(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-06
(45)【発行日】2023-02-14
(54)【発明の名称】健康状態通知システム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/16 20060101AFI20230207BHJP
A61B 5/00 20060101ALI20230207BHJP
A61B 5/08 20060101ALI20230207BHJP
G16H 50/30 20180101ALI20230207BHJP
【FI】
A61B5/16 130
A61B5/00 102B
A61B5/16 200
A61B5/08
G16H50/30
(21)【出願番号】P 2019083899
(22)【出願日】2019-04-25
【審査請求日】2022-04-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000196129
【氏名又は名称】西川株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】西川 康行
(72)【発明者】
【氏名】野々村 琢人
【審査官】藤原 伸二
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-190126(JP,A)
【文献】特開2009-022567(JP,A)
【文献】特開平08-131408(JP,A)
【文献】特開2007-007149(JP,A)
【文献】国際公開第2017/195839(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00-5/03
A61B 5/08
A61B 5/11-5/113
A61B 5/16-5/18
G16H 50/00
G16H 50/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者が保有する寝具と、
前記寝具に設けられており、前記使用者の睡眠データを取得するセンサと、
前記センサによって測定された前記使用者の睡眠データから前記使用者の健康状態を判定する健康状態判定部と、
前記健康状態判定部によって判定された前記使用者の健康状態を、前記使用者の端末、及び前記使用者以外の他人の端末に表示するデータ表示制御部と、
を備え、
前記センサは、前記寝具の上部に配置されており、且つ前記寝具と一体化されて
おり、
前記使用者は、複数の構成員から成るグループに属しており、
前記寝具は、前記グループに属する複数の構成員のそれぞれに保有されており、
前記センサは、複数の前記寝具のそれぞれに設けられており、
前記健康状態判定部は、複数の前記センサのそれぞれによって測定された複数の前記構成員の睡眠データから複数の前記構成員の健康状態を前記構成員ごとに判定し、
前記データ表示制御部は、前記健康状態判定部によって判定された複数の前記構成員の健康状態を複数の前記構成員の端末のそれぞれに表示する、
健康状態通知システム。
【請求項2】
前記健康状態判定部は、前記使用者の睡眠データから前記使用者の疲労度の判定及び睡眠時間の算出を平日及び休日のそれぞれにおいて行い、
前記データ表示制御部は、平日における前記睡眠時間及び疲労度と、休日における前記睡眠時間及び疲労度を、前記使用者の端末、及び前記他人の端末に表示する、
請求項
1に記載の健康状態通知システム。
【請求項3】
前記健康状態判定部によって判定された健康状態から前記使用者への健康に関する提案情報を生成する提案情報生成部を更に備える、
請求項1
又は2に記載の健康状態通知システム。
【請求項4】
前記センサは、前記使用者の呼吸を測定する呼吸測定センサを含んでおり、
前記睡眠データは、前記呼吸測定センサによって測定された前記使用者の呼吸データを含んでおり、
前記健康状態判定部は、前記呼吸データから前記使用者の無呼吸の有無を判定し、
前記データ表示制御部は、前記使用者の無呼吸の有無を、前記使用者の端末、及び前記他人の端末に表示する、
請求項1~
3のいずれか一項に記載の健康状態通知システム。
【請求項5】
前記センサは、
前記使用者の呼吸を測定する呼吸測定センサと、
前記使用者の心拍を測定する心拍測定センサと、
前記使用者の体動を測定する体動測定センサと、
を含んでおり、
前記寝具の上面には、凹部及び凸部が連続して形成されており、
前記呼吸測定センサ、前記心拍測定センサ及び前記体動測定センサは、前記凸部に接触した状態で固定されている、
請求項1~
4のいずれか一項に記載の健康状態通知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、健康状態を通知する健康状態通知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2016-64305号公報には、就寝状況検知システムが記載されている。この就寝状況検知システムは、被験者が就寝する部屋又は閉空間と、部屋又は閉空間の内部のダスト微粒子を検知するダストカウンターと、部屋又は閉空間の内部の被検者に対する接触測定によってデータを取得する測定装置とを備える。部屋又は閉空間の内部にはファン・フィルターユニットが設けられる。
【0003】
この就寝状況検知システムでは、ファン・フィルターユニットによって部屋又は閉空間の内部を外部よりも清浄に維持した状態で被験者が就寝する。被検者が就寝している間にはダストカウンターによってダスト微粒子数の時間変化を測定すると共に、被検者に対する接触測定を行うことにより被検者の就寝状況を検知する。このように部屋又は閉空間を清浄しつつ更にダストカウンターによってダスト微粒子の数をカウントしながら接触測定を行うことにより、接触測定の高精度化を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した就寝状況検知システムでは、被験者の就寝状況を取得することが可能とされている。しかしながら、部屋又は閉空間の内部にダストカウンターを配置したりファン・フィルターユニットを配置したりしなければならず、装置が大がかりであるという問題がある。よって、就寝状況を取得する度にダストカウンター及びファン・フィルターユニットを設置しなければならないため、設置に手間がかかる。
【0006】
また、就寝状況等の健康状態を取得するシステムとして、自分自身の健康状態を端末で管理できるものが知られている。しかしながら、自分自身で健康状態を管理するだけでは、忙しい等の理由で自分自身の健康状態を十分に管理することができない場合があり、医療機関に診てもらう等の適切な処置を速やかにとれない場合がある。このように、現状では、自分自身の健康状態を知ることはできても適切な処置をとれない場合があるため、健康状態に対する対処を速やかに行う点において改善の余地がある。
【0007】
本開示は、設置の手間を低減させることができると共に、自分自身の健康状態を確実に把握し、自分自身の健康状態に対して必要に応じて速やかに対処することができる健康状態通知システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る健康状態通知システムは、使用者が保有する寝具と、寝具に設けられており、使用者の睡眠データを取得するセンサと、センサによって測定された使用者の睡眠データから使用者の健康状態を判定する健康状態判定部と、健康状態判定部によって判定された使用者の健康状態を、使用者の端末、及び使用者以外の他人の端末に表示するデータ表示制御部と、を備え、センサは、寝具の上部に配置されており、且つ寝具と一体化されており、使用者は、複数の構成員から成るグループに属しており、寝具は、グループに属する複数の構成員のそれぞれに保有されており、センサは、複数の寝具のそれぞれに設けられており、健康状態判定部は、複数のセンサのそれぞれによって測定された複数の構成員の睡眠データから複数の構成員の健康状態を構成員ごとに判定し、データ表示制御部は、健康状態判定部によって判定された複数の構成員の健康状態を複数の構成員の端末のそれぞれに表示する。
【0009】
