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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-06
(45)【発行日】2023-02-14
(54)【発明の名称】マーキング体
(51)【国際特許分類】
   B21C 51/00 20060101AFI20230207BHJP
【FI】
B21C51/00 B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019048367
(22)【出願日】2019-03-15
(65)【公開番号】P2020146743
(43)【公開日】2020-09-17
【審査請求日】2021-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000006910
【氏名又は名称】株式会社淀川製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100087653
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 正二
(74)【代理人】
【識別番号】100142376
【弁理士】
【氏名又は名称】吉村 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】古谷 佳弘
(72)【発明者】
【氏名】辰原 絢次
(72)【発明者】
【氏名】岸川 拓司
【審査官】池田 安希子
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-141946(JP,A)
【文献】特開平10-100393(JP,A)
【文献】特開昭51-017100(JP,A)
【文献】実開昭57-189614(JP,U)
【文献】特開2009-295942(JP,A)
【文献】特開2004-184287(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21C 51/00
B25H 7/04
B41F 17/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物の表面に情報をマーキングするマーキング体であって、
前記マーキングに用いられる筆記具を保持する筆記具保持部を有しており、
前記マーキング体が、
ベースとなるベース部と、
前記筆記具保持部を揺動可能に前記ベース部へ接続する揺動可能接続部と、
前記物の表面に対する前記筆記具保持部の傾斜を前記物の表面の屈曲に応じて変動させる傾斜変動部と、
前記物の表面に前記情報をマーキングする際に前記物へ前記筆記具を押付けるための押付部とを前記筆記具保持部に加えて有しており、
前記押付部が前記ベース部に接続され前記ベース部に力を加えることにより前記物へ前記筆記具を押付けるものであり、
前記筆記具保持部が、
前記揺動可能接続部を介して前記ベース部へ接続される接続体と、
前記筆記具が固定され、かつ、前記接続体へ接続される筆記具固定体と、
前記接続体と前記筆記具固定体との間における前記力の伝達を緩和する緩和部とを有しており、
前記緩和部が、
前記筆記具固定体を前記接続体に対する相対運動が可能に前記接続体に接続する固定体接続部と、
前記接続体と前記筆記具固定体との間に接続され前記筆記具固定体の前記接続体に対する相対運動に伴って変形する弾性体とを有していることを特徴とするマーキング体。
【請求項2】
前記傾斜変動部が、
前記物の表面に接触するためのものであり、かつ、前記物に対する相対運動をするための相対運動体と、
複数の方向への前記相対運動が自在となるように前記相対運動体を前記筆記具保持部に接続する運動体接続部とを有していることを特徴とする請求項に記載のマーキング体。
【請求項3】
前記接続体が、
前記ベース部に対向するように配置されるベース対向部と、
前記ベース対向部の一端から突出する板状の板状突出部とを有しており、
前記固定体接続部は、前記接続体のうち前記板状突出部へ前記筆記具固定体を接続し、
前記弾性体は、前記接続体のうち前記板状突出部へ接続され、
前記揺動可能接続部が、前記筆記具保持部のうち前記ベース対向部を揺動可能に前記ベース部へ接続し、
前記押付部が、前記ベース部を介して前記揺動可能接続部の揺動中心に対向するよう配置されていることを特徴とする請求項1に記載のマーキング体。
【請求項4】
