(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-06
(45)【発行日】2023-02-14
(54)【発明の名称】渓流減災施設構造とその施工方法
(51)【国際特許分類】
E01F 7/04 20060101AFI20230207BHJP
【FI】
E01F7/04
(21)【出願番号】P 2019014372
(22)【出願日】2019-01-30
【審査請求日】2021-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000228785
【氏名又は名称】日本サミコン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】弁理士法人牛木国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100080089
【氏名又は名称】牛木 護
(74)【代理人】
【識別番号】100161665
【氏名又は名称】高橋 知之
(74)【代理人】
【識別番号】100188994
【氏名又は名称】加藤 裕介
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 康夫
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-339338(JP,A)
【文献】特開2005-307572(JP,A)
【文献】特開2005-113424(JP,A)
【文献】特許第6441524(JP,B1)
【文献】特開2016-089479(JP,A)
【文献】特開2015-200086(JP,A)
【文献】特開2000-282418(JP,A)
【文献】特開2015-048706(JP,A)
【文献】特開2018-021333(JP,A)
【文献】特開2009-299321(JP,A)
【文献】特開2009-127280(JP,A)
【文献】特開2006-097274(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周りに複数の立木が立設した沢部に防護用のネットを設ける渓流減災施設構造において、前記ネット
の両側を支持用ロープ部により
前記沢部の両側の斜面の前記複数の立木に連結し
、
前記支持用ロープ部にループ状ロープ部を設け、このループ状ロープ部は前記立木を囲んで配置するループ部を有し、このループ部に前記立木が遊挿状態で連結され、
前記ループ状ロープ部は、前記ループ部の重合部を把持する緩衝具を備え、
前記緩衝具は、前記ループ状ロープ部に所定以上の張力が作用したときに前記ループ部が縮径するように該ループ状ロープ部が摩擦摺動することを許容し、
前記緩衝具を前記立木の斜面の下方に配置し、前記ループ部の長さが前記立木の外周長の2倍以上であることを特徴とする渓流減災施設構造。
【請求項2】
複数の前記支持用ロープ部を前記沢部の傾斜方向に間隔を置いて多段に設けたことを特徴とする請求項
1記載の渓流減災施設構造。
【請求項3】
前記沢部の両側には土砂災害の発生が想定される危険区域があり、これら両側の危険区域の外側には前記危険区域以外の安定区域があり、前記危険区域の前記立木と前記危険区域以外の安定区域の前記立木に前記支持用ロープ部を連結したことを特徴とする請求項
1又は2記載の渓流減災施設構造。
【請求項4】
前記ネットを
前記支持用ロープ部により前記立木に連結する
請求項1~3のいずれか1項に記載の渓流減災施設構造の施工方法であって、前記ネットが複数のネットループ部を有し、現場で1本のネット用ロープ部により
前記複数のネットループ部を形成することを特徴とする渓流減災施設構造の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の立木が立設した山間の谷や渓谷の沢部に設ける渓流減災施設構造とその施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のものとして、山間部の沢や谷に設置され、流水によって運ばれた流木を捕捉する流木捕捉構造物において、河床に対して上端が下流側に傾斜した上流側支柱と、該上流側支柱に対し上端において接合され、かつ、河床に対してその上端が上流側に傾斜した下流側支柱と、を具備する支柱ユニットを、河床の幅方向に所定の間隔を空けて複数台配置して基礎に固定してなり、流水によって運ばれる流木を捕捉するための流木捕捉構造物(例えば特許文献1)がある。
【0003】
上記流木捕捉構造物は、前記砂防ダムに比べて構造が簡易となるが、基礎工事と構造物の組立及び搬入作業が必要となる。
【0004】
