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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-06
(45)【発行日】2023-02-14
(54)【発明の名称】RFID読取システム
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/10 20060101AFI20230207BHJP
   B65G 43/08 20060101ALI20230207BHJP
【FI】
G06K7/10 184
G06K7/10 276
G06K7/10 428
G06K7/10 148
G06K7/10 240
B65G43/08 F
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019000706
(22)【出願日】2019-01-07
(65)【公開番号】P2020109584
(43)【公開日】2020-07-16
【審査請求日】2021-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000113665
【氏名又は名称】マスプロ電工株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000110217
【氏名又は名称】トッパン・フォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】横井 浩二
(72)【発明者】
【氏名】永村 洋介
(72)【発明者】
【氏名】本間 美紀
【審査官】田名網 忠雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-117219(JP,A)
【文献】特開2009-151669(JP,A)
【文献】特開2014-183437(JP,A)
【文献】特開2016-003091(JP,A)
【文献】特開2004-094556(JP,A)
【文献】特開2006-252181(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 7/10
B65G 43/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
RFタグが添付された一つ以上の物品が収納された外装箱を搬送するように構成された搬送装置と、
前記搬送装置による搬送経路に設けられ、前記RFタグから該RFタグを一意に識別する物品識別情報を読み取るように構成されたゲート型リーダと、
前記搬送経路において前記ゲート型リーダより上流に設けられ、前記RFタグから、該RFタグの性能の特定に必要な情報であるIC情報を読み取るように構成されたIC情報リーダと、
前記IC情報リーダで読み取った情報に従って、前記外装箱が前記ゲート型リーダを通過する際に用いる前記搬送装置および前記ゲート型リーダのうち少なくとも一方の設定であるゲート読取設定を調整するように構成された調整部と、
を備えるRFID読取システム。
【請求項2】
請求項1に記載のRFID読取システムであって、
前記調整部は、前記ゲート読取設定として、前記搬送装置による搬送速度および前記ゲート型リーダが有するアンテナの送信電力のうち、少なくとも一方を用いる
RFID読取システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のRFID読取システムであって、
前記外装箱には、該外装箱を一意に識別する外装識別情報を有した外装ラベルが取り付けられ、
前記外装ラベルから前記外装識別情報を読み取るように構成された外装ラベルリーダと、
前記外装ラベルリーダにて読み取られた前記外装識別情報から、前記外装箱に収納される物品に対応づけられた前記物品識別情報のリストである物品リストを取得するように構成されたリスト取得部と、
前記リスト取得部が取得した前記物品リストと、前記ゲート型リーダが読み取った前記物品識別情報とを照合するように構成された照合部と、
前記照合部での照合の結果、前記物品リスト中に未確認の前記物品識別情報が存在する場合、前記ゲート読取設定を、より感度の低い前記RFタグからの読み取りに適合するように変更するように構成された設定変更部と、
を更に備える、RFID読取システム。
【請求項4】
請求項3に記載のRFID読取システムであって、
前記設定変更部は、前記搬送装置による搬送速度を低下させる
RFID読取システム。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載のRFID読取システムであって、
前記設定変更部は、前記ゲート型リーダが有するアンテナの送信電力を増加させる