前記接続体が前記ベース対向部のうち前記揺動可能接続部が接続される面の背面に接続されるボールキャスターをさらに有していることを特徴とする請求項3に記載のマーキング体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マーキング体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、円筒管のマーキング方法を開示する。このマーキング方法は、次に述べられる工程を備える。その第1の工程は、柔軟性のある材料で作製したマーキング版に所望の表示文字をくり抜き加工する工程である。第2の工程は、表示文字がくり抜き加工されたマーキング版を、その柔軟性を利用して円筒管の湾曲面形状に追従させながら密着して取り付ける工程である。第3の工程は、マーキング版の上から文字表示部に向かって、インク又は他の染料及び塗料等を吹き付ける工程である。第4の工程は、厚膜の層となったマーキング剤を乾燥機等で乾燥させ、円筒管表面の湾曲面に所望のマーキング文字を施す工程である。第5の工程は、乾燥したマーキング剤により円筒管表面の湾曲面に貼り付いているマーキング版を、屈折又は屈曲させることにより円筒管表面から剥離する工程である。
【0003】
特許文献1に開示された発明によると、滲みが発生しない円筒管のマーキング方法を実現することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-238103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された発明には、インク又は他の染料及び塗料等を吹き付けるための装置の整備に多大な労力を要するという問題点がある。
【0006】
本発明は、上述した問題点を解決するものである。その目的は、整備に費やされる労力を軽減できるマーキング体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
図面に基づいて本発明のマーキング体が説明される。なお、この欄で図中の符号を使用したのは、発明の内容の理解を助けるためであって、内容を図示した範囲に限定する意図ではない。
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明のある局面に従うと、マーキング体30は、物200の表面に情報をマーキングする。マーキング体30が、筆記具保持部52を有している。筆記具保持部52は、マーキングに用いられる筆記具150を保持する。
【0009】
筆記具150によって物200の表面に情報がマーキングされるので、筆記具保持部52が保持する筆記具150を換えることで筆記具150の不備は解消できる。筆記具150を換えることでその不備を解消できるので、筆記具150にまつわる整備に費やされる労力は軽減できる。その結果、整備に費やされる労力を軽減できるマーキング体30を提供できる。
【0010】
また、上述したマーキング体30が、ベース部50と、揺動可能接続部54と、傾斜変動部56と、押付部58とを筆記具保持部52に加えて有している。ベース部50はベースとなる。揺動可能接続部54は、筆記具保持部52を揺動可能にベース部50へ接続する。傾斜変動部56は、物200の表面に対する筆記具保持部52の傾斜を物200の表面の屈曲に応じて変動させる。押付部58は、物200の表面に情報をマーキングする際に物200へ筆記具150を押付ける。この場合、押付部58がベース部50に接続されベース部50に力を加えることにより物200へ筆記具を押付けるものである。この場合、筆記具保持部52が、接続体80と、筆記具固定体82と、緩和部84とを有している。接続体80は、揺動可能接続部54を介してベース部50へ接続される。筆記具固定体82には筆記具150が固定される。筆記具固定体82は、接続体80へ接続される。緩和部84は、接続体80と筆記具固定体82との間における力の伝達を緩和する。
【0011】
物200の表面に対する筆記具保持部52の傾斜が物200の表面の屈曲に応じて変動すると、筆記具保持部52が保持する筆記具150の傾斜も表面の屈曲に応じて変動する。そのように傾斜が変動するので、筆記具150にかかる物200からの反力を受けた筆記具150のいずれかの部分に変形が生じる恐れが軽減される。その際、接続体80が揺動可能接続部54を介してベース部50へ接続される。筆記具固定体82は、接続体80へ接続される。筆記具固定体82には筆記具150が固定される。これにより、押付部58がベース部50に加えた力は筆記具固定体82に伝わる。筆記具固定体82に伝わった力が物200へ筆記具150を押付ける。緩和部84は、接続体80と筆記具固定体82との間における力の伝達を緩和する。力の伝達が緩和されるので、その力を受けた筆記具150のいずれかの部分に変形が生じる恐れが軽減される。変形が生じる恐れが軽減されると、変形に伴う筆記具150の交換の必要性が軽減される。交換の必要性が軽減されると、筆記具150にまつわる整備に費やされる労力を軽減できる。その結果、物200の表面の屈曲に対応するように物200の表面に情報をマーキングでき、かつ、整備に費やされる労力を軽減できるマーキング体30を提供できる。
