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  • 特許-レバーハンドル 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-06
(45)【発行日】2023-02-14
(54)【発明の名称】レバーハンドル
(51)【国際特許分類】
   E05B 5/02 20060101AFI20230207BHJP
   E05B 1/00 20060101ALI20230207BHJP
   E05B 5/00 20060101ALI20230207BHJP
【FI】
E05B5/02 Z
E05B1/00 311H
E05B5/00 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019031730
(22)【出願日】2019-02-25
(65)【公開番号】P2020133347
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2022-02-07
(73)【特許権者】
【識別番号】501433619
【氏名又は名称】中西産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081547
【弁理士】
【氏名又は名称】亀川 義示
(72)【発明者】
【氏名】中西 好一
(72)【発明者】
【氏名】下地 学
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0107803(US,A1)
【文献】仏国特許出願公開第02844539(FR,A1)
【文献】実開平06-022476(JP,U)
【文献】特開2005-330721(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00-5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアに設けた錠装置を操作するハンドル軸に連結される台座と、該台座の外方に重ねられる取手を有し、該台座と取手は、該取手を台座に沿ってスライドさせたとき、該取手を台座から浮上させて取手の裏面と台座の間に差込空間を形成するようリンクアームで連結され、上記リンクアームの先端には係止溝が設けられ、取手の内面には、取手が浮上しているとき及び取手が降下しているとき、該係止溝に係合する係止突起が設けられていることを特徴とするレバーハンドル。
【請求項2】
上記リンクアームは、少なくとも2個設けられている請求項1に記載のレバーハンドル。
【請求項3】
上記台座には該リンクアームを枢着する連結部があり、上記取手が浮上しているときリンクアームの回転を停止させるストップ機構が連結部とリンクアーム間に設けられている請求項1に記載のレバーハンドル。
【請求項4】
上記ストップ機構は、リンクアームの基端に設けた肩部と、リンクアームが起立する位置まで回転したとき該肩部に係合するよう台座に設けた段部である請求項3に記載のレバーハンドル。
【請求項5】
上記取手の一側側には、取手が降下しているとき上記リンクアームを収納する受溝が形成され、他側側には握り部が形成されている請求項1に記載のレバーハンドル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物のドアやパーティション等の開閉に使用するレバーハンドルに関し、特にドア面からの突出量を少なくしたレバーハンドルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
建物の開口部に設けられるドア等は、小口からラッチが出没するよう錠装置を設け、該錠装置を操作するハンドル軸(角軸)を錠装置の挿通孔を通してドアの表面に突出し、このハンドル軸にレバーハンドルを取り付け、該レバーハンドルを回動してラッチを没入させドアを開放できるように構成されている。
【0003】
通常のレバーハンドルは、ハンドル軸に取付けられドア面から立ち上がるボス部と、このボス部からドア面に沿ってほぼ水平に延びるレバー部を有し、レバー部とドア面の間には、指先を差し込んでレバー部を握ることができる差込空間が設けられている。そのため、ドア面からレバーハンドルが大きく突出するので、衣服等が引っかかったりして通行の支障になることがある。そのよう場所では、ケースハンドルや平面ハンドルが使用されることも多い(例えば特許文献1、2参照)。
【0004】
特許文献1に記載のように、ケースハンドルは、ドア表面に固定されるケースを有し、このケース内に起倒可能にハンドルを設け、ドアを開放する際は、ハンドルを起立させて回転するよう構成されている。ケースハンドルの場合には、ハンドルを収納するためのケースが必要であり、かつケース内に収納できるようハンドルが小さく形成されているので、指先でつまんで回転させるのが面倒である。また、ハンドルを折りたたんだ状態でドア面に沿って展開した状態で収納するので、ケースが大きくなり、ハンドルの側面が表面側に現れるので、全体の形状が大きくなり、体裁もよくない。特許文献2に記載のような平面ハンドルもケースが必要であり、不使用時にケース内にハンドルをロックしておき、使用の際ハンドルのロックを解除して一端を跳ね上げる構成である。そのため、通常のレバーハンドルに比べてロック機構等の構成が複雑になり、体裁もよくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2006-169907号公報(図1図3)
【文献】特公平5-49795号公報(図1図2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、建物のドア等に使用するレバーハンドルにおいて、不使用時はドア面から取手が大きく突出しないようにドア面側に降下しており、使用する際は、スライドさせるだけでドア面から簡単に浮上し、この取手を回転させることにより錠装置のラッチを開放できるレバーハンドルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、ドアに設けた錠装置を操作するハンドル軸に連結される台座と、該台座の外方に重ねられる取手を有し、該台座と取手は、該取手を台座に沿ってスライドさせたとき、該取手を台座から浮上させて取手の裏面と台座の間に差込空間を形成するようリンクアームで連結されていることを特徴とするレバーハンドルが提供され、上記課題が解決される。
【0008】
