(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-06
(45)【発行日】2023-02-14
(54)【発明の名称】ヒトの脳の皮質機能の目録を作るための方法および磁気画像化デバイス
(51)【国際特許分類】
A61B 5/246 20210101AFI20230207BHJP
A61B 10/00 20060101ALI20230207BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20230207BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20230207BHJP
【FI】
A61B5/246
A61B10/00 H
A61K45/00
A61P25/28
(21)【出願番号】P 2018551952
(86)(22)【出願日】2017-03-29
(86)【国際出願番号】 US2017024813
(87)【国際公開番号】W WO2017172961
(87)【国際公開日】2017-10-05
【審査請求日】2020-03-27
(32)【優先日】2016-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518344601
【氏名又は名称】ブレイン エフ.アイ.ティー. イメージング, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】フォード, ジョン ピー.
(72)【発明者】
【氏名】シュドル, グスタヴォ ピー.
【審査官】▲瀬▼戸井 綾菜
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-527111(JP,A)
【文献】米国特許第06195576(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00-5/398
A61B 10/00
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
脳磁図(MEG)データのエポックのセットをテスト患者が認知障害であるかどうかの指標として用いる方法であって、
複数の聴覚刺激事象に対する前記テスト患者の脳の応答の前記MEGデータのエポックのセットにアクセスするステップと、
前記エポックの3ピークサブセットを識別するために前記エポックのセットを処理するステップであって、前記サブセット内の各エポックが第1のピークと、第2のピークと、第3のピークとを備え、前記第1のピーク、前記第2のピークおよび前記第3のピークはそれぞれ、タイプAピーク、タイプBピークおよびタイプCピークに対応し、エポックの前記タイプAピークは、刺激事象後の50~100ミリ秒の時間範囲における極大であり、前記エポックの前記タイプBピークは、前記刺激事象後の100~200ミリ秒の時間範囲における極小であり、前記エポックの前記タイプCピークは、前記刺激事象後の200~400ミリ秒の時間範囲における極大である、ステップと、
前記MEGデータの各エポックを分析することによって複数のパラメータ値を決定するステップであって、
前記パラメータ値のうちの少なくとも1つが前記第1、第2、および第3のピークのうちの1つまたは複数を有する前記セット内のエポックの数に基づいて決定され、
前記パラメータ値のうちの少なくとも1つが前記3ピークサブセット内の前記エポックのうちの少なくともいくつかの第1、第2、および第3のピークのうちの1つのタイプのピークの振幅に基づいて決定される、ステップと、
前記パラメータ値を前記パラメータに基づいて訓練されるモデルに入力し、それにより、前記テスト患者が認知障害であるかどうかが示される、ステップとを含む方法。
【請求項2】
各エポックに基づいて前記複数のパラメータ値のうちの1つを決定するステップが、
前記セット内の他のエポックに対して、第1のタイプのピークについて閾値より低い振幅を有する前記セット内の前記エポックのサブセットを弱いサブセットとして識別することと、
第2のタイプのピークを有する前記弱いサブセット内の前記エポックの数に基づいて前記パラメータ値のうちの1つを決定することと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のタイプのピークがタイプAピーク、タイプBピーク、またはタイプCピークであり、前記第2のタイプのピークが、前記タイプAピーク、タイプBピーク、またはタイプCピークのうちの前記第1のタイプのピークとして選択されたピーク以外のピークである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
各エポックに基づいて前記複数のパラメータ値のうちの1つを決定するステップが、
前記セット内の他のエポックに対して、第1のタイプのピークについて閾値よりも高い振幅を有する前記エポックのサブセットを強いサブセットとして識別することと、
第2のタイプのピークを有する前記強いサブセット内の前記エポックの数に基づいて前記パラメータ値のうちの1つを決定することと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のタイプのピークがタイプAピーク、タイプBピーク、またはタイプCピークであり、前記第2のタイプのピークが、前記タイプAピーク、タイプBピーク、またはタイプCピークのうちの前記第1のタイプのピークとして選択されたピーク以外のピークである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
各エポックに基づいて前記複数のパラメータ値のうちの1つを決定するステップが、
前記セット内の他のエポックに対して、第1のタイプのピークについて閾値より低い振幅を有する前記エポックのサブセットを弱いサブセットとして識別することと、
前記弱いサブセット内の前記エポックの第2のタイプのピークの振幅の尺度に基づいて前記パラメータ値のうちの1つを決定することと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のタイプのピークがタイプAピーク、タイプBピーク、またはタイプCピークであり、前記第2のタイプのピークが、前記タイプAピーク、タイプBピーク、またはタイプCピークのうちの前記第1のタイプのピークとして選択されたピーク以外のピークである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
各エポックに基づいて前記複数のパラメータ値のうちの1つを決定するステップが、
前記セット内の他のエポックに対して、第1のタイプのピークについて閾値よりも高い振幅を有する前記エポックのサブセットを強いサブセットとして識別することと、
前記強いサブセット内の前記エポックの第2のタイプのピークの振幅の尺度に基づいて前記パラメータ値のうちの1つを決定することと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のタイプのピークがタイプAピーク、タイプBピーク、またはタイプCピークであり、前記第2のタイプのピークが、前記タイプAピーク、タイプBピーク、またはタイプCピークのうちの前記第1のタイプのピークとして選択されたピーク以外のピークである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記複数のパラメータ値のうちの1つを決定するステップが、
前記セット内の他のエポックに対して第1のタイプのピークについて閾値よりも高い振幅を有する前記エポックのサブセットを強いサブセットとして識別することと、
前記セット内の他のエポックに対して前記第1のタイプのピークについて閾値より低い振幅を有する前記エポックのサブセットを弱いサブセットとして識別することと、
前記強いサブセット内の前記第1のタイプのピークの面積に対する前記弱いサブセット内の前記第1のタイプのピークの面積の比に基づいて前記パラメータ値のうちの1つを決
定することと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記複数のパラメータ値のうちの1つを決定するステップが、
前記セット内の他のエポックに対して第1のタイプのピークについて閾値よりも高い振幅を有する前記エポックのサブセットを強いサブセットとして識別することと、
前記セット内の他のエポックに対して前記第1のタイプのピークについて閾値より低い振幅を有する前記エポックのサブセットを弱いサブセットとして識別することと、
前記弱いサブセット内の第2のタイプのピークの平均振幅に対する前記強いサブセット内の前記第2のタイプのピークの平均振幅の比に基づいて前記パラメータ値のうちの1つを決定することと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記第1のタイプのピークがタイプAピーク、タイプBピーク、またはタイプCピークであり、前記第2のタイプのピークが、前記タイプAピーク、タイプBピーク、またはタイプCピークのうちの前記第1のタイプのピークとして選択されたピーク以外のピークである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記複数のパラメータ値のうちの1つを決定するステップが、
前記セット内の他のエポックに対して第1のタイプのピークについて閾値よりも高い振幅を有する前記エポックのサブセットを強いサブセットとして識別することと、
前記セット内の他のエポックに対して前記第1のタイプのピークについて閾値より低い振幅を有する前記エポックのサブセットを弱いサブセットとして識別することと、
第2のタイプのピークを有する前記弱いサブセット内のエポックの数に対する前記第2のタイプのピークを有する前記強いサブセット内のエポックの数の比に基づいて前記パラメータ値のうちの1つを決定することと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記複数のパラメータ値のうちの1つを決定するステップが、
前記3ピークサブセット内の前記エポックの数に基づいて前記パラメータ値のうちの1つを決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記複数のパラメータ値のうちの1つを決定するステップが、
第1のタイプのピークを有する前記3ピークサブセット内の前記エポックの数に基づいて前記パラメータ値のうちの1つを決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記第1のタイプのピークがタイプAピーク、タイプBピーク、またはタイプCピークである、請求項1
5に記載の方法。
【請求項17】
前記複数のパラメータ値のうちの1つを決定するステップが、
第1のタイプのピークを有する前記3ピークサブセット内の前記エポックの持続時間の変動に基づいて前記パラメータ値のうちの1つを決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記第1のタイプのピークがタイプAピーク、タイプBピーク、またはタイプCピークである、請求項1
7に記載の方法。
【請求項19】
前記複数のパラメータ値のうちの1つを決定するステップが、
第1のタイプのピークを有する前記3ピークサブセット内の前記エポックの持続時間の平均に基づいて前記パラメータ値のうちの1つを決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記第1のタイプのピークがタイプAピーク、タイプBピーク、またはタイプCピークである、請求項
19に記載の方法。
【請求項21】
前記複数のパラメータ値のうちの1つを決定するステップが、
第1のタイプのピークを有する前記3ピークサブセット内の前記エポックの持続時間の平均で割った、前記第1のタイプのピークを有する前記3ピークサブセット内の前記エポックの持続時間の変動に基づいて前記パラメータ値のうちの1つを決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記第1のタイプのピークがタイプAピーク、タイプBピーク、またはタイプCピークである、請求項2
1に記載の方法。
【請求項23】
前記複数のパラメータ値のうちの1つを決定するステップが、
前記第1のピークを含むエポック内の第1のタイプのピークの平均振幅に基づいて前記パラメータ値のうちの1つを決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記第1のタイプのピークがタイプAピーク、タイプBピーク、またはタイプCピークである、請求項2
3に記載の方法。
【請求項25】
前記複数のパラメータ値のうちの1つを決定するステップが、
前記3ピークサブセット内のエポック内の第1のタイプのピークのレイテンシに基づいて前記パラメータ値のうちの1つを決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記パラメータ値が、前記第1のタイプのピークの前記レイテンシの分散、標準偏差、平均、中央値、および最頻値のうちの少なくとも1つに基づく、請求項2
5に記載の方法。
【請求項27】
前記第1のタイプのピークがタイプAピークまたはタイプCピークである、請求項2
5に記載の方法。
【請求項28】
前記エポック内の前記第1のタイプのピークの前記レイテンシが、前記エポック内のシグナルの一次導関数がゼロであるときに基づいて決定される、請求項2
7に記載の方法。
【請求項29】
前記第1のタイプのピークがタイプBピークである、請求項2
5に記載の方法。
【請求項30】
前記エポックのうちの1つにおける前記第1のタイプのピークの前記レイテンシが、前記エポック内のシグナルがその最大絶対値であるときに基づいて決定される、請求項
29に記載の方法。
【請求項31】
前記複数のパラメータ値のうちの1つを決定するステップが、
前記3ピークサブセット内のエポック内の第1のタイプのピークの開始点に基づいて前記パラメータ値のうちの1つを決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項32】
前記パラメータ値が、前記第1のタイプのピークの前記開始点の分散、標準偏差、平均、中央値、および最頻値のうちの少なくとも1つに基づく、請求項3
1に記載の方法。
【請求項33】
前記第1のタイプのピークがタイプBピークである、請求項3
1に記載の方法。
【請求項34】
前記エポックのうちの1つにおける前記第1のタイプのピークの前記開始点が、前記エポック内のシグナルがベースラインシグナルの標準偏差の2倍よりも大きいときに基づいて決定される、請求項3
3に記載の方法。
【請求項35】
前記第1のタイプのピークがタイプAピークまたはタイプCピークである、請求項3
1に記載の方法。
【請求項36】
前記エポックのうちの1つにおける前記第1のタイプのピークの前記開始点が、前記エポック内のシグナルの一次導関数が符号を変化させるときに基づいて決定される、請求項3
5に記載の方法。
【請求項37】
前記複数のパラメータ値のうちの1つを決定するステップが、
前記3ピークサブセット内のエポック内の第1のタイプのピークのオフセットに基づいて前記パラメータ値のうちの1つを決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項38】
前記パラメータ値が、前記第1のタイプのピークの開始点の分散、標準偏差、平均、中央値、および最頻値のうちの少なくとも1つにさらに基づく、請求項3
7に記載の方法。
【請求項39】
前記第1のタイプのピークがタイプBピークである、請求項3
7に記載の方法。
【請求項40】
前記エポックのうちの1つにおける前記第1のタイプのピークの開始点が、前記エポック内のシグナルが前記エポックに関するタイプBピークレイテンシの後のベースラインシグナルの標準偏差の2倍よりも大きいときに基づいて決定される、請求項
39に記載の方法。
【請求項41】
前記エポックのうちの1つにおけるタイプAピークのオフセットが、前記エポック内のシグナルの一次導関数が符号を変化させるときに基づいて決定される、請求項
39に記載の方法。
【請求項42】
前記複数のパラメータがbadInPoolパラメータと複数の追加パラメータとを含み、badInPoolパラメータの値を決定するステップが、
各追加パラメータについて、正常値分布内にある最も小さい正常なテスト患者の確率よりも小さい前記正常値分布内にある確率を有する前記テスト患者に関する値を有するいくつかの前記追加パラメータの数を決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項43】
前記複数のパラメータがweightInPoolパラメータと複数の追加パラメータとを含み、weightInPoolパラメータの値を決定するステップが、
各追加パラメータについて、正常値分布内にある最も小さい正常なテスト患者の確率と、前記正常値分布内にある前記テスト患者に関する前記追加パラメータの値の確率との間の差を合計することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項44】
前記モデルが、前記テスト患者を認知障害または非認知障害として分類するように構成された1ステップモデルである、請求項1に記載の方法。
【請求項45】
前記モデルが2部分モデルであり、前記モデルが、テスト患者に関するミニメンタルステート検査(MMSE)スコアを予測するように構成された第1の部分と、前記予測されたMMSEスコアに基づいて前記テスト患者を認知障害または非認知障害として分類するように構成された第2の部分とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項46】
前記モデルが、ランダムフォレストモデル、勾配ブースティングモデル、サポートベクトル機械(SVM)モデル、線形SVMモデル、放射基底関数カーネルSVM、線形回帰、およびロジスティック回帰のうちの少なくとも1つを使用して訓練された、請求項1に記載の方法。
【請求項47】
タイプAピークが、前記聴覚刺激事象後の50~100ミリ秒の範囲内においてエポック内に生じる、請求項1に記載の方法。
【請求項48】
タイプBピークが、前記聴覚刺激事象後の100~200ミリ秒の範囲内においてエポック内に生じる、請求項1に記載の方法。
【請求項49】
タイプCピークが、前記聴覚刺激事象後の200~400ミリ秒の範囲内においてエポック内に生じる、請求項1に記載の方法。
【請求項50】
前記エポックのセットが、
前記複数の聴覚刺激事象をオーディオスピーカから送信するステップと、
前記テスト患者の前記脳の近位に配置されたMEGセンサを用いて前記エポックのセットを記録するステップと
によって提供されている、請求項1に記載の方法。
【請求項51】
前記MEGセンサがSQUIDである、請求項5
0に記載の方法。
【請求項52】
前記エポックのセットが、
同様に前記テスト患者の前記脳の近位に配置された少なくとも1つの追加MEGセンサを用いてエポックの少なくとも1つの追加セットを記録するステップであって、前記MEGセンサの各々が、前記テスト患者の前記脳の周囲の異なる位置に配置される、ステップによって提供されている、請求項5
0に記載の方法。
【請求項53】
異なるMEGセンサから生成されたエポックの異なるセットを処理するステップと、
異なるMEGセンサに対応するエポックの各セットについて、前記タイプAピークを有するエポックのパーセンテージを決定するステップと
をさらに含み、
前記MEGデータのエポックのセットにアクセスするステップが、前記タイプAピークを有するエポックの最も高いパーセンテージを有する前記MEGセンサに関連する前記エポックのセットにアクセスすることを含む、請求項5
2に記載の方法。
【請求項54】
異なるMEGセンサから生成されたエポックの異なるセットを処理するステップと、
異なるMEGセンサに対応するエポックの各セットについて、前記タイプBピークを有するエポックのパーセンテージを決定するステップと
をさらに含み、
前記MEGデータのエポックのセットにアクセスするステップが、前記タイプBピーク
を有するエポックの最も高いパーセンテージを有する前記MEGセンサに関連する前記エポックのセットにアクセスすることを含む、請求項5
2に記載の方法。
【請求項55】
エポック内のタイプAピークの最も高い強度を有する前記MEGセンサを識別するために前記エポックのセットを処理するステップをさらに含み、
前記MEGデータのエポックのセットにアクセスするステップが、前記タイプAピークの前記最も高い強度を有する前記MEGセンサに関連する前記エポックのセットにアクセスすることを含む、請求項5
