17が発芽した後、植物(作物)が成長した程度に応じて、シート片20を容易に移植できる。このように、栽培用シート10は、個片化しやすく、かつ移植しやすい。なお、移植には、定植も含まれる。
【0015】
種17は、分離溝15によって区画された栽培用シート10の所定の領域18内の培地層14の表面14aに配置されている。種17は、保護層16に覆われており、保護層16で保護されている。
シート片20は、分離溝15(
図2及び
図3参照)によって区画された栽培用シート10の所定の領域18が、個片化された状態のものである。分離溝15(
図2及び
図3参照)で、栽培用シート10から切り離すことにより、
図4に示すようなシート片20が得られる。
ここで、
図4は本発明の実施形態の栽培用シートの第1の例から得られたシート片を模式的断面図である。
図4に示すシート片20は、外形状が四角であり、4隅に、貫通孔19が設けられている。また、種17の下方に位置する支持体12には通過部13として孔13aが複数設けられている。シート片20の貫通孔19に把持部材(図示せず)を差し込んで、移植が行われる。なお、領域18(シート片20)の大きさは、例えば、10mm×10mm~50mm×50mmであるが、領域18(シート片20)は、外形状が正方形状である必要はない。
領域18(シート片20)の形状は、外形状が四角形に限定されるものではなく、例えば、円、楕円、六角形、又は八角形でもよい。
【0016】
図5(a)~(c)は本発明の実施形態の個片化された栽培用シートの取り出しを工程順に示す模式的斜視図である。
例えば、シート片20は、
図5(a)に示すように、培地24に設置される。培地24には、シート片20の貫通孔19に差し込まれる支持部25が設けられている。支持部25は、例えば、円筒状の部材であり、シート片20の4つの貫通孔19のうち、対角線上にある2つの貫通孔19に挿通可能な位置に配置されている。
図5(a)のようにシート片20が培地24に設置された状態から、4つの貫通孔19のうち、支持部25が差し込まれていない貫通孔19に、
図5(b)に示すようにエンドエフェクタ26の把持部材27を差し込んで把持する。そして、
図5(c)に示すように支持部25によりシート片20を持ち上げる。その後、シート片20を別の場所に移動させたり、シート片20を移植する。
【0017】
培地24は、例えば、水耕栽培用培地の一部を示しており、容器の底部を示している。培地24は、図示はしないが液体肥料が供給される。培地24は、定植を含む移植の培地であれば、特に限定されるものではなく、例えば、ウレタン、フェノール樹脂、ロックウール又はスポンジ等で構成されてもよい。
エンドエフェクタ26は、例えば、ロボットアーム等の先端に取り付けられるものであり、物体の把持等に利用される機器である。エンドエフェクタ26は、シート片20を把持することができれば、把持部材27の構成を含め、構成としては特に限定されるものではない。
なお、エンドエフェクタ26は、人が利用してもよい。
【0018】
[栽培用シートの第2の例]
図6は本発明の実施形態の栽培用シートの第2の例を示す模式的断面図である。
図6において、
図1~
図3に示す栽培用シート10と同一構成物には同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
図6に示す栽培用シート11は、
図1~
図3に示す栽培用シート10に比して、保護層16の構成が異なり、それ以外は
図1~
図3に示す栽培用シート10と同様の構成である。
栽培用シート11は、保護層16が培地層14の表面14aの全面ではなく、種17の周囲にのみ設けられている。これにより、保護層16の形成に必要な材料を減らすことができる。
栽培用シート11では、例えば、保護層16となる液体に種17を混ぜ、種17を含む液体を培地層14の表面14aの所定の位置に吐出して、種17を培地層14の表面14aに配置し、かつ種17の周囲にのみ保護層16を形成する。
