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特許7221476水素誘起割れ抵抗性に優れた鋼材及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-06
(45)【発行日】2023-02-14
(54)【発明の名称】水素誘起割れ抵抗性に優れた鋼材及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C22C 38/00 20060101AFI20230207BHJP
   C22C 38/58 20060101ALI20230207BHJP
   C21D 8/02 20060101ALI20230207BHJP
【FI】
C22C38/00 301F
C22C38/58
C21D8/02 C
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021530860
(86)(22)【出願日】2019-11-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-28
(86)【国際出願番号】 KR2019015845
(87)【国際公開番号】W WO2020111628
(87)【国際公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-07-20
(31)【優先権主張番号】10-2018-0150704
(32)【優先日】2018-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】522492576
【氏名又は名称】ポスコ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム,デ-ウ
【審査官】相澤 啓祐
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/117545(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0074638(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0002175(KR,A)
【文献】特開2017-048443(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22C 38/00-38/60
C21D 8/00- 8/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量%で、炭素(C):0.10~0.25%、シリコン(Si):0.05~0.50%、マンガン(Mn):1.0~2.0%、アルミニウム(Al):0.005~0.1%、リン(P):0.010%以下、硫黄(S):0.0015%以下、ニオブ(Nb):0.001~0.03%、バナジウム(V):0.001~0.03%、チタン(Ti):0.001~0.03%、クロム(Cr):0.01~0.20%、モリブデン(Mo):0.01~0.15%、銅(Cu):0.01~0.50%、ニッケル(Ni):0.05~0.50%、カルシウム(Ca):0.0005~0.0040%、残部はFe及びその他の不可避不純物からなり、
中心部に形成された空隙の長辺部と短辺部の長さ比率(短辺部/長辺部)が0.7以上であり、
前記空隙の大きさは10μm以下であり、
鋼材は、500MPa以上の引張強度を有し、-50℃におけるシャルピー衝撃吸収エネルギーが230J以上であり、
水素誘起割れクラックの長さ比(CLR)が5%以下であり、
前記鋼材は、50~200mmの厚さを有する、ことを特徴とする水素誘起割れ抵抗性に優れた鋼材。
【請求項2】
前記鋼材は、面積分率70%以上のフェライト及び残部パーライトの複合組織を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の水素誘起割れ抵抗性に優れた鋼材。
【請求項3】
前記フェライトは、平均結晶粒大きさが40μm以下である、ことを特徴とする請求項2に記載の水素誘起割れ抵抗性に優れた鋼材。
【請求項4】
請求項1に記載する鋼材を製造する方法であって、
重量%で、炭素(C):0.10~0.25%、シリコン(Si):0.05~0.50%、マンガン(Mn):1.0~2.0%、アルミニウム(Al):0.005~0.1%、リン(P):0.010%以下、硫黄(S):0.0015%以下、ニオブ(Nb):0.001~0.03%、バナジウム(V):0.001~0.03%、チタン(Ti):0.001~0.03%、クロム(Cr):0.01~0.20%、モリブデン(Mo):0.01~0.15%、銅(Cu):0.01~0.50%、ニッケル(Ni):0.05~0.50%、カルシウム(Ca):0.0005~0.0040%、残部はFe及びその他の不可避不純物からなる鋼スラブを1150~1250℃の温度範囲で再加熱する段階と、