【0012】
また、上述した緩和部84が、固定体接続部100と、弾性体102とを有している。固定体接続部100は、筆記具固定体82を接続体80に対する相対運動が可能に接続体80に接続する。弾性体102は、接続体80と筆記具固定体82との間に接続される。弾性体102は、筆記具固定体82の接続体80に対する相対運動に伴って変形する。
【0013】
弾性体102は、接続体80と筆記具固定体82との間に接続される。弾性体102は、筆記具固定体82の接続体80に対する相対運動に伴って変形する。これにより、押付部58がベース部50に加えた力は弾性体102によって緩和された状態で筆記具150に伝わることとなる。その力が緩和されるので、その力を受けた筆記具150のいずれかの部分に変形が生じる恐れが軽減される。その結果、物200の表面の屈曲に対応するように物200の表面に情報をマーキングでき、かつ、整備に費やされる労力を軽減できるマーキング体30を提供できる。
【0014】
また、上述した傾斜変動部56が、相対運動体120と、運動体接続部122とを有していることが望ましい。相対運動体120は、物200の表面に接触するためのものである。相対運動体120は、物200に対する相対運動をするためのものである。運動体接続部122は、複数の方向への相対運動が自在となるように相対運動体120を筆記具保持部52に接続する。相対運動体120は、物200の表面に接触するためのものである。相対運動体120は、物200に対する相対運動をするためのものである。運動体接続部122は、複数の方向への相対運動が自在となるように相対運動体120を筆記具保持部52に接続する。これにより、次に述べられる場合に比べて、駆動装置32がマーキング体30を後述の一方向とは異なる方向へ動かす際、相対運動体120を動かすことに伴って筆記具保持部52に大きな力がかかる可能性を低くできる。その場合とは、相対運動体120が一方向にのみそのような相対運動をする場合である。そのような大きな力がかかる可能性を低くできるので、そのような大きな力を受けた筆記具150のいずれかの部分に変形が生じる恐れが軽減される。その結果、物200の表面の屈曲に対応するように物200の表面に情報をマーキングでき、かつ、整備に費やされる労力を軽減できるマーキング体30を提供できる。
【0015】
また、上述した接続体80が、ベース対向部90と、板状の板状突出部92とを有していることが望ましい。ベース対向部90は、ベース部50に対向するように配置される。板状突出部92は、ベース対向部90の一端から突出する。この場合、固定体接続部100は、接続体80のうち板状突出部92へ筆記具固定体82を接続することが望ましい。この場合、弾性体102は、接続体80のうち板状突出部92へ接続されることが望ましい。この場合、揺動可能接続部54が、筆記具保持部52のうちベース対向部90を揺動可能にベース部50へ接続することが望ましい。この場合、押付部58が、ベース部50を介して揺動可能接続部54の揺動中心70に対向するよう配置されていることが望ましい。
また、上述した接続体80がベース対向部90のうち揺動可能接続部54が接続される面の背面に接続されるボールキャスター96をさらに有していることが望ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るマーキング体は、整備に費やされる労力を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明のある実施形態に係る情報マーキング装置の外観図である。
図2】本発明のある実施形態に係る情報マーキング装置のマーキング体および駆動装置の外観図である。
図3】本発明のある実施形態に係る情報マーキング装置のマーキング体の正面図である。
図4】本発明のある実施形態に係る情報マーキング装置のマーキング体の側面図である。
図5】本発明のある実施形態に係る情報マーキング装置のマーキング体の背面図である。
図6】本発明のある実施形態に係る情報マーキング装置のマーキング体の動きを示す概念図である。
