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特許7221499金属酸化物半導体モジュール及びそれを含む発光ダイオード表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-06
(45)【発行日】2023-02-14
(54)【発明の名称】金属酸化物半導体モジュール及びそれを含む発光ダイオード表示装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20230207BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20230207BHJP
   H01L 21/76 20060101ALI20230207BHJP
   H01L 33/00 20100101ALI20230207BHJP
【FI】
H01L29/78 652G
H01L29/78 301X
H01L29/78 652L
H01L29/78 652R
H01L29/78 657G
H01L33/00 J
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020179817
(22)【出願日】2020-10-27
(65)【公開番号】P2021068906
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2020-10-27
(31)【優先権主張番号】108138870
(32)【優先日】2019-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】501271516
【氏名又は名称】聚積科技股▲ふん▼有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】520420779
【氏名又は名称】リー シー コー チー クー フェン ユー シエン コン スー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【弁理士】
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】トゥー カオ ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】チャン ユアン シュン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン リー チャン
(72)【発明者】
【氏名】リン イー ション
【審査官】上田 智志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0056821(US,A1)
【文献】特開2004-289103(JP,A)
【文献】特開2009-139904(JP,A)
【文献】国際公開第2009/060648(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/336、21/76、
29/78、33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の導電タイプを有する半導体基板と、
前記半導体基板に形成され、且つ、複数の第1のトレンチと複数の第2のトレンチとにより仕切られて互いに間を空けて配置された複数の金属酸化物半導体部材と、
を備えている金属酸化物半導体モジュールであって、
各前記金属酸化物半導体部材は、それぞれ
前記半導体基板に形成され、ドレイン区を含み、前記第1の導電タイプとは反対の第2の導電タイプを有する重ドープ半導体層と、
エピタキシャル層と、
金属パターン接点ユニットと、を備えており、
該エピタキシャル層は、前記半導体基板の反対側に位置するように前記重ドープ半導体層に形成されると共に、前記第2の導電タイプを有し、前記重ドープ半導体層の前記ドレイン区を該エピタキシャル層から部分的に露出させる開口を有するように形成され、且つ、該エピタキシャル層内にソース区と該ソース区と間を空けて配置されたゲート区とが形成されており、
該金属パターン接点ユニットは、ソースパターン接点と、ゲートパターン接点と、ドレインパターン接点と、を有しており、
該ソースパターン接点は、前記重ドープ半導体層の反対側に位置するように前記エピタキシャル層の上表面に形成されると共に、 前記ソース区に電気的接続されており、
該ゲートパターン接点は、前記ソースパターン接点から離れるように前記エピタキシャル層の前記上表面に形成されていると共に、前記ゲート区に電気的接続されており、
