(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-06
(45)【発行日】2023-02-14
(54)【発明の名称】発光素子
(51)【国際特許分類】
H01L 33/46 20100101AFI20230207BHJP
H01L 33/42 20100101ALI20230207BHJP
【FI】
H01L33/46
H01L33/42
(21)【出願番号】P 2018011405
(22)【出願日】2018-01-26
【審査請求日】2021-01-22
(32)【優先日】2017-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598061302
【氏名又は名称】晶元光電股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Epistar Corporation
【住所又は居所原語表記】21,Li-hsin Rd.,Science-based Industrial Park,Hsinchu 300,TAIWAN
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】チャオ-シン チェン
(72)【発明者】
【氏名】ジア-クエン ワン
(72)【発明者】
【氏名】ウェン-ホン チョアン
(72)【発明者】
【氏名】チョン-リヌ ルゥ
(72)【発明者】
【氏名】ジュ-ヤオ ツェン
【審査官】大西 孝宣
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-032009(JP,A)
【文献】特開2006-245232(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0372630(US,A1)
【文献】特開2016-208012(JP,A)
【文献】国際公開第2016/148424(WO,A1)
【文献】特開2013-211598(JP,A)
【文献】特開2016-163045(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00 - 33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子であって、
半導体構造、第一絶縁構造、透明導電層と反射構造とを含み、
前記半導体構造は、第一半導体層、前記第一半導体層上に位置する第二半導体層、及び前記第一半導体層と前記第二半導体層との間に位置する活性層を含み、前記第一半導体層が第一表面を含み、前記第二半導体層が表面
を含み、前記半導体構造が
第一外側壁
及び第二外側壁を含み、前記
第一外側壁
及び前記第二外側壁がそれぞれ前記第一半導体層の前記第一表面
の一端と他端に接続され、
前記半導体構造はさらに、前記第二外側壁と前記第二半導体層の前記表面の境界である第一縁を含み、上面視において、前記第一縁は前記第二半導体層の前記表面の輪郭であり、かつ、前記表面は第一面積を有し、
前記第一絶縁構造は、前記第二半導体層の前記表面の一部、前記半導体構造の前記第一外側壁、
前記第二外側壁、前記第一半導体層の前記第一表面の一部を被覆し、
前記透明導電層は、前記第二半導体層の前記表面上に位置し、
前記反射構造は、前記第二半導体層及び前記第一絶縁構造上に位置し、かつ、前記透明導電層を被覆し、
前記反射構造は反射層、及び前記第一絶縁構造と前記反射層との間に位置する接続層を含み、前記反射層が外側
辺を有し、
上面視において、前記第二半導体層の前記第一縁が前記反射層の前記外側辺を囲み、かつ、前記反射層の前記外側辺によって第二面積が画定され、
前記第一縁と前記外側辺との間に距離があり、前記距離は0μmから10μmの間にあり、且つ/または前記反射層の前記第二面積が前記第二半導体層の前記第一面積の80%以上、96%以下である、発光素子。
【請求項2】
前記第一絶縁構造はブラッグ反射鏡(DBR)構造を含む、請求項1に記載の発光素子。
【請求項3】
前記透明導電層は第一外側辺を含み、
前記第一外側辺が
前記反射層の前記外側辺よりも
前記半導体構造の前記第一縁に近く、かつ前記第一縁を超えるまで延伸しない、請求項1に記載の発光素子。
【請求項4】
前記透明導電層は第一外側辺を含み、かつ、前記反射
層の前記外側辺は前記透明導電層の前記第一外側辺と位置を合わ
せ、前記反射層が前記第一絶縁構造の一部を被覆する、請求項
1に記載の発光素子。
【請求項5】
前記距離は2μmから8μmの間にある、請求項1に記載の発光素子。
【請求項6】
前記発光素子は第二絶縁構造をさらに含み、前記第二絶縁構造が前記反射構造及び
前記反射層の外側壁を被覆する、請求項1に記載の発光素子。
【請求項7】
前記反射層は銀(Ag)を含む、請求項1に記載の発光素子。
【請求項8】
前記接続層は酸化インジウム錫(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)を含む、請求項1に記載の発光素子。
【請求項9】
前記発光素子は前記反射構造上に位置する第一接触部及び第二接触部をさらに含み、
前記第一接触部が前記第一半導体層に電気的に接続され、前記第二接触部が前記第二半導体層に電気的に接続される、請求項1に記載の発光素子。
【請求項10】
前記第一接触部及び前記第二接触部上に位置する第三絶縁構造をさらに含み、前記第三絶縁構造はブラッグ反射鏡(DBR)構造を含む、請求項9に記載の発光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は発光素子の構造に関し、特に半導体構造及び前記半導体構造に位置する反射層を含む発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(Light‐Emitting Diode、LED)は固体半導体発光素子であり、そのメリットは消費電力が低い、発生する熱エネルギが低い、作業寿命が長い、防震、体積が小さい、反応速度が速い、及び優れた光電特性、例えば安定した発光波長を有することにある。そのため、発光ダイオードは家電製品、設備の指示灯及び光電製品などに広く応用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
半導体構造及び前記半導体構造に位置する反射層を含む発光素子を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
発光素子は半導体構造と反射層を含み、半導体構造は第一半導体層、第一半導体層上に位置する第二半導体層、及び第一半導体層と第二半導体層との間に位置する活性層を含み、第一半導体層が第一表面を含み、第二半導体層が第一縁及び第一面積を有し、かつ、半導体構造は第一表面に接続される外側壁を含む。反射構造は第二半導体層上に位置し、かつ反射層を含み、反射層が外側辺及び第二面積を有する。第一縁と外側辺との間に距離があり、上記距離は0μmから10μmの間にあり、且つ/または反射層の第二面積が第二半導体層の第一面積の80%以上、96%以下である。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】本願の一実施例が開示した発光素子1cの上面図である。
【
図2】
図1の線D-D’に沿った発光素子1cの断面概略図である。
【
図3A】本願の異なる実施例が開示した発光素子の透明導電層及び反射層の部分断面概略図である。
【
図3B】本願の異なる実施例が開示した発光素子の透明導電層及び反射層の部分断面概略図である。
【
図3C】本願の異なる実施例が開示した発光素子の透明導電層及び反射層の部分断面概略図である。
【
図3D】本願の一実施例が開示した発光素子の部分断面概略図である。
【
図5】本願の一実施例が開示した発光素子2cの上面図である。
【
図6A】本願の実施例が開示した発光素子1c、2cの製造工程図である。
【
図6B】本願の実施例が開示した発光素子1c、2cの製造工程図である。
【
図6B-1】本願の実施例が開示した発光素子1c、2cの製造工程図である。
【
図6C】本願の実施例が開示した発光素子1c、2cの製造工程図である。
【
図6C-1】本願の実施例が開示した発光素子1c、2cの製造工程図である。
【
図6D】本願の実施例が開示した発光素子1c、2cの製造工程図である。
【
図6E】本願の実施例が開示した発光素子1c、2cの製造工程図である。
【