前記再加熱された鋼スラブを800~1100℃の温度範囲で仕上げ熱間圧延して熱延鋼板を製造する段階と、
前記熱延鋼板を3~60℃/sの冷却速度でBs直上まで冷却する段階と、
前記冷却した後、前記熱延鋼板を860~930℃に加熱して15~60分間維持した後、常温まで空冷する焼きならし熱処理する段階と、を含み、
前記仕上げ熱間圧延時のパス当たりの圧下率をそれぞれ5%以下とする、ことを特徴とする水素誘起割れ抵抗性に優れた鋼材の製造方法。
【請求項5】
前記冷却は、400~600℃で終了するものである、ことを特徴とする請求項に記載の水素誘起割れ抵抗性に優れた鋼材の製造方法。
【請求項6】
前記焼きならし熱処理後の平均結晶粒大きさが40μm以下のフェライトを有する、ことを特徴とする請求項に記載の水素誘起割れ抵抗性に優れた鋼材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硫化水素雰囲気で用いられる圧力容器用鋼材に係り、より詳細には、水素誘起割れ(HIC)抵抗性に優れた鋼材及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、石油化学の製造設備、貯蔵タンクなどに用いられる圧力容器鋼材は、使用時間の増大に伴い、設備の大型化及び鋼材の厚物化が続いている。また、大型構造物を製造するにおいて、母材と共に溶接部の構造的安定性を確保するために、炭素当量(Ceq)を下げ、不純物を極限まで制御する傾向にある。加えて、HSが多量に含有された原油の生産が増大するにつれ、水素誘起割れ(HIC)に対する抵抗性などの品質特性がさらに厳しくなっている。
【0003】
特に、低品質の原油を採掘、処理、輸送、貯蔵するすべてのプラント設備に用いられる鋼材にも原油中の湿潤硫化水素によるクラックの発生を抑制する特性が必須に求められているのが実情である。最近、プラント設備の事故による環境汚染が全地球的な問題となり、これを復旧するにおいて、天文学的な費用がかかるため、エネルギー産業に用いられる鉄鋼材に求められる、耐HIC特性のレベルが徐々に厳しくなる傾向にある。
【0004】
一方、鋼材の水素誘起割れ(HIC)が発生する原理を検討してみると、以下のとおりである。鋼材表面が原油に含まれた湿潤硫化水素と接触することによって腐食が発生し、このような鋼材の腐食によって発生した水素原子は、鋼材の内部に侵入及び拡散して鋼材内部に原子状態で存在するようになる。鋼材内部に侵入及び拡散した水素原子は、水素ガスの形態で分子化してガス圧力が発生し、このような圧力によって鋼材内部の脆弱な組織(例えば、介在物、偏析帯、内部空隙など)で脆性割れが誘発される。割れは使用時間の経過及び継続的な荷重印加などにより徐々に成長し、最終的に鋼材の破壊を引き起こすようになる。
【0005】
それ故に、硫化水素雰囲気で用いられる鋼材の水素誘起割れ(HIC)抵抗性を向上させる方案について、様々な技術が開発された。
【0006】
その例としては、第1に、銅(Cu)などの元素を添加する方法、第2に、クラックが容易に発生及び伝播する硬化組織(例えば、パーライト相など)を最小限に抑えるか、その形状を制御する方法、第3に、水素の集積及びクラック開始点として作用することができる鋼内部の介在物及び空隙などの内部欠陥を制御する方法、第4に、加工工程を変更してNACT(Normalizing and Accelerated Cooling and Tempering)、QT(Quenching and Tempering)、DQT(Direct Quenching and Tempering)などの水処理を介して基地組織を焼戻しマルテンサイト(Tempered Martensite)、焼戻しベイナイト(Tempered Bainite)などの硬質組織として形成することで、クラック開始(initiation)に対する抵抗性を増大させる技術などがある。
【0007】
銅(Cu)などを添加する方案は、弱酸性の雰囲気で鋼材表面に安定したCuS皮膜を形成し、水素が鋼材内部に浸透することを抑制する効果があるため、水素誘起割れ(HIC)抵抗性を向上させる効果を得ることができる。
【0008】
ところが、上述したCu添加による効果は、強酸性雰囲気では大きな効果がないことが知られており、添加されたCuにより高温割れが発生して、却って鋼板表面にクラックが誘発され、表面研磨などの工程が求められるため、工程原価を上昇させる欠点がある。
【0009】
上述した技術のうち、硬化組織を最小限に抑えるか、その形状を制御する方法は、主に焼きならし(normalizing)熱処理後の基地相で発生するバンド組織のB.I(Band Index)値を下げてクラック伝播速度を遅延させる方法である。
【0010】
