(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-03
(45)【発行日】2023-02-13
(54)【発明の名称】MEMS加速度センサチップの検出方法及び装置
(51)【国際特許分類】
G01P 21/00 20060101AFI20230206BHJP
H01L 21/66 20060101ALI20230206BHJP
【FI】
G01P21/00
H01L21/66 B
(21)【出願番号】P 2022533625
(86)(22)【出願日】2021-05-19
(86)【国際出願番号】 CN2021094562
(87)【国際公開番号】W WO2022068218
(87)【国際公開日】2022-04-07
【審査請求日】2022-06-17
(31)【優先権主張番号】202110455222.2
(32)【優先日】2021-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520377794
【氏名又は名称】中国科学院地▲質▼▲与▼地球物理研究所
【氏名又は名称原語表記】INSTITUTE OF GEOLOGY AND GEOPHYSICS, CHINESE ACADEMY OF SCIENCES
【住所又は居所原語表記】No. 19, Beitucheng Western Road, Chaoyang District, Beijing, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】劉▲じん▼
(72)【発明者】
【氏名】馮方方
(72)【発明者】
【氏名】李宗偉
(72)【発明者】
【氏名】楊長春
(72)【発明者】
【氏名】周永健
【審査官】岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第109341744(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第105259372(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104977473(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第103837706(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0219536(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01P15/00-21/02
H01L21/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
MEMS加速度センサチップの検出方法であって、
可変直流電圧をMEMS加速度センサチップの固定極板である第1極板及び可動極板である第2極板に印加することで、前記第2極板を前記第1極板へ移動させるステップと、
所定周波数の交流電圧を前記第1極板及び前記第2極板に印加することで、前記第1極板と前記第2極板との間の基礎電気容量値及びブースト電気容量値を取得するステップであって、前記基礎電気容量値は
、直流電圧の電圧値が0である場合、前記第1極板と前記第2極板との間の電気容量値であり、前記ブースト電気容量値は、前記直流電圧の電圧値が0ではない場合、前記第1極板と前記第2極板との間の電気容量値であるステップと、
取得した前記第1極板と前記第2極板との間の基礎電気容量値及びブースト電気容量値に基づいて、前記MEMS加速度センサチップの第1極板と第2極板との間の電圧-電気容量特性曲線、ブレークオーバー電圧及び電気容量変化値を決定するステップと、
前記第1極板と前記第2極板との間の基礎電気容量値、ブレークオーバー電圧、電気容量変化値及び電圧-電気容量特性曲線から、前記MEMS加速度センサチップが正常であるか否かを判断するステップと、を含むことを特徴とするMEMS加速度センサチップの検出方法。
【請求項2】
MEMS加速度センサチップの第2極板と第3極板との間の基礎電気容量値、ブレークオーバー電圧、電気容量変化値及び電圧-電気容量特性曲線を決定するステップと、
前記MEMS加速度センサチップの第2極板と第3極板との間の基礎電気容量値、ブレークオーバー電圧、電気容量変化値及び電圧-電気容量特性曲線を、MEMS加速度センサチップの第2極板と第3極板との間の対応する基礎電気容量値、ブレークオーバー電圧、電気容量変化値及び電圧-電気容量特性曲線の理論設計値と比較し、前記MEMS加速度センサチップが正常であるか否かを判断するステップと、をさらに含
み、
前記第3極板は固定極板であり、前記第2極板は前記第1極板と前記第3極板との中央位置にあり、前記第2極板の第2面は前記第3極板の第1面と対向して設けられ、前記第2極板の第1面は前記第1極板の第1面と対向して設けられていることを特徴とする請求項1に記載のMEMS加速度センサチップの検出方法。
【請求項3】
可変直流電圧をMEMS加速度センサチップの第1極板及び第2極板に印加することで、前記第2極板を前記第1極板へ移動させる前記ステップは、具体的には、
可変直流電圧をMEMS加速度センサチップの第1極板及び第2極板に印加するステップと、