図6E-1】本願の実施例が開示した発光素子1c、2cの製造工程図である。
【
図6F】本願の実施例が開示した発光素子1c、2cの製造工程図である。
【
図6G】本願の実施例が開示した発光素子1c、2cの製造工程図である。
【
図6H】本願の実施例が開示した発光素子1c、2cの製造工程図である。
【
図6I】本願の実施例が開示した発光素子1c、2cの製造工程図である。
【
図7】
図5の線E-E’に沿った発光素子2cの断面概略図である。
【
図8】本願の一実施例の発光装置3の概略図である。
【
図9】本願の一実施例の発光装置4の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本願をより詳しく、全面的に示すべく、以下は実施例に基づき、さらに図面を参照しながら説明を行う。ただ、以下の実施例は本願の発光素子を例示するものであり、本願は以下の実施例に限定されない。また、本明細書の実施例に記載の構成部品のサイズ、材質、形状、相対的な配置等について特に限定がない場合、単なる説明であり、本願の範囲はこれに限定されない。かつ、各図面に示す部材の大きさ又は位置関係等は、説明を明確にするために拡大する場合がある。さらに、以下の説明において、詳細説明を適宜省略すべく、同一又は同じ性質の部材を同一名称、符号で示す。
【0007】
図1は本願の一実施例が開示した発光素子1cの上面図である。
図2は
図1の線D-D’に沿った発光素子1cの断面概略図である。
図6A、
図6B、
図6C、
図6D、
図6E及び
図6G~
図6Iは、本願の一実施例が開示した発光素子1cの製造工程図である。本願の実施例の発光素子1cは、フリップチップ式の発光ダイオードである。発光素子1cは、基板11c及び基板11cに位置する一つ又は複数個の半導体構造1000cを含む。一つ又は複数個の半導体構造1000cのそれぞれが半導体積層10cを含み、半導体積層10cは第一半導体層101c、第二半導体層102c、第一半導体層101cと第二半導体層102cとの間に位置する活性層103cを含む。活性層103c及び第二半導体層102cは積層方向に沿って順に第一半導体層101c上に積層され、半導体構造1000cは第一半導体層101cの一部を露出させる露出部を含む。
図2、
図6Aが示すように、一部の第二半導体層102c及び活性層103cが除去されて露出部を露出し、露出部は第一半導体層101cの第一表面1011c、及び一つ又は複数個の第二表面1012cを含む。一実施例において、第一表面1011cは一つ又は複数個の半導体構造1000cの外周縁に位置し、且つ第一表面1011cは基板11c上の第二半導体層102c及び活性層103cを囲んで残される。
図6Aは半導体構造1000cの俯瞰図である。本実施例において、発光素子1cは一つの半導体構造1000cのみを含み、且つ第一半導体層101cの第一表面1011cが第二半導体層102及び活性層103cを囲む。また、本実施例において、第一表面1011cは略半導体構造1000cの周縁領域に位置する。別の実施例において、発光素子1cの基板11cは、半導体構造1000cの外周縁を囲む露出表面11sをさらに含む。発光素子1cは一つ又は複数個の開口を含み、例えば、第二半導体層102c及び活性層103cの孔100cによって、第一半導体層101cの一つ又は複数個の第二表面1012cを露出させる。一実施例において、複数個の半導体構造1000cが一つ又は複数個の開口によって、例えば、溝が互いに分離し、かつ複数個の半導体構造1000cが第一半導体層101cを介して互いに接続する。一実施例において(図示せず)、複数個の半導体構造1000cが第一半導体層101cによって接続せず、かつ一つ又は複数個の開口によって互いに物理的に分離する。一実施例において、発光素子1cはさらに、第一絶縁構造20c、透明導電層30c、反射層40c及びバリア層41cを含む反射構造、第二絶縁構造50c、接触層60c、第三絶縁構造70c、一つ又は複数個の半導体構造1000cに位置する第一電極パッド80c及び第二電極パッド90cを含む。
【0008】
本願の一実施例において、基板11cはパターン化表面を含む。パターン化表面は複数個の突起を含む。突起の形状がテーパー形(taper)又は円錐形(cone)を含み、突起は発光素子の光取り出し効率を高めることができる。本願の一実施例において、基板11cは成長基板であり、例えば、リン化アルミニウムガリウムインジウム(AlGaInP)を成長させるための砒化ガリウム(GaAs)ウエハー、又は窒化ガリウム(GaN)若しくは窒化インジウムガリウム(InGaN)を成長させるためのサファイア(Al2O3)ウエハー、窒化ガリウム(GaN)ウエハー又は炭化ケイ素(SiC)ウエハーを含む。半導体積層10はIII族の窒化化合物半導体であって、且つ、有機金属気相成長法(MOCVD)、分子線エピタキシー(MBE)、ハイドライド気相成長法(HVPE)、物理気相成長法(PVD)又はイオン電気めっき法、例えば、スパッタリング(Sputtering)又は蒸着(Evoaporation)法によって基板11c上に形成することができる。また、基板11cと半導体積層10cとの間の結晶格子の不整合を調整するために、半導体積層10cを形成する前に、まず基板11cにおいてバッファ構造(図示せず)を形成してもよい。バッファ構造は、窒化ガリウム(GaN)系の材料、例えば窒化ガリウム及び窒化アルミニウムガリウム、又は窒化アルミニウム(AlN)系の材料、例えば窒化アルミニウムによって構成されてもよい。バッファ構造は単層又は多層であってもよい。バッファ構造は、有機金属気相成長法(MOCVD)、分子線エピタキシー(MBE)又は物理気相成長法(PVD)によって形成することができる。物理気相成長(PVD)はスパッタリング(sputter)法、例えば反応性スパッタリング、又は蒸着法、例えば電子線蒸着法及び熱蒸着法を含む。一実施例において、バッファ構造は化アルミニウム(AlN)バッファ層を含み、スパッタリング(sputter)法によって形成される。窒化アルミニウム(AlN)バッファ層はパターン化表面を有する成長基板に形成される。スパッタリング(sputter)法は高い均一性を有する緻密なバッファ層を形成することができるため、基板11cのパターン化表面に窒化アルミニウム(AlN)バッファ層を共形的に成長させてもよい。
【0009】
本願の一実施例において、半導体積層10cは光学特性、例えば、発光角度又は波長分布、及び電気的特性、例えば順電圧又は逆電流を含む。本願の一実施例において、第一半導体層101cと第二半導体層102cは被覆層(cladding layer)又は制限層(confinement layer)であってもよく、両者が異なる導電型、電気性、極性を有し、又はドープされた元素によって電子又は正孔を提供する。例えば、第一半導体層101cはn型の半導体層であり、第二半導体層102cはp型の半導体層である。活性層103cは第一半導体層101cと第二半導体層102cとの間に形成され、電子と正孔が電流駆動によって活性層103c内に結合し、かつ電気エネルギを光エネルギに変換して、光線を発する。半導体積層10cの一層又は多層の物理及び化学組成を変えることによって、発光素子1cが発する光線の波長を調整する。半導体積層10cの材料はIII-V族の半導体材料を含み、例えば、AlxInyGa(1-x-y)N又はAlxInyGa(1-x-y)P、かつ、0≦x、y≦1、(x+y)≦1である。活性層103cの材料によって、半導体積層10cの材料がAlInGaP系である場合、活性層103cは波長が610nmから650nmの間にある赤色光、又は波長が530nmから570nmの間にある黄色光を発することができる。半導体積層10bの材料がInGaN系である場合、活性層103cは波長が400nmから490nmの間にある青色光、深青色光、又は波長が490nmから550nmの間にある緑色光を発することができる。半導体積層10cの材料がAlGaN系である場合、活性層103cは波長が250nmから400nmの間にある紫外光を発することができる。活性層103cはシングルヘテロ構造(single heterostructure、SH)、ダブルヘテロ構造(double heterostructure、DH)、両面ダブルヘテロ構造(double-side double heterostructure、DDH)、又は多重量子井戸構造(multi-quantum well、MQW)であってもよい。活性層103vの材料は中性、p型又はn型の半導体であってもよい。
【0010】
