(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-06
(45)【発行日】2023-02-14
(54)【発明の名称】景品取得ゲーム装置
(51)【国際特許分類】
A63F 9/30 20060101AFI20230207BHJP
【FI】
A63F9/30 502C
(21)【出願番号】P 2022193311
(22)【出願日】2022-12-02
【審査請求日】2022-12-05
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】597009703
【氏名又は名称】北日本通信工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155181
【氏名又は名称】中 大介
(72)【発明者】
【氏名】熊田 勝一
【審査官】宮本 昭彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-289627(JP,A)
【文献】特開2003-135842(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 9/00 - 9/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
景品が載置されるプレイフィールドと、景品を把持するためのアームを有し、前記プレイフィールド内を移動可能な景品取得装置と、前記景品取得装置を移動させるとともに、前記アームの把持動作を制御する制御手段とを備えた景品取得ゲーム装置であって、
前記景品取得装置は、電磁コイルと該電磁コイルに対して挿脱可能なプランジャとを有し、該電磁コイルに電圧を印加することにより、該印加した電圧の大きさに応じた吸引力で該プランジャが該電磁コイルに吸引される駆動手段と、前記駆動手段を支持する本体部と、前記アームの基端部に設けられた被作動部と、前記プランジャの先端部に設けられ、前記被作動部を下方から押圧するための第一の作動部と、前記第一の作動部よりも所定間隔空けて上方に設けられ、前記被作動部を上方から押圧するための第二の作動部とを備え、
前記アームは、前記本体部に対して軸支されて開位置と閉位置との間で揺動可能であるとともに、前記被作動部が前記第一の作動部と前記第二の作動部との間に入り込むように配置されて自重により前記閉位置となる方向に揺動可能とされており、
前記第一の作動部により前記被作動部が下方より押圧されると、前記アームに把持力が付与されるとともに、前記第二の作動部により該被作動部が上方より押圧されると、該アームの自重に抗して該アームが前記開位置となる方向に揺動され、
前記電磁コイルは、第一の電磁コイルと第二の電磁コイルとを含んで構成されており、
前記制御手段は、前記第一の電磁コイルと前記第二の電磁コイルのうちの該第一の電磁コイルにのみ予め設定された電圧を印加することにより、前記アームが揺動自在となる所定位置まで前記プランジャを引き上げる制御を実行可能であるとともに、該第一の電磁コイルと該第二の電磁コイルのうちの少なくとも該第二の電磁コイルに電圧を印加することにより、該アームに把持力を発生させる制御を実行可能であることを特徴とする景品取得ゲーム装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、景品取得ゲーム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
クレーンゲーム機に代表される景品取得ゲーム装置は、筐体内部に形成されたプレイフィールド内に多数の景品が載置されて使用されるものである。遊戯者は、レバーやボタン等の操作手段を用いて把持アームを有する景品取得装置をプレイフィールド内で移動させることができる。そして、遊戯者は、所望とする景品が載置されている位置まで景品取得装置を移動させた後、把持アームでこの景品を把持させ、その状態で、景品排出口まで揚送することにより、景品を獲得することができる。
【0003】
このような景品取得ゲーム装置で使用される景品取得装置において、電磁コイルに対して電圧を印加して励磁することでプランジャが上方に吸引され、その結果、プランジャの下端に設けられた支持体に対して回動可能に支持された把持アームを開状態から閉状態に変化させることで景品を把持するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、景品の種類には様々な形態が存在しており、その重量も様々である。また、近年の景品取得ゲーム装置では、景品の払出率に応じて、ゲーム毎に景品の取得難易度が設定され、その手段として、ゲーム毎に難易度に応じた把持力となるように予め遊戯場のオペレータによって把持アームの把持力が設定される。