栽培用シート11は、上述の栽培用シート10と同様の効果を得ることができる。
【0019】
また、上述の栽培用シート10、11は、ロール状に巻き取った形態で保管及び運搬できる。栽培用シート10、11の使用時に、ロールを巻き戻して、帯状の状態にして、シート片20を得ることができる。
【0020】
上述の栽培用シート10、11は、差込み孔19a、19bを、領域18内、すなわち、分離溝15に囲まれた、外形が四角形の領域18内の4隅に設ける構成としたが、これに限定されるものではない。
図3に示す差込み孔19aに変えて、例えば、
図2に示すように、平行に配置された分離溝15上に、楕円形状の差込み孔21を設けてもよい。さらには、
図2に示す差込み孔21に加えて、差込み孔21が設けられた分離溝15と直交する方向に延びた分離溝15上に、楕円形状の差込み孔22を設けてもよい。楕円形状の差込み孔21、22は、長軸を分離溝15の延びる方向、すなわち、分離溝15の延在方句と一致させて配置させてもよく、短軸を分離溝15の延びる方向(分離溝15の延在方句)と一致させて配置させてもよい。また、上述の楕円形状の差込み孔21及び差込み孔22のうち、いずれか一方の楕円形状の差込み孔21、22を設ける構成でもよい。また、差込み孔21、22は、分離溝15上ではなく、上述の外形が四角形の領域18内に配置してもよい。差込み孔21、22は、楕円形に限定されるものではなく、円形でもよい。差込み孔21、22は、円形の場合、上述の外形が四角形の領域18の分離溝15に、間隔を設けて複数配置してもよい。
【0021】
なお、差込み孔21、22は、上述の貫通孔19と同じ構成であり、差込み孔19aと差込み孔19bとを含むが、差込み孔21、22は上述のように差込み孔19bがない構成でもよい。
また、貫通孔19は、上述のように外形が四角形の領域18内の4隅に設けることに限定されるものではなく、上述の領域18内の4隅のうち、少なくとも2つ隅に貫通孔19を設ければよい。この場合、対角線上の2つの貫通孔19を設けてもよく、隣接して2つの貫通孔19を設けてもよい。
また、貫通孔19は、上述の外形が四角形の領域18内の4の角に設けてもよい。上述の外形が四角形の領域18内の1つの辺に、2つの差込み孔が配置されるように、差込み孔を配置してもよい。
【0022】
図7(a)は本発明の実施形態の栽培用シートの分離溝の第1の例を示す模式的斜視図であり、(b)は本発明の実施形態の栽培用シートの分離溝の第2の例を示す模式的斜視図であり、(c)は本発明の実施形態の栽培用シートの分離溝の第3の例を示す模式的斜視図である。
図7(a)~(c)において、
図1~
図3に示す栽培用シート10と同一構成物には同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
分離溝15は、
図3に示すように支持体12を貫通し、培地層14に達していない構成、及び
図6に示すように支持体12を貫通し、かつ培地層14にも達する構成に限定されるものではない。例えば、
図7(a)に示すように培地層14を貫通し、かつ支持体12にも達する構成でもよい。
図7(a)では分離溝15は支持体12を貫通していない。
また、例えば、
図7(b)に示すように培地層14を分離溝15を設け、支持体12には分離溝15を設けない構成でもよい。
また、例えば、
図7(c)に示すように支持体12と、培地層14とに、それぞれ分離溝15が設けられる構成でもよい。
図7(c)では、支持体12の分離溝15は培地層14に達しない。また、培地層14の分離溝15は支持体12に達しない。
図7(c)では分離溝15は、支持体12と培地層14とを貫通していない。
【0023】
支持体12の分離溝15と、培地層14の分離溝15とは、いずれも上述のように連続した直線状のものでもよく、ミシン目のように不連続な直線状のものでもよい。また、連続した直線状のものと、ミシン目のように不連続な直線状のものとの組み合わせでもよい。
