(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-06
(45)【発行日】2023-02-14
(54)【発明の名称】細菌株を含む組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 35/74 20150101AFI20230207BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20230207BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20230207BHJP
A23L 33/135 20160101ALI20230207BHJP
A61K 9/19 20060101ALI20230207BHJP
【FI】
A61K35/74 A ZNA
A61P25/00
A61P9/10
A23L33/135
A61K9/19
(21)【出願番号】P 2019563457
(86)(22)【出願日】2018-05-22
(86)【国際出願番号】 GB2018051386
(87)【国際公開番号】W WO2018215757
(87)【国際公開日】2018-11-29
【審査請求日】2021-05-07
(32)【優先日】2017-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2017-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2017-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2017-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2017-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2017-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
【微生物の受託番号】DSMZ DSM 14294
【微生物の受託番号】NCIMB NCIMB 42381
【微生物の受託番号】NCIMB NCIMB 42486
(73)【特許権者】
【識別番号】514079985
【氏名又は名称】フォーディー ファーマ リサーチ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】4D PHARMA RESEARCH LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100102255
【氏名又は名称】小澤 誠次
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100113860
【氏名又は名称】松橋 泰典
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【氏名又は名称】園元 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100198074
【氏名又は名称】山村 昭裕
(74)【代理人】
【識別番号】100096013
【氏名又は名称】富田 博行
(72)【発明者】
【氏名】サヴィニャック ヘレン
(72)【発明者】
【氏名】ムルダー イムケ エリザベス
(72)【発明者】
【氏名】スティーブンソン アレキサンダー ジェームス
【審査官】参鍋 祐子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/203218(WO,A1)
【文献】特開2013-119546(JP,A)
【文献】特表2016-529309(JP,A)
【文献】4D pharma plc Clinical Update on Blautix(TM), a novel treatment for Irritable Bowel Syndrome,DirectorsTalk Interviews,2016年01月19日,https://www.directorstalkinterviews.com/4d-pharma-plc-clinical-update-on-blautix-a-novel-treatment-for-irritable-bowel-syndrome/412689588
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 35/00
A23L 33/00
C12N 1/00
A61K 9/00
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
脳損傷を処置する方法における使用のための、Blautia
hydrogenotrophica種の細菌株を含む組成物。
【請求項2】
脳損傷が、脳卒中である、請求項1に記載の、使用のための組成物。
【請求項3】
脳卒中が、脳虚血である、請求項2に記載の、使用のための組成物。
【請求項4】
脳卒中が、局所脳虚血である、請求項2に記載の、使用のための組成物。
【請求項5】
脳卒中が、虚血性脳卒中である、請求項2に記載の、使用のための組成物。
【請求項6】
脳卒中が、出血性脳卒中である、請求項2に記載の、使用のための組成物。
【請求項7】
脳卒中のリスクがあると診断されている対象において脳損傷を処置する際の使用のための、請求項1~6のいずれか一項に記載の、使用のための組成物。
【請求項8】
対象が、脳卒中の少なくとも1つの危険因子を有する、請求項7に記載の、使用のための組成物。
【請求項9】
少なくとも1つの危険因子が高血圧である、請求項8に記載の、使用のための組成物。
【請求項10】
少なくとも1つの危険因子が糖尿病である、請求項8に記載の、使用のための組成物。
【請求項11】
対象が、少なくとも1の一過性脳虚血発作に罹患している、請求項7~10のいずれか一項に記載の、使用のための組成物。
【請求項12】
細菌株が、配列番号5と少なくとも97%、98%、99%、99.5%または99.9%同一である16s rRNA配列を有するか、あるいは、配列番号5の16s rRNA配列を有する、請求項
1~11のいずれか一項に記載の、使用のための組成物。
【請求項13】
経口投与用である、請求項1~
12のいずれか一項に記載の、使用のための組成物。
【請求項14】
1または2以上の薬学的に許容される賦形剤または担体を含む、請求項1~
13のいずれか一項に記載の、使用のための組成物。
【請求項15】
細菌株が、凍結乾燥されている、請求項1~
14のいずれか一項に記載の、使用のための組成物。
【請求項16】
細菌株が、生存している、請求項1~
15のいずれか一項に記載の、使用のための組成物。
【請求項17】
Blautia
hydrogenotrophica種の単一株を含む、請求項1~
16のいずれか一項に記載の、使用のための組成物。
【請求項18】
微生物コンソーシアムの一部としてBlautia
hydrogenotrophica細菌株を含む、請求項1~
17のいずれか一項に記載の、使用のための組成物。
【請求項19】
食品である、請求項1~
18のいずれか一項に記載の、使用のための組成物。
【請求項20】
Blautia
hydrogenotrophica種の細菌株を含む、脳損傷の処置剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、哺乳動物の消化管から単離された細菌株を含む組成物、及び疾患の処置におけるかかる組成物の使用の分野にある。
【背景技術】
【0002】
ヒトの腸は、子宮内では無菌と考えられているが、出生直後に様々な母体及び環境微生物に曝される。その後、微生物の定着及び遷移の動的期間が生じ、これは、分娩様式、環境、食事及び宿主遺伝子型などの因子によって影響され、これらの因子の全てが、特に若年期において、腸内微生物叢の組成に影響を及ぼす。その後、微生物叢は安定して成人様になる[1]。ヒト腸内微生物叢は、2つの主要な細菌分類(門):Bacteroidetes及びFirmicutes;が存在度レベルにおいて多数派を占める1500を超える種々のファイロタイプを含有する[2~3]。ヒト腸の細菌定着から生じる成功裏の共生関係は、広範な代謝的、構造的、保護的及び他の有益な機能を生じさせてきた。定着した腸の代謝活性の向上は、さもなければ難消化性の食事成分が副生成物の放出と共に分解されて宿主に重要な栄養源及びさらなる健康効果をもたらすということを確実にする。同様に、腸内微生物叢の免疫学的重要性は、よく認識されており、共生細菌の導入後に機能的に再構成される損なわれた免疫系を有する無菌動物において実証されている[4~6]。
【0003】
微生物叢組成の劇的な変化は、胃腸障害、例えば、炎症性腸疾患(IBD)において記録されてきた。例えば、ClostridiumクラスターXIVa細菌及びClostridiumクラスターXI(F.prausnitzii)のレベルは、IBD患者において低減されているが、E.Coliの数は増加しており、腸内の共生生物と病原性共生生物とのバランスのシフトを示唆している[7~11]。
【0004】
ある特定の細菌株が動物の腸において有し得る潜在的なプラス効果の認識において、種々の株が、種々の疾患の処置における使用のために提案されてきた(例えば、[12~15]を参照されたい)。ヒト腸細菌は、自己免疫及び/または炎症性疾患を処置することが提案されている短鎖脂肪酸(SCFA)を産生することが知られている[16]。大部分のLactobacillus及びBifidobacterium株を含めた多くの株が、種々の腸障害を処置する際の使用のために提案されてきた(レビューについては[17]を参照されたい)。細菌株、特に、ブチロゲン細菌は、Clostridium difficile感染を処理及び/または予防することが提案されている[18]。
【0005】
Clostridium butyricumは、マウスモデルにおける脳虚血/再かん流を軽減することが示されている([19]及び[20])。C.butyricumの投与は、脳機能に関与する種々のニューロトロフィン及びモノアミン伝達物質のレベルの変化と相関する、腸内微生物叢の調節を引き起こした。関与する分子の複雑さに起因して、著者らは、C.butyricumがこれらの神経保護効果を生じた機序を同定することができなかったという結論に達している。C.butyricumによる処置は、PI3K/Akt活性化に応答したカスパーゼ-3のレベルの低下を通してアポトーシスの低減を引き起こす。PI3K/Akt経路は、精神障害に対しての保護に関与することが広く報告されている。
【0006】
Blautia属の株もまた、消化生態系の微生物バランスを調節する際の使用のために提案されており[21]、特定の種が、腸から遠ざかった全身性疾患を処置する際の使用のために提案されている[22]。しかし、種々の細菌株と種々の疾患との間の関係、ならびに、特定の細菌株の、腸に対する、全身レベルでの、及びいずれか特定のタイプの疾患に対しての正確な効果は、あまり特徴付けられていない。
【0007】
腸細菌を使用した新規の治療を開発することができるように特徴付けられる腸細菌の潜在的効果が必要とされている。
【発明の概要】
【0008】
本発明者らは、脳損傷を処置するための新規の治療を開発した。特に、本発明者らは、Blautia属からの細菌株が脳損傷を処置するのに有効であり得ることを確認した。実施例において記載されているように、Blautia hydrogenotrophicaを含む組成物の経口投与は、患者において脳損傷のマウス閉塞モデルにて脳損傷を処置して、回復を補助しかつ神経機能、運動能力及び社会認識を改善し得る。そのため、第1実施形態において、本発明は、脳損傷を処置する方法における使用のための、Blautia属の細菌株を含む組成物を提供する。
【0009】
好ましい実施形態において、本発明は、脳損傷を処置または予防する方法における使用のための、Blautia属の細菌株を含む組成物を提供する。好ましい実施形態において、本発明の組成物は、脳卒中を処置する際の使用のためのものである。特に好ましい実施形態において、脳卒中は、脳虚血である。いくつかの実施形態において、脳虚血は、虚血性脳卒中である。いくつかの実施形態において、脳卒中は、出血性脳卒中である。
【0010】
本発明の好ましい実施形態において、組成物における細菌株は、Blautia hydrogenotrophicaのものである。近縁の株、例えば、Blautia hydrogenotrophicaの細菌株の16s rRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、99.5%または99.9%同一である16s rRNA配列を有する細菌株が使用されてもよい。好ましくは、細菌株は、配列番号5と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、99.5%または99.9%同一である16s rRNA配列を有する。最も好ましくは、組成物における細菌株は、受託番号DSM14294で寄託されているBlautia hydrogenotrophica株である。
【0011】
本発明のさらなる実施形態において、組成物における細菌株は、Blautia stercorisのものである。近縁の株、例えば、Blautia stercorisの細菌株の16s rRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、99.5%または99.9%同一である16s rRNA配列を有する細菌株が使用されてもよい。好ましくは、細菌株は、配列番号1または3と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、99.5%または99.9%同一である16s rRNA配列を有する。好ましくは、配列同一性は、配列番号3とのものである。好ましくは、本発明における使用のための細菌株は、配列番号3によって表される16s rRNA配列を有する。
【0012】
本発明のさらなる実施形態において、組成物における細菌株は、Blautia wexleraeのものである。近縁の株、例えば、Blautia wexleraeの細菌株の16s rRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、99.5%または99.9%同一である16s rRNA配列を有する細菌株が使用されてもよい。好ましくは、細菌株は、配列番号2または4と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、99.5%または99.9%同一である16s rRNA配列を有する。好ましくは、配列同一性は、配列番号4とのものである。好ましくは、本発明における使用のための細菌株は、配列番号4によって表される16s rRNA配列を有する。
【0013】
ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、経口投与用である。本発明の株の経口投与は、脳損傷を処置するのに有効であり得る。また、経口投与は、患者及び施術者にとって便利であり、腸への送達及び/または腸への部分もしくは全体定着を可能にする。
【0014】
ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、1または2以上の薬学的に許容される賦形剤または担体を含む。
【0015】
ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、凍結乾燥されている細菌株を含む。凍結乾燥は、細菌の送達を可能にする安定な組成物を調製するのに有効かつ便利な技術である。
【0016】
ある特定の実施形態において、本発明は、上記に記載されている組成物を含む食品を提供する。
【0017】
ある特定の実施形態において、本発明は、上記に記載されている組成物を含むワクチン組成物を提供する。
【0018】
さらに、本発明は、脳損傷を処置する方法であって、Blautia属の細菌株を含む組成物を投与することを含む、上記方法を提供する。
すなわち本発明の態様として、以下を挙げることができる。
(1)脳損傷を処置する方法における使用のための、Blautia属の細菌株を含む組成物。
(2)脳損傷が、脳卒中である、上記(1)に記載の組成物。