図7】本発明のある実施形態に係る情報マーキング装置において筆記具に加わる力が緩和されている状況を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称及び機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0019】
[情報マーキング装置の構成]
図1は、本実施形態に係る情報マーキング装置20の外観図である。図2は、本実施形態に係る情報マーキング装置20のマーキング体30および駆動装置32の外観図である。図1図2とに基づいて、本実施形態に係る情報マーキング装置20の構成が説明される。
【0020】
本実施形態に係る情報マーキング装置20は、マーキング体30と、駆動装置32と、昇降装置34と、図示されない制御装置とを備える。
【0021】
マーキング体30は、鋼帯200の表面に情報をマーキングする。すなわち鋼帯200の表面に情報が付される。マーキング体30の具体的な構成は後述される。
【0022】
駆動装置32は、マーキング体30を駆動する。駆動装置32は、第1駆動部46と、第2駆動部48とを有する。
【0023】
第1駆動部46は、図示されない周知のスライダの組とこれらスライダの組を収容する筐体とを有する。本実施形態の場合、これらのスライダがマーキング体30を実際に移動させる。これらのスライダの一方はマーキング体30を予め定められた第1の方向へ移動させる。これらのスライダの他方はマーキング体30を第1の方向に直交する第2の方向へ移動させる。これにより、マーキング体30は第1の方向と第2の方向とに沿う平面に沿って移動可能となる。
【0024】
第2駆動部48は、図示されない軸材と、その軸材を固定する図示されない部材と、図示されない周知の回転駆動機構と、図示されない周知のスライダとを有する。その軸材は第1駆動部46の筐体を貫通する。これにより、第1駆動部46はその軸材の中心を軸として回転可能となる。第2駆動部48の図示されない回転駆動機構が、第1駆動部46に接続される。その回転駆動機構は周知のシリンダとリンクとを有しており、第1駆動部46を回転させる。これにより、第2駆動部48は、第1駆動部46ごとマーキング体30を傾斜させることができる。第2駆動部48の図示されないスライダが、上述された軸材ごと第1駆動部46を移動させる。
【0025】
昇降装置34は、駆動装置32を昇降させる。これにより、昇降装置34は駆動装置32ごとマーキング体30を昇降させることとなる。
【0026】
制御装置は、マーキング体30の後述される押付部58の対と、第1駆動部46の図示されないスライダと、第2駆動部48の図示されない回転駆動機構およびスライダと、昇降装置34とを制御する。制御装置がこれらを制御するための具体的な構成は周知である。したがってここではその詳細な説明は繰り返されない。
【0027】
図3は、本実施形態に係る情報マーキング装置20のマーキング体30の正面図である。図4は、本実施形態に係る情報マーキング装置20のマーキング体30の側面図である。図3図4とに基づいて、本実施形態に係るマーキング体30の構成が説明される。
【0028】
本実施形態の場合、マーキング体30は、ベース部50と、筆記具保持部52と、揺動可能接続部54と、傾斜変動部56の対と、押付部58の対と、接続ブラケット60と、復帰部62とを有している。
【0029】
本実施形態の場合、ベース部50は矩形の板状の部材である。このベース部50は、筆記具保持部52と揺動可能接続部54と傾斜変動部56と押付部58とのベースとなる。
【0030】
筆記具保持部52は、筆記具150を保持する。筆記具保持部52の具体的な構成は後述される。
【0031】
揺動可能接続部54は、筆記具保持部52をベース部50へ接続する。本実施形態の場合、揺動可能接続部54は周知のヒンジによって構成される。これにより、図3において二点鎖線で示されたように、筆記具保持部52は揺動変動可能となる。
【0032】
傾斜変動部56は、鋼帯200の表面に対する筆記具保持部52の傾斜を鋼帯200の表面の屈曲に応じて変動させる。傾斜変動部56の具体的な構成は後述される。
【0033】
本実施形態の場合、押付部58は、ベース部50を介して揺動可能接続部54の揺動中心70に対向するよう配置されている。押付部58は、鋼帯200の表面に情報をマーキングする際に鋼帯200へ筆記具150を押付ける。本実施形態の場合、押付部58は、第1駆動部46とベース部50との間に接続される。本実施形態の場合、押付部58は、周知であるシリンダによって構成される。本実施形態の場合、押付部58は、ベース部50に力を加えることにより鋼帯200へ筆記具150を押付けるものである。
