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特許7221622サポートロールの位置調整装置及び位置調整方法
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  • 特許-サポートロールの位置調整装置及び位置調整方法 図1
  • 特許-サポートロールの位置調整装置及び位置調整方法 図2
  • 特許-サポートロールの位置調整装置及び位置調整方法 図3
  • 特許-サポートロールの位置調整装置及び位置調整方法 図4
  • 特許-サポートロールの位置調整装置及び位置調整方法 図5
  • 特許-サポートロールの位置調整装置及び位置調整方法 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-06
(45)【発行日】2023-02-14
(54)【発明の名称】サポートロールの位置調整装置及び位置調整方法
(51)【国際特許分類】
   B22D 11/16 20060101AFI20230207BHJP
【FI】
B22D11/16 104W
B22D11/16 104X
B22D11/16 104Y
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018169962
(22)【出願日】2018-09-11
(65)【公開番号】P2020040093
(43)【公開日】2020-03-19
【審査請求日】2021-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】399009642
【氏名又は名称】JFE条鋼株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000182476
【氏名又は名称】寿産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067448
【弁理士】
【氏名又は名称】下坂 スミ子
(74)【代理人】
【識別番号】100167117
【弁理士】
【氏名又は名称】打越 佑介
(72)【発明者】
【氏名】赤澤 隆志
(72)【発明者】
【氏名】江藤 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】堤 太一
(72)【発明者】
【氏名】岡田 庄司
(72)【発明者】
【氏名】池田 晴乙
(72)【発明者】
【氏名】松村 剛
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 亨
(72)【発明者】
【氏名】中山 弘道
【審査官】池田 安希子
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-010212(JP,A)
【文献】実開昭61-143740(JP,U)
【文献】実開平03-047646(JP,U)
【文献】特開平10-156406(JP,A)
【文献】特開平08-039115(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22D 11/00-11/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋳型で鋳造された鋳片を四方向で支持するサポートロールと、
前記サポートロールを回動自在に軸支するロール軸と、
前記ロール軸を偏心回動させる偏心軸と、
を備えた連続鋳造装置のロールセグメントに設けられ、
前記偏心軸に連結して回動するギアと、
前記ギアと噛み合ってスライドするラックと、
前記ラックの位置を検出するエンコーダと、
前記ラックの軸であるピストンを有するシリンダと、
前記エンコーダの検出結果に基づいて前記ピストンが摺動するように前記シリンダに非圧縮性流体を供給するコントローラと、
を備えたことを特徴とするサポートロールの位置調整装置。
【請求項2】
前記シリンダの内圧を検出する圧力センサーをさらに備え、
前記コントローラが、前記圧力センサーが検出したシリンダの内圧の変化及び前記エンコーダが検出したピストンの位置の変化に基づいて前記シリンダに非圧縮性流体を供給する
ことを特徴とする請求項1に記載のサポートロールの位置調整装置。
【請求項3】
鋳型で鋳造された鋳片をサポートロールで支持し、
前記サポートロールを軸支するロール軸が偏心軸を中心に偏心回動し、
前記偏心軸に連結するギアが回動し、
前記ギアと噛み合うラックがスライドし、
スライド後の前記ラックの位置をエンコーダが検出し、