(3)脳卒中が、脳虚血である、上記(2)に記載の組成物。
(4)脳卒中が、局所脳虚血である、上記(2)に記載の組成物。
(5)脳卒中が、虚血性脳卒中である、上記(2)に記載の組成物。
(6)脳卒中が、出血性脳卒中である、上記(2)に記載の組成物。
(7)脳卒中のリスクがあると診断されている対象において脳損傷を処置する際の使用のための、上記(1)~(6)のいずれか一項に記載の組成物。
(8)対象が、脳卒中の少なくとも1つの危険因子を有する、上記(7)に記載の組成物。
(9)少なくとも1つの危険因子が高血圧である、上記(8)に記載の組成物。
(10)少なくとも1つの危険因子が糖尿病である、上記(8)に記載の組成物。
(11)対象が、少なくとも1の一過性脳虚血発作に罹患している、上記(7)~(10)のいずれか一項に記載の組成物。
(12)細菌株が、Blautia hydrogenotrophicaのものである、上記(1)~(11)のいずれかに記載の組成物。
(13)細菌株が、Blautia stercorisのものである、上記(1)~(11)のいずれかに記載の組成物。
(14)細菌株が、Blautia wexleraeのものである、上記(1)~(11)のいずれかに記載の組成物。
(15)細菌株が、Blautia hydrogenotrophicaの細菌株の16s rRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、99.5%または99.9%同一である16s rRNA配列を有する、上記(1)~(11)のいずれかに記載の組成物。
(16)細菌株が、配列番号5と少なくとも97%、98%、99%、99.5%または99.9%同一である16s rRNA配列を有するか、あるいは、配列番号5の16s rRNA配列を有する、上記(15)に記載の組成物。
(17)細菌株が、Blautia stercorisの細菌株の16s rRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、99.5%または99.9%同一である16s rRNA配列を有する、上記(1)~(11)のいずれかに記載の組成物。
(18)細菌株が、Blautia wexleraeの細菌株の16s rRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、99.5%または99.9%同一である16s rRNA配列を有する、上記(1)~(11)のいずれかに記載の組成物。
(19)脳損傷を処置する方法における使用のための、Blautia hydrogenotrophica種の細菌株を含む、上記(1)に記載の組成物。
(20)脳損傷を処置する方法における使用のための、Blautia stercoris種の細菌株を含む、上記(1)に記載の組成物。
(21)脳損傷を処置する方法における使用のための、Blautia wexlerae種の細菌株を含む、上記(1)に記載の組成物。
(22)経口投与用である、上記(1)~(21)のいずれかに記載の組成物。
(23)1または2以上の薬学的に許容される賦形剤または担体を含む、上記(1)~(22)のいずれかに記載の組成物。
(24)細菌株が、凍結乾燥されている、上記(1)~(23)のいずれかに記載の組成物。
(25)細菌株が、生存している、上記(1)~(24)のいずれかに記載の組成物。
(26)Blautia属の単一株を含む、上記(1)~(25)のいずれかに記載の組成物。
(27)微生物コンソーシアムの一部としてBlautia細菌株を含む、上記(1)~(26)のいずれかに記載の組成物。
(28)上記(1)~(21)、及び(19)~(21)のいずれかに記載の使用のための、上記(1)~(27)のいずれかに記載の組成物を含む食品。
(29)上記(1)~(11)、及び(19)~(21)のいずれかに記載の使用のための、上記(1)~(27)のいずれかに記載の組成物を含むワクチン組成物。
(30)脳損傷を処置する方法であって、Blautia属の細菌株を含む組成物を、前記組成物を必要とする患者に投与することを含む、前記方法。
(31)BlautiaがB.hydrogenotrophicaである、上記(30)に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】Blautia hydrogenotrophicaによる処置による、または当該処置によらない、マウスにおける、反転スクリーン試験を使用した、脳虚血-再かん流I/Rマウスモデルにおける神経機能及び運動能力の分析。
【
図2】Blautia hydrogenotrophicaによる処置による、または当該処置によらない、マウスにおける、社会認識試験を使用した、脳虚血-再かん流I/Rマウスモデルにおける神経機能及び社会認識の分析。
【
図3】健常なHIMラットの盲腸内容物における短鎖脂肪酸産生(RMN
1H)に対するBlautia hydrogenotrophica(10
10/日で14日間)の効果。
【
図4】B.hydrogenotrophica(BlautiX)を含む組成物によって28日間処置したまたは処置していないIBS-HMAラットの糞便サンプルにおけるB.hydrogenotrophica集団のqPCR評価。
【
図5】B.hydrogenotrophica(Blautix)によって28日間処置したまたは処置していないIBS-HMAラットの盲腸サンプルにおける短鎖脂肪酸(SCFA)濃度。
図5Aは、全SCFAの濃度を示す。
図5Bは、酢酸、プロピオン酸及び酪酸の濃度を示す。
【
図6A】B.hydrogenotrophica(Blautix)を含む細菌組成物によって処置したマウスからの組織サンプルの組織学的評価。
図6Aは、組織学H&E染色組織サンプルの半定量的核濃縮スコアを示す。本発明の組成物を投与したマウス(5M)は、陰性対照マウス(2M)と比較して有意に低減した核濃縮スコアを示す(p<0.0001)。
【
図6B】B.hydrogenotrophica(Blautix)を含む細菌組成物によって処置したマウスからの組織サンプルの組織学的評価。
図6Bは、組織学H&E染色組織サンプルの半定量的空胞変性スコアを示す。本発明の組成物を投与したマウス(5M)は、陰性対照(2M)と比較して有意に低減した空胞変性スコアを示す(p=0.098)。
【
図6C】B.hydrogenotrophica(Blautix)を含む細菌組成物によって処置したマウスからの組織サンプルの組織学的評価。
図6Cは、H&E染色スライドの代表的な写真を示す-ある罹患したニューロン細胞質における暗色の核濃縮ニューロン核及びある膨潤した淡色の空胞。
【発明を実施するための形態】
【0020】
細菌株
本発明の組成物は、Blautia属の細菌株を含む。実施例は、この属の細菌が脳損傷を処置するのに有用であることを実証している。好ましい細菌株は、Blautia hydrogenotrophica、Blautia stercoris及びBlautia wexlerae種のものである。本発明における使用のための他の好ましい細菌株は、Blautia producta、Blautia coccoides及びBlautia hanseniiである。
【0021】
本発明における使用のためのBlautia株の例として、Blautia hydrogenotrophica、B.stercoris、B.faecis、B.coccoides、B.glucerasea、B.hansenii、B.luti、B.producta、B.schinkii及びB.wexleraeが挙げられる。Blautia種は、球形または楕円形のいずれであってもよいグラム反応陽性の非運動性細菌であり、全てが、グルコース発酵の主な最終産物として酢酸を産生する偏性嫌気性菌である[23]。Blautiaは、ヒト腸から単離されてよいが、B.productaは、敗血症サンプルから単離されたものである。
【0022】
Blautia hydrogenotrophica(Ruminococcus hydrogenotrophicusとしてこれまでに知られている)は、哺乳動物の腸から単離されており、偏性嫌気性であり、また、H2/CO2を、ヒトの栄養に重要であり得る酢酸塩に代謝する。Blautia hydrogenotrophicaのタイプの株は、S5a33=DSM14294=JCM14656である。Blautia hydrogenotrophica株S5a36の16S rRNA遺伝子配列のGenBank受託番号は、X95624.1である(配列番号5として本明細書に開示されている)。この例示的なBlautia hydrogenotrophica株は、[19]及び[24]に記載されている。S5a33株及びS5a36株は、健常な対象の糞便サンプルから単離した株の2つのサブクローンに相当する。これらは、同一の形態、生理機能及び代謝を示し、同一の16S rRNA配列を有している。そのため、いくつかの実施形態において、本発明における使用のためのBlautia hydrogenotrophicaは、配列番号5の16S rRNA配列を有する。
【0023】
受託番号DSM14294で寄託されているBlautia hydrogenotrophica細菌を実施例において試験した。該細菌は、本明細書において株BH及びBlautixとも称される。株BHは、本発明の好ましい株である。株BHを、2001年5月10日に受託番号DSM14294で「S5a33」として、Deutsche Sammlung von Mikroorganismen[German Microorganism Collection](Mascheroder Weg lb,38124 Braunschweig,Germany)に寄託した。寄託者は、INRA Laboratoire de Microbiologie CR de Clermont-Ferrand/Theix 63122 Saint Genes Champanelle,Franceであった。寄託物の所有権は、譲渡により、4D Pharma Picに渡った。4D Pharma Picは、合意により、4D Pharma Research Limitedが、適用において、当該寄託した生物材料に関わることを許可しており、また、公衆が利用できるようになっている当該寄託した材料に対してその無条件かつ取消不能な承認を付与している。
【0024】
Blautia stercoris株GAM6-1Tの16S rRNA遺伝子配列のGenBank受託番号は、HM626177である(配列番号1として本明細書に開示されている)。例示的なBlautia stercoris株は[25]に記載されている。Blautia wexleraeのタイプの株は、WAL14507=ATCC BAA-1564=DSM19850である[19]。Blautia wexlerae株WAL14507Tの16S rRNA遺伝子配列のGenBank受託番号は、EF036467である(配列番号2として本明細書に開示されている)。この例示的なBlautia wexlerae株は、[19]に記載されている。
【0025】
好ましいBlautia stercoris株は、本明細書において株830とも称されている、受託番号NCIMB42381で寄託されている株である。830株の16S rRNA配列は、配列番号3において付与されている。株830を、「Blautia stercoris830」として2015年3月12日にGT Biologics Ltd.(Life Sciences Innovation Building,Aberdeen,AB25 2ZS,Scotland)によって国際寄託当局NCIMB,Ltd.(Ferguson Building,Aberdeen,AB21 9YA,Scotland)に寄託し、受託番号NCIMB42381が割り当てられた。GT Biologics Ltd.は、その後、その名称を4D Pharma Research Limitedに変更した。
【0026】
好ましいBlautia wexlerae株は、本明細書において株MRX008とも称されている、受託番号NCIMB42486で寄託されている株である。MRX008株の16S rRNA配列は、配列番号4において付与されている。株MRX008を、「Blaqutia/Ruminococcus MRx0008」として2015年11月16日に4D Pharma Research Ltd.(Life Sciences Innovation Building,Aberdeen,AB25 2ZS,Scotland)によって国際寄託当局NCIMB,Ltd.(Ferguson Building,Aberdeen,AB21 9YA,Scotland)に寄託し、受託番号NCIMB42486が割り当てられた。
【0027】
実施例において試験されている株と近縁の細菌株もまた、脳損傷を処置するのに有効であると期待される。ある特定の実施形態において、本発明における使用のための細菌株は、Blautia hydrogenotrophicaの細菌株の16s rRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、99.5%または99.9%同一である16s rRNA配列を有する。好ましくは、本発明における使用のための細菌株は、配列番号5と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、99.5%または99.9%同一である16s rRNA配列を有する。
【0028】
ある特定の実施形態において、本発明における使用のための細菌株は、Blautia stercorisの細菌株の16s rRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、99.5%または99.9%同一である16s rRNA配列を有する。好ましくは、本発明における使用のための細菌株は、配列番号1または配列番号3と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、99.5%または99.9%同一である16s rRNA配列を有する。好ましくは、配列同一性は、配列番号3とのものである。好ましくは、本発明における使用のための細菌株は、配列番号3によって表される16s rRNA配列を有する。ある特定の実施形態において、本発明における使用のための細菌株は、Blautia wexleraeの細菌株の16s rRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、99.5%または99.9%同一である16s rRNA配列を有する。好ましくは、本発明における使用のための細菌株は、配列番号2または配列番号4と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、99.5%または99.9%同一である16s rRNA配列を有する。好ましくは、配列同一性は、配列番号4とのものである。好ましくは、本発明における使用のための細菌株は、配列番号4によって表される16s rRNA配列を有する。
【0029】
受託番号DSM14294で寄託されている細菌のバイオタイプまたは受託番号NCIMB42381及びNCIMB42486で寄託されている細菌のバイオタイプである細菌株もまた、脳損傷を処置するのに有効であると期待される。バイオタイプは、同じまたは非常に類似する生理的及び生化学的特徴を有する近縁の株である。
【0030】
