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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-06
(45)【発行日】2023-02-14
(54)【発明の名称】車両用電池保護構造
(51)【国際特許分類】
   B60K 1/04 20190101AFI20230207BHJP
【FI】
B60K1/04 Z ZHV
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019018802
(22)【出願日】2019-02-05
(65)【公開番号】P2020125025
(43)【公開日】2020-08-20
【審査請求日】2021-09-03
(73)【特許権者】
【識別番号】391002498
【氏名又は名称】フタバ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】奥出 竜基
【審査官】塩澤 正和
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-080116(JP,A)
【文献】特開平07-246845(JP,A)
【文献】特開2015-074244(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される車両用電池保護構造であって、
車両用電池を保護するための部材である保護部材と、
前記保護部材を、前記車両用電池の下面よりも鉛直方向下側であって、前記車両用電池の下面における外周部よりもさらに外周側にて前記車両用電池と隔てられた状態で支持する支持部材と、
を備え
前記保護部材は、長手方向に延びる柱状に構成され、
前記支持部材は、前記長手方向の両側に設定された複数の保持位置にて前記保護部材を保持するように構成され、
前記保護部材の長手方向と直交する仮想平面で保護部材を切断した際における前記保護部材の図心は、前記複数の保持位置の中間の位置で前記保護部材を切断したときの図心が、前記保持位置で前記保護部材を切断したときの図心よりも鉛直方向上側に位置する
ように構成された車両用電池保護構造。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用電池保護構造であって、
前記保護部材は、長手方向に延びる柱状に構成され、
前記支持部材は、前記長手方向の両側に設定された複数の保持位置にて前記保護部材を保持するように構成され、かつ、前記車両用電池の周囲を取り囲んで配置されるフレームとして構成される
車両用電池保護構造。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の車両用電池保護構造であって、
前記保護部材は、変形する際に衝撃を吸収するように構成された圧壊部材として構成される
車両用電池保護構造。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の車両用電池保護構造であって、
前記保護部材は、中実に構成される
車両用電池保護構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両に搭載される車両用電池を保護するための車両用電池保護構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、下記特許文献1では、上記の車両用電池保護構造として、電気自動車における車両用電池の前方に、車両用電池に衝突等の衝撃が加わることを抑制する保護部材を配置する技術が提案されている。保護部材は、壊れる際に衝撃を吸収するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-140711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両用電池保護構造では、車両の衝突に備えて、車両用電池に対して水平方向から入力される負荷に耐えられることが求められる。しかしながら、上記の車両用電池保護構造では、保護部材と車両用電池とが水平方向に並べて配置されているので、保護部材が変形したときに、変形した保護部材が車両用電池に干渉しやすいという問題があった。
【0005】
本開示の一側面は、車両に搭載される車両用電池を保護するための車両用電池保護構造において、保護部材が変形したときに、変形の影響が車両用電池に波及しにくくできることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、車両に搭載される車両用電池保護構造であって、保護部材と、支持部材と、を備える。保護部材は、車両用電池を保護するための部材である。支持部材は、保護部材を、車両用電池の下面よりも鉛直方向下側であって、車両用電池の下面における外周部よりもさらに外周側にて車両用電池と隔てられた状態で支持する。