これに関して、特許文献1では、合金組成及び製造条件を制御して、B.I(ASTM E-1268に基づいて測定)が0.25以下であるフェライト+パーライト組織を得て、引張強度500MPa級の耐HIC性に優れた(NACE基準平均CLR:0)鋼を提供することができることを開示している。
【0011】
しかし、このように硬化組織を最小限に抑える方法は、主にHICによるクラックの伝播抵抗性だけを向上させるため、鋼材内部に粗大な空隙などが存在する場合、その効果が低下するおそれがある。
【0012】
一方、加工工程を焼きならし熱処理ではなくNACT、QT、DQT、TMCPなどの水処理を利用した方法は、基地相をフェライト+パーライトではなく、焼戻しマルテンサイト、焼戻しベイナイトまたはこれらの複合組織で形成して基地相の強度を増大させることができる。基地相の強度が増大する場合、クラック開始(crack initiation)に対する抵抗性が高くなるため、クラック発生の頻度が比較的減少することがある。
【0013】
これに関して、特許文献2では、合金組成を制御し、熱間圧延後の加速冷却を行うことから、耐HIC性を向上させることができることを開示しており、特許文献3では、DQT工程を介して焼戻しマルテンサイト組織を確保することで耐HIC性を向上させることができることを開示している。
【0014】
しかし、基地相が低温組織相(例えば、マルテンサイト、ベイナイト、針状フェライトなど)から構成される場合、耐HIC性が向上するのに対し、熱間成形(hot-forming)が不可能となり、圧力容器への造管時に困難があり、表面硬度値が高くて製品の均一延伸率が低下し、加工過程で表面クラックの発生率が高くなる問題がある。また、厚さが100mmを超える極厚物材の場合には、クエンチング(qhencing)時の製品中心部の冷却能が顕著に減少するため、低温変態組織を充分に確保し難く、却ってHICクラック開始点として作用する可能性があるMA(Martensite-Austenite constituent)相が生成されて、耐HIC性が低下するおそれがある。
【0015】
さらに、スラブ内の介在物または空隙を最小限に抑えて清浄度を高めることで、耐HIC性を向上させる方法として、特許文献4では、溶鋼中にCaを添加し、この時、Ca含有量を特定式(0.1≦(T.[Ca]-(17/18)×T.[O]-1.25×S)/T[O]≦0.5...(1)、
T.[Ca]:鋼中の全体Ca濃度(ppm)、T.[O]:鋼中の全体酸素濃度(ppm)、S:鋼中のS濃度(ppm))に制御することで、耐HIC性に優れた鋼材を開示している。このような方法は、累積圧下量が高い薄物材の圧延過程で破砕される酸化性介在物の量を減らすことで、HIC品質を改善するのに役立つ。
【0016】
ところが、鋼材の厚さが厚くなるほど酸化性介在物による欠陥よりは中心空極性欠陥によって耐HIC性が低下し、圧延工程だけでは鋼材中心部に存在する残留空隙を十分に機械的圧着(full mechanical bonding)することができないため、耐HIC性の向上には限界がある。
【0017】
上記で検討したとおり、上述した技術は、厚さが厚い厚物鋼材には適用の限界が存在し、特に厚さ50~300mm、引張強度500MPa級の鋼材に適用する際に十分な水素誘起割れ(HIC)抵抗特性の確保が難しく、圧力容器用鋼を製造するのに限界がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【文献】韓国特開第2010-0076727号公報
【文献】特開第2003-013175号公報
【文献】韓国登録公報第10-0833071号
【文献】特開第2014-005534号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明の一側面は、硫化水素雰囲気で水素誘起割れ(HIC)に対する抵抗性に優れた鋼材及びその製造方法を提供することである。
【0020】
本発明の課題は、上述した内容に限定されない。通常の技術者であれば、本明細書の全体的な内容から、本発明のさらなる課題を理解するのに何ら困難がない。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明の一側面は、重量%で、炭素(C):0.10~0.25%、シリコン(Si):0.05~0.50%、マンガン(Mn):1.0~2.0%、アルミニウム(Al):0.005~0.1%、リン(P):0.010%以下、硫黄(S):0.0015%以下、ニオブ(Nb):0.001~0.03%、バナジウム(V):0.001~0.03%、チタン(Ti):0.001~0.03%、クロム(Cr):0.01~0.20%、モリブデン(Mo):0.01~0.15%、銅(Cu):0.01~0.50%、ニッケル(Ni):0.05~0.50%、カルシウム(Ca):0.0005~0.0040%、残部はFe及びその他の不可避不純物からなり、中心部に形成された空隙の長辺部と短辺部の長さ比率(短辺部/長辺部)が0.7以上である水素誘起割れ抵抗性に優れた鋼材を提供する。
【0022】