この健康状態通知システムでは、その使用者が寝具を保有し、寝具には使用者の睡眠データを取得するセンサが設けられている。健康状態判定部は、センサによって取得された使用者の睡眠データから使用者の健康状態を判定する。データ表示制御部は、使用者の健康状態を、使用者の端末、及び使用者以外の他人の端末に表示する。よって、使用者の端末、及び使用者以外の他人の端末のそれぞれに使用者の健康状態が表示されるので、使用者だけでなく使用者以外の他人も当該使用者の健康状態を把握することができる。従って、使用者以外の他人も使用者の健康状態を把握することができるので、例えば、使用者以外の医療関係者、介護関係者、又は睡眠相談所に所属する睡眠専門家の端末に当該使用者の健康状態を表示することができる。その結果、医療関係者、介護関係者又は睡眠専門家等の他人を通じて使用者が使用者自身の健康状態を十分に管理することができ、当該他人を通じて適切な処置をとることができる。よって、健康状態に対する対処を速やかに行うことができる。また、使用者が保有する寝具に設けられるセンサは、寝具の上部に配置されており、且つ寝具と一体化されている。従って、寝具に接触した使用者の身体に近い位置にセンサが設けられるので、センサが測定する睡眠データの精度を高めることができる。その結果、高精度な睡眠データを得ることができるので、使用者の健康状態の高精度なデータを取得することができる。また、センサは寝具に一体化されるので、測定の度にセンサを設置する手間を解消することができる。よって、設置の手間を低減させることができる。
【0010】
また、グループに属する使用者を含む複数の構成員のそれぞれが寝具を保有し、複数の寝具のそれぞれには各構成員の睡眠データを取得するセンサが設けられている。健康状態判定部は、各センサによって取得された構成員の睡眠データから、複数の構成員の健康状態を構成員ごとに判定する。そして、データ表示制御部は、複数の構成員の健康状態を複数の構成員のそれぞれの端末に表示する。よって、複数の構成員が所有する端末のそれぞれに複数の構成員の健康状態が表示されるので、各構成員が複数の構成員の健康状態を把握することができる。従って、使用者は、自分の健康状態だけでなくグループに属する他の構成員の健康状態を把握することもできるので、例えば、遠隔地に住む子供、祖父又は祖母の健康状態を把握することができる。
【0011】
また、健康状態判定部は、使用者の睡眠データから使用者の疲労度の判定及び睡眠時間の算出を平日及び休日のそれぞれにおいて行い、データ表示制御部は、平日における睡眠時間及び疲労度と、休日における睡眠時間及び疲労度を、使用者の端末、及び他人の端末に表示してもよい。この場合、平日の疲労度と休日の疲労度とを比較することによって休日の疲労回復度を把握することができる。また、平日及び休日の疲労度を睡眠時間と対応付けて表示することにより、休日の睡眠時間と平日の睡眠時間との差分である休日の寝だめの時間と、休日の疲労回復度との関係を把握することができる。従って、休日の寝だめ可能時間、及び休日の推奨起床時間を把握することが可能となる。
【0012】
また、健康状態判定部によって判定された健康状態から使用者への健康に関する提案情報を生成する提案情報生成部を更に備えてもよい。この場合、提案情報生成部が健康に関する提案情報を生成し、データ表示制御部が提案情報を使用者の端末及び他人の端末に表示することにより、使用者の健康状態に対する提案を更に的確に行うことができる。従って、使用者の健康状態の更なる改善に寄与する。
【0013】
また、センサは、使用者の呼吸を測定する呼吸測定センサを含んでおり、睡眠データは、呼吸測定センサによって測定された使用者の呼吸データを含んでおり、健康状態判定部は、呼吸データから使用者の無呼吸の有無を判定し、データ表示制御部は、使用者の無呼吸の有無を、使用者の端末、及び他人の端末に表示してもよい。この場合、データ表示制御部によって使用者の無呼吸の有無に関する情報を使用者の端末及び他人の端末に表示することができるので、無呼吸を患っているか否かを把握することができると共に無呼吸に対して適切な処置を速やかにとることができる。
【0014】
また、センサは、使用者の呼吸を測定する呼吸測定センサと、使用者の心拍を測定する心拍測定センサと、使用者の体動を測定する体動測定センサと、を含んでおり、寝具の上面には、凹部及び凸部が連続して形成されており、呼吸測定センサ、心拍測定センサ及び体動測定センサは、凸部に接触した状態で固定されていてもよい。この場合、寝具の上面に凹部及び凸部が形成されているので、クッション性が高い寝具とすることができる。更に、呼吸測定センサ、心拍測定センサ及び体動測定センサが凸部に接触した状態で固定されることにより、呼吸測定センサ、心拍測定センサ及び体動測定センサを寝具の上部に固定できるので、呼吸、心拍及び体動のデータをより高精度に取得することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、設置の手間を低減させることができると共に、自分自身の健康状態を確実に把握し、自分自身の健康状態に対して必要に応じて速やかに対処することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、実施形態に係る健康状態通知システムの機能の例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、
図2の寝具の例示的な横断面を示す断面図である。
【
図4】
図4は、
図1の寝具の機能の詳細の例を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、使用者の健康状態を表示した画面の例を示す図である。
【
図6】
図6は、平日及び休日のそれぞれの睡眠時間及び疲労度を表示した画面の例を示す図である。
【
図7】
図7は、使用者の体重の時系列データの例を示す図である。
【
図8】
図8(a)は、使用者を含むグループの各構成員の睡眠時間の例示的な画面を示す図である。
図8(b)は、使用者を含むグループの各構成員の疲労度の例示的な画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では、図面を参照しながら本開示に係る健康状態通知システムの実施形態について説明する。図面の説明において同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、図面は、理解の容易のため、一部を簡略化又は誇張して描いている場合があり、寸法比率等は図面に記載のものに限定されない。
【0018】
本明細書において、「健康状態」とは、寝具において睡眠をとる使用者の健康状態を示しており、例えば、睡眠時間及び睡眠深度等の睡眠状態、疲労度、ストレス度、体重、無呼吸の有無、並びに病気となるリスク等、使用者の生体情報を含んでいる。「健康」とは、身体及び精神が健やかな状態であることを示している。
【0019】
「健康状態が劣化する」とは、例えば、生活習慣に問題があることを示している。「健康状態が劣化する」ことは、睡眠時間が一定の推奨時間よりも短くなったり、睡眠深度が浅い状態が続いたり、疲労度若しくはストレス度が高い状態が続いたり、体重が増加傾向になったり、無呼吸を患ったりすることを含んでいる。「健康状態が改善する」とは、健康状態が劣化した状態から脱した状態を示している。
【0020】
「使用者」とは、健康状態通知システムを使用する人を示している。「他人」とは、使用者以外の人を示しており、例えば、使用者の健康状態を知る権限が与えられた人を示している。「他人」は、典型的には、医療関係者、介護関係者又は睡眠専門家である。「寝具」とは、使用者が身体を休めたり睡眠をとったりするときに使用者の身体が当てられるものであり、典型的には、マットレス、敷き布団、枕、掛け布団又はクッションである。
【0021】
「睡眠データ」とは、使用者の健康状態を判定する基となる睡眠のデータを示しており、例えば、睡眠時における使用者の呼吸、睡眠時における使用者の心拍、又は、睡眠時における使用者の体動が挙げられる。また、「睡眠データ」は、例えば、寝具に横たわる使用者の体重、身長、血圧、血糖値、脈(一例として血中飽和酸素濃度)、いびき、又は皮膚表面温度(体温)であってもよい。更に、「睡眠データ」は、寝具が置かれた部屋の温度、又は、寝具が置かれた部屋の明るさ等、部屋の環境情報も含む。
【0022】
図1は、本実施形態に係る健康状態通知システム10の機能の例を示すブロック図である。使用者Aは、例えば、グループGに属している。本明細書において、「グループ」とは、健康状態通知システムを使用する使用者を含む複数の構成員の集合体(集まり)を示しており、典型的には、家族、企業等の職場、病院又は地域が挙げられる。
【0023】