この場合において、把持アームに把持された景品があたかも把持アームから自然に落下したように遊戯者に見せるようにして遊戯の興趣を向上させるために、電磁コイルを用いた景品取得装置にあっては、印加電圧の細やかな設定が必要となっており、オペレータの負担がますます大きくなっている。さらに、特許文献1に記載の景品取得装置によれば、プランジャ、支持体及び把持アームの重量を含めて印加電圧の調整が行われる必要があるため、例えば、載置された景品の重量が、プランジャ、支持体及び把持アーム全体の重量よりも軽い場合には、当該景品を把持アームから落下させるためにはプランジャを降下させる必要があり、その結果、プランジャの降下に連動して把持アームが開状態となってしまうので、遊戯者にとっては、景品を不自然に落下させているように看取され、遊戯の興趣が低下してしまうという問題がある。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、電磁コイルにより把持アームを駆動可能な景品取得装置を用いる場合において、軽量の景品にも対応可能な景品取得ゲーム装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を解決するため、請求項1に記載の発明は、景品が載置されるプレイフィールドと、景品を把持するためのアームを有し、前記プレイフィールド内を移動可能な景品取得装置と、前記景品取得装置を移動させるとともに、前記アームの把持動作を制御する制御手段とを備えた景品取得ゲーム装置であって、
前記景品取得装置は、電磁コイルと該電磁コイルに対して挿脱可能なプランジャとを有し、該電磁コイルに電圧を印加することにより、該印加した電圧の大きさに応じた吸引力で該プランジャが該電磁コイルに吸引される駆動手段と、前記駆動手段を支持する本体部と、前記アームの基端部に設けられた被作動部と、前記プランジャの先端部に設けられ、前記被作動部を下方から押圧するための第一の作動部と、前記第一の作動部よりも所定間隔空けて上方に設けられ、前記被作動部を上方から押圧するための第二の作動部とを備え、
前記アームは、前記本体部に対して軸支されて開位置と閉位置との間で揺動可能であるとともに、前記被作動部が前記第一の作動部と前記第二の作動部との間に入り込むように配置されて自重により前記閉位置となる方向に揺動可能とされており、
前記第一の作動部により前記被作動部が下方より押圧されると、前記アームに把持力が付与されるとともに、前記第二の作動部により該被作動部が上方より押圧されると、該アームの自重に抗して該アームが前記開位置となる方向に揺動され、
前記電磁コイルは、第一の電磁コイルと第二の電磁コイルとを含んで構成されており、
前記制御手段は、前記第一の電磁コイルと前記第二の電磁コイルのうちの該第一の電磁コイルにのみ予め設定された電圧を印加することにより、前記アームが揺動自在となる所定位置まで前記プランジャを引き上げる制御を実行可能であるとともに、該第一の電磁コイルと該第二の電磁コイルのうちの少なくとも該第二の電磁コイルに電圧を印加することにより、該アームに把持力を発生させる制御を実行可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電磁コイルにより把持アームを駆動可能な景品取得装置を用いる場合において、軽量の景品にも対応可能な景品取得ゲーム装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態におけるクレーンゲーム機の外観を示す斜視図である。
【
図6】クレーンゲーム機の機能的構成を示すブロック図である。
【
図7】把持装置の把持動作について説明する図であって、(A)は、第1アーム駆動部及び第2アーム駆動部のいずれにも電圧が印加されていない状態を示す図であり、(B)は、第1アーム駆動部にのみ電圧が印加されている状態を示す図であり、(C)は、第1アーム駆動部及び第2アーム駆動部のいずれにも電圧が印加されている状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態に係る景品取得ゲーム装置(例えば、クレーンゲーム機)について、図面を参照しながら説明する。ただし、発明の範囲は図示例に限定されない。なお、以下の説明において、同一の機能及び構成を有するものについては、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0011】
まず、
図1を用いて、本発明に適用することができる景品取得ゲーム装置の一例としてのクレーンゲーム機100の全体構成について説明する。本実施形態の説明において、左右、前後、上下とは、クレーンゲーム機100の遊戯者が正面側から見た状態を基準とした左右、前後、上下を意味する。
【0012】
クレーンゲーム機100は、例えば、縦長の直方体形状によって形成されており、底面にキャスタCが適宜数取り付けられている。したがって、ゲームセンター等の遊戯場のスタッフがクレーンゲーム機100を押動することにより容易に搬送することができるようになっている。
