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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-06
(45)【発行日】2023-02-14
(54)【発明の名称】カウンタ収納及びトイレ室
(51)【国際特許分類】
   E03D 11/00 20060101AFI20230207BHJP
   A47K 17/00 20060101ALI20230207BHJP
   E03C 1/122 20060101ALI20230207BHJP
   E03C 1/12 20060101ALI20230207BHJP
【FI】
E03D11/00 A
A47K17/00
E03C1/122 A
E03C1/122 Z
E03C1/12 C
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018184028
(22)【出願日】2018-09-28
(65)【公開番号】P2020051198
(43)【公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-08-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】392036821
【氏名又は名称】DICデコール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080182
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 三彦
(72)【発明者】
【氏名】川口 範幸
(72)【発明者】
【氏名】海老沢 豊
(72)【発明者】
【氏名】雑賀 厚志
(72)【発明者】
【氏名】濱野 強
(72)【発明者】
【氏名】片渕 健輔
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-080709(JP,A)
【文献】特開2015-217227(JP,A)
【文献】特開2006-322170(JP,A)
【文献】特開平08-004071(JP,A)
【文献】特開2018-079004(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 11/00
A47K 17/00
E03C 1/122
E03C 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の上階に設けられるトイレ室に設置され、当該トイレ室に隣接する外壁に沿って形成されるカウンタ収納であって、
隔壁に隔てられた第一収納室と第二収納室とを備え、
前記第一収納室は床面から排水竪管に連通する鉛直通気管が延びて収納されており、前記鉛直通気管の上端に管内が負圧のときに開放される通気弁が設けられ、
前記鉛直通気管は、前記排水竪管と略同一の内径であり、前記排水竪管に鉛直方向に直線的に接続されることを特徴とするカウンタ収納。
【請求項2】
建物の上階に設けられるトイレ室に設置され、当該トイレ室に隣接する外壁に沿って形成されるカウンタ収納であって、
隔壁に隔てられた第一収納室と第二収納室とを備え、
前記第一収納室は床面から排水竪管に連通する鉛直通気管が延びて収納されており、前記鉛直通気管の上端に管内が負圧のときに開放される通気弁が設けられ、
前記第一収納室へ外部から空気を供給する空気供給部が形成されることを特徴とするカウンタ収納。
【請求項3】
建物の上階に設けられるトイレ室に設置され、当該トイレ室に隣接する外壁に沿って形成されるカウンタ収納であって、
隔壁に隔てられた第一収納室と第二収納室とを備え、
前記第一収納室は床面から排水竪管に連通する鉛直通気管が延びて収納されており、前記鉛直通気管の上端に管内が負圧のときに開放される通気弁が設けられ、
前記第一収納室の上面に開閉可能に形成される第一天板と、前記第二収納室の上面に開閉可能に形成される第二天板とを更に備え、
前記第二収納室から前記第一収納室に向かって、前記鉛直通気管又は前記通気弁を修繕又は交換するための工具を挿入可能な挿入孔が、前記隔壁に形成されることを特徴とするカウンタ収納。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかのカウンタ収納を備えるとともに、