「構成員」とはグループに属する人を示しており、「使用者」は「構成員」に含まれる。また、本実施形態では、使用者A以外の構成員B,Cも「使用者」に含まれる。従って、使用者Aになされる測定及び判定は、構成員B,Cに対しても同様に実行される。「構成員」としては、例えば、家族を構成する父、母、子、職場の職員、病院の患者、又は地域の高齢者等が挙げられる。「地域」とは、例えば、町内会等の地域のグループを示しており、当該地域に住む住民によって構成されているグループである。
【0024】
健康状態通知システム10は、例えば、使用者A及び構成員B,Cのそれぞれが保有する寝具1と、各寝具1に設けられており、使用者A及び構成員B,Cのそれぞれの睡眠データを取得する複数のセンサSと、各センサSによって測定された使用者A及び構成員B,Cのそれぞれの健康状態を判定する健康状態判定部23を含む健康管理部20と、使用者A、構成員B,C及び他人Dのそれぞれが所有する端末T1,T2,T3,T4とを含む。他人Dは、一例として、施設Xにおいて勤務する医療関係者であり、施設Xは医療機関である。
【0025】
なお、グループGに属する構成員は、一例として使用者A及び構成員B,Cとしているが、構成員の人数は適宜変更可能である。更に、健康状態通知システム10は、複数のグループを備えていてもよい。但し、健康状態の情報共有は、グループ内の構成員(使用者A及び構成員B,C)と他人Dとの間のみで行われ、他のグループの構成員とは行われない。
【0026】
健康状態通知システム10では、グループに属する複数の構成員の健康状態を健康状態判定部23によって判定し、判定した複数の構成員の健康状態を可視化してグループ内における複数の構成員及び他人との間で各構成員の健康状態を共有する。一例として、グループが家族である場合、家族を構成する複数の構成員の健康状態が複数の構成員と他人(医療関係者、介護関係者又は睡眠専門家等)との間で共有される。
【0027】
このように、健康状態をグループ内及び他人との間で共有することによって各構成員の健康に対する意識を高めることが可能である。例えば、グループが家族である場合には、学業で睡眠時間が不足しがちな子供、又は仕事で時間がなく食事が疎かになりがちな父親に対して、睡眠時間を確保するよう促したり、栄養価が高い食事をきちんと摂ることを促したりすることが可能になる。また、遠隔地に住む祖父又は祖母等の健康状態を使用者及び医療関係者等(他人)との間で共有することも可能となる。
【0028】
グループが会社である場合には、仕事が多すぎてストレス等で健康状態が劣化している従業員がいないかどうかを企業の健康保険組合又は医療関係者等(他人)と共有することが可能となる。これにより、例えば健康状態が劣化している従業員を、企業の健康保険組合又は医療関係者等のアドバイスを通じて休ませる等の処置が可能となる。
【0029】
グループが地域である場合には、例えば、健康状態が劣化している高齢者がいないかどうかを医療関係者等(他人)と共有することが可能であり、健康状態が劣化している高齢者等を救済することが可能となる。但し、本実施形態に係る健康状態通知システム10では、グループG又は構成員B,Cが存在しなくてもよく、使用者A及び他人Dのみが存在していてもよい。すなわち、健康状態通知システム10では、複数の構成員又はグループが存在しなくてもよい。
【0030】
健康管理部20は、例えば、使用者A及び構成員B,Cのそれぞれが所有する寝具1の各センサSと、端末T1,T2,T3,T4とのそれぞれと通信可能とされている。健康管理部20は、各センサSから使用者A及び構成員B,Cのそれぞれの睡眠データを受信する。健康管理部20の健康状態判定部23によって判定された使用者A及び構成員B,Cのそれぞれの健康状態は他人Dの端末T4に表示される。また、健康状態判定部23によって判定された使用者A及び構成員B,Cのそれぞれの健康状態はグループG内において共有されてもよい。
【0031】
端末T1,T2,T3、T4のそれぞれは、スマートフォン又はタブレット等の携帯端末、及びパーソナルコンピュータ又はノートパソコン等のコンピュータを含んでいる。健康管理部20は、例えば、コンピュータ(サーバであってもよい)に設けられている。寝具1は、例えば、ネットワークモジュールを構成する通信部を含んでおり、寝具1の通信部は、無線LAN又はBluetooth(登録商標)等の無線通信インタフェースを含む。寝具1に内蔵されたセンサSは、例えば、寝具1の通信部を介して健康管理部20と通信可能である。
【0032】
健康管理部20が設けられるコンピュータは、例えば、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラム等を実行するプロセッサ(例えばCPU)と、ROM及びRAM等によって構成される主記憶部と、ハードディスク又はフラッシュメモリ等で構成される補助記憶部と、ネットワークカード又は無線通信モジュールで構成される通信制御部と、を備える。
【0033】
健康管理部20が設けられるコンピュータの各構成要素は、プロセッサ又は主記憶部に所定のソフトウェアを読み込ませて当該ソフトウェアを実行することによって実現される。プロセッサは、当該ソフトウェアに従って通信制御部を動作させ、主記憶部又は補助記憶部におけるデータの読み出し又は書き出しを行う。コンピュータの処理に必要なデータは、主記憶部又は補助記憶部に記憶される。
【0034】
健康管理部20は、例えば、各センサSによって取得された睡眠データを寝具1の通信部から受信する。一例として、健康管理部20は、センサSの後述する呼吸心拍測定センサ2が測定した使用者Aの呼吸及び心拍、センサSの後述する体動測定センサ3が測定した使用者Aの体動、並びに、センサSの後述する体重測定センサ4が測定した体重を解析する。例えば、健康状態判定部23は、呼吸、心拍及び体動の少なくともいずれかから使用者Aの睡眠深度を判定する。
【0035】
一例として、健康管理部20は、機能的構成要素として、構成員情報取得部21、寝具情報取得部22、健康状態判定部23、離床通知部24、アラーム通知部25、提案情報生成部26、データ表示制御部27及びデータ記憶部28を含む。データ記憶部28は、健康管理部20が受信した情報、及び健康管理部20の内部において得られた情報を前述した主記憶部又は補助記憶部に記憶するデータベースである。
【0036】
構成員情報取得部21は、使用者A及び構成員B,Cの情報を取得する。構成員情報取得部21は、例えば、構成員個人情報、職場通学場所情報、グループ情報及び情報共有可能者情報を取得する。構成員個人情報は、一例として、健康状態通知システム10の構成員を識別するための情報(利用者ID)、パスワード、性別、年齢、居住場所情報(郵便番号)、メールアドレス及び何人で寝ているかに関する情報(1人で寝ているか複数人で寝ているか等)を含む。
【0037】
前述した構成員個人情報は、例えば、入眠前の使用者A及び構成員B,Cのそれぞれの情報、具体例として、入眠数時間前(一例として入眠2時間前)までの行動情報を含む。当該行動情報は、一例として、食事の有無、運動の有無、入浴の有無、飲酒の有無、カフェイン摂取の有無、喫煙の有無、及び疲労感の程度に関する情報を含む。なお、疲労感の程度は、例えば、選択式(一例として5段階のラジオボタン)で入力されてもよい。この場合、疲労感の入力の手間を軽減させることが可能となる。
【0038】
更に、前述した構成員個人情報は、起床後の使用者A及び構成員B,Cの情報を含んでいてもよく、例えば、起床後の疲労感の程度に関する情報を含んでいてもよい。構成員個人情報が入眠前の疲労感の程度に関する入力情報と起床後の疲労感の程度に関する入力情報とを含むことにより、睡眠による疲労感の回復度合をデータ記憶部28に蓄積することが可能となる。
【0039】
構成員情報取得部21に取得される職場通学場所情報は、例えば、職場通学場所の郵便番号を含む。構成員個人情報及び職場通学場所情報のそれぞれは例えば端末T1,T2,T3のそれぞれから構成員情報取得部21に取得され、当該取得された情報はデータ記憶部28に記憶される。これにより、健康状態判定部23は、例えば、性別ごとの健康状態の判定、年代ごとの健康状態の判定、又は職場通学場所ごとの健康状態の判定を行うことが可能である。更に、健康状態判定部23は、入眠数時間前までの食事の有無、運動の有無、入浴の有無、飲酒の有無、カフェイン摂取の有無、喫煙の有無、又は疲労感の程度ごとの健康状態の判定を行うことが可能である。また、健康状態判定部23は、居住場所情報(郵便番号)ごとの健康状態の判定を行うことが可能である。
【0040】