2に記載の方法。
【請求項56】
前記MEGセンサが前記テスト患者の前記脳の同側に配置される、請求項5
2に記載の方法。
【請求項57】
前記聴覚刺激事象が50ミリ秒の持続時間である、請求項5
2に記載の方法。
【請求項58】
前記聴覚刺激事象が少なくとも500ミリ秒間隔を開けられる、請求項5
2に記載の方法。
【請求項59】
前記聴覚刺激事象が600~700ヘルツ(両端の値を含む)のトーンを含む、請求項5
0に記載の方法。
【請求項60】
前記エポックのセットが少なくとも250のエポックを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項61】
脳磁図(MEG)データのエポックのセットをテスト患者が認知障害であるかどうかの指標として用いる方法であって、
複数の聴覚刺激事象に対する前記テスト患者の脳の応答の前記MEGデータのエポックのセットにアクセスするステップと、
前記エポックの3ピークサブセットを識別するために前記エポックのセットを処理するステップであって、前記サブセット内の各エポックが第1のピークと、第2のピークと、第3のピークとを備え、前記第1のピーク、前記第2のピークおよび前記第3のピークはそれぞれ、タイプAピーク、タイプBピークおよびタイプCピークに対応し、エポックの前記タイプAピークは、刺激事象後の50~100ミリ秒の時間範囲における極大であり、前記エポックの前記タイプBピークは、前記刺激事象後の100~200ミリ秒の時間範囲における極小であり、前記エポックの前記タイプCピークは、前記刺激事象後の200~400ミリ秒の時間範囲における極大である、ステップと、
複数のパラメータ値を決定するステップであって、前記パラメータ値のうちの少なくとも1つが、前記エポックのセットおよび前記エポックの3ピークサブセットのうちの少なくとも1つ内の各エポックからのMEGデータを分析することに基づいて決定される、ステップと、
前記パラメータ値を前記パラメータに基づいて訓練されるモデルに入力し、それにより、前記テスト患者が認知障害であるかどうかが示される、ステップを含む方法。
【請求項62】
脳磁図(MEG)データのエポックのセットをテスト患者が認知障害であるかどうかの指標として用いる方法であって、
複数の聴覚刺激事象に対する前記テスト患者の脳の応答の前記MEGデータのエポックのセットにアクセスするステップと、
前記エポックの3ピークサブセットを識別するために前記エポックのセットを処理するステップであって、前記サブセット内の各エポックが第1のピークと、第2のピークと、第3のピークとを備え、前記第1のピーク、前記第2のピークおよび前記第3のピークはそれぞれ、タイプAピーク、タイプBピークおよびタイプCピークに対応し、エポックの前記タイプAピークは、刺激事象後の50~100ミリ秒の時間範囲における極大であり
、前記エポックの前記タイプBピークは、前記刺激事象後の100~200ミリ秒の時間範囲における極小であり、前記エポックの前記タイプCピークは、前記刺激事象後の200~400ミリ秒の時間範囲における極大である、ステップと、
複数のパラメータ値を決定するステップであって、前記決定するステップが、
前記セット内の他のエポックに対してタイプAピークについて閾値よりも高い振幅を有する前記セットの前記エポックのサブセットをstrongAサブセットとして識別することと、
タイプBピークを有する前記strongAサブセット内の前記エポックの数を表すstrongA_Bnumパラメータを決定することと、
前記3ピークサブセット内の他のエポックに対して前記タイプAピークについて閾値より低い振幅を有する前記セットの前記エポックのサブセットをweakAサブセットとして識別することと、
前記weakAサブセット内の前記エポックの前記タイプBピークの振幅の尺度を表すweakA_Bampパラメータを決定することと、
前記weakAサブセット内の前記エポックのタイプCピークの振幅の尺度を表すweakA_Campパラメータを決定することと、
前記3ピークサブセット内の前記エポックの数を表すA*B*Cパラメータと、
タイプAピークを有する前記セット内の前記エポックの数を表すnAパラメータとを備える、ステップと、
前記パラメータ値を前記パラメータに基づいて訓練されるモデルに入力し、それにより、前記テスト患者が認知障害であるかどうかが示される、ステップを含む方法。
【請求項63】
脳磁図(MEG)データのエポックのセットを、患者における認知障害を診断するための指標として用いる方法であって、
複数の聴覚刺激事象に対する前記患者の脳の応答の前記MEGデータのエポックのセットにアクセスするステップと、
前記エポックの3ピークサブセットを識別するために前記エポックのセットを処理するステップであって、前記サブセット内の各エポックが第1のピークと、第2のピークと、第3のピークとを備え、前記第1のピーク、前記第2のピークおよび前記第3のピークはそれぞれ、タイプAピーク、タイプBピークおよびタイプCピークに対応し、エポックの前記タイプAピークは、刺激事象後の50~100ミリ秒の時間範囲における極大であり、前記エポックの前記タイプBピークは、前記刺激事象後の100~200ミリ秒の時間範囲における極小であり、前記エポックの前記タイプCピークは、前記刺激事象後の200~400ミリ秒の時間範囲における極大である、ステップと、
前記MEGデータの各エポックを分析することによって複数のパラメータ値を決定するステップであって、
前記パラメータ値のうちの少なくとも1つが前記第1、第2、および第3のピークのうちの1つまたは複数を有する前記セット内のエポックの数に基づいて決定され、
前記パラメータ値のうちの少なくとも1つが前記3ピークサブセット内の前記エポックのうちの少なくともいくつかの第1、第2、および第3のピークのうちの1つの振幅に基づいて決定される、ステップと、
前記パラメータ値を前記パラメータに基づいて訓練されるモデルに入力し、それにより、患者が認知障害であるかどうかが示される、ステップとを含む、方法。
【請求項64】
脳磁図(MEG)データのエポックのセットを、神経変性によって引き起こされた患者における認知障害を他の病因の認知障害から診断により区別するための指標として用いる方法であって、
複数の聴覚刺激事象に対する前記患者の脳の応答の前記MEGデータのエポックのセットにアクセスするステップと、
前記エポックの3ピークサブセットを識別するために前記エポックのセットを処理する
ステップであって、前記サブセット内の各エポックが第1のピークと、第2のピークと、第3のピークとを備え、前記第1のピーク、前記第2のピークおよび前記第3のピークはそれぞれ、タイプAピーク、タイプBピークおよびタイプCピークに対応し、エポックの前記タイプAピークは、刺激事象後の50~100ミリ秒の時間範囲における極大であり、前記エポックの前記タイプBピークは、前記刺激事象後の100~200ミリ秒の時間範囲における極小であり、前記エポックの前記タイプCピークは、前記刺激事象後の200~400ミリ秒の時間範囲における極大である、ステップと、
前記MEGデータの各エポックを分析することによって複数のパラメータ値を決定するステップであって、
前記パラメータ値のうちの少なくとも1つが前記第1、第2、および第3のピークのうちの1つまたは複数を有する前記セット内のエポックの数に基づいて決定され、
前記パラメータ値のうちの少なくとも1つが前記3ピークサブセット内の前記エポックのうちの少なくともいくつかの第1、第2、および第3のピークのうちの1つの振幅に基づいて決定される、ステップと、
前記パラメータ値を前記パラメータに基づいて訓練されるモデルに入力し、それにより、患者が認知障害であるかどうかが示され、ここで、神経変性によって引き起こされた認知障害が、他の病因の認知障害から区別される、ステップを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2016年3月30日に出願された“METHODS AND MAGNETIC IMAGING DEVICES TO INVENTORY HUMAN BRAIN CORTICAL FUNCTION”と題する米国仮出願番号第62/315,376号、および2017年3月28日に出願された“METHODS AND MAGNETIC IMAGING DEVICES TO INVENTORY HUMAN BRAIN CORTICAL FUNCTION”と題する米国出願番号第15/472,130号に基づく優先権を主張しており、これらの出願は、それらの全体が参考として本明細書中に本明細書によって援用される。
【0002】
技術の分野
本明細書は、医用イメージングの分野を対象とする。より具体的には、本明細書は、脳内の電気活動を検出および評価するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
社会的負担を急速に増加させているにもかかわらず、アルツハイマー疾患(「AD:Alzheimer’s disease」)のような神経変性障害に対する治療法の開発の進展は、遅いままである。
【0004】
効果的な治療剤を開発する上での課題の一部は、疾患関連標的を関与させるために分子が血液脳関門(「BBB:blood-brain barrier」)を通過するという要件である。疾患修飾剤を開発する努力に特に関連する別の課題は、疾患の状態および進行を監視するために繰り返し使用することができる非侵襲的技法の必要性である。ADの治験において潜在的な疾患修飾抗体の有効性を監視するために、いくつかのイメージング手法、特に、βアミロイドプラーク面積(burden)の陽電子放射断層撮影(「PET:positron emission tomography」)検出が使用されているが、これらの放射線同位元素イメージング技法は、疾患の推定病態生理学的相関を検出し、一次症状、認知機能の喪失を直接測定はしない。
【0005】
脳機能を測定するための既存の手法は、同様に、神経変性疾患の状態および進行を監視するのに適していない。
【0006】
現在臨床的に使用されている大脳皮質機能的イメージング手法は、神経機能を直接的に画像化せず、機能的磁気共鳴イメージング(「fMRI:functional magnetic resonance imaging」)は、血流を画像化し、陽電子放射断層撮影(「PET」)は、グルコース消費量を監視する場合、代謝を画像化する。
【0007】
加えて、ある特定の機能的イメージング手法の時間分解能と、脳内のシグナル伝達事象の持続時間との間に不一致が存在する可能性がある。たとえば、fMRIは、秒の時間フレームにおいて敏感であるが、脳内の正常な事象は、ミリ秒(「msec」)の時間フレーム内に生じる。脳波検査(「EEG:electroencephalography」)は、ミリ秒の時間フレームにおける事象に敏感であるが、脳を囲む組織による予測不可能なシグナル減衰が、近シグナルと遠シグナルの両方を混合させる。この問題は、複数の電流源(たとえば、一次皮質源と二次皮質源の両方)が存在する場合に複合化される。
【0008】
したがって、機能の変化を検出および監視するために使用することができる脳皮質機能を画像化するための非侵襲的技法の必要性が当技術分野において存在する。統計的に有意な分類精度で神経変性障害の進行を検出、病期分類、および監視するために使用することができる非侵襲的機能イメージング手法が特に必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
要旨
本発明者らは、ADを検出するために脳磁図(「MEG:magnetoencephalography」)を使用して適切な分類精度を達成するための過去の失敗が、反復刺激に対する誘発応答の合成に起因したことを発見した。以前は、すべてのそのような刺激にわたる誘発応答を平均し、個々の間の平均誘発応答を比較することが一般的であった。これらの初期の結果は、合成されたMEGデータに基づく単一のパラメータが、モデルMEGデータに基づいてすべての認知障害のあるテスト患者からすべての正常なテスト患者を区別するのに十分でないかも知れないことを示した。本発明者らは、反復刺激に対する正常な脳応答と病変した脳応答との間の統計的に有意義な差異が、複数の異なる誘発応答にわたる個々の誘発応答におけるある特定のパラメータの相対的な存在および強度において見出されることを発見し、この分布情報は、それらの応答の平均化を介してシグナル分析の初期段階において先に破棄された。
【0010】
したがって、本発明者らは、統計的に有意な分類精度で神経変性障害の進行を非侵襲的に検出、病期分類、および監視することができるモデルを開発した。
【0011】
モデルは、テスト患者の脳活動から収集されたテストMEGデータに基づいて、正常な認知機能を有する患者から認知機能障害を有する患者を分離する。モデルは、好ましくはミニメンタルステート検査(「MMSE:Mini Mental State Exam」)のような代替プロトコールによって客観的に評価された認知機能状態の範囲を有するテスト患者のプールからモデルMEGデータを収集することによって開発される。モデルMEGデータは、データ収集プロトコールの下でテスト患者の脳からのシグナルを検出する少なくとも1つの超伝導量子干渉デバイス(「SQUID:superconducting quantum interference device」)センサを使用して収集される。MEGは、脳の活性化、興奮、および/または応答の相対的な程度を測定する。一般的にはわずか1つの、または一般的にはほんの少数の、少なくとも1つのSQUIDセンサからのMEGデータが、その後分析される。機能障害のあるテスト患者のMEGスキャンと正常なテスト患者のMEGスキャンとの間の差異の形態の候補パラメータが識別される。候補パラメータは、これらの差異を定量化し、活性化、興奮、および/または応答が進行性の認知機能障害とともに漸進的に異なって生じることを示すように展開される。次いで、候補パラメータのうちの特定のものが、モデルパラメータとしてモデルのうちの1つに含めるために選択される。回帰から機械学習およびディープ学習アルゴリズムまでの様々な複雑さのデータ科学的技法が、テストセット外の患者を認識、定量化、および類別する際に使用するためのモデルを訓練するために使用される。
【0012】
特定の例として、アルツハイマー疾患検出(「ADD:Alzheimer’s Disease Detection」)モデルは、正常な認知機能を有するテスト患者を、アルツハイマー疾患(「AD」)に特有の認知機能障害を有する患者から分離することができる。モデルを訓練するために、SQUIDセンサの従来のセットによるMEGが、テスト患者のセットにおける聴覚刺激に続く脳からのシグナルを検出するために使用される。テスト患者は、好ましくは代替プロトコールによって客観的に評価されたADに関連する認知機能状態の範囲を有する。MEGは、聴覚刺激の後に、脳活性化/興奮の相対的な程度と、活性化に対するその後の応答とを測定する。ADテスト患者のMEGスキャンと「正常な」テスト患者のMEGスキャンとの間の微妙な差異が識別された。モデルMEGデータの離散的候補パラメータが、モデルパラメータとして識別され、これらの微妙な差異を定量化するために展開された。モデルおよびそれらの構成モデルパラメータは、どれくらい多くのモデルパラメータが使用されるのかに応じてテスト患者の完全な類別から下方に変化する性能を伴って、正常な患者とAD患者とを強く区別することが示されている。実装形態では、モデルは、正常な患者とAD患者とを区別する能力において性能の範囲を調和して有する可能なモデルパラメータの範囲内から構築されてもよい。
【0013】
エポック単位で実行を調べることによって、正常な患者とAD患者との間の差異は、より明確になった。認知能力の兆候は、音響刺激が最初に、より高い第1のピークが良好ではない第1のピーク(ピークA)を引き出す効率、次いで、第1のピークが第2のピーク(ピークB)と付随する効率、および、最後に、第2のピークが第3のピーク(ピークC)と付随する効率から明らかである。以下に論じるいくつかの他の候補パラメータに関して説明するように、認知能力の他の態様も明らかである。認識効率との関連性を超えて、このプロセスにおける摂動は、同じ日に取得された2つのセッション間、ならびに短い時間間隔(2週間)にわたって安定しており、個人特定的である。
【0014】
例示的な実施形態では、認知障害の決定を行うための方法は、複数の聴覚刺激事象に対するテスト患者の脳の応答の脳磁図(MEG)データのエポックのセットにアクセスするステップと、エポックの3ピークサブセットを識別するためにエポックのセットを処理するステップであって、サブセット内の各エポックが第1のピークと、第2のピークと、第3のピークとを備える、ステップと、MEGデータの個々のエポックを分析することによって複数のパラメータ値を決定するステップであって、パラメータ値のうちの少なくとも1つが第1、第2、および第3のピークのうちの1つまたは複数を有するセット内のエポックの数に基づいて決定され、パラメータ値のうちの少なくとも1つが3ピークサブセット内のエポックのうちの少なくともいくつかの第1、第2、および第3のピークのうちの1つの振幅に基づいて決定される、ステップと、テスト患者が認知障害であるかどうかを決定するために、パラメータ値をパラメータに基づいて訓練されるモデルに入力するステップと、決定を提供するステップとを含む。
【0015】
別の例示的な実施形態では、認知障害の決定を行うための方法は、複数の聴覚刺激事象に対するテスト患者の脳の応答の脳磁図(MEG)データのエポックのセットにアクセスするステップと、エポックの3ピークサブセットを識別するためにエポックのセットを処理するステップであって、サブセット内の各エポックが第1のピークと、第2のピークと、第3のピークとを備える、ステップと、複数のパラメータ値を決定するステップであって、パラメータ値のうちの少なくとも1つが、エポックのセットおよびエポックの3ピークサブセットのうちの少なくとも1つ内の個々のエポックからのMEGデータを分析することに基づいて決定される、ステップと、テスト患者が認知障害であるかどうかを決定するために、パラメータ値をパラメータに基づいて訓練されるモデルに入力するステップと、決定を提供するステップとを含む。
【0016】
さらに別の例示的な実施形態では、認知障害の決定を行うための方法は、複数の聴覚刺激事象に対するテスト患者の脳の応答の脳磁図(MEG)データのエポックのセットにアクセスするステップと、エポックの3ピークサブセットを識別するためにエポックのセットを処理するステップであって、サブセット内の各エポックが第1のピークと、第2のピークと、第3のピークとを備える、ステップと、複数のパラメータ値を決定するステップであって、パラメータが、セット内の他のエポックに対してタイプAピークについて最も強い振幅を有するセットのエポックのstrongAサブセットを識別するステップと、タイプBピークを有するstrongAサブセット内のエポックの数を表すstrongA_Bnumパラメータを決定するステップと、3ピークサブセット内の他のエポックに対してタイプAピークについて最も弱い振幅を有するセットのエポックのweakAサブセットを識別するステップと、weakAサブセット内のエポックのタイプBピークの振幅の尺度を表すweakA_Bampパラメータを決定するステップと、weakAサブセット内のエポックのタイプCピークの振幅の尺度を表すweakA_Campパラメータを決定するステップと、A*B*Cパラメータが3ピークサブセット内のエポックの数を表し、そしてnAパラメータがタイプAピークを有するセット内のエポックの数を表し、テスト患者が認知障害であるかどうかを決定するために、パラメータ値をパラメータに基づいて訓練されるモデルに入力するステップと、決定を提供するステップとを含む。
【0017】
本発明の他の特徴および利点は、本発明の原理を例として示す添付図面と併せて以下のより詳細な説明から明らかになる。
【0018】
特許または出願ファイルは、カラーで作成された少なくとも1つの図面を含む。カラー図面を有するこの特許または特許出願の刊行物のコピーは、請求および必要な料金の支払いに応じて庁によって提供される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1A】
図1Aは、一実施形態における脳磁図(「MEG」)システムのための可動患者支持デバイス内のテスト患者を概略的に示す。
【0020】
【
図1B】
図1Bは、一実施形態における中央センサの約2~4センチメートル下方の領域に合焦する5つの周囲センサを有する超伝導量子干渉デバイス(「SQUID」)センサのアレイを有する例示的なセンサヘッドの上面図を概略的に示す。
【0021】
【
図1C】