分離溝15を、上述のようにミシン目のように不連続な直線状のものとする場合、支持体12と培地層14とで、分離溝15が延びる方向において溝の位置が一致していてもよい。また、支持体12と培地層14とで、分離溝15が延びる方向において溝の位置がずれていてもよい。
【0024】
[栽培用シートの第3の例]
上述の栽培用シートの第1の例及び栽培用シートの第2の例では、分離溝と差込み孔を設ける構成としたが、これに限定されるものではなく、差込み孔が分離溝を兼ねる構成でもよい。
図8(a)は本発明の実施形態の栽培用シートの第3の例を示す模式的平面図であり、(b)は本発明の実施形態の栽培用シートの第3の例の第1の変形例を示す模式的平面図であり、(c)は本発明の実施形態の栽培用シートの第3の例の第2の変形例を示す模式的平面図である。
図8(a)~(c)において、
図1~
図3に示す栽培用シート10及び
図4に示すシート片20と同一構成物には同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。また、
図8(a)~(c)では保護層16(
図1~
図3参照)の図示を省略している。
図8(a)に示す栽培用シート11aは、栽培用シート11aを複数のシート片20に分離するための差込み孔28を複数有する。例えば、
図8(a)では、差込み孔28は、直交する2方向に沿って設けられている。四角形の1つの辺に、2つの差込み孔28が配置されるように、差込み孔28が配置されている。
差込み孔28によって区画された栽培用シート11aの所定の領域18内の支持体12(
図2参照)は、それぞれ培地層14(
図2参照)で栽培される植物(図示せず)の根(図示せず)が通る通過部13(
図2参照)を有する。
栽培用シート11aを複数のシート片20(
図4参照)に分離する際に支持体12を把持する把持部材が差込み孔28に差し込まれる。
差込み孔28は、上述の栽培用シート10、11の貫通孔19(差込み孔19a、19b)と同様の構成であるため、その詳細な説明は省略する。
【0025】
図8(b)に示す栽培用シート11b及び
図8(c)に示す栽培用シート11cは、
図8(a)に示す栽培用シート11aに比して、差込み孔28の数が少ない点が異なり、それ以外の構成は、
図8(a)に示す栽培用シート11aと同様の構成である。
図8(b)に示す栽培用シート11bは、四角形の各角に、1つの差込み孔28が配置されるように、差込み孔28が配置されている。
図8(c)に示す栽培用シート11cは、四角形の各辺の長さ方向の中心の位置に、1つの差込み孔28が配置されるように、差込み孔28が配置されている。
栽培用シート11a~11cは、上述の栽培用シート10と同様の効果を得ることができる。
【0026】
以下、栽培用シート10、11の各構成について説明する。
<支持体>
支持体12は、植物の栽培期間中の栽培、特に水耕栽培で形状を保ち、移植及び収穫時に必要な強度を維持できるものである。なお、移植には、上述のように定植も含まれる。
支持体12は、培地層14よりも剛性が高いことが好ましい。
ここで、剛性が高いとは、変形しくいことであり、剛性が高いと、曲げた場合に、曲げるために多くの力を要する。剛性は、例えば、弾性率で表され、剛性が高いと弾性率が大きい。なお、弾性率は、測定値である。支持体12及び培地層14に市販品を利用する場合、弾性率はカタログ値でもよい。
【0027】
支持体12は、移植及び収穫時に、エンドエフェクタ26等の機械で、支持体12をハンドリングする場合には、その把持等に適した構造を有することが必要である。
また、支持体12は、栽培終了後、再利用できるか、又は根等の栽培残渣とともに処分できることが好ましい。藻等の発生又は病気を抑える観点から、支持体12は処分できることがより好ましい。
処分できる支持体としては、草木系材料、バイオプラスチック又はこれらを含む複合体であることが好ましい。草木系材料としては、紙、木材又は植物繊維を固めた資材等があるが、ハンドリング性の観点から、特に紙が好ましい。