該ドレインパターン接点は、前記重ドープ半導体層の露出する前記ドレイン区に形成されて該ドレイン区から前記エピタキシャル層の上表面まで延伸すると共に、前記ドレイン区に電気的接続されており、
各前記第1のトレンチ及び各前記第2のトレンチは前記エピタキシャル層及び前記重ドープ半導体層を通過して前記半導体基板に到達するまで延伸し、各前記第1のトレンチはそれぞれ第1の方向に沿って延伸し、各前記第2のトレンチは前記第1の方向に直交する第2の方向に沿って延伸し、
前記第2のトレンチと前記第1のトレンチとにより複数の前記金属酸化物半導体部材が互いに仕切られてマトリックス状を成すように配列され、
前記開口は前記第1のトレンチ及び前記第2のトレンチのいずれにも連通しない、ことを特徴とする金属酸化物半導体モジュール。
【請求項2】
前記第1の導電タイプ及び第2の導電タイプにおけるいずれか1つはP型であり、他の1つはN型であることを特徴とする請求項1に記載の金属酸化物半導体モジュール。
【請求項3】
各前記金属酸化物半導体部材は、トレンチ金属酸化物半導体部材であることを特徴とする請求項1に記載の金属酸化物半導体モジュール。
【請求項4】
前記エピタキシャル層の上表面に配置され、且つ、前記ゲートパターン接点と、前記ソースパターン接点と、前記ドレインパターン接点との間に形成されて前記ソース区と前記ゲート区と前記ドレイン区とを互いに電気的に絶縁させる電気絶縁保護層を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の金属酸化物半導体モジュール。
【請求項5】
前記電気絶縁保護層はパッシベーション材料により作製されることを特徴とする請求項4に記載の金属酸化物半導体モジュール。
【請求項6】
前記重ドープ半導体層は前記エピタキシャル層より高いドーピング濃度を有することを特徴とする請求項1に記載の金属酸化物半導体モジュール。
【請求項7】
表示基板と、電源回路及び接地回路と、LEDアレイと、請求項1に記載の金属酸化物半導体モジュールと、を備える発光ダイオード表示装置であって、
前記表示基板は、表示エリアと、該表示エリアを取り囲む非表示エリアと、を有しており、
前記電源回路及び接地回路は、前記表示基板の前記非表示エリアに形成されており、
前記LEDアレイは、前記表示基板の前記表示エリアに配置され、且つ、複数の横列及び複数の縦列を有するマトリックス状に配置される複数のLEDを有しており、
前記金属酸化物半導体モジュールは、前記表示基板の前記非表示エリアに配置されることにより、前記金属酸化物半導体モジュールの各金属酸化物半導体部材の前記金属パターン接点ユニットが前記表示基板に接触することを特徴とする発光ダイオード表示装置。
【請求項8】
各前記金属酸化物半導体部材が有する前記ドレイン区は、それぞれ前記LEDの前記複数の横列の内の対応の1つの前記横列に電気的接続しており、
各前記金属酸化物半導体部材が有する前記ソース区は、前記電源回路に電気的接続しており、各前記金属酸化物半導体部材が有する前記ゲート区は、シーケンス信号を受信するように構成されて各前記金属酸化物半導体部材3のONステートが制御可能になり、駆動電流を各横列のLEDに供給することができることを特徴とする請求項7に記載の発光ダイオード表示装置。
【請求項9】
各前記金属酸化物半導体部材はP型の金属酸化物半導体部材であることを特徴とする請求項8に記載の発光ダイオード表示装置。
【請求項10】
各前記金属酸化物半導体部材において、前記ゲートパターン接点と前記ソースパターン接点と前記ドレインパターン接点とは、この順番で発光ダイオードアレイから離れる方向に沿って配置されていることを特徴とする請求項7に記載の発光ダイオード表示装置。
【請求項11】
各前記金属酸化物半導体部材が有する前記ドレイン区は、それぞれ前記LEDの前記複数の縦列の内の対応の1つの前記縦列に電気的接続しており、
各前記金属酸化物半導体部材が有する前記ソース区は、前記接地回路に電気的接続しており、各前記金属酸化物半導体部材が有する前記ゲート区は、シーケンス信号を受信するように構成されて各前記金属酸化物半導体部材のONステートまたはOFFステートが制御可能になり、駆動電流を各縦列のLEDに供給することができることを特徴とする請求項7に記載の発光ダイオード表示装置。
【請求項12】