図1Cは、一実施形態における脳の脳溝の近くの電気シグナルによって生成された磁場を検出するように配向されたセンサヘッドを有するライン3-3に沿った
図1BのSQUIDセンサヘッドの断面を示す。
【0022】
【
図1D】
図1Dは、一実施形態におけるMEGシステムの論理要素構成図を示す。
【0023】
【
図2A】
図2Aは、いくつかのSQUIDセンサの各々に関する刺激に対する例示的な平均応答を示す。
【0024】
【
図2B】
図2Bは、単一のSQUIDセンサに関する例示的な平均応答を示す。
【0025】
【
図3A】
図3Aは、第1の正常な患者に対する単一のSQUIDセンサに関する単一のセッションからのスキャンの脳磁図(「MEG」)セットのエポックの例示的なヒートマップを示す。
【0026】
【
図3B】
図3Bは、アルツハイマー疾患(「AD」)患者に対する単一のSQUIDセンサに関する単一のセッションからのスキャンのMEGセットのエポックの例示的なヒートマップを示す。
【0027】
【
図3C】
図3Cは、第2の正常な患者に対する単一のセッションからのスキャンのMEGセットのエポックの例示的なヒートマップを示す。
【0028】
【
図3D】
図3Dは、候補パラメータnBを推定するための手順を示す。
【0029】
【
図3E】
図3Eは、テスト患者の例示的なセットに関する候補パラメータA*B*Cに関する例示的なBland-Altman信頼性プロットを示す。
【0030】
【
図3F】
図3Fは、テスト患者の例示的なセットに関する候補パラメータA*B*Cに関する例示的なBland-Altman安定性プロットを示す。
【0031】
【
図4A】
図4Aは、一実施形態におけるSQUIDセンサのグラジオメータおよび磁力計の配向を概略的に示す。
【0032】
【
図4B】
図4Bは、典型的な正常な患者における3つの異なるセッションからの例示的な応答シグナルを示す。
【0033】
【
図4C】
図4Cは、AD患者における3つの異なるテストセッションからの例示的な応答シグナルを示す。
【0034】
【
図4D】
図4Dは、ADDモデルにおいて使用される候補パラメータの数の関数としてピアソンr値の平均および標準偏差を示す。
【0035】
【
図4E】
図4Eは、ADDモデルにおいて使用される候補パラメータの数の関数として分類精度の平均および標準偏差を示す。
【0036】
【
図5】
図5は、テスト患者におけるADDモデルの使用からの結果を提供するためにコンピュータディスプレイ上に提示するための例示的なグラフィカルユーザインターフェースを示す。
【0037】
【
図6A】
図6Aは、7つのモデルパラメータの線形ADDモデルに関する患者グループによる患者の分離を示す。
【0038】
【
図6B】
図6Bは、
図6Aに関連する線形ADDモデルに関する合計ミニメンタルステート検査(「MMSE」)スコアによる患者の分離を示す。
【0039】
【
図6C】
図6Cは、8つのモデルパラメータの非線形ADDモデルに関する患者グループによる患者の分離を示す。
【0040】
【
図6D】
図6Dは、
図6Cに関連する非線形ADDモデルに関する合計MMSEスコアによる患者の分離を示す。
【0041】
可能な限り、同じ部分を表すために図面全体を通して同じ参照番号が使用される。
【発明を実施するための形態】
【0042】
詳細な説明
I.測定セットアップ
図1Aは、一実施形態による、電気活動によって生成される磁場の形態においてヒトの脳内の電気活動を検出するための脳磁図(「MEG」)システム48を示す。テスト患者50は、患者支持デバイス14内に着座する。ファラデーケージ10は、外部環境磁場を遮断するために、テスト患者50と患者支持デバイス14とを取り囲む。センサヘッド12、およびセンサ32(
図1B参照)を冷却するための関連するデュワハウジング40(
図1C参照)が空間内に固定される。センサヘッド12および患者支持デバイス14は、ファラデーケージ10の外部に配置されたコンピュータ20と通信し、コンピュータ20によって制御される。
【0043】
患者支持デバイス14は、座部16と背部18とを含む。患者支持デバイス14は、少なくとも360°完全に回転可能であり(22)、背部18は、好ましくは、垂直位置から、垂直方向から約45°の位置までリクライニング可能である(24)。患者支持デバイス14はまた、患者支持デバイス背部18の傾斜角が同時に変更されるか、または患者支持デバイス14が同時に回転するにつれて、センサヘッド12をテスト患者50の頭部と接触させた状態に維持するために、水平方向26および垂直方向28に制御される。患者支持デバイス14は、頭部を患者支持デバイス背部18に対して所定の固定された位置に維持するためのヘッドスタビライザ30も含む。ヘッドスタビライザ30は、頬骨を固定するためにテスト患者50の頬に接触し、それによって頭部を固定する。
【0044】
患者支持デバイス14に対する垂直方向、水平方向、回転方向、および傾斜方向の調整は、コンピュータ20によって自動化および制御されてもよい。代替的には、調整は、手動であってもよく、または患者支持デバイス14自体によって自動化されてもよい。SQUID電子装置は、モニタと、SQUIDセンサ32の動作および患者支持デバイス14の位置の制御のためのソフトウェアを有するコンピュータ20とを含む。垂直方向、水平方向、回転方向、および傾斜方向の調整が手動で、またはコンピュータ20とは独立して行われる場合、SQUIDセンサ32に対するテスト患者50の頭部表面の位置を決定するために、位置センサが使用されてもよい。
【0045】
図1Bは、一実施形態による、6つの中央SQUIDセンサ32の周囲にアレイにおいて5つのSQUIDセンサ32を有する例示的なSQUIDセンサヘッド12の上面図を示す。中央SQUIDセンサ32は、平坦であり、5つの周囲のSQUIDセンサ32は、中央SQUIDセンサ32に向かって一定の角度で配向されれている。
図1Bにおける一定の角度は、約45°である。他の実施形態では、SQUIDセンサ32の他の数、配向、および相対配置が使用されてもよい。
【0046】
測定セットアップは、関連する他のハードウェアを有するElekta Neuromag(登録商標)306チャネル(306MEGセンサ)MEGデバイスのような現在製造されているMEGデバイスを含んでもよいが、測定セットアップは、代替的には、以下でさらに説明するように、より少ないセンサを備えるMEGデバイス、および比較的単純化された測定セットアップであってもよい。これは、多くの理由から有利であり、そのうちの1つは、コストである。Elekta Neuromag(登録商標)306チャネルの設定には、この執筆の時点で2,000,000ドルのコストがかかるが、単純化された測定セットアップの一実施形態は、この執筆の時点でおおよそ200,000ドルのみのコストがかかる。
【0047】
単純化された測定セットアップの一部実施形態では、システムは、好ましくは、磁気絶縁のために単一のワイヤファラデーケージ10を使用する。ファラデーケージ10は、導電性材料のメッシュによって形成されたワイヤエンクロージャであり、ファラデーケージ10の内部への外部静電場および非静電場の影響を打ち消すことによって、外部静電場および非静電場を遮断する。ファラデーケージ10は、テスト患者50とセンサヘッド12とを取り囲む。
【0048】
単純化された測定セットアップの一部実施形態では、単一のセンサと同じくらい少ないものまでの比較的少ないSQUIDセンサ32が使用され、これは、設備コストを低減する。1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、または9つのセンサが使用されてもよい。一部実施形態では、手動でまたはソフトウェアプログラムによって移動可能な可動患者支持デバイス14が、SQUIDセンサ32の比較的小さいアレイと共に使用される。これは、(分析されることが望まれる)目的の脳領域が正確に決定され、画定されることを可能にする(たとえば、上側頭回)。これは、使用されるそれらの少ないSQUIDセンサが、分析されることが望まれるシグナルを生成するものとして識別された脳の周囲の位置に配置されることを保証するのに役立つ。小さいアレイSQUIDセンサヘッド12は、減少したセンサ数のためだけでなく、たとえば、Elekta Neuromag(登録商標)306システムまたは同等物の可動デュワハウジングに対する据え付けデュワハウジング40(
図1C参照)内の液体ヘリウムのそれに応じて減少した容積のために低コストである。さらに、テスト患者50の頭部に対して離散的な固定位置に拘束されないSQUIDセンサ32を有することによって、本明細書に記載されたシステムは、より高価なシステムと比較して、目的の皮質領域のはるかにより良好な画像を提供することもできる。
【0049】
患者支持デバイス14は、SQUIDデバイスとのいかなる干渉も防止するために、非磁性かつ非常磁性である(理想的には、完全にプラスチックの構成要素である)。
【0050】
1つの特定の実施形態では、SQUIDセンサ32のアレイは、垂直方向に対して所定の角度で固定される。所定の角度は、約50°またはそれ未満である。特定の例として、SQUIDセンサ32のアレイは、垂直方向から約45°の角度において固定され、5つのSQUIDセンサ32は、中央の第6のSQUIDセンサ32からそれぞれ約2cmの六角形の点に固定される。各SQUIDセンサ32は、直径が約1.5cmである。周辺SQUIDセンサ32は、中央SQUIDセンサ32の約2cm下方の点に向けられている。MEGシステム48は、小さい液体ヘリウム貯蔵器を有するデュワフラスコを含む。テスト患者50は、歯科用椅子と同様であるが、患者支持デバイス14の配向および傾斜の正確な制御を有する、垂直方向から約45°または50°まで傾動可能であり、少なくとも360°回転可能である患者支持デバイス14内に着座する。患者支持デバイス14の(3軸の位置と向きの両方を含む)正確な位置は、データ取得を指示するコンピュータ20のソフトウェアに伝達される。患者支持デバイス14は、各上顎骨上のクッション型支持体によってテスト患者50の頭部を安定させる。テスト患者50およびセンサヘッド12は、環境磁束を遮蔽するためにファラデーケージ10内に完全に収容される。そのようなデバイスは、どこで使用されてもよく、すなわち、部屋間で容易に物理的に持ち運び可能であり、この執筆の時点で約200,000ドルのみのコストがかかると予想される。
【0051】
SQUIDセンサ32のアレイは、脳の目的の領域の上方に配置される。SQUIDセンサ32のアレイは、皮質のエグゼクティブ領域からの「トップダウン」応答を検出するために、下前頭回の上方に配置されてもよい。聴覚皮質の上方の500ミリ秒のシグナルの後半は、この情報の一部を同様に捕捉する可能性がある。同じ方策が、視覚的、感覚的、運動的、および認知的な目録作成に使用されてもよい。SQUIDのアレイから収集されたデータは、正常な健康な脳の聴覚、視覚、触覚、運動、および認知の機能を目録を作るために、局所磁気皮質表面マップを作成するために使用されてもよい。この情報は、疾患状態または他の目的の状態にある個体の分析を可能にすることができる。
【0052】
一般に、アレイ内の各SQUIDセンサ32は、環境磁気ノイズを減衰させるための軸方向グラジオメータとして機能してもよい。SQUIDセンサ32のアレイの位置は、脳構造に対するSQUIDセンサ32のアレイの正確な位置を与えるために頭部のイメージングによって相関させることができる。限定はしないが、超音波イメージングおよび磁気共鳴イメージング(「MRI」)を含む、脳の物理的位置および形状を区別する任意のイメージング技法が使用されてもよい。この場合、表面シグナル源と一致する、SQUIDセンサ32間で横方向に減衰する予測強度を示す検出シグナルのみがスコア化される。ソフトウェアは、表面脳溝活動のロバストな表面マップを提供するために画像を改善するようにSQUIDセンサ32の可動アレイに指示し、それによって、基本的な神経活動または「ノイズ」のマップを具体的に作成する。
【0053】
別の特定の実施形態では、固定された半径方向の幾何学的形状を有するサイズが約1センチメートルの3~9またはそれよりも多くのSQUIDセンサ32のアレイが、コンピュータ指向可動Cアームを介して脳または脳の表面を画像化するために使用されてもよい。
【0054】
図1Cは、一実施形態による、目的の脳溝54の上のテスト患者50の頭皮52に対して配置されたSQUIDセンサヘッド12を示す。周辺SQUIDセンサ32(
図1Bも参照)および中央SQUIDセンサ32は、中央センサ32の約2~4センチメートル下方の焦点38に収束する。センサヘッド12は、センサのためのデュワハウジング40を含む。デュワハウジング40は、SQUIDセンサ32を超電導温度に維持するためにセンサヘッド12の密閉部分42内に液体ヘリウムを保持し、SQUIDセンサ32および液体ヘリウムを環境およびテスト患者50の頭部から絶縁する。電気配線44、46は、SQUIDセンサ32の各々に給電する。脳溝壁内のニューロン構造56、および、したがって電気インパルスは、頭皮52に対して実質的に平行58に配向され、それによって、頭皮52に対して実質的に垂直な平面内に磁場60を生成する。対照的に、脳回64のニューロン構造62、および、したがって電気インパルスは、頭皮52に対して実質的に垂直66に配向され、それによって、頭皮52に対して実質的に平行な平面内に磁場68を生成する。したがって、脳溝54内の電気活動から生成される磁場60は、
図1Cに示すように配置されたセンサヘッド12を用いて、脳回64内の電気活動から生成される磁場68よりもはるかにより容易に検出される。
【0055】
磁気シグナルのソースの位置は、SQUIDセンサ32によって推定されてもよく、磁気シグナルのソースが脳溝54にあると予想される場合、脳溝54の位置は、SQUIDシグナルから直接推定されてもよい。たとえば、右の人差し指が刺激された場合、SQUIDシグナルの最大値は、指からの感覚入力が登録される左の感覚皮質上にある。
【0056】
より一般的には、脳溝54は、物理的な境界と、電流伝送およびしたがって磁場伝送に対する絶対的な制限とを表す。すなわち、脳溝生成シグナルに対して対側に配置されたSQUIDセンサ32は、実質的に点ソースからのシグナルを検出し、シグナル強度は、ソースからの距離の逆3乗に比例して減少する。脳溝生成シグナルと同側に配置されたSQUIDセンサ32は、シグナル強度がソースからの距離の逆2乗に比例して減少するような双極子の特性を有する。目的の脳回64と対側のSQUIDセンサ32は、距離の3乗関数としての強度の減衰を示す。したがって、この構成では、出力は、解釈のために著しく単純化されるが、劣化はされない。
【0057】
測定セットアップはまた、MRIデータの収集のためのMRIデバイスを含んでもよい。このMRIデータは、脳内のソース位置特定を実行するために使用されてもよいが、上記で説明したように、ソース位置特定は、磁気シグナルが周知の刺激からの周知の応答である場合など、MRIデータなしで推定されてもよい。
【0058】
図1Dを参照すると、MEGシステム48は、コンピュータ20と通信するセンサヘッド12を含む。コンピュータ20は、シグナル処理112と、モデルの候補パラメータの重みを決定するための類別モジュール114とを含み、コンピュータ20は、モデル候補パラメータ116を記憶する。
【0059】
II.MEGシグナル測定
上記で説明したMEGシステム48は、上記で論じたように、1つまたは複数のSQUIDセンサ32を使用して脳からのシグナルを検出する。一連の実施形態では、これらのシグナルは、ヒトの患者に提供される聴覚刺激に続いて捕捉される。一般に、本明細書に記載されたモデルは、患者に対して聴覚刺激の複数の反復を提供することを使用して構築され、患者に対して聴覚刺激の複数の反復を提供することに基づいて患者を評価することができる。本明細書で使用される「エポック」は、単一の刺激事象に関連するような、単一の所定の時間期間にわたる単一の測定された応答または単一の出力を指す。特定の例として、アルツハイマー疾患検出(「ADD」)モデルを構築するか、またはADDモデルに関して任意の所与の患者を評価するために、一般に、複数のエポックが収集される。以下のセクションIVで説明する実験例では、収集されるエポックの数は、おおよそ250であったが、これは、実装形態によって異なる場合がある。
【0060】
聴覚刺激の周波数、刺激の持続時間、および刺激のパターンは、実装形態によって異なる場合がある。たとえば、以下のセクションIVにおける例示的なモデルの生成のためのMEGデータに寄与した患者は、2500ミリ秒ごとに間隔をあけた50ミリ秒の持続時間の一連の700Hz標準トーンを提示された。1対5の割合で、異常トーン(600Hz)がランダムに提示された。すべてのトーンは、テスト患者の左耳に、合計250の試料について提示された。テスト患者は、3つの異なる実行においてスキャンされ、それらの実行のうちの2つは、同じ診察中に行われた。一実施形態では、標準トーンに対する応答のみが分析され、異常トーンに対する応答は破棄された。
【0061】
本明細書に記載されたMEGデータを収集するために特定のトーン周波数、トーン持続時間、トライアル間インターバル(間隔)、およびエポックの数が使用されたが、値の範囲は、それぞれ選択されてもよいことが理解されよう。トーン周波数は、500~1000Hzの範囲内であってもよく、または代替的には600~700Hzの範囲内であってもよい。トーン持続時間は、25~75ミリ秒の範囲内であってもよい。トライアル間インターバルは、少なくとも500ミリ秒であってもよく、または代替的には500~3000ミリ秒の範囲内であってもよい。単一のセッションにおいて収集されるエポックの数は、少なくとも200、または代替的には少なくとも250であってもよい。
【0062】
測定セットアップおよびコンピュータ20は、特に、磁場強度を大脳皮質の表面にマッピングすることができる。SQUIDセンサ32のアレイは、目録(inventory)が作られるべき機能を制御する皮質領域の上方に配置される。聴覚誘発電位について、センサヘッド12は、反復音刺激に対する初期応答を記録するために上側脳回の上方に配置される。患者支持デバイス14は、位相幾何学的な画像品質を改善するために動かされてもよい。磁場強度の輪郭マップは、規定された刺激(たとえば、ピッチ、強度、持続時間、および反復)後の500~600ミリ秒のエポックにわたって収集されてもよい。収集されたMEGデータの内容を劣化させることなく理解可能にするために、適切なデータ均質化を達成するため、データ収集は、ヒトの皮質の関連する脳回の脳溝を裏打ちする最も表面的なニューロンで始まる神経伝達に限定されてもよい。これらのプロセスは、以下のセクションIVの例示的なモデルの生成のための基礎として役立ったMEGデータに関して実行された。出力は、基礎となる双極子または電流構造を決定しようとする試みがない輪郭マップとして提示されてもよい。
【0063】
コンピュータ20に渡されるMEGシステムから収集されたデータは、たとえば、1~30Hzの範囲内の周波数を保持し、その範囲外の周波数を除去することによって、バンドパスフィルタリングされてもよい。これは、記録のパワーにおける変動の大部分を保ち、また、通常はアーティファクトを記録することに関連するデータにおける任意の遅いドリフトを除去することにも役立つ。データはまた、別の方法で処理されてもよく、その一例は、入力データストリームを時間ごとに別々のエポックにセグメント化することである。たとえば、コンピュータ20は、各標準トーンの提示のタイミングを決定してもよく、提示に先行する100ミリ秒および提示後の500ミリ秒のデータが、すべての提示にわたって記録および平均化されてもよい。この手順は、-100ミリ秒から500ミリ秒までの600試料を含むチャネルごとに1つの時系列をもたらし、時間ゼロが標準トーンの提示を決定した。これらのプロセスは、以下のセクションIVの例示的なモデルの生成のための基礎として役立ったMEGデータに関して実行された。以下のセクションIVで説明するテストADDモデルを構築するために使用される1つの例示的なシナリオでは、平均化された提示の数は、患者および実行に応じて207~224の間であった。
【0064】
他のタイプのシグナル処理も実行されてもよい。たとえば、Elekta Neuromag(登録商標)306チャネルシステムによって収集されたデータは、外部ノイズのソースを除去するために、Elekta NeuromagのMaxfilter(商標)ソフトウェアを使用してさらに処理されてもよい。このシグナル処理は、以下のセクションIVの例示的なモデルの生成のための基礎として役立ったMEGデータに関して実行された。使用されるデータ収集の物理的設定および特定のデータ収集ツールに応じて、追加の、または本明細書に記載されたものよりもさらに少ないシグナル処理ステップが、特に、記録の物理的位置に基づく変動(たとえば、部位内の外部雑音の量)のため、同様に有用である場合がある。したがって、シグナル処理は、本明細書の将来の適用において使用される記録機器および部位に基づいて、必要ではない場合がある。
