(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-06
(45)【発行日】2023-02-14
(54)【発明の名称】鉄道車両用の灯具一体型カメラユニット
(51)【国際特許分類】
B61K 13/04 20060101AFI20230207BHJP
B61D 29/00 20060101ALI20230207BHJP
B61D 37/00 20060101ALI20230207BHJP
【FI】
B61K13/04
B61D29/00
B61D37/00 G
(21)【出願番号】P 2019003909
(22)【出願日】2019-01-12
【審査請求日】2021-12-09
(73)【特許権者】
【識別番号】391024951
【氏名又は名称】JR東日本テクノロジー株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】596127473
【氏名又は名称】共栄実業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】519013984
【氏名又は名称】株式会社W2
(74)【代理人】
【識別番号】100127018
【氏名又は名称】横山 哲志
(72)【発明者】
【氏名】吉田 耕治
(72)【発明者】
【氏名】根津 誠
(72)【発明者】
【氏名】梶田 亨
(72)【発明者】
【氏名】塩田 保
(72)【発明者】
【氏名】新倉 利昌
(72)【発明者】
【氏名】木場 政生
(72)【発明者】
【氏名】西村 幸夫
【審査官】結城 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-152233(JP,A)
【文献】特開2006-27526(JP,A)
【文献】特開2011-28981(JP,A)
【文献】特開2018-116480(JP,A)
【文献】特開2020-21720(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61K 13/04,
B61D 29/00,37/00,
B60Q 1/00,
F16M 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源を収容する照明筐体を有して車両長手方向に延在し、所定の灯具取付穴を介して鉄道車両内の天井面に取り付けられる車両灯具と、
前記照明筐体を側方から挟み込んで装着可能なように断面フック状に形成され、その内部にカメラを収容するカメラ装着部と、前記照明筐体の裏面側に配置され、前記カメラに電力を供給するカメラ電源を収容すると共に、前記カメラ装着部の前記車両灯具への装着位置を変更可能とする装着変更板と
を備え、
前記カメラ装着部の先端は、前記車両灯具と前記天井面との間に差し込まれて前記装着変更板に接続されていると共に、前記装着変更板には複数の取付穴が設けられており、前記装着変更板の前記複数の取付穴のうち、少なくとも2つの取付穴は、前記灯具取付穴と共用可能なように配置形成されていることを特徴とする鉄道車両用の灯具一体型カメラユニット。
【請求項2】
前記
照明筐体の背面側の長手方向中央部には、灯具電源装置が収容されていると共に、前記装着変更板は、前記灯具電源装置を挟んだ長手方向両端部のいずれの領域にも取り付け可能なように、前記取付穴が配置形成されていることを特徴とする請求項1に記載の鉄道車両用の灯具一体型カメラユニット。
【請求項3】
前記装着変更板は、前記車両灯具の長手方向両端部のいずれの領域においても、180°回転させた反転取付が可能なように、前記取付穴が配置形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の鉄道車両用の灯具一体型カメラユニット。
【請求項4】
前記カメラ装着部は、天井面との間に差し込まれる板金製の差し込み爪を有し、前記照明筐体の左右何れの側方からも挟み込み可能なように、片側の側方が開放された断面略横J字状に形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の鉄道車両用の灯具一体型カメラユニット。
【請求項5】
前記カメラ装着部と前記装着変更板とを接続する取付穴は、長手方向に対して左右対称であって方形状に配置形成されていることを特徴とする請求項4に記載の鉄道車両用の灯具一体型カメラユニット。
【請求項6】
前記車両灯具は、車両室内の幅方向両端部のそれぞれに長手方向に沿って複数配列されていると共に、車両平面視にて前記カメラユニットは、互い違いに千鳥配置されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の鉄道車両用の灯具一体型カメラユニット。