各前記金属酸化物半導体部材はN型の金属酸化物半導体部材であることを特徴とする請求項11に記載の発光ダイオード表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体モジュール及びそれを含む発光ダイオード(LED)表示装置に関し、特に、金属酸化物半導体モジュール及びそれを含むLED表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ポータブル電子装置の小型化がより広まると共に、ポータブル電子装置に含まれる電子部材(例えば、金属酸化物半導体部材)もサイズの縮小及びパフォーマンスの向上が望まれている。しかし、このような半導体部材の小型化は半導体部材の半導体材料の特性及び該半導体部材を製作する従来の方法の様々な制限により、更に難しくなっている。従って、複数の半導体部材を1つの半導体モジュールに統合する際における配置を最適化する方法を開発することにより、半導体部材が電子回路基板に実装される際におけるカバー範囲(フットプリント)を縮小することは、半導体業界における1つの重要な目標である。
【0003】
従って、本発明の1つの目的は、従来技術の少なくとも1つの欠点を改善できる金属酸化物半導体モジュール及びそれを含む発光ダイオード(LED)表示装置を提供することである。
【0004】
また、金属酸化物半導体チップの製作に関する技術としては、例えば特許文献1に記載されるものが挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】台湾特許出願公開第201104863号明細書
【発明の概要】
【0006】
本発明によると、該金属酸化物半導体モジュールは、第1の導電タイプを有する半導体基板と、該半導体基板に形成され、且つ、第1の方向に沿って延伸する少なくとも1つの第1のトレンチにより仕切られて互いに間を空けて配置された複数の金属酸化物半導体部材と、を備えている。
【0007】
各前記金属酸化物半導体部材は、それぞれ第1の導電タイプとは反対の第2の導電タイプを有する重ドープ半導体層と、第2の導電タイプを有するエピタキシャル層と、金属パターン接点ユニットと、を備える。該重ドープ半導体層は前記半導体基板に形成されると共に、ドレイン区を有する。該エピタキシャル層は前記半導体基板の反対側に位置するように重ドープ半導体層に形成されると共に、前記重ドープ半導体層の前記ドレイン区をエピタキシャル層から部分的に露出させる開口を有するように形成されている。該エピタキシャル層内にソース区と該ソース区と間を空けて配置されたゲート区とが形成されている。該金属パターン接点ユニットは、ソースパターン接点と、ゲートパターン接点と、ドレインパターン接点と、を有する。該ソースパターン接点は重ドープ半導体層の反対側に位置するようにエピタキシャル層の上表面に形成されると共に、前記ソース区に電気的接続されている。該ゲートパターン接点は前記ソースパターン接点から離れるように前記エピタキシャル層の前記上表面に形成されていると共に、前記ゲート区に電気的接続されている。該ドレインパターン接点は前記重ドープ半導体層の露出する前記ドレイン区に形成されて該ドレイン区から前記エピタキシャル層の上表面まで延伸すると共に、前記ドレイン区に電気的接続されている。
【0008】
本発明によると、該LED表示装置は表示基板と、電源回路及び接地回路と、LEDアレイと、前記金属酸化物半導体モジュールと、を備える。前記表示基板は、表示エリアと該表示エリアを取り囲む非表示エリアとを有する。前記電源回路及び前記接地回路は、前記表示基板の前記非表示エリアに形成される。前記LEDアレイは前記表示基板の前記表示エリアに形成され、且つ、複数の横列及び複数の縦列を有するマトリックス状に配置される複数のLEDを有する。前記金属酸化物半導体モジュールは前記表示基板の前記非表示エリアに配置され、該金属酸化物半導体モジュールの各金属酸化物半導体部材の前記金属パターン接点ユニットは前記表示基板に接触する。
【0009】
本発明の他の特徴および利点は、添付の図面を参照する以下の実施形態の詳細な説明において明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明における金属酸化物半導体モジュールの第1の実施形態が示される上面概略図である。
図2図2は、図1におけるA‐A線に沿った断面概略図である。
図3図3は、本発明における金属酸化物半導体モジュールの第1の実施形態の製造工程が示される概略図である。
図4図4は、本発明における金属酸化物半導体モジュールの第1の実施形態の製造工程が示される概略図である。
図5図5は、本発明における金属酸化物半導体モジュールの第1の実施形態の製造工程が示される概略図である。
図6図6は、本発明における金属酸化物半導体モジュールの第1の実施形態の製造工程が示される概略図である。