前記外壁の前記カウンタ収納の上方における前記外壁の幅方向の中央に開口部が形成されることを特徴とするトイレ室。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の上階に設けられるトイレ室に設置されるカウンタ収納及び、当該カウンタ収納を備えるトイレ室に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば住宅などの建物の2階以上にトイレ室を設ける場合、上階から下階に向かって汚物を水とともに排出するための排水竪管が設けられることとなる。このような排水竪管に汚物が落下する際にはサイフォンの原理によって、排水竪管内に負圧が発生し、便器内の封水が引かれて破封が生ずる可能性がある。
【0003】
そこで、排水竪管内に負圧が発生することを防止するために、排水竪管内に連通する通気管を天井裏などに立ち上げ、その先端に管内が負圧のときに開放される通気弁を設けて、排水竪管内に空気を導入して排水竪管の負圧を抑制し、便器内の破封を防止している。
【0004】
しかし、天井裏まで通気管を延ばす場合には、通気管を通すパイプスペースが必要となり、窓や内装のレイアウトの自由度を下げる問題がある。そこで、排水竪管に連通する通気管を外壁内の空間に延ばして形成することで通気管を外壁内に収納して、内装のレイアウトの自由度を高めたもの(特許文献1参照)や、便器のタンク部の一部を空洞にし、当該空洞に通気管を収納することで、便器のタンクに収納したもの(特許文献2参照)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2001-132863号公報
【文献】特開2002-167834号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、外壁内の空間やタンク内の空洞に通気管を収納する場合、これらの空間や空洞の大きさに限りがあるため、通気管を排水竪管よりも小径にする必要があり、排水竪管に十分な空気を導入できないおそれがある。また、排水竪管と通気管の位置が同軸状に直線的に配置することができず枝状に配置されることになり、折れ曲がった部分が形成されることから、スムーズな空気の導入が困難となる。
【0007】
そして、排水竪管への空気の導入が十分でなければ、排水竪管に負圧が発生することを十分に抑制できず、便器の破封を防ぐことができないおそれがある。
【0008】
そこで、本発明は、トイレの窓のレイアウトの自由度を確保しつつ、便器内の破封を抑制することができる通気弁を備えたカウンタ収納及びトイレ室を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のカウンタ収納は、建物の上階に設けられるトイレ室に設置され、当該トイレ室に隣接する外壁に沿って形成されるカウンタ収納であって、隔壁に隔てられた第一収納室と第二収納室とを備え、前記第一収納室は床面から排水竪管に連通する鉛直通気管が延びて収納されており、前記鉛直通気管の上端に管内が負圧のときに開放される通気弁が設けられ、前記鉛直通気管は、前記排水竪管と略同一の内径であり、前記排水竪管に鉛直方向に直線的に接続されることを特徴としている。
【0011】
本発明のカウンタ収納は、建物の上階に設けられるトイレ室に設置され、当該トイレ室に隣接する外壁に沿って形成されるカウンタ収納であって、隔壁に隔てられた第一収納室と第二収納室とを備え、前記第一収納室は床面から排水竪管に連通する鉛直通気管が延びて収納されており、前記鉛直通気管の上端に管内が負圧のときに開放される通気弁が設けられ、前記第一収納室へ外部から空気を供給する空気供給部が形成されることを特徴としている。
【0012】
本発明のカウンタ収納は、建物の上階に設けられるトイレ室に設置され、当該トイレ室に隣接する外壁に沿って形成されるカウンタ収納であって、隔壁に隔てられた第一収納室と第二収納室とを備え、前記第一収納室は床面から排水竪管に連通する鉛直通気管が延びて収納されており、前記鉛直通気管の上端に管内が負圧のときに開放される通気弁が設けられ、前記第一収納室の上面に開閉可能に形成される第一天板と、前記第二収納室の上面に開閉可能に形成される第二天板とを更に備え、前記第二収納室から前記第一収納室に向かって、前記鉛直通気管又は前記通気弁を修繕又は交換するための工具を挿入可能な挿入孔が、前記隔壁に形成されることを特徴としている。
【0013】