【0013】
クレーンゲーム機100は、箱状の基台1と、基台1の上方に形成されたプレイフィールド2と、プレイフィールド2の上方を覆う天井部3とを備えて構成されている。
【0014】
基台1には、例えば、クレーンゲーム機100の全体制御を行う制御部を有する制御基板等が収容されており、基台1の前面の右側に設けられた開閉扉1aを開放することにより、内部にアクセスすることができるようになっている。また、基台1の前面中央下部には、後述するコインセレクタ84a,84bによって受け付けられた硬貨やコインを回収するための集金扉1bが開閉可能に設けられている。
【0015】
プレイフィールド2は、多数の景品Pが載置される底部2aを有するとともに、前面板2b、左側面板2c、右側面板2d、背面板2e及び上述した天井部3により閉塞された内部空間が形成されている。そして、前面板2b、左側面板2c及び右側面板2dは、透明のガラスあるいは樹脂により形成された板状部材により構成されており、内部空間が視認できるようになっている。なお、前面板2bは、例えば、スライドドアによって構成されており、スライドドアを開放することで、プレイフィールド2内にアクセスできるようになっている。
【0016】
プレイフィールド2の底部2aの左前隅部には、方形状に開口された景品排出口4が設けられており、景品Pを下方に排出することができるようになっている。景品排出口4から排出された景品Pは、景品取出室6まで落下し、基台1の前面の左側に設けられた扉体7を開放することにより、景品取出室6にある景品Pを取り出すことができるようになっている。ここで、扉体7は、透明のガラスあるいは樹脂により形成された板状部材により構成されており、扉体7を介して内部を視認することができるようになっている。また、底部2aには、景品排出口4の右側端部及び後側端部を囲うように仕切板5が立設されており、底部2aに載置され、あるいは、積み上げられた景品Pが景品排出口4から落下するのを抑制している。
【0017】
プレイフィールド2の上方には、景品取得装置として機能する把持装置200が設けられ、吊下げワイヤ200aによって吊り下げられている。天井部3には、図示しないが、2本の縦行用レールがそれぞれ左右両端近傍に前後方向に延びて平行に設けられるとともに、1本の横行用レールが2本の縦行用レールに架設されている。横行用レールは、縦行用モータ301(
図6参照)により縦行用レールの延在方向に沿って移動可能に構成されている。この横行用レールには、吊下げワイヤ200aを巻き取り及び繰り出し可能なワイヤ巻取装置303(
図6参照)が横行用モータ302(
図6参照)により横行用レールの延在方向に沿って左右方向に移動可能に設けられている。また、ワイヤ巻取装置303は、吊下げワイヤ200aの巻き取り及び繰り出しを行うことにより、吊下げワイヤ200aの先端部に取り付けられた把持装置200を上下方向に変位させることができる。なお、吊下げワイヤ200aに換えて伸縮パイプからなる吊下支持部を横行用レールから垂下するようにして設け、この吊下支持部の先端に把持装置200を取り付け、吊下支持部を伸縮させることにより把持装置200を上下方向に変位させる構成としてもよい。
【0018】
把持装置200は、詳しくは後述するが、吊下げワイヤ200aが取り付けられる円筒形の本体ケース201と、本体ケース201の下端部側面から突出するように3本のアーム203a,203b,203c(以下、これらを総称して「アーム203」という場合がある。)とを備えて構成されている。本実施形態では、アーム203a~203cがそれぞれ開位置と閉位置との間で揺動可能に支持されており、後述するように駆動装置208(
図2参照)を駆動制御することにより、アーム203を開状態と閉状態とに変化させることができ、プレイフィールド2に載置された景品Pを把持することができる。
【0019】
一方、基台1の前面中央には、操作部8が設けられており、箱型形状をなしている。操作部8は、その上面に、操作レバー81、操作ボタン82及び表示部83が配置されている。操作レバー81及び操作ボタン82は、遊戯者により操作が可能となっており、表示部83には、例えば、遊戯可能残り回数や遊戯残り時間等が表示される。遊戯者は、操作レバー81を操作することにより把持装置200をプレイフィールド2内の任意の位置に移動させ、操作ボタン82を操作することにより、把持装置200を下降させるとともに、把持動作を行わせることができる。把持装置200は、把持動作が終了すると上昇し、アーム203を閉状態に維持させながら景品排出口4の上方に移動し、アーム203を開状態に変化させる。このとき、景品Pが把持装置200により把持されていた場合には、景品排出口4に向けて景品Pが落下して景品取出室6に案内され、その結果、遊戯者は、景品取出室6から景品Pを取り出すことができる。このとき、景品排出口4から落下した景品Pは、景品払出センサ41(