RFID読取システム。
【請求項6】
請求項3から請求項5までのいずれか1項に記載のRFID読取システムであって、
前記照合部は、前記調整部により調整された前記ゲート読取設定による1回目の読み取り結果と、前記設定変更部により変更された前記ゲート読取設定による再度の読み取り結果とをマージする
RFID読取システム。
【請求項7】
請求項3から請求項6までのいずれか1項に記載のRFID読取システムであって、
前記搬送装置は、
前記ゲート型リーダが設けられたメイン経路と、
前記メイン経路において前記ゲート型リーダの下流で分岐し、前記ゲート型リーダの上流で合流する再読取経路と、
を備え、
前記照合部での照合の結果、前記物品リスト中に未確認の前記物品識別情報が存在する場合、前記外装箱を前記再読取経路に流すことで、前記ゲート型リーダによる読み取りを繰り返し実行させるように構成された再読取制御部を更に備える、
RFID読取システム。
【請求項8】
請求項7に記載のRFID読取システムであって、
前記搬送装置は、
前記再読取経路中に設けられ、前記ゲート型リーダ内での前記外装箱の水平面内での向きが前回とは異なるように前記外装箱を回転させるように構成された回転機構を更に備える、
RFID読取システム。
【請求項9】
請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載のRFID読取システムであって、
前記搬送装置は、
前記外装箱の水平面内での向きが変化するように、前記ゲート型リーダ内にて前記外装箱を回転させるように構成された回転機構を更に備える、
RFID読取システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コンベア等の搬送装置にて搬送される物品に取り付けられたRFタグを読み取る技術に関する。
【背景技術】
【0002】
検品対象となる複数の物品を収納した外装箱をコンベアにて搬送し、搬送経路中に設けられたゲート型リーダを用いて、各物品に添付されたRFタグの情報を読み取ることで、入荷時または出荷時の検品作業等を行うRFID読み取りシステムが知られている。RFIDは、Radio Frequency IDentifierの略である。
【0003】
検品の際には、外装箱に収納された物品の一覧である物品リストと、ゲート型リーダによる読取情報とを比較して、物品リストに示された全ての物品が存在するか否かを確認する。
【0004】
しかし、外装箱内における各物品の配置、および各物品に対するRFタグの取り付け状態によって、ゲート型リーダのアンテナとRFタグとの位置関係は様々に変化する。このため、ゲート型リーダを一回通過させるだけでは、全てのRFタグを読み取ることができない場合がある。
【0005】
これに対して、非特許文献1には、ゲート型リーダでの読取率向上のため、ゲート内において、コンベアを前後に動かしたり、アンテナの位置を変化させたりすることで、物品とアンテナとの位置関係を変化させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【文献】東芝テック株式会社、「『自動搬送型RFIDトンネル式ゲート』を開発~物流業務の効率化を実現~」、[online]、2018年6月29日、プレスリリース、[2018年11月24日検索]、インターネット〈URL:http://www.toshibatec.co.jp/release/20180629_01.html〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、非特許文献1に記載の従来技術では、コンベアの停止および移動方向の反転を繰り返したり、ゲート内のアンテナを動かしたりするため、コンベアの制御やゲート型リーダの構造が複雑になるという課題があった。更に、ゲート内に物品を滞在させる時間が長くなり、検品作業等の作業効率が低下するという課題もあった。
【0008】
本開示は、RFID読取システムにおいて、作業効率を低下させることなくRFタグの読取率を向上させる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一態様は、RFID読取システムであって、搬送装置(10)と、ゲート型リーダ(20)と、IC情報リーダ(40)と、調整部(50:S180~S190)と、を備える。搬送装置は、RFタグが添付された一つ以上の物品が収納された外装箱を搬送する。ゲート型リーダは、搬送装置による搬送経路に設けられ、RFタグからRFタグを一意に識別する物品識別情報を読み取る。IC情報リーダは、搬送経路においてゲート型リーダより上流に設けられ、RFタグから、RFタグの性能の特定に必要な情報であるIC情報を読み取る。調整部は、IC情報リーダで読み取った情報に従って、外装箱がゲート型リーダを通過する際に用いる搬送装置およびゲート型リーダのうち少なくとも一方の設定であるゲート読取設定を調整する。
