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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-06
(45)【発行日】2023-02-14
(54)【発明の名称】支持装置
(51)【国際特許分類】
   B62B 3/06 20060101AFI20230207BHJP
   F16M 13/00 20060101ALI20230207BHJP
【FI】
B62B3/06 A
F16M13/00 S
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018164090
(22)【出願日】2018-09-01
(65)【公開番号】P2020037284
(43)【公開日】2020-03-12
【審査請求日】2021-08-06
(73)【特許権者】
【識別番号】592127965
【氏名又は名称】NKE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167438
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100166800
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 裕治
(72)【発明者】
【氏名】本間 岬
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-091580(JP,A)
【文献】実開平01-082977(JP,U)
【文献】特開2017-088332(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62B 3/06
F16M 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向から受け入れた支持対象物の把持部を前記第1方向と直交する第2方向の両側から支持する支持装置において、
前記支持対象物の前記第2方向の両側を前記第1方向に沿って延伸する一対のアームと、
前記第1方向と平行な状態で前記一対のアームから他のアーム側に張り出して前記把持部下方から当接する当接部材と
を備え、
前記当接部材の少なくとも一方の当接部材における前記第1方向の両端部は、一端部が前記第1方向と前記第2方向とに直交する第3方向を回転軸として前記アームに回転自在に取り付けられた連結部材の他端部に、前記第3方向を回転軸として回転自在に取り付けられ
前記当接部材は、前記アームにおける前記第1方向の前記支持対象物の受入側端部に設けられ、
前記一対のアームは、前記当接部材に対して前記受入側端部と反対側に、前記第1方向の受入側に近づくにしたがって前記第2方向の外方へ広がる傾斜面を有する
支持装置。
【請求項2】
前記当接部材の上面は、前記傾斜面の下端よりも下方にあり、前記傾斜面に対して前記受入側端部と反対側部分の下端よりも上方に位置する又は前記反対側部分の下端と一致している
請求項1に記載の支持装置。
【請求項3】
前記一対のアームは、前記第1方向に延伸する一対の延伸部により、前記第1方向に移動可能に支持されると共に、前記一対の延伸部に対して前記第1方向の移動を規制する規制部を有し、
前記規制部は、前記第2方向を回転軸として前記一対のアームに回転可能に支持された板部材から下方に張り出す張出部分を備え、前記延伸部の凹部又は貫通孔に前記張出部分が嵌ることで前記一対のアームの移動を規制する
請求項1又は2に記載の支持装置。
【請求項4】
前記支持対象物は、上方から見ると矩形状の箱状をし、
前記アームに対し前記当接部材が最も遠い位置となるように前記第2方向に付勢する付勢手段を備え、
前記付勢手段は、前記連結部材における他端部と前記アームとの間に設けられたばね部材であり、
前記一対のアームにおける前記第1方向の前記受入側端部と反対側の端部を連結するアーム連結体を備え、
前記支持対象物における前記第1方向と直交する端部であって最初に受け入れられる側の端部を支持する連結側支持部材が前記アーム連結体に設けられ
前記一対のアームの前記当接部材と前記連結側支持部材とが、上方から見たときに、二等辺三角形の頂点に位置している