図6参照)により検出され、検出信号が制御部300(
図6参照)に入力される。なお、本実施形態では、操作レバー81及び操作ボタン82を操作することにより、把持装置200に動作を行わせるように構成されているが、操作ボタンのみで把持装置200に動作を行わせるように構成されたものであってもよい。例えば、横移動ボタンと縦移動ボタンとを備え、まず、横移動ボタンを操作して把持装置200を左右方向に移動させた後、縦移動ボタンを操作して把持装置200を前後方向に移動させ、その場所で把持装置200による把持動作が行われるように構成されてもよい。また、操作レバーのみ設け、操作ボタンを備えない構成であってもよい。また、表示部83を備えない構成であってもよい。
【0020】
また、操作部8の前面には、2つのコインセレクタ84a,84bが並設されており、それぞれ受付可能な硬貨やメダルの種類が異なっている。本実施形態では、例えば、コインセレクタ84aは、100円硬貨のみ受付可能に構成されており、コインセレクタ84bは、500円硬貨のみ受付可能に構成されているが、これに限定されない。コインセレクタ84a,84bにより受け付けられた硬貨やメダルは、例えば、基台1の下部の回収箱に集められ、遊戯場の管理者が開錠操作して集金扉1bを開放させることにより、回収することができるようになっている。また、操作部8の前面は開閉可能に構成されており、例えば、遊戯場の管理者が開錠操作して操作部8の前面を開放させることにより、操作部8のメンテナンス等を行うことができるようになっている。また、コインセレクタ84a,84bに換えて、あるいは、コインセレクタ84a,84bに加えて、ICカードあるいは二次元コードから決済情報を読取可能なリーダライタ装置を設け、当該リーダライタ装置により読み取った決済情報に基づいて、クレジットの受付を可能に構成されてもよい。
【0021】
次に、把持装置200の構成について、
図2~
図5を参照しながら説明する。なお、
図2~
図5では、説明を容易にするため、本体ケース201の図示を省略している。
【0022】
図2~
図5に示すように、把持装置200は、薄厚円盤状の上部ベース202aと、上部ベース202aから下方に所定距離空けて配置された薄厚円盤状の下部ベース202bと、上部ベース202aと下部ベース202bとを接続する円柱状の3本の支柱207と、下部ベース202bの上面側に取り付けられ、上部ベース202aと下部ベース202bとの間に配される駆動装置208と、下部ベース202bの下面外周に沿って略等間隔に配設されて3つのアーム203a~203cのそれぞれに対応し、クランク状に折曲形成されて下部ベース202bより垂下するように取り付けられたブラケット206a,206b,206cと、アーム203a~203cのそれぞれに対応して設けられ、アーム203a~203cの基端部が装着されるアーム支持部204a,204b,204cとを備えて構成されている。
【0023】
駆動装置208は、下部ベース202bの上面に取り付けられる薄板円盤状の下部フランジ208cと、上端面に配置された薄板円盤状の上部フランジ208dと、中央やや下方に配置された薄板円盤状の中部フランジ208eとを有している。また、
図5に示すように、駆動装置208の中央には挿通孔208fが上下方向に延在するように形成されているとともに、挿通孔208fに整合するように、下部ベース202bの中央に貫通孔が開設され、プランジャ209が挿通孔208fに対して挿脱可能とされている。このように、本実施形態では、上部ベース202a、下部ベース202b、支柱207及びブラケット206a~206cが本体部として機能している。
【0024】
また、駆動装置208には、電磁コイルが挿通孔208f周りに巻回されてなる第1アーム駆動部208aと、第1アーム駆動部208aの上方において挿通孔208f周りに巻回されてなる第2アーム駆動部208bとが設けられており、これらは、中部フランジ208eにより仕切られている。第1アーム駆動部208aと第2アーム駆動部208bとはそれぞれ別個独立して電圧を印加することができるように構成されている。挿通孔208fに挿入されたプランジャ209は、第1アーム駆動部208aあるいは第2アーム駆動部208bに電圧が印加されると、挿通孔208f内が励磁されてプランジャ209が引き上げられ、第1アーム駆動部208a及び第2アーム駆動部208bのいずれにも電圧が印加されていない状態である場合には、挿通孔208f内が消磁されてプランジャ209が自重で下方に移動する。なお、本実施形態では、第1アーム駆動部208aと第2アーム駆動部208bとをそれぞれ1つずつ設けた構成としているが、いずれか一方又は両方について複数設けるようにしてもよく、さらに、それぞれ別個独立して電圧を印加することができるようにしてもよい。例えば、第1アーム駆動部208aを1つだけ設け、第2アーム駆動部208bを2つ以上設けるようにして、複数の第2アーム駆動部208bをそれぞれ別個独立して電圧を印加可能に構成されてもよい。