【0010】
この場合、RFタグの種類によらず安定した読み取りを実現できる。
本開示の一態様では、調整部は、ゲート読取設定として、搬送装置による搬送速度およびゲート型リーダが有するアンテナの送信電力のうち、少なくとも一方を用いてもよい。
【0011】
本開示の一態様は、外装箱には、外装箱を一意に識別する外装識別情報を有した外装ラベルが取り付けられてもよい。そして、RFID読取システムは、外装ラベルリーダ(30)と、リスト取得部(50:S140)と、照合部(50:S330)と、設定変更部(50:S380)と、を更に備えてもよい。外装ラベルリーダは、外装ラベルから外装識別情報を読み取る。リスト取得部は、ラベル読取部にて読み取られた外装識別情報から、外装箱に収納される物品に対応づけられた物品識別情報のリストである物品リストを取得する。照合部は、リスト取得部が取得した物品リストと、ゲート型リーダが読み取った物品識別情報とを照合する。設定変更部は、照合部での照合の結果、物品リスト中に未確認の物品識別情報が存在する場合、ゲート読取設定を、より感度の低いRFタグからの読み取りに適合するように変更する。
【0012】
この場合、前回までの読み取りで照合に失敗したRFタグからの読み取りの成功率を向上させることができる。
本開示の一態様では、設定変更部は、搬送装置による搬送速度を低下させてもよい。
【0013】
本開示の一態様では、設定変更部は、ゲート型リーダによる送信電力を増加させてもよい。
本開示の一態様では、照合部は、調整部により調整されたゲート読取設定による1回目の読み取り結果と、設定変更部により変更されたゲート読取設定による再度の読み取り結果とをマージしてもよい。
【0014】
この場合、物品リストに示された全ての物品の照合に要する時間を短縮できる。
本開示の一態様では、搬送装置は、メイン経路(12)と、再読取経路(13)と、を備えてもよい。また、RFID読取システムは、再読取制御部(50:S370)を更に備えてもよい。メイン経路には、ゲート型リーダが設けられる。再読取経路は、メイン経路においてゲート型リーダの下流で分岐し、ゲート型リーダの上流で合流する。再読取制御部は、照合部での照合の結果、物品リスト中に未確認の物品識別情報が存在する場合、外装箱を再読取経路に流すことで、ゲート型リーダによる読み取りを繰り返し実行させる。
【0015】
この場合、再読取のための作業を自動化できる。
本開示の一態様では、搬送装置は、再読取経路中に設けられ、ゲート型リーダ内での外装箱の水平面内での向きが前回とは異なるように外装箱を回転させる回転機構(18)を更に備えてもよい。
【0016】
この場合、再読取を実行する毎にゲート型リーダのアンテナと外装箱に収納された物品(ひいては物品に取り付けられたRFタグ)との位置関係が変化するため、前回までの読み取りで照合に失敗したRFタグからの読み取りの成功率をより向上させることができる。
【0017】
本開示の一態様では、搬送装置は、外装箱の水平面内での向きが変化するように、ゲート型リーダ内にて外装箱を回転させるように構成された回転機構を更に備えてもよい。
この場合、1回の読取中に、ゲート型リーダのアンテナとRFタグとの位置関係が変化するため、ゲート型リーダを1回通過したときの読み取りの成功率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】RFID読取システムの全体構成を示すブロック図である。
図2】搬送装置の構成およびゲート型リーダ等との位置関係を示す説明図である。
図3】ゲート型リーダ等の外観および配置を示す斜視図である。
図4】外装識別情報と物品リストとの関係を示した検品情報の説明図である。
図5】IC情報とゲート読取設定リストとの関係を示したゲート読取設定情報の説明図である。
図6】制御端末が実行する検品処理のフローチャートである。
図7】検品処理中で実行されるゲート読取処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本開示の実施形態を図面と共に説明する。
[1.構成]
本実施形態のRFID読取システム1は、外装箱に収納された複数の物品を、外装箱単位で検品するシステムである。外装箱には、外装ラベルが取り付けられ、個々の物品にはそれぞれ物品ラベルが取り付けられる。外装ラベルは、バーコード、QRコード(登録商標)、またはUHF帯RFタグによって構成される。外装ラベルには、当該外装ラベルが取り付けられた外装箱を一意に識別するための情報(以下、外装識別情報)が少なくとも記録される。物品ラベルは、RFタグによって構成される。物品ラベルには、当該物品ラベルが取り付けられた物品を一意に識別するための情報(以下、物品識別情報)と、物品ラベルの製造メーカおよび型式等、物品ラベルの性能を特定するために必要な情報(以下、IC情報)とが少なくとも含まれる。以下では、物品ラベルをRFタグという。