構成員情報取得部21に取得されるグループ情報は、構成員が属するグループの情報である。例えば、グループ情報は、使用者A及び構成員B,CについてはグループG(例えばXX一家)という情報を含む。構成員情報取得部21に取得される情報共有可能者情報は、構成員のそれぞれの健康状態の共有を可能な構成員の情報を含んでいる。例えば、使用者Aは構成員Bとは健康状態を共有してもよいが構成員Cとは健康状態を共有したくない場合、使用者Aの情報共有可能者情報は構成員Bのみである。構成員情報取得部21が情報共有可能者情報を有することによって、構成員ごとに健康状態の情報共有者を選択することが可能となる。
【0041】
寝具情報取得部22は、寝具1の情報を取得する。寝具情報取得部22は、例えば、寝具1を識別する寝具品番情報と、使用場所情報とを含む。使用場所情報は、例えば、寝具1の使用場所(一例として自宅)の郵便番号を含む。寝具情報取得部22は、寝具1の品番、及び寝具1の使用場所情報を例えば端末T1,T2,T3のそれぞれから取得し、当該取得された情報はデータ記憶部28に記憶される。
【0042】
健康状態判定部23は、例えば、寝具1の品番ごと(又は寝具1の種類ごと)の健康状態の判定、又は寝具1の使用場所ごとの健康状態の判定を行う。更に、健康状態判定部23は自宅及び職場通学場所ごとの健康状態の判定を行ってもよく、この場合、通勤時間又は通学時間と健康状態との関係を把握することも可能となる。
【0043】
また、自宅以外の場所(例えばホテル)の寝具1において前述した使用場所情報が寝具情報取得部22に取得されている場合、健康状態判定部23は普段の寝具1の使用場所(例えば自宅)以外の使用者Aの健康状態を判定することが可能となる。健康状態判定部23は、各センサSから得られた睡眠データから構成員ごとに健康状態を判定する。以下では、健康状態判定部23について詳細な説明を行う前に寝具1及びセンサSの具体例について説明する。
【0044】
図2に示されるように、本実施形態に係る寝具1は、例えば、使用者Aが睡眠をとるときに使用者Aの睡眠データを測定する。「睡眠データを測定する」とは、例えば、睡眠中の使用者Aの呼吸、心拍、体動、及び脈の少なくともいずれかを測定することによって、使用者Aの眠りの深さ等を推定し、眠りの状態に関する情報を取得することを示している。寝具1は、通常の寝具と同様、睡眠をとるために個人用又は家庭用として用いられてもよいし、試験研究用として研究所等で用いられるものであってもよい。
【0045】
寝具1に内蔵されたセンサS(
図1参照)は、例えば、使用者Aの呼吸及び心拍を測定する呼吸心拍測定センサ2と、使用者Aの体動を測定する体動測定センサ3と、使用者Aの体重を測定する体重測定センサ4とを備える。呼吸心拍測定センサ2、体動測定センサ3及び体重測定センサ4を含む寝具1のセンサSは、寝具1に一体化され、本実施形態では、寝具1の内部に予め固定されている。
【0046】
本明細書において「一体化」とは、ある物と他の物とが互いに固定されて一体となることを示しており、ある物と他の物とが予め一体化されていること、及びある物と他の物とが後で一体化されること、の両方を含んでいる。なお、寝具1のセンサSの構成は、上記呼吸心拍測定センサ2、体動測定センサ3及び体重測定センサ4を含む例に限られず、例えば、呼吸心拍測定センサ2、体動測定センサ3及び体重測定センサ4の少なくともいずれかが省略されてもよい。
【0047】
例えば、寝具1は、2つの呼吸心拍測定センサ2を備える。一例として、呼吸心拍測定センサ2は、同軸線を含む圧電センサである。但し、呼吸心拍測定センサ2の種類は適宜変更可能である。また、本実施形態では、呼吸を測定する呼吸測定センサと、心拍を測定する心拍測定センサとが一体の呼吸心拍測定センサ2とされている。しかしながら、呼吸測定センサと心拍測定センサとが互いに独立して別々に設けられていてもよい。
【0048】
例えば、呼吸心拍測定センサ2は、寝具1の長手方向D1の一端1aから長さL1の箇所に配置された呼吸心拍測定センサ2Aと、一端1aから長さL2の箇所に配置された呼吸心拍測定センサ2Bとを含む。呼吸心拍測定センサ2A及び呼吸心拍測定センサ2Bは、共に、寝具1の幅方向D2に延びている。長さL1は使用者Aの肩M1から胸M2の位置に相当する長さであり、長さL2は使用者Aの腰M3の位置に相当する長さである。
【0049】
例えば、長さL1は30cm以上且つ70cm以下(一例として50cm)であり、長さL2は70cm以上且つ110cm以下(一例として90cm)である。呼吸心拍測定センサ2は、寝具1の幅方向D2の一端から他端まで延びており、これにより、使用者Aがどのように寝返りを打っても使用者Aの呼吸及び心拍を測定することが可能となる。なお、平面視における呼吸心拍測定センサ2の位置は、上記の例に限られず適宜変更可能である。
【0050】
例えば、体動測定センサ3は、寝具1の上に横たわる使用者Aの体動を測定する。「体動」とは、身体の向きが仰臥位(仰向け)、側臥位(横向き寝)及び俯せのそれぞれの時系列データを含んでおり、睡眠中における使用者Aの身体の動きを示している。体動測定センサ3は、例えば、伸縮性を有する歪みセンサである。
【0051】
一例として、体動測定センサ3は、ゴム状の静電容量センサである。この場合、体動測定センサ3は、複数の金属片と、複数の金属片の間に位置する誘電体とを備える。外力で体動測定センサ3が変形すると、外力に伴って複数の金属片の間の距離が変化して静電容量が変化することにより、体動測定センサ3が使用者Aの体動を検出する。なお、体動測定センサ3の種類は、上記の例に限られず適宜変更可能である。
【0052】
寝具1は、例えば、複数(一例として4個)の体動測定センサ3を備える。4個の体動測定センサ3は、例えば、平面視における左端に配置された体動測定センサ3A、平面視における右端に配置された体動測定センサ3D、体動測定センサ3Aと体動測定センサ3Dの間において左側に配置された体動測定センサ3B及び右側に配置された体動測定センサ3Cを含む。
【0053】
複数の体動測定センサ3は、例えば、寝具1の幅方向D2に沿って配列されている。このように、複数の体動測定センサ3が幅方向D2に沿って配列されることにより、使用者Aがどの位置で寝ていてもより確実に使用者Aの体動を測定することが可能となる。複数の体動測定センサ3は、例えば、平面視における寝具1の中心1bを通ると共に長手方向D1に延びる直線Lに対して互いに対称となる位置に配置されていてもよい。
【0054】
体重測定センサ4は、その図示を簡略化しているが、例えば、寝具1の複数の箇所のそれぞれにおける体圧を検出する複数の圧力センサを含んでいる。体重測定センサ4は、複数の圧力センサの検出値から使用者Aの体重、或いは体重の変化率を算出する。また、体重測定センサ4は使用者Aの荷重を測定する。そして、体重測定センサ4によって測定された使用者Aの荷重の有無によって健康状態判定部23は使用者Aの寝具1の使用有無を判定する。なお、体重測定センサ4の構成は複数の圧力センサを備える構成に限られず適宜変更可能である。
【0055】
図3は、寝具1を鉛直方向に沿って切断したときの断面図である。寝具1は、例えば、マットレスである。一例として、寝具1は、クッション材5と、クッション材5を覆う側地9とを備える。呼吸心拍測定センサ2、体動測定センサ3及び体重測定センサ4は寝具1の上部5Aに設けられている。本明細書において、「上部」とは、あるものの下面より上方の部分を示しており、例えば、あるものの上半分の部分、及びあるものの上面を含む部分を示していてもよい。
【0056】
クッション材5は、例えば、直方体状を成すベース部6と、ベース部6の上面6aに設けられる複数の第1突起7(凸部)と、各第1突起7の頂面7bに設けられる第2突起8(凸部)とを備える。一例として、ベース部6及び第1突起7は第2突起8よりも硬く、各第2突起8はスポンジ状とされている。第1突起7及び第2突起8は、ベース部6の上面6aにおいて格子状に配置されていてもよい。
【0057】
ベース部6は、例えば、上面6aから下方に延びるスリット6b(凹部)を備える。一例として、スリット6bは、上面6aから下方に延びる直線部6cと、直線部6cの下端において拡張する拡張部6dとを有する。拡張部6dは、例えば、直線部6cの下端から円形状に拡張しているが、拡張部6dの形状は適宜変更可能である。このように、スリット6bの直線部6cの下端に拡張部6dが形成されることにより、クッション材5のクッション性が高められている。
【0058】
