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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-06
(45)【発行日】2023-02-14
(54)【発明の名称】コネクタの使用方法
(51)【国際特許分類】
   H01R 43/26 20060101AFI20230207BHJP
   H01R 13/639 20060101ALN20230207BHJP
【FI】
H01R43/26
H01R13/639 Z
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018233864
(22)【出願日】2018-12-13
(65)【公開番号】P2020095885
(43)【公開日】2020-06-18
【審査請求日】2021-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】390033318
【氏名又は名称】日本圧着端子製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮地 大輔
(72)【発明者】
【氏名】竹内 丈二
(72)【発明者】
【氏名】山田 直樹
【審査官】濱田 莉菜子
(56)【参考文献】
【文献】特許第6346703(JP,B1)
【文献】特開2018-075646(JP,A)
【文献】特開2015-041469(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0185696(US,A1)
【文献】特表2010-530121(JP,A)
【文献】特開2010-205595(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R43/26
H01R13/56-13/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手側コネクタに対してコネクタ連結方向に連結されるコネクタであって、
コンタクトと、
前記コンタクトを収容保持するハウジングと、
前記ハウジングに対して前記コネクタ連結方向にスライド可能なスライダであって、前記コネクタ連結方向と直交する方向にロボットハンドで挟持可能な一対の被クランプ部を含むスライダと、
前記ハウジングによって弾性的に揺動可能に支持され前記相手側コネクタに係止されるロックアームと、を備え、
前記スライダが、前記ロックアームのロックを許容するロック許容位置と、前記ロックアームのロックを解除するロック解除位置とにスライド可能であり、
前記スライダが、前記ロック解除位置へのスライドに伴って前記ロックアームをロック解除させるロック解除部を含む、コネクタの使用方法であって、
前記ロック許容位置にある前記スライダの前記一対の被クランプ部を前記ロボットハンドで挟持した状態で前記コネクタを前記相手コネクタに対して連結するコネクタ連結工程と、
前記コネクタ連結工程の後で、前記スライダを前記ロック解除位置を介して前記ハウジングから前記コネクタ連結方向の反対方向に離脱させるスライダ離脱工程と、を含む、コネクタの使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタの使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コネクタを自動で基板等に実装する技術が提案されている(例えば特許文献1を参照)。特許文献1では、コネクタのハウジングの形状が変更され、自動実装機の吸着ノズルが吸着可能な平坦な吸着部が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平2-189877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、通例、ハウジングの表面には、多数のコンタクト挿入孔が開口されており、また、場合によってはロックアーム等が配置されている。このため、ハウジングの表面に、吸着部等の保持スペースを設けようとすると、ハウジングの大幅な形状変更を伴う。このため、新規の金型を用いる必要があり、コスト上昇を招く。したがって、コネクタの連結作業の自動化を安価に実現することが困難である。
【0005】