【0020】
なお、外装識別情報および物品識別情報には、例えば、EPC(Electronic Product Code)が用いられる。詳しくは、外装識別情報には、例えば、SSCC(Serial Shipping Container Code)が用いられる。物品識別情報には、例えば、SGTIN(Serialized Global Trade Item Number)が用いられる。また、IC情報には、例えば、TID(Tag identifier)が用いられる。
【0021】
図1図3に示すように、RFID読取システム1は、搬送装置10と、ゲート型リーダ20と、外装ラベルリーダ30と、IC情報リーダ40と、制御端末50と、管理サーバ60とを備える。
【0022】
搬送装置10は、複数のコンベアを組み合わせることで構成された搬送機構部10aと、搬送機構部10aを制御する搬送制御部10bとを備える。
搬送機構部10aは、図2に示すように、導入経路11と、メイン経路12と、再読取経路13と、NGゾーン14と、排出経路15と、経路切替機構16,17と、回転機構18と、投入阻止機構19とを備える。
【0023】
導入経路11は、メイン経路12の上流端に設けられ、検品対象(即ち、外装箱に収納された複数の物品)を、メイン経路12に投入するための経路である。
メイン経路12は、ゲート型リーダ20が設置される直線状の経路である。メイン経路12は、搬送速度を個別に制御可能な4つの部位121~124を有する。
【0024】
再読取経路13は、メイン経路12の上流端と下流端とを接続する方形ループ状の経路である。再読取経路13は、メイン経路12の下流端に位置する分岐経路131と、メイン経路12の上流端に位置する合流経路133と、分岐経路131と合流経路133とを接続する接続経路132とを有する。
【0025】
NGゾーン14は、接続経路132において合流経路133が接続される下流端に設けられ、検品に不合格となった検品対象が排出される領域である。
排出経路15は、メイン経路12の下流端に設けられ、検品に合格した検品対象が排出される経路である。
【0026】
メイン経路12の各部位121~124の他、再読取経路13、導入経路11、および排出経路15は、それぞれ、個別に搬送速度を設定できるように構成される。
経路切替機構16は、メイン経路12の下流端付近に設けられ、分岐経路131および排出経路15のいずれかに、検品対象の搬送先を切り替えるための機構である。
【0027】
経路切替機構17は、接続経路132の下流端付近に設けられ、合流経路133およびNGゾーン14のいずれかに、検品対象の搬送先を切り替えるための機構である。
回転機構18は、再読取経路13中(例えば、合流経路133)に設けられ、検品対象の向きを、水平面内で90°回転させるための機構である。
【0028】
投入阻止機構19は、導入経路11に設けられ、メイン経路12への検品対象の投入を阻止するための機構である。
経路切替機構16,17および回転機構18は、例えば、コンベアを搬送方向に沿って分割された複数のベルトの速度を変化させることで実現してもよい。また、経路切替機構16,17および投入阻止機構19は、例えば、搬送されてくる検品対象をガイドバーに接触させることで実現してもよい。なお、再読取経路13が、該再読取経路13を通過した検品対象の向きが、メイン経路12から排出された時点と、メイン経路12に戻された時点とで自動的変化するような構造を有している場合、回転機構18は省略されてもよい。
【0029】
図1に戻り、搬送制御部10bは、制御端末50からの指示に従って、搬送機構部10aに対する制御を実行する。搬送機構部10aに対する制御には、導入経路11、メイン経路12、再読取経路13、および排出経路15における搬送速度の制御と、経路切替機構16,17、回転機構18、および投入阻止機構19における動作状態の制御とが含まれる。
【0030】
搬送制御部10bは、例えば、PLCを用いて構成される。PLCは、Programmable Logic Controllerの略である。PLCには対象機器を制御するためのプログラムが予め書き込まれている。PLCは、制御端末50からの指示が入力されると、書き込まれたプログラムに従って、予め設定された一連の動作を実現するための制御信号を出力する。
【0031】
ゲート型リーダ20は、搬送装置10によって搬送されてくる外装箱中の物品に取り付けられたRFタグから物品識別情報を読み取るための装置である。ゲート型リーダ20は、図2に示すように、メイン経路12において上流側から3番目の部位123に配置される。