紙の場合、強度が強い高密度厚紙又は耐水性紙が好ましい。例えば、大王製紙株式会社のエリプラ(製品名)、又は株式会社ユポ・コーポレーションのユポ紙等が挙げられる。また、耐水性を高めるために紙にコーティングすることも好ましい。
なお、支持体を再利用する場合、支持体は、プラスチック、金属、丈夫な草木系材料、又はこれらを含む複合体であることが好ましい。
【0028】
また、支持体12は、根が出るための構造が求められ、通過部13(
図3参照)を有する。また、機械によるハンドリングの場合、支持体12は、それに適した構造も求められ、差込み孔19a(
図3参照)を有する。
根が出るための構造、すなわち、通過部は、上述の孔13a(
図3参照)のような穴、又は凹みで構成できる。凹みの場合、凹みの底部は薄くて根が貫通できる強度である必要がある。穴及び凹みは、1つでもよく、複数でもよい。
以下、支持体についてより具体的に説明する。
ここで、
図9(a)は本発明の実施形態の栽培用シートの支持体の第1の例を示す模式的斜視図であり、(b)は本発明の実施形態の栽培用シートの支持体の第2の例を示す模式的斜視図であり、(c)は本発明の実施形態の栽培用シートの支持体の第3の例を示す模式的斜視図であり、(d)は本発明の実施形態の栽培用シートの支持体の第4の例を示す模式的平面図であり、(e)は本発明の実施形態の栽培用シートの支持体の第5の例を示す模式的平面図であり、(f)は本発明の実施形態の栽培用シートの支持体の第6の例を示す模式的平面図であり、(g)は本発明の実施形態の栽培用シートの支持体の第7の例を示す模式的平面図であり、(h)は本発明の実施形態の栽培用シートの支持体の第8の例を示す模式的平面図であり、(i)は本発明の実施形態の栽培用シートの支持体の第9の例を示す模式的平面図である。なお、
図9(a)~(i)において、
図1~
図3に示す栽培用シート10と同一構成物には同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。また、
図9(a)~(i)では、差込み孔19a(貫通孔19)の図示を省略している。
【0029】
支持体12の通過部13は、
図9(a)に示すように穴30が1つでもよい。穴が1つの場合は、大きな穴を設ける。穴の外形状は、特に限定されるものではないが、例えば、四角形、円形、又は多角形である。
また、支持体12の通過部13は、
図9(b)に示すように、穴31が複数でもよい。
図9(b)に示す穴31は外形が四角形であり、9つの穴31が等間隔で配置されている。
支持体12の通過部13は、
図9(c)に示すように凹部32でもよい。凹部32は、例えば、半円状であり、9つの凹部32が等間隔で配置されている。凹部32の形状は半円状に、特に限定されるものではなく、例えば、円筒状でも、四角柱状でもよい。
支持体12の通過部13は、
図9(d)に示すように中央に外形が四角形の大きな穴33を設け、穴33の周囲に、穴33よりも小さい穴34を設けてもよい。穴34は外形が四角形である。
支持体12の通過部13は、
図9(e)に示すように、複数の円形の穴35を設けてもよい。穴35は、外形が四角形でもよい。
【0030】
支持体12の通過部13は、
図9(f)に示すように、小さい穴36を複数設けてもよく、
図9(g)に示すように通過部13の全域に小さな穴36を設けてもよい。穴36の外形は、特に限定されるものではなく、円形でも、四角形でもよい。
また、支持体12の通過部13は、
図9(h)に示すように、全域に穴38を設けてもよい。この場合、通過部の強度を保つために
図9(i)に示すように、穴38に補強材39を配置し、補強材39に穴39aを形成してもよい。
支持体12の通過部13に設ける穴が複数の場合、数個~数十個程度の穴を設けるか、又は無数に穴又は凹みを設ける。穴のサイズ又は数は、特に限定されるものではないが、支持体の強度が保てる程度に調整する。一般に、穴の面積率は、支持体の通過部の全面積の10~90%が好ましく、穴の直径は、0.1~50mm程度であることが好ましい。