図2を参照すると、一実施例において、半導体構造1000cは第一外側壁1003cと第二外側壁1001cを含み、かつ、第一半導体層101cの第一表面1011cの一端が第一外側壁1003cに接続され、第一表面1011cの他端が第二外側壁1001cに接続される。第二外側壁1001cは第一半導体層101c、活性層103c及び第二半導体層102cの側壁を含む。本実施例において、第二外側壁1001cは第一半導体層101c、活性層103c及び第二半導体層102cの側壁によって構成される。第一外側壁1003cは、第一表面1011c及び基板11cの間に位置する。一実施例において、第一外側壁1003cは基板11cの露出面11sに対し傾斜している。第一外側壁1003cと露出面11sの間に鋭角を有する。一実施例において、第一外側壁1003cと露出面11sの間に鈍角を有する。
【0011】
半導体積層10cはさらに内側壁1002cを含む。第二外側壁1001cと同じように、貫通孔100c中の内側壁1002cは第一半導体層101c、活性層103c及び第二半導体層102cの側壁によって構成される。本願の実施例において、貫通孔100cは、内側壁1002c及び第一半導体層101cの第二表面1012cによって定義される。内側壁1002cの一端が第一半導体層101cの第二表面1012cに接続され、かつ内側壁1002cの他端が第二半導体層102cの表面102sに接続される。第二半導体層102cの表面102sは前記積層方向に略垂直である。内側壁1002c及び第二外側壁1001cは、第二半導体層102cの表面102sに対し傾斜している。内側壁1002cは第一半導体層101cの第二表面1012cに対しも傾斜している。内側壁1002cと第二表面1012cとの間に角度を有し、鋭角又は鈍角であり、且つ、第二外側壁1001c及び第一表面1011cの間に角度を有し、鋭角又は鈍角である。第二外側壁1001c及び表面102sの間の角度は100度~140度であり、内側壁1002cと表面102sの間の角度と類似している。また、半導体構造1000cはさらに第一縁E1及び第二縁E2を含み、かつ、第一縁E1は第二外側壁1001cと第二半導体層102cの表面102sとの境界であり、第二縁E2は内側壁1002cと第二半導体層102cの表面102sとの境界である。上面視の場合、第二半導体層102は第一縁E1を含む。詳しく言うと、発光素子1cを上面視した場合、第一縁E1は第二半導体層102cの表面102sの輪郭(contour)であり、且つ第二縁E2は貫通孔100cの輪郭である。一実施例において、第一縁E1又は第二縁E2は閉鎖したものである。一実施例において、第二縁E2は第一縁E1に囲まれる。
【0012】
図6Bは第一絶縁構造20cの上面図である。本願の一実施例において、第一絶縁構造20cは、スパッタリング法又は成長法によって発光素子1cの半導体構造1000cに形成される。
図2及び
図6Bが示すように、上面視の場合、第一絶縁構造20cは囲み絶縁部分201cと複数個の環状被覆エリア202cを含む。本実施例において、囲み絶縁部分201cは半導体構造1000cの第一縁E1に近い領域に位置し、且つ複数個の環状被覆エリア202cは半導体構造1000cの第二縁E2に近い領域に位置する。一実施例において、囲み絶縁部分201c及び複数の環状被覆エリア202cはいずれも、第二半導体層102cの表面102sの一部、半導体構造1000cの第二外側壁1001c及び内側壁1002cを被覆する。また、囲み絶縁部分201cは一部の第一表面1011cを被覆し、且つ環状被覆エリア202cは一部の第二表面1012cを被覆する。
図2が示すように、第一絶縁構造20cは、第二半導体層102cの表面102sに位置する頂部f20c、第二外側壁1001c及び内側壁1002cに位置する側部s20c、及び第一半導体層101cの第一表面1011cと第二表面1012cに位置する底部t20cを含み、底部t20cは一部の第二表面1012c及び第一表面1011cを露出させる。詳しく言うと、第一絶縁構造20cは第一表面1011c、第二表面1012c、第二外側壁1001c、内側壁1002c及び表面102sに形成される。第一絶縁構造20cはさらに、第二半導体層102cの表面102sにおける開口203cを含み、開口203cは頂部f20cの側表面によって定義される。第一絶縁構造20cはさらに、第二表面1012cにおける開口204cを含み、且つ開口204cは底部t20cの側表面によって定義される。第一絶縁構造20cの材料は非導電材料を含む。非導電材料は有機材料、無機材料又は誘電材料を含む。有機材料はSu8、ベンゾシクロブテン(BCB)、パーフルオロシクロブタン(PFCB)、エポキシ樹脂(Epoxy)、アクリル樹脂(Acrylic Resin)、環状オレフィン重合体(COC)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルイミド(Polyetherimide)又はフルオロカーボン重合体(Fluorocarbon Polymer)を含む。無機材料はシリコーン(Silicone)又はガラス(Glass)を含む。誘電材料は酸化アルミニウム(Al
2O
3)、窒化ケイ素(SiN
x)、酸化ケイ素(SiO
x)、酸化チタン(TiO
x)、又はフッ化マグネシウム(MgF
x)を含む。一実施例において、第一絶縁構造20cは一層又は多層を含む。第一絶縁構造20cは半導体構造1000cの側壁を保護し、活性層103cが後工程で破壊されることを防止できる。第一絶縁構造20cが多層を含む場合、第一絶縁構造20cは分布ブラッグ反射鏡(DBR)構造であってもよく、半導体構造1000cの側壁を保護し、且つ活性層103cが発する特定の波長の光を選択的に発光素1cの外部まで反射して輝度を高めることができる。具体的に言うと、第一絶縁構造20cは、二つのサブ層、例えば、SiO
xサブ層とTiO
xサブ層を交互に積層することによって形成してもよい。より詳しくは、分布ブラッグ反射鏡構造は複数対のサブ層を含み、且つ各サブ層と隣接するサブ層の屈折率が異なってもよい。各対の膜層の高屈折率を有するサブ層と低屈折率を有するサブ層との間の屈折率差を調整することによって、分布ブラッグ反射鏡構造が特定の波長に対し、又は特定の波長範囲内に高い反射率を有するようにする。各対の膜層中の二つのサブ層が異なる厚さを有する。また、分布ブラッグ反射鏡構造において、同じ材料を有するサブ層の厚さが同じであっても、異なってもよい。
【0013】
図6Cは透明導電層30cの上面図である。
図1、
図2及び
図6Cが示すように、本実施例において、発光素子1cの透明導電層30cは第二半導体層102cの表面102sに形成されている。一実施例において、透明導電層30cは第一絶縁構造20cの頂部f20cの一部を被覆してもよい。具体的に言うと、透明導電層30cは、第二半導体層102cの表面102sに位置する第一外側辺301c及び第一内側辺302cを含む。透明導電層30cは第一縁E1及び第二縁E2を超えるまで延伸していない。言い換えれば、
図1の発光素子1cの上面図が示すように、第一縁E1に比較して第一外側辺301cの方が半導体構造1000cの中心に近く、且つ第二縁E2に比較して第一内側辺302cの方が半導体構造1000Cの中心に近い。発光素子1cの上面図から見ると、第一外側辺301cは第一縁E1に囲まれ、且つ第一内側辺302cは第二縁E2を囲んでいる。一実施例において、透明導電層30cは第一絶縁構造20cの側部s20cを被覆してもよい。
【0014】
第一絶縁構造20cの品質は製造工程の能力及び応力に影響される可能性があり、第一絶縁構造20c中に亀裂が発生する可能性がある。一実施例では、透明導電層30cは表面102sに位置し、且つ第二外側壁1001c及び内側壁1002cを被覆するまで延伸しておらず、これにより、第一絶縁構造20cの亀裂によって漏電が発生し、透明導電層30c及び半導体積層10cの間にショートするリスクを低減している。従って、発光素子1cは安定した信頼性が得られる。透明導電層30cは第二半導体層102cの表面102sの略全体に形成され、且つ第二半導体層102cと接触するため、電流は透明導電層30cに介して第二半導体層102c全体に均一に分散される。
【0015】