受託番号DSM14294、NCIMB42381またはNCIMB42486で寄託されている細菌のバイオタイプでありかつ本発明における使用に好適である株は、受託番号DSM14294、NCIMB42381またはNCIMB42486で寄託されている細菌の他のヌクレオチド配列をシークエンスすることによって同定されてよい。例えば、実質的に全ゲノムがシークエンスされてよく、本発明における使用のためのバイオタイプ株は、その全ゲノムの少なくとも80%にわたって(例えば、少なくとも85%、90%、95%もしくは99%にわたって、またはその全ゲノムにわたって)少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、99.5%または99.9%の配列同一性を有していてよい。例えば、いくつかの実施形態において、バイオタイプ株は、そのゲノムの少なくとも98%にわたって少なくとも98%の配列同一性、またはそのゲノムの99%にわたって少なくとも99%の配列同一性を有する。バイオタイプ株を同定するのに使用される他の好適な配列は、hsp60または反復配列、例えば、BOX、ERIC、(GTG)5、もしくはREPまたは[26]を含んでいてよい。バイオタイプ株は、受託番号DSM14294、NCIMB42381またはNCIMB42486で寄託されている細菌の対応する配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、99.5%または99.9%の配列同一性を有する配列を有していてよい。いくつかの実施形態において、バイオタイプ株は、DSM14294として寄託されているBlautia hydrogenotrophica株の対応する配列と少なくとも97%、98%、99%、99.5%または99.9%の配列同一性を有する配列を有しており、配列番号5と少なくとも99%同一である(例えば、少なくとも99.5%または少なくとも99.9%同一である)16S rRNA配列を含む。いくつかの実施形態において、バイオタイプ株は、DSM14294として寄託されているBlautia hydrogenotrophica株の対応する配列と少なくとも97%、98%、99%、99.5%または99.9%の配列同一性を有する配列を有しており、配列番号5の16S rRNA配列を有する。
【0031】
代替的には、受託番号DSM14294、NCIMB42381またはNCIMB42486で寄託されている細菌のバイオタイプでありかつ本発明における使用に好適である株は、受託番号DSM14294の寄託物、受託番号NCIMB42381の寄託物、または受託番号NCIMB42486の寄託物、ならびに制限断片分析及び/またはPCR分析を使用することによって、例えば、蛍光増幅断片長多型分析(FAFLP)及び反復DNA要素(rep)-PCR指紋検査、またはタンパク質プロファイリング、または部分16Sもしくは23s rDNAシークエンシングを使用することによって同定されてよい。好ましい実施形態において、かかる技術は、他のBlautia hydrogenotrophica、Blautia stercorisまたはBlautia wexlerae株を同定するのに使用されてよい。
【0032】
ある特定の実施形態において、受託番号DSM14294、NCIMB42381またはNCIMB42486で寄託されている細菌のバイオタイプでありかつ本発明における使用に好適である株は、増幅リボソームDNA制限分析(ARDRA)によって分析されるとき、例えば、Sau3AI制限酵素(例示的な方法及びガイダンスについては、例えば[27]を参照されたい)を使用するとき、受託番号DSM14294、NCIMB42381またはNCIMB42486で寄託されている細菌と同じパターンを付与する株である。代替的には、バイオタイプ株は、受託番号DSM14294、NCIMB42381またはNCIMB42486で寄託されている細菌と同じ炭水化物発酵パターンを有する株として同定される。
【0033】
本発明の組成物及び方法において有用である他のBlautia株、例えば、受託番号DSM14294、NCIMB42381またはNCIMB42486で寄託されている細菌のバイオタイプは、実施例において記載されているアッセイを含め、いずれの適切な方法またはストラテジーを使用して同定されてもよい。例えば、本発明で使用される株は、細菌を培養し、マウスに投与して閉鎖アッセイにおいて試験することによって同定されてよい。特に、受託番号DSM14294、NCIMB42381またはNCIMB42486で寄託されている細菌と同様の成長パターン、代謝型及び/または表面抗原を有する細菌株は、本発明において有用であり得る。有用な株は、DSM14294、NCIMB42381またはNCIMB42486株に匹敵する微生物叢調節活性を有する。特に、バイオタイプ株は、実施例において示されている効果に匹敵する、脳損傷に対する効果を引き出し、これは、実施例において記載されている培養及び投与プロトコルを使用することによって同定されてよい。
【0034】
本発明の特に好ましい株は、受託番号DSM14294で寄託されているBlautia hydrogenotrophica株である。これは、実施例において試験されて、疾患を処置するのに効果的であることが示される例示的なBH株である。そのため、本発明は、特に本明細書に記載されている疾患の治療における使用のための、受託番号DSM14294で寄託されているBlautia hydrogenotrophica株またはその派生物(derivative)の細胞、例えば、単離細胞を提供する。
【0035】
受託番号DSM14294、NCIMB42381またはNCIMB42486で寄託されている株の派生物は、娘株(後代)、またはオリジナルから培養された(サブクローニングされた)株であってよい。本発明の株の派生物は、生物活性を取り除くことなく、例えば、遺伝子レベルで修飾されてよい。特に、本発明の派生株は、治療的に活性である。派生株は、オリジナルのDSM14294、NCIMB42381またはNCIMB42486株に匹敵する微生物叢調節活性を有する。特に、派生株は、実施例において示されている効果に匹敵する、脳損傷に対する効果を引き出し、これは、実施例において記載されている培養及び投与プロトコルを使用することによって同定されてよい。DSM14294株の派生物は、概して、DSM14294株のバイオタイプである。NCIMB42381株の派生物は、概して、NCIMB42381株のバイオタイプである。NCIMB42486株の派生物は、概して、NCIMB42486株のバイオタイプである。
【0036】
受託番号DSM14294で寄託されているBlautia hydrogenotrophica株の細胞への言及は、受託番号DSM14294で寄託されている株と同じ安全及び治療効能特性を有するいずれの細胞も包含し、かかる細胞は本発明によって包含される。受託番号NCIMB42381で寄託されているBlautia stercoris株の細胞への言及は、受託番号NCIMB42381で寄託されている株と同じ安全及び治療効能特性を有するいずれの細胞も包含し、かかる細胞は本発明によって包含される。受託番号NCIMB42486で寄託されているBlautia wexlerae株の細胞への言及は、受託番号NCIMB42486で寄託されている株と同じ安全及び治療効能特性を有するいずれの細胞も包含し、かかる細胞は本発明によって包含される。
【0037】
好ましい実施形態において、本発明の組成物における細菌株は生存しており、腸に部分的または全体的に定着することが可能である。
【0038】
治療的使用
本発明の組成物は、脳損傷を処置する際の使用のためのものである。実施例は、本発明の組成物が、脳損傷のマウス閉塞モデルにおいて、回復を補助しかつ神経機能、運動能力及び社会認識を改善し、そのため、当該組成物が、脳損傷を処置するのに有用であり得ることを実証している。
【0039】
いくつかの実施形態において、脳損傷は、外傷性脳損傷である。いくつかの実施形態において、脳損傷は、後天的脳損傷である。いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、外傷から生じる脳損傷を処置する際の使用のためのものである。いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、腫瘍から生じる脳損傷を処置する際の使用のためのものである。いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、脳卒中から生じる脳損傷を処置する際の使用のためのものである。いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、脳出血から生じる脳損傷を処置する際の使用のためのものである。いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、脳炎から生じる脳損傷を処置する際の使用のためのものである。いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、脳低酸素から生じる脳損傷を処置する際の使用のためのものである。いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、脳無酸素症から生じる脳損傷を処置する際の使用のためのものである。
【0040】
好ましい実施形態において、本発明の組成物は、脳卒中を処置する際の使用のためのものである。実施例において示されている効果は、脳卒中の処置に特に関係する。脳卒中は、脳の少なくとも一部への血流が妨げられたときに起こる。酸素及び栄養を脳組織に付与して脳組織からの老廃物を除去する血液が適切に供給されず、脳細胞が急速に死に始める。脳卒中の症状は、適切でない血流に影響される脳の領域に依るものである。症状には、麻痺、筋肉のしびれまたは衰弱、平衡感覚障害、めまい、突然の重度の頭痛、言語障害、記憶喪失、推論能力の損失、突然の意識混濁、視覚の障害、昏睡または死亡さえもが含まれる。脳卒中はまた、脳発作または脳血管障害(CVA)とも称される。脳卒中の症状は、適切な血流が短期間に回復したときには短時間であり得る。しかし、適切でない血流がかなりの期間継続したときには、症状は永続的であり得る。
【0041】
特に好ましい実施形態において、本発明の組成物は、Blautia hydrogenotrophica種の株を含み、脳卒中を処置する際の使用のためのものである。
【0042】
いくつかの実施形態において、脳卒中は、脳虚血である。脳虚血は、脳の組織への血流が代謝要求を満たすのに不十分であるときに生じる。いくつかの実施形態において、脳虚血は、局所脳虚血であり、すなわち、脳の特定の領域に限られている。いくつかの実施形態において、脳虚血は、全脳虚血であり、すなわち、脳組織の広い領域を包含する。局所脳虚血は、大脳の血管が部分的または全体のいずれかで遮断されたときに一般的に起こり、脳の特定の領域への血流を低減する。いくつかの実施形態において、局所脳虚血は、虚血性脳卒中である。いくつかの実施形態において、虚血性脳卒中は、血栓性であり、すなわち、大脳の血管において発生して血流を制限または遮断する血栓または血の塊によって引き起こされる。いくつかの実施形態において、虚血性脳卒中は、血栓性脳卒中である。いくつかの実施形態において、虚血性脳卒中は、塞栓性であり、すなわち、血流を通して移動して、その起点から離れた部位で血流を制限または遮断する塞栓または非付着塊によって引き起こされる。いくつかの実施形態において、虚血性脳卒中は、塞栓性脳卒中である。全脳虚血は、脳への血流全体が遮断または低減されたときに一般的に起こる。いくつかの実施形態において、全脳虚血は、低かん流によって引き起こされ、すなわち、ショックに起因する。いくつかの実施形態において、全脳虚血は、心不全の結果である。
【0043】
いくつかの実施形態において、脳損傷と診断された対象は、脳虚血に罹患している。いくつかの実施形態において、脳損傷と診断された対象は、局所脳虚血に罹患している。いくつかの実施形態において、脳損傷と診断された対象は、虚血性脳卒中に罹患している。いくつかの実施形態において、脳損傷と診断された対象は、血栓性脳卒中に罹患している。いくつかの実施形態において、脳損傷と診断された対象は、塞栓性脳卒中に罹患している。いくつかの実施形態において、脳損傷と診断された対象は、全脳虚血に罹患している。いくつかの実施形態において、脳損傷と診断された対象は、低かん流に罹患している。いくつかの実施形態において、脳損傷と診断された対象は、心不全に罹患している。実施例は、本発明の組成物が、かかる脳損傷の後の回復を補助するのに特に有用であり得ることを実証している。特に好ましい実施形態において、本発明の組成物は、Blautia hydrogenotrophica種の株を含み、脳虚血に罹患している患者を処置する際の使用のためのものである。
【0044】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、脳虚血を処置する際の使用のためのものである。いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、局所脳虚血を処置する際の使用のためのものである。いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、虚血性脳卒中を処置する際の使用のためのものである。いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、血栓性脳卒中を処置する際の使用のためのものである。いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、塞栓性脳卒中を処置する際の使用のためのものである。いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、全脳虚血を処置する際の使用のためのものである。いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、低かん流を処置する際の使用のためのものである。
【0045】
いくつかの実施形態において、脳卒中は、出血性脳卒中である。出血性脳卒中は、脳内または脳の周りで出血して、脳の細胞及び組織に腫れ、圧力及び損傷を結果として生じさせることによって引き起こされる。出血性脳卒中は、一般的に、周辺の脳内で破裂及び出血する弱くなった血管の結果である。いくつかの実施形態において、出血性脳卒中は、脳内出血であり、すなわち、脳組織自体内での出血によって引き起こされる。いくつかの実施形態において、脳内出血は、実質内出血によって引き起こされる。いくつかの実施形態において、脳内出血は、脳室内出血によって引き起こされる。いくつかの実施形態において、出血性脳卒中は、くも膜下出血、すなわち、脳組織の外側であるが依然頭蓋内で起こる出血である。いくつかの実施形態において、出血性脳卒中は、脳アミロイド血管症の結果である。いくつかの実施形態において、出血性脳卒中は、脳動脈瘤の結果である。いくつかの実施形態において、出血性脳卒中は、脳動静脈奇形(AVM)の結果である。
【0046】
いくつかの実施形態において、脳損傷と診断された対象は、出血性脳卒中に罹患している。いくつかの実施形態において、脳損傷と診断された対象は、脳内出血に罹患している。いくつかの実施形態において、脳損傷と診断された対象は、実質内出血に罹患している。いくつかの実施形態において、脳損傷と診断された対象は、脳室内出血に罹患している。いくつかの実施形態において、脳損傷と診断された対象は、くも膜下出血に罹患している。いくつかの実施形態において、脳損傷と診断された対象は、脳アミロイド血管症に罹患している。いくつかの実施形態において、脳損傷と診断された対象は、脳動脈瘤に罹患している。いくつかの実施形態において、脳損傷と診断された対象は、脳AVMに罹患している。
【0047】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、出血性脳卒中を処置する際の使用のためのものである。いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、脳内出血を処置する際の使用のためのものである。いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、実質内出血を処置する際の使用のためのものである。いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、脳室内出血を処置する際の使用のためのものである。いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、くも膜下出血を処置する際の使用のためのものである。いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、脳アミロイド血管症を処置する際の使用のためのものである。いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、脳動脈瘤を処置する際の使用のためのものである。いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、脳AVMを処置する際の使用のためのものである。