本発明の他の一側面は、上述した合金組成を含む鋼スラブを1150~1250℃の温度範囲で再加熱する段階;再加熱された鋼スラブを800~1100℃の温度範囲で仕上げ熱間圧延して熱延鋼板を製造する段階;熱延鋼板を3~60℃/sの冷却速度でBs直上まで冷却する段階;及び冷却後に熱延鋼板を860~930℃に加熱して、15~60分間維持した後、常温まで空冷する焼きならし熱処理する段階を含み、仕上げ熱間圧延時のパス当たりの圧下率が5%以下であることを特徴とする水素誘起割れ抵抗性に優れた鋼材の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0023】
本発明によると、圧力容器用に適した50~200mmの厚さを備えるとともに、水素誘起割れ(HIC)抵抗性を効果的に確保した鋼材を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の発明者は、一定の厚さを有する厚物鋼材を提供するにあたって、水素誘起割れに対する抵抗性に優れ、原油などの精製、輸送及び貯蔵などのための用途として好適に使用することができる鋼材を得るために深く研究した。
【0025】
特に、本発明は、厚さ50~200mmの鋼材の水素誘起割れ抵抗性を向上させるためには、鋼材の組織構成だけでなく、鋼材中心部から空隙の形状を制御する必要があることを確認し、それに適した合金組成、製造条件などを提示することに技術的意義がある。
【0026】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0027】
本発明の一側面による水素誘起割れ抵抗性に優れた鋼材は、重量%で、炭素(C):0.10~0.25%、シリコン(Si):0.05~0.50%、マンガン(Mn):1.0~2.0%、アルミニウム(Al):0.005~0.1%、リン(P):0.010%以下、硫黄(S):0.0015%以下、ニオブ(Nb):0.001~0.03%、バナジウム(V):0.001~0.03%、チタン(Ti):0.001~0.03%、クロム(Cr):0.01~0.20%、モリブデン(Mo):0.01~0.15%、銅(Cu):0.01~0.50%、ニッケル(Ni):0.05~0.50%、カルシウム(Ca):0.0005~0.0040%を含むことができる。
【0028】
以下、本発明で提供する鋼材の合金組成を上記のように制限する理由について詳細に説明する。この時、特に断りのない限り、各元素の含有量は、重量含有量を意味する。
【0029】
炭素(C):0.10~0.25%
炭素(C)は、鋼の強度を確保するのに最も重要な元素であるため、適切な範囲で鋼中に含有される必要がある。Cの添加効果を得るためには、0.10%以上含有することが好ましいが、その含有量が0.25%を超えると、鋼材中心部の偏析度が高くなり、空冷過程でフェライト+ベイナイト組織が形成されて強度または硬度が過度になるおそれがある。また、MA組織が生成され、耐HIC性が低下する問題がある。
【0030】
したがって、本発明においては、Cを0.10~0.25%含有することができ、0.10~0.20%がより有利であり、0.10~0.15%含有することがさらに有利である。
【0031】
シリコン(Si):0.05~0.5%
シリコン(Si)は、置換型元素として固溶強化により鋼材の強度を向上させ、強力な脱酸効果を有しているため、清浄鋼の製造に必須の元素である。上述した効果のためには0.05%以上添加することが好ましい。但し、その含有量が過多の場合、MA相を生成させ、フェライト基地強度を過度に増大させて耐HIC性及び衝撃靭性などの劣化を招くことがあるため、これを考慮して、Siの上限を0.5%に制限する必要がある。
【0032】
したがって、本発明においてはSiを0.05~0.5%含むことができ、0.05~0.40%がより有利であり、0.20~0.35%含むことがさらに有利である。
【0033】
マンガン(Mn):1.0~2.0%
マンガン(Mn)は、固溶強化により強度を向上させ、低温変態相が生成されるように硬化能を向上させるのに有用な元素である。また、Mnは硬化能の向上によって遅い冷却速度でも低温変態相を生成させることができるため、焼きならし(Normalizing)熱処理後の空冷時、ベイナイト低温相を確保するための主要な元素である。上述した効果を十分に得るためには1.0%以上含むことが好ましい。但し、その含有量が2.0%を超えると、中心偏析が増大して鋼中の硫黄(S)と共にMnS介在物を形成し、その分率が増大して耐HIC性が低下することができる。
【0034】
したがって、本発明においてはMnを1.0~2.0%含むことができ、1.0~1.7%がより有利であり、1.0~1.5%含むことがさらに有利である。
【0035】
アルミニウム(Al):0.005~0.1%