所定のステッピング電圧値に基づいて
、直流電圧値を調整することで、前記第2極板を前記第1極板へ移動させるステップと、を含み、
前記第2極板の移動距離は、現在の直流電圧値によって決まることを特徴とする請求項1に記載のMEMS加速度センサチップの検出方法。
【請求項4】
所定のステッピング電圧値に基づいて、前記直流電圧の出力電圧値を調整することで、前記第2極板を前記第1極板へ移動させる前記ステップは、
具体的には、
所定のステッピング電圧値に基づいて、直流電圧値を調整することで、前記第1極板と前記第2極板との間で異なる直流電圧値を取得し、それにより前記異なる直流電圧値に基づいて前記第1極板と前記第2極板との間で異なる強さの静電気力を発生させ、第2極板の移動による弾性梁の変形、発生した弾性力を克服するステップを含み、前記弾性梁はMEMS加速度センサチップの第2極板に接続されるコンポーネントであることを特徴とする請求項3に記載のMEMS加速度センサチップの検出方法。
【請求項5】
所定周波数の交流電圧を前記第1極板及び前記第2極板に印加することで、前記第1極板と前記第2極板との間の基礎電気容量値及びブースト電気容量値を取得する前記ステップは、具体的には、
所定周波数の交流電圧を前記MEMS加速度センサチップの第1極板及び第2極板に印加することで、前記第1極板と前記第2極板との間で電流を発生させるステップと、
電流の振幅値及び位相を含む発生させた電流情報に基づいて、前記第1極板と前記第2極板との間の基礎電気容量値及びブースト電気容量値を計算するステップと、を含むことを特徴とする請求項1に記載のMEMS加速度センサチップの検出方法。
【請求項6】
前記ブレークオーバー電圧は、式
が0に等しい場合、Vに対応する電圧値であり、
ここでは、
は前記第1極板と前記第2極板との間の誘電体の誘電率であり、Aは前記第1極板と前記第2極板との極板面積であり、Vは前記第1極板及び前記第2極板に印加された直流電圧値であり、dは前記第1極板と前記第2極板との極板間隔であり、kは前記弾性梁の弾性係数であることを特徴とする請求項
4に記載のMEMS加速度センサチップの検出方法。
【請求項7】
前記第1極板及び前記第2極板の基礎電気容量値、ブレークオーバー電圧及び電気容量変化値から、前記MEMS加速度センサチップが正常であるか否かを判断する前記ステップは、具体的には、
現在の前記MEMS加速度センサチップの第1極板と第2極板との間の基礎電気容量値、ブレークオーバー電圧、電気容量変化値及び電圧-電気容量特性曲線を、MEMS加速度センサチップの第1極板と第2極板との間の対応する基礎電気容量値、ブレークオーバー電圧、電気容量変化値及び電圧-電気容量特性曲線の理論設計値と比較するステップと、
現在の基礎電気容量値、ブレークオーバー電圧、電気容量変化値及び電圧-電気容量特性曲線のうちのいずれかまたは複数と、対応する基礎電気容量値、ブレークオーバー電圧、電気容量変化値及び電圧-電気容量特性曲線の理論設計値との差が所定の閾値よりも大きい場合、前記MEMS加速度センサチップが正常ではないと決定するステップと、を含むことを特徴とする請求項1に記載のMEMS加速度センサチップの検出方法。
【請求項8】
直流電圧値が0ではない場合
、交流電圧ピーク値の絶対値の所定の倍数
は前記直流電圧値の絶対値よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載のMEMS加速度センサチップの検出方法。
【請求項9】
可変直流電圧をMEMS加速度センサチップの第1極板及び第2極板に印加することで、前記第2極板を前記第1極板へ移動させるステップの前に、
前記直流電圧による電圧値下で前記第2極板が移動する過程において前記第1極板又
は第3極板と接触することを回避するために、前記MEMS加速度センサチップの第1極板の第1面のエッジに第1ストッパ凸部を設け、
前記第3極板の第1面のエッジに第2ストッパ凸部を設けるステップをさらに含
み、
前記第3極板は固定極板であり、前記第2極板は前記第1極板と前記第3極板との中央位置にあり、前記第2極板の第2面は前記第3極板の第1面と対向して設けられ、前記第2極板の第1面は前記第1極板の第1面と対向して設けられていることを特徴とする請求項1に記載のMEMS加速度センサチップの検出方法。
【請求項10】
MEMS加速度センサチップの検出装置であって、
可変直流電圧をMEMS加速度センサチップの固定極板である第1極板及び可動極板である第2極板に印加することで、前記第2極板を前記第1極板へ移動させるように構成され、
所定周波数の交流電圧を第1極板及び第2極板に印加することで、前記第1極板と前記第2極板との間の基礎電気容量値及びブースト電気容量値を取得するように構成され、前記基礎電気容量値は
、直流電圧の電圧値が0である場合、前記第1極板と前記第2極板との間の電気容量値であり、ブースト電気容量値は、前記直流電圧の電圧値が0ではない場合、前記第1極板と前記第2極板との間の電気容量値である電圧出力モジュールと、
取得した前記第1極板と前記第2極板との間の基礎電気容量値及びブースト電気容量値に基づいて、前記MEMS加速度センサチップの第1極板と第2極板との間の電圧-電気容量特性曲線、ブレークオーバー電圧及び電気容量変化値を決定するように構成される決定モジュールと、