これに対して、構造物の一部をネットに換えて用いるものとして、河川の流れを遮るように張設した主索の端部を両岸の側壁にアンカーし、左右に間隔をおいて複数の縦ロープを配し、各縦ロープの上端部を主索に連結するとともに下端部を川床にアンカーし、主索の下方には、上下に間隔をおいて複数の横ロープを張設するとともに、それら横ロープの端部を両岸の構造物にアンカーし、それら横ロープと縦ロープの交差部を結合しネット状にした透過型堰堤(例えば特許文献2)や、渓流の上流側及び下流側を連通する中間区域部に対し、複数のリング状部材を互いに連結して構成されるリング式ネットを設置し、このリング式ネットを両袖部のコンクリート基礎に支持された砂防堰堤(例えば特許文献3)などがある。
【0005】
上記特許文献2及び3では、ネットを用いることにより、砂防ダムに比べて構造が簡易となるが、ネットを取り付けるためのコンクリート構造物を構築する必要がある。
【0006】
また、重量物のネットを搬入して構造物に取り付ける必要があり、工費が嵩むと共に工事が大掛かりになるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2009-127280号公報
【文献】特開2009-299321号公報
【文献】特開2018-21333号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は、上記問題点を解決するものであり、構造簡易にして山間の沢において流木などに対する防護能力を付与することができる渓流減災施設構造とその施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、周りに複数の立木が立設した沢部に防護用のネットを設ける渓流減災施設構造において、前記ネットの両側を支持用ロープ部により前記沢部の両側の斜面の前記複数の立木に連結し、前記支持用ロープ部にループ状ロープ部を設け、このループ状ロープ部は前記立木を囲んで配置するループ部を有し、このループ部に前記立木が遊挿状態で連結され、前記ループ状ロープ部は、前記ループ部の重合部を把持する緩衝具を備え、前記緩衝具は、前記ループ状ロープ部に所定以上の張力が作用したときに前記ループ部が縮径するように該ループ状ロープ部が摩擦摺動することを許容し、前記緩衝具を前記立木の斜面の下方に配置し、前記ループ部の長さが前記立木の外周長の2倍以上であることを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明は、複数の前記支持用ロープ部を前記沢部の傾斜方向に間隔を置いて多段に設けたことを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明は、前記沢部の両側には土砂災害の発生が想定される危険区域があり、これら両側の危険区域の外側には前記危険区域以外の安定区域があり、前記危険区域の前記立木と前記危険区域以外の安定区域の前記立木に前記支持用ロープ部を連結したことを特徴とする。
【0012】
請求項4の発明は、周りに複数の立木が立設した沢部に防護用のネットを設け、前記ネットを支持用ロープ部により前記立木に連結する渓流減災施設構造の施工方法であって、前記ネットが複数のネットループ部を有し、現場で1本のネット用ロープ部により複数のネットループ部を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の構成によれば、立木に支持用ロープ部により連結されたネットによって、流木のエネルギーを減衰することができ、立木により支持することにより構造簡易な渓流減災施設構造が得られる。
【0014】
また、ループ部の長さが立木の外周長の2倍以上であるから、立木が成長しても、長期に渡って立木にロープ部が食い込むことがなく、さらに、ロープ材に所定以上の張力が加わると、緩衝具において、ロープ部が摩擦摺動してエネルギーを吸収することができる。また、ループ部に設ける緩衝具を、立木の斜面1の下方に配置したから、上方に配置した場合、立木に緩衝具が接触し易いのに対して、ループ部が縮径してから緩衝具が立木に接触するため、立木に対する緩衝具の影響が少なく済む。
【0015】
また、請求項1の構成によれば、沢部の両側の複数の立木がアンカーとして作用し、ネットを支持することができる。
【0016】
請求項2の構成によれば、沢部の両側の複数の立木に連結されると共に、沢部の傾斜方向に多段に設けたロープ部に連結した立木が、アンカーとして作用する。
【0017】
また、請求項1の構成によれば、立木が成長してもループ部が立木に食い込むことが無い。また、立木にロープ材を巻き付けて連結した場合、立木が伸びると連結箇所が上昇してしまうが、これを防止できる。
【0018】
請求項3の構成によれば、沢部の両側の危険区域が崩壊した場合でも、危険区域の立木は支持用ロープ部に連結されているため沢側に倒れ、倒れた立木とネットにより、流木を捕捉したり、流木の勢いを減衰したりすることができる。
【0019】