透明導電層30cは活性層103cから発する光線に対し透明な材料を含み、例えば金属酸化物である。金属酸化物は、酸化インジウム錫(indium tin oxide、ITO)、酸化インジウム亜鉛(indium zinc oxide、IZO)、酸化インジウム(indium oxide、InO)、酸化錫(tin oxide、SnO)、酸化カドミウム錫(cadmium tin oxide、CTO)、酸化錫アンチモン(antimony tin oxide、ATO)、酸化アルミニウム亜鉛(aluminum zinc oxide、AZO)、酸化亜鉛錫(zinc tin oxide、ZTO)、ガリウムドープ酸化亜鉛(gallium doped zinc oxide、GZO)、タングステンドープ酸化インジウム(tungsten doped indium oxide、IWO)又は酸化亜鉛(zinc oxide、ZnO)を含んでもよい。透明導電層30cは、第二半導体層102cと低抵抗接触し、例えば、両者の間にオーム接触(ohmic contact)を形成してもよい。透明導電層30cは一層又は多層であってもよい。例えば、透明導電層30cが複数のサブ層を含む場合、透明導電層30cは分布ブラッグ反射鏡(DBR)構造であってもい。本実施例において、透明導電層30cのブラッグ反射鏡構造の材料が導電性を有する。一実施例において、上面視の場合、透明導電層30cの形状が第二半導体層102cの形状と略対応する。
図6A及び
図6Cが示すように、
図6Cの透明導電層30cの形状が
図6Aの第二半導体層102cの形状と略対応している。
【0016】
本願の一実施例において、発光素子1cの反射構造が透明導電層30cに形成される。反射構造は反射層40c、バリア層41c又は両者の組み合わせを含む。一実施例において、上面視の場合、反射層40cの形状が第二半導体層102cと略対応する。
図6Dは反射層40cの上面図である。
図1、
図2及び
図6Dが示すように、反射層40cは第二外側辺401c及び第二内側辺402cを含み、一実施例において、反射層40cは透明導電層30cの第一外側辺301c及び/又は第一内側辺302cを超えるまで外へ延伸しておらず、且つ、半導体構造1000cの第一縁E1及び/又は第二縁E2を超えるまで外へ延伸していない。透明導電層30cの第一外側辺301cは反射層40cの第二外側辺401c及び第一縁E1の間に位置し、及び/又は第一内側辺302cは第二内側辺402c及び第二縁E2の間に位置する。言い換えれば、第一外側辺301cは第二外側辺401cよりも第一縁E1に近く、且つ第一内側辺302cは第二内側辺402cよりも第二縁E2に近い。一実施例において、反射層40cは第一絶縁構造20cの頂部f20cの一部を被覆し、例えば、表面102sの頂部f20cに位置し、且つ、反射層40cが側部s20c及び底部t20cを被覆しない。また、第一縁E1及び/又は第二縁E2に近い一部の透明導電層30cは、反射層40c及び頂部f20cの間に位置する。具体的に言うと、第二外側辺401c及び/又は第二内側辺402cはそれぞれ、第一外側辺301c及び/又は第一内側辺302cを超えるまで延伸していない。一実施例において、透明導電層30cは反射層40c及び第一絶縁構造20cの間の脱落問題を防止することができて、詳しく言うと、反射層40cは透明導電層30cを介して第一絶縁構造20cに接続され、且つ両者の間に位置する透明導電層30cは反射層40c及び第一絶縁構造20cの間の粘着力を強めることができる。
【0017】
一実施例において、第二外側辺401cは透明導電層30cの第一外側辺301cと位置を合わせ、及び/又は第二内側辺402cは透明導電層30cの第一内側辺302cと位置を合わせる。一実施例において、第二外側辺401cは第一縁E1と位置を合わせず、及び/又は第二内側辺402cが第二縁E2と位置を合わせない。
【0018】
一実施例において、反射層40c及び透明導電層30cのいずれも半導体構造1000cの側壁、例えば第二外側壁1001c及び内側壁1002cを被覆するまで延伸しておらず、これにより、反射層40c、透明導電層30c及び第一絶縁構造20cの亀裂によって発生する漏電が半導体構造1000cに達し、発光素子1cの電気ショットを起こすリスクを低減する。詳しく言うと、第二外側壁1001c及び内側壁1002cは第一半導体層101c、活性層103c及び第二半導体層102cの側表面によって構成されるため、反射層40cが第二外側壁1001c及び内側壁1002cまで延伸した場合、第一絶縁構造20cに欠陥又は亀裂がある時、漏電を引き起こすことになる。具体的に言うと、反射層40cの一部材料(例えば、銀、アルミニウム)は第一絶縁構造20cの欠陥又は亀裂によって第一半導体層101c及び第二半導体層102cに拡散する可能性があり、反射層40cの材料拡散によって、第一半導体層101c及び第二半導体層102cの電気接続が形成され、ショートを引き起こす。従って、反射層40cが第一縁E1及び/又は第二縁E2を超えて、且つ側部s20cを被覆することにより、発光素子1cの信頼性が低下する可能性がある。しかし、本願発明は上記実施例に限定されない。その他の製造方法又は第一絶縁構造20cの材料又は構造、例えば、多層絶縁層を用いて、第一絶縁構造20cの品質及び機械強度を高め、且つ電流ショートの問題を防止してもよい。
【0019】
一実施例において、発光素子1cを上面視した場合、第二半導体層102cが第一面積を有し、且つ反射層40cが第二面積を有する。本実施例において、発光素子1cを上面視した時、第一面積は第二半導体層102cの第一縁E1及び第二縁E2によって定められ、第二面積は反射層40cの第二外側辺401c及び第二内側辺402cによって定められる。第二半導体層102cの第一縁E1は反射層40cの第二外側辺401cを囲み且つ第二内側辺402cは第二半導体層102cの第二縁E2を囲んでいる。発光素子1cの輝度を高め、活性層103cから発した光を反射層40cにおいてより多く反射するため、反射層40cの第二面積をできるだけ大きく設計する方が良いが、発光素子1cの輝度及び信頼性間のバランス関係も考量する必要がある。一実施例において、反射層40cの第二面積が第二半導体層102cの第一面積の80%以上である。一実施例において、第二面積は第一面積の82%~96%である。一実施例において、第二面積は第一面積の85%~95%である。
【0020】
別の実施例において、反射層40cの第二外側辺401c及び半導体構造1000cの第一縁E1との間に距離Dを有し、第二内側辺402cと第二縁E2は距離D’を有する。一実施例において、距離D、D’はゼロより大きい。一実施例において、距離D、D’は10μm以下である。一実施例において、距離D、D’は8μm以下である。一実施例において、距離D、D’0μmより大きく、且つ10μmより小さい。一実施例において、距離D、D’は2μm及び8μmの間にある。また、別の実施例において、距離D及び距離D’は同じであっても、異なってもよい。
【0021】
一実施例において、バリア層41cは反射層40cに形成され、且つ反射層40cを被覆する。バリア層41cの外辺縁(図示せず)が反射層40cの第二外側辺401cを囲み、及び/又はバリア層41cの内辺縁(図示せず)が反射層40cの第二内側辺402cを囲む。一実施例において、反射層40cはバリア層41cに形成され、且つバリア層41cを被覆し、バリア層41cの外辺縁が反射層40cの第二外側辺401cに囲まれ、及び/又はバリア層41cの内辺縁が反射層40cの第二内側辺402cに囲まれてもよい。一実施例において、バリア層41の外辺縁及び内辺縁はそれぞれ、反射層40cの第二外側辺401c及び第二内側辺402cを被覆し、又は位置が揃っている。
【0022】
図3A~
図3Cはそれぞれ本願の一実施例の発光素子における、第一縁E1又は第二縁E2に近い透明導電層30c及び反射層40cの部分的断面概略図である。反射層40cは透明導電層30cに形成される。一実施例において、
図3Aが示すように、反射層40c及び透明導電層30cは第一絶縁構造20cに形成され、且つ半導体構造1000cの側壁又は孔100cの中まで延伸していない。一実施例において、
図3B~
図3Cが示すように、第一絶縁構造20cに形成された反射層40c及び透明導電層30cは、半導体構造1000cの側壁又は孔100cの中まで延伸する。
【0023】
一実施例において、
図3Aが示すように、反射層40cは非連続構造であり、且つ互いに分離した第一反射部403c及び第二反射部404cを含む。隙間Gは第一反射部403c及び第二反射部404cの間にある。一実施例において、