本発明によれば、上記リンクアームは、少なくとも2個設けられ、台座には該リンクアームを枢着する連結部があり、上記取手が浮上しているときリンクアームの回転を停止させるストップ機構が連結部とリンクアーム間に設けられている上記レバーハンドルが提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明のレバーハンドルは上記のように構成され、不使用時は取手が台座に沿って降下しているので、ドア面から大きく突出しないようにでき、通行に支障を与えないようにできる。そして、ドアを開放する際は、取手を台座に沿ってスライドさせれば、リンクアームを介して取手はほぼ水平移動しながら台座から浮上し、ドア面との間に差込空間が形成されるから、この差込空間に指先を差し込んで取手を握り、確実かつ容易には取手を回転させて錠装置のラッチを解錠し、ドアを開放することができる。そして、不使用時は、リンクアームが逆方向に回転するように取手をスライドさせると、取手は台座に沿う位置に降下し、ドア面から大きく突出しないようにできる。この状態では、取手の外面部分が表面に現れるだけであるから、従来のケースハンドル等のような大きな構成部分はなく、体裁もよい。
【0010】
上記台座にリンクアームを枢着する連結部を設け、上記取手が起立しているときリンクアームの回転を停止させるストップ機構をリンクアームと連結部間に設けると、取手が浮上した状態でそれ以上リンクアームが回転することがなく、取手の浮上状態を確保でき、取手を回転する際に、取手が急に降下してしまうようなおそれがなく、安心して使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施例を示す斜視図。
図2】断面図。
図3】分解斜視図。
図4】側面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1図4は、建物のドアに本発明のレバーハンドルを用いた一実施例を示し、ドア1内にはラッチ2が小口から突出するように公知の錠装置3が設けられており、該錠装置3を操作するハンドル軸(角軸)4は、公知のように、錠装置3に設けた挿通孔(図示略)を通してドア面の表面に突出し、このハンドル軸に本発明のレバーハンドル5が取り付けられている。
【0013】
該レバーハンドル5は、ドア1内に設けた上記錠装置3を操作するハンドル軸4に連結される台座6と、該台座6の外方に重ねられる取手7を有し、該台座6と取手7は、該取手7を台座6に沿ってスライドさせたとき、該取手7が台座6から浮上して取手7の裏面と台座6の間、則ちドア面との間に差込空間8を形成するようリンクアーム9で連結されている 。
【0014】
図3に示すように、該台座6は、ほぼ矩形状に形成され、ほぼ中央にハンドル軸4を挿入する取付孔10を形成したボス11が設けられ、裏面の両側側には、錠装置3の取付座12を受け入れる凹部13が形成されている。表面側には上記リンクアーム9を連結する連結部14が形成されている。該連結部14は、リンクアーム9の基端を受け入れてピン15で固定するよう取付孔16を設けた対向状態に立ち上がる起立壁17を有する(図4参照)。なお、連結部14には、上記ハンドル軸14を固定するためのビス18をねじ着する止着孔19が設けられている。
【0015】
上記取手7は、上記台座6よりも長い略矩形状に形成され、一側側の裏面には、上記リンクアーム9を受け入れる受溝20が形成され、他端側は受溝よりも側方に長く延びて握り部28となり、この受溝20の壁面から突出した隆起部に設けた取付孔21にピン22を挿入してリンクアーム9の先端を取手7に枢着している。
【0016】
上記リンクアーム9は、両端にピンを挿通する孔を有し、基端側には、上記取手7が浮上しているときリンクアーム9の回転を停止させるストップ機構が設けられている。図に示すストップ機構は、リンクアーム9の基端側に肩部23を設け、リンクアーム9が起立したとき該肩部23と噛み合うよう連結部に段部24を設けてある。取手7をスライドして浮上させる位置まで回転したリンクアーム9は、図2に示すように、それ以上取手7をスライドさせようとしても回転しないから、取手を握って回転させる際、途中で降下することはない。またリンクアーム9の先端には、略V溝状の係止溝25を2か所に設けてあり、取手7の受溝20の内面には、係止突起26を有するばね板で構成した仮止め板27を設けてある。この構成によりリンクアーム9が起立したとき一方の係止溝25と係止突起26が噛み合って取手7等の移動を仮保持し、取手7を逆方向にスライドさせるときには、係止溝25と係止突起26の仮保持が外れてリンクアーム9及び取手7の移動を許容し、取手7が台座上に降下したときには、他方の係止溝25に係止突起26が噛み合って降下状態を維持する。したがって、ドアを開閉する際に、取手が勝手に移動することはない。上記ストップ機構は、図に示す構成に代えて適宜のクリック機構を設けたり、磁石を用いた機構であってもよい。
【0017】
上記リンクアーム9は、取手7をスライドさせたとき、台座6に対してほぼ平行移動して取手7を浮上させることができるよう、少なくとも、図に示すように、2個設けてあるが、3個以上並列して設けることもできる。そして、図3図4に示すように、上記連結部14の対向する起立壁17間に沿って延びる取手7の奥行方向の幅Aが、リンクアーム9の回転方向の幅Bよりも広くなるように形成してあり、これにより取手7を回転したときのリンクアーム9の強度を高めてある。
【0018】
上記実施例では、2個のリンクアーム9を用いてこのリンクアームが台座6に設けたボス11の両側に位置するように連結部に連結してあるが、ボス11の一方側にリンクアームを連結することもできる(図示略)。
【0019】
上記の構成により、取手7が台座6に沿って降下しているとき、リンクアーム9も台座6に沿って、図2の下部に図示するように、取手7の受溝20内に収納されている。そして、取手7を台座6に沿ってスライドさせると、リンクアーム9は、基端を中心として回転し、取手7を台座6から浮上させ、これによりドア面と取手の間には指先を挿入できる差込空間8が形成される。したがって、この差込空間8に指先を入れて取手7に握り部28を握って容易に回転させることができ、確実に錠装置のラッチ2を没入させてドアを開放することができる。
【0020】
不使用時は、取手7を逆方向にスライドさせると、リンクアーム9を介して取手7は降下し、台座6に沿って位置するから、ドア面からの突出量を少なくすることができ、通行に支障を生じないようにすることができる。
【符号の説明】
【0021】
4 ハンドル軸
5 レバーハンドル
6 台座
7 取手
8 差込空間
9 リンクアーム
20 受溝
23 肩部
24 段部
25 係止溝
26 係止突起
図1
図2
図3
図4