前記第1極板及び前記第2極板の基礎電気容量値、ブレークオーバー電圧、電気容量変化値及び電圧-電気容量特性曲線から、前記MEMS加速度センサチップが正常であるか否かを判断するように構成される判断モジュールと、を含むことを特徴とするMEMS加速度センサチップの検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、センサの性能分析の技術分野に関し、特にMEMS加速度センサチップの検出方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロエレクトロメカニカルシステム(Micro Electro Mechanical Systems、MEMS)はマイクロナノ加工技術を利用してシリコンウエハにマイクロメカニカル構造が実現されることにより、素子の体積を大幅に削減し、エネルギー消費を低減し、信頼性を向上させる。シリコンマイクロ加工技術及び半導体集積回路技術を採用するため、量産が容易で、コストが低い。MEMSは、そのマイクロ化、集積性、低コスト、低消費電力などの利点のため、消費電子、自動車電子、バイオ医療などの分野に広く応用されており、MEMS加速度センサはその1つである。
【0003】
MEMS加速度センサチップは、設計、加工が完了した後、その性能をテストして分析することで、設計の要件を満たしているか、正常に動作しているかを決定する必要がある。MEMSチップのパッケージコストは、MEMS加速度センサ素子の全コストの70~80%を占めることが多い。そのため、MEMS加速度センサチップが加工完了した後、MEMS加速度センサチップの性能を予備的にテストし、正常に動作しないチップを排除し、性能の良いMEMS加速度センサチップをスクリーニングしてパッケージすることは、現在、早急な解決が望まれる問題となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願の実施例は、従来のMEMS加速度センサチップが加工完了した後、正常に動作しないMEMS加速度センサチップを予備的に排除することができず、コストが高くなるという技術的問題を解決するためのMEMS加速度センサチップの検出方法及び装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様では、本願の実施例は、可変直流電圧をMEMS加速度センサチップの固定極板である第1極板及び可動極板である第2極板に印加することで、第2極板を第1極板へ移動させるステップと、所定周波数の交流電圧を第1極板及び第2極板に印加することで、第1極板と第2極板との間の基礎電気容量値及びブースト電気容量値を取得するステップであって、基礎電気容量値は、直流電圧の電圧値が0である場合、第1極板と第2極板との間の電気容量値であり、ブースト電気容量値は、直流電圧の電圧値が0ではない場合、第1極板と第2極板との間の電気容量値であるステップと、取得した第1極板と第2極板との間の基礎電気容量値及びブースト電気容量値に基づいて、MEMS加速度センサチップの第1極板と第2極板との間の電圧-電気容量特性曲線、ブレークオーバー電圧及び電気容量変化値を決定するステップと、第1極板と第2極板との間の基礎電気容量値、ブレークオーバー電圧、電気容量変化値及び電圧-電気容量特性曲線から、MEMS加速度センサチップが正常であるか否かを判断するステップと、を含むことを特徴とするMEMS加速度センサチップの検出方法を提供する。
【0006】
本願の実施例に係るMEMS加速度センサチップの検出方法は、異なる直流電圧値での両極板間の電気容量値を測定することによってMEMS加速度センサチップの基礎電気容量値、ブレークオーバー電圧、電気容量変化値を得る。得た基礎電気容量値、ブレークオーバー電圧、電気容量変化値によって、加工過程においてMEMS加速度センサに問題があるか否かを分析したり、どのような操作またはプロセスの問題が存在するかを決定したりして、その後の改善を容易にする。
【0007】
本願の一実施形態では、方法は、MEMS加速度センサチップの第2極板と第3極板との間の基礎電気容量値、ブレークオーバー電圧、電気容量変化値及び電圧-電気容量特性曲線を決定するステップと、MEMS加速度センサチップの第2極板と第3極板との間の基礎電気容量値、ブレークオーバー電圧、電気容量変化値及び電圧-電気容量特性曲線を、MEMS加速度センサチップの第2極板と第3極板との間の対応する基礎電気容量値、ブレークオーバー電圧、電気容量変化値及び電圧-電気容量特性曲線の理論設計値と比較し、MEMS加速度センサチップが正常であるか否かを判断するステップと、をさらに含む。
【0008】
本願の一実施形態では、可変直流電圧をMEMS加速度センサチップの第1極板及び第2極板に印加することで、第2極板を第1極板へ移動させるステップは、具体的には、可変直流電圧をMEMS加速度センサチップの第1極板及び第2極板に印加するステップと、所定のステッピング電圧値に基づいて、直流電圧値を調整することで、第2極板を第1極板へ移動させるステップと、を含み、第2極板の移動距離は、現在の直流電圧値によって決まる。
【0009】