【0065】
図2Aは、グラジオメータと磁力計の両方の各SQUIDセンサ32に関する標準トーンに対するシグナルの平均応答を示し(「シグナルイラストレーション」)、各シグナルイラストレーションは、一実施形態による、センサヘッド12内のアレイ内のSQUIDセンサ32の相対位置に対応する
図2A内の位置に配置されている。
図2A中の各シグナルイラストレーションは、306のセンサ(別々に標識されていない)のうちの1つを表し、水平軸は、-100ミリ秒から500ミリ秒まで進み、0は、トーンが参加者に提示された時間を表す。上記で論じたように、SQUIDセンサ32から受信したシグナルに関するY軸値は、SQUIDセンサ32によって検出された磁場によって示されるように、脳の特定の部分において測定された磁気活動の定量化である。
【0066】
例示的なSQUIDセンサの応答を拡大することは、
図2Bに示すような原型の波形パターンを提供し、それは、センサヘッド12の単一のSQUIDセンサ32によって測定されるような脳内の目的の領域における平均誘発刺激応答の例を示す。正および負のセンサ振幅は、センサの位置に依存し、したがって、任意だが、ピークB92は、一貫性のために本開示を通して負のピークとして示され、説明される。
図2Bの例示的な波形パターンは、測定された認知機能障害のないテスト患者から収集された。
【0067】
聴覚刺激に対するヒトの脳の応答は、平均して、特に配置されたSQUIDセンサ32について、ピーク、すなわち、それらが刺激後のある時点においてそれらの一次導関数についてゼロの値を有するいくつかの曲線を含む。これらのピークは、第1の極大80を規定するピークA90、続いて極小81を規定するピークB91、続いて第2の極大82を規定するピークC92、続いてベースラインへの復帰を含む。ピークA90は、「P50」または「m50」としてEEG文献では一般的に公知である。ピークB91は、「N100」、「m100」、または意識関連陰性(「ARN:awareness related negativity)ピークとしてEEG文献では一般的に公知である。ピークC92は、「P200」として電磁気文献では一般的に公知である。平均して、第1の極大80は、一般に、
図2Bでは時間ゼロにおいて提示された刺激後の約50~100ミリ秒の範囲内に観察される。極小81は、一般に、刺激後の約100~150ミリ秒の間に観察される。第2の極大82は、一般に、刺激事象後の約200~400ミリ秒の間に観察される。
【0068】
本明細書の残りの部分を通して、および特許請求の範囲において、特定のピークが意図されていることを参照することなくこれらのピークを参照することが時には有用である。この目的のために、「第1のピーク」、「第2のピーク」、および「第3のピーク」という用語が使用される。「第1のピーク」がピークA90、ピークB91、またはピークC92のいずれかである場合、「第2のピーク」は、ピークのうちの「第1のピーク」とは異なる1つであり、「第3のピーク」は、「第1のピーク」および「第2のピーク」とは異なる残りのピークである。たとえば、「第1のピーク」は、この例ではピークB91と任意に関連付けられてもよく、「第2のピーク」は、ピークA90と任意に関連付けられてもよく、「第3のピーク」は、ピークC92と任意に関連付けられてもよい、などである。
【0069】
III.モデル開発
一旦、MEGシグナルがモデルMEGデータとしてテスト患者50のセットから収集されたら、ADDモデルを構成するモデルパラメータを決定するために、モデルMEGデータの可能な候補パラメータが、識別され、分析され、選択されてもよい。セクションIII.Bで導入されるヒートマップは、MEGデータがこれらのタスクを実行する際に使用するために分析されてもよい1つの方法を提供する。
【0070】
III.A.センサ選択
ADDモデルを開発する際、モデルを訓練および使用するために使用されるセンサヘッド12における特定のシグナルが考慮される。たとえば、以下のセッションIV(セクションIV.Eを除く)におけるモデルについて、2つのグループ間の最も識別力のあるパラメータが最初に識別された、トーン提示と同側に位置するSQUIDセンサ32のチャネルプールが再調査された。そのチャネルプール内では、一実装形態では、ピークA90のレイテンシの変動が最も小さいチャネルが選択された。具体的には、同側応答を捕捉するために先に識別されたチャネルグループの各々からのデータについて、ピークA90のレイテンシ(たとえば、刺激提示から予測ピークA90時間フレーム内の最大偏差までの時点)が計算された。そのプロセスは、2000回繰り返され、各反復における置換え(ブートストラップ)でエポックをサンプリングした。この手順は、プール内の各チャネルに関するピークA90のレイテンシの分布をもたらし、ピークA90のレイテンシの変動が最も小さいチャネルが選択された。
【0071】
他の実装形態では、ADDモデルを構築するためにテストデータが分析される1つまたは複数のチャネルを識別するために、他のまたは追加の要因が使用されてもよい。これらの要因の例、およびこれらの要因を使用して構築される例示的なモデルの例は、以下のセクションIV.Eで論じられている。
【0072】
他のモデルでは、ADDモデルを構築するためにそのテストデータが分析される1つまたは複数のSQUIDセンサ32を選択するために、たとえば、聴覚トーンに応答するときの予測3ピークパターン(ピークA90、ピークB91、およびピークC92)または最も強いピークB91とのベストマッチのような他の基準が使用されてもよい。
【0073】
III.B.候補パラメータ識別
MEGシグナルデータの記録されたエポックから取得することができる多量の情報が存在する。個々のエポックレベルにおいて、または多くのエポックを平均化した後、以下の情報の部分は、候補パラメータ自体として、または他の候補パラメータの決定に向けた前駆情報として使用するために決定されてもよい。コンピュータ20は、磁場強度の絶対単位において、電気活動の絶対単位において、特定の他の単位において、または、その患者に関する記録された最大のエポックのもしくは特定のベースラインに対する%などの相対的スケールのいずれかにおいて、ピークA90の最大値80(または最大「強度」)と、ピークB91の最大値81と、ピークC92の最大値82とを決定してもよい。コンピュータ20はまた、以後、それぞれ、レイテンシA、レイテンシB、およびレイテンシCと呼ぶ、刺激後の各ピークの発生の関連する時間を決定してもよい。レイテンシはまた、他の形態において計算されてもよく、たとえば、ピークB91のレイテンシは、その患者または母集団に関する平均ピークA90のレイテンシに対して計算されてもよい、などである。コンピュータ20はまた、ピークA90、ピークB91、およびピークC92について、その患者に関する、または母集団に関するベースラインに関する曲線下面積を決定してもよい。たとえば、平均(ベースライン)±2標準偏差として計算された各ピーク90、91、92の開始点およびオフセットはまた、候補パラメータ識別において有用である場合がある。
【0074】
エポックにわたる変動のために、ヒートマップ内のMEGデータを分析することによって、価値のある追加情報が得られる場合がある。
図3Aに示すもののように、このMEGデータをヒートマップの形態において可視化することは、生のエポックデータのセットの視覚的精査が、平均化された、または他の方法で折り畳まれたもしくは合成されたMEGデータ内の隠れたまたは失われた傾向およびパラメータを識別することを可能にする。そのようなヒートマップでは、応答またはエポックの各々が、測定された磁場の強度を表すカラースケールを有する水平線としてプロットされる。これらのヒートマップは、コンピュータ20がADDモデルを生成して使用する際に処理する生のエポックデータのセットの視覚的解釈を可能にする。便宜上、ADDモデルの生成および使用の以下の説明のうちのいくつかは、これらのヒートマップ内のデータに関してまたはそれに対して実行され得る計算に関して説明されているが、当業者は、実際に、コンピュータ20が、ヒートマップにおいてどのように視覚化されるのかにかかわらず、データ自体に関して計算を実行することを理解し得る。
【0075】
多くの候補パラメータが、候補パラメータとテスト患者のミニメンタルステート検査(「MMSE」)スコアとの間の明らかな相関関係の観察によって識別された。明らかなな相関関係は、モデルMEGデータのヒートマップの視覚的精査によって大部分が最初に識別された。たとえば、ADテスト患者(すなわち、より低いMMSEスコアを有するテスト患者)が正常なテスト患者50よりもピークA90を有するより多くのエポックを有する傾向があることが観察された。正常なテスト患者(すなわち、より高いMMSEスコアを有する)が3つのピークすべてを有するより多くのエポックを有する傾向があることも観察された。ピークA90を有するエポックの半分のより弱いピークA90は、ADテスト患者よりも正常なテスト患者においてより高い振幅のピークB91を有することが観察された。最後に、ピークA90を有するエポックの半分のより弱いピークA90におけるピークC92を有するエポックの数は、正常なテスト患者に関する中間範囲内にあることが観察された。
【0076】
図3A~
図3Cは、y軸上のエポックとx軸上の刺激時間に対する時間とを有するいくつかの例示的なヒートマップを示す。各ヒートマップは、1人の患者に関する1つの完全な聴覚刺激テスト実行を表す。各エポックは、単一の刺激に対する応答を表す。これらのヒートマップでは、白色は、SQUIDセンサ32のうちの1つによって測定される中性の(ベースラインに近い)磁場または電場を指し、赤色は、正の磁場または電場を任意に指し、青色は、負の磁場または電場を任意に指す。各エポックについて、カラースケールは、エポックにおけるデータに基づいて青色から赤色まで正規化される。正の場または負の場の相対強度は、それぞれ、赤色または青色の強度によって示される。
図3A、
図3B、および
図3Cのヒートマップにおけるエポックは、時間的に順序付けられているのではなく、ピークB91のウィンドウ内のシグナルの類似性メトリックによって順序付けられている。いくつかの異なる並べ替えメトリックのうちのいずれか1つが使用されてもよい。たとえば、ヒートマップ内のエポックは、3つのピーク90、91、92のうちの1つの持続時間、3つのピーク90、91、92のうちの1つの最大値、または3つのピーク90、91、92のうちの1つのレイテンシに基づいて並べ替えられてもよい。すべてのエポックの並べ替えが行われた後、視覚的表現のために、最も高いピークB91が
図3A~
図3Cにおける下部に配置される。
【0077】
図3Aは、正常な患者からのMEGデータのヒートマップを示す。約90~200ミリ秒の間の青色で表されたピークB91は、均一で明確に規定された開始点を有し、赤色で表され、ピークB91のあとに現れる強いピークC92に至る。対照的に、
図3Bは、より不均一であまり規定されていない開始点を有するピークB91を有するAD患者に関するMEGデータを示す。この場合、ピークB91は、特に強くなく、ピークC92は、それほど均一ではないか、または明確に規定されていないが、依然として明確に存在する。しかしながら、すべてのAD患者のMEGデータがこの同じタイプの偏差を示したわけではない。1人のAD患者からのMEGデータ(図示せず)は、より不均一であまり規定されていない開始点を有するより強いピークB91と、わずかに目立つピークC92とを示す。2人の他のAD患者に関するMEGデータ(図示せず)は、
図3Aに示す正常な患者のMEGデータに関するよりもはるかに強いピークA90を示す。ピークB91の開始点は、それらのAD患者についてはかなり均一で明確に規定されていたが、正常な患者のピークB91と比較して遅れており、ピークC92は、可視であるが弱かった。最後に、
図3Cは、別の正常な患者に関するMEGデータを示すが、データは、他の正常な患者の観察されたMEGデータと比較して非常に不規則である。ピークA90、ピークB91、およびピークC92は、
図3CにおけるMEGデータにおいて、かなり弱く、不十分に規定され、ピークB91は、他の正常な患者よりも遅く開始し、早く終了する。集合的に、これらのヒートマップは、平均化されたまたは他の方法で集約されたエポックデータだけに依存することは、実際の患者において発生する刺激応答の多様性を不明瞭にし、したがって、単独では正常な患者とAD患者とを区別するためのモデルを生成するには不十分である可能性が高いことを示す。
【0078】
ADDモデルのための候補パラメータのうちの少なくともいくつかが、ヒートマップにおいて編成されたMEGデータの非平均化エポックを見ることによって識別されたか、またはより簡単に説明される。これらの候補パラメータのうちのいくつかは、特定のピークまたはピークの組合せを有するエポックのパーセンテージを含む。所与のエポックが所与のピークを有するかどうかの決定は、いくつかの計算のうちのいずれか1つに基づくことができ、その例は、セクションIVの以下のサブセクションにおいてさらに説明されている。
【0079】
追加の候補パラメータは、所与のSQUIDセンサに関する単一のセッションからのスキャンの所与のセットにおけるエポックの識別されたサブセットを含む。具体的には2つ(またはそれよりも多い)サブセットが、候補パラメータまたは一部の他の態様のうちのいずれか1つに基づいてエポックを分割して所与のテスト患者について識別されてもよい。たとえば、2つのサブセットが、ピークのうちの1つの存在のような候補パラメータに基づいて識別されてもよく、存在は、そのテスト患者に関する他のエポックに対する磁場強度の相対的尺度である。この例では、ピークが存在するサブセットは、ピークのより高い(またはより強い、または最も強い)相対的存在を有するエポックのある閾値割合(たとえば、50%)を含む「より強い」サブセットと、ピークのより低い(またはより弱い、または最も弱い)相対的存在(またはその不在)を有するエポックの残りの割合を含む「より弱い」サブセットの、2つのさらなるサブセットに分割されてもよい。強いサブセットおよび弱いサブセットのようなサブセットを生成するために、たとえば、ピークタイミングおよび変動、ならびにピーク振幅および変動を含む、エポックデータの他の候補パラメータまたは態様も使用されてもよい。
【0080】
それらの識別されたサブセットに基づいて、さらに追加の候補パラメータが決定されてもよい。たとえば、セクションIVで言及された任意の所与の候補パラメータが、エポックの識別されたサブセットに関して決定されてもよい。たとえば、弱いピークA90サブセットと比較してピークA90の最も強い相対的存在を有する患者の単一のセッションからのスキャンのセット内のエポックの50%を表す場合がある強いピークA90サブセットが識別された場合、別の候補パラメータは、強いサブセット内のピークB91の平均振幅または中央振幅(磁場強度に関して)であってもよい。当業者は、1つの態様/候補パラメータに従って患者およびセンサの単一のセッションからのスキャンのセットからのエポックデータを分割し、識別されたサブセットに基づいて別の候補パラメータを計算することによって生成される可能性があり得る多種多様な可能な候補パラメータを理解し得る。
【0081】
III.B.1.候補タイミングパラメータ
候補パラメータのうちのいくつかは、一般に、ピークレイテンシパラメータと、ピーク開始点パラメータと、ピークオフセットパラメータと、ピーク持続時間パラメータとを含むピークタイミングパラメータとして類別されてもよい。これらの候補パラメータの各々は、ピークA90、ピークB91、およびピークC92の各々について計算されてもよい。これらの候補パラメータについて、ADDモデルのための候補パラメータの値は、本明細書では3ピークサブセットと呼ばれる3つのピーク90、91、92のすべてを含むと決定されたテスト患者訓練データからのエポックに基づいて決定される。したがって、各ピークに対するタイミングパラメータの値を計算するためにSQUIDセンサ32のテスト患者50のスキャンセッションからのすべてのエポックを使用する代わりに、どのエポックが各ピークを有するのかが最初に決定され、次いで、各ピークに対するタイミングパラメータの値が計算された。各タイミングパラメータの値の平均および変動は、ブートストラッピングによって計算され、これらの平均および変動は、追加の可能なADDモデル候補パラメータである。追加のパラメータはまた、平均化された応答MEGデータ(すなわち、患者ごとのSQUIDセンサごとのすべてのエポック全体の平均)から代わりに計算されるタイミングパラメータ(ならびにそれらの平均および変動)の値を含んでもよい。
【0082】
より具体的には、ピークB91のレイテンシは、シグナルがその最大絶対値を表示した各エポックの時点として推定されてもよい。特定のモデル患者に関するピークB91のレイテンシの平均候補パラメータ[“latencyB(mean)”]の値および変動候補パラメータ[“latencyB(var)”]の値は、訓練セット内のその特定のモデル患者に関する考慮中のエポック(たとえば、3つのピークすべてを有するもの)に関する個々のピークB91レイテンシ点のデータセットに基づいて計算されてもよい。結果として得られた候補パラメータ値は、次いで、訓練するためにADDモデルに供給されてもよい。
【0083】
ピークA90のレイテンシは、ピークB91のレイテンシから逆方向にカウントして、シグナルの第1の時間導関数がゼロになった各エポックにおける時点に基づいて推定されてもよい。ピークA90のレイテンシの平均候補パラメータ[“latencyA(mean)”]の値および変動候補パラメータ[“latencyA(var)”]の値は、訓練セット内の各患者に関する考慮中のこれらのエポックに関する時点に基づいて決定されてもよい。
【0084】
再び、ピークB91のレイテンシにおいて開始し、逆方向に進み、ピークB91の開始点は、シグナルの絶対値がベースラインシグナル(時間<0)の標準偏差の2倍を超えた各エポックにおける時点に基づいて推定されてもよい。ピークB91の開始点の平均候補パラメータ[“onsetB(mean)”]の値および変動候補パラメータ[“onsetB(var)”]の値は、訓練セット内の各患者に関する考慮中のこれらのエポックに関する時点に基づいて決定されてもよい。
【0085】
ピークB91の開始点と同様に、ピークB91のオフセットに関する各エポックにおける時点は、同じ基準を用いるが、ピークB91のレイテンシから順方向にカウントして推定されてもよい。ピークB91のオフセットの平均候補パラメータ[“offsetB(mean)”]の値および変動候補パラメータ[“offsetB(var)”]の値は、訓練セット内の各患者に関する考慮中のエポックに関するこれらの時点に基づいて決定されてもよい。
【0086】
ピークA90のレイテンシにおいて開始し、時間において逆方向に進み、ピークA90の開始点は、シグナルの第1の時間導関数が符号を変化させる各エポックにおける時点として推定されてもよい。ピークA90の開始点の平均候補パラメータ[“onsetA(mean)”]の値および変動候補パラメータ[“onsetA(var)”]の値は、訓練セット内の各患者に関する考慮中のエポックに関するこれらの時点に基づいて決定されてもよい。ピークB91の開始点は、本明細書で定義されるように、ピークA90のオフセットと同じであってもよいことに留意されたい。同様に、ピークB91のオフセットは、本明細書で定義されるように、ピークC92の開始点と同じであってもよい。
【0087】
ピークC92のオフセットは、いずれかがより早く発生する、シグナルがピークB91のオフセットにおけるのと同じ値に戻るときの各エポックにおける第1の時点として、またはある閾値時間(たとえば、刺激後450ミリ秒)として計算された。ピークC92のオフセットの平均候補パラメータ[“offsetC(mean)”]の値および変動候補パラメータ[“offsetC(var)”]の値は、訓練セット内の各患者に関する考慮中のエポックに関するこれらの時点に基づいて決定されてもよい。
【0088】
各エポックにおけるピークB91の持続時間は、ピークB91のオフセット引くピークB91の開始点である。ピークB91の持続時間の平均候補パラメータ[“duration(mean)”]の値および変動候補パラメータ[“duration(var)”]の値は、訓練セット内の各患者に関する考慮中のエポックに関するこれらの時点に基づいて決定されてもよい。