前記エンコーダにより検出されたギア及びラックの動作に基づくサポートロールの変化後の位置及びシリンダの変化後の内圧と初期値との差分である変化量に基づいて前記ラックの軸であるピストンが摺動するようにコントローラがシリンダに非圧縮性流体を供給し、
摺動する前記ピストンに連動するように前記ラック、前記ギア、前記偏心軸、前記ロール軸、及び前記サポートロールが連動する
ことを特徴とするサポートロールの位置調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続鋳造装置に設置されるロールセグメントに備わる四方向のサポートロールの位置を自動制御により調整するサポートロールの位置調整装置及び位置調整方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、連続鋳造装置で鋳造されるブルームやビレット等の鋳片には、凝固殻を外側に押し拡げようとするバルジングにより、内部割れや表面割れなどの問題があった。この問題への対策として、鋳片を支持するサポートロールのピッチの縮小、対向するサポートロール同士の面間の正確な設定、鋳片の強冷却等が採用されていた。
【0003】
しかしながら、サポートロール同士の面間は、通常、鋳造実施前後(オフライン)に設定されていた。すなわち、モールド定期交換までの間は鋳造実施中(オンライン)であり、その間はサポートロール同士の面間の調整ができず、鋳片を誘導する際に生じる衝撃や摩耗により面間が拡がることでバルジングを抑制できず、鋳片の形状不良やこれに起因する内部割れ等の品質不良が生じていた。
【0004】
そこで、オンラインにてバルジング量を検出すると共に、その検出時の信号に基づいて鋳片を支持するサポートロールで押し付ける力や押し込む速度を制御する連続鋳造装置が開示されている(例えば特許文献1参照。)。具体的には、差動式液圧シリンダより鋳片に対して前後進可能な相対するサポートロールと、圧力制御弁及び切換弁を有する油圧回路と、サポートロールの変位量を液圧シリンダを介して検出する検出器とを備えている。この構成によれば、鋳片の外周部が破断して中から溶鋼が流れ出すブレークアウトが発生しやすいモールド直下等に設置し、バルジングを抑制することができるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開昭59-185559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1では、鋳片の進行方向に直交するようにシリンダのピストンにてサポートロールを前後進させる構造であるため、ロールセグメントの設置スペースが広範囲になってしまう。すなわち、鋳片を四方向からサポートロールで囲うには、少なくともシリンダ2本分とサポートロール2つ分と鋳片の幅分とを足し合わせた長さに相当する縦横の設置スペースが必要となるばかりでなく、ロールセグメント自体が大型になってしまう。
【0007】
また、サポートロールの位置検出器は、サポートロールに連動するように別途設けたシリンダのピストン動作に基づくものであるため、正確な位置を検出しにくい。すなわち、作動油の状態や油圧回路の長さ次第では、サポートロールの動作にシリンダのピストンが追従できない恐れがあり、位置検出器にて測定したサポートロールの位置は正確性に欠ける。
【0008】
そこで、本発明の目的は、ロールセグメント自体の小型化及び設置場所の小スペース化を実現すると共に、四方向からオンラインでのサポートロールの位置の検出及び調整を遠隔制御することで鋳片のバルジングによる品質不良を回避するサポートロールの位置調整装置及び位置調整方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明によるサポートロールの位置調整装置は、鋳型で鋳造された鋳片を四方向で支持するサポートロールと、上記サポートロールを回動自在に軸支するロール軸と、上記ロール軸を偏心回動させる偏心軸とを備えた連続鋳造装置のロールセグメントに設けられ、上記偏心軸に連結して回動するギアと、上記ギアと噛み合ってスライドするラックと、上記ラックの位置を検出するエンコーダと、上記ラックの軸であるピストンを有するシリンダと、上記エンコーダに基づいて上記ピストンが摺動するように上記シリンダに非圧縮性流体を供給するコントローラとを備えていることを特徴とする。
【0010】
上記サポートロールの位置調整装置が、上記シリンダの内圧を検出する圧力センサーをさらに備え、上記コントローラが、上記圧力センサーに基づいて上記シリンダに非圧縮性流体を供給することが望ましい。
【0011】