本発明の目的は、コネクタの連結作業の自動化を安価に実現することができるコネクタの使用方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項に記載の発明は、相手側コネクタに対してコネクタ連結方向(X1)に連結されるコネクタ(1)であって、コンタクト(3)と、前記コンタクトを収容保持するハウジング(2)と、前記ハウジングに対して前記コネクタ連結方向にスライド可能なスライダ(4)であって、前記コネクタ連結方向と直交する方向(W)にロボットハンド(RH)で挟持可能な一対の被クランプ部(47)を含むスライダと、前記ハウジングによって弾性的に揺動可能に支持され前記相手側コネクタに係止されるロックアーム(52)と、を備え、前記スライダが、前記ロックアームのロックを許容するロック許容位置と、前記ロックアームのロックを解除するロック解除位置とにスライド可能であり、前記スライダが、前記ロック解除位置へのスライドに伴って前記ロックアームをロック解除させるロック解除部(46)を含む、コネクタの使用方法であって、前記ロック許容位置にある前記スライダの前記一対の被クランプ部を前記ロボットハンドで挟持した状態で前記コネクタを前記相手コネクタに対して連結するコネクタ連結工程と、前記コネクタ連結工程の後で、前記スライダを前記ロック解除位置を介して前記ハウジングから前記コネクタ連結方向の反対方向に離脱させるスライダ離脱工程(S30)と、を含む、コネクタの使用方法を提供する。
【発明の効果】
【0013】
求項に記載の発明では、ロック許容位置にあるスライダの一対の被クランプ部をロボットハンドで挟持した状態でコネクタを相手方コネクタに対して連結し、ロックアームを相手方コネクタに係止させて、ロックを達成した後、スライダをロック解除位置を介してコネクタ連結方向の反対方向に離脱させる。これにより、ハウジングから離脱させたスライダを治具として再利用することが可能となり、コストダウンを達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明の一実施形態のコネクタの使用方法に係るコネクタの斜視図であり、スライダをハウジングに装着する途中の状態を示している。
図2図2は、コネクタの側面図であり、スライダをハウジングに装着する途中の状態を示している。
図3A図3Aは、前側から見たコネクタの斜視図であり、スライダが取り外された状態を示している。
図3B図3Bは、後側から見たコネクタの斜視図であり、スライダが取り外された状態を示している。
図4図4は、電線の端部に圧着されたコンタクトの概略側面図である。
図5A図5Aは、前側から見たスライダの斜視図である。
図5B図5Bは、後側から見たスライダの斜視図である。
図6図6(a)は、スライダの正面図である。図6(b)は、スライダの断面図であり、図6(a)のVIB-VIB断面図に相当する。
図7A図7Aは、スライダの平面図である。
図7B図7Bは、スライダの断面図であり、図7AのVIIB-VIIB断面図に相当する。
図8A図8Aは、前側から見たコネクタの斜視図であり、スライダがロック許容位置にある状態を示している。
図8B図8Bは、後側から見たコネクタの斜視図であり、スライダがロック許容位置にある状態を示している。
図9A図9Aは、コネクタの一部破断正面図であり、スライダがロック許容位置にある状態を示している。
図9B図9Bは、コネクタの一部破断正面図であり、スライダがロック解除位置にある状態を示している。
図10図10(a)は、コネクタの一部破断正面図であり、スライダの装着直前の状態を示している。図10(b)は、コネクタの一部破断側面図であり、スライダの装着直前の状態を示している。
図11図11(a)は、コネクタの一部破断正面図であり、スライダの装着途中の状態を示している。図11(b)は、コネクタの一部破断側面図であり、スライダの装着途中の状態を示している。
図12図12は、参考形態に係るコネクタの使用方法の流れを示すフローチャートである。
図13図13は、一実施形態に係るコネクタの使用方法の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に従って説明する。
図1は本発明の一実施形態のコネクタの使用方法に係るコネクタ1の概略斜視図であり、図2は、コネクタ1の概略側面図である。図1及び図2は、コネクタ1の要素であるスライダ4が装着される途中の状態を示している。
図1及び図2を参照して、コネクタ1は、ハウジング2と、複数のコンタクト3(図4を参照)と、スライダ4と、一対のロック機構5とを備える。