図3Aが示すように、透明導電層30cは非連続構造であり、且つ互いに分離した第一導電部31c及び第二導電部32cを含む。第二導電部32cと第二反射部404cは完全に第一絶縁構造20c及び第二半導体層102cの上に位置する。一実施例において、第一導電部31c及び第二導電部32cはそれぞれ、第一反射部403c及び第二反射部404cの下に位置し、第一反射部403cが第二反射部404cと接続せず、第一導電部31cが第二導電部32cと接続せず、かつ第二導電部32c及び第二反射部404cが完全に第一絶縁構造20cの上に位置するため、電流は第一反射部403c及び第二反射部404cの間を流れることができない。言い換えれば、第二反射部404cと第一反射部403cの間は電気的に接続されていない。
【0024】
図3Bが示す実施例と
図3Aが示す実施例の相違点は、
図3Bが示す実施例において、透明導電層30cが互いに分離した第一導電部31c及び第三導電部33cを含み、且つ反射層40cが互いに分離した第一反射部403c及び第三反射部405cを含み、第一反射部403cと第三反射部405cの間に隙間Gを有する。また、第三反射部405c及び第一反射部403cは互いに電気的に絶縁されている。具体的に言うと、第三導電部33cは第一絶縁構造20c及び第二半導体層102cに形成され、且つ第二外側壁1001cまで延伸し、第一絶縁構造20cの側部s20c及び底部t20cを被覆する。一実施例において、第三導電部33cは第一絶縁構造20c及び第二半導体層102cに形成され、且つ内側壁1002cまで延伸し、第一絶縁構造20cの側部s20cを被覆する。第一反射部403c及び第三反射部405cはそれぞれ第一導電部31c及び第三導電部33cの上方に形成されている。
【0025】
一実施例において、
図3Cが示すように、反射層40cは互いに分離した第一反射部403c’、第二反射部404c’及び第三反射部405c’を含む。また、透明導電層30cは互いに分離した第一導電部31c’、第二導電部32c’及び第三導電部33c’を含む。従って、第三反射部405c’、第二反射部404c’及び第一反射部403c’は互いに電気的に絶縁されている。
図3A~
図3Cが示す異なる実施例の各発光素子において、いずれの反射層40cも非連続構造であり、且つ互いに電気的に接続せず、反射層40cが半導体構造1000cの側壁まで延伸し、反射層40cの第二面積が増大された時、漏電問題を回避できる。このように、各発光素子の設計において、輝度に関する反射面積及び信頼性を同時に考量している。一実施例において、
図3A~3Cが示す発光素子のように、反射層40cの第二面積が第二半導体層102cの第一面積の80%以上であり、且つ第一縁E1及び第二外側辺401cの間の距離Dが0μmから10μmの間にある。一実施例において、
図3Aが示す発光素子において、第一外側辺301cと第二外側辺401cは、第一縁E1よりも半導体構造1000cの中心に近い。
図3B~3Cにおいて、第一縁E1は第一外側辺301c及び第二外側辺401cよりも半導体構造1000cの中心に近い。
図3B~
図3Cが示すように、反射層40cが半導体構造1000cの側壁を被覆するため、
図3B~
図3Cが示す発光素子の反射層40cの第二面積は
図3Aが示す発光素子の反射層40cの第二面積より大きい。また、
図3Cが示す反射層40cの第二面積は
図3A又は
図3Bが示す第二面積より大きいため、
図3Cが示す発光素子の輝度が
図3A及び
図3Bが示す発光素子より高くなる。
【0026】
本願の一実施例において、反射層40cは複数個のサブ層を含み、例えが、分布ブラッグ反射鏡(DBR)構造である。本実施例において、分布ブラッグ反射鏡構造の材料は電気絶縁又は導電性であってもよい。
【0027】
本願の一実施例において、反射層40cは単層又は多層構造を含み、且つ反射層40cは活性層103cに対し高反射率を有する金属材料、例えば、銀(Ag)、金(Au)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、プラチナ(Pt)又は上記の合金を含む。ここで言う「高反射率」とは、活性層103cが発射する光の波長に対し80%以上の反射率を有することを意味する。
【0028】
本願の一実施例において、反射構造はさらに反射層40cの下に位置する分布ブラッグ反射鏡(DBR)構造を有する。一実施例において、分布ブラッグ反射鏡構造は半導体構造1000c及び反射層40cの間に形成される。分布ブラッグ反射鏡構造及び反射層40cの間に接続層を選択的に挿入することが可能であり、これにより両者の間の粘着力を強化する。例を挙げると、分布ブラッグ反射鏡構造は、第一層が反射層40cに接続され、その第一層が酸化ケイ素(SiO2)を含み、且つ、反射層40cが銀(Ag)を含み、ここで、その間にある接続層が酸化インジウム錫(indium tin oxide、ITO)、酸化亜鉛インジウム(indium zinc oxide、IZO)、又はその他の反射層40cに対する粘着力が分布ブラッグ反射鏡構造の第一層が反射層40cに対する粘着力よりも高い材料を含む。
【0029】
本願の一実施例において、反射構造はさらに反射層40cを被覆するバリア層41cを含み、反射層40cの表面が酸化して反射層40cの反射率を低減することを防ぐ。バリア層41cの材料は金属材料、例えば、チタン(Ti)、タングステン(W)、アルミニウム(Al)、インジウム(In)、錫(Sn)、ニッケル(Ni)、プラチナ(Pt)、亜鉛(Zn)、クロム(Cr)又は上記材料の合金を含む。バリア層41cは単層構造又は多層構造を含んでもよい。バリア層41cが多層構造である場合、バリア層41cは第一バリア層(図示せず)及び第二バリア層(図示せず)を交互に積層して形成され、例えば、Cr/Pt、Cr/Ti、Cr/TiW、Cr/W、Cr/Zn、Ti/Pt、Ti/W、Ti/TiW、Ti/W、Ti/Zn、Pt/TiW、Pt/W、Pt/Zn、TiW/W、TiW/Zn、又はW/Znである。一実施例において、バリア層41cの材料は金(Au)又は銅(Cu)以外の金属を含む。
【0030】
本願の一実施例において、発光素子1cの第二絶縁構造50cは、スパッタリング法又は蒸着法によって半導体構造1000cに形成される。第二絶縁構造50cは半導体構造1000c、第一絶縁構造20c、透明導電層30c及び反射層40cに形成される。
図6Eは第二絶縁構造50cの上面図である。
図1、
図2及び
図6Eが示すように、第二絶縁構造50cは一つ又は複数個の第一絶縁開口501cを含み、第一半導体層101cの第二表面1012cを露出させ、及び、一つ又は複数個の第二絶縁開口502cを含み、反射層40c又はバリア層41cを露出させる。一実施例において、第一絶縁開口501c及び第二絶縁開口502cは異なる幅及び数を有する。発光素子1cを上面視した場合、第一絶縁開口501c及び第二絶縁開口502cの形状は円形、楕円形、矩形、多角形又は不規則形を含む。一実施例において、第一絶縁開口501cの位置は孔100cの位置に対応する。一実施例において、その一つの第二絶縁開口502cが発光素子1cの一方側に位置し、且つ第一絶縁開口501cに対応する。
第二絶縁構造50cの材料は非導電材料を含む。非導電材料は有機材料、無機材料又は誘電材料を含む。有機材料はSu8、ベンゾシクロブテン(BCB)、パーフルオロシクロブタン(PFCB)、エポキシ樹脂(Epoxy)、アクリル樹脂(Acrylic Resin)、環状オレフィン重合体(COC)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルイミド(Polyetherimide)又はフルオロカーボン重合体(Fluorocarbon Polymer)を含む。無機材料はシリコーン(Silicone)又はガラス(Glass)を含む。誘電材料は酸化アルミニウム(Al
2O
3)、窒化ケイ素(SiN
x)、酸化ケイ素(SiO
x)、酸化チタン(TiO
x)、又はフッ化マグネシウム(MgF
x)を含む。一実施例において、第二絶縁構造50cは単層又は多層を含む。一実施例において、第二絶縁構造50cは分布ブラッグ反射鏡(DBR)構造であってもよい。具体的に言うと、第二絶縁構造50cはSiO
xサブ層及びTiO
xサブ層が交互に積層されることで形成されてもよい。第二絶縁構造50c及び第一絶縁構造20cは同じであっても、異なってもよい。
【0031】
図6Gは接触層60cの上面図である。
図1、
図2及び