【0025】
アーム支持部204a~204cは、それぞれアーム203a~203cの基端部を装着することによりアーム203a~203cを取り付け、ブラケット206a~206cに対し、揺動軸205a,205b,205cを介して揺動可能に取り付けられている。このとき、アーム支持部204a~204cの後端がプランジャ209の軸心に向けて取り付けられる。また、アーム支持部204a~204cの後方下端部がL字状に折り曲げられており、それぞれ作動片213a,213b,213cとして機能している。本実施形態では、アーム203a~203cの揺動軸205a~205cがアーム203a~203cの基端側に設けられているということができる。なお、アーム支持部204a~204cがそれぞれアーム203a~203cと一体に形成される構成であってもよい。また、本体部として機能する下部ベース202bに対して揺動可能にアーム203が軸支される構成であれば、ブラケット206a~206cは必ずしも設けられなくてもよい。
【0026】
また、本実施形態では、プランジャ209の下端部に棒状のスペーサ210がプランジャ209の軸方向に延在するようにして一体的に取り付けられており、プランジャ209とスペーサ210との間に薄板円盤状の第2作動プレート212が取り付けられている。また、スペーサ210の下端部には円盤状に形成された第1作動プレート211が取り付けられている。すなわち、本実施形態では、プランジャ209とスペーサ210とが1つのプランジャ(「可動鉄心」という場合がある。)として機能しているということができる。そのため、第1作動プレート211及び第2作動プレート212は、プランジャ209に対して設けられているとともに、第2作動プレート212は、プランジャの下端部に設けられた第1作動プレート211よりも所定間隔空けて上方に配置されているということができる。このように、第1作動プレート211及び第2作動プレート212が構成されているため、これらは、プランジャ209とともに上下方向に変位可能とされている。また、第1作動プレート211及び第2作動プレート212との間には空隙SPが形成されている。
【0027】
アーム支持部204a~204cは、上述したように、ブラケット206a~206cに取り付けられており、その結果、アーム支持部204a~204cの後端部がプランジャ209の軸心に向くように配置される。すなわち、アーム203a~203cは、プランジャ209を軸心として放射状に向けて等間隔に配置される。また、このとき、アーム支持部204a~204cの後端に設けられた作動片213a~213cがそれぞれプランジャ209の軸心に向くとともに、第1作動プレート211と第2作動プレート212との間に形成される空隙SPに入り込み、プランジャ209の上下動に伴って上下動する第1作動プレート211及び第2作動プレート212により作動片213a~213cが押圧されることでアーム203a~203cを揺動させ、アーム203が開閉可能に動作するようにされている。
【0028】
本実施形態では、上述したように構成されているため、アーム203a~203cは、揺動軸205a~205cを支軸として揺動可能とされており、また、アーム203a~203cは、駆動装置208の駆動力が直接伝達されず、プランジャ209の上下動に伴って変位する第1作動プレート211あるいは第2作動プレート212が作動片213a~213cを押圧することでアーム203a~203cを開閉させることができるようになっている。ここで、揺動軸205a~205cは、アーム203a~203cの基端側で揺動可能に支持されており、作動片213a~213cが空隙SP内にあり、第1作動プレート211あるいは第2作動プレート212により押圧されていない状態では、アーム203a~203cは、その自重により、それぞれ閉位置となる方向に揺動する。この場合、作動片213a~213cに対して押圧力が付与されていないため、把持力のない状態とされる。
【0029】
一方、第1アーム駆動部208a及び第2アーム駆動部208bに対して電圧が印加されていない状態では、プランジャ209の自重により下方に移動し、プランジャ209に取り付けられた第2作動プレート212の下面で作動片213a~213cを下方に押圧するため、アーム203a~203cは、それぞれ揺動軸205a~205cを支軸として開位置まで揺動する。
【0030】