また、本発明によるサポートロールの位置調整方法は、鋳型で鋳造された鋳片をサポートロールで支持し、上記サポートロールを軸支するロール軸が回動し、上記ロール軸に連結する偏心軸が偏心回動し、上記偏心軸に連結するギアが回動し、上記ギアと噛み合うラックがスライドし、スライド後の上記ラックの位置をエンコーダが検出し、上記エンコーダに基づいて上記ラックの軸であるピストンが摺動するようにコントローラがシリンダに非圧縮性流体を供給し、摺動する上記ピストンに追従して上記ラック、上記ギア、上記偏心軸、上記ロール軸、及び上記サポートロールが連動することを特徴とする。
【0012】
また、本発明によるサポートロールの位置調整装置は、鋳型で鋳造された鋳片を四方向で支持するサポートロールと、上記サポートロールを回動自在に軸支するロール軸と、上記ロール軸を偏心回動させる偏心軸と、を備えた連続鋳造装置のロールセグメントに設けられ、油圧モータで回動するウォームと、上記ウォームと噛み合って、かつ上記偏心軸に連結して回動するウォームホイールと、上記ウォームホイールの回動量を検出するエンコーダと、上記エンコーダに基づいて上記油圧モータを制御するコントローラとを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によるサポートロールの位置調整装置及び位置調整方法は、ロールセグメント自体の小型化及び設置場所の小スペース化を実現すると共に、四方向からオンラインでのサポートロールの位置の検出及び調整を遠隔制御することで鋳片のバルジングによる品質不良を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態におけるサポートロールの位置調整装置を搭載したロールセグメントを連続鋳造装置に設置した状態を正面視した概念図である。
図2図1に示すロールセグメントのA-A部分を断面視した概念図である。
図3図2に示すロールセグメントのX部分を拡大した図である。
図4図3に示すロールセグメントの(a)B-B部分を断面視した拡大概念図、(b)C-C部分を断面視した拡大概念図である。
図5図2に示すロールセグメントのX部分を拡大した別の図である。
図6図5に示すロールセグメントのD-D部分を断面視した拡大概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1図6を参照しつつ、本発明によるサポートロールの位置調整装置(以下、「本サポートロールの位置調整装置」ともいう。)を説明する。
なお、これらの図において、複数個存在する同一の部位については、一つの部位のみに符番し、重複する部位については省略することがある。また、説明に必要な部分のみ図示し、不要な部分は図示していないところもある。
【0016】
図1及び図2に示すように、本サポートロールの位置調整装置は、ビレットを鋳造する図示しない連続鋳造装置に取り付けられたロールセグメントSに備わっている。ロールセグメントSは、図示しないダンデッィシュに貯留された溶鋼が供給される鋳型の直下(いわゆるトップゾーン)に設置されている。鋳型で鋳造された鋳片Mは、鋳造方向に垂直な断面で四辺を有する矩形状である。
【0017】
図2及び図3に示すように、ロールセグメントSは、鋳片Mを四方向の各々から支持する4つのサポートロール1と、各々のサポートロール1を回動自在に軸支するロール軸2と、ロール軸2を偏心回動させる偏心軸3とを備えている。サポートロール1、ロール軸2、及び偏心軸3で一つのユニットが構成されており、隣り合うユニット同士は各々直交する向きに配置してある。すなわち、鋳片Mは、四方向からサポートロール1の各々で囲まれた矩形状の空間を通過する。詳細には、サポートロール1は、ロール軸2を中心に図示しないボールベアリングを介して回転し、ロール軸2は、偏心軸3を中心に偏心回動する。ロール軸2と偏心軸3とは、一体的に成型されたものでも、所定のジョイントを介して連結したものでもよい。サポートロール1は、上下2段構造であるが、1段でも、3段以上でもよい。
この構成によれば、四方向からサポートロール1の位置を変更しながら鋳片Mを誘導することができる。詳細には、鋳片Mが既定の寸法と同程度の場合、鋳片Mがサポートロール1に接触すると、ロール軸2を中心にサポートロール1が回動して鋳片Mを誘導する。一方、鋳片Mが部分的又は全体的に既定の寸法より大きい場合、鋳片Mがサポートロール1に外力を加えることで、ロール軸2が偏心軸3と共に偏心回動するため、対向するサポートロール1の各々又は四方向全てのサポートロールが外側に拡がる。したがって、双方傷付けることなく、サポートロール1にて鋳片Mを適度に拘束すると共に、鋳片Mの四面全ての位置を調整することができる。
【0018】