請求項1~3の何れか1項に記載の支持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持対象物を支持するための支持装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
支持装置として、例えば、「角柱及び丸柱及び自由形状をなした棒状の先端にローラーが装着され、複数カ所に軸金を有するフランジ受けと、上記フランジ受けに設けられた軸金を挿入するための、縦長溝孔を有する縦長溝孔付受け台、及び、軸孔を有する軸孔付受け台が蝶着された連結バーを左右に設けた可動受け台装置」が開示されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-91580号公報
【文献】特開平6-127392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の支持装置は、支持対象物を支持する支持部材(特許文献1における「フランジ受け」に相当する)を可動とさせるための構造が複雑である。
本発明が解決しようとする課題は、支持対象物を簡単な構造で支持できる支持装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る支持装置は、第1方向から受け入れた支持対象物の把持部を前記第1方向と直交する第2方向の両側から支持する支持装置において、前記支持対象物の前記第2方向の両側を前記第1方向に沿って延伸する一対のアームと、前記第1方向と平行な状態で前記一対のアームから他のアーム側に張り出して前記把持部を下方から当接する当接部材とを備え、前記当接部材の少なくとも一方の当接部材における前記第1方向の両端部は、一端部が前記第1方向と前記第2方向とに直交する第3方向を回転軸として前記アームに回転自在に取り付けられた連結部材の他端部に、前記第3方向を回転軸として回転自在に取り付けられている。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、支持対象物を支持する構造が簡単となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】パレットを支持する支持ユニットを備える搬送装置の斜視図である。
図2】搬送装置の斜視図である。
図3】搬送装置を前方から見た図である。
図4】移動部を説明するための図である。
図5】支持ユニットの斜視図であり、一部を切り欠いている。
図6】パレットの支持状態を示す図である。
図7】支持部を説明するための図である。
図8】支持部とアームとの位置関係を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<概要>
本発明の一態様に係る支持装置は、第1方向から受け入れた支持対象物の把持部を前記第1方向と直交する第2方向の両側から支持する支持装置において、前記支持対象物の前記第2方向の両側を前記第1方向に沿って延伸する一対のアームと、前記第1方向と平行な状態で前記一対のアームから他のアーム側に張り出して前記把持部を下方から当接する当接部材とを備え、前記当接部材の少なくとも一方の当接部材における前記第1方向の両端部は、一端部が前記第1方向と前記第2方向とに直交する第3方向を回転軸として前記アームに回転自在に取り付けられた連結部材の他端部に、前記第3方向を回転軸として回転自在に取り付けられている。
【0009】
別態様の係る支持装置において、前記アームに対し前記当接部材が最も遠い位置となるように付勢する付勢手段を備える。これにより、第2方向の寸法が一定でない支持対象物を安定して支持できる。
別態様の係る支持装置において、前記付勢手段は、前記連結部材における他端部と前記アームとの間に設けられたばね部材である。これにより簡単且安価に実施できる。
別態様の係る支持装置において、前記当接部材は、前記アームにおける前記第1方向の前記支持対象物の受入側端部に設けられ、前記一対のアームにおける前記第1方向の前記受入側端部と反対側の連結側端部を連結するアーム連結体を備え、前記支持対象物における前記第1方向と直交する端部であって最初に受け入れられる側の端部を支持する連結側支持部材が前記アーム連結体に設けられている。これにより支持対象物を安定して支持できる。
【0010】
<実施形態>
以下、実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
1.全体構成
図1を用いて説明する。