【0007】
このような構成によれば、保護部材は、車両用電池の下面の鉛直方向下側、かつ車両用電池の下面の外周部よりもさらに外周側に配置され、車両用電池と隔てられている。よって、水平方向の負荷が保護部材に加わり、保護部材が変形する際に、保護部材は車両用電池の下側に向けて変形するので、変形の影響が車両用電池に波及しにくくすることができる。
【0008】
本開示の一態様では、保護部材は、長手方向に延びる柱状に構成されてもよい。また、支持部材は、長手方向の両側に設定された複数の保持位置にて保護部材を保持するように構成されてもよい。
【0009】
また、保護部材の長手方向と直交する仮想平面で保護部材を切断した際における保護部材の図心は、複数の保持位置の中間の位置で保護部材を切断したときの図心が、保持位置で保護部材を切断したときの図心よりも鉛直方向上側に位置してもよい。
【0010】
このような構成によれば、保持位置における保護部材の図心が複数の保持位置の中間の位置における保護部材の図心よりも上側に位置するので、保護部材が水平方向からの負荷を受けると、保護部材は水平方向下側に変形しやすくなる。つまり、保護部材の図心の位置が異なる場合、保護部材が負荷を受けると保護部材にモーメントが発生し、モーメントが0になるように、換言すれば、図心が同一高さになるように保護部材が変形しようする。
【0011】
このため、保護部材は、鉛直方向において車両用電池から離れる方向である下側に変形しやすくなる。よって、本構成では、保護部材が変形したときに、変形の影響が車両用電池に波及しにくくすることができる。
【0012】
本開示の一態様は、車両用電池構造であって、保護部材は、長手方向に延びる柱状に構成される。支持部材は、長手方向の両側に設定された複数の保持位置にて保護部材を保持するように構成され、かつ、車両用電池の周囲を取り囲んで配置されるフレームとして構成されてもよい。
【0013】
このような構成によれば、保護部材がフレームとして構成された支持部材にて支持され、保護部材をフレーム間に配置できるため、保護部材の着脱を容易に行うことができる。
本開示の一態様では、保護部材は、変形する際に衝撃を吸収するように構成された圧壊部材として構成されてもよい。
【0014】
このような構成によれば、保護部材を、変形する際に衝撃を吸収するように構成された圧壊部材とするので、衝撃が車両用電池の周囲に波及しにくくすることができる。
本開示の一態様では、保護部材は、中実に構成されてもよい。
【0015】
このような構成によれば、保護部材を中空とする構成と比較して、保護部材のせん断耐力を向上させることができるので、車両用電池を強固に保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1実施形態において車両用電池保護構造の配置を示す平面図である。
図2図1におけるII-II断面図である。
図3図1におけるIII-III断面図である。
図4】車両用電池下部の平面図である。
図5図2におけるV-V断面図である。
図6】第1実施形態の保護部材における図心を示す説明図である。
図7】第2実施形態の保護部材を示す端面図である。
図8】第2実施形態の保護部材の取付態様を示す断面図である。
図9図8におけるIX-IX断面図である。
図10】第2実施形態の保護部材における図心を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態を説明する。
[1.第1実施形態]
[1-1.概略構成]
本開示の一態様の車両用電池保護構造1Aは、図1に示すように、車両100の床下に配置される。図1に示す例では、車両100は、内燃機関71、排気管72、および車両用電池10を備えるハイブリッド車として構成される。なお、車両100は、内燃機関71および排気管72を備えない電気自動車として構成されてもよい。
【0018】
なお、図1では、紙面左右方向が車両100の前後方向であり、紙面右側のRr方向が車両100の後方側である。また、紙面上下方向が車両100の左右方向であり、紙面上側のRh方向が車両右側である。
【0019】
車両用電池保護構造1Aは、電気自動車、ハイブリッド車等、車両100の駆動に利用される車両用電池10を、車両100のボデーに組み付けるための構造体である。車両用電池保護構造1Aは、主として水平方向から入力される負荷に対して車両用電池10を保護する機能を備える。