本願の一実施形態では、所定のステッピング電圧値に基づいて、直流電圧の出力電圧値を調整することで、第2極板を第1極板へ移動させるステップは、具体的には、所定のステッピング電圧値に基づいて直流電圧値を調整することで、第1極板と第2極板との間で異なる直流電圧値を取得し、異なる直流電圧値に基づいて第1極板と第2極板との間で異なる強さの静電気力を発生させ、第2極板の移動による弾性梁の変形、発生した弾性力を克服するステップを含み、弾性梁はMEMS加速度センサチップの第2極板に接続されるコンポーネントである。
【0010】
本願の一実施形態では、所定周波数の交流電圧を第1極板及び第2極板に印加することで、第1極板と第2極板との間の基礎電気容量値及びブースト電気容量値を取得するステップは、具体的には、所定周波数の交流電圧をMEMS加速度センサチップの第1極板及び第2極板に印加することで、第1極板と第2極板との間で電流を発生させるステップと、電流の振幅値及び位相を含む発生させた電流情報に基づいて、第1極板と第2極板との間の基礎電気容量値及びブースト電気容量値を計算するステップと、を含む。
【0011】
本願の一実施形態では、ブレークオーバー電圧は、式
が0に等しい場合、Vに対応する電圧値であり、ここでは、εは第1極板と第2極板との間の誘電体の誘電率であり、Aは第1極板と第2極板との極板面積であり、Vは第1極板及び第2極板に印加された直流電圧値であり、dは第1極板と第2極板との極板間隔であり、kは弾性梁の弾性係数である。
【0012】
本願の一実施形態では、第1極板及び第2極板の基礎電気容量値、ブレークオーバー電圧及び電気容量変化値から、MEMS加速度センサチップが正常であるか否かを判断するステップは、具体的には、現在のMEMS加速度センサチップの第1極板と第2極板との間の基礎電気容量値、ブレークオーバー電圧、電気容量変化値及び電圧-電気容量特性曲線を、MEMS加速度センサチップの第1極板と第2極板との間の対応する基礎電気容量値、ブレークオーバー電圧、電気容量変化値及び電圧-電気容量特性曲線の理論設計値と比較するステップと、現在の基礎電気容量値、ブレークオーバー電圧、電気容量変化値及び電圧-電気容量特性曲線のうちのいずれかまたは複数と、対応する基礎電気容量値、ブレークオーバー電圧、電気容量変化値及び電圧-電気容量特性曲線の理論設計値との差が所定の閾値よりも大きい場合、MEMS加速度センサチップが正常ではないと決定するステップと、を含む。
【0013】
本願の一実施形態では、直流電圧値が0ではない場合、交流電圧ピーク値の絶対値の所定の倍数は直流電圧値の絶対値よりも小さい。
【0014】
本願の一実施形態では、可変直流電圧をMEMS加速度センサチップの第1極板及び第2極板に印加することで、第2極板を第1極板へ移動させるステップの前に、方法は、直流電圧の作用下で第2極板が移動する過程において第1極板又は第3極板と接触することを回避するために、MEMS加速度センサチップの第1極板の第1面のエッジに第1ストッパ凸部を設け、第3極板の第1面のエッジに第2ストッパ凸部を設けるステップをさらに含む。
【0015】
別の態様では、本願の実施例は、可変直流電圧をMEMS加速度センサチップの固定極板である第1極板及び可動極板である第2極板に印加することで、第2極板を第1極板へ移動させるように構成され、また、所定周波数の交流電圧を第1極板及び第2極板に印加することで、第1極板と第2極板との間の基礎電気容量値及びブースト電気容量値を取得するように構成され、基礎電気容量値は、直流電圧の電圧値が0である場合、第1極板と第2極板との間の電気容量値であり、ブースト電気容量値は、直流電圧の電圧値が0ではない場合、第1極板と第2極板との間の電気容量値である電圧出力モジュールと、取得した第1極板と第2極板との間の基礎電気容量値及びブースト電気容量値に基づいて、MEMS加速度センサチップの第1極板と第2極板との間の電圧-電気容量特性曲線、ブレークオーバー電圧及び電気容量変化値を決定するように構成される決定モジュールと、第1極板及び第2極板の基礎電気容量値、ブレークオーバー電圧、電気容量変化値及び電圧-電気容量特性曲線から、MEMS加速度センサチップが正常であるか否かを判断するように構成される判断モジュールと、を含むことを特徴とするMEMS加速度センサチップの検出装置をさらに提供する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
ここで説明される図面は、本願のさらなる理解を提供するために用いられ、本願の一部を構成し、本願の例示的な実施例及びその説明は、本願を解釈するために用いられ、本願に対する不当な限定を構成するものではない。
【
図1】本願の実施例に係るMEMS加速度センサチップの簡易構造概略図である。
【
図2】本願の実施例に係るMEMS加速度センサチップの検出方法のフローチャートである。
【
図3】本願の実施例に係るMEMS加速度センサチップの直流電圧での変位方向の概略図である。
【
図4】本願の実施例に係るMEMS加速度センサチップの物理モデルの概略図である。
【
図5】本願の実施例に係るMEMS加速度センサチップの電気容量-電圧特性曲線の概略図である。
【
図6】本願の実施例に係るMEMS加速度センサチップのストッパ凸部の位置構造概略図である。
【