請求項4の構成によれば、現場でネット用ロープ部によりネットループ部を形成するため、重機などを用いることなく、ネットの材料を現場に搬入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施例1を示す沢部の説明斜視図である。
【
図3】同上、中間のループ状ロープ部の斜視図である。
【
図4】同上、端末のループ状ロープ部の斜視図である。
【
図6】同上、立木を断面にしたロープ材の要部の平面説明図である。
【
図11】本発明の実施例2を示す沢部の平面説明図である。
【
図12】本発明の実施例3を示す沢部の平面説明図である。
【
図13】本発明の実施例4を示すネットの平面説明図である。
【
図14】本発明の実施例5を示す端末ロープ部周りの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。尚、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。各実施例では、従来とは異なる新規な渓流減災施設構造とその施工方法を採用することにより、従来にない渓流減災施設構造とその施工方法が得られ、その渓流減災施設構造とその施工方法について記述する。
【実施例1】
【0022】
以下、本発明の実施例を添付図面を参照して説明する。
図1~
図9は本発明の実施例1を示す。同図に示すように、斜面1には、植林により複数の立木2が立設され、これら複数の立木2は、斜面1の傾斜方向に略等間隔で、斜面1の幅方向に略等間隔に配置されている。また、前記斜面1には、窪んだ沢部3が該斜面1の傾斜方向に沿って位置する。前記沢部3の幅方向両側の周囲の斜面1には、土砂災害の発生が想定される危険区域4,4があり、これら危険区域4,4を挟んで幅方向両側に、危険区域4,4以外の安定区域5,5が位置し、これら安定区域5,5は危険区域4,4に比べて地盤が安定している。そして、沢
部3の底部3Tと両側の危険区域4,4との間には沢部3の側壁6,6が設けられ、前記危険区域4は前記側壁6に連続して位置しており、前記側壁6も危険区域4の一部である。前記沢部3には、多量の降雨などにより発生する水の流れに交差してネット7が配置されている。尚、
図1などにおいて、上側が斜面1の上方であり、下側が斜面1の下方である。そして、前記沢部3は、山間の比較的小さな渓谷である。また、
図7などにおいて、安定区域5,5と危険区域4,4の境界Kには一点鎖線を付しており、
図1では安定区域5内の幅方向に2本の立木2が立設し、危険区域4内の幅方向に1本の立木2が立設している。
【0023】
前記斜面1の渓流減災施設構造11には、単位ロープ材たるロープ材12が使用される。このロープ材12のロープ部13,14,15,16,16A,16B,16C,16D,16Eとしては、鋼製や合成樹脂製などの各種のものを用いることができる。尚、この例では、ロープ材12は、斜面1の幅方向に配置されると共に、斜面1の傾斜方向に間隔を置いて多段に配置される。
【0024】
また、斜面1の立木2が植林でなく、自然林の場合は、ロープ材12の長さを調整することにより、各ロープ材12に連結する立木2の本数が略同じようになるように設定することが好ましく、立木2の配置によってロープ材12が蛇行して配置されてもよい。
【0025】
前記ロープ材12は、立木2を囲んで配置する中間のループ状ロープ部13と、該ロープ材12の両端に設けられ立木2を囲んで配置する端末のループ状ロープ部14と、隣り合うループ状ロープ部14,13,13,・・・,14同士を連結する連結ロープ部15と、該ロープ材12の中央側に設けられ前記ネット7の少なくとも一部を形成するネット用ロープ部16,16A,16B,16C,16D,16Eとを備える。また、前記ロープ材12において、前記ネット用ロープ部16,16A,16B,16C,16D,16Eの両側が支持用ロープ部17,17であり、これら支持用ロープ部17,17が立木2に連結される。
【0026】
図3及び
図4に示すように、前記ループ状ロープ部13,14は、立木2を囲んで配置するループ部21と、このループ部21の重合部22に設けた緩衝具23と、この重合部22から両側に延設した余長部たる延設部24,24と、この延設部24の端部に設けられ前記緩衝具23に係止可能なストッパ25とを備え、このストッパ25は金属などの硬質材料からなる。また、前記中間のループ状ロープ部13は、両側の延設部24,24の長さが略等しく設定され、前記端末のループ状ロープ部14は、ロープ材12の端部の延設部24が短く、または、延設部24が無く、前記ストッパ25が前記緩衝具23に近接、または当接している。
【0027】
さらに、ネット用ロープ部16,16A,16B,16C,16D,16Eの端部に前記ストッパ25が設けられ、それらネット用ロープ部16,16A,16B,16C,16D,16Eが緩衝具23によりロープ部14やロープ部15に連結される。
【0028】