【0089】
これらのタイミングパラメータの各々について、候補パラメータの値を計算するための特定のプロセスが上記で提供されているが、当業者は、これらの量を計算する代替的なメカニズムが確立されてもよいことを理解し得る。
【0090】
III.B.2.候補サブセットパラメータ
訓練セット内のテスト患者のための他の候補パラメータの値の決定は、MEGデータのエポックのさらなる処理を含む。上記のように、ヒートマップによるイラストレーションは、これらの候補パラメータを概念化する上で有用である。1つのタイプの処理は、どのエポックがピークのうちの1つまたは複数を含むのかを決定するステップを含む。この計算は、上記のサブセクションIV.Bで導入したようなエポックの強い/弱いサブセットに基づくものを含むいくつかの候補パラメータを決定するために使用することができる。
【0091】
一実施形態では、この処理を実行するためおよび/または候補パラメータを識別するために、ヒートマップ内のエポックは、特定の時間ウィンドウ内の類似性に基づいて並べ替えられる。しばしば、必ずしもそうとは限らないが、並べ替えは、特定の「並べ替え」ピークに関する。たとえば、
図3Aにおけるエポックは、プロットの下部におけるエポックが上部におけるエポックよりも類似して見え、ピークB91を有する可能性がより高くなるように、ピークB91を並べ替える時間ウィンドウに基づいて並べ替えられてもよい。並べ替えを行うために、テスト患者に関するすべてのエポックを使用して初期ピーク境界が最初に推定され、それらの初期推定は、ヒートマップを並べ替え、各ピークを表示したエポックをカウントするために使用される。一実施形態では、並べ替えは、ガンマ=0.1のようなガンマ値を有する放射基底関数(「RBF:radial basis function」)カーネルを適用した後、データを単一次元に変換するスペクトル埋め込みを使用して実行される。
【0092】
エポックがピークA90、ピークB91、またはピークC92に関連する時間ウィンドウ内のそれらの類似性に基づいて並べ替えられた後、時間ウィンドウ内の並べ替えられた領域の相関を最大にする、どのエポックが並べ替えピークを有すると決定されるのかと、どのエポックが並べ替えピークを有さないと決定されるのかとの間の境界を定めるためのカットオフエポックが選択される。一実施形態では、時間ウィンドウ内の相関の最大を決定するために、理想的な線形シグナル減衰関数が使用される。たとえば、ピークA90が並べ替えピークであり、合計200のエポックがあると仮定する。ピークA90に関する初期推定において並べ替えられたヒートマップを視覚的に調べると、ある場合にエポックの下部の約30%のみがピークA90を有していた。計算上、カットオフエポックを決定するために、コンピュータ20は、200の異なる画像を作成してもよく、ピークA90に関する時間ウィンドウ内のシグナルは、ヒートマップの「下部」から200のエポックのうちの1つに直線的に減衰し、その減衰を終了した後、ゼロのままである。実際のヒートマップとの最も高い相関を有する画像は、ゼロが30%マーク付近の画像とみなされる。
【0093】
図3Dは、単一のセッションからのスキャンの試料セットに関するnB値の決定を概略的に示す。実際のヒートマップ70は、ピークB91を有するエポックがないものからすべてのエポックがピークB91を有するものまで、すべての可能な理想ヒートマップ72と空間的に相関する。各エポックには、最も強いピークB91の最大値に基づいて正規化された最大値が割り当てられる。所与の試料セットについて、ピークレイテンシ、開始点、およびオフセットがブートストラッピングを使用して決定される。それら3つのタイミング変数は、次いで、nB(またはnAまたはnC)を決定する際に使用される。ヒートマップの並べ替えは、分析されるピークの開始点からオフセットまでの時間ウィンドウ内のデータのみを使用して行われる。nB(またはnAまたはnC)が決定された後、1からnB(またはnAまたはnC)までのエポックのすべてが、ピークB91(またはピークA90またはピークC92)を有するものとして分類される。
【0094】
nB=30、nB=50、nB=110、およびnB=190に関する理想ヒートマップ72が、約200のエポックを有する実際のヒートマップ70について
図3Dに示されている。各理想ヒートマップ72は、ピークB91ウィンドウ内に線形勾配を有し、エポック1は、1の値(たとえば、暗い青色)を有し、エポックnBは、ゼロの値(たとえば、白色)を有する。実際のヒートマップ70との最も高い相関を有する理想ヒートマップ72に関するnB値は、実際のヒートマップ70に関するnB値として割り当てられる。同様の手法が、nAおよびnCに関する値を割り当てるために使用される。
【0095】
この手法を使用して、どの特定のエポックが3つのピーク90、91、92の各々を有するのか(または欠いているのか)を決定することができ、どれくらい多くのエポックが3つのピーク90、91、92のすべての可能な組合せを有するのかだけでなく、各ピークを有するエポックの数を計算することができる。言い換えれば、エポックの3ピークサブセットを決定することができる。加えて、ピークA90を有するエポックの数[nA]に関する候補パラメータと、ピークB91を有するエポックの数[nB]に関する候補パラメータと、ピークC92を有するエポックの数[nC]に関する候補パラメータと、ピークA90およびピークB91を有するエポックの数[A*B]に関する候補パラメータと、ピークA90およびピークC92を有するエポックの数[A*C]に関する候補パラメータと、ピークB91およびピークC92を有するエポックの数[B*C]に関する候補パラメータと、ピークA90、ピークB91およびピークC92を有するエポックの数[A*B*C]に関する候補パラメータとを含む、訓練セット内の各患者のためのいくつかの候補パラメータの値を決定することができる。これらの候補パラメータの値は、数カウントとして、またはそのテスト患者に関するエポックの数の割合として決定されてもよい。
【0096】
他の候補パラメータの値はまた、訓練セット内の各テスト患者50に対して決定されてもよい。ピークA90の面積候補パラメータ[areaA]の値、ピークB91の面積候補パラメータ[areaB]の値、およびピークC92の面積候補パラメータ[areaC]の値は、単純に集約された大きさであり、すなわち、それぞれピークA90、ピークB91およびピークC92を含むと検出されているエポックにおける、それぞれピークA90およびピークC92について青色(すなわち、正の磁場シグナルを有する)であり、ピークB91について赤色(すなわち、負の磁場シグナルを有する)である面積の量である。面積比候補パラメータ(たとえば、[areaA/areaC]、[areaA/areaB]、[areaB/areaC]またはそれらの任意の逆数)の値は、単純にこれらの2つの数の比である。
【0097】
他の候補パラメータの値は、上記で紹介したように、強いサブセットと弱いサブセットとを作成することによって決定されてもよい。ピークB91を含む強いピークA90エポックに関する候補パラメータの値は、エポックの強いピークA90サブセット(たとえば、半分/50%カットオフ)におけるピークB91を有するエポックの数[“strongA_Bnum”]に基づく。同様に、ピークB91を含む弱いピークA90エポックに関する候補パラメータの値は、弱いピークA90サブセットにおけるピークB91を有するエポックの数[“weakA_Bnum”]に基づく。強いピークA90エポックにおけるピークB91の振幅に関する候補パラメータの値は、強いピークA90におけるエポックにおけるピークB91の平均振幅(たとえば、赤色の量)[“strongA_Bamp”]サブセットに基づく。弱いピークA90エポックにおけるピークB91の振幅に関する候補パラメータの値は、弱いピークA90におけるエポックにおけるピークB91の平均振幅(たとえば、赤色の量)[“weakA_Bamp”]サブセットに基づく。他の実施形態では、振幅を測定するこれらの候補パラメータは、中央値のような平均以外の別の要因に基づいてもよく、一般に、振幅の任意の尺度が使用されてもよい。
【0098】
他の同様の候補パラメータの値はまた、ピークA90の振幅または数[“strongB_Anum”,“weakB_Anum”,“strongB_Aamp”,“weakB_Aamp”]に基づく値を有する、ピークB91を含むサブセットの逆の状況について計算されてもよい。さらに、候補パラメータの値はまた、ピーク(たとえば、A、B、またはC)を含むエポック(たとえば、強いまたは弱い)の所与のサブセットの任意の順列と、そのサブセット内のエポックの量の何らかの尺度(たとえば、ピークA90、ピークB91、またはピークC92のうちの別のものの振幅またはカウント)とに基づいて計算されてもよい。
【0099】
III.B.3.他の候補パラメータ
曲線下特徴比面積[“rAUC”]は、平均MEGデータからのピークC92の曲線下面積(「AUC」)とピークA90のAUCとの比として計算される。ピークAおよびピークCの境界は、各ピークが水平ベースラインに対して開始および終了したときに基づいて、各実行について手動で規定される。境界は、各ピークの開始および終了に対して選択された時間を横切る直線の垂直線である。面積は、次いで、境界の開始点から境界の終了点までの直線的なベースラインを作成し、このベースラインに対するシグナルの大きさを合計することによって計算される。最後に、2つの曲線下面積間の比が計算される。例示的な実験では、rAUCは、認知障害のあるテスト患者よりも正常なテスト患者においてより大きい傾向があった。
【0100】
比レイテンシ[“rLat”]について、平均MEGデータからの各ピークのレイテンシは、所定の境界の3つのセット内のシグナルの最も高い絶対的な大きさの時間を見つけることによって決定される。次いで、ピークC92のレイテンシとピークB91のレイテンシとの間の差が計算され、同様に、ピークB91のレイテンシとピークA90のレイテンシとの間の差が計算される。これらの差の比は、rLatの値である。例示的な実験では、rLatは、認知障害のあるテスト患者についてより低くなる傾向があり、1人のそのようなテスト患者について特に低かった。
【0101】
rAUC候補パラメータおよびrLat候補パラメータの最初の識別、ならびにモデルパラメータとしてのそれらの可能性の調査の後、より完全な識別および調査が実行された。前述のように、これは、多数のスキャンからの平均MEGデータを見ることだけでなく、モデルMEGデータのヒートマップにおけるエポックにわたる活性化の分布を調査することも含む。
【0102】
ヒートマップを評価することに基づく他の候補パラメータは、弱いピークA90エポックにおけるピークA90の面積と強いピークA90エポックにおけるピークA90の面積との比である[“areaA_ratio”]と、ピークA90エポックのより強い半分におけるピークB91の全体振幅とピークA90エポックのより弱い半分におけるピークB91の全体振幅との比である[“Bamp_ratio”](同様のパラメータがCピーク[“Camp_ratio”]について、ならびに同様に、弱いサブセットおよび強いサブセットを決定するために使用されるピークの任意の順列、および比を決定するために使用されるピークについて決定および使用され得る)と、ピークA90エポックのより強い半分におけるピークB91を有するエポックの数とピークA90エポックのより弱い半分におけるピークB91を有するエポックの数との比である[“Bnum sA/wA”]と、ピークA90エポックのより強い半分におけるピークC92の全体振幅とピークA90エポックのより弱い半分におけるピークC92の全体振幅との比である[“Camp_ratio”](同様のパラメータがBピーク[“Bamp_ratio”]について、ならびに同様に、弱いサブセットおよび強いサブセットを決定するために使用されるピークの任意の順列、および比を決定するために使用されるピークについて決定および使用され得る)と、ピークA90エポックのより強い半分におけるピークC92を有するエポックの数とピークA90エポックのより弱い半分におけるピークC92を有するエポックの数との比である[“Cnum sA/wA”]とを含んでいた。一般に、上記のパラメータのさらなる順列も可能である。たとえば、比を含む任意のパラメータは、比を構成するものとして上記で説明した値を反転することによって計算することもできる。
【0103】
追加され得る別の候補パラメータ[badInPool]は、プール内のどれくらい多くの候補パラメータが正常なテスト患者に関する範囲外であったかの合計である。たとえば、プールが17の候補パラメータを含む場合、[badInPool]の値は、17の候補パラメータのうちのどれくらい多くで、所与のADテスト患者が正常なテスト患者値にフィッティングされたガウス分布外の値を有するのかに応じて、0~17の範囲内である。言い換えれば、17の候補パラメータの各々について、正常値が収集され、ガウス分布にフィッティングされる。各候補パラメータについて、ADテスト患者に関する候補パラメータの値が、最小の正常なテスト患者の確率よりも小さいその分布内にある確率を有する場合、1の値が[badInPool]候補パラメータに追加される。言い換えれば、除外されたADテスト患者が正規分布の一部である可能性が低いほど、[badInPool]パラメータの値が高くなる。
【0104】
[badInPool]候補パラメータを決定するために、既にADDモデル内にある候補パラメータの各々について別個の計算が行われる。所与の候補パラメータについて、(MEGデータが正常なテスト患者から来るかどうかに基づく)そのモデルパラメータに関する既に決定されたカットオフに従うすべての正常なテスト患者に関するMEGデータは、正規(ガウス)分布などの分布にフィッティングされる。その分布は、正常なテスト患者の間で正常なテスト患者の一部である最も小さい確率を推定するために使用され、その値は、所与のパラメータの値に「悪い」またはそうではないとマークするカットオフとして使用される。1つ抜き交差検証フレームワークでは、正規分布を推定するとき、抜かした患者は、使用されない(抜かした患者がAD患者である場合でも、その値は、いずれにしろ使用されない)。
【0105】
各患者に関する[badInPool]候補パラメータの値は、そのテスト患者に関するどれくらい多くの他の候補パラメータが、最も小さい正常なテスト患者の確率よりも小さい、正常なテスト患者の分布内にある確率を有するのかの単純な合計である。[badInPool]以外に6つの他の候補パラメータを有する例示的なADDモデルでは、[badInPool]は、0から6になることができる。
【0106】
別の可能な同様の候補パラメータは、[badInPool]のより詳細なバージョンである[weightInPool]である。[weightInPool]に対する重みは、モデルにおける([badInPool]以外の)候補パラメータのセットにわたって合計された、正常なテスト患者に関する分布内にある、最も小さい正常なテスト患者の確率と、そのテスト患者の対応する確率との間の絶対差の合計である。[badInPool]および[weightInPool]は、両方共、事後パラメータである。
【0107】
III.C.モデルパラメータ選択
候補パラメータは、それぞれ、信頼性および安定性について、テスト患者診察(各診察がエポックのセットを生成する)の範囲内で、そしてそれらにわたって再現可能であったかどうかに基づいて評価された。それらの特性を測定するために、Bland-Altmanプロットが使用された。2つのそのようなプロットが
図3Eおよび
図3Fにおいて現れ、三角形は、正常なテスト患者からのMEGデータに関連し、円は、ADテスト患者からのMEGデータに関連する。
図3Eは、A*B*C候補パラメータの信頼性のBland-Altmanプロットを示す。
図3Fは、テスト患者のセットに関するA*B*C候補パラメータの安定性の例示的なBland-Altmanプロットを示す。要するに、これらのプロットは、2つの尺度の平均とそれらの標準偏差とを比較する。
図3Eおよび
図3Fにおける水平線は、95%信頼区間線であり、信頼性または安定性に関する信頼境界外の1人よりも多い患者を有したいかなる候補パラメータも、不満足であるとみなされた。
【0108】
他の実施形態では、候補パラメータの信頼性および安定性を評価するために、限定はしないが、クラス内相関係数(「ICC:intraclass correlation coefficient」)および回帰分析を含む、他の基準および方法が使用されてもよい。
【0109】
ADDモデルを構築するために使用されてもよい多種多様な可能な候補パラメータの中で、ADDモデルの1つの実装形態を構築するために、MEGデータの視覚的分析から37の候補パラメータが識別された。上記で説明したADテスト患者のMEGスキャンと「正常な」テスト患者のMEGスキャンとの間の微妙な差異は、慎重な手動の視覚的再調査および観察によって、コンピュータアルゴリズムによってではなく識別された。セクションIII.Bで先に説明した37の候補パラメータは、(正常なテスト患者に関する分布からADテスト患者を排除する観点において最善から最悪まで順序付けて)weakA_Bamp、strongA_Bnum、nA、weakA_Camp、A*B*C、strongA_Bamp、B*C、areaC、duration(var)、Cnum sA/wA、areaA、A*C、weakA_Cnum、nC、areaA_ratios、latencyA(var)、onsetA(var)、A*B、nB、offsetB(mean)、strongA_Cnum、offsetB(var)、Bnum sA/wA、Bamp_ratio、areaA/areaC、latencyB(mean)、areaA/areaC、latencyB(var)、offsetC(var)、latencyA(mean)、Camp_ratio、onsetA(mean)、onsetB(mean)、onsetB(var)、duration(mean)、strongA_CampおよびoffsetC(mean)として含む。
【0110】
これらの候補パラメータのうちのいくつかは、信頼性があり安定した候補パラメータであることに基づいてさらなる分析のために選択された。さらなる分析は、候補パラメータとテスト患者50のMMSEスコアとの間の相関を決定することを含んでいた。どの信頼性があり安定した候補パラメータがモデルパラメータになったかの選択は、線形モデルおよび非線形モデルがモデルパラメータに割り当てた重みに少なくとも部分的に基づいていた。
【0111】
非常に類似したMMSEスコアを有する2人の参加者が非常に異なるピークC92の振幅を有することがわかったことに留意することが重要であり、これは、これらの候補パラメータがMMSEスコアを見るだけで隠された疾患に新たな洞察を提供することができる方法を強調する。
【0112】
III.D.モデル訓練
ADDモデルパラメータが選択されたら、ADDモデルは、それらのMEGデータに基づいて患者を分類するために訓練される。ADDモデルを作成するために多種多様な機械学習技法を使用することができ、その例は、ランダムフォレスト分類器(「RFC:Random Forest Classifier」)、ランダム分類器リグレッサー、勾配ブースティング、サポートベクトル(サポートベクトル機械または「SVM:Support Vector Machine」としても知られる)、線形SVM、放射基底関数カーネルSVM(「RBF SVM:Radial basis function kernel SVM」)、線形回帰、ロジスティック回帰、および他の形式の回帰を含む。このリストは、網羅的ではなく、当業者は、ニューラルネットワークのような深層学習の分野における技法を含む、他の機械学習技法が使用されてもよいことを理解するであろう。
【0113】
一般に、これらのモデルを訓練することは、様々なモデルパラメータの値がどのようにMMSEスコアまたは疾患の分類のいずれかに対応するのかを直接的または間接的に表す、重みと呼ばれることもある係数のセットを生成する。以下のセクションIVで説明する例示的なモデルのうちのいずれかの一実装形態では、知られていない認知機能障害を有するサブセットと、認知機能障害、特にADに関連する認知機能障害の症状の重症度の範囲を示すサブセットとを含むようにモデルテスト患者のセットが選択された。しかしながら、実際には、本明細書に記載された原理は、限定はしないが軽度認知障害を含む、様々な他の疾患および状態にも適用可能である場合がある。1ステップ分類を用いるRFCを使用して生成されたADD例示的モデルの場合、係数は、RFCモデルに関する文献で使用されるように、この場合には、所与の患者に関する特定のモデルパラメータの値を正常またはADを示すものとして類別するための、「臨界値」とも呼ばれる場合がある。