図7】本願の実施例に係るMEMS加速度センサチップの検出装置の構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本願の目的、技術的解決手段及び利点をより明瞭にするために、以下、本願の具体的な実施例及び対応する図面を参照しながら本願の技術的解決手段を明瞭で、完全に説明する。勿論、説明される実施例は、本願の一部の実施例に過ぎず、全ての実施例ではない。本願における実施例に基づき、当業者が創造的な労働を必要とせずに得る全ての他の実施例は、いずれも本願の特許範囲に属する。
【0018】
図1は本願の実施例に係るMEMS加速度センサチップの簡易構造概略図である。MEMS加速度センサチップは第1極板、第2極板、第3極板の3つの極板で構成される。このうち、第1極板及び第3極板は固定極板であり、外力の作用下で移動することはない。第2極板は第1極板と第3極板との中央位置にあり、第2極板は可動なものであり、本願の実施例では、第2極板は可動極板とも呼ばれる。第2極板の第1面と第1極板の第1面は、上下の極板面積が等しい平板コンデンサを形成し、第2極板の第2面と第3極板の第1面も上下の極板面積が等しい平板コンデンサを形成する。ここでは、第2極板の第1面は第1極板の第1面と対向して設けられており、それにより前記第2極板と第1極板は第1電気容量を形成し、第2極板の第2面は第3極板の第1面と対向して設けられており、それにより前記第2極板と第3極板は第2電気容量を形成する。
【0019】
本願の実施例に係るMEMS加速度センサチップの検出方法及び装置は、異なる電圧での両極板間の電気容量値を測定することによって、MEMS加速度センサチップの基礎電気容量値、ブレークオーバー電圧、電気容量変化値を得る。実測値と対応する理論設計値との差が合理的な範囲内であれば、このMEMS加速度センサチップは設計要件に適合する。そうでなければ、その基礎電気容量値、ブレークオーバー電圧、電気容量変化値及び電圧-電気容量特性曲線から、MEMS加速度センサの加工過程において操作又はプロセスにどのような問題が存在するかを分析することによって、後の改善を容易にする。
【0020】
以下、詳細に説明する。
【0021】
図2は本願の実施例に係るMEMS加速度センサチップの検出方法のフローチャートである。
【0022】
図2に示すように、本願の実施例に係るMEMS加速度センサチップの検出方法は、具体的には、ステップ101~ステップ104を含む。
【0023】
ステップ101、可変直流電圧の正極及び負極をそれぞれMEMS加速度センサチップの第1極板及び第2極板に印加することで、第2極板を第1極板へ移動させる。ここでは、可変直流電圧は電圧値が調整可能な直流電圧、すなわち、異なる電圧値を有する直流電圧である。
【0024】
MEMS加速度センサチップでは、第2極板の第1面と第1極板の第1面(すなわち、第1極板及び第2極板の対向する2つの面)は、面積が等しい平板コンデンサを形成するため、式
から、第2極板の第1面と第1極板の第1面で形成された平板コンデンサの電気容量値が分かり、ここでは、Cは第1極板と第2極板との間の電気容量であり、
は第1極板と第2極板との間の誘電率であり、Aは第1極板と第2極板との極板面積であり、dは第1極板と第2極板との極板間隔である。
【0025】
MEMS加速度センサチップの基礎電気容量値、ブレークオーバー電圧、電気容量変化値を取得するために、まず、可変直流電圧をMEMS加速度センサチップの第1極板及び第2極板に印加する必要がある。
【0026】
なお、直流電圧をMEMS加速度センサチップの第1極板及び第2極板に印加する際に、直流電圧の正極をMEMS加速度センサチップの第1極板に、直流電圧の負極をMEMS加速度センサチップの第2極板に接続してもよいし、直流電圧の負極をMEMS加速度センサチップの第1極板に、直流電圧の正極をMEMS加速度センサチップの第2極板に接続してもよい。
【0027】
可変直流電圧をMEMS加速度センサチップの第1極板及び第2極板に印加した後、所定のステッピング電圧値に基づいて、直流電圧値を調整することで、第2極板を第1極板へ移動させる。
【0028】
具体的には、所定のステッピング電圧値に基づいて、直流電圧の出力電圧を調整する。ここでは、所定のステッピング電圧値は、直流電圧値を調整するたびに、直流電圧の出力の変化値である。例えば、所定のステッピング電圧値が1Vである場合、直流電圧値を調整するたびに、直流電圧値を1V増加させるか又は1V減少させる。MEMS加速度センサチップの第1極板及び第2極板が電圧を取得した後(すなわち、MEMS加速度センサチップの第1極板及び第2極板に印加された電圧が0ではない)、第1極板と第2極板が充電される。
【0029】
なお、直流電圧の正極がMEMS加速度センサチップの第1極板に接続され、直流電圧の負極がMEMS加速度センサチップの第2極板に接続されている場合、第1極板の第1面に正電荷が満たされ、第2極板の第1面に負電荷が満たされ、直流電圧の負極がMEMS加速度センサチップの第1極板に接続され、直流電圧の正極がMEMS加速度センサチップの第2極板に接続されている場合、第1極板の第1面に負電荷が満たされ、第2極板の第1面に正電荷が満たされる。
【0030】