【0032】
ゲート型リーダ20は、図3に示すように、ゲート本体20aと、底面遮蔽板20bと、台座ユニット20cと、を備える。
台座ユニット20cは、メイン経路12の両側に配置され、メイン経路12の搬送面に対するゲート本体20aの高さを調整する機能を有する。
【0033】
ゲート本体20aは、電磁波を遮蔽する導電性の板材を用いて構成された一対の側壁部と天壁部とを有する構造物である。一対の側壁部は、それぞれ台座ユニット20cに載置されて、メイン経路12の両側に立設される。天壁部は、一対の側壁の上端を連結することで、メイン経路12の上部を覆うように設けられる。
【0034】
底面遮蔽板20bは、ゲート本体20aの天壁とは、メイン経路12を挟んで対向する位置に配置される導電性の板材である。底面遮蔽板20bは、ゲート本体20aと共に方形リング状の通路を形成する。底面遮蔽板20bは、ゲート本体20a内の電波環境を一定にする機能を有する。
【0035】
ゲート本体20aおよび底面遮蔽板20bは、対向する一対の側壁間の距離であるゲート幅の寸法を所定の範囲(例えば、500mm~900mm)で調整できるように構成される。
【0036】
ゲート型リーダ20は、電気的な構成として、図1に示すように、アンテナ21と、リーダライタ22と、フィルタリングユニット23とを備える。
アンテナ21は、ゲート本体20aの一対の側壁の少なくとも一方および天壁に設けられ、ゲート本体20aの内部空間に向けてRFタグの情報を読み取るための電波を放射する。アンテナ21は、ゲート本体20a内での取付高さを調整可能に構成されている。これに伴い、ゲート本体20aの側壁にはアンテナ21の取付高さを外部から確認できるようにするための複数の調整用孔が設けられる。
【0037】
リーダライタ22は、アンテナ21からゲート部内に電波を放射し、製品タグからの応答を受信して、デジタルデータに変換することで物品識別情報を読み取って制御端末50に送信する。
【0038】
フィルタリングユニット23は、リーダライタ22が読み取ったRFタグ(即ち、物品識別情報)の値を確認し、制御端末50に対して移動しているRFタグ、即ち、コンベアで流れているRFタグのみを抽出して送信することで、静止している対象物品以外の不要なRFタグを読み取ることを防止する。
【0039】
リーダライタ22およびフィルタリングユニット23は、図3に示すように、ゲート本体20aの側壁外面に取り付けられる。
ゲート本体20aの側壁外面には、更に、端子台24が取り付けられる。端子台24は、リーダライタ22が有するGPIOのための端子を備える。GPIOは、General Purpose Input/Outputの略であり、物体検知センサや警告灯等のオプション品を接続するために用意された汎用入出力である。
【0040】
図1に示すブロック図では、制御端末50は、搬送制御部10bに対して直接、制御信号を出力するように構成されているが、このリーダライタ22のGPIOを利用して、搬送制御部10bに対する制御信号を出力するように構成されてもよい。
【0041】
外装ラベルリーダ30は、外装箱に取り付けられた外装ラベルから外装識別情報を読み取るための装置である。外装ラベルリーダ30は、バーコードリーダ、QRコードリーダ、またはUHF帯RFIDリーダを用いて構成される。外装ラベルリーダ30は、アンテナ31と、リーダ本体32とを備える。
【0042】
IC情報リーダ40は、外装箱中の物品に取り付けられたRFタグからIC情報を読み取るための装置であり、UHF帯RFIDリーダを用いて構成される。IC情報リーダ40は、アンテナ41と、リーダ本体42とを備える。
【0043】
外装ラベルリーダ30のアンテナ31およびIC情報リーダ40のアンテナ41は、図2に示すように、メイン経路12においてゲート型リーダ20の上流側に、メイン経路12に沿って配置される。
【0044】
外装ラベルリーダ30およびIC情報リーダ40は、図3に示すように、台座ユニット20cと一体化された延長ユニット20dに取り付けられてもよい。また、リーダ本体32,42は、一体に設けられてもよい。
【0045】
外装ラベルリーダ30のアンテナ31は、搬送装置10によって搬送される外装箱がゲート型リーダ20に投入される前に、外装識別情報の読み取り、およびこれに伴う制御端末50での処理を完了させることが可能な位置に配置される。外装識別情報の読み取りに伴う制御端末50での処理とは、外装識別情報で特定される外装箱に収納された物品の物品識別情報が示された物品リスト(後述する)を、管理サーバ60から取得する処理である。
【0046】