この場合、前記ロープ材12には、両側の安定区域5,5において、ループ状ロープ部13,14を複数設けることが好ましい。また、立木2の種類と斜面1の状態によるが、直径30cm程度の立木2の場合、7~10トン程度のアンカー効果が得られる。
【0029】
図5に示すように、前記緩衝具23は、前記ループ状ロープ部13,14の重合部22,22を所定の摩擦力で把持する一対の把持体26,26を備え、これら把持体26,26の合せ面に、ロープ部13,13,14,14に嵌合する一対の嵌合溝27,27を形成し、両把持体26,26は、ボルト28とナット29を備えた締付固定手段30,30により締め付けられている。また、前記嵌合溝27,27を挟んだ把持体26,26の上下には、前記ボルト28を挿通する挿通孔28A,28Aが穿設されている。尚、緩衝具23は、重合部22のロープ部13,13同士及び重合部22のロープ部14,14同士などを固定するものであり、U字クリップや針金などの結束具を用いてもよい。
【0030】
前記ループ部21は立木2の外周長より長く、設置時にはループ部21に立木2が遊挿状態で連結され、ループ部21を含むロープ材12は斜面1に載置されている。一例として、立木2は直径が約30cm程度以上で、この立木2が30年経過しても、ループ部21に立木2に食い込まないようにループ部21の直径を設定することが好ましい。この場合、ループ部21の直径を立木2の直径の1.5場合以上とし、好ましくは2倍以上とする。尚、立木2の断面は真円でないから、ループ部21の長さを立木2の外周長の1.5倍以上、好ましくは2倍以上とすればよい。
【0031】
前記連結ロープ部15は、両端に前記ストッパ25が設けられている。そして、連結ロープ部15の両端側を、前記ループ状ロープ部13,14の延設部24に重合し、この重合部22Aに前記緩衝具23を設け、この緩衝具23から連結ロープ部15のストッパ25との間が余長部である。この場合、ロープ部13又はロープ部14と連結ロープ部15の連結箇所では、緩衝具23の嵌合溝27,27にロープ部13又はロープ部14と連結ロープ部15が嵌る。尚、緩衝具23はロープ部13,14,15同士を連結する連結手段である。また、ネット用ロープ部16も緩衝具23によりロープ部14,15に連結される。
【0032】
図5に示すように、前記把持体26,26は、ロープ部13,14,15,16,16A,16B,16C,16D,16Eを所定の摩擦力で把持すると共に、所定以上の張力が作用したときにロープ部13,14,15の摩擦摺動を許容するものであり、前記ロープ材12に張力が発生すると、嵌合溝27に対して延設部24が摺動摩擦することにより、エネルギーを吸収することができる。尚、ストッパ25が把持体26に係止した後は、ロープ部13,14,15,16,16A,16B,16C,16D,16Eによりネット7に加わるエネルギーに対抗する。
【0033】
また、前記把持体26による把持力は、ロープ材12の張力により立木2が傾く前にロープ部13,14,15が摺動するように設定されている。
【0034】
図8は前記ネット7の平面図であり、この例では、前記ロープ材12が斜面1の傾斜方向に間隔を置いて6本配置され、即ち、前記ロープ材12が斜面1に6段に設けられ、斜面1の下段側から上段側に向かってロープ材12,12,12,12,12,12の斜面幅方向中央側には、第1~第6のネット用ロープ部16,16A,16B,16C,16D,16Eが設けられ、この例ではそれらネット用ロープ部16,16A,16B,16C,16D,16Eによりネット7が形成されている。
【0035】
尚、ネット用ロープ部16,16A,16B,16C,16D,16Eと共に、他のロープ部(図示せず)を用いて前記ネット7を形成してもよい。また、ネット用ロープ部16,16A,16B,16C,16D,16Eの端部には前記ストッパ25が設けられ、ネット用ロープ部16,16A,16B,16C,16D,16Eの端部側は緩衝具23により前記ロープ部13又は連結ロープ部15に連結される。
【0036】
図2に示すように、ネット7は前記斜面1の下流側が上流側より沢部3の底部3Tに対して高くなるように形成され、第1のネット用ロープ部16は第6のネット用ロープ部16Eより沢部3の底部3Tから離れた高い位置に配置される。このように第1のネット用ロープ部16がネット7の上段に位置する。
【0037】
以下、
図8及び
図9などを用いて前記ネット7について説明する。尚、ネット7においては、上段から下段に向かった第1~第6のネット用ロープ部16,16A,16B,16C,16D,16Eが配置されている。
【0038】
第1の前記ネット用ロープ部16は斜面1の表面と略面一に張設される。尚、設置状態ではネット7の自重により前記第1のネット用ロープ部16には撓みが発生する。
【0039】