搬送装置Aは、支持対象物の一例であるパレット9を受け入れて当該パレット9を支持する支持ユニット1を備える。なお、支持ユニット1は本発明の支持装置の一例に相当する。
搬送装置Aは、台車ユニット5を備え、パレット9の受け入れ位置やパレット9の受け渡し位置へ移動したり、受け入れたパレット9を搬送したりできる。
搬送装置Aは、支持ユニット1を昇降させる昇降ユニット7を備え、受け入れたパレット9を上げ下げできる他、受け入れ位置や受け渡し位置に合わせた支持ユニット1を上下に移動させることができる。
【0012】
ここで、図1に示すように、パレット9を受け入れる方向を前後方向(図中の「X」である)とし、パレット9を受け入れる側を前側とし、パレット9を昇降させる方向を上下方向(図中の「Y」である)とし、前後方向と上下方向とに直交する方向を幅方向(図中の「Z」である)とする。なお、前後方向は本発明の「第1方向」の一例に相当し、幅方向は本発明の「第2方向」の一例に相当し、上下方向は本発明の「第3方向」の一例に相当する。
以下、各構成について説明する。
【0013】
2.各ユニット構成
図2を主に用いて説明する。
(1)台車ユニット
台車ユニット5はベース50と車輪51とを備える。
ここでのベース50は、上方から見ると前方が開放する「コ」字状をするコ字状部52と、コ字状部52から後方に張り出す後ろ後板部53とを有している。
「コ」字状を構成する一対の延伸部分52aのそれぞれの前側部分に車輪51が設けられ、後板部53の幅方向の両側に車輪51が設けられている。なお、後板部53の幅方向の中央部分にストッパ(例えば、ハンマーロック)55が設けられている。
【0014】
(2)昇降ユニット
昇降ユニット7は、図2に示すように、支持ユニット1を前後方向に移動可能に支持する前後支持部71と、前後支持部71を上下方向に移動可能に支持する上下支持部73と、上下支持部73に支持された前後支持部71を昇降させる昇降部75とを備える。
【0015】
(2-1)前後支持部
図3に示すように、前後支持部71は、幅方向に間隔をおいて配された一対の前後延伸部711と、一対の前後延伸部711の後端部を連結する後連結部713とを有する。
前後延伸部711は、図2及び図4に示すように、横断面形状が「コ」字状をし、その開口同士が対向するように設けられている。支持ユニット1の前後方向の移動は、前側が前後延伸部711の前端を塞ぐ蓋部715により、後側が後連結部713によりそれぞれ規制される。
後連結部713には、図2に示すように、幅方向と直交する板部分713aが幅方向の両端に設けられ、当該1個の板部分713aに上下移動用の車輪(ベアリング)713bが上下に間隔をおいて2個取付けられている。
【0016】
(2-2)上下支持部
上下支持部73は、図2及び図3に示すように、幅方向に間隔をおいて上下方向に延伸する一対の上下延伸部731と、一対の上下延伸部731の上端部を連結する上連結部733とを有する。一対の上下延伸部731はベース50のコ字状部52の連結部52bの幅方向の両端から立設する。
上下延伸部731は、図2に示すように、横断面形状が「C」字状(リップ溝形)をし、その開口同士が対向するように設けられている。支持ユニット1の上下方向の移動は、上側は上連結部733により、下側はベース50によりそれぞれ規制される。
【0017】
(2-3)昇降部
昇降部75は、図3に示すように、上下に設けられた2個の滑車751,753と、2個の滑車751,753を経由するように掛け渡された線条体755と、線条体755を送り出し又は引き込みするハンドウインチ757とを備える。
2個の滑車751,753は上連結部733とベース50の連結部52bとに取り付けられている。2個の滑車751,753は例えばスプロケットが利用され、線条体755は例えば無端チェーンが利用されている。線条体755は上下支持部73の取付板735に固定されたハンドウインチ757を経由するように設けられている。
ハンドウインチ757のハンドル757aを回転操作することで、線条体755が送り出し又は引き込まれ、線条体755に固定された前後支持部71が昇降する。
【0018】
(3)支持ユニット
支持ユニット1は、図2に示すように、前後支持部71の一対の前後延伸部711間に架設され、前後方向に移動可能に支持されている。支持ユニット1は、図1に示すように、前側から受け入れたパレット9を幅向の両側から支持する。