【0017】
図4に示すように、複数のコンタクト3は、対応する電線6の端部に圧着されている。コンタクト3は、電線6の被覆部61に圧着された被覆圧着部31と、被覆部61の端部から露出する芯線等の導体部62に圧着された導体圧着部32と、相手方コンタクトに接続されるソケット状のコンタクト部33とを含む。
コネクタ1は、例えば基板の表面に実装された相手方コネクタ(図示せず)に対して、コネクタ連結方向X1に連結される。ハウジング2には、コネクタ連結方向X1に延びる複数のコンタクト収容孔21(図3Aを参照)が形成されている。
【0018】
複数のコンタクト収容孔21は、左右方向である幅方向Wに並んで設けられており、前後に並ぶ2列で配列されている。各コンタクト3は、コンタクト部33側から、対応するコンタクト収容孔21に挿入配置される。電線6付きのコンタクト3の挿入は、図1に示すように、スライダ4の装着前に行われてもよいし、また、スライダ4の装着後に行われてもよい。
【0019】
各ロック機構5は、ハウジング2の対応する側部に配置されている。ロック機構5は、相手方コネクタを係止する機能を果たす。ロック機構5は、ハウジング2の各側部に設けられる一対の部分51a,51bを含む支点部51と、支点部51によって弾性的に揺動可能に支持されたロックアーム52とを含む。
スライダ4は、ハウジング2及びロック機構5によってコネクタ連結方向X1にスライド可能に支持されている。スライダ4は、ロックアーム52のロックを許容するロック許容位置(図8A及び図9Aを参照)と、ロック許容位置に対してコネクタ連結方向X1の反対方向X2側に配置され、ロックアーム52のロックを解除するロック解除位置(図9Bを参照)とにスライド変位される。
【0020】
スライダ4は、ロックアーム52のロック及びロック解除を操作する操作部として機能する。スライダ4は、ロボットハンドRH(図1を参照)によって挟持可能な一対の被クランプ部47を含む。被クランプ部47は、例えば、コネクタ連結方向X1に平行な平坦面である。
次いで、ハウジング2を説明する。
【0021】
図3Aは、前側から見たコネクタ1の斜視図であり、図3Bは、後側から見たコネクタ1の斜視図である。図3A及び図3Bは、スライダ4が、取り外された状態を示している。
図3A及び図3Bに示すように、ハウジング2は、前壁部22と、後壁部23と、一対の側壁部24と、中間壁部25と、複数の前側仕切り壁部26と、複数の後側仕切り壁部27と、一対の前側延設板28と、一対の後側延設板29と、規制凸部70とを含む。
【0022】
中間壁部25は、前壁部22と後壁部23との間の中間部に配置され、幅方向Wに延びる。前側仕切り壁部26は、前後に延びて前壁部22と中間壁部25とを連結する。前側仕切り壁部26は、前壁部22と中間壁部25との間で幅方向Wに隣接するコンタクト収容孔21間を仕切る。
後側仕切り壁部27は、前後に延びて後壁部23と中間壁部25とを連結する。後側仕切り壁部27は、後壁部23と中間壁部25との間で幅方向Wに隣接するコンタクト収容孔21間を仕切る。
【0023】
一対の前側延設板28は、前壁部22から左右両側へ延設されている。一対の後側延設板29は、後壁部23から左右両側へ延設されている。
規制凸部70は、前壁部22の外面22a(前面)から突出し、幅方向Wに延びる凸リブで形成されている。規制凸部70の断面形状は、例えば略矩形である。
次いで、ロック機構5を説明する。
【0024】
図3A及び図3Bに示すように、各ロック機構5の支点部51は、前側延設板28の延設端とロックアーム52の途中部とを連結する部分51aと、後側延設板29の延設端とロックアーム52の途中部とを連結する部分51bとで構成されている。
各ロックアーム52は、対応する支点部51からコネクタ連結方向X1に延びる第1部分53と、支点部51からコネクタ連結方向X1の反対方向X2に延びる第2部分54とを含む。第1部分53と第2部分54とは、支点部51を中心としてシーソー状に揺動変位される。
【0025】
第1部分53は、先端部に、内側方へ突出し相手方コネクタに引っ掛け係止される凸部からなるフック部55を含む。第2部分54は、先端部に、外側方へ突出する直方体形ブロック状の被駆動部56を含む。ロックアーム52の被駆動部56は、スライダ4のスライド案内する案内部Gとして機能する。
次いで、スライダ4を説明する。
【0026】