同様に、IC情報リーダ40のアンテナは、読取対象の物品が収納された外装箱がゲート型リーダ20に投入される前に、IC情報の読み取り、およびこれに伴う制御端末50での処理を完了させることが可能な位置に配置される。IC情報の読み取りに伴う制御端末50での処理とは、IC情報から特定されるRFタグの性能に応じてゲート型リーダ20にてRFタグの読み取りを行う際の設定(以下、ゲート読取設定)を調整する処理である。
【0047】
管理サーバ60は、少なくとも検品情報を記憶する。検品情報は、図4に示すように、外装識別情報と、該外装識別情報にて特定される外装箱に収納された全ての物品に関する物品識別情報のリストである物品リストとの対応関係を示す情報である。
【0048】
制御端末50は、CPU、ROM、RAM等を含むマイクロコンピュータにて構成されている。また、制御端末50は、様々な指令を入力するための入力機器、様々な情報を表示するための表示機器等を備える。
【0049】
制御端末50は、搬送装置10を制御して、搬送装置10によって搬送される外装箱に収納された複数の物品の検品を実行する検品処理を少なくとも実行する。制御端末50のRAMには、検品処理において使用されるゲート読取設定情報が予め記憶される。なおゲート読取設定情報は、管理サーバ60に記憶されてもよい。
【0050】
ゲート読取設定情報は、図5に示すように、RFタグから読み取られるIC情報と、IC情報から特定されるRFタグの性能を特定するための性能情報と、性能情報に応じたゲート読取設定リストとの対応関係を示す情報である。ここでは、性能情報として、ここでは、RFタグに使用されているICの製造メーカと型式が用いられる。また、ゲート読取設定リストには、搬送機構部10aを構成する各部(特に、メイン経路12の各部121~124)の搬送速度(以下、コンベア速度)、およびゲート型リーダ20におけるアンテナ21の送信電力(以下、アンテナ出力)が少なくとも含まれる。
【0051】
なお、コンベア速度およびアンテナ出力は、いずれも複数段の設定が用意される。そして、RFタグの感度が高いほど、アンテナ出力はより小さく、コンベア速度はより速くなるような設定が用いられる。逆に、RFタグの感度が低いほど、アンテナ出力はより大きく、コンベア速度はより遅くなるような設定が用いられる。
【0052】
[2.処理]
[2-1.検品処理]
制御端末50が実行する検品処理を、図6のフローチャートを用いて説明する。
【0053】
検品処理は、制御端末50が有する入力機器を介してRFID読取システム1を起動する指令が入力された場合に起動する。
検品処理が開始されると、S110にて、制御端末50は、搬送機構部10aの動作を、予め設定された初期設定にて開始させる。コンベア速度の設定が高速、中速、低速の3段階ある場合、例えば、メイン経路12を中速に設定し、再読取経路13および導入経路11を低速に設定し、排出経路15を高速に設定する。また、経路切替機構16は排出経路15側を選択する状態、経路切替機構17は合流経路133側を選択する状態、回転機構18および投入阻止機構19は非作動状態に設定する。
【0054】
これにより、導入経路11からメイン経路12に検品対象となる一つ以上の物品が収納された外装箱が投入され、メイン経路12に沿って搬送される。以下、メイン経路12を搬送されてくる外装箱を対象箱、対象箱に収納された物品を対象物品という。
【0055】
続くS120では、制御端末50は、外装ラベルリーダ30に、対象箱に取り付けられた外装ラベルから外装識別情報を読み取らせると共に、IC情報リーダ40に、対象物品に取り付けられたRFタグからIC情報を読み取る。
【0056】
続くS130では、制御端末50は、外装識別情報の読み取りに成功したか否かを判断し、読み取りに成功していれば処理をS140に移行し、読み取りに失敗していれば処理をS150に移行する。
【0057】
S140では、制御端末50は、読み取った外装識別情報に基づき管理サーバ60から物品リストの取得を試み、物品リストの取得に成功したか否かを判断する。制御端末50は、物品リストの取得に成功したと判断した場合は、処理をS160に移行し、物品リストの取得に失敗したと判断した場合は、処理をS150に移行する。例えば、管理サーバ60に、物品リストが未登録である場合に、物品リストの取得に失敗したと判断される。
【0058】
S150では、制御端末50は、搬送制御部10bに対して対象箱をNGゾーン14に移動させる指令を出力して、処理をS230に移行する。具体的には、搬送制御部10bに対して経路切替機構16の設定を再読取経路13側に切り替えると共に、経路切替機構17の設定をNGゾーン14側に切り替えるための制御信号を出力する。
【0059】
S160では、制御端末50は、対象物品のIC情報の読み取りに成功したか否かを判断する。ここでは、全ての対象物品について読み取りに成功する必要はなく、1つ以上の対象物品について読み取りが成功していればよい。制御端末50は、IC情報の読み取りに成功したと判断した場合は、処理をS170に移行し、IC情報の読み取りに失敗したと判断した場合は、処理をS200に移行する。