図7図7は、本発明における金属酸化物半導体モジュールの第1の実施形態の製造工程が示される概略図である。
図8図8は、本発明における金属酸化物半導体モジュールの第1の実施形態の製造工程が示される概略図である。
図9図9は、本発明における金属酸化物半導体モジュールの第1の実施形態の製造工程が示される概略図である。
図10図10は、本発明における金属酸化物半導体モジュールの第1の実施形態の製造工程が示される概略図である。
図11図11は、本発明における金属酸化物半導体モジュールの第1の実施形態の製造工程が示される概略図である。
図12図12は、本発明における金属酸化物半導体モジュールの第2の実施形態が示される上面一部概略図である。
図13図13は、本発明の第1の実施形態の金属酸化物半導体モジュールを有するパワーコントロール装置の構成が示される断面概略図である。
図14図14は、本発明における発光ダイオード(LED)表示装置に含まれる金属酸化物半導体モジュール及びLEDアレイの構成が示される回路図である。
図15図15は、本発明における発光ダイオード(LED)表示装置に含まれる金属酸化物半導体モジュール及びLEDアレイの構成が示される回路図である。
図16図16は、本発明におけるLED表示装置に含まれる金属酸化物半導体モジュール及びLEDアレイ構成が示される回路図である。
図17図17は、本発明におけるLED表示装置に含まれる金属酸化物半導体モジュール及びLEDアレイ構成が示される回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明をより詳細に説明する前に、適切と考えられる場合において、符号又は符号の末端部は、同様の特性を有し得る対応の又は類似の要素を示すために各図面間で繰り返し用いられることに留意されたい。
【0012】
また、以下の説明及び特許請求の範囲に用いられる方向を指示する用語(例えば、前、後、左、右、上、下…など)に関しては、構成要素の間の相対的位置関係を説明するためのみに用いられるものであり、本発明の構成を限定する要素として解釈されるべきではないことに留意されたい。
【0013】
図1図2に示されるように、本発明の金属酸化物半導体モジュール20の第1の実施形態は、第1の導電タイプを有する半導体基板2と、該半導体基板2に形成されて第1の方向に沿って延伸する少なくとも1つの第1のトレンチ101により仕切られて互いに間を空けて配置された複数の金属酸化物半導体部材3と、を備えている。該金属酸化物半導体モジュール20は更に第1の方向に直交する第2の方向に沿って延伸する少なくとも1つの第2のトレンチ102を有することにより、この第2のトレンチ102と第1のトレンチ101とを用いて複数の金属酸化物半導体部材3を仕切ることができる。この実施形態において、第1の方向は長さ方向であり、第2の方向は幅方向である。該金属酸化物半導体モジュール20はアレイ状に配置された6つの金属酸化物半導体部材3を有し、この6つの金属酸化物半導体部材3は、1つの第1のトレンチ101と2つの第2のトレンチ102により仕切られている。一方、第1のトレンチ101と第2のトレンチ102の本数は金属酸化物半導体部材3の個数と配置によって変更することができるので、図1に示されるこの実施形態の構成に制限されない。例えば、金属酸化物半導体モジュール20が4つの金属酸化物半導体部材3を有する場合、3つの第2のトレンチ102により仕切られて第1の方向に沿って並ぶように構成することが可能であり、そして1つの第1のトレンチ101と1つの第2のトレンチ102により2×2のマトリックスを成すように配置することも可能である。
【0014】
各金属酸化物半導体部材3は、それぞれ第1の導電タイプとは反対の第2の導電タイプを有する重ドープ半導体層31と、第2の導電タイプを有するエピタキシャル層32と、金属パターン接点ユニット34と、電気絶縁保護層接点35と、を備える。各金属酸化物半導体部材3はトレンチ金属酸化物半導体部材であることができる。
【0015】
第1の導電タイプがP型である場合、第2の導電タイプはN型であり、第1の導電タイプがN型である場合、第2の導電タイプはP型である。この実施形態において、第1の導電タイプはP型であり、第2の導電タイプはN型である。
【0016】
即ち、第1の導電タイプ及び第2の導電タイプにおけるいずれか1つはP型であり、他の1つはN型である。
【0017】
重ドープ半導体層31は半導体基板2に形成されていると共に、ドレイン区3431を有する。エピタキシャル層32は半導体基板2の反対側にあるように重ドープ半導体層31の表面に形成され、且つ、重ドープ半導体層31のドレイン区3431を部分的に露出させる開口33が形成されている。重ドープ半導体層31はエピタキシャル層32より高いドーピング濃度を有する。