【0020】
車両用電池保護構造1Aは、車両100の左右方向の両端部に位置するサイドレール5の間の領域に配置される。サイドレール5は、車両100の床下部分の形状を維持するための構造体である床下構造体の一部である。
【0021】
車両用電池保護構造1Aは、図2以下の図面に示すように、下側部材40と、保護部材60Aを備える。車両用電池保護構造1Aは、図1および図2に示すように、上側部材20と、接続部材50と、複数の取付部31と、複数の補強部材30を備えてもよい。
【0022】
下側部材40は、本開示での支持部材に相当し、車両用電池10の下部にて車両用電池10を保持する。より詳細には、下側部材40は、車両用電池10の下面の一部を覆うフレーム41,42として構成され、車両用電池10の下面を保持する。なお、下側部材40および保護部材60Aの詳細については後述する。
【0023】
上側部材20は、車両用電池10の上部に位置し、車両100のボデーの一部を構成する。より詳細には、上側部材20は、板状のパネルとして構成され、車両100の床下構造体の一部であって、車両100における車室と床下空間とを隔てる隔壁として機能する。上側部材20は、上部に図示しない座席等が配置され、乗員の重量等を支える必要があるため、複数の補強部材30によって補強される。
【0024】
複数の補強部材30は、上側部材20から下側に突出して構成される。詳細には、複数の補強部材30は、車両100の前後方向に沿って延びる角柱状に構成される。そして、複数の補強部材30には、車両用電池10が取り付けられる。
【0025】
複数の補強部材30は、それぞれ、車両用電池10を取り付けるための複数の取付部31を備える。複数の取付部31は、接続部材50を取り付けるための部位である。
接続部材50は、上側部材20および下側部材40を接続するように構成され、複数の取付部31のうちの少なくとも何れかに接続される。詳細には、接続部材50は、柱状に構成され、車両用電池10を保持した状態の下側部材40に固定され、この状態で、取付部31に取り付けられる。
【0026】
接続部材50と取付部31とは、任意の手法で取り付けられる。例えば、接続部材50にネジ山を有するボルトが備えられているとともに、取付部31には、複数のネジ穴が備えられており、接続部材50のボルトをネジ穴に蝶合させることによる取付手法を採用できる。なお、溶接等の取付手法を採用してもよい。また、接続部材50はボルト等の部材のみから構成されてもよい。
【0027】
[1-2.詳細構成]
下側部材40および保護部材60Aの詳細について以下に説明する。
下側部材40は、図2図5に示すように、水平方向に沿って配置されるフレームとして、車両100の左右方向に延びる横フレーム41と、車両100の前後方向に延びる縦フレーム42とを備える。横フレーム41および縦フレーム42は、接続部材50等とともに、車両用電池10の周囲を取り囲んで配置される。
【0028】
横フレーム41は、車両用電池10の下面と接触し、車両用電池10を支持する。また、縦フレーム42は、横フレーム41の下部に位置し、横フレーム41を支持する。
保護部材60Aは、車両用電池10を保護するための部材である。保護部材60Aは、図4に示すように、車両用電池10の周囲の6箇所において、車両用電池10の大部分を取り囲んで配置される。なお、図4では、車両用電池10、下側部材40、保護部材60Aのみを図示している。
【0029】
保護部材60Aは、長手方向に延びる柱状に構成される。保護部材60Aは、内部が空洞である中空に構成され、負荷が加わり変形する際に衝撃を吸収するように構成された圧壊部材として構成される。
【0030】
長手方向が車両100の前後方向に沿うように配置される4つの保護部材60Aは、車両100の左右方向からの負荷から車両用電池10を保護するために、車両用電池10の左右のそれぞれに配置される。これらの保護部材60Aは、複数の横フレーム41の間に配置される。つまり、保護部材60Aは、横フレーム41が存在せず、比較的強度的に不利になる部位の強度を補うために配置される。
【0031】
また、長手方向が車両100の左右方向に沿うように配置される2つの保護部材60Aは、車両100の前後方向からの負荷から車両用電池10を保護するために、車両用電池10の前後のそれぞれに配置される。これらの保護部材60Aは、複数の縦フレーム42の間に配置される。これら6つの保護部材60Aは、全て同様の取付態様で横フレーム41又は縦フレーム42に取り付けられる。
【0032】