第2の前記ネット用ロープ部16Aにより、複数(6個)のネットループ部31,31・・・を形成する。具体的には、ネット7の幅方向一側から他側に向かって、連続してネットループ部31,31・・・を並んで形成すると共に、幅方向一側のネットループ部31内に隣り合う幅方向他側のネットループ部31のロープ部16Aを挿通した幅方向挿通連結部32により幅方向に隣り合うネットループ部31,31同士を連結し、且つ、各ネットループ部31,31・・・のロープ部16Aの重合部33,33・・・を締付部材41により止着し、複数のネットループ部31,31・・・の下側には、沢部3の幅方向の横ロープ部が形成される。尚、第3~第6のネット用ロープ部16B,16C,16D,16Eにも、同様に複数のネットループ部31,31・・・の下側には、沢部3の幅方向の横ロープ部が形成される。
【0040】
この場合、重合部33は、ロープ部16Aのネットループ部31において、ネット7の下側に設けられる。そして、第2のネット用ロープ部16Aのネットループ部31,31・・・内の上側に第1のネット用ロープ部16を挿通し、このネット用ロープ部16は、略直線状の横ロープ部となる。
【0041】
第3の前記ネット用ロープ部16Bのネットループ部31は、第2の前記ネット用ロープ部16Aのネットループ部31に比べて僅かに径小であり、数は同一である。第3の前記ネット用ロープ部16Bは、ネット7の幅方向一側から他側に向かって、連続してネットループ部31,31・・・を並んで形成すると共に、幅方向一側のネットループ部31内に隣り合う幅方向他側のネットループ部31のロープ部16Bを挿通した幅方向挿通連結部32により幅方向に隣り合うネットループ部31,31同士を連結し、且つ、ネットループ部31を形成する際にロープ部16Bを第2のネット用ロープ部16Aのネットループ部31内に挿通した上下方向挿通連結部34により上下方向に隣り合うネットループ部31,31同士を連結し、各ネットループ部31,31・・・のロープ部16Bの重合部33,33・・・を締付部材41により止着する。
【0042】
第4の前記ネット用ロープ部16Cのネットループ部31の数は、第3の前記ネット用ロープ部16Bのネットループ部31の数より少なく、この例では1個少なく、大きさは略同じである。第4の前記ネット用ロープ部16Cは、ネット7の幅方向一側から他側に向かって、連続してネットループ部31,31・・・を並んで形成すると共に、幅方向一側のネットループ部31内に隣り合う幅方向他側のネットループ部31のロープ部16Bを挿通した幅方向挿通連結部32により幅方向に隣り合うネットループ部31,31同士を連結し、且つ、ネットループ部31を形成する際にロープ部16Cを第3のネット用ロープ部16Bのネットループ部31内に挿通した上下方向挿通連結部34Aにより上下方向に隣り合うネットループ部31,31同士を連結し、各ネットループ部31,31・・・のロープ部16Cの重合部33,33・・・を締付部材41により止着する。尚、上下方向挿通連結部34Aは、第4のネット用ロープ部16Cのネットループ部31内に、締付部材41,41間のネット用ロープ部16Bを挿通した状態となる。
【0043】
第5の前記ネット用ロープ部16Dのネットループ部31は、第4の前記ネット用ロープ部16Cのネットループ部31に比べて僅かに径小であり、数は同じである。第5の前記ネット用ロープ部16Dは、幅方向挿通連結部32により幅方向に隣り合うネットループ部31,31同士を連結し、且つ、ネットループ部31を形成する際にロープ部16Dを第4のネット用ロープ部16Cのネットループ部31内に挿通した上下方向挿通連結部34により上下方向に隣り合うネットループ部31,31同士を連結し、各ネットループ部31,31・・・のロープ部16Cの重合部33,33・・・を締付部材41により止着する。
【0044】
第6の前記ネット用ロープ部16Eのネットループ部31の数は、第5の前記ネット用ロープ部16Dのネットループ部31の数より少なく、この例では1個少なく、大きさは略同じである。第6の前記ネット用ロープ部16Cは、幅方向挿通連結部32により幅方向に隣り合うネットループ部31,31同士を連結し、且つ、ロープ部16Eのネットループ部31と締付部材41,41間のネット用ロープ部16Dとを前記上下方向挿通連結部34Aにより上下方向に隣り合うネットループ部31,31同士を連結し、各ネットループ部31,31・・・のロープ部16Cの重合部33,33・・・を締付部材41により止着する。
【0045】
図10に示すように、前記重合部33を締付部材41により止着し、前記締付部材41としては、Uボルト42の両端を止板43に挿通し、ナット44により螺締するものを用いている。また、前記緩衝具23に代えて前記重合部22,22A,22Bを締付部材41により把持してもよい。尚、締付部材41は、所定以上の張力が作用したときにロープ部の摩擦摺動を許容するように構成してもよい。
【0046】
上記のように段毎にネットループ部31の直径と数を設定することにより、沢部3の断面に合わせてネット7を下方から上方に向かって幅広になるように形成することができる。
【0047】