第1極板は固定極板であり、第2極板は可動極板であるため、第1極板の第1面に正電荷が満たされ、第2極板の第1面に負電荷が満たされても、第1極板の第1面に負電荷が満たされ、第2極板の第1面に正電荷が満たされても、第2極板は、極板間に発生した相互に吸引する静電気力のため、第1極板へ移動する傾向がある。
【0031】
図3は本願の実施例に係るMEMS加速度センサチップの直流電圧での変位方向の概略図である。
【0032】
図3に示すように、第1極板及び第2極板に電圧値の大きさがVの電圧が印加されると、第2極板は第1極板へ移動する。また、第1極板及び第3極板はいずれも固定極板であるため、第1極板及び第2極板に印加された電圧値が0であるとすれば、第1極板と第2極板との間の距離、及び第2極板と第3極板との間の距離はいずれもd
0であり、第2極板が第1極板へxだけ移動する場合、第1極板と第2極板との極板間隔はd
0-xであり、第2極板と第3極板との極板間隔はd
0+xである。
【0033】
図4は本願の実施例に係るMEMS加速度センサチップの物理モデルの概略図である。MEMS加速度センサは、マスブロック、弾性梁、及び固定フレームで構成される。固定フレームの上面は第1極板または第3極板に相当し、マスブロックは第2極板に相当し、固定フレームの下面は第3極板または第1極板に相当する。マスブロックは弾性梁を介してフレームに接続される。マスブロックが移動すると、マスブロックに接続された弾性梁が変形し、変形による弾性力はばね構造に相当する。
【0034】
第1極板と第2極板との間に発生する静電気力により、第2極板は弾性梁のひずみによる弾性力を克服し、最終的に弾性力が極板間の静電気力に等しい位置に停止する。
【0035】
ここでは、第1極板と第2極板との間の静電気力は
であり、弾性梁の変形による弾力はF=kxである。ここでは、d
0は、第1極板及び第2極板に印加された電圧の電圧値が0である場合、第1極板と第2極板との距離であり、xは第2極板が第1極板へ移動する距離であり、Vは第1極板及び第2極板に印加された直流電圧値であり、kは弾性梁の弾性係数である。
【0036】
本願の一実施例では、さらに、上記のステップ101に係る方法により可変直流電圧をMEMS加速度センサチップの第2極板及び第3極板に印加することで、第2極板を第3極板へ移動させてもよい。
【0037】
ステップ102、所定周波数の交流電圧の正極及び負極をそれぞれ第1極板及び第2極板に印加することで、第1極板と第2極板との間の基礎電気容量値及びブースト電気容量値を取得する。
【0038】
本願の実施例では、直流電圧をMEMS加速度センサチップの第1極板及び第2極板に印加した後、所定周波数の交流電圧を第1極板及び第2極板に印加する。所定周波数の交流電圧により、MEMS加速度センサチップの第1極板及び第2極板の異なる直流電圧値での電気容量値を測定する。
【0039】
具体的には、直流電圧の電圧値が0である場合、所定周波数の交流電圧の2つの出力端をそれぞれMEMS加速度センサチップの第1極板及び第2極板に印加することで、第1極板と第2極板との間で電流を発生させ、電流の振幅値及び位相を含む発生させた電流情報に基づいて、第1極板と第2極板との間の基礎電気容量値を計算する。
【0040】
本願の一実施例では、電気容量値の計算原理は、具体的には、以下のとおりである。
第1極板と第2極板との間のインピーダンスは
であり、ここでは、Zのモジュラス及び偏角はそれぞれ
であり、すなわち
である。
【0041】
本願の一実施例では、所定のステッピング電圧値に基づいて、直流電圧値を変更して、第2極板が安定になるたびに、所定周波数の交流電圧により、MEMS加速度センサチップの第1極板及び第2極板の異なる直流電圧値でのブースト電気容量値を1回測定する。なお、第1極板と第2極板との間の直流電圧値を変更するたびに、第2極板が静電気力と弾性力の作用下で一定距離だけ移動するため、第1極板と第2極板との間との距離が変化し、式
からわかるように、第1極板と第2極板との間の電気容量は、第1極板と第2極板との間の距離に伴って変化し、従って、第1極板及び第2極板の異なる直流電圧値でのブースト電気容量値もそれに伴って変化する。
【0042】
なお、直流電圧値が0ではない場合、交流電圧ピーク値の絶対値の所定の倍数は直流電圧値の絶対値よりも小さく、ここでは、所定の倍数は少なくとも100より大きくなければならず、すなわち、直流電圧の電圧値は交流電圧ピーク値の2桁以上大きくなければならず、これにより、交流電圧が高すぎて第2極板の位置が移動することにより、電気容量値の測定結果の正確性が影響を受けることを回避する。
【0043】
本願の一実施例では、さらに、上記のステップ102に係る方法により所定周波数の交流電圧の正極及び負極を、それぞれ第2極板及び第3極板に印加することで、第2極板と第3極板との間の基礎電気容量値及びブースト電気容量値を取得してもよい。
【0044】
ステップ103、取得した第1極板と第2極板との間の基礎電気容量値及びブースト電気容量値に基づいて、MEMS加速度センサチップの第1極板と第2極板との間のブレークオーバー電圧及び電気容量変化値を決定する。
【0045】
第1極板と第2極板との間の基礎電気容量値及びブースト電気容量値を取得した後、電圧値と電気容量値との対応関係により、MEMS加速度センサチップの第1極板及び第2極板に対応する電圧-電気容量特性曲線(C-V特性曲線)を描く。