【0018】
開口33はエピタキシャル層32のコーナー部分に形成されることが可能であり、開口画成面により画成される。該開口画成面の断面の形状は円形、四角形、楕円形、三角形などの形であることができる。この実施形態において、各金属酸化物半導体部材3の開口33は第1のトレンチ101及び/または第2のトレンチ102に連通している。この実施形態において、開口画成面の断面形状は矩形であり、エピタキシャル層32の一部であり互いに繋がっている2つの側壁321が含まれている。エピタキシャル層32内にソース区3411と該ソース区3411と間を空けて配置されたゲート区3421とが形成されている。ゲート区3421とソース区3411の構造については、当該の技術分野において通常の知識を有する者であれば作成することができるので、ここでは詳しい説明を省略する。ゲート区3421はトレンチ構造もしくは平面構造を有することができるが、これに制限されることはない。
【0019】
金属パターン接点ユニット34は、ソースパターン接点341と、ゲートパターン接点342と、ドレインパターン接点343と、を有する。ソースパターン接点341は重ドープ半導体層31の反対側に位置するようにエピタキシャル層32の上表面に形成されていると共に、ソース区3411に電気的接続されている。ソースパターン接点341はソース区3411と合わせてソース電極(S)を構成する。ゲートパターン接点342はソースパターン接点341から間を空けるようにエピタキシャル層32の上表面に形成され、且つ、ゲート区3421に電気的接続されている。ゲートパターン接点342はゲート区3421と合わせてゲート電極(G)を構成する。ドレインパターン接点343は重ドープ半導体層31のドレイン区3431に配置されて該ドレイン区3431から側壁321に沿ってエピタキシャル層32の上表面まで延伸し、且つ、ドレイン区3431に電気的接続されている。ドレインパターン接点343はドレイン区3431と合わせてドレイン電極(D)を構成する。
【0020】
場合によって、ドレイン区3431の露出するエリアの範囲は開口33より小さくすることもできる。これによって、ドレインパターン接点343が第1のトレンチ101及び/または第2のトレンチ102に延伸しないことを確保することができる。また、場合によって、隣り合う2つの金属酸化物半導体部材3の間の距離(w1)を開口33の幅(w2)より狭くすることもできる(図1参照)。これにより、金属酸化物半導体モジュール20全体のサイズを小さくすることができる。
【0021】
電気絶縁保護層35はエピタキシャル層32の上表面に配置され、且つ、ゲートパターン接点342と、ソースパターン接点341と、ドレインパターン接点343との間に形成されることにより、ソース区3411とゲート区3421とドレイン区3431とを互いに電気的に絶縁させ、即ちゲート電極(G)とソース電極(S)とドレイン電極(D)とを電気的に絶縁することができる。また、場合によって電気絶縁保護層35をパッシベーション材料で作成することができる。
【0022】
このようにデザインされた複数の金属酸化物半導体部材3がパッケージ用の1つの半導体基板2に形成されることにより、本発明の金属酸化物半導体モジュール20の印刷回路基板におけるカバーする範囲(フットプリント)を縮小し、製造コストを減らすことができる。
【0023】
更に、ドレインパターン接点343が重ドープ半導体層31のドレイン区3431から開口33を経由してエピタキシャル層32の上表面まで延伸するので、各金属酸化物半導体部材3のソース電極(S)とゲート電極(G)とドレイン電極(D)とは同一の平面(即ち、エピタキシャル層32の上表面)に形成することができ、金属酸化物半導体モジュール20のパッケージ工程を単純化することができる。また、ドレインパターン接点343が金属酸化物半導体部材3のコーナー部分に配置されるので、外部電源がドレインパターン接点343に接触して電力を提供することがより簡単になる。
【0024】
図3図11に上記本発明の金属酸化物半導体モジュール20の製造方法が示されている。
【0025】
まず、図3に示されるように、重ドープ半導体層31とエピタキシャル層32とを半導体基板2に順次形成してウェハを作成する。半導体基板2はP型の導電タイプを有し、重ドープ半導体層31及びエピタキシャル層32はN型の導電タイプを有する。
【0026】