【請求項7】
前記装着変更板は、その上面が開放されたカメラ電源収容部が形成されており、当該カメラ電源収容部の周囲には、空冷用の流路が形成されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の鉄道車両用の灯具一体型カメラユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明器具と一体に形成されたカメラユニットに関し、特に、鉄道車両用の照明器具と一体化された灯具一体型カメラユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、鉄道車両内における犯罪防止のため、車両内への防犯カメラの設置が急務となっている。また、外国人観光客の増大や東京オリンピック等の国際的イベントの開催に備え、安全性のさらなる向上を図り、鉄道事業者では短期間(約2年間)で首都圏の通勤電車全てに数万台の防犯カメラを設置する計画が発表されている。
【0003】
これに対して、従来より、種々の車両用防犯カメラが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
ここで、特許文献1には、レンズや撮像素子を有するレンズユニットと記憶媒体や処理部を有するメインユニットとを備え、鉄道車両の車内側へ撮影方向を向けてレンズユニットを配置すると共に、レンズユニットで撮影された録画画像をメインユニットと着脱可能な記憶媒体に記録させる鉄道車両用防犯カメラシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に開示された先行技術では、レンズユニットとメインユニットとがそれぞれ別体で構成され、各ユニットを個別に設置する必要があり、設置工数の増大、作業性や保守性の低下、敷設コストの増大といった問題が生じていた。
【0007】
特に、鉄道車両においては、カメラシステムは天井面付近に設置することになるが、車両室内には吊り広告等があり設置個所が制限されると共に、設置の際には、既存の内装材を一旦外し、取り付けのための穴明け加工や電源線の配線敷設等が必要となるといった問題が生じていた。さらに、設置工事は車両運用の間や深夜帯に限られることから、簡易に取り付け可能なカメラユニットが求められていた。
【0008】
そこで、本発明は上述のような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、既設の車内照明用の車両灯具を利用して、当該車両灯具を別途加工することなく、短時間で防犯カメラを設置することができる鉄道車両用の灯具一体型カメラユニットを簡易な構成で安価に提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係る鉄道車両用の灯具一体型カメラユニットは、光源を収容する照明筐体を有して車両長手方向に延在し、所定の灯具取付穴を介して鉄道車両内の天井面に取り付けられる車両灯具と、前記照明筐体を側方から挟み込んで装着可能なように断面フック状に形成され、その内部にカメラを収容するカメラ装着部と、前記照明筐体の裏面側に配置され、前記カメラに電力を供給するカメラ電源を収容すると共に、前記カメラ装着部の前記車両灯具への装着位置を変更可能とする装着変更板とを備え、前記カメラ装着部の先端は、前記車両灯具と前記天井面との間に差し込まれて前記装着変更板に接続されていると共に、前記装着変更板には複数の取付穴が設けられており、前記装着変更板の前記複数の取付穴のうち、少なくとも2つの取付穴は、前記灯具取付穴と共用可能なように配置形成されていることを特徴とするものである。
【0010】
このように構成した場合には、既存の車内照明の灯具取付穴を利用(流用)して防犯カメラと車両灯具との一体的な共締め固定を可能とし、車両灯具を追加加工することなく、短時間で防犯カメラを設置することができる。
【0011】
また、前記照明筐体の背面側の長手方向中央部には、灯具電源装置が収容されている
と共に、前記装着変更板は、前記灯具電源装置を挟んだ長手方向両端部のいずれの領域にも取り付け可能なように、前記取付穴が配置形成されていてもよい。
【0012】
このように構成した場合には、吊り広告等の障害物を容易に回避可能として、カメラの死角領域の発生を未然に防止することができる。
【0013】
さらに、前記装着変更板は、前記車両灯具の長手方向両端部のいずれの領域においても、180°回転させた反転取付が可能なように、前記取付穴が配置形成されていてもよい。