図3及び図4に示すとおり、本サポートロールの位置調整装置は、サポートロール1の偏心軸3に連結しているギア4と、ギア4と噛み合ってスライドするラック5と、ラックの位置を検出するエンコーダ6と、ラック5の軸であるピストン71を有するシリンダ7と、エンコーダ6に基づいてピストン71が摺動するようにシリンダ7に油等の非圧縮性流体を供給する図示しないコントローラとを備えている。本サポートロールの位置調整装置は、サポートロール1の長手方向(軸方向)の一端側に配置されており、サポートロール1の他端側が、サポートロールの位置調整装置の側部分に当接している。本サポートロールの位置調整装置とサポートロール1の他端側とは、ネジ等の締結具で連結してあってもよい。
この構成によれば、本サポートロールの位置調整装置自体の大きさもコンパクトにできると共に、サポートロール1に対して少スペースで備え付けられるため、4つのサポートロール1を組み合わせて四方向からサポートするロールセグメントの小型化が実現する。
さらに、サポートロール1の位置を遠隔制御できるため、鋳片Mを理想の形状にすることができる。詳細には、偏心軸3の回動に伴ってギア4が回動し、ギア4の回動に伴ってラック5がスライドし、スライドして変更したラック5の位置をエンコーダ6が検出し、エンコーダ6の検出結果に基づいてラック5の軸であるピストン71が摺動するようにシリンダ7にコントローラが非圧縮性流体を供給するため、部分的又は全体的に既定の寸法より大きい鋳片Mにより拡がったサポートロール1を既定の位置に戻すことができる。すなわち、コントローラにより供給された非圧縮性流体でシリンダ7の一方の内圧が上昇してピストン7がスライドすると、ラック5も同方向にスライドすると共にギア4が回動するため、偏心軸3及びロール軸2が連動してサポートロール1が変動する。したがって、本サポートロールの位置調整装置により、サポートロール1の位置を遠隔制御してバルジングを抑制することができる。
【0019】
本サポートロールの位置調整装置は、シリンダ7の内圧を検出する図示しない圧力センサーをさらに備え、コントローラが、圧力センサーに基づいてシリンダ7に非圧縮性流体を供給する。
この構成によれば、圧力センサーが検出したシリンダ7の内圧の変化に基づいてシリンダ7に非圧縮性流体を供給できるため、エンコーダ6が検出したピストン71の位置の変化と合わせて二つのパラメータを用いてより正確にサポートロール1の位置を遠隔制御することができる。
【0020】
次に、図3及び図4を参照しつつ、本サポートロールの位置調整装置を構成する各部について説明する。
【0021】
ギア4は、サポートロール1と逆側の偏心軸3の端部分に配置された歯車が該当し、偏心軸3の端部分に一体成型したものでも、後付したものでもよい。
【0022】
ラック5は、シリンダ7のピストン71と一体的に設けられたものが該当する。換言すれば、シリンダ7は、ラック5付きのピストン71を搭載しているものも含まれる。
【0023】
エンコーダ6は、ロータリエンコーダが該当し、サポートロール1の位置を測定する。エンコーダ6には、回転軸の先端部分に取り付けたカップリングを介してエンコーダギア61が設けてある。エンコーダギア61は、ギア4が噛み合っている部分を除くラック5又はピストン71と噛み合っている。すなわち、エンコーダ6は、ラック5又はピストン71の動作に追従する。
【0024】
シリンダ7は、油圧式であるが、空気圧式でもよい。シリンダ7には、加圧及び減圧のために給油及び排油を行う開口7aが両端部分に設けてある。すなわち、シリンダ7は、ピストン71が内部を往復自在にスライドする構造である。
【0025】
コントローラは、エンコーダ8及び圧力センサーが検出した各パラメータを受け取り、図示しない圧力源からシリンダ7に給油して加圧し、かつシリンダ7から廃油して減圧するように図示しない電磁弁等の開閉機器の動作を電子的に命令するプログラム内蔵のマイコンを搭載した電子機器である。
詳細には、コントローラは、稼働前のサポートロール1の位置及びシリンダ7の内圧を初期値として、鋳片Mの通過時に加わった外力でサポートロール1の位置及びシリンダ7の内圧が変化した場合、エンコーダ8により検出されたギア4及びラック5の動作に基づくサポートロール1の変化後の位置及びシリンダ7の変化後の内圧と上記初期値との差分である変化量を算出し、上記変化量に応じて開閉時間や開閉度合いを上記開閉機器に命令する。
【0026】
次に、図1図4を参照しつつ、本サポートロールの位置調整装置による位置調整方法(以下、「本サポートロールの位置調整方法」ともいう。)について説明する。
【0027】