【0114】
モデルが検出するために訓練されているものは、実装形態によって異なる場合がある。例は、2ステップ分類と1ステップ分類とを含む。2ステップ分類では、患者に関するMMSEを予測するために第1のモデルが使用され、次いで、予測されたMMSEスコアに基づいて疾患に関して患者を類別または定量化するために第2のモデルが使用される。1ステップ分類では、単一のモデルが疾患に関して患者を直接的に類別または定量化する。
【0115】
2ステップ手法の利点は、MMSEがヒトの認知のいくつかの異なる側面を符号化し、正常な患者対AD患者の比較に本質的に限定されないので、MMSE予測において価値があることである。そのように、他のタイプの2ステップ分類を使用し、第1のステップでMMSEスコアを決定し、次いで、上記で列挙した他の疾患のうちの1つのような異なる認知尺度を評価するために回帰することができる。2ステップ分類の欠点は、MMSEスコアを決定するためにADDモデルを訓練することが、MMSEスコアを取得するために各テスト患者の評価を必要とすることである。比較して、1ステップ分類は、訓練のための正常ラベルまたはADラベルのみを必要とする。
【0116】
2ステップ分類について、第1のステップは、線形/非線形モデル、一般的には、線形または非線形回帰を使用するが、代替実装形態では、より複雑なアルゴリズムが使用されてもよい。MMSEスコアが予測された後、第2のステップは、テスト患者が正常なテスト患者であるかまたはADテスト患者であるかを分類するために単純なカットオフを使用するステップを含む。たとえば、テスト患者の予測されたMMSEスコアのセットは、線形モデルにフィッティングされ、予測されたMMSEスコアを類別と相関させる1つまたは複数の重みが決定される。
【0117】
ADDモデルは、静的モデルまたは活発なモデルであってもよい。静的モデルでは、モデルが新しい患者を評価および査定するために使用されるとき、モデルパラメータおよびそれらの重みは、変更されない。たとえば、RFCの例では、正常値の限界は、交差検証で除外されたすべての患者を差し引いた正常な患者のセットにガウス分布をフィッティングすることによって計算される。活発なモデルでは、一部のまたはすべての新しい患者から収集された新しいMEGデータが、候補パラメータの重みをさらに訓練するため、または候補パラメータを追加、削除、もしくは変更し、それによってモデルを更新するために使用される追加のモデルMEGデータになる。ADのような進行性疾患について、モデル加重を再決定し、それによってモデルを更新するために、候補パラメータを追加、削除、もしくは変更するため、および/またはADDモデルを再訓練するために、特定の正常なテスト患者が進行性疾患の症状を示し始めた場合などに、ADDモデルは、患者を監視し、経時的にモデルMEGデータを収集し、以前のADDモデルMEGデータを再評価することによって、微調整されてもよい。
【0118】
IV.例
IV.A.テスト測定セットアップおよび例示的なデータ収集プロトコール
全脳シグナルを記録するために、Elekta Neuromag(登録商標)306チャネルMEGシステム48が使用された。システムは、合計306のSQUIDセンサ32を有し、102の場所の各々が、3つの異なるSQUIDセンサ32、すなわち、2つの平面グラジオメータSQUIDセンサ32と1つの磁力計SQUIDセンサ32とを有する。
【0119】
図4Aは、Elekta Neuromag(登録商標)MEG装置のためのSQUIDセンサ32のアレイを示し、陰影の付いた円は、本明細書に記載されたADDモデルに関する、ヘルメットの同側に配置されたグラジオメータのプールの中から、概して最も有益なSQUIDセンサ32を表す。
図4Aにおける各円は、グラジオメータまたは磁力計を表す。
図4Aに示すように、グラジオメータSQUIDセンサ32は、対にされ、互いに対して90度の磁場に敏感である。また、
図4Aに示されているがラベル付けされていない磁力計SQUIDセンサ32が、MEG装置内のグラジオメータSQUIDセンサ32の各対に関連付けられていた。
【0120】
グラジオメータSQUIDセンサ32および磁力計SQUIDセンサ32は、構造的および機能的に互いに異なる。磁力計は、空間内のある特定の点における磁場の振幅を(たとえば、テスラ単位、Tにおいて)測定する。グラジオメータは、空間内の2つの異なる点における磁場間の差または勾配を(たとえば、テスラ/メートル単位、T/mにおいて)測定する。空間内のこれらの2つの点は、同じ空間平面中にあってもよく(たとえば、本明細書で使用するElektaシステムにおけるような空間グラジオメータ)、または同じ(Z)軸に沿っていてもよい(たとえば、軸グラジオメータ)。
【0121】
このセクションにおいて例示的なモデルを生成するために使用された有益なグラジオメータは、
図4Aにおいてラベル付けされたSQUIDセンサ32の8つの場所にある傾向があり、これらの8つのSQUIDセンサ32からのデータのみが使用された。これらの8つのSQUIDセンサ32は、脳の左側頭部からのシグナルを受信することで最もよく知られている。これらは、Elekta Neuromag(登録商標)306チャネルシステムのセンサMEG0233、MEG0242、MEG0243、MEG1612、MEG1613、MEG1622、およびMEG1623を含んでいた。
図4Aにおける色は、本明細書に記載されたADDモデルにおける使用頻度を表す。合計63のセッションがあった。左列における4つのセンサの上から下への使用頻度は、16、4、3、および9であった。右列における4つのセンサの上から下への使用頻度は、13、7、4、および7であった。これは、患者の頭部上の適切な位置に配置された場合、はるかにより小さいSQUIDセンサヘッド12が使用されてもよいことを示す。
【0122】
上記で論じた実験的セットアップは、このセクションにおけるモデルを生成するために使用されたMEGデータを取り込むために使用された。MEGデータの取り込みの具体的な詳細は、セクションIIにおいて上記で論じており、明快さのため、およびこの説明を凝縮させるためにここでは繰り返さない。
【0123】
このセクションにおいて例示的なADDモデルを構築するために、テスト患者の同じセットが使用された。テスト患者のセットは、認知障害の症状のない10人の正常なテスト患者と、既にADを有すると診断された11人のテスト患者とを含む、21人のテスト患者を含んでいた。MRIが各対象について収集された。聴覚誘発磁場を記録するためのスキャンが、上記で論じたセットアップおよびMEGデータ収集ステップに従ってテスト患者に対して実行された。MEG記録は、磁気遮蔽された室内で行われた。1人の認知障害患者を除くすべてのテスト患者はまた、実施されたMMSEテストに基づくMMSEスコアを受け取った。MMSEスコアのないテスト患者からのデータは、回帰モデルでは使用されなかったが、1ステップ分類タスクに使用された。
【0124】
テスト患者のすべては、1人の黒人の正常なテスト患者および1人の黒人のADテスト患者を除いて白人であった。正常なテスト患者プールは、72歳の年齢平均値および73.9歳の平均年齢の、64~84歳の年齢範囲における5人の男性と5人の女性とを含んでいた。ADテスト患者プールは、78歳の年齢平均値および76.2歳の平均年齢の、62~84歳の年齢範囲における8人の男性と3人の女性とを含んでいた。
【0125】
図4Bは、典型的な正常な患者に対する、2つは同じ日に行われ、3回目は異なる日に行われた、3つの例示的な聴覚刺激テストセッションからの3つの平均応答シグナル曲線100、102、104を示す。これらの曲線は、正常な患者に対するテスト実行間の全体的な再現性を示す。しかしながら、それらはまた、正常な患者であっても個々のエポック間に相当な量の不均一性が存在することを強調しており、それは、このセクションで説明する例示的なADDモデルが定量化し、取り込むことができる。
【0126】
図4Cは、典型的なAD患者に対する、2つは同じ日に行われ、3回目は異なる日に行われた、3つの例示的な聴覚刺激テストセッションからの3つの平均応答シグナル曲線140、142、144を示す。曲線のうちの2つは、非常に類似しているが、第3のもののピークおよび谷は、大きさが大幅により大きい。これらの曲線は、AD患者に対するテスト実行間の再現性の相対的欠如を示す。しかしながら、正常な患者の曲線のように、それらはまた、同様にAD患者に関する個々のエポック間に相当な量の不均一性が存在することを強調しており、再びそれは、このセクションで説明する例示的なADDモデルが定量化し、取り込むことができる。
【0127】
図2A、
図2B、
図4B、および
図4Cに示す平均MEGデータ曲線を生成するために使用されたMEGデータは、単一のテストセッションからの誘発応答の数百回の反復から来てもよい。
図3Aに示すもののように、このMEGデータをヒートマップの形態において可視化することは、生のエポックデータのセットの視覚的精査が、平均化された、または他の方法で折り畳まれたMEGデータ内の隠れたまたは失われた傾向およびパラメータを識別することを可能にする。そのようなヒートマップでは、応答またはエポックの各々が、測定された磁場の強度を表すカラースケールを有する水平線としてプロットされる。
【0128】
このセクションで説明する例示的なモデルを開発する際、それらのSQUIDセンサ32が2つのグループ間を区別するのに最良のパワーを有していたので、グラジオメータSQUIDセンサ32(すなわち、306のSQUIDセンサ32のうちの204のみ)が使用された。これらのSQUIDセンサ32は、ピークA92における最小の変動を有することに基づいて選択された。しかしながら、他のモデルについて、磁力計(すなわち、306のSQUIDセンサ32のうちの他の102)が、上述した204のSQUIDセンサの代わりに、またはそれに加えて使用されてもよい。
【0129】
IV.B.例示的ADDモデル1
第1の例示的なADDモデルについて、信頼性と安定性の両方がある17の候補パラメータのセット(セクションIII.C.参照)が、将来の分析のために実行された「良好な」パラメータと呼ばれた。信頼性および安定性試験に失敗した候補パラメータの多くは、正常なテスト患者とADテスト患者とを区別することにおいて有効であったが、候補パラメータが同じテスト患者の他の記録セッショにおいて十分に再現可能ではなかったので、それらは、モデルパラメータとしてこの特定のADDモデルのために選択されなかった。
【0130】
良好な候補パラメータから、各候補パラメータに関する正常なテスト患者の値の平均および標準偏差に基づいて正規分布が確立され、分布の一部である最も低い正常なテスト患者よりも低い確率を有するADテスト患者の数が決定された。言い換えれば、正常なテスト患者分布内にあるADテスト患者の確率が、最も低い可能性がある正常なテスト患者の確率よりも小さかった場合、候補パラメータは、ADテスト患者を正確に並べ替えた。パラメータは、次いで、どれくらい多くのADが正常なテスト患者の分布外にあったか(すなわち、どれくらい多くのテスト患者がAD患者として正確にマークされたか)に基づいてスコア付けされた。そのスコア(すなわち、分布外のADテスト患者の数)は、良好なパラメータの予備ランクとして使用された。
【0131】
次いで、このADDモデル内にモデルパラメータとして含まれた候補パラメータを識別するために、17の良好の候補パラメータのランク付けされたセットが選択された。この例示的な実施形態では、大部分のADテスト患者を正確にマークした候補パラメータが最初に選択され、ADDモデルに追加され、最良のモデルパラメータとみなされた。各後続モデルパラメータは、それがその以前の情報に最も多くの情報を加えた(すなわち、以前の候補パラメータによって取り込まれていないADテスト患者を取り込んだ)場合、選択され、追加された。2つのモデルパラメータが同じ数のADテスト患者(または同じ数の追加のテスト患者)にマークした場合、両方が一緒に追加された。この手順は、使用される候補パラメータの数を最小限にし、したがって、オーバフィッティングの機会を減らすために採用された。モデルパラメータの選択は、それ以上ADテスト患者がマークされたままにならないまで続けられた。
【0132】
この手順は、以下の6つのモデルパラメータ、すなわち、3つのピーク90、91、92のすべてを有するエポックの数[“A*B*C”]、ピークA90を有するエポックの数[“nA”]、弱いピークA90エポックにおけるピークC92の振幅[“weakA_Camp”]、弱いピークA90エポックにおけるピークB91の振幅[“weakA_Bamp”]、ピークB91を有する強いピークA90エポックの数[“strongA_Bnum”]、およびピークB91の持続時間の変動[“duration(var)”]を選択した。この6つの候補パラメータのセットに対して、[weightInPool]候補パラメータも追加された。したがって、この例示的なADDモデルは、合計7つのモデルパラメータを有していた。
【0133】
ADDモデルは、次いで、MMSEスコアを予測するために、これらの7つのパラメータに対して線形モデルを使用して訓練された。テスト患者を正常またはADとして分類するために、予測されたMMSEスコアに対するハードカットオフが使用された。交差検証は、使用されず、したがって、訓練とテストの両方に同じデータが使用された。
【0134】
モデルの結果は、その後データを分類するために分割された予測MMSEスコアであった。モデルは、予測MMSEスコアに基づいて、正常なテスト患者とADテスト患者とを完全に区別することもできた。
【0135】
IV.C.例示的ADDモデル2
以前の例示的なADDモデル(例示的ADDモデル1)からの同じ7つの候補パラメータと、事後[badInPool]候補パラメータとを使用して、合計8つのモデルパラメータについて別のADDモデルが構築された。
【0136】
このモデルでは、MMSEスコアおよびグループ分離との非常に良好な相関が示されたが、各候補パラメータは、単独で答えを提供しない。一実施形態では、正常なテスト患者とADテスト患者とを区別するために使用されるMMSEスコアを予測するために非線形モデル(ランダム分類器回帰)を使用して最良の候補パラメータを組み合わせることによって、MMSEスコアとの非常に高い相関を達成することができる。この作業は、何人かのテスト患者が多くの候補パラメータに基づいてADとしてマークされている間、何人かの他のテスト患者が候補パラメータのより小さいセットの特性に依存することを明らかにする。これは、候補パラメータの様々なセットがテスト患者を区別する際にどのように効果的であるかを示す。それは、たとえば、複数のエポックからのデータを平均化することなどによって、複数のエポックからのMEG応答データを一緒に集約する、折り畳む、または合成するデータに完全に依存するのではなく、テスト患者を区別する際に個々のエポックからのデータの個別の側面から導出された候補パラメータが重要であることをさらに示す。
【0137】
IV.D.代替モデル化技法ADD例示的モデル
上記で説明した17の良好な候補パラメータの完全なセットまたはサブセットを使用して、異なる機械学習方法およびモデル設計が試験された。これらの結果の要約が表1に示されている。これらのモデル設計/方法の各々について、2ステップ分類(仮定のMMSEスコアを決定するための回帰、およびADまたは正常としての分類)と、2つのグループ間のADまたは正常としての単純な分類の両方が試みられた。各機械学習方法についてのハイパーパラメータは、これらのモデルの各々についてデフォルトで残されていた。当業者は、これらのハイパーパラメータを調整することが、一般にこれらの例示的なADDモデルの予測パワーの改善につながることを理解し得る。
【0138】
表1は、候補パラメータの異なるセットを使用して構築され、異なる機械学習技法を使用して訓練されたいくつかの例示的なADDモデルを示す。以下の表のキーとして、「2ステップ」および「1ステップ」は、2ステップ分類または1ステップ分類のどちらが以前のパラグラフについて使用されたのかを示す。使用された例示的な機械学習技法は、ランダムフォレスト、勾配ブースティング、サポートベクトル(サポートベクトル機械または「SVM」としても知られる)、線形SVM、放射基底関数カーネルSVM(「RBF SVM」)、線形回帰、およびロジスティック回帰を含んでいた。表1におけるすべての例示的なADDモデルは、1つ抜き交差検証(「LOOCV:leave one out cross validation」)を使用して訓練された。
【0139】
使用されたモデルパラメータのセットは、合計19のモデルパラメータを作成する[badInPool]パラメータおよび[weightInPool]パラメータを有する「すべて」(17の良好な候補パラメータのすべて)と、表において「no InPool」とラベル付けされている、17のモデルパラメータを作成する[badInPool]パラメータおよび[weightInPool]パラメータを持たない17の良好な候補パラメータのすべてとを含む。
【0140】
表1では、「r」は、すべてのテスト患者に関する相関係数を示し、精度は、20人のテスト患者を正常またはADとして正確に類別することにおけるモデルの性能を示す(たとえば、1は、20人のテスト患者すべてが正確に類別されたことを意味する、など)。2ステップモデルのすべてについて、ピアソン相関係数(r)およびp値(p)、ならびにスピアマン相関係数(r)およびp値(p)は、正常な(「NV」)テスト患者とADテスト患者の両方について別々に計算された。表1におけるそのような値のすべては、小数点以下2桁に丸められている。
【表1】
【0141】
これらのモデルの結果は、いくつかの点を示す。第1に、2つの事後パラメータ[badInPool]および[weightInPool]は、相当な改善をモデルの性能に提供する。アンサンブル非線形モデル(RFおよびGBM)は、モデルパラメータの現在のセットを考慮すると、他のモデルよりも優れている傾向がある。高い分類精度は、MMSEスコアを予測する中間ステップを取ることなく得ることもできる。しかしながら、本明細書で既に述べた理由のため、これは、たとえば、他の疾患の存在または進行を評価する際に使用するためのモデルの非常に有用な特徴である。
【0142】
IV.E.他のチャネル選択基準に基づく例示的なADDモデル
SQUIDセンサ32の選択基準の効果を評価するために、他の選択基準が試験された。試験された基準は、ピークA90を有するエポックの最も高いパーセンテージを有するSQUIDセンサ32(「最多ピークA」)を選択するステップと、ピークB91を有するエポックの最も高いパーセンテージを有するSQUIDセンサ32(「最多ピークB」)を選択するステップと、すべてのエポックを使用してピークA90の最も高い強度を有するSQUIDセンサ32(「最高ピークA」)を選択するステップとを含んでいた。
【0143】
センサ選択が行われると、これらの選択されたSQUIDセンサ32からのMEGデータに基づいて37の候補パラメータが計算され、どの候補パラメータが良好であったのかを決定するために、各候補パラメータの安定性および信頼性が独立して評価された。最多ピークA90、最多ピークB91、および最高強度ピークA90のセンサ選択基準は、それぞれ、9、17、および11の良好な候補パラメータを生成した。例示的なADDモデルは、次いで、良好な候補パラメータのすべてに基づき、InPoolパラメータに基づかないで、2ステップ分類を使用して開発された。再び、MMSEスコアを予測するためにRFCが使用され、2ステップ分類に関して正常またはADとして分類するために、予測値に対する規則的なカットオフが使用された。この評価の結果は、表2に示されている。
【表2】
【0144】
本明細書で提示されたテストデータに基づいて、これらの代替センサ基準のいずれも、センサ選択基準としてピークA90のレイテンシにおける最小変動を使用するほど良好な結果を提供しなかった。しかしながら、他の代替センサ基準が依然として予測的であり、ピークA90のレイテンシ変動を最小化することに実行可能な代替物であり得ることは明らかである。特徴を抽出する際に使用するために単一のチャネルが選択され得る多くの方法が存在するが、ピークAの特性は、これまで最良の分類結果をもたらしている。それは、他の方法と比較して、ピークAの実際の特性のため、または、そのような選択スキームがもたらす安定し信頼性のある特徴の数のためであり得る。
【0145】
IV.F.追加のADDモデル例