【0014】
このように構成した場合には、車種等に依らず、吊り広告等の障害物を回避して、カメラの死角領域の発生をより一層抑制することができる。
【0015】
また、前記カメラ装着部は、天井面との間に差し込まれる板金製の差し込み爪を有し、前記照明筐体の左右何れの側方からも挟み込み可能なように、片側の側方が開放された断面略横J字状に形成されていてもよい。
【0016】
このように構成した場合には、車両灯具のいずれの側方からも装着可能として、灯具の配列位置によらず、カメラの撮影方向を容易に車両室内中央部に配向設定することができる。
【0017】
さらにまた、前記カメラ装着部と前記装着変更板とを接続する取付穴は、長手方向に対して左右対称であって方形状に配置形成されていてもよい。
【0018】
このように構成した場合には、車両灯具等の種類に依らず、カメラの撮影方向を容易に車両室内中央部に設定しつつ、長手方向の取付位置を簡易に変更することができる。
【0019】
また、前記車両灯具は、車両室内の幅方向両端部のそれぞれに長手方向に沿って複数配列されていると共に、車両平面視にて前記カメラユニットは、互い違いに千鳥配置されていてもよい。
【0020】
このように構成した場合には、カメラの配置数を必要最小限に削減しつつ、死角の発生を抑制することができる。
【0021】
さらに、前記装着変更板は、その上面が開放されたカメラ電源収容部が形成されており、当該カメラ電源収容部の周囲には、空冷用の流路が形成されていてもよい。
【0022】
このように構成した場合には、照明光源の発熱による加熱を抑制することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、防犯カメラを既存の車内照明用の車両灯具に挟み込んで共締め固定することにより、車両灯具を加工することなく、短時間で防犯カメラを設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本実施の形態に係る灯具一体型カメラユニットの構成を示す模式図であり、(a)は車両室内側から見た斜視図、(b)は背面側(天井側)から見た斜視図である。
【
図2】本実施の形態に係る灯具一体型カメラユニットの取付領域を示す模式的平面図である。
【
図3】本実施の形態に係る灯具一体型カメラユニットを一方の取付領域に取り付けた状態を示す模式的拡大図である。
【
図4】本実施の形態に係る灯具一体型カメラユニットのケーブル接続状態を示す模式的側面図である。
【
図5】本実施の形態に係る灯具一体型カメラユニットの取付状態を示す模式的断面図である。
【
図6】本実施の形態に係るカメラ装着部の構成を示す模式的斜視図である。
【
図7】本実施の形態に係るカメラ装着部の構成を示す図であり、(a)は模式的正面図、(b)は模式的断面図である。
【
図8】本実施の形態に係る装着変更板の構成を示す模式的平面図である。
【
図9】本実施の形態に係る装着変更板の構成(カメラ電源を搭載した状態)を示す模式的斜視図である。
【
図10】本実施の形態に係る装着変更板の構成を示す模式的側面図である。
【
図11】本実施の形態に係る灯具一体型カメラユニットの鉄道車両内での配置を示す模式的平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明に係る鉄道車両用の灯具一体型カメラユニットの一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0026】
図1~
図4に模式的に示すように、本実施の形態に係る灯具一体型カメラユニット1は、鉄道車両室内の車両灯具L(例えば、40型LED)に一体的に装着されるものであり、その内部に防犯カメラを収容して保護(カバー)するカメラ装着部10と、当該カメラ装着部10の装着位置を変更可能とする装着変更板20とを備えている。
【0027】
本実施の形態において、車両灯具Lは、鉄道車両室内の天井面に設置されており、
図1に最も良く示されるように、車両長手方向に延在する照明光源LS(本例では、40型LED)、この照明光源LSの上方及び側方を覆うように保持する照明筐体LC等から構成されている。そして、車両長手方向と直交する方向(以下、幅方向と称する)の車両室内両端部に、長手方向に沿って、複数の車両灯具Lが直列に配列されている(例えば、10~12個/列)。
【0028】
ここで、照明光源LSとしては、蛍光灯、LED、有機EL等の各種光源及びこれら光源の組み合わせを採用することができる。
【0029】