支持ユニット1は、パレット9の幅方向の両側を前後方向に沿って延伸する一対のアーム11と、前後方向と平行な状態で一対のアーム11から他のアーム11側に張り出してパレット9の把持部91を下方から支持する支持部13とを備える。
ここでの支持ユニット1は、一対のアーム11の後端を連結するアーム連結体12を備える。支持ユニット1は、アーム連結体12に取り付けられ且つ前後支持部71の前後延伸部711内を前後に移動するための移動部14を備える。
【0019】
(3-1)アーム
一対のアーム11は、例えば、図4の(b)及び図5に示すように、断面形状が「コ」字状をするアーム本体111を備える。なお、アーム本体111の「コ」字の開口は幅方向における他方のアーム本体111と対向する。アーム11の前端部はパレット9を受け入れる側の受入側端部となり、アーム11の後端部は受入側端部と反対側端部(連結側端部)となる。
ここでのアーム11は、アーム本体111と、アーム本体111の前側部分を除いた部分を幅方向の他方のアーム本体111側から覆う蓋体113とを備える。アーム本体111と蓋体113とは溶接等で一体化され、その後端がベース板115に取り付けられている。
蓋体113は、幅方向の内方(他方のアーム11側)へ屈曲する屈曲部113aを後端に有する。屈曲部113aは、ベース板115に当接する状態で、ベース板115に固定(例えば、溶接)される。
ベース板115は、その断面形状が「L」字状をし、図5に示すように、断面形状が「コ」字状のアーム連結体12の前面と上面とに当接する状態でアーム連結体12に固定されている。「L」字状のベース板115と「コ」字状のアーム連結体12とにより、安定した状態でベース板115をアーム連結体12に当接(固定)できる。
【0020】
固定は、図5に示すように、ねじ体191により行われ、ベース板115の貫通孔115aを表側(前面側又は上面側)から挿通するねじ体191がアーム連結体12の貫通孔12aを通り、アーム連結体12の裏側(後面側又は下面側)に配された固定板117(図6の(b)参照)のねじ孔(図示省略)に螺合する。
ここでは、アーム連結体12の貫通孔12aは幅方向に長い長孔となっている。これにより、一対のアーム11の間隔を変更可能にアーム連結体12にアーム11を固定できる。なお、蓋体113にはねじ体191を付け外しする際に工具を通すための貫通孔又は欠部113bが設けられている。
【0021】
蓋体113は、図5に示すように、前端部113cが傾斜面となっている。傾斜面は、前後方向を前側に近づくにしたがって、幅方向の外方へと広がる。これにより、前後方向に対して傾斜する状態で受け入れたパレット9を前後方向と平行な状態に誘導(修正)できる。なお、パレット9を平行な状態にすることで、後述の当接部材131とパレット9の把持部91との当接面積を広くすることができ、安定した状態でパレット9を支持できる。
【0022】
(3-2)支持部
支持部13は一対のアーム11の前端部であって幅方向の内側(他方のアーム11と対向する側)に設けられている。支持部13は、図6の(a)に示すように、パレット9の把持部91を下方から支持する。
一対の支持部13は、その間隔が変更可能にアーム11に設けられている。例えば、一対の支持部13は、パレット9を一対のアーム11間に受け入れる際に支持部13の間隔が広がり、パレット9の受け入れ後に支持部13の間隔が狭くなるように構成されている。これにより、図6に示すように上方から見ると矩形状の箱状をし、その角部分に縦リブ93があるパレット9であっても、パレット9を受入でき且つパレット9の把持部91を下方から支持できる。
【0023】
支持部13は、図7に示すように、パレット9の把持部91に対して下方から当接する当接部材131を備え、当該当接部材131がアーム11に対して遠近自在に設けられている。
具体的には、支持部13は、前後方向に延伸する当接部材131と、当接部材131の前後方向の両端部とアーム11とを連結する一対の連結部材133とを備える。連結部材133は、その他端部が上下方向を回転軸として回転自在に当接部材131に取り付けられ、その一端部が上下方向を回転軸として回転自在にアーム11に取り付けられている。これにより、前後方向に延伸する当接部材131は、前後方向と平行な状態を維持して、アーム11に対して遠近自在となる。
【0024】