図5Aは、前側から見たスライダ4の斜視図であり、図5Bは、後側から見たスライダ4の斜視図である。図6(a)は、スライダ4の正面図である。図6(b)は、スライダ4の断面図であり、図6(a)のVIB-VIB断面図に相当する。図7Aは、スライダ4の平面図である。図7Bは、スライダ4の断面図であり、図7AのVIIB-VIIB断面図に相当する。
【0027】
図5A及び図5Bに示すように、スライダ4は、前板部41と、一対の側板部42と、一対の前側案内板部43と、一対の後側案内板部44と、一対の連結板部45と、一対のロック解除部46と、一対の被クランプ部47と、抜止め用の弾性枠部48とを含む。
弾性枠部48は、一対の脚部48aと、係合部48bとを含む。一対の脚部48aは、前板部41のコネクタ連結方向X1側の端部における幅方向Wの両端からコネクタ連結方向X1に延びる。
【0028】
係合部48bは、一対の脚部48aの先端部どうしを連結し、幅方向Wに延びる横バーで構成される。弾性枠部48は、一対の脚部48aが弾性的に揺動することにより、係合部48bを揺動変位させる(図10(b)及び図11(b)を参照)。
図6(a)に示すように、係合部48bは、断面略矩形に形成されている。係合部48bは、コネクタ連結方向X1に向く先端面48cと、後方に向く内面48dと、先端面48cと内面48dとの間に形成され、コネクタ連結方向X1に対して傾斜する案内部48eとを含む。
【0029】
図5A及び図5Bに示すように、一対の側板部42は、前板部41の左右の縁部から後方へ延設された略矩形の板部である。各側板部42は、外側面42aと、内側面42bと、下面42cとを含む(図7Bを参照)。各側板部42の外側面42aは、例えば平坦面に形成された被クランプ部47を含む。
図5B及び図6(b)に示すように、各側板部42の下部の外側面42aから前側案内板部43と後側案内板部44とが、突出形成されている。前側案内板部43と後側案内板部44とは、各側板部42よりも下方に延び、前後に対向している。各連結板部45は、前側案内板部43と後側案内板部44とを連結し、コネクタ連結方向X1に延びる側板で構成される。
【0030】
図7Bに示すように、連結板部45は、外側面45aと、内側面45bとを含む。ロック解除部46は、連結板部45の内側面45bに形成された山形の凸部である。ロック解除部46は、コネクタ連結方向X1と平行な頂部46aと、コネクタ連結方向X1に向く第1傾斜部46bと、反対方向X2に向く第2傾斜部46cとを含む。
前側案内板部43と後側案内板部44と連結板部45が、対応するロックアーム52の案内部G(被駆動部56)によって、コネクタ連結方向X1に案内される被案内部として機能する。
【0031】
具体的には、ロックアーム52の被駆動部56で構成される案内部Gは、前側案内板部43と後側案内板部44とを介してスライダ4の前後の移動を規制しつつ、且つ連結板部45を介して対応するスライダ4の側方への移動を規制しつつ、スライダ4をコネクタ連結方向X1に案内する。
図8Aは、前側から見たコネクタ1の斜視図であり、図8Bは、後側から見たコネクタ1の斜視図である。図8A及び図8Bは、スライダ4がロック許容位置にある状態を示している。図9Aは、コネクタ1の一部破断正面図であり、図9Bは、コネクタ1の一部破断正面図である。図9A及び図9Bは、スライダ4がロック解除位置にある状態を示している。
【0032】
スライダ4は、案内部Gによって案内されることにより、ロックアーム52のロックを許容するロック許容位置(図8A及び図9Aを参照)と、ロックアーム52のロックを解除するロック解除位置(図9Bを参照)とにスライド変位される。
スライダ4が、図9Aに示されるロック許容位置にあるとき、スライダ4の側板部42の下面42cとロック解除部46の第2傾斜部46cとが、ロックアーム52の被駆動部56と当接する状態で、ロックアーム52がコネクタ連結方向X1に真直に延びるロック姿勢に保持される。
【0033】
一方、スライダ4が、図9Bに示されるロック解除位置にあるとき、ロックアーム52の被駆動部56が、スライダ4のロック解除部46の頂部46aに乗り上げることにより、被駆動部56が、内側方へ揺動変位される。逆に、フック部55が、外側方へ揺動変位されて、ロックアーム52がコネクタ連結方向X1に対して傾斜するロック解除姿勢に保持される。また、このとき、スライダ4の弾性枠部48の係合部48bが、ハウジング2の規制凸部70と当接することにより、スライダ4がコネクタ連結方向X1の反対方向X2へ離脱されないように規制される。
