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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-06
(45)【発行日】2023-02-14
(54)【発明の名称】検電器チェッカー
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/00 20060101AFI20230207BHJP
   G01R 35/00 20060101ALI20230207BHJP
【FI】
G01R31/00
G01R35/00 L
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019101182
(22)【出願日】2019-05-30
(65)【公開番号】P2020193931
(43)【公開日】2020-12-03
【審査請求日】2022-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000203977
【氏名又は名称】日鉄テックスエンジ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】玉作 朋之
(72)【発明者】
【氏名】春山 裕二
(72)【発明者】
【氏名】沖宗 一真
【審査官】永井 皓喜
(56)【参考文献】
【文献】実開昭52-163375(JP,U)
【文献】実開昭60-34614(JP,U)
【文献】特許第6300881(JP,B1)
【文献】特開昭62-274270(JP,A)
【文献】特開平8-170973(JP,A)
【文献】特開平8-35997(JP,A)
【文献】米国特許第5537030(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 19/00
G01R 31/00
G01R 35/00
G01R 1/04
G01R 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検電器の動作確認を行うための検電器チェッカーであって、
複数の端子を集合させた端子台と、
前記端子台の前記端子に接続し、電圧を印加する電圧出力装置と、
前記電圧出力装置による前記端子への電圧の印加を時系列でオンオフする切替部とを備えることを特徴とする検電器チェッカー。
【請求項2】
前記電圧出力装置は交流電圧及び直流電圧を出力し、
前記端子台として、前記電圧出力装置により交流電圧が印加される端子台と、前記電圧出力装置により直流電圧が印加される端子台とを備えることを特徴とする請求項1に記載の検電器チェッカー。
【請求項3】
前記電圧出力装置により電圧が印加される電気伝導体と、
前記電気伝導体を覆うとともに、前記検電器の検知部が挿入可能な開口部が形成されたカバーとを備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の検電器チェッカー。
【請求項4】
前記電気伝導体は丸棒状であり、
前記カバーは円筒状であり、
前記カバーの周方向に前記開口部が複数形成されていることを特徴とする請求項3に記載の検電器チェッカー。
【請求項5】
前記端子台、前記電圧出力装置、前記切替部、前記電気伝導体及び前記カバーが、持ち運び可能な箱体に収納されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の検電器チェッカー。
【請求項6】
前記電圧出力装置は、100Vの交流電圧を供給する電源を利用して電圧を出力することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の検電器チェッカー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検電器の動作確認を行うための検電器チェッカーに関する。
【背景技術】
【0002】
検査対象部位が電気を帯びているか否かを判別する作業(検電と呼ばれる)には、検電器と呼ばれる電気計測器が使用される。
検電器には、電圧や用途等に応じて種々のものがあり、例えば低圧用、高圧用の検電器や、交流用、直流用、交流/直流両用の検電器がある。
また、検電器として、図6に示すように、携帯可能なペン型の検電器100がある。ペン型の検電器100は、ペン型の本体101の先端に金属や導電性ゴムからなる検知部102を有し、この検知部102を検査対象部位に接触させることにより検電を行う。検査対象部位が電気を帯びていれば、検電器100は本体101に設けられたランプを点灯させる等してユーザに通知する。
【0003】