次いで、図4に示されるように、エピタキシャル層32に対し上表面からエッチングすることにより、複数の仕切トレンチ33’を形成し、重ドープ半導体層31の一部及びエピタキシャル層32の側壁322、323を露出させる。更に、図5に示されるように、仕切トレンチ33’はこの後各金属酸化物半導体部材3(即ち仮想線により示されるエリア)に形成される開口33の位置に対応してマトリックス状に配列される。仕切トレンチ33’の位置、サイズ、形状については、この実施形態により制限されるものではなく、必要に応じて変更を加えることが可能である。この実施形態において、仕切トレンチ33’ は形成される各金属酸化物半導体部材3のコーナー部分に配置され、且つ、サイズはすべて同一である。
【0027】
それから、図6に示されるように、エピタキシャル層32及び重ドープ半導体層31の露出部分に金属層34’を積層して形成する。詳しく説明すると、金属層34’はエピタキシャル層32の上表面及び側壁322、323と、重ドープ半導体層31の露出する部分をカバーする。
【0028】
次いで、図7に示されるように、金属層34’はフォトリソグラフィ処理により金属パターン接点ユニット34に形成される。詳しく説明すると、金属層34’のエピタキシャル層32の各側壁323及び重ドープ半導体層31の側壁323に直接に連結している一部をカバーする部分が除去され、金属層34’のエピタキシャル層32の上表面にある他の部分はパターンとして残される。これにより、エピタキシャル層32の側壁323及び重ドープ半導体層31の側壁323に直接に連結している一部は金属層34’から露出するようになり、そして金属層34’の残された部分は金属パターン接点ユニット34として各金属酸化物半導体部材3に形成される。金属パターン接点ユニット34はソースパターン接点341と、ゲートパターン接点342と、ドレインパターンコンタク343と、を有し、それらは互いに間を空けて配置されている。
【0029】
それから、図8に示されるように、エピタキシャル層32及び重ドープ半導体層31の金属パターン接点ユニット34から露出される部分に、電気絶縁保護層35を積層して形成する。詳しく説明すると、電気絶縁保護層35はエピタキシャル層32の上表面においてソースパターン接点341と、ゲートパターン接点342と、ドレインパターンコンタク343と各側壁323との間の露出部分に充填されるので、ソースパターン接点341と、ゲートパターン接点342と、ドレインパターンコンタク343は電気絶縁保護層35により互いに電気的に絶縁するようになる。
【0030】
次いで、図9及び図10に示されるように、これから作成される各金属酸化物半導体モジュール20に対してそれぞれ長さ方向に沿って延伸する1つの第1のトレンチ101と、第1のトレンチ101に直交して幅方向に沿って延伸する2つの第2のトレンチ102とを形成する。詳しく説明すると、該ウェハはエッチング処理を受けることにより、エピタキシャル層32の側壁323をカバーする電気絶縁保護層35の一部と、重ドープ半導体層31をカバーするドレインパターン接点343の一部と、重ドープ半導体層31の一部とを除去して、半導体基板2を部分的に露出させる。つまり、各第1のトレンチ101及び第2のトレンチ102はエピタキシャル層32及び重ドープ半導体層31を通過して半導体基板2に到達するまで延伸するので、複数の金属酸化物半導体部材3が互いに分離される半導体基板2を作製することができる。各仕切トレンチ33’は各金属酸化物半導体部材3がそれぞれ有する1つの開口33として形成される。なお、この実施形態において、第1のトレンチ101及び第2のトレンチ102は仕切トレンチ33’(図5参照)と部分的に重なっているので、これにより形成される各開口33は第1のトレンチ101及び第2のトレンチ102と連通するようになる。一方、開口33が第1のトレンチ101とのみもしくは第2のトレンチ102とのみ連通するように構成することも可能である。
【0031】
最後に、図10及び図11に示されるように、該ウェハをスクライブラインCに沿ってダイシングして半導体基板2を切削することにより、第1のトレンチ101及び第2のトレンチ102により仕切られる6つの金属酸化物半導体部材3をそれぞれ有する複数の金属酸化物半導体モジュール20を取得する。なお、 第1のトレンチ101及び第2のトレンチ102は各金属酸化物半導体部材3を互いに電気的に隔絶するためにあるに過ぎないので、第1のトレンチ101及び第2のトレンチ102の幅(即ち、隣り合う2つの金属酸化物半導体部材3の間の距離)が比較的に狭くても、中電圧もしくは低電圧の金属酸化物半導体部材3には十分である。場合によっては、各第1のトレンチ101及び第2のトレンチ102の幅(w1)をスクライブラインCの幅(w3)より狭く構成することにより、ウェハをより効果的に利用することができる。