穴の面積率及び穴の直径は、支持体12の表面側からの通過部13の画像を取得し、取得した画像を解析することにより、測定できる。
穴は、刃物の型を用いた打抜き加工、又はレーザ加工により形成できる。また、穴は、例えば、栽培用シートの形成時に、支持体に予め穴を形成しておいてもよい。
細かい穴又は凹みの場合、ミートテンダーのようなものを押し付けたり、叩解する装置を用いて、穴又は凹みを形成することも可能である。なお、穴は不完全でも根が貫通する程度に薄い部分があればよい。
【0031】
<培地層>
培地層14は、植物(作物)の栽培培地として使われるものであれば、特に限定されるものではない。
培地層14は、植物の栽培期間中の栽培、特に水耕栽培で支持体との接着を保ち、移植及び収穫時に必要な接着性を保つものである。
培地層自身で形状を保っているものは、そのまま支持体に接着する。培地層自身で形状を保てない培地層は、網、布、紙又は不織布等に包み、包んだ状態で支持体と接着する。
培地層を構成する材料としては、例えば、ポリエステル、ポリウレタン、フェノール等の発泡樹脂等の有機合成系の人工培地が挙げられる。また、培地層を構成する材料としては、例えば、ロックウール、ヤシガラ、ピートモス、ココピート等のピート系材料、バーミキュライト、籾殻、樹皮、パルプ等の自然培地、又はこれらの複合体が挙げられる。
培地層を構成する材料としては、有機合成系の人工培地(有機合成発泡培地)、パルプ、ロックウール、ピート系材料、及びヤシガラが好ましく、パルプ、ウレタン発泡樹脂、フェノール発泡樹脂は、栽培中に丈夫で形状保持性が高いため、より好ましく、特にパルプは処分性にも優れていることから、更に好ましい。
【0032】
<保護層>
保護層16は、種17を培地層14に保持するものである。また、種17が乾燥することを防ぐものである。保護層16は、いわゆる接着剤、バインダ、展着剤の類なら、何でもかまわない。例えば、接着剤の例としては、酢酸ビニル樹脂系エマルション形接着剤、エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂、(EVA)系エマルション形接着剤、α-オレフィン(イソブテン-無水マレイン酸樹脂)系接着剤、アクリル樹脂系エマルション形接着剤、スチレン・ブタジエンゴム系ラテックス形接着剤、酢酸ビニル樹脂系溶剤形接着剤、アクリル樹脂系溶剤形接着剤、塩化ビニル樹脂系溶剤形接着剤、クロロプレンゴム系溶剤形接着剤、クロロプレンゴム系溶剤形マスチックタイプ接着剤、ニトリルゴム系溶剤形接着剤、再生ゴム系溶剤形、SBR系溶剤形接着剤、ウレタン樹脂系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤、シリコーン樹脂系接着剤、変成シリコーン樹脂系接着剤、エポキシ・変成シリコーン樹脂系接着剤、アクリル樹脂系(SGA)接着剤、でん粉系接着剤、リマーセメントモルタル、エポキシ樹脂モルタル、シリル化ウレタン樹脂系接着剤、ホットメルト形接着剤が挙げられる。
バインダの例としては、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンイミン、メチルセルロース、ヒドロキシセルロース、でんぷん類等が挙げられる。
展着剤の例としては、カルボキシメチルセルロースやその塩、デキストリン、水溶性デンプン、キサンタンガム、グアーガム、ショ糖、ポリビニルピロリドン、アラビアゴム、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、リン脂質(、セルロース粉末、デキストリン、加工デンプン、ポリアミノカルボン酸キレート化合物、架橋ポリビニルピロリドン、マレイン酸とスチレン類の共重合体、(メタ)アクリル酸系共重合体、多価アルコールからなるポリマーとジカルボン酸無水物とのハーフエステル、ポリスチレンスルホン酸の水溶性塩、パラフィン、テルペン、ポリアミド樹脂、ポリアクリル酸塩、ポリオキシエチレン、ワックス、ポリビニルアルキルエーテル、アルキルフェノールホルマリン縮合物、合成樹脂エマルション等が挙げられる。