アルミニウム(Al)は、Siと共に製鋼工程で強力な脱酸剤として作用する元素である。このような効果を得るためには、0.005%以上添加することが好ましい。但し、その含有量が0.1%を超えると、脱酸の結果物として生成される酸化性介在物のうちAlの分率が過度に増加し、その大きさが粗大となって精錬工程での除去が難しくなるという問題がある。これにより、最終製品に酸化性介在物が残存して耐HIC性が低下するおそれがある。
【0036】
したがって、本発明においてはAlを0.005~0.1%含むことができ、0.01~0.05%がより好ましく、0.01~0.035%含むことがさらに好ましい。
【0037】
リン(P):0.010%以下
リン(P)は、製鋼工程で不可避に含有される元素であり、結晶粒界に脆性を誘発する元素である。本発明では、鋼材の脆性割れ伝播抵抗性を向上させるために、P含有量を0.010%以下に制限することができ、不可避に含有されることを考慮して0%は除外することができる。
【0038】
硫黄(S):0.0015%以下
硫黄(S)も製鋼工程で不可避に含有される元素として、粗大な介在物を形成させて脆性を誘発する元素である。本発明では、脆性割れ伝播抵抗性を向上させるために、S含有量を0.0015%以下に制限することができ、不可避に含有されることを考慮して0%は除外することができる。
【0039】
ニオブ(Nb):0.001~0.03%
ニオブ(Nb)は、NbCまたはNbCNの形態で析出し、母材の強度を向上させるのに有用な元素である。また、高温で再加熱時に固溶されたNbは、後続の圧延工程時にNbCの形態で非常に微細に析出されることで、オーステナイトの再結晶を抑制して組織を微細化させることができる。上述した効果を十分に得るためにはNbを0.001%以上含むことができる。但し、その含有量が過度になると未溶解されたNbがTiNb(C、N)の形態で生成され、UT不良、衝撃靭性の劣化及び耐HIC性を阻害する要因となるため、Nbの上限を0.03%と制限することができる。
【0040】
したがって、本発明においてはNbを0.001~0.03%含むことができ、0.007~0.015%含むことがより有利である。
【0041】
バナジウム(V):0.001~0.03%
バナジウム(V)は、再加熱時、ほぼすべてが再固溶されるため、後続する圧延工程などで析出または固溶による強度強化の効果は僅かな元素であるが、この後の熱処理過程(例えば、PWHTなど)で非常に微細な炭窒化物として析出し、強度を向上させる効果がある。また、焼きならし熱処理後のオーステナイトの小粒性を増大させて空冷ベイナイトの分率を高める効果がある。上述した効果を得るためには、Vを0.001%以上含むことが好ましいが、その含有量が0.03%を超えると、溶接部の強度及び硬度を過度に増加させて圧力容器の加工時の表面クラックなどの要因として作用することがある。
【0042】
したがって、本発明においてはVを0.001~0.03%含有することができ、0.005~0.02%がより有利であり、0.007~0.015%含有することがさらに有利である。
【0043】
チタン(Ti):0.001~0.03%
チタン(Ti)は、再加熱時TiNに析出して母材だけでなく、溶接時に形成された溶接熱影響部の結晶粒の成長を抑制し、低温靭性を大きく向上させる元素である。このような効果を十分に得るためにはTiを0.001%以上含有することが好ましい。但し、その含有量が0.03%を超えると、連鋳ノズルの目詰まりや中心部晶出によって低温靭性が劣化するおそれがある。また、鋼中のNと結合して厚さの中心部に粗大なTiN析出物が形成される場合、水素誘起割れの開始点として作用するおそれがある。
【0044】
したがって、本発明においてはTiを0.001~0.03%含むことができ、0.011~0.025%がより好ましく、0.013~0.018%含むことがさらに好ましい。
【0045】
クロム(Cr):0.01~0.20%
クロム(Cr)は、固溶によって降伏強度及び引張強度を増大させる効果は僅かであるが、この後の焼戻し工程や溶接後熱処理(PWHT)の間、セメンタイトの分解速度を抑えることで強度の低下を効果的に防止する元素である。上述した効果を十分に得るためにはCrを0.01%以上含むことが好ましい。但し、その含有量が0.20%を超えると、M23などのCr-Rich炭化物の大きさ及び分率が増大して衝撃靭性を大きく阻害することがある。
【0046】
したがって、本発明においてはCrを0.01~0.20%含むことができる。
【0047】
モリブデン(Mo):0.01~0.15%
モリブデン(Mo)は、Crのように焼戻しまたは溶接後熱処理(PWHT)の間、強度の低下防止に有効な元素であり、Pなどの不純物が粒界に偏析して誘発される靭性の低下を効果的に防止する元素である。また、Moはフェライト内の固溶強化元素として基地相の強度を増大させる効果がある。上述した効果のためには、Moを0.01%以上添加することが好ましい。但し、Moは高価の元素として過度に添加する場合、製造費用が大きく上昇するため、その上限を0.15%に制限することができる。