当接部材131は、ここでは、横断面が矩形状の棒状をし、前後方向の両端部に上下方向の段付きの貫通孔131aを有する。当該貫通孔131aにはねじ体192が挿通する。なお、ねじ体192は連結部材133の延伸端部(他端部)のねじ穴に螺合する。なお、当接部材131の前後方向の両端部であってアーム11と離れた角部は面取りされている。これにより、パレット9の受け入れ(当接)に伴って当接部材131がスムーズにアーム11側に移動できる。
【0025】
当接部材131の上面は、図8の(a)に示すように、蓋体113の前端部113cの傾斜面の下端より下方にあり、蓋体113の前端部より後方に位置する後方部分113dの下端よりも上方又は下端とほぼ一致している。これにより、パレット9の把持部91が当接部材131により支持されると、パレット9の把持部91の幅方向の端面が傾斜面(113c)や後方部分113dと対向することとなり、前後方向に対して傾斜したパレット9を受け入れても、パレット9の受け入れ側の端部がアーム連結体12に近づくにしたがって前後方向と平行となり、パレット9の受け入れ側の端部が後述の連結側支持部材18により確実に支持される。
【0026】
当接部材131がアーム11側に移動してアーム11側(正確には、連結部材133を支持する固定板16の延伸部161である)に当接した状態では、図8の(b)に示すように、当接部材131における他方のアーム11側の面131bは、蓋体113の後方部分113dにおける他方のアーム11側の面よりもアーム本体111側に位置する。これにより、パレット9を受け入れる際に、一対の当接部材131間を通過したパレット9は、必ずアーム連結体12側まで受け入れられ、連結側支持部材18により支持される。
【0027】
連結部材133は、アーム11の前端部から幅方向又は幅方向と傾斜する方向に延伸する。連結部材133の延伸端部(他のアーム11側)には、当接部材131を上下方向の回転軸廻りに回転自在に固定するためのねじ体192用のねじ穴が設けられている(図示省略)。なお、連結部材133の延伸端部の角部分は面取りされている。これにより、パレット9の受け入れ(当接)に伴って連結部材133がアーム11側の回転軸廻りにスムーズに回転できる。
連結部材133の延伸基部には、アーム11に対して上下方向の回転軸廻りに回転自在に固定するための貫通孔(図示省略)が設けられている。この貫通孔を後述の軸体193が挿通する。
【0028】
連結部材133の延伸基部は、「コ」字状をするアーム本体111の下方側の延伸部分111aと、アーム本体111の前端部に取り付けられた「L」字状の固定板16の延伸部161との間に配され、延伸基部の貫通孔を軸体193が上下方向に挿通する。これにより、連結部材133が軸体193の軸心廻りに回転自在に固定される。
軸体193の中心軸は上述の回転軸であり、固定板16の延伸部161上面とアーム本体111の延伸部分111aの下面とでねじ体194により固定されている。
ここでの連結部材133は、幅方向に延伸する第1延伸部133aと、上下方向に延伸する第2延伸部133bとを直交する状態で備え、第2延伸部133bがアーム本体111に取り付けられる。つまり、第2延伸部133bの延伸方向が上下方向となっている。
【0029】
アーム11には、当該アーム11に対し当接部材131が最も遠くなるように付勢する付勢手段17が設けられている。付勢手段17には例えばばね部材(引張ばね)が利用されている。ばね部材は、図7の(b)に示すように、第1延伸部133aと第2延伸部133bとを「L」字状に有する連結部材133の欠け部分を利用して配されている。
ばね部材の一端は当接部材131側(具体的には連結部材133の延伸端部)に、他端がアーム11側(具体的にはアーム本体111の延伸部分111a)にそれぞれ固定されている。なお、固定にはねじ体195が利用されている。
これにより、当接部材131が受け入れ時のパレット9の縦リブ93に当接してアーム11側に一端近接(移動)しても、縦リブ93の通過後に当接部材131がアーム11に対して離れるように動作する。このように縦リブ93があるようなパレット9においても確実に把持部91を下方から支持できる。
【0030】
移動部14は、図5に示すように、幅方向と直交し且つアーム連結体12の両端に固定された板部材141と、板部材141の上部側に設けられた複数個の上側車輪(ベアリング)142と、板部材141の下部側に設けられた複数個の下側車輪(ベアリング)143とを備える。上側車輪142及び下側車輪143は前後方向に間隔をおいて2個ある。