ここでは、6つの保護部材60Aを代表して、車両100の前後方向に沿って配置される保護部材60Aのうちの車両左前に位置する保護部材60Aの詳細について説明する。この保護部材60Aは、図5に示すように、接合部61と、テーパ部62と、中間部63とを備える。保護部材60Aは、接合部61、テーパ部62、および中間部63が一体に構成されており、長手方向に延びる1つの材料を加工することで構成される。
【0033】
接合部61は、保護部材60Aの長手方向の両側の端部に位置し、横フレーム41の下側に接合により取り付けられる部位である。つまり、横フレーム41は、保護部材60Aを、車両用電池10の下面よりも鉛直方向下側であって、車両用電池10の下面における外周部よりもさらに外周側にて車両用電池10と隔てられた状態で支持する。
【0034】
具体的には、保護部材60Aと車両用電池10の下面における外周部とは、図3に示すように、距離dだけ隔てられる。また、保護部材60Aの中間部63と下側部材40とは、同様に距離dだけ隔てられる。なお、接合部61と横フレーム41との接合態様は、例えばボルト等による締結、溶接等による溶着等、任意の態様を採用できる。
【0035】
テーパ部62は、図5に示すように、接合部61から延びる部位であり、接合部61から遠ざかるにつれて連続的に断面積が大きくなるように構成される。中間部63は、テーパ部62同士の中間に位置する部位であり、断面積は均一に構成される。
【0036】
接合部61、テーパ部62、中間部63ともに、下面の位置は共通であり、上面の位置がそれぞれ異なり、接合部61よりも中間部63の上面がより上側に位置する。ただし、中間部63の上面の位置は、車両用電池10の下面の位置よりも鉛直方向下側に位置するように構成される。
【0037】
このような構成であるため、図6に示すように、中間部63における保護部材60Aの図心Z2は、接合部61における保護部材60Aの図心Z1よりも鉛直方向上側に位置する。なお、上記の図心とは、保護部材60Aの長手方向と直交する仮想平面で保護部材60Aを切断した断面図における図心を示す。
【0038】
[1-3.効果]
以上詳述した第1実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1a)本開示の一態様は、車両100に搭載される車両用電池保護構造1Aであって、保護部材60Aと、下側部材40と、を備える。保護部材60Aは、車両用電池10を保護するための部材である。下側部材40は、保護部材60Aを、車両用電池10の下面よりも鉛直方向下側であって、車両用電池10の下面における外周部よりもさらに外周側にて車両用電池10と隔てられた状態で支持する。
【0039】
このような構成によれば、水平方向の負荷が保護部材60Aに加わり、保護部材60Aが変形する際に、保護部材60Aは車両用電池10の下側に向けて変形するので、変形の影響が車両用電池10に波及しにくくすることができる。
【0040】
(1b)本開示の一態様では、保護部材60Aは、長手方向に延びる柱状に構成される。また、下側部材40は、長手方向の両側に設定された複数の保持位置にて保護部材60Aを保持するように構成される。
【0041】
また、保護部材60Aの長手方向と直交する仮想平面で保護部材60Aを切断した際における保護部材60Aの図心は、複数の保持位置の中間の位置で保護部材60Aを切断したときの図心が、保持位置で保護部材60Aを切断したときの図心よりも鉛直方向上側に位置するように構成される。
【0042】
このような構成によれば、保持位置における保護部材60Aの図心が複数の保持位置の中間の位置における保護部材60Aの図心よりも上側に位置するので、保護部材60Aが水平方向からの負荷を受けると、保護部材60Aは水平方向下側に変形しやすくなる。つまり、保護部材60Aの図心の位置が異なる場合、保護部材60Aが負荷を受けると保護部材60Aにモーメントが発生し、モーメントが0になるように、換言すれば、図心が同一高さになるように保護部材60Aが変形しようとする。
【0043】
このため、保護部材60Aは、鉛直方向において車両用電池10から離れる方向である下側に変形しやすくなる。よって、本構成では、保護部材60Aが変形したときに、変形の影響が車両用電池10に波及しにくくすることができる。
【0044】
(1c)本開示の一態様では、保護部材60Aは、長手方向に延びる柱状に構成される。下側部材40は、長手方向の両側に設定された複数の保持位置にて保護部材60Aを保持するように構成され、かつ、車両用電池10の周囲を取り囲んで配置されるフレーム41,42として構成される。
【0045】
このような構成によれば、保護部材60Aがフレーム41,42として構成された下側部材40にて支持され、保護部材60Aをフレーム41,42間に配置できるため、保護部材60Aの着脱を容易に行うことができる。