【0034】
接続ブラケット60には押付部58の対が固定される。接続ブラケット60は、押付部58の対を第1駆動部46のスライダへ接続する。これにより、マーキング体30全体が第1駆動部46へ接続される。
【0035】
復帰部62は、傾斜変動部56が筆記具保持部52の傾斜を変動させた後、その傾斜を所定の状態に復帰させる。本実施形態の場合、復帰部62は、2本のコイルばねによって構成される。
【0036】
図5は、本実施形態に係る情報マーキング装置20のマーキング体30の背面図である。図4図5とに基づいて、本実施形態に係る筆記具保持部52および傾斜変動部56の具体的な構成が説明される。
【0037】
本実施形態の場合、筆記具保持部52は、接続体80と、筆記具固定体82と、緩和部84とを有している。
【0038】
接続体80は、揺動可能接続部54を介してベース部50へ接続される。本実施形態の場合、接続体80は、ベース部50に対向するように配置される板状のベース対向部90と、そのベース対向部90の一端から突出する板状の板状突出部92とを有する。ベース対向部90に揺動可能接続部54が接続される。本実施形態の場合、ベース対向部90のうち揺動可能接続部54が接続される面の背面に周知のボールキャスター96が接続される。板状突出部92には、直接または間接に筆記具固定体82と緩和部84とが接続される。
【0039】
筆記具固定体82には筆記具150が固定される。本実施形態の場合、筆記具固定体82は、緩和部84を介して接続体80の板状突出部92へ接続される。
【0040】
緩和部84は、接続体80と筆記具固定体82との間における力の伝達を緩和する。本実施形態の場合、緩和部84は、固定体接続部100と、弾性体102とを有している。固定体接続部100は、筆記具固定体82を接続体80に対する相対運動が可能な状態で接続体80の板状突出部92へ接続する。本実施形態におけるその相対運動の方向は、押付部58がベース部50に加える力のベクトルに沿う方向である。その結果、本実施形態においては、筆記具固定体82はスライド可能である。弾性体102は、接続体80(直接には、後述される運動体接続部122)と筆記具固定体82との間に接続される。弾性体102は、筆記具固定体82の接続体80に対する相対運動に伴って変形する。本実施形態の場合、弾性体102は周知のコイルばねによって構成される。
【0041】
本実施形態の場合、傾斜変動部56は、筆記具150の両脇に配置される。傾斜変動部56は、相対運動体120と、運動体接続部122とを有している。相対運動体120は、鋼帯200の表面に接触するためのものである。相対運動体120は、鋼帯200に対する相対運動をするためのものである。本実施形態の場合、相対運動体120は、上述のボールキャスター96と同一のボールキャスターにより構成される。運動体接続部122は、複数の方向への相対運動が自在となるように相対運動体120を筆記具保持部52に接続する。本実施形態の場合、運動体接続部122は、接続体80の板状突出部92に密着する板状の部分と、その板状の部分の一端から突出して相対運動体120が接続される部分とを有する。上述された弾性体102は、運動体接続部122を介して接続体80の板状突出部92に接続される。
【0042】
[使用方法の説明]
まず、酸洗が完了した鋼帯200が情報マーキング装置20の下に設置される。図示されないセンサがこのことを検知すると、そのセンサは情報マーキング装置20の制御装置に対して信号を送信する。その信号を受信した情報マーキング装置20の制御装置は、情報マーキング装置20のマーキング体30が鋼帯200上の所定の位置に対向するように昇降装置34を制御する。本実施形態の場合、その位置は鋼帯200の上端から周方向に少し離れた場所である。
【0043】
マーキング体30が鋼帯200の所定の位置に対向すると、情報マーキング装置20の制御装置は、マーキング体30の筆記具150の先端が鋼帯200の中心方向を向くように第2駆動部48を制御する。マーキング体30の筆記具150の先端が鋼帯200の中心方向を向くと、情報マーキング装置20の制御装置は、筆記具150が鋼帯200に軽く押付けられるように押付部58を制御する。
【0044】
図6は、このときのマーキング体30の動きを示す概念図である。図6から明らかなように、傾斜変動部56のうち最初に相対運動体120が鋼帯200に接触した方は、接続体80ひいては筆記具保持部52にモーメントを与える。モーメントが与えられることで、筆記具保持部52の傾斜は変動する。
【0045】