【0048】
中断期間後の脳への適切な血流の回復は、脳卒中に関連する症状を軽減するには有効であるが、逆説的に、脳組織にさらなる損傷を結果として生じさせ得る。この中断期間の際、患部組織は酸素及び栄養の欠乏に苦しめられており、血流の突然の回復が、酸化ストレスの誘導により炎症及び酸化的損傷を結果として生じさせ得る。これは、再かん流傷害として知られており、脳卒中の後だけでなく、血流が局所貧血または酸素の欠乏の期間の後に組織に戻るときの心臓発作または他の組織損傷の後においても十分に立証されている。いくつかの実施形態において、脳損傷と診断された対象は、脳卒中の結果としての再かん流傷害に罹患している。いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、脳卒中の結果としての再かん流傷害を処置する際の使用のためのものである。
【0049】
一過性脳虚血発作(TIA)は、多くの場合、軽度の脳卒中と称され、より深刻な脳卒中に関して認識されている前兆である。1または2以上のTIAに罹患している対象は、そのため、脳卒中のリスクがより高い。いくつかの実施形態において、脳損傷と診断された対象は、TIAに罹患している。いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、TIAを処置する際の使用のためのものである。いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、TIAに罹患している対象における脳損傷を処置する際の使用のためのものである。
【0050】
高血圧、高い血中コレステロール値、脳卒中の家族歴、心臓疾患、糖尿病、脳動脈瘤、動静脈奇形、鎌状赤血球病、血管炎、出血性障害、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)の使用、喫煙、多量の飲酒、不法薬物使用、肥満、運動不足及び不健康な食事は、全て、脳卒中の危険因子であると考えられている。特に、血圧を下げることが、虚血性及び出血性の両方の脳卒中を予防することが明確に示されている[28、29]。いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、脳卒中の少なくとも1つの危険因子を有する対象において脳損傷を処置する際の使用のためのものである。いくつかの実施形態において、対象は、脳卒中の2つの危険因子を有している。いくつかの実施形態において、対象は、脳卒中の3つの危険因子を有している。いくつかの実施形態において、対象は、脳卒中の4つの危険因子を有している。いくつかの実施形態において、対象は、脳卒中の4を超える危険因子を有している。いくつかの実施形態において、対象は、高血圧を有している。いくつかの実施形態において、対象は、高い血中コレステロール値を有している。いくつかの実施形態において、対象は、脳卒中の家族歴を有している。いくつかの実施形態において、対象は、心臓疾患を有している。いくつかの実施形態において、対象は、糖尿病を有している。いくつかの実施形態において、対象は、脳動脈瘤を有している。いくつかの実施形態において、対象は、動静脈奇形を有している。いくつかの実施形態において、対象は、血管炎を有している。いくつかの実施形態において、対象は、鎌状赤血球病を有している。いくつかの実施形態において、対象は、出血性障害を有している。いくつかの実施形態において、対象は、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)の使用歴を有している。いくつかの実施形態において、対象は、喫煙する。いくつかの実施形態において、対象は、多量に飲酒する。いくつかの実施形態において、対象は、不法薬物を使用している。いくつかの実施形態において、対象は、肥満である。いくつかの実施形態において、対象は、過体重である。いくつかの実施形態において、対象は、運動不足である。いくつかの実施形態において、対象は、不健康な食事を摂取している。
【0051】
実施例は、本発明の組成物が、損傷事象が起こる前に投与されると、脳損傷を処置するのに有用であり得、または回復を補助し得ることを実証している。そのため、本発明の組成物は、脳損傷、例えば、脳卒中のリスクがある対象に投与されると、脳損傷を処置するのに特に有用であり得る。好ましい実施形態において、本発明の組成物は、Blautia hydrogenotrophica種の株を含み、脳卒中を有するリスクがあると同定された患者を処置する際の使用のためのものである。
【0052】
ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、潜在的な脳損傷、好ましくは、脳卒中によって引き起こされる損傷を低減する際の使用のためのものである。上記組成物は、潜在的な脳損傷が起こる前に投与されたとき、特に、脳損傷のリスクがあると同定された患者に投与されたときに引き起こされる損傷を低減し得る。
【0053】
実施例は、本発明の組成物による処置が、脳卒中後の運動損傷を低減することを示している。いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、運動損傷を低減することによって脳損傷を処置する。実施例は、本発明の組成物による処置が、脳卒中後の運動機能を改善することを示している。いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、運動機能を改善することによって脳損傷を処置する。実施例は、本発明の組成物による処置が、脳卒中後の筋力を改善することを示している。いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、筋力を改善することによって脳損傷を処置する。実施例は、本発明の組成物による処置が、脳卒中後の記憶を改善することを示している。いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、記憶を改善することによって脳損傷を処置する。実施例は、本発明の組成物による処置が、脳卒中後の社会認識を改善することを示している。いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、社会認識を改善することによって脳損傷を処置する。実施例は、本発明の組成物による処置が、脳卒中後の神経機能を改善することを示している。いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、神経機能を改善することによって脳損傷を処置する。
【0054】
実施例において実証されているように、本発明の細菌組成物は、脳損傷を処置するのに有効であり得る。ある特定の実施形態において、上記組成物は、細菌培養物の形態であってよい。いくつかの実施形態において、上記組成物は、好ましくは凍結乾燥物であってよい。
【0055】
脳損傷の処置は、例えば、症状の重篤度の軽減を称し得る。脳損傷の処置は、脳卒中後の神経学的障害を軽減することも称し得る。脳卒中を処置する際の使用のための本発明の組成物は、例えば、脳卒中のリスクがあると同定された患者において、脳卒中の発症の前に対象に付与され得る。脳卒中を処置する際の使用のための本発明の組成物は、脳卒中が起こった後、例えば、回復の間に付与され得る。脳卒中を処置する際の使用のための本発明の組成物は、回復急性期(すなわち、脳卒中後1週間まで)の間に付与され得る。脳卒中を処置する際の使用のための本発明の組成物は、回復亜急性期(すなわち、脳卒中後1週間~3ヶ月)の間に付与され得る。脳卒中を処置する際の使用のための本発明の組成物は、回復慢性期(脳卒中後3ヶ月から)の間に付与され得る。
【0056】
ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、二次活性薬剤との併用のためのものである。ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、アスピリンまたは組織プラスミノゲン活性化因子(tPA)との併用のためのものである。他の二次薬剤として、他の抗血小板薬(例えば、クロピドグレル)、抗凝血剤(例えば、ヘパリン、ワルファリン、アピキサバン、ダビガトラン、エドキサバンもしくはリバーロキサバン)、降圧剤(例えば、利尿剤、ACE阻害薬、カルシウムチャネル遮断薬、β遮断薬もしくはα遮断薬)またはスタチンが挙げられる。本発明の組成物は、二次活性薬剤への患者の応答を改善し得る。
【0057】
脳卒中の病因に関連する多くの機序があるが、多くの研究は、酸化ストレス、炎症及びアポトーシスが、発病の進行の重要な因子であることを示している[30、31]。脳卒中直後の反応性酸素種(ROS)の急速な増加は、既存の抗酸化防衛を圧倒して、組織損傷を引き起こすことが理解される。かかるROSはまた、血液脳関門透過性及び白血球のトラフィッキングを増加させる炎症性サイトカイン及びマトリックスメタロプロテアーゼの放出も刺激する。活性酸素分解酵素(SOD)は、酸化損傷の防止の役割を果たす内因性抗酸化剤である。そのため、脳における抗酸化活性、例えば、SODのそれらの向上は、神経損傷を軽減するのに有益である。さらに、炎症反応はまた、脳卒中の間及び後の脳損傷も悪化させる。酸化ストレス及び炎症は、脳卒中後の神経細胞死の原因となり得る、神経細胞アポトーシスを結果として生じさせ得る。
【0058】
ブチレートは、さもなければ結腸における細菌によって消化できない繊維の発酵を介して合成される、短鎖脂肪酸(SCFA)である。ブチレートは、神経保護性であること、脳卒中後の血液脳関門透過性を低減すること、酸化ストレスを低減すること、抗炎症効果を有すること、神経細胞アポトーシスを阻害すること、ならびに脳卒中後の全般的な細胞生存、組織修復及び回復を促進することが示唆されている[32、33、34、35、36]。
【0059】
ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、組織の核濃縮及び/または空胞変性スコアを改善する。ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、局所貧血になりやすい組織の核濃縮及び/または空胞変性スコアを改善する。実施例は、本発明の組成物が、核濃縮及び空胞変性によって測定される組織損傷を低減することを実証している。ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、組織に対する局所貧血の影響を低減する。ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、局所貧血によって引き起こされる組織の損傷の量を低減する。ある特定の実施形態において、局所貧血によって損傷される組織は、脳組織である。ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、壊死または壊死細胞の数を低減する。ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、アポトーシスまたはアポトーシス細胞の数を低減する。ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、壊死及びアポトーシス細胞の数を低減する。ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、壊死及び/またはアポトーシスによる細胞死を低減する。ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、局所貧血によって引き起こされる壊死及び/またはアポトーシスによる細胞死を予防する。ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、局所貧血によって損傷される組織の回復を改善する。ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、壊死細胞及び/またはアポトーシス細胞のクリアランス速度を改善する。ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、壊死細胞及び/またはアポトーシス細胞のクリアランス効率を改善する。ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、組織内での細胞の置き換え及び/または再生を改善する。ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、局所貧血によって損傷される組織内での細胞の置き換え及び/または再生を改善する。ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、(例えば生検の際)組織の構造全体を改善する。
【0060】
投与の形態
好ましくは、本発明の組成物は、本発明の細菌株による腸への送達及び/または腸への部分もしくは全体定着を可能にするために胃腸管に投与されるべきである。概して、本発明の組成物は、経口で投与されるが、これらは、経直腸的に、鼻腔内に、または頬側もしくは舌下経路を介して投与されてよい。
【0061】
ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、フォームとして、スプレーまたはゲルとして投与されてよい。
【0062】
ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、坐薬、例えば肛門坐薬として、例えば、カカオ脂(ココアバター)、合成硬質脂肪(例えば、坐剤用基材、ウィテップゾール)、グリセロ-ゼラチン、ポリエチレングリコール、または石鹸グリセリン組成物の形態で投与されてよい.
【0063】
ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、チューブ、例えば、鼻腔栄養チューブ、経口胃チューブ、胃チューブ、経空腸チューブ(Jチューブ)、経皮的内視鏡下胃瘻造設術(PEG)、またはポート、例えば胃、空腸及び他の好適なアクセスポートへのアクセスを付与する胸壁ポートを介して胃腸管に投与される。
【0064】
本発明の組成物は、一度で投与されてよく、または処置レジメンの部分として逐次的に投与されてよい。ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、連日投与されるべきである。実施例は、投与が、脳損傷の処置において成功裏の定着及び臨床的利益を付与することを実証している。
【0065】
ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、例えば毎日、2日おきに、または週1回、長期にわたって、例えば少なくとも1週間、2週間、1ヶ月間、2ヶ月間、6ヶ月間、または1年間定期的に投与される。実施例は、BH投与が、腸への永久定着を結果として生じない場合があり、そのため、長期にわたる定期的投与が、より大きな治療的利益を付与する場合があることも実証している。
【0066】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、7日、14日、16日、21日もしくは28日間、または7日、14日、16日、21日もしくは28日を超えて投与される。例えば、いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、16日間投与される。いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、1、2、3、4、5もしくは6ヶ月間、6ヶ月超、または1年を超えて投与される。
【0067】
本発明のある特定の実施形態において、本発明による処置は、患者の腸内微生物叢のアセスメントによって達成される。処置は、本発明の株の送達及び/またはそれによる部分的もしくは全体的定着が達成されず、その結果、効能が観察されないことになるとき、繰り返されてよく、あるいは、処置は、送達及び/または部分的もしくは全体的定着が成功裏でありかつ効能が観察されるときに中止されてよい。
【0068】
ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、妊娠した動物、例えば、哺乳動物、例えば、ヒトに、その子宮内の胎児及び/または生まれた後の小児において発症する脳損傷を処置するために投与されてよい。
【0069】