鋳片Mは、連続鋳造装置に取り付けられたロールセグメントSのサポートロール1の各々で四方向から囲まれた空間に誘導され、鋳片Mを既定の寸法又は形状にするため、サポートロール1の各々の位置を調整する。具体的には、鋳片Mの誘導前におけるサポートロール1の位置を初期値とし、鋳片Mの縦幅及び/又は横幅が上記初期値より大きい場合、サポートロール1を軸支するロール軸2が偏心軸3を中心に偏心回動することで、対向するサポートロール1の各々又は四方向全てのサポートロールが外側に拡がる。このとき、偏心軸3に連結して回動するギア4と噛み合ってスライドするラック5に噛み合っているエンコーダギア61の回動により、エンコーダ6が変化後のサポートロール1の位置を検出する。そして、エンコーダ6が検出したサポートロール1の位置に基づき、コントローラがサポートロール1の変化量を算出すると共に、ラック5の軸であるピストン71をスライドさせてサポートロール1の位置を初期値に戻すように、シリンダ7の給排油口7aから給油(他方の給排油口から排油)する。その後、ピストン71のスライドに連動してラック5がスライドし、ラック5のスライドに連動してギア4が回動し、ギア4の回動に連動して偏心軸3が回動し、偏心軸3の回動に連動して回転軸2が偏心回動して、回転軸2の偏心回動に連動してサポートロール1が所望の位置に戻る。
【0028】
この方法によれば、サポートロール1の各々が鋳片Mに対して四方向から一定の圧力で押圧することができるため、鋳片Mを既定の寸法又は形状にすることができる。したがって、押圧不足により生じる鋳片Mの膨れや割れを防止することができる。
【0029】
次に、図5及び図6を参照しつつ、本サポートロールの位置調整装置の構成及び各部について、図1図4で説明した内容と異なる部分のみ説明し、説明していない部分は同等の構造及び作用効果を奏するものとする。
なお、図1図4で示した部品又は部位と同等、類似、又は関連する構造及び作用効果を奏するものは、参照を容易にする等のため、図5及び図6において一律100を加えた番号にしている。
【0030】
図5及び図6に示すとおり、本サポートロールの位置調整装置は、油圧モータ107で回動するウォーム104と、ウォーム104と噛み合って、かつ偏心軸103に連結して回動するウォームホイール5と、ウォームホイール105の回動量を検出するエンコーダ106と、エンコーダ106に基づいて油圧モータ107を制御する図示しないコントローラとを備えている。
この構成によれば、コントローラが予め認識したサポートロール101の現在位置に応じて、サポートロール101の各々の面間を拡げたり狭めたりして位置調整することができる。すなわち、油圧モータ107の駆動に応じてウォーム104及びウォームホイール105が回動し、ウォームホイール105に応じて偏心軸103が偏心回動するため、サポートロール101の各々の面間が拡がったり狭まったりする。このとき、カップリングを介してエンコーダ106がウォームホイール105の回動量を検出しており、コントローラが上記回動量と上記現在位置とに基づいてサポートロール101の各々が規定の位置に到達したことを判断した時点で油圧モータ107を停止する。
【0031】
ウォーム104は、油圧モータ107の回転軸の先端に取り付けてある歯車と噛み合うように螺旋状に歯を切ってあるネジ歯車が該当し、上記回転軸と一体的に設けてあっても後付けして設けてあってもよい。
【0032】
ウォームホイール105は、サポートロール101と逆側の偏心軸103の端部分に配置してあり、ウォーム104と噛み合うように円弧状に歯を切ってある歯車が該当し、偏心軸103と一体的に設けてあっても後付けして設けてあってもよい。
【0033】
エンコーダ106は、ロータリエンコーダが該当し、カップリングを介して偏心軸103と連結している。すなわち、エンコーダ106は、ウォームホイール105の回動量からサポートロール1の位置を測定する。
【0034】
コントローラは、サポートロール101の位置やエンコーダ106が検出したウォームホイール105の回動量等に関するパラメータを受け取って油圧モータ107を制御するものである。
詳細には、コントローラは、稼働前のサポートロール1の位置を初期値とし、エンコーダ6が検出したウォームホイール105の回動量から割り出したサポートロール1の移動量又は移動後の位置と上記初期値との差分である変化量を算出し、上記変化量に応じて油圧モータの駆動を制御する。
【符号の説明】
【0035】
1、101 サポートロール
2、102 ロール軸
3、103 偏心軸
4 ギア
5 ラック
6、106 エンコーダ
7 シリンダ
71 ピストン
104 ウォーム
105 ウォームホイール
107 油圧モータ
M 鋳片
S ロールセグメント
図1
図2
図3
図4
図5
図6