一方、照明筐体LCは、車両天井面に設置され、車内側に配置された照明光源LS(本例では、LED)を保持すると共に、その背面側(天井側)には、灯具電源装置LPが照明筐体LC内に収容配置されている。具体的には、
図2に最も良く示されるように、バランス等の観点から、上記灯具電源装置LPは、車両灯具Lの背面長手方向(LED延在方向)の中央部に配置されており、灯具電源装置LPを隔てた長手方向両側には均等な領域(空間)R1,R2が形成されている。ここで、車両灯具Lは、その長手方向両端部(f1,f4)、灯具電源装置LPの長手方向両端部(f2,f3)の計4か所の灯具取付穴f1,f2,f3,f4にて天井面にボルト締めすることにより固定されている。そして、本発明に係る灯具一体型カメラユニット1は、既設の車両灯具Lの灯具取付穴f1,f2,f3,f4のうち、両端部を含んだ2対(2組)の灯具取付穴(具体的には、(f1,f2)又は(f3,f4))にて、既設の固定ボルトを利用して共締めすることにより、車両灯具Lに何らの加工を施すことなく容易に取り付け可能とするものである。
【0030】
本実施の形態において、灯具一体型カメラユニット1のカメラ装着部10は、
図5~
図7に模式的に示すように、照明筐体LC(車両灯具L)の側方から挟み込んで(差し込んで)装着可能とする差し込み爪12や、カメラ部16を収容するカメラカバー15等を備え、その断面がフック状(鍵爪状)に形成された金属製(例えば、アルミニウム)の部材である。
【0031】
具体的には、差し込み爪12は、照明筐体LCのいずれの側方(右側、左側)からでも挟み込める(差し込める)ように、照明筐体LCの上面及び側面を覆うように、断面略横J字状に形成されている(
図7(a)参照)。より詳細には、本実施の形態に係る差し込み爪12は、基端側(取付状態において天井側)に、天井面と照明筐体LCとの間に差し込まれる平板状の天井側平板部(天井側対向面)12Pを有すると共に、先端側には、天井側平板部12Pの一端から照明筐体LCの側方を覆うように湾曲延在して連接(連続)する平板状の先端側傾斜部12tを有している。
【0032】
本実施の形態において、
図6に最も良く示されるように、差し込み爪12の天井側平板部12Pには、4つの取付穴12a~12dが長手方向に対して左右対称に方形状に配置形成されている。また、
図7に最も良く示されるように、先端側傾斜部12tには、カメラ部16を構成するレンズ16aや基板16bが取り付けられていると共に、これらを収容するカメラカバー15が取り付けられている。本実施の形態において、金属製のカメラカバー15は、Wi-Fi(登録商標)接続可能なように(電波を遮蔽しないように)、その一部に不図示の開口窓が形成されている。なお、カメラカバー15については、Wi-Fi(登録商標)接続可能なように電波を透過させる部材であれば差し支えなく、例えば、耐熱性(不燃性)の樹脂にて形成しても良い。
【0033】
また、本実施の形態において、カメラ基板16bには、着脱可能な録画画像記憶媒体、処理部、送受信部等が一体的に形成されている。本実施の形態では、回路配線(パターン)の簡略化、部品実装効率の向上等を考慮して、カメラレンズ16aは、カメラカバー15(カメラ基板16b)の長手方向一端部に偏移して配置されている。なお、デザイン性や美観の向上といった観点からは、カメラカバー15を略直方体状(端部にカメラレンズ16aの突出部のない、表面が平坦な略直方体形状)に形成しても差し支えない。また、カメラ部16の小型化といった観点からは、カメラ基板16bを装着変更板20に配置しても良い。
【0034】
このように、カメラ16(カメラレンズ16a及び録画画像記憶媒体、処理部、送受信部等を有するカメラ基板16b)を一体ユニット化してカメラ装着部10に収容し、当該カメラ装着部10の形状を、片側面を開放した正面視で略横J字形状(
図7(a)参照)に形成することにより、カメラ装着部10を照明筐体LCの左右何れからも差し込み可能としてカメラユニット1の簡易な取り付けを実現している。
【0035】
また、本実施の形態において、カメラ部16やカメラカバー15は、差し込み爪12の先端側傾斜部12tの裏側からボルトで固定されている。これにより、車両灯具L全体を天井から降ろさない限りカメラユニット1を取り外すことができなくなり、カメラ部16の盗難防止を図っている。
【0036】
装着変更板20は、
図8~