【0032】
図12に示されるように、本発明の金属酸化物半導体モジュール20の第2の実施形態は、第1の実施形態に類似する方法により製作されるが、この第2の実施形態において、開口33が第1のトレンチ101及び/または第2のトレンチ102に連通しない点において異なっている。つまり、この第2の実施形態の金属酸化物半導体モジュール20を製作する際において仕切トレンチ33’は第1のトレンチ101及び第2のトレンチ102と重ならない。これにより、隣り合う2つの金属酸化物半導体部材3の間の距離(即ち、第1のトレンチ101及び第2のトレンチ102の幅(w1))を増やすことができ、これにより、ウェハから金属酸化物半導体モジュール20を切り出す際において、第1のトレンチ101及び第2のトレンチ102をスクライブラインとして利用することができる。ウェハから取得する各金属酸化物半導体モジュール20のサイズは、必要に応じて変更することができる。つまり、第1のトレンチ101及び第2のトレンチ102をスクライブラインとして利用することができるので、ウェハから取得する各金属酸化物半導体モジュール20が有する金属酸化物半導体部材3の数も必要に応じて変更することができるようになる。例えば、この実施形態において、金属酸化物半導体モジュール20aが6つの金属酸化物半導体部材3における2つを有し、そして金属酸化物半導体モジュール20bが6つの金属酸化物半導体部材3における他の4つを有するように構成されることもできる。
【0033】
場合によっては、第1のトレンチ101及び/または第2のトレンチ102を電気絶縁材料(図示せず)で充満することもでき、これにより各金属酸化物半導体部材3を互いに電気的に絶縁させることができる。この場合、第1のトレンチ101及び第2のトレンチ102の幅を更に狭くすることができると共に、金属酸化物半導体モジュール20の構造的強度を強化することもできる。
【0034】
図13に示されているように、パワーコントロール装置30は電子回路基板301と、第1の実施形態の金属酸化物半導体モジュール20とを備えている。この電子回路基板301の上表面に回路パターン302が印刷されている。金属酸化物半導体モジュール20はフリップされた状態で電子回路基板301の上表面に配置されるので、各金属酸化物半導体部材3のソースパターン接点341とゲートパターン接点342とドレインパターンコンタク343は、例えばソルダー303によりそれぞれ個別的に電子回路基板301の回路パターン302に電気的接続されている。また、金属酸化物半導体モジュール20は導電接着剤により電子回路基板301に接着されることもできる。
【0035】
図14図17に示されるように、本発明によると発光ダイオード(LED)表示装置40は、表示基板41と、LEDアレイ42と、電源回路43と、接地回路44と、本発明の金属酸化物半導体モジュール20と、を備える。
【0036】
このLED表示装置40は、金属酸化物半導体モジュール20の複数の金属酸化物半導体部材3を用いて該LEDアレイを制御するあらゆる表示または発光装置であることができる。例えば、該LED表示装置40としてパッシブマトリクス型LED表示装置を用いることができるが、これに限られることはない。
【0037】
該表示基板41は表示エリア41aと、該表示エリア41aを取り囲む非表示エリア41bとを有する。該電源回路43及び接地回路44は非表示エリア41bに形成されると共に、電力を供給するように構成されている。
【0038】
該LEDアレイ42は表示基板41の表示エリア41aに配置され、且つ、複数の横列(row0、row1~rownとして表記)及び複数の縦列(col0、col1~colnとして表記)を有するマトリックス状に配置される複数のLEDを有する。LEDアレイ42が有するLEDは、いずれも横列と縦列との交差点に配置されている。
【0039】
金属酸化物半導体モジュール20は表示基板41の非表示エリア41bに配置されることにより、金属酸化物半導体モジュール20の各金属酸化物半導体部材3の金属パターン接点ユニット34は図13に類似する状態で表示基板41に接触する。
【0040】