【0048】
したがって、本発明においてはMoを0.01~0.15%含むことができる。
【0049】
銅(Cu):0.01~0.50%
銅(Cu)は、フェライト内で固溶強化により基地相の強度を大きく向上させることができる元素であり、湿潤硫化水素雰囲気で母材の腐食を効果的に抑制する元素である。上述した効果を得るためには、Cuを0.01%以上含むことが好ましい。但し、その含有量が0.50%を超えると、鋼材の表面にスタークラックを誘発する可能性が大きくなり、高価の元素であるため、製造費用を上昇させる問題がある。
【0050】
したがって、本発明においてはCuを0.01~0.50%含むことができる。
【0051】
ニッケル(Ni):0.05~0.50%
ニッケル(Ni)は、低温で積層欠陥を増大させ、電位の交差スリップ(Cross Slip)を容易に発現するようになり、これによって衝撃靭性及び硬化能を向上させて強度を向上させるのに重要な元素である。上述した効果を得るためには、Niを0.05%以上含むことが好ましい。但し、その含有量が過度になって0.50%を超えると、硬化能が過度に上昇するおそれがあり、高価の元素であるため、製造費用が上昇する問題がある。
【0052】
したがって、本発明においてはNiを0.05~0.50%含むことができ、0.10~0.40%がより好ましく、0.10~0.30%含むことがさらに好ましい。
【0053】
カルシウム(Ca):0.0005~0.0040%
アルミニウム(Al)による脱酸の後にカルシウム(Ca)を添加すると、MnS介在物を形成するSと結合してMnSの生成を抑制するとともに、球状のCaSを形成して水素誘起割れによるクラックの発生を抑制することができる。上述した効果のためにはCaを0.0005%以上添加することが好ましいが、その含有量が0.0040%を超えると、CaSを形成して残ったCaがOと結合して粗大な酸化性介在物を形成し、これが圧延時に延伸及び破壊されて水素誘起割れを助長する問題がある。
【0054】
したがって、本発明においてはCaを0.0005~0.0040%含むことができる。
【0055】
本発明は、上述した鋼組成以外に、残りはFe及び不可避不純物からなることができる。不可避不純物は、通常の鉄鋼製造工程で意図せずに混入することができるものであり、これを全面排除することはできず、通常の鉄鋼製造分野の技術者であれば、その意味を容易に理解することができる。また、本発明は、上述した鋼組成以外の他の組成の添加を全面的に排除するものではない。
【0056】
上述した合金組成を有する本発明の鋼材は、中心部に形成された空隙の長辺部と短辺部の長さ比率(短辺部/長辺部)が0.7以上であることが好ましい。
【0057】
鋼材の内部に形成された空隙は、割れの開始点として作用することができるため、鋼材の水素誘起割れ抵抗性を確保するためには、空隙の形状を適切に管理する必要がある。特に、本発明の鋼材のように厚さが50~200mmと厚い厚物材の場合には、鋼材内部に存在する空隙の大きさ、形状により水素誘起割れの発生有無に大きな影響を及ぼすため、本発明は鋼材中心部に形成される空隙の形状を制限して、水素誘起割れ抵抗性を確保する。具体的に、本発明では鋼材中心部に形成された空隙の形状をできる限り球状で得ようとし、空隙の長辺部と短辺部の長さ比率が0.7以上であることが好ましい。
【0058】
ここで、鋼材中心部というと、鋼材表面から厚さ方向に1/4t~3/4t(ここで、tは鋼材の厚さ(mm)を意味する)の領域で示すことができる。
【0059】
また、本発明の鋼材は微細組織であって、面積分率70%以上のフェライト及び残部パーライトの複合組織を含むことができる。
【0060】
具体的には、焼きならし熱処理を介して提供される鋼材は、フェライト組織及びパーライト組織の混合組織を有することができ、これら組織を有する鋼材はパーライト組織の分率によって強度が決定されることができる。この時、パーライト組織が面積分率30%を超える場合、鋼材の強度は増加するのに対し、衝撃靭性が低下するため、本発明は引張強度500MPa以上、-50℃におけるシャルピー衝撃吸収エネルギー230J以上を確保するために、フェライト組織の面積比率を70%以上に制限することができる。
【0061】
パーライト組織の分率は、鋼中に含有された炭素含有量に応じて予測することができる。
【0062】
さらに、本発明の鋼材は、フェライトの平均結晶粒大きさが40μm以下であることが好ましい。仮に、フェライトの平均結晶粒大きさが40μmを超えると、目標レベルの強度及び靭性を確保することができなくなる。意図する物性をより有利に得るためには、フェライトの平均結晶粒大きさが30μm以下であることがより好ましく、20μm以下であることがさらに好ましい。
【0063】
ここで、平均結晶粒大きさは、円相当の平均直径を意味し、これは通常の技術者であれば、誰でも理解できる。
【0064】