【0046】
図5は本願の実施例に係るMEMS加速度センサチップの電気容量-電圧特性曲線の概略図である。
【0047】
図5に示すように、直流電圧値が0である場合、対応する電気容量値は第1極板と第2極板との間の基礎電気容量値である。所定のステッピング電圧値に基づいて調整された直流電圧値に対応する電気容量値は第1極板と第2極板との間のブースト電気容量値である。なお、
図5において、電圧に対応する正負半軸は、直流電圧の正極が第1極板に接続され、負極が第2極板に接続される場合と、直流電圧の負極が第1極板に接続され、正極が第2極板に接続される場合とを示す。本願の一実施例では、ブレークオーバー電圧は、極板間電気容量が急速に変化し始めたときに対応する電圧値であり、ブレークオーバー電圧の計算原理は、具体的には、以下のとおりである。
第2極板が受ける合力
であり、従って、
である。
の場合、
であり、この時、第2極板の位置にわずかな乱れが発生し、例えば
の微小な変位が発生した場合、第2極板で発生する合力と変位は逆方向となる。従って、第2極板を再び平衡位置に引き戻すことができる。ただし、
の場合、
であり、この時、第2極板の位置にわずかな乱れが発生し、例えば
の微小な変位が発生した場合、第2極板で発生する合力と変位は同方向となる。従って、さらに第2極板を再び平衡位置から引き離し、結果として、極板間隔が急速に変化し、対応する極板間電気容量も急速に変化する。
従って、
に対応する電圧はブレークオーバー電圧であり、
の場合、
から、この時の
がわかり、従ってブレークオーバー電圧は
である。
【0048】
本願の一実施例では、第2極板が急速に変化して第1極板へ移動する過程において、第1極板と衝突して損傷を受けることを回避するために、本願の実施例では、MEMS加速度センサチップの第1極板の第1面のエッジに第1ストッパ凸部を設け、第3極板の第1面のエッジに第2ストッパ凸部を設ける。第2極板が移動してストッパ凸部と衝突した場合、ストッパ凸部による制限のため、第2極板は第1極板へ移動し続けることができない。この時、ステッピング電圧値に基づいて第1極板と第2極板との間の直流電圧値を調整し続けると、第2極板の位置が変化しないため、第1極板と第2極板との間の電気容量値が変化しない。この時、第1極板と第2極板との間の基礎電気容量値とブースト電気容量値との差を電気容量変化値と呼ぶ。
【0049】
図6は本願の実施例に係るMEMS加速度センサチップのストッパ凸部の位置構造概略図である。
【0050】
図6に示すように、ストッパ凸部501は、第1極板の第1面及び第3極板の第1面に設けられており、ストッパ凸部の大きさ及び形状は、実際の検出ニーズに応じて調整することができ、本願ではこれについて限定しない。
【0051】
本願の一実施例では、さらに、上記のステップ103に係る方法により、取得した第2極板と第3極板との基礎電気容量値及びブースト電気容量値に基づいて、MEMS加速度センサチップの第2極板と第3極板との間ブレークオーバー電圧及び電気容量変化値を決定してもよい。方法は、MEMS加速度センサチップの第1極板と第2極板との間のブレークオーバー電圧及電気容量変化値を決定する方法と同様であるが、ここでは繰り返し説明しない。
【0052】
ステップ104、第1極板及び第2極板の基礎電気容量値、ブレークオーバー電圧及び電気容量変化値から、MEMS加速度センサチップが正常であるか否かを判断する。
【0053】
MEMS加速度センサチップのC-V特性曲線から、MEMS加速度センサチップのブレークオーバー電圧及び電気容量変化値を得た後、現在のMEMS加速度センサチップの基礎電気容量値、ブレークオーバー電圧、電気容量変化値及びC-V特性曲線と、対応する基礎電気容量値、ブレークオーバー電圧、電気容量変化値及びC-V特性曲線の理論設計値との差が所定の閾値よりも大きいか否かを判断する。
【0054】
現在の基礎電気容量値と対応する基礎電気容量値の理論設計値との差が所定の閾値よりも大きい場合、現在のMEMS加速度センサチップの加工過程に問題があるため、MEMS加速度センサーチップの構造パラメーターと理論設計値に差が生じると決定する。
【0055】
現在のブレークオーバー電圧と対応するブレークオーバー電圧の理論設計値との差が所定の閾値よりも大きい場合、同様に、現在のMEMS加速度センサチップの加工過程に問題があるため、MEMS加速度センサーチップの構造パラメーターと理論設計値に差が生じると決定する。
【0056】
現在の電気容量変化値と対応する電気容量変化値の理論設計値との差が所定の閾値よりも大きい場合、現在のMEMS加速度センサチップの第2極板が異なる電圧値に応じて、対応する位置に正常に移動できないと決定し、この場合、弾性梁の加工過程に問題があり、第2極板が正常に移動できない可能性が示される。
【0057】
現在のC-V特性曲線において各直流電圧値に対応するブースト電気容量値と、対応するC-V特性曲線の理論設計値のうち各直流電圧に対応するブースト電気容量値と、の差が所定の閾値よりも大きい場合、及び現在のC-V特性曲線の全体的な形状と対応するC-V特性曲線の理論設計値の全体的な形状との間に合理的な範囲を超える誤差がある場合、現在のMEMS加速度センサチップの加工過程に問題があると決定する。