本発明の組成物は、脳損傷または脳損傷に関連する疾患もしくは状態を有すると診断されている患者、あるいは脳損傷のリスクがあると同定されている患者に投与されてよい。
【0070】
本発明の組成物は、異常な腸内微生物叢を有すると同定されている患者に投与されてよい。例えば、患者は、Blautia、特に、Blautia hydrogenotrophica、Blautia stercorisまたはBlautia wexleraeによる定着が低減されているか、または該定着がないかであり得る。
【0071】
本発明の組成物は、食品、例えば栄養補助食品として投与されてよい。
【0072】
概して、本発明の組成物は、ヒトの処置のためのものであるが、単胃哺乳動物、例えば、家禽、ブタ、ネコ、イヌ、ウマまたはウサギを含めた動物を処置するのに使用されてよい。本発明の組成物は、動物の成長及びパフォーマンスを向上させるのに有用である場合がある。動物に投与されるとき、経口胃管栄養法が使用されてよい。
【0073】
いくつかの実施形態において、上記組成物が投与されるべき対象は、ヒト成人である。いくつかの実施形態において、上記組成物が投与されるべき対象は、ヒト乳児である。
【0074】
組成物
概して、本発明の組成物は、細菌を含む。本発明の好ましい実施形態において、組成物は、凍結乾燥形態で調合される。例えば、本発明の組成物は、本発明の細菌株を含む顆粒またはゼラチンカプセル、例えば、硬質ゼラチンカプセルを含んでいてよい。
【0075】
好ましくは、本発明の組成物は、凍結乾燥されている細菌を含む。細菌の凍結乾燥は、確立された手順であり、関連のガイダンスは、例えば、参照文献[37~39]において入手可能である。凍結乾燥組成物は、特に有効であり得る。好ましい実施形態において、本発明の組成物は、凍結乾燥細菌を含み、脳損傷の処置のためのものである。
【0076】
代替的には、本発明の組成物は、生きている、活性な細菌培養物を含んでいてよい。いくつかの実施形態において、本発明の組成物における細菌株は、不活性化されていない、例えば、熱不活性化されていない。いくつかの実施形態において、本発明の組成物における細菌株は、殺傷されていない、例えば、熱殺傷されていない。いくつかの実施形態において、本発明の組成物における細菌株は、弱毒化されていない、例えば、熱弱毒化されていない。例えば、いくつかの実施形態において、本発明の組成物における細菌株は、殺傷されていない、不活性化されていない及び/または弱毒化されていない。例えば、いくつかの実施形態において、本発明の組成物における細菌株は、生存している。例えば、いくつかの実施形態において、本発明の組成物における細菌株は、生きている。例えば、いくつかの実施形態において、本発明の組成物における細菌株は、腸に部分的または全体的に定着することが可能である。例えば、いくつかの実施形態において、本発明の組成物における細菌株は、生存しており、腸に部分的または全体的に定着することが可能である。
【0077】
いくつかの実施形態において、組成物は、生きている細菌株と殺傷されている細菌株との混合物を含む。
【0078】
好ましい実施形態において、本発明の組成物は、腸への細菌株の送達を可能にするようにカプセル化されている。カプセル化は、目標箇所に送達するまで、例えばpHの変化によって引き起こされる場合がある化学的または物理的刺激、例えば圧力、酵素活性または物理的崩壊による破断を通しての劣化から組成物を保護する。いずれの適切なカプセル化方法が使用されてもよい。例示的なカプセル化技術として、多孔質マトリクス内への取り込み、固体担体表面への付着または吸着、凝集によるまたは架橋剤を用いた自己会合、及び微多孔膜またはマイクロカプセルの後の機械的拘束が挙げられる。本発明の組成物を調製するのに有用であり得るカプセル化についてのガイダンスは、例えば、参照文献[40~41]において入手可能である。
【0079】
組成物は、経口で投与されてよく、錠剤、カプセルまたは粉末の形態であってよい。カプセル化された製品が好ましい、なぜなら、Blautiaが嫌気性生物であるからである。他の成分(例えばビタミンCなど)が、生体内での送達及び/または部分的もしくは全体的定着ならびに生存を改善するように脱酸素剤及びプレバイオティック基質として含まれていてよい。代替的には、本発明のプロバイオティック組成物は、食品もしくは栄養製品、例えばミルクもしくはホエイベースの発酵乳製品として、または医薬製品として経口で投与されてよい。
【0080】
組成物は、プロバイオティックとして調合されてよい。
【0081】
本発明の組成物は、治療有効量の本発明の細菌株を含む。治療有効量の細菌株は、患者への有益な効果を発揮するのに十分である。治療有効量の細菌株は、患者の腸への送達及び/または部分的もしくは全体的定着を結果として生じさせるのに十分であり得る。
【0082】
例えばヒト成人への細菌の好適な1日量は、約1×103~約1×1011個のコロニー形成単位(CFU);例えば、約1×107~約1×1010CFU;別の例において、約1×106~約1×1010CFU;別の例において、約1×107~約1×1011CFU;別の例において、約1×108~約1×1010CFU;別の例において、約1×108~約1×1011CFUであってよい。
【0083】
ある特定の実施形態において、細菌の用量は、少なくとも109細胞/日、例えば、少なくとも1010、少なくとも1011、または少なくとも1012細胞/日である。
【0084】
ある特定の実施形態において、組成物は、組成物の重量に対して約1×106~約1×1011CFU/g;例えば、約1×108~約1×1010CFU/gの量で細菌株を含有する。用量は、例えば、1g、3g、5g、及び10gであってよい。
【0085】
典型的には、プロバイオティック、例えば本発明の組成物は、少なくとも1の好適なプレバイオティック化合物と任意選択的に組み合わされる。プレバイオティック化合物は、通常、上部消化管において分解または吸収されない、非消化性炭水化物、例えば、オリゴ-もしくは多糖、または糖アルコールである。公知のプレバイオティクスとして、市販品、例えば、インスリン及びトランスガラクト-オリゴ糖が挙げられる。
【0086】
ある特定の実施形態において、本発明のプロバイオティック組成物は、組成物の合計重量に対して約1~約30重量%(例えば、5~20重量%)の量でプレバイオティック化合物を含む。炭水化物は:フラクト-オリゴ糖(またはFOS)、短鎖フラクト-オリゴ糖、インスリン、イソマルト-オリゴ糖、ペクチン、キシロ-オリゴ糖(またはXOS)、キトサン-オリゴ糖(またはCOS)、β-グルカン、アラビアガム変性及び耐性デンプン、ポリデキストロース、D-タガトース、アカシアファイバ、イナゴマメ、オート麦、ならびにシトラスファイバ;からなる群から選択されてよい。一態様において、プレバイオティクスは短鎖フラクト-オリゴ糖(簡潔のために、以下本明細書においてFOSs-c.cと示す)であり;該FOSs-c.c.は、テンサイ糖の転換によって一般に得られ、3のグルコース分子が結合しているサッカロース分子を含んでいる消化性炭水化物ではない。
【0087】
本発明の組成物は、薬学的に許容される賦形剤または担体を含んでいてよい。かかる好適な賦形剤の例は、参照文献[42]において見出され得る。治療的使用のための、許容される担体または希釈剤は、薬剤分野において周知されており、例えば参照文献[43]において記載されている。好適な担体の例として、ラクトース、デンプン、グルコース、メチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、マンニトール、ソルビトールなどが挙げられる。好適な希釈剤の例として、エタノール、グリセロール及び水が挙げられる。医薬担体、賦形剤または希釈剤の選択は、意図する投与経路及び標準の薬務に関して選択され得る。医薬組成物は、上記担体、賦形剤または希釈剤として、またはこれに加えて、いずれの好適な結合剤(複数可)、潤滑剤(複数可)、懸濁剤(複数可)、コーティング剤(複数可)、可溶化剤(複数可)を含んでいてもよい。好適な結合剤の例として、デンプン、ゼラチン、天然糖、例えば、グルコース、無水ラクトース、自由流動ラクトース、β-ラクトース、コーンシロップ、天然及び合成ガム、例えば、アカシア、トラガカントまたはアルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースならびにポリエチレングリコールが挙げられる。好適な潤滑剤の例として、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどが挙げられる。防腐剤、安定剤、染料、及びさらなる香味剤が医薬組成物において付与されていてよい。防腐剤の例として、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、システイン及びp-ヒドロキシ安息香酸のエステルが挙げられ、例えば、いくつかの実施形態において、防腐剤は、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸及びp-ヒドロキシ安息香酸のエステルから選択される。酸化防止剤及び懸濁剤が使用されてもよい。好適な担体のさらなる例は、サッカロースである。防腐剤のさらなる例は、システインである。
【0088】
本発明の組成物は、食品として調合されてよい。例えば、食品は、例えば栄養補助食品において、本発明の治療効果に加えて、栄養的利益を付与してよい。同様に、食品は、本発明の組成物の風味を向上するように、または組成物を、医薬組成物よりもむしろ、一般食料とより類似することによって、消費するのにより魅力的であるようにするように調合されてよい。ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、ミルクベースの製品として調合される。用語「ミルクベースの製品」は、変動する脂肪分を有する、いずれの液体または半固体のミルク-またはホエイベースの製品も意味する。ミルクベースの製品は、例えば、ウシのミルク、ヤギのミルク、ヒツジのミルク、スキムミルク、ホールミルク、いずれの処理もしていない粉ミルク及びホエイからの還元ミルク、または加工品、例えばヨーグルト、凝固したミルク、カード、酸乳、酸全乳、バターミルク及び他の酸乳製品であり得る。別の重要な群として、ミルク飲料、例えばホエイ飲料、発酵乳、コンデンスミルク、乳幼児ミルク;フレーバーミルク、アイスクリーム;ミルク含有食品、例えば、スイーツが挙げられる。
【0089】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、Blautia属の1以上の細菌株を含み、いずれの他の属からの細菌も含有せず、または、ほんの僅少なもしくは生物学的に関連のない量の、別の属からの細菌を含む。
【0090】
ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、単一の細菌株または種を含有し、いずれの他の細菌株または種も含有しない。かかる組成物は、ほんの僅少なまたは生物学的に関連のない量の他の細菌株または種を含んでいてよい。かかる組成物は、他の種の生物を実質的に含まない培養物であってよい。いくつかの実施形態において、かかる組成物は、他の種の生物を実質的に含まない凍結乾燥物であってよい。
【0091】
ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、Blautia属の1以上の細菌株、例えば、Blautia hydrogenotrophicaを含み、いずれの他の細菌属も含有せず、または、ほんの僅少なもしくは生物学的に関連のない量の、別の属からの細菌を含む。ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、単一のBlautia種、例えば、Blautia hydrogenotrophica種を含み、いずれの他の細菌種も含有せず、または、ほんの僅少なもしくは生物学的に関連のない量の、別の種からの細菌を含む。ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、Blautia、例えば、Blautia hydrogenotrophicaの単一株を含み、いずれの他の細菌株もしくは種も含有せず、または、ほんの僅少なもしくは生物学的に関連のない量の、別の株もしくは種からの細菌を含む。
【0092】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、1を超える細菌株または種を含む。例えば、いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、同種内からの1を超える株(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40または45を超える株)を含み、任意選択的に、いずれの他の種からの細菌も含有しない。いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、同種内からの50未満の株(例えば、45、40、35、30、25、20、15、12、10、9、8、7、6、5、4または3未満の株)を含み、任意選択的に、いずれの他の種からの細菌も含有しない。いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、同種内からの1~40、1~30、1~20、1~19、1~18、1~15、1~10、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4、1~3、1~2、2~50、2~40、2~30、2~20、2~15、2~10、2~5、6~30、6~15、16~25、または31~50株を含み、任意選択的に、いずれの他の種からの細菌も含有しない。いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、同属内からの1を超える株(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、15、17、20、23、25、30、35または40を超える種)を含み、任意選択的に、いずれの他の属からの細菌も含有しない。いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、同属内からの50未満の種(例えば、50、45、40、35、30、25、20、15、12、10、8、7、6、5、4または3未満の種)を含み、任意選択的に、いずれの他の属からの細菌も含有しない。いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、同属内からの1~50、1~40、1~30、1~20、1~15、1~10、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4、1~3、1~2、2~50、2~40、2~30、2~20、2~15、2~10、2~5、6~30、6~15、16~25、または31~50種を含み、任意選択的に、いずれの他の属からの細菌も含有しない。本発明は、上記のいずれの組み合わせも含む。
【0093】
いくつかの実施形態において、組成物は、微生物コンソーシアム(consortium)を含む。例えば、いくつかの実施形態において、組成物は、微生物コンソーシアムの一部としてBlautia細菌株を含む。例えば、いくつかの実施形態において、Blautia細菌株は、腸において生体内で共生的に生きることができる、他の属からの1または2以上の(例えば、少なくとも2、3、4、5、10、15または20の)他の細菌株において存在する。例えば、いくつかの実施形態において、組成物は、異なる属からの細菌株と組み合わせたBlautia hydrogenotrophicaの細菌株を含む。いくつかの実施形態において、微生物コンソーシアムは、単一の生物、例えば、ヒトの糞便サンプルから得られた2または3以上の細菌株を含む。いくつかの実施形態において、微生物コンソーシアムは、本来は一緒には見られない。例えば、いくつかの実施形態において、微生物コンソーシアムは、少なくとも2の異なる生物の糞便サンプルから得られた細菌株を含む。いくつかの実施形態において、該2の異なる生物は、同種、例えば、2の異なるヒトからのものである。いくつかの実施形態において、該2の異なる生物はヒト乳児及びヒト成人である。いくつかの実施形態において、該2の異なる生物は、ヒト及び非ヒト哺乳動物である。