また、検電器の動作確認を行うための検電器チェッカーが使用されている。例えば特許文献1には、高電圧用検電器が正常に動作しうるか否かを確認するための検電器テスト装置が開示されている。特許文献1の検電器テスト装置では、ペンシル型の検電器の受感部を載置する支持部と、同検電器の把手部を挟着する支持部とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開昭52-163375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の検電器テスト装置を含む従来の検電器チェッカーでは、検電器の動作確認を行う検電器チェック機能だけを有するものとなっている。
【0006】
本発明は上記のような点に鑑みてなされたものであり、検電器チェック機能だけでなく、付加機能を有する検電器チェッカーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の検電器チェッカーは、検電器の動作確認を行うための検電器チェッカーであって、複数の端子を集合させた端子台と、前記端子台の前記端子に接続し、電圧を印加する電圧出力装置と、前記電圧出力装置による前記端子への電圧の印加を時系列でオンオフする切替部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、検電器チェック機能だけでなく、正しく検電を行うためのトレーニング機能を有する検電器チェッカーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る検電器チェッカーの構成例を示す図である。
図2】端子台の例を示す図である。
図3】電気伝導体及びカバーの例を示す図である。
図4】電圧出力装置と、端子台及び電気伝導体との関係を示す図である。
図5】他の実施形態に係る検電器チェッカーの構成例を示す図である。
図6】ペン型の検電器の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。
本実施形態に係る検電器チェッカー1は、図6に示したようなペン型の検電器100を対象として、その動作確認を行う検電器チェック機能を有するとともに、この検電器チェック機能だけでなく、正しく検電を行うためのトレーニング機能を有する。
本実施形態では、低圧用で交流/直流両用のペン型の検電器100(例えば使用電圧範囲が交流(AC)50V~600V、直流(DC)12V~600V)を対象とすることを想定する。
【0011】
図1に、実施形態に係る検電器チェッカー1の構成例を示す。
図1(a)、(b)に、検電器チェッカー1の外観構成を示す。検電器チェッカー1は、アルミケース等の箱体2を備える。箱体2は、本体3と、取っ手5が取り付けられた蓋4とを備え、持ち運び可能である。本体3内は、上段面6a及び下段面6bの二層構造とされている。
【0012】
図1(c)に、上段面6aの構成を示す。上段面6aには、交流検電用の端子台7と、直流検電用の端子台8とが設置される。また、上段面6aには、電気伝導体9及び電気伝導体9を覆うカバー10が設置されている。また、上段面6aには、電源オンオフのためのメインスイッチ11と、サーキットプロテクタ12と、電源オンであることを示すパイロットランプ13と、接地端子14とが設置されている。また、上段面6aからは、ACプラグ15と、アースクリップ16とが引き出されている。
【0013】
図1(d)に、下段面6bの構成を示す。下段面6bには、交流電圧及び直流電圧を出力する電圧出力装置17と、交流電圧用のリレー18と、直流電圧用のリレー19と、タイマ20と、カウンタ21とが設置されている。
なお、図1には主要素となる構成を図示するが、全ての構成を図示したものではなく、必要に応じて配線等が設置される。
【0014】
図2に、端子台7、8の例を示す。
端子台7、8は、一対の端子(入力端子22及び出力端子23)からなる極を複数集合させたものである。各端子22、23には、ねじ24により接続線を接続する構造になっている。
また、直流検電用の端子台8では、例えば複数の極のうち半分を+極用に、残りを-極用にする。
なお、図2に示す端子台は一例に過ぎず、これに限定されるものではない。また、交流検電用の端子台7と、直流検電用の端子台8とで極数を異ならせてもよいし、異なるタイプの端子台を用いてもよい。
【0015】
図3に、電気伝導体9及びカバー10の例を示す。
電気伝導体9は、丸棒状であり、上段面6aから突出するように設置される。電気伝導体9は、絶縁体からなる円筒状のカバー10により覆われている。カバー10は、先端面が閉塞するとともに、円筒周面に開口部25、26が形成される。詳細には、長手方向に延びるスリット状の第1の開口部25と、第1の開口部25の隣に配置され、第1の開口部25よりも短い第2の開口部26とが形成され、これら第1の開口部25及び第2の開口部26が周方向に等間隔で4箇所に配置される。第1の開口部25及び第2の開口部26は、ペン型の検電器100の検知部102が挿入可能なサイズに設定されており、検知部102を第1の開口部25や第2の開口部26に挿入して、電気伝導体9に接触させることができる。