モデルパラメータの数がどのようにADDモデルに影響を及ぼすのかをテストするために、大量の追加の例示的なADDモデルが作成され、使用される良好な候補パラメータの数は、セクションIV.E.3において上記で説明した1つ抜き交差検証フレームワークにおけるランダムフォレストリグレッサ(RFR)ADDモデルに対して様々であった。上記のように、第1にMMSEスコアを予測し、第2に、患者を正常とADとの間で分類するためにMMSEスコアを使用する、2ステップ分類が実行された。上記のように、ランダムフォレストリグレッサは、そのデフォルトのパラメータを使用し、ハイパーパラメータ最適化は、実行されなかった。各々のそのようなADDモデルの2つのバージョンが作成され、1つは、事後パラメータ([badInPool]および[weightInPool])を有し、1つは、事後パラメータを持たなかった。
【0146】
17の良好な候補パラメータのプールからランダムに選択されたADDモデルパラメータの数は、固定されていた。次いで、それらのモデルパラメータは、良好な候補パラメータのプールから200の異なるときにランダムに選択され、回帰係数および精度についてヒストグラムが作成された。これは、16セットのヒストグラム対を生成した(すなわち、1つのパラメータをランダムに17まで選択した)。(17回の反復後に)ランダムに1つのパラメータを選択すること、および17のパラメータ(17のパラメータのみが存在するので、常に同じもの)の変動は、ツリーを分割する際にランダムな成分を有する、ランダムフォレストアルゴリズムに由来することに留意されたい。
【0147】
図4Dは、事後パラメータありと事後パラメータなしの両方の例示的なADDモデル内に含まれる良好な候補パラメータの数(x軸)の関数としてのピアソンr値(y軸)に関する平均および標準偏差を示す。
図4Dでは、平均は、実線として示され、標準偏差は、その線の周りの包絡線として示されている。
【0148】
図4Eは、事後パラメータありと事後パラメータなしの両方の例示的なADDモデル内に含まれる良好な候補パラメータの数の関数としての分類精度に関する平均および標準偏差を示す。
図4Eは、その他の点で
図4Dと同様に示されている。
【0149】
図4Dおよび
図4Eは、使用される良好な候補パラメータが多いほど、結果として生じるADDモデルの性能が良好になることを示す。それらは、2つの事後パラメータが強力であることをさらに示す。さらに、事後パラメータと非事後パラメータとの間の相違は、モデルパラメータの数が増加するにつれて増加する。再び、17の良好な候補パラメータのすべてがADDモデルにおいて使用されるときの偏差は、ランダムフォレストリグレッサのランダム化構成要素の結果である。
【0150】
V.モデル使用
開発されたモデル、たとえば、特定の候補パラメータのセットを有する上述したADDモデルのうちの1つは、訓練セットの一部ではなかった他の「新しい」患者に適用されてもよい。「新しい」MEGデータは、モデルMEGデータがテスト患者から収集されたのと同じ方法で、新しい患者から収集される。新しいMEGデータは、次いで、新しい患者のためのモデルに関するモデルパラメータの値を決定するために分析される。新しい患者のモデルパラメータの値は、モデルパラメータに関するモデル値と比較され、新しい患者の評価が提供される。新しい患者の評価は、モデルが評価するために開発された医学的状態に関する。本明細書全体を通しての共通の例は、ADの区別のためであるが、本明細書全体を通してのプロセスは、他の医学的状態にも適用可能である。
【0151】
コンピュータ20は、可能な場合、新しい患者のMEGデータからモデルパラメータ値を計算するが、ヒトの入力は、モデルパラメータ値を決定するプロセスの性質に応じて、いくつかのモデルパラメータ値の決定に役立つ場合がある。新しいMEGデータの分析が完了した後、結果が提供される。
【0152】
図5は、医師がMEGデータの収集後に新しい患者を迅速に分析するために使用することができる例示的なグラフィカルユーザインターフェースディスプレイを示す。
図5の例示的なディスプレイの左上部分は、新しいMEGデータの例示的なヒートマップを示す。
図5の例示的なディスプレイの左下部分は、すべてのエポック、強いピークA90エポック、および弱いピークA90エポックに関する平均MEGデータの曲線を、開始点およびオフセットの値に関する推定と共に示す。
図5の例示的なディスプレイの右上部分は、モデルのモデルパラメータと、それらのモデルパラメータに関する患者の値と、それらのモデルパラメータに関する正常値とを、任意の異常結果の強調表示と共に列挙する例示的なチャートを示す。
図5の例示的なディスプレイの右下部分は、他の候補パラメータと、それらの候補パラメータに関する患者の値と、正常値とを列挙し、任意の異常結果を強調表示する例示的なチャートを示す。
図5における例示的な患者は、
図5における情報に基づいてADを有するとみなされる。
【0153】
異常パラメータの強調表示に関して、セクションIII.B.3において上記で論じた[badInPool]パラメータおよび[weightInPool]パラメータに寄与する各モデルパラメータに関する個々の値は、どのパラメータ値を強調表示するのかを決定するために、提示されたグラフィカルユーザインターフェース(GUI)ディスプレイの一部として使用することができる。一般に、所与のモデルパラメータに関する所与の患者の値が、正常なテスト患者の分布から予想される範囲外である場合、そのモデルパラメータに関する値は、GUIにおいて異常としてマークされてもよい。たとえば、上記のように、すべての被験者に関する正常なテスト患者の値がモデルパラメータA*B*Cに対して使用される場合、そこから分布(たとえば、正規分布)が推定される。この例について、その分布内にある正常なテスト患者の中で最小の確率が0.2と計算されると仮定する。結果として、正常なテスト患者に関する分布内にある<0.2の確率を有する任意の患者は、なんらかの識別様式で(たとえば、
図5に提示されているように赤色で)マークされたモデルパラメータA*B*Cを有する。
【0154】
患者が認知障害であるかどうかを決定するためにパラメータに基づいて訓練されたモデルは、患者における認知障害を診断する方法において使用することができる。
【0155】
患者が認知障害であるかどうかを決定し、認知障害の程度を区別するためにパラメータに基づいて訓練されたモデルは、患者における認知障害の程度を病期分類する方法において使用することができる。そのような方法は、疾患の進行を監視する方法において使用することもできる。疾患進行を監視する方法では、認知障害の程度の少なくとも第1の決定および第2の決定が間隔を開けた時間間隔において取得され、第1の決定と第2の決定との間の認知障害の程度における変化が計算される。
【0156】
患者が認知障害であるかどうかを決定し、神経変性によって引き起こされる認知障害を他の病因の認知障害から区別するためにパラメータに基づいて訓練されたモデルは、神経変性によって引き起こされる患者における認知障害を他の病因の認知障害から診断により区別する方法において使用することができる。
【0157】
モデルは、認知障害を有する患者を治療する方法において使用することもでき、方法は、認知障害を有することがモデルの使用を通して決定された患者に、治療有効量の抗認知障害治療剤を投与するステップを含む。
【0158】
一部の実施形態では、抗認知障害治療剤は、疾患修飾抗神経変性剤である。一部の実施形態では、抗認知障害治療剤は、認知症症状増強剤である。
【0159】
ある特定の実施形態では、疾患修飾抗神経変性剤は、ベータセクレターゼ1(BACE-1)、ガンマセクレターゼ、タウ、Aβ、アミロイド前駆体タンパク質(APP)、α-シヌクレイン、ロイシンリッチリピートキナーゼ2(LRRK2)、パーキン、プレセニリン1、プレセニリン2、アポリポタンパク質E4(ApoE4)、ハンチンチン、p75ニューロトロフィン受容体(p75NTR)、CD20、プリオンタンパク質(PrP)、および細胞死受容体6(DR6)のうちの1つまたは複数に結合する。
【0160】
特定の実施形態では、抗認知障害治療剤は、表3から選択される。
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【0161】
患者が認知障害であるかどうかを決定し、認知障害の程度を区別するためにパラメータに基づいて訓練されたモデルは、認知障害を有する患者における抗認知障害治療剤の投薬量を設定する方法において使用することもできる。典型的な実施形態では、方法は、認知障害の程度を決定するステップと、次いで、患者の認知障害の決定された程度に基づいて抗認知障害治療剤の投薬量を設定するステップとを含む。
【0162】
患者が認知障害であるかどうかを決定し、認知障害の程度を区別するためにパラメータに基づいて訓練されたモデルは、認知障害を有する患者における抗認知障害治療剤の投薬量を用量設定する方法においても使用することができる。典型的な実施形態では、認知障害の程度の第1の決定および第2の決定は、患者が第1の投薬量レベルで抗認知障害治療剤を受けていた、間隔を開けた間隔において決定され、認知障害の程度が第1の決定と第2の決定との間で増加した場合には、投薬量は、第2の投薬量レベルまで増加される。
【0163】
VI.モデル性能および観察
モデルが開発されると、モデルの性能を評価するために、追加の分析が行われてもよい。本明細書に記載された例示的なモデルを評価するために、最も高いスコアの良好な候補パラメータが、各テスト患者のMMSEスコアを予測するために使用された。それらの計算は、データセット全体を使用し、交差検証も使用して実行された。交差検証では、テスト患者のうちの1人が除外され、モデルは、残りのテスト患者のすべてを使用して訓練される。訓練されたモデルは、次いで、除外されたテスト患者のMMSEスコアを予測するために使用される。その評価は、除外されたテスト患者として各テスト患者に対して行われた。
【0164】
1ステップ分類モデルでは、除外されたテスト患者は、MMSEスコアを予測することなく、正常なテスト患者またはADテスト患者として直接分類された。2ステップモデルでは、除外されたテスト患者は、予測されたMMSEスコアに基づいて正常なテスト患者またはADテスト患者として分類された。
図6Aおよび
図6Bを参照すると、LOOCVを使用せずに上記で説明したように線形モデルとして実施された7候補パラメータの例示的なADDモデル1は、除外されたテスト患者に関するMMSEスコアの非常に良好な予測(r=0.94、p<0.001)を提供する。テスト患者の状態が未知である臨床環境のこのシミュレーションでは、モデルは、正常なテスト患者とADテスト患者とを完全に区別することができた。
図6Cおよび
図6Dを参照すると、上記で説明したように非線形モデルとして実施された、LOOCVを使用する8候補パラメータの例示的なADDモデル2は、依然として正常とADとを完全に区別することができるが、例示的なADDモデル1と同様にMMSEスコアを予測しない(r=0.88、p<0.001)。具体的には、テスト患者のすべての良好な候補パラメータを使用し、非線形モデルに関してランダムフォレストリグレッサが訓練され、除外されたテスト患者のMMSEスコアを予測した。言い換えれば、非線形モデルで1つ抜き交差検証を使用するとき、信頼性があり安定したモデルパラメータは、除外されたテスト患者が正常またはADのいずれであったのかを100%の精度(完全な感度および特異性)で予測する。
【0165】
モデルは、正常なテスト患者とADテスト患者とを使用して開発されたが、モデルは、正常なテスト患者のものとADを有するテスト患者のものとの間の中間レベルの認知機能(「軽度認知障害」または「MCI:minimal cognitive impairment」)を有するテスト患者の識別を可能にすることができる。
【0166】
本明細書に記載されたMEGデータでは、ピークA90がピークB91に対する応答の第1のノートの「タイムロック」を設定しているように見える。次いで、ピークB91が生成され、ピークB91が前頭皮質との信号接続性によって共有され、次いでピークC92がピークB91を特徴付けるのを助けると推測される。欠落したピークC92は、延長されたピークB91と関連する可能性があるが、正確に時間が合わされたピークB91の要件ではない。
【0167】
モデルは、本明細書に記載されているようにヒトの患者への1つまたは複数の制御された刺激の適用の結果として磁気皮質表面マップにおける時間的変化を検出するために使用されてもよい。結果は、刺激とヒトの脳の活性化との間の相関関係のより良い理解を与えるために使用されてもよい。
【0168】
VII.追加の考慮事項
他の特定の医学的状態を監視すること、または一般にヒトの脳の機能を監視することにおいて有用であり得る同様の方法論が開発され得る。本明細書に記載されたモデルは、脳の活性化/興奮の相対的な程度と、その後の活性化に対する応答とを含む、聴覚刺激後に収集されたMEGデータを分析する。モデルのためのMEGデータは、一般に、約6つまでの単一のSQUIDセンサと同じくらい少ない少数のSQUIDセンサのみから来てもよいが、SQUIDセンサのフルセット(たとえば、306のセンサ)が使用されてもよい。
【0169】
本発明について、1つまたは複数の実施形態を参照して説明してきたが、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更がなされてもよく、その要素について均等物が代用されてもよいことが当業者によって理解されるであろう。加えて、その本質的な範囲から逸脱することなく、特定の状況または材料を本発明の教示に適合させるために、多くの修正が行われてもよい。したがって、本発明は、本発明を実行するために考えられる最良の形態として開示された特定の実施形態に限定されず、本発明は、添付された特許請求の範囲内に入るすべての実施形態を含むものとすることが意図される。加えて、詳細な説明で特定されるすべての数値は、正確な値と近似値の両方が明示的に特定されているかのように解釈されるべきである。
本発明の実施形態の例として、以下の項目が挙げられる。
(項目1)
複数の聴覚刺激事象に対するテスト患者の脳の応答の脳磁図(MEG)データのエポックのセットにアクセスするステップと、
前記エポックの3ピークサブセットを識別するために前記エポックのセットを処理するステップであって、前記サブセット内の各エポックが第1のピークと、第2のピークと、第3のピークとを備える、ステップと、
前記MEGデータの前記個々のエポックを分析することによって複数のパラメータ値を決定するステップであって、
前記パラメータ値のうちの少なくとも1つが前記第1、第2、および第3のピークのうちの1つまたは複数を有する前記セット内のエポックの数に基づいて決定され、
前記パラメータ値のうちの少なくとも1つが前記3ピークサブセット内の前記エポックのうちの少なくともいくつかの第1、第2、および第3のピークのうちの1つの振幅に基づいて決定される、ステップと、
前記テスト患者が認知障害であるかどうかを決定するために、前記パラメータ値を前記パラメータに基づいて訓練されるモデルに入力するステップと、
前記決定を提供するステップと
を含む方法。
(項目2)
前記個々のエポックに基づいて前記複数のパラメータ値のうちの1つを決定するステップが、
前記セット内の他のエポックに対して前記第1のピークについて最も弱い振幅を有する前記セット内の前記エポックの弱いサブセットを識別することと、
前記第2のピークを有する前記弱いサブセット内の前記エポックの数に基づいて前記パラメータ値のうちの1つを決定することと
を含む、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記第1のピークがタイプAピーク、タイプBピーク、またはタイプCピークであり、前記第2のピークがそれらのピークのうちの異なる1つである、項目2に記載の方法。
(項目4)
前記個々のエポックに基づいて前記複数のパラメータ値のうちの1つを決定するステップが、
前記セット内の他のエポックに対して前記第1のピークについて最も強い振幅を有する前記エポックの強いサブセットを識別することと、
前記第2のピークを有する前記強いサブセット内の前記エポックの数に基づいて前記パラメータ値のうちの1つを決定することと
を含む、項目1に記載の方法。
(項目5)
前記第1のピークがタイプAピーク、タイプBピーク、またはタイプCピークであり、前記第2のピークがそれらのピークのうちの異なる1つである、項目4に記載の方法。
(項目6)
前記個々のエポックに基づいて前記複数のパラメータ値のうちの1つを決定するステップが、
前記セット内の他のエポックに対して前記第1のピークについて最も弱い振幅を有する前記エポックの弱いサブセットを識別することと、
前記弱いサブセット内の前記エポックの前記第2のピークの振幅の尺度に基づいて前記パラメータ値のうちの1つを決定することと
を含む、項目1に記載の方法。
(項目7)
前記第1のピークがタイプAピーク、タイプBピーク、またはタイプCピークであり、前記第2のピークがそれらのピークのうちの異なる1つである、項目6に記載の方法。
(項目8)
前記個々のエポックに基づいて前記複数のパラメータ値のうちの1つを決定するステップが、
前記セット内の他のエポックに対して前記第1のピークについて最も強い振幅を有する前記エポックの強いサブセットを識別することと、
前記強いサブセット内の前記エポックの前記第2のピークの振幅の尺度に基づいて前記パラメータ値のうちの1つを決定することと
を含む、項目1に記載の方法。
(項目9)
前記第1のピークがタイプAピーク、タイプBピーク、またはタイプCピークであり、前記第2のピークがそれらのピークのうちの異なる1つである、項目8に記載の方法。
(項目10)
前記複数のパラメータ値のうちの1つを決定するステップが、
前記セット内の他のエポックに対して前記第1のピークについて最も強い振幅を有する前記エポックの強いサブセットを識別することと、
前記セット内の他のエポックに対して前記第1のピークについて最も弱い振幅を有する前記エポックの弱いサブセットを識別することと、
前記強いサブセット内の前記第1のピークの面積に対する前記弱いサブセット内の前記第1のピークの面積の比に基づいて前記パラメータ値のうちの1つを決定することと
を含む、項目1に記載の方法。
(項目11)
前記複数のパラメータ値のうちの1つを決定するステップが、
前記セット内の他のエポックに対して前記第1のピークについて最も強い振幅を有する前記エポックの強いサブセットを識別することと、
前記セット内の他のエポックに対して前記第1のピークについて最も弱い振幅を有する前記エポックの弱いサブセットを識別することと、
前記弱いサブセット内の第2のピークの全体的な振幅に対する前記強いサブセット内の前記第2のピークの全体的な振幅の比に基づいて前記パラメータ値のうちの1つを決定することと
を含む、項目1に記載の方法。
(項目12)
前記第1のピークがタイプAピーク、タイプBピーク、またはタイプCピークであり、前記第2のピークがそれらのピークのうちの異なる1つである、項目11に記載の方法。
(項目13)
前記複数のパラメータ値のうちの1つを決定するステップが、
前記セット内の他のエポックに対して前記第1のピークについて最も強い振幅を有する前記エポックの強いサブセットを識別することと、
前記セット内の他のエポックに対して前記第1のピークについて最も弱い振幅を有する前記エポックの弱いサブセットを識別することと、
第2のピークを有する前記弱いサブセット内のいくつかのエポックの数に対する前記第2のピークを有する前記強いサブセット内のエポックの数の比に基づいて前記パラメータ値のうちの1つを決定することと
を含む、項目1に記載の方法。
(項目14)
前記複数のパラメータ値のうちの1つを決定するステップが、
前記3ピークサブセット内の前記エポックの数に基づいて前記パラメータ値のうちの1つを決定することを含む、項目1に記載の方法。
(項目15)
前記複数のパラメータ値のうちの1つを決定するステップが、
前記第1のピークと前記第2のピークとを有する前記セット内の前記エポックの数に基づいて前記パラメータ値のうちの1つを決定することを含む、項目1に記載の方法。
(項目16)
前記第1のピークがタイプAピーク、タイプBピーク、またはタイプCピークであり、前記第2のピークがそれらのピークのうちの異なる1つである、項目15に記載の方法。
(項目17)
前記複数のパラメータ値のうちの1つを決定するステップが、
前記第1のピークを有する前記3ピークサブセット内の前記エポックの数に基づいて前記パラメータ値のうちの1つを決定することを含む、項目1に記載の方法。
(項目18)
前記第1のピークがタイプAピーク、タイプBピーク、またはタイプCピークである、項目17に記載の方法。
(項目19)
前記複数のパラメータ値のうちの1つを決定するステップが、