【0094】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、受託番号DSM14294で寄託されているBlautia hydrogenotrophica株と同じ安全及び治療効能特性を有するが、受託番号DSM14294で寄託されているBlautia hydrogenotrophica株ではない、Blautia hydrogenotrophicaではない、またはBlautiaではない細菌株をさらに含む。
【0095】
本発明の組成物が1を超える細菌株、種または属を含むいくつかの実施形態において、個々の細菌株、種または属は、別々、同時または逐次投与用であってよい。例えば、組成物は、1を超える細菌株、種もしくは属の全てを含んでいてよく、または細菌株、種もしくは属は、別々に貯蔵されてよく、また、別々に、同時にもしくは逐次的に投与されてよい。いくつかの実施形態において、1を超える細菌株、種または属は、別々に貯蔵されているが、使用前に一緒に混合される。
【0096】
いくつかの実施形態において、本発明における使用のための細菌株は、ヒト成人の糞便から得られる。
【0097】
本発明の組成物が1を超える細菌株を含むいくつかの実施形態において、細菌株の全てがヒト成人の糞便から得られ、または、他の細菌株が存在するとき、ほんの僅少な量で存在する。細菌は、ヒト成人の糞便から得られ本発明の組成物において使用された後に培養されてよい。
【0098】
いくつかの実施形態において、1または2以上のBlautia細菌株は、本発明の組成物において唯一の治療的活性剤(複数可)である。いくつかの実施形態において、組成物における細菌株(複数可)は、本発明の組成物において唯一の治療的活性剤(複数可)である。
【0099】
本発明による使用のための組成物は、販売承認を必要としてもしなくてもよい。
【0100】
ある特定の実施形態において、本発明は、上記細菌株が凍結乾燥されている、上記医薬組成物を提供する。ある特定の実施形態において、本発明は、上記細菌株が噴霧乾燥されている、上記医薬組成物を提供する。ある特定の実施形態において、本発明は、細菌株が、凍結乾燥または噴霧乾燥されており、また、生きている、上記医薬組成物を提供する。ある特定の実施形態において、本発明は、細菌株が、凍結乾燥または噴霧乾燥されており、また、生存している上記医薬組成物を提供する。ある特定の実施形態において、本発明は、は、細菌株が、凍結乾燥または噴霧乾燥されており、また、腸に部分的または全体的に定着することが可能である、上記医薬組成物を提供する。ある特定の実施形態において、本発明は、細菌株が、凍結乾燥または噴霧乾燥されており、また、生存しており、かつ腸に部分的または全体的に定着することが可能である上記医薬組成物を提供する。
【0101】
いくつかの場合において、凍結乾燥または噴霧乾燥されている細菌株は、投与前に再構成される。いくつかの場合において、再構成は、本明細書に記載されている希釈剤の使用による。
【0102】
本発明の組成物は、薬学的に許容される賦形剤、希釈剤または担体を含んでいてよい。
【0103】
ある特定の実施形態において、本発明は、本発明の細菌株と;薬学的に許容される賦形剤、担体または希釈剤とを含む医薬組成物であって;細菌株が、それを必要とする対象に投与されるとき、障害を処置するのに十分な量であり、当該障害が脳損傷である、上記医薬組成物を提供する。
【0104】
ある特定の実施形態において、本発明は、上記医薬組成物であって、細菌株の量が、組成物の重量に対してグラム当たり約1×103~約1×1011個のコロニー形成単位である、上記医薬組成物を提供する。
【0105】
ある特定の実施形態において、本発明は、1g、3g、5gまたは10gの用量で投与される、上記医薬組成物を提供する。
【0106】
ある特定の実施形態において、本発明は、経口、直腸、皮下、鼻、頬側、及び舌下からなる群から選択される方法によって投与される、上記医薬組成物を提供する。
【0107】
ある特定の実施形態において、本発明は、ラクトース、デンプン、グルコース、メチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、マンニトール及びソルビトールからなる群から選択される担体を含む上記医薬組成物を提供する。
【0108】
ある特定の実施形態において、本発明は、エタノール、グリセロール及び水からなる群から選択される希釈剤を含む上記医薬組成物を提供する。
【0109】
ある特定の実施形態において、本発明は、デンプン、ゼラチン、グルコース、無水ラクトース、自由流動ラクトース、β-ラクトース、コーンシロップ、アカシア、トラガカント、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム及び塩化ナトリウムからなる群から選択される賦形剤を含む、上記医薬組成物を提供する。
【0110】
ある特定の実施形態において、本発明は、防腐剤、酸化防止剤及び安定剤の少なくとも1つをさらに含む、上記医薬組成物を提供する。
【0111】
ある特定の実施形態において、本発明は、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、及びp-ヒドロキシ安息香酸のエステルからなる群から選択される防腐剤を含む、上記医薬組成物を提供する。
【0112】
ある特定の実施形態において、本発明は、上記細菌株が凍結乾燥されている、上記医薬組成物を提供する。
【0113】
ある特定の実施形態において、本発明は、組成物が約4℃または約25℃で密閉容器に貯蔵されて容器が50%の相対湿度を有する雰囲気に置かれているとき、コロニー形成単位で測定される細菌株の少なくとも80%が、少なくとも約1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年、1.5年、2年、2.5年または3年の期間の後に残存している、上記医薬組成物を提供する。
【0114】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、本明細書に記載されている組成物を含む密閉容器において付与される。いくつかの実施形態において、密閉容器は、サチェまたはボトルである。いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、本明細書に記載されている組成物を含むシリンジにおいて付与される。
【0115】
本発明の組成物は、いくつかの実施形態において、医薬製剤として付与されてよい。例えば、組成物は、錠剤またはカプセルとして提供されてよい。いくつかの実施形態において、カプセルは、ゼラチンカプセル(「gel-cap」)である。
【0116】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、経口投与される。経口投与は、嚥下を含んでいてよく、その結果、化合物が、胃腸管に入ることになり、かつ/または頬側、舌側、もしくは舌下投与によって化合物が口から直接血流に入ることになる。
【0117】
経口投与に好適な医薬製剤として、固体プラグ、固体微粒子状物、半固体及び液体(多相及び分散系を含む)、例えば錠剤;多-またはナノ-粒子状物を含有する軟質または硬質カプセル、液体(例えば、水溶液)、エマルジョンまたは粉末;ロゼンジ(液体が充填されたものを含む);咀嚼剤;ゲル;急速分散剤形;フィルム;膣坐剤;スプレー;ならびに頬側/粘膜接着パッチが挙げられる。
【0118】
いくつかの実施形態において、医薬製剤は、腸溶性製剤、すなわち、経口投与による腸への本発明の組成物の送達に好適である胃耐性製剤(例えば、胃のpHに耐性)である。腸溶性製剤は、組成物の細菌または別の成分が酸感受性である、例えば、胃条件下で分解しやすいとき、特に有用であり得る。
【0119】
いくつかの実施形態において、腸溶性製剤は、腸溶性コーティングを含む。いくつかの実施形態において、該製剤は、腸溶性コーティングされた剤形である。例えば、該製剤は、腸溶性コーティングされた錠剤または腸溶性コーティングされたカプセルなどであってよい。腸溶性コーティングは、経口送達のための従来の腸溶性コーティング、例えば、錠剤、カプセルなどのための従来のコーティングであってよい。該製剤は、フィルムコーティング、例えば、腸溶性ポリマー、例えば酸不溶性ポリマーの薄膜層を含んでいてよい。
【0120】
いくつかの実施形態において、腸溶性製剤は、本質的に腸溶性であり、例えば、腸溶性コーティングを必要とすることない胃耐性である。そのため、いくつかの実施形態において、該製剤は、腸溶性コーティングを含まない腸溶性製剤である。いくつかの実施形態において、該製剤は、熱ゲル化材料から作製されたカプセルである。いくつかの実施形態において、熱ゲル化材料は、セルロース系材料、例えばメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)である。いくつかの実施形態において、カプセルは、いずれのフィルム形成ポリマーも含有しないシェルを含む。いくつかの実施形態において、カプセルは、シェルを含み、該シェルは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含み、いずれのフィルム形成ポリマーも含まない(例えば、[44]を参照されたい)。いくつかの実施形態において、該製剤は、本質的に腸溶性のカプセル(例えば、Capsugel製Vcaps(登録商標))である。
【0121】
いくつかの実施形態において、該製剤は、軟質カプセルである。軟質カプセルは、カプセルシェルに存在する軟化剤、例えば、グリセロール、ソルビトール、マルチトール及びポリエチレングリコールなどの添加のおかげで、ある特定の弾性及び柔軟性を有し得るカプセルである。軟質カプセルは、例えば、ゼラチンまたはデンプンベースで製造され得る。ゼラチンベースの軟質カプセルは、種々の供給者から市販されている。例えば経口または経直腸などの投与方法に応じて、軟質カプセルは、種々の形状を有することができ、例えば、円形、楕円形、長方形または魚雷型であり得る。軟質カプセルは、従来のプロセス、例えば、Schererプロセス、Accogelプロセスまたは液滴もしくは発泡プロセスなどによって製造され得る。
【0122】
培養方法
本発明における使用のための細菌株は、例えば、参照文献[45~47]に詳述されている標準の微生物学的技術を使用して培養され得る。
【0123】
培養に使用される固体または液体培地は、例えば、YCFA寒天またはYCFA培地であってよい。YCFA培地として(100ml当たりの近似値):Casitone(1.0g)、酵母エキス(0.25g)、NaHCO3(0.4g)、システイン(0.1g)、K2HPO4(0.045g)、KH2PO4(0.045g)、NaCl(0.09g)、(NH4)2SO4(0.09g)、MgSO4・7H2O(0.009g)、CaCl2(0.009g)、レザズリン(0.1mg)、ヘミン(1mg)、ビオチン(1μg)、コバラミン(1μg)、p-アミノ安息香酸(3μg)、葉酸(5μg)、及びピリドキサミン(15μg)を挙げることができる。
【0124】
総則
本発明の実施は、別途示さない限り、当業者の範囲内の、化学、生化学、分子生物、免疫学及び薬理学の従来の方法を用いる。かかる技術は、文献において完全に説明されている。例えば、参照文献[48~55]などを参照されたい。
【0125】
用語「comprising(含む)」は、「including(含む)」及び「consisting(からなる)」を包含し、例えば、組成物がXを「comprising(含む)」は、Xから排他的になってもよく、またはさらなる何か、例えば、X+Yを含んでいてもよい。
【0126】
数値xに関係する用語「約」は、任意選択的であり、例えば、x±10%を意味する。
【0127】
語「実質的に」は、「完全に」を排除せず、例えば、Yを「実質的に含まない」組成物は、Yを完全に含まなくてよい。必要に応じて、語「実質的に」は、本発明の定義から省略されてよい。
【0128】
2つのヌクレオチド配列間の百分率の配列同一性への言及は、整列しているとき、ヌクレオチドの百分率が、2つの配列を比較したときに同じであることを意味する。このアラインメント及びパーセント相同性または配列同一性は、当該分野において公知のソフトウエアプログラム、例えば、参照文献[56]のセクション7.7.18に記載されているものを使用して決定され得る。好ましいアラインメントは、12のギャップオープンペナルティ及び2のギャップエクステンションペナルティ、62のBLOSUMマトリクスによるアフィンギャップ検索を使用してSmith-Waterman相同性検索アルゴリズムによって決定される。Smith-Waterman相同性検索アルゴリズムは、参照文献[57]に開示されている。
【0129】
特に記述されていない限り、多数のステップを含むプロセスまたは方法は、方法の開始及び終了時にさらなるステップを含んでいてよく、またはさらなる介在するステップを含んでいてよい。また、ステップは、適切な場合、代替の順序で、組み合わされ、省略され、または実施されてよい。
【0130】
本発明の種々の実施形態は本明細書に記載されている。各実施形態において特定されている特徴は、他の特定されている特徴と組み合わされて、さらなる実施形態を付与してよいことが認識される。特に、好適な、典型的なまたは好ましいとして本明細書において強調されている実施形態は、互いに組み合わされてよい(これらが互いに排他的であるときを除く)。
【実施例】
【0131】
本発明を実施するための形態
実施例1-安定性試験
本明細書に記載されている少なくとも1つの細菌株を含有する本明細書に記載されている組成物を25℃または4℃で密閉容器に保存し、当該容器を30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%または95%の相対湿度を有する雰囲気に置く。1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年、1.5年、2年、2.5年または3年後、細菌株の少なくとも50%、60%、70%、80%または90%が、標準プロトコルによって決定されるコロニー形成単位で測定されるように残存する。
【0132】
実施例2-マウスにおける脳虚血に対する保護効果
概要
5つの群(1M、2M、3M、4M及び5M)の15~20匹のマウスを試験した。正常に行動する動物のみを研究に含めた。第1投薬日は-14日目であった。1M及び2M群にはPBS対照溶液を第1投薬日から最終まで毎日与えた。4M群には凍結乾燥した粉末対照を第1投薬日から最終まで毎日与えた。5M群には凍結乾燥した細菌を第1投薬日から最終まで毎日与えた。全ての処置を作業日の後半に与えた。群の処置順序を各研究日においてランダムに変更した。1日目に、全てのマウスを麻酔した。正中切開を頸部の腹側に作り、右及び左の総頸動脈を露出させた。脳虚血-再かん流I/Rモデルを、15分間、血管クリップを使用して両側の総頸動脈閉鎖(BCCAO)によって2M、3M、4M及び5M群において誘導した。各閉鎖の最後に、クリップを除去した。1M群は、疑似手術対照群であり、同じ手術を受けたが、頸動脈閉鎖をしなかった。3M群には、陽性対照として手術の直後にMK-801の注射を与えた。できるだけ同じ処置を維持するために、1M、2M、4M及び5M群にも、手術の直後に無菌食塩水を注射した。各群の半分を15日目に終了させ、他の半分を29日目に終了させた。
【0133】
株
受託番号DSM14294で寄託されているBlautia hydrogenotrophica細菌。
投与スケジュール
【表1】
【0134】
研究設計
-14~14日目:1日用量のPBS対照(1M及び2M群)、凍結乾燥した粉末対照(4M群)または凍結乾燥した細菌(5M群)。
1日目:手術による2M、3M、4M及び5M群において誘導した脳虚血-再かん流I/Rモデル;1M群(疑似手術対照)に手術をしたが、頸動脈閉鎖をしなかった。3M群にはMK-801を与え、1M、2M、3M及び5M群には、手術の直後に無菌食塩水を与えた。
15日目:各群においてマウスの半分を終了させた。
15~28日目:各群における残りのマウスについて、1日用量のPBS対照(1M及び2M群)、凍結乾燥した粉末対照(4M群)及び凍結乾燥した細菌(5M群)。
29日目:残りのマウスの終了。
【0135】