【0060】
S170では、制御端末50は、読み取ったIC情報に基づき当該制御端末50のRAMからゲート読取設定リストの取得を試み、ゲート読取設定リストの取得に成功したか否かを判断する。制御端末50は、ゲート読取設定の取得に成功したと判断した場合は、処理をS180に移行し、ゲート読取設定の取得に失敗したと判断した場合は、処理をS200に移行する。例えば、読み取ったIC情報に対応するゲート読取設定リストが、制御端末50のRAMに存在しない場合に、ゲート読取設定リストの取得に失敗したと判断される。なお、読み取ったIC情報が複数種類存在する場合、最も性能の低いRFタグに対応するゲート読取設定リストを取得する。
【0061】
S180では、制御端末50は、取得したゲート読取設定に従って、コンベア速度を設定する指令を搬送制御部10bに出力する。ここでは、コンベア速度の設定対象には、ゲート型リーダ20が設置されたメイン経路12の部位123が少なくとも含まれる。
【0062】
続くS190では、制御端末50は、取得したゲート読取設定に従って、アンテナ出力を設定する指令をゲート型リーダ20に出力して、処理をS220に進める。
S200では、制御端末50は、予め設定された所定値に、コンベア速度を設定する指令をコンベア制御装置に出力する。コンベア速度の設定対象は、S180での説明と同様である。
【0063】
続くS210では、制御端末50は、予め設定された所定値に、アンテナ出力を設定する指令をゲート型リーダ20に出力して、処理をS220に進める。
S220では、制御端末50は、ゲート読取処理を実行する。このゲート読取処理の詳細は後述する。
【0064】
続くS230では、制御端末50は、コンベアを初期設定に戻す指令を、コンベア制御装置に出力する。
続くS240では、制御端末50は、入力機器を介して当該RFID読取システム1の動作を終了する指令が入力されたか否かを判断し、終了する指令が入力されていなければ、処理をS120に戻し、終了する指令が入力されていれば、処理をS250に移行する。
【0065】
S250では、制御端末50は、搬送機構部10aの動作を停止させる指令を搬送制御部10bに出力して、処理を終了する。
なお、本処理において、S140がリスト取得部に相当し、S180~S190が調整部に相当する。
【0066】
[2-2.ゲート読取処理]
制御端末50が、先のS220で実行するゲート読取処理の詳細を、図7のフローチャートを用いて説明する。
【0067】
ゲート読取処理が開始されると、S310では、制御端末50は、同一の対象箱に対して実行したゲート型リーダ20による読取の繰返回数をクリアする。
続くS320では、制御端末50は、ゲート型リーダ20に対して物品タグの読み取りを開始する指令を出力する。
【0068】
続くS330では、制御端末50は、対象箱がゲート型リーダ20を通過する間に、ゲート型リーダ20から送信されてくる物品識別情報を、S140で取得した物品リストと照合し、照合結果を記録する。
続くS340では、制御端末50は、物品リストに示された全ての物品について照合が行われることで、検品が完了したか否かを判断し、完了していれば処理をS410に移行し、完了していなければ処理をS350に移行する。
【0069】
S350では、制御端末50は、繰返回数をカウントアップする。
続くS360では、制御端末50は、繰返回数が予め設定された上限繰返回数に到達したか否かを判断し、到達していれば処理をS400に移行し、到達していなければ処理をS370に移行する。
【0070】
S370では、制御端末50は、対象箱が再読取経路13を流れるように経路切替機構16,17を作動させる指令と、回転機構18および投入阻止機構19を作動させる指令とを、搬送制御部10bに出力する。これにより、導入経路11から新たな外装箱が投入されることが阻止され、対象箱は、再読取経路13の移動中に進行方向に対して90°回転した状態で、メイン経路12に再投入される。
【0071】
続くS380では、制御端末50は、ゲート読取設定を変更する指令を、搬送制御部10bおよびゲート型リーダ20に対して出力する。具体的には、現状のコンベア速度より1段階速度を低下させること、または現状のアンテナ出力より1段階出力を増加させることのうち、少なくとも一方を行う。なお、ゲート読取設定の変更はこれに限定されるものではなく、それぞれの設定を2段階以上変化させてもよい。
【0072】
続くS390では、制御端末50は、前回までのS330にて記録された照合結果を取得して、処理をS320に戻す。なお、繰返回数が非ゼロである場合、S330では、S390にて取得した照合結果のうち、未照合の製品についての照合結果を新たに記録する。