図7は、このときに筆記具150に加わる力が緩和されている状況を示す概念図である。筆記具150が鋼帯200に押付けられると、まず筆記具保持部52は接続体80に対し相対運動する。これに伴って弾性体102は伸びる。伸びた弾性体102は筆記具150を鋼帯200に押付ける。これにより、押付部58がベース部50に加えた力がそのまま筆記具150に伝わることは回避される。筆記具150は鋼帯200に軽く押付けられる。
【0046】
筆記具150が鋼帯200に軽く押付けられると、情報マーキング装置20の制御装置は、筆記具150が鋼帯200に所定の文字を書くように第1駆動部46を制御する。その際、相対運動体120は筆記具150と共に鋼帯200の表面をスムーズに移動する。その移動に伴って相対運動体120の一方が鋼帯200から押し上げられると、その相対運動体120ひいては傾斜変動部56は筆記具保持部52にモーメントを与える。モーメントが与えられることで、筆記具保持部52の傾斜は変動する。
【0047】
筆記具150が鋼帯200に所定の文字を書くと、情報マーキング装置20の制御装置は、筆記具150が鋼帯200から離れるように昇降装置34を制御する。筆記具150が鋼帯200から離れると、鋼帯200は次の工程が実施される場所へ搬出される。
【0048】
[効果の説明]
以上のようにして、本実施形態に係るマーキング体30ひいては情報マーキング装置20は、鋼帯200の表面の屈曲に対応するように鋼帯200の表面に情報をマーキングできる。その際、筆記具150によって鋼帯200の表面に情報がマーキングされるので、筆記具保持部52が保持する筆記具150を換えることで筆記具150の不備を解消できる。筆記具150を換えることでその不備を解消できるので、筆記具150にまつわる整備に費やされる労力を軽減できる。その結果、鋼帯200の表面の屈曲に対応するように鋼帯200の表面に情報をマーキングでき、かつ、整備に費やされる労力を軽減できるマーキング体30ひいては情報マーキング装置20を提供できる。
【0049】
本実施形態に係るマーキング体30ひいては情報マーキング装置20において、筆記具固定体82に固定された筆記具150は、接続体80に対する相対運動が可能になる。その状態で筆記具150が受ける力が緩和される。相対運動が可能な状態で筆記具150が受ける力が緩和されるので、その力を受けた筆記具150のいずれかの部分に変形が生じる恐れが軽減される。その変形が生じる恐れが軽減されると、その変形に伴う筆記具150の交換の必要性が軽減される。交換の必要性が軽減されると、筆記具150にまつわる整備に費やされる労力を軽減できる。その結果、整備に費やされる労力を軽減できるマーキング体30ひいては情報マーキング装置20を提供できる。
【0050】
本実施形態に係るマーキング体30ひいては情報マーキング装置20において、相対運動体120は複数の方向への相対運動が自在となるように筆記具保持部52に接続される。これにより、相対運動体120が一方向にのみそのような相対運動をする場合に比べて、第1駆動部46がマーキング体30をその一方向とは異なる方向へ動かす際、相対運動体120を動かすことに伴って筆記具保持部52に大きな力がかかる可能性を低くできる。そのような大きな力がかかる可能性を低くできるので、そのような大きな力を受けた筆記具150のいずれかの部分に変形が生じる恐れが軽減される。
【0051】
[変形例の説明]
上述したマーキング体30ひいては情報マーキング装置は、本発明の技術的思想を具体化するために例示したものである。各部材の形状、構造、配置などをこれらの実施形態のものに限定するものではない。各部材の形状、構造、配置は、種々の変更を加え得るものである。
【0052】
例えば、傾斜変動部56の構成は上述したものに限定されない。押付部58および緩和部84の構成も上述したものに限定されない。上述したマーキング体30ひいては情報マーキング装置がマーキングの対象とする物は鋼帯200に限定されない。
【符号の説明】
【0053】
20…情報マーキング装置
30…マーキング体
32…駆動装置
34…昇降装置
46…第1駆動部
48…第2駆動部
50…ベース部
52…筆記具保持部
54…揺動可能接続部
56…傾斜変動部
58…押付部
60…接続ブラケット
62…復帰部
80…接続体
82…筆記具固定体
84…緩和部
90…ベース対向部
92…板状突出部
96…ボールキャスター
100…固定体接続部
102…弾性体
0…相対運動体
122…運動体接続部
150…筆記具
200…鋼帯
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7