本発明のトイレ室は、上記いずれかのカウンタ収納を備えるとともに、前記外壁の前記カウンタ収納の上方における前記外壁の幅方向の中央に開口部が形成されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明のカウンタ収納によると、トイレ室の外壁に沿って形成されるカウンタ収納の第一収納室に排水竪管から連通する鉛直通気管及び通気弁を収納するので、鉛直通気管及び通気弁を外部に露出させることなく配置することができるとともに、カウンタ収納内に収納されることで、通気弁の上部に配置されるカウンタの天板が棚として利用可能となる。また、例えば外壁内やトイレタンクに空洞を形成する必要がないので外壁の厚さやトイレタンクの大きさを大きくする必要がない。
【0015】
本発明のカウンタ収納によると、鉛直通気管は、排水竪管と略同一の内径であり、排水竪管に鉛直方向に直線的に接続されるので、鉛直通気管を通った空気を排水竪管にスムーズに導入することができ、便器の排水時などに排水竪管内の負圧が大きくなることを防止して、便器の破封を防止することができる。
【0016】
本発明のカウンタ収納によると、第一収納室へ外部から空気を供給する空気供給部が形成されるので、通気弁を介して鉛直通気管に空気を導入するときに、第一収納室の気圧が低下して、鉛直通気管に十分な空気が導入できないことを抑制することができる。
【0017】
本発明のカウンタ収納によると、鉛直通気管及び通気弁が収納された第一収納室の上面に開閉可能な第一天板が形成されるので、通気弁や鉛直通気管を簡単にメンテナンスすることができる。また、第二収納室の上面に開閉可能な第二天板が形成されており、且つ、隔壁に挿入孔が形成されていることで、第二収納室の内部に収納された物品や第二収納室の内部に設けられた棚等と取り外すことで、第二収納室から挿入孔を介して第一収納室の内部に工具を挿入することができるので、横方向から工具を操作する必要がある場合にも通気弁や鉛直通気管を簡単にメンテナンスすることができる。例えば、通気弁を交換する際には、鉛直通気管を切断可能な鋸工具の鋸刃を挿入孔から第一収納室に挿入して、第二収納室内の鋸工具のグリップを押し引きすることで、簡単に鉛直通気管の上端部を切断して交換することができる。
【0018】
本発明のトイレ室によると、外壁のカウンタ収納の上方における外壁の幅方向の中央に開口部が形成されるので、パイプスペースなどが形成されて幅方向の中央に開口部が形成されない場合に比べて、バランスの良い開口部の配置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】トイレ室の全体構成を説明する水平断面図。
図2】カウンタ収納の内部を説明するトイレ室の一部省略拡大断面図。
図3】トイレ室の開口部の位置を説明する正面から見た断面図。
図4】建物内のトイレ室の配置及び排水経路を説明する断面図。
図5】カウンタ収納の内部構成を説明する正面から見た鉛直断面図。
図6図5のA-A線断面図。
図7図5のB-B線断面図。
図8図5のC-C線断面図。
図9】カウンタ収納の正面板を除いた斜視図。
図10】通気弁及び鉛直通気管のメンテナンスの工程を示す図であり、カウンタ収納から第一天板及び第二天板を取り外す状態を示す図。
図11】通気弁及び鉛直通気管のメンテナンスの工程を示す図であり、カウンタ収納から上棚板を取り外す状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係るカウンタ収納1及びトイレ室2の実施形態について各図を参照しつつ説明する。本実施形態のカウンタ収納1及びトイレ室2は、例えば集合住宅に配置される。なお、本発明のカウンタ収納1及びトイレ室2は、集合住宅に限定されるものではなく、戸建住宅やその他の用途の建物に用いても良い。
【0021】
トイレ室2は、図1及び図2に示すように、少なくとも一方の面が外壁5に沿うように配置されている。本実施形態においては、トイレ室2は便器4の背面側の壁が外壁5となっている。なお、便器4の背面側とはトイレ利用者が洋式便座に腰掛けた際に背面となる側である。トイレ室2の外壁5と反対側にはトイレ室2に出入りするドア6が設けられている。外壁5の屋内側には外壁5に沿ってカウンタ収納1が設けられている。カウンタ収納1は、トイレ室2の内装材7に例えば図示しないビスで固定される造作家具である。図3に示すように、外壁5のカウンタ収納1の高さよりも上には開口部8が形成されている。開口部8は、例えば引き違いの窓である。開口部8は、トイレ室2における外壁5の幅方向の中央に設けられる。
【0022】