図6Gが示すように、一実施例において、接触層60cは第二絶縁構造50c及び反射層40c又はバリア層41cに形成される。接触層60cは、互いに電気的に絶縁されている第一接触部601c、第二接触部602c及びシンブル領域600cを含む。ここで、第一接触部601cが第一半導体層101cに電気的に接続され、第二接触部602cが第二半導体層102cに電気的に接続され、且つ、シンブル領域600cが第一接触部601c及び第二接触部602cと電気的に絶縁されている。第一接触部601cは第一半導体層101cの第一表面1011cに形成されて、半導体構造1000cの周囲を囲み、且つ第一半導体層101cに接触することによって、電気接続を形成する。一実施例において、第一接触部601cは活性層103cの周長より大きい周長を有する。一実施例において、第一接触部601cは第一半導体層101cの第二表面1012cにも形成され、第二絶縁構造50cの複数個の第一絶縁開口501cによって一つ又は複数個の孔100cを被覆し、且つ第一半導体層101cと接触して、電気接続を形成する。シンブル領域600cは第二半導体層102cに位置し、且つ第二絶縁構造50cによって第一半導体層101c及び第二半導体層102cと電気的に絶縁される。本実施例において、上面視の場合、シンブル領域600cは発光素子1cの略中心に位置する。また、第二接触部602cは反射層40c及び透明導電層30cによって第二半導体層102cの表面102sに電気的に接続され、第二接触部602c及び第二半導体層102cの間の電気接続を形成する。本実施例において、発光素子1cを上面視した場合、シンブル領域600cは第一接触部601c及び第二接触部602cの間に位置する。
図6Gが示すように、第一接触部601cはシンブル領域600c及び第二接触部602cを囲む。一実施例において、シンブル領域600cは第一接触部601c又は第二接触部602cに電気的に接続される。上面視の場合、シンブル領域600cの形状が幾何形状、例えば、矩形又は円形を含む。接触層60cは単層構造又は多層構造であってもよい。接触層60cの材料は金属、例えば、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、クロム(Cr)、プラチナ(Pt)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、タングステン(W)又は亜鉛(Zn)を含む。
【0032】
接触層60cを形成した後、第三絶縁構造70cは接触層60cに位置し、且つ接触層60cを被覆する。
図6Hは第三絶縁構造70cの上面図である。
図1、
図2及び
図6Hが示すように、第三絶縁構造70cは第一開口701c及び第二開口702cを含む。第一開口701cは接触層60cの第一接触部601cを露出させ、且つ第二開口702cは接触層60cの第二接触部602cを露出させる。第三絶縁構造70cは単層又は多層を含む。第三絶縁構造70cが多層を含む場合、第三絶縁構造70cが分布ブラッグ反射鏡(DBR)構造を形成してもよい。第三絶縁構造70cの材料は非導電材料を含む。非導電材料は有機材料、無機材料又は誘電材料を含む。有機材料はSu8、ベンゾシクロブテン(BCB)、パーフルオロシクロブタン(PFCB)、エポキシ樹脂(Epoxy)、アクリル樹脂(Acrylic Resin)、環状オレフィン重合体(COC)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルイミド(Polyetherimide)又はフルオロカーボン重合体(Fluorocarbon Polymer)を含む。無機材料はシリコーン(Silicone)又はガラス(Glass)を含む。誘電材料は酸化アルミニウム(Al
2O
3)、窒化ケイ素(SiN
x)、酸化ケイ素(SiO
x)、酸化チタン(TiO
x)、又はフッ化マグネシウム(MgF
x)を含む。第一絶縁構造20c、第二絶縁構造50c及び第三絶縁構造70cの材料が同じであって、異なってもよく、且つ上記材料から選択される。第一絶縁構造20c、第二絶縁構造50c及び第三絶縁構造70cは、プリント、蒸着又はスパッタリングによって形成することができる。
【0033】
第三絶縁構造70cを形成した後、半導体積層10cにおいて第一電極パッド80c及び第二電極パッド90cを形成する。
図6Iは第一電極パッド80c及び第二電極パッド
90cの上面図である。
図1、
図2及び
図6Iが示すように、第一電極パッド80c及び第二電極パッド90cの位置及び/又は形状は、第三絶縁構造70cの第一開口701c及び第二開口702cの位置及び/又は形状と略対応する。第一電極パッド80cは第三絶縁構造70cの第一開口701c及び接触層60cの第一接触部601cによって、第一半導体層101cに電気的に接続され、且つ、第二電極パッド90cは第三絶縁構造70cの第二開口702c、接触層60cの第二接触部602c、反射層40c及び透明導電層30cによって、第二半導体層102cに電気的に接続される。発光素子1cを上面視した場合、第一電極パッド80cと第二電極パッド90cが同じ形状を有し、例えば、第一電極パッド80c及び第二電極パッド90cが矩形を含む。しかし、本発明の内容はこれに限定されない。別の実施例において、第一電極パッド80cの形状とサイズが第二電極パッド90cと異なり、これによって、第一電極パッド80cと第二電極パッド90cを区別し、又は発光素子1cにおいて良好な電流分布が得られる。例えば、第一電極パッド80cの形状が矩形であって、第二電極パッド90cの形状が櫛状であって、且つ、第一電極パッド80cの面積が第二電極パッド90cの面積より大きくてもよい。本実施例において、第一電極パッド80c及び第二電極パッド90cは単層又は多層構造を含む。第一電極パッド80c及び第二電極パッド90cの材料が金属材料、例えば、クロム(Cr)、チタン(Ti)、タングステン(W)、アルミニウム(Al)、インジウム(In)、錫(Sn)、ニッケル(Ni)、プラチナ(Pt)又は上記材料の合金を含む。第一電極パッド80c及び第二電極パッド90cが多層構造を含む場合、第一電極パッド80c及び第二電極パッド90cはそれぞれ上電極及び下電極(図示せず)を含む。上電極及び下電極が異なる機能を有する。上電極ははんだ付け又はワイヤボンディングに用いられる。発光素子1cは、反転され、且つはんだ又は金錫共晶接合によって、上電極を介してパッケージ基板(図示せず)に実装される。上電極の金属材料は、高展延性を有する金属材料、例えば、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、チタン(Ti)、銅(Cu)、金(Au)、タングステン(W)、ジルコニウム(Zr)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、プラチナ(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)を含む。上電極は上記材料の単層、多層又は合金であってもよい。本願の一実施例において、上電極の材料はニッケル(Ni)及び/又は金(Au)を含むことが好ましい。下電極の機能は、接触層60c、反射層40c又はバリア層41cと安定した界面を形成し、例えば、下電極と接触層60cとの間の界面接合強度を改善し、又は下電極と反射層40c又はバリア層41cとの間の界面接合強度を改善する。下電極の別の機能は、はんだ(例えば、錫)又は金錫合金(AuSn)が反射構造中まで拡散し、反射構造の反射率を損なうことを防止する。従って、下電極の材料が上電極と異なり、下電極の材料に金(Au)と銅(Cu)以外の金属元素が含まれることが好ましく、例えば、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、チタン(Ti)、タングステン(W)、ジルコニウム(Zr)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、プラチナ(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)を含む。下電極は上記材料の単層、多層又は合金であってもよい。本願の一実施例において、下電極はチタン(Ti)とアルミニウム(Al)の多層膜、又はクロム(Cr)とアルミニウム(Al)の多層膜を含むことが好ましい。
【0034】
図6A、
図6B‐1、
図6C~
図6D、
図6E‐1、
図6G~
図6Iは本願の別の実施例の発光素子の製造工程図である。本実施例の発光素子と発光素子1cの主な相違点は、第一絶縁構造20c及び第二絶縁構造50cの構造にある。