この実施形態において、図14及び図15に示されているLED表示装置40が有する金属酸化物半導体部材3は、1つの縦列(MOS0、MOS1~MOSm/MOSnとして表記)に配列されている。各金属酸化物半導体部材3については、ゲートパターン接点342とソースパターン接点341とドレインパターン接点343とは、この順番で発光ダイオードアレイ42から離れる方向に沿って配置されている。各金属酸化物半導体部材3としてはP型の金属酸化物半導体部材を用いることができる。各金属酸化物半導体部材3が有するドレイン区3431(D0、D1~Dm/Dnとして表記)は、それぞれLEDの複数の横列における対応の1つの横列に電気的接続している。各金属酸化物半導体部材3が有するソース区3411(S0、S1~Sm/Snとして表記)は、電源回路43に電気的接続し、駆動電流の供給を受ける。そして各金属酸化物半導体部材3が有するゲート区3421(G0、G1~Gm/Gnとして表記)は、シーケンス信号を受信するように構成されることにより、各金属酸化物半導体部材3のONステートまたはOFFステートが制御可能になる。従って、各金属酸化物半導体部材3(MOS0~MOSm/MOSn)がシーケンス信号によりONステートに切り替えられると、駆動電流を各横列(row0~rown)のLEDに供給することができる。
【0041】
図16及び図17に示されるもう1つの実施形態において、LED表示装置40が有する金属酸化物半導体部材3は1つの縦列(MOS0、MOS1~MOSm/MOSnとして表記)に配列されている。各金属酸化物半導体部材3については、ゲートパターン接点342とソースパターン接点341とドレインパターン接点343とは、この順番で発光ダイオードアレイ42から離れる方向に沿って配置されている。各金属酸化物半導体部材3としてはN型の金属酸化物半導体部材を用いることができる。各金属酸化物半導体部材3が有するドレイン区3431(D0、D1~Dm/Dnとして表記)は、それぞれLEDの複数の縦列における対応の1つの縦列(col0、col1~colnとして表記)に電気的接続している。各金属酸化物半導体部材3が有するソース区3411(S0、S1~Sm/Snとして表記)は接地回路44に電気的接続し、そして各金属酸化物半導体部材3が有するゲート区3421(G0、G1~Gm/Gnとして表記)がシーケンス信号を受信するように構成されることにより、各金属酸化物半導体部材3のONステートまたはOFFステートが制御可能になる。従って、各金属酸化物半導体部材3(MOS0~MOSm/ MOSn)がシーケンス信号によりONステートに切り替えられると、駆動電流を各縦列(col0、col1~coln)のLEDに供給することができる。
【0042】
LEDアレイのONステートまたはOFFステートを制御する複数のスイッチ要素を有する従来の制御ユニットを本発明の金属酸化物半導体モジュール20に置き換えることにより、LED表示装置40の回路配置を簡単化することができ、これにより製作コストを削減することもできる。
【0043】
以上をまとめると、複数の金属酸化物半導体部材3を同一の半導体基板に配列することにより、本発明の金属酸化物半導体モジュール20は直接にチップスケールのパッケージに用いられることができ、印刷回路基板に実装される際におけるフットプリントを縮小し、製造コストを減らすことができる。
【0044】
更に、ドレインパターン接点343が重ドープ半導体層31の露出するドレイン区から開口33を経由してエピタキシャル層32の上表面にまで延伸するように構成されることにより、各金属酸化物半導体部材3のドレイン電極(D)はソース電極(S)及びゲート電極(G)と同一の平面に配置することが可能となり、ドレイン電極(D)が外部からの電力供給を受けることを確保することができる。
【0045】
上記においては、本発明の全体的な理解を促すべく、多くの具体的な詳細が示された。しかしながら、当業者であれば、一またはそれ以上の他の実施形態が具体的な詳細を示さなくとも実施され得ることが明らかである。また、本明細書における「一つの実施形態」「一実施形態」を示す説明において、序数などの表示を伴う説明は全て、特定の態様、構造、特徴を有する本発明の具体的な実施に含まれ得るものであることと理解されたい。さらに、本説明において、時には複数の変更例が一つの実施形態、図面、またはこれらの説明に組み込まれているが、これは本説明を合理化させるためのもので、また、本発明の多面性が理解されることを目的としたものであり、また、一実施形態における一またはそれ以上の特徴あるいは特定の具体例は、適切な場合には、本開示の実施において、他の実施形態における一またはそれ以上の特徴あるいは特定の具体例と共に実施され得る。
【0046】
以上、本発明の好ましい実施形態及び変更例を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、最も広い解釈の精神および範囲内に含まれる様々な構成として、全ての修飾および均等な構成を包含するものとする。
図1
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