【0073】
S400では、制御端末50は、上述のS150と同様に、対象箱をNGゾーン14に排出する指令を、搬送制御部10bに出力して、処理をS410に進める。
S410では、制御端末50は、照合結果を、所定の出力先に出力して、処理を終了する。出力先は、管理サーバ60であってもよいし、管理サーバ60以外の外部装置であってもよい。また、このとき、照合結果を作業者が認識できるように表示機器に表示させてもよい。
【0074】
なお、本処理において、S330が照合部に相当し、S370が再読取制御部に相当し、S380が設定変更部に相当する。
[3.動作]
ゲート読取処理では、対象箱に収納された全ての対象物品について照合が完了している場合は、対象箱を排出経路15に排出する。照合できていない対象物品が一つでも存在する場合は、対象箱を再読取経路13に流すことで、照合を繰り返し実行する。
【0075】
ゲート型リーダ20での読み取りは、同一の対象箱に対して繰り返す場合は、繰り返す毎に、ゲート読取設定を変更すると共に、対象箱の向きを回転させることで、アンテナ21と対象物品(ひいてはRFタグ)との位置関係を変化させる。照合を繰り返す場合、照合結果は、毎回リセットするのではなく、前回までの照合結果に新たな照合結果をマージしていく。繰返回数が上限繰返回数に到達しても照合を完了しない場合は、対象箱をNGゾーン14に移動させ、新たな外装箱を導入経路11からメイン経路12に投入することで、同様の処理を続ける。
【0076】
[4.効果]
以上説明した本実施形態では、以下の効果を奏する。
(1)RFID読取システム1では、対象箱がゲート型リーダ20に投入される前に、RFタグからIC情報を読み取ることで、検品の対象である対象物品に取り付けられたRFタグの性能(特に感度)を確認し、確認された性能に応じたゲート読取設定にて、ゲート型リーダ20による読取を行わせる。
【0077】
従って、RFID読取システム1によれば、RFタグの種類によらず、最適な搬送速度で安定した読み取りを実現できる。
(2)RFID読取システム1では、対象物品の読み漏らしがあり、照合が完了していない場合は、ゲート型リーダ20による読み取りを繰り返し実行させる。しかも、読み取りを繰り返す毎に、コンベア速度およびアンテナ出力をより確実な読み取りが可能となるように変更し、しかも、対象箱の向きも変化させて、アンテナ21とRFタグとの位置関係を変化させている。
【0078】
従って、RFID読取システム1によれば、前回までの読み取りで照合に失敗した対象物品からの読み取りの成功率を向上させることができる。
(3)RFID読取システム1では、ゲート型リーダ20での読み取りを繰り返した場合、照合結果を毎回リセットするのではなく、前回までの照合結果を利用し、これにマージする形で今回の照合結果を記録する。従って、照合に成功するまでに要する繰返回数を減少させることができ、検品作業に要する作業時間をより短縮できる。
【0079】
[5.他の実施形態]
以上、本開示の一実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内にて種々の態様をとることができる。
【0080】
(a)上記実施形態では、搬送機構部10aに再読取経路13が存在する場合について説明したが、再読取経路13は省略されてもよい。この場合、照合に失敗した対象箱は、作業者によってメイン経路12に再投入されるようにしてもよい。
【0081】
(b)上記実施形態では、再読取経路13に回転機構18が設けられているが、メイン経路12において、ゲート型リーダ20が設置される部位123に、回転機構18が設けられてもよい。この場合、アンテナ21と対象物品のRFタグとの位置関係を変化させながら読み取りが行われるため、読み取り率を向上させることができる。特に、再読取経路13が省略されている場合には効果的である。
【符号の説明】
【0082】
1…RFID読取システム、10…搬送装置、10a…搬送機構部、10b…搬送制御部、11…導入経路、12…メイン経路、13…再読取経路、14…NGゾーン、15…排出経路、16,17…経路切替機構、18…回転機構、19…投入阻止機構、20…ゲート型リーダ、20a…ゲート本体、20b…底面遮蔽板、20c…台座ユニット、20d…延長ユニット、21,31,41…アンテナ、22…リーダライタ、23…フィルタリングユニット、24…端子台、30…外装ラベルリーダ、32,42…リーダ本体、40…IC情報リーダ、50…制御端末、60…管理サーバ、131…分岐経路、132…接続経路、133…合流経路。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7