次に、渓流減災施設構造11の施工方法について説明する。設置現場である斜面1には、ロープ材12をロープ部13,14,15,16,16A,16B,16C,16D,16Eに分割して搬入することができるため、重機を用いることなく、人力で搬入可能となる。尚、例えば、ロープ部13,14に連結ロープ部15を緩衝具23により予め連結して搬入してもよく、少なくとも、ロープ材12を複数に分割して現場に搬入する。これにより部材を人力又は小動力を用いて搬入することができる。
【0048】
また、現場で複数のネット用ロープ部16と締付部材41を用いてネット7を形成し、沢部3に設置する。
【0049】
一方、支持用ロープ部17においては、中間の立木2にロープ部13を巻き付け、ループ部21の重合部22を緩衝具23により把持して立木2にロープ部13を連結し、同様に、端末の立木2にロープ部14を巻き付け、ループ部21の重合部22を緩衝具23により把持して立木2にロープ部14を連結する。また、ロープ部13,13同士を緩衝具23により連結すると共に、ロープ部14とこれに隣り合うロープ部13とを連結ロープ部15を介して緩衝具23により連結する。
【0050】
このように渓流減災施設構造11を設けた沢部3において、流木又は流木を含む土石流が発生すると、流木などのエネルギーがネット7により減衰され、流木などを捕捉することができ、この際、ロープ材12に張力が発生し、所定以上の張力が作用したときにロープ部13,14,15,16,16A,16B,16C,16D,16Eが把持体26に対して摩擦摺動し、流木などのエネルギーを吸収し、また、ループ部21,21が縮径するように該ロープ部13,14が把持体26に対して摩擦摺動し、流木などのエネルギーを吸収し、また、立木2がロープ材12のアンカーとなって流木などのエネルギーに対応する。このようにして流木などのエネルギーを吸収し、流木などを捕捉すると共に、流木などのエネルギーを減衰することができる。
【0051】
また、ネット7における流木などの捕捉量等が増加し、ネット7に加わる力が所定値以上になり、沢部3を挟む両側の危険区域4,4に崩壊が発生した場合でも、危険区域4のループ状ロープ部13のループ部21が縮径してロープ材12が立木2に巻き付いた状態で固定されると共に、ロープ材12の両側は、沢部3を挟んだ両側の安定区域5,5の立木2により支持されているため、危険区域4の立木2が凹んだ沢部3側に倒れた状態でネット7と共に沢部3を塞ぎ、この後、これらネット7及び前記倒れた立木2が、斜面1上方からの流木を止めたり、流木の勢いを減衰したりすることができる。
【0052】
尚、
図3及び
図4などに示すように、ループ部21は立木2の根元に位置し、ループ部21が縮径して立木2に巻き付いた状態で、前記ループ部21の下には立木2の径大な根部分があり、そのループ部21の上部には複数の枝が位置するため、衝撃を受けても、立木2がループ部21から抜け出すことがない。
【0053】
このように本実施例では、請求項1に対応して、周りに複数の立木2が立設した沢部3に防護用のネット7を設ける渓流減災施設構造11において、ネット7を支持用ロープ部17により立木2に連結したから、立木2に支持用ロープ部17により連結されたネット7によって、流木のエネルギーを減衰することができる。
【0054】
このように本実施例では、請求項1に対応して、ネット7の両側を支持用ロープ部17,17により沢部3の両側の斜面1の複数の立木2に連結したから、沢部3の両側の複数の立木2がアンカーとして作用し、ネット7を支持することができる。
【0055】
このように本実施例では、請求項2に対応して、複数の支持用ロープ部17を沢部3の傾斜方向に間隔を置いて多段に設けたから、沢部3の両側の複数の立木2に連結されると共に、沢部3の傾斜方向に多段に設けた支持用ロープ部17に連結した立木2が、アンカーとして作用する。
【0056】
このように本実施例では、請求項1に対応して、支持用ロープ部17にループ状ロープ部13,14を設け、このループ状ロープ部13,14に立木2が遊挿状態で連結されているから、立木2が成長してもループ状ロープ部13,14が立木2に食い込むことが無い。また、立木2にロープ材を巻き付けて連結した場合、立木2が伸びると連結箇所が上昇してしまうが、これを防止できる。
【0057】
このように本実施例では、請求項3に対応して、沢部3の両側には土砂災害の発生が想定される危険区域4,4があり、これら両側の危険区域4,4の外側には危険区域4以外の安定区域5,5があり、危険区域4の立木2と危険区域4以外の安定区域5の立木2に支持用ロープ部17,17を連結したから、沢部3の両側の危険区域4,4が崩壊した場合でも、危険区域4,4の立木2は支持用ロープ部17に連結されているため沢部3側に倒れ、倒れた立木2とネット7により、流木を捕捉したり、流木の勢いを減衰したりすることができる。尚、危険区域4である沢部3の側壁6に立木2が有る場合は、その沢部3の側壁6の立木2に支持用ロープ部17を連結してもよい。