図10に示すように、天井側が開放された箱状に形成されており、長手方向両端部には、灯具取付穴(f1,f2)又は(f3,f4)と共締め可能となるように、取付穴(共用穴)が配置形成された板状のユニット取付片25が長手方向外側に突出形成されている。すなわち、装着変更板20の取付穴は、灯具取付穴f1~f4の少なくとも2つと共締め可能なように配置形成されている。これにより、車両灯具Lの背面側において、装着変更板20を、灯具電源装置LPを挟んだ長手方向両端部のいずれか一方の取付領域(R1又はR2)に取り付け可能とすると共に、同一領域内において180°回転させた反転取り付けを可能としている。本実施の形態において、装着変更板20が取り付けられていない領域には、高さ調整用の不図示のスペーサが介装されている。なお、取付領域R1及びR2の両領域に装着変更板20を装着し、それぞれに灯具一体型カメラユニット1を設けても差し支えない。
【0037】
一方、装着変更板20の長手方向一端部の幅方向両側には、カメラ装着部10が取り付けられるカメラ取付片22が幅方向内側に突出して形成されている。カメラ取付片22には、取付穴22a~22dが、カメラ装着部10の取付穴12a~12dと対応するように、長手方向に対して左右対称に方形状に配置形成されている。
【0038】
また、装着変更板20の長手方向の他端部には、カメラユニット1に電源を供給するためのカメラ電源CPが収容される電源収容部27が形成されている。
【0039】
図10に最も良く示されるように、装着変更板20の電源収容部27は、その上面が開放されていると共に、その周囲(周縁部)には、複数の貫通穴20hが形成されている。この貫通穴20hは軽量化のための中抜き孔としての機能を兼用しつつ、カメラ電源CPの周囲の空気流の流路(空冷用の流路)を形成している。また、装着変更板20の底部は、照明光源LSの直上の照明筐体LCから浮かせている。これにより、特に、発熱量の多い蛍光灯にカメラユニット1を取り付ける際に、発熱光源(蛍光灯等)LSからの加熱を未然に防止することができる。
【0040】
なお、照明光源LSの発熱量が問題とならない(例えば、LED光源等)の場合には、電源収容部27を照明筐体LCに直付けとしてもよい(
図5参照)。
【0041】
また、本実施の形態において、灯具用電源LPとカメラ用電源CPへの電力供給は、既設の灯具用電源線CCに、例えば、2股の中継コネクタRCを接続して、各電源LP,CPに分岐接続することにより容易に可能となる(
図4参照)。さらに、本実施の形態では、カメラの配置数を必要最小限に削減しつつ死角の発生を抑制するといった観点から、車両室内の幅方向両端部に配列された複数の灯具一体型カメラユニット1のそれぞれは、車両平面視にて互い違いとなるように千鳥配置されている(
図11参照)。
【0042】
このように形成した灯具一体型カメラユニット1においては、装着変更板20が車両灯具Lの長手方向両側に形成された空間(領域)R1,R2のいずれにも取付可能であり、かつ、同一領域において反転取付が可能であり、さらに、カメラ装着部10が車両灯具Lのいずれの側方(右側、左側)からも取付可能なので、装着変更板20の向き(2種)×装着変更板20の取付位置(両端部2か所)×カメラ装着部10の挟み込み方向(2種)=合計8か所のカメラ取付位置を選定できることとなる。これにより、照明光源LSや車両の種類によらず、カメラレンズの向きを車両室内中央側に向けつつ、長手方向に沿って適宜任意の千鳥配置を可能として、吊り広告等の障害物を回避しつつ死角領域の発生を抑制することができる。また、車両室内の全領域を撮像するために必要なカメラ設置数を必要最小限に削減しつつ、既設の車両灯具Lに何らの追加的な加工を要することなく簡易な取り付けが可能となる。
【0043】
より具体的には、本実施の形態に係る鉄道車両用の灯具一体型カメラユニット1によれば、車両灯具Lへの取付作業がドライバー1本で可能となると共に、作業性の大幅な向上(カメラ取付作業時間:約10分/台)が実現できることが確認できた。
【0044】
なお、本発明の技術的範囲は上述した各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨に逸脱しない範囲において多様な変更もしくは改良を加え得るものである。例えば、カメラ(レンズ)の代わりに空気清浄器やAIスピーカー等を設置してもよい。
【符号の説明】
【0045】
1 灯具一体型カメラユニット
10 カメラ装着部
12 差し込み爪
12P 天井側平板部
12a~12d 取付穴
12t 先端側傾斜部
15 カメラカバー
16 カメラ部
16a カメラレンズ
16b カメラ基板
20 装着変更板
20h 貫通穴
22 カメラ取付片
22a~22d 取付穴
25 ユニット取付片
27 電源収容部
f1,f2,f3,f4 灯具取付穴
CC 灯具用電源線
CP カメラ電源
L 車両灯具
LC 照明筐体
LP 灯具電源装置
LS 照明光源
R1,R2 取付領域
RC 中継コネクタ