ベース部6は、複数のスリット6bを備えており、例えば、複数のスリット6bがクッション材5において周期的に設けられていてもよい。このように、複数のスリット6bを有することによってクッション性が高い領域を広くすることができ、複数のスリット6bが周期的に設けられることによってクッション性が高い領域を均一に配置することが可能となる。
【0059】
第1突起7の材料は、例えば、ベース部6の材料と同一である。例えば、2つのスリット6bの間に複数の第1突起7が設けられている。すなわち、2つのスリット6bの間に形成されたベース部6の島部6eに複数の第1突起7が設けられている。一例として、島部6eに3列の第1突起7が配置されている。なお、第1突起7の材料は、ベース部6の材料とは異なっていてもよく、適宜変更可能である。
【0060】
第1突起7は、例えば、截頭四角錐状とされている。具体的には、第1突起7は、ベース部6の上面6aから上方に延びる複数の斜辺7aと、複数の斜辺7aの上端同士の間において上面6aに沿って延びる頂面7bとを備える。斜辺7aは、例えば、第1突起7の外側に膨らむように湾曲している。
【0061】
また、側面視において、第1突起7は、2本の斜辺7aが脚となる台形状とされていてもよい。頂面7bは、一例として、平坦面である。しかしながら、斜辺7a及び頂面7bの形状は適宜変更可能であり、更に、第1突起7の形状は、截頭四角錐状に限られず、適宜変更可能である。
【0062】
第2突起8は、第1突起7の頂面7bに載せられた突起であって、クッション材5の上端面を形成する。第2突起8は、例えば、上端に頂点が位置する放物線状となっている。しかしながら、第2突起8の形状は、例えば、円弧状であってもよく適宜変更可能である。一例として、第2突起8は着色されており、例えば、第2突起8の色彩はベース部6及び第1突起7の色彩とは異なる。これにより、着色された第2突起8が格子状に配列されるので、クッション材5のデザイン性が高められている。
【0063】
呼吸心拍測定センサ2は、例えば、第2突起8の頂部8aに固定されていてもよい。呼吸心拍測定センサ2は、複数の頂部8aのうちの一部に固定されていてもよいし、複数の頂部8aの全てに固定されていてもよい。また、呼吸心拍測定センサ2は、例えば、側地9の裏面9aと第2突起8の頂部8aとの間に設けられていてもよく、側地9の裏面9aに固定されていてもよい。更に、呼吸心拍測定センサ2は、スリット6bの内部(例えば、直線部6c及び拡張部6dによって画成された空間)に固定されていてもよい。呼吸心拍測定センサ2の固定の手段は、例えば、縫い込み、接着又は溶着等、種々の方法が挙げられる。以上のようにクッション性及びデザイン性が良好な寝具1を使用者A及び構成員B,Cのそれぞれが使用することにより、使用者A及び構成員B,Cは快適な寝心地を得ることが可能となる。
【0064】
図1及び
図4に示されるように、寝具1に設けられたセンサSは、更に、血圧測定センサ11、音測定センサ12、脈測定センサ13、温度センサ14及び明るさセンサ15の少なくともいずれかを含んでいてもよい。血圧測定センサ11は、寝具1に横たわった使用者Aの血圧を測定する。
【0065】
例えば、血圧測定センサ11は、寝具1の中心1bを通る直線L上に配置されていてもよいし、使用者Aの腰M3が載せられる位置に配置されていてもよい。この場合、使用者Aがどのように寝返りを打っても使用者Aの身体を血圧測定センサ11に当てやすくすることができる。その結果、血圧の測定の精度を高めることが可能となる。なお、血圧測定センサ11に代えて、呼吸心拍測定センサ2が測定した使用者Aの心拍から血圧を推定してもよい。この場合、血圧測定センサ11を省略することも可能である。
【0066】
音測定センサ12は、寝具1が設けられた寝床内(例えば、寝具1が設けられた部屋)の音量を測定する。音測定センサ12は、例えば、平面視における側地9の隅部に固定されており、この場合、音測定センサ12が睡眠の邪魔にならないようにすることが可能である。
【0067】
脈測定センサ13は、睡眠中の使用者Aの脈を測定するセンサであり、例えば、血圧測定センサ11と同様に配置されている。血圧測定センサ11及び脈測定センサ13のそれぞれは、例えば、発光素子及び受光素子を備えた光学センサであってもよい。この場合、血圧測定センサ11は、発光素子が使用者Aの血管に光を照射し、当該照射に伴って血管から反射した光を受光素子が受光することによって血圧を測定する。
【0068】
また、脈測定センサ13は、発光素子が使用者Aの血管に光を照射し、当該照射に伴って血管から反射した光を受光素子が受光し、当該受光素子の受光量の時系列データから使用者Aの脈を測定する。温度センサ14は、寝具1が設けられた寝床内の温度を測定する。また、明るさセンサ15は、寝具1が設けられた寝床内の明るさを測定する。以上で説明した血圧測定センサ11、音測定センサ12、脈測定センサ13、温度センサ14及び明るさセンサ15のセンサの種類は上記の例に限られず適宜変更可能である。
【0069】
健康状態判定部23は、睡眠時間判定部23a、睡眠深度判定部23b、疲労度判定部23c、ストレス判定部23d、体重判定部23e、血圧判定部23f、呼吸判定部23g、脈判定部23h、寝返り判定部23j及び睡眠環境判定部23kを有する。睡眠時間判定部23aは、例えば、体重測定センサ4によって測定された寝具1への使用者Aの荷重の時系列データから睡眠時間を判定する。
【0070】
この場合、睡眠時間判定部23aは、体重測定センサ4によって使用者Aの荷重が検知されたときに睡眠時間の加算を行い、体重測定センサ4によって使用者Aの荷重が検知されなくなったときに睡眠時間の加算を停止することによって、使用者Aの睡眠時間を算出する。また、睡眠時間判定部23aは、呼吸心拍測定センサ2によって測定された使用者Aの呼吸及び心拍、又は体動測定センサ3によって測定された使用者Aの体動から睡眠時間の判定を行ってもよい。
【0071】
睡眠時間判定部23aは、例えば、使用者Aの睡眠時間が平均を含む所定範囲から一定時間以上長い又は短いとき(一例として5時間以下又は9時間以上)であるときに健康状態が劣化していると判定してもよい。また、睡眠時間判定部23aは、使用者Aの睡眠時間の一定期間における変動量(例えば、1週間における睡眠時間の最長と最短との差)が所定時間以上であるときに健康状態が劣化していると判定してもよい。
【0072】
更に、睡眠時間判定部23aは、入眠時刻が所定時刻(例えば午前1時)より遅いとき、又は起床時刻が所定時刻(例えば午前9時)より遅いときに健康状態が劣化していると判定してもよい。また、睡眠時間判定部23aは、一定期間における入眠時刻又は起床時刻の変化量が所定時間より長い(例えば1週間における入眠時刻又は起床時刻の変化量が2時間より長い)ときに健康状態が劣化していると判定してもよい。
【0073】
寝返り判定部23jは、体動測定センサ3によって得られた使用者Aの体動から使用者Aの寝返りを測定する。例えば、寝返り判定部23jは、使用者Aの就寝時における使用者Aの寝返りの回数を測定する。具体例として、寝返り判定部23jは、使用者Aの仰向けの時間及び回数、使用者Aの横向き寝の時間及び回数、並びに、使用者Aのうつ伏せの時間及び回数、を測定してもよい。寝返り判定部23jは、例えば、使用者Aの寝返りの回数が所定範囲以下であるときに、凝り又は蒸れによって使用者Aの疲れが解消しづらいと判定してもよい。また、寝返り判定部23jは、使用者Aの寝返りの回数が所定範囲以上であるときに、寝具1が硬すぎる可能性があり熟睡できていないと判定してもよい。
【0074】
睡眠深度判定部23bは、例えば、睡眠中の使用者Aの睡眠深度を判定する。例えば、睡眠深度判定部23bは、寝返り判定部23jによって判定された使用者Aの寝返りの回数、並びに、呼吸心拍測定センサ2によって測定された使用者Aの呼吸及び心拍、の少なくともいずれかから使用者Aの睡眠深度を判定する。
【0075】
一例として、睡眠深度判定部23bは、寝返りの回数が所定回数以下であるときに使用者Aの睡眠深度が深いと判定してもよい。また、睡眠深度判定部23bは、呼吸及び心拍の少なくともいずれかが所定回数以上であるときに使用者Aの睡眠深度が浅いと判定してもよい。
【0076】
睡眠深度判定部23bは、例えば、使用者Aの睡眠深度を、0(レム睡眠)、1、2、3及び4のいずれかの5段階で判定する。この場合、睡眠深度判定部23bが判定した睡眠深度の数値が大きいほど睡眠深度が深いことを示しており、例えば、睡眠深度「4」が最も深く、「0」が最も浅い。
【0077】