【0058】
このように本実施例では、請求項4に対応して、周りに複数の立木2が立設した沢部3に防護用のネット7を設け、ネット7を支持用ロープ部17により立木2に連結する渓流減災施設構造11の施工方法であって、ネット7が複数のネットループ部31を有し、現場で1本のネット用ロープ部16A,16B,16C,16D,16Eにより複数のネットループ部31を形成するから、現場でネット用ロープ部16A,16B,16C,16D,16Eによりネットループ部31を形成するため、重機などを用いることなく、ネット7の材料を現場に搬入することができる。
【0059】
以下、実施例上の効果として、ネット7において、幅方向に複数並設したネットループ部31を多段に設け、そのネット7を沢部3の断面に対応して、上から下に向かって幅狭になるように構成したから、防護効果に優れたものとなる。また、幅方向に隣り合うネットループ部31,31同士は、幅方向挿通連結部32により連結され、上下方向に隣り合うネットループ部31,31同士は、上下方向挿通連結部34,34Aにより連結されているから、連結金具が少なく済み、ネットループ部31,31同士を現場で連結することができる。
【0060】
さらに、傾斜方向の下段の支持用ロープ部17が上段の支持用ロープ部17に比べて沢部3の底部3Tに対して高い位置でネット7に連結されているから、土石流の上部を流れる流木などを捕捉することができる。
【0061】
また、設置現場である斜面1には、ロープ材12をロープ部13,14,15,16,16A,16B,16C,16D,16Eに分割して搬入することができるため、重機を用いることなく、人力で搬入可能となる。また、ループ状ロープ部13は、立木2を囲んで配置するループ部21と、このループ部21の重合部22に設けた緩衝具23とによりループ状に形成されるから、立木2に比較的短いループ状ロープ部13を巻き付けるように配置することができ、立木2への連結作業が容易となる。
【0062】
また、請求項1に対応して、支持用ロープ部17にループ状ロープ部13,14を設け、このループ状ロープ部13,14は立木2を囲んで配置するループ部21を有し、このループ部21に立木2が遊挿状態で連結され、ループ状ロープ部13,14は、ループ部21の重合部33を把持する緩衝具23を備え、緩衝具23は、ループ状ロープ部13,14に所定以上の張力が作用したときにループ部21が縮径するように該ループ状ロープ部13,14が摩擦摺動することを許容し、緩衝具23を立木2の斜面1の下方に配置し、ループ部21の長さが立木2の外周長の2倍以上であるから、ループ部21の長さが立木2の外周長の2倍以上であるから、立木2が成長しても、長期に渡って立木2にロープ部13,14が食い込むことがなく、さらに、ロープ材12に所定以上の張力が加わると、緩衝具23において、ロープ部13,14が摩擦摺動してエネルギーを吸収することができる。また、ループ部21に設ける緩衝具23を、立木2の斜面1の下方に配置したから、上方に配置した場合、立木2に緩衝具23が接触し易いのに対して、ループ部21が縮径してから緩衝具23が立木2に接触するため、立木2に対する緩衝具23の影響が少なく済む。
【実施例2】
【0063】
図11は本発明の実施例2を示し、上記実施例1と同一部分に同一符号を付し、その説明を省略して詳述すると、この例では、ロープ材12の両側の支持用ロープ部17A,17Aを幅方向外側向きで斜面1の斜め上向きに配置し、ループ状ロープ部13,13,14を立木2,2,2に連結している。このように前記支持用ロープ部17Aは前記支持用ロープ部17を斜面1に斜めに配置したものである。
【0064】
このように渓流減災施設構造11を設けた沢部3において、立木2がロープ材12のアンカーとなって流木のエネルギーに対抗する際、両側の立木2,2,2に、斜め上向きに配置したロープ材12の両側が連結されているため、ネット7に加わる下方向きの力に効果的に対抗することができる。
【0065】
このように本実施例では、上記実施例1と同様な作用・効果を奏する。
【実施例3】
【0066】
図12は本発明の実施例3を示し、上記各実施例と同一部分に同一符号を付し、その説明を省略して詳述すると、この例では、ロープ材12に前記幅方向の支持用ロープ部17と前記斜め方向の支持用ロープ部17Aを設けたものであり、それら支持用ロープ部17,17Aはネット7側で連結部18により連結され、この例では、沢部3に隣接した立木2の位置で支持用ロープ部17,17Aとが連結部18により連結されている。この連結部18には前記緩衝具23又は締付部材41などを用いてもよい。尚、
図12において、支持用ロープ部17,17Aは、ループ部21などの部材の一部を図示省略している。
【0067】
そして、支持用ロープ部17,17Aの交差位置の立木2には2本のループ状ロープ部