接着剤、バインダ、展着剤は単独で用いてもよいし、また、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0033】
<種>
種17は、栽培する植物に応じたものが適宜利用される。1つの領域18に配置される種17は、1粒に限定されるものではなく、複数粒でもよい。
また、種の品種としては、葉菜類、果菜類、及び根菜類等、何でも構わないが、葉菜類が好ましい。葉菜類としては、ホウレンソウ、小松菜、キャベツ、レタス、水菜、チンゲンサイ、春菊、モロヘイヤ、白菜、パセリ、シソ、及びケールが好ましい。これらの葉菜類のうち、特にレタス類が好ましい。
【0034】
[栽培用シートの製造方法の第1の例]
図10(a)~(c)は本発明の実施形態の栽培用シートの製造方法の第1の例を工程順に示す模式図である。なお、
図10(a)~(c)において、
図1~
図3に示す栽培用シート10と同一構成物には同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
まず、
図10(a)に示すように、支持体12と、培地層14とを用意する。
次に、
図10(b)に示すように、支持体12と、培地層14とを接着し、積層体40を得る。なお、支持体12と、培地層14との接着は、例えば、接着剤、接着剤層が用いられる。また、ヒートシール又は超音波融着により、支持体12と培地層14とを接着することもできる。
次に、積層体40に、支持体12の裏面12b側から、
図10(c)に示すように支持体12に差込み孔19aを形成する。差込み孔19aは、例えば、刃物の型を用いた打抜き加工、又はレーザ加工により形成する。なお、培地層14に、差込み孔19aと連通する差込み孔19bを形成してもよいが、培地層14に差込み孔19bがあると、溜まった液肥に光が到達して、藻が発生するため、差込み孔19aだけであることが好ましい。
【0035】
分離溝15を、積層体40に、支持体12の裏面12b側から形成する。分離溝15は、例えば、支持体12を貫通し、培地層14に達する。培地層14の一部に分離溝15が形成されれば、培地層14に達するとする。また、培地層14に達するとは、培地層14に形成された分離溝15により培地層14が切断されるまで許容する。
支持体12に分離溝15がある場合、分離溝15が延びる方向に沿った断面において、支持体12と培地層14とが接続された割合が、多すぎると個片化しくくなる。このため、支持体12と培地層14とが繋がっている部分の割合としては、分離溝15が延びる方向に沿った断面において、50%以下であることが好ましく、より好ましくは30%以下であり、さらに好ましくは20%以下である。
分離溝15は、例えば、分離溝15の形成位置に沿って刃物(図示せず)を動かして形成する。刃物は、カッターでもよく、回転刃でもよい。また、分離溝15は、刃物が動いても形成してもよく、積層体40が動いて形成してもよい。
なお、差込み孔19aと、分離溝15との形成順は、特に限定されるものではなく、差込み孔19aが分離溝15よりも先に形成してもよく、差込み孔19aを分離溝15よりも後に形成してもよい。
【0036】
図10(c)に示すように、分離溝15と、差込み孔19aとが形成された状態で、培地層14の貫通孔19で囲まれた表面14aの所定の位置に、種17(
図3参照)を配置する。次に、種17を保護する保護層16を、例えば、培地層14の表面14aの全面に形成する。これにより、
図1~
図3に示す栽培用シート10が形成される。
種17は、例えば、ディスペンサーを用いて、培地層14の貫通孔19で囲まれた表面14aの所定の位置に配置する。保護層16は、例えば、スリットコーター又はロールコーター等を用いて培地層14の表面14aの全面に形成する。保護層16は、培地層14の表面14aの全面に形成することに限定されるものではなく、例えば、種17の周囲にだけ形成してもよい。
なお、支持体12の通過部13は、
図10(a)に示す支持体12に形成してもよく、