疲労度判定部23cは使用者Aの疲労度を判定する。ここで、「疲労度」とは、疲労の程度を表した値であって、一例として、最も疲労度が低い「A」から「B」、「C」、「D」及び最も疲労度が高い「E」の5段階で示される。この場合、「A」が最も疲労度が少なく、「E」が最も疲労している状態である。疲労度は、例えば、呼吸心拍測定センサ2によって測定された呼吸及び心拍が所定範囲内で安定している場合に低く判定され、呼吸心拍測定センサ2によって測定された呼吸及び心拍のいずれかが所定範囲から逸脱している場合に高く判定されてもよい。
【0078】
ストレス判定部23dは使用者Aのストレス度を判定する。ここで、「ストレス度」とは、使用者Aが受けているストレスの度合を表した値であって、一例として、「高」、「中」及び「低」の3段階で示される。ストレス判定部23dは、呼吸心拍測定センサ2によって得られた使用者Aの心拍変動の時系列データ(RRI:R-R Interval)からストレス指標を示すLF/HFを判定し、当該判定の結果を「高」、「中」及び「低」のいずれかとしてもよい。
【0079】
体重判定部23eは、体重測定センサ4によって測定された使用者Aの体重、或いは体重の変化率に対して判定を行う。体重判定部23eは、例えば、測定された使用者Aの体重が所定の上限値以上又は所定の下限値以下であるときに健康状態が劣化していると判定する。また、体重判定部23eが体重の変化率に対して判定を行うことにより、体重の変化率に対する近い将来の体重予測を行うことが可能となる。更に、体重判定部23eは、例えば、データ記憶部28に一定期間蓄積されている体重の変動量が一定値より大きいときに健康状態が劣化していると判定してもよい。
【0080】
血圧判定部23fは、血圧測定センサ11によって測定された使用者Aの血圧に対して判定を行う。血圧判定部23fは、体重判定部23eと同様、測定された使用者Aの収縮期血圧(最高血圧)が所定の上限値以上(例えば140mmHg以上)となったときに健常状態が劣化したと判定してもよい。また、血圧判定部23fは、データ記憶部28に一定期間蓄積されている使用者Aの血圧の変動量が一定値より大きいときに健康状態が劣化していると判定してもよい。
【0081】
呼吸判定部23gは、呼吸心拍測定センサ2によって測定された使用者Aの睡眠時の呼吸が一定時間以上停止したか否か(無呼吸の有無)を判定する。例えば、呼吸判定部23gは、呼吸心拍測定センサ2によって使用者Aの呼吸が10秒以上停止したときに無呼吸があったと判定してもよい。また、呼吸判定部23gは、当該無呼吸が1時間に5回以上又は6時間に30回以上あったときに睡眠時無呼吸を患っていると判定してもよい。
【0082】
脈判定部23hは、脈測定センサ13によって測定された使用者Aの脈が正常であるか否かを判定する。脈判定部23hは、例えば、測定された使用者Aの脈の数が所定範囲から一定値以上乖離しているときに健康状態が劣化していると判定してもよい。また、脈判定部23hは、測定された使用者Aの脈の数の最大値と最小値との差が所定値以上であるときに使用者Aの健康状態が劣化していると判定してもよい。
【0083】
睡眠環境判定部23kは、寝具1において睡眠をとっている部屋の睡眠環境を判定する。例えば、睡眠環境判定部23kは、音測定センサ12によって測定された当該部屋の音量が一定値以上、温度センサ14によって測定された当該部屋の温度が一定範囲外、又は、明るさセンサ15によって測定された当該部屋の明るさが一定値以上、であるときに睡眠環境がよくないと判定してもよい。また、睡眠環境がよくないと睡眠環境判定部23kが判定したときに睡眠深度判定部23bが使用者Aの睡眠状態が浅いと判定してもよい。
【0084】
以上のように健康状態判定部23の各機能が判定した内容は、データ表示制御部27によって使用者Aの端末T1及び他人Dの端末T4に表示される。なお、健康状態判定部23は、構成員情報取得部21に入力された使用者Aの年齢、性別、及び、何人で寝ているかに関する情報のいずれかを加味して使用者Aの健康状態を判定してもよい。
【0085】
例えば、健康状態判定部23は、年齢が低いほど健康状態が良くなるように判定してもよいし、使用者Aが女性である場合に使用者Aが男性である場合よりも健康状態が良くなるように判定してもよいし、1人で寝ている場合に複数人で寝ている場合よりも健康状態が良くなるように判定してもよい。
【0086】
離床通知部24は、例えば、使用者A及び構成員B,Cのいずれかの寝具1からの離床をグループG内で共有するために端末T1,T2,T3に離床の通知を行う。例えば、体重測定センサ4によって構成員Cの荷重が所定時間検知されていない状態が継続したときに、健康状態判定部23は構成員Cが一定時間離床していると判定する。
【0087】
離床通知部24は、例えば、健康状態判定部23によって構成員Cが一定時間以上離床していると判定されたときに、構成員Cの離床を使用者A及び構成員B,Cの端末T1,T2,T3のそれぞれにリアルタイムで通知する。健康状態判定部23の判定基準となる上記の「一定時間」は、例えば、15分又は30分であるが、端末T1,T2,T3の操作によって変更可能とされていてもよい。この場合、所望の時間に離床の通知を受けることが可能となる。
【0088】
アラーム通知部25は、例えば、起床時間を設定可能な起床手段である。「起床時間」は、使用者A及び構成員B,Cのそれぞれによって設定される起床時間を示している。「起床時間」は、使用者A及び構成員B,Cのそれぞれによって設定される起床時刻、及び起床時刻より所定時間前の時刻から起床時刻までの時間、の双方を含む。
【0089】
具体例として、「起床時間」は、起床時刻が6時に設定されたときには、6時より所定時間前の時刻(例えば30分前の5時半)から6時までの30分間を含んでもよい。また、「起床時間」は、起床時刻として設定されてもよいし、所定の範囲をもった時間(例えば5時半から6時までの間)として設定されてもよい。
【0090】
アラーム通知部25は、端末T1,T2,T3のそれぞれにおいて設定された起床時間になるとアラームを端末T1,T2,T3のそれぞれに通知して覚醒及び起床を促す。アラーム通知部25は、例えば、寝具1に内蔵された発光部、寝具1に内蔵された振動部、及び寝具1に内蔵された発熱部、の少なくともいずれかに制御信号を出力して、当該発光部、当該振動部及び当該発熱部の少なくともいずれかを起動させて使用者A及び構成員B,Cを起こしてもよい。
【0091】
提案情報生成部26は、健康状態判定部23の各機能によって判定された使用者Aの健康状態から当該健康状態に対する提案情報を生成する。例えば、提案情報生成部26は、推奨入眠時刻、推奨起床時刻、推奨睡眠時間、コメント、商品情報及び施設情報の少なくともいずれかを生成してもよい。
【0092】
提案情報生成部26が生成する推奨入眠時刻、推奨起床時刻及び推奨睡眠時間は、例えば、平日及び休日のそれぞれに対して生成されてもよい。本明細書において、「休日」とは土曜、日曜及び祝日を示しており、「平日」とは休日以外の日を示している。但し、土曜は「平日」に含まれてもよい。また、休暇に合わせる等のために「平日」及び「休日」の日を変更可能であってもよい。
【0093】
提案情報生成部26が生成するコメントとしては、例えば、睡眠時間が所定時間よりも短いときに睡眠時間を増やした方がよい等のコメント、又は睡眠をとる部屋の温度を高くした方がよい等のコメントが挙げられる。提案情報生成部26が生成する商品情報としては、例えば、抱き枕若しくは枕を含む寝具情報、又は温熱治療器等の情報が挙げられる。提案情報生成部26が生成する施設情報としては、医療機関情報又は睡眠相談所情報が挙げられる。
【0094】
データ表示制御部27は、健康状態判定部23によって判定された使用者Aの健康状態を、使用者Aの端末T1、及び他人Dの端末T4のそれぞれに表示する。
図5に示されるように、例えば、データ表示制御部27は、健康状態判定部23の各機能によって判定された判定結果を総合して複数段階(例えば「A」~「F」の6段階)で端末T1及び端末T4のそれぞれに表示する。
【0095】
データ表示制御部27は、例えば、呼吸判定部23gによって判定された使用者Aの無呼吸の有無に関する情報Y1、体重判定部23e及び血圧判定部23fのそれぞれによって判定された使用者Aの体重及び血圧に関する情報Y2、並びに、睡眠環境判定部23kによって判定された睡眠環境に関する情報Y3を、端末T1と端末T4のそれぞれに表示してもよい。
図5の例では、使用者Aの無呼吸の有無、体重及び血圧を含む健康状態、並びに、寝具1が置かれた部屋の環境の状態が一目で分かる。