前記第1のピークを有する前記3ピークサブセット内の前記エポックの持続時間の変動に基づいて前記パラメータ値のうちの1つを決定することを含む、項目1に記載の方法。
(項目20)
前記第1のピークがタイプAピーク、タイプBピーク、またはタイプCピークである、項目19に記載の方法。
(項目21)
前記複数のパラメータ値のうちの1つを決定するステップが、
前記第1のピークを有する前記3ピークサブセット内の前記エポックの持続時間の平均に基づいて前記パラメータ値のうちの1つを決定することを含む、項目1に記載の方法。
(項目22)
前記第1のピークがタイプAピーク、タイプBピーク、またはタイプCピークである、項目21に記載の方法。
(項目23)
前記複数のパラメータ値のうちの1つを決定するステップが、
前記第1のピークを有する前記3ピークサブセット内の前記エポックの持続時間の平均で割った、前記第1のピークを有する前記3ピークサブセット内の前記エポックの持続時間の変動に基づいて前記パラメータ値のうちの1つを決定することを含む、項目1に記載の方法。
(項目24)
前記第1のピークがタイプAピーク、タイプBピーク、またはタイプCピークである、項目23に記載の方法。
(項目25)
前記複数のパラメータ値のうちの1つを決定するステップが、
前記第1のピークを含むエポック内の前記第1のピークの総振幅に基づいて前記パラメータ値のうちの1つを決定することを含む、項目1に記載の方法。
(項目26)
前記第1のピークがタイプAピーク、タイプBピーク、またはタイプCピークである、項目25に記載の方法。
(項目27)
前記複数のパラメータ値のうちの1つを決定するステップが、
前記3ピークサブセット内のエポック内の前記第1のピークのレイテンシに基づいて前記パラメータ値のうちの1つを決定することを含む、項目1に記載の方法。
(項目28)
前記パラメータ値が、前記第1のピークの前記レイテンシの分散、標準偏差、平均、中央値、および最頻値のうちの少なくとも1つにさらに基づく、項目27に記載の方法。
(項目29)
前記第1のピークがタイプAピークまたはタイプCピークである、項目27に記載の方法。
(項目30)
前記第1のピークの前記レイテンシが、前記エポック内の時間において前記第1のピークの前または後に生じる前記第2のピークの第2のレイテンシから開始して決定される、項目29に記載の方法。
(項目31)
前記エポック内の前記1のピークの前記レイテンシが、前記エポック内のシグナルの一次導関数が実質的にゼロであるときに基づいて決定される、項目29に記載の方法。
(項目32)
前記第1のピークがタイプBピークである、項目27に記載の方法。
(項目33)
前記エポックのうちの1つにおける前記第1のピークの前記レイテンシが、前記エポック内のシグナルが実質的にその最大絶対値であるときに基づいて決定される、項目32に記載の方法。
(項目34)
前記複数のパラメータ値のうちの1つを決定するステップが、
前記3ピークサブセット内のエポック内の前記第1のピークの開始点に基づいて前記パラメータ値のうちの1つを決定することを含む、項目1に記載の方法。
(項目35)
前記パラメータ値が、前記第1のピークの前記開始点の分散、標準偏差、平均、中央値、および最頻値のうちの少なくとも1つにさらに基づく、項目34に記載の方法。
(項目36)
前記第1のピークがタイプBピークである、項目34に記載の方法。
(項目37)
前記エポックのうちの1つにおける前記第1のピークの前記開始点が、前記エポック内のシグナルがベースラインシグナルの標準偏差の2倍よりも大きいときに基づいて決定される、項目36に記載の方法。
(項目38)
前記第1のピークがタイプAピークまたはタイプCピークである、項目34に記載の方法。
(項目39)
前記エポックのうちの1つにおける前記第1のピークの前記開始点が、前記エポック内のシグナルの一次導関数が符号を変化させるときに基づいて決定される、項目38に記載の方法。
(項目40)
前記複数のパラメータ値のうちの1つを決定するステップが、
前記3ピークサブセット内のエポック内の前記第1のピークのオフセットに基づいて前記パラメータ値のうちの1つを決定することを含む、項目1に記載の方法。
(項目41)
前記パラメータ値が、前記第1のピークの開始点の分散、標準偏差、平均、中央値、および最頻値のうちの少なくとも1つにさらに基づく、項目40に記載の方法。
(項目42)
前記第1のピークがタイプBピークである、項目40に記載の方法。
(項目43)
前記エポックのうちの1つにおける前記第1のピークの開始点が、前記エポック内のシグナルが前記エポックに関するタイプBピークレイテンシの後のベースラインシグナルの標準偏差の2倍よりも大きいときに基づいて決定される、項目42に記載の方法。
(項目44)
前記エポックのうちの1つにおけるタイプAピークの前記オフセットが、前記エポック内のシグナルの一次導関数が符号を変化させるときに基づいて決定される、項目42に記載の方法。
(項目45)
前記エポックのうちの1つにおけるタイプCピークの前記オフセットが、シグナルがタイプBピークに関するオフセットと同じ値に戻るとき、または閾値時間の、最初に生じるものに基づいて決定される、項目42に記載の方法。
(項目46)
前記複数のパラメータがbadInPoolパラメータと複数の追加パラメータとを含み、badInPoolパラメータの値を決定するステップが、
各追加パラメータについて、正常値分布内にある最も小さい正常なテスト患者の確率よりも小さい前記正常値分布内にある確率を有する前記テスト患者に関する値を有するいくつかの前記追加パラメータの数を決定することを含む、項目1に記載の方法。
(項目47)
前記複数のパラメータがweightInPoolパラメータと複数の追加パラメータとを含み、weightInPoolパラメータの値を決定するステップが、
各追加パラメータについて、正常値分布内にある最も小さい正常なテスト患者の確率と、前記正常値分布内にある前記テスト患者に関する前記追加パラメータの値の確率との間の差を合計することを含む、項目1に記載の方法。
(項目48)
前記モデルが、前記テスト患者を認知障害または非認知障害として分類するように構成された1ステップモデルである、項目1に記載の方法。
(項目49)
前記モデルが2部分モデルであり、前記モデルが、テスト患者に関するミニメンタルステート検査(MMSE)スコアを予測するように構成された第1の部分と、前記予測されたMMSEスコアに基づいて前記テスト患者を認知障害または非認知障害として分類するように構成された第2の部分とを含む、項目1に記載の方法。
(項目50)
前記モデルが、ランダムフォレストモデル、勾配ブースティングモデル、サポートベクトル機械(SVM)モデル、線形SVMモデル、放射基底関数カーネルSVM、線形回帰、およびロジスティック回帰のうちの少なくとも1つを使用して訓練された、項目1に記載の方法。
(項目51)
Aタイプピークが、前記聴覚刺激事象後の約50~100ミリ秒の範囲内においてエポック内に生じる、項目1に記載の方法。
(項目52)
Bタイプピークが、前記聴覚刺激事象後の約100~200ミリ秒の範囲内においてエポック内に生じる、項目1に記載の方法。
(項目53)
Cタイプピークが、前記聴覚刺激事象後の約200~400ミリ秒の範囲内においてエポック内に生じる、項目1に記載の方法。
(項目54)
前記複数の聴覚刺激事象をオーディオスピーカから送信するステップと、
前記テスト患者の前記脳の近位に配置されたMEGセンサを用いて前記エポックのセットを記録するステップと
のより以前のステップをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目55)
前記MEGセンサがSQUIDである、項目54に記載の方法。
(項目56)
同様に前記テスト患者の前記脳の近位に配置された少なくとも1つの追加MEGセンサを用いてエポックの少なくとも1つの追加セットを記録するステップをさらに含み、前記MEGセンサの各々が、前記テスト患者の前記脳の周囲の異なる位置に配置される、項目54に記載の方法。
(項目57)
タイプAピークを有するエポックの最も高いパーセンテージを有する前記MEGセンサを識別するために前記エポックのセットを処理するステップをさらに含み、
前記MEGデータのエポックのセットにアクセスするステップが、前記タイプAピークを有するエポックの前記最も高いパーセンテージを有する前記MEGセンサに関連する前記エポックのセットにアクセスすることを含む、項目56に記載の方法。
(項目58)
タイプBピークを有するエポックの最も高いパーセンテージを有する前記MEGセンサを識別するために前記エポックのセットを処理するステップをさらに含み、
前記MEGデータのエポックのセットにアクセスするステップが、前記タイプBピークを有するエポックの前記最も高いパーセンテージを有する前記MEGセンサに関連する前記エポックのセットにアクセスすることを含む、項目56に記載の方法。
(項目59)
エポック内のタイプAピークの最も高い強度を有する前記MEGセンサを識別するために前記エポックのセットを処理するステップをさらに含み、
前記MEGデータのエポックのセットにアクセスするステップが、前記タイプAピークの前記最も高い強度を有する前記MEGセンサに関連する前記エポックのセットにアクセスすることを含む、項目56に記載の方法。
(項目60)
前記MEGセンサが前記テスト患者の前記脳の同側に配置される、項目56に記載の方法。
(項目61)
前記聴覚刺激事象がおおよそ50ミリ秒の持続時間である、項目56に記載の方法。
(項目62)
前記聴覚刺激事象が少なくとも500ミリ秒間隔を開けられる、項目56に記載の方法。
(項目63)
前記聴覚刺激事象が600~700ヘルツ(両端の値を含む)のトーンを含む、項目54に記載の方法。
(項目64)
前記エポックのセットが少なくとも250のエポックを含む、項目1に記載の方法。
(項目65)
複数の聴覚刺激事象に対するテスト患者の脳の応答の脳磁図(MEG)データのエポックのセットにアクセスするステップと、
前記エポックの3ピークサブセットを識別するために前記エポックのセットを処理するステップであって、前記サブセット内の各エポックが第1のピークと、第2のピークと、第3のピークとを備える、ステップと、
複数のパラメータ値を決定するステップであって、前記パラメータ値のうちの少なくとも1つが、前記エポックのセットおよび前記エポックの3ピークサブセットのうちの少なくとも1つ内の個々のエポックからのMEGデータを分析することに基づいて決定される、ステップと、
前記テスト患者が認知障害であるかどうかを決定するために、前記パラメータ値を前記パラメータに基づいて訓練されるモデルに入力するステップと、
前記決定を提供するステップと
を含む方法。
(項目66)
複数の聴覚刺激事象に対するテスト患者の脳の応答の脳磁図(MEG)データのエポックのセットにアクセスするステップと、
前記エポックの3ピークサブセットを識別するために前記エポックのセットを処理するステップであって、前記サブセット内の各エポックが第1のピークと、第2のピークと、第3のピークとを備える、ステップと、
複数のパラメータ値を決定するステップであって、前記決定するステップが、
前記セット内の他のエポックに対してタイプAピークについて最も強い振幅を有する前記セットの前記エポックのstrongAサブセットを識別することと、
タイプBピークを有する前記strongAサブセット内の前記エポックの数を表すstrongA_Bnumパラメータを決定することと、
前記3ピークサブセット内の他のエポックに対して前記タイプAピークについて最も弱い振幅を有する前記セットの前記エポックのweakAサブセットを識別することと、
前記weakAサブセット内の前記エポックの前記タイプBピークの振幅の尺度を表すweakA_Bampパラメータを決定することと、
前記weakAサブセット内の前記エポックのタイプCピークの振幅の尺度を表すweakA_Campパラメータを決定することと、
前記3ピークサブセット内の前記エポックの数を表すA*B*Cパラメータと、
タイプAピークを有する前記セット内の前記エポックの数を表すnAパラメータとを備える、ステップと、
前記テスト患者が認知障害であるかどうかを決定するために、前記パラメータ値を前記パラメータに基づいて訓練されるモデルに入力するステップと、
前記決定を提供するステップと
を含む方法。
(項目67)
患者における認知障害を診断する方法であって、
複数の聴覚刺激事象に対する前記患者の脳の応答の脳磁図(MEG)データのエポックのセットにアクセスするステップと、
前記エポックの3ピークサブセットを識別するために前記エポックのセットを処理するステップであって、前記サブセット内の各エポックが第1のピークと、第2のピークと、第3のピークとを備える、ステップと、
前記MEGデータの前記個々のエポックを分析することによって複数のパラメータ値を決定するステップであって、
前記パラメータ値のうちの少なくとも1つが前記第1、第2、および第3のピークのうちの1つまたは複数を有する前記セット内のエポックの数に基づいて決定され、
前記パラメータ値のうちの少なくとも1つが前記3ピークサブセット内の前記エポックのうちの少なくともいくつかの第1、第2、および第3のピークのうちの1つの振幅に基づいて決定される、ステップと、
患者が認知障害であるかどうかを決定するために、前記パラメータ値を前記パラメータに基づいて訓練されたモデルに入力するステップと、
前記決定を提供するステップと
を含む、方法。
(項目68)
神経変性によって引き起こされた患者における認知障害を他の病因の認知障害から診断により区別する方法であって、
複数の聴覚刺激事象に対する前記患者の脳の応答の脳磁図(MEG)データのエポックのセットにアクセスするステップと、
前記エポックの3ピークサブセットを識別するために前記エポックのセットを処理するステップであって、前記サブセット内の各エポックが第1のピークと、第2のピークと、第3のピークとを備える、ステップと、
前記MEGデータの前記個々のエポックを分析することによって複数のパラメータ値を決定するステップであって、
前記パラメータ値のうちの少なくとも1つが前記第1、第2、および第3のピークのうちの1つまたは複数を有する前記セット内のエポックの数に基づいて決定され、
前記パラメータ値のうちの少なくとも1つが前記3ピークサブセット内の前記エポックのうちの少なくともいくつかの第1、第2、および第3のピークのうちの1つの振幅に基づいて決定される、ステップと、
患者が認知障害であるかどうかを決定し、神経変性によって引き起こされた認知障害を他の病因の認知障害から区別するために、前記パラメータ値を前記パラメータに基づいて訓練されるモデルに入力するステップと、
前記決定を提供するステップと
を含む、方法。
(項目69)
認知障害を有する患者を治療する方法であって、
認知障害を有すると決定された患者に治療有効量の抗認知障害治療剤を投与するステップを含み、
前記決定が、
複数の聴覚刺激事象に対する前記患者の脳の応答の脳磁図(MEG)データのエポックのセットにアクセスすることと、
前記エポックの3ピークサブセットを識別するために前記エポックのセットを処理することであって、前記サブセット内の各エポックが第1のピークと、第2のピークと、第3のピークとを備えることと、
前記MEGデータの前記個々のエポックを分析することによって複数のパラメータ値を決定することであって、
前記パラメータ値のうちの少なくとも1つが前記第1、第2、および第3のピークのうちの1つまたは複数を有する前記セット内のエポックの数に基づいて決定され、
前記パラメータ値のうちの少なくとも1つが前記3ピークサブセット内の前記エポックのうちの少なくともいくつかの第1、第2、および第3のピークのうちの1つの振幅に基づいて決定されることと、
患者が認知障害であるかどうかを決定し、神経変性によって引き起こされた認知障害を他の病因の認知障害から区別するために、前記パラメータ値を前記パラメータに基づいて訓練されたモデルに入力することと、
前記決定を提供することと
を含む方法によって行われた、方法。
(項目70)
前記患者が認知障害を有することを決定する先行ステップをさらに含み、前記決定が、
前記エポックの3ピークサブセットを識別するために前記エポックのセットを処理することであって、前記サブセット内の各エポックが第1のピークと、第2のピークと、第3のピークとを備えることと、
前記MEGデータの前記個々のエポックを分析することによって複数のパラメータ値を決定することであって、
前記パラメータ値のうちの少なくとも1つが前記第1、第2、および第3のピークのうちの1つまたは複数を有する前記セット内のエポックの数に基づいて決定され、
前記パラメータ値のうちの少なくとも1つが前記3ピークサブセット内の前記エポックのうちの少なくともいくつかの第1、第2、および第3のピークのうちの1つの振幅に基づいて決定されることと、
患者が認知障害であるかどうかを決定し、神経変性によって引き起こされた認知障害を他の病因の認知障害から区別するために、前記パラメータ値を前記パラメータに基づいて訓練されたモデルに入力することと、
前記決定を提供することと
を含む方法によって行われる、項目69に記載の方法。
(項目71)
前記抗認知障害治療剤が疾患修飾抗神経変性剤である、項目70に記載の方法。
(項目72)
前記疾患修飾抗神経変性剤が、ベータセクレターゼ1(BACE-1)、ガンマセクレターゼ、タウ、Aβ、アミロイド前駆体タンパク質(APP)、α-シヌクレイン、ロイシンリッチリピートキナーゼ2(LRRK2)、パーキン、プレセニリン1、プレセニリン2、アポリポタンパク質E4(ApoE4)、ハンチンチン、p75ニューロトロフィン受容体(p75NTR)、CD20、プリオンタンパク質(PrP)、および細胞死受容体6(DR6)のうちの1つまたは複数に結合する、項目71に記載の方法。
(項目73)
前記抗認知障害治療剤が認知症症状増強剤である、項目70に記載の方法。
(項目74)
認知障害を有する患者における抗認知障害治療剤の投薬量を設定する方法であって、
複数の聴覚刺激事象に対する前記患者の脳の応答の脳磁図(MEG)データのエポックのセットにアクセスするステップと、
前記エポックの3ピークサブセットを識別するために前記エポックのセットを処理するステップであって、前記サブセット内の各エポックが第1のピークと、第2のピークと、第3のピークとを備える、ステップと、
前記MEGデータの前記個々のエポックを分析することによって複数のパラメータ値を決定するステップであって、
前記パラメータ値のうちの少なくとも1つが前記第1、第2、および第3のピークのうちの1つまたは複数を有する前記セット内のエポックの数に基づいて決定され、
前記パラメータ値のうちの少なくとも1つが前記3ピークサブセット内の前記エポックのうちの少なくともいくつかの第1、第2、および第3のピークのうちの1つの振幅に基づいて決定される、ステップと、
患者が認知障害であるかどうかを決定し、認知障害の程度を区別するために、前記パラメータ値を前記パラメータに基づいて訓練されるモデルに入力するステップと、
認知障害の程度についての前記決定を提供するステップと、
前記患者の認知障害の前記決定された程度に基づいて前記抗認知障害治療剤の投薬量を設定するステップと
を含む方法。
(項目75)
認知障害を有する患者における抗認知障害治療剤の投薬量を用量設定する方法であって、
前記患者が第1の投薬量レベルで抗認知障害治療剤を受けていた間隔を開けた間隔において認知障害の程度の第1の決定および第2の決定を実行するステップと、
前記認知障害の程度が前記第1の決定と前記第2の決定との間で増加した場合、前記抗認知障害治療剤の前記投薬量を第2の投薬量レベルまで増加させるステップと
を含み、
前記第1および第2の決定の各々が、
複数の聴覚刺激事象に対する前記患者の脳の応答の脳磁図(MEG)データのエポックのセットにアクセスすることと、
前記エポックの3ピークサブセットを識別するために前記エポックのセットを処理することであって、前記サブセット内の各エポックが第1のピークと、第2のピークと、第3のピークとを備えることと、
前記MEGデータの前記個々のエポックを分析することによって複数のパラメータ値を決定することであって、
前記パラメータ値のうちの少なくとも1つが前記第1、第2、および第3のピークのうちの1つまたは複数を有する前記セット内のエポックの数に基づいて決定され、
前記パラメータ値のうちの少なくとも1つが前記3ピークサブセット内の前記エポックのうちの少なくともいくつかの第1、第2、および第3のピークのうちの1つの振幅に基づいて決定されることと、
認知障害の程度を区別するために、前記パラメータ値を前記パラメータに基づいて訓練されたモデルに入力することと、
認知障害の程度についての前記決定を提供することと
によって行われる、方法。