他の研究変数
全てのマウスの死亡率及び罹患率を1日に2回チェックした。
全てのマウスの体重測定を1週間に2回行った。
【0136】
血液サンプル(各100μL)を、処置前から-14日目まで各マウスからリチウム-ヘパリンチューブにおいてランダムな順番で2~3時間収集した。15日目に、150μLの血液サンプルを全てのマウスから取り、かかる量の半分をLi-ヘパリンチューブに取り、他の半分をEDTAチューブ内に取った。出血後、マウスの半分を終了させた。29日目に、同じ出血手順をマウスの次の半分に適用した。
【0137】
糞便ペレットを3時点:-14日目、15日目及び29日目で収集した。各試みを、無菌環境で実施し(完全無菌=動物間で洗浄)、マウス毎にケージから取り出して新しい無菌の箱に別個に置いて個々のペレットを採取した。マウス当たり最小で80mg、好ましくは100mgの材料を得るために、できるだけ多くのペレットを収集した。
【0138】
反転スクリーン試験
反転スクリーン試験を、-2/-1日目(ベースライン)、14日目及び28日目に実施した。例示的な反転スクリーン試験([58]、[59])において、訓練されていないマウスを、パッド付き表面上に金属棒に水平に取り付けられているワイヤメッシュスクリーンの頂部に個々に置く。次いで棒をマウスがスクリーンの底部上にあるように180°回転させる。マウスがスクリーンの底部からパッド付き表面上に落下するまでに要した時間を記録する。
【0139】
反転スクリーン試験は、時間を秒で測定することができ、または、神経学的欠損スコア:1~10秒間に落下=1;11~25秒間に落下=2;26~60秒間に落下=3;61~90秒間に落下=4;90秒後に落下=5;を使用することができる。
【0140】
社会認識試験
社会認識試験を、-2/-1日目(ベースライン)、14日目及び28日目に実施した。例示的な社会認識試験(60)において、各試験マウスをホームケージと同様のサイズであるケージに個々に置き、およそ30分間ケージに順応させる。第2の標的マウスを次いで試験マウスと共にケージに置く。標的マウスの嗅覚行為及び接近追随(尾基部から<2cm離間)として定義される、社会調査の合計持続期間を2分間にわたって記録する。第1試験において標的マウスを調査するのに費やした時間をTlと表示する。試験を次いで同じ標的マウスを使用して1時間後に繰り返す。第2試験において標的マウスを調査するのに費やした時間をT2と表示する。T2がTl未満である試験マウスは、社会認識を実証している(すなわち、繰り返し試験におけるファミリアー標的マウスの認識は、より少ない調査及びTlより低いT2をもたらす)。
【0141】
結果
反転スクリーン試験の結果を
図1に示す。
図1のy軸は、ベースライン値(秒)-より遅い値(秒)(x軸に応じて14または28日目)を表す。y軸は、そのため、ベースラインに対する落下前時間の変化を表している。y軸が、より遅い値をベースライン値から減算しているため、正のy軸値は、落下前時間の低減(すなわち、試験におけるより劣る性能)を代表するものであり、負のy軸値は、落下前時間の増加(すなわち、試験における改善された性能)を代表するものである。処置群(5M)は、2Mのビヒクル対照群と比べて明らかな改善を示しており、本発明の組成物が、誘発された脳損傷の後の回復を補助しかつ神経機能及び運動能力を改善したことを実証した。
【0142】
社会認識試験の結果を
図2に示す。
図2のy軸は、T1-T2を表す。そのため、T2の値が低い(より高い社会認識を実証する)ほど、y軸値がより大きい。14日目及び28日目に、処置群(5M)は最も高い社会認識を示し、本発明の組成物が、誘発された脳損傷の後の回復を補助しかつ神経機能及び社会認識を改善したことを実証した。
【0143】
実施例3-SCFA産生健常ラットに対する細菌凍結乾燥物の効果
健常なHIMラットにおけるSCFA産生に対するBlautia hydrogenotrophica株DSM14294の凍結乾燥物の慢性投与の効果を研究した。結果を
図3において報告する。実験に関するさらなる詳細は、図の詳細な説明において上記に提供されている。
図3は、BHの投与が、アセテートの有意な増加ならびにブチレート産生を誘発することを示している。
【0144】
実施例4-ヒト微生物叢関連ラット(HMAラット)モデルにおいて研究したB.hydrogenotrophicaの効能
概要
16匹の無菌ラット群(対照群における8匹のラット及び処置群における8匹のラットを含む)にヒトIBS対象からの糞便微生物叢を接種した(IBS-HMAラット)。3つの一連の実験を、3の異なるIBS患者からの糞便サンプルを使用して実施した。2の他のラット群(n=10)に、内臓感受性対照として、健常な対象の糞便サンプルを接種した(n=2対象;2群の健常-HMAラット)。これにより、24匹のIBS-微生物叢関連ラット(対照)、24匹のBlautix処置IBS微生物叢関連ラット及び20匹の健常-微生物叢関連ラットが存在した。次いでIBS-HMAラットの半分に本発明によるB.hydrogenotrophicaの細菌株を含む組成物を28日間投与した一方で、他の半分の動物には対照溶液を与えた。
【0145】
株
Blautia hydrogenotrophica(BH)株DSM14294。
組成物及び投与
BH凍結乾燥物を無菌の鉱物溶液中で1010細菌/mlの濃度に懸濁した。2mlのこの溶液を経口胃管栄養法によってIBS-HMAラットにつき毎日28日間投与した。
【0146】
対照溶液は、IBS-HMAラットの対照群に経口胃管栄養法によって毎日(2ml/ラット)投与した無菌の鉱物溶液であった。
【0147】
ラット
無菌雄性Fisherラット(10週齢)に、IBS対象からのヒト糞便微生物叢を接種した(IBS-HMAラット)。16匹のラットに同じヒト糞便接種材料を接種した。3つの一連の実験を、3の異なるIBS対象からの糞便サンプルを用いて実施した。2の他の群の10匹のラットに、2の健常な対象(正常感受性対照群)からの糞便サンプルを接種した。
【0148】
研究設計
-14日目-無菌ラットにヒト糞便微生物叢を接種。
0~28日目-経口胃管栄養法による、1日用量のBH凍結乾燥物(アッセイ群)または対照溶液(対照群)
14~22日目の間-電極を腹部内に埋め込む手術(膨張アッセイ用)
22~28日目-膨張試験に関連するストレスを回避するためのラットの適応。
28日目-膨張アッセイ、ならびに動物を安楽死させてスルフィド及び短鎖脂肪酸(SCFA)分析用の盲腸サンプルを収集。
0、14及び28日目-微生物分析用の糞便サンプルの収集:BH集団及び他の共生微生物群の評価のためのqPCR、ならびに選択培地及び偏性嫌気性方法を使用した微生物の機能群の計数。
【0149】
結果
図4は、対照溶液またはBH凍結乾燥物が与えられたIBS-HMAラットからの糞便サンプルのB.hydrogenotrophica集団のqPCR分析の結果を表す。BH凍結乾燥物が与えられたラットにおいて投与期間の最後(28日目)にBH集団の有意な増加が観察され、結腸におけるBHの成功裏の送達を確認した。
【0150】
図5は、IBS-HMAラットの盲腸サンプルにおける主な発酵代謝産物である短鎖脂肪酸に対するBHの投与の影響について報告する。BHの投与は、アセテート濃度の有意な増加及びブチレート濃度の有意な増加を結果として生じさせた(
図5B)。
【0151】
実施例5-マウスにおける脳虚血-再かん流I/Rモデルでの脳組織に対するB.hydrogenotrophicaの効果の組織学的評価
概要
多数のマウスを上記実施例2に概説されているように脳虚血-再かん流I/Rモデルに供した。実験の終了時、15日目または29日目のいずれかで、マウス脳組織を組織病理学検査に供した。局所貧血モデルは、細胞代謝に、ゆえに、組織の生存を維持するために必要とされる酸素及びグルコースの不足を引き起こす、脳組織への血液供給の制限を引き起こす。そのため、このモデルは、脳卒中の病状を模倣するものである。
【0152】
本発明の組成物が脳組織に対する局所貧血-再かん流モデルの効果を低減したか否かを決定するために、局所貧血-再かん流モデルの終了時の組織の構造を研究した。組織を、核濃縮スコア(細胞壊死及び細胞死の程度を評価する)及び空胞変性(アポトーシスと同様の変性の程度を評価する)について研究した。したがって、これらは、アポトーシスまたは壊死プロセスに入った細胞の数、すなわち、死んでいる細胞の数の重要なマーカーである。これは、血液/酸素の欠乏の後の、細胞損傷に起因した、脳卒中及び実験的脳卒中の後に起こる。これらのパラメータがより高くなるほど、脳卒中によって誘発される損傷が大きくなる。これらのパラメータがより減少するほど、本発明の組成物は、脳卒中の際の損傷を予防するまたは脳卒中からの回復を助ける際により良好である。
【0153】
株
受託番号DSM14294で寄託されているBlautia hydrogenotrophica細菌。
研究設計及びプロトコル
局所貧血-再かん流モデルを実施例2におけるように実施した。各試験群において組織学的検査を行った動物の数を以下に示す。
【表2】
【0154】
組織学的分析のための組織の調製
終了時に、動物をCO2による窒息によって犠牲にした。可能な場合、動物の半分を15日目に犠牲にし、他の半分を29日目に犠牲にした。生理食塩水のみによるかん流後、回腸、盲腸及び結腸を各マウスから採取し、別個のマーキングした無菌チューブに移し、-80℃で貯蔵した。脳もまた生理食塩水かん流後に採取した。各脳の右半球を2.5%パラホルムアルデヒドで固定し、2~8℃で貯蔵した。各脳の左半球を-80℃で貯蔵した。
【0155】
群当たり全ての動物の右半球の切片をスライドに載せ、続いて組織学的検査を行った。組織をトリミングし、パラフィンに埋め込み、およそ5ミクロンの厚さで切片化し、標準化されたプロトコルを使用してHematoxylin & Eosin(H&E)(ならびにTUNEL試薬)によって染色した。これらのスライドを光学顕微鏡下で検査した。顕微鏡(Olympus BX60)を使用してX10、X20及びX40の倍率で写真撮影した。使用したカメラはOlympus DP-73であった。
【0156】
組織学的評価プロトコル
核凝縮及びアポトーシス細胞の数をカウントし、平均値を算出した。ニューロンのカウントをマウス海馬の右半球において手動で実施した。X20倍の10の領域を核濃縮及び空胞変性スコアについて以下のように評価した。
【0157】
核濃縮及び空胞変性、半定量的スコア:
1.グレード0=罹患細胞なし
2.グレード1=最大10の罹患細胞
3.グレード2=>10かつ<20の罹患細胞
4.グレード3=>20かつ<30の罹患細胞
5.グレード4=>30かつ<40の罹患細胞
6.グレード5=>40かつ<50の罹患細胞
7.グレード6=>50の罹患細胞
【0158】
所与のサンプル群における各マウスについてX20倍の各領域でスコアを求めた。各サンプル群のスコアを次いで平均して平均値を得、これを結果のグラフに表示した(
図6A及び6B)。
【0159】
結果
核濃縮
図6Aは、組織学H&E染色後の半定量的核濃縮スコアを表示する。予想通り、局所貧血-再かん流試験に供したPBS陰性対照(2M)マウスは、疑似陰性対照(1M、すなわち、局所貧血-再かん流試験に供さなかったマウス、グレード1未満のスコアを示した)と比較して壊死及び/または乾燥細胞の数の有意な増加を示した。また、陽性対照MK-801を投与したマウス(3M)は、低減された核濃縮スコアを示し、これは壊死細胞数の低減を示した。顕著には、本発明の組成物を投与したマウス(5M)が、PBS陰性対照群(2M)と比較しても有意に低減しかつ凍結乾燥粉末を投与したマウス(4M)に比べて低減した、なおさらに低減した核濃縮スコアを示した。したがって、本発明の組成物を投与したマウスは、局所貧血によって引き起こされる組織壊死が低減される有意な傾向を示す。
【0160】
空胞変性
図6Bは、組織学H&E染色後の空胞変性の半定量的スコアを表示する。同様に、予想通り、局所貧血-再かん流試験に供したPBS陰性対照(2M)マウスは、グレード0のすぐ上のスコアを示した疑似陰性対照(1M)と比較して壊死及び/または乾燥細胞の数の有意な増加を示した。核濃縮スコアでの観察とは対照的に、陽性対照(3M)の投与は、空胞変性スコアを低減せず、これは、MK-801が、アポトーシス-誘発細胞死の量を低減しないことを示した。しかし、本発明の組成物を投与したマウス(5M)は、全ての他の群よりも低い、空胞変性スコアの有意な低減を実証した。したがって、本発明の組成物は、局所貧血によって引き起こされるアポトーシス細胞死の量を低減する。
【0161】
代表的な組織構造
図6Cは、各試験動物からのH&E染色スライドの代表的な写真を示す。これらの画像を使用して、上記で考察されている半定量的スコアを準備した。5M群(本発明の組成物を投与した)は、4M群(凍結乾燥粉末対照)と比較して、より高い密度及びより多い細胞数、ならびに低減された空胞変性を示し、MK-801陽性対照とより類似する。実際、本発明の細菌組成物を投与したマウスは、局所貧血マウスモデル陰性対照(2M)と比較してかなり改善された組織構造を示す。
【0162】
結論
本発明のB.hydrogenotrophica株は、両方の陰性対照と比較して、局所貧血-再かん流試験に供したマウスの脳組織構造を有意に改善する。これにより、細菌組成物は、壊死細胞及び死細胞の数を低減し、また、アポトーシス(空胞変性)を経る細胞の数を低減する。凍結乾燥粉末も核濃縮及び空胞変性スコアの僅かな低減を引き起こしたが、この低減は、この実験群では、本発明の細菌組成物を投与した群と同じ程度までは観察されなかった。凍結乾燥対照における改善された組織構造についての考えられる理由は、凍結乾燥粉末が、(局所貧血-再かん流試験に起因して)低減された酸素及び代謝産物レベルに供された細胞の回復に効果があり得る糖を含有していることである。にもかかわらず、本発明の細菌株は、凍結乾燥粉末陰性対照と比較して核濃縮及び空胞変性の両方のスコアにおいて明らかな改善された組織構造を示す。したがって、この細菌株は、脳組織における(壊死もしくはアポトーシスによる)細胞死を予防する及び/または局所貧血-誘導損傷後の脳組織の回復を助ける能力を実証している。
【0163】
配列
配列番号1(Blautia stercoris株GAM6-1 16SリボソームRNA遺伝子、部分配列-HM626177)
1 tgcaagtcga gcgaagcgct tacgacagaa ccttcggggg aagatgtaag ggactgagcg
61 gcggacgggt gagtaacgcg tgggtaacct gcctcataca gggggataac agttggaaac
121 ggctgctaat accgcataag cgcacggtat cgcatgatac agtgtgaaaa actccggtgg
181 tatgagatgg acccgcgtct gattagctag ttggaggggt aacggcccac caaggcgacg
241 atcagtagcc ggcctgagag ggtgaacggc cacattggga ctgagacacg gcccagactc
301 ctacgggagg cagcagtggg gaatattgca caatggggga aaccctgatg cagcgacgcc
361 gcgtgaagga agaagtatct cggtatgtaa acttctatca gcagggaaga aaatgacggt
421 acctgactaa gaagccccgg ctaactacgt gccagcagcc gcggtaatac gtagggggca
481 agcgttatcc ggatttactg ggtgtaaagg gagcgtagac ggaagagcaa gtctgatgtg
541 aaaggctggg gcttaacccc aggactgcat tggaaactgt ttttcttgag tgccggagag
601 gtaagcggaa ttcctagtgt agcggtgaaa tgcgtagata ttaggaggaa caccagtggc
661 gaaggcggct tactggacgg taactgacgt tgaggctcga aagcgtgggg agcaaacagg
721 attagatacc ctggtagtcc acgccgtaaa cgatgaatac taggtgttgg ggagcaaagc