本実施形態におけるカウンタ収納1を設けるトイレ室2は、図4に示すように、3階建ての建物の3階に設けられている。なお、トイレ室2は2階以上の階層に設けられるものであれば、最上階に設けられるものに限定されるものではない。本実施形態においては、1階、2階、及び3階にそれぞれトイレ室2,3が上下方向に重なる位置に設けられている。トイレ室2,3は、上下方向に重なるものに限定されるものではないが、トイレ室2,3が重なった配置の場合には、排水経路を単純にすることができ、排水竪管9の設置やメンテナンスのコストを低減させることができる。
【0023】
本実施形態の排水竪管9には、3階のトイレ室2の便器4の排水経路と2階のトイレ室3の便器4の排水経路とが1本の排水竪管9に連通している。また、1階のトイレ室3の便器4の排水経路は別系統となっている。なお、1階の排水経路が3階のトイレ室2及び2階のトイレ室3の便器4の排水経路と合流するものであっても良い。排水竪管9は内径100mmの薄肉塩化ビニル製である。排水竪管9は長手方向が鉛直方向を向くように形成されている。排水竪管9には3階及び2階の便器4の図示しないトラップに連通する排水接続管28がそれぞれ合流している。
【0024】
排水竪管9の上部には、図4から図6に示すように、排水竪管9に空気を導入する鉛直通気管10が形成されている。鉛直通気管10は排水竪管9と同じ内径100mmの薄肉塩化ビニル製であり、排水竪管9と鉛直通気管10とは直線的に同軸状に配置されている。このように鉛直通気管10が排水竪管9と略同径で且つ鉛直方向に直線的に同軸状に配置されることで、鉛直通気管10に導入された空気がスムーズに排水竪管9に供給されることとなり、排水竪管9内の負圧の発生を効果的に抑制できる。排水竪管9と鉛直通気管10とは物理的に分離可能でなくてもよく、3階のトイレ室2の便器4に連通する排水接続管28との合流部11よりも上方が鉛直通気管10であり、当該合流部11よりも下方が排水竪管9である。
【0025】
鉛直通気管10の上端には、通気弁12が形成されている。通気弁12の詳細は、図示を省略するが、弁体と弁座とを有し、鉛直通気管10の外の空気に対する鉛直通気管10内の負圧により弁体が弁座から離れて空気を鉛直通気管10内に導入するとともに、鉛直通気管10の外の空気に対する鉛直通気管10内が正圧の場合に弁体が弁座に着座して閉塞し、鉛直通気管10内の空気を外部に漏出させない弁である。通気弁12の高さ位置は、便器4の溢水高さよりも高く、且つ、カウンタ収納1に収納可能な高さである。
【0026】
カウンタ収納1は、図1及び図3に示すように、外壁5に沿って形成された略直方体形状であり、図5に示すように、隔壁13に隔てられた第一収納室14と第二収納室15とを備える。カウンタ収納1の幅は、トイレ室2の幅とほぼ等しく形成されている。第一収納室14には、鉛直通気管10及び通気弁12が収納される。また、第二収納室15の内部は、上棚板16で上下に隔てられており、下部空間の中間部に中間板17が立設されて、下部空間を左右に隔てている。下部空間のうち隔壁13に隣接する一方空間には、物品が収納されておらず、他方の空間には更に下棚板18が形成されて、掃除用具19や芳香剤のリフィル20、予備のトイレットペーパー21などが収納されている。
【0027】
隔壁13には、図7及び図9に示すように、第一収納室14と第二収納室15とを連通する挿入孔22が形成されている。挿入孔22は、高さ方向の長さが510mmで、奥行き方向の長さが165mmの矩形の孔であり、第二収納室15から挿入した通気弁12及び鉛直通気管10をメンテナンスするための工具の一部を挿入して、第一収納室14内の通気弁12又は鉛直通気管10に届かせるものである。
【0028】
カウンタ収納1の前面は、前面板23により閉塞されており、図2に示すように、第二収納室15側の一部が蝶番で固定されて開閉可能な開き戸24となっている。カウンタ収納1の前側には便器4のタンクが配置されているので、便器4と干渉することがない一部のみが開き戸24となっている。また、カウンタ収納1は、図9及び図10に示すように、第一収納室14の上面に第一天板25を備えるとともに、第二収納室15の上面に第二天板26を備える。第一天板25及び第二天板26はそれぞれ第一収納室14及び第二収納室15を開閉可能な構成となっている。なお、図10においては第一天板25及び第二天板26がそれぞれカウンタ収納1から取り外し可能な構成となっているが、例えば第一天板25又は第二天板26が蝶番によって開閉可能な構成であってもよい。
【0029】