図10(b)に示す積層体40の状態で支持体12に形成してもよい。通過部13は、貫通する孔13a(
図6参照)であれば、例えば、ミートテンダーのようなものを押し付けて形成する。通過部13としては、上述の
図9(a)~(i)に示す構成にしてもよい。
【0037】
[栽培用シートの製造方法の第2の例]
図11(a)~(c)は本発明の実施形態の栽培用シートの製造方法の第2の例を工程順に示す模式図である。なお、
図11(a)~(c)において、
図1~
図3に示す栽培用シート10と同一構成物には同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0038】
まず、
図11(a)に示すように、通過部13、分離溝15及び差込み孔19aが形成された支持体12を用意する。通過部13、分離溝15及び差込み孔19aの形成方法は、上述の栽培用シートの製造方法の第1の例と同様であるため、その詳細な説明は省略する。
図11(b)に示すように、分離溝15と差込み孔19bとが形成された培地層14を用意する。なお、培地層14の差込み孔19bは、支持体12の差込み孔19aと位置を合わせて形成される。また、培地層14の差込み孔19bは、形成しなくてもよい。
【0039】
次に、
図11(a)に示す支持体12と、
図11(b)に示す培地層14とを接着して、
図11(c)に示す積層体41を得る。次に、上述の
図10(c)と同様に、培地層14の貫通孔19で囲まれた表面14aの所定の位置に、種17(
図3参照)を配置する。次に、種17を保護する保護層16を、例えば、培地層14の表面14aの全面に形成する。これにより、
図1~
図3に示す栽培用シート10が形成される。保護層16は、培地層14の表面14aの全面に形成することに限定されるものではなく、例えば、種17の周囲にだけ形成してもよい。
栽培用シートの製造方法において、分離溝15の構成は
図6に示すものに限定されるものではなく、上述の
図3、及び
図7(a)~(c)に示す分離溝15の構成でもよい。
【0040】
[栽培方法]
栽培方法は、上述の栽培用シートを用いて植物を栽培する栽培方法である。
例えば、栽培用シート10の状態で、植物(作物)の種を発芽させて、生長させ、所定のサイズになった後に、栽培用シート10を個片化し、シート片20を得る。栽培用シート10は、上述のように個片化しやすい。貫通孔19にエンドエフェクタ26の把持部材27を差し込んで把持してシート片20を移植する。シート片20を移植した後に、さらに植物(作物)の生長に合わせて移植と定植を実施し、植物(作物)を栽培する。例えば、植物(作物)の収穫時期に収穫する。
【0041】
本発明は、基本的に以上のように構成されるものである。以上、本発明の栽培用シート及び栽培方法について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良又は変更をしてもよいのはもちろんである。
【符号の説明】
【0042】
10、11 栽培用シート
12 支持体
12b 裏面
13 通過部
13a 孔
14 培地層
14a 表面
15 分離溝
16 保護層
17 種
18 領域
19 貫通孔
19a、19b、21、22、28 差込み孔
19c 孔
20 シート片
24 培地
25 支持部
26 エンドエフェクタ
27 把持部材
30、31、33、34、35、36、38、39a 穴
32 凹部
39 補強材
40、41 積層体
【要約】
【課題】個片化しやすく、かつ移植しやすい栽培用シート及び栽培シートを用いた植物(作物)の栽培方法を提供する。
【解決手段】栽培用シートは支持体と、支持体上に配置された培地層とを有する。栽培用シートは栽培用シートを複数のシート片に分離するための分離溝を有し、分離溝によって区画された栽培用シートの所定の領域内の支持体は、それぞれ培地層で栽培される植物の根が通る通過部と、栽培用シートを複数のシート片に分離する際に支持部を把持する把持部材が差し込まれる差込み孔とを有する。
【選択図】
図3