したがって、本発明において、水素誘起割れ抵抗性に優れた鋼材は、50~200mmの厚さを有する厚物材であり、引張強度500MPa以上、-50℃におけるシャルピー衝撃吸収エネルギー230J以上、水素誘起割れクラックの長さ比(CLR)が5%以下を満たすことができる。したがって、本発明の水素誘起割れ抵抗性に優れた鋼材は、圧力容器用に適した厚さ及び物性を確保することができる。
【0065】
以下、本発明の他の一側面による水素誘起割れ抵抗性に優れた鋼材の製造方法について詳細に説明する。
【0066】
本発明の一実施例に係る水素誘起割れ抵抗性に優れた鋼材は、上述した合金組成を有するスラブを用意した後、これを[再加熱-熱間圧延-冷却-焼きならし熱処理]の工程を介して製造することができる。
【0067】
本発明のスラブの合金組成及びその含有量は、上述した鋼材の合金組成及びその含有量と対応するため、本発明のスラブの合金組成及びその含有量に関する説明は、上述した鋼材の合金組成及びその含有量に関する説明に代える。
【0068】
鋼スラブ再加熱
まず、鋼スラブを1150~1250℃の温度範囲で再加熱することができる。
【0069】
鋼スラブを製造及び抽出して後続の圧延工程で圧下する際に温度が大きく低下することを防止するために、1150℃以上で加熱することができる。但し、加熱温度が1250℃を超えると、鋼スラブの表面に酸化スケールが過度に発生することで炉運営における原価競争力が落ちる。したがって、本発明における鋼スラブ加熱温度は、1250℃以下に制限することができる。
【0070】
仕上げ熱間圧延
上記によって再加熱された鋼スラブを熱間圧延して熱延鋼板を製造することができ、この時、800~1100℃の温度範囲で仕上げ熱間圧延を行うことができる。
【0071】
仕上げ熱間圧延時の温度が800℃未満であると、スラブの変形抵抗値が過度に高くなり、目標の厚さで圧延が行われないという問題がある。これに対し、その温度が1100℃を超えると、結晶粒大きさが過度に粗大となり、鋼材の靭性が低下するおそれがある。
【0072】
本発明において、上述した温度範囲での仕上げ熱間圧延時のパス当たりの圧下率が5%以下(0%を除く)であることが好ましい。再加熱された鋼スラブの中心部には、残留した空隙が存在するが、このような空隙の形状をできる限り球状に制御するために、本発明は仕上げ熱間圧延時のパス当たりの圧下率を5%以下(0%を除く)に制限することができる。仮に、仕上げ熱間圧延時のパス当たりの圧下率が5%を超えると、圧着が過度に行われ、残留空隙の長辺部と短辺部の比率を0.7以上に形成することができず、この場合、空隙の頂点部のノッチ効果(notch effect)により、最終製品の水素誘起割れ抵抗性を確保することができなくなる。
【0073】
上記のように仕上げ熱間圧延時の圧延温度及びパス当たりの圧下率を適宜制御することで、水素誘起割れの開始点となり得る空隙の頂点部のノッチ効果を相殺させる効果を得ることができ、結果的に水素誘起割れ抵抗性を向上させることができる。
【0074】
また、仕上げ熱間圧延後の熱延鋼板の中心部に形成された空隙の長辺部と短辺部の長さ比率(短辺部/長辺部)が0.7以上であることができ、空隙の最大の大きさは10μm以下、好ましくは5μm以下、より好ましくは3μm以下であることができる。
【0075】
冷却
上述した仕上げ熱間圧延を介して製造された熱延鋼板を冷却することができ、この時、3~60℃/sの冷却速度でBs直上まで冷却することができる。
【0076】
焼きならし熱処理またはQ&T熱処理鋼材の場合、圧延を終了した後、熱処理のための再昇温過程を経るようになるため、圧延後に空冷することが一般的であるが、本発明においてスラブの中心部に形成された空隙の形状制御のために行った弱圧下によるオーステナイト結晶粒の粗大化などを考慮して、一定の冷却速度で冷却を行うことが好ましい。
【0077】
具体的に、本発明は製造された熱延鋼板の1/4t(ここで、tは厚さ(mm)を意味する)を基準に3~60℃/sの冷却速度でBs直上まで加速冷却を行うことができる。
【0078】
上述した加速冷却によって圧延終了後に生成されるフェライトが低温領域において核生成を発生させることで、既存の圧延後の空冷時に生成されるフェライト結晶粒に対して非常に微細な結晶粒を確保することができる。また、後続する焼きならし熱処理の後にも微細なフェライト結晶粒を確保することができる利点がある。
【0079】
冷却時の冷却速度が3℃/s未満であると、低温変態フェライト相が十分に形成されず、これに対し、60℃/sを超えると、後続する焼きならし熱処理前にマルテンサイト相が生成される問題がある。無拡散変態組織の場合、再加熱(reheating)の過程でオーステナイト結晶粒大きさが小さくならないため、焼きならし熱処理後にフェライト大きさを微細に制御することが困難になる。この場合には、DBTTが増大して衝撃靭性値が劣化する。
【0080】
上述した冷却速度で冷却する際の冷却終了温度は、Bs(ベイナイト変態開始温度)直上に制限することで低温変態フェライト相を十分に形成し、400~600℃の温度範囲で冷却を終了することが好ましい。