【0096】
図6に示されるように、データ表示制御部27は、睡眠時間判定部23aによって判定された平日及び休日のそれぞれの睡眠時間と、疲労度判定部23cによって判定された平日及び休日のそれぞれの疲労度と、を使用者Aの端末T1及び他人Dの端末T4のそれぞれに表示してもよい。
図6の例では、平日及び休日のそれぞれにおける睡眠時間及び疲労度をデータ表示制御部27が表示することにより、休日の寝だめの効果を把握することができる。この例では、使用者Aは、平日よりも休日に1時間長く寝ているが、疲労度は「B」とそれほど変わらないことを示している。
【0097】
図7に示されるように、データ表示制御部27は、使用者Aの体重の時系列データを、使用者Aの端末T1及び他人Dの端末T4に表示してもよい。また、データ表示制御部27は、使用者Aの体重の変化量の時系列データを端末T1,T4に表示してもよい。
図7の例では、体重測定センサ4によって測定された使用者Aの体重が健康管理部20に送信されてデータ記憶部28に記憶され、当該記憶された体重又は体重の変化量の時系列データがデータ表示制御部27によって表示される。
図7の例では、使用者Aの体重が若干増加傾向であることが分かる。
【0098】
図8(a)に示されるように、データ表示制御部27は、睡眠時間判定部23aによって判定された使用者A及び構成員B,Cの睡眠時間を一覧として表示してもよい。
図8(a)の例では、構成員Cの睡眠時間が比較的少ないことが一目で分かる。データ表示制御部27は、使用者A及び構成員B,Cのそれぞれの識別情報と、使用者A及び構成員B,Cの健康状態(例えば、睡眠時間を含む睡眠状態)とを1対1で対応付けて表示してもよい。「識別情報」とは、グループ内の構成員を識別するための情報を示しており、例えば、氏名が挙げられる。また、「識別情報」は、ニックネーム等、氏名以外の識別情報であってもよく、例えば、グループが家族であれば、父、母又は子等の続柄であってもよい。
【0099】
図8(b)に示されるように、データ表示制御部27は、疲労度判定部23cによって判定された疲労度を使用者Aの端末T1及び他人Dの端末T4のそれぞれに表示してもよい。例えば、データ表示制御部27は、疲労度判定部23cによって判定された使用者A及び構成員B,Cの疲労度を一覧として表示している。この例では、構成員B,Cの疲労度が使用者Aと比較して高いことが一目で分かる。
【0100】
データ表示制御部27は、例えば、使用者A及び構成員B,Cのそれぞれの一日前の睡眠状態(例えば、昨晩の睡眠時間、又は昨晩の疲労度)を表示してもよいし、使用者A及び構成員B,Cのそれぞれの一定期間における睡眠状態の平均(例えば、睡眠時間の平均、又は疲労度の平均)を表示してもよい。
【0101】
更に、データ表示制御部27は、提案情報生成部26による提案情報を使用者Aの端末T1及び他人Dの端末T4に表示してもよい。データ表示制御部27は、提案情報生成部26によって生成されたコメントと商品情報を表示してもよい。例えば、
図6に示されるように、データ表示制御部27は、平日及び休日のそれぞれの睡眠時間及び疲労度を表示すると共に、休日の推奨起床時刻を表示してもよい。データ表示制御部27が休日の推奨起床時刻を表示することにより、休日の睡眠時間と平日の睡眠時間とが乖離しすぎることを抑制することができる。
【0102】
以上のように構成された健康状態通知システム10では、例えば
図1及び
図5に示されるように、高齢者等の使用者Aが自宅等にある寝具1を用いてセンサSから使用者Aの睡眠データを取得し、健康状態通知システム10の健康管理部20は使用者Aの睡眠データを受信する。健康状態判定部23は使用者Aの睡眠データから使用者Aの病気の可能性(リスク)を判定し、健康状態判定部23によって判定された使用者Aの病気の可能性をデータ表示制御部27が使用者Aの端末T1及び他人Dの端末T4に表示してもよい。
【0103】
データ表示制御部27は、健康状態判定部23によって判定された使用者Aの病気の可能性を、構成員B,C(例えば家族又は知人)の端末T2,T3、及び施設Xの他人D(例えばデイサービス又は病院等の関係者)の端末T4の両方に表示してもよい。この場合、家族又は知人等の構成員B,C、及びデイサービス又は病院の関係者等の他人Dに使用者Aの健康状態を伝えることにより、使用者Aは自身の健康状態に対して的確且つ迅速なアドバイスを受けることが可能となる。
【0104】
次に、本実施形態に係る健康状態通知システム10から得られる作用効果について詳細に説明する。健康状態通知システム10では、その使用者Aが寝具1を保有し、寝具1には使用者Aの睡眠データを取得するセンサSが設けられている。健康状態判定部23は、センサSによって取得された使用者Aの睡眠データから使用者Aの健康状態を判定する。データ表示制御部27は、使用者Aの健康状態を、使用者Aの端末T1、及び使用者A以外の他人Dの端末に表示する。よって、使用者Aの端末T1、及び使用者A以外の他人Dの端末T4のそれぞれに使用者Aの健康状態が表示されるので、使用者Aだけでなく使用者A以外の他人Dも使用者Aの健康状態を把握することができる。
【0105】
従って、使用者A以外の他人Dも使用者Aの健康状態を把握することができるので、他人Dとして、例えば、医療関係者、介護関係者、又は睡眠相談所に所属する睡眠専門家の端末T4に使用者Aの健康状態を表示することができる。その結果、医療関係者、介護関係者又は睡眠専門家等の他人Dを通じて使用者Aが使用者A自身の健康状態を十分に管理することができ、他人Dを通じて適切な処置をとることができる。よって、健康状態に対する対処を速やかに行うことができる。
【0106】
また、使用者Aが保有する寝具1に設けられるセンサSは、寝具1の上部に配置されており、且つ寝具1と一体化されている。従って、寝具1に接触した使用者Aの身体に近い位置にセンサSが設けられるので、センサSが測定する睡眠データの精度を高めることができる。その結果、高精度な睡眠データを得ることができるので、使用者Aの健康状態の高精度なデータを取得することができる。また、センサSは寝具1に一体化されるので、測定の度にセンサSを設置する手間を解消することができる。よって、設置の手間を低減させることができる。
【0107】
また、本実施形態において、使用者Aは、複数の構成員B,Cから成るグループGに属しており、寝具1は、グループGに属する使用者A及び構成員B,Cのそれぞれに保有されており、センサSは、複数の寝具1のそれぞれに設けられており、健康状態判定部23は、複数のセンサSのそれぞれによって測定された使用者A及び構成員B,Cの睡眠データから使用者A及び構成員B,Cの健康状態を判定し、データ表示制御部27は、健康状態判定部23によって判定された使用者A及び構成員B,Cの健康状態を使用者A及び構成員B,Cのそれぞれの端末T1,T2,T3に表示する。
【0108】
よって、グループGに属する使用者Aを含む構成員B,Cのそれぞれが寝具1を保有し、複数の寝具1のそれぞれには使用者A及び構成員B,Cのそれぞれの睡眠データを取得するセンサSが設けられている。健康状態判定部23は、各センサSによって取得された使用者A及び構成員B,Cの睡眠データから、使用者A及び構成員B,Cの健康状態を判定する。そして、データ表示制御部27は、使用者A及び構成員B,Cの健康状態を端末T1,T2,T3のそれぞれに表示する。
【0109】
よって、使用者A及び構成員B,Cのそれぞれの端末T1,T2,T3に使用者A及び構成員B,Cの健康状態が表示されるので、各構成員が複数の構成員の健康状態を把握することができる。従って、使用者Aは、自分の健康状態だけでなくグループGに属する他の構成員B,Cの健康状態を把握することもできるので、例えば、遠隔地に住む子供、祖父又は祖母の健康状態を把握することができる。
【0110】
また、本実施形態に係る健康状態判定部23は、
図6に示されるように、使用者Aの睡眠データから使用者Aの疲労度の判定及び睡眠時間の算出を平日及び休日のそれぞれにおいて行い、データ表示制御部27は、平日における睡眠時間及び疲労度と、休日における睡眠時間及び疲労度を、使用者Aの端末T1、及び他人Dの端末T4に表示する。
【0111】
よって、平日の疲労度と休日の疲労度とを比較することによって休日の疲労回復度を把握することができる。また、平日及び休日の疲労度を睡眠時間と対応付けて表示することにより、休日の睡眠時間と平日の睡眠時間との差分である休日の寝だめの時間と、休日の疲労回復度との関係を把握することができる。従って、休日の寝だめ可能時間、及び休日の推奨起床時刻を把握することが可能となる。