また、本実施形態では、第1アーム駆動部208aに対して、設定により予め定められた電圧が印加されるように構成されており、第1アーム駆動部208aに所定電圧が印加されると、プランジャ209が所定高さまで引き上げられるようになっている。このとき、第1作動プレート211及び第2作動プレート212のいずれも作動片213a~213cを押圧しない位置とされる。そのため、アーム203a~203cは、自重により閉位置となるが、プランジャ209、スペーサ210、第1作動プレート211及び第2作動プレート212の重みがアーム203a~203cにかからず、アーム203の自重のみで閉状態とされた状態(すなわち、把持力がない状態)とされる。そのため、例えば、アーム203により景品が把持された場合には、当該景品をアーム203の自重のみにより支持されるため、当該景品の重みによりアーム203a~203cが押し広げられて当該景品が落下し、その後、アーム203a~203cの自重により再び閉状態となる。その結果、あたかも景品がアーム203より自然にこぼれ落ちたように遊戯者に見せるようにすることができるので、あからさまに景品を落下させたように認識させず、遊戯意欲を維持することが可能になる。
【0031】
また、少なくとも第2アーム駆動部208bに電圧が印加されると、印加された電圧の大きさに応じた吸引力でプランジャ209が引き上げられる。このとき、第1作動プレート211により作動片213a~213cが押し上げられるので、アーム203に把持力が生じ、把持した景品を揚送することが可能となる。アーム203に発生させる把持力は、第2アーム駆動部208bに印加する電圧により変化させることができる。また、第2アーム駆動部208bに加えて第1アーム駆動部208aにも電圧を印加することで把持力をさらに増加させるようにすることもできる。把持力は、例えば、景品払出率に応じて第2アーム駆動部208bに印加する電圧を変化させることで変化させるようにしてもよいし、あるいは、第2アーム駆動部208bに印加する電圧を一定にして把持力を一定にするようにしてもよい。
【0032】
続いて、本実施形態に係るクレーンゲーム機100の機能的構成について、
図6を参照しながら説明する。ここで、
図6は、クレーンゲーム機100の機能的構成を示すブロック図である。
【0033】
図6に示すように、例えば、クレーンゲーム機100の統括制御を行う制御部300を備えており、制御部300には、操作部8と、表示部83と、コインセレクタ84と、第1アーム駆動部208aと、第2アーム駆動部208bと、景品払出センサ41と、縦行用モータ301と、横行用モータ302と、ワイヤ巻取装置303と、サービスパネル部400とが電気的に接続されて構成されている。
【0034】
制御部300は、例えば、CPU(Central Processing Unit)300aと、ROM(Read Only Memory)300bと、RAM(Random Access Memory)300cとを備えて構成され、ROM300bに記憶されているシステムプログラム等の各種処理プログラムを読み出してRAM300cに展開し、展開したプログラムに従って各部の動作を集中制御する。
【0035】
ROM300bは、半導体等の不揮発メモリ等により構成され、上述した各種プログラムの他、各種データ等を記憶する。RAM300cは、CPU300aにより実行される各種プログラム及びこれらプログラムに係るデータを一時的に記憶するワークエリアを形成する。
【0036】
以上のようにして構成されたクレーンゲーム機100における把持装置200の動作について、
図7を参照しながら説明する。なお、
図7では、説明を容易にするため、本体ケース201の図示を省略している。
【0037】
図7(A)は、第1アーム駆動部208a及び第2アーム駆動部208bのいずれにも電圧が印加されていない状態の把持装置200の様子を示している。第1アーム駆動部208a及び第2アーム駆動部208bのいずれも電圧が印加されていない状態では、ソレノイド209が自重で下降し、空隙SPに配置されている作動片213a~213cが第2作動プレート212の下面側により下方に押圧され、揺動軸205a~205cを支軸としてアーム203a~203cが開位置まで揺動する。これにより、アーム203が開状態とされている。
【0038】
その後、
図7(B)に示すように、第1アーム駆動部208aに対して電圧が印加されると、駆動装置208が励磁してソレノイド209が磁力により引き上げられる。このとき、ソレノイド209は、作動片213a~213cが第1作動プレート211と第2作動プレート212のいずれにも押圧されない所定高さまで引き上げられる。そのため、アーム203a~203cは、揺動軸205a~205cを支軸としてアーム203a~203cが自重により閉位置まで揺動する。これにより、アーム203が閉状態とされている。ただし、このとき、作動片213a~213cが第1作動プレート211により押圧されていない状態であるので、把持力はアーム203a~203cの自重により生じる力のみ生じ、軽量の景品についても落下させることができるようになっている。