【0058】
本願の一実施例では、さらに、上記のステップ104に係る方法により、第2極板と第3極板の基礎電気容量値、ブレークオーバー電圧及び電気容量変化値から、MEMS加速度センサチップが正常であるか否かを判断してもよい。具体的な方法は、第1極板と第2極板の基礎電気容量値、ブレークオーバー電圧、電気容量変化値に関する方法と同様であるが、ここでは繰り返し説明しない。
【0059】
なお、第1極板と第2極板との間の基礎電気容量値、ブレークオーバー電圧、電気容量変化値及びC-V特性曲線と対応する理論設計値との誤差、及び第2極板と第3極板との間の基礎電気容量値、ブレークオーバー電圧、電気容量変化値及びC-V特性曲線と対応する理論設計値との誤差がいずれも合理的な範囲内である場合にのみ、MEMS加速度センサチップが正常であると判定できる。
【0060】
なお、本願に係るMEMS加速度センサチップの検出方法は、パッケージする前のMEMS加速度センサチップを検出してもよいし、パッケージした後のMEMS加速度センサチップを検出してもよい。正常に動作しないMEMS加速度センサチップのパッケージによるコストアップを回避するため、パッケージする前にMEMS加速度センサチップを検出することが好ましい。
【0061】
本願の実施例に係るMEMS加速度センサチップの検出方法により、MEMS加速度センサチップが量産可能であり、MEMS加速度センサチップのパッケージコストがMEMS加速度センサチップの生産コストの70~80%を占めることが多いため、正常に動作しないMEMS加速度センサチップのパッケージによりコストが高まるという問題が解決される。本願の実施例に係るMEMS加速度センサチップの検出方法は、パッケージする前にMEMS加速度センサチップの性能を予備的にテストすることを実現し、正常に動作しないチップを排除し、性能の良いMEMS加速度センサチップを選別してパッケージすることができ、コストを大幅に削減させる。
【0062】
同じ発明の構想に基づいて、本願の実施例はさらに、MEMS加速度センサチップの検出装置を提供し、その概略図を
図7に示す。
【0063】
図7は本願の実施例に係るMEMS加速度センサチップの検出装置の構造概略図である。
図7に示すように、本願の実施例に係るMEMS加速度センサチップの検出装置700は、電圧出力モジュール701、決定モジュール702、判断モジュール703を含む。
【0064】
当業者が理解できるように、
図7に示されるMEMS加速度センサチップの検出装置の構造は、MEMS加速度センサチップの検出装置を限定するものではなく、実際には、MEMS加速度センサチップの検出装置は、
図7に示されるものよりも多く又は少ない部品を含んだり、又は一部の部品を組み合わせたり、異なる部品の配置を採用したりしてもよい。
【0065】
本願の一実施例では、電圧出力モジュール701は、可変直流電圧をMEMS加速度センサチップの第1極板及び第2極板に印加することで、第2極板を第1極板へ移動させるように構成され、ここでは、MEMS加速度センサチップはパッケージする前のチップであり、第1極板は固定極板であり、第2極板は可動極板であり、電圧出力モジュール701は、さらに、所定周波数の交流電圧を第1極板及び第2極板に印加することで第1極板と第2極板との間の基礎電気容量値及びブースト電気容量値を取得するように構成され、ここでは、基礎電気容量値は、直流電圧の電圧値が0である場合、第1極板と第2極板との間の電気容量値であり、ブースト電気容量値は、直流電圧の電圧値が0ではない場合、第1極板と第2極板との間の電気容量値であり、決定モジュール702は、取得した第1極板と第2極板との間の基礎電気容量値及びブースト電気容量値に基づいて、MEMS加速度センサチップの第1極板と第2極板との間のブレークオーバー電圧及び電気容量変化値を決定するように構成され、判断モジュール703は、第1極板及び第2極板の基礎電気容量値、ブレークオーバー電圧及び電気容量変化値から、MEMS加速度センサチップが正常であるか否かを判断するように構成される。
【0066】
本願の各実施例は、漸進的に説明され、同一または類似の部分に関しては、相互に参照すればよく、各実施例は、他の実施例と異なることを重点として説明した。特に、装置の実施例については、方法の実施例とほぼ類似しているので、説明は簡単であり、関連する部分は方法の実施例の説明を参照すればよい。
【0067】
なお、用語「含む」、「包含する」、またはその他の任意の変形は、一連の要素を含むプロセス、方法、商品または装置がそれらの要素だけでなく、明確に列挙されていない他の要素、またはそのようなプロセス、方法、商品または装置に固有の要素も含むように、非排他的な包含をカバーすることを意味する。これ以上の制限がない場合、「1つ......を含む」という文によって限定される要素は、その要素を含むプロセス、方法、商品、または装置において、さらに同じ要素が存在することを排除しない。
【0068】
以上は本願の実施例に過ぎず、本願を制限するものではなく、当業者であれば、本願に対して様々な変更や変化を行うことができる。本願の精神及び原則内に行ったあらゆる変更、等価置換、改良などは、いずれも本願の特許請求の範囲に含まれるべきである。