【0112】
また、本実施形態に係る健康状態通知システム10は、
図5に示されるように、健康状態判定部23によって判定された健康状態から使用者Aへの健康に関する提案情報を生成する提案情報生成部26を更に備える。よって、提案情報生成部26が健康に関する提案情報を生成し、データ表示制御部27が提案情報を使用者Aの端末T1及び他人Dの端末T4に表示することにより、使用者Aの健康状態に対する提案を更に的確に行うことができる。従って、使用者Aの健康状態の更なる改善に寄与する。
【0113】
また、本実施形態において、センサSは、使用者Aの呼吸を測定する呼吸測定センサ(例えば呼吸心拍測定センサ2)を含んでおり、睡眠データは、呼吸測定センサによって測定された使用者Aの呼吸データを含んでおり、健康状態判定部23は、呼吸データから使用者Aの無呼吸の有無を判定し、データ表示制御部27は、使用者Aの無呼吸の有無を、使用者Aの端末T1、及び他人Dの端末T4に表示する。従って、データ表示制御部27によって使用者Aの無呼吸の有無に関する情報を使用者Aの端末T1及び他人Dの端末T4に表示することができるので、無呼吸を患っているか否かを把握することができると共に無呼吸に対して適切な処置を速やかにとることができる。
【0114】
また、本実施形態に係るセンサSは、
図2及び
図3に示されるように、使用者Aの呼吸及び心拍を測定する呼吸心拍測定センサ2と、使用者Aの体動を測定する体動測定センサ3と、を含んでおり、寝具1の上面には、凹部及び凸部が連続して形成されており、呼吸心拍測定センサ2及び体動測定センサ3は、凸部に接触した状態で固定されている。よって、寝具1の上面に凹部及び凸部が形成されているので、クッション性が高い寝具1とすることができる。更に、呼吸心拍測定センサ2及び体動測定センサ3が凸部に接触した状態で固定されることにより、呼吸心拍測定センサ2及び体動測定センサ3を寝具1の上部に固定できるので、呼吸、心拍及び体動のデータをより高精度に取得することができる。
【0115】
また、健康状態判定部23は、睡眠データから使用者A及び構成員B,Cのいずれかが一定時間以上離床しているか否かを判定し、例えば、構成員Cが一定時間以上離床していると判定されたときに離床通知部24が構成員Cの離床を端末T1,T2,T3,T4にリアルタイムで通知してもよい。この場合、構成員Cの一定時間以上の離床をリアルタイムで複数の構成員及び他人と共有することができるので、睡眠中に異常があった場合の対応を迅速に行うことができる。
【0116】
また、
図8(b)に示されるように、健康状態判定部23は、使用者A及び構成員B,Cの睡眠データから使用者A及び構成員B,Cの疲労度を判定し、データ表示制御部27は、使用者A及び構成員B,Cの疲労度を端末T1,T2,T3のそれぞれに表示してもよい。この場合、健康状態判定部23は複数の構成員の疲労度を構成員ごとに判定し、データ表示制御部27は構成員の疲労度を構成員ごとに表示する。従って、グループの中の誰の疲労度が高いかを端末T1,T2,T3で速やかに把握することができる。
【0117】
また、本実施形態に係る健康状態通知システム10は、起床時間を設定可能なアラーム通知部25を備え、健康状態判定部23(睡眠深度判定部23b)は、使用者Aの睡眠データから使用者Aの睡眠深度を判定し、アラーム通知部25は、設定された起床時間又は起床時間より前であって、且つ健康状態判定部23によって判定された使用者Aの睡眠深度が睡眠深度閾値より浅くなったときにアラームを使用者Aに通知してもよい。
【0118】
具体例として、アラーム通知部25は、設定された午前6時又は午前6時よりも前であって、且つ健康状態判定部23によって判定された使用者Aの睡眠深度が1(レム睡眠とノンレム睡眠との境界値)より浅くなったとき(例えば5時50分)にアラームを使用者Aに通知してもよい。この場合、使用者Aは、所望の時間、又は所望の時間よりも早く起きることができる。更に、睡眠深度が睡眠深度閾値より浅いときにアラーム通知部25が作動することによって使用者Aは睡眠深度が浅い状態で快適に目覚めることができる。
【0119】
また、本実施形態に係るセンサSは、使用者Aの体重を測定する体重測定センサ4を含んでおり、
図7に示されるように、データ表示制御部27は、体重測定センサ4によって測定された体重又は体重の変化量の時系列データを端末T1,T2,T3、T4に表示してもよい。この場合、端末T1,T2,T3、T4に体重又は体重の変化量の時系列データが表示されるので、各構成員B,C及び他人Dは使用者Aの体重の増加減少の傾向を把握することができる。
【0120】
以上、本開示に係る健康状態通知システムの実施形態について説明したが、本発明は、前述した実施形態に限られるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲において適宜変更可能である。すなわち、本発明に係る健康状態通知システムの各部の構成及び機能は、上記の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0121】
例えば、前述の実施形態では、呼吸心拍測定センサ2、体動測定センサ3、体重測定センサ4、血圧測定センサ11、音測定センサ12、脈測定センサ13、温度センサ14及び明るさセンサ15を含むセンサSについて例示した。しかしながら、寝具に設けられるセンサの構成は、上記の例に限られず適宜変更可能である。例えば、呼吸心拍測定センサ2、体動測定センサ3、体重測定センサ4、血圧測定センサ11、音測定センサ12、脈測定センサ13、温度センサ14及び明るさセンサ15のいずれかが省略されてもよい。同様に、健康管理部の構成についても、構成員情報取得部21、寝具情報取得部22、健康状態判定部23、離床通知部24、アラーム通知部25、提案情報生成部26、データ表示制御部27及びデータ記憶部28を備える構成に限られず、適宜変更可能である。
【0122】
また、前述の実施形態では、睡眠時間判定部23a、睡眠深度判定部23b、疲労度判定部23c、ストレス判定部23d、体重判定部23e、血圧判定部23f、呼吸判定部23g、脈判定部23h、寝返り判定部23j及び睡眠環境判定部23kを備える健康状態判定部23について説明した。しかしながら、健康状態判定部は、睡眠時間判定部23a、睡眠深度判定部23b、疲労度判定部23c、ストレス判定部23d、体重判定部23e、血圧判定部23f、呼吸判定部23g、脈判定部23h、寝返り判定部23j及び睡眠環境判定部23kのいずれかが省略されたものであってもよい。
【0123】
また、前述の実施形態では、マットレスである寝具1について例示したが、本発明に係る寝具は、マットレス以外のものであってもよい。例えば、本発明に係る寝具は、敷き布団、枕、掛け布団、クッション又は座布団等であってもよい。また、前述の実施形態では、クッション材5と側地9との間に呼吸心拍測定センサ2を含むセンサSが固定される例について説明した。しかしながら、センサSが固定される場所は、例えば、クッション材5の内部であってもよく適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0124】
1…寝具、1a…一端、1b…中心、2,2A,2B…呼吸心拍測定センサ、3,3A,3B,3C,3D…体動測定センサ、4…体重測定センサ、5…クッション材、6…ベース部、6a…上面、6b…スリット(凹部)、6c…直線部、6d…拡張部、6e…島部、7…第1突起(凸部)、7a…斜辺、7b…頂面、8…第2突起(凸部)、8a…頂部、9…側地、9a…裏面、10…健康状態通知システム、11…血圧測定センサ、12…音測定センサ、13…脈測定センサ、14…温度センサ、15…明るさセンサ、20…健康管理部、21…構成員情報取得部、22…寝具情報取得部、23…健康状態判定部、23a…睡眠時間判定部、23b…睡眠深度判定部、23c…疲労度判定部、23d…ストレス判定部、23e…体重判定部、23f…血圧判定部、23g…呼吸判定部、23h…脈判定部、23j…寝返り判定部、23k…睡眠環境判定部、24…離床通知部、25…アラーム通知部、26…提案情報生成部、27…データ表示制御部、28…データ記憶部、A…使用者、B,C…構成員、D…他人、D1…長手方向、D2…幅方向、G…グループ、L…直線、M1…肩、M2…胸、M3…腰、S…センサ、T1,T2,T3,T4…端末、X…施設、Y1,Y2,Y3…情報。