図4に示すように、上側車輪142は前後延伸部711の上壁711bに当接し、下側車輪143は下壁711cに当接する。なお、上壁711b及び下壁711cにおいて、上側車輪142及び下側車輪143が当接する当接部分の幅方向の外方には段差711dが形成されている。上壁711bの段差711dは、幅方向を他のアーム11と反対側に移る際に下方に下がる段差である。下壁711cの段差711dは、幅方向を他のアーム11と反対側に移る際に上方へ上がる段差である。これにより、上側車輪142と下側車輪143との走行領域が規制され、支持ユニット1が前後方向に安定した軌道で移動できる。
【0031】
移動部14は、図5に示すように、幅方向に間隔をおいて配された一対の板部材141の上部に架設された架設板材144を備える。架設板材144は、板部材141に対して、前後延伸部711の上壁711bよりも上方に位置する部位に、幅方向を回転軸として回転自在に取り付けられている。架設板材144には、図5に示すように、支持ユニット1を前後に移動させるための取手145が設けられている。
支持ユニット1は前後方向の移動を規制する規制部146を有している。ここでの規制部146は、移動部14の架設板材144に設けられている。具体的には、架設板材144は幅方向の両端部が下方へ屈曲しており、当該屈曲部144aから下方に張り出す張出部分144bにより規制部146は構成される。ここでの張出部分144bは図5に示すように屈曲部144aの取り付けられた板片が利用され、図2に示すように、前後延伸部711の上壁711bの凹み又は貫通孔711eに嵌る。これにより、例えば、搬送中に支持ユニット1が前後方向に移動するのを防止できる。
前後延伸部711の上壁711bの貫通孔711eは、支持ユニット1が待機状態(前後延伸部711の後端側に位置する状態)の際に、張出部分144bが嵌るように構成されている。なお、支持ユニット1が前後方向に移動中は、張出部分144bの下端は前後延伸部711の上壁711bの上面に沿って移動する。
【0032】
支持ユニット1は、図5及び図6の(b)に示すように、パレット9を下方から支持する支持部材18を有している。支持部材18はアーム連結体12に設けられている。このため、支持部材18を連結側支持部材とする。
連結側支持部材18は、断面形状が「コ」字状のアーム連結体12の下面に取り付けられている。連結側支持部材18は、図5に示すように、断面が「L」字状をしている。連結側支持部材18は、その長辺部分の板部181がアーム連結体12に対して遠近自在に取り付けられている。具体的には、連結側支持部材18は、板部181に貫通孔(図示省略)を有し、当該貫通孔を挿通するねじ体197を板部181の上下からボルト198で挟むことで、高さ調整可能に取り付けられている。なお、連結側支持部材18は、幅方向に間隔おいた2か所でねじ体197に取り付けられている。
【0033】
連結側支持部材18は、図6の(b)に示すように、短辺部分の上端がパレット9の把持部91の下面に当接する。これにより、アーム11の前端部の一対の支持部13と連結側支持部材18とでパレット9を安定した状態で、支持できる。なお、連結側支持部材18が支持するパレット9の部位は、パレット9における前後方向と直交する端部であって最初に受け入れられる側の端部である。
また、連結側支持部材18はアーム連結体12の幅方向の中央にあるため、支持部13と連結側支持部材18とが二等辺三角形の頂点に位置することとなる。これにより、パレット9を安定した状態で支持できる。
【0034】
3.受入動作
【0035】
図1に示すようなパレット9を受け入れそして支持する場合について説明する。
まず、搬送装置Aの台車ユニット5を利用して、一対の前後延伸部711間にパレット9が入るように位置合わせする。この際、支持部13の当接部材131の上面がパレット9の把持部91の下面よりも下方に位置するように、昇降ユニット7を操作する。
この状態で、支持ユニット1の取手145を操作して支持ユニット1を前側に移動させる。これにより、一対のアーム11間へのパレット9の受け入れが開始する。この際、パレット9の角部に縦リブ93が存在するが、支持部13の当接部材131がアーム11側に移動可能に構成されているため、当接部材131の縦リブ93への当接により当接部材131がアーム11側に近づき、パレット9の縦リブ93の通過が可能となる。
【0036】