カウンタ収納1は第一収納室14へ外部から空気を供給可能な空気供給部27を有する。空気供給部27は、図6に示すように、カウンタ収納1の外部と、第一収納室14とを連通する孔又は間隙である。空気供給部27は、通気弁12を介して鉛直通気管10に第一収納室14内の空気が導入されたときに、第一収納室14内にカウンタ収納1の外部から空気を取り入れる。空気供給部27は、例えば図6(B)に示すように、第一収納室14の前面板23の下端と、床から延びる化粧材との間に設けられた幅7mmの間隙である。空気供給部27は、一箇所に限られず、図8に示すように、カウンタ収納1の第一収納室14に側板が設けられていないことによって前面板23と間仕切壁との間に形成された幅3mmの間隙も空気供給部27である。また、図6(A)に示すように、前面板23と第一天板25との間にも空気供給部27は形成される。なお、本発明の空気供給部27はこれに限定されるものではなく、例えば前面板23にスリット状の格子を設けてもよいし、天板や外壁5側に間隙を形成してもよい。
【0030】
空気供給部27が供給する必要がある単位時間当たりの必要通気量は、排水竪管9内にサイフォン現象が発生することを抑制するために、通気弁12から鉛直通気管10に導入する空気の量に等しい。具体的には、必要通気量は、排水横主管の負荷流量の4倍となる。また、空気供給部27の必要断面積は、上記の負荷流量とSHASE(The Society of Heating, Air-Conditioning and Sanitary Engineers of Japan)の通気損失線図に基づいて算出される。例えば排水横主管の管径が100mmである場合に、空気供給部27の必要通気量は10.8L/秒となり、必要断面積は3523mmとなる。したがって、空気供給部27の外部に開いた面積の合計は少なくとも3523mmが必要であり、本実施形態においては、空気供給部27は外部に向かって6000mm以上の面積が開かれている。
【0031】
このように空気供給部27が必要断面積よりも十分に大きく外部に開口することで、例えば空気供給部27の一部がトイレ室2の用品によって塞がれた場合や塵埃が詰まった場合でも、十分な空気を第一収納室14に供給することができる。また、第一収納室14は挿入孔22を介して第二収納室15に連通しているので、第一収納室14は第二収納室15からも空気を取り入れることができ、空気供給部27の一部が塞がれるなどの不具合があった場合でも、第一収納室14に通気弁12から鉛直通気管10に導入する必要な量の空気を取り入れることができ、排水竪管9が許容限界以下の負圧となることを確実に防止できる。
【0032】
通気弁12及び鉛直通気管10をメンテナンスする際には、図10に示すように、まず、第一天板25を開いて第一収納室14を上方に開放するとともに、第二天板26を開いて第二収納室15を上方に開放する。なお、図10及び図11においては図示の都合上、前面板23を記載していないが、実際には前面板23によってカウンタ収納1の前面が閉じられている。そして、図11に示すように、上棚板16の上に載置されている物品を取り除いて、更に、上棚板16を取り除く。
【0033】
このようにすると、隔壁13に形成された挿入孔22が外部に露出することになり、例えば、通気弁12を交換する際には、鋸工具の鋸刃を第二収納室15から挿入孔22を介して第一収納室14に挿入することで、鉛直通気管10を水平に切断することができ、鉛直通気管10の上端部と通気弁12とを取り除いて、新たなジョイント間を介して新たな通気弁12を取り付けることが出来る。
【0034】
本実施形態のトイレ室2は、天井までのパイプスペースを延ばす必要がないので、第一天板25の上にトイレ室2の用品を載置することもでき、また、外壁5のカウンタ収納1の上方における外壁5の幅方向の中央に開口部8が形成することができるので、バランスの良い開口部8の配置とすることができる。
【0035】
本発明の実施の形態は上述の形態に限ることなく、本発明の思想の範囲を逸脱しない範囲で適宜変更することができることは云うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明に係るカウンタ収納1及びトイレ室2は、例えば集合住宅の上階に設けられるトイレ室2に設置されるカウンタ収納1及びトイレ室2として好適である。
【符号の説明】
【0037】
1 カウンタ収納
2 トイレ室
5 外壁
8 開口部
9 排水竪管
10 鉛直通気管
12 通気弁
13 隔壁
14 第一収納室
15 第二収納室
22 挿入孔
25 第一天板
26 第二天板


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11