図6B‐1を参照すると、第一絶縁構造20c1は囲み絶縁部分201c及び複数個の環状被覆エリア202cを含む。ここで、囲み絶縁部分201cは複数の突出部2011c及び複数の凹陥部2012cを含む。一実施例において、囲み絶縁部分201cの複数の突出部2011c及び複数の凹陥部2012cが交互に配置される。
図3Dは本実施例の発光素子における一つの突出部2011cの部分断面概略図であり、
図3D及び
図6B‐1が示すように、囲み絶縁部分201cは第一表面1011cに位置し、且つ半導体構造1000cを囲む。一実施例において、囲み絶縁部分201cの複数の突出部2011c及び複数の凹陥部2012cは、第一表面1011cにおいて交互に配置される。具体的に言うと、複数の突出部2011cは第二半導体層102cの表面102sから延伸するとともに、半導体構造1000cの一部の第一表面1011cを被覆し、且つ、複数の凹陥部2012cは第一表面1011cのその他の部分を露出させる。言い換えれば、第一表面1011cは、囲み絶縁部分201cにおいて露出される第一露出領域を含み、且つ第一露出領域が非連続である。
【0035】
図6E‐1を参照すると、第二絶縁構造50cは外囲503cを含んでおり、本実施例において、外囲503cが複数の突出部5031c及び複数の凹陥部5032cを含む。
図3Dが示すように、第二絶縁構造50cが第一絶縁構造20cを被覆するため、第一絶縁構造20cに被覆されている第二外側壁1001c及び一部の第一表面1011cも第二絶縁構造50cに被覆される。また、第二絶縁構造50cの複数の突出部5031c及び複数の凹陥部5032cが半導体構造1000cの第一表面1011cに沿って交互に配置されている。また、一実施例において、第二絶縁構造50cの外囲503cの形状が第一絶縁構造20cの外囲の形状に対応し、且つ半導体構造1000cの第一表面1011cを非連続的に露出させる。詳しく言うと、複数の突出部5031c及び複数の凹陥部5032cの形状及び位置がそれぞれ囲み絶縁部分201cの複数の突出部2011c及び複数の凹陥部2012cに対応する。これにより、第一絶縁構造20cの複数の凹陥部2012cによって露出される第一表面1011cは、第二絶縁構造50cの複数の凹陥部5032cによっても露出される。複数の突出部2011cに被覆される第一表面1011cは、複数の突出部5031cにも被覆される。言い換えれば、第一表面1011cは、複数の凹陥部5032cよって露出される第二露出領域を含み、且つ、第二露出領域が非連続である。第一表面1011cの第二露出領域は、第一絶縁構造20cによって露出される第一露出領域と略対応する。
図6Gを参照すると、この実施例において、第一接触部601cは、第二絶縁構造50cの複数の凹陥部5032c及び第一絶縁構造20cの複数の凹陥部2012cによって、第一表面1011cと接触する。言い換えれば、第一接触部601cは非連続接触領域(図示せず)を含み、第一表面1011cと接触する。本実施例において、第一接触部601c及び半導体構造1000cの第一表面1011cの間の非連続接触領域は、発光素子の電流分布に有利であり、且つ発光素子の電気的失効を防止する。
図4Aを参照すると、
図4AはサンプルA~Bの特性表である。具体的に言うと、表には従来の発光素子(サンプルA)及び本願の一実施例の発光素子1c(サンプルB)の特性が示されている。サンプルA及びサンプルBは同じ形状(矩形)及び同じチップサイズ(35×35mil
2)を有し、異なる点は、従来の発光素子の反射層の面積が発光素子1cの反射層40cの面積より小さいことにある。また、発光素子1cの距離Dは従来の発光素子の距離より小さく、従来の発光素子において、第二半導体層の第一縁と反射層の第二外側辺の距離が15μmであり、発光素子1cの距離Dは6μmである。言い換えれば、発光素子1cの反射層40cの面積が従来の発光素子の反射層の面積より大きい。発光素子1cの反射層40cの面積と第二半導体層102cの面積の比率が従来の発光素子の反射層の面積と第二半導体層の面積の比率より大きい。表が示すように、発光素子1cのパワー(I
V2)は従来の発光素子のパワーに比較して、1.8%(ΔI
V2)増加しており、且つ両者の順電圧(V
f2)及び波長(W
d2)が同じレベルを維持している。従って、面積が比較的に大きい反射層40cは、発光素子1cの機能表現を高めることができる。
【0036】
図4Bが示すように、
図4BはサンプルC~Fの特性図である。具体的に言うと、この表はサンプルC~Fの機能表現を示す。サンプルCは従来の発光素子である。サンプルDは
図6B‐1、
図6E‐1及び
図3Dが示す非連続接触領域の接触層60cを有する発光素子であり、且つ
図1~
図2が示す比較的に大きい第二面積の反射層を有しない。サンプルEは
図1~
図2が示す比較的に大きい第二面積の反射層40cを有する発光素子1cである。サンプルFは
図6B‐1、
図6E‐1及び
図3Dが示す非連続接触領域の接触層60cを有し、及び
図1~
図2が示す比較的に大きい第二面積の反射層を有る発光素子であり、言い換えれば、サンプルFはサンプルD及びサンプルEの特性を合わせた発光素子である。サンプルD及びサンプルEはいずれも輝度表現がサンプルCより優れており、また、サンプルFの発光素子が最高のパワー(I
V2)を有する。
【0037】
図5は本願の一実施例の発光素子2cの上面図である。第7図は
図5の線E-E’に沿った発光素子2cの断面概略図である。
図6A~6B、
図6C‐1、
図6D、
図6E~
図6Iはそれぞれ発光素子2cにおいて第一半導体層101cの第一表面1011c及び第二表面1012cを露出させる半導体構造1000c、第一絶縁構造20c、透明導電層30c、反射層40c、第二絶縁構造50c、粘着層51c、接触層60c、第三絶縁構造70c及び電極パッド80c、90cのレイアウト(layout)を示している。本実施例の発光素子2cは
図1~
図2が示す発光素子1cと類似するが、相違点は発光素子2cがさらに粘着層51cを含むことにあり、粘着層51cは第二絶縁構造50c及び接触層60cの間に位置する。また、発光素子2cの透明導電層30cはさらに互いに分離した第一透明導電部分f30c、第二透明導電部分s30c及び第三透明導電部分t30cを含み、発光素子1cの透明導電層30cと異なるものである。一実施例において、第二絶縁構造50cの材料は酸化ケイ素(SiO
2)を含み、接触層60cの材料は銀(Ag)を含み、第二絶縁構造50c及び接触層60cの間の粘着層51cは第二絶縁構造50cと接触層60cの間の粘着力を強めることができる。粘着層51cは接触層60cが第二絶縁構造50cから脱落することを防止できる。両者の間に粘着層51cを挿入することは、発光素子2cの信頼性を高めるうえ有益である。粘着層51cの材料の第二絶縁構造50cに対する粘着力は、接触層60cが第二絶縁構造50cに対する粘着力より強い。粘着層51cの材料は透明導電材料又は金属であってもよく、透明導電材料は金属酸化物を含み、金属酸化物は酸化インジウム錫(indium tin oxide、ITO)、酸化亜鉛インジウム(indium zinc oxide、IZO)、酸化インジウム(indium oxide、InO)、酸化錫(tin oxide、SnO)、酸化カドミウム錫(cadmium tin oxide、CTO)、酸化錫アンチモン(antimony tin oxide、ATO)、酸化アルミニウム亜鉛(aluminum zinc oxide、AZO)、酸化亜鉛錫(zinc tin oxide、ZTO)、ガリウムドープ酸化亜鉛(gallium doped zinc oxide、GZO)、タングステンドープ酸化インジウム(tungsten doped indium oxide、IWO)又は酸化亜鉛(zinc oxide、ZnO)を含んでもよく、金属はプラチナ(Pt)を含んでもよい。しかし、粘着層51cの材料は上記材料に限定されない。一実施例において、
図6Fが示す粘着層51cの形状と面積は
図6Eが示す第二絶縁構造50cの形状と面積に類似する。具体的に言うと、粘着層51cは、第一絶縁開口501cに対応する一つ又はあ複数個の第一粘着開口511c、及び第二絶縁開口502cに対応する一つ又は複数個の第二粘着開口512cを含む。一実施例において、粘着層51cの外囲513cは第二絶縁構造50cの外囲503cを含み、第一半導体層101cの第一表面1011cに電気的に接続される。一実施例において、粘着層51cは半導体構造1000cの露出部まで延伸する。具体的に言うと、