【0016】
図4に、電圧出力装置17と、端子台7、8及び電気伝導体9との関係を示す。
電圧出力装置17は、ACプラグ15を介していわゆる家庭用電源(100Vの交流電圧を供給する電源)に接続され、交流電圧及び直流電圧を出力する。交流の出力電圧は例えば50V(±10%)、直流の出力電圧は例えば+50V~+60V及び-50V~-60Vである。
また、電圧出力装置17は、アースクリップ16を介して接地される。また、電圧出力装置17は、上段面6aの接地端子14に接続する。
【0017】
電圧出力装置17のAC端子27は、接続線28を介して、交流検電用の端子台7の入力端子22に接続する。本実施形態では、電圧出力装置17は、端子台7の3つの入力端子22に接続する。そのうちの2つの入力端子22に対して、交流電圧の印加を間欠的に切り替える切替部29が配置される。切替部29は、交流電圧用のリレー18により構成され、タイマ20で計測される時間に従って、2つの入力端子22への交流電圧の印加を順次切り替える。すなわち、各入力端子22に対する交流電圧の印加を時系列でオンオフする。本実施形態では、例えば3秒毎に間欠的にオンオフが切り替わるようになっている。なお、残りの1つの入力端子22は常時通電される。
【0018】
また、電圧出力装置17のAC端子27は、接続線30を介して、電気伝導体9に接続する。電気伝導体9は常時通電される。
【0019】
電圧出力装置17のDC+端子31は、接続線32を介して、直流検電用の端子台8に接続する。本実施形態では、電圧出力装置17は、端子台8の+極用の入力端子22のうち、3つの入力端子22に接続する。そのうちの2つの入力端子22に対して、直流電圧の印加を間欠的に切り替える切替部33が配置される。切替部33は、直流電圧用のリレー19により構成され、タイマ20で計測される時間に従って、2つの入力端子22への直流電圧の印加を順次切り替える。すなわち、各入力端子22に対する直流電圧の印加を時系列でオンオフする。本実施形態では、例えば3秒毎に間欠的にオンオフが切り替わるようになっている。なお、残りの1つの入力端子22は常時通電される。
【0020】
同様に、電圧出力装置17のDC-端子34は、接続線35を介して、直流検電用の端子台8に接続する。本実施形態では、電圧出力装置17は、端子台8の-極用の入力端子22のうち、3つの入力端子22に接続する。そのうちの2つの入力端子22に対して、直流電圧の印加を間欠的に切り替える切替部36が配置される。切替部36は、直流電圧用のリレー19により構成され、タイマ20で計測される時間に従って、2つの入力端子22への直流電圧の印加を順次切り替える。すなわち、各入力端子22に対する直流電圧の印加を時系列でオンオフする。本実施形態では、例えば3秒毎に間欠的にオンオフが切り替わるようになっている。なお、残りの1つの入力端子22は常時通電される。
【0021】
以上のようにした検電器チェッカー1を使用するときは、ACプラグ15を家庭用電源に接続するとともに、アースクリップ16を接地させる。そして、メインスイッチ11により電源オンにする。電源オン時には、パイロットランプ13が点灯する。
この状態で、ペン型の検電器100の検知部102を、交流検電用の端子台7の入力端子22や直流検電用の端子台8の入力端子22に接触させる。電圧出力装置17に接続する入力端子22に接触させることで、検電器100が正常であればランプが点灯等するので、検電器100の動作確認を行うことができる。検電器チェッカー1において、交流検電用の端子台7と、直流検電用の端子台8とが設置されることで、交流及び直流を意識して動作確認を行うことができる。なお、直流検電を行うときは、一方の手で検電器100を持ち、他方の手を接地端子14に触れるようにする。
また、ペン型の検電器100の検知部102を、カバー10の第1の開口部25や第2の開口部26に挿入して、電気伝導体9に接触させる。検電器100が正常であればランプが点灯等するので、検電器100の動作確認を行うことができる。
【0022】
ここで、本実施形態に係る検電器チェッカー1は、上述した検電器チェック機能だけでなく、ペン型の検電器100を用いて正しく検電を行うためのトレーニング機能を有する。なお、以下では、検電器100の検知部102を接触させることを、検電器100を当てるとも表現する。