781 tcttcggtgc cgcagcaaac gcaataagta ttccacctgg ggagtacgtt cgcaagaatg
841 aaactcaaag gaattgacgg ggacccgcac aagcggtgga gcatgtggtt taattcgaag
901 caacgcgaag aaccttacca agtcttgaca tcgatctgac cggttcgtaa tggaaccttt
961 ccttcgggac agagaagaca ggtggtgcat ggttgtcgtc agctcgtgtc gtgagatgtt
1021 gggttaagtc ccgcaacgag cgcaacccct atcctcagta gccagcaggt gaagctgggc
1081 actctgtgga gactgccagg gataacctgg aggaaggcgg ggacgacgtc aaatcatcat 1141 gccccttatg atttgggcta cacacgtgct acaatggcgt aaacaaaggg aagcgagccc 1201 gcgaggggga gcaaatccca aaaataacgt cccagttcgg actgcagtct gcaactcgac 1261 tgcacgaagc tggaatcgct agtaatcgcg aatcagaatg tcgcggtgaa tacgttcccg 1321 ggtcttgtac acaccgcccg tcacaccatg ggagtcagta acgcccgaag tc
【0164】
配列番号2(Blautia wexlerae株WAL14507 16SリボソームRNA遺伝子、部分配列-EF036467)
1 caagtcgaac gggaattant ttattgaaac ttcggtcgat ttaatttaat tctagtggcg
61 gacgggtgag taacgcgtgg gtaacctgcc ttatacaggg ggataacagt cagaaatggc
121 tgctaatacc gcataagcgc acagagctgc atggctcagt gtgaaaaact ccggtggtat
181 aagatggacc cgcgttggat tagcttgttg gtggggtaac ggcccaccaa ggcgacgatc
241 catagccggc ctgagagggt gaacggccac attgggactg agacacggcc cagactccta
301 cgggaggcag cagtggggaa tattgcacaa tgggggaaac cctgatgcag cgacgccgcg
361 tgaaggaaga agtatctcgg tatgtaaact tctatcagca gggaagatag tgacggtacc
421 tgactaagaa gccccggcta actacgtgcc agcagccgcg gtaatacgta gggggcaagc
481 gttatccgga tttactgggt gtaaagggag cgtagacggt gtggcaagtc tgatgtgaaa
541 ggcatgggct caacctgtgg actgcattgg aaactgtcat acttgagtgc cggaggggta
601 agcggaattc ctagtgtagc ggtgaaatgc gtagatatta ggaggaacac cagtggcgaa
661 ggcggcttac tggacggtaa ctgacgttga ggctcgaaag cgtggggagc aaacaggatt
721 agataccctg gtagtccacg ccgtaaacga tgaataacta ggtgtcgggt ggcaaagcca
781 ttcggtgccg tcgcaaacgc agtaagtatt ccacctgggg agtacgttcg caagaatgaa
841 actcaaagga attgacgggg acccgcacaa gcggtggagc atgtggttta attcgaagca
901 acgcgaagaa ccttaccaag tcttgacatc cgcctgaccg atccttaacc ggatctttcc
961 ttcgggacag gcgagacagg tggtgcatgg ttgtcgtcag ctcgtgtcgt gagatgttgg
1021 gttaagtccc gcaacgagcg caacccctat cctcagtagc cagcatttaa ggtgggcact
1081 ctggggagac tgccagggat aacctggagg aaggcgggga tgacgtcaaa tcatcatgcc
1141 ccttatgatt tgggctacac acgtgctaca atggcgtaaa caaagggaag cgagattgtg
1201 agatggagca aatcccaaaa ataacgtccc agttcggact gtagtctgca acccgactac
1261 acgaagctgg aatcgctagt aatcgcggat cagaatgccg cggtgaatac gttcccgggt
1321 cttgtacaca ccgcccgtca caccatggga gtcagtaacg cccgaagtca gtgacctaac
1381 tgcaaagaag gagctgccga aggcgggacc gatgactggg gtgaagtcgt aacaaggt
【0165】
配列番号3(Blautia stercoris株830のコンセンサス16S rRNA配列)
TTTKGTCTGGCTCAGGATGAACGCTGGCGGCGTGCTTAACACATGCAAGTCGAGCGAAGCGCTTACGACAGAACCTTCGGGGGAAGATGTAAGGGACTGAGCGGCGGACGGGTGAGTAACGCGTGGGTAACCTGCCTCATACAGGGGGATAACAGTTGGAAACGGCTGCTAATACCGCATAAGCGCACAGTATCGCATGATACAGTGTGAAAAACTCCGGTGGTATGAGATGGACCCGCGTCTGATTAGCTAGTTGGAGGGGTAACGGCCCACCAAGGCGACGATCAGTAGCCGGCCTGAGAGGGTGAACGGCCACATTGGGACTGAGACACGGCCCAGACTCCTACGGGAGGCAGCAGTGGGGAATATTGCACAATGGGGGAAACCCTGATGCAGCGACGCCGCGTGAAGGAAGAAGTATCTCGGTATGTAAACTTCTATCAGCAGGGAAGAAAATGACGGTACCTGACTAAGAAGCCCCGGCTAACTACGTGCCAGCAGCCGCGGTAATACGTAGGGGGCAAGCGTTATCCGGATTTACTGGGTGTAAAGGGAGCGTAGACGGAAGAGCAAGTCTGATGTGAAAGGCTGGGGCTTAACCCCAGGACTGCATTGGAAACTGTTTTTCTTGAGTGCCGGAGAGGTAAGCGGAATTCCTAGTGTAGCGGTGAAATGCGTAGATATTAGGAGGAACACCAGTGGCGAAGGCGGCTTACTGGACGGTAACTGACGTTGAGGCTCGAAAGCGTGGGGAGCAAACAGGATTAGATACCCTGGTAGTCCACGCCGTAAACGATGAATACTAGGTGTTGGGGAGCAAAGCTCTTCGGTGCCGCAGCAAACGCAATAAGTATTCCACCTGGGGAGTACGTTCGCAAGAATGAAACTCAAAGGAATTGACGGGGACCCGCACAAGCGGTGGAGCATGTGGTTTATTCGAAGCAACGCGAAGAACCTTACCAAGTCTTGACATCGATCTGACCGGTTCGTAATGGAACCTTTCCTTCGGGACAGAGAAGACAGGTGGTGCATGGTTGTCGTCAGCTCGTGTCGTGAGATGTTGGGTTAAGTCCCGCAACGAGCGCAACCCCTATCGTCAGTAGCCAGCAGGTAAAGCTGGGCACTCTGAGGAGACTGCCAGGGATAACCTGGAGGAAGGCGGGGACGACGTCAAATCATCATGCCCCTTATGATTTGGGCTACACACGTGCTACAATGGCGTAAACAAAGGGAAGCGAGCCCGCGAGGGGGAGCAAATCCCAAAAATAACGTCCCAGTTCGGACTGCAGTCTGCAACTCGACTGCACGAAGCTGGAATCGCTAGTAATCGCGAATCAGAATGTCGCGGTGAATACGTTCCCGGGTCTTGTACACACCGCCCGTCACACCATGGGAGTCAGTAACGCCCGAAGTCAGTGACCCAACCTTAGGGAGGGAGCTGCCGAAGGCGGGATTGATAACTGGGGTGAAGTCTAGGGGGT
【0166】
配列番号4(Blautia wexlerae株 MRX008のコンセンサス16S rRNA配列)
TTCATTGAGACTTCGGTGGATTTAGATTCTATTTCTAGTGGCGGACGGGTGAGTAACGCGTGGGTAACCTGCCTTATACAGGGGGATAACAGTCAGAAATGGCTGCTAATACCGCATAAGCGCACAGAGCTGCATGGCTCAGTGTGAAAAACTCCGGTGGTATAAGATGGACCCGCGTTGGATTAGCTTGTTGGTGGGGTAACGGCCCACCAAGGCGACGATCCATAGCCGGCCTGAGAGGGTGAACGGCCACATTGGGACTGAGACACGGCCCAGACTCCTACGGGAGGCAGCAGTGGGGAATATTGCACAATGGGGGAAACCCTGATGCAGCGACGCCGCGTGAAGGAAGAAGTATCTCGGTATGTAAACTTCTATCAGCAGGGAAGATAGTGACGGTACCTGACTAAGAAGCCCCGGCTAACTACGTGCCAGCAGCCGCGGTAATACGTAGGGGGCAAGCGTTATCCGGATTTACTGGGTGTAAAGGGAGCGTAGACGGTGTGGCAAGTCTGATGTGAAAGGCATGGGCTCAACCTGTGGACTGCATTGGAAACTGTCATACTTGAGTGCCGGAGGGGTAAGCGGAATTCCTAGTGTAGCGGTGAAATGCGTAGATATTAGGAGGAACACCAGTGGCGAAGGCGGCTTACTGGACGGTAACTGACGTTGAGGCTCGAAAGCGTGGGGAGCAAACAGGATTAGATACCCTGGTAGTCCACGCCGTAAACGATGAATACTAGGTGTCNGGGGAGCATGGCTCTTCGGTGCCGTCGCAAACGCAGTAAGTATTCCACCTGGGGAGTACGTTCGCAAGAATGAAACTCAAAGGAATTGACGGGGACCCGCACAAGCGGTGGAGCATGTGGTTTAATTCGAAGCAACGCGAAGAACCTTACCAAGTCTTGACATCCGCCTGACCGATCCTTAACCGGATCTTTCCTTCGGGACAGGCGAGACAGGTGGTGCATGGTTGTCGTCAGCTCGTGTCGTGAGATGTTGGGTTAAGTCCCGCAACGAGCGCAACCCCTATCCTCAGTAGCCAGCATTTAAGGTGGGCACTCTGGGGAGACTGCCAGGGATAACCTGGAGGAAGGCGGGGATGACGTCAAATCATCATGCCCCTTATGATTTGGGCTACACACGTGCTACAATGGCGTAAACAAAGGGAAGCGAGATCGTGAGATGGAGCAAATCCCAAAAATAACGTCCCAGTTCGGACTGTAGTCTGCAACCCGACTACACGAAGCTGGAATCGCTAGTAATCGCGGATCAGAATGCCGCGGTGAATACGTTCCCGGGTCTTGTACACACCGCCCGTCACACCATGGGAGTCAGTAACGCCCGAAGTCAGTGACCTAACTGCAAAGAAGGAGCTGCCGAA
【0167】
配列番号5(Blautia hydrogenotrophica株S5a36 16SリボソームRNA遺伝子、部分配列-X95624.1)
1 gatgaacgct ggcggcgtgc ttaacacatg caagtcgaac gaagcgatag agaacggaga
61 tttcggttga agttttctat tgactgagtg gcggacgggt gagtaacgcg tgggtaacct
121 gccctataca gggggataac agttagaaat gactgctaat accgcataag cgcacagctt
181 cgcatgaagc ggtgtgaaaa actgaggtgg tataggatgg acccgcgttg gattagctag
241 ttggtgaggt aacggcccac caaggcgacg atccatagcc ggcctgagag ggtgaacggc
301 cacattggga ctgagacacg gcccaaactc ctacgggagg cagcagtggg gaatattgca
361 caatggggga aaccctgatg cagcgacgcc gcgtgaagga agaagtatct cggtatgtaa
421 acttctatca gcagggaaga aagtgacggt acctgactaa gaagccccgg ctaattacgt
481 gccagcagcc gcggtaatac gtaaggggca agcgttatcc ggatttactg ggtgtaaagg
541 gagcgtagac ggtttggcaa gtctgatgtg aaaggcatgg gctcaacctg tggactgcat
601 tggaaactgt cagacttgag tgccggagag gcaagcggaa ttcctagtgt agcggtgaaa
661 tgcgtagata ttaggaggaa caccagtggc gaaggcggcc tgctggacgg taactgacgt
721 tgaggctcga aagcgtgggg agcaaacagg attagatacc ctggtagtcc acgctgtaaa
781 cgatgaatac taggtgtcgg gtggcaaagc cattcggtgc cgcagcaaac gcaataagta
841 ttcccacctg gggagtacgt tcgcaagaat gaaactcaaa ggaattgacg gggacccgca
901 caagcggtgg agcatgtggt ttaattcgaa gcaacgcgaa gaaccttacc aaatcttgac
961 atccctctga ccgggaagta atgttccctt ttcttcggaa cagaggagac aggtggtgca
1021 tggttgtcgt cagctcgtgt cgtgagatgt tgggttaagt cccgcaacga gcgcaaccct
1081 tattcttagt agccagcagg tagagctggg cactctaggg agactgccag ggataacctg
1141 gaggaaggtg gggatgacgt caaatcatca tgccccttat gatttgggct acacacgtgc
1201 tacaatggcg taaacaaagg gaagcgaagg ggtgacctgg agcaaatctc aaaaataacg
1261 tctcagttcg gattgtagtc tgcaactcga ctacatgaag ctggaatcgc tagtaatcgc
1321 gaatcagaat gtcgcggtga atacgttccc gggtcttgta cacaccgccc gtcacaccat
1381 gggagtcagt aacgcccgaa gtcagtgacc caaccnaaag gagggagctg ccgaaggtgg
1441 gactgataac tggggtga
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