13,13が配置されると共に、端末の立木2には2本のループ状ロープ部14,14が配置されるから、1本の立木2に設けた2つの緩衝具23,23においてループ状ロープ部13,13,14,14が摩擦摺動する。また、立木2はそれぞれアンカーとしての力にバラツキが有るのに対して、幅方向の支持用ロープ部17と傾斜方向の支持用ロープ部17Aとを組み合わせると共に、1本の立木2に複数のロープ材12,12を連結することにより、全体としてアンカー効果を均一にすることができ、流木などに効果的に対抗することができる。
【0068】
このように本実施例では、上記各実施例と同様な作用・効果を奏する。
【0069】
また、斜面1の幅方向の支持用ロープ部17と斜め方向の支持用ロープ部17Aの組み合わせにより立木2によるアンカー効果に優れたものとなる。
【実施例4】
【0070】
図13は本発明の実施例4を示し、上記各実施例と同一部分に同一符号を付し、その説明を省略して詳述すると、この例では、沢部3に近接する立木2のループ状ロープ部13とネット用ロープ部16,16A,16B,16C,16D,16Eとを、緩衝具23を用いて連結ロープ部15により連結することにより、ネット用ロープ部16,16A,16B,16C,16D,16Eを短くすることができるため、現場でネットループ部31の形成作業が容易となる。
【0071】
このように本実施例では、上記各実施例と同様な作用・効果を奏する。
【実施例5】
【0072】
図14は本発明の実施例5を示し、上記各実施例と同一部分に同一符号を付し、その説明を省略して詳述する。この例では、自然林などでアンカーとなる安定区域5の立木2が少ない場合や、その立木2により得られる支持力が不足する場合を示し、端末の前記ループ状ロープ部14の代わりに端末ロープ部50を用いている。この端末ロープ部50の一方の端部にストッパ25を設け、その端末ロープ部50の一方の端部と前記連結ロープ部15の端部を重合し、この重合部22Bに前記緩衝具23又は締付部材41を設けて締め付けることにより、前記端末ロープ部50を前記連結ロープ部15に連結している。尚、前記緩衝具23及び締付部材41は、所定以上の張力が作用したときに前記重合部22Bの摩擦摺動を許容する。
【0073】
また、斜面1には、安定区域5に鋼棒や鋼管などからなるアンカー部材51を打設して固定しており、このアンカー部材51の斜面1上に露出した頭部に、前記端末ロープ部50の他方の端部を挿通し、挿通した端末ロープ部50の端部に定着具52を設けることにより、端末ロープ部50を前記アンカー部材51に連結している。尚、アンカー部材51と端末ロープ部50との連結構造は適宜選定可能である。
【0074】
そして、自然林や一部を伐採した植林などで、アンカーとなる安定区域5の立木2が少なく、立木2だけでは流木又は流木を含む土石流のエネルギーを減衰するために必要な支持力が得られない場合、立木2と共にアンカー部材51を用いることにより、ロープ材12に必要な支持力を付与することができる。
【0075】
特に、各段のロープ材12,12,12・・・毎に、安定区域5の立木2だけでは不足する支持力を計算し、必要な支持力を有するアンカー部材51をロープ材12,12,12・・・の両端末に設けることにより、設計施工を容易に行うことができる。
【0076】
このように周りに複数の立木2が立設した沢部3に防護用のネット7を設け、ネット7
を支持用ロープ部17により立木2に連結した沢部3の防護構造11において、立木2とアンカー部材51がロープ材12のアンカーとなり、所定の支持力が得られる。
【0077】
このように本実施例では、上記各実施例と同様な作用・効果を奏する。
【0078】
尚、本発明は、本実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、実施例では、植林の斜面を示したが、立木がランダムに立設した自然林に用いてもよい。また、ループ部の重合部に緩衝具に換えて締付部材を設けてもよい。さらに、実施例では沢部の幅を略一定に図示したが、実際の沢部の幅は異なるから、支持用ロープ部の長さを調整して支持用ロープ部に必要数の立木を連結すればよい。また、立木と共に、他のアンカー部材を併用することができ、ロープ材の端末以外の部分に他のアンカー部材を連結してもよい。また、実施例ではループを有するネットを例示したが、請求項4以外では、多段に設けた横ロープ材に格子状や菱形状の網体を張設したものなどの各種のネットを用いることができる。さらに、端末ロープ部を用いずに、端末の連結ロープ部の端部をアンカー部材に連結してもよい。また、沢部には常時水が流れていてもよい。
【符号の説明】
【0079】
1 斜面
2 立木
3 沢部
7 ネット
11 渓流減災施設構造
12 ロープ材
13,14 ループ状ロープ部
16,16A,16B,16C,16D,16E ネット用ロープ部
17 支持用ロープ部
21 ループ部
23 緩衝具
33 重合部
31 ネットループ部