【0081】
焼きならし(Normalizing)熱処理
上述のように、冷却を完了した後に熱延鋼板を860~930℃に加熱して15~60分間維持した後、常温まで空冷する焼きならし熱処理を行うことができる。
【0082】
焼きならし熱処理を介してオーステナイト組織を十分に均質化させるために860℃以上で熱処理を行うことができるが、NbC、VCなどの微細析出物の粗大化を防止するために、熱処理温度の上限を930℃に制限することができる。
【0083】
また、オーステナイト組織の均質化及びSoluteの十分な拡散のために15分以上熱処理を行うことができるが、長時間熱処理時に析出物の粗大化が発生するおそれがあることから、熱処理時間を60分以下に制限することができる。
【0084】
上述した焼きならし熱処理を完了した直後の熱延鋼板は、平均結晶粒大きさが40μm以下のフェライトを有することができ、これにより、最終鋼材の強度及び低温靭性を効果的に確保することができる。
【0085】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。但し、下記実施例は、本発明を例示して、より詳細に説明するためのものにすぎず、本発明の権利範囲を限定するためのものではない点に留意する必要がある。本発明の権利範囲は、特許請求の範囲に記載された事項と、それから合理的に類推される事項によって決定されるものであるためである。
【実施例
【0086】
(実施例)
下記表1に示した合金組成を有するそれぞれの鋼スラブを1170℃で再加熱した後、950℃で仕上げ熱間圧延して熱延鋼板を製造した。この時、仕上げ熱間圧延時のパス当たりの圧下率は、下記表2に示したとおりに行った。この後、下記表2に示したそれぞれの冷却速度で530℃まで冷却を行った後、下記表2に示した条件で焼きならし熱処理して熱延鋼板を製造した。
【0087】
それぞれの熱延鋼板に対して、平均空隙大きさ、空隙の長さ比率(短辺部/長辺部)、パーライト分率、引張強度、-50℃におけるシャルピー衝撃吸収エネルギー及び水素誘起割れクラックの長さ比(HIC Crack Length Ratio)を測定し、その結果を下記表3に示した。
【0088】
この時、鋼板の水素誘起割れ(HIC)抵抗性の指標として用いられた板の長さ方向への水素誘起割れクラックの長さ比(CLR、%)は、関連国際規格であるNACE TM0284により、1気圧のH2Sガスで飽和した5%NACl+0.5%CHCOOH溶液に試験片を96時間浸漬した後、超音波探傷法により割れの長さを測定し、試験片の長さ方向にそれぞれの割れ長さの合計を試験片の全体長さで除した値で計算して評価した。
【0089】
また、鋼内の微細組織の分率は、光学顕微鏡を用いて、倍率200倍のイメージを測定した後、イメージ分析機(Image Analyzer)を用いて定量的に測定した。
【0090】
引張試験は常温で評価し、衝撃靭性は-50℃でシャルピーV-ノッチ(Charpy V-Notch)衝撃試験を3回行い、平均値を測定した。
【0091】
【表1】
(表1におけるP*、S*及びCa*の含有量の単位はppmである。)
【0092】
【表2】
【0093】
【表3】
(表3におけるFはフェライト、Pはパーライトを意味し、衝撃靭性(J)は-50℃におけるシャルピー衝撃吸収エネルギー値を示す。)
(表3における各試験片のP分率を除いた残りはF(フェライト)である。)
【0094】
表1~3に示したように、本発明の合金組成及び製造条件をすべて満たす発明例1~3は、500MPa以上の引張強度を有し、-50℃におけるシャルピー衝撃吸収エネルギーが230J以上であるだけでなく、耐HIC性に優れることが確認できる。
【0095】
これに対し、比較例1~4は、合金組成が本発明は満たすが、製造条件が本発明から逸脱することによって衝撃靭性または耐HIC性が劣化することが確認できる。特に、仕上げ熱間圧延時のパス当たりの圧下率が5%を超える比較例1及び3は、水素誘起割れクラックの長さ比(CLR)がそれぞれ32%、22%と水素誘起割れ特性が非常に劣化したことが確認できる。仕上げ熱間圧延時のパス当たりの圧下率は5%以下であるが、冷却時の冷却速度が過度な比較例2及び4は、衝撃靭性が非常に劣化したことが確認できる。
【0096】
一方、合金組成のうちC含有量が不十分な比較例5の場合には、製造条件が本発明を満たしても引張強度が多少劣化したことが確認できる。
【0097】
したがって、本発明の一実施例に係る水素誘起割れ抵抗性に優れた鋼材及びその製造方法は、圧力容器用に適した厚さを有しながらも、水素誘起割れ抵抗性を効果的に確保した鋼材及びその製造方法を提供することができる。
【0098】
以上、実施例を介して本発明を詳細に説明したが、これと異なる形の実施例も可能である。したがって、以下に記載された請求項の技術的思想及び範囲は実施例に限定されない。