実際の現場では、検査対象部位の形状やその周囲の環境等は様々であり、検電器100を当てにくい状況も多々ある。作業者は、その時々の状況に合わせ、過去の経験から、検電器100をどのように当てればよいかを見出す。
検電器チェッカー1において、端子台7、8により現場と同様の端子台を再現することで、現場での検電の実態に即した訓練環境として、トレーニングを行うことができる。
なお、端子台7、8に端子22、23を覆うような遮蔽板を設ける等して、あえて検電器100を当てにくくする構造とすることにより、トレーニング効果をより高めることができる。また、図2では、端子が一段に配置された端子台7、8を例示したが、端子が階段状に配置された多段の端子台もあり、そういった複雑な構造の端子台を設置して、あえて検電器100を当てにくくする構造としてもよい。
【0023】
また、検電器チェッカー1において、電気伝導体9及びカバー10を設置し、あえて検電器100を当てにくくする構造とすることにより、トレーニング効果を高めることができる。カバー10の周方向に第1の開口部25及び第2の開口部26が配置されているので、色々な角度から、大きい穴や小さい穴を介して検電器10を当てるといったトレーニングが可能になる。
【0024】
また、実際の現場では、検査対象部位が通電状態と非通電状態とに変化するような状況もありえるので、検電器100をしっかりと適当な時間だけ当てるといった動作が必要である。
検電器チェッカー1において、端子台7、8の入力端子22を常時通電とせず、電圧出力装置17による入力端子22への電圧の印加を時系列でオンオフするようにして、シーケンスにより電圧印加状態と無電圧状態との変化を生じさせる。検電器チェックだけでいえば、常時通電の部位に検電器100を一瞬だけ当てれば動作確認が済むところを、あえて電圧印加状態と無電圧状態との変化を生じさせることで、検電器100をしっかりと適当な時間だけ当てるといった動作の意識付けを行うことができる。また、検電器100の動作(検知、検知無し)をより明確に判別することが可能になり、検電器不良や動作遅れ等の発見率が向上する。
【0025】
以上のように、検電器チェッカー1を使用することにより、検電の重要性と検電器100の信頼性の重要性の認識度が向上し、また、検電技能が向上した。
【0026】
なお、カウンタ21により、管理者が検電器チェッカー1の使用状況を把握できるようになっている。メインスイッチ11による電源オン時に、タイマ20で計測される時間に従って、例えば30秒を1カウントとする。検電器チェッカー1を使用して各人が検電器チェックを行うのに30秒程度が想定されることによる。或いは、メインスイッチ11による電源オンの回数をカウントするようにしてもよい。管理者は、カウンタ21によるカウンタ数を確認することにより、検電器チェッカー1の使用状況を把握することができる。
【0027】
上述した実施形態では、持ち運び可能なタイプの検電器チェッカー1を説明したが、これに限定されるものではなく、例えば図5に示すように、常設タイプの検電器チェッカーとしてもよい。なお、図5において、既述した構成要素と同様の構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。図5に示すように、検電器チェッカー1は、壁に設置される箱体37を備える。箱体37の表面には、交流検電用の端子台7と、直流検電用の端子台8と、電気伝導体9及び電気伝導体9を覆うカバー10と、メインスイッチ11と、パイロットランプ13と、接地端子14とが設置されている。それ以外の構成要素は、箱体37に内蔵されており、箱体37に内蔵された電圧出力装置17は、図5では不図示のACプラグ15を介して家庭用電源に接続され、不図示のアースクリップ16を介して接地される。
【0028】
以上、本発明を実施形態と共に説明したが、上記実施形態は本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
上記実施形態では、ペン型の検電器100を対象とする例を説明したが、本発明は、特定の検電器専用のチェッカーではなく、交流用、直流用の接触式検電器(電子式、ネオン管式)のチェッカーとして広く適用可能である。また、本発明は、高圧用の検電器を対象とする検電器チェッカーにも適用可能である。
また、電気伝導体9に交流電圧を印加するようにしたが、電気伝導体9と別に又は電気伝導体9に替えて、直流電圧を印加する電気伝導体及びそれを覆うカバーを設置してもよい。
【符号の説明】
【0029】
1:検電器チェッカー、2:箱体、7、8:端子台、9:電気伝導体、10:カバー、17:電圧出力装置、18、19:リレー、20:タイマ、21:カウンタ、22:入力端子、23:出力端子、25、26:開口部、29、33、36:切替部、100:ペン型の検電器、101:本体、102:検知部
図1
図2
図3
図4
図5
図6