【0034】
次いで、コネクタ1の組立時において、ハウジング2にスライダ4を組み付ける動作を説明する。
電線6付きのコンタクト3がコンタクト収容孔21に挿入されたハウジング2に対して、ロボットハンドRHによって又は人の手によって一対の被クランプ部47を両側から挟持した状態のスライダ4を、コネクタ連結方向X1に沿ってロック許容位置(図9Aを参照)に装着する。
【0035】
図10(a)及び(b)は、スライダ4の装着直前の状態のコネクタ1の一部破断正面図及び一部破断側面図である。図11(a)及び(b)は、スライダ4の装着途中の状態を示すコネクタ1の一部破断正面図及び一部破断側面図である。図10(a)及び(b)、並びに、図11(a)及び(b)では、ロボットハンドRHないし人の手の図示を省略してある。
【0036】
組立時において、スライダ4をハウジング2に対してコネクタ連結方向X1に沿ってスライド装着するときに、図10(a)及び(b)に示す状態から、弾性枠部48の係合部48bの案内部48eが、規制凸部70と当接する状態に移行する(当接状態は図示せず)。
これにより、弾性枠部48の両脚部48aが弾性変形されて、図11(a)及び(b)に示すように、弾性枠部48の係合部48bが、規制凸部70に乗り上げる。また、このとき、ロックアーム52の被駆動部56が、ロック解除部46の第1傾斜部46bによって駆動されて、ロックアーム52が弾性的に揺動され、被駆動部56が、ロック解除部46の頂部46aに乗り上げる。
【0037】
図11(a)及び(b)に示す状態から、さらにスライダ4をコネクタ連結方向X1側のロック許容位置に変位させることにより、図9Aに示すように、弾性枠部48の係合部48bが、規制凸部70を乗り越える。また、このとき、ロックアーム52の被駆動部56が、ロック解除部46の頂部46aを乗り越えて、ロック解除部46の第2傾斜部46cとスライダ4の側板部42の下面42cとに係合することにより、スライダ4がロック許容位置に保持される。
【0038】
次いで、参考形態に係るコネクタ1の使用方法を図12のフローチャートに基づいて説明する。
まず、ステップS1のクランプ工程では、ロック許容位置にあるスライダ4の被クランプ部47をロボットハンドRHで挟持する。
次いで、ステップS2のコネクタ連結工程では、まず、ロック許容位置(図9Aを参照)に装着されたスライダ4をロボットハンドRHによって挟持した状態で、コネクタ1を相手方コネクタ(図示せず)の上方に移動させた後、コネクタ連結方向X1に移動させて、コネクタ1を相手方コネクタに対して連結する。
【0039】
このとき、スライダ4が、ロック許容位置(図9A)にある状態で、ロックアーム52が相手方コネクタによって、一旦ロック解除姿勢に弾性的に揺動変位された後、自動復帰して相手方コネクタに対して係止されて、ロックが達成される。
次いで、ステップS3のクランプ解除工程では、ロボットハンドRHによるスライダ4に対するクランプを解除し、作業が終了する。
【0040】
本実施形態に係るコネクタ1では下記の効果を奏する。すなわち、ロボットハンドRHでスライダ4の一対の被クランプ部47を挟持した状態で、コネクタ1をコネクタ連結方向X1に移動させて、コネクタ1を相手方コネクタ(図示せず)に対して連結することができる。仮に、ハウジングに被クランプ部を設ける場合、新たな金型等が必要で多大なコストがかかる。これに対して、本実施形態では、ハウジング2と比較して形状が簡単であって被クランプ部47を設けるスペースを容易且つ安価に確保することができるスライダ4を用いるため、コネクタ1の連結作業の自動化を安価に達成することができる。
【0041】
また、ロック許容位置(図9Aを参照)に配置されたスライダ4の一対の被クランプ部47をロボットハンドRHで挟持した状態で、コネクタ1を相手方コネクタに連結することができる。また、このとき、ロックアーム52を相手方コネクタに対して係止させてロックを達成することができる。
また、ロックアーム52の案内部G(被駆動部56)によってスライダ4のスライドを案内することができる。このため、別途に案内機構を設ける場合と比較して、構造を簡素化することができ、コストダウンを図ることができる。
【0042】