図7が示すように、粘着層51c第一表面1011c及び/又は第二表面1012cまで延伸する。
【0038】
図6C‐1及び
図7を参照すると、一実施例において、第一透明導電部分f30cは第二半導体層102cの表面102sに位置し、第二透明導電部分s30cは露出部の第一表面1011cに位置し、且つ第三透明導電部分t30cは孔100c中の露出部の第二表面1012cに位置する。透明導電層30cは露出部に位置する粘着層51cに接続される。
図6C‐1が示す透明導電層30cの上面図において、第三透明導電部分t30cが第一透明導電部分f30cに囲まれ、且つ第一透明導電部分f30cが第二透明導電部分s30cに囲まれる。第一透明導電部分f30cの面積が第二透明導電部分s30cの面積及び第三透明導電部分t30cの面積より大きい。具体的に言うと、上面視の場合、第一透明導電部分f30cは第一外囲f30c1を有し、第二透明導電部分s30cは第一外囲f30cを囲む第二外囲s30c1を有し、且つ、第三透明導電部分t30cは第一外囲f30c1に囲まれた第三外囲t30c1を有する。
【0039】
図6D及び7図が示すように、反射層40cは第一透明導電部分f30cに形成され、反射層40cは第二外側辺401c及び第二外側辺401cに囲まれた第二内側辺402cを含む。反射層40cは、透明導電層30cの第一外側辺301c及び/又は第一内側辺302cを超えるまで延伸しておらず、また、半導体構造1000cの第一縁E1及び/又は第二縁E2を超えるまでも延伸していない。本実施例において、第二外側辺401cは第一外側辺301cと略位置を合わせており、且つ第二内側辺402cは第一内側辺302cと略位置を合わせている。
図6E及び
図7が示すように、第二絶縁構造50cは反射層40cに形成され、且つ第一絶縁構造20cを被覆する。一実施において、
図6E‐1が示す第二絶縁構造50cは、半導体構造1000cの露出部に形成され、且つ第一表面1011c又は
図6C及び
図6C‐1が示す透明導電層30cを被覆する複数の突出部5031c及び複数の凹陥部5032cを含む。具体的に言うと、複数の突出部5031c及び複数の凹陥部5032cは第一表面1011cにおいて交互に配置され、且つ第一表面1011cを非連続的に被覆する。より詳しくは、複数の突出部5031cは複数の突出部2011cに被覆された部分の第一表面1011cを被覆し、且つ、複数の凹陥部5032cは複数の凹陥部2012cにおいて露出された部分の第一表面1011cを露出させる。一実施例において、複数の突出部5031cは一部の第二透明導電部分s30cを被覆し、且つ複数の凹陥部5032cは一部の第二透明導電部分s30cを露出させる。
【0040】
図6Gを参照すると、発光素子1cと同じように、発光素子2cは接触層60cを含み、接触層60cは第一接触部601c、第二接触部602c及びシンブル領域600cを含む。第一接触部601cは第一粘着開口511c、第一絶縁開口501c、第一表面1011cに位置する第二透明導電部分s30c及び孔100c中に位置するとともに第二表面1012c上にある第三透明導電部分t30cによって、第一半導体層
101cに電気的に接続される。一方、第二接触部602cは第二粘着開口512c、第二絶縁開口502c、反射層40c及び第二半導体層102cの面102sに位置する第一透明導電部分f30cによって、第二半導体層102cに電気的に接続される。一実施例において、第一接触部601c及び第二接触部602cは同じ材料であり、且つ多層構造である。
【0041】
一実施例において、第一接触部601cは第一部分、及び第一部分を被覆する第二部分を含み、第一部分の材料がAg/NiTi/TiW/Ptを含み、且つ第二部分の材料がTi/Al/Ti/Al/Cr/Ptを含み、上記材料は半導体積層10cから第二電極パッド90cの方向に順に半導体構造1000cに形成される。本実施例において、第二接触部602cも第一接触部
601cと類似する第一部分及び第二部分を含む。第二接触部602cの第一部分及び第二部分の材料が第一接触部601cの第一部分及び第二部分の材料と同じ。一実施例において、反射構造及び第一接触部601cが高反射率を有する同じ材料を含み、反射構造及び第二接触部602cが高反射率を有する同じ材料を含む。一実施例において、反射構造、第一接触部601c及び第二接触部602cは銀(Ag)を含む。
【0042】
一実施例において、発光素子2cは、接触層60cと第一半導体層101cの間に第二透明導電部分s30c及び第三透明導電部分t30cを含み、第一接触部601c及び第二接触部602cはいずれも銀を含み、且つ粘着層51cが接触層60c及び第二絶縁構造50cの間に位置する。発光素子2cに比べて、従来の発光素子は銀を含まない第一接触部を有し、且つ上記のサンプルCと同じように、例えば、従来の発光素子の第一接触部の材料がCr/Al/Cr/Al/Cr/Ptを含み、且つ半導体構造1000cにおいて順に形成される。本実施例の発光素子2cは、銀を含む第一接触部601cによって、発光素子2c中の反射面積を大きくすることにより、発光素子2cの輝度を高くことがでいる。従来の発光素子の輝度(IV2)は923.75mWであり、本実施例の発光素子2cの輝度(IV2)は965.83mWであり、従来の発光素子に比較すると、本実施例の発光素子2cの輝度が4.56%増している。
【0043】
図8は本願の一実施例に基づく発光装置3の概略図である。前記実施例中の発光素子をフリップチップの形式でパッケージ基板51の第一パッド511、第二パッド512に実装する。第一パッド511、第二パッド512の間は絶縁材料を含む絶縁部53によって電気的に絶縁される。フリップチップの実装は、電極パッドの形成面に対向する成長基板側を上に向けて設置し、成長基板側を主な光取り出し面とする。発光装置3の光取り出し効率を高めるために、発光素子の周りに反射構造54を設置してもよい。
【0044】
図9は本願の一実施例に基づく発光装置4の概略図である。発光装置4は電球であり、ライトカバー602、反射鏡604、発光モジュール610、ライトベース612、放熱シート614、接続部616及び電気接続素子618を含む。発光モジュール610は搭載部606、及び搭載部606に位置する複数個の発光ユニット608を含み、なお、複数個の発光ユニット608が前記実施例中の発光素子又は発光装置3であってもよい。
【0045】
本願で例示した各実施例は本願を説明するものであり、本願の範囲を制限するものではない。本願に対するわかり易い修正又は変更はいずれも本願の趣旨範囲に属するとする。
【符号の説明】
【0046】
1c、2c 発光素子
3、4 発光装置
11c 基板
11s 露出面
1000c 発光構造
10c 半導体積層
100c 孔
101c 第一半導体層
102c 第二半導体層
102s 表面
103c 活性層
1011c 第一表面
1012c 第二表面
1001c 第二外側壁
1002c 内側壁
1003c 第一外側壁
20c 第一絶縁構造
201c 囲み絶縁部分
2011c 突出部
2012c 凹陥部
202c 環状被覆エリア
203c 開口
f20c 頂部
s20c 側部
t20c 底部
30c 透明導電層
31c、31c’ 第一導電部
32c、32c’ 第二導電部
33c、33C’ 第三導電部
301c 第一外側辺
302c 第一内側辺
f30c 第一透明導電部分
f30c1 第一外囲
s30c 第二透明導電部分
s30c1 第二外囲
t30c 第三透明導電部分
t30c1 第三外囲
40c 反射層
401c 第二外側辺
402c 第二内側辺
403c、403c’ 第一反射部
404c、404c’ 第二反射部
405c、405c’ 第三反射部
41c バリア層
50c 第二絶縁構造
501c 第一絶縁開口
502c 第二絶縁開口
503 外囲
5031c 突出部
5032c 凹陥部
51c 粘着層
60c 接触層
600c シンブル領域
601c 第一接触部
602c 第二接触部
70c 第三絶縁構造
701c 第一開口
702c 第二開口
80c 第一電極パッド
90c 第二電極パッド
E1 第一境界
E2 第二境界
D、D’ 距離
G 隙間
51 パッケージ基板
511 第一パッド
512 第二パッド
53 絶縁部
54 反射構造
602 ライトカバー
604 反射鏡
606 搭載部
608 発光ユニット
610 発光モジュール
612 ライトベース
614 放熱シート
616 接続部
618 電気接続素子