さらに、支持ユニット1を前側に移動させると、パレット9の受け入れ側の端面に連結側支持部材18が当接する。この状態で、昇降ユニット7を操作して支持ユニット1を上方させる。この上昇は、支持部13の当接部材131及び連結側支持部材18がパレット9の把持部91の下面に当接して、パレット9が持ち上るまで行う。
この上昇により、支持部13と連結側支持部材18とがパレット9の把持部91の下面を支持することとなる。この際、連結側支持部材18の屈曲部183がパレット9の把持部91の裏側の凹入部分に入り込み、パレット9が前後方向の位置決めされる。
【0037】
<変形例>
以上、一実施形態に係る支持ユニット1を備える搬送装置Aを説明したが、この実施形態に限られるものではなく、例えば、以下のような変形例であってもよい。また、実施形態と変形例とを組み合わせたものでもよいし、変形例同士を組み合わせたものでもよい。また、実施形態や変形例に記載していない例や要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても本発明に含まれる。
【0038】
1.台車ユニット
実施形態の台車ユニット5は一例であり、他の構造であってもよい。例えば、車輪51を3個備えてもよいし、車輪51をロックする構造のストッパ55を用いてもよい。また、搬送装置Aの移動は、人により行われるが、例えば電気エネルギで移動するようにしてもよい。
【0039】
2.昇降ユニット
実施形態の昇降ユニット7は一例であり、他の構造であってもよい。例えば、上下支持部73は前後支持部71の前後方向の中央や前端に設けられてもよいし、前後支持部71の上下方向の移動用の駆動を電気エネルギとしてもよい。
【0040】
3.支持ユニット
(1)アーム
一対のアーム11はアーム連結体12に対して幅方向に移動可能に構成されていたが、一方のアーム11又は両方のアームがアーム連結体12に幅方向に移動不可能に固定されてもよい。
アーム連結体は、アーム11の幅方向の位置を調整可能とする幅方向に長い貫通孔12aを有しているが、幅方向に間隔をおいた複数個の円状の貫通孔を有してもよい。
アーム11は、アーム連結体12にねじ体191により取り付けられているが、例えば、固定板を断面形状が「C」字状(リップ溝形)にし、固定板がアーム連結体にスライド可能に嵌合するようにしてもよい。
【0041】
(2)支持部
支持部13は、アーム11の前端部に設けられていたが、例えば、前後方向に間隔をおいて各アームに複数個設けてもよい。
一対のアーム11のそれぞれに設けられた2個の支持部13の当接部材131は、幅方向に移動可能に構成されているが、パレットの形状によっては、一対のアーム11の一方のアーム11の支持部だけを移動可能に構成してもよい。この場合、他方のアーム11の支持部材を例えばばね部材を利用して幅方向に移動可能としてもよい。
当接部材131は前後方向の両端の2か所で連結部材133により回転自在に支持されているが、3か所以上で連結部材により支持されてもよい。
当接部材131の上面は平坦状であったが、例えば、他方のアーム側の端部に上方に張り出す張出部を設けてもよい。これにより、パレット9の把持部91の裏側が凹入している場合、当該凹入部分に張出部が係合し、パレットの幅方向のずれを規制できる。なお、張出部は前後方向の全長に存在してもよいし、前後方向に間隔を置いて複数個あってもよいし、前後方向の両端にのみ存在してもよい。
【0042】
(3)付勢手段
付勢手段17は、連結部材133とアーム11側とに跨って設けられているが、例えば、当接部材131とアーム11側とに跨って設けられてもよい。付勢手段17は当接部材131の前後方向の両端に合計2個設けられているが、付勢力が十分な場合は1個であってもよい。
【0043】
(4)その他
支持ユニット1が前後支持部71の後端側に位置する際に、その移動を規制するための貫通孔711eが前後延伸部711の上壁711bに設けられているが、例えば、前後支持部71の前端部でも位置決めできるように上壁711bの前端部側に貫通孔を設けてもよいし、前後方向に間隔をおいて貫通孔を複数個設けてもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 支持ユニット(支持装置)
9 パレット(支持対象物)
11 アーム
12 アーム連結体
13 支持部
17 付勢手段(ばね部材)
18 連結側支持部材
91 把持部
131 当接部材
133 連結部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8