また、スライダ4が、前板部41と一対の側板部42とで溝形に形成されており、後方に開放されている。このため、ハウジング2のコンタクト収容孔21に対して、電線付きのコンタクト3を挿入した後に、ハウジング2に対してスライダ4を容易に装着することができ、作業性が良い。また、仮に、スライダ4が先にハウジング2に装着された状態で、電線6付きのコンタクト3をハウジング2のコンタクト収容孔21に挿入する作業を行う場合にも、作業が行い易く、作業性がよい。
【0043】
また、本参考形態に係るコネクタ1の使用方法では、ロック許容位置にあるスライダ4の一対の被クランプ部47をロボットハンドRHで挟持した状態でコネクタ1を相手方コネクタに対して連結するコネクタ連結工程(ステップS2)において、ロックアーム52を相手方コネクタに係止させて、ロックを達成することができる。
また、本参考形態に係るスライダ4では、当該スライダ4をコネクタ1に装着した状態で、ロボットハンドRHでスライダ4の一対の被クランプ部47を挟持し、コネクタ1をコネクタ連結方向X1に移動させて、コネクタ1を相手方コネクタに対して連結することができる。スライダ4であれば、形状が簡単であって被クランプ部47を設けるスペースを容易且つ安価に確保することができるため、コネクタ1の連結作業の自動化を安価に達成することができる。
【0044】
一実施形態に係るコネクタ1の使用方法(前記参考形態の変更例として、図13に示すように、ステップS2のコネクタ連結工程の後に、スライダ離脱工程(S30)を実施してもよい。この場合、図9Aに示すロック許容状態で、コネクタ1を相手方コネクタに対して連結するコネクタ連結工程(ステップS2)を実施した後に、スライダ離脱工程(ステップS30)で、スライダ4をハウジング2から離脱させる。
【0045】
具体的には、図9Aに示すロック許容状態で、弾性枠部48の係合部48bを別途のロボットハンド(図示せず)で操作して、規制凸部70に対する係合部48bの係合を解除しつつ、スライダ4を挟持している側のロボットハンドRHをコネクタ連結方向X1の反対方向X2へ移動させて、スライダ4をロック解除位置を介してハウジング2から離脱させる。スライダ4の離脱後も、ロックアーム52のロックが維持される(図3Aを参照)。この場合、離脱させたスライダ4を治具として再利用することが可能となり、コストダウンを達成することができる。
【0046】
また、本実施形態のスライダ4では、当該スライダ4を対象となるコネクタ1に装着した状態で、ロボットハンドRHでスライダ4の一対の被クランプ部47を挟持し、コネクタ1をコネクタ連結方向X1に移動させて、コネクタ1を相手方コネクタに対して連結することができる。スライダ4に被クランプ部47を設ける簡単な構造で、コネクタ1の連結作業の自動化を安価に達成することが可能となる。
【0047】
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、スライダ4に設けられる被クランプ部47は、凹凸や孔が設けられていてもよいし、コネクタ連結方向X1に対し傾斜する傾斜部を含んでいてもよい。なお、被クランプ部47が、ロボットハンド側に空気吸引される吸着部である場合は、被クランプ部47として平坦面が用いられる。
また、スライダ4を案内する案内部Gが、ハウジング2に設けられてもよい。
【0048】
また、前記実施形態では、ハウジング2の一対の側部に一対のロック機構5を配置する構造(いわゆるサイドロック構造)を採用するが、これに代えて、ハウジング2の前壁部に単一のロック機構を配置する構造(図示せず。いわゆるセンターロック構造)を採用しても良い
【0049】
その他、本発明は、特許請求の範囲記載の範囲内で種々の変更を施すことができる。
【符号の説明】
【0050】
1 コネクタ
2 ハウジング
3 コンタクト
4 スライダ
5 ロック機構
6 電線
21 コンタクト収容孔
24 側壁部
28 前側延設板
29 後側延設板
43 前側案内板部
44 後側案内板部
45 連結板部
45b 内側面
46 ロック解除部
46a 頂部
46b 第1傾斜部
46c 第2傾斜部
47 被クランプ部
48 弾性枠部
48a 脚部
48b 係合部
51 支点部
51a,51b 部分
52 ロックアーム
53 第1部分
54 第2部分
55 フック部
56 被駆動部
70 規制凸部
G 案内部
RH ロボットハンド
W 幅方向(コネクタ連結方向と直交する方向)
X1 コネクタ連結方向
X2 反対方向
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13