【0039】
その後、
図7(C)に示すように、第1アーム駆動部208aに加えて第2アーム駆動部208bに対しても電圧が印加されると、駆動装置208の励磁力が増加され、ソレノイド209が
図7(B)に示す位置よりもさらに高い位置まで引き上げられる。すると、第1作動プレート211の上面側により作動片213a~213cが上方に押圧され、アーム203の把持力が増加する。これにより、重量の大きな景品についても把持することができ、景品を獲得することができるようになる。
【0040】
以上説明したように、本実施形態によれば、クレーンゲーム機100は、景品Pが載置されるプレイフィールド2と、景品Pを把持するためのアーム203を有し、プレイフィールド2内を移動可能な把持装置200と、把持装置200を移動させるとともに、アーム203の把持動作を制御する制御部300とを備えている。把持装置200は、電磁コイルと該電磁コイルに対して挿脱可能なプランジャ209,スペーサ210とを有し、電磁コイルに電圧を印加することにより、印加した電圧の大きさに応じた吸引力でプランジャ209が電磁コイルに吸引される駆動装置208と、駆動装置208を支持する上部ベース202a、下部ベース202b及び支柱207と、アーム203の基端部に設けられたアーム支持部204a~204cの作動片213a~213cと、スペーサ210の先端部に設けられ、作動片213a~213cを下方から押圧するための第1作動プレート211と、第1作動プレート211よりも所定間隔空けて上方に設けられ、作動片213a~213cを上方から押圧するための第2作動プレート212とを備えている。アーム203(アーム支持部205a~205c)は、下部ベース202b(ブラケット206a~206c)に対して軸支されて開位置と閉位置との間で揺動可能であるとともに、作動片213a~213cが第1作動プレート211と第2作動プレート212との間に入り込むように配置されて自重により閉位置となる方向に揺動可能とされている。第1作動プレート211により作動片213a~213cが下方より押圧されると、アーム203に把持力が付与されるとともに、第2作動プレート212により作動片213a~213cが上方より押圧されると、アーム203の自重に抗してアーム203が開位置となる方に揺動される。電磁コイルは、第1アーム駆動部208aと第2アーム駆動部208bとを含んで構成されている。制御部300は、第1アーム駆動部208aと第2アーム駆動部208bのうち第1アーム駆動部208aにのみ予め設定された電圧を印加することにより、アーム203が揺動自在となる所定位置までプランジャ209を引き上げる制御を実行可能であるとともに、第1アーム駆動部208aと第2アーム駆動部208bのうちの少なくとも第2アーム駆動部208bに電圧を印加することにより、アーム203に把持力を発生させる制御を実行可能である。その結果、電磁コイルにより把持アームを駆動可能な景品取得装置を用いる場合において、軽量の景品にも対応可能とすることができるようになる。
【0041】
なお、本発明の実施の形態に記載された作用および効果は、本発明から生じる最も好適な作用および効果を列挙したに過ぎず、本発明による作用および効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0042】
100 クレーンゲーム機(景品取得ゲーム装置)
2 プレイフィールド
200 把持装置(景品取得装置)
202a 上部ベース(本体部)
202b 下部ベース(本体部)
203 アーム
206 ブラケット(本体部)
207 支柱(本体部)
208 駆動装置(駆動手段)
208a 第1アーム駆動部(第一の電磁コイル)
208b 第2アーム駆動部(第二の電磁コイル)
209 プランジャ
210 スペーサ(プランジャ)
211 第1作動プレート(第一の作動部)
212 第2作動プレート(第二の作動部)
213 作動片(被作動部)
216 支持部材(アーム支持部)
300 制御部
P 景品
【要約】
【課題】電磁コイルにより把持アームを駆動可能な景品取得装置を用いる場合において、軽量の景品にも対応可能な景品取得ゲーム装置を提供する。
【解決手段】アーム203aは、本体部に対して軸支されて開位置と閉位置との間で揺動可能であるとともに、作動片213aが第1作動プレート211と第2作動プレート212との間に入り込むように配置されて自重により閉位置となる方向に揺動可能とされている。制御部は、第1アーム駆動部208aにのみ予め設定された電圧を印加することにより、アーム203aが揺動自在となる所定位置までプランジャ209を引き上げる制御を実行可能であるとともに、第1アーム駆動部208a及び第2アーム駆動部208bに電圧を印加することにより、アーム203aに把持力を発生させる制御を実行可能である。
【選択図】
図7