【0046】
(1d)本開示の一態様では、保護部材60Aは、変形する際に衝撃を吸収するように構成された圧壊部材として構成されてもよい。
このような構成によれば、保護部材60Aを圧壊部材とするので、衝撃が車両用電池10の周囲に波及しにくくすることができる。
【0047】
(1e)本開示の一態様では、保護部材60Aは、中実に構成されてもよい。
このような構成によれば、保護部材60Aを中空とする構成と比較して、保護部材60Aのせん断耐力を向上させることができるので、車両用電池10を強固に保護することができる。
【0048】
[2.第2実施形態]
[2-1.第1実施形態との相違点]
第2実施形態は、基本的な構成は第1実施形態と同様であるため、相違点について以下に説明する。なお、第1実施形態と同じ符号は、同一の構成を示すものであって、先行する説明を参照する。
【0049】
上述した第1実施形態の車両用電池保護構造1Aでは、保護部材60Aを1つの部材で構成した。これに対し、第2実施形態の車両用電池保護構造1Bでは、保護部材60Bを複数の部材で構成する点で、第1実施形態と相違する。
【0050】
[2-2.構成]
第2実施形態の車両用電池保護構造1Bでは、第1実施形態の保護部材60Aに換えて、図7図8図9に示す保護部材60Bを備える。保護部材60Bは、接合部材65と、中間部材66とを備える。
【0051】
中間部材66は、上述の中間部63と同様に、長手方向に沿う任意の仮想平面で中間部材66を切断した場合に、均一の断面積を有する柱状の部位である。接合部材65は、中間部材66の両端を支持する部材である。接合部材65は、下面部65A、側面部65B、羽部65C、接合部65Dを備える。
【0052】
下面部65Aは、中間部材66の両端部の下面と当接し、下方から中間部材66を保持する。
側面部65Bは、中間部材66の側面のおおよそ下側半分と当接し、側方から中間部材66を保持する。
【0053】
羽部65Cは、側面部65Bの上端部から側方に突出する部位である。羽部65Cは、側方に突出することで中間部材66を保護する機能を有する。
接合部65Dは、下面部65Aから延設された平板状の部位であり、横フレーム41の下面に接合される。なお、接合部65Dには、側面部65Bおよび羽部65Cが備えられない。
【0054】
このような接合部材65は、中間部材66が抜け落ちないように支持する。また、図10に示すように、中間部材66の図心Z4は、接合部材65における接合部65Dの図心Z3よりも鉛直方向上方に位置する。
【0055】
[2-3.効果]
以上詳述した第2実施形態によれば、上述した第1実施形態の効果(1a)を奏し、さらに、以下の効果を奏する。
【0056】
(2a)第2実施形態の車両用電池保護構造1Bでは、保護部材60Bが接合部材65および中間部材66というように複数の部材で構成される。このような構成によれば、中間部材66を直方体等の単純な形状にすることができるので、保護部材60Bを簡素な構成で実現することができる。
【0057】
[3.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
【0058】
(3a)上記実施形態では、保護部材60A,60Bを中空に構成したが、これに限定されるものではない。例えば、保護部材60A,60Bは、内部に空間が存在しない中実に構成されてもよい。
【0059】
このような構成によれば、保護部材60A,60Bを中空とする構成と比較して、保護部材60A,60Bのせん断耐力を向上させることができるので、車両用電池10を強固に保護することができる。なお、せん断耐力とは、部材のせん断力に対する抵抗力を示す。
【0060】
(3b)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
【0061】
(3c)上述した車両用電池保護構造1A,1Bの他、当該車両用電池保護構造1A,1Bを構成要素とするシステムなど、種々の形態で本開示を実現することもできる。
【符号の説明】
【0062】
1A,1B…車両用電池保護構造、5…サイドレール、10…車両用電池、20…上側部材、30…補強部材、31…取付部、40…下側部材、41…横フレーム、42…縦フレーム、50…接続部材、60A,60B…保護部材、61…接合部、62…テーパ部、63…中間部、65…接合部材、65A…下面部、65B…側面部、65C…羽部、65D…接合部、66…中間部材、71